人民新報 ・ 第1076号<統合169> (2002年11月5日)
  
                                目次

● 有事法修正案もNO!  全国各地で運動をつくりだそう!

● 世界各地でイラク反戦集会

● 有事法制三法案の廃案を要求する! 日本弁護士連合会のパレード

● 韓国代表などを迎え、大阪で10・21 国際反戦デー

● 10・24行動 / 有事法制を廃案へ イラク戦争にNOを! 世界中で反戦の行動を

● 横浜事件の再審実現を! 静岡で緊急報告会を開催

● 「反原子力の日」の行動 呆れた嘘つき 壊れた原発

● 第19回部落問題全国交流会に参加して  『部落のいま――転換か終焉か』

●外務省の「FTA戦略」に見る日本帝国主義の野望(下)  斎藤吾郎

● せんりゅう    ( ゝ史 )

● 複眼単眼 / 松井さんの回復を願いつつ 松井さんに学ぶこと



有事法修正案もNO!

     
全国各地で運動をつくりだそう!

 臨時国会をめぐる攻防はいよいよ本番に入った。 この臨時国会は小泉内閣の「経済改革」のかけ声をよそに、日本経済の深刻な長期の不況のなかで進行する金融の危機、労働者・市民の生活への圧迫としわ寄せ、同様に危機に見舞われている米国などからの国際的な圧力など、深刻な経済問題への対応が緊急の課題となっている。 また前国会から継続審議になっている有事関連三法案や個人情報保護法案、あるいは日朝関係正常化の問題など、内外に問題は山積している。
 一〇月一八日、小泉首相は所信表明演説で「今国会においては、有事法制や個人情報保護法制など継続審議になっている法案に優先的に取り組み、成立を期します。有事への『備え』に関する法制については、先の通常国会での議論を踏まえ、基本的な枠組みに加え、国民保護のための法制など個別の法制について検討してまいりました。法案審議を通じて、国民の理解を得られるよう取り組みます」とのべた。これは小泉内閣が改造内閣防衛庁長官に石破茂を据えたことと併せ、ひきつづきこの臨時国会で「有事関連三法案」や「個人情保護法案」の成立の企てを捨てていないことの表明だ。
 首相は冒頭の予算委員会が終わるとメキシコに飛び、APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議でブッシュ米大統領らと反テロ同盟の強化を目指した「最近のテロに関する特別声明」採択に合意し、日米韓首脳共同声明では「北朝鮮に核開発放棄を要求」した。
 三国首脳会談後の記者会見でパウエル米国務長官は「イラク問題での米国の案が国連で採択されなければ、単独でイラクに対処する」方針をあらためて表明した。小泉首相はこれまで「反テロ」を口実に米国の「対イラク戦争」遂行に理解を示し、できるだけ協力する姿勢であり、米国のアフガニスタン、イラク戦争へのいっそうの加担・参戦の道を開く危険が迫っている。
すでに政府はテロ対策支援法による海上自衛隊のインド洋派遣期間をまたも来年五月十九日までの再々延長を決定した。しかし米軍はさらに高度のレーダー機能を持つP3Cの派遣や、燃料補給対象国の拡大を要求しており、防衛庁内でも「米国の負担軽減はイラク戦争の支援になる」と、積極的に検討されていると言う。
最近、与党三党の政策担当でつくる安保プロジェクトは二九日、有事三法の与党「修正」案と「国民保護法制の輪郭」をまとめた。これは「武力攻撃事態法」案で「予測事態」「おそれ事態」など概念があいまいだとされてきた点の整理を試みたものだ。修正案は、さきの「武力攻撃事態法案」では三段階に分けていた「定義」を「武力攻撃事態」と「武力攻撃予測事態」の二段階に分けなおし、これに伴って自衛隊法七六条の防衛出動も修正した。加えて、従来の法案で「その他の緊急事態対処」とだけ書かれていた対「テロ、不審船」問題は警察、海保との連携を強化するなどと明記された。この問題ではすでに石破長官が防衛庁の情報本部に「テロ対策班」を設置することを決定、従来、警察の業務とされてきた「公安業務」に自衛隊も乗り出そうとしているなど、自衛隊による治安・スパイ活動の合法化も進められている。
 さらに「国民保護法制の輪郭」は、救援物資の保管などの違反者に対し、罰則を科す方向で検討もすすめようとしている。
 このように有事法制諸法案はその危険性をいっそう露呈しつつある。
 与党はこれをもって民主党など野党の分断と取りこみをはかろうとしている。
 十一月一日には衆議院憲法調査会が改憲への一里塚としての「中間報告書」を議長に提出した。これは二年後の最終報告による改憲の提唱と、改憲のための常任委員会を国会に設置する計画に直結している。
 いま、この国は財界の利潤追求のためのあくなき欲求と、その利権の防衛のため、海外で本格的に戦争ができる、「普通」の帝国主義国を目指し、テンポを速めている。
 いまこうした戦争体制づくりを許すのか、どうかの歴史的な分岐点にさしかかっている。戦争に反対し、平和を願うすべてのひとびとはいまこそ、イラク戦争NO!有事法制NO!の声をさらに大きくするために全力をあげよう。
 当面、十一月一五日の平和フォーラムと市民団体の共催の「有事法制を廃案へ、イラク戦争にNOを、11・15集会」、および宗教者や陸海空港湾二〇労組などによる「STOP!有事法制 12・1大集会」(三時・代々木公園)を軸に、全国各地で可能な限りの大小の大衆行動を組織し、院外でより大きな世論を形成して、国会を包囲しなくてはならない。


世界各地でイラク反戦集会

  アメリカではベトナ戦争以来の大規模な行動 日本では渋谷で青年を先頭にピース・パレード

 米軍のイラク総攻撃の可能性が強まる中、アメリカでは、10月26日、ワシントンに二〇万人、サンフランシスコに五万人など、ベトナム反戦以来の規模と言われる大集会が開かれた。主催したのはインターナショナルANSWER(戦争反対、人種差別主義を終わらせるための行動をいまこそ)連合などの平和団体。市民たちは「わたしたちの名のもとにイラクを攻撃するな」とアピールした。
 サンフランシスコの集会では日本の市民団体を代表して保坂展人衆議院議員が連帯の挨拶をした。 ヨーロッパではベルリンをはじめとするドイツ各地、オランダのアムステルダムなどで連帯集会が開かれた。
 これに呼応して日本では二六日午後七時から東京・渋谷の宮下公園に約六百名の人びとが集まり、ピース・パレードを行なった。
 この集会を呼びかけたのはアフガン反戦を契機に結成された若者のグループ「CHANCE」で、「NGO非戦ネット」や「戦争反対、有事法案を廃案へ!市民緊急行動」などが協賛の形で準備し、共闘した。これらの若者を中心にした市民団体が統一行動をとるのは昨秋以来初めてで、多くの人びとの関心を集め、「ピースボート」「許すな!憲法改悪・市民連絡会」「日本YWCA」「グローバルピースキャンペーン」「アユース仏教国際協力ネットワーク」「日本国際ボランティアセンター」「アジア太平洋資料センター」「ATTAC Japan」「ピースアクション」「アムネスティ・インターナショナル」「A SEED Japan」「パレスチナ子どものキャンペーン」などさまざまな市民団体や個人が駆けつけた。
 パレードに先立って渋谷勤労福祉会館で午後六時から「どうしてイラクを攻撃するの?世界同時アクション」と題したミニ・シンポジウムが開かれ、百名の人びとが参加した。最新のバグダットの現地映像の紹介のあと、アラブ文学研究者の田浪さんからイラクの現状報告、一橋大学の今村さんから平和を目指す国際連帯の動き、市民緊急行動の富山洋子さんからアメリカの市民の平和の行動に連帯するアピールなどが行なわれた。
 ピースパレードは若者や高校生のグループを先頭にした第一グループに市民緊急行動などの第二グループがつづいた。パレードの最後は楽隊でチャンゴやエイサーの熱演がつづき、しんがりに日本山妙法寺のお坊さんの団扇太鼓がつづいた。
それぞれは音楽を流しながら、手に手にさまざまなアピールを書いたプラカードやペンライトなどを持ち、工夫をこらした衣装をつけた人びとなどによって通りの人びとにピースサインを送りながらアピールした。街を行く若者たちや外国人らもつぎつぎにピースサインで応えていた。
 パレードはにぎやかで、活気があり、アピール力のあるものになった。
 若者たちは解散地点の公園に着いたあとも踊りの渦をつくるなど、盛り上がった。
 最後に、主催者たちはこれからもイラク戦争阻止を目指して、要所要所ではこうした共同行動に積極的に取り組もうと呼びかけた。


有事法制三法案の廃案を要求する! 日本弁護士連合会のパレード

 有事法制三法案の廃案を要求する日本弁護士連合会のパレードが、一〇月二三日正午、霞が関の日本弁護士会館を出発し、国会請願行進を行なった。これには全国各地から九〇〇人の弁護士らが参加し、注目を集めた。
 パレードでは「有事法制三法案の廃案を求めます」と書いた横断幕を先頭に風船を持ち、タスキなどを付けて行進した。国会の議員面会所では民主党、社民党、共産党が看板をだして迎え、参加した弁護士たちとエールの交換をした。これだけ多くの弁護士が請願デモをするのも異例のことだが、民主党が議員面会所に党の看板を出して有事三法案反対の請願を受けたのも異例のことだ。
 日弁連は弁護士の強制加入団体で思想・信条・政党支持の違いを超えて一万数千の弁護士が加わっている団体だ。その日弁連がこれまで三度にわたる有事法制反対の決議をだし、さらに先の人権大会では一名の棄権を出しただけで一致して「有事法案反対」の決議を行なった。今回のパレードはその具体化の一環だ。
 また同時刻に国会前では「陸海空港湾労組二〇団体」「平和を実現するキリスト者ネット」「平和を作り出す宗教者ネット」の呼びかけで、労組や市民の国会前行動が行なわれており、参加した約二〇〇人が参加した。これらの国会行動は弁護士のパレードと互いに手を振り、シュプレヒコールを叫んで連帯した。
 集会では民主党、社民党、共産党、沖縄社会大衆党の国会議員が連帯の挨拶を行い、「戦争反対、有事法案を廃案へ!市民緊急行動」「APAジャパン」など市民団体や労組の代表が発言し、イラク戦争に反対し、有事法案の廃案を目指して、「STOP!有事法制、十二・一大集会」の成功に向けて共同の努力を強めることを確認した。


有事三法成立を許すな!

   韓国代表などを迎え、大阪で10・21 国際反戦デー


 拉致問題が全てのマスコミを動員して報道されから、在日朝鮮・韓国人とくに子供たちにたいする暴行や嫌がらせが多発している。集会に先立ち、ヨンデネットと各労組による大阪市への申し入れと街頭ビラ撒きが行われた。
 雨の上がった中之島・剣先公園には労働者・学生・市民一二〇〇名が結集した。冒頭、主催者の関西集会実行委員会を代表して中北龍太郎氏から「世界は戦争の危機の中にある、イラクヘの攻撃を阻止しよう」と挨拶があった。
 統いて韓国から来日した「女子中学生対策委員会」の代表より、二人の女子中学生への米軍の虐殺について、ブッシュの謝罪を要求し闘っていると報告があり、「ブッシュ政権が続く限り戦争は続く、世界の民衆がイラク攻撃に反対しているのになぜ攻撃しようとするのか、石油資源の確保と産軍複合体の利益のためである。この集会の今、民主労総はイスラエルの攻撃に対してデモ行進をしている」と発言した。
 フィリピンの「バヤン」からの「アメリカの弱体経済を立ち直らせるための戦争であり、世界中で盛り上がっている戦争反対の声に合流しよう」の連帯のメッセージが読み上げられた。
 各界からのアピールでは、大阪港の軍港化に反対する全港湾委員長の闘いの報告のあと、有事法案に反対する大阪労働者弁護団の丸山さんが「昨年の正月を外国で迎えた自衛官は一五〇〇名に上っている。米軍への物資輸送が日常化している。それだけ日本が海外の紛争に多く介入していることだ。軍事インフラの整備、それが有事法の中身だ」と指摘した。
 京都の市民団体は「アメリカでも石油のために血をながすのはいやだ、の声が上がっている」と発言。
 宗教界から「小泉靖国参拝アジア訴訟団」より「殺し・殺させることを強制させるな」と公判への参加の呼びかけがあった。
 尼崎市議の酒井氏からは、神戸でもこの集会同様の取りくみが行われていることや、今回の市長選に市民派として侯補を立てて闘っていることの報告があり、「みんな共に進んでいこう」とのよびかけがあった。
 市民団体からは「難民申請をしている外国人が西日本入管にて、無期限の収容を強制されている。食も喉を通らない状態で、私たちもハンストで連帯した」と報告があり、「どうか日本に逃げてきた人を救ってほしい」と緊急の署名要請があった。
 元気いっぱいに「ユウジ君」が歌われて、閉会の挨拶。ユニオンネットの馬場さんが「さらに大きな出兵となるイラクヘの攻撃を絶対に阻止しよう」と挨拶があり、参加者は大阪梅田まで「戦争反対」のシュプレヒコールを上げてデモ行進を行った。(大阪・通信員)


10・24行動

有事法制を廃案へ
 イラク戦争にNOを! 世界中で反戦の行動を 

 一〇月二四日夜、東京の日比谷野外音楽堂で「有事法制を廃案へ イラク戦争にNOを! 世界中で反戦の行動を 一〇・二四全国集会」が開かれ、全国各地の代表を含めて、三五〇〇人の市民や労働組合員が参加した。この集会はフォーラム平和・環境・人権、戦争反対・有事法案を廃案へ!市民緊急行動、日本国際ボランティアセンター、東京・生活者ネットワークなどが実行委員会・賛同団体になり、計画されたもの。
 福山真劫・平和フォーラム事務局長の主催者挨拶のあと、民主党有志を代表して桑原豊衆議院議員と、社民党を代表して金子哲夫衆議院議員があいさつした。桑原議員は「与党は民主党は有事法案で修正案に乗ると考えているようだが、力の論理の法案、憲法体制を無視するような法を作ってはならない。米国の力の論理で平和は作れない」とのべた。金子議員は「有事法制は日本の民主主義の危機だ。戦争NOの声をあげよう」と訴えた。
 アメリカから来た全米最大の平和団体ピースアクション理事のレイニャ・マスリさんは「世界のみんなが一緒になって日本国憲法九条を実現できる日がくればいいと思う。しかしアメリカはイラクに戦争をしかけ、アメリカの選んだ政府を押しつけようとしている。イラクではこの一〇年間に五十万の子どもが死んだ。イラクは査察を受け入れると言うのにアメリカがNOといっている。これからどれだけたくさんの人々が殺されるだろうか。これは金持ちがアラブの支配をねらった戦争だ。私たちは立ち上がってNOを言わなければならない。二六日にはアメリカで大集会が開かれる。一〇〇人のアメリカ人が命をかけて、人間の盾として、イラクに行く。戦争もテロもない21世紀に向けて、イラク戦争にNO!有事法制にNO!」と述べた。
 NGO非戦ネットの田村祐子さん、厚木爆音訴訟の藤田栄治さんの挨拶のあと、市民連絡会の土井登美江さんが集会アピール(要旨・別掲)を提案し、東京駅に向かってデモをした。

集会アピール(要旨)

 アフガニスタンでは依然としてブッシュ米大統領による「対テロ戦争」が続き、多くの人びとが苦しんでいます。そればかりか、アメリカは今度はイラクに対して湾岸戦争を上回る規模の総攻撃をかけようとしています。
 小泉首相は米国のこの戦争に「理解を示し」、さらにアフガン戦争への参戦・協力をすすめるとともに、イラク攻撃への協力の道を探っています。
 私たちは本日、アメリカの平和市民団体の代表をお迎えして「有事法制を廃案へ、イラク戦争にNOを、一〇・二四全国集会」を開催しました。私たちも今日の行動を出発点に、さらに大きな運動を作っていきましょう。

二〇〇二年一〇月二四日


横浜事件の再審実現を! 静岡で緊急報告会を開催

 九月十三日、静岡市の労政会館で「横浜事件の再審実現!緊急報告会」が、「横浜事件の再審を実現しよう!全国ネットワーク・静岡」の主催で開催され、約四〇名の市民・労働者が結集した。
 報告会では「横浜事件〜半世紀の闘い」のビデオが上映された。 
 講演は再審弁護団の内田剛弘弁護士が行い、「横浜事件第三次再審請求審の意義と経過」について話した。
 国家権力が、敗戦直後のドサクサに紛れて原判決を焼却しておきながら、再審請求を棄却し続けていることは全く不当である。第三次再審請求は、九八年に横浜地裁に請求を行い、一九四五年八月三〇日に治安維持法違反による有罪判決を受けた横浜事件の元被告とその遺族らが第三次再審請求で、「ポツダム宣言受諾(四五年八月一四日)により確定判決当時、治安維持法は既に失効していた」と主張し、横浜地裁に対して法鑑定実施の申請をしていた。
 横浜地裁の委嘱で鑑定した大石眞さん(憲法学者)は五月、鑑定意見書を地裁に提出し「ポツダム宣言受諾によって、天皇制に関する大日本帝国憲法の規定は失効し『国体』と密接に関連する治安維持法も効力を失った」と結論づけ、弁護団の主張を裏付けている。
 本集会を主催した「横浜寮件の再審を実現しよう!全国ネットワーク・静岡」代表の塚本さんは次のように発言した。
 たしかに、大石鑑定によって今がチャンスだが、横浜事件のただ一人の生存者であり、第三次再審請求者の板井庄作さんの容体が心配だ。現在、板井さんは入退院を繰り返しているため、何年も丈夫でいてほしいが、難しい状況になっている。請求人と弁護団はもちろんだが、応援する側の努力も必要だ。
 そして、板井さんの発言を引用して、「過去の誤りを正す闘いは、現在の誤りを正す闘いであり、横浜事件は現在(今の)の闘いである。再審の闘いと現在の闘いを一緒に進めていきたい」「静岡でやれることとして、@『横浜事件〜半世紀の闘い』ビデオ上映会、A裁判所への署名活動、H年末か来春に現在の闘いと結合させた集会を企画している。
 横浜事件最後の生き証人である板井庄作さんの不屈の聞いに学び、早急に再審請求を勝ち取ろう!(静岡・読者)


「反原子力の日」の行動 呆れた嘘つき 壊れた原発
  
 十月二六日、東京・豊島区民センターで「反原子力の日10 ・26集会 もう おしまい! ウソで固めた原子力」(主催:原発とめよう!東京ネットワーク)が開かれた。

 開会のあいさつは伴英幸さん(原子力資料情報室)
 東電だけでなく、すべての電力会社が原子炉の亀裂などについて重大な改ざん・陰蔽を行っていることが明らかになってきた。そもそも原子力はその開始からウソで固められてきたものだ。
 現在五二基ある原子炉のうち一七基が止まっている。しかし電力は不足していない。しかし国は、亀裂などがあっても運転可能という「維持基準」を導入しようとしているが、今日の反原子力の日を国に対抗していく運動を強めよう。
 青森から 平野良一さん(核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会/止めよう再処理!全国実行委員会副代表)
 核燃料サイクル施設は、全国の原発からの「核のゴミ」処分場、原発というマンションのトイレットの役割だ。日本原燃は、英仏の再処理施設で危険性が実証済の再処理工場を「漏れないうちは安全」と嘯く危ない体質の会社だ。昨日、「六ケ所再処理工場の稼働中止を求める要請」署名七五万を政府に提出した。今後も署名活動はつづけ一〇〇万を実現したい。また地元のラジオ局に再処理工場反対の放送を流そうとしている。それは「呆れた嘘つき 壊れた原発 修理もしねえ 六ケ所再処理は 放射能ばら撒く たまげた工場だ われア 放射能浴びたぐね! 止めるべし 皆して」というものだ。
 静岡から 馬場利子さん(浜岡原発とめよう裁判の会事務局長)
 老朽化が進みボロボロの浜岡原発は、大規模な東海地震が予想される地域の真上に立てられている。阪神淡路大震災の大きな被害を考えると、大地震が原発事故に結びついたらどんなにひどいことが起こるかわからない。昨年、浜岡原発の一号機が水素爆発事故で止まった。そして次々に欠陥が見つかり、現在、浜岡原発の四つすべてが運転を中止している。静岡地裁に浜岡原発運転差し止め訴訟の裁判を行っている。また三二の自治体も原発についてはっきりと「廃炉」の意見書を採択している。
 新潟から 小木曽茂子さん(緑と反プルサーマル新潟県連絡会事務局長)
 新潟では今年の前半にはプルサーマル計画推進の動きが強まり、反原発の運動は、ちらし入れ、署名、アンケートなどさまざまな運動を行ったがなかなか反対の声が広がらず苦しい毎日だった。
 しかし、八月二九日に、原子力安全・保安院が東電の二九件の記録改ざんを発表してから状況は変わった。九月一日には柏崎刈羽原発一号機の停止点検表明がなされ、二〜四日には保安院の立入検査、三日には停止点検、同日には、新潟県知事・柏崎市長・刈羽村長の三者が経済産業相に厳重抗議、六日に柏崎市議会「プルサーマル撤回決議」、一一日に刈羽村「プルサーマル破棄撤回決議」、一二日には、知事など三者会議で「プルサーマル事前了承撤回」を決めた。緑と反プルサーマル連絡会は県知事に申し入れをおこなったりの活動をしてきたが、会として国と東電の告発を検討している。
 福島から 下山田富戸さん(脱原発福島ネットワーク)
 地元新聞は原発の改ざん問題や停止、その危険性などを毎日といっていいほど一面で大きく扱っている。反原発の運動を長くやってきたが、多くの人が理解してくれるようになってきた。原発立地地域でも首長などは原発がなくなったら雇用問題などで困るなどと心配をしている。しかし、その地域でもこれまで原発はいやだということを心で思っていてもなかなか発言してこなかったが、このごろはマスコミのインタビューにも怖いとか嫌だとか言う人が増えている。
 原子力安全規制問題国会プロジェクトから山口泰子さん(婦人民主クラブ)
 国は問題があっても原発を稼働させることができるために「維持基準」を導入しようとしている。原子力安全規制のためには、安全の評価が、政府にもメーカーや電力会社にも所属しない技術者によっておこなわれる制度が必要だ。私たちは、国会議員に理解してもらうために国会プロジェクトをつくって運動している。
 原子力安全規制の確立を求める議員の会より川田悦子衆議院議員(無所属)のメッセージが紹介された。
 つづいて、発言者たちによってパネルディスカッションが行われた。
 集会の後には池袋駅周辺でパレード、反原発をアピールした。


第一九回部落問題全国交流会に参加して  『部落のいま――転換か終焉か』

 一〇月一五日、京都大谷婦人会館での部落問題全国交流会に参加した。

 会を主催した藤田敬一氏は冒頭に呼びかけた。
 全国水平杜創立からちょうど八〇周年、この三月で「法」が静かに期限切れを迎え、「法と制度」がもたらした部落問題を巡る状況の変化の大きさを思わざるを得ません。
 この交流会は「自分以外の何ものをも代表しない」という唯一の基準に皆さんで大いに議論してほしい。

 ◇報告 @
 山本尚友氏より、主に京都の状況が「京都市同和地区一二地区実態調査平成一二〜一三年」をもとに報告された。
 それによると人口の減少が同和事業の開始以降ずっと続いている。特に平成三年〜一二年さらに人口減が加速している(昭和二四〜平成一二年七地区で一六六九二〜六三九八人へ)。同じ空間に、同じ血脈の人々が住み続けていると言う、部落のイメージが運動の根拠であり、同和行政の根拠であったものが大きく変わって釆ている。その他たいへん高齢者多い、四〇代が極端に少ない、五〜二〇代もかなり少ない、一〜二人の子どもをもつところは家庭ごと出て行っている。理由は世帯別収入の変化、京都市などの職員に採用、高収人の家庭は地区より出て行くなどがあった。ただ、この程京都市は同和事業による雇用は全廃した。公営住宅家賃も一般公営並に上げて、一部一般にも開放するなどの措置も実施される。

 ◇報告 A
 石元清英氏より、大阪府二〇〇〇年調査から見えたものとして、四八地区世帯単位でなく個人一〇〇〇〇人からの実態・意識調査が分析・報告された。
 全体的には従来は失業率が高い、専門職・技術職が少なく、ブルーカラー層が多いといわれていたが、年齢が若くなるほど差がなくなって釆ている。それでも安定層の流出と不安定層の流入という最近の傾向の問題性が指摘された。部落の中でも住宅事情が当初は悪かったために、2K↓2K↓3DKと改良住宅も現れたが、安定層は結果として出て行かざるを得ない。
 一方で不安定層が流入して、部落全体を不安定にしている。同和事業は救貧事莱であり、豊かになれば住みにくい。高齢者世帯が多い、若い働く世代が少ないなど京都の報告と同じような特長もあり、貧困の再生産構造の問題点が共通項としてあった。

 全体の交流の中で部落問題を子どもたちにどう伝えて行くのかが課題として残った。これまでの解放運動をどう総括し、展望するのかでは「社会主義社会をつくれば差別社会がなくなる」という考えを転換し「差別社会はなくならない」「どう癒し、どう自立するのか」ということを原点に日常の活動に取り組まなければならないなど具体的な提案などもあった。
 また、部落からの流出と流入の更なる厳しい現実の報告などあり、参加した皆さんの意気込みにじかに触れることができ感銘した。(大阪・鳥井)


外務省の「FTA戦略」に見る日本帝国主義の野望(下)

                               
斎藤吾郎

B日帝の巻き返し

 これは当然にもAPEC(アジア太平洋経済協力会議)域内を不安定化する要因にもなる。一〇月下旬、メキシコのロスカボスでAPECが開催されたが、日本は国会審議日程が理由とされているものの、創設以来はじめて首相以外の閣僚の派遣をとりやめたことなど、APECにたいする関心を低めている。これについて、茂木外務副大臣は「WTOは加盟国の増加や扱うテーマの増加で重たい組織となりつつあり、これを補う枠組みとしてFTAの役割が重要さを増している」と発言した。
 「提言」は「FATが日本の利益増進につながる外交上の重要な手段として機能するためには、明確な位置づけを行う必要がある」と強調している。
 国会の議論では「FTAは軍事力のコストを下げるという意味で『経済安全保障』だ」とか、「欧州や米国はブロック経済を一つの戦略として国益を伸ばしており、ブロック経済への懸念は払拭されるべきだ」「韓国とのFTAは副次的効果として、安全保障上の効果が生じる」などという積極論が自民党や民主党の議員からでている。
 FTAは現在、世界では一四〇の協定が結ばれているが、日本は先ごろ、ようやくシンガポールと締結しただけで、今回のAPECの際に開かれた日メ首脳会談で正式交渉に入ったメキシコが決まっているだけだ。
 日本はこの面で欧米諸国と比較して大きく立ち遅れており、その結果、外交・安保戦略でも独自色発揮できにくい、今回の外務省の戦略提言はその巻き返しに踏み出そうとするものだ。

C東アジア民衆の収奪
 
今回の外務省の「戦略」はFTAの優先順位として韓国と、タイ、フィリピン、マレーシア、インドネシアなどASEANを明記した。
 韓国については「来年二月の新政権発足後、可能な限り早期の交渉開始」、ASEANは「加盟国との二国間の締結を進めた後、ASEAN全体に拡大するプロセス」でやるべきとした。
中国については「FTAの可能性を視野におきつつも、当面はWTO協定の履行状況などを勘案して、方針を定めるべき」として、中長期の課題にした。 これらを通じて「日中韓ASEANが中核になる東アジアの経済連携」の強化を目指しており、従来からくりかえし浮上してきた「円経済圏」の形成が意識されている。
 「提言」はこれを裏づけるように「具体的メリットとして、輸出入市場の拡大、より効率的な産業構造への転換のほか、交渉相手との信頼感の醸成、日本の外交的影響力の拡大など政治・外交上の利点」を指摘した。
 ただし、今回の外務省の「戦略」が「中長期的見地から日本として推進すべきFTA戦略のあり方につき、現時点での外務省(経済局)の考え方を取りまとめたものであり、必ずしも政府全体の考え方を代表するものではない」と但し書きをつけているように、経済産業省は外務省だけが突出して「戦略」を発表したことに批判があり、またアメリカがこの動きをどのように受け止めるのかなどもこの行方を左右しかねない。
 今後、こうした戦略がより具体的に論じられて行くだろう。
 ともあれ日本帝国主義がこうしたFTAなどの方向を追求するのは本質的に言って必然であり、それはまた東アジア民衆からの一層の収奪の強化の道であることも疑いない。


せんりゅう    ( ゝ史 )

ブッシュ睨みつつカーターへ贈り物

平和賞仲間みんなにもらいたい

量子芸術カミオカンデにノーベル賞

サラリーマン翌日からは学者顔

二十四年「とても会いたかったです」

松茸四十箱だれの胃に

万万の屍みえぬ御会見録

天皇家バイオフィルムみたいだね

〇金利つづいてずっと不況風

八億の飢えをしらない美味の国

ヤクザより万倍こわい有事法

見送るは恋人のよし法案も

                 
二〇〇二年一〇月

 ○ ノーベル賞の権威これまたたいへんな爆発力だ。量子芸術とはコンテンポラリー・アートの一派で理論物理学から生まれるアート。
 ○曽我ひとみ(ミン・ヘギョン)さんん帰国第一声。
 ○歯周病菌はねばねばのバイオフィルムで守られていて薬剤がきかない。病巣は天皇フィルム効果に守られてぬくぬく。
 ○富豪たち0金利で資産の運用がむづかしい。金の流れが滞っている。
 ○日本には世界中から珍味が集まってくる。


複眼単眼

  松井さんの回復を願いつつ 松井さんに学ぶこと


会場は超満員で、同じ建物の別の階に第二会場も作り、プログラムの一部、二部の入れ替え制になった。第二会場ではビデオで第一会場の様子を観ることになった。一〇月二八日に開かれた「松井やよりさんの健康回復を願い励ます友人の集い」のことだ。
 その二週間前、「つらいお知らせ」というメールが関係者の間に流れた。
 VAWW−NETジャパンから「代表の松井やよりさんがアフガンにて倒れ、帰国後、病院で検査をしたところ肝臓癌であることがわかりました。手がつけられない状態だと言うことです」というものであった。
 その知らせを聞いて私は絶句した。松井さんは私にとってはある環境市民団体のアドバイサリー・コミッティでのお付き合いと、さまざまな集会でご一緒する程度のお付き合いではあるが、日ごろからその活動には尊敬と親しみを感じていた人だ。
「お知らせ」では「この夏はいくつもの国際会議に参加し、八月にはモンゴルの草原で馬を駆り、カブールへの途上のイスラマバードではプールで泳いでいたほど元気で、全く自覚症状がなかったのですが、『沈黙の臓器』といわれる肝臓を死にいたる病がむしばんでいたのです」と書かれている。元気に走り回っていた彼女の内部でこんな病が進んでいるなど、思いもよらなかっただろう。
 二八日の集会で松井さんは「私の夢の実現を皆さまに託します 『女たちの戦争と平和資料館』の提案」というプリントを配布し、元気に挨拶した。
笑い声ももれるような会場の雰囲気は、松井さんの病と言うのは誤報であり、いつものVAWW−NETの集会かと見まごうような雰囲気すらあった。松井さんの友人らの発言も、つとめてそのように配慮されていたと思われる。会場には笑いがあり、涙はなかった。
 みなが松井さんの闘病の勝利を願い、松井さんも病に立ち向かう決意を固め、それに参加者が激励されるという集会だった。
 松井さんは「お知らせ」で「闘い半ばで倒れなければならないとは、あまりに
も突然の、まるで天災のような悲運」といいつつ、「とくに『女性戦犯法廷』を提唱して実現させ、すばらしいハーグ判決を得ることができたことが何よりの慰めです」と書いている。たしかに厳しい運命ではあるが、松井さんは『女性戦犯法廷』を残した。人は早かれ、遅かれ、いずれは死ぬものだ。その仕事が以後の人間たちの歩みの中にさまざまに受け継がれていく。この日、誰かは「松井さんは人の三倍もの仕事をした」と言った。まさにそうだろう。この彼女の生き方は多くの後進のすばらしい手本だとおもう。
 それにしても、こんなことが言える人生ってすばらしいとおもう。松井さんはこういう。
 「今何よりも誇りに思えるのは、踏みつけにされている『いと小さき者』の側に立って、権力に抗する姿勢を貫くことができたことです。かつて、新聞の人物紹介コラムに『炎』という記号を使ったり、雑誌に『須賀晶子』という明治の二人の女性にあやかった『ペンネーム』で寄稿したりしたのも、差別や搾取や不正と闘う熱い想いを表現したかったからです。つねに激しい怒りに突き動かされて行動した人生でした。それゆえに、いかなる公的地位とも無縁だったことをむしろ名誉に思います」 
 死ぬときに悔いがないようになどというのは、活動家にとってはありえない。やりたいことは山ほどある。少しでも前に進みたい。松井さんだってそう思うはずだ。しかし、松井さんにはその思いを引き継ぐ仲間たちがいる。松井さんと手を取り合った「いと小さき者たち」がいる。(T)