人民新報 ・ 第1112 号<統合205> (2003年11月5日)
  
                  目次

 ●
 マニフェストに隠れて押し寄せる改憲の波  あらゆる場で毅然とした暴露と反撃の強化を

 ● 憲法改悪に反対し、9条をまもり、平和のために生かす署名運動の提起

 ● 声 明 憲法公布57周年にあたって

 ● 国際的な反戦共同行動  10・25東京行動  防衛庁に抗議

 ● 資 料 / 韓国の10・25行動

 ● 資料 / 日教組・多摩教祖などへの右翼の卑劣なテロを許すな

     日教組本部などへの卑劣な攻撃に対する抗議声明 ( 日本教職員組合中央執行委員長 榊原 長一 )

     多摩島嶼地区教職員組合に対するテロに抗議する 〜 闘いを再構築し前進しよう! ( 多摩教組執行委員会)

 ● 総選挙に向けての共同アピール

 ● 米国のイラク派兵要求に反対する日韓(韓日)共同宣言 賛同団体 【日本側参加団体】 その@

 ● 書評 / アメリカ労働運動のニューボイス ( ケント・ウォン 編/戸塚秀夫・山崎精一 監訳 )

 ● せ ん り ゅ う ( ゝ 史 )

 ● 隅岡隆春さんを偲ぶ会のご案内

 ● 複眼単眼 / イラクの戦場に送る者と送られる者の儀式




マニフェストに隠れて押し寄せる改憲の波

  
あらゆる場で毅然とした暴露と反撃の強化を

 九日投票の総選挙はいま真っ只中だ。
 「景気、年金が争点」だとか「政権公約(マニフェスト)選挙」(二八日、読売)などと言われる中で、今回の総選挙はかつてなく「憲法問題」の比重が大きくなっているのが特徴だ。とくに与党第一党の自民党と野党第一党の民主党が、それぞれ公約で、事実上、改憲を主張したと言う点では、現行憲法下での現代史の時代を画すものと言ってよい。
 与党・自民党は「立党五〇年を迎える十七年(ママ)に二十一世紀の新しい日本にふさわしい新憲法草案をまとめ、国民的議論を展開する」とし、早期に「憲法改正国民投票法」を成立させるとした。
そして外交・防衛政策では「日米同盟基軸」「国際平和協力のための基本法の制定」「十六年(ママ)通常国会での国民保護法制の整備」「防衛省の実現」「十六年(ママ)予算から弾道ミサイル防衛システムの整備に着手」などを主張している。
 与党・保守新党は「二二年(ママ)までに新憲法制定」、「憲法改正国民投票法制定」を主張、国連常任理事国入りや派兵恒久法の制定、来年通常国会での防衛庁の防衛省昇格実現などを主張した。
 与党・公明党は「憲法のあり方についての議論は避けない論憲の立場、三原則は変えない」という。
 これに対して、野党・民主党は「国民合意のもとで『論憲』から『創憲』へ」と言い、事実上、新しい憲法を創る=改憲の立場を主張し、「日米関係を成熟した同盟に」といった上で、自民党とは違って、「イラク特措法の廃止を含めた見直し」などをいっている。
 共産・社民両党はは改憲反対の立場。
 各政党のマニフェストの範囲で見ても与党側の改憲シフトと、その手始めとしての「改憲国民投票法」の成立への決意が伝わってくる。民主の「創憲」論が結果としてこれに追従している構図も明白になった。
 しかし、こうしたマニフェストを掲げた選挙での現場の選挙戦では、改憲が熱く語られているわけではない。与党の候補で公然と改憲を主張しているのはあまり多くはない。
 この状況を浅井基文明学大教授は「荒立てることなく、静かに改憲へ滑り出そうとしたのではないか」(毎日・二四日)と指摘している。
 改憲派の司令塔の役割を果たしてきた中曽根康弘元首相の引退によって、改憲派のなかでその存在がますます比重を増している衆議院憲法調査会の中山太郎会長は「(改憲問題で民主党と)そんなに差はないんでしょう。衆院憲法調査会でも、憲法の制定経緯では共通の認識を持った。僕も中野寛成君(民主党憲法調査会会長)も仙石由人君(同事務局長)も、安全保障における解釈改憲は危険だという認識は一致している」(毎日・同前)といった。そして「中教審が教育基本法改正を言うが、表裏になっているから本当は同時に憲法も変えるべきだ。憲法に国柄、つまり日本の伝統、文化、家族が全然出てこない」などとして、二〇〇五年の改憲草案とりまとめに先立ち、来年の通常国会での国民投票法の成立を主張している。
 これにたいして、民主党の中野寛成は「自民党の『改憲』は昔に回帰する『回憲』だ。(民主の)創憲は一〇〇年前の帝国憲法でもなく、五〇年前の古臭い護憲でもない。逆に五〇年や一〇〇年先も通用する憲法を作りたい」(毎日・同前)などと、ほとんど言葉遊びに近い論法で新改憲としての創憲を説明する。「来年中に民主党の憲法草案を作っていい」「安全保障で解釈改憲が限界にきている」「(国民投票法案については)前向きだ」などとも言っている。
 これらの発言を見れば、確かに中山が言うように自民と民主の憲法問題での意見の違いの溝は埋まってきているのがよくわかる。
とりわけ来年の通常国会に自民党などが提出するといっている「憲法改正のための国民投票法案」と関連の「国会法改正案」の二法案は民主党を含めた国会議員の大多数が支持している。もし採決に付されれば、きわめて危険な状態だ。
今度の総選挙で、自民や民主が伸び、社民や共産が議席を減らせば、これは「国民投票法案」の成立の動きに絶好の追い風となるに違いないし、改憲論議を大手を振って登場させる口実となるだろう。
 この道を許してはならない。「私も改憲一般に反対ではない」「新改憲がいい」とか「改憲の手続法そのものはあってもいいではないか」「国民投票自体はいいんじゃないの」などというピントはずれのノーテンキな議論を一掃し、反動派の改憲攻勢に反撃する壮大な運動をつくり出す課題は急務だ。


憲法改悪に反対し、9条をまもり

    平和のために生かす署名運動の提起


 二〇〇四年五・三憲法集会実行委員会事務局は一〇月三一日午後、国会で記者会見し、当面する憲法改悪反対の共同の運動の方向(本紙下段に記者発表のコメントを掲載した)について発表した。 この事務局は憲法改悪阻止各界連絡会議、「憲法」を愛する女性ネット、憲法を生かす会、市民憲法調査会、女性の憲法年連絡会、平和憲法二十一世紀の会、平和を実現するキリスト者ネット、許すな!憲法改悪・市民連絡会の八団体で構成されている超党派の市民団体のネットワークだ。
 二〇〇一年五・三集会以来、三年にわたって特徴ある共同行動を日比谷公会堂で実現してきた五・三実行委員会は、二〇〇四年は従来の会場の日比谷公会堂から倍以上の収容人数の日比谷野外音楽堂に変えて、より大規模な集会を行うことにしている。
 そのことも含め、憲法を取り巻く状況の変化と合せ、運動のあり方を大きく一歩前進させようというのが、今回の発表の主たるねらい。
 今回、もっとも特徴的な提起は「憲法改悪に反対し、9条をまもり、平和のために生かす署名運動」の取り組みだ。憲法公布五七年の十一月三日を契機に全国的に署名運動をはじめたいというもの。
 本来、改憲阻止の署名運動は左派系の運動にとどまらない広範な超党派の結集で五〇〇〇万人を目標とするようなものであるべきだ。そのことを通じて改憲派の国民投票での過半数確保の野望を粉砕するような、本格的な取り組みが必要だ。今回の署名運動の事務局は幅が広いとはいえ、まだまだ不充分だ。
 しかし、提唱者たちはこのことも十分承知のうえで、今回の署名運動は二〇〇四年五・三を最終集約日としている、期間限定のいわば前段階の取り組みの性格を持っている。これを通じて全国各地でこうした共同行動を強化したいというのがねらいだ。
 この提起は一一月三日に開かれる憲法集会の場で発表される。
 この署名運動を全国各地の諸運動に持ち込み、次に展開する五〇〇〇万人署名運動の基礎を築き上げよう。

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声 明 
憲法公布57周年にあたって


 私たちは、今日、日本国憲法の公布五七周年記念日を、この憲法の改悪を企てる動きがかつてなく激しくなるなかで迎えました。
 小泉首相は二〇〇五年十一月までに改憲案をまとめるよう自民党に指示し、同党の憲法調査会もすでに改憲案作成の作業をすすめています。衆参両院に設置された憲法調査会では、調査期間のメドとされている五年目を来年に控え、改憲の足かがりとなる「最終報告書」をまとめる動きが強まっています。 来年一月からの通常国会には、与野党の国会議員三〇〇人が参加する憲法調査推進議員連盟が、憲法「改正」の手続を定める国民投票法案の提出を企てています。
 憲法改悪の最大の焦点は、第九条にあります。戦争を放棄し、交戦権を禁じた第九条に反し、アメリカの言うがままに自衛隊を海外に送り出してきた自民党内閣は、第九条をかえ、政府の意のままに自衛隊を派兵できるよう、憲法上のいっさいの制約を取り払おうとしているのです。それは武力攻撃事態法などの有事法制が示すように、国民の自由や権利をも大きく圧迫することにならざるをえません。
 日本国憲法は、多大な惨禍をもたらした侵略戦争と戦前の専制政治への深い反省のもとに制定されました。アメリカのイラク戦争反対など、平和な二十一世紀をめざす運動が世界中で展開されているいま、日本がめざすべきは第九条を守りぬき、世界平和のために生かすことです。
 二〇〇一年以来、五月三日の憲法記念日に共同の「憲法集会」を開いてきた私たちは、憲法改悪をめぐる重大な動きのもとで、来年二〇〇四年の「五・三憲法集会」を大きく成功させること、そのためにただちに取り組みを開始することにしました。
 同時に私たちは、憲法改悪に反対するすべての人びとに、憲法「改正」国民投票法案への反対などでの共同行動の輪をさらに広げるとともに、憲法改悪反対の世論をさらに大きく広げるための署名運動に取り組むことを訴えます。またポスターやロゴ・マークなど宣伝物作成への協力をよびかけます。
 二十一世紀の平和な日本と世界を、主権者である私たち一人ひとりの行動で切り拓きましょう。

 二〇〇三年十一月三日

 「五・三憲法集会実行委員会」事務局団体
 憲法改悪阻止各界連絡会議
 「憲法」を愛する女性ネット 
 憲法を生かす会 
 市民憲法調査会 
 女性の憲法年連絡会 
 平和憲法21世紀の会 平和を実現するキリスト者ネット 
 許すな!憲法改悪・市民連絡会   
       
 この署名運動は二〇〇四年五月三日を集約目標とします。

◎宣伝物の公募について
 *公募内容
 ・憲法改悪反対の世論を広げるためのポスター(若干数)
 ・運動のためのロゴ・マーク(一点)
 *締め切り 二〇〇四年三月末日。入賞作品は「五・三憲法集会」で発表。
 *入賞作品 薄謝進呈
 * 審査員 事務局で選定中


国際的な反戦共同行動

    
10・25東京行動  防衛庁に抗議

 アメリカのANSWERなどのよびかけによる世界同時行動が行われた。東京での取り組みは、ワールドピースパレード実行委員会のよびかけで、一〇月二五日、約八〇〇人が参加して、新宿・大久保公園で集会・デモが行われた。

 集会は、はじめに主催者を代表して富山洋子さん(日本消費者連盟運営委員長)が挨拶した。今日の集会は世界的な戦争反対の共同した行動だ。日本でも東京など二〇箇所で反戦の集会がもたれている。世界の人びととともに、平和に生きたい、殺したくない、殺されたくないという意思を表して行きたい。来日したブッシュ大統領にたいして小泉首相は、自衛隊のイラク派兵と一六五〇億円の支出を約束した。イラクの人びとの生命・生活は危機に瀕しているが、その原因はアメリカによる侵略戦争だ。イラクの人びとに普通の生活を取り戻すためにアメリカと小泉を厳しく糾弾しなければならない。憲法は海外派兵を禁止している。この憲法違反を許してはならない。そして、北東アジアの平和を実現していかなければならない。さらに大きな反戦運動を展開して行こう。
 つづいて、イラクから帰って来たばかりの日本国際ボランティアセンター(JVC)のメンバーがイラク現地報告を行った。イラクでは、水がない、電気がない、という状況がつづいている。アメリカなどの占領軍はイラクの人びとを苛酷に扱っている。私自身も何度も銃口をむけられた。イラクの人びとが求めているのは軍隊の派遣ではない。人道支援だ。日本はイラクの人びとから良い印象を受けている。私はまた二週間後にイラクに戻るが、自衛隊が派遣されたらイラクの人びとの日本にたいする感情がどうなっていくのか心配だ。
 米国のイラク派兵要求に対する日韓(韓日)共同宣言について、渡辺健樹さん(日韓民衆連帯全国ネットワーク)が報告した。今日は韓国でも反戦の行動が取り組まれている。日本での日韓共同宣言の賛同は現在まで三〇〇団体となったが、これは十日足らずの間にほとんど口込み、メールで集まったものだ。立場をこえて、韓国の人たちとともにイラク派兵反対したいという気持ちのあらわれだ。
 集会を終わってデモに出発。デモは警察の規制に断固とした抗議を行いながら市ヶ谷の防衛庁前に到着。警察と私服警官が警戒している。実行委員会代表の富山洋子さんが要請書「自衛隊のイラク派兵計画をただちに中止し、米国などのイラク占領に対して軍事的・経済的協力を拒否するよう要請します」を読み上げ、担当の職員に手渡した。防衛庁前では、「自衛隊は行くな!殺すな!死ぬな!」のシュプレヒコールをあげて、自衛隊派兵中止を求めた。

     * * * * *

要請書
 「自衛隊のイラク派兵計画をただちに中止し、米国などのイラク占領にたいして軍事的・経済的協力を担否するよう要請します」


 報道によれば、政府・防衛庁は先の国会でのイラク派兵特措法を根拠に、米国ブッシュ政権の要求にしたがい、一一月中旬にも派兵基本計画を決定し、一二月上旬に陸上自衛隊の先遣隊をイラクに派兵する方針だと言われてます。そして今年から来年初めにかけて、数次にわたって総計一〇〇〇人規模の陸海空部隊を戦時戦場派兵する計画です。
 しかし、米英軍が開始したこのイラク戦争はウソと独断による一方的な攻撃であり、完全に大義のない不当・不法な攻撃であったことはいまや明らかです。イラクによる「大量破壊兵器保有」の疑惑も、「テロリストの支援」も、まったくのデッチあげであったことはもはや疑いありません。日本国憲法の「不戦・非武装」の精神をふみにじり、こうした米国などによる軍事攻撃をいち早く支持した小泉内閣の誤りと責任もまた重大です。政府はただちにその誤りと責任を明確にし、占領軍の即時撤退を要求し、自衛隊の派兵を中止しなければなりません。私たちは自衛隊員がイラクに行くことも、イラクで人を殺すことも、また殺されることにも反対します。イラクの人ぴとへの復興支援は、イラクの人びと自身による自治・自決の促進を前提とした、非軍事の協力でなければならず、現地で奮闘しているNGOの人ぴとの努力を援けるものでなければなりません。
 本日、米国・英国の市民運動をはじめとして全世界でとりくまれるイラク占領反対の国際共同行動に際して、日本でも全国各地で自衛隊のイラク派兵反対の行動が行なわれます回私たちは東京の10・25ワールド・ピース・パレード実行委員会を代表し、また本日の国際共同行動と、韓国と日本の民衆運動の共同宣言を支持する立場から、政府と防衛庁に以下のことを強く要求します。

 自衛隊のイラク派兵計画を中止し、断念せよ
 巨額の資金拠出など占領軍へのいっさいの協力を拒否せよ
 アラビア海・インド洋から自衛隊をただちに撤退させよ
 イラク特措法、テロ対策特措法を破棄せよ

二〇〇三年一〇月二五目

 10・25ワールド・ピース・パレード実行委員会


資 料

   韓国の10・25行動 
          

●韓国での一〇・二五行動

二〇〇三・一〇・二五<統一ニュース> (要約)

 派兵反対集会が大学路マロニエ公園で約五千人参加のもとで行われた。今回の行事は、韓国、日本、米国、トルコなどでも共同反戦行動として取り組まれている。また、ソウル、釜山、光州、大邱、大田、仁川、蔚山、天安、全州、原州、カンルン、ポハン、馬山、巨済、晋州、ヤンサンなど三〇ヶ所同時多発で行われた。

 ソウル集会の発言で人目を引いたのは、女子中学生の発言。「殺人行為が多発しているイラクでは、私の年頃の青少年も死んでいっています」としながら、「人の命の重さは計ることはできない」とした。インタビューで彼女は「両親にも断ってきた」として、「罪もない人々が死んでいく状況は報道されず、まるで派兵が決まったかのように報道するマスコミに腹が立つ」と述べた。
 大学学生会連合(韓総連)議長は「派兵を阻止するまでハンスト」を宣言、「無謀で過激だと言われるかも知れないが、やれることはこれしかない」と述べた。

 集会では音楽グループ「ウリナラ」やロック「天地人」などが公演し、「国民行動」と日本の三〇〇団体の市民社会団体が共同で行う「韓日民衆共同宣言」が発表された。宣言では、米国のイラク派兵要求を糾弾し、派兵撤回と米軍の即時撤退を要求している。

 また、米国ANSWERの連帯メッセージも紹介された。「韓国軍の派兵は、イラク民衆を抑圧するもので、米国の朝鮮半島全土に悲劇をもたらす対北戦争脅威につながるもの」だとしている。


●一〇・二五の前段行動
(インターネットニュースから)二〇〇三・一〇・二四午後八時:<オーマイニュース>(要約)

 「国民行動」側、派兵反対の七つの行動計画、五つの行動指針発表
 国民行動の代表と活動家約三〇〇人は、二四日一時からソウル・プレスセンターで、第二回非常時局会議を開催。

 行動計画は次の通り
 一)署名運動と模擬投票を行う
 二)一〇月二五日、一一月一五日に「イラク派兵反対集会」を開催
 三)一〇月二七日以降にはソウルと全国各地で座り込みに突入する
 四)各団体、部門、地域別に様々な活動を
 五)毎日夕方七時から、ソウル光化門前でろうそくデモを行う
 六)毎週金曜日午後一〇時、大統領府、国防部、ホワイトハウスにサイバーデモをかける
 七)政府が国会に派兵同意案を提出した場合には、レベルアップした国会行動を

 なお、五大行動指針は次の通り。
 一)ろうそくデモと集会への参加呼びかけ
 二)署名と模擬投票、宣言運動への参加
 三)派兵案を決める国務会議前日には大統領府前、国会に提出されれば会議前日に国会前に終結
 四)大統領府とホワイトハウスに抗議のメール
 五)各地域の国会議員に反対の働きかけ

 「国民行動」側は、「政府が派兵方針を発表したものの、国会の批准は受けていない状況」としながら、多くの人たちが参加することを要請した。

 また、会議では「派兵反対運動と大統領の再信任の関連について」や、「派兵を賛成する国会議員に対する落選運動」なども案件で提案された。しかし、司会を受け持ったチョン・ヒョンベク共同代表は、「デリケートな問題であり、深い論議が必要。運営委員会で各団体の意見を集約しながら、方針を決めたい」とした。

一〇月二四日:<民衆の声>(上記と重複部分は省く)

  「国民行動」は午前一〇時頃、国会の民主党院内代表室で、パク代表と面談。オ・ジョンヨル、キム・スギム、イ・ジェウン共同代表は、派兵撤回を要請した。パク代表は「党の方針を決めるのは易しいことではないが、重大な問題なので、なるべく早く決定したい」と述べた。

(翻訳は日韓ネットの大畑さん)


資料

  日教組・多摩教祖などへの右翼の卑劣なテロを許すな



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日教組本部などへの卑劣な攻撃に対する抗議声明


 一〇月二六日夜、日教組本部がある日本教育会館玄関付近に「プラスチック爆弾を仕掛けた」旨の犯行声明が報道各社に寄せられた。また、東京都公立学校教職員組合の多摩島嶼地区教職員組合事務所にも、声明どおり拳銃弾が打ち込まれた模様である。日曜日の深夜であったこともあり幸いけが人はなく、爆弾も偽装したものであることが判明した。
 報道に寄せられた「犯行声明」によれば、犯人は「建国義勇軍国賊征伐隊」を名乗っており、六月二七日に広島県教組に銃弾を打ち込んだ者や、外務省幹部、政治家に対しても卑劣な犯罪をねてきている者と同様の団体名を使っている。
 こうした一連の犯行は、言論や民主主義をテロ的な暴力によって封じ込めようとする卑劣な犯罪であり、断じて許されるものではない。捜査当局の徹底した捜査と犯人の検挙を強く要請する。
 また、日教組は、こうした卑劣な犯行には断じて屈しない。組織の総力をあげて日本の平和と民主主義の擁護、子どもたちの明日を切り拓くための教育改革と教育実践に全力をあげる。

二〇〇三年一〇月二七日

            日本教職員組合中央執行委員長 榊原 長一

           § § § § §

多摩島嶼地区教職員組合に対するテロに抗議する。 〜 闘いを再構築し、前進しよう!


 一〇月二六日夜、私たちの組合事務所に銃弾が撃ち込まれた。マスコミに襲撃声明を送ったのは、「建国義勇軍国賊征伐隊」を名乗るものだった。この団体は、以前、広島県教組にも同じ攻撃をかけている。
 銃弾で言論が圧殺できると思っているのだろうか。ガラス窓の銃痕をみて、怒りに体が震えてくる。私たち多摩教組に対するテロ攻撃に断固抗議する。
 私たち日教組・東京教組・多摩教組に集まる組合員は、「教え子を再び戦場に送るな」を合言葉に平和を願い、子どもたちの幸せと働く者の誇りや権利を守る闘いを一貫して、続けてきた。差別・管理に反対し、教育への不当な支配に屈することなく、個人の尊厳と幸せを実現する教育を行ってきた。
教育は、極めて人間的な営みではないのか。しかし、東京都の教育現場への攻撃は、昨今異常を極め、学校は完全な市場原理と管理主義で席巻されつつある。教職員は、数値化した目標設定をかかげ、一定の期間までにある種の『成果』をださなければならない。職場は、序列化・分断され、協働できる場ではなくなりつつある。異論をはさむ者はことごとく排除され、多様な意見は認められない。
「日の丸・君が代」の強制は、ついに都から通達という形で最終段階を迎えている。通達は、「国旗」を掲揚する時間帯、「国歌斉唱」の仕方、挙げ句は会場設営や教職員の服装にも及んでいる。これに違反すると、処分が行われるのだ。
 「日の丸・君が代」が果たしてきた役割を考えると、私たちは、素直にそれを受け入れることができないが、百歩譲って、歌いたい掲げたいと言う人がいても、それはそれでいいと考える。上からの強制というのでなければ、そこに議論が生まれるのだ。
 今、『個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期する・・』(教基法前文)“教育への不当な介入に屈することなく(同一〇条)が改悪され、「愛国心」に置き換えられようとしている。「愛国心」を国家が鼓舞した結果どうなるか。先の戦争から、そして、多くの人の犠牲から、私たちは学んだはずだ。
 私たち組合に集まる者は、平和を願い、教育で心豊かな子どもを育て、その幸せを願う。誇りを持って職場で働くことを願う。そのために闘う。
 卑劣な攻撃には決して屈しない。心をひきしめ、仲間と共にこれからも歩んでいく。

二〇〇三・一〇・二七

多摩教組執行委員会


総選挙に向けての共同アピール

 今度の選挙の争点は、「日本が戦争への道を歩むか、どうか」です

ちょっと待った、その投票
 
 衆議院が解散されました。一一月九日に選挙が行われます。選挙の争点は、一体何なのでしょう?
 各党の「マニフェスト」をのぞくと、郵政民営化や道路公団民営化、景気対策、福祉や年金政策などが、テンコ盛り。どれもこれも大切みたいだけど、どの党も言っていることは似たりよったりだし、ほんとに実現できるかも分からない。じゃ、少しでも何かしてくれそうなかっこいい党首のいる党に投票しよう、と考えているあなた!
 違います。今度の選挙で問われるのは、選挙後の少なくとも三年間、日本がどのような道を歩むのか、その方向を選ぶ選挙です。そして、道を誤れば、日本は「戦争のできる国」に向かって、引き返しようもなくなるほど進むかもしれないのです。
 この選挙は、私たちと私たちの子どもたち、孫たちの生き方を根底から変えてしまうかもしれない、とても大切な選挙です。
 
選挙後、すぐにイラクへ自衛隊

 
 考えてみてください。自民党は選挙の争点になるのを避けよう避けようとしていますが、小泉政権は選挙に勝てば、戦争状態にあるイラクに、自衛隊を必ず派遣します。ブッシュ大統領が強く要求し、小泉首相はそれに応えて、大多数の国民が賛成してもいないのに、派兵を決めたからです。
 自衛隊が海外に出て、武力行使を行うのは、もちろん日本国憲法違反です。そもそもアメリカが一片の大義もなく、国連など国際社会の制止を聞かず、国際法にも反し、いわば勝手に戦争を始め、勝手に占領したあげく、ゲリラ攻撃で収拾がつかなくなっているという話です。石油施設だけはしっかり確保しておき、危ないところは他国の部隊を傭兵代わりに使おうというアメリカ本位の「虫のいい話」。
 他国の都合のために、なぜ戦後五〇年以上も、戦争で殺しも殺されもしてこなかった大切な原則を、ここで捨て去るのでしょう?なぜ大義のない戦争に、日本の自衛隊の若者が行って、殺したり殺されたりしななければならないのでしょう?

教育基本法を改悪して、子どもに愛国心を強制

 ワイシャツ姿の小泉首相がかっこよく掲げている「小泉改革宣言」の五には、「教育基本法を改正します」と宣言されています。ここまではっきり教育基本法を変えると自民党が明示したのは、初めてのことです。
 戦前の教育のあり方を反省し、子どもたちの自由な心と自ら育つ力を尊重したのが教育基本法です。それを、現代版「教育勅語」に変え、子どもたちに上から国家意識、愛国心を植え付けようというのです。それがどんな恐ろしい結果をもたらしたか、私たちはよく知っています。「愛国心」とは、国のために死ぬことをいとわない心のことです。
 
憲法の改悪が目の前に


 イラク派兵と愛国心。小泉政権が進もうとする方向は、憲法を変え、とりわけ第九条(戦争の放棄)を取り払い、「戦争のできる国」にすることです。
 「小泉改革宣言」には、「二〇〇五年、憲法改正に大きく踏み出します」「防衛庁を防衛省に移行させます」とはっきり書かれています。
 自民党が勝てば、イラクだけでなく、米国の要請によって、日本の「軍隊」はどこにでも派遣されることになるでしょう。そして憲法が変えられてしまえば、出て行く兵士は私たちの息子であり娘であり、あるいは孫であるかもしれません。
 なぜなら、自民党が構想している憲法改正案には、すでに「国民の国防義務」が現れているからです。国防の義務があり、愛国心があるのが当然となれば、「徴兵制度」の復活も日程にのぼってくるでしょう。

 私たちの社会は徴兵と軍隊のある、これまでとはまるきり違う社会になってしまうでしょう。あなたはこの方向を選ぶのですか?それとも違う道を模索するのですか?
今度の選挙の選択は、二つに一つです。

 私たちアピール署名者は、イラク派兵、教育基本法「改正」、憲法「改正」に強く反対し、多くの国民の皆さんに、以下のことを呼びかけます。

 @選挙の争点について、家族、友人、地域の人々と話し合ってください。
 A選挙区の各党、各候補者に、この問題での公開質問を送り、その答えを広く公開して、人びとの目に触れるようにしてください。
 Bそして、選択を誤らず、必ず投票をして、「戦争国家」にストップをかけましょう。

共同アピール署名者 

 阿部浩己(神奈川大学教授)、井上ひさし(作家)、石田雄(政治学研究者)、内海愛子(アジア太平洋資料センター代表理事)、大内裕和(松山大学助教授)、桂敬一(立正大学教授)、加藤周一(評論家)、加藤節(成蹊大学教授)、川田龍平(人権アクティビストの会代表)、川本隆史(東北大学教授)、喜多明人(早稲田大学教授)、小林直樹(東京大学名誉教授)、小森陽一(東京大学教授)、阪口正二郎(一橋大学教授)、高橋哲哉(東京大学教授)、暉峻淑子(埼玉大学名誉教授)、水島朝穂(早稲田大学教授)、長谷部共男(東京大学教授)、樋口陽一(憲法学者)、藤田英典(国際基督教大学教授)、前田哲男(東京国際大学教授)、村井吉敬(上智大学教員)、毛利子来(小児科医)
(二〇〇三年一〇月二三日現在)


米国のイラク派兵要求に反対する日韓(韓日)共同宣言

       
  賛同団体 【日本側参加団体】 その@

                   (共同宣言文は本紙前号に掲載)

 アイヌとシサムのウコチャランケを実現させる会/秋田平和委員会/あくあ住宅研究所/あごら/あごら・湘南/アジア共同行動―九州・山口実行委員会/アジア国際シンポジウム日本事務局/アジア生活農場ゴーバル/アジア太平洋資料センター/アジア・太平洋平和フォーラム(APPF)/アジア平和連合―ジャパン/ATTAC Japan/あだち憲法問題懇談会/アメリカのイラク攻撃を許さない実行委員会(九州・山口)/「アメリカのイラク攻撃を許さない実行委員会」福岡/アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局/あるこう会/アンポをつぶせ!ちょうちんデモの会/「異議あり!日韓自由貿易協定」キャンペーン/今治・宗教者平和の会/イラク派兵法案7・19市民公聴会実行委員会/インド・パキスタン青少年と平和交流をすすめる会/うちなんちゅの怒りとともに!三多摩市民の会/ウリパラム/えひめ教科書裁判原告団/えひめ教科書裁判を支える会/愛媛の教育を考える連絡会/王子北教会/大阪教育合同労働組合/大阪自治労連/大阪証券労働組合 仲立分会/大阪中央区革新懇話会/おおさかパルコープ労働組合パート部会/おおさかピースサイクル/大阪法律事務所/大阪労災職業病対策連絡会/岡山県平和委員会/沖縄から基地をなくし世界の平和を求める市民連絡会/沖縄県憲法普及協議会/沖縄人権協会/沖縄とともに基地撤去をめざす関西連絡会/沖縄とむすぶ市民行動・福岡/沖縄など日本から米軍基地をなくす草の根運動/沖縄の自立解放闘争に連帯し、反安保を闘う沖縄連続講座/沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック/沖縄文化講座/改憲とあらゆる戦争法に反対する市民ネットワーク21/海兵隊移転反対別海町連絡会/変えよう(金沢)ネットワーク/香り高い文化を築く日本共産党諏訪地方文化後援会/核燃止めよう!一万人訴訟関東のつどい/鹿児島県平和委員会/「家族論」読書会・ぶなの会/カトリック横浜教区正義と平和協議会/神奈川県労働組合総連合/かながわ平和憲法を守る会/韓国良心囚を支援する会全国会議/韓国労働者支援連絡会議/関西共同行動/北九州がっこうユニオン・うい/北九州かわら版/北九州ココロ裁判原告団/北千住法律事務所/基地はいらない!女たちの全国ネット/岐阜・2001年の会/共生のまち―狛江をめざす会/京都「天皇制を問う」講座実行委員会/グローバルピースとやま/軍国主義に反対する会(福岡)/「月桃の花」歌舞団/原水爆禁止大分県協議会/原水爆禁止東京協議会/原水爆禁止日本国民会議/憲法9条の会・関西/憲法9条を世界に広げる諏訪地方ネットワーク/憲法9条を守る非暴力の市民の会/憲法勉強会・ベアテの会(兵庫)/憲法を生かす会/憲法を生かす会東京連絡会/憲法を活かす市民の会・やまぐち/公的援助法実現ネットワーク被災者支援センター/国際人権活動日本委員会/国際平和巡礼/国連・憲法問題研究会/コスタリカの人々と手をたずさえて平和をめざす会/小平市平和委員会/子どもの人権擁護協会/在韓軍人軍属(GUNGUN)裁判を支援する会/埼玉総合法律事務所/在日アジア労働者と共に闘う会/在日韓国民主女性会/在日韓国民主女性会大阪本部/在日韓国民主統一連合(韓統連)/在日韓国民主統一連合 大阪本部/在日大韓基督教会・青年会全国協議会/在日朝鮮人作家を読む会/在日朝鮮人・人権セミナー/さっぽろ自由学校「遊」/さっぽろピースアクション/三多摩法律事務所/山谷労働者福祉会館活動委員会/自衛隊の海外派兵と戦争協力に反対する実行委員会/自主・平和・民主のための広範な国民連合/自主・平和・民主のための広範な国民連合・愛知/「しないさせない!戦争協力」関西ネットワーク/信濃民衆運動研究所/市民と憲法研究者をむすぶ憲法問題Web/市民の意見30の会・東京/市民のひろば(箕面市)/市民ピースネットワーク山梨/社会主義政治経済研究所/10・25ピースウォーク(金沢)世話人会/10・25ワールド・ピース・パレード実行委員会/自由空間創楽邑/自由法曹団/自由法曹団愛知支部/自由法曹団大阪支部/自由法曹団沖縄支部/自由法曹団神奈川支部/自由法曹団埼玉支部/自由法曹団静岡県支部/自由法曹団・東京支部/自由法曹団兵庫県支部/自由法曹団三重支部/自由法曹団宮城県支部/ジュゴン保護キャンペーンセンター/首都圏移住労働者労働組合/出版労連大阪地域協議会/城北法律事務所/職場から不当差別をなくし、国民公庫を発展させる会/女性と天皇制研究会/新ガイドラインに異議あり!北九州行動会議/人権アクション浜松/信州からPEACEネット/新宿平和委員会/新宿民主商工会/人民の力/STOP!改憲・市民ネットワーク/すべての武器を楽器に・委員会/スペース21/住友生命ミセス差別裁判原告団/諏訪学習協会/全大阪地域労組協議会(地域労組おおさか)/全国労働組合連絡協議会/戦争協力を拒否し、有事立法に反対する全国FAX通信/戦争と治安・管理に反対するPINCH!/戦争と平和を考える金曜連続講座/戦争なんて認めない!市民運動大集会/戦争に協力しない!させない!練馬アクション/戦争反対・平和の白いリボン・神奈川行動実行委員会/戦争反対、有事をつくるな!市民緊急行動/戦争への道を許さない北・板橋・豊島の女たちの会(KIT)/戦争屋にだまされない厭戦庶民の会/全労連全国一般女性センター/全労連全国一般東京地方本部証券関連労働組合/全労連全国一般東京地方本部女性懇談会/全労連全国一般東京地本法律会計特許一般労働組合/全労連全国一般東京地本法律会計特許一般労働組合北千住分会/全労連全国一般東京地本法律会計特許一般労働組合青年部/全労協全国一般東京労組カワカミ分会 (つづく)


書評

 
アメリカ労働運動のニューボイス

     
ケント・ウォン 編/戸塚秀夫・山崎精一 監訳

                彩流社 A5判 259頁 2000円

 近年、アメリカ労働運動の活性化を日本に紹介するすぐれた書籍が出されているが、最近「立ち上がるマイノリティ、女性たち」と副題された「アメリカ労働運動のニューボイス」が出版された。表紙の帯には「アメリカ社会を根底から揺るがす社会運動家の生々しい報告! アジア、ラテンアメリカを中心にした移民労働者の組織化と、闘いの足跡を新世代のリーダーが詳細に語る」とある。
 内容は次のようなものだ。
 日本語版序文 ケント・ウォン(中国人三世)/ルイーザ・ブルー(フィリピン系二世看護師)/フランシスコ・チャン(韓国民主化から労組活動家に)/メイ・チェン(チャイナタウンの労働者を組織する中国系二世)/アマド・デービッド(フィリピン移民)/ボブ・ハセガワ(日系三世)/レナード・ホシジョー(ハワイ日系三世)/スーザン・ミチ・ミナト(日系四世)/クリスティーナ・バスケス(ロスの南米移民を組織化)/マリア・エレナ・ドゥラソ(ホテル・レストラン労働者を組織したメキシコ移民のオルグ)/ロシオ・サーエンス(「ジャニターに正義を!」をリードしたメキシコ系移民)/解題 アメリカの新しい労働運動について 戸塚秀夫。
 編者のケント・ウォンさんは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の労働研究教育センターの所長であり、また、アメリカで働くアジア系労働者によって作られた初の全国レベルの団体であるアジア太平洋系アメリカ人労働者連合(APALA)の創始者である。ケント・ウォンさんは序文で、二〇〇二年の来日で、日本とアメリカは「ともに新自由主義の政策を信奉する先進資本主義国であり、しかも景気低迷、持続的失業、不安定雇用の拡大、そして顕著な経済的不平等に直面している。また両方とも労働組合の組織率低下と弱体化を体験しており、労働運動はそのアイデンティティーと方向性をめぐって苦闘している」と述べている。そして、アメリカの状況について、最高時の組織率約三五%が今一三%となっていること、また労働力人口自体もこの間、劇的に変化し、女性、有色人種、そして移民が急増してきたこと、アメリカには三〇〇〇万人近い移民が住んでいて人口の一〇%以上を占めるが、その大半は合法的な移民であるが、資格外移民も六〇〇〜八〇〇万人におよんでいる。これらの人びとを組織化することはアメリカ労働運動の存続と展望を切り開くものだが、かつて労働組合は移民労働者を組織化するのはほとんど不可能だと考えてきた。しかし、九〇年代に組織化に取り組むとたちまちにして大きな成果があがりはじめた。そして、AFL・CIO(労働総同盟・産別会議)も大きく変わった。一九九五年に新しい執行部を確立したAFL・CIOは、組織化に全力で取り組んできたが、二〇〇〇年二月の執行評議会で、アメリカ政府にすべての資格外移民の合法化と「雇用主制裁」条項の撤廃を求める決議を全会一致採択した。
 APALAはAFL・CIOの組織化研修所と連携してアジア系アメリカ人オルグを計画的に採用・訓練するための新しいプロジェクトをたちあげ、ここ数年で一〇〇人以上のオルグが新たに採用され、「アメリカ労働運動はいま初めてアジアの多言語を使う力量を身につけ、アジア系コミュニティーの社会・政治環境を理解するすぐれたオルグ集団をもつに至った」という。
 ここに登場する一〇人のオルグたちは、自分の生い立ち、労働運動とのかかわり、組織化の経験などについてそれぞれ生の声で語っていて、アメリカ労働運動の活性化を支える若々しいいぶきに感動させられる。
 祖父母が沖縄出身のハワイ日系三世のレナード・ホシジョーは全米港湾倉庫労働組合(ILWU)の長年にわたるオルグ・リーダーだ。彼の両親は第二次世界大戦時には日系人収容所に入れられていたが、両親はレナードに「すべての人が基本的に平等なので、人種によって差別をするべきではない」ということを教えた。大学に入った彼は反戦運動、学生運動に参加するが、組合には否定的だった。なぜなら当時の風潮では「組合は挑戦すべき『体制』側の一部であり、会議室で葉巻タバコをくわえているスーツ姿の連中だ」というものだったからだったが、「しかし、歴史を学ぶことで、組合が過去に革新的な役割を果たし、これからも前向きであれ、後ろ向きであれ、大きな変化に際して役割を演じるであろうことに気付いた」。そしてストライキ支援をきっかけに組合オルグとなっていく。レナードは言う。「オルグの人生の諸段階は、関わった組織化キャンペーンによって区切られる」「我々が組織化のプログラムを前進させるということは、特にハワイでは、組合員をトレーニングしたり、組合の外部からも、ひたむきな人びとを取り込んだりして、さまざまな能力を出し合い、できれば数年かけて新しいオルグを育てることなのです。そうすることで、組織化の新たな段階に飛躍することができるのです。私たちはまさに、そのような飛躍への入り口に今いるのです」。そして最後に「さまざまな闘争や活動を、労働運動の一環として取り上げることはできます。しかし組織化が基本です」と組織化こそが第一の課題であると強調する。
 解説の戸塚秀夫さん(国際労働研究センター共同代表)は、アメリカでの組織化キャンペーンが、宗教者、環境や人権NPO、学生などの諸社会運動などの新しいタイプの運動と結びついておこなわれていること、また経営者や政府との対抗だけではなく、組合運動内部の「守旧派」との攻めぎあい、組合改革の議論と実践と結びついていることを指摘し、「今日、アメリカと日本の労働者が直面している問題は驚くほどに類似してきた。顕著な差異は何よりも組合側の取り組み方に見られる。本書の刊行がその点をめぐる議論のきっかけとなれば幸いである」と述べている。
 日本労働運動の前進のために奮闘している多くの仲間に読んで欲しい本である。


せ ん り ゅ う

                
ゝ 史

 ブッシュ戦争売ります戦争買いますアジア歴訪
 
 ブッシュきて弱きをくじこうと肩を組み

 15 億 小泉君の交際費

 ブッシュ軍事歴訪どこへ行っても反米デモ

 グローバルすすんでまたも失業者

 九条を琥珀の中に収めたい

 ○ いわき市の白亞期(八五〇〇年前)の地層から働きアリ二匹の化石を含む琥珀がアマチュア研究者により採取された。


隅岡隆春さんを偲ぶ会のご案内

日時  月 日(土)
     午後2時〜
会場   全水道会館
(水道橋・JR、都営三田線)
   6F中会議室
  (03―3814―9918)会費  5000円 

 隅岡隆春さんを偲ぶ会・呼びかけ人(五十音順)・木島惇夫/長尾真/由木栄司/吉留昭弘/渡辺登
 連絡先 / 東京都調布市国領町 くすのき団地 8―709号 吉留方 電話・FAX 042(482)7094


複眼単眼

  
イラクの戦場に送る者と送られる者の儀式

 十月二六日の海上自衛隊の観艦式で小泉首相が山高帽を胸にあてて、閲兵している映像をテレビで見た。彼は緊張気味で、しかし誇らしげな顔をして「今日はみなさんの精強さに感心した。イラクでのみなさんの任務は安全だ」とかなんとか言って激励していた。側には軍事オタクで知られている石破防衛庁長官が、なんとも司令官らしからぬ顔でならんでいた。
 ちょうど、イラクでは米国のウォルフォウィッツ国防副長官の宿舎であるラシードホテルがロケット弾の集中攻撃を受け、米兵ひとりが死亡、負傷者多数がでた日のことだ。
 米国へのお追従と自らの政治的利害のために、自衛隊員をおだてあげ、尻をたたき、イラクに派遣するこの男の顔は醜悪に思えた。自らを安全な場に置き、兵士を督戦する無責任な政治的野心家。かつて戦場に兵士を送った政治家たちはみなこういう顔をしていたのではないだろうかと思った。シルクハットに黒ずくめの服というのもなんとも空々しく、滑稽そのものだった。まったく後味の悪い映像を見てしまったものだ。
 そういえば前日の二五日、私たちが防衛庁の本部に抗議デモをした時、現場を通る直前には、そこで小泉首相が出席して「自衛隊殉職者追悼式」が行なわれていた。これも隊員を戦場にかりだすしかけの一つだ。かつては死んだら「靖国に祀られる」などという、愚にもつかない話を、日本人の大多数が、少なくとも公式には信じていた。だから「お国のために死ねる」という装置が、この靖国神社だ。いま公式には国家行事として「靖国に祀る」ことはできないが、こうして「殉職者追悼式」などをやって、「名誉の殉職」であると出兵を説き伏せるのだ。戦争のにおいがプンプンする。いやな時代になったものだ。
 米国大統領とわが首相によれば「戦争はすでに終わった」イラクで、八月以降報道された主な戦闘を並べてみた。これらは果たしてテロなのか。イラク民衆の怒りを背景にしたレジスタンスだとは言えないか。まして報道されない抵抗は彼の地に無数にあるのだ。
 八・七「ヨルダン大使館前で爆発、十九人死亡」(バグダット)
 同十九「国連事務所で爆発。デメロ事務総長特別代表ら二四人死亡」(バグダット)
 同二九「シーア派の占領協力指導者ら八〇人以上が死亡」(ナジャフ)
 九・二二「国連事務所で爆発。警官二人死亡」(バグダット)
 同二五「米国テレビ局の取材拠点のホテルで爆発。一人死亡」(バグダット)
 同二七「米軍使用のラシードホテルにロケット弾」(バグダット)
 一〇・十二「CIAの拠点のバグダットホテルで爆発。六人死亡」(バグダット)
 同十四「派兵を決めたトルコ大使館前で爆発。十二人負傷」(バグダット)。
同二七「赤十字国際委員会など爆破。三五人死亡」(バクダット)
 戦時に戦場に派遣される自衛隊員よ、家族よ、小泉らにだまされるな。弔慰金をなにがしかアップされたところで、命には代えられない。 (T)