人民新報 ・ 第1129 号<統合222号> (2004年4月25日)
目次
● 市民の国際反戦運動の大きな勝利 自衛隊撤退、有事法制阻止、改憲阻止へ
● 市民緊急行動、キリスト者ネット、宗教者ネットの呼びかけで市民と国会議員の院内集会
● ワールド・ピース・ナウの主催で、イラクから帰国したNGOやジャーナリストなどによる現地報告会
● WPNのプレスリリース 誰が解放に努力したのか・自己責任論の欺瞞
秋本陽子さんの報告 「市民のネットワークが人質解放を実現」
● 鉄建公団訴訟軸に国鉄闘争の前進を 三〇〇〇人が結集して国鉄闘争支援東京大集会が成功
● 第75回メーデーにあたって / 労働者社会主義同盟中央常任委員会
● 2004年5・3憲法集会に寄せて
● 自衛隊の撤退を要求する民主党内有志の緊急アピール
● せ ん り ゅ う / ゝ 史
● 複眼単眼 / 国家は市民を守らない
〜人質事件政府言行録
市民の国際反戦運動の大きな勝利 自衛隊撤退、有事法制阻止、改憲阻止へ
市民運動の国際的ネットワークが5人を救出
四月八日(木)夕刻、三名の日本人がイラクのバクダットに向かう途中に拘束された。拘束者たちは「サラヤ・ムジャヒディン」と名乗った。人質に取られたのは、国際ボランティアの高遠菜穂子さん、今井紀明さん、フリージャーナリストの郡山総一郎さんだった。
全国の市民運動に衝撃が走った。特に高遠さん、今井さんと知り合いの市民グループは北海道や東京を中心に少なくなかったからだ。これらの拘束された人びとは日本の市民運動・国際ボランティア運動の最前線で活動する先駆けであり、誇るべき若者たちだった。
すでにこれ以降の「WORLD PEACE NOW」をはじめとする日本の市民運動の活動はさまざまに報道されおり、重複するため詳細な記述は避けたい。その後、さらに安田純平さんら二人が拘束された。
十五日の三人の解放、十七日の二人の解放に際して、日本の市民運動と、国際的な市民運動のネットワークがはたした役割は決定的だった。
「WORLD PEACE NOW」実行委員会はこの一〇日余り、@首相官邸前などでの連日の昼夜にわたる集会とデモの組織化、A国際ネットワークを通じた拘束者へのコンタクトと「三人はイラクの人びとの友だ。イラク占領に反対し、自衛隊の撤退を闘う私たちの友だ。絶対に傷つけてはならない。解放しなければならない」というメッセージの一斉送信、B都内主要駅頭をはじめ全国各地での街頭宣伝、署名、カンパ、などに連日、全力で取り組んだ。
首相官邸周辺では五日間連続、延べ一万人にわたる人びとの行動が展開された。官邸前での市民や僧侶らによる非暴力直接行動は、警官隊の阻止線を崩し、押し返しながら展開された。三人の家族の人びとも上京者全員で二度にわたって、これらの市民の集会に駆けつけた。九日には二〇労組や市民緊急行動などによる日比谷野外音楽堂の四〇〇〇人の集会も開かれた。「自衛隊の即時撤退、米軍のファルージャでの虐殺糾弾、占領軍の撤退、三人を救え」の声は急速に広がった。海外のメディアを通じてその姿はイラクにも届いた。
到達した市民運動の水準
この一〇日あまりの活動は、日本の市民運動の新たな水準を闘いとったものだといってよい。
昨年の「WORLD PEACE NOW」の運動は、従来の反戦運動の枠を超えた新しい特徴を持った。それは第一に、戦争が始まる前に、戦争を止めようと結集した運動であり、第二にマスコミに「フツーの市民」といわせた大量の個人参加の若者たちを包含した運動であり、第三に国際的なイラク反戦の統一行動の一翼を担うことが積極的に意識された運動だった。
今回の運動はその市民運動が、自衛隊のイラクからの即時撤退、占領軍撤退の運動の強化と併せて、この間つくり出した市民の国際的なネットワークを使って、インターネットを駆使しながら、具体的に人質の救出に動き、成功したという特徴をもった。まさに市民運動の国際的連携の勝利なのだ。
そうした意味で、ともすれば一国主義的だと批判されがちだった日本の平和運動が、一挙にその質を国際化させていく流れをつくり出したとも言ってよい。インターネットを駆使した連携はかつての国際連帯運動の様相・形態をも一変させた。
救出に無能な政府がやった「過激派」「自己責任」キャンペーン
この間、小泉内閣は人質の救出にとって全く無能・無力だった。
政府がやったことと言えば、米国に協力を頼んだこと、逢沢外務次官をヨルダンのアンマンに送り現地対策本部を設置したこと(この無策ぶりは有名になった)と警察の特殊部隊をそこに派遣したこと、各国政府・大使館に協力を要請したこと、アルジャジーラ放送で川口外相が悪評だった演説ビデオを流したことくらいだ。これらは人質解放にとって無力だっただけでなく、妨害する役割をはたした。ファルージャで虐殺を行い、今回の人質事件のきっかけを作った米軍に救出を頼むのは最悪の策だし、大国意識丸出しの川口演説はいったん解放を決断したイラク人たちを硬化させた。加えて派遣された警察の特殊部隊は解放された三人の取り調べにあたるなど不当な捜査をやった。そして国内では、小泉首相は「自衛隊は撤退させない」とあらかじめ救出交渉の出口をふさぎ、「テロに屈するな」として、被害者の家族に会うのを拒否し、隠然と「家族は左翼だ」「被害者には過激派がいる」などのキャンペーンをして、自らの無策を取り繕ったのだ。ついで政府・与党は市民運動からの自衛隊の撤退を要求する声に対して、「自己責任」論をもって積極的に反撃に出た。曰く、「出航自粛要請を無視してイラクに入ったのは本人たちの責任だ」「あまえるな、救出費用を弁済すべきだ」(四面「複眼単眼」参照)などのキャンペーンだ。産経、読売などの日刊紙、テレビなどによる大々的なバッシングが展開された。ほとんど「非国民」あつかいの、陰険ででたらめなプライバシーの暴露が繰り広げられた。家族や被害者は拘束で痛手を受けたことに加えて、さらにこのバッシングで非常な打撃を受けた。
商業紙の世論調査では政府支持率が数ポイント上がる状況がつくられた。これを契機に街頭での雰囲気にも変化がでてきた。あちこちの街頭はこれらの草の根右翼と、引きつづき自衛隊の撤退と、ファルージャへの攻撃中止、米軍撤退を求める市民運動との攻防の場になった。
自衛隊の撤退、占領やめろ、有事法制反対、改憲阻止の課題
今回の闘いが勝ち取った成果をいかに生かし発展させていくのか、いまこれが問われている。
米軍のイラク攻撃の「大義」はとうに破産した。そして米英など「有志国」の占領政策も破綻した。スペインをはじめ、続々とイラクからの撤退に踏み切る国が出ている。ファルージャの虐殺はイラク全土の内戦の激化をもたらした。自衛隊の宿営地のサマワも戦場になった。もはや小泉内閣が定めた悪法「イラク特措法」に照らしてさえ、自衛隊派兵は違法であり、撤退すべき状況になった。
しかし小泉内閣にできることは居直りでしかない。イラクで米英軍と心中することしかない。併せて国会では有事関連七法案と三条約協定を強行し、憲法改悪に道を開こうとしている。この頑迷固陋な小泉内閣を打倒する闘いが求められている。自衛隊の撤退をめざして、この間の市民運動の成長を基礎に、創造的で、さらに大きな闘いを展開しなくてはならない。
今回の参院選で選出される議員は改憲の発議の場に立ち会う国会議員である可能性が高い。だからこそ、この選挙で改憲派の候補を一人でも多く落選させなくてはならない。
改憲派は「戦争モード」に浸っている。護衛艦「むらさめ」の横須賀出航に際して玉沢元防衛庁長官が「天気晴朗なれど波高し、皇国の興廃この一戦にあり」などと叫んだことがその一端を表している。こうした「戦争を推進する国」作りをすすめようとする勢力に、私たちは広範な反戦勢力を結集して立ち向かわなくてはならない。
戦争につながる有事関連法案反対! 自衛隊のイラクからの撤退!
市民緊急行動、キリスト者ネット、宗教者ネットの呼びかけで市民と国会議員の院内集会
四月二〇日、衆議院第二議員会館で、「戦争につながる『有事関連法』案に反対し自衛隊のイラクからの撤退を求める市民と国会議員の院内集会」(呼びかけ 戦争反対・有事をつくるな!市民緊急行動、平和を実現するキリスト者ネット、平和をつくり出す宗教者ネット)が開かれた。
この集会は、政府与党が米軍と共同して戦争を実行できる有事関連七法案・三条約という重要法案をわずかの期間で形ばかりの国会審議で強引に採択しようとしていることに抗議してひらかれたものだ。
はじめに、主催者を代表してキリスト者ネットの小河義伸さんが開会のあいさつ。
いまこそ、戦争反対、イラクからの自衛隊の撤退、有事関連法案反対のために運動を強めて行かなければならない。イラクで拘束されていた五人が無事に解放されて大変うれしい。五人は市民の手で解放された。日本の宗教者は、イラクの宗教者に手紙を出して感謝の意を表した。いま、イラクではますます戦闘が激しくなってきているが、アメリカの戦争・占領と自衛隊の派兵などがイラクでの民間活動をおびやかしてる。自衛隊やアメリカ軍の撤退こそがイラクに平和をもたらすものだ。自衛隊ではなく一人ひとりの市民の活動こそが、人道支援になるのであり、日本を戦争のできる国にする危険な法案を成立させないためにもっともっと声をあげていこう。
国会議員も次々に発言し、有事関連法案成立阻止のために、国会情勢を報告するとともに闘う決意表明を行った。集会に参加した国会議員(発言順)は、共産党の井上哲士参議院議員、民主党の金田誠一衆議院議員、社民党の照屋寛徳衆議院議員、土井たか子衆議院議員。土井さんは、小泉内閣の無謀なアメリカの戦争への協力、自衛隊の派遣、有事法制によって憲法があぶない、このような重大なときにこそ頑張っていかなければならない、と述べた。
フォーラム平和・人権・環境の福山真劫事務局長、航空安全会議の佐藤隆三副議長、在日韓国統一連合の宋世一事務総長が発言した。宋さんは、日本政府はわれわれ在日にたいして冷たいと思ってきたが、今回の拘束事件での対応を見ていて、日本政府は自国の国民にも冷たいとい言うことがよくわかった、と述べた。
つづいて市民緊急行動の高田健さんが次のように述べた。
いま、政府与党は有事関連法案を成立させ、日本を戦争のできる国にしようとしている。しかし、それに反対する運動も大きな前進をかち取っている。五人の解放に際して、有効だったのは市民の国際ネットワークだったが、日本政府の「救出」活動は、まったく効果がなく無能ぶりを暴露した。それだけではない。小泉首相をはじめ福田官房長官、川口外相などのイラクの人びとを敵視した傲慢な言動は、五人のいのちを危険にさらし、解放を妨害するだけのものだった。この集会を契機にして国会の内外の力を合わせていっそう運動を強め、危険な有事関連法案・条約の強行成立に反対していこう。
最後に、宗教者ネットの武田隆雄さんが閉会のあいさつをおこなった。
イラクの宗教者は五人の解放に大きな役割をはたしたが、解放の時にはイラクの人びとの願いが伝えられた。それは、ファルージャでの虐殺を止めさせて欲しい、自衛隊は帰ってもらいたいなどであった。しかし、日本政府は彼らに御礼を言わないばかりか自衛隊はどんなことがあっても撤退させないと言い続けている。政府は恩を仇で返すようなことをしている。イラクでNGOなどが人道的な支援を行うためには自衛隊がそこにいては駄目だ。
いま、政府・与党は一気に戦争体制をつくりあげようとしている。有事法制はイラク派兵と一体のものだ。イラク反戦、自衛隊撤退、有事法案反対の闘いを前進させていこう。
ワールド・ピース・ナウの主催で、イラクから帰国したNGOやジャーナリストなどによる現地報告会
四月一五日、国会内で、ワールド・ピース・ナウ主催の緊急集会「非戦闘地域はなくなった!自衛隊はイラクから撤退を」がひらかれ、イラクから帰国したNGOやジャーナリストなどによる現地報告会が開かれた。当日はまだ五人の解放以前の段階で、緊迫した報告が続いた。
フォト・ジャーナリストの豊田直巳さんは、拘束事件はファルージャの虐殺が背景になっており、根本的にはアメリカなどによる戦争・占領だ、日本のマスコミはもっと真実を報道すべきだと述べた。
ピース・オンの相澤恭行さんの、拘束された五人はみなイラクの人びとのために働いていた人だったから拘束のニュースは何かの間違いだろう、間違いであって欲しいと思った、だが今回の事件の前提となっているのはアメリカ軍のイラク抵抗勢力への攻撃だということは言える、しかしアメリカの行為はいっそう戦争の泥沼化をもたらすだけだ、と述べた。
日本国際ボランティアセンター(JVC)の熊岡路矢さんは、アメリカはファルージャでの戦闘でイスラム・モスクを爆撃した、これでイラク国民の八〜九割を的に回すことになった、いま必要なのは非軍事の医療支援、食糧支援だ、と述べた。
集会には民主党、社民党などの国会議員も大勢参加した。その一人の「みどりの会議」中村敦夫参議院議員は、イラクでの劣化ウラン弾被害が拡大していることを報告し、超党派の劣化ウラン弾にかんする議員連盟をつくる構想を述べた。
WPNのプレスリリース
誰が解放に努力したのか/自己責任論の欺瞞
四月二二日の午後、ワールド・ピース・ナウ(WPN)実行委員会は、イラクでの五人の解放と日本国内での卑劣なバッシング状況をうけて、「誘拐事件と自己貴任論について」のプレスリリース(衆議院第二議員会館)を行った。
はじめにWPN実行委員の高田健さんが、記者会見を開く経緯について説明した。
イラクでの誘拐事件は多くの人の努力により、幸いにも無事解決された。WPNはニュースが入った八日から直ちに行動をおこし、イラクへのメッセージの送信と連続五日にわたる首相官邸への行動に取り組んだ。集会は最大で二五〇〇人が参加し、延べで一〇〇〇〇人もの人が参加した。そのほか、終電近くまで駅頭での宣伝・署名集めなどを行った人は数しれない。いま、人質となった人とその家族に対する非難が湧き上がっている。官邸筋から流された「自己責任」論が投じた波紋は大きく広がり、これを放置したら日本はどうなってしまうのか大変な状況だ。WPNは自己責任論の問題性を多くの分野からの発言を通して浮き彫りにするためにこの記者会見を開いた。
イラク現地との通信連絡の要を担ったATTAC Japanの秋本陽子さんは、人質解放にいたる経過を報告した(別掲)。
つづいて、NGOピース・オンの相澤恭行さんが、自己責任バッシングは息苦しい自由にものを言えない社会をつくろうとするものだと述べた。
事件がおこるとすぐにカタールに飛んで、アルジャジーラTVで人質解放を訴えた吉岡達也さん(ピースボート共同代表)は、世界中の紛争地域で多くの人たちが援助を待っている、しかし政府や国連などの国際機関が出来ないことがさまざまにあり、それをNGOが担っている、日本でももっと多くのNGOの活動が求められているが政府はそれらの活動の妨害をするのではなく援助すべきだと述べ、またイラクへの緊急医療支援と現地新聞への意見広告の呼びかけをおこなった。意見広告には、@日本人人質解放に尽力いただいたイスラム聖職者協会、衛星放送アルジャジーラ、そしてイラク市民への感謝表明、Aファルージャ始めイラクの各地域で犠牲となった全てのイラク市民の方々への追悼の意の表明、B爆弾テロ、誘拐など無辜のイラク市民、外国人市民の命を脅かすあらゆる行為への抗議、C米軍およびその連合軍の民間人殺戮への非難と撤退要求の意志表明、D自衛隊の即時撤退要求の意思表明、を入れると述べた。
野中章弘さん(アジアプレスインターナショナル代表)はジャーナリストの立場から、フリーランスのジャーナリストにも当然自己責任というようなものはあるが、なによりも大事なのは、実態・現場で起こっていることを取材し報道することだ、写真家のロバート・キャパは戦場写真はつねに自己の死を考えずには撮れない、しかし世界的事件を記録しておくために撮るのだと言っていた、いまのマスメディアはイラクの真実、たとえばファルージャでの惨劇を伝えていない、アメリカ軍が一〇〇〇人を殺害したと戦果を発表したら一〇〇〇人のうちに子どもや老人、女性が何人いたのか、どういう人たちが殺されたのかを明らかにするのがジャーナリズムだ、今回の自己責任論は真実を伝えさせることに障害となっている、と述べた。
小林正弥さん(千葉大学教授・公共哲学ネットワーク)は、政府は自国民を保護するために税金を使うのは当然だ、自己責任論はもともと新自由主義の言葉だ、しかし欠点も大きい、それは弱肉強食となることだ、しかもそれは主に経済の面で言われることで、日本政府のような言い方は政府の役割の否定であり一種アナーキーなものの考え方となっている、今回の自己責任論はアメリカの歓心をかうため、自衛隊派兵を理由づけることでしかない、その上いま政府の言っていることは自己矛盾を起こしている、危険でないからイラクに自衛隊を派遣し、危険だからと言って自己責任論を展開している、これはおかしい、と述べた。
秋本陽子さんの報告 「市民のネットワークが人質解放を実現」
四月八日の夕方に、三名が拉致されたという報告が入った。三名はイラクの人びとへの支援活動を行っているNGOの活動家とジャーナリストであり米軍とも自衛隊とも関係がないことをなんとかイラクに伝えたいと思って直ちに行動を開始した。世界社会フォーラム(WSF)などで知り合った人びとのネットワーク、とくに昨年末に来日したイラク民族民主潮流(INDC)の在フランスのスポークスマンであるリカービさんに、翌九日の昼頃に連絡が取れ、「拉致された三名はイラク人の敵ではなく仲間である」ことを拉致グループに伝えてくれるよう要請した。
一〇日の七時頃に、フランスから「拉致グループとの接触に至り、現在、解放に向けて交渉中である」という連絡を受けとることができた。そして、その日の一五時頃には、「彼らは一両日以内に解放される」という連絡がきた。しかし、このことをすぐに発表すると日本政府やアメリカ軍が動きだし、犯行グループを攻撃して三人も殺されてしまう危険があったので、その時点では公表は差し控えた。
その危惧はやはりあたった。一一日午後に、「川口外相が『自衛隊は撤退しない』とビデオで語った日本政府の姿勢に拉致グループが反発して、解放を中止する案も出ている」という連絡を受ける。日本政府の態度が解放を妨害しているのだ。
だが一二日の四時頃、「三名は元気である」という連絡が入った。そして一二日午前、「安全上の間題で、解放が遅れる」という連絡を、同日の午後には「プロの詐欺師であるドレイミが暗躍しているようだ。拉致グループに接触して、身代金を要求したらどうか、と言っていて、交渉が難航している」という連絡を受ける。一三日の三時頃になって、「トラブルは解消したので、数時間以内に解放される」という連絡を受けた。
しかし、その後、一時連絡が途絶えたけれど、同日遅くになって「解放に向けたプロセスに入っているのは間違いないが、連絡が取れない」という連絡があった。
そして一五日の二〇時四〇分頃、「人質は解放された」とバグダッドから電話あった。
こうして無事解放となったわけだが、イラクには幅広い抵抗のネットワークがつくられており、そうしたところへの接触が出来たことによって事態が解決できた。これは、WPNや三人の家族、さまざまの市民団体などの力が結びついて成功させたものだ。
日本政府のやったことは、アメリカ軍や暫定占領当局(CPA)などに協力を要請しただけで、なんら効果的な動きは出来なかった。政府が、三人は解放されるということを知ったのはたった一時間ほど前にすぎなかったのだ。
鉄建公団訴訟軸に国鉄闘争の前進を
三〇〇〇人が結集して国鉄闘争支援東京大集会が成功
四月一三日、日比谷公会堂で、「国鉄労働者一〇四七名の解屠撒回、ILO勧告の完全履行を求める4・13東京大集会」が開かれ、三〇〇〇人が参加し、二階席までびっしり埋め尽くされ広い会場が満員となる盛況だった。
オープニングは、国労大井工場のバンド・スペシャルブレンドによるジャズ演奏。
集会のはじめに、よびかけ人で経済学者の伊藤誠さんが主催者を代表してあいさつ。この集会は、国労闘争団、全動労争議団、動労千葉争議団を中心に、ナショナルセンターや主義主張を乗り越え、ILO勧告の完全履行と一〇四七名の解雇撤回の二点で企画された。四党合意の破綻、JRに責任なしとする最高裁判決とこの間の闘いで、JR発足時の不当な採用差別は旧国鉄・鉄建公団にあること、鉄建公団訴訟は正しいということがいっそう明確になった。秋の国労大会では、国労本部もいままでのいきさつを克服してこの闘いに大合流すべきだ。そして、一〇四七名のJR復帰をかち取る運動を前進させて行こう。
連帯挨拶は航空労組連絡会の村中哲也副議長と東京地評の伊藤潤一副議長がおこなった。
つづいて、一七年にわたる国鉄闘争が歌と演劇で表現される。構成劇「1047人の絆」が上演され、政府・裁判所のあくらつさと、それと闘う労働者、家族の姿が表現され、参加者の敵に対する怒りと闘う仲間への共感と感動を巻き起こした。
鉄建公団訴訟の加藤晋介主任弁護士は、「今後の裁判闘争の展望」と題して講演。
国鉄の分割・民営化の狙いは、中曽根元首相がみずから明らかにしている。国労をつぶし、総評を解体し、社会党や共産党などの革新勢力を弱め、そして改憲を行うことだった。総評は連合に吸収され、労働組合はストライキもうてなくなり、イラク派兵がおこなわれ、いま憲法が危なくなってきている。国鉄闘争を闘うことはイラクも憲法も闘うということだ。裁判闘争の現在の段階は、昨年の12・22最高裁判決以降の第四の段階にある。国鉄闘争はこれまで三つの段階を経てきた。第一は、一九八七年四月の分割・民営化からだ。ここでは、地方、中央の労働委員会で連戦連勝、勝利は確実だと思われた。しかし、九八年の五月、労働委員会の命令をまったく無視した東京地裁の不当な判決が出た。ここで事態は「暗転」した。これが第二段階。そして、地裁判決を認める高裁判決がでてからが次の段階だが、ここで国労本部が迷走し始めた。外に向かってはILO闘争に取り組んだが、四党合意による政治決着に期待をかける道に迷い込んだ。しかし、四党合意ではなにも生まれないことははっきりしており、闘争団の有志による鉄建公団訴訟がとりくまれた。これにたいする国労本部の対応は周知のごとくだ。だが、与党の離脱で四党合意は完全に破綻し、国労が取り組んできた裁判の最高裁判決でもJRに責任はないという判決が出された。これが現段階だ。だが、この判決は、裁判長をふくむ二名の少数意見を、三人の多数意見がかろうじて制して出されたものである。判決では、JRには責任はないが、採用差別があったとするなら、それは旧国鉄・清算事業団にあるといっている。国労本部が闘争を継続するつもりなら、本部も鉄建公団訴訟に取り組まざるを得ないのだ。いま、やるべきことは、鉄建公団訴訟に対して国鉄闘争にかかわるすべての力が合流しなければならないということだ。過去のいきさつを捨て、国労本部をふくめ、すべての闘争団、争議団が、雇用関係の確認、損害賠償請求で生涯賃金の確保、年金受給資格の獲得することにむけて団結して闘うことが必要になっている。最高裁判決以降、公団の態度も変わりつつある。むこうも政治的な和解しかないのではと考えているようだ。現在、国鉄闘争は第二の解決の山場を迎えているといっていい。出来るだけ早く、鉄建公団訴訟に合流して欲しい。
旗やデコレーションを持って争議団がステージに登壇し、三つの争議団の代表者(北見闘争団・酒井直昭<鉄建公団訴訟原告団長>さん、全動労争議団の梅木則秋副団長、動労千葉争議団の高石正博さん)が決意表明した。
最後によびかけ人で明治大学名誉教授の山口孝さんが閉会のあいさつで「闘いの過程で、すでに二九名の仲間がいのちをおとした。かれらのおもいも引き継いで一〇四七名の解雇撤回の闘いを前進させ勝利しよう。この集会で、政府・国鉄・JRと闘う輪が大きく拡がったが、われわれの運動は、自衛隊の撤退や憲法改悪反対、そして自民党政府打倒の闘いと結びついている」と述べた。
第75回メーデーにあたって
イラクからの自衛隊撤兵・憲法改悪阻止へ !
労働者社会主義同盟中央常任委員会
すべての労働者のみなさん!
メーデーにあたり、労働者社会主義同盟中央常任委員会はみなさんに熱烈なあいさつを送ります。
アメリカ帝国主義・ブッシュ政権の無謀なイラク侵略戦争から一年余がたちました。そして、この大義のない戦争に日本の小泉政権は積極的に加担しました。
しかし、侵略戦争に反対する闘いは全世界で燃え広がり、大規模な反戦の統一行動が持続的に展開されています。
いま、アメリカをはじめとする戦争勢力は、イラク人民の拡大する反米民族抵抗闘争とますます悪化していく「治安」状況をまえに、いっそう暴虐な手段に出てきています。ファルージャの大虐殺がその典型です。また、当初よりアメリカのイラク戦争に反対していたフランス、ドイツなどの政府はもとより、戦争参加の「有志連合」の国の中からもアメリカの指揮棒のもとからの離反が始まっています。そもそも、イラク攻撃の最大の口実であったフセイン政権の「大量破壊兵器」保有がデマであったことがあきらかになりました。
国連をぬきにした単独先制攻撃で戦争をはじめたアメリカ・ブッシュ政権は、昨年の五月一日、イラクでの戦闘の終結・勝利宣言を行いました。しかし、今年はどうでしょうか。スペインでは、いち早く戦争を支持し、イギリス・ブレア首相とともに「有志連合」の核となっていたアスナール政権が、イラクからの撤兵を掲げる社会労働党政権によって打倒されました。スペインのサパテロ新首相は前倒し的に撤兵を開始しました。ホンジュラスなど少なくない国ぐにがそれに続き、アメリカのイラク戦争・占領・支配の構図が崩壊し始めました。そのうえ、ブッシュ政権は、イスラエル・シャロン政権のパレスチナ民衆虐殺を支援して中東の人民の大きな怒りをかっています。アメリカは世界に広がる反米気運の中で孤立しているのです。
小泉内閣は、アメリカ・ブッシュの戦争を積極的に支持し、憲法の平和主義の原則を公然と踏みにじって侵略戦争の側に立ち、イラクの人びとを踏みにじり虐殺する体制の一翼を担っています。
小泉政権は、国会で有事法制関連七法案、三条約を強行成立させようとしています。またアメリカのネオコン戦争勢力の東アジアにおける緊張激化政策と連動して朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化交渉を中断しています。そしてついに憲法改悪の早期実現を具体化しはじめました。
四月には、米軍によるファルージャ大虐殺とのかかわりで、イラクの武装勢力により日本人五人が拘束されました。しかし、かれらがいずれもアメリカ軍や自衛隊の側の人間ではなくイラクの人びとのために人動的な支援活動を行っていたこと、日本における反戦運動の存在のアピール、それらのことが世界の友人たちの力によって、イラク現地に伝わり、五人は無事に解放されました。この事件は多くのことを教えています。日本政府が「人質のいのち」などどうなってもアメリカに追随していく姿勢を示したこと、また実際に日本政府がイラクの情勢をまったく掌握できておらず占領当局(CPA)以外の「イスラム聖職者協会」などとのルートはまったくもっていなかったことなどが暴露されました。とくに五人に「損害賠償」を求めるなどの行為にいたっては世界のもの笑いの種になってしまいました。この闘いの中で、日本とイラク、そして世界の反戦運動の連帯はいっそう高い段階に進みました。
いま、ファルージャやナジャフなどイラク全土で激しい戦闘が起こっています。日本自衛隊の「宿営」するサマワでも、自衛隊撤退のデモが行われました。しかし、小泉首相は、各国軍が次々とイラクから去っていくのにもかかわらず、「自衛隊撤退はテロに屈することだ。絶対に撤退はしない」と大見得を切ってしまいました。このままでは、自衛隊はイラクの人びとと本格的な戦争状態に入り、殺し殺される関係になってしまいます。
この間、私たちは、多くの市民、陸海空港湾労組、野党など団結できるすべての力を総結集して、イラク反戦闘争に取り組んできました。反戦運動の隊列は全国各地で大きく広がりました。若い世代の運動への参加も目立っています。いまこそ、自衛隊を撤兵させなければなりません。私たちもスペインの闘いに学び、戦争政策からの転換を実現しましょう。
現在、政府は日本経済は回復基調にあると言い続けています。しかし、一方での大企業の巨大な儲けと、それと対称的に失業・賃金・労働条件という面ではいっこうに改善されていません。そればかりか悪化していっています。政府の言う景気回復にしても外需を主とする非常に不安定なものでいつ逆転するかわからないものです。
いまこそ、労働組合は労働者の生活と権利を守るために、闘う態勢をつくりあげなければなりません。そして、反戦運動、労働組合運動の前進と来るべき社会主義革命にむけて、左翼勢力の再編・統合の道に大胆に踏み出すときです。
イラクからの自衛隊の撤退、有事法制阻止、憲法改悪反対、グローバリゼーションと新自由主義に抗する幅広い戦線をつくりだそう。
全世界のプロレタリアは団結し、全世界のプロレタリアと被抑圧人民、被抑圧民族は団結して、共同の敵に反対しよう!
二〇〇四年五月一日
とめよう憲法改悪、立ち上がろう9条実現のために、イラク派兵を許さない
2004年5・3憲法集会に寄せて
(各界の人びとから憲法集会への想いが寄せられています。集会ビラから転載しました)
石坂啓(漫画家)
今年は「戦争元年」である。もはや「戦後」でも「戦前」でもない。簡単に引き返すことのできない「戦争」を、この国は始めてしまった。既成事実を重ねた上で、「もう憲法は時代に見合わない」と改憲を進める連中が息まいている。みんな、アタマ大丈夫か、日本が、軍隊を持つ国になるということ。「愛国心」をうえつけ、若者を、子どもたちを戦争に巻きこんでいくということ。「国際貢献」という名の、徴用を始めるということ。「平和」がどれほどもろく崩れてしまうものか、そのおそろしさをいま真剣に私たちは考え直すべきである。みんな、アタマ冷やせ。
姜尚中(東京大学教授)
〜「あれかこれか」の時が来た〜
戦後日本の平和主義は、護憲・平和勢力の多大の尽力にもかかわらず、全体として「あれもこれも」の平和主義であった。日米安保OK、自衛隊OK、憲法第9条OKだったのだ。しかし今や「あれかこれか」の選択が迫られている。日米安保と自衛隊OKの立場か、平和憲法OKの立場か。後者を選ぶ決意ならば、その精神を生かす構想力とヴィジョンが必要だ。「東北アジア共同の家」は、その具体的な拠になると信じる。
鶴見和子(上智大学名誉教授)
ぬかるみの道ふたたびか請わるるまま海外派兵に踏みきる日本
日中戦争の時に「いつまでつづくぬかるみぞ」とわたしたちはいいました。そのようなことがふたたび起こらないようにするために憲法9条を制定したのです。今後アメリカは先制攻撃の鉾先をどこえ向けるかわかりません。そのたびにアメリカ追随していくことのないように、わたしたちは憲法9条を守りぬくことに力をつくしたいと思います。
宮城泰年(聖護院本山修験宗宗務総長)
政府は有事法やイラク特措法など諸々の法案を強行施行し、次は恐るべき共謀罪法案を机下にしのばせ、平和主義に徹し基本的人権を基調として築きあげた憲法を五〇年かけて取り崩し改憲の目論見を整えてきた。現行憲法に何の欠陥があるというのか。国民の経典とも謂うべき理念ではないか。経典や理念は時の条件に迎合し内容を変えるものではない。国民が政府や曲学阿世の徒に二度と欺かれないことを切に願うものである。
山内敏弘(龍谷大学教授)
今年の五月三日は、格別に重要な日となる。武装自衛隊が戦地イラクヘ出兵するという、憲法9条にあからさまに違反するかってない事態が生じている中で迎えるからである。改憲論も、マスコミなどをも巻き込んで従来にも増して声高に唱えられている。しかし、日本国憲法が誓った「非戦」は、二一世紀の日本及び国際杜会の進むべき方向をしっかりと指し示している。今年の集会が、多数の市民の参加の下で平和憲法の今日的意義を再確認し、改憲阻止の幅広い運動を展開するための大きな契機となることを心より期待したい。
渡辺一枝(作家)
「憲法9条がなかったら、私は生まれていなかったかもしれません」、今年の年賀状に書いてきたのは、戦後生まれの友人です。「憲法9条がなかったら、私たちは生きていなかったかもしれません」は、今この国に生きる私たちすべてのことでありましょう。戦争は人と人の戦いではなく、権力が無辜の市民を殺戮するものです。いつの時代も世界のどこにも、「良い戦争」なんてありません。世界中の国々が、戦争放棄をするように、今こそ「憲法9条」を高く掲げて「世界の憲法に!」。これは平和を願う、全世界の人々の声でしょう。何としても、守り抜きましょう。
自衛隊の撤退を要求する民主党内有志の緊急アピール
イラク情勢の急変は日本国内にもさまざまな影響を及ぼしている。イラクでの人質事件で、民主党執行部は、小泉と同様の「テロに屈する自衛隊の撤退はしない」という見解を発表した。これに反対して、民主党内の有志は、「緊急アピール」を発表した。署名する議員は八〇名を超えた(編集部)。
イラク問題に関する緊急アピール
人質の救出
四月八日、武装集団によってイラク国内で三人の日本人が拉致監禁される事件が起きました。ボランティア活動や取材活動を行っている民間人を人質に取る犯人グループの行為は許されるものではありません。
そもそも、政府がイラクへ自衛隊を派遣したことと不十分な邦人保護対策が今回の事件を招いたのであり、小泉政権の責任は極めて重大です。
私たちは犯人グループに対して直ちに三人を解放するように強く求めると共に、政府に対しても、救出のための最大の努力をするよう訴えます。
自衛隊の撤退
私たち民主党は、米英両国などによる大義なきイラク戦争に反対し、イラク特措法による自衛隊のイラク派遣にも反対してきました。
米英軍の占領から一年たち、イラク全土に戦闘が拡大しています。自衛隊が駐屯しているサマワ地区でも、ミサイルや迫撃砲による攻撃が行われるなど、イラク特措法にいう戦闘地域になっていることは客観的に見て明らかです。
サマワに自衛隊がとどまることは、いまや超法規的措置であり、隊員の安全確保もあやぶまれています。政府は自ら作った法律に照らして、一刻も早く自衛隊を撤退すべきです。
国連主導
イラクの治安は悪化の一途をたどっています。占領軍に対するイラク国民の抵抗が増しているのは、米国による不法な占領が続いているからです。
私たちは、イラク復興の主導権を速やかに国連に移し、イラクの治安を回復すべきだと考えます。日本はその上でイラク復興支援に取り組むべきです。
民主党議員有志
二〇〇四年四月一四日
せ ん り ゅ う
救出へ国会デモに力あり
三人を救ったデモのアラブ文字
自己責だ責任転嫁政府すじ
撃つは自己責任と国は逃げ
国民に無責任戦地へ派兵
民衆蜂起これを民主といわぬヤツ
歴史を汚す殺し屋ブッシュ
チェイニーにっこり国民にそっぽ
ゝ 史
二〇〇四年四月
複眼単眼
国家は市民を守らない 〜人質事件政府言行録
@小泉首相
「先ず事実確認ね。どういうことがあったのか。まあ、事実であれば、三人の無事救出ね」
「私自身の問題じゃありません。国全体の、イラクに対する安定復興支援、これにどう取り組むかということに関わる問題ですからね。テロリストの卑劣な脅しに乗ってはいけないと思います」「テロリストがね、どういう意図でやっているのか、まだ分かりませんけどね」(以上、九日)
「まだ明らかに出来ないこともございます。各方面へのいろんな働きかけが効を奏したんだと思っております」(以上、十五日)
A福田官房長官
「自衛隊はイラクの人々のために人道支援を行っている。撤退する理由はない」
「何でテレビ局は三人の出国前の絵 (映像)
を持っているんだ?自分から売り込むのか?妙だよな。なのに、マスコミはそうゆう連中に乗ってしまう」
「(武装グループが刃物で被害者を脅す映像の感想)
相手は脅かすことを目的にしている訳ですからね。その手法に乗って対応するというのも、いかがなもんでしょうか」
「(アルジャジーラを通じて犯人グループに呼びかけるつもりがあるか)
誰が出るの?それに応えるようなタマなの?日本政府が何でそんなことをしなきゃならないの」(九日)
「いったんこうなったら、どれだけの人に迷惑がかかるか考えて欲しい」(十五日)
B川口順子外相
「日本大使館に日本時間午後八時、あるモスクに日本人がいるので引き取りに来て欲しいと連絡があった。誰からあったかは。よく分からない。イラクの人からだった。名前は承知していません」(十五日)
C安部晋三幹事長
「政府から与党幹部に解放知らせるって字幕が出たでしょ。あの幹部って僕のこと!もう解放されないことはあり得ないよ。複数から情報があった」 (十一日)
D竹内行夫外務事務次官
「外務省の我々の同僚は命をかけて治安情報を収集し、危険情報を国民に周知している。イラクについては今年に入り退避勧告を十三回も出している。自己責任の原則を自覚して貰いたい」(十二日)
E飯島勲首相秘書官
「まいっちゃうよ。家族の中に過激集団がいてさ」
「ロイターが解放を配信したから飛んできた」(十一日)
F平沼赳夫経済産業相
「自衛隊でも行くのは危険だから行くなと言っている親が、未成年の自分の子どもを止めることが出来ないで、ああいう戦地に行かせてしまう。やっぱりどこかおかしい」(十二日)
G岡田秀一秘書官
「アルジャジーラの報道で期待しちゃうよね」
H細田博之官房副長官
「ネットに書き込みがあったようだが、いつ書かれたんだか、本人のものなのかどうかも分からない。イラクに行きたいという人が書くんだから、どうしようもない」
I冬柴鐵三幹事長
「連中が何物かを掴むのが、うちは早かったよなあ」
「もうあいつらには何も教えてやらない」
J官邸筋
「人質解放の声明文について、まるで日本人が書いたような違和感を持つ部分が多すぎる」
「日本国内の人間と、繋がっている可能性も否定できない」
「自作自演の可能性も否定できない。分からないことだらけだ。ヨルダンから三人が出国した、という記録もない」
K外務省幹部
「何が効いたのか分からないが、我々はいろいろやった」
L警察庁
「事件が起こって直ぐ、アメリカから連絡が入り、人質とその家族の身辺調査を行うよう指示を受けました。イラクに軍隊を派遣している国の人間が武装グループに拘束された際、米国のイラク攻撃が原因だという反米キャンペーンがわき起こったのです。だから米は誘拐事件は反米勢力の仕掛けだと見て過剰に反応するのです」
Mその他政府筋
「家族は自分たちのことしか考えていない。」 「政治性、思想性を感じる」
「どうせ共産党の人間だろう」 「自業自得。殺されても仕方がない」 「何様のつもりだ」
「事件が片づいたら、家族のことを徹底的に暴いてやる」
NFAXなど
「家族は自分たちのことしか考えない」 「人に尻ぬぐいさせるな」
「死ねばいい」
(以上、ある市民運動のMLより一部転載) (T)