人民新報 ・ 第1052号<統合145> (2002年3月5日)
  
                                目次

● 有事法制=戦時非常法制阻止
       全力で壮大な闘いの創出を  改憲阻止の共同戦線へ

●資料 / 陸・海・空20労組の声明
    周辺事態法を発動する「有事法制」に反対し、幅広い共同行動を呼びかけます

● 民主党議員も参加して、有事法制を考える超党派市民と議員の緊急集会

●広島で市民運動全国交流会 西日本を中心に十四都府県、二〇団体が参加

               第6回許すな!憲法改悪・市民運動 全国交流会宣言

● 右翼の妨害をはねのけ2・24 コンサート・集会・デモ  神奈川

● 新たな闘いを全国へ! がんばれ闘争団
         国労闘争団共闘会議が今春正式発足へ

● 個別労働争議に労務屋介入の制度化

● リストラの世の中に勇気と希望  「人らしく生きよう 国労冬物語」

● 報告 / 自衛隊は日本原から出て行け 日本原現地集会

● 部落史から取り残された諸賤民について H  弾左衛門の不思議(その2)

● せんりゅう   ゝ史 

● 複眼単眼   コミューン伝説 沖縄・大宜味と秩父のひとびとのように



有事法制=戦時非常法制阻止

全力で壮大な闘いの創出を  改憲阻止の共同戦線へ


     @

 米国防総省は二月二六日、「対テロ戦争への国際社会の貢献」と題する資料を発表し、対テロ戦争支援国として二六ヵ国の名をあげたが、日本は含まれていなかった。この問題で二七日、永田町を激震が走った。
 この日開催された「衆議院憲法調査会国際社会における日本のあり方に関する調査小委員会」(中川昭一・小委員長)では、与党保守党の西川太一郎委員がこの問題を取り上げ、つぎのように述べた。「この問題を外務省は単なるミスと言っているが、それは違う。先にペンタゴンで画期的な中谷・ラムズフェルド会談が行われ、またブッシュ訪日で日米首脳会談が開かれ、日米同盟は進んだと言われた。しかし、今回の問題は米国に何か考えがあってのことだ。あえて言えば、それは日本が集団的自衛権の行使に踏み込まないことへの批判だ」と。
 今回、小泉政権は「湾岸戦争の教訓」として積極的に米国のアフガニスタン戦争に参戦した。「教訓」とは九一年の湾岸戦争で一三〇億ドルの軍資金を提供したにもかかわらず、貢献度の評価が著しく低く、クウェートが発表した感謝広告では対象の三〇ヵ国の中に含まれなかったことをさしていた。今回、対米一辺倒でつき従った小泉政権にたいしてブッシュは来日した国会で「日米関係は現代で最も偉大で揺るぎない同盟」などともちあげる一方で、今回の発表のように「まだ貢献が足りない」と突き放し、集団的自衛権の行使、改憲への踏み切りを要求してきたのだ。しかし小泉にあるのは「踏まれても踏まれてもついていく下駄の雪」の道だけだ。

     A

 小泉政権はこの三月中にも国会に有事法制の提出を目指している。
 それは「基本理念」にあたる部分と、戦時に自衛隊の活動を円滑にするための「自衛隊法の改正」、有事ACSAやPKO法の再改定を含めた「共同行動する米軍への自衛隊に準じた法令適用」など、数十の関連法案の改正を合わせた「武力攻撃事態対処関連法案」(仮称)として準備されつつある。この法案によって首相や防衛庁長官が自治体や企業、労働者に業務従事命令がだせることになるし、拒否者には処罰も可能になる。
 この有事法制は「国民の緊急事態」に対処するとして、事実上の戦時統制を強いることができ、「国民の保護・避難」の名目で、立退きや交通・移動の制限、言論・集会の制限など、私権や基本的人権に制限がかけられる、憲法違反のきわめて危険な立法だ。
 またこの法案には民間防衛の検討という項目も盛り込まれようとしている。これは民間にかつての隣り組同様、「日本が武力攻撃を受けた場合に、国民が主体となって相互連絡や物資の配給、避難、消防などの防護活動」を行わせようというものだ。

     B

 実際は政府が必要としているこの有事法制は膨大で、第三分類と呼ばれてきた部分には未整理の項目も多いし、政府部内でも意思統一がされていない部分もある。にもかかわらず、かくもいそいで立法化を進めるのは、背景にブッシュの「悪の枢軸」発言に見られるような戦争準備がある。小泉政権が急かされるように進めるのは、米国の戦争拡大路線に間に合わせるための強引な有事法制化の動きなのだ。
 二六日、陸・海・空関連の二〇の労働組合が有事法制に反対する共同声明(下段掲載)を発表した。国会では超党派の共同集会も重ねられている。市民運動も多様な行動と共同を展開している。
 いまこれらの力を総結集し、壮大な共同闘争を創り出し、小泉内閣の有事法制強行の策動を阻止する必要がある。そして対米追従、戦争加担、憲法違反の小泉内閣を打倒しなくてはならない。



資料
  

 陸・海・空20労組の声明

 
周辺事態法を発動する「有事法制」に反対し、幅広い共同行動を呼びかけます

政府は今国会に「有事法制」を提案する準備をすすめています。提案が予想される法案は、結局のところ周辺事態法を発動して、交通運輸関係労働者をはじめ、多くの労働者・国民を軍事的に動員することを想定したものであり、陸・海・空・港湾労組二十団体はこれに強く反対します。

 一月二十二日に内閣が自民党に提出した「有事法制の整備について」と題する基本方針は、「冷戦終結後の我が国を取り巻く安全保障環境の変化を踏まえ、新たな事態への対応を図ることが重要」との認識から、「(我が国への)武力攻撃に至らない段階から適切な措置をとることが必要」としています。これは明らかに、「周辺事態」発生の場合の軍事行動に国を挙げて対応することにほかなりません。

 陸・海・空・港湾労組二十団体は、三年前から、交通運輸関係の労働者が軍事的に動員される周辺事態法の制定に、一貫して強く反対してきました。

 なぜなら、私たちがテロや武力攻撃の標的とされ、自らの「いのちと安全」が直接危険にさらされると同時に、陸海空港湾の産業インフラも攻撃対象となることで、国民生活への影響もきわめて深刻なものがある、などの理由からです。

 私たちは、周辺事態法が強行成立させられたあとも「法の発動は許さない」と宣言してきました。その決意は今も変わっていませんし、「自らが加害者になることも、被害者になることも拒否する」ことを改めて決意します。

 また、いま政府が提案しようとしている「有事法制」が発動される事態になれば、自治体への国の権限は強化され、私たち交通運輸関係労働者だけでなく、医療や建設、土木などに携わる多くの労働者・国民が動員されることはまちがいありません。

 私たちは、国民生活を支える産業の発展と生活の安定は平和が絶対的かつ基本的な条件であると考えます。あらゆる分野で働く労働者・国民が考え方や立場の違いを超えて「いのちと安全」を守るために、「有事法制」反対の一点でかたく結束して、私たちとともに共同行動に立ちあがっていただくことを、心から呼びかけます。

二〇〇二年二月二十六日

●陸・海・空・港湾労組二〇団体
全日本海員組合
船舶通信士労働組合
全国港湾労働組合協議会
全国港運海貨物流労働組合協議会
交通運輸労働組合共闘会議
全日本運輸一般労働組合
全国自動車交運労働組合総連合会
全日自労建設農林一般労働組合
国鉄労働組合
全国鉄動力車労働組合
全運輸省労働組合
全運輸省港湾建設労働組合
全気象労働組合
全国税関労働組合
東京都区職員労働組合港湾支部
横浜市従業員労働組合建設支部港湾分会
川崎市職員労働組合港湾支部
航空労組連絡会
日本乗員組合連絡会議
航空安全推進連絡会議

(連絡先・事務局)
航空安全推進連絡会議
TEL 〇三―三七四二―九三五九
FAX 〇三―三七四二―三二六四


民主党議員も参加して、有事法制を考える超党派市民と議員の緊急集会

 「有事法制を考える超党派市民と議員の緊急集会」が二月二五日午後六時三〇分から、永田町の星陵会館で開かれた。 
 主催したのは三〇名の市民・学者・文化人と衆参国会議員による「呼びかけ人」で、中島通子(弁護士)、小林カツヨ(料理研究家)、佐高信(経済評論家)、石坂啓(漫画家)、湯川れい子(音楽評論家)、辛淑玉(人材育成コンサルタント)、松崎菊也(戯作者)、水島朝穂(早稲田大学教授)、斎藤貴雄(ジャーナリスト)、浅野健一(同志社大学教授)、海南友子(CHANCE)、落合恵子(作家)、きくちゆみ(グローバルピースキャンペーン)、高田健(許すな!憲法改悪・市民連絡会)、富山洋子(日本消費者連盟)の人々と、福島瑞穂事務所、小泉親司事務所、川田悦子事務所などの国会議員。
 この集会は一月二五日、同様のタイトルで開かれた集会に続くもので、今回は四〇〇名の市民や民主党、社民党、共産党などの国会議員が駆けつけた。前回の集会では当時は民主党の大橋巨泉参議院議員が出席し、注目された。今回も「有事法制を考える」としたのは、民主党の有志議員が党の拘束を超えて参加しやすいようにとの配慮があるのは明らかだ。
 この日は社民党の土井党首、共産党の志位委員長も出席して挨拶し、民主党からは今野東衆議院議員が挨拶、無所属の川田悦子議員も挨拶した。共産党、社民党は計三十名近くの議員を動員し、民主党からも大出彰衆議院議員などが参加した。
 集会では田嶋陽子参議院議員と小泉親司議員が司会をした。
 ゲストスピーチの最初は永井憲一さん(法政大学教授)。永井さんは「有事法制などを許して、一〇年に一度、戦争が起こされるような時代にしたくない」と語った。 
 松崎菊也さんはダーティな政治家の典型の鈴木宗男議員の声帯模写をして会場を沸かせたあと、これに隠れて有事法制の企てが進んでいることに警戒を呼びかけた。
 吉武輝子さん(評論家)は「教えている学生と一緒に信州の無言館を授業で訪ねた。若者たちは戦争を再び起こしてはならないと言っていた。この若者たちと一緒に有事法制を阻止したい」と語った。ドキュメンタリー映画「コスタリカ」をプロデュースした早乙女愛さんも発言した。
 志位和夫氏は「日米が協力して海外でやる戦争に協力しない者を犯罪者とする有事法制を許さない」とのべ、土井たか子氏は「有事法制は戦争立法だ。法案がでてから学ぶのでは遅い。超憲的立法を作り、法の名で法を破る。こうした小泉内閣を打倒しよう」と呼びかけた。今野東氏は「九・一一以降は政府はアメリカのための法律を作った。法律は国民のためにあるべきだ。有事法制も国民のための法ではない。慎重に対処すべきだ」と述べた。川田悦子氏は「若者を犠牲にする有事法制を許せない」と発言した。
 市民団体からの発言では、航空労働者で作る「航空安全会議」からスチュワーデスの中川かおりさん、「憲法を愛する女性ネット」の久保田真苗さん、医療労働者の立場から「全日赤労組連合会」の大田千枝子さん、若者の新たな反戦運動を作り出しつつある「CHANCE」の海南友子さん、「ふえみん・婦人民主クラブ」の設楽ヨシ子さん、九・一一以来の市民運動の先頭に立ってきた「日本消費者連盟」の富山洋子さん、有事法制に反対する広範な共同のための活動をつづける「許すな!憲法改悪・市民連絡会」の高田健さん、全労連などの共同行動組織の「国民大運動」の沢中正也さん、全船員の半数を組織する「海員組合」の平山誠一さんが、それぞれ有事法制に反対する決意を発言した。
 集会は最後に、今後も院内集会などを積み重ねながら、有事法制に反撃することを確認した。


広島で市民運動全国交流会

    
西日本を中心に十四都府県、二〇団体が参加

 二月二三日〜二四日午前、広島市内で「第六回 許すな!憲法改悪・市民運動全国交流会」が開かれた。
 当日は西日本の諸団体を中心に十四都府県、二〇団体、六〇人が、それぞれの立場や課題を超えて参加した。
 二三日は差し迫った有事法制反対の課題など国会をめぐる近況報告や、各地でのさまざまな活動についての報告があった。午後四時から始まった第一部の司会は地元広島の佐久間佳子さんが担当した。 はじめに「第九条の会ヒロシマ」の岡本三夫代表が「暴力の連鎖を断ち切ろう」と題する挨拶を行った。
 つづいて「許すな!憲法改悪・市民連絡会」の土井登美江さんが昨年の九・一一以来の東京での「テロにも報復戦争にも反対、市民緊急行動」の運動を中心に「テロ対策措置法」に反対し、アフガニスタン民衆に連帯する市民運動とその高まり、特徴などの報告をした。
 「市民連絡会」の高田健さんが「有事立法とセットで進む改憲に立ち向かうために」と題した報告と問題提起をおこなった。報告は先のブッシュ来日と現在の国会に上程されようとしている有事立法の関係、および憲法改悪の動きなどについて分析した。そして市民運動は独自に積極的な運動を展開することとあわせて、運動の広範な共同のための提唱者、組織者にならなくてはならないと強調した。あわせて、憲法改悪に反対する運動は非暴力の立場の原則を鮮明にし、それにもとづいた共同を勝ちとる必要があることも強調した。
 駆けつけた社民党の金子哲夫衆議院議員は、憲法調査会の委員としての活動などから「戦時法づくりにむかう国会の近況報告」をし、連帯の挨拶をした。
 つづいて各地からの報告に移り、「神戸公聴会への対抗公聴会の動き」(憲法を生かす会・神戸の中村さん)、「名古屋公聴会に抗議する取り組みの報告」(憲法懇話会の寺尾さん)、「憲法調査会を傍聴して」(市民連絡会の高安淑子さん)、「日本YWCAの平和活動について」(俣野尚子さん)、「平和憲法を広める狛江連絡会の活動報告」(寺尾安子さん)、「歴史は消せないみんなの会の活動」(香川県の市川えり子さん)、「教科書採択問題やえひめ丸の問題など愛媛での運動の報告」(愛媛県議阿部悦子さん)、「二〇年にわたって意見広告運動にとりくんで」(赤とんぼの会の小野久さん)、「憲法調査会・ひろしま見張番を結成して」(下中弁護士)などの報告があり、また鳥取県米子市議中川健作さんからメッセージが届けられた。

 食事と交流を兼ねた第二部では、冒頭に地元の「憲法改悪を許さない広島県民会議」の佐古さんのオカリナ演奏が行われ、参加者を魅了した。
 つづいて「北九州のかわら版の活動」(村田久さん)、「憲法9条の会・関西の活動」(小林善樹さん)、「福岡市での活動」(脇義重さん)、「憲法を生かす会・京都の活動」(園田裕子さん)、「反核・憲法フォーラム徳島の活動」(矢野和友さん)、「ピース・さがの活動」(大石興賜子さん)、「許すな!憲法改悪・北部連絡会の活動」(中尾こずえさん)、「広島での日本ジャーナリスト会議の活動」(利元克巳さん)、「不戦兵士の会の活動」(三宅常彦さん)などの活動報告があり、その後、懇談会が行われた。

 二四日の第三部は、有事法制反対や憲法改悪のための国民投票法案反対の運動など今年の活動の方向、および今年も開催が予想される憲法調査会地方公聴会への対応などについて話し合われ、とりわけ有事法制に反対する強い姿勢を鮮明にした討議が行われた。「憲法会議広島事務局長」の石口弁護士、「憲法改悪を許さない広島県民会議」の栗原君子さん、その他、多くの人びとから発言がつづいた。
全国交流会は最後に「決議」(別掲)を採択した。

     ・・・・・・・・・・

第6回許すな!憲法改悪・市民運動 全国交流会宣言

 平和を求め、憲法の改悪に反対している全国各地の市民の皆さん!
 昨年の9・11を契機に始まったアメリカのアフガン戦争は今日なお続いています。日本の自衛隊はインド洋・アラビア海で米軍の戦争に兵站(へいたん)の面で協力し、アフガン攻撃の一翼を担っています。この厳冬に戦火にさらされているアフガン民衆の苦しみはいかばかりでしょう。
 ブッシュ米大統領はいまこの無謀な戦争を、さらにフィリピン、ソマリア、イラク、イラン、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)にまで拡大すると公言しています。そして日本の小泉首相はさきの日米首脳会談に見られるとおり、このアメリカの戦争に全面的に協力することを約束しています。
 いま、国会に上程されようとしている「有事法制」案と「憲法改正国民投票
法」案はその具体化です。
 皆さん。
 平和がふみにじられています。
 憲法がふみにじられています。
 二月二十三日、二十四日、西日本を中心に、全国十四都府県から六〇名が結集して、第六回許すな!憲法改悪・市民運動全国交流会が広島市で開かれました。
 集会は各地の市民運動の経験を学びながら、その前進を確認しました。そして当面する有事法制反対、憲法改悪のための国民投票法案反対の運動と、憲法調査会地方公聴会の開催に対抗し、批判する運動を強めることを確認しました。そして、そのために各地でさらに奮闘することとあわせ、相互の連携を強め、全国ネットワークを強めることを確認しました。
 全国の皆さん!
 私たちは呼びかけます。
 ただちに有事法制反対のさまざまな行動を起こしましょう。憲法改悪反対の声をあげましょう。
 経過や信条や立場の違いをこえて、大きな共同行動を起こしましょう。
 戦争に反対し、平和を求めるアジアの人びとと連帯しましょう。

 以上、決議します。

二〇〇二年二月二十四日

広島にて


右翼の妨害をはねのけ2・24 コンサート・集会・デモ  神奈川

 卒業式・入学式を間近に控え、標記集会が横浜市従会館を会場に開催された。主催は「『日の丸・君が代』の法制化と強制に反対する神奈川の会」。
一昨年二月、同会が計画した街頭宣伝とデモは、数十台の街宣車と百名以上を動員した右翼によって文字通り暴力的に妨害され、中止に追い込まれた。さまざまな集会に対する右翼の介入が目立ち始めた時期であったが、警察も「市民グループを右翼の暴力から守る」のに必死という状況が全国に衝撃を与えた。
 しかし、会ではこれに屈することなく、昨年も、そして今年も集会・デモを行なった。
 当日、会場に面した神社に右翼が集団参拝を行なって集会を威圧する。日の丸を掲げた迷彩服・ヘルメツト姿の右翼が参道に立つ。
参加者は警備の機動隊の横をすり抜けて会場に入る。集会では、高校の現場から、職務命令で日の丸・君が代を強制するばかりか、なおエスカレートして、旗の掲げ方、歌の式次第への位置付け方まで細かく指図する県教委の不当な強制の実態が告発された。
 かつて日立就職差別裁判を闘い勝利した朴さんの妻である村松さんは、子どもの学校に「日の丸・君が代」中止を求め続けてきた経過を淡々と報告し、静かな共感が会場を包む。
 非核市民運動・ヨコスカの新倉さんは「三〇〇回を越えた月例デモの経験を振り返り、タフでなくてはできない運動ではなく、弱くても持続する運動をと考えるようになった、運動は対話だ、自衛官や米軍、その家族に対しても平和を語りかけていきたい」と静かに語り、会場にうなづく人の姿が目立った。在日韓国人二世の超博(チョウ・パク)さんのコンサートは、絶妙な語りと多彩な歌で会場は終始笑いと拍手に包まれた。
 デモ出発。神杜の石段に日の丸を手にした右翼が数十人整列している。日の出町↓桜木町↓伊勢佐木町のデモコースの至る所で何台もの街宣車が目一杯のボリュームで罵詈雑言をがなりたてる。歩道から数十人の右翼が参加者につかみかかろうとする。両側を機動隊が規制し、時には警備車両が右翼とデモ隊の間に割って入る。騒然とした状況になったが、デモは最後まで貫徹され、これからもひるまず「日の丸・君が代」の強制に反対し続けていくことを確認して散会した。 (横浜通信員)


新たな闘いを全国へ! がんばれ闘争団 

      
国労闘争団共闘会議が今春正式発足へ

 二月十九日、労働スクエア東京ホールで、「JRの不当労働行為は許さない! 国労闘争団共闘会議準備会」主催の「活路を開く新たな闘いを全国へ! がんばれ闘争団 ともにGO! 2・19集会」が開かれた。集会は、東京総行動を闘いぬいた労働者を中心に七百人を超す参加者が通路にまで座るほどの盛況で熱気あふれたものとなった。

鉄建公団訴訟の目的

 はじめに鉄建公団訴訟原告団の佐久間誠事務局長(名寄闘争団)が、鉄建公団訴訟の経過などについての報告を行った。鉄建公団訴訟は、一九八七年四月の分割民営化時に国鉄・JRの行った不当労働行為によって採用差別がおこなわれた。そして雇用関係は清算事業団が承継し不当労働行為責任も清算事業団が承継した。にもかかわらず事業団は不当労働行為の結果を解消せず、原告らに再就職先も斡旋し得ず、また株主でありながら労働委員会命令を遵守させぬまま、九〇年四月原告らを解雇した。これは解雇権の濫用にあたり、@被告鉄建公団との雇用関係の確認、A九〇年五月以降の未払い賃金と一〇〇〇万円の慰謝料、B二〇〇二年一月以降の賃金の支払い、を原告団は求めている。訴訟闘争の展開には厳しいものがあるが、犯罪がなされても、なかったようにすることは絶対に許されない。多くの仲間の支援組織への結集、物心両面からの協力を訴える。そして勝つまで闘いぬく決意を表明したい。

闘う国労の再生を

 大口昭彦弁護士は、「鉄建公団訴訟の内容と意義」と題して講演し、国労本部などからなげつけられているこの訴訟に対する「批判」を「取るに足りないものだ」として次のように述べた。
 この訴訟は清算事業団・鉄建公団の責任を問う闘いである。犯罪があった。その犯人を一人たりとも逃がさないということだ。原職復帰こそが目的であるが、今回の闘いはそこにいたるまでの一つの戦術的な勝利をかち取るためのものだ。四党合意でうまくいかないことは明らかになってきている。興味深いことに、これまで四党合意に積極的だった国労弁護団の中からも鉄建公団訴訟を考える必要があるとの声も上がってきている。訴訟闘争の持つ意味は、国家的な不当労働行為に対抗して一〇四七人の権利を回復すること、JRの職場労働者の団結をかち取り闘う国労の再生をかちとること、四党合意は国労を柵の中に追い込むものでありここから脱出すること、労働法制改悪攻撃に反対して労働委員会制度を守りぬくこと、国鉄の分割民営化は中曽根内閣の戦後政治総決算攻撃の軸としてあったが国鉄闘争を強化していくことによって反動攻勢と闘うこと、などである。
 つづいて呼びかけ人の一人である佐藤昭夫弁護士は「旧国鉄(政府)とJRの不当労働行為責任を追及し、一〇四七名の復帰を求める賛同署名運動」からのアピールを行った。

共闘会議の正式結成へ

 連帯のあいさつは、はじめに東京清掃労働組合の星野良明委員長が行った。
 鉄建公団訴訟が開始され、最高裁闘争、ILO闘争と闘う三本の柱がそろい、四党合意以降の混迷を脱して展望がひらけた。しかし国労本部は先の中央委員会において訴訟に立ち上がった闘争団を対象に査問委員会を設置した。こうしたことは労働組合として決してやってはならないことだ。小泉内閣の構造改革攻撃や有事立法への動きが強まる中で大量失業時代が生み出されようとしているが、闘争団の断固たる闘いはこうした状況から生み出されたものだ。すべての仲間は闘争団共闘会議に結集して国鉄闘争を強化し、労働者の闘いを前進させて行こう。
 日本育英会労働組合の広田治副委員長は、小泉内閣の「聖域なき」構造改革攻撃は、奨学金をあつかっている育英会を「民業圧迫」ということでなくそうとしているが、誰でも教育を受ける権利を守って行くためには育英会を発展させていくしかない」と述べた。
 続いて、「人らしく生きよう」を上映する会(首都圏)からの上映運動のアピールがあり、闘争団の原田亘さんが、共闘会議準備会としての「全国の支援者へのアピール」(別掲)を行った。
 鉄建公団訴訟原告団の酒井直昭団長は、「一月二十八日に提訴し、新たな闘いの一歩を踏み出したが、今後、多くの仲間に訴えて第二次・第三次原告団をつくっていく」と述べ、また今春に正式結成が予定されている共闘会議への参加を訴えた。
 なお、会場カンパは、二十二万円を超した。


個別労働争議に労務屋介入の制度化

 大量失業時代が到来し、さまざまな個別争議は急速に増加している。この間、政府が進めている労働法制の改悪の狙いの重点は、倒産などに際して労働争議が起こらないで、「スムースに」労働者の退職・失業など労働力流動化のためのものである。
 いま、労働争議に社会保険労務士がかかわることを可能にするため、社会保険労務士法の「労働争議不介入規定」を削除する動きが本格化してきている。全国組織の「全国社会保険労務士会連合会」(全社労)は、そのための法制化を、三月以降、自民党の議員立法の形で国会に提出するという。全社労は、地労委の個別紛争あっせんなどの手続きに関与できるようにすることとあわせ、第二十三条(「労働争議に介入してはならない」)の削除を求めているが、それは労働争議が大企業中心から社労士の顧問先である中小零細企業中心に移行してきたことに対応し、その紛争解決が国民から期待されているためといっている。
 こうした動きに、「日本労働弁護団」は、一月八日に山本博会長の名で「社会保険労務士法第二三条等(労働争議介入禁止)撤廃問題に関する声明」を出した。「開業社会保険労務士は依頼者である使用者から委任を受けて労働社会保険業務の代行をするのであり使用者側の利益のみを擁護する立場に立つものである。したがって、そのような者が使用者側の利益を代弁する立場で労使紛争に介入することは、法律及び判例法理に基づく公平かつ適正・迅速な労使紛争の解決に資するところはなく、かえって、『労務屋』のような者の割り込み介入によって労使交渉に悪影響を及ぼし、労働争議の先鋭化ないし複雑化を招く結果となる。このことは、我が国の労働組合法がその基本的理念とする適正かつ円滑な労使自治による労使紛争の解決を図るという趣旨をも侵害することになりかねない。社会保険労務士の労使紛争への介入は全く不要であり、その弊害の方が大きい」として反対している。
 労組は、労務屋のような者の介入によって労使の話し合いが阻害され、逆に争議の複雑化、長期化を招くことになると危惧を表明している。争議を多く抱える労組の幹部は、「今も悪質な弁護士が経営側について団交拒否などを平気でやってくる。もし社会保険労務士法が改悪されれば、同じような事態がさらに低レベルで展開されることになるのではないか。労務屋が社労士資格をとって介入してくる事態が想定される」と語っている。
 別の幹部は「これまでも社労士がこっそりと争議にかかわってきたケースは少なくない。私がかかわった事件で、社労士が社長に団交拒否・引き延ばしを指導している事実を、偶然つかんだことがある」との体験を紹介したうえで「本来、労使の話し合いで解決できるのに、わざわざ混乱させようとするなどの悪質なケースもある。そういった介入は労使間の話し合いを逆に阻害する恐れが強い」と述べた。
労働争議多発時代に、資本の側はさまざまな手法を持ち込んできている。リストラ合理化に反撃する労組の大団結と市民的な連帯の広がりが求められている。


リストラの世の中に勇気と希望  「人らしく生きよう 国労冬物語」

 現代リストラの原点である国鉄の分割・民営化。時の首相・中曽根康弘は、戦後政治の総決算のためには戦後革新勢力の総評を解体させること、その中核にあった国労を潰すことにあるとして、あらゆる手段を使って攻撃してきた。しかし、労働者の闘いは止むことはなかった。解雇された一〇四七名は国労闘争団などに結集して闘い、広範な労働者・市民の支援が拡大してきた。
 解雇された労働者を一九八六年から十五年にもわたって取材した長編ドキュメンタリー「人らしく生きよう 国労冬物語」(ビデオプレス製作・劇場公開版・一〇〇分)は昨年暮れに東京・BOX東中野で劇場公開(十一月十七〜三〇日)され大きな反響を呼んだ。
 現在、首都圏をはじめ全国上映運動が取り組まれている。この国鉄分割民営化のすさまじい攻撃の中でも自分の良心を裏切らずに生きた人々の物語である映画の映運動よびかけ人には、鎌田慧(ルポライター)、川田悦子(国会議員)、斎藤貴男(ジャーナリスト)、佐高信(評論家)、白井佳夫(映画評論家)、土本典昭(記録映像作家)、 富山洋子(日本消費者連盟)、松下竜一(作家)、依田彦三郎(環境研究家)、塩田庄兵衛(立命館大)、芹沢寿良(高知短大)、笹山久三(作家)、深谷幸孝(東京清掃労組副委員長)などの人びとである。

〔首都圏連続上映六ヶ所〕
※ 料金は、一般一二〇〇円(前売一〇〇〇円) 
   
 三月一六日(土)三多摩上映会/立川市女性総合センターアイム(JR立川駅)/一九時開演/闘争団のトークあり
 三月二三日(土)東京南部上映会/一八時開演//東京・大田区生活センター/トーク 佐久間忠夫・ビデオプレス
 三月二七日(水)東京北部上映会/北とぴあ・つつじホール/一九時開演/韓国音楽グループ「コッタジ」のミニコンサートつき
 四月九日(火)東京中部上映会/文京シビック小ホール/一八時二〇分開演/プー・カングァンのミニコンサートつき、新曲「人らしく生きよう」を発表
 四月一五日(月)東京東部上映会/亀戸文化センター研修室(キャパ一二六)/詳細未定。
 五月一〇日(金)〜一一日(土)神奈川上映会/かながわ県民センターホール/一〇日一九時開演/一一日一八時三〇分開演/闘争団のトークあり。

 「人らしく生きよう」全国上映事務局
 TEL 〇三・三五三〇・八五八八
 FAX 〇三・三五三〇・八五七八
 ホームページ http://member.nifty.ne.jp/videopress/hito.html


報告

自衛隊は日本原から出て行け 日本原現地集会


  雪の中、2・11 前夜から降り続いた雪でどうなるのかと心配されましたが、それなりの人数を結集して集会は無事勝ち取られた。
 集会は議長に部落解放同盟県連の内海書記長を選出し、はじめに主催者を代表して福島日本原共闘会議議長が挨拶。日本原弁護団・大石弁護士、東京日本原と連帯する会の澤村代表の挨拶がつづき、現地農民・内藤秀之さんが報告を行った。恒例の「自衛隊は日本原から出て行け」大声コンテストを行い 、集会アピールを採択して、最後に岩本美作地評議長の閉会挨拶と団結ガンバローでしめられました。
 以下、三人の方の発言を要約して報告します。
 大石氏「9・11の米貿易センタービルへのテロでの犠牲者、家族の人びとに哀悼の意を表します。しかし、それを受けての米国の行動は許されるものではない。とりわけアフガンへの報復爆撃はあってはならないものだ。爆撃によって多くの命が奪われ人びとの生存権が奪われている。日本原訴訟の中で『軍隊は自然破壊の最たるものであり、生存権を犯すものだ』と訴えてきたが、アフガンの現状は、そのことを如実に示している。三〇年間の経済高度成長の中で私たちは多くのものを失ってきた。経済成長を追い求めているうちに、人間としてどう生きるべきなのかという問いが薄れてきている。沖縄・広島・長崎の原点を忘れてはならない。グローバリゼーション、グローバルスタンダードという南北格差をさらに押し広げるアメリカ巨大資本とその思想に対決し得る私たちの生き方を追い求めなければならない。私も岡山に住む弁護士として、どういう生きざまを求めて生きて行くのか、問い続けて生きて行きたい。共に頑張りましょう」
 澤村氏「9・11のニューヨーク貿易センタービルへのテロ攻撃と、それ以降のアメリカの行動は多くの示唆を私たちに与えています。第二次世界大戦後、アメリカが主導した戦争は、大きなものだけでも、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、コソボ紛争などがあげられるが、これらは国家対国家の戦争であった。しかし、今回は違う。テロ攻撃後ブッシュは、直ちにオサマ・ビン・ラディン氏とアルカイダを犯人に仕立て『新たな戦争の始まり』とわめき立て、テロへの『聖戦』を訴えアフガンへの攻撃を行いました。国家対国家ではなく、国家対グループの戦争です。まだ終わってはいませんがアルカイダを支援していたタリバン政権は崩壊しました。しかし、これでテロを撲滅するという目的は達成できたのか。そうではない。イスラエルとパレスチナの状況に目を移すと誰でもが、そうでないことを理解できる。昨年この場で、私は、発足したばかりのブッシュ政権の顔ぶれを紹介し、チェイニー副大統領、パウエル国務長官、ラムズフェルド国防長官、アーミテージ国務副長官など、いずれ劣らぬ戦争屋が主要閣僚になっていることを指摘し、ブッシュ政権が世界を再び戦争に巻き込む懸念を表明しました。悲しいことにこの懸念が当たり、ブッシュはアフガンへ『テロ組織アルカイダとその頭のビンラディン、そしてアルカイダを支持しかくまうタリバン政権だけを打倒する正義の戦争だ』といって世界の多くの国々に同意を取り付け戦争を仕掛けました。結果はアフガニスタンという国を、国土を取り返しのつかないほどに破壊しました。そのことを『対テロ戦争は始まったばかり』と言って、さらにイラク・イラン・北朝鮮を『悪の枢軸』と決めつけるなど、戦争をますます世界へ拡大しようとしています。アメリカに全面的に敵対する国家は減少するにしても、このようなアメリカの横暴に敵対する人民やグループを増やし続けるに違いありません。9・11はそれを如実に示した事件だと言えます。私たちは二一世紀を再び『戦争の世紀』にしてはなりません。その決意をもってアメリカ帝国主義、それに追随する日本の支配階級と断固として闘いぬかねばなりません。私は東京にいてなかなか現地に足が運べませんが、この集会に結集している皆さんに、ぜひお願いしたい。日本原にできるだけグループをつくり、学習し、それを家庭に、職場に、地域に広めてください。そして幅広い人民の陣形を作り上げていこうではありませんか。ともに頑強に闘いぬきましょう」
 内藤氏「日本原闘争2・11集会は、七〇年から今日まで続けられてきた。私は、毎年言っていますが『日本原の計は2・11にある』と思っています。今年も雪の中多くの皆さんに集まってもらってありがたく思っています。昨年も、自衛隊に思うように日本原を使わせないために色々な行動を行いました。しかし、町会議員の中には『金が今より多くおりて来るのなら米軍の演習を』などと言う人もいる。米軍は、夜間の演習は当たり前で平気で実弾をぶっ放す。そんな米軍の日本原演習は絶対阻止しなければならない。日出生台・沖縄・韓国を結んだ反米軍基地闘争を映像にした梅香里という映画が作成されましたが、是非この映画の上映会を多くのところでやりたいし、やって欲しい。現在、予備自衛官は四万人くらいいるそうで、それは自衛隊経験者でしたが、今後は入隊経験のない人を予備自衛官として募集して三年間訓練する。昨年でも四五〇校くらいが体験学習で自衛隊に入っているそうです。日本原でも一般開放などといって、親子連れが来て戦車に乗ったりということがされているなど、怖いものがあります。それで私たちがそれを上回る運動をつくれればと思っています。実射阻止闘争・自主耕作・演習場視察など、いまやっている闘いをもっと広げながら、今年も共に頑張りましょう」
 集会終了後、「平和憲法の会・岡山」の人びとを中心にして六〇名ほどの有志が駐屯地まで三キロほどをデモ行進し、総括集会を開き、2・11集会のすべての行動を終えました。
 連合傘下で組織動員がほとんどかからない中での集会にもかかわらず二五〇名をこえる人びとが結集した。
 現地農民の内藤さんが「日本原の計は2・11にある」と毎年訴えておられますが、われわれ自身もっと多くの労働者の参加をもって応えなければならない、ということを肝に銘じながら報告を終わります。(岡山通信員)


部落史から取り残された諸賤民について H  
       
                 
弾左衛門の不思議(その2) 
 
                             
大阪部落史研究グループ  

 しかし、鎌倉幕府がわざわざ近畿から「河原者の頭領」を呼び寄せたのかが疑問に思うところです。まず一つ目の「皮製品」ですが、わざわざ近畿から呼び寄せないといけない程、鎌倉の「皮製品」の技術が劣っているとも思えない。前著『弾左衛門の謎』(著者・塩見鮮一郎 三一書房)によれば武蔵野国にも革作や鞍作もいた皮細工師ももちろんいた。その技術も高かった。この時代の関東の経済力や技術水準は西国に負けていない。だから、京都から江戸へ都が移っていく下地がこの頃にはできていたのです。しかし、京都の人はそうは思っていなかった、いや認めたくないと言った方が正解かもしれない。鎌倉幕府を担っている人たちですら解っていなかった。
 権力を握る者は、権力・権威に弱い。これは何時の時代も同じようです。鎌倉幕府も京都から人材を求め、源頼朝の側近にはたくさんの京都下りの人たちがいた。蜂起四年後に、京都で太政官の書記官をやっていた大江広元が加った。彼は、「政所(まんどころ)」のトップになり、京都の様式が取り入れられた。そして、賎民支配も京都様式が取り入れられた。権力者は、様式や形式を重んじる。@でも書いたが、過去に何をどの様にやってきたかが重要なのです。生死の真っ直中の戦においてさえ様式が重んじられる。武将同士が、戦において対峙した時「我こそは○○なり」とお互いが名乗りを上げてから戦う。戦場では、馬上の武将を狙うよりも馬を射た方が有利だがそういうことはしない。もちろん、後に破られていくが。処刑にしてもその様式は守られる。有名な「法然上人絵伝」の法然の弟子安楽坊が、処刑になるシーンでも過剰な装飾を施した様式です。これから刀を抜いて首を落とそうとしている二人、これを「放免」と言うのですが、無罪放免という時の「放免」です。『広辞苑』では、「徒刑・流刑を免ぜられ、その代わりに検非違使庁で使役された下司。隠事を知っていて追補に便利だから置かれた」とある。
話は元に戻しますが、この絵には放免・武士・検非違使庁の面々が描かれている。検非違使庁の面々は、派手な装飾を施し権力の所在を強調しているかのようです。そして、川を隔てた対岸には、見物人がいる。この情景は、見せしめというよりも、劇場のパフォーマンスのようだ。放免が落とした首や、首の無い胴体を処理する河原者の存在が不可欠だった。時代は、戦乱平定後の鎌倉、名のある武将の処刑も行わなければならなかった。源氏が検非違使庁に勤めていた時から関係のあった河原者の頭領が、池田の廃村火打村にいた。彼らを鎌倉に呼んだのです。
 つまり、弾左衛門を鎌倉に呼んだ最大の理由は、「御仕置」だったようです。 (つづく)


せんりゅう


  自衛隊だせ金もだせとブッシュ来日
  ブッシュ行く先々大渋滞
  歓迎なくお巡りの列ばかり
  戦争をするなと市民はソッポ向き
  好天で楽ッスと立ちん棒お巡り
  ブッシュいてなぜかバッグをのぞかれる
  地球規模で自由に儲ける国会弁舌
  流鏑馬の的にイラクとかいてあり
  真黒なメールもだすと国防省

  「改革」も偽装表示のおなかまか
  ダイエーも卵子若返り術見つめてる


      ゝ 史

※ 九句目 米国防省、対テロ戦略で真白から真黒までメールを流すと公言。
※ 十句目 牛豚肉の偽装表示で雪印食品は解散へ。小泉「改革」も中味のない偽装表示で高支持率だったみたいで、いずれは解散へ?


複眼単眼

   コミューン伝説 沖縄・大宜味と秩父のひとびとのように


 二月二一日の『沖縄タイムス』を読んでいたら「オヤッ」と思うコラムにぶつ
かった。タイトルは『秩父と喜如嘉コミューン伝説へ向けて』という記事で、大宜味村の森山高史さんという方の文章だ。
 森山さんによると、一九三一年から三二年にかけて、大宜味村喜如嘉を中心に『村政革新運動』があって、それは「恐れながら、天朝様に敵対する」決意で立
ち上がった秩父困民党の蜂起と「自由自治」をめざした自治権力樹立の闘いに匹敵するものだという。私は秩父事件に興味をもってしばらく学んだり、フィールド・ワークをしたりしたことがあるので、興味津々だった。
 少し長くなるが、森山さんの文章を引用する。
 「あまり知られていないが、自由自治を目指した闘争の歴史が沖縄にもある。……初期の段階では、村当局者の専横に対し、不正を糾弾し、減税を求め、辞職勧告を突きつける運動として存在した。しかし、その後の闘争の発展と意識の高まりが、住民を質の高い運動体に変えていった。自由意思と自主性を重んじた組織のもとで、流通と消費を共同体の事業とし、さらに共同生産をも手がけていた。男たちだけでなく、女も子どももシステムのなかで役割を担い、主人公になって躍動していた。軍国主義日本に組み込まれない自治共同体、独立した住民自治管理組織が完
成したーかに見えた。時代は昭和初期。早すぎたとはいわないまでも突出しすぎていた。日本からも世界からも、そして沖縄の中からも目立った支援はなく、孤立無援のコミューンは、その存在を許さない暴力によってつぶされていく。そして記録の中でも単なる住民反対運動として片付けられてきた」と。
 時代は柳条湖事件を契機に日本軍国主義の本格的な中国侵略戦争・十五年戦争が始まる年だ。この厳しい時代に喜如嘉の民衆は立ち上がった。
 これが事実であるなら森山さんが言うように「沖縄を含む近現代史の中で、自治共同体(コミューン)の完成を目指し、理想社会の実現をも念頭においていたと考えられる住民闘争はこの二例」だけかも知れない。
 それ以前も「九十九里叛乱」や「山鹿コミューン」や「隠岐コミューン」など、さまざまに民衆の動きはあったし、古くは戦国時代には「堺の町」の自治、「山城の国」の自治や「加賀の国」の一向宗の自治もあった。明治のはじめには「東京・五日市」の人びとが自ら新しい国づくりのための私擬憲法草案をしたためた。
 これらの歴史から、現代の私たちは何を学ぶべきなのか。情勢の流れに流されず、闘いの努力を惜しまず、ひたすら民衆の解放を願い、闘いつづけた人びとのように、背筋を伸ばして前を見据える時が来ているのではないかとつくづくと思う。 (T)