人民新報 ・ 第1109号<統合202> (2003年10月5日)
  
                  目次

 ● 戦争も占領もいらない 私たちは自衛隊をイラクに送りません  WORLD PEACE NOW 9・ 27

 ● ブッシュとラムズフェルドの来日に抗議し、10・17、10・25の連続した行動を

 ● 9・29 イラク派兵のテロ特措法延長阻止!  市民と国会議員が院内集会

 ● JCO事故4周年で反原発の行動  国の政策が核大事故の条件をつくっている

 ● MFSO「声をあげる軍人家族の会」スティーブン・クレグホーンさんを囲んで

    「声をあげる軍人家族の会」のスティーブン・クレグホーンさんから小泉首相に宛てた手紙

 ● 旧日本軍の中国への遺棄毒ガス・砲弾訴訟  東京地裁が原告の主張を認める

資 料 / 処分さるべきは誰か!― 国鉄闘争抹殺の不当処分は断じて認めない、われわれはあくまでも闘いぬく ―(部分)

 ● パンフレット紹介

   (空の安全シリーズ1) 有事法制と民間航空〜空の安全を脅かす有事法制と日米安保

   (岩波ブックレット) イラク」後の世界と日本〜いま考えるべきこと、言うべきこと

 ● 複眼単眼 / ジャイアンツの原監督の辞任と権力好きのナベツネ




戦争も占領もいらない 私たちは自衛隊をイラクに送りません

                
WORLD PEACE NOW 9・ 27

 九月二七日、WORLD PEACE NOW主催で、「戦争も占領もいらない、私たちは自衛隊をイラクに送りません」を掲げて「ワールド・ピース・パレード」が行われ、参加した二〇〇〇名の市民はいろいろな横断幕やプラカードを手に行進した。
 この行動は、「イラク占領を終わらせよう」、「パレスチナに自由を」をスローガンに、イギリスの「STOP THE WAR連合」を中心にして、アメリカの「ANSER」などの平和団体が共に呼びかけたもので、当日には地球を一周して行動が展開され、四〇以上の国や地域で一斉に全世界的な規模でのピースパレードが行われた。

 午後二時、東京・芝公園でピースラリーがはじまった。
 主催者の開会あいさつにつづいて、イラク最新現地情況の報告を、JVC(日本国際ボランティアセンター)代表理事の熊岡路矢さんが行った。
 私たちの運動は、パレスチナ問題からはじまっているが、問題はイラクにひろがった。いまイラクの人びとへの人道援助を行っている。私たちは、問題は軍事攻撃によらず解決すべきだと主張してきたが、残念ながら戦争を止められなかった。戦争で被害を受けているのは二六〇〇万の普通の人びとだ。日本とイラクの子どもたちの絵と手紙を交換したりして、お互いが見えるような活動を行ってきた。この八月にイラクに行ってきたが、イラクの実情は厳しいものがある。一般の治安さえ守られていない。国連ビルが爆破されたが、アメリカ軍は自らだけを守っている状況だ。子どもたちは学校へも行けない。バグダッドでは荒廃が進んでいる。完全に残っているのは石油省の建物だけだと言っていいほどだ。アメリカは石油の確保のためにおこなった戦争だといわれても仕方がないだろう。いま、イラクに必要なのは、人道支援であって軍隊の派遣ではない。
 MFSO(声をあげる軍人家族の会)のスティーブン・クレッグホーンさんは次のように発言した。
 私は、わが国がイラクで行っていることに対して謝罪のために日本に来た。イラクへの必要のない攻撃・占領でアメリカは世界中で嫌われ者となっている。私の義理の息子は、イラク・バグダッドの陸軍第五司令部で任務についている。私たち軍人家族の会は、夫、兄弟、親戚などが軍にいる八〇〇家族を代表してつくられている。私たちの願いは、イラクにいる家族が一日も早く私たちのもとに帰ってくることだ。今度の戦争は、石油のための戦争だ。そして、世界に先制攻撃、単独主義を見せつけるための戦争だ。ブッシュはたくさんの化学兵器をつかった。劣化ウランはイラクを長期にわたって汚染するだろう。日本は原子爆弾を落とされた。日本人は被曝を体験しているし、日本の医者は被曝者を治療した経験がある。その日本のしなければならないことは自衛隊の派遣ではないだろう。私たちはイラクの人たちが安定した生活をおくれるようにする支援には賛成だ。イラクの人びとを助けるのは道義的法的なわれわれの責務だ。アメリカは、期限を決めて撤退を求める国連決議に合意しない。ブッシュは、戦後復興事業の契約を独占し、同時にイラクの資源を支配しようとしている。ブッシュは、イラクにおける長期の軍事計画をつくっている。アメリカは、イラクの人たちが聖地だと考えている地域を武力で支配しようとしているのであり、抵抗が起こるのはあたりまえだと言える。しかし、このような時に日本は自衛隊を派遣しようとしているが、イラクに行けば、アメリカの兵士がイラク人を殺し、そして殺されているようなことと同じことがおこる。私はみなさんに訴える。私たちの政府に、軍隊をいますぐ帰国させるよう、そして自衛隊の派遣は必要ないと伝えて下さい。
 元自衛官で学生の鈴木雅也さんは自衛隊での経験と友人がイラクに送られようとしていることについて述べた。
 私は親が自衛官で高校卒業後、当たり前のようにすぐに自衛隊に入った。しかし疑問を感じて一年でやめた。私の友人の自衛隊員がイラクに送られようとしているが、彼の人権と生命をまもってあげなくてはならない。小泉首相は、イラクでの戦闘地域と非戦闘地域の区別について、わからないなどと答えているが、そんな人を首相にしていることを私たちは恥じなければならない。日本はいま戦争ができる国になろうとしている。自衛隊のイラク派遣はその第一歩だ。
 KEY(在日コリアン青年連合)の金和代(キム・ファデ)さんは、在日コリアンの視点から北東アジアの平和を訴えた。
 私は在日の三世です。在日コリアンといっても、さまざまな人がいますが、私たちは朝鮮半島にルーツをもつ人びととKEY(在日コリアン青年連合)をつくっています。この一年は本当に大変な年でした。昨年の九月一七日の日朝首脳会談には大きな期待をしていました。しかし、夕刊を見て愕然としました。拉致は事実だった、そのうえ多くの人が死んでいたと報じられていました。目の前が真っ暗になりました。そんな時、チマチョゴリの学生を見ましたが、あの子は無事に家まで帰れるのだろうかと考えてしまいました。ホームにいても誰かに突き飛ばされるのじゃないかと不安でした。一日も早く安心して眠りたいという気持ちです。友人が私に「北」か「南」かと聞いたが、北も南もありません。私たちはいまこそ行動を起こすときだと考えています。
 法政大学教授の奈良本英祐さんは「イスラエルによるパレスチナ占領に終止符を」と題して発言した。
 今朝もマスコミはパレススチナでの流血事件を伝えていた。イスラエルのパレスチナ占領三五年の中で、この三年は最悪の様相を示している。すでに五五〇〇人が死亡し、二五〇〇〇人が傷ついた。パレススチナ人は三〇〇近くに分断されゲットー状態におかれている。そしてテロリストの攻撃を防止するためと称して、延々と高さ八bのコンクリートの壁が張り巡らされている。その両側は破壊されてなにもない。またテロリストを捕らえるといって人びとを学校などに集め、そして尋問がおこなわれ、テロリストだとされて収容所に放り込まれることがつづいている。パレススチナの人口三〇〇万人のうち八〇〇〇人が拘束されている。イスラエル副首相は、アラファト暗殺も政策の選択肢にあるといった。国連安保理はイスラエル非難決議を提出したが成立しなかった。アメリカが拒否権を使ったからだ。アメリカは、イラク、パレススチナなどで戦争状況をつくりだしているが、これはアメリカのための秩序をつくるためだ。みんなで力をあわせて戦争・占領を止めさせよう。
 沖縄・一坪反戦地主の島袋陽子さんは、米軍と自衛隊をかかえる沖縄の思いを語った。
 沖縄には在日米軍基地の七五%がある。自衛隊の基地もある。テロや戦争がおきれば、沖縄ではただちに戒厳令状態になる。危険だというので修学旅行も中止になったりした。女性へのレイプ、さまざまな事故がおこっている。そういう意味では沖縄は被害者だ。中国などアジアの国へいって、琉球から来たというと温かく迎えてくれた。
 しかし、沖縄は加害者でもある。ベトナム戦争では嘉手納基地から多くの爆撃機が飛び立ちベトナムの人を殺した。そのほかの戦争でも沖縄は戦争の基地となり、殺人の島となった。沖縄は、フィリピンのミンダナオ島と同じように対ゲリラ戦訓練が行われている。沖縄を平和の島にしていくためにみなさんとともに努力して行きたい。
 実行委員会の高田健さんが、今後の闘争スケジュール提起した。
 昨日、臨時国会がはじまった。ブッシュ大統領が来日するが、自衛隊のイラク派兵と資金の要求が目的だ。小泉はアメリカの圧力で、方針転換をして自衛隊の年内イラク派兵を行おうとしている。小泉内閣は、テロ特措法延長を短期間で強行しようとしている。私たちは、イラク派兵に反対し、自衛隊員に死ぬな、殺すなとよびかけ運動を強めて行きたい。

 集会を終わってパレードに出発、都民に、自衛隊のイラク派兵反対、イラク戦争・占領反対をアピールした。


ブッシュとラムズフェルドの来日に抗議し、10・17、10・25の連続した行動を

 一〇月十七、十八両日、ブッシュ米国大統領がAPEC首脳会議への途中、来日し、日米首脳会談が行われる。ブッシュは帰途には韓国に立ち寄ると言われている。またラムズフェルド米国防長官は二四日頃に来日し、その後、韓国を訪れる予定だ。
 この時期、米国政府の最高首脳があいついで来日、訪韓するのは、他でもない。行き詰まったイラク占領をこの両国の支援強化で切り抜けようというものだ。日本政府に対しては自衛隊派遣で動揺しないように釘を刺し、あわせて一兆円を超す資金援助を引き出そうとするものであり、韓国に対しては一万人とも言われる派兵を要求するものだ。
 すでに小泉内閣はアーミテージ国防副長官に「逃げるな、お茶会ではないぞ」と恫喝されて、年明けに予定していたイラク派兵を年内に繰り上げ、米国の要求する資金供出にも応じようとしている。それを総選挙前に行えば有権者の批判をまねくとして、選挙後に実行するという姑息な手段までとって、米国の要求に応じようというのだ。
 このようなブッシュの来日と日米首脳会談を許すことはできない。
 米国の反戦団体のANSWERは一〇月二五日に米英軍のイラク占領に抗議し、国際的な共同行動を呼びかけている。
 すでに東京ではブッシュ来日に抗議する集会とデモが、平和フォーラムや市民緊急行動の呼びかけで準備されている。集会は午後六時半から三宅坂の社会文化会館で行い、その後、米国大使館に向けてデモを行う予定だ。
 二五日にはWORLD PEACE NOWの協力と市民緊急行動などの呼びかけで「世界の人びととともに、ワールド・ピース・パレード」と銘打った防衛庁抗議デモが準備されている。すでに実行委員会には二〇以上の市民団体が結集し、同時刻に開催される韓国の民衆運動との共同宣言も発表される予定だ。
 集会は新宿の大久保公園で午後一時から開かれ、午後二時から防衛庁に向けてデモを行う。この日は東京以外にも、北海道、愛知、京都、大阪、広島、福岡など各地で行動が取り組まれる。
 今こそ、米軍などのイラク占領反対、自衛隊のイラク派兵反対、日本政府は不法・不当な米軍のイラク占領にカネを出すな!の声をあげなくてはならない。この秋の反戦平和の運動の高揚を闘い取り、十一・三憲法集会、十二・六〜七の「許すな!憲法改悪・市民運動全国交流集会」を成功させよう。
 これらの取り組みの蓄積のうえに、自衛隊をイラクに送るなの闘いを軸にして、次期通常国会での有事五法案に反対する闘い、憲法改悪のための国民投票法案阻止の闘いを前進させよう。


9・29

 
イラク派兵のテロ特措法延長阻止!  市民と国会議員が院内集会

 九月二六日に臨時国会がはじまった。小泉内閣は、自衛隊のイラクへの派兵を行うためのテロ対策特別措置法の延長をろくな論議もせずに強行しようとしている。
 九月二九日、衆院第二会館で、「9・29緊急院内集会 自衛隊をイラクに行かせない! 米軍のイラク占領に資金を出すな! 『テロ対策特措法』延長反対!」が開かれた。よびかけは、平和を実現するキリスト者ネット、平和をつくり出す宗教者ネット、戦争反対・有事をつくるな!市民緊急行動の三団体で、この院内集会は臨時国会にむけての運動のスタートとなった。

 はじめに、市民緊急行動の高田健さんが、今国会はテロ特措法延長をめぐって重要な国会となる、国会開会の冒頭に議員のみなさんに市民の声を聞いてもらいたい、そしてともに自衛隊をイラクに行かせない、自衛隊員にイラクの人びとを殺させず、自衛隊員が殺されないよう特措法延長に反対していきたい、と述べた。
 主催者を代表して宗教者ネットの木津博充上人があいさつした。
 広島の慰霊碑には「二度とあやまちはくりかえしません」と刻んである。このことは、とりもなおさず、戦争はするな、人を殺すなと言うことにほかならない。今年の八月に広島の慰霊の式典に小泉さんも出たが、その述べたことは、広島市長や長崎市長の言葉と違って、まったく内容のないものだった。こんな人を私たちの代表としていることはまったく恥ずかしいという思いをしている。私たちの望むことは、殺すな、殺させるな、殺す法を採用するなということです。私は常日頃祈っている宗教者として、どんなに苦しいことがあっても絶対この道を進んでいきたいと思っています。自衛隊員はこの四月から七月までで三一人も自殺しています。人生のむなしさを感じています。いま、自衛隊員に、あなた殺されちゃいけないと訴えるチャンスです。殺してもいけない、死んでもいけない、非暴力、不殺生が大切です。
 ゲスト・スピーカーのなだいなださん(老人党、精神科医、作家)は終始ユーモアを交えながら語りかけた。
 今日、私は新顔として現れました。こうした新顔がどんどんでてこないと元気がでない。老人党という発想は、ワールド・ピース・ナウ(以下、WPN)の運動におおいに刺激された。いま、反戦運動などでは、共産党や社民党などの政党指導はワールド・ピース・ナウに及ばない状況がでている。私も何十年かぶりに平和のデモに参加した。三月の日比谷での集会に参加してみて驚いたことがあった。参加者に聞いてみると、インターネットや電子メールで知って来た、自分たちはがまんできないからやってきたと言っていた。私の隣にいた三〇代の人は、デモをやったことがない、やりかたがわからないとも言っていた。数万人の行動は組織動員ではない。なにかしなければという気が充満している。そういう気分に火をつける役割をWPNははたした。もう一つは警察のコントロールに呆れたことだ。警察は、一分間に何百人ときめて、ちょっぴりづつしか出さない、だから何万人もの人が日比谷公園に待たされたままだった。こんなデモはない。私はこう考えている。日にちを決めてみんなそれぞれのゼッケンをつけて、何時何分に国会の周りに集まろう、そして地下鉄のあそこの出口からこちらの出口から何万の個人が、ぞろぞろ現れて国会の周りをうめつくす。そうしたら日本の革命になるんじゃないかと。
 私たちの老人党は、老人の問題だけを要求するエゴイストではない。私たちの希望は、この国をもう少し良くして若い世代に渡すということです。もちろん年金も問題です。とにかく老人の不満がみなぎっている。ガソリンが撒かれているのに、政党は自分たちの会派のことだけしか考えていない。このチャンスをつかむべきだ。そして、私たちには権力欲がない。だが、権力欲がないから見えてくることもある。たとえば、小泉さんは人気があるという世論調査についてだ。しかし、あれは質問の仕方が悪い。はじめにあなたはイラクに自衛隊を派遣することをどう思いますかと問うべきだ。六〇%以上の人が反対ですよ。そして、イラクにお金をつぎ込むことについてどう考えますかということを聞く。健康保険の保険料をあげておいて、戦争に協力するという。そして最後に、小泉さんを支持しますかと聞けば、結果は大きく変わる。いまの世論調査は世論誘導だ。だから、私たちはインターネットで自分たちの連絡を行う。いろいろなことを知らせ合うことだ。そうしたことをどんどんやっていく必要がある。
 つづいて、イラクやアフガンの劣化ウラン弾について、慶応大学の藤田祐幸さんがスピーチした。
 自民党は結成当時の方針で、改憲と自主防衛を掲げた。しかし、その後、それらは表面にはでてこなかった。これは、憲法の改悪や軍備増強に反対するわれわれ国民と政府の緊張関係があったからだ。しかし、今年になってから小泉内閣は、改憲を政治スケジュールに入れてきた。自主防衛、その先には核武装があるだろう。
 私は物理学者として、核兵器を生み出してしまった科学者の一人として、核に対する責務があると思って活動してきた。
 一九九九年にはユーゴ紛争のコソボで劣化ウラン弾の調査を行ってきた。今年の五月から六月にかけてイラクのバグダッドに行ってきた。そこで、コソボで見たのと同じ劣化ウラン弾を見た。形も全く同じです。多分、同じメーカーのものだろう。
 劣化ウラン弾は戦車の厚い装甲鋼板を打ち抜くためにつかわれている。この劣化ウランは非常に硬い。それで戦車の装甲を打ち抜いたり、かすっただけでもまるでバターをナイフで抉ったようになる。そして劣化ウラン弾は高熱で燃焼する。戦車の中の兵士を瞬時にして焼き殺すことができる。また、劣化ウランは産業廃棄物だから安い。廃棄物の処理にもなる。こうして硬い、重い、燃える、安いという、軍部・国家や核関連の産業にはたいへん便利なものだ。劣化ウランは放射能をだす。半減期は四五億年、ほとんど永久的なものだ。劣化ウラン弾は爆発すると極小なちりとなる。それを吸い込めば癌になる。バグダッド市内の国家計画省のビルを視察して驚いた。そこに劣化ウラン弾がごろごろ転がっていた。イラクでも劣化ウラン弾は硬いものを攻撃するだけでなく、さまざまなところで使われていた。ビルやアスファルト道路などでは爆発せずに突き刺さるだけだ。劣化ウランは水溶性だ。それが土や水を汚染し、植物、動物を汚染し、それを食べた人間の身体に入ってくる。イラクでは数しれない劣化ウラン弾が地中にある。これらは今後、大きな問題となってくるだろう。
 日本は自衛隊を派遣しようとしているが、それは間違いだ。日本は二度も原爆を投下されている。日本は被曝治療の経験がある。もしイラクに何かすることがあるとするなら、これこそイラクへの支援だ。
 いまこそ憲法九条を何としても守っていかなければならない。私も老人パワーの一人としてがんばり、次の世代にこの思いと運動をつなげていきたい。
 集会には、社民党、共産党、民主党の国会議員と代理が参加し、社民党の福島瑞穂幹事長、又市征冶参議院議員、共産党の井上哲士参議院議員、小泉親司参議院議員が、国会内外で呼応して自衛隊派兵を阻止しようとあいさつした。


JCO事故4周年で反原発の行動

     
国の政策が核大事故の条件をつくっている

 九月三〇日は、日本の最大最悪の原子力事故である核燃料加工会社JCO東海村事業所の臨界被曝事故の四周年にあたる。
 事故は、核燃サイクル開発機構(旧動燃)の臨界管理を逸脱した危険な注文によって引き起こされた。しかし、この契約の存在は隠ぺいされつづけてきた。裁判でも、この重大な事実は取り上げられずにもみ消され、そのため、事故は現場の労働者の責任・不注意ということにされてしまっている。また、被曝住民については、被曝はあったが健康被害はないとしている。だが、住民の受けたいわゆる低線量被曝が表面化するのは、数年後である。旧ソ連・チェルノブイリ事故でも影響が出て来たのは二〜三年後からであって、いまも新たな患者や死者が発生している。
 JCOは事故の起こった転換試験棟を撤去しようとしている。一方、東海村の村上村長は、事故を再び起こさせないためにも施設の保全や一般公開をするべきだと主張している。九月二九日の東海村議会の調査特別委員会で、JCO事業所の宮嶋良樹所長は、「現在は廃棄物の管理が(業務の)メーンであり、安心してもらうことが責務であり、廃棄物として処理したい」として、撤去方針を表明した。撤去作業着手については、文部科学省の許可が出ても東海村の結論が出るまで凍結する、とした。これにたいして村側は、「誠意が感じられない」と反発する態度を表明するとともに、文部科学省や電気事業連合会など原子力関係団体にも施設の保存を働きかけるという考えを明らかにした。
 また、一〇月からは、電力会社の資料改ざん陰蔽で大問題となっていた各地の「ひび割れ原発」が、国によって安全基準が大幅に切り下げられる改悪によって運転が再開されようとしている。大規模な事故・災害がいつが起っても不思議でない状況が国と原子力関連会社によってつくりだされている。

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 九月三〇日の午前、監督官庁である経済産業省原子力安全・保安院前で追悼・抗議行動がおこなわれた。事故の起こった一〇時三五分には、被曝で亡くなった大内久さん、篠原理人さんを追悼して菊の花をたむけ、国にふたたびこうした事故を起こさせないよう要求した。また旧科学技術庁の多くの業務を引き継いでいる文部科学省へも抗議と申し入れを行った。
 夕刻からは、シニアワーク東京で「被曝事故四周年集会」がひらかれた。はじめに実行委員会の柳田真さん(たんぽぽ舎)が、臨界被曝被害者の支援、裁判闘争支援、東海村現地ツアー、JCO施設の保存と公開、風評被害農家の応援などの行動提起を行った。
 つづいて三人が講演。
 広島で戦後一貫して被曝医療に取り組んできた肥田舜太郎医師が広島での原爆投下と被爆状況と治療について語った。
 私は、一九一七年生まれの八六歳です。私は原爆が落とされたときには広島の陸軍病院の軍医でした。その時、たまたま私は六`b離れていた村に治療にいっていました。広島市内に帰って、そこでの治療以来、ずっと被曝者の死を見てきた。被曝者は、いまも次々と死んでいます。当時、広島に特殊爆弾が落とされて大きな被害がでたということは報道されたが、被害の状況や人びとがどういうふうに死んでいったかについては伏せられていました。そして今にいたるまで広島・長崎の原爆が人間になにをしたかという真相は知らされていないという状況があります。広島の陸軍病院の場合、患者や軍医など六〇〇人のうち三人しか生き残りませんでした。被曝者は次々に亡くなって行きましたが、驚いたことに家族を捜しに広島に来た人にも被曝者と同じ様な症状がでてきました。当時は放射能のことがよくわからず、直接被曝だけが問題でしたが、チェルノブイリでも東海村でもそうですが体内にたまっていく放射線が原因でした。核兵器の被害は考えることができないほど大きい。なによりも核戦争に反対し核兵器をなくす運動が進められなくてはなりません。
 つづいて臨界事故被害者の裁判を支援する会の大泉実成さんが「臨界事故の健康被害裁判と東海村の現在」について発言した(大泉さんの両親は臨界事故のJCOから道路を一本挟んですぐ隣の工場で被曝した。昨年九月に、二人はJCOに対し裁判を起こした)。
 事故が起こって四年になり、ぼちぼち癌になる人が出始めました。ところが茨城県の行っている被曝者健康診断の医師は、日本人の四人に一人は癌になるのだからJCO事故が原因であるとはいえない、などと言っています。急性障害のみを身体障害とし低レベルの放射線被曝と遺伝的な障害の発生について無視しています。身体的な影響だけではありません。事故による心理的障害もおおきく広がっています。裁判闘争をふくめて闘争をつづけて行きます。
 名城大学教授・JCO事故調査市民の会の槌田敦さんは「臨界事故の真犯人は核燃サイクル機構だ」と題して講演した。
 核燃サイクル機構は、臨界のことをよく知らない末端社員を被告に出してきているがまったくきたないやりかただ。裁判は執行猶予にするためおざなり裁判だ。現場の作業者にいる「バケツによるズサンな作業」が事故の原因だとされているが、問題はなぜそういうことになったのかということだ。JCOと核燃サイクル機構(旧動燃)の契約にこそ事故原因があったのだ。核燃は、二・四`cの制限を無視して、一四・八`cの濃厚溶液の均一化を要求した。それは動燃の計量作業の手抜きを行うためだ。困り果てたJCOは作業手順をかえて、大量の核物質を一緒にして均一化作業を行った。その結果が臨界事故となったのであり、責任は動燃にあることははっきりしている。
 集会の後、原発はもうやめよう、核のない社会をつくろう、とアピールしてパレードを行った。


MFSO「声をあげる軍人家族の会」スティーブン・クレグホーンさんを囲んで

 九月二七日、集会とパレードのあと、帰国を翌日に控えたクレグホーンさんを囲んで、WORLD PEACE NOWのスタッフなど三十人あまりで懇談会が開かれた。以下はそこでのクレグホーンさんの話の要約。

 今日の集会とパレードには感動しました。本当に平和をめざす運動にふさわしい平和の気持ちにあふれた行動でした。
 私たちの反政府運動、あるいは反軍の運動は怒りのあまりに暴力的な行動になりがちですが、それでは人びとの支持をえられず、目的を果たせないことがしばしばあります。今日の行動はそれに注意が払われていました。
 私たちは自衛隊のイラク派兵を阻止したい、ブッシュの戦争のために若者を送り出したくないと考えています。例えばみなさんの家族に自衛隊員がいるとして、その自衛隊員に反対しているのではなくて、それらの人びとに「あなたは小泉やブッシュに利用されているのだ」ということをわかってもらう必要があります。今日の行動はそういう運動でした。
 皆さんの活動のやり方はポイントをつかんでいるなと思いました。私にたいしてマスメディアにインタビューさせました。こういう努力が必要でした。インタビューに来た記者たちの質問も的を射ていました。問題はイラクに自衛隊を送るべきか否かです。
 私たちの運動が自衛隊のイラク派兵を止められるかどうか、また十六ヵ月後に(ある大統領選挙で)ブッシュを引きずりおろすことができるかどうか。私にはまだわかりません。
 しかし、私はアメリカに帰って、日本で平和のために闘っている人びとがたくさんいるということを伝えることができます。
 日本の憲法第九条がかなり侵されてることを、あらためて知りました。私は皆さんの努力でそういう流れが覆されることを心から望みます。すばらしい条項だからです。アメリカにも憲法第一条八項というのがあります。宣戦布告は議会のみができるという条項です。いまそれがたいへん侵されています。わたしたちも頑張ろうと思います。
 日本にきて八日間、私は日本の平和を願う人びとがたいへんよく勉強していると思い、力強く感じました。
 私たちの「家族の会」はインターネットで結びついたネットワークです。米国内の反戦運動の諸団体とも連携しています。今後とも日本のみなさんとも連携して、イラク派兵反対を闘っていきたいと思います。

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「声をあげる軍人家族の会」のスティーブン・クレグホーンさんから

                         小泉首相に宛てた手紙

 内閣総理大臣
  小泉純一郎様

 
 「声をあげる軍人家族の会」を代表して、そして米国人の一市民として、私は米国のイラク占領に対して反対し、すぐにそこから軍隊を撤退すべきだと考えます。そして、日本の自衛隊がこの失敗した事業に手を貸すべきではないと申し上げます。わが祖国がイラクに対して行っていることは、反対されるべきことではあれ、決して支持されるべきことではありません。悪いことをしている友人、米国に、日本はよき友人であればこそ、その悪い行為に協力すべきではないと思います。
 「声をあげる軍人家族の会」は、これまでにイラク戦争に参加し、また、現在でもイラクに駐留している米国軍人の約八〇〇人の家族が集まってつくった組織です。それぞれが愛する人たち――息子や娘、夫や妻、それに兄弟姉妹たち――は軍人です。私の義理の息子、ジョンは、現在、危険なバクダッドの第五師団司令部にいます。私たちは、我が国の軍隊そのものに反対しているのではありません。軍が国家のために尽くしていることは誇りに思っています。しかし、私たちは、私たちの家族のイラクでの任務に反対しているのです。ですから、私たち軍人の家族は、米軍とその他の外国軍はすぐにイラクから撤退しなくてはいけないと言っているのです。
 もし、日本の自衛隊がこの戦争に参加すれば、私たちの家族が狙われるのと同様に攻撃の対象となり、人殺しをするか、殺されるかしかなくなるのです。毎日、イラクで米国軍人が何人殺されるかというニュースに脅え、いつか自宅の玄関のドアがノックされその知らせを直接聞かされる結果になるのではないかと心配し続けている家族を代表し、もう一度、首相にお願いしたいのです。
 国連を中心としたイラク再建を支援し、あなたの国の大切な若者たちをイラクに送れという米国からの要求を拒否して下さい。

    J・スティーブン・クレグホーン(声をあげる軍人家族の会〈MFSO〉)・米国

二〇〇三年九月二六日


旧日本軍の中国への遺棄毒ガス・砲弾訴訟

        
東京地裁が原告の主張を認める

 九月二九日(月)午後一時三〇分、東京地裁において「遺棄毒ガス・砲弾 第一次訴訟」判決が言い渡された。
 判決では、旧日本軍が中国に遺棄してきた毒ガス・砲弾の被害による損害賠償請求に対して、原告の主張を全面的に認められた。
 遺棄毒ガス・砲弾訴訟は、旧日本軍が侵略した中国から敗戦時逃げ帰る際に、当時の国際法に違反する毒ガス使用を隠蔽するために、中国国内の地中に埋め、或いは川に毒ガス・砲弾を投棄し、戦後になって一般の中国の市民が、被害を受けたという事件である。毒ガスによる被害は猛毒性のイペリットによるもので、原告らは皮膚にびらんを起こし気管支にも障害を与えられ、筆舌に尽くせない苦しみを何十年にもわたって受けてきており、原告らは被害者一人につき二〇〇〇万円の慰謝料の支払いを求めてきた。
 今回の判決は、@日本軍による毒ガスの生産・配備及び遺棄・隠匿並びに陸軍による機密書類の消去・隠匿の事実を詳細に認定する。A毒ガス被害について被害者の今日までの被害について事実認定を行う。B法的な責任を明確にし、国家賠償法上の責任を認める。C国は、時間の経過のみで責任が免責されるという除斥期間の適用を主張したのに対して、その主張は正義と公平の理念に反し、その適用を制限することが条理にもかなうと認められるとして除斥期間の適用を制限した。D毒ガスの被害者、砲弾の被害者や志望者に請求金額二〇〇〇万円の全額、負傷者も対して一〇〇〇万円の慰謝料を認定する、という画期的なものであった。
 とりわけ「時効・除斥」期間を適用しなかったのは、二〇〇一年七月の劉連仁裁判東京地裁判決、二〇〇二年四月の中国人強制連行福岡訴訟に続くもので、戦後補償裁判において、国は一貴して除斥期間につき主張しており、今後の戦後補償裁判に与える影響は大きい。
 いま日本政府は、中国内の全ての遺棄毒ガス被害につき、被害者への謝罪・賠償・医療ケア、遺棄毒ガス兵器の完全撤去が求められている。


資 料

 処分さるべきは誰か!
  ― 国鉄闘争抹殺の不当処分は断じて認めない、われわれはあくまでも闘いぬく ―(部分)

                        
鉄建公団訴訟原告団

 九月一三日〜一四日開催された国労第七一回定期全国大会は鉄建公団訴訟原告団員であり、最高裁第三者参加申立者二二名に対し、組合員権三年の権利停止処分を決定した。国労の右派幹部のねらいは、JR連合との合体(国労の解体)と国鉄闘争の終焉にほかならない。卑劣な処分に対して、鉄建公団訴訟原告団は「処分さるべきは誰か!― 国鉄闘争抹殺の不当処分は断じて認めない、われわれはあくまでも闘いぬく ―」という声明をだした(「がんばれ闘争団 ともにGO!ニュース」 二〇〇三年九月二五日発行 第三〇(臨時)号)。以下は、それの一部分である。資料として掲載する。 (編集部)

 真実を直視せよ!
  ―国労の統一と団結を願う善意の組合員へ―


 国労本部主流派が、機関決定を大義名分として、JR連合との合体(国労解体)・国鉄闘争処分に全力を集中している時に、たとえ善意とはいえ、「統一と団結」論にたって、機関決定への従順を言うのは、結果において、国労破壊・国鉄闘争処分に手を貸すものに他ならない。
 それが機関決定という形式をとっていても修復不可能な次元において国労を破壊し、国鉄闘争を抹殺するものである時には、それを否定し、粉砕するために全力を尽くさない限り、真の国労の防衛者・国鉄闘争の抹殺を許さない者ということはできない。人類史において、スターリン、ヒトラーなど犯罪的行為をなした者たちが、こんにちの国労本部同様多数派決定を大義名分としていたことを知らぬ者などいるはずがない。
 形式論理にまどわされて、われわれ原告団が国労の統一と団結を傷つけているという善意の忠告がしばしば行われる。すでに述べたように、この訴訟だけが国労とりわけ国鉄闘争の崩壊を救うものである。そうした闘争内容についての理解が及ばない人々でも次のことはわかるはずである。この訴訟が政府に向けられたものであり、決して国鉄闘争に害をもたらすものではないということ、そして、この闘いに我々がとりくんでいても国労本部がわれわれを敵視し、対抗したりする愚行に走りさえしなければ、組織内に亀裂が入る余地はないこと、これだけは理解できるはずである。要するに亀裂はわれわれの方からつくられているのではなく、本部のわれわれへの敵対によってのみつくられているのである。国労組合員なるがゆえに、二度も解雇され、その社会的不正義を許さず、国労と自分自身の名誉とを一体のものとして闘いつづけ、それに人生をかけてきた我々は、国労組合員以外の者であることはできない。その意味でも我々の側から国労を傷つけることはあり得ない。国労を破壊したい者、国鉄闘争を抹殺したい者たちが、その犯罪的野望のために、国労の真の守護者たる我々に敵対した結果として生じている亀裂にすぎない。
 「国労の統一と団結」を守りたいという善なる願望によって、この統制処分に賛成している組合員諸氏に強く訴えたい。ことの真実を直視せよ!と。国労の統一と団結を本当に守りたいならば、JR連合への合流という形で国労破壊を進める者たちを国労から追放しなければならない。こんにちの国労の不幸は、国労破壊者たちが指導中枢を掌握していることと、多くの善意の組合員が、統一と団結のために機関決定(それは国労破壊の決定である)を守らねばならないとして、その犯罪行為を支持していることにある。われわれこそ、国労の歴史と伝統を守るものである。われわれを処分した者こそ、国労の破壊者である。
 われわれは、二二名の処分の撤回とともに、国労が正常な路線と立場に回帰するまで、闘いぬくことを再度宣言するものである。


パンフレット紹介

(空の安全シリーズ1)

   有事法制と民間航空〜空の安全を脅かす有事法制と日米安保


 政府は自衛隊員をイラクに派兵しようとしているが、おそらくその航続能力などからみて自衛隊機で兵員をイラクまで輸送するのは難しいだろうと言われる。民間航空機が使われる可能性がある。自衛隊員の民間機による輸送は国内の訓練の時にすでに幾度か経験済みのことだ。イラク派兵の問題は航空関係の労働者にとって直接に関係する切実な問題なのだ。有事法制では民間機を使えるように仕組まれてる。航空関係の労働者は「有事法制で民間機を使うという発想自体が、海外での有事を前提にしているようなものである」と指摘している。
 このほど「パイロットとして航空会社に入社し、現在はボーイング747など大型ジェット機の機長として主に国際線を乗務している」人びとによる「運航乗務員安全フォーラム」が、「いま、空の安全、とりわけ民間航空の安全が危機に直面しようとしている」「今までわが国が経験したことのない新たな危機を迎えようとしている」という危機感からこの本を出版した。ブックレットタイプの本で、読みやすい編集になっている。
 本書のまえがきで編者は「(さまざまなところで飛行機についてお話することがあるが)そんな中で常々感じていたのは、航空関係の仕事に携わっていても、運航や官制などの専門分野については、ほとんど知られていない現実があるということだった。まして航空に関わりのない人びとには、思いもつかないことがたくさんあるのではないだろうかと感じていた」と本書の執筆の動機を語っている。そして「私たちは民間航空機の機長として、『国民総動員法』とも言える『有事法制』が、これから民間航空に何をもたらすのか、そして今後予定される『国民保護法』や『米軍支援法』がどのようなものになるのかを、沖縄での米軍機とのニアミスや米軍物資輸送など、自分たちの体験や仲間からの報告、また法案をめぐって行なわれてきた国会の政府答弁を検証しながら、航空の現状と有事法制がもたらす問題点を本書で明らかにしたい」と述べている。
 いまイラクに自衛隊が派兵されようとしている中で、また来年の通常国会では「有事関連五法案」が審議されようとしてるなかで、本書が出版される意義は大きい。
 第一章の「沖縄の空で」の第一節「JAL908便、あわや空中衝突」は筆者の「私」の直接体験であり、非常に臨場感があふれる記述になっている。そして第二節、第三節ではそした危険が起こる背景の説明になる。以下、第二章「米軍機による民間機への異常接近多発」、第三章「米国防総省、民間航空三社に米軍輸送資格取得を要請」、第四章「民間機による武器・弾薬と兵員の輸送」、第五章「周辺事態法から有事法制に」という構成だ。
 最後に、執筆した機長が「私たちは戦後生まれである。いつまでも『戦後生まれ、戦後のパイロット』として生きていきたい。有事法制への闘いはこれからが正念場である」と述べているのは単なる文章のレトリックではなく、平和を願う航空労働者の真情の叫びだ。
 問い合わせは、03(3742)3251 航空安全会議まで。 A5版八〇頁八〇〇円

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岩波ブックレット


     イラク」後の世界と日本〜いま考えるべきこと、言うべきこと


                姜尚中・きくちゆみ・田島泰彦・渡辺治

  本書は二〇〇三年五月一〇日に行なわれたシンポジウム「テロ・イラク・有事法制と言論表現の自由〜いま考えるべきこと、言うべきこと」の記録に加筆し、再構成したもの。
 司会を元新聞労連委員長で、現朝日新聞編集委員の藤森研が行い、藤森は本書のあとがきも書いている。
 本書の構成は「アメリカはなぜイラクを攻撃したのか」「ジャーナリズムは何を伝え、何を伝えなかったのか」「グローバリゼーションの中の日本の選択」「日本は北朝鮮とどう向きあうべきか」「市民として何をなすべきか」の各章で成り立っている。
 四人のシンポジウムではあるが、議論の主な部分は渡辺と姜の発言によっている。
 司会の藤森があとがきで述べている。
 「渡辺氏の現状分析は、冷戦終結による市場の世界化と米国の一極化、そこでのグローバル企業活動のための米国の軍事戦略、と明快だった。経済の下部構造から説く現代帝国主義論はいま貴重だ。一方、ウェーバーに造詣の深い姜氏は、主権国家間の利害調整を超え、理念を力で広げる『帝国』の到来を提示した。日本の現状分析でも、渡辺氏が『構造改革と軍事大国化』を表裏の関係で説けば、姜氏は『階層間格差とナショナリズム』というキーワードで応じた。微妙に違って補い合うジャムセッションのような聞き応えと言えば不謹慎か」と。これは本書の議論の的確な評だろう。ぜひ一読する価値のある本だと思う。
 一点だけ、疑問符をつけておく。
 渡辺の「イラク戦争」あるいは「ブッシュの戦争」は「新しい段階」とは必ずしも思わないという議論についてだ。
 たしかに渡辺が言うようにブッシュ以降、「世界は突然大きく変わってしまった」のではない。しかし、「突然」ではないが、状況が大きく変わったのは事実であり、それを「新しい段階」と規定するほうが事態を鮮明に説明しているとおもう。
 渡辺がこの問題にこだわる理由はわかりにくい。

A5版七二頁 四八〇円


複眼単眼

 ジャイアンツの原監督の辞任と権力好きのナベツネ


 プロ野球ジャイアンツの原監督が辞任することになった。「たかがプロ野球」のことと言われるかも知れないが、一こと言いたくなった。筆者も以前はジャイアンツ・ファンだった。いつごろかそれをやめた。いまでも野球を観るのは好きだが、ひいきのチームはない。友人たちとの飲み会で野球談義になれば、一応はついていける程度。今年は阪神ファンが私の周辺でも興奮してる。「たかがプロ野球」だから、いろいろ酔論していても、それはそこそこでおさまるのが相場だ。プロ野球談義はそれでいい。
 それにしても、今回の渡辺恒雄オーナー(通称ナベツネ)とその子分で元読売新聞政治部長の三山秀昭球団代表の原監督に対する仕打ちはひどすぎる。三山は「契約が残っていたら全部やるんですか。(中日を途中で解任された)山田監督はどうでしたか」とか、「なぜ、あそこで彼を使ったのか」などと素人らしからぬ暴言を吐いていた。オベツネも「三連敗したら話は別だ」と言った。これらで原はキレた。
 ジャイアンツは巨人軍とも呼ばれる。読売巨人軍という場合もある。十二球団の中で唯一、「軍」と名がついているこの球団は「読売グループ」に属している。他の球団と違って、その人気は全国区で、観客動員力も高く、その分、球界における発言力もたいへん強い。
 昨年就任したばかりの四五歳の原辰徳監督がチームを日本シリーズ優勝に導き、「今年も」という思いで臨んだが、セ・リーグのペナントレースでは阪神が十八年ぶりに優勝し、巨人は四位か五位に低迷している。そこで読売グループのワンマン、ナベツネが原監督を事実上、解任したのだ。
 四五歳の原監督は昨年の優勝監督だ。辞任の理由を「低迷は全て自分の責任」と語ったが本心ではない。勝率は五割を割っていないし、まだ二位の可能性すらある。これで責任をとらされるのなら、十二球団のうちの十球団の監督は毎年辞めることになる。今年のプロ野球はオリックスの石毛、ドラゴンズの山田、ライオンズの伊原、そして原と監督二年目の人びとが相次いで解任されている。三年で契約しているのに二年で解任するほどのことなのか。ルールも何もあったものではない。お家騒動つづきで低迷していた阪神がフロントを改革したら優勝したという教訓に学べばいい。
 右派政界と癒着したり、権力好きのナベツネのこうした独裁的なやり方がプロ野球の墓穴を掘ることになる。各方面から批判がでたが、ナベツネお気に入りの長島元監督は原解任にいたるこうした「殿の御乱心」をたしなめようともしなかった。この人物がオリンピックの野球ナショナルチームの監督だ。彼のスローガンは「フォー・ザ・フラッグ(日の丸)」だという。独裁者の周辺というのはいつもこういうゴマすり屋で占められる。
 球界に限らず、石原といい、小泉といい、こうした権力好きの連中が図にのってきてる社会の危険な風潮がある。(T)