人民新報 ・ 第1062号<統合155号> (2002年6月15日)
目次
● 戦争システム確立めざす有事三法廃案へ STOP!有事法制6・
全国大集会の成功を!
● 反戦平和世界同時行動デー・東京行動
● 日弁連が緊急公開パネルディスカッション この有事法制は危険だ
● 劉連仁裁判控訴審の勝利へ 1審勝った、福岡が続いた、絶対勝とう集会
● 解雇無効の東京地裁判決 反リストラ産経労の大きな勝利
● 有事関連三法案の廃案をめざして(上)
明文改憲の動きと一体で進む有事立法を阻もう (斉藤吾郎)
● 私たちの個人情報は守られるのか? 防衛庁でのリスト作成と個人情報保護法案
● 資料・政府首脳の非核三原則見直し発言に抗議(日本非核宣言自治体協議会)
● 複眼単眼 / 秘すれば花、漏らした奴は誰だ? 伊藤防衛事務次官らの人権感覚
戦争システム確立めざす有事三法廃案へ
STOP!有事法制6・ 全国大集会の成功を!
有事法制関連三法案をめぐる情勢が大きく揺れ動いている。
すでに政府・与党はこの第一五四通常国会会期中の採択を断念し、国会会期の大幅延長を画策している。有事関連三法案のみならず、小泉政権が最重要法案と称している「医療制度改革法案」「個人情報保護法案」「郵政関連四法案」はいずれもが六月十九日までの国会会期内採択は事実上、不可能になった。
窮地にたった小泉内閣は世論に対して「小泉構造改革の前進」を演出するために、会期の大幅延長と法案の「優先順位」の検討をはじめた。小泉内閣は当面、郵便事業への民間参入を承認する郵政関連四法案と、サラリーマン本人の医療費三割負担などの医療制度改革法案を優先することで「構造改革」を宣伝し、あわよくば有事法制関連三法案も成立させたいとしている。
有事法制では小泉首相は先の公聴会決定で与党単独審議を強行し、野党のボイコットを招いた事態を考慮に入れて、野党民主党を修正協議の場に引きずりだそうと「国民的コンセンサスを得る必要がある」などと言いだした。
しかし、「連合」までもが「今国会での有事法制廃案」を主張せざるをえなくなったほどの全国的な有事法制反対運動の高揚は、民主党の修正協議の選択の余地をますますせばめてきた。市民運動、ついで労働組合運動が先行してきた有事法制反対の声は、いまや日本弁護士連合会、日本ペンクラブ、全国憲法研究会、日本青年団協議会、日本生活共同組合連合会、マスコミ各社の社長、地方自治体の首長や議会など、政治的な問題では発言に慎重な中立系諸団体からもつぎつぎに有事法制反対の声があがってきた。
加えて、福田官房長官、安部副長官らの非核三原則廃棄・核保有発言と、防衛庁による情報開示請求者の思想・信条調査を含めたリストづくりが発覚したことも、この悪法の強行を狙う小泉内閣を窮地に追い詰めている。
情勢はいまだ予断を許さないが、今後の闘いの展開によっては戦争体制確立法・有事三法案の廃案を実現する可能性も大きくなってきた。
いまこそ、全力をあげて「有事法制を廃案へ!」の声をあげ、運動を拡大し、共同行動を広め、歴史的な闘争を展開していく時だ。
* * * * * * * *
一月二一日、第一五四国会の開会にあたって、市民緊急行動や宗教者が共同して開催した「緊急院内集会」は有事法制反対、憲法改革のための国民投票法案反対をかかげ、広範な共同行動を呼びかける先駆的な役割を果たした。この集会には土井社民党党首、志位共産党委員長、横路民主党前副委員長も出席し、参加した市民とともに有事法制の阻止を誓いあった。そして二月のブッシュ米大統領来日抗議闘争の高揚を経て、平和フォーラムと市民の共同による三・一四日比谷集会、四月三日の陸・海・空・港湾関係労組二〇団体と市民、宗教者が有事法制反対で初めて共同した国会前集会などが連続的に行なわれた。これにも野党三党と無所属の国会議員が参加した。四月十六日には平和フォーラムが、四月十九日には「二〇団体」の枠組みでの共同が、それぞれ集会を開いた。そして五・三憲法集会の成功を経て、五・二四明治公園の四万人集会の成功があった。そしていままた六・一二日比谷集会と六・一六代々木公園全国大集会が準備されている。
これらの過程でそれぞれの枠組みの集会がかたくななセクト主義に立つのではなく、メッセージ交換や代表を派遣して連帯するなどの努力もあったし、五月二八日、三一日には国会前で連合・全労連・全労協の事実上の共同の座り込み行動も行なわれた。
あわせて関西や沖縄をはじめ全国各地でも、数多くの共同行動が組織され、運動の高揚がはじまった。
署名運動や学習集会なども各地域でさまざまに取り組まれている。
市民団体や宗教団体、あるいは二〇労組、とりわけ海員組合や全国港湾、航空労組連絡会、新聞労連などの部分は積極的に共同行動をはたらきかけ、防衛し、その成功に重要な貢献してきた。
こうして、いまや「STOP!有事法制六・一六全国大集会」を成功させることは、今後の情勢を切り開くうえで最重要ポイントに立つものとなった。私たちはなんとしてもこの集会を成功させ、この力で有事法制を廃案にさせ、政府・支配層の戦争国家システムづくりの策動に打撃をあたえなくてはならない。
国会会期延長反対!
有事三法案を廃案へ!
小泉内閣をうち倒そう!
反戦平和世界同時行動デー・東京行動
6月22日(土)午後2時30分開会 渋谷宮下公園 主催・実行委員会
平和を愛好する日韓の市民・民衆諸団体が共同して、全世界の人びとに「反戦平和のための世界同時行動」を呼びかけている。その一環で「W杯対抗アクション」を準備している実行委員会は六・二二東京行動について、要旨以下のように呼びかけている。ともに行動の成功をかちとろう。
サッカーのワールドカップが始まり、マスコミをはじめ全国的に大騒ぎが演出されている。
しかし、この「平和と友好のスポーツ祭典」の演出の裏では、警察や自衛隊による戒厳令的な警備体制が布かれ、横須賀の米空母が韓国沖に派遣され、自衛隊がAWACS(空中戦闘指令機)を動員し、韓国の会場付近にはミサイルまで配備されるという、全面的な軍事体制のもとで行なわれているのだ。
ブッシュ大統領は本年年頭のイラン、イラク、北朝鮮を「悪の枢軸国」と決めつけた政策をいまなお改めようとはしていない。イラクを脅迫し、北朝鮮の周辺ではこのような大がかりな軍事行動を行なっている。これらが緊張緩和に逆行するのはあきらかだ。
日韓両国政府はワールドカップを契機に「過去より未来志向の関係を」と宣伝している。またこの中で天皇や皇族も積極的に利用されている。
過去は現在に、そして未来につながっている。日本の侵略戦争と植民地支配の責任を明確にし、未来に向かい本当の平和と友好を築くために、ブッシュの戦争拡大政策に反対し、小泉政権の有事法制・軍事大国化の道に反対しよう。
戦争屋ブッシュをけっ飛ばせ!
有事法制にレッドカードを!
日弁連が緊急公開パネルディスカッション この有事法制は危険だ
六月七日夜、日本弁護士連合会は東京・霞が関の弁護士会館で有事法制に反対するシンポジウムを開催した。集会には約三〇〇名の市民が出席した。
冒頭、シンポジウムに先立って日弁連の本林徹会長が「日弁連は一般に政治的見解の表明には慎重だが、この有事法制は批判しないわけにはいかない」とのべ、「戦争体験を持つ者のひとりとして、若い世代に平和の大切さを訴えたい。すでに日弁連は有事法制に反対する意見書を発表した。私たちは憲法に反する法は認めない。法案は憲法の三原則や前文の考え方に抵触し、ないがしろにするもの」と批判した。
基調報告は日弁連有事法制問題対策本部長代行の村越進氏が行なった。
村越氏は日弁連が有事法制を支持できない理由として、@「武力攻撃事態」の定義や範囲があいまいであること、A重大な基本的人権侵害のおそれがあること、B憲法の平和主義の原則をふみにじる恐れがあること、C首相に強大な権限が集中し、民主主義が機能しなくなる恐れがある、Dメディア統制と知る権利の侵害のおそれがあることなどをあげ、有事法制廃案に向けて全力を尽くすと表明した。
パネルディスカッションはコーディネーターを日弁連有事法制問題対策本部副本部長の新垣勉弁護士が行い、古関彰一(独協大学教授)、田岡俊二(アエラ編集長)、大野則行(航空安全会議議長)、渡辺陽子(日本YWCA)の各氏がパネリストとして発言した。
古関氏は「武力攻撃事態法は基本法であり、重要法案だ。戦後五〇年の頃から日本政府は憲法との緊張関係をなくしはじめ、橋本・クリントン会談でタガが一挙に崩れた。今は法体系がメチャメチャになっている。歴史の大きな曲り角だ。日本は世界の流れから大きく外れる。戦前の参謀本部が戦争に突入していった状況に似ているのではないか」と発言。
田岡氏は「極東ロシア軍の弱体化など、日本に武力攻撃をしてくる国はない。テロ・不審船は警察マターではないか。陣地など誰にたいして必要なのか」と述べた。
大野氏は「民間航空機の軍事利用を許さない、戦争の被害者にも加害者にもならないという運動をしてきた。私たちは昔で言えば軍属の扱いで戦場に動員される。周辺事態法の時には取り組みが遅れたが、今回は市民運動や宗教者の人びとと協力してすすめている」と述べた。
渡辺氏は「かつて日本YWCAは朝鮮YWCAを吸収して戦争に協力した経験がある。いま戦争の問題が同じく問われている。三法案を絶対に通してはならないと思う」と決意を述べた。
議論では「なぜいま有事法制か」をめぐって、田岡氏が「意味がない。中谷長官がスネているのではないか」とピントが外れた発言をしたのにたいして、新垣氏や大野氏が「周辺事態法につづく有事法制は政府がねらってきたためだ」と批判した。田岡氏は「今回は国民への強制はない」とも述べたが、他のパネリストからは「強制はあるし、今後、さらに強化される恐れもある」との反論があった。
大野氏が最後にこの時期に日弁連がこうした有事法制に反対する行動に立ち上がったことは、労働者や市民の運動に大きな励ましになると指摘した。会場からは共感する大きな拍手があった。
劉連仁裁判控訴審の勝利へ 1審勝った、福岡が続いた、絶対勝とう集会
五月二八日に劉連仁裁判の控訴審が東京高裁で始まった。
控訴審では、勝利した東京地裁判決を一歩たりとも後退させない、いわば負けるわけにはいかない闘いが求められている。この裁判では国の責任をどこまで認めさせるかがカギになる。今後、三ヶ月に一回のペースで控訴審が行われることになった。
原告の一人、劉煥新さんは毎回の控訴審を傍聴する予定でいる。
同日夕方から、東京の文京区民センターで「劉連仁事件(一審)勝った!福岡が続いた!控訴審ぜったい勝とう!5・28集会」が行われた。
この集会は、裁判の勝利をめざすだけでなく、中国人強制連行訴訟の全面解決に向けた決起集会的な意味で行われた。
集会では、一人でも多くの人びとに劉連仁事件のことを知ってもらおうとして作成された紙芝居の初めての実演が行われた。
つづいて中国人強制連行弁護団団長の高橋弁護士から裁判闘争についての報告がおこなわれ、原告代表の劉煥新さんから控訴審勝利に向けた挨拶を受けた。
この集会は浅井基文氏の講演を予定していたが、体調を崩したために中止された。そこで急遽、「平頂山事件訴訟」を担当している泉沢弁護士から、「有事法制と中国人戦後補償」というテーマで話をしてもらった。
最後に、この集会の前日に提訴した中国人強制連行群馬訴訟の「支援する会」の結成総会に参加した弁護士からの報告を受けた。(A)
解雇無効の東京地裁判決 反リストラ産経労の大きな勝利
産経グループ内での闘い
五月三十一日の東京地裁判決は、政治反動化のイデオロギー的な尖兵としての役割を担っている産経グループに大きな打撃が与えた。産経グループは反動的な役割を果たすため、社内的には御用組合の育成とファッショ的な労働者の権利の剥奪を進めてきた。世にいう「サンケイ残酷物語」は続いていたのである。そうした条件の中でも闘う産経グループの労働者たちは、九四年一月に産経新聞労組の超御用労組路線に反対して反リストラ産経労(反リストラ・マスコミ労働者会議・産経委員会)を結成した。
しかし、会社は団交要求を拒否するなどさまざまな嫌がらせを続け、同年九月二十二日に松沢弘委員長(産経新聞グループの日本工業新聞社元論説委員)を「業務を拒否した」との口実のもとに突如として懲戒解雇した。会社は松沢さんが論説委員在任中の同年二月一日、松沢さんを本社の仲間から切り離なすため千葉支局長に配転した。この配転のために会社はわざわざ専任支局長のポストを新設した。
反リストラ産経労は、ただちに東京都労働委員会に訴えるとともに、会社への抗議、労働委員会闘争、裁判闘争などを粘り強く展開し、また総行動への参加などを通して闘う連帯を拡大してきた。そして、今回の地裁での勝利判決が出たのである。
解雇無効・七千万円支払え
五月三十一日、東京地裁民事一九部(山口幸雄裁判長)は、反リストラ産経労の松沢弘委員長が懲戒解雇無効・社員としての地位確認を求めている裁判の判決を言い渡した。
判決は、解雇を決定した「賞罰委員会」に制裁を行ったもの自身が参加しているなど重大な手続き違反があり、これは解雇権の濫用に当たるとして、「(1)原告が被告に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。(2)被告は、原告に対し@金一一九五万七七〇〇円、A平成八年五月一日から本判決確定まで毎月二五日限り月額四六万八三〇〇円、B毎年六月と一二月の賞与各金一〇二万円」(それぞれに年六分の利子)というもので、松沢さんの社員としての権利を認め、これまでの未払い賃金など総額約七〇〇〇万円の支払いを命じた。
一六〇〇万円を確保
判決後直ちに、当該・弁護士と支援は、執行官とともに、産経新聞社内の日工本社に出向き、一六〇〇万円の現金を確保した。
会社側は、この判決を不満として控訴し、松沢委員長に支払われるべき残りの五四〇〇万円についても、四五〇〇万円もの巨額の供託金を積んで、強制執行停止の申し立てを行った。これからは東京高裁に場を移して法廷闘争が続くが、強力な弁護団の力と、日ごとに広がる支援の輪で松沢委員長と反リストラ産経労を包み込んで、松沢委員長の原職復帰という最終的な勝利を勝ち取る闘いが展開されよう。
松沢委員長は「多くの方々のご支援を得て、第一審の勝利を手にすることができました。今後は、都労委とあわせて高裁での闘いに取り組み、産経新聞の親会社であるフジテレビへの要請行動も、これまで以上に積極的に繰り広げてゆくつもりです。何としても原職復帰を実現し、フジテレビ・産経新聞グループを、まっとうなメデイアとして再生させてゆきたい」と力強く決意表明している。
松沢委員長の勝訴判決に対して、各方面から力強い励ましの声が寄せられている。反リストラ産経労が運営しているホームページ『フジテレビ・産経新聞の真相』の掲示板には、全国から祝辞が次々と書きこまれ、全面勝訴の波紋が大きく広がっている。
闘いは広がり次の段階へ
「勝訴おめでとうございます。働く者の人権がないがしろにされる国での、ないがしろにする旗振り役企業に勝利したことは、日本全体の働く者を励ます大きな勝利です。これまでの過酷なたたかいに本当に頭が下がります。これからの第二、第三の山を越え、前進していくことを信じています。」/「全面勝訴まことにおめでとうございます。産経新聞の労働者に対する処遇・行状等について述べられている内容を初めて拝見した時には組織を批判したら即左遷・首切りというわが国の組織の病理の一端を垣間見たような気がしてなりませんでした。私の父の知り合いにも国労の方が居られますが、JRが国労組合員に対して行った仕打ちをその方を通して身近に感じていただけに、他人事ではないように感じておりました。まだ闘いは続くようですが、これからも頑張って下さい。」/「勝訴おめでとうございます。この会社の行状を初めて知ったとき、僕は『沈まぬ太陽』を思い起こしました。当時の日航と今の日本工業新聞、産経の姿勢は全く同じです。民主主義の世の中で労働組合潰しをやってのけた日本工業新聞、産経のやり方は到底民主主義を遵守し、広め伝えて、権力側の批判をするべきマスコミの取るべきこととは全く思えない。狂気の沙汰とはこの事でしょう。『労働無法地帯』と化す日本では、やはり労働組合が果たす役割は高まっています。無法な組合潰しと闘ってきた皆さんに心から敬服します。それでも、産経や日本工業新聞は全く反省の念を抱いていないらしいですね。産経の見事なまでに一方的な記事がそれを物語っています。産経がイデオロギー的な部分以前でもうすでにマスコミ失格である事がよくわかります。」/「フジ産経が、いかに愚かな企業集団かを物語っていますね。フジ産経は、国家権力に屈したわけです。メディアの立場にある企業なのに恥ずかしい限りです。」/「今回の判決を受けて、私も喜ばしく思います。近年経済優先主義で、あえて理由があっても裁判が労働者や庶民の意思を認めない風潮がある中で、貴重な判決だったと思いうれしく思っております。」
反リストラ産経労のホームページ(http://www4.justnet.ne.jp/~fujisankei/)
有事関連三法案の廃案をめざして(上)
明文改憲の動きと一体で進む有事立法を阻もう
斎藤吾郎
@異様、異常な国会論議
法案反対の世論が急速に高まりつつあるなか、有事関連三法案が衆議院特別委員会で審議されている。小泉内閣と与党はこの第百五十四国会で会期を延長してでも、他の重要法案同様、有事関連法案を採択しようとしている。
この有事(戦時)三法案は、日本国憲法とは両立することのできない軍事法体系(戦争システム)の確立をめざすものであり、平和憲法をないがしろにするもので、いわば究極の解釈改憲的法案だ。小泉内閣と戦争国家化推進勢力は、この軍事法体系を確立することで平和憲法にもとづく法体系を破壊し、名文改憲に先立って憲法を空洞化させ、形骸化させようとしている。
有事法制の審議の最中、福田官房長官、安部官房副長官の核保有・非核三原則破壊の発言が飛び出した。その後の自民党内の議論をみれば、これらが決して偶然の失言などではなくて、自民党の中で増殖しつつある動きと軌を一にしたものであることは明らかだ。
また、いま有事法制と表裏一体の「個人情報保護法案」が国会に提出されているが、その危険な本質を暴露した防衛庁の「情報公開請求者リスト」問題は、防衛庁ぐるみの犯罪であったことも明らかにされつつある。
衆参両院の憲法調査会では改憲派議員によって公然と「国防の義務の明記の必要性」が叫ばれ、「徴兵制は憲法違反にはあたらない。国防の義務がなぜ憲法第十八条の苦役に該当するのか。こうした議論は、国防のために頑張っている自衛隊員への侮辱ではないか」などという議論がかわされている。
Aすすめられる有事法制の先取り
有事法制が事実上、先取りされ、実行されていることを示す最近の事例を確認したい。
第一は、いまなお自衛隊の艦隊がインド洋、アラビア海にいてアメリカのアフガン攻撃に参戦していることだ。政府は五月十九日で期限が切れる派遣期間を、米軍の要請でさらに半年間延長した。そればかりか防衛庁は石川島播磨など一〇数社に自衛艦の修理などのために民間技術者を派遣するよう要請した。この補給基地、修理基地は軍事機密として秘匿されている。これらの港湾は「不審船」などが横行して、いつ攻撃されるかわからないからだという。インド洋派遣艦隊ではすでに自衛官一名が病死、一名が事故死していることも確認されている。
第二は、海上自衛隊幕僚監部の「イージス艦派遣要請事件」だ。四月二九日にはワシントンを訪れた与党三党の幹事長らに対して、アーミテージ国務副長官やウォルフォビッツ国防副長官は「自衛隊のインド洋派兵の基本計画の延長と自衛隊のイージス艦とP3C哨戒機の派遣」を要請したとも報道された。
イージス艦の派遣問題は昨年のアフガン戦争に関する自衛艦隊の派遣に際しても問題になり、自民党の野中らが「それをやったら憲法の禁ずる集団的自衛権の行使になってしまう」と抵抗し、派兵寸前で中止されたことがある。実際、イージス艦による米軍の前線基地「ディェゴガルシア島」の防衛行動は、「集団的自衛権」と呼ばれる共同作戦そのものだ。イージス艦の超一流の情報収拾能力とミサイル攻撃能力によって、日本自衛隊が米海軍の代わりにディェゴガルシア島の基地を防衛することで、米艦隊はペルシァ湾に進出できるのだ。
五月六日の朝日新聞は一面トップのスクープで「海幕、米軍に裏工作 イージス艦派遣対日要請促す 対イラク戦の前に」という記事を掲載した。防衛庁海上幕僚監部の幹部が四月十日、在日米海軍のチャプリン司令官を訪ねて「イージス艦やP3Cのインド洋派遣を米側から要請するように」と働きかけ、「イラク開戦に踏み切ってからでは派遣は難かしくなる。何もないいまのうちに出しておけば開戦になっても問題にならない」と説明したという。
朝日新聞は「文民統制を揺るがす海幕の独走」と批判した。
B有事法制をしゃにむにいそぐ小泉内閣
これまでの法案審議でもいっそう明らかになったように、これは矛盾と穴だらけの法案の体すらなしていない法案だ。各方面から指摘されているように、とりわけ第三章「武力攻撃事態への対処に関する法制の整備」や第四章「補則」などにもりこまれている内容は、今回の有事法制案が他に例を見ないほどの欠陥法案であることを典型的に示している。
一九六三年の「三矢研究」に端を発し、一九七七年の福田内閣当時の「有事法制研究」から本格的にはじめられ、二五年にわたって「慎重に」すすめられてきた有事立法準備が、森内閣から小泉内閣にいたる短期間に、その緊要性が強調されるようになった。そして「九・一一」や「不審船」事件を契機に一気呵成に法案の国会上程に至った。
法案二十三条二項にも「その緊要性にかんがみ」と規定されているが、「なぜいま、このように有事法制をいそぐのか。なぜ緊要なのか」という問いには、政府は明快な答えを用意していない。ここには有事法制の本質にかかわる問題が内包されている。
もとより有事法制の確立は、より本質的には百八十兆円という対外純資産残高が依然として世界第一位を占める日本支配階級・帝国主義の本質にもとづく必然的な要求だ。
しかし、七〇年代に始まった冷戦体制下の有事法制と、二十一世紀の有事法制はその様相を大きく異にしている。
一部ではアフガン戦争につづいて六月にも開始するといわれた米軍のイラク攻撃は、パレスチナへのイスラエル・シャロンの攻撃と殺戮や、中東各国やEUなどの消極的姿勢から、ただちに攻撃を強行することが困難になっている。しかしブッシュは遅くとも年明けからの攻撃を狙っているともいわれている。
今年年頭のブッシュ米大統領による「悪の枢軸国」論はイラクおよびイラン、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)を名指しするきわめて挑発的で危険な発言だった。アメリカはそれを撤回していないし、これらの国々に対する軍事的攻撃の可能性を否定していない。
アメリカの北朝鮮攻撃の恫喝とその可能性について考えるうえでは、一九九四年の「北朝鮮核疑惑」を契機とする朝鮮半島危機を思い起さなくてはならない。
北朝鮮への軍事攻撃を決意したアメリカは、その軍事作戦に必要な日本の全面的協力を一〇〇〇項目以上にわたって要求した。いわば「湾岸戦争」でのサウジアラビアの果たした最前線での兵たん・補給基地の役割を日本に要求したのだ。アフガン戦争のパキスタンや中央アジア諸国の役割と同様で、この体制なくして米国は大規模戦争には踏み切れない。
しかし、空洞化されてきたとは言え平和憲法体制に制約された日本には、このような戦争法体制の整備、特に有事法制と「集団的自衛権の行使(日米攻守同盟)」を可能にする体制はなかった。そのために米国の要求を返上せざるをえなかった。そこで米国はカーター元大統領を特使として朝鮮に派遣し、金日成との会談でことを収めざるをえなかったという苦い経験をした。
この経験はアメリカの北朝鮮恫喝は、日本の有事法制準備なしには実現しえないことを示した。
今国会で「なぜいま有事法制か」という問いに、中谷防衛庁長官らが「ずっと以前から必要だったものを、いままでサボってきたツケに過ぎない」と居直ったのもこうした経過からきている。
以降、日本の歴代内閣と防衛庁は有事法制の整備にむかって走りだすことになった。
九六年の「日米共同宣言」にもとづいて、九七年には安保を再定義(事実上の大改定)した「新ガイドライン」が策定された。九九年五月には「周辺事態法」が制定され、急速に日米共同軍事作戦体制の法整備がすすめられた。
二〇〇〇年一〇月、アーミテージ(現国務副長官)を中心にした米国防大学国家戦略研究所によるレポート(米国と日本、成熟したパートナーシップのために)が発表された。そのレポートは日本政府が有事法制整備や集団的自衛権容認の方向に進むことを要求しており、それが改憲の課題になるかどうかは日本が決めることとしていた。
こうして日本政府は二〇〇一年には「対テロ特別措置法」の採択を強行し、本格的に有事法制を準備するにいたった。
有事法制の提出にあって外務省の東郷政策局長が「有事法制が国際的な信頼を醸成するものであり、アメリカの信頼を得るうえで必要」と述べたのもそうした経過を表現している。
C「備えあれば憂いなし」か
小泉首相が「備えあれば憂いなし」とか「治にいて乱を忘れず」とか「万が一に備える」などという論理を振りかざしてこの悪法を推進しようとしていることは周知のことだ。一見、明瞭にみえるこうした説明は、マスコミを通じて一定の人びとの思考をとらえている。しかし、これはまったくのデマゴギーに他ならない。
かつて「戦争論」で有名なクラウゼビッツは「戦争は政治の延長」だと喝破した。戦争は自然災害とは異なり、突然起こるものではない。それに先立つ「戦争を必然にする政治」の積み重ねがある。戦争は準備をするとやってくるのだ。
日本にとっての真の「備え」とは「有事(戦争)」を起させないための努力だ。政府が憲法前文と第九条の理念に基づいた内外政治を行なうことこそ、まさにそれだ。「備え」とは、日本が覇権を求めず、許さずの精神で、近隣諸国との政府・民衆両レベルでの平和・友好交流の積み重ねをすることだ。
改めて言うまでもなく、近代の東アジア史で最大の侵略戦争国家は日本であった。憲法九条を生かしたこの日本の国家非武装こそアジアの平和に対する最高の貢献だ。日本は再び「戦争をする国」への道を歩んではならない。緊急に必要なことは、北朝鮮やアジアの民衆などにたいする戦争責任・戦後責任を果たすことだろう。
小泉首相の「備え」とは有事立法によって、近隣諸国との緊張を激化し、アメリカの戦争に協力する体制をつくるもので、まさに戦争を必然的なものとする道だ。 (つづく)
私たちの個人情報は守られるのか?
防衛庁での個人情報公開請求者リスト作成問題と行政機関個人情報保護法案
防衛庁が「情報公開請求者」の身元調査などを行い、思想信条を含む個人情報を収集し、リストを作成のうえ、電子情報化し、庁内コンピュータネットワーク(LAN)に流していたという事件が発覚した。そのうえ発覚後、LANから削除し、短時間のうちにバタバタと再掲載するという隠蔽(いんぺい)工作も行なった。
現在、国会には「行政機関個人情報保護法案」が出されているが、すでに審議いりしている主に民間を規制する「個人情報保護法案」と比べて「官に甘く、民にきびしい」という指摘もある。今回の事件はその審議の最中に起こったという点で、法案の問題性をより一層明らかにした。
この犯罪にかかわった政府の責任の追及と中谷防衛庁長官の罷免をはじめとする関係者の謝罪と処罰が必要だ。
※ ※ ※
六月七日午後、衆議院第一議員会館で緊急抗議集会が開かれた。主催は「NPO法人情報公開クリアリングハウス」(理事長・右崎正博)で、各党の国会議員と約四〇人の市民らが参加した。
国会議員は枝野幸男(民主)、千葉景子(民主)、細野豪志(民主)、吉井英勝(共産)、安部知子(社民)、北川れん子(社民)、福島瑞穂(社民)の各氏で、それぞれ防衛庁の「情報公開者リスト作成・回覧」問題を批判し、法案の撤回を要求する立場を明らかにした。
集会では冒頭に情報クリアリングハウスの奥津茂樹理事が「リスト問題の経過説明」を行なった。
奥津氏は「今回のリスト事件が示したものは、情報公開という当たり前のことがいまだに特別なことにされ、原則になっていないということだ。特別のことだからそれをやる連中はどういう連中かをしらべておく、という意識だ」と指摘した。
「いろいろな自治体の職員研修に行くと、情報公開にやぶさかではないが、ケースバイケース、パースンバイパースンではないかという質問がでる。公開が原則になっていない。今回はまさに氷山の一角で、情報公開の観点から見ると由々しき事態だ。これは今後、情報公開を請求する市民に対しては萎縮効果をもたらす恐れがある」と述べた。
そして「情報公開について腰の引けている人びとも多くいるなかで、今回の事件はそういう人びとが公開制を使わないほうになる」と指摘した。
また「今回の事件はその経過がまだ明らかになっていない。防衛庁は説明責任を果たしていない。まだまだ秘密主義の中で行なわれている。インターネットからだけでなく、国民の一部について集めてある他の情報を活用したのかどうか、それについて十分な情報が公開されていない」と指摘した。
そして「今回の事件の組織関与は明らかであり、まさに組織的体質の問題だ」と述べた。
つづいて今回明らかになったリストに載っていると言われる「防衛庁への情報公開経験者」の松谷清さん(元静岡市議)と野村孜子さん(知る権利ネットワーク関西)からの発言があった。
松谷さんは静岡で無駄な公共事業をなくそうという活動をしている関係で、昨年四月四日、防衛庁に静岡空港の空域に関わる情報公開請求をしたことがある。
この件がマスコミの取材で今回のリストに載っていると伝わってきた。そこで松谷さんは今回の事態を受けて、防衛庁に@リストとリスト作成する過程で関わる情報の全部、Aリストの松谷清本人に関わる情報の開示、B面談記録の三つを請求した。
松谷さんは第一に軍事力を持っている防衛庁が基本的人権についての認識がないこと、第二に当局には情報公開請求は誰もができるのではないという考え方がある、第三は個人情報が電子情報に変えられたら管理のしようがないような問題があること、第四に官僚は保身と保守性のために真実を語らないという官僚体質の問題があると指摘した。
今後、被害者にたいする経過説明と謝罪要求をしていきたいと述べた。
関西で情報公開請求の運動の相談・協力などをしている野村さんは関西の一名が掲載されていることが明らかにされた時点で自分がリストに掲載されたことを知った。
そこで「知る権利ネットワーク関西」(熊野実夫代表)は六月七日、中谷防衛庁長官、小泉内閣総理大臣、片山総務大臣あてに要旨、以下のような「抗議ならびに要求書」を提出した。
今回の防衛庁の情報公開請求者リスト作成問題は、情報公開制度への信頼性を損ないまた請求する市民の権利を萎縮させる許しがたい行為です。さらに、この間のマスコミ報道や国会審議によって、防衛庁ぐるみで組織的に行われていたことが明らかにされてきており、これは重大な問題であり、関係者の厳重な処罰を求めます。これは現在、国会で審議中の個人情報保護法案や行政機関個人情報保護法案の欠陥を示すことになりました。法案には、今回のような事件が起きても厳しい罰則が盛り込まれていないことや、個人情報の収集の制限が明確に規定されていないからです。
@中谷長官は今回の責任をとって辞任すること。これにかかわった職員を処分すること。
A同様のリスト作成の有無について、政府のすべての機関で調査を行い、結果を公表すること。
B個人情報保護法案を廃案にすること。
C行政機関個人情報保護法案に罰則を設けること。個人情報の収集制限について、明確に定めること。
D現在の情報公開法について罰則を設けること。
資料
政府首脳の非核三原則見直し発言に抗議
広島・長崎・那覇などの市長らによる日本非核宣言自治体協議会
各位
日本政府首脳による非核三原則見直し発言は、核兵器廃絶のために懸命の努力をしている日本非核宣言自治体協議会にとっても極めて残念なことであり、看過できないものであります。
つきましては、次のとおり会長、副会長連名により本日発送し、長崎市をはじめとする役員都市の東京事務所を通じて要請文を一〇日午前中に外務省総合外交政策局
安全保障政策課に提出しますのでお知らせします。
非核三原則に関する緊急要請について
去る五月中旬の安倍官房副長官の発言に端を発して、五月三一日に福田官房長官が、非核三原則見直しの可能性や、核兵器保有を容認する旨の発言を行ったとの報道に接しました。被爆国日本の政府要人からこのような発言が相次いで出ることは全く信じがたく、断じて容認することはできません。日本非核宣言自治体協議会の三百十六自治体とその住民を代表してここに厳重に抗議し、一連の発言の撤回と非核三原則の厳守を強く求めます。
貴台が非核三原則の見直しを考えていないことを明言されたとは言え、イスラエルとパレスチナにおいて紛争が続き、さらにはインドとパキスタン間の激烈なミサイル開発競争から核兵器使用の危険性さえ危惧され、国内でも武力攻撃事態対処法案等のいわゆる有事関連三法案が国会で審議されるさなか、このような発言が相次ぐことは、国内はもちろん海外にも大きな波紋を投げかけています。
核兵器は圧倒的な破壊力を持つ無差別大量殺戮兵器であり、罪もない多くの市民を死に至らしめるばかりでなく、長年にわたり放射線被爆による後障害で人々を苦しめ続けるものです。わが国は、このような核兵器保有についての国内外の懸念を払拭するためにも、非核三原則を法制化し、唯一の被爆国として、核兵器廃絶に向けた主導的役割を果たされるよう日本非核宣言自治体協議会の名において強く要請いたします。
平成十四年六月七日
内閣総理大臣
小泉 純一郎様
日本非核宣言 自治体協議会
会長・長崎市長 伊藤一長
副会長・広島市長 秋葉忠利
副会長・廿日市市長 山下 三郎
副会長・枚方市長・中司宏
副会長・那覇市長 翁長雄志
副会長・藤沢市長 山本捷雄
複眼単眼
秘すれば花、漏らした奴は誰だ? 伊藤防衛事務次官らの人権感覚
防衛庁の「情報公開」請求者リスト作成の問題で、六月三日の産経新聞のコラム「産経抄」は「袋だたきを承知して」書くと称して論じている。
曰く「海上幕僚監部情報公開室勤務の自衛官が、情報公開を請求した人の『個人情報』を作成し、回覧に供していた。これはとんでもない不祥事であり、重大な失態である。それは書くまでもない。しかし問題なのは『作成』したことか、『回覧』したことか、きちんとわけて考える必要がある」「(請求者の)なかには『スパイ』的情報を収集している人間もいるのではないか。……情報公開室勤務の自衛官がそれに無関心であるのは職務怠慢のそしりを免れない。そうであれば国防情報に関心を持つ人たちの個人情報を『作成』することは防諜業務のひとつといえるだろう」「問題はリストを回覧などしたことで、これこそ許されざる失態なのだ」「思い切って書いてしまうと、下世話で言う『バレてしまえばおしまいよ』なのである。それが危機管理の機微だが、それにしても官庁から情報がよく漏れる、漏れ過ぎている」
「開いた口がふさがらない」とはこのことだ。なんのことはない、悪いのは「バレた」ことだけだ。「産経抄」はバレないようにやれば必要なことだと言っている。問題は「回覧した」ことや「バレた」ことだけにあるのではない。「請求人」の思想や経歴調査をかってに行い、記録し、回覧したということ自体のいずれもが情報公開法に違反しているし、憲法の基本的人権の保障の精神に違反しているのだ。
それも最初はごく一部に回覧しただけで、担当者の個人責任だとウソをついて終わらせようとしたが、実は防衛庁あげての仕業だったことまでがバレてしまった。
こういう輩がいるのだから、やはり市民社会を前進させていくためには「内部告発保護法」が必要だ。そうしなければ国家は何でもやる、バレれば「それは書くまでもない」などと頭を下げるが、バレなければ「秘すれば花」(産経抄)と
ばかりに平然とすすめる。この連中にとって、国家の悪事は第一級の危機管理事項、国家機密なのだ。
先の海上幕僚監部の「イージス艦派遣要請」もそうだ。「バレてしまった」のが問題ということなの
だ。だから「漏らしたやつは誰だ」という話になる。自分のやった違法行為をさしおいて「犯人」さがしをやる。こんな連中を跋扈させるわけにはいかない。
安部官房副長官は「非公式」の会合の場での講演で「日本の核保有の合憲制」
について述べて、最初は「非公式の場だから」と逃げようとした。これも「バレてしまえばおしまいよ」の類の感覚だ。つづいて福田官房長官も同様の核保有発言をし、「政府首脳」と一人二役を演じた。
自民党国防部会などの会議で岩屋毅衆院議員は「リストを作るのがなぜ悪い、マスコミに漏れたのが問題なのだ」と発言した。同席した伊藤康成防衛事務次官は「漏らしたやつが悪いというのはそのとおり」と応じたという。こんなひどい奴らなのだ。
「有事法制」の国会審議のなかで、こんな問題が持ちあがっていること、それはこの法案の本質を垣間見せているのではないか。(T)