人民新報 ・ 第1061号<統合154> (2002年6月5日)
  
                                目次

● 5・24集会(4万人)の成功をバネに  有事3法案の成立絶対阻止

● 東海地震域の真上にある浜岡原発でまた重大事故

● 全面屈服方針を強行採決した国労大会 四党合意を乗り越えた新たな闘いを

● 「有事法制に反対する地方自治体議員共同アピール」賛同者

● 市民的論憲派を名乗る改憲派の「第五列」 五十嵐敬喜著「市民の憲法」

● 残侠伝2 / 「七三一部隊」の元隊員たち

● 部落史から取り残された諸賤民についてJ 陰陽師 (その@)    

● 複眼単眼 / 議会至上主義のお上品な議論と兵役の義務・徴兵制



5・24集会(4万人)の成功をバネに  有事3法案の成立絶対阻止

 衆院有事法制特別委員会で、与党三党はわずか三〇時間余りの審議で、それも質問に対してもまともな答弁もなされないまま、五月二一日には採決に必要な公聴会日程を一方的に議決し、五月末にも衆議院で強行採決するかもしれないという緊迫した情勢がうまれた。
しかし、法律の実態がわかってくるにしたがって、有事法制を危惧する声は拡ひろがり、反対運動は活性化した。こうした事態に、与党三党は自ら強行議決した地方公聴会の中止、さらに中央公聴会も延期せざるを得なくなるところまで追い込まれた。
 現在、有事法案阻止の闘いは、医療改悪案、個人情報保護法案、郵政民営化法案などを廃案に追い込む運動と合流して小泉政権と対決している。
 地方自治体・議会でも戦争体制に協力させられる内実がわかるにつれて反対・慎重審議を求める態度を明らかにしてきている。
 国会周辺は有事法制に反対する人びとが連日行動を行っている。労働組合運動サイドでも、全労協、全労連はもとより連合も「国民の権利を制限する有事関連法案の今国会での成立を断固阻止する」として座り込みを展開するようになった。
 かつての小泉バブル人気は消滅した。野党だけでなく与党内からも批判が噴出し、小泉自身と政府・自民党首脳部も全体的に変調を来しはじめた。
 六月一九日に会期末が迫っている。会期中に重要法案を成立させるのはきわめて難しいことになってきている。人気急落中の小泉は、「構造改革」の目玉である郵政民営化を優先的に成立させ、支持率挽回・政治的延命をはかるだろう。いずれにしろ自民党内、与党内の不協和音は大きくなる趨勢である。
 いま、有事法案阻止の闘いに有利な局面が開かれた。国会の会期延長に反対し、有事法案その他の悪法の成立阻止の闘いを強めよう。
 戦争に直結する有事三法案を絶対に阻止しよう。

共同して最大規模の集会

 五月二十四日に有事法制反対の運動は大きく共同して東京・明治公園で大集会を開き、有事法制反対の闘いとしてはこれまでで最大規模の集会・デモを実現した。
 陸海空港湾労組二〇団体、平和をつくり出す宗教者ネット、平和を実現するキリスト者ネットのよびかけによる「有事法制に反対する人 みんな集まろう! 憲法をまもって平和なアジアと世界を STOP!有事法制5・24大集会」が開かれ、労働者・市民など四万人が会場を埋めつくす大きな結集がかちとられた。
 集会でははじめに、よびかけ団体の「平和をつくりだす宗教者ネット」の木津博充上人(日本山妙法寺)が開会あいさつ。つづいて志位和夫共産党委員長、生方幸夫民主党議員、中村敦夫参議院議員(緑の会議代表)、土井たか子社民党党首から、国会内の状況と有事法制廃案に向けた決意が述べられた。
 志位委員長は、有事法制が国民の自由と権利を踏みにじって米軍の戦争に動員するものだ、この集会を契機に反対運動を一気に広げようと述べた。生方議員は、民主党全体の代表でなく一部を代表して集会に参加したが、子どもたちに禍根を残さないように私は廃案をめざして闘うと述べた。中村議員は、いま日本を武力攻撃する国がないということは常識だ、この法律はアメリカの戦争に日本を協力させるものだと述べた。土井党首は、平和憲法を生かすことこそ日本の道であるのに、それにもかかわらず小泉内閣は戦争の道へ踏み出そうとしている、小泉内閣にレッドカードを突きつけようと述べた。
 つづいて女優の吉永小百合さんと「フォーラム平和・人権・環境」からのメッセージが紹介された。
 国会の外で有事法制廃案にむけて運動人びとからのアピールでは、日本青年団協議会の東和文会長、小平市議の橋本久雄さん(有事法制に反対する地方議員・共同アピール事務局)、全労連の熊谷金道副議長、松浦悟郎司教(カトリック正義と平和協議会会長)、許すな!憲法改悪・市民連絡会の土井登美江さん、東京高校生平和ゼミナールの土井ひろみさんが、それぞれの立場から運動への取り組み状況と思いを語った。
 最後に、航空労組連絡会議長の内田妙子さんが「STOP!有事法制5・24大集会」宣言(別掲)を提案して全参加者は大きな拍手で確認した。
 集会を終わって、三つのコース(国会コース、代々木公園コース、新宿コース)に分かれてデモ行進に出発し、横断幕やプラカード、シュプレヒコール、歌や踊りなどで有事法制が戦争体制づくりであることの危険性を訴え、絶対に廃案にしようと道行く人びとにアピールした。
 有事法案をめぐる攻防は重大な局面を迎えた。六月十六日には代々木公園で、再度、大集会が予定されている。

STOP!有事法制5・24大集会宣言

 日本国憲法前文は「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し」と述べています。いま、小泉内閣はこの決意を放棄し、国民の基本的人権を制限し、再び戦争に強制動員するための法案を成立させようとしています。私たちは、戦争の惨禍を繰り返す有事法制に反対し、全国各地の広範な人びとの声を集めて明治公園に結集しました。

 一九九九年、私たちは日米新ガイドラインにもとづく周辺事態法の制定に反対して運動しました。いま国会に提出されている「武力攻撃事態法案」や、二年以内に整備を完了するという個別の事態対処法案など有事法制整備の目的は、周辺事態法の発動を想定し、日本がアメリカの戦争に積極的に加担していくことを前提としています。

 私たちは、過去の侵略戦争の反省に立って平和憲法を制定し、世界のどの国とも戦火を交えることなく今日まで過ごしてきました。このことは憲法の掲げる平和主義こそ、日本の安全の最大の拠りどころであることを証明しています。政府自らが禁止する「集団的自衛権」の行使に公然と道を開く有事法制整備は、日本の平和と安全にとって極めて危険な選択といわざるを得ません。

 私たちは、本集会の名において、政府に対し直ちに有事法制整備を断念して法案を廃案にするよう強く求めます。
 何よりもいのちと人権を尊重し平和な暮らしを大事にします。
 広範な人びとと共同し、平和なアジアと世界を創っていきます。

 以上、宣言します。

 二〇〇二年五月二四日

 ストップ!有事法制 5・24 大集会


東海地震域の真上にある浜岡原発でまた重大事故

 五月二十五日午前二時二十分ごろ、静岡県浜岡町にある中部電力浜岡原子力発電所二号機で原子炉格納容器内の緊急炉心冷却装置(ECCS)の一部の低圧注入系配管で水漏れ事故が発見され、四時三十四分原子炉は手動で停止された。
浜岡二号機は半年ぶりに運転再開したばかりだ。
 昨年十一月に浜岡一号機がECCS関連の事故を起こして以降、同型の二号機は停止され「十分な点検をして運転を再開」(中電)するということで、二十四日午後に原子炉を再起動した。それなのに、またも炉心溶融(メルトダウン)につながるこの重大事故である。
原発の安全性の主張がまたも覆された。
 そして浜岡原発は東海地震の震源域の真上にあるということをわすれてはならない。
 この五月十六日には「浜岡原発止めよう 関東ネット」が結成された。
 経済産業省原子力安全・保安院の安全性の嘘、儲けのために危険な原発稼働を強行する中部電力を糾弾する。浜岡原発をすぐに止めろ!


全面屈服方針を強行採決した国労大会

         
四党合意を乗り越えた新たな闘いを

 五月二七日、社会文化会館において第六九回国労臨時大会が開かれた。国労本部は、闘争団・家族、多くの国労組合員、支援共闘の労働者を恐れて、またしても機動隊に幾重にも警備される中で、「JRに法的責任なし」とする四党合意に全面的に認める裏切り的な方針を強行した。
 四月二六日の四党協議の席上、自民、公明、保守の三与党は「JR不採用問題に関する声明」を社民党に突きつけた。その内容は、国労には昨年一月の大会で「JRに法的責任がないことを認めた」としながら、「引き続き裁判によってJRの法的責任を追及する姿勢を堅持する」といっている矛盾、「組合員の総意として認めることが前提でありながら、組織内を統一できていない」という矛盾があるとして、「国労執行部が前述の二つの矛盾を早急に解消して四党合意の前提条件を成就する目に見えた結果を出し、これが関係者に評価されることが必要であると言わざるをえない。この対応が四党合意から丸二年を経過する本年五月三〇日までに国労執行部においてなされない場合は、与党としては、四党合意から離脱せざるをえない」というものである。
 国家的な不当労働行為に責任を持つべき与党が被害者である労働者に自分らの責任はないことを認めさせた上で闘いを放棄するように要求し、国労本部と社民党が与党の代弁者となって当事者である闘争団に迫るという醜悪な構図がここにある。
 臨時大会での本部提案の運動方針案は、@「JRに法的責任がないこと」を再確認し、「最高裁での判断を公正に求める」との第六七回定期全国大会(続開大会)における追加方針を撤回する、A最高裁への第三者参加申立及び鉄建公団訴訟は、国労の方針に反するものであり、五月二十五日を期限に取り下げをの通告を行ってきたが、これに応じない闘争団員に対しては査問委員会を開き、直近の全国大会で決定する、B社民党の要請に基づき速やかに国鉄改革法関連の訴訟を取り下げる、CILOに提出した追加情報(二月十五日)の撤回と臨時大会及びその後の解決状況についてILOに追加の情報を新たに提出する、というものだ。まさに全面屈服そのもののである。
 大会当日は、会場の社会文化会館前に早朝から闘争団とJR職場の国労組合員、支援共闘の労働者たちが、舗道いっぱいに座り込んで完全屈服方針に反対する怒りのシュプレヒコールをあげた。
 会場内では、国労の闘う旗を守り運動の再生をめざす代議員が、執行部総辞職要求や本部方針案全面削除と闘争再構築をもとめるなどの修正動議を出して執拗に闘った。その結果、本部の十三時に終了という短期決着の目論見ははずれ、閉会は一時間半も遅れるということになった。しかし採決では、修正動議が賛成二六、反対八一、白票八で少数否決、本部原案は賛成七七、反対三一、白票七という形で可決されてしまった。
 国労本部の暴挙は、多くの自殺者を出した国鉄の分割・民営化を認め、十五年にわたる闘争団・家族の苦闘、国労に寄せられた物心両面にわたる支援共闘のすべてを踏みにじるものだ。それは、分割民営化当時の中曽根康弘首相が、国鉄分割民営化は、国労を解体し、そのことによって総評労働運動とそれに立脚する社会党を骨抜きにして、その後に憲法「改正」を行うというプランに国労本部が合流したということを意味するものである。
 しかし、一昨年の5・28四党合意以降、国労本部の裏切りがあっても闘いを継続しぬく体制が着々とかち取られてきた。現在、闘う闘争団をはじめとする鉄建公団訴訟や独自の最高裁闘争・ILO闘争が前進し、JR職場の国労組合員を軸とする「国労に人権と民主主義を取り戻す会」が結成され、そして「一〇四七名の不当解雇撤回、国鉄闘争に勝利する共闘会議」や各地での支援する会などによって国鉄闘争を支える運動の拡大がある。
 国家的不当労働行為への怒りを新たにし、一〇四七名の解雇撤回・地元JRへの復帰を目指し、国労本部の屈服を乗り越えて勝利をかち取るまで闘いぬこう。

「四党合意」乗り越え集会

 五月二十七日の夜には労働スクエア東京で、「『四党合意』を乗り越えて! 国鉄闘争勝利総決起集会」(国労に人権と民主主義を取り戻す会、鉄建公団訴訟原告団、国鉄闘争共闘会議の主催)が開かれ、国労臨時全国大会闘争に参加した闘争団、国労組合員、支援の労働者など五五〇人が参加した。
 「国労に人権と民主主義を取り戻す会」の三好登事務局長が主催者を代表してあいさつし、大谷一敏代議員(国労東京・中央支部)が臨時大会の報告を行い、本部方針案に対し六本の修正動議をぶつけたこと、次の定期大会では闘争団の除名をはね返す闘いを行わなければならないこと、鉄建公団訴訟通じて国労を再生していくことには展望があると述べた。
 つづいて加藤晋介弁護士(鉄建公団訴訟弁護団)が講演を行い、東京地裁と高裁の判決はJRに責任がないと言っているが、不当労働行為があり労働者の基本権が旧国鉄によって奪われたことは事実であり、国鉄を承継した清算事業団、そして今の鉄建公団に責任を取らせることが鉄建公団訴訟の意義であることを強調した。
 闘争団を代表して鉄建公団訴訟原告団の酒井直昭団長が決意表明した。連帯のあいさつは、国鉄闘争共闘会議の二瓶久勝議長と国鉄闘争女性応援団の戸枝晶子事務局代表が行った。二瓶議長は、共闘会議への参加は五〇団体、七万人に達し、さらに拡大していると報告した。
 音威子府闘争団家族会の藤保美年子さんは、本部の裏切りに抗し、あくまで解雇撤回を求め、苦しさを乗り越えて家族や仲間とともに闘っていくと訴えた。
 国労に人権と民主主義を取り戻す会の松本久男共同代表は、国労本部の闘う闘争団への生活援助金凍結に対する仮処分の闘いにJR職場の二〇九人が参加したことを報告した。
 最後に採択された集会アピールで「与党三党がこの臨時大会をどう評価するかではなく、この間の事実の積み上げの中から『四党合意』では、解雇当事者である闘争団員が納得できる解決など不可能なことが明らかになったいま、私たちに求められているのは、『四党合意』を乗り越えて、鉄建公団訴訟やILOを通じた国際舞台での新たな闘いを提起し、その取り組みを通して、闘争団員・家族の納得のいく解決をかち取ることである」と確認した。


「有事法制に反対する地方自治体議員共同アピール」賛同者

2002年5月23日現在 二百八十五名 (順不同)

 このほど全国の無所属議員を中心とした「有事法制反対の共同アピール」が発表された。以下は署名者一覧。(編集部)

北海道(一一名)

 大島薫(北海道札幌市議)、小林郁子(北海道札幌市議)、山口たか(北海道札幌市議)、高橋とおる(北海道函館市議)、阿部義人(北海道函館市議)、竹花郁子(北海道函館市議)、羽田美智代(北海道石狩市議)、堀弘子(北海道石狩市議)、本内義徳(北海道留萌市議)、樫見由美子(北海道北広島市議)、山田明美(北海道当別町議)

東北(九名)

  石田寛(秋田県議)、草島進一(山形県鶴岡市議)、鈴木礼子(岩手県盛岡市議)、 高田一郎(岩手県一関市議)、佐藤昭一(宮城県古川市議)、宮川えみ子(福島県いわき市議)、浅田正文(福島県都路村議)、駒崎ゆき子(福島県郡山市議)、大竹幸一(福島県田島町)

関東(一二一名)

  野口修(茨城県つくば市議)、披田信一郎(茨城県龍ヶ崎市議)、石松俊雄(茨城県友部町議)、相沢一正(茨城県東海村議)、小泉眞理子(茨城県藤代町議)、清水滋雄(埼玉県所沢市議)、 森生郁代(埼玉県所沢市議)、猪股和雄(埼玉県久喜市議)、萩野比登美(埼玉県和光市議)、須賀郁子(埼玉県和光市議)、片山いく子(埼玉県春日部市議)、青山博明(埼玉県上福岡市議)、 高橋たみ子(埼玉県富士見市議)、天田いづみ(埼玉県志木市議)、織野美穂(埼玉県志木市議)、桜井晴子(埼玉県志木市議)、水谷利美(埼玉県志木市議)、宮崎弘子(埼玉県鶴ヶ島市議)、榊原京子(埼玉県坂戸市議)、白石俊夫(埼玉県坂戸市議)、矢澤江美子(埼玉県八潮市議)、村上香代子(埼玉県三郷市議)、高橋康博(埼玉県川越市議)、田辺淳(埼玉県朝霞市議)、藤井由美子(埼玉県朝霞市議)、大矢道子(埼玉県新座市議)、星川一恵(埼玉県新座市議)、加納好子(埼玉県宮代町議)、渋谷登美子(埼玉県嵐山町議)、村上愛子(埼玉県吹上町議)、福士敬子(東京都議)、 小枝すみ子(東京都千代田区議)、竹田靖子(東京都千代田区議)、寺沢文子(東京都千代田区議)、今村まゆみ(東京都荒川区議)、斉藤ゆうこ(東京都荒川区議)、瀬野喜代(東京都荒川区議)、中村まさ子(東京都江東区議)、 かとう学(東京都江戸川区議)、古沢くみ子(東京都北区議)、遠藤千代子(東京都板橋区議)、新保れい子(東京都板橋区議)、田部井稔夫(東京都墨田区議)、村越まり子(東京都文京区議)、船波恵子(東京都品川区議)、東敦子(東京都渋谷区議)、坂本史子(東京都目黒区議)、佐藤ひろこ(東京都中野区議)、むとう有子(東京都中野区議)、山口菊子(東京都豊島区議)、木下泰之(東京都世田谷区議)、羽田圭二(東京都世田谷区議)、清水信之(東京都狛江市議)、山本ひとみ(東京都武蔵野市議)、嶋崎英治(東京都三鷹市議)、高井章博(東京都三鷹市議)、野中かず江(東京都三鷹市議)、漢人明子(東京都小金井市議)、小山みか(東京都小金井市議)、若竹りょう子(東京都小金井市議)、藤村忍(東京都小金井市議)、藤原愛子(東京都町田市議)、荒井健(東京都町田市議)、 池田はるお(東京都東久留米市議)、白石玲子(東京都東久留米市議)、住田景子(東京都小平市議)、橋本久雄(東京都小平市議)、三宮克己(東京都府中市議)、池田智恵子(東京都国立市議)、上村和子(東京都国立市議)、榊原茂子(東京都国立市議)、佐藤節子(東京都国立市議)、重松朋宏(東京都国立市議)、関口博(東京都国立市議)、山本春男(東京都国立市議)、五十嵐けん(東京都立川市議)、大沢豊(東京都立川市議)、佐瀬昭二郎(東京都日野市議)、名取みさこ(東京都日野市議)、土井節子(東京都西東京市議)、森てるお(東京都西東京市議)、長野美保子(東京都清瀬市議)、布施哲也(東京都清瀬市議)、小倉昌子(東村山市議会議員)、遠藤洋一(東京都福生市議)、井上睦子(東京都八王子市議)、門間淑子(東京都羽村市議)、木下克利(東京都青梅市議)、戸沢ひろゆき(東京都あきる野市議)、雨宮敬子(東京都日の出町議)、丸山美子(東京都桧原村議)、竹内悦子(千葉県千葉市議)、高野晴美(千葉県千葉市議)、田中康子(千葉県千葉市議)、朝倉幹晴(千葉県船橋市議)、さとうももよ(千葉県船橋市議)、中田京(千葉県松戸市議)、吉野信次(千葉県松戸市議)、空岡信耶(千葉県浦安市議)、中村春子(千葉県佐倉市議)、宮部恵子(千葉県佐倉市議)、服部かをる(千葉県佐倉市議)、日下部信雄(千葉県流山市議)、岡田幸子(千葉県市川市議)、吉川ひろし(千葉県柏市議)、日向ます子(千葉県木更津市議)、越智邦子(千葉県野田市議)、津久井清(千葉県鎌ヶ谷市議)、猪股美恵(神奈川県川崎市議)、上田祐子(神奈川県綾瀬市議)、大蔵律子(神奈川県平塚市議)、鐘ケ江洋子(神奈川県茅ヶ崎市議)、高月雅子(神奈川県茅ヶ崎市議)、中島春子(神奈川県小田原市議)、湯川素子(神奈川県南足柄市議)、奥津光隆(神奈川県真鶴町議)、須山邦昭(山梨県塩山市議)、亀ケ川正広(山梨県若草町議)、小林信(群馬県館林市議)

中部・北陸(三八名)

 北岡逸人(新潟県柏崎市議)、佐藤敏明(新潟県小千谷市議)、北野進(石川県議)、 水口裕子(石川県内灘町議)、砂田喜昭(富山県小矢部市議)、野入美津恵(富山県大山町議)、佐藤正雄(福井県議)、米村輝子(福井県大野市議)、山崎隆敏(福井県今立町議)、前田ゆきこ(静岡県静岡市議)、鈴木恵(静岡県浜松市議)、石丸美恵子(静岡県富士市議)、鈴木敏和(静岡県富士市議)、 高月フミコ(静岡県沼津市議)、栗原一郎(静岡県三島市議)、仁杉秀夫(静岡県三島市議)、津田恵子(静岡県島田市議)、大杉幸好(静岡県磐田市議)、鈴木清(静岡県細江町議)、大石和央(静岡県榛原町議)、大塚邦子(静岡県吉田町議)、青木豊一(長野県中野市議)、井出節夫(長野県臼田町議)、山本久子(長野県池田町議)、井川のぶ子(長野県松川村議)、片桐正勝(長野県中川村議)、平澤和雄(長野県中川村議)、菊池幸彦(長野県南牧村議)、種山博茂(長野県美麻村議)、小川冨貴(岐阜県可児市議)、井上あけみ(岐阜県多治見市議)、林のぶとし(愛知県議)、牧野勝子(愛知県西尾市議)、今井美千代(愛知県大府市議)、山本一昭(愛知県新城市議)、永井初子(愛知県立田村議)、小井道夫(三重県四日市議)、山川和基(三重県紀勢町議)

関西(五三名)

  砂川次郎(滋賀県志賀町議)、松井真理子(奈良県天理市議)、繁田智子(奈良県平群町議)、坂口友良(奈良県広陵町議)、宮崎恒子(奈良県川西町議)、飛鳥井けい子(京都府向日市議)、荒川浩司(京都府福知山市議)、 矢口雅章(京都府城陽市議)、次田典子(京都府京田辺市議)、水谷修(京都府宇治市議)、川端和行(京都府綾部市議)、小沢福子(大阪府議)、山中きよ子(大阪府議)、増田京子(大阪府箕面市議)、牧野直子(大阪府箕面市議)、八幡隆司(大阪府箕面市議)、桂睦子(大阪府茨木市議)、山下慶喜(大阪府茨木市議)、二木洋子(大阪府高槻市議)、上田育子(大阪府和泉市議)、金児和子(大阪府和泉市議)、小林昌子(大阪府和泉市議)、吉本ひろ子(大阪府寝屋川市議)、柏木順子(大阪府八尾市議)、小川たか子(大阪府堺市議)、吉井玲子(大阪府堺市議)、吉年千寿子(大阪府富田林市議)、一村和幸(大阪府豊中市議)、松平要(大阪府東大阪市議)、戸田ひさよし(大阪府門真市議)、清水勝(大阪府泉大津市議)、高橋登(大阪府泉大津市議)、田中一吉(大阪府泉大津市議)、栗原俊子(大阪府交野市議)、中村幸平(大阪府柏原市議)、加藤美恵子(大阪府島本町議)、澤嶋真紀子(大阪府島本町議)、八木修(兵庫県能勢町議)、北中俊雄(兵庫県議)、恩田さとし(兵庫県神戸市議)、酒井一(兵庫県尼崎市議)、丸尾牧(兵庫県尼崎市議)、森池豊武(兵庫県西宮市議)、伊藤とも子(兵庫県芦屋市議)、中島健一(兵庫県芦屋市議)、前田辰一(兵庫県芦屋市議)、山田みち子(兵庫県芦屋市議)、山口みさえ(兵庫県芦屋市議)、永井俊作(兵庫県明石市議)、井奥まさき(兵庫県高砂市議)、柏木孝(兵庫県一宮町議)、竹中史雄(兵庫県津名町議)、中谷秀子(兵庫県淡路町議)

中国・四国(三四名)

  横田えつ子(岡山県岡山市議)、竹永光恵(岡山県岡山市議)、丸山美砂子(岡山県八束村議)、原田そよ(岡山県赤坂町議)、須増伸子(岡山県早島町議)、赤岩明(岡山県佐伯町議)、中川健作(鳥取県米子市議)、浦木靖(鳥取県羽合町議)、織田洋(鳥取県智頭町議)、角田正紀(島根県松江市議)、西村敏(島根松江市議)、下迫紀弘(島根県大田市議)、中尾強(島根県安来市議)、赤木たつお(広島県東広島市議)、河北洋子(山口県柳井市議石井亨(香川県議)、梶正治(香川県議)、樫昭二(香川県議)、渡辺さと子(香川県議)、岩崎じゅん子(香川県高松市議)、亀割浩三(香川県高松市議)、三木まり(香川県丸亀市議)、石塚祐子(香川県観音寺市議)、長谷川義仁(香川県善通寺市議)、川田礼子(香川県さぬき市議)、黒石美恵子(香川県庵治町議)、三野ハル子(香川県牟礼町議)、藤田雅久(香川県豊中町議)、村上稔(徳島県徳島市議)、塀本信之(徳島県徳島市議)、阿部悦子(愛媛県議)、篠崎英代(愛媛県松山市議)、岩崎美枝子(愛媛県御荘町議)、真鍋てるみ(愛媛県大西町議)

九州・沖縄(一九名)

  せきおか俊実(福岡県大野城市議)、辻本美恵子(福岡県筑紫野市議)、増本亨(佐賀県議)、盛泰子(佐賀県伊万里市議)、須賀るみ子(大分県中津市議)、中山田昭徳(大分県大田村議)、井原東洋一(長崎県長崎市議)、岩永賢一(長崎県諫早市議)、大我喜代志(長崎県多良見町議)、神田公司(熊本県西合志町議)、川端忠義(熊本県一の宮町議)、満行潤一(宮崎県議)、のぐち英一郎(鹿児島県鹿児島市議)、小川美沙子(鹿児島県鹿児島市議)、森山きよみ(鹿児島県鹿児島市議)、西薗典子(鹿児島県東市来町議)、続博治(鹿児島県隼人町議)、高里鈴代(沖縄県那覇市議)、知花昌一(沖縄県読谷村議)


市民的論憲派を名乗る改憲派の「第五列」

   
五十嵐敬喜著「市民の憲法」(早川書房)<1600円+税>

 「市民版憲法調査会」という名の運動がある。本紙前号でも紹介されたが五十嵐敬喜(法政大教授)、天野礼子(アウトドアライター)、高野孟(インサイダー編集長)、山口二郎(北海道大教授)らの各氏(以下、敬称略)の呼びかけで作られたグループで、毎月学習会などを重ねながら、一年かけて「市民版憲法改正案」を作るのだという。
 この運動の「教科書」的な本として、最近、出版されたのが五十嵐氏による「市民の憲法」だ。
 五十嵐は「同時多発テロ以来、……憲法が注目され、いよいよその改正が政治日程にのぼってきた。しかし、憲法論議はほとんど政治家・評論家・マスコミに独占され、本来主人公であるべき国民は置き去りにされている。……本書はまず『改憲』と『護憲』の不毛な対立に対して、憲法をどうしたらよいかは、事実を基礎に具体的に市民にわかることばで論議すべきであるとの『論憲』の立場に立つ。……国民主権の原理にたって、真に市民のものとなる憲法を歴史上初めて体系的に論じた」(本書・帯)という立場だ。
 あるいはこうも言う。  「立法事実、すなわちなぜこの憲法を改正しなければならないか、という前提条件をまずはっきりさせるということである。この方法論を私たちは『論憲』と名づけ、自らの立場を『論憲派』と位置づけた。……(私たち論憲派は改憲の)市民案を国会に上程し、場合によっては、たぶん、今後、政府あるいは有力な政党や議員がつくるだろうさまざまな憲法改正案とあわせて、これも同様な資格を持つ案として一緒に国民投票の対象にさせたいということなのである。この一点で、私たちはこれまでと異なっている。現行憲法が定めている国民主権とは憲法改正発議権が国会に独占されるのではなく、国民にもある、ということだと解釈したのである」と。
 そして「九条だけではなく、全面的に憲法を論じる必要がある」として「基本的人権の再考」とか、「環境権」とか、「大統領制」とか、「憲法裁判所」などについて書き並べる。
 現在の憲法論争について、多少とも知っている人は、これらがすでに各所で議論され尽くしている問題だということがすぐわかる。これらの五十嵐の論点には、本人の自画自賛に反して「新しさ」などはまったくない。
 そして第九条については「憲法九条に手をいれるということは、自衛隊を軍隊として認めるということである。そして、軍隊と認めるとしても、あるいは認めるからこそ、これに対して文民、つまり市民のコントロールが強化されなければならない。この二つ、つまり宣戦布告や市民統制の手続きをどうするかということが一体でなければ、近代的国家の軍隊とは認められないのである」と言う。
 「不毛な論争」などと言うが、実は論争について研究した痕跡がない。おそらく五十嵐は憲法論争の現状と、憲法に関わる市民運動の現状にまったく無知な人物であろう。「善意の論憲派」であることを信じたいが、「九条問題」でもここまで書くと、はたして「善意」かどうかも疑われる。
 「市民派」だというが、これらの五十嵐の「論憲論」は鳩山由紀夫ら民主党の多数派と公明党に見られる「論憲」論に瓜二つだ。
 二年余り前、国会で憲法調査会が発足した当時、国会には改憲、論憲、護憲の三派があると言われた。二年を経た憲法調査会の特徴のひとつは、「論憲派」が消滅し、改憲派にスタンスを移したということだ。五十嵐の「論憲」はさらに明確で、その出発から改憲派であることだ。
 先に引用した「今後、政府あるいは有力な政党や議員がつくるだろうさまざまな憲法改正案とあわせて、これも同様な資格を持つ案として一緒に国民投票の対象にさせたい」というに至っては、無責任の極みだ。現行憲法九六条の規定では「市民案」を国民投票の対象にすることはできない。それを実現するには「改憲」をしたあとだ。いくらなんでも九六条が「市民案」への「国民投票」も可能だと解釈するには解釈改憲がすぎるというものだ。山口二郎は改憲義連がこの国会に提出しようとして断念した「憲法改正国民投票法案」についても、「反対するのではなく、よりよい対案を」と提唱しているが、「対案」でもこれをもりこむことは不可能だろう。にもかかわらず国民投票にかけるための憲法改正草案を準備することを呼びかけるのは、重大な欺瞞だ。それがどのような結果をもたらすのか、五十嵐が専門は憲法学ではなく、公共事業問題などを含めた立法学であることを割り引いてみても、無責任にすぎる。(斉藤)


残侠伝2

     
「七三一部隊」の元隊員たち

 五月のはじめ東京在住の山辺悠喜子氏から電話が入った。
山辺氏は日本人ながら夫とともに八路軍兵士として日本軍と闘い、今は七三一部隊本部が存在した中国哈爾浜(ハルビン)市と日本の元隊員などの連絡責任者を務めている。
 ハルビン市平坊区にある七三一部隊資料展示館から元隊員を招待し当時の体験を語ってもらいたいという話がきている。日中国交回復三〇周年事業のひとつだという。
 ついては岩手在住の元隊員に行ってもらうよう説得してくれないかという要請であった。
 実は岩手でも、この展示館から細菌爆弾の実物や資料、写真を借りて、九四年夏に「七三一部隊展・いわて」を開いたが、十一名もの元隊員の存在がわかり、そのうち六名の証言をまとめた本を出版したら盛岡の大手書店でベストセラーになったという経緯があった(英文訳も出た)。
 私はさっそく花巻市のK氏(80)へ連絡をとった。
 K氏は十四歳で七三一部隊へ送られ、ペスト菌兵器開発の助手をするかたわら、自らもマルタ(中国人捕虜)の生体解剖をやらされたり、部隊の初期の活動全体を見てきた数少ない貴重な証言者である。
 九六年から実名で各地で証言し、神奈川大学のフォーラムにも参加し戦争のむごたらしさを訴えつづけてきた。
 九八年に地元のテレビ局の企画で「九〇%は殺されてもかまわない」という覚悟で現地を訪問したが、中国の人びとの「歴史は歴史、友好は友好」という寛大な立場から歓待されて帰ってきた。
 翌年K氏は脳出血で入院生活になるが、当時のことが頭をよぎり何度もうなされたという。
 私は改めて戦争というものが被害の側へも加害の側へも決して癒されることのない深い傷を残すものであることを思い知らされ、暗たんたる気持ちにさせられた。
 K氏は現在だいぶ元気になり、今回の訪中の話を切り出すと、是非行きたいと語ったが、介護している奥さんをはじめ家族の方々の客観的判断で、健康上無理ということで話はたち消えとなった。
 盛岡市在住でハイラル支部で細菌戦に参加し、岩手では一番に実名で証言してきたW氏(79)にも連絡したが、海外旅行はドクターストップをかけられているという。
 岩手の十一人をはじめ全国の元隊員たちのほとんどが、隊長の石井四郎軍医中将が箝口令を出したため、人生でいちばん輝いた青年時代を共にした仲間たちとの戦友会さえ開けないで、秘密をだいたまま高齢のため次々と亡くなっている。
 戦友会を開くため全国に向けて呼びかけをやったことがあったが、全国からのいやがらせばかりが先にたち実現しなかった。
 一関のYさんは終戦まぎわに現地に送られ、建物の破壊やマルタの死体に石油をかけて焼いたりする任務についた。電話をすると奥さんが出てきて、Yさんは二年前に六九歳でガンで亡くなったと告げられた。最後に会った時もしきりに現地に行きたいと話していた。
 その晩、私は自分の非力さと有事立法を呪いながら痛飲してしまった。 高橋龍児(〇二・五・二六)


部落史から取り残された諸賤民について J  

          陰陽師 (その@)    
    
                      
大阪部落史研究グループ 

 最近とみに有名になった陰陽師、書店に行ってもひとつのコーナーがあり、夢枕漠さんの本がずらりと並んで、またテレビにも多数取り上げられている。
 これらはいまの世相を反映しているかもしれない。
 陰陽師といえぱ安倍晴明・賀茂保憲などで『今音物語』などの平安王朝文学に登場し、摂関期の政治抗争の裏側で予言を行い、あるいは式神を使役し、呪法を駆使したと信じられる、実に神秘的で印象深い存在である。
 今回から彼らの歴史と役割をとりあげる。
 陰陽道は古代中国でおこった陰陽五行説を元に、日月や十干十二支の運行により吉凶禍福を判定し、国家・杜会・人の行為行動を規制した。占いの技術である「易」からそれは発生したが、暦道つまり天文暦法を発達させ、また儒教・道教・仏教と習合して中国の思想・諸学の発展に大きな影響を与えた。日本へは律令官制の整備の中で伝わり、陰陽寮が置かれ、ト占を担当する陰陽遺及び暦道、天文道、それに時刻を報せる漏刻の四つの仕事を国家的事業として行うこととなった。やがて時代が下がるとともに律令制度の解体と天皇支配の弱体化により、陰陽道が日本的に発展させることとなった。
 日本では呪術的な面が重んじられ、伝統的な習俗や民間の禁忌などが取り入れられるようになった。同時に陰陽寮に属していた職員たちの中にも、国家の支配を離れ、しだいに民間の呪術者としての道を歩むようになった人々もおり、陰陽師と呼ばれるようになった。なかには勝手に陰陽師を名乗り、下級の宗教者として、専業化する人々も登場するようになった。こうした、陰陽師の多くは、被差別民としての扱いを受ける人びとだったが、陰陽道を民間に広める役割を果たした。(つづく)


複眼単眼

  
議会至上主義のお上品な議論と兵役の義務・徴兵制

 「徴兵制は憲法違反だという議論があるが、賛成できない。なぜ国を守るという国防の義務にもとづく徴兵制が憲法十八条の『意に反する苦役』に該当するのか」というとんでもない発言が、五月二三日の衆議院憲法調査会の基本的人権小委員会で自民党の石破茂の口から飛び出した。
 こんなおろかな議論が現行憲法下の国会ででてきたのは初めてではないだろうか。
 しかし、与野党の委員の誰もがその場で抗議することはなかった。
 思うに「憲法調査会は論憲の場だから」という感覚が委員の間に作られてしまったからではないか。たしかに意見をいうことは許されるが、その責任はある。国会議員が徴兵制を肯定的に発言する真意を質す議論は即座に必要だったのではないか。
 話題はずれるが、最近の国会の議論は一事が万事、このようにものわかりがよすぎる。与えられた持ち時間で発言し、時間がくると採決する。「反対!」と叫んで終わり。これなら選挙が終わって与野党の議員数がきまったら国会の役割は終わりだ。これは議会至上主義というものだ。
 憲法十八条は「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。また、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない」と定めている。徴兵制とは兵役の義務であり、当然にも兵になるのがいやだと思う人にも兵役を強制することになる。軍隊を持たないという第九条違反であるのはもとより、明らかに十八条違反だ。石破はこれに噛みついた。
 憲法調査会はいま参考人質疑という形で審議を行なっている。この日は筋金入りの右翼、伊藤哲夫(日本政策研究センター所長)が参考人として招かれた。伊藤は「日の丸・君が代」問題や「教科書」問題で活発に動いている右派集団「日本会議」の常任理事で、「教科書改善連絡協議会」の運営委員長などをやっている。このような人物が憲法調査会の参考人にでてくるところが恐ろしい事態だと思う。
 伊藤は「憲法に義務規定が少なすぎるという議論があるが、そんなに多くはいらない。国家共同体の前提として、憲法に国防の義務を書き込むだけでいい。それで他は解決する」と述べた。冒頭に紹介した石破発言はこれにつづいて出てきたものだ。
 伊藤は改憲すべき条項として、この「国防の義務」規定を加えること以外に
は、@「新しい権利(情報、環境)」条項については慎重に検討したうえで新設すべきだ、A「政教分離」は絶対的分離でないことを確認せよ(天皇制問題や靖国公式参拝などを想定している)、B「家族尊重」の規定を新設せよなどの諸点を主張した。
 ヨーロッパ各国だけではなく、この日本でも小泉首相の独断専行の政治手法のもとで、ファシズムが芽生えている。 (T)