人民新報 ・ 第1055号<統合148> (2002年4月5日)
  
                                目次

 有事(戦時)法制・改憲阻止の大衆的行動を

       世界の人びとと共に戦争を止めよう
       アメリカの市民・学生らの4・20反戦集会
       有事法制に反対するアジア民衆の共同声明の動き

● いまアフガンは最悪のとき
               ペシャワール会中村哲医師が国会で報告

● リストラ合理化を打ち砕け
              反失業・雇用確保」・雇用制限法制定 2002春闘勝利総決起集会

● 雇用確保対策・セーフティネットの拡充をもとめて全労協が対政府交渉

● 資 料 / いま準備されている有事法制

   解説 ・ 強大な首相権限が戦争参加を強制

● 映画紹介
      軍隊をすてた国(pais que dejo el ejercit)

● 複眼単眼
       「炭疽菌」とクラスター爆弾と情報操作



有事(戦時)法制・改憲阻止の大衆的行動を

       
世界の人びとと共に戦争を止めよう

 政府は平和憲法の理念と原則を根底からくつがえす有事(戦時)法制関連法案を、四月九日にも閣議決定し、この国会に提出する準備をすすめている。
 政府が三月二十日の与党プロジェクト会議などに提起して以来、法案作成は米軍関連問題や、従事命令の強制問題など一部の問題では迷走をつづけてきたが、ようやく米軍関連をのぞいた三法案として提出することになった。
 四月三日に明らかにされたところでは、それは承認手続きなど包括的な「武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案(略称・平和安全法)」と、「安全保障会議設置法改正案」「自衛隊法改正案」となっている。
 包括法案では、小泉首相の要請などを入れて二十日の時点では削除されていた「テロ」「不審船」問題など「武力攻撃に至らない事態」に対応する法整備もす
すめるとの確認が盛り込まれようとしている。
 また、「防衛出動」の「国会承認」については、当初の案からは外されていたが、「原則事前承認」、特に緊急事態においては「事後承認」という内容で提起される。この場合は「テロ対策特別措置法」と同様に「二十日以内の国会付議」との期限つきでだされるようだ。このような条件は見せかけのもので、事実上の国会バイパス方式だ(詳細は三面の解説参照)。
 未曽有の経済・財政危機がすすみ、永田町では閣内や省庁内の対立と混乱、国
会議員のさまざまな「疑惑」事件が噴出している。小泉内閣は大方の予想以上のテンポで「支持率」が急落している。それだからこそ小泉首相はいまドサクサ紛れに有事法制を国会上程し、強行しようとしている。日本の進路を決定的に左右する「有事法制」というこの最悪の戦争法を、姑息な政治技術で採択してしまおうという小泉首相の政治手法を許してはならない。
 私たちはこの間、くりかえし「有事法制阻止・改憲阻止」を掲げた可能な限り
幅広い勢力の、多様で、重層的な共同行動の実現を呼びかけてきた。こうした共同にむかって少なからぬ人びとが努力し、重要な成果をあげつつある。
 市民運動、宗教者、労働組合、政党が従来の経過や立場を超えて、共同しつつ
ある。そしてそれらはさらにアメリカやアジアの人びととの共同・連帯を追求する視点を共有しつつあるという、従来にない特徴を持ちはじめた。
 これらの力を大きく結集し、小泉内閣の有事法制強行の策動と闘いぬこう。

アメリカの市民・学生らの4・20反戦集会

 アメリカのブッシュ大統領による危険な戦争政策が拡大していくなかで、四月二十日(土曜日)、アメリカで「ナショナル マーチ イン ワシントンDC アンド サンフランシスコ」と銘打った市民や学生による大規模な反戦集会が開催される。
 すでにワシントンの集会では二百を超える市民団体が協力して集会の準備にはいっている。
 これに呼応して世界各地でも連帯する反戦集会の準備が、日本の芝公園での「世界の人びととともに戦争をとめよう、有事法制に反対 全国集会」をはじめ各国ではじまった。
現在のところ、日本の集会以外にもイタリア、フィリピン、中南米諸国など十五ヵ国で集会が開かれることが決まっている。これらは、ひさびさの大規模な国際連帯の反戦行動になりつつある。
 主催者の「A・N・S・W・E・R」(ACT NOW TO STOP WAR & END RACISM)が出しているチラシには「本当の悪の枢軸である戦争、人種差別、失業に抗して」とか「イラクでの新しい戦争や、米国が支えるパレスチナでの戦争に反対する」というスローガンが書かれている。
 日本でも。共同して四・二〇国際連帯集会を成功させよう。

有事法制に反対するアジア民衆の共同声明の動き


 小泉政権が進めようとしている有事(戦時)法制は日本の民衆にとって重大な問題であると同時に、アジア・太平洋戦争で日本の軍国主義による二千万の犠牲をこうむったアジアの民衆にとっても切実な問題であることは明らかだ。
 四月二十日の「世界の人びととともに戦争を止めよう!有事法制に反対!全国集会」を契機に、この悪法・有事法制に反対するアジアの民衆諸団体の共同声明の呼びかけが準備されている。声明は広島県の「有事法制はイケン、広島連絡会」の発案で、先のブッシュ来日、訪韓、訪中や小泉首相の訪韓に抗議して闘った日韓民衆連帯運動ほかの市民団体が緊急に相談し、連名で共同声明への賛同を呼びかけることに合意したもの。
 呼びかけは「日本消費者連盟」「許すな!憲法改悪・市民連絡会」「戦争協力を拒否し、有事立法に反対する全国FAX通信」「日韓民衆連帯全国ネットワー
ク」「ピープルズプラン研究所」などの共同で発せられ、日本およびアジアの民衆諸団体の賛同を求める予定。
 共同声明の連絡先は郵便・電話・FAXは「許すな!憲法改悪・市民連絡会」
で東京都千代田区三崎町二の二十一の六管波ビル三〇二
 電話03(3221)4668、FAX03(3221)2558。メールはtokada@jca.apc.org。


いまアフガンは最悪のとき

   ペシャワール会中村哲医師が国会で報告


 アフガニスタン民衆の救援活動に取り組むペシャワール会医療サービス病院長の中村哲さんの「アフガン命の基金」報告会が、三月二九日午後、衆議院議員会館で開かれた。
 この会合は社民党の阿部知子議員をはじめ、民主・共産・公明各党から一名づつの議員の呼びかけで開かれたもので、中村医師を招いた国会での同趣旨の企画としては三回目。会場には衆参両院の国会議員三五名を含む八十名ほどの人びとが出席した。
 カブール、ペシャワール、日本をひんぱんに行き来する中村医師は最新のアフガニスタン状況を報告し、出席者の熱心な質問に答えた。

中村医師の報告

 昨年秋以来、ペシャワール会が全国に呼びかけた「アフガニスタンいのちの基金」は約七億一千八百万円集まった。この場を借りて感謝を申し上げる。
 この資金で昨年、まず一四〇〇トンの緊急食糧援助をした。しかし現在は治安状態の悪化のため、地方での配給は断念している。
 「アメリカが空爆でアフガン女性を解放して、女性たちはブルカを脱いだ」などと、「絶対正義のアメリカ」対「絶対悪のタリバン」という図式での宣伝がマスコミでは流されたが、必ずしもそうではない。アフガンでは女性たちはいまなおブルカを着用して外出する。当面、最大の問題はそこにはないのだ。
 旱魃(かんばつ)に見舞われているアフガンの危機はきわめて深刻で、「戦争どころではない」というべき情勢だ。人びとがもとめているのは何よりもパンだ。
 ペシャワール会はいま農村の自立・復興のプロジェクトと、女性の経済的自立のための裁縫工場プロジェクトに取り組みはじめた。
 裁縫工場はアフガニスタンの女性の職場の確保と、最近の異常なインフレに対抗するための現地での販路の確保とダンピングによる物価高の打破をねらっている。
 農村復興プロジェクトは、タリバン政権崩壊後、一挙に復活した換金作物としての麻薬・ケシの栽培に対抗して、乾燥に強い作物づくり、例えばアフガニスタン人が好むお茶の作付けなどに着手した。年月はかかるが文字通りの村起しをやる。地域によっては四割、五割がケシで小麦が半分となっている。このままでは荒れる一方だ。すでにパイロット農場を立ち上げた。農村も廃村になった村が数知れない。飲料水と農業用水の確保のための井戸掘りとカレーズ(灌漑用地下水道)の復活などを進めつつ、地域循環型の農業による農村の回復をめざす必要があると思う。
 国際社会の共通の問題だが、地球温暖化の問題はおおきい。現在の砂漠化の進行は深刻で、十年つづけばアフガニスタンの半分以上の地域が砂漠化し、一千万人以上の人びとが住むところを追われるだろう。周辺諸国も大変だろう。
 日本ではアフガン復興会議以降、アフガン問題は終わったかのように受け止められているが、全く違う。異なったアフガニスタン像が宣伝されているのではないか。ひとびとはもはやアフガニスタンを忘れつつある。しかし戦争もつづいているし、私たちの仕事ははじまったばかりだ。
 いまアフガニスタンは史上最悪の時だ。情勢はタリバン政権の時代よりも数百倍も悪くなっている。「悪のタリバンが崩壊してからカブールでは野菜が出回るようになった、市場が活況を呈してきた、テレビが出回っている」などと報道されるが、以前から野菜は出回り、テレビも売られていた。しかし、電気のある地区が全土の数%でテレビを観ることができる人は全国の〇・数%にすぎない。たしかにいろんなものが解放され、自由になったが、それは買春の自由、餓死の自由、麻薬を作る自由、暴行の自由、掠奪の自由だ。
 アメリカによる戦争は無意味に武器を浪費する戦争、武器の在庫一掃セールだった。米国のある学者が二月末現在で一般民衆の爆死者が四千数百名と指摘したが、私の地域で考えてもこれは妥当な数字と思われる。これに爆撃に伴う死者がおり、それは数万、あるいは数十万かも知れない。


リストラ合理化を打ち砕け

     反失業・雇用確保」・雇用制限法制定 2002春闘勝利総決起集会


 三月二十日、千代田公会堂で、「反失業・雇用確保」・雇用制限法制定 二〇〇二春闘勝利総決起集会が開かれた。主催は、春闘再生「行政改革・規制緩和・労働法制改悪」に反対する全国実行委員会で、全日本港湾労働組合、全国一般労働組合全国協議会、全労協全国一般東京労働組合、国鉄労働組合、東京都労働組合連合会、東京清掃労働組合、全水道東京労働組合、全日本建設運輸連帯労働組合、全昭和電工労働組合、全国労働組合連絡協議会が呼びかけ団体となっている。
 はじめに主催者を代表して安田憲司全港湾委員長があいさつした。
 つづいて二瓶久勝事務局長が次のような基調報告を行った。
 今春闘では、経営側の「雇用も賃上げも認めない」という姿勢が明らかになったが、春闘の意義を再確認し、低額回答にはストライキを含む大衆行動で闘い、春闘再生の流れを社会的に定着させなければならない。今、「反失業、雇用確保」の闘いは国民的課題となっており、資本のリストラ・首切り、労働条件の切り下げなどに反撃して行こう。政府は国家公務員の二五%削減を狙っているが、国家・地方公務員のリストラ、とくに都議会が労使合意を認めず賃金カットを継続しようとして労働者に対する攻撃を強めているが、都労連にたいする支援を強化しよう。そして、政府の厚生年金、福祉、医療制度などの負担増に反対運動を展開していこう。二〇一三年には支給開始年齢が六五歳になるという厚生年金の改悪には雇用確保(定年延長)の闘いを展開しよう。
 決意表明は、都労連、全国一般東京労組、金属機器労働組合協議会、全日本建設運輸連帯労組、全国一般労組全国協議会、東京東部労組、電通労組全国協議会、NTT関連合同労組が行った。
 争議団紹介では、闘い続ける労働者を代表して、国労闘争団の原田亘さん(鳥栖闘争団)が団結して闘おうと力強く発言した。
 また、この一年間にあらたに結成された新組合が紹介された。
 集会で採択された決議文は、「…今春闘については、日経連をはじめとする日本の経営者は国際競争力の名のもと『ベアゼロ、定昇も再検討』とし、徹底的に賃金抑制をはかろうとしています。そして先日の大手企業の回答状況を見ますとほとんどが定昇のみの回答となっています。…ここ数年リストラ(首切り)の嵐に見舞われましたが今度は賃下げです。このため雇用破壊・賃金破壊が急速に進行しています。そして国民は大きな雇用不安・生活不安・将来不安を抱いています。… 本日ここに結集した多くの仲間は、政府・資本の攻撃が激しい今こそ闘いに決起し、職場を拠点にストライキを基軸とし闘うことを確認し合いました。そして今後とも私たちの主張は『雇用も賃金も』であり、更に政府の負担増の政策に反対し、平和を求めて闘いぬこうではありませんか」として、逆流に抗しての春闘で前進を確認した。
 最後に藤崎良三全労協議長の音頭による団結がんばろうで集会を終えた。


雇用確保対策・セーフティネットの拡充をもとめて全労協が対政府交渉

 三月七日、全労協は、雇用確保対策・セーフティネットの拡充をもとめる政府・厚生労働省交渉をおこなった。全労協の藤崎良三議長、子島利夫事務局長をはじめ代表が、厚労省の担当者に、全労協の「反失業・雇用対策に関する要請書」を説明し申入れた。
 全労協の対政府要求の主要な点は、@雇用保険の給付期間延長A緊急地域雇用対策B教育訓練等の継続中の給付延長C失業者給付区分についてD新卒者で就職できない者E雇用調整助成金についてF緊急雇用対策基金などであった。
 雇用保険の給付期間については、再就職が極めて困難な中では最長二年に延長すること、技術・技能訓練中は選別なく保険給付を継続すること。
 雇用保険の掛け金については、現行の労使折半方式から、労働者三分の一、使用者三分の二に改めること。
 企業リストラにあたっては、安易な人員整理を行うことなく「雇用の安定確保」のために十分配慮するよう指導すること。
 会社倒産等で雇用確保のため自主生産を行っている組織に対しても雇用調整助成金の支給対象とすること。
 「反失業・雇用確保」対策として、国ならびに自治体等による雇用確保・失業対策事業(緊急雇用対策基金)を創設し、働く場の確保とそのための資金援助を行うこと。


資 料

     いま準備されている有事法制


 政府が二十日の与党緊急事態法制協議会と同安全保障プロジェクトチームに示した有事法制の整備状況に関する文書の内容は次の通り。

武力攻撃事態における我が国の平和及び安全の確保に関する法制の整備について(案)

【内閣官房】

 今国会に提出を予定している法案

 @「全般」的事項を規定する法案(いわゆる「包括法」案)
  〇武力攻撃事態への対処に関する国の基本方針、意思決定の仕組みなどを規定
  ○武力攻撃事態への対処に関する個別法制の整備綱目等を規定

 A安全保障会議設置法に関連する法案
  ○国の対処方針等を決定するに当たっての安全保障会議の機能を強化
 
 B自衛隊の行動の円滑化に関する法案
  ○防衛出動時における物資の収用、土地の使用、業務従事命令等について規定した自衛隊法第一〇三条を改正
  ○自衛隊の行動の円滑化を図るため、既存の法令の適用除外や特例措置を規定

 C米軍の行動の円滑化に関連する法案
  ○武力攻撃事態において自衛隊と共同で対処する米軍の行動の円滑化を図るため、既存の法令の適用除外等を規定

 「全般」的事項を規定する法案(いわゆる「包括法」案)の検討状況

 1、武力攻撃の事態における我が国の対応に関する基本理念 盛り込むべき要素、構成等について、検討中

 2、対処の基本方針の作成・武力攻撃の事態においては、全体の適切かつ円滑な対応を確保するため、内閣は、国としてとるべき施策に関し、対処の基本方針
を作成。
 ・これには、状況・事態認識、防衛行動や国民の安全確保など各般の施策の方針を盛り込むこととなる。
 ・対処の基本方針は、安全保障会議の審議・決定を
経て、閣議決定。
 ※安全保障会議は、国防に関する重要事項及び重大緊急事態への対処に関する事項を審議する機関であリ、かかる基本的性格を維持しつつ、事態対処に係る審議・決定機能を高めるため、安全保障会議設置法を改正する方向で検討中。

 3、対策本部の設置
 ・武力攻撃の事態においては、基本方針に基づく国、地方公共団体等の各機関が実施する樋策の総合調整を図るため、内閣に、臨時に、丙閣総理大臣を長とする対策本部を設置。
 ・対策本部の総合調整の実効性を高めるため、国の関係行政機関、地方公共団体等に対し行使し得る権限等を規定。

 4、国の責務等
 ・武力攻撃の事態においてこれに対応するための施策を実施することとなる国等の責務、国と地方の役割分担の基本的考え方等を規定。

 5、個別法制の整備項目

 @個別の法制整備に関する基本方針、具体的な法制整備の基本的な項目等
 A整備項目の主要な分野
  ・武力攻撃の事態における国民の安全確保・生活の維持等に関する法制
  ・武力攻撃の事態における米軍の行動を支援するための法制
  ・捕虜の取扱い等国際人道法関係の法制など
  ※武力攻撃の事態において国等が実施する施策のうち法的手当てが必要となるものを幅広く包含し得るよう検討中。
 B上記Aの項目に関する法制の整備の目途、推進体制等について検討中。

【外務省】

 武力攻撃事態における米軍への国内法令の適用除外

 1、一般国際法上、駐留を認められた外国軍隊には特段の取り決めがない限り接受国の法令は適用されない。

 2、他方、日米地位協定上、米軍の通行行為を通行秩序維持の観点よリ規制する法令等の中には米軍に適用されるものがあると解される。

 3、日米安保条約第5条の下、日本への武力攻撃に対しては自衛隊と米軍が共同で対処することとなる。したがって、米軍に対しても目衛隊と同様の行動の自由を確保することが必要である。

 4、かかる考え方に立ち、今回自衛隊につき適用除外とする法律の規定のうち、上記2の通リ米軍に適用される法律の規定については米軍を適用除外とする方向で検討中である。具体的に適用除外の対象となる法律の規定については現在、関係省庁と協議中である。

【防衛庁】

 自衛隊法等の検討状況等について

 一、防衛庁所管法令についての検討状況

 (項目)現行規定の補備の問題
 (関係法令)自衛隊法第一〇三条
 (問題点の概要)
 ・同条による措置をとるに際して、処分の相手方の居所が不明の場合等、公用令書が交付できない場合についての規定がない。
 (検討項目・公用令書を交付することができない場合の措置)
 ・同条による土地使用に際して、その土地にある工作物を撤去しうる規定がない。
 (検討項目・土地にある工作物等を撤去するための措置。)
 ・同条による物資の保管命令に従わない者に対する罰則規定がない。
 (検討項目・物資の保管命令に従わない者等に対する罰則規定の整備)

 (項目)現行規定の適用時期の問題
 (関係法令)自衛隊法第一〇三条、自衛隊法第二二条
 (問題点の概要)
 ・自衛隊法第一〇三条による土地使用の時期、第二二条による特別の部隊の編成等の時期については、いずれも防衛出動命令下令後から行うのでは間に合わないことがあるので、例えば、防衛出動待機命令下令時からこれを行いうるようにすることが必要。
 (検討項目・防衛出動命令下令前において陣地構築等の必要がある場合の、土地の使用権限の取得に関する手続。
 ・自衛隊法第二二条による特別の部隊の編成等の時期については、平成十年の自衛隊法改正により問題点が解消。)

 (項目)新たな規定の追加の問題
 (関係法令)
 (問題点の概要)
 ・部隊が緊急に移動する場合に公共の用に供されていない土地等の通行を可能とする規定が必要。(検討項目・道路等が通行できないような場合の措置)
 ・防衛出動待機命令下にある部隊が侵害を受けた場合に部隊の要員を保護するため武器の使用を可能とする規定が必要。
 (検討項目・防衛出動に向け準備活動を行っている隊員の武器使用権限の整備)

 (項目)現行法令に基づく法令の未制定の問題
 (関係法令)防衛庁職員給与法第三〇条
 (問題点の概要)
 同条は、出動を命ぜられた職員に対する出動手当の支給、災害補償その他給与に関し必要な特別の措置について別に法律で定めると規定しているが、この法律が未制定。
 (検討項目・防衛出動手当<仮称>、公務災害補償の特例設置)

 二、他省庁所管法令についての調整状況

 (項目)部隊の移動、輸送について
 (関係法令)道路法、道路交通法
 (問題点の概要)
 ・部隊の移動等のために、損傷している道路等を通行しなければならない場合に、「道路法」上、道路管理者以外の者が道路工事を行う場合には道路管理者の承認を得る必要があること等から、部隊自らがその補修を行えないことがある。したがって、有事に際して、損傷した道路等を滞りなく通行できるよう「道路法」に関して特例措置が必要。
 (調整状況・特例措置について国土交通省と調整中。)
 ・有事の際に、自衛隊隊員が期間内に運転免許の更新を行うことが困難な場合も考えられ、運転免許の有効期限を延長するための特例措置が必要。
 (調整状況・特例措置について警察庁と調整中。)

 (項目)土地の利用についての問題
 (関係法令)海岸法、河川法、森林法、自然公園法
 (問題点の概要)
 「海岸法」等においては、国土の保全に資する等の観点から、一定の区域について立ち入リ、木竹の伐採、土地の形状変更等に対する制限等が設けられ、土地を使用する場合には、原則として法令で定められている手続が必要。
 (調整状況・特例措置について国土交通省、農林水産省及び環境省と調整中)
 しかしながら、有事に際して部隊が陣地を構築するために土地を使用するような場合においては、それらの手続をとるいとまがないことなどが考えられることから、「海岸法」等に関して特例措置が必要。
 (調整状況・左記関係法令の他、土地区画整理法、都市公園法、首都圏近郊緑地保全法、都市計画法、都市再開発法、都市緑地保全法等の法律についても調整中)

 (項目)構築物建造についての問題
 (関係法令)建築基準法
 (問題点の概要)
 「建築基準法」は、建築物を建築する際の工事計画の通知等の手続、構造の基準等を定めている。有事の際に、航空機用えん体、指揮所等を建築する際には、速やかに建築を進めるために、「建築基準法」に関して特例措置が必要。
 (調整状況・特例措置について国土交通省と調整中)

 (項目)衛生医療についての問題
 (関係法令)医療法
 (問題点の概要)
 「医療法」によれば、病院等は同法に定める構造設備を有することとされている。しかしながら、自衛隊の設置する野戦病院等は、部隊の移動に合わせて移動する必要があるため、構造設備等の基準を満たすことは困難であると思われる。したがって、有事に際して自衛隊の設置する野戦病院等については「医療法」に関して特例措置が必要。
 (調整状況・特例措置について厚生労働省と調整中)

 (項目)戦死者の取扱いについての問題
 (関係法令)墓地、埋葬等に関する法律
 (問題点の概要)
 「墓地、埋葬等に関する法律」によれば、墓地以外の場所に埋葬すること、火葬場以外の場所で火葬すること等が禁じられている。しかしながら、有事に際して戦死者は、人道上、衛生上の見地から、部隊が埋葬等を行うことが考えられることから、「墓地、埋葬等に関する法律」に関して特例措置が必要。
 (調整状況・特例措置について厚生労働省と調整中)

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 解 説

    
強大な首相権限が戦争参加を強制

 この資料は三月二十日、政府が与党緊急事態法制協議会と与党安全保障プロジェクトチームに提示した「有事法制(案)」の骨子全文だ。なお四月三日にはさらに修正されたものが提示されている。
 この時点では法案は以下の四つが想定されていた。
 @「全般的事項を規定する法案」(いわゆる包括法案で、法制化の項目とスケジュールを規定した「推進法案」)。
 A安全保障会議設置法の一部改正案。
 B自衛隊の行動円滑化に関連する法案。
 C米軍の行動円滑化に関連する法案、だ。
 これには提示した時点で与党の一部から「小泉首相が推進すると言っていたテロや不審船への対応が含まれていないのはおかしい」などの批判がでた。訪韓していた小泉首相も「緊急事態の備えに対する議論を封殺しないほうがいい」などと発言した。その後の政府・与党内部の議論の変遷を経て、いまのところ四月九日にも閣議決定がされようとしている有事法制案には、第四法案の「米軍の行動に関する特別措置 法案」の提出は見送られ、今回、提出されるのは有事法制三法案になる模様だ。
 また、大規模テロや不審船についてはなんらかの形で法案に言及される方向が強まっている。目下、そのための案としては包括法案の部分に、@幅広い危機に対応する、A武力攻撃にいたらない緊急事態への対応についても整備をすすめる、などの表現がおり込まれる可能性があると言われている。
 とりあえず二十日に出された骨子のうち、三法案の問題点を検討しておく。
 内閣官房が示した「包括法案」では、緊急事態において、安全保障会議と「対策本部」と内閣の責任者を兼務する首相の権限が超憲的に強化されることになる。
 強大な権限をもった首相が「地方公共団体等」に対して、憲法の理念とは異なり、法的にも上位にたち、指揮命令する関係に置かれる。
 安全保障会議を強化するために、「専門的に補佐する組織」(常設事務局的な組織)を設置し、「審議・決定能力を高める」。そのための安保会議設置法の「改正」を行う。
 防衛庁が提示した表には「物資の保管命令に従わない者等にたいする罰則規定」を明記して、災害救助法に準ずる民間への罰則適用が企てられている。災害救助法は命令違反者は「六ヵ月以下の懲役または五万円以下の罰金」とされている。
 しかし、この表で「等」と記載されていることは「自衛隊の出動への民間の協力・参戦を強要する『従事命令』とそれへの罰則」が想定されている。現行の自衛隊法一〇三条は「防衛出動」に際して、医療・土木・輸送業者にたいして「従事命令」を出すことができるという規定になっている。ただし、違反者への罰則規定はない。今回の有事法制はこの「従事命令違反者への罰則の適用」を狙ってきた。
 この点で該当する産業の労働組合をはじめ世論の高まりがあるが、いま政府はその動向を注視している。すでに今回、提出される法案には世論を配慮して「従事命令」への罰則規定は見送るとの動きもある。しかし、遅かれ早かれ、政府がこの規定の実現を狙っていることには変わりがない。
 また、従来からの「有事法制研究」の中で示されてきたものではあるが、戦争をしない国という憲法を持つ日本の法案で「捕虜の取り扱い規定」や「戦死者の墓地・埋葬規定」などが議論される異常さもある。
 また法案全体が国会での議論、「国民的議論」を経ないで、政令・省令等で処理されてしまう問題も大きい。
 これらの危険な憲法違反の法案を首相は「常識」「本音」「備えあれば憂いなし」「最高裁は自衛隊合憲の判決を出している(真っ赤なウソ)」「憲法は国際常識にあわないところがある」などと、九九条からくる首相の憲法尊重・擁護義務に完全に違反した言動を続け、強行しようとしている。(S)


映画

   軍隊をすてた国(pais que dejo el ejercit)
  

             監督・山本洋子 企画・早乙女勝元 製作・早乙女愛

 中米に非武装の憲法を持つ「コスタリカ」(「豊かな海岸」の意)という国があることは、憲法関連の市民運動の中では、比較的よく知られている。
 この映画が東京の俳優座で初公開され、九日間の上映の最終日に駆けつけて観た。三百席の会場は三分の二程度の入りだった。若者も少なくなかったが、年配の観客も多かった。おそらく年配の観客は非武装の憲法を持つコスタリカとはどういう国かと関心をもってきた人々が多かったのではないか。時々、気になって周囲を見回すと、これらの少なからぬ部分が睡魔に襲われ、格闘していたようだ。
 観客が何を期待し、制作者は何をどのように訴えたかったのか。製作者にはもともと折り込み済みのことだったようだが、直接、憲法問題の学習につながることを期待するような一部の観客との間のギャップは歴然としていた。
 私はけっこうおもしろく観ることができたが、あえて評価を言えば「時間の都合がついたら、観たほうがいいかも知れないね」というところ。

「沖縄の少女」

 キャッチコピーは「風は地球の裏側から吹いてきた 音楽と踊りがコスタリカの現実に交錯する、異色のドキュメンタリー」というもの。
 全編を通して、コスタリカの子どもたち、民衆、とくに女性、そして豊かな自然と動植物がさまざまな角度から映しだされる。
 特別のストーリーがない、ぶつ切りになりがちなドキュメンタリーを狂言回し役の若い女性の踊りがつなぐ。この女性が一九九五年十月二一日、沖縄・宜野湾海浜公園で行われた「米軍人による少女暴行事件糾弾」の八万五千人の大集会で高校生を代表して発言し、全国の感動を呼び起こした中村清子(なかむらすがこ)さんだというナレーションはない。はじめと終わりのシーン以外にも、琉球舞踊の名手でもある中村さんの幻想的な踊りの姿が六回も七回もでてくる。ときおりまじるエイサーなどで沖縄の女性だというのがわかる。もともとこの映画を企画した早乙女勝元はドキュメンタリー映画「沖縄発コスタリカ」として構想した。これはその残滓であり、飛躍でもある。

制作者の突っ張り

 「ドキュメンタリーでレポーターを使う手法は好きでない」という監督の山本洋子の意見にそって、ナレーションは極度に抑制されている。
 山本は制作にあたり「ちょっと変わったドキュメンタリーになることを最初から意図して構成を考えた」、非武装憲法を持つコスタリカの解説による教科書的な作品ではなく、感じる映画を撮りたかったらしい。
 プロデューサーの早乙女愛(企画者早乙女勝元の娘で、女優とは別人)も「憲法やら初心やら、そんなお題目を掲げること自体、面倒くさい。戦争にたいする平和、軍事大国と軍事費ゼロの国、というお定まりの対立軸をとっぱらって、コスタリカが構築している具体的な『平和』に一歩踏み込んだらどう?」と考えたのだという。若者特有のつっぱりがほほえましい。
 山本と早乙女愛の意欲は買うが、ねらいが成功したかどうかは問題だ。こういう描き方はあってよいと思うし、平和は大人の説教くさいと考える若ものたちへのある種の説得力はあるが、厚み、深みに欠ける恨みがある。山本監督の一種の傲慢さすら感じたのは私だけだろうか。

コスタリカの人びと

 それにしても内戦のつづいた中米の一角で、五十年以上も軍隊を持たなかったコスタリカ共和国。その自然は美しいし、人びとは決して裕福というのではないが、子どもたちは生き生きとしている。人びとはすなおに軍隊がないことを肯定している。
 市民たちはいう。「コスタリカは軍隊を持ってもいい。でも持つべきではな
い。軍隊は人を殺すからだ」「警察だってうっとおしいのに、軍隊はいやだ。軍隊がなくてもちゃんと生きている」
 この国の特産のコーヒー園の労働者も「ぼくたちの国には、軍隊はもちろん徴兵制もないから、安心して働けます。コーヒー、うまいはずです。もう一度軍隊を? さあ、そんな人はいないと思いますよ」という。
 平和の大切さ、非軍備の大切さはコスタリカの国民の間に浸透している。
 印象に残ったさまざまなシーンがある。
 監督の山本の言葉を借りれば「有刺鉄線だけで区切られているニカラグアの国境を見にいったとき、本当に風がさわさわと流れていくわけ。風は自由に国境を超えていくんだなって」というように、ニカラグアの国境警備隊員がコスタリカ側の警備隊員に柵の間から無造作に果物を差し出すシーンは象徴的だった。そういえばこの国の四人に一人は内戦から逃れてきたニカラグア人だと言う。
 熱帯雨林の場面は美しいし、そこで踊る中村さんは月並みな表現だが、森の妖精のようだった。さまざまな場面ででてくる子どもたちは元気で、明るく、輝いている。昼夜二部制と教育環境も万全とはいえないが、何よりも教育を大切にし、まず小学六年、中学三年の義務教育、無償の制度の徹底を優先した結果でもある。
 本来の意味での「発展途上国」というべきかも知れない。

等身大のコスタリカ

 軍隊のない国「コスタリカ」がすでに五十年以上も戦乱の続いた中米に存在するというのは、日本国憲法の理念を「空想にすぎない」と攻撃する人びとへの反証としては、確実に有効だ。
 この映画を契機に「コスタリカ・ファン」も急速に増え、「コスタリカと手をたずさえて平和を目指す会」というのも作られている。市民運動の一角ではブームの雰囲気もある。これらが発展することを願う。
 しかし、コスタリカにまつわるいくつかの誤解も解いておきたい。
 日本は非武装憲法があるのに軍隊を持っている。世界を見回すと、軍隊を持たない国でいちばん大きいのは人口三七一万人(現在は四百万を超えたとも言われる)のコスタリカ共和国だが、軍隊を持たない国はほかにもある。
 小林直樹氏の「憲法第九条」(岩波新書)の孫引きだが『市民の平和白書』八二年版によるとモルディブ共和国、ナウル共和国、モーリシャスなど十一ヵ国があげられている(その後の情勢の変化によって国情に変化があると思われる)。
 またコスタリカは四九年憲法十二条で常備軍としての軍隊の保有を禁止し、公秩序維持に必要な警察力を保有することを規定した。この点で先進的なのだが、ただし個別的自衛権、集団的自衛権行使のために「全(米)大陸の協約により、あるいは国民防衛の目的によってのみ軍隊を組織することができる。いずれの場合も軍隊は文民権力に従属し、個別的であれ集団的であれ評議・行為、示威行動、(戦争の)宣言を行うことはできない」ともある。米州機構の存在を前提にした国だ。この点では憲法の規定上から言えば日本国憲法の非武装条項のほうがより徹底したものと言える。
 またさらにコスタリカは独占的企業や農場があるわけで、決して反米でも、社会主義でも、楽園でもない。映画でも指摘されているが、この数年来、警察の軍事化の問題があり、労働争議への弾圧で三名の労働者が殺された。民営化攻撃にさらされた労働者は「コスタリカは天国だというがこのままでは地獄だ。労働者の統一戦線をつくって闘おう」と叫んでいた。
 だから、あまり空想的にこの国を美化してはならない。映画を通じて、現状を知るだけでも「軍隊のない国」としてのインパクトは十分なのだから。

■ 今後の上映予定

四月二五日(木)富山市「サンシップとやま」
四月二六日(金)富山市「高岡ふれあい福祉センター」
四月二六日(金)大阪市「クレオ大阪中央」
四月二九日(月)京都市「立命舘大学平和ミュージアム」
五月三日(金)長野市「長野教育会館ホール」
五月三日(金)長野県諏訪市「諏訪市駅前市民会館」
五月三日(金)静岡県袋井市「袋井市月見の里学遊館」
六月八日(土)長崎市「長崎ブリックホール国際会議場」
六月九日(日)愛媛県宇和島市「宇和島市総合福祉センター」
六月十六日(日)神奈川県藤沢市「藤沢市市民会館ホール」
六月二九日(土)岡山市「岡山県総合福祉会館」
七月六日(土)高知市「高知県民文化ホール」
八月二三日(金)、二四日(土)新潟県上越市「リージョンプラザ上越」


複眼単眼

       「炭疽菌」とクラスター爆弾と情報操作


 ところで「炭疽菌」問題はどこに行ったのだろうか。アメリカでは死者まででたと言われたし、一時期は日本でも「炭疽菌類似事件」が騒がれるほどの問題だった。
 九・十一の後、炭疽菌の話題はアメリカを席巻し、ブッシュはアルカイーダの「第二のテロ攻撃」の可能性があるとしてアメリカ・ナショナリズムを高揚させるために使った。調べていくうちに、次第にアルカイーダ関与説がなりたたなくなってくると、「炭疽菌」の犯人探し騒ぎはいつのまにか立ち消えになってしまった。
 三月二三日のニューヨークタイムズ紙は、米政府筋の話として「テロ組織アルカイーダがカンダハル近郊で、炭疽菌開発用の施設を建設中だった」と報じた。建設中で放置された建物の捜索で発見した文書や器具から結論づけたのだという。ただ細菌の類は見つからなかったそうだ。米政府筋は「アルカイーダが生物兵器を欲していたことを示す新たな証拠だ」と語ったという。
 これだって怪しい限りだが、少なくともアフガンのアルカイーダがまだ「炭疽菌兵器」を開発していなかったことを示すものではないのか。反テロ・キャンペーンに利用するだけ利用したから、矛盾が起きても「我不関焉」というところか。
 さて、ブッシュが「生きていても、死んでいても」、草の根分けても捜しだせと叫んだ指名手配のビンラディン氏とタリバンのオマル師はどうなったのか。今回の米国の戦争の最大の目標だったはずだ。これもいつしかうやむやにされている。タリバン政権を倒壊させたから、あとは知らないよというわけか。
 三月二三日の『沖縄タイムス』の報道によると、アフガニスタン戦争で米軍の「非人道兵器」として有名になったクラスター爆弾が、二月十五日、嘉手納基地に運ばれているところが市民によって撮影された。この爆弾は国連人権小委員会で製造・使用の禁止が決議されたものだ。クラスター爆弾は大型の親爆弾の中に数百個の子爆弾が詰められ、投下すると一定の高度で広範囲に飛散する。その何%かは意図的に不発弾になり、あとで人が触れると爆発する。広範囲に飛散するため、敵兵は爆風から身を隠す場所もなくなり、被害は拡大するというしろもの。
 嘉手納基地に運ばれたことについて、朝日の田岡編集委員は「通常兵器だから不思議はないが、北朝鮮に対する使用を想定しているのではないか」と指摘した。
 アフガン戦争はこれらのアメリカの兵器の十年ぶりの在庫一掃で、この戦争はアメリカの「景気回復」に多大な貢献をした。さらにイラク攻撃をいうのは、まだ景気回復が思わしくないというところかという指摘は、先日の「金曜連続講座」での降旗節雄さんによる。
 戦争と情報操作は一体のものだ。その初歩的原則すら忘れて、アメリカが垂れ流す情報を無批判に流しつづけた日本の某公共放送のワシントン支局長の愚はくり返してはならない。(T)