人民新報 ・ 第1040号<統合133> (2001年11月5日)
  
                                目次

● アフガニスタンへの攻撃をやめろ  これ以上、民衆を殺すな
    報復戦争参戦三法採択糾弾
    「テロ対策特別措置法案」=米軍報復戦争参戦法、自衛隊法改悪、海上保安庁法改悪糾弾!

● 反戦運動を闘う私たちの課題と方向

● 国際反戦デー関西集会
     米国戦争抵抗者連盟代表が挨拶

● 参戦法反対で共同闘争 国会前などで連続行動
       参議院外交防衛委員会に抗議の議面集会

● NTTの十一万人合理化に反対
      小泉改革反対、退職・再雇用・賃金カットを許すな!

● 東京総行動 すべての争議に勝利しよう

● 10.28 団結まつり

● 原発は核爆弾! テロも報復戦争も原発もやめよう! 脱原発銀座パレード

● 豊かな三番瀬を残せ  国際湿地シンポに400人

● 部落史から取り残された諸賤民について F
          ケガレと部落差別(その3)    大阪部落史研究グループ

● 映画    今日から始まる 

● せんりゅう       ゝ史

● 複眼単眼  「強きものの祈り  アメリカへ」



アフガニスタンへの攻撃をやめろ  これ以上、民衆を殺すな

報復戦争参戦三法採択糾弾

 「テロ対策特別措置法案」=米軍報復戦争参戦法、自衛隊法改悪、海上保安庁法改悪糾弾!


 参議院本会議は十月二九日午後二時、参戦三法案(@「テロ対策特別措置法案」=米軍報復戦争参戦法案、A自衛隊法改悪案、B海上保安庁法改悪案)を与党などの多数で可決し、成立させた。
第一の法案は与党のみの賛成で、第二の法案は与党に民主党の多数を加えて、第三の法案には与党に民主、自由、共産の三党を加えた多数決で採択した。戦後史を画すると言われる重要法案を、衆議院も参議院もそれぞれ一週間にも充たない期間で審議を終え、全体で三週間そこそこで強行可決させたのは前代未聞のことだ。小泉内閣と与党は、この強引な国会運営をテロの危機と報復を煽り立てることでやってのけた。
 この日から自衛隊は日本の軍隊として、米英両軍をはじめとする「報復戦争」に参戦することが可能となった。法案成立後、政府はただちにアメリカ政府と協議を重ねながら派兵のための基本計画の策定に入った。
 自衛隊は戦後初めて、他国の領土・領海を含めた地域で米軍などの戦争の支援行動に入ることが合法化された。当然にも相手側からは、この「後方支援」と称する兵たん協力作戦は敵対行動とみなされ攻撃される。その場合、自衛隊は自動的に戦闘に参加することになる。
 またPKO法などの場合とは異なり、自衛隊の武装の制限も事実上、解除された。「戦争協力の地域」も「戦争が現に行われていない地域」という条件のもとで、地球規模で無制限に拡大した。
 小泉内閣は「血も汗も流さなくて孤立した湾岸戦争の教訓」と称して、はじめに「派兵ありき」の姿勢にたった。小泉首相はこの憲法やぶりの悪法を「常識の範囲でやろう」「神学論争はやめよう」などという「常識」論で正当化し、憲法の枠を突破した。
 曰く「前文と九条の間にはすき間がある」、曰く「自衛隊は戦力だが、憲法上の戦力ではないことになっている」。
 さらに「同じ憲法でも自衛隊を違憲だという人も、そうでないという人もいる。そういう中でいかに政治を運営するかが問題だ」「憲法そのものが国際常識にあわないところがある」「これは憲法のギリギリの枠内であり、これ以上は改憲になる」などと、きわめていい加減な論理を振りかざして、まともな論争を回避し、ごまかしに終始した。
 こうして、これまで国会で議論されてきた「後方地域論」とか「一体化論」などさまざまな議論は一挙に突破され、事実上、歴代自民党政治が憲法違反だと指摘してきた「集団的自衛権」の行使にまで踏み切った。
 日本国憲法がかかげる「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」という規定は、世論の多数の支持をたのみとする小泉内閣によって、無謀にもふみにじられた。
 小泉首相はまさに「戦力」を「国際紛争を解決するための手段」として投入したのだ。彼は歴史に対する犯罪の責任を負った。


反戦運動を闘う私たちの課題と方向

 政府は十一月半ばにも自衛隊をインド洋、およびパキスタンなどに派兵しようとしている。アメリカの報復戦争に反対し、日本の自衛隊の参戦に反対する運動は新たな段階に入った。
 この参戦三法阻止の全国各地の市民や労働者の闘いは、マスコミのつくりだした「テロへの報復」という「世論」、および国会の与党の安定多数を背景に、きわめて短期間の不利な条件を設定されたにもかかわらず、果敢に闘われた。
 東京の市民運動の有志で組織された「テロにも報復戦争にも反対!市民緊急行動」は、急速に支持を集め、国会周辺を中心に一〇波にわたる行動を組織した。「市民緊急行動」はインターネットなどを駆使しながら、あらたな参加者の層を広げつつ行動を積み重ね、一〇月二一日には東京で二〇〇〇名のアメリカ大使館デモが行われ、大阪の二〇〇〇名をはじめ全国三三箇所との連携した行動を展開した。この日は連合系や共産党系の団体もそれぞれ行動を起こした。ひさびさに日本で「国際反戦デー」が復活した。この中で韓国やアメリカの反戦運動との連帯も創りだされた。
 同時に「市民緊急行動」に結集する部分は、政治的な共闘の輪を広げるために努力した。
 連合系の「平和フォーラム」との連携や共同行動も五波にわたって行われた。また宗教者や市民運動との連携を基軸に、共産党系の平和委員会や全労連など、あるいは純中立労組の航空関係三団体をも含む共同闘争も三波にわたって組織された。また「許すな!憲法改悪・市民連絡会」は全労連などが主催する日比谷野音での集会に出席し、連帯挨拶を行った。議面集会では社民党や共産党の国会議員はもとより、無所属や個別の民主党の議員の参加ももとめ、これも一定程度実を結んだ。
 一方、この闘いの過程では、インターネットによる渋谷のデモを中心にした「チャンス」というグループにみられるような新しい若者たちの運動も生まれてきた。これらの動きもまた、今後の若者たちの運動の可能性を示すものにほかならない。
 こうした市民運動の経験は、いずれも今後の運動にとって、貴重な経験になるに違いない。
 私たちはいまこそ、「米国はアフガニスタン攻撃をやめろ」「これ以上の犠牲者をだすな」という全世界の人びとの反戦闘争に呼応して闘うことを呼びかけなくてはならない。
 そして、当面、全国の米軍基地・自衛隊基地周辺の運動を軸に、「米軍は報復戦争を止めろ」「自衛隊を参戦させるな」の世論と運動を広範に形成しなくてはならない。
 私たちは「無差別テロ」は「報復戦争」によっては絶対になくならないことを明らかにし、日本の果たすべき役割は報復の連鎖への「戦争協力」「参戦」ではなく、平和憲法の理念を生かした第三世界民衆との連帯・共生の道をさぐることにあることを明らかにして、小泉内閣と対決していく必要がある。
 とりわけ米軍などによる爆撃や銃火のなかで苦しむアフガニスタンやパレスチナをはじめとするアラブの民衆の実状を広く民衆に知らせ、この救援にとりくむ内外のNGOへのさまざまな協力を組織することは緊急に重要な課題になっている。
 これらの闘いのなかで小泉政権の許しがたい憲法違反の犯罪を批判し、詳細に暴露しなくてはならない。いまこそ私たちは広範な労働者、市民の運動を「改憲阻止」に向けて政治的に統一し、戦線を強化するためにはたらく必要がある。
 憲法第九条は小泉政権によって「無視」されたが、それは小泉政権の強さを意味するものではない。逆に憲法問題こそは小泉政権のアキレス腱なのだ。いま、改憲阻止の闘いはもっとも有効なポイントである。この改憲阻止闘争の陣形の前進にこそ、現在の反戦闘争と政治的闘争を勝利に導く可能性がある。
 大小の行動を起こし、運動を組織し、世論を起こし、その力で戦争を止めよう。いまこそ力をふりしぼって闘い、組織しよう。


国際反戦デー関西集会

 米国戦争抵抗者連盟代表が挨拶


 一〇月二一日大阪城野外音楽堂にて「国際反戦デー関西集会」(同実行委主催)が開催され、二〇〇〇人の市民、労働者などが参加した。
集会のスローガンは、
◎報復戦争反対!暴力の連鎖をたちきろう!
◎日本の戦争協力・参加を許すな!
◎自衛隊派兵・集団的自衛権行使でなく憲法九条のこころを世界に!
 開会の挨拶で「しない!させない!戦争協力」関西ネットワークの中北龍太郎氏は、国際反戦デーの歴史的経緯を説明しながら、「一九六六年、何百万人の労働者が反戦を訴えてストライキで闘った。これは今のわれわれにとってけっして夢物語ではない」と指摘した。そして「報復戦争は新たな戦争を引き起こす、暴力の連鎖に国家がのめり込んで行く」と九・十一の同時多発テロに対するアメリカ・イギリス軍のアフガニスタンヘの空爆と、それに積極的に加担している小泉内閣を批判し、「それを断ち切るのはわれわれの力です、平和憲法を改悪する法案を廃案に」と訴えた。
 つづいて米国戦争抵抗者連盟(WRL)のデビット・マックレイノルズさんの「アメリカでの報復戦争反対運動から」と題する話があった。
 マックレイノルズさんは九月十一日の朝、世界貿易センターに近いところにいたが、テレビのニュースを見るまで知らないでいた。多くの人びとが北に向かって歩いている、人びとが南を指さしているので、見るとジェット機が激突してビルが完全に崩壊していた。一〇〇階建のビルが崩れ、煙を出していた。全く信じられないことだ、パトカーや救急車がサイレンを鳴らし、地下鉄や交通機関が停止し、多くの犠牲者が出たことを知った、と生々しい現場の報告をした。そしてかつて日本が朝鮮半島や中国を侵略し、ナチスがユダヤ人を収容所で虐殺したこと、アメリカはベトナム戦争では何百万人の人びとを虐殺し、イスラエルではシャロンを支持してきた。冷戦の崩壊した今、アメリカが唯一の超大国となってさまざまな介入と支配を繰り返してきた。このような巨大な国々が犯した犯罪を人々は無関心に知らないできている。一連のこのような犯罪行為の一環としてテロリストのネットワークができたのだ。しかし、今回犠牲になった人々は働く人びとで、全世界から来ている人たちである。この人びとは国家の犯罪にはかかわっていないが、テロリズムはそのような人びとをも犠牲にする。
 それにしてもアメリカのアフガン空爆には正当性はない、アフガンは貧しい国である、爆弾は必要とされていない。多くの人びとは犠牲になり、国連の職員も犠牲となった。市民の犠牲は止む得ないことではないと述べた。最後に日本が憲法九条をもっていることが大切だ、アメリカもいつか九条のような憲法を持ちたいと会場の参加者に呼びかけた。
 集会では新谷のり子さんも参加し、「わたしの出逢った唄たち」を唄って反戦を訴えた。新谷さんの「フランシーヌの場合」は、いままた新たな気持ちでこころに深く刻み込まれる思いだった。(大阪・通信員)


参戦法反対で共同闘争 国会前などで連続行動

       
参議院外交防衛委員会に抗議の議面集会

 二五日午後五時半からの「テロにも報復戦争にも反対、市民緊急行動」の第九波行動として開かれた参議院議員面会所集会には約一〇〇名の市民が参加した。
 集会には共産党の池田幹幸参議院議員と社民党の大脇雅子参議院議員が出席して、国会情勢報告をした。
 今後の行動提起を事務局の高田健さんが行った。その中では、今回の米軍報復戦争参戦法案は「テロ特措法」「自衛隊法改悪」「海上保安庁法改悪」の三点セットであり、この三法のいずれもが許すことのできない悪法であることが指摘され、野党の多くが「海上保安庁法」に賛成していることへの疑問がだされた。同時に、この点では意見は異なるが「共同センター」の人びととも必要な共同行動にも積極的に取り組む立場が表明され、翌日の集会を共催することが報告された。
 その後、参加者は議員面会所をでて、国会にむかってシュプレヒコールをぶつけた。

テロにも、報復戦争にも、参戦法にも反対する緊急行動第二波


 十月二六日午後零時半から三時まで、国会の議員会館前を中心に路上の抗議行動が開かれた。
 呼びかけたのは先の十八日に雨のなか、二〇〇〇名の国会前人間のくさりを実現した「緊急行動」実行委員会。キリスト者平和ネット、日本山妙法寺、航空労組関連三団体が中心になり、宗教団体、市民団体、労働組合などから約二五〇名が結集した。各参加グループはのぼりや旗をはためかせながら、議員会館の前を埋めて集会を行った。
 午後二時からの統一集会では主催の三団体からの挨拶や、社民党議員団、共産党議員団からのあいさつ、全労連や婦人民主クラブのあいさつなどが行われ、外交防衛委員会での審議打ち切り、強行採決に抗議の声をあげた。
 警察は大勢の警官を動員して集会を規制するなど、過剰警備が目立った。

市民緊急行動は第一〇波行動

 十月二七日午後二時から、東京・渋谷の宮下公園で「テロにも報復戦争にも反対!市民緊急行動」の第一〇波集会とデモが行われた。
 集会には連日の行動にもかかわらず、四〇〇名の市民が参加して、前日の参議院外交防衛委員会での参戦法三法の強行可決に抗議の声をあげた。司会は「許すな!憲法改悪・市民連絡会」の高田健さんが行い、日本消費者連盟の富山洋子代表の挨拶のあと、「第九条の会ヒロシマ」の代表で広島修道大教授の岡本三夫さんが、ヒロシマでの市民の反戦の活動を報告しながら連帯のあいさつをした。
 この日は三人のミュージシャンがギターと歌で参加、生田卍さんは新曲を披露した(四面の「複眼単眼」参照)。
 また最近、アフガニスタン国境地帯を訪れた社民党の阿部知子衆議院議員がなまなましい現地視察報告をした。
 集会のあと、参加者は土曜の渋谷の街を岡本さんらを先頭にデモ行進をした。途中からデモに加わる市民たちもあって、三百名で出発したデモは四百人に膨れあがった。

「テロにも、報復戦争にも、参戦法にも反対する緊急行動」第三波


 十月二九日午後零時半から、参議院本会議に向けた国会前での路上集会が開かれた。この行動の枠組みは十八日、二六日に行われたものと同じもので、その第三波。
 議員会館前には市民運動や宗教者、労働組合などから約二百名が集まり、本会議の動向をにらみながら、抗議行動を展開した。
 進行は「市民緊急行動」の高田健さんが行い、日本山妙法寺からの主催者あいさつのあと、社民党の金子哲夫衆議院議員が連帯挨拶を行った。
 日本消費者連盟、全労連、たんぽぽ舎、婦人民主クラブ、許すな!憲法改悪・市民連絡会などからの挨拶がつづくなか、歌舞団「荒馬座」による太鼓の演奏や、「ストップ戦争法」の歌などのパフォーマンスも行われた。参議院本会議で採決がはじまるや、参加者は怒りと抗議のシュプレヒコールを繰り返した。
 そして最後に参加者は「法案の採択は強行されたが、各地の基地で自衛隊の派遣を阻止する闘いはつづくし、アメリカの報復戦争を止めさせる運動はつづく。この怒りと悔しさを力にかえて、新たな闘いに臨もう。国会内では少数派でも、世論に働きかけて、運動の輪を大きくしながら、戦争をやめさせるまで頑張ろう。またこの日、小泉内閣が憲法を無視し、ふみにじって希代の悪法を成立させたことを私たちは忘れまい。小泉内閣打倒のために闘おう」とのまとめを確認して行動を終えた。


NTTの十一万人合理化に反対

      小泉改革反対、退職・再雇用・賃金カットを許すな!
           

 十月二十四日、シニアワーク東京ホールで、電通労組全国協議会・全国一般東京労組NTT関連合同分会・全労協による「NTT十一万人合理化に反対する10・24集会」が開かれ、NTT労働者をはじめ一八〇人の労働者が参加した。集会は、「小泉改革反対、退職・再雇用・賃金カットを許すな!」のスローガンで開かれた。
 はじめに藤崎良三全労協議長が主催者を代表して、NTTの十一万人大合理化は現在の雇用破壊・リストラ攻撃の突破口になっており、多くの労働者の力を結集して闘わなければならないとあいさつした。
 加藤晋介弁護士が小泉構造改革について講演したあと、NTT職場からの訴えとして、電通労組全国協の高橋事務局長、NTT関連合同分会の石原さん、NTT労組員の加藤さんが発言した。また連帯の挨拶が郵政全労協、東京清掃労組、国労闘争団から行われ、最後に電通労組全国協議会前田議長(大阪全労協議長)が、11・2の全国スト・NTT持ち株会社前座り込み行動など今後の行動提起を行い、NTT合理化に対抗する闘いを団結して進めていくことを確認した。
 集会ビラは「NTTリストラの白紙撤回を」とつぎのように呼びかけている。
「私たち全労協に加盟する電通労組全国協議会・NTT関連合同分会はNTT会社の人権をも無視した不当な脱法行為を正当化する首切り合理化に断固反対し、白紙撤回を求めています。今、私たちはNTT会社の不当性を訴え、白紙撤回に向けて全国で運動を展開しています。……NTT首切りに反対する闘いに多くの労働者から賛同・支援をお願いします。そしてNTT合理化の背景にある新自由主義のもとにすべての労働者の雇用流動化を推し進める小泉改革に反対する闘いに全力で取り組みます」。

*****

 すでにマスコミなどでも大きく報道されているようにNTTでの大規模な合理化・人減らし攻撃がかけられてきている。その主な内容は以下のようになっている。
 まず、NTT労働者を三分割する。第一に、NTT東・西会社に残留して企画戦略・グループマネージメント等のキャリア部門に従事する「六〇歳満了型」(この「満了型」は勤務地限定なしの全国配転が前提となる)。第二に、五〇歳末でNTTを退職して新会社再雇用され、六〇歳で退職、六〇歳以降六五歳までまで契約社員となる「充実型」。第三に、雇用形態は充実型と同じであるが、激変緩和として節目(五〇歳退職時など)に一時金を複数受給する「一時金型」である。このうちから一つを選択せよというものだ。「満了型」でNTTに残るつもりなら全国どんなところへでも配転させるぞ(結局は辞めろということだ)と言っているのだから、会社の本音が、「充実型」か「一時金型」を選んでNTTからの退職・子会社への再雇用の道を選べということであることは明かであろう。
 この狙いは、NTT会社の分割にある。同時にそれら諸会社を系列化することによっていっそうの儲け構造をつくろうとするものだ。会社分割と労働者の処遇は次のようなものだ。
 @地域別(NTT東・西会社)子会社を設立する。東で、営業系十七・保守系十七、西で、営業系十六・保守系十六)。
 A業務の外部委託(設備系保守・修理や営業窓口・個人営業)。
 B大量の人員の異動。東西会社から六万人、MEグループから五万人。
 C五十一歳以上の労働者はNTT退職のうえで再雇用。
 Dその時、給与は一・五〜三割減額となる。
 しかし、こうした合理化をやる上でNTT会社には大きな障害(労働者にとっては有利な点)がある。それは、「労働者が同意しない限り、会社が一方的に他の会社へ転籍させることはできない」という民法六二五条による規定だ。会社側は、本人「同意」を前提として「強制的に選ばせる考えはない」「労働者にお願いする」と言っているが、「同意」しなければ全国配転させるぞという脅しをかけ、また御用組合であるNTT労組という多数組合との「合意」形成で労働者にNTT退職・子会社へ就職を迫ろうとしているのである。
 このNTTの十一万人合理化は、国鉄の分割・営化を上回る大分割・リストラ合理化となっている。こうした攻撃に、電通労組全国協などは、十二月からはじまる「選択」強要を前にして、「提案白紙撤回」、「三つの選択を選ぶな」、「どれも選ぶな」を基本に対応し、十一月二日にはストライキで決起し、NTT持株会社前での座り込み行動などを予定している。


東京総行動 すべての争議に勝利しよう
   
 十月二十四日、「首切りは許さない!権利はゆずらない!」をスローガンに、東京総行動(主催・全都反合共闘会議)が闘われた。
 朝九時半、東京丸の内の富士銀行前行動からスタートした。
 全一日の行動で、全統一光輪モータース、ジャパンユニオン・アイ・エー・エス、昭和シェル、反リストラ産経労、埼京ユニオン・ミニットジャパン、東京労組東洋印刷、東部労組高砂産業、東部労組杉本石油ガス、由倉工業、全国一般コムスン、全国一般なんぶ東京外語、東部労組エープライ、郵政4・ 解雇、郵政全労協日逓、埼京ユニオン・カメラのニシダ、埼京ユニオン・トランスポート弘和、NTT木下解雇、そして国労闘争団、戦後補償などの要求を掲げて、親企業・背景資本などに抗議・申し入れ行動が展開された。
 JR東日本本社前の行動では、争議に勝利したカンタス航空客室乗務員組合(全国一般東京なんぶ)から、解雇された十二名の解雇撤回・正社員としての復帰を勝ち取るという成果が報告され大きな拍手がわいた。


10.28 団結まつり
 
 恒例の団結まつりは、「許すな!首切り自由社会・改憲を 守ろう!平和・人権・環境を」をメインスローガンにして、十月二十八日、東京・亀戸中央公園で開催された。
当日は激しい雨が断続的に降るというあいにくの天候であったが、それを吹き飛ばす元気で、「闘う国労闘争団」を中心におよそ百の出店があり、のべ一万人が参加した。演壇では多くの争議団の決意表明、歌などがあり、発言ではテロと報復戦争に反対するものが多かった。


原発は核爆弾! テロも報復戦争も原発もやめよう! 脱原発銀座パレード

 反原子力の日である十月二六日の夕刻、東京銀座の水谷橋公園から、東京電力にむけた「脱原発銀座パレード」(主催・原発とめよう!東京ネットワーク)が行われた。
 公園での小集会の後、戦争反対・日本の参戦反対を意思表示する白いリボンをつけて、「原発は核爆弾!、テロも報復戦争も原発もやめよう!」のシュプレヒコールや、「原発いらない」の歌などで道行く人びとにアピールした。
 当日、原発とめよう!東京ネットワークは、原子力委員会委員長、原子力安全委員会委員長、経済産業大臣、同資源エネルギー庁長官、同原子力安全・保安院院長、文部科学大臣に九項目の実行を要求する申し入れを行った。九項目は、@脱原発への政策転換、A被曝労働の大幅削減、B再処理の中止、六ケ所再処理工場建設の中止、C高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉、Dプルサーマルの中止、E老朽原発・欠陥原発の閉鎖、F定検期間の充分な確保、G放射性廃棄物の地層処分政策の見直し、HITER(国際熱核融合実験炉)の建設中止。
 報復戦争の今日、原発の危険性はいっそう強まっている。「テロ」を口実にして、日本全国の原発は二十四時間の警戒体制に入っている。海上保安庁は全国十七箇所の原発周辺海域すべてに巡視船艇を派遣して対テロ警備を行っている。政府当局自身が、原発は危険なものであるということを認めているのだ。だから、報復戦争中は原発を止めなければならい。なぜなら原子力施設はとても危険であり、軍事力で守れるなどというのはまったくの幻想だからだ。
 また報復戦争において米軍は公表していないが、アフガニスタンでもかつてのイラクやユーゴでと同じように対戦車弾として劣化ウラン弾(核兵器の一種)を使っておびただしい放射能をまき散らしている。民衆を殺すウラン弾使用をやめさせなければならない。


豊かな三番瀬を残せ  国際湿地シンポに400人

 ラムサール条約って何だ?……突然そんなことを言われても、そんなものは僕たちは知らない。でも、豊かな三番瀬(さんばんぜ)を残していきたい。

 東京湾三番瀬・東京湾の三番瀬保全とラムサールの登録を考えようという(日本湿地ネットワーク・JAWAN主催)二〇〇一年国際湿地シンポジウムが、九月十五日、十六日の二日間、市川市の和洋女子大学で開かれた。県内外から延べ四百人が参加。
シンポジウムの初日は、韓国海洋研究所主席研究員・諸淙吉氏の韓国における干潟の現状と課題など海外からの報告や様々な状況の中、危機に瀕している全国各地の湿原保全の取り組みの力強い報告がなされた。
 二日目は、JAWAN国際担当の鈴木マギー氏、世界自然保護基金(WWF)の東海貞義氏がラムサール条約について世界の実践例を揚げながら講演や、「湿地と鳥の友だち」国際担当のニール・モアーズ氏がハマシギに焦点をあてて報告をおこなった。
 また三番瀬の保全や復元について熱心にパネルディスカッションが行われ、今後のあるべき姿についてイメージ図を用いての説明や、埋め立てたままの遊休地を海に戻してはどうかなどの具体的な提案がなされた。
 九月二十二日付けの新聞のトップ記事で堂本知事が、一〇一ヘクタールを埋め立てる既存の計画を取りやめ、干潟再生などの環境整備をおこなう方針を固め、県議会で表明する旨の記事が掲載された。
計画の撤回の理由は、@土地造成事業が地価下落で採算が合わなくなった、A埋め立て地に建設を計画していた下水道処理施設が別の場所に建設できる見込みがついたなどが背景にあると報じている。 ただし、知事が既存の計画を取りやめにしても、今後どのように干潟の再生を図っていくのか不明で、何らかの形で埋め立てが行われる可能性が残っている。
 堂本知事が今後どのような方針を示していくのか。堂本知事が考える「里海の再生」とはどのような形で実現していくつもりなのか、堂本知事の方針表明後も油断せず見守っていく必要がある。(千葉・通信員)


部落史から取り残された諸賤民について F

          
ケガレと部落差別(その3)    大阪部落史研究グループ

五、ケガレの語源

 
 漢字は、中国から入ってきたもので、漢字に当てはめる日本語があってはじめて意味を成す漢字ができます。ケガレに穢れを当てはめていますが、なぜ穢れを当てはめたのか、相互を細かく分析すれば意味が見えてくるかも…。
 まずはケガレから。民俗学では、「ケ」と「カレ」に分けて考える。民俗学者の間では、「ケ」は「気」であり、「カレル」は「枯れる」「離(か)れる」とされているそうです。国語的解釈では、「気」は「氣」であり、「ケ」の漢字はいろいろ当てはめられます。そのうちの一つ「毛」は、辞書で引いてみると、@毛髪、Aけがわ・獣類、Gすべての草木・五穀の類になっている。「ケガレ」は、「毛枯れ」であり「氣枯れ」、五穀が枯れることになります。
 次に「穢れ」について考えます。辞書で「穢」は、@雑草がはえ茂ってあれる、Aけがれる・よごれる、G悪い、等がある。「禾」の字は、@稲、A穀類の総称、B苗、等がある。「歳」の字は、@戉をもって肉を切って祭る、Aとしつき、等がある。「多」の字は、夕は肉の省略形、肉の多いこと。ここまで書いてみると、おぼろげながら見えてきたかも…。
 紙数の関係上これ以上かけませんが、興味のある方は『ケガレ意識と部落差別を考える』(辻本正教・著)をぜひお読みください。

六、「聖」から「賎」へ

 南北朝の動乱期に訪れた決定的な変化は、中世の骨組みをなしていた荘園制が崩壊し、それまで朝廷や寺社がもっていた荘園・公領の年貢が、いとも簡単に市場で売却され、しかも役負担までが、銭に換算されました。それを転機に、生産や流通が飛躍的に発展し、貨幣の魔力が増大します。貨幣の魔力は、五穀豊饒を祈る集団を、「聖」から「畏怖」に「賎」へと落とし込める力にもなったようです。
 十三・十四世紀以前、「神仏の奴婢」と自認し、「聖なる集団」の一角を占めた。そういった人々が、「その職能の性質から、天皇や神仏の聖性に依存するところより大きく、実利の道に進み得なかった一部の芸能者、非人・河原者など」であって、それ以前の「特別な能力をもつ存在への畏怖の念」からではなく、「ケガレ」を連想させる人々として穢多と呼び、排除されていくことになったようです。(つづく


映画

    
今日から始まる 

           ベルトラン・タヴェルニエ監督作品   1999年 フランス映画


 荒涼たる原野をカメラが幾度も映し出す。一台の車が走る。その一角にボタ山があり、街がある。
 主人公は炭坑が閉山したフランス北部の町の幼稚園の園長・ダニエル。
 不況がつづく街では、子どもたちの中に失業者や貧困、出稼ぎの家庭が増えていく。
 家族の生活も破壊されていく。アルコール依存症の母親、父親は出稼ぎ、予算を渋る町長のもとで生活保護も受けられない。電気も止められ、家は立ち退きを要求されている。母親は「何かいわれる」と町の職員をいつも恐れている。だから町に救いも求められない。ダニエルは福祉政策の貧困を町に駆け込んで抗議する。町長は「予算がない」という。らちがあかない。ダニエルが吐き棄てるように町長に言う、「だってあんたは共産党なんだろ!」。
 ある晩、ダニエルの幼稚園が荒らされる。襲撃した少年を手引きしたのが、ダニエルの恋人の息子だった。仕事に熱中して、一緒に生活している子どもと話し合う時間もなかったダニエル。でも、思わず殴ってしまい、後悔する。子どもは抗議する。「父親でもないのに、殴る権利はない」と。
 元気のない子がいる。みると背中が赤く傷ついている。頭に傷がある。医者にみせると幼児虐待だとわかる。固く口を閉ざす子どもだったがようやく「おじさんがやった」という。母親の恋人による暴力だ。ダニエルが施設に保護させると、母親と男が抗議にきて、ツバを吐きかけられる。じっと耐えるダニエル。
 夫婦ともに栄養失調などで無気力になり、朝、起きられず、子どもが遅刻する一家がある。「先生が連れていって」などという親に怒りを感じるが、聞いているうちに同情してしまうダニエル。でも「がんばって」というしかない。
 ダニエルは苦闘する。前衛芸術家の恋人ヴァレリや幼稚園の女性のスタッフたちがダニエルに協力する。彼女たちも疲れはて、あるいは傷つきながら。年配の先生が言う。
 「二〇年前は四五人の子どもたちがいても大丈夫だった。いまは三〇人の子どもたちをみるのがたいへん。子どもたちがしゃべれなくなっている。病気の子がいる。どうすればいいのか……」
 ダニエルの提案で、アルコール依存症の妻のところに出稼ぎから帰ってきた運転手の男が、クレーン車の操作を子どもたちに見せることになる。「すごい!」、目を輝かして巨大なクレーン車を見る子どもたち。男の娘もほこらしそうだ。
 だが、ある日、この母親と娘が自殺したのを知る。町当局は盛大な葬儀を準備する。ダニエルは怒りと絶望で、「そんなとこには行かない。仕事もやめる」と同僚に言う。葬儀のあと、ダニエルが静かになった墓地に行くと、運転手の男がたたずんでいる。
 ヴァレリはダニエルに「幼稚園も暗い。せめて色とりどりのオブジェで明るくしよう。部屋の中に砂漠もつくる。壁を明るく塗り分けよう」と提案する。
 ダニエルの心の中に少し希望が湧いてくる。子どもたちはどろんこになりながら、足形、手形をつける。園の中が生命感にあふれる。子どもたちはペットボトルにさまざまな色の水をいれて、庭中にならべる。砂を三トンも持ちこんで、一室に砂漠とテントの住居をつくる。町のお年寄の楽団が陽気な曲を演奏する。子どもたちが踊る、歌う、手を天に伸ばす。すばらしい表情の子どもたちを見ていて、ダニエルは思う。「そうだ、いつだって、いまから始まるのだ」と。
 見ているうちに「これはフランスだろうか。日本の町ではないか」と思った。不況と失業の増大の中で、これと同じ町が日本のどこかにあって、そこには表情がとてもかわいい子どもたちがいるにちがいない。そこにはダニエルもいるかも知れない。いや、たしかにダニエルがいれば子どもたちは救われるが、いま、日本の幼稚園の教員たちに「ダニエルになれ」というのは酷だろう。
 フランスのこの町のように、ほろびつつある日本の町もたくさんある。
 でもいつだって子どもたちはいる。そして「いつだって、今日からはじまる」、そう思う。(S)


せんりゅう
               
ゝ史

 めし時に煙の出ない焼肉屋
 牛舎から屠殺場で一生
 草の香をしらない牛の味を褒め
 草食えぬ牛はとうとう狂いだし
 狂牛は多国籍企業のもうけかす
 添加物記載のほかになにかある
 安全と言うが保障のないやまい
 グルメたち巨大企業になめられて
 バイオ食日本人が試食中
 WTO儲け話で飢餓が咲き
 汗のない畑の株は兜町
 うまい物は大国へきけんな物は小国へ

二〇〇一年一〇月


複眼単眼

  
強きものの祈り  アメリカへ

 十月二七日、前日の参議院の外交防衛委員会での参戦法採決に抗議しながら、東京・渋谷の宮下公園では「市民緊急行動第十波」で四〇〇人のひとびとの集会が開かれた。
集会では三人のミュージシャンがそれぞれの心をこめて歌った。
 こうした市民の平和集会にしばしば出演してくれる生田卍は、この日、自らの作詞、作曲になる新曲を歌い、そのあと、いま、アメリカでは自粛することになっているという「イマジン」を歌った。
 この日、渋谷の街にはデモ隊の先頭に立った宣伝カーからの「イマジン」がこだました。
 生田卍の新曲の歌詞を紹介する。

 「強き者の祈りーアメリカヘ」

強い者に寄り添う神が 耳もとでささやく
リングに上がれる者だけがルールに守られる這いつくばっている者達は 見てるほかは無い
招待客の食べ残しに 
蝿が群がるのを

 だって世界は秩序   だって世界は力
 哀れみは弱きもの達の 足を萎えさせる・・・・

お腹を空かせた子供には 天国が応える
公平なルールに従えば 犠牲はやむを得ない
持たざるもの祈りには 確率が応える
しかしいつもそのサイコロを 振るのはこの「私」

 だって世界は秩序   だって世界は力
 たったひとつのこの世 界を貫くものは「愛」

愛、それは試練 愛、神は試す 愛、それは力、愛、それはMoney moneymoney!

大きな言葉を振りかざすしたり顔の男
神に守られたリングの上じゃ有無は言わせない
倒れてゆく者たちに哀れみを込めて言う
世界をむさぼる「自由」に栄えあれ!(ハレルヤ)

 だって世界は秩序   だって世界は力
 たったひとつのこの世 界を貫くものはMoney Money Money  (T)