人民新報 ・ 第1079号<統合172> (2002年12月5日)
  
                                目次

● 12・1全国大集会に二万五千人が結集 有事法案をかならず廃案へ

● 陸上自衛隊西部方面隊総監が言論集会の自由へ干渉 市民団体が防衛庁へ抗議行動

● 「STOP!有事法制」を掲げ国会行動 ( 11月26日、27日、28日 )

● 小田実、中山千夏さんらイラク攻撃反対の声明 賛同は世界的に広がる

● 小泉改革NO!非正規労働者の権利確立を 秋の共同行動

● 国労第七〇回定期大会 四党合意路線は完全に破綻

● 鉄建公団訴訟の勝利に向けて 食らえ 鉄建 !

● 市民など幅広い共闘で画期的な勝利 尼崎市長に白井文さん

● 人らしく いきるために立ちあがろう!  国鉄闘争支援全国連鎖広島集会

● 複眼単眼 / 査察のすべてはイラク攻撃の道に通じる?




12・1全国大集会に二万五千人が結集

         
有事法案をかならず廃案へ

 アメリカ・ブッシュ政権によるイラク攻撃が間近に迫り、小泉政権がそれを積極的に支持するという情勢のこの時、労働者、市民、自治体を戦争へと巻き込む危険な有事関連三法案の廃案にむけて、いっそう大きな共同が求められている。12・1集会の成功の意味するものは大きい。

 十二月一日、小雨模様の中、東京代々木公園で、陸・海・空・港湾労組20団体、平和をつくり出す宗教者ネット、平和を実現するキリスト者ネットを呼びかけ団体に「有事法制反対、戦争協力反対、戦争動員反対、いのちと安全を守ろう、有事法制を廃案にしよう」を統一スローガンにした「STOP!有事法制12・1全国大集会」が開かれ、二万五千人が参加した。
 開会のあいさつで、鈴木伶子さん(平和を実現するキリスト者ネット共同代表)は、有事法制に反対する動きは労働組合や市民団体はもとより、自治体の取り組みや弁護士など全国的に広がっている、次世代のためにも愛といたわりの社会、人間が人間らしく生きられる社会を作るために、そして私たちが戦争の被害者にも加害者にもなることを拒否し声をもっともっと大きくして有事法制をも廃案にしましょう、と述べた。
 つづいて「有事法制ゼッタイ・ハンタイ」各界アピール。
 土井たか子社会民主党党首 
 先の通常国会では反対の声が多く、廃案にはできなかったが成立を阻止した。反対運動の盛り上がりで与党もあきらめ顔だが決して油断できない。来年の通常国会で必ず出してくる。さらに大きな運動で廃案にするために、いまが踏ん張りどきだ。小泉内閣はテロ特措法を延長しインド洋の自衛艦派遣を長引かせている。特措法が憲法違反なのに、そのうえいい加減なやりかたをやっている。もはや法治国家ではない。いったん戦争に加担すると止まるところを知らない。はじめに戦争は断じて許せないという姿勢が必要だ。そして小泉内閣の経済無策で失業率は五・五%というひどい状況だ。有事法制を廃案に追い込み、小泉内閣を打倒しよう。社民党は全力を挙げてがんばる決意だ。
 筆坂秀世・日本共産党書記局長代行
 有事法制をめぐっては表立っては静かだが、しかし次の国会での成立か廃案をめぐって推進と反対の二つの勢力が厳しい対立をしている。与党は、先の通常国会での失敗から教訓を汲んで、一部修正で国民世論を引き込もうという策略に出てきている。通常国会では武力事態についての政府の答弁はメロメロだった。これを変えようとしている。これは文字通り法案の骨格そのものだ。それをいじらなければならないような欠陥法案だということだ。また不審船・テロ対策をとりあげ世論をもりあげようとしているが、これらはかれら自身が本来「武力でない」としてきたもので、まさに混乱のきわみだ。国民保護法制というが、じつは外出禁止令、物価統制、言論思想の抑圧、国民弾圧法制・人権抑圧法制に他ならない。一九九四年に北朝鮮「核疑惑」の当時、日本には戦争に協力する法案なかった。しかしいまは、周辺事態法がありそのうえ、有事法制があれば、いつでもアメリカの不正義の戦争に日本国民を巻き込むことができる。いくら修正をおこなっても、アメリカの戦争に日本国民を強制的に動員していく法案は、何が何でも廃案にしなければならない。そのためにも幅広い共同の輪を作り上げなければならない。共産党も力を尽くす決意を述べ連帯の挨拶とする。
 石毛えい子・民主党衆議院議員
 民主党有志を代表してあいさつする。一週間ほど前に国会でイラクの子どもたちの写真展があった。湾岸戦争で劣化ウランで多くの人々が殺され、生き残った子どもたちも白血病やガンにさいなまれ、また有機水銀の被害は、内臓の病気をもたらし、障害を持つ子どもを多く誕生させている。悲しい苦しい体験をこの目で見ざるを得なかった。私は議員として朝鮮・韓国BC級戦犯、サハリン抑留、中国帰国者などの活動に参加しているが、戦後五〇年以上もたって、日本は今でも多くの人の生命を奪う惨禍をあたえつづけている。戦争に加担し、未来につづく子どもたちに戦争の惨禍を残さないようにわたしたちは力を尽くしていきたいと思う。先の通常国会では民主党も廃案で一致したが、私たち民主党の中の有事法案に反対する議員は多くの人びと力を合わせてがんばっていきたいと思っている。
 メッセージの紹介では「フォーラム平和・人権・環境」と歌手の喜納昌吉さんのものが読み上げられた(作家の澤地久枝さん、音楽評論家の湯川れい子さんなどからの多くのメッセージが集会プログラムに紹介された)。
 ふたたび、各界からのアピールが始まり、日本弁護士連合会副会長の伊礼勇吉さん、日本青年団協議会副会長の菅野好光さん、日本消費者連盟事務局長の水原博子さん、東京高校生平和ゼミナールの井上ゆかりさん、反対しましょう有事法制!茨城ネットワーク事務局長の塚田栄さんが有事法制廃案に向けた決意を述べた。
 全国港湾労働組合協議会事務局次長の玉田雅也さんが集会宣言(別掲)を提案して全参加者の拍手で確認された。
閉会の挨拶とシュプレヒコールは全日本海員組合政策教宣局長の福岡眞人さんが行い、集会終了後、新宿、明治公園、宮下公園の各コースにわかれてデモに出発した。


陸上自衛隊西部方面隊総監が言論集会の自由へ干渉

                     
市民団体が防衛庁へ抗議行動

 大分県日出生台などで行なわれた日米共同演習に、地元の住民が抗議する集会を準備していたことにたいして、自衛隊の最高幹部が公然と介入する事件がおきた。
十一月十八日の陸上自衛隊西部方面隊松川総監による言論・集会の自由にたいする抑圧と介入に抗議して、十一月二九日午後三時、東京・市ケ谷の防衛庁にたいする抗議と申し入れ行動が行なわれた。
 この日の行動に参加したのは「戦争に協力しない!させない!練馬アクション」「許すな!憲法改悪・市民連絡会」「日本山妙法寺」「FAX通信」「明治大学駿台文学会」などの有志十数名の市民や学生。
 これらの人びとは防衛庁にたいして、緊急にインターネットで集められた全国各地の市民運動有志二三四名が共同で署名した「陸上自衛隊西部方面隊の松川正昭総監による言論・集会の自由抑圧行為に断固抗議し、同総監の罷免と防衛庁長官の謝罪・辞任を要求する緊急共同声明」(別掲)を正門前で読み上げ、抗議したうえで、応対にでた長官官房文書課の係官に手渡し、近日中に文書で回答するよう要求し、約束させた。
 今回の松川総監発言は憲法をはじめ関連諸法令全体に違反する重大な問題であるにもかかわらず、地元大分・九州方面以外ではメディアもほとんど取り上げてはいない。
このこと自体が本格的に戦争のできる国家へと突き進んでいる日本の現状を表すものであり、危機的状況だ。
今後もさまざまな方法で追及をしつづける必要がある。すでに地元の市民団体や九州地方の平和団体・労組などが抗議声明などをだしているし、国会でも野党側からの質問も行なわれた。
 なお、この要請行動の最中に公安調査庁と警視庁関係者とみられる者たちが双眼鏡による監視と写真撮影をしていることに抗議し、市民たちは防衛庁側にこれらの者たちの身分の確認と抗議・謝罪を要求したうえ、直接にも抗議した。しかし、これらの者たちは口をつぐんだまま逃げ去った。

 緊急共同声明「陸上自衛隊西部方面隊の松川正昭総監による言論・集会の自由抑圧行為に断固抗議し、同総監の罷免と防衛庁長官の謝罪・辞任を要求する」

 すでに報道で明らかなように、十一月一八日、日出生台、十文字原両演習場で行なわれた日米共同訓練に反対する集会に対して、訓練視察中の陸上自衛隊西部方面隊の松川正昭総監がわざわざ車を降りて、主催者に集会の中止を要求するという事件が起きた。
 総監はその場で「どうして(訓練に)反対するのか」「日米共同訓練はわが国への侵攻やテロに対するもので、北朝鮮への抑止力になる。反対集会が報道されることで、訓練内容が相手に知られるではないか。私はここの責任者だ」などと発言した。総監は一緒にいた部下らの制止をも振りきり、五分にわたって、主催者と押し問答をした。
 この事件は決して偶然起きたものではない。先のテロ対策特別措置法や今般の有事三法案の国会上程などに見られるような、日本を「戦争のできる国」にするための政府・防衛庁などの一連の動きのなかで、制服組の気分を表わしたものである。
 これが、多くの人びとの平和と共生の願いを踏みにじり、東アジアの緊張をいっそう激化させ、この国全体を本格的な戦争の道に引きずり込む、危険な憲法違反の言動であることは論をまたない。
 自衛隊の幹部がこうした言動をしはじめたことの先には何があるのか。わたしたちは、今回の事件を絶対に見逃すことはできない。
 陸上自衛隊西部方面隊の松川正昭総監は、今回の暴言について謝罪し、ただちに辞任せよ。
 防衛庁は、事件の詳細とその責任を明らかにし、石破茂防衛庁長官は謝罪して、辞任せよ。
 以上、連名をもって要求する。

 二〇〇二年十一月二九日

 石破茂防衛庁長官様

 松川正昭陸上自衛隊西部方面隊総監様


「STOP!有事法制」を掲げ国会行動 ( 11月26日、27日、28日 )

 「STOP!有事法制」を掲げた国会行動が、十一月二六日、二七日、二八日のそれぞれ正午から午後一時まで、衆議院第二議員会館前の路上で開かれた。 主催したのは「STOP!有事法制大集会」実行委員会で、十二月一日の大集会に向けての行動の一環。またこの実行委員会は十一月二三日、二四日には都内のいくつかの駅頭で有事法制廃案を要求する宣伝行動を行なった。
 二六日は陸海空港湾労組二〇団体を中心に約二〇〇人が集まり、二七日は宗教者を中心に約八〇人、二八日は市民団体を中心に四〇人が結集して、有事法制廃案、イラク戦争に反対の声をあげた。行動にはそれぞれ民主党、社民党、共産党の国会議員がかけつけ、連帯の挨拶をした。
 二八日の行動には「フォーラム平和・人権・環境」の福山事務局長もかけつけ、連帯の挨拶を行なった。また航空関係の労働組合などのほか、市民団体からもキリスト者平和ネットで日本YWCAの斉藤さん、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの井上さん、日本消費者連盟の富山さん、戦争への道を許さない北・板橋・豊島の会の岩瀬さん、明治大学の学生の樋口さんなどが挨拶した。
 これらのねばり強い行動の積み重ねの上に、広範な勢力が共同して十二・一集会が準備された。なおこの臨時国会では有事法制に反対する闘いは、開会日に行なわれた市民団体などによる院内集会や全労協などの座り込み、日本山妙法寺の人びとの連日の国会前座り込み、平和フォーラムなどの国会請願行動、全労連系の国会行動など、多様な行動が展開されている。


小田実、中山千夏さんらイラク攻撃反対の声明 賛同は世界的に広がる

 十一月二八日、「2002・9・11声明」の記者会見が行われた。
 声明は、大島孝一(キリスト者政治連盟委員長)、大津健一(日本キリスト教協議会総幹事)、小田実(作家)、佐高信(評論家)、澤地久枝(作家)、鶴見俊輔(哲学者)、中山千夏(作家)、なだいなだ(作家・精神科医)、矢崎泰久(ジャーナリスト)、山口幸夫(原子力資料情報室共同代表・法政大学教授)を呼びかけ人としている。
 記者会見には、九人の呼びかけ人とスタッフが、声明の意味、賛同者の拡大などについて述べた。
 小田実さん
 イラクへの先制攻撃などアメリカのやっていることはあまりにひどい。それに追随する日本もなにをやっているのかということだ。とにかくなにかやらなくてはと思って超党派で声をあげた。国際的にも広げて行きたい。これまで口コミやメールなどで賛同者が集まってきたが、今日の記者会見をもっと広げる第一歩としたい。
 中山千夏さん
 アメリカや日本のやっていることはいくらなんでもひどすぎる。もっと声をあげなくてはならないと思って声明の呼びかけ人に加わった。
 澤地久枝さん
 世界中から声を上げていかなければならないが、まずは一人ひとりの決断からだ。
 山口幸夫さん
 三〇年前、相模原でベトナム向けの米軍戦車を止める運動をやった。今、ブッシュは核まで使おうとしてもっと危険な恐ろしいことを狙っている。
 大島孝一さん
 イラクもひどいと思うがもっとひどいのはアメリカだ。強く抗議したい。

 現在、賛同人には、上野千鶴子(東京大学教授)、永六輔(作家)、加藤周一(評論家)、鎌田慧(作家)、木下順二(劇作家)、倉本聰(脚本家)、坂本龍一(音楽家)、ノーム・チョムスキー(言語学者・アメリカ合州国)、野坂昭如(作家)、灰谷健次郎(児童文学者)、日高六郎(評論家)、黄晢暎(ファン・ソギョン、作家・韓国)さんなど七〇〇名で、いまも募集中である。

 ●「9・11声明」を発表した人びとは、日米のイラクへの攻撃をやめさせるために、一二月一三日(金)午後六時より、渋谷公会堂で集会を開く。デモも予定されている。
【事務局・問合せ先】「9・11声明」事務局(古藤事務所気付、〇三・三三七二・四九〇四)

 2002・9・11声明
  誰がどう考えても、アメリカがイラクを先制攻撃するのは間違っている。
  私たち、日本、世界の市民は反対する。
  アメリカは国連からの孤立も辞さないし、核による無差別殺戮の可能性さえ断言している。
  日本はアメリカともイラクとも友好関係を保つ国である。
  日本は、その立場で、一方的にアメリカのイラク攻撃に加担してはならない。
  日本は、両国の間で仲介の労を惜しまず、あらゆる戦争行為をやめさせるようにせよ。


小泉改革NO!非正規労働者の権利確立を 秋の共同行動

 小泉の構造改革攻撃は、労働分野において激しく進んでいる。一一月二二日には、「小泉改革NO!非正規労働者の権利確立をめざす秋の共同行動」が展開された。これは、解雇ルール、有期労働、派遣労働、裁量労働の拡大の動きの阻止にむけての取り組みの一環である。
 秋の共同行動は、午前十時の日本経団連(フィリピントヨタ争議)への申し入れからはじまり、みずほコーポレイト銀行<旧興業銀行>(いすゞリストラ問題)への申し入れ、厚生労働省要請、郵政事業庁(郵政の非正規職員の権利問題)、みずほ銀行<旧第一勧業銀行本店>(光輪争議)、トヨタ自動車東京本社(フィリピントヨタ争議)への抗議など展開した。
 日本経団連とトヨタ本社へは、「@フィリピントヨタ自動車において不当に解雇された組合役員と組合員を復職させること、A組合役員と組合員に対する全てのでっち上げられた刑事事件を取り下げること、B法廷において決定された唯一の組合としての一般社員を代表する組合の独占的権利を認めること、C労働協約交渉を始めること」などを要求した。
 夜には、総評会館で「小泉改革NO!非正規労働者の権利確立をめざす秋の集会」が開かれた。
 主催者を代表して中岡基明さん(全国一般労働組合全国協議会委員長)があいさつ。
 小泉の構造改革政策に対して、みんなで共同行動を行い、春には全国キャラバン、秋には一日行動と集会を積み重ねてきた。韓国やフィリピンの労働者の闘いが示すように、現在進んでいるグローバリゼーションはアメリカを中心とする多国籍企業の肥大化と労働者の使い捨て・放り出しということだ。小泉内閣は「総合規制改革会議」で一段と労働分野でも「改革」を進めるといっている。これを断じて許してはならない。今日の行動を決起の集会として闘いを強めて行こう。
 韓国の非正規労働者の権利運動について、ホン・ジュンピョさん(韓国民主労総副委員長・元韓国通信契約職労組委員長)が報告。
 韓国でも一三〇〇万人労働者のうち五八・四%の七五八万人が非正規労働者で、またその中のおよそ七〇%が女性労働者だ。これらの人びとは非常に劣悪な労働条件下で働かされている。しかし、韓国の労働運動でも非正規労働者の権利のための闘いの歴史は長いものではない。一九九九年から本格的になった。今、五四のストライキが闘われているがその中には多くの非正規労働者が含まれている。また韓国にも多くの移住労働者がいるが韓国の労働者と同じ権利をめざして「平等労働組合」が組織されて運動している。民主労総は非正規労働者の権利を闘いとることを来年の中心課題として取り組む。そのため、方針を決定し、人員を配置し、財政措置をとった。日本の労働法制改悪の動きは、韓国もその影響を大きく受ける。韓国と日本の労働者は手を結びあって闘おう。
 労働政策審議会労働条件分科会の審議状況については田島恵一さん(労働政策審議会労働者委員・連合全国一般労働組合)が報告。
 労働基準法、労働者派遣法、職安法などの改正が審議されているが、解雇ルール、有期労働などあらゆる面で安上がりに労働者を使おうとしている。来年の国会には法案が出される予定だ。こうした動きを注視して対処する必要がある。
 つづいて酒井和子さん(均等待遇アクション二〇〇三)、本間誠一さん(派遣労働ネットワーク)が、パート労働者や派遣労働者の状況と闘いについて発言し、つづいて闘いの基調を高須裕彦さん(全国一般労働組合東京南部・有期雇用労働者ネットワーク)が提起した。
 集会は最後に「アピール」を採択し、団結頑張ろうで終了した。

 集会アピール(要旨) 
 過密労働・サービス残業の蔓延、いじめや退職強要が横行する一方、不安定雇用と劣悪な労働条件のパート・契約・派遣労働者が増え続けている。これらを加速するのが小泉改革だ。痛みは激痛として私たち労働者へ一方的に降りかかる。小泉政権のめざすものは弱肉強食の市場原理主義であり、勝ち組と負け組の格差拡大である。それらは、「労働規制改革」において明確だ。
 小泉首相は「二・三年の期限付き雇用ができたり、社員を解雇しやすくすれば、企業はもっと人を雇うことができる」と到底納得できない理屈で「労働規制改革」を提起。それをうけて、昨年の秋以来、厚生労働省労働政策審議会で具体的議論が始まっている。有期労働契約期間の上限を原則三年、高度の専門職について五年へ延長すること、解雇ルールの立法化、解雇の救済手段としての金銭支払い、製造業派遣の解禁、臨時的一時的業務の派遣期間を原則三年へ延長すること、企画業務型裁量労働制の対象拡大と要件緩和やホワイトカラーを労働時間法制の適用除外とすることなどが具体的に議論されている。これらは、正社員を削減し、無権利な不安定雇用労働者を拡大させる一方、ホワイトカラーに対しては労働時間規制を緩和し過労死するまで働かせようとするものだ。さらに、解雇ルールについては、「正当な理由なく行った解雇は権利の乱用として無効」という内容を提起しているが、整理解雇の四要件は盛り込まれず、解雇の救済手段として、使用者の請求によって、復職ではなく金銭解決を可能とする条項を盛り込ませようとしており、被解雇当事者の解雇撤回・現職復帰要求を否定する重大な問題が含まれている。
今、必要な改革は、規制の緩和・撤廃ではなく、解雇法理・雇止法理に基づく解雇規制の立法化、非正規労働者の均等待遇・差別禁止原則の立法化、労働時間規制の強化である。
 厚生労働省は、一二月中にも審議会のとりまとめを行い、来春の通常国会へ法案提出を準備しており、闘いは重要な時を迎えている。未組織労働者、非正規労働者と連帯し、ナショナルセンターや所属を越え様々な人たちと共に闘いを進めよう。


国労第七〇回定期大会 四党合意路線は完全に破綻

 国労の第七〇回定期全国大会は、十一月二四〜二五日、社会文化会館で開かれた。破綻した四党合意にしがみつく国労本部はまたも警察機動隊を導入し、権力に守られた中での開催という労働組合にあるまじき大会となった。大会会場周辺には、時折、激しく降る雨をついて、闘う闘争団、「国労に人権と民主主義を取り戻す会」などに結集するJR内の国労組合員、支援の労働者たちが結集し、会場内の四党合意に反対する代議員、傍聴者たちと呼応しながら、高嶋・寺内執行部に抗議し、四党合意の破棄・闘う方針の再確立を訴えてシュプレヒコールを繰り返した。
 今回の大会は、本来八月に開催予定だったものが、大会前には解決案が出るという本部によって延期されてきたが、ついに解決案は全く影も形もないままになってしまった。したがって、本来なら本部は全国大会で自己批判を行って潔く辞任すべきところを図々しくも居座りをはかったのである。
 そして大会では、解決案が出ないのは一部闘争団が鉄建公団訴訟を起こしたからだとという高嶋委員長のあいさつや寺内書記長報告があり、もともと実態もない四党合意が解決に何の役にたつわけはないにもかかわらず、その責任を闘争団に責任転嫁しようとしている。
 方針論議ではほとんど賛成派代議員ばかりが発言指名されるなど横暴な議事運営がつづいた。一方、四党合意の破棄を要求する意見に対しては、本部は四党合意は大会で承認しているのでは破棄できないし、解決の障害は鉄建公団訴訟だと述べ誤りを重ねている。
 四党合意の本部方針は、賛成七五・反対二七・棄権七・白票一で採択されたが、今大会の焦点となっていた闘争団処分とストライキ基金の取り崩し問題では大きな抵抗が起こった。だが、本部派は強引に闘う闘争団処分のための査問委員会の継続設置を強行した。一方、スト基金取り崩し問題は一年間の職場討議を経ることになった。スト資金の切り崩しは、本部の資産を各エリア本部などに移行させることによって、単一組織としての国労の分割・解消をめざすものである。
 大会の翌日二六日、四党合意の中心人物である甘利明・自民党副幹事長は、国労大会に対するコメントを出し、「四党合意の実行は前提が存在する。その前提の履行に対し国労側の誠意ある対応がなされなければ、わが党は四党合意の離脱を含め厳しい対応をせざるをえない」と述べ、四党合意破棄の意向を表明した。
 こうして四党合意は名実ともに破綻状況に陥っていることは誰の目にも明かとなった。
 闘う闘争団を先頭にした四党合意反対派の正当性は一段と鮮明となった。国家的不当労働行為糾弾、一〇四七名の解雇撤回、地元JRへの復帰をめざして、鉄建公団訴訟を着実に前進させ、支援の輪を広げ、国鉄闘争の前進のために闘おう。


鉄建公団訴訟の勝利に向けて 食らえ 鉄建 !

 十一月二二日、鉄建公団訴訟の第二回口頭弁論(東京地裁)が開かれた。東京地裁行動を終わり、夜には、シニアワーク東京で、鉄建公団訴訟原告団・国鉄闘争共闘会議の主催による「第二回鉄建公団訴訟報告集会 食らえ鉄建! 勝利に向けたバトル討論会」が開催された。
 国鉄闘争共闘会議の二瓶久勝議長は主催者あいさつで、四党合意は国労本部ですらそれが解決に結びつかないことを認識している、四党合意は完全に破綻した、そこから出発しようと共闘会議は立ち上った、日本の労働運動と国鉄闘争をきちっと連結させる、そして労働運動を再生するということを目標にしながら運動を展開していきたい、と述べた。
 鉄建公団訴訟弁護団主任弁護士の加藤晋介さんは次のように述べた。
 鉄建公団訴訟は、横浜人活の横浜地裁判決、また東京地裁も訴訟救助を出すなど順風の中で始まったと考えていい。しかし、一〇月二四日に東京高裁での全動労判決があった。これはとんでもないもので、破綻状態にある国鉄を救済するためには、これに反対する労働者に対しては差別しても不当労働行為にならないと言っている。この判決はこの事件だけにとどまらない。どこの職場でも、企業の言うことを聞かない者は出て行けということだ。国鉄の分割民営化がリストラの原点であり、国鉄闘争はこの国の労働運動の最先端の課題だ。この訴訟には絶対に負けられない。
 討論会では川副詔三さん(「地域と労働運動」、「ともにGO!ニュース」編集長)、小野寺忠昭さん(中小労組政策ネット)、山田則雄さん(国労に人権と民主主義を取り戻す会共同代表)、芹沢壽良さん(高知短期大学名誉教授)が闘争の現状と展望について語った。
 最後に鉄建公団訴訟原告団の酒井直昭団長が決意表明。酒井さんは、国労全国大会が開催されるが、本部でも四党合意での解決案が出ないと思っている。本部は自分の頭では何も考えられない状況だ。しかしそういう本部だが、解決は原告団だけではなく、最後は必ず国鉄労働組合としてやれると思っている。高裁の不当判決をはね返す裁判闘争と大衆行動をしっかりつくっていきたい、と述べた。


市民など幅広い共闘で画期的な勝利 尼崎市長白井文さん

 十一月一七日夜、選挙戦に参加した尼崎市民は開票速報を見守った。
 はじめ宮田現市長が白井文(あや)さんを五〇〇票リードしているとの速報がなされた。「これは駄目かな」という想いが走る。以後少しづつ開票結果が報道された。段々追い上げて来る。そしてついに白井文さんの票が宮田氏の票を引き離しはじめた。「これは勝つかもしれない」という想いから、「勝つぞ」に変わっていく。 
 JR立花駅前の選挙事務所に続々と市民が集まってきた。駅前の歩道一杯になった市民が白井さん当選確定の報にどっとどよめき、おたがいに喜び合っている光景があちこちにみられた。
 白井文さんが多くの報道陣を前にして、選挙疲れも見せず勝利の感想を述べ、延々とつづくインタビューに応じている。
 久々に尼崎が心の底から喜びあった夜であった。恐らくこのことのもつ意味は、あるいは激震はいまも尼崎市民の間に進行中である。 
 絶対に有利と思われてきた宮田現市長陣営の敗北で三つの神話が崩れた。公明党=創価学会の圧倒的に強い尼崎市においてその組織票の確実性、したがって投票率が低ければ宮田氏有利、そして公明、自民、民主、(社民党の一部)の政党、連合系の労働組合、各種企業、市民団体の推薦という幅広い支持基盤にたったつ確実性といったような神話があった。確かに残念ながら投票率は三二%という低さであったが五〇〇〇票差で白井さんが六二三〇八票を獲得し勝利した。 
 勝利の要因としては次のようなことが考えられる。白井文さんの候補者としての魅力、『から出張』時に市政改革を掲げて当選した多くの新人議員の一人として議員二期を勤め、きっぱりとした態度で市政に臨んできたという実績と幅広いスタンス、女性議員として北京世界女性会議などの女性の共同行動に参加し、また老人介護、福祉の現場に足を運び真剣に取り組んできた側面など、いわば言行一致のあしどりであった。恐らく選挙戦に参加した市民、グループ、組織それぞれにとって自分たちの候補者であったのではないだろうか? このことは選挙戦を通じてより一体感のあるものに高められたのではないだろうか。このことは宮田氏のもつ現職としての強みにも関わらず、その高齢さや停滞的な雰囲気と考え合わせると際だっている。 
 宮田市政が財政再建を掲げて登場しながらうち出してきた政策は、開発と見せかけだけの市民との交流であった。
市民にとって必要性の低いところ(駅前遊回廊歩道橋や南部開発)に財政を投入する一方、低所得者、高齢者、障害者への予算削減、保育の統廃合案を打ち出してきていた。これらのすでに市民に批判されているものを、実績あるいはこれからの再建策として発表したのである。
 今年に入る前後から宮田氏に対抗する候補者選びがいくつかの流れで進められてきた。白井文さんは議員を二期勤めたあと、充電中として議員を辞めていた。出馬表明までには数カ月を要した。女性や市民派議員などとの討論がいくつもなされて、そして出馬を決意したのであった。
 共産党はこれまで幾度か市長選に独自候補をたて取り組んできた。しかし、共産党系の独自候補の場合、一定の得票と影響力は持てるが当選ということになるとほど遠かった。従ってどうやら早い時期に統一した当選可能性のある選挙戦をやるという選択を行い、白井候補擁立に熱心であった。
 結果的には共産党、新社会党、市民自治クラブ、女性グループ、尼崎医療生協、阪神医療生協、武庫川ユニオン、尼崎市職員組合など、広い意味での『市民派』や労働組合の共闘が成立した。この背景には有事法制や憲法改悪に反対して積み上げられてきた政治共闘の経験があった。ただ残念なことには社民党が二つに別れて双方の陣営に参加することとなった。私たち「尼崎政治センター」も白井さんとの討論と内部討議を重ねて全力投球で取り組んできた。
 事務所開きには多数の市民が参加し事務所前の歩道をうめた。以後、決起集会、街頭集会と続いて、この雰囲気は盛りあがっていった。決起集会では寸劇や歌が登場したり、街頭では旭堂小南陵さんとの掛合トークがあったりと多種多様であった。そしてつねに女性と若者がその周囲にボランティアとして参加していた。選挙事務所にも地元地域・七松町の市民が多数参加していたし、遠方から駆けつける『文さん』ファンも存在した。中でも尼崎市職員組合の参加は宮田氏の足元からの根底的な批判となった。岩間委員長は宮田市政と、市長の自らは何ら傷つかない再建政策と開発政策、弱者への負担しわ寄せの実態、そして市職員に犠牲のみを押し付け、何ら共感のない関係について語った。
 今、当選の喜びとは別に、白井さん本人はもとより各政党、グループ、個人は新たな挑戦と試練に直面している。財源不足の中でどのような形で選挙公約や市政批判をいかしていくのかが問われている。『市民派』についていえば、『から出張』問題で登場して以後の経験と蓄積を踏まえ、いま確実につぎのステージヘと進んだのである。白井選挙のフレッシュ尼崎のキャッチフレーズがレッツ、ビギンであった。まさにレッツ、ビギンである。
 さあ、はじめよう!(尼崎労働者 K・K)


人らしく いきるために立ちあがろう!  国鉄闘争支援全国連鎖広島集会

 国労第七〇回定期大会が一一月二三〜二四日にかけて開催された。
 これまでの国労定期大会では、国鉄分割・民営化に伴なう一〇四七名の国鉄労働者が、国家的不当労働行為によって不当解雇され、それ以降、今日では四党協議による「国労が改革法を承認する」「JRに法的責任を問わないことを認める」「訴訟を取り下げること」等を内容とする自民・公明・保守・社民による「四党合意」が闘争団の意思を無視して強行採決された経緯がある。
 国労本部は一方で、闘争団に背を向け「四党合意」にしがみつき、ありもしない和解案を振りまき、他方で、これに異を唱える闘争団に対して、今大会で統制処分にかけようとする暴挙に出てきた。
 こうした流れの中、広島では、一一月一八日に「労働者、人らしくいきるために立ちあがろう!」リストラ反対!有事法制阻止!国鉄闘争勝利!全国連鎖広島集会が、東方二〇〇一で一五〇名が結集するなかで開催された。
 この集会は、広教組、高教組、福山現業労組、郵中労、広島連帯ユニオンの委員長・議長と、栗原君子・元参議員、加藤徹夫・元国労本部特別執行委員など、集会実行委員会呼びかけ人によって呼びかけられた。
 ビデオ『国労闘争団日記』が上映された後に集会が開催された。
 その後、司会者の西中幸子(高教組)さんと酌河内明正(国労広島)さんによって進められ、呼びかけ人からのあいさつ、集会の基調の提案がされた。
 なかでも「国労闘争団からの情勢報告と訴え」と題した佐久間誠(北海道名寄闘争団)鉄建公団訴訟原告団事務局長の報告は注目を引いた。
 「四党合意」賛成派の人々が自民党に解決に向けて要請に行ったところ、甘利自民党副幹事長が対応し、「ゼロプラスアルファ」以外のなにものでもないことを明言。しかも、「全国大会前に解決案が出るということは有り得ない」ことなどが暴露された。その上、甘利議員はあろうことか「三桁の闘争団は多すぎる。二桁にすべきだ」などと平然と組織に介入する暴言を行なったのだ。
 全国大会に向けての状況は予断を許さない状況にあること。その理由として日共労対部はこの間、「四党合意」に推進派として動いていたことを自己批判も行なわず、突如「四党合意」反対に回った。しかし、このことで国労中央本部が窮地に追い込まれたことは言うまでない。
 しかし、その動向が注目されているものの、革同の動きは一貫していないことが報告された。それを証明するものとして、私たちが本集会を旧国労会館で行なうことを企画し、予約を取ったのにもかかわらず、革同系広島地本は「会館を貸さない」と一方的に通知してきたことを見れば、何よりの証左ではなかろうか。
 情勢報告の最後として氏は、中央本部から生活援助金を凍結され、兵糧攻めに耐えながら、たとえ大会で闘争団に統制処分がかけられようと、鉄建公団訴訟に展望を切り開くと力強く訴えた。
 その後、支援・連帯のアピールとして、各労組と新社会党県本部などから「他人の痛みはわが痛み」「国鉄闘争は労働運動の再生のカギとなる」「国鉄闘争も郵政公社化も攻撃の質は同根」などの訴えがあった。
 合わせて会場内では闘争団へのカンパが取り組まれた。
 集会の終了にあたって、集会決議が国労広島の渡辺久雄さんから提案され、拍手で採択された。
 最後に「団結がんばろう」をスクラムユニオン土屋委員長の音頭で力強く三唱し、集会は成功裏に終了した。(広島・N)


複眼単眼

 査察のすべてはイラク攻撃の道に通じる?


 アメリカがイラクを総攻撃すると脅している。すでにカウント・ダウン状況だ。ブッシュは「イラクが大量破壊兵器を保有しており、その危険を除去するのは当然の責務だ」という。「そのためには核兵器を含むあらゆる武器を使用し、先制攻撃をする権利がある」というのだ。
 イラクのサダム・フセイン政権がその保有を懸命に否定しているにもかかわらず、イラクの大量破壊兵器の保有に関するアメリカの「確信」はどこからくるのか。
 八〇年代後半にアメリカがイラン・イラク戦争の過程で、イランのイスラム革命の中東における波及を恐れて、イラクのサダム・フセイン政権にテコ入れしたことは知られている。当時、アメリカはイラクの研究者を招いて核研究施設を見学させたり、炭そ菌やボツリヌス菌の株を約七〇回にわたってイラクに提供した。だからアメリカはイラクが今なお、少なくともこれらの兵器を保有していると確信している。なにやら仕掛けがみえみえの下手な手品を見せられているようなものだ。
 国連安保理は全会一致でイラクに査察団の受け入れを要求する決議を採択し、イラクが受諾して、先般、査察団が入った。この決議をアメリカは「勝利」といい、フランスや中国、ロシアも「これでアメリカの戦争に歯止めがかかった」と評価した。要するにどうにでも解釈できる余地を残した決議だったのだ。
 もはやアメリカのイラク総攻撃は避けられそうもない。いま、世界のどの国家もアメリカのユニラテラリズムの暴走を止めるものはいない。国連加盟諸国は手をこまぬいているだけだ。
 国連の査察団が入って、大量破壊兵器が見つからなくてもアメリカは「イラクが隠しているから攻撃する」というに違いない。もし見つかったら、イラクがそれを廃棄処分しても、「証拠が見つかったから攻撃する」というに違いない。もし査察団と何か少しでも揉め事があったら「妨害されたから攻撃する」というに違いない。
 これでは絶対アタリにしかいかない八百長のアミダ籤みたいなものだ。このイラク総攻撃でどれだけの人間が殺されるのか。首都のバクダットは人口約五〇〇万人だ。そこには独裁政権の抑圧下でも懸命に生きる庶民の生活がある。
もはや頼るところは、欧米諸国をはじめ世界で高揚する民衆の反戦闘争あるのみだ。T)