人民新報 ・ 第1053号<統合146号> (2002年3月15日)
目次
● 3・14集会の成功を基礎に4・3超党派国会行動へ!
● 新潟県関山演習場・日米共同軍事演習に抗議行動
● 政府はアフガン難民の迫害をやめろ 外国代表もまじえて緊急院内集会
● イスラエルは 戦争行為を直ちに止めよ ブッシュに支持されたシャロンの殺戮糾弾
● 反原発運動のさらなる前進に向けて 『ノーニュークスプラザたんぽぽ舎』十三周年のつどい
● 三単産(全港湾・全国一般全国協・全日建運輸連帯)シンポ
資料 ・ 中小企業労働者の失業と雇用に関する政策提言(第一次案)<要旨>
● 権利春闘と春闘再生実行委が春闘討論集会
● 全労協(全国労働組合連絡協議会)が有事法制に反対する闘いを決議
● 二〇〇二年度『日の丸・君が代』強制反対 ホツトラインスケジュール
● 同盟建設 ・ 山川暁夫同志の急逝から二年 細胞で山川論文を学習
● 複眼単眼 ・ 虹と飛行機雲と大本営発表
3・14集会の成功を基礎に4・3超党派国会行動へ!
広範な市民・労働者の大衆行動で有事法制を阻止しよう!
ブッシュは戦争挑発をやめろ 小泉は自衛隊をすぐ撤兵しろ
米戦略にそった有事法制
いま小泉政権によって違憲立法「有事=戦時非常法制」案が国会に提出されようとしている。
これは一九六〇年代の「三矢研究」に代表される従来の米ソ冷戦対応型の「有事法制」準備とはその背景が大きく異なっている。今回の有事法制は、直接的には二〇〇〇年一〇月の米国のR・アーミテージ(現米国務副長官)らによる「提言・米国と日本ーー成熟したパートナーシップへの前進」という戦略報告に示されたアメリカのアジア安保戦略などからくるアメリカ帝国主義の対日要求にそったものだ。
そこでは二十一世紀の最初の四半世紀に予想される東アジアでの戦争の危機に対する日本の「有事法制」や「集団的自衛権の行使」などの体制整備が暗示された。翌二〇〇一年二月の自民党国防部会報告はこのアーミテージの要求を積極的に受け入れ、具体化する決意と方向を確認した。
「九・十一」事件を契機に「報復」を口実にしたアフガニスタン攻撃と反テロ同盟を進めてきたブッシュ米大統領らは、無制限ともいえるほどの大量殺人兵器の投下によってアフガニスタンを破壊しつくしたうえで、日本などによる「復興会議」や「暫定政権」樹立を画策してきた。しかし、アフガニスタンでの米軍の戦闘と、軍閥各勢力間の内戦はいまなおつづき、戦争の目的とされたビンラディンらの逮捕は実現していない。
ブッシュらはその失態を糊塗しようと、さらにフィリピン、ソマリア、イエメン、グルジアなど多くの国々に米軍を派遣し、戦火を拡大しつつある。そして今年年頭の「悪の枢軸」発言に見られるようなイラク、イラン、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)への乱暴な恫喝と、新たな戦争挑発を強めている。
好戦的なブッシュ米大統領と、対米追随一辺倒の小泉首相とのコンビが宣伝する「偉大で揺るがぬ同盟」(参議院でのブッシュの演説)の具体化こそ、この「有事法制」の制定だ。
周辺有事に直接リンク
間もなく政府の有事法制案は明らかにされる。現在、この有事法制がどのような形で法案化されるかについては、私たちが直接に入手できる政府側の基本資料は、一月二二日に内閣官房が発表した「有事法制の整備について」と、二月五日に政府が与党協議会に示した「武力攻撃事態への対処に関する法制整備の全体像のイメージ(案)」しかない。
一月二二日に提示された有事法制の「基本方針」では従来、明らかにされてきた第一分類(防衛庁所管法令)と第二分類(他省庁所管法令)に加えて、「所管が不明確な事項」である第三分類についてその項目(項目のみ!)が具体的に明らかにされた。それによると第三分類は「@有事における住民の保護、避難又は誘導を適切に行う措置、A有事における民間船舶及び民間航空機の航行の安全を確保するための措置、B有事における電波の使用の制限に関する措置、Cジュネーブ諸条約の実施にかかわる国内法制」に分けられている。これらから容易に想定されるのは、住民の「避難・誘導」に関連して基本的人権の侵害の危険性や、「安全確保」の名目での民間船舶・航空機の運航制限、民間の電波使用の統制などだ。自民党国防部会や外務省などは、さらにかつての「隣組」組織に準ずる「民間防衛組織構想」を法案で明確化する必要性を強調している。
この「基本方針」のより重大な問題点は、「有事法制は我が国に対する武力攻撃事態が中心」だとしてはいるが、それにとどまらず新たに「武力攻撃にいたらない段階から適切な措置をとることが必要」と述べて、「有事法制」の適用対象を「防衛出動」発令前にも大幅に拡大した点にある。これが通れば「敵国の部隊移動」「ミサイル準備」「テロの発生」などへの先制的な軍事的対応が可能とされるにちがいないし、「周辺事態」に対する対応も「後方支援」にとどまらない、周辺事態法の枠を全く飛び超えた、周辺と領土・領海・領空が一体化した戦闘参加が「合法化」されるにちがいない。
さらに二月五日の政府・与党協議では「武力攻撃事態対処関連法案」(仮称)として「総則的規定を中心とする緊急事態基本法案と、自衛隊の活動を円滑化するための自衛隊法改正案」など第一分類、第二分類を「一括する包括法案」を想定している。これには、第三分類や、日米安保条約に基づいて共同行動する米軍にも同様の権限を認める新立法も含まれる可能性もある。
この「武力攻撃事態」などという新しい呼称で立法化しようとしている有事法制の「包括法案」には、小泉首相らが従来主張してきた「テロや不審船、拉致問題」など「有事にいたらない事態」への対応は今のところ含まれていないが、これは「別途、法律で定める」と表現する方向といわれ、今回の有事法制の審議と平行して法案準備が進んでいるようだ。これらの動きは政府・与党の一部で従来から語られてきた「国民緊急事態法」という呼称との関連で注意を払っておく必要がある。
また与党や民主党の一部の議員らが準備している「集団的自衛権の行使の合憲化」の確認を軸とする「国家安全保障基本法」制定の動きも進んでいる。「新しい日本をつくる国民会議(二十一世紀臨調)」などは政府が現在準備している自衛隊の防衛出動事態だけでなく、より包括的な「安全保障基本法」の制定を提言している。
重層的で広範な戦線を
いずれにしても、これらの法案が制定されるなら、侵略戦争の反省と否定の上にたった現行憲法のもとで形成されてきた「戦後民主主義」と呼ばれる「価値観」が名実ともに根本から転覆されるという、憲法体制の破壊にいたるのは明らかだ。それは第九条などの非武装平和主義の否定だけでなく、首相の超憲的強権体制確立(法案には「武力攻撃やその可能性がある事態が発生した際の政府の意志決定機関として首相を本部長とする『緊急対策本部』を設置する方針も盛り込」まれるという)などの民主主義の破壊、あるいは戦争動員と違反者処罰などの基本的人権の破壊など国家の全面的な反動再編につながるからだ。
雑誌『正論』四月号で副島隆彦は「有事法制とは……『戒厳令』の事だ。……平常時の法律群が停止されることだ」と右派のこの法制への期待の在処を率直に語っている。当面する有事法制に反対する闘いは、まさに日本社会の進路の選択をかけた、これらの基本的な「価値観」をめぐる熾烈な闘いだ。
いまこそ全力をあげて市民運動、労働運動の自立した闘争の組織化とその拡大、信条や立場を超えた重層的で広範な共同闘争の組織化と展開、アジアやアメリカの民衆運動との国際的な連帯の形成のために奮闘し、悪法・有事=戦時非常法制の成立を阻止しよう。
すでに「平和フォーラム」や「テロにも報復戦争にも反対!市民緊急行動」の呼びかけで、三・一四有事法制に異議あり、全国集会が取り組まれている。
また政府が法案を閣議決定する日には、当日十二時十五分から、市民緊急行動と、キリスト者平和ネット、日本山妙法寺の三者の呼びかけで、有事法制を暴露し、新たな闘いを作り出すための「緊急議面集会」が計画されている。
さらに四月三日には国会で、前記の市民・宗教者など三者に加え、全国港湾、航空連絡会、海員組合、全労協、全労連などのナショナルセンターの枠を大きく超えた労働組合や、市民団体もふくめた広範な統一行動が準備されている。この過程で、数万人規模の大集会の必要性も構想されつつある。
また市民運動側からはアメリカ・ワシントンでの四月二〇日に行われる大規模な反戦集会に呼応した一万人規模の全国集会の準備もはじまった。
全労協などに結集する先進的な労働組合は春闘と結合し、有事法制反対の国会座り込みなども計画している。
そして院内では有事法制を考える市民と超党派議員の集いが積み重ねられ、鳩山らの民主党のなかにも亀裂が起きている。
これらの多様で重層的な闘いを、政治腐敗と、経済・財政政策の破綻の責任を労働者・市民に転嫁する小泉政権への民衆の怒りと結合し、有事法制阻止、小泉政権打倒を目指して闘う時がきた。
新潟県関山演習場
日米共同軍事演習に抗議行動
二月二十八日、新潟県と長野県に位置する自衛隊の関山演習場における日米共同演習に抗議する集会が、現地で開かれた。主催は日米共同訓練反対共闘会議で、社民党系と日本共産党系の団体による共同開催となった。
この日は、平日でもあり準備の関係から、かつ短時間で、数十人の集会となった。一メートル以上の雪もあり小雨の降るあいにくの天候だったが、長野からもピースサイクルのメンバーが駆けつけて連帯のあいさつをするなど、熱気のこもった抗議集会となった。
関山演習場で共同訓練が行われるのは、一九八九年以来今回で六回目となる。二月二十八日から三月二十三日まで行われる予定である。沖縄の第三海兵師団(米軍の中では最も戦闘的といわれる)一個中隊と群馬の陸上自衛隊第十二旅団(ヘリコプター中心の空中機動旅団)の共同演習となっている。
今回は、公道の使用はもちろん、県境の山越えで長野市のグランドをヘリポートとして使用する訓練が含まれている。九七年以降の雪中訓練は実践を想定したものとして行われているという。さらに、今回空挺団が加わっての雪中・山岳地帯での訓練とヘリコプターによる山越えの移動、運搬が内容に含まれている。これは明らかに、アフガニスタンでの実践を意識した訓練であり、自衛隊にしてみれば最近「空中旅団」になったばかりの群馬の陸上自衛隊にとっても、実践参加型となり、後方支援としながらも、実戦に踏み込んでいく軍隊になる狙いが含まれている。
長野市の河川敷グランドは「悪天候で演習場内のヘリポートが使えない場合に使用して、病人やけが人を搬送するため」として、長野市に使用許可申請し、長野市もこれを許可している。しかし、「患者」の搬送は明らかに口実で、期間の最初にヘリコプターの発着訓練を行うことがあきらかとなっている。「演習場での患者を運んでいる」のか「演習場に兵員を運んだのか」、誰が区別できるというのだろうか。この事に関しては、長野県護憲連合を中心とした市民団体などが、訓練開始前から「許可の取り消し」を求め、抗議行動を展開してきた。しかし、長野市長は「患者の搬送だから問題はない」という姿勢をとっている。これはまさに「周辺事態法」や「有事立法」などへの地方自治体の関わり方に対する重大な問題を含んでいる。
同時多発テロとその後の日米の軍事的対応はテロ対策なら何でもありの様相を呈しているが、この集会のアピールでも指摘されたとおり、米軍と自衛隊の実戦行動を現実化する「有事立法」の国会上程と期を同じくしている。
アフガニスタンでの報復戦争参加者が今回の共同訓練に入っていたり、あるいは出かけていく可能性も否定できないなど、見過ごすことの出来ない問題をたくさん含んでいる。
現地の日米共同訓練反対共闘会議は、三月三日にはさらに大規模な集会を呼びかけており、長野県側からも多勢駆けつけることになっている。
また、長野ピースサイクルや長野県護憲連合などは、引き続き日米共同訓練に反対し、長野市のヘリ基地としての使用に抗議する行動を展開していくことにしている。(長野通信員)
政府はアフガン難民の迫害をやめろ 外国代表もまじえて緊急院内集会
「在日アフガニスタン難民は、いま」と題する緊急院内集会が三月十一日午後四時から、参議院議員会館で開かれた。
集会を主催したのは「難民・移住労働者問題キリスト教連絡会」で、キリスト教諸団体や在日の団体、移住労働者問題にとりくむ市民団体などが賛同し、約六〇人ほどの人びとが出席した。
この日は世界教会協議会(WCC)、アジアキリスト教協議会(CCA)の代表が来日し、日本のアフガニスタン難民申請者の置かれている状況と、日本の難民認定制度の調査をしたことでの報告集会となった。
集会では日本キリスト教協議会総幹事の大津健一さんと、WCCのクレメント・ジョン国際問題担当幹事、アン・ジェウンCCA総幹事などが調査の報告をした。
報告では、日本政府はアフガニスタン復興支援にたいして五億ドルの援助を約束するなど「人道援助」を強調するが、日本への庇護申請者、難民などに対しては国際的にも稀なほどのきわめて非人道的な扱いをしていることが指摘された。
政府は庇護申請者を長期に一般犯罪者と一緒に拘留し、難民認定を拒否して、現状では危険が解消されていないアフガニスタンへ強制送還しようとしていることなどの問題が指摘された。またアメリカの対タリバン政策に呼応して、恣意的に不当に拘留されたアフガニスタンからの庇護希望者のなかには、タリバン政権に迫害された経験からくるトラウマを克服できないまま収容所に入れられている人もいる。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は日本政府に厳しい勧告を出しているが、法務省は事実上、これを無視している。勧告は日本の入管当局が拘禁しているアフガニスタン難民認定申請者の状況が、自殺未遂者がでるほどに悪化していることを指摘し、日本政府は「庇護希望者と難民の拘禁は通常回避されるべきである」というUNHCRの原則を無視していることを批判した。またUNHCRがアフガニスタン国内の「複雑な状況」を考慮し、本国送還や非自発的な帰還を行わないように勧告していることも無視していると批判した。
この集会に出席した弁護士や、国会議員からも入管法制の改正も含めて、真剣に取り組む必要性が強調された。
イスラエルは 戦争行為を直ちに止めよ ブッシュに支持されたシャロンの殺戮糾弾
イスラエル・シャロン右派政権は、アメリカの反テロ・報復戦争に乗じてパレスチナへ侵攻し多くの犠牲者が生み出されている。戦車を投入しての制圧、戦闘機・爆撃による攻撃などで多くのパレスチナの人びとが殺されている。最近の動きとしては、三月十日早朝、イスラエル軍の武装ヘリコプターがガザ市の自治政府アラファト議長府にミサイル約三〇発を撃ち込み、建物を完全に破壊した。また十一日には、イスラエル軍の攻撃型ヘリに守られながら戦車や装甲車五〇台前後が未明にパレスチナ自治区のカルキリヤに侵攻した。イスラエル軍は侵攻直前にカルキリヤへの送電をストップさせたという。状況はきわめて深刻なものとなっている。
今回の事態は、二〇〇〇年の九月二十八日、当時右派野党リクード党首のアリエル・シャロンがエルサレム旧市街にあるイスラムの聖地アル・アクサー・モスクを訪問したことが直接の原因である。この行動にパレスチナ民衆の怒りは爆発し、インティファーダ(蜂起)の闘いが始まった。二〇〇一年二月にはシャロンが首相になり、以前のパレスチナ和平合意(オスロ合意)体制は崩壊した。
ブッシュの戦争拡大政策に連動したシャロンが、パレスチナに軍事侵攻を繰り返して、パレスチナ自治区にイスラエル軍を駐留させる暴挙にでたことは、パレスチナ・イスラエルの軍事衝突をさらに激化させることになった。国連のアナン事務総長もイスラエルを非難し、軍の即時撤退を要求したが、イスラエルはパレスチナの要人暗殺作戦を強行し、十一月十三日には、パレスチナの「イスラム原理主義」組織「ハマス」の軍事部門の責任者ら三名をミサイル攻撃で爆殺した。「ハマス」はただちに報復を開始した。そして年末からのいわゆる「自爆テロ」の続発から事実上の戦争状態に突入したのである。シャロンは、十二月三日のテレビ演説で「対テロ戦争」を宣言し、アメリカもイスラエルを支持していると述べた。イスラエルは、アラファト議長を「イスラエル版ビン・ラーディン」として位置づけ攻撃を激化させているが、アメリカは沈黙をまもることでシャロンに支持を与えてきた。
現地からの報道は、「自爆テロ」は宗教色が薄れ、「イスラム過激派」から「世俗武装組織」によるものが増えていると伝えている。このことはイスラエルに対する怒りが大きく広がっていることを示すものだ。
十日にはアラブ連盟(二十二カ国・機関)外相会議が開かれ、パレスチナ情勢収拾に向け、@イスラエルのパレスチナ攻撃を非難するAイスラエルによる暴力停止に向け国際社会の介入を求めるBイスラエル軍による対パレスチナ攻撃停止のため国際監視団の派遣を求めることなどで合意した。この内容は、サウジアラビアのアブドラ皇太子が提案している「イスラエル軍の全占領地からの撤退と引き換えにアラブ諸国がイスラエルとの国交を樹立する」ということが基礎となっているが、パレスチナ難民の帰還権をどう扱うかなど重要な問題については先送りされている。しかも、ムーサ連盟事務局長会議が終了後の記者会見で「サウジの提案がイスラエルにとって最後の和平のチャンスになる」と述べたようにイスラエルが拒否すれば、アラブとの和平は絶望的になるという。
ブッシュの「報復戦争」はパレスチナの地でも流血の事態を現出させた。アメリカは核戦争をも公言するようになっている。アメリカ・ブッシュ政権とその仲間たちによる戦争策動を許してはならない。イスラエルは直ちにパレスチナ侵攻作戦を中止せよ。(H)
反原発運動のさらなる前進に向けて
『ノーニュークスプラザたんぽぽ舎』十三周年のつどい
反原発の課題を中心に多彩な活動をしてきた『ノーニュークスプラザたんぽぽ舎』は、三月九日午後都内で、十三周年のつどいを開いた。
第一部は総会で活動報告や、会計報告、人事などが討議された。
冒頭に代表の鈴木千津子さんは「九月十一日の事件は平和な社会で命と環境を守ることの難しさを痛感させた。また十一月七日には浜岡原発一号機の配管破断事故も起こり、『浜岡原発止めよう関東ネットワーク』を発足させようとしている。たんぽぽ舎さまざまな活動を通じて、元気に進んできた」と挨拶した。
第二部の記念講演はたんぽぽ舎の山崎久隆さんの「右傾化する世界と原子力政策」、および都議会議員の福士敬子さんの「石原都知事と都予算の問題」と題する報告。
福士さんは要旨、以下のように話した。
石原都知事は『三国人』発言や障碍者の人権無視差別発言、そして女性に対する「生殖能力を失っても生きているババア」発言など、放言・暴言を続けている。これにたいして一般の女性たちの抗議はまだ少ない。記者もあまり報道しなくなった。議会も与党は翼賛的になり、チェック機能をはたし得ていない。
議会でも一人会派の議員の控え室を上部が開いた仕切りパネルだけのプライバシーの守れない部屋にしたり、質問時間を十三分で年一回に制限するなどの「一人会派」いじめも行われている。こうした議会運営では議会本来の仕事である、質問し、議論し、税金を有効に都民に還元する仕事はできにくい。
東京都は一般会計の歳出で約六兆円という巨大な規模だ。しかし、国の予算はマスコミなどである程度見えるが、都の予算はほとんど見えない。その中で知事が重要施策の指定など強権的な政策をすすめている。銀行課税や宿泊税の問題も拙速な対応であり、知事のひとりよがりで場当たりの施策だ。知事は近隣の自治体と一緒に「七都県市」の共同の防災訓練とか、「アジア大都市ネットワーク」などに熱中するが、ズルズルと重ねてきた借金は起債の利子も含めて拡大し、福祉費など必要な事業を圧迫している。
第三部では懇親・交流会が行われた。
三単産(全港湾・全国一般全国協・全日建運輸連帯)シンポ
これでいいのか雇用対策―中小企業労働者の観点から
連合、全労連からもパネリスト
三月五日、東京・中央大学駿河台記念館で「これでいいのか雇用対策―中小企業労働者の観点から」がひらかれた。このシンポジウムは、全日本港湾労働組合・全国一般労働組合全国協議会・全日本建設運輸連帯労働組合の三単産を軸にした実行委員会が主催したもので、連合・全労連もパネリストとして参加し、中小労働者の雇用問題について発言するという画期的なものとなった。
現在、大企業の倒産や事業再編、海外への生産拠点の移転などが続き、大企業のすそ野をなす中小下請け企業が連鎖的に深刻な規模で倒産・事業縮小している。これは地域経済を空洞化させかねない勢いで進んでいる。中小企業倒産の場合、未払い賃金や退職金を最低限確保することさえおぼつかない。これには倒産法上の問題がある。その上、雇用保険会計がひっ迫し今年度中に積立金が底をつく可能性があり、失業給付の制限、とくに六〇歳定年労働者への給付取りやめも検討中といわれる。こうした状況で、「国の雇用対策や倒産法制の現状に対して、中小企業労働者や非正規雇用労働者の観点からメスを入れ、同時に必要な政策や運動のあり方を明らかにする」ことがシンポ開催の趣旨であった。
はじめに、主催者を代表して全日建運輸連帯労組の長谷川武久委員長が、シンポの意義について述べ、昨年以来の三単産による春闘や政府への申し入れなどを行ってきたが、今後は犠牲をしわ寄せされ、置き去りにされている中小企業労働者の雇用問題への取り組みをいっそう強めて行きたいとあいさつした。
全港湾の伊藤彰信書記長が、三単産による「中小企業労働者の失業と雇用に関する政策提言(第一次案)」(要旨・別掲)について説明した。
三単産の政策提言の提起を受けて、パネルディスァッションがはじまった。
パネリストは、龍井葉二(連合・総合労働局長)、尾張部伸勝(全労連・労働政策局長)、中岡基明(全国一般全国協・中央執行委員長)の三人。中岡委員長は全労協副議長を兼任しているので、連合・全労連、全労協が顔を揃えた。
龍井・連合総合労働局長
日本の企業とくに中小企業は、地域に基礎をおいた産業であり、ネットワーク型産業である。ネットワークとは、空間的につながっていることでもあるが、時間的にも継続し、長期的視野にたった投資を行い、人材育成もしてきた。それがモノづくりの基盤となっている。現在の企業は、生産よりも投機、短期的利益、即戦力を強調して、雇用を減らして自らの存立基盤を崩してきている。雇用創出がいわれているが、その基礎は中小である。そしてそれは地域づくりをやっていくことでなければならない。環境・介護・保育などで、官でもない民でもない公という第三の軸が確立される必要がある。
尾張部・全労連労働政策局長
今のリストラは、目先の利益優先のなんでもありという形行われている。中小企業でも熟練工がいなくなっているが、これは将来、日本経済に大きな問題を残すことになるだろう。全労連としては、現在の経済状況は、自民党政府の政策の失敗にあると考えて、最も重要なこととして実体経済・個人消費をあたためる政策を求めて闘っている。
中岡・全国一般全国協委員長
三単産は、「提言」を厳しい状況にある中小労働者の雇用対策を実現させるためのものとして提起した。その雇用対策は、かつての失業対策事業のように単に仕事を保障させるということだけではなく、地域産業の復興、国の将来展望をも含むものでなければならないと考えている。
シンポジウムでは、三単産の「提言」について、連合や全労連からも「大筋で一致している」との意見が出され、ともにさまざまな形で雇用問題での闘いを強めていく意見が表明された。
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資料
中小企業労働者の失業と雇用に関する政策提言(第一次案)<要旨>
全日本港湾労働組合/全国一般労働組合全国協議会/全日本建設運輸連帯労働組合
はじめに
……この政策提言(第1次案)は、ひとことでいうと、政府の雇用対策には、中小企業労働者の失業・雇用問題に関する視点と分析、そして的確な政策がすっぽり抜け落ちているのではないか、この点について中小労働組合が声をあげ、力をあわせていく必要があるのではないか、という問題意識をもとに、事務局レベルで原案を作成したものです。……
一.中小企業労働者の雇用対策の必要性(略)
二.提言と具体的要求
第1、中小企業労働者の雇用に対する大企業の責任
(提言その1) 大企業の倒産や事業再編にともなう中小企業と労働者の権利保護 大企業の倒産や事業再編にともなって、専属性や依存性の高い下請中小企業で連鎖的な倒産と失業がおこるのを防ぐために、また、万が一そうした事態が生じた場合、大企業が中小企業の経営維持と労働者の権利保全のために一定の責任を負うしくみを新たにつくること。
(提言その2) 事業再編にともなう自治体への協力について。地域経済の空洞化に対処するために、大企業が海外に生産拠点を移して国内工場を閉鎖する場合、自治体に対して、新たな雇用創出を目的にした一定の拠出金を支払うこと、また工場従業員の再就職対策に協力することを義務づけること。
第2、大企業のダンピング、過当競争政策を規制し、中小企業の経営と労働者の雇用を守る
(提言その3) 建設業やトラック運送事業、さらには自治体の下請委託業務(ビルメン事業)では、規制緩和政策にもとづいて一般競争入札方式の採用が増えているが、これら労働集約型産業においては、過剰な価格ダンピング競争が、中小企業の経営や労働者の雇用条件を侵害しないようにするための最低規制が必要である。 第3、中小企業労働者の労働債権の保護
(提言その4) 大企業の再編を促進するための法整備ばかりが専攻しているが、倒産時の労働債権保護は、いまだに明治・大正年代の法制でしか行われていない。この現状を変えるため、労働債権保護法制の整備を前倒しで実施すること。
(提言その5) 労働債権保護法制に実効性を確保するために、民事再生法・会社更生法の見直しや売掛金担保融資制度の運用に際して、規制ルールを設けること。
第4、雇用保険法改正による中小企業労働者の失業者の保護
(提言その6) 大量リストラ企業からの雇用保険料の上積み徴収 大企業の大量リストラによって雇用保険会計の悪化の度合いが早まっている現状に照らして、一定規模のリストラを行う企業からは雇用保険料を上積み徴収する制度を新たに設けるなどして、雇用保険会計を安定させること。
(提言その7) グループ会社間での移動助成金利用の禁止。大企業では企業グループ内部での転籍合理化が広がっているが、このグループ内部の人事異動にすぎない再就職のために労働力移動助成金を利用することは禁止すべきである。
(提言その8) より困難な失業者への手厚い保護の実現。中小企業労働者であって、倒産・人員整理等による非自発的離職者にたいしては、一般の失業給付に加えて、「特別加算金」を支給する制度を新たに設けること。また、パート労働者をはじめ非正規雇用労働者も、働いた時間に応じて保険給付が受けられるように制度を改正すること。
(提言その9) 国庫の大胆な投入による雇用保険制度の再確立。
(提言その10) 職業訓練制度の見直しや年令差別禁止立法など中小労働者向けの再就職支援制度の新設。
第5、労働組合による雇用創出事業の育成と援助
(提言その11) 地方自治体は雇用創出に積極的に取り組み、労働組合をはじめNPO、企業組合、労働者生産協同組合など労働者がおこなう事業体の活用をはかること。
(提言その12) 労働者がおこなう事業体の育成を図り、税制の優遇措置をおこなうこと。
以 上
二〇〇二年三月五日
権利春闘と春闘再生実行委が春闘討論集会
二月二十八日、交通ビル(国労会館)会議室で、「2・28春闘討論集会」が、権利春闘全国連絡協議会(主催)と春闘再生「行政改革・規制緩和・労働法制改悪」反対全国実行委員会(後援)の共催で開かれた。
はじめに代表世話人の深谷幸孝さん(けんり春闘・東京清掃労組)が、今春闘は高い失業率、そして有事立法・平和憲法の改悪の動きという情勢のなかにあるが、国鉄闘争の一〇四七名の仲間の解雇撤回、労働者保護法制の実現、反戦平和運動の前進などの諸課題をめざして闘おうとあいさつ。
つづいて春闘再生全国実の二瓶久勝事務局長が労働者が闘わなければ首切り・賃下げをされ生きて行けない、いまこそ総評労働運動の成果である春闘の伝統をしっかりと継承してともに闘いぬこうと発言した。
メインの講演は、評論家の佐高信さんが「有事法制と国会情勢」と題して行った。
小泉純一郎の「純」は、単純の「純」だ。その単純さでアメリカ・ブッシュの戦争に協力した。アメリカのマスコミは、その小泉を将軍ではなくサージェント(軍曹)と呼んで、追随ぶりを表現している。そのブッシュだが、親子二代のオイル・プレジデント(石油利権にまみれた大統領)だ。そして、世界のパイプライン・製油所、原子力プラントなどを建設するベクテルという巨大企業があるが、ブッシュはベクテル・プレジデントでもある。そのうえに巨大電力会社のエンロンとも深く関わっていることは日本のマスコミでも報じている。そうした大企業の利益のために戦争が行われ、小泉はそれにのっかっているのだ。
小泉政権ができて一番喜んだのは誰か。それは中曽根康弘元首相であり、小泉は「自分と同じDNAをもっている」とまで言っている。かつて田中角栄首相の日中国交回復に強硬に反対したグループに青嵐会があった。石原慎太郎、中川一郎、浜田幸一などがおり、下っ端に森喜朗、山崎拓などもいた。そのバックには福田赴夫がいた。その福田の秘書が小泉だった。小泉はオペラを聴くとか新しいポーズをとっているが、昭和天皇の歌をよく引用するなどきわめて古い感覚の持ち主であり、大好きなのは実は忠臣蔵であり、特攻隊に涙するという感覚の持ち主なのだ。中曽根―石原―小泉という危険なラインができている。田中角栄はダーティーだったがハト派だった。小泉はクリーンを売りものにしているがタカだ。ダーティーなタカが一番悪いが、次に悪いのはクリーンなタカだ。クリーンなハトがいいに決まっているが、今の時期には、たとえダーティーであってもそのハトとも一緒にやって、危険なタカの流れを押しとどめる必要があるのではないか。
労働組合の問題については、雪印の経験が参考になる。そこでは、赤いグループを潰すということで、労働組合が骨抜きにされてしまった。その結果、不正・腐敗が横行してもチェックする機能が失われてしまったのだ。このことは労組が駄目になると会社も駄目になるということを立証している。政治の面でもその他でも労組の果たす役割は大きい。
全労協(全国労働組合連絡協議会)が有事法制に反対する闘いを決議
本紙前々号と前号は海員と全国港湾の共同声明、および陸・海・空・港湾関係労組二〇団体の声明を掲載したが、こうした有事法制に反対する動きは労働戦線でも急速に広がっている。今号は全労協の宣言を掲載する。(編集部)
「憲法違反の戦時法制」である「有事法制」に反対する宣言
小泉内閣は、この三月末にも「有事法制」法案を国会に提出し、今国会での強行成立を図ろうとしている。
有事法制に対する政府の基本認識は、@「我が国に対する武力攻撃に対処する体制」を普段から整えておくことは国の責務であるA「日米安保体制の信頼性を一層強化」し、我が国の安全をより確かなものにするためなどとしている。
そして、政府の法案提出の基本は、有事対応の理念や枠組みを示す「基本法」的規定と「包括法」として扱うとしている。そして、「自衛隊及び米軍の行動の円滑化に関する事項」として、「自衛隊法の改正」(第一分類)、「自衛隊法による関係法の改正」(第二分類)を今国会に提出、「米軍支援のための法制及び関係法の改正」も今国会提出を目指し、「国民の安全確保、生活の維持等に関する事項」と「国際人道法の順守に関する事項」(第三分類)等は次期国会以降ということが政府・与党の合意として報道されている。
この「有事法制」というのは「戦時法制」ということである。つまり、日本が「武力攻撃」をされた場合を一方的に想定して、自衛隊と米軍が「憲法や国内法」の規定に束縛されずに自由に行動(戦闘行為)ができるようにするために国内法を整備するものである。だから、労働者国民の土地や財産、人権をはじめとする「基本的人権」や「言論・出版・集会の自由」の諸権利等をどう合法的に規制・制限するのか、更に、労働者国民を戦争にどう強制的(罰則付き)に協力させるのかを法律で決めることなのです。
特に、航空・陸運・海運・港湾・建設・土木・医療・通信・電力・エネルギー・鉄道・交通・水道・自治体等に働く労働者は、業務の性格上から「自衛隊・米軍」の軍事行動に直接協力させられることが想定されます。それは・戦争遂行・協力のための「国民総動員態勢」をつくることであり、非協力者は処罰され、「非国民」扱いされ、人権弾圧をされた苦い歴史を日本国民として経験してきていております。日本国憲法は「戦争放棄」の憲法であるから戦争を想定した条項・規定がないことも含めて、「基本的人権」や「言論・出版・集会の自由」等を規制・制限する「有事法制」法案は「憲法違反」の法案であることは明らかです。
小泉総理は、去る二月の日米首脳会談では、ブッシュ米大統領の「悪の枢軸」論と「テロ撲滅」の新たな「報復戦争」拡大への協力を約束しました。この間・小泉総理は、昨年九月の「米国同時多発テロ事件」に対する米国の「報復戦争」と称するアフガン攻撃を無条件で全面的に支持し、「テロ対策特別措置法」を強行成立させ、自衛隊をインド洋、アラビヤ海への派兵を強行し、戦争協力・参加をしてきています。
そして今、「日米軍事同盟」の一層の強化と戦争を戦える国家体制を創るために「有事法制」の整備を強行しようとしているのです。
今まさに、日本は二十一世紀の岐路に立たされています。それは、日米軍事同盟の強化と戦争協力・参加の軍国主義の道か、それとも平和憲法を守り、平和外交に徹し、アジア諸国をはじめとする世界各国との友好親善の平和国家の道かであります。
全労協は、小泉内閣の超政治反動化と対決し、「憲法違反の戦時法制」である
「有事法制」、労働者国民の「基本的人権」や「言論・出版・集会の自由」等の民主主義を侵害する「有事法制」、労働者国民を強制的に戦争に動員・協力させる「有事法制」を阻止するために全力で闘い抜きます。 また、「有事法制」阻止のために市民団体をはじめとする幅広い共同戦線の形成のために最大限の努力をするものです。
以上、宣言する。
二〇〇二年三月四日
全国労働組合連絡協議会
二〇〇二年度『日の丸・君が代』強制反対 ホツトラインスケジュール
一九九九年八月九日に強行採択された「国旗・国歌」法の条文には強制条項(尊重規定・罰則規定)はない。にもかかわらず、学校や地域では教員、父母、市民にたいする強要が続出し、一般化している。これを許さない立場から、今年も東京(共同代表は山住正巳、大津健一、庭山英雄)をはじめ全国各地で「『日の丸・君が代』強制反対ホットライン」が開設され、弁護士、法学者、市民運動家などが電話などでの相談に対応する活動をしている。
連絡先と時間は以下の通り
東京
日時・三月十一日(月)〜三月二二日(金)、四月四日(木)〜十一日(木)(土日、休日をのぞく)・時間・十七時〜二〇時
TEL・FAX03―5272―3292
yasuten-c@uccj.org
国立(人権SOSホットライン)
二月四日(月)
TEL042―573―4027
kunitachi-net@ml-b3.infoseek.co.jp
愛知
日時・三月七日(木)、十九日(火)時間・十一時〜十九時
TEL・FAX052―783―7217
大阪
日時・四月一日(月)、二日(火)、三日(水)、四日(木)
時間・十八時〜二〇時
TEL06―6365―8881 FAX06―4793―0234
広島=日時・三月一日(金)、十一日(月)、二〇日(水)、四月八日(月)時間・十二時〜十八時
TEL・FAX082―297―7145 hotline@mac.potato.ne.jp
北九州
日時・二月二五日(月)〜四月五日(金)
TEL・FAX 093―533―9480 留守電対応
同盟建設
山川暁夫同志の急逝から二年 細胞で山川論文を学習
山川暁夫同志の急逝から二年がたちました。
私たちはかつて山川同志と同じ細胞で活動を共にしたことがあります。
毎回鋭い情勢分析を熱っぽく展開する一方、それぞれに職場・家庭の困難を抱えているメンバーの報告に顔を曇らせ、親身になって心配し、助言してくれたこと、最新の社会事象について問いかけ、勉強不足の私たちが答につまると悪戯っぽい笑みを浮かべて懇切に解説してくれたこと……訃報に接した際の無念の思いと共に今でも鮮明に思い出します。
まさに、天下大乱と言うべき眼前の状況を、山川さんならどう分析しただろう、どこに私たちの力を集中すべきと考えるだろう、どうしてもそこに思いがいきます。しかし、今となっては、私たち自身の共同の力で山川さんの欠を埋めなくてはなりません。
山川さんの論文集「国権と民権」はそのための大きな財産です。
私たちの細胞では、会議の数回に一度を学習にあてています。つい最近の学習会では「国権と民権」から、巻末の二つの諭文「新ガイドライン安保と東アジア」「ガイドライン・憲法・生存権」をテキストに選びました。憲法改悪の策動が着々と進み、有事立法が日程に上っているこの時期、情勢をしっかリつかむことが必要と考えたからです。
「新ガイドライン安保と東アジア」は、九八年四月〜五月に「人民新報」に連載されたものです。
当時は橋本内閣の時代。その後小渕、森、小泉と目まぐるしく変わリました。如何に日本のマスコミが当座の「政局」の枝葉末節を追うのに汲々として、大きな流れに目をふさいでいるかが分かったとメンバーの一人は感想を言いました。山川さん自身、「日米防衛協力指針」(新ガイドライン)推進の動きが、経済不況に目を奪われている「マスコミの報道の仕方にも影響されて、かえって政治の後景におしやられている」と切歯扼腕しています。
アメリカの戦略の丹念な分析から、それが、@「ならず者」国家を抑えこむことによって「資本主義世界の安定と世界秩序の維持を図ることを至上の課題とする」、A武器輪出を通じて諸国家を支配し、「旧社会主義体制国家の資本主義への完全な転換・包摂・統合とそれへの『関与』政策を決定的なものにしていく」、B「競争的立場にたつ資本主義大国を米帝国主義の金融と情報支配の覇権の傘の下におく」、Cそのために競争相手である「日本をどう抑えこみ、かつ利用するか」を意図するものであるとする。
従って、「日米防衛協力指針」(新ガイドライン)は、軍事的性格にとどまらず、「社会的・経済的・政治的文脈を兼ね備えたもの」としての日米同盟再構築の第一歩と位置付けられている。それは「わが国の米帝国主義による『再占領』ともいえるもの」である。 9・
をきっかけとする日本の参戦国化、先日のブツシュ来日のてん末は、まさにこの戦略に日本が深く取リ込まれつつあることを示しているでしよう。
「有事法制」について、「かつてナチスがワイマール憲法体制をスクラツプ化した手法、政府への『全権委任システム』方式」につながることに「警鐘を乱打すべき」と指摘している点は重要だと思いました。
山川さん特有の高いアンテナが察知した豊冨な情報の級密な分析に裏付けられて、太い流れがくっきりと彫りだされている、これがメンバー共通の感想でした。
「ガイドライン・憲法・生存権」は九九年五月『QUEST』創刊号に寄稿されたものです。
「反革命」というべき新ガイドライン体制に対する「闘いのキー・コンセプト」として、また「社会主義」再生の途とも深く結びつくものとして、憲法の「平和的生存権」の概念の重要性を強調してます。
「加害と被害は、民衆の内部では絶対的な対立の関係にあるのではない。時に被害の立場におかれた者が、別の局面・局所では加害の立場に追い込まれる。戦争の悲劇は人、労働市民が自己決定権を奪われ、不条理な選択(最後は死)に追い込まれていく所にある」、「まさしく人民の『生存権』が保障され、他の存在の自立と白律とを尊重し、抑圧し合うことのない関係に担保された国と国、民族と民族の関係を創り出すことこそが重要」という指摘に、メンバー皆、大きくうなづきました。
私たちは、今後も学習のスケジュールに山川さんの論文を折り込んでいきます。(S)
複眼単眼
虹と飛行機雲と大本営発表
山歩きの途中に滝を覗き込むと、はるか下の方に見えたキラキラと輝く小さな虹。
生まれ、育った東北の山村で、子どもの頃、雨上り、先生が読んでくれた童話を思い出しながら、本当に虹の根ッ子はどこにあるのだろうと、そこまで走っていきたい思いを押さえながら眺めた大きな虹。サトイモの葉の上で風に揺れてコロコロする水玉にも、川辺の水草の水滴にも虹はあった。虹はいつも美しかった。
感傷ではなく、怒りが久しぶりに虹の美しさを思い出させた。
アラビア海で米軍などの艦船に補給活動をしている自衛隊が自ら名付けた作戦名が「アラビアン・レインボー(アラビアの虹)」だという。『国際社会』『多国籍艦隊』との懸け橋の意だ。「戦闘地域と一線を画した地域」とはいうものの、場所はアラビア海の北部。場所や行動範囲は、「テロからの防衛上」明らかにされないが、燃料の補給のため近隣の諸国にも寄港する。燃料補給の際、補給艦の後方には護衛艦が付き添い、上空ではテロに備えてヘリが警戒・監視活動をする。まさに戦場だ。これらの地域では「米英のほかドイツ、イタリア、フランスなど北大西洋(NATO)諸国やオーストラリアの海軍艦艇が活動を展開しており、海上自衛隊も<多国籍艦隊>の一部を構成している」(三月二日、産経新聞)という。
三月はじめ、マスコミ各紙はいっせいにアラビア海での自衛隊の活動の記事や写真を報道した。自衛隊が自らの活動を誇示するために報道記者の同乗を特別に許可し、取材に応じた。こうした取材を許可された「従軍記者」の報道が、現地の実態をどれだけ正確に報道するのか、かつての大本営発表の恐れはないか、その疑問もないままに流される各紙の報道ぶりが恐ろしい。それでいて、例えば北朝鮮での取材報道はこうした「官許」の取材であり、真実を伝えていないと産経紙などは批判するのだから。
おりしも米国政府は日本政府に対して「テロ対策特措法」にそった基本計画で定められた自衛隊のアラビア海派遣要領が三月いっぱいを活動期限とし「状況により五月十九日まで延長」と定めている件につき、さらに延長するよう「非公式に打診」してきたと、ワシントンからの共同電が報道した。防衛庁は「半年程度の延長」の方向で調整に入ったという。
これは「国連安保理事会が対イラク制裁を見なおす時期」と重なる。まさに米国は戦争のイラクへの拡大の可能性を折り込んでいるのではないか。巷間、米軍のイラク攻撃は六月という説が流れているのも、あながち根拠がない噂とは言えないのだ。
米軍のアフガン空爆を報じるテレビで印象に残ったのは爆撃に出かける米軍機の作る飛行機雲だった。虹ならぬ白い雲がぐんぐんと天空に伸びていった。
イラクの空にこの飛行機雲が再び立ち現われるのか。その下には幼い子どもたちもいる。(T)