人民新報 ・ 第1101号<統合194> (2003年7月15日)
  
                                目次


● 自衛隊をイラクに派兵するな  WORLD PEACE NOWが七夕パレード

● 大量破壊兵器が見つからなくても、米国のイラク攻撃を支持しちゃったんだから、しかたがない(福田官房長官)

● 甦れ!労働委員会 労働者の救済機関としての本来の姿に  労働委員会サポートセンター」の実践講座スタート

● 財界の雇用流動化要求に応じた改悪労基法 労働組合は団結を強化し解雇攻撃に反撃を!

● 太田、森、福田らのレイプ擁護、女性蔑視発言に抗議  自民党本部前では「三議員は辞職せよ」要求行動

● 自衛隊のイラク派兵はNGOの支援に百害あって一利なし  NGOなどが記者会見で発表

● 資 料 / WORLD PEACE NOW 再 出 発 宣 言

● 映像が伝えるワールド・ピース・ナウが獲得したもの ビデオ作品 「ワールド・ピース・ナウ 2003年春」

● 国会周辺監視カメラを撤去せよ  国会内で市民が集会、監視カメラ見学ツアー

● 複眼単眼 / 与党の政治家から相次いだ女性の人権攻撃発言




自衛隊をイラクに派兵するな

    
WORLD PEACE NOWが七夕パレード


 七月七日、自衛隊をイラクに派兵するためのイラク復興特別措置法案の参院審議がはじまった。その日の夕刻、「WORLD PEACE NOW」のよびかけによる「わたしたちは自衛隊をイラクに行かせません 〜 イラク派兵法に反対します  七夕(たなばた) ピース・パレード」は、約七〇〇人が参加して行われた。
 会場の宮下公園では、七夕の笹の枝に多くの言語で反戦のさまざまな短冊がつけられていた。

 六時四五分にトーク・ラリーがはじまった。
 はじめに、主催者を代表して高田健さんが、今日は日本が中国全面侵略戦争を開始した盧溝橋事件の日だ、このパレードは戦争発動を許さない運動の新しい出発点だ、イラク派兵法案は参院に移ったが私たちは派兵法の廃案にむけて決して諦めないで運動をしていこうと、あいさつした。
 イラクから帰ったばかりの女性は、ベトナムの民族衣裳・アオザイ姿で登場し、私の原点はベトナム反戦闘争で、いまもアフガンでイラクでアメリカ軍が民衆に銃口を向けている、この戦争に自衛隊が加わろうとしているが、戦争を一日も早く終わらせるためにいっしょに大きな運動をつくっていこう、と述べた。
 JVC(日本国際ボランティアセンター)の田村祐子さんは、イラクで活動しているNGOとして、アメリカは軍と人道支援の混同した活動を行っているが、こうしたことでNGOや国連機関などがアメリカの手先と見られ襲撃される事態がおこっている、まして自衛隊がイラクに行けば日本人すべてがイラクの人たちから敵と見られ攻撃されることも起こるだろう、絶対に自衛隊の派遣をやめさせようと述べた。
 中国帰還者連絡会の湯浅謙さんは、私は今年八六歳になったが、先の戦争では医師として戦争に参加した、中国では、捕虜や村の人びとを手術の実験材料として虐待・惨殺した、捕虜を鉄砲で撃って弾の摘出手術する、それも麻酔なしの場合もあった、部落へ押し入って食糧などを奪い取ったり、軍隊で酷使するために拉致したりした、マスコミはイラク戦争ではアメリカの進撃をほめそやすばかりで、戦争の暗黒面である捕虜虐待・略奪・暴行などのことは報道しない、このことはマスコミだけでなく教育にも問題がある、ふたたび戦争を許してはならない、絶対にしてはならない、このことを真剣に訴えたい、と述べた。
 フリージャーナリストの志葉玲さんは、この六月にイラクにいったが、アメリカ軍に拘束された、これは私だけでなくイラクではごくあたりまえのことになっていて通訳の友人の兄もなにも理由なく拘束されている、アメリカはフセイン残党狩りと称して反米デモに発砲している、そうした暴虐ぶりはフセインとまったく違わない、私の行ったラマディというところでは二〜三〇〇人のイラク人の民兵がアメリカ軍を攻撃していたが戦争は終わっていないということを実感させられた、全土が戦闘地域のようなものだ、自衛隊が行けばかならずイラク人の反発を受け攻撃される、それへの反撃だとして自衛隊員がイラク人を殺すようになる、だが自衛隊にイラク人殺させてはならない、イラクで一番困っているのは子ども、老人たちだ、それらの人びとを助けイラクに平和をもたらすことが日本の国際貢献でなければならない、と述べた。
 トークラリーを終わって、パレードに出発。浴衣姿が多い。パレード参加者は、自衛隊の戦争協力反対、アメリカはイラクから撤退せよ、などの短冊をつけた笹、七夕飾りやうちわをもって、自衛隊のイラク派兵反対のアピールを行った。


 大量破壊兵器が見つからなくても、米国のイラク攻撃を支持しちゃったんだから、しかたがない(福田官房長官

  「(大量破壊兵器が見つからなくても米国のイラク攻撃を支持するのか?)、それはもう支持しちゃったんです。取り消しはできない。他の判断があって、もっと正しかったと言えたのか」。
 これはイラク派兵法を審議する七月十日の参院外交防衛委員会での福田官房長官の答弁だ。
 「やっちゃったものは仕方がない」という驚くべき居直り発言だ。
 政府は米国の要求によって自衛隊のアフガン戦争支援につづく、イラク戦争支援と、相次いで特別措置法の制定の必要に迫られ、世論に抗しながら立法化をはかってきた。これは国連平和維持活動協力法(PKO協力法)が想定していない、米国などの多国籍軍への協力要求に対応するために法的には不可欠だったからだ。
 この繰り返しを避けようと、政府は次期通常国会では米国などの要求による自衛隊派遣対象国ごとに「特措法」を作るのではなく、「恒久法」を制定すると言いはじめた。
 「時限立法でその都度、対応していては国際社会の要請に迅速にこたえられない」というのだ。
 これは昨年十二月、福田長官の私的諮問機関「国際平和協力懇談会」(明石康座長)が「国連決議に基づく多国籍軍への後方支援のための恒久法」の整備を求める報告書にそった方向だが、さらに進んで今回の国連決議なしの米英軍のイラク攻撃のような場合を含めたものとなるに違いない。
 さらに問題なことには、福田長官の十日の答弁では「自衛隊だけでなく、地方公務員にも民間にもお願いする。相当大きな法律になる」として、自衛隊法などの改悪も含めた海外派兵基本法の制定を考えている。もし、このような悪法が作られれば、自衛隊は米国の要求で自動的に支援・参戦することが可能となり、それに警察などを含めた自治体職員や民間の動員も可能になる。これが有事三法と連動すれば自衛隊は世界のどこででも「自衛戦争」ができることになる。それは現行憲法の枠を完全に飛び超えるものだ。ここまでくればこの間、アーミテージなどが要求してきた「集団的自衛権の行使」の「合憲」を宣言する安全保障基本法の制定まであと一歩となろう。
 まさに五月の日米首脳会談で確認された「世界の中の日米同盟」という、グローバルな規模での日米攻守同盟の完成だ。
 この道を許すわけにはいかない。


甦れ!労働委員会 労働者の救済機関としての本来の姿に

             
労働委員会サポートセンター」の実践講座スタート

 労働委員会制度の形骸化が言われて久しい。このことは使用者による無法な不当労働行為が蔓延する重要な根拠になっていて、労働運動にとってきわめて深刻な問題となっている。労働委員会を労働組合・労働者の救済機関としての本来の姿に甦らせるために、昨年一二月に「労働委員会サポートセンター」が結成された(代表は、井上幸夫弁護士(日本労働弁護団常任幹事)、中野隆宣(労働ジャーナリスト<元朝日新聞記者>)、事務局長に設楽清嗣・東京管理職ユニオン書記長)。
 労働委員会サポートセンターは、労働委員会の拡充と労働組合の活性化をめざして結成された。サポートセンターは、この七月から、労働委員会の利用技術向上のため五回の「労働委員会活用実践講座」を開始した。第一回は、「労働委員会はどのように活用できるか」で、以下「不当労働行為の救済申し立てをどのようにするか」「不当労働行為の立証と審問をどのようにするか」「労働委員会を活用した実践録」「不当労働行為救済をめぐる諸問題」となっている。

 七月八日に、第一回講座「労働委員会はどのように活用できるか」が開かれた。
 講師は井上幸夫弁護士。


 労働委員会は、「労働者が団結することを擁護し、及び労働関係の公正な調整を図ることを任務」(労働組合法一九条の二第二項)としており、労働委員会には、@不当労働行為の救済命令を発する(労組法二七条)、Aあっせん、調停、仲裁による労働争議の調整を行う(労組法二〇条)、B労働組合の資格審査を行う、という権限をもっている。労働組合活動では大いに活用されなくてはならない制度だ。
 では、不当労働行為制度とは何か。それは、憲法二八条の団結権の保障を具体化するために、団結権を侵害する使用者の行為(すなわち不当労働行為)に対して労働委員会による救済手続を特に定めた制度だが、使用者の不当な行為がすべて不当労働行為ではない。使用者の不当な行為も、@不当労働行為であって労働委員会で争える、裁判所でも争えるもの、A不当労働行為でないが裁判所で争えるもの、B法的に争うのは困難だが労働者の団結で闘うものにわかれる。
 労働委員会で争われるのは、団結権を侵害するもの、組合活動に対する不当な行為についてであるから、すべてが労働委員会での争いになるわけではない。
 まず第一に、労働者への「不利益取扱い」(労組法七条一号)が不当労働行為になる。賃上げ・一時金のゼロ回答、また不当解雇でも、それが、組合員であること、組合への加入・結成、組合の正当な活動、労働委員会の利用などが理由の場合に不当労働行為となる。しかし、これも、使用者が、組合差別を明言するわけはないだろうから、本音の理由すなわちその本当の意図が組合差別かどうかを見抜くことが大事だ。第二に、組合結成や組合運営に干渉する行為など労働者の労働組合結成・運営への「支配介入」(労組法七条三号)、第三に、「団体交渉拒否」(労組法七条二号)だ。
 労働委員会にもとめるのは、原状回復(不当労働行為が行われなかったと同様の状態の回復)の救済命令をださせることで、原職復帰(不利益取扱いがされなかった状態への復帰)とバックペイ(不利益取扱いがなければ得られた賃金相当額の支払)の命令がある。
 組合への支配介入に対しては、支配介入行為を具体的に特定して禁止する命令で、ポスト・ノーティス(今後同様の行為を行わないという文書の掲示)がある。
 団体交渉拒否に対しては、使用者の掲げる事由を理由として団体交渉を拒否してはならないという命令を出させることだ。
 労働委員会に求められているのは、@民主性(労働委員会委員の公労使の三者構成、公益委員は労使の委員の同意を経て任命)、A専門性(形式的な権利義務の判断を行う裁判所と異なって労使関係、法学、経済学などの幅広い専門性)、B迅速性(金と時問のかかる裁判では不十分、金も時間もかからない救済)、C実効性(裁判所は解雇を無効としても復職を命じないが、労働委員会は解雇を不当労働行為と認定すれば復職の救済命令を出す)ことだ。
 しかし現実はなかなかそうなっていない。
 団交拒否などは時間がかかっていては労働組合の存在そのものが困難になる場合が多いが、労働委員会にかけても時間がかかりすぎるという問題がある。
しかし、今年の三月に中央労働委員会は労働委員会規則を改正して「団交拒否事件の審査迅速規定」をつくったりして状況に対応しようとしている。
 労働委員会での争いも労働組合としての闘いだ。労働委員会や裁判所で勝っても職場の組合が潰されたのではだめだ。労働委員会や裁判所で負けても労働者の団結で不当労働行為を是正させたり、労働委員会に救済申立しなくても団結で不当労働行為を是正させたり、団結・組織力プラス救済命令で不当労働行為を是正させることが必要だ。
 原則は、「不当労働行為との闘いは団結と組織力で」ということである。


財界の雇用流動化要求に応じた改悪労基法

      労働組合は団結を強化し解雇攻撃に反撃を!


 六月二七日、解雇ルールを法制化した改悪労働基準法が、参院本会議で与党や民主党などの賛成多数で可決・成立し、半年以内に施行されることになった。
 最大の焦点は、「解雇ルール」であった。
 利潤増大のために雇用の流動化を求める財界の要求にそった政府原案では、「使用者は労働者を解雇できる。ただし、社会通念上相当であると認められない場合は無効」と解雇権が明記されていた。
 しかし、本来、労働者を保護するべき労働基準法に「解雇できる」と解雇自由の規定を書き入れることに、労働組合は猛反発した。
 民主党など野党も「使用者が自由に解雇できるとの印象を与える『首切り法案』になる」と言うことで、衆院段階で与党と民主、自由両党が修正協議をして「解雇できる」との部分は削除された。
 そして、解雇ルールについては「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」とされることになった。
 しかし、労働側が求めていた「解雇されない要件」を書き入れるということは実現できなかった。
 この「改正」労基法を民主党や連合は一定評価するとしている。
 だが、厚生労働省は「改正案も解雇権があることを含んだ表記で、実体は原案と変わらない」と説明しているように、有効な歯止めにはなっていない。
 これまで、解雇については「解雇権の乱用は無効」とする最高裁判例が基準だったが、今回の労基法の改悪をたてに、資本はいっそう解雇攻撃を強めてくる。労働者・労働組合の側は闘う体制を固めなくてはならない。

 日本労働弁護団は、「労基法・派遣法の一部改正について」(六・二七)という宮里邦雄会長名による声明を発表した。
 「……成立した法律の内容は、解雇ルールの立法化については評価できるものの、有期雇用、企画業務型裁量労働制、派遣労働については、現行法の規制を緩め、労働者保護を後退させるものとして、強く抗議する。しかしながら、連合・全労連・全労協をはじめとする労働団体や、多くの労働組合・労働者の闘い、民主党をはじめとする野党の努力によって、政府案にあった『解雇できる』条項が削除されたこと、上限三年有期について退職の自由を保障する条項が設けられたことなどの重要な修正が実現したことは、大きな成果である。解雇の新設規定は、解雇理由について主張・立証責任は使用者が負うものとする確立した裁判実務を変更するものでない旨の立法者意思が、衆参の付帯決議で表明されており、法制定を踏まえて、今後の裁判実務において、この点の定着化を図る努力を強めていきたい……」。


太田、森、福田らのレイプ擁護、女性蔑視発言に抗議

               自民党本部前では「三議員は辞職せよ」要求行動


 「太田議員、元気があればレイプしてもよいのですか?」
 「森前首相、産まない女の福祉はいらないとするあなたはほんとに自民党少子化対策調査会会長?」
 「福田官房長官、レイプ擁護するあなたは男女共同参画担当大臣なのですか?」
 「小泉首相、なんでも表現の自由になるのですか」
 太田衆議院議員、森元首相、福田官房長官らのあいつぐレイプ擁護、女性蔑視発言(本紙四面「複眼単眼」参照)に抗議する行動が、七月八日十二時半から国会の議員会館前で行なわれ、女性たちを中心に約五〇人の市民が参加した。
 つづいて午後二時からは参議院議員会館で記者会見、二時半から内閣府男女共同参画局への申し入れ行動、三時過ぎから自民党本部前での三議員の辞職要求行動が行なわれた。
 この日の行動を呼びかけたのは「NO!政治家のレイプ擁護、女性蔑視発言ネットワーク」で、集会の冒頭に「ふぇみん婦人民主クラブ」の赤石千衣子共同代表が主催者挨拶を行なった。
 「太田議員の発言以来の一連のレイプ擁護、女性蔑視の発言を聞くと、どうしてこういう発言がでてくるのかと怒りに耐えない。女性にたいする偏見に満ちた発言で許すことはできない。いま少子化対策基本法案が参議院で審議されていますが、『平成版産めよ増やせよ法案』と言われるこの法案も、女性の権利を考えているとは思えないし、あいつぐ発言と同じ背景があるんじゃないか」
 集会ではさまざまな女性グループの人びとや地方自治体の議員、社民党の福島瑞穂幹事長、山内恵子衆議院議員などが相次いで発言し、三人の議員の辞任を要求した。またこれらの問題を寸劇で表現したり、替え歌を歌ったり、小雨の降る中を約一時間、抗議の集会は続いた。
 なお七月三日に「アジア女性センター」が呼びかけた「太田誠一衆議院議員の辞職および森元首相の公式謝罪を求める声明」には八日午前十時半段階で二〇団体、一一二五人が賛同したと報告された。


自衛隊のイラク派兵はNGOの支援に百害あって一利なし

                  NGOなどが記者会見で発表


 七月四日午後二時から、「WORLD PEACE NOW実行委員会」関連に関係する、イラクで活動するNGOや市民団体の代表が共同して国会内で記者会見を開いた。会場には二〇社を越す報道関係者が出席し、熱心に質問するなど、注目の大きさを示した。
 会見は「自衛隊派遣、問題多過ぎ!イラク支援NGOからのアピールアンドWORLD PEACE NOW七夕パレード〜自衛隊のイラク派兵に反対します」と題して行なわれた。
 記者会見に出席したのは日本国際ボランティアセンター(JVC)の清水俊弘さん、オックスファム・インターナショナル日本事務所の唐津聖子さん、ピースボートのチョウ・ミスさん、イラク支援市民ネットワークの相沢恭行さん、ジャーナリストの志葉玲さん、WORLD PEACE NOW実行委員の高田健さん、ほか。
 JVCやオックスファムは現在もイラクにスタッフを送り込み、献身的な支援活動を続けている信頼と実績のあるNGOだ。ピースボート活発に若者たちの国際交流をつづけて、平和のための運動をしている。相沢さんと志葉さんは、米軍のイラク攻撃の最中は「人間の盾」として現地に滞在し、戦後も現地を訪れている市民活動家だ。
 会見の冒頭、WORLD PEACE NOW実行委員会の高田健さんが「挨拶」を行い、「いまこの瞬間に衆議院本会議ではイラク派兵法が採決されようとしている。自衛隊を初めて戦場に派遣するという、この国の進路を左右するほどの重要法案を、かくも短期間に、市民に隠れるようにして一気に通してしまおうとする政府与党の党利党略の政治を許すことはできない。ここにはイラクの現地で献身的に活動しているNGOの仲間が出席している。自衛隊の派遣がいかに間違っているか、よくこれらの人びとの報告を聞いていただきたい」と述べた。

 つづいて「自衛隊派遣問題多過ぎ」と題して、各NGOからの発言があった。
 清水さんは「第一に、自衛隊の派遣が人道復興支援という文脈で現地にどういうニーズがあると思っているのか。はたしてこのイラク復興支援特措法という意味が成立ちうるのか、という問題がある。現地は医療関係の支援がとりわけ急務だ。人材派遣もさることながら設備や医薬品の援助は急務だ。第二に、劣化ウラン弾による健康被害の問題があり、イラクでは小児悪性腫瘍が発生している。白血病の治療には相当高額の医療の支援と充実が急務だ。そしてこの放射能の影響は現地に入っているNGOにもあると思われ、その対策のためには米軍がどこでどれくらい劣化ウラン弾を使ったかという詳細な資料が必要だ。まずこういう努力がされるべきだ。三点目には、イラクの人びと自身による行政機構の建直しための支援だ。生活を安定させる上で、公共サービスシステムなどの早期改善のための財政的資金的支援が必要だ。人道復興支援は、あらゆる軍事活動から中立でなくてはならず、軍服を着た自衛隊が現地に入ることは、その意図がどうあれ、支援の中立性を欠くし、日本のNGOの活動にとってもマイナスだ。結果としてNGOも敵視されかねない。まず自衛隊を派遣するという発想には賛成しかねる」と述べた。

 唐津さんは「もともとイラクは高度なインフラ設備をもっていたし、イラク復興援助とはゼロからはじめる援助ではない。インフラはサダム・フセイン政権崩壊後の掠奪で破壊されている。私たちはイラクの技術者が中心になってそれらを復旧できるような援助をしている。自衛隊派遣についての懸念は、第一に誰のための支援か。復興支援はイラクの人びとのための、イラクの人びとのものであり、イラクの人びとによるものであるべきだ。政府調査団が漠然としたニーズがあるというだけで、まずはじめに自衛隊派遣ありきというやり方に懸念を持つ。第二に、復興はイラクの人びと中心行なわれるべきだが、自衛隊が果たしてイラクの人びととパートナーシップをもってやっていけるのか、おおいに疑問だ。第三に的確な、効率性をもった援助を自衛隊がどれだけできるのか。援助にはイラクの文化や機構や人びとのコミュニティについての知識が不可欠だが、自衛隊がはたしてどこまでできるのか。四つ目にはイラクの人びとが持っている占領軍への反感の問題だ。有名になったパレスチナ・ホテルのフセイン像はいま台座だけ残っているが、そこには『全ては終わった。帰れ』と書いてある。これは何度消されても書かれる。中東では日本は中立的な国に見られてきたが、これは自衛隊の派遣で損なわれる。派遣については現地のニーズや日本の憲法、外交政策などの点で議論されているが、NGOからのこういう訴えも聞いてほしい」と述べた。
 チョウさんは「イラク特措法に反対する声明を出した。最近も沖縄やパレスチナを訪ね、占領がどういうものか、あらためて学んだ。この法律によって世界第二位の軍事力を持つ自衛隊が、イラクの占領者の側に立つ怖れがある。私たちはクラスター爆弾の被害調査も行なってきた。また防衛庁・自衛隊が保持していたクラスター爆弾についての抗議行動も行なってきた」と報告した。

 相沢さんは「戦中に人間の盾活動に参加し、帰国してから支援組織を立ち上げた。従来、イラクの人びとは対日感情がよかった。それが自衛隊派遣によって崩れることを懸念する。非戦闘地域と戦闘地域の区分けがむずかしいとわれるが、実は簡単なことで、銃をもった兵士がいることろはどこでも戦闘地域になりうる。ということは自衛隊がいくところは全て戦闘地域になりうるということだ。自衛隊員がイラク人を殺してしまう可能性があり、殺される可能性がある。そうなれば私たち市民の支援活動も非常にやりずらくなる。国会では与党・野党いずれも調査団が派遣されているが、報告はまったく対立している。一体、どこを見てきたのだろうか。調査団のための調査団は必要ない。こういう重要法案がわずかの審議期間で通ってしまうおそろしさと、審議と現場との乖離を感じている」と発言。

 志葉さんは「すでに発言したNGOの人びとは現場を知っている。自衛隊を送ろうとしている国会議員の人びとは果たして現場を知っているのか。米国に言われたからやっているのではないか。多くのイラク人はサダム・フセイン政権が倒れたのは歓迎するが、米国が新しいサダム・フセインになりつつあると指摘している。私は六月に現地で米軍に拘束され、拘留された。その中でイラク人たちがいかに非人道的な扱いを受けているかを実際にみた。二千人以上のイラク人が家族や弁護士との面会も許されず、ひどい状態で身柄を拘束されている。あやしい奴はどんどん拘束してしまえという人権無視のやり方がすすめられている。いま、ここに自衛隊が入っていってどう見られるのか。与党は認識が甘すぎる。自衛隊がイラク人を殺してしまったら、イラクのみならず、全アラブを敵に回すし、現地のNGOも活動しにくくなる」と述べた。

 高田さんは「WPNはイラク戦争に反対して活動してきたが、今回、イラク情勢の新たな段階に際して再出発宣言を出し、改めて再スタートさせた。今後はイラク問題だけでなく、東アジアの平和などより広い問題について、取り組んでいきたい。この間は、他の市民団体とともにイラク派兵法案の問題点について院内集会などをやって勉強し、問題点を明らかにしてきた。極度の解釈改憲が横行するこの国会には立憲主義がないのか。悔しいし、怒りを感じる。自衛隊員が殺すかも知れないし、殺されるかも知れない。七月七日、自衛隊をイラクに行かせないというピースパレードを計画した。同時に七月七日は一九三七年のこの日、日中戦争が勃発した日でもある。そのことを心に刻みながら、渋谷の街を歩きたいと思う」と述べた。

 出席した記者たちからは「この春のWORLD PEACE NOWのイラク反戦運動の高まりが、必ずしもイラク派兵法に反対する運動にひきつがれていないように思える。あのデモに参加した何万もの人びとはどこにいってしまったと思うのか」などという質問もでた。
 高田さんらは「この春、ともに行動した多くの市民たちはいまもイラク戦争に反対し、世界の平和を願っている。各種の世論調査を見ても過半数が自衛隊派遣に反対しており、その雰囲気は十分に感じられる。問題は私たちや広範な市民がこの法案の問題点をつかんだり、多くの市民に明らかにするような時間がほとんどないままに、国会審議が超スピードですすめられてることだ。会期末のどさくさにまぎれて重要法案を採決してしまう。こういう政府のやり方が許されていいものか。もちろん、政府のこうした政治のやり方に対応できるように市民運動のほうもさらに強くならなくてはならないという課題もある。しかし、私たちは多くの市民の皆さんが機会さえあれば再度、反戦の行動に立ち上がることを確信している。報道もそのあり方をぜひ考えてほしい」と述べた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

資 料

 WORLD PEACE NOW 再 出 発 宣 言

 WORLD PEACE NOW(平和運動や環境NGOなど五〇団体が加盟する市民ネットワーク)は、イラク戦争の新しい段階に際して、今後の運動のあり方を検討し、再出発宣言を発表した。今後はイラク問題だけでなく東アジアの問題など、さらに積極的にかかわって行く決意を示している。この宣言はWORLD PEACE NOWのホームページに掲載されている。(編集部)

 WORLD PEACE NOW(ワールドピースナウ)は、二〇〇二年末に、「もう戦争はいらない」「イラク攻撃反対」「非暴力アクション」の3つ、その後、「日本のイラク攻撃協力に反対」も加わえた四つの賛同点に結集した、政党・宗教・市民団体などの枠を超越したネットワークです。人権、環境、平和、開発問題などのNGO・市民団体、宗教者、そして一般の市民・個人ひとりひとりの老若男女が垣根を超えて参加しました。また、そのひろがりは、日本全国、世界中の市民とも連動したものでした。
 ブッシュ大統領はイラクでの「戦争終結宣言」を行い、復興という名の下にイラクを占領し続けています。しかし、この戦争は、イラクにかぎったものではなく、もっと大きな戦争の一部です。それは戦争という、国家による支配行為そのものでもありますが、同時に多国籍企業などによる市場原理主義にもとづいた世界支配とも密接につながっており、それは「民主主義のグローバル化」という旗印を利用しています。しかし、現実のそれは、武器による被害、ライフライン破壊、人権侵害、生態系破壊、雇用破壊といった暴力そのものの拡大です。これは私たちひとりひとりの命の破壊、命に対する戦争といってもいいかもしれません。その主体は、アメリカを筆頭とした国家であり、それと癒着した石油、建設、軍需を中心としたグローバルな資本であり、日本を含むそれに協力・加担するさまざまな国家であり、利益のネットワークです。しかし同時に、実は政治、投資、貯蓄、購買、メディア行為など、生活そのものによって、それに無関心などのかたちで間接的に加担している、日本の、そして世界中の私たちひとりひとりでもあります。
 私たちは、イラク攻撃が起こる前から動き出しましたが、攻撃を止めることはできませんでした。しかし、この間の世界的に連携した私たちの反戦運動は決してムダではありませんでした。市民たちのかつてない大きな反戦の運動と国際世論ができました。これは21世紀の世界市民の力にたいする信頼と希望と確信を生み出しました。攻撃は国際世論に反して、アメリカ主導で、日本政府も協力して実行され、いま「復興」の名の下に軍事占領が続いています。いま、これに対応する運動は緊急の課題です。しかし、私たちはこの先に起こるかもしれない戦争を、しっかり声をあげて止めていくことも必要と考えます。
 さらに、戦争そのものをもう起こさないために、その根っこから問題を治癒させる必要があります。たいへんなことかもしれませんが、世界大に考え、「わたし」から、行動していきませんか。そして日々生きているこの日本から。ひとりひとりが知り、考え、自ら行動していけば未来は取り戻せます。現在進んでいる力(マネーと軍事力)による単一なシステムではない世界のあり方は可能です。

 その芽が、WORLD PEACE NOWにもあるのではないでしょうか。
 わたしたち、WORLD PEACE NOWは、イラク攻撃をきっかけとして繋がりましたが、今、もっと大きな枠組みでの平和の追求のためのネットワーク(WORLD PEACE NOW)として再出発します。

二〇〇三年六月


映像が伝えるワールド・ピース・ナウが獲得したもの

  
ビデオ作品 「ワールド・ピース・ナウ 2003年春」

     STEREO HiFi COLOR 24分 企画・ビデオアクト反戦プロジェクト 頒価 3000円

 世界を揺り動かしたこの春のイラク反戦運動の歴史的な高揚。国際的には二月十五日、史上最大規模の千数百万人の反戦の統一行動が展開され、日本でも市民的な結集としてはベトナム戦争以来最大規模の集会が行なわれた。
 従来の反戦運動は始まった戦争をとめようという運動であり、今回のように戦争が始まる前から、戦争を止めようという意志をもって、人びとが反戦行動に立ち上がったということ自体がまれなことだった。
 そして日本でも三月二十日の米軍によるイラク空爆以降は、一日も早く戦争を終わらせようという運動になった。米国大使館の前では連日、多くの人びとが抗議行動を展開したし、全国各地でひんぱんに反戦行動が展開され、それらがインターネットによって横断的につながり、WORLD PEACE NOWのハートのロゴ・マークはインターネットによって全国各地に広まり、反戦運動のシンボルマークになった。
 従来の有事法制反対運動などの中では、市民運動は必ずしも大きな役割をはたしてはいなかった。労働組合などがその主力だった。
 しかし、今回のイラク反戦運動では市民運動の大きなうねりが運動を牽引した。このイラク反戦運動をどのように総括するのか、それは今後の反戦運動の展開にとってきわめて重要な意味をもっている。この経験から学ぶことの重要性を確認する必要がある。
 このような大きな運動を総括する場合、私たちの運動についての認識は部分的であり、一面的であることが多い。実際に運動のスタッフになって仕事を手伝っていたりすると、集会の出演者の発言すら聞いていないことがあるし、デモに参加しても自分の周辺しか見えていない。また東京でやれば、各地の運動は見えていない場合があるし、その逆もある。
準備の過程に関わっている者と、そうでない者の間にも認識のずれがでてくる。総括の前提となる事実認識の問題でも以上のような課題がある。ビデオやさまざまな記録集はこうした総括作業を補完する上で貴重な材料だ。

 先に本紙はビデオプレス制作のイラク反戦運動ドキュメントの「立ちあがる市民」を紹介したが、今回、紹介するビデオ「ワールド・ピース・ナウ2003年春」もそうした運動の貴重な記録だ。
 この企画・制作は「ビデオアクト反戦プロジェクト」によるもので、内容は運動のきっかけとなった昨年の十月二六日の集会から、四月十九日の集会までの記録と、各地の運動の写真、および運動を担った主なスタッフへのインタビューなどで構成されている。
 このビデオは、WORLD PEACE NOWが実現した運動が、その規模だけでなく、内容の点でもいかに大きなものであったかを的確に伝えてくれるし、運動の熱気を伝え、はげましてくれる。
 この作品は、WORLD PEACE NOW運動の全体を理解する上では最良の資料であり、今後の運動のエネルギーとなるものだ。

申し込みは

  ビデオアクト 03(5261)2229 / FAX03(4522)5785


国会周辺監視カメラを撤去せよ  国会内で市民が集会、監視カメラ見学ツアー

 国会内とその周辺に、二十数カ所もドーム型の監視カメラが設置されている。国会には請願や陳情、また抗議の集会などに来る人など、毎日大勢の人が監視カメラに記録を取られている。
 市民が陳情、請願、傍聴などのために国会を訪れるのを監視カメラによって撮影・録画し、記録として残すことは、市民の基本的権利を心理的、物理的に制限するものである。決して許されることではない。
 いま、盗聴法に反対する市民連絡会、一矢の会、プライバシーアクション、監視社会に反対するネットワーク、JCA―NET、日本消費者連盟、フォーラム平和・人権・環境、許すな!憲法改悪・市民連絡会、の市民八団体で呼びかけで、「国会監視カメラの即時運用停止と即時撤去を求める共同声明」の運動が展開されている。
 六月一八日には、多くの市民団体が連名して、衆参両院議長にたいし、「国会監視カメラ(防犯・警備モニター)設置に関する抗議と撤去の申し入れ」を行った。

 七月一一日には、参議院議員会館で、「国会監視カメラの即時運用停止と即時撤去を求める市民の集い」が開かれた。
 はじめに、監視カメラ問題を追及しているジャーナリストの小谷ひろゆきさんが報告。国会の監視カメラは、一個五五万円もする。その性能は、光学二二倍、デジタル一〇倍で二二〇倍に拡大できる。そして三六〇度エンドレスで国会の周辺の人の動きを細かく記録している。監視カメラによる記録は、劣化しない、検索可能、大量に保存できる。カメラというよりは、カメラ付きコンピューターと見た方がいい。現在、新宿・歌舞伎町などでは設置が「防犯用」と説明されているが、この間の長崎の幼児突き落とし事件でも監視カメラだ。監視カメラは「安全を守る良いものだ」という風潮がつくられている。だがはたしてそうか。監視カメラに詳しい弁護士の話はこうだ。憲法一三条は何人もその承諾なしに、みだりにその容貌・姿態を撮影されない自由を保障しているという最高裁判決がある。歌舞伎町の監視カメラは明らかに憲法違反だ。つぎにビデオカメラについての東京高裁判決だ。犯罪の発生が予測される場所を継続的・自動的に撮影・録画がゆるされるのは、犯罪発生の相当高度な蓋然性、あらかじめ証拠保全しなければならないという必要性・緊急性があること、録画は社会通念上相当なもの(たとえば、あらかじめの掲示、運用のガイドラインがあること)でなければならない。こうした要件を充たさないときは合法的なものでなく隠しカメラとなる。国会の監視カメラは、まったく不当なものだ。そして、監視カメラを設置しておきながら、その存在が社会的な問題となることをひどく恐れている。市民団体が申し入れと記者会見をおこなった時には記者クラブに手を回して、大新聞にはのらないようにしたりしている、と。
 つづいて、一橋大学大学院生の山口響さんが、イギリスの監視カメラについてレポートし、ヨーロッパなどでは監視カメラ運用にも厳しいルールがあるのに、日本では運用規定が非常にあいまいだと述べた。
 集会では、 河村たかし(民主党)、山内恵子(社民党)、北川れん子(社民党)の三衆議院議員が連帯あいさつをおこない、市民団体から、監視カメラは許せない、絶対に撤去させようなどの発言が続いた。
 集会のあとは、監視カメラ見学ツアー。あるある。国会のあちこちに、照明施設に似せた監視カメラ。近づくと、目玉がぐるりとまわってこちらを見る。しかし、議員といっしょの監視カメラ「監視」ツアーは、警察・国会衛視への威圧になったようだった。


複眼単眼

  
与党の政治家から相次いだ女性の人権攻撃発言

 「最終的な使命ですよね、子孫をつくって自分の種族を維持していくのは…」「集団レイプする人はまだ元気があるからいい。正常に近いんじゃないか」(太田誠一・自民党衆議院議員)
 これは六月二六日、鹿児島で開かれた「全日本私立幼稚園連合会九州地区大会」の「少子化問題の討論会」での発言だ。
 ところがこの討論会には森喜朗・元首相もでていて、これにつづいて次のように発言した。
 「子どもをたくさんつくった女性を国が将来、ご苦労さんとって面倒見るのが本来の福祉だ。ところが、子どもを一人もつくらない女性が好き勝手と言っちゃいかんけど、まさに自由をおう歌して、楽しんで年とって、税金で面倒みなさいというのは、ホントおかしいんです」と。
 そしてさらに太田衆議院議員が続いて「日本の男女参画主義者がいかに極端な、世間の常識から…(発言と中で時間切れ)」と発言している。
 このひどい発言が問題になると、福田官房長官が、週刊文春七月一〇日号によれば、六月二七日、番記者との完全オフレコの懇談との条件で次のようにレイプを擁護する発言をした。
 (福田)「太田さんは謝っちゃったんだね……。太田さん、集団レイプが犯罪だって知らないんじゃないかなあ。だけど、女性にもいかにも『してくれ』っていうの、いるじゃない(両手で服を開くような仕草をして)。そこらへん歩けばいっぱいいるでしょ。挑発的な格好してるのがいっぱいいるでしょ。世の中に男が半分いるっていうこと知らないんじゃないかなあ。ボクだって誘惑されちゃうよ。」
 (記者)「女が半分いるってことを知らない男もいるんじゃないですか。どんな格好をしていても、レイプはレイプです」
 (福田)「そこらへん歩いてごらんなさいよ。まあ、そのへんにはいないかもしれないけれど。そういう格好しているほうが悪いんだ。男は黒豹なんだから。情状酌量ってこともあるんじゃないの? これから夏になるしね。女性も悪いんだから、女性も気をつけなきゃいけないんだよ。そういうの、いると思わないか?(と男性記者に同意を求める)」
 文春の記事はもう少し続くが割愛する。
 この政府与党の要人の相次いだひどい発言には、あまり解説は必要ないだろう。
 先ごろの石原慎太郎都知事の「生殖能力をなくしたババアは用がない」という主旨の発言や、今回の森や太田、福田の発言は、人権や性暴力についての基本的な考え方でまったくゆがんでしまっているものであり、この連中が女性を「子生み機械」か「レイプの対象」として見ていることの証明なのだ。
 女性団体などが怒りの行動に立ち上がっている。 しかし、これは女性だけの問題ではない。「黒豹」にたとえられた男性も怒りと抗議の声をあげよう。(T)