人民新報 ・ 第1130・1 号<統合223・4> (2004年5月15日)
  
                  目次

● 共同の全国的拡大と国際連帯の中で5・3憲法集会  五千人の熱気あふれ 改憲阻止へ

      次代を担う若い世代から 中学生 菱山南帆子さん

      宗教者として 日本キリスト教協議会 鈴木伶子さん

      女性の立場で 東京都地域掃人団体連盟 水野英子さん

      働く者から 航空労組連絡会 内田妙子さん

      教育を守ろう 杉並の教育を考えるみんなの会 丸浜江里子さん

      地域とともに 許すな!憲法改悪・北部市民連絡会 中尾こずえさん

      イタリア「平和のテーブル」のマオリティオ・グッビオッティさん

      韓国「平和を創る女性の会」国際連帯委員会委員長のチョン・ギュンラン(丁京蘭)さん

      福島瑞穂・社会民主党党首

      志位和夫・共産党委員長

      高田健さん(許すな!憲法改悪・市民連絡会)の開会あいさつ

      * * * * * * * * *

      二〇〇四年5・3憲法集会アピール

      5・3憲法集会へ寄せられた内外のメッセージ


● 5・3大阪憲法集会〜戦争をとめるトップランナーになろう〜作家の池田香代子さんが講演

● 自衛隊官舎への反戦ビラ入れへの大弾圧に反対し全国集会、東立川駐屯地へ抗議デモ

● 第75回日比谷メーデー  反戦、改憲阻止、反リストラにむけて

● 「昭和の日」も「みどりの日」もいらない!4・29集会」

● 沖縄反戦デーの伝統引継ぎ、命どぅ宝・平和世コンサート18

● 郵政4・28処分25周年  反処分一日行動

● ドキュメンタリー映画集 「テロリストは誰?」

● 「人らしく生きようパート2・(2001年冬〜2004年春)」 完成・上映会

● KODAMA

    自衛隊はただちに撤兵しろ! 4・18東富士行動の報告(静岡読者)

    現場地質技術者へ贈る30の言葉〜過去と現在のなかに未来を切り柘く鍵がある〜(小山富土夫)

● 改憲への道をひた走る支配層と民衆の側からの対抗  /  鈴木治郎

● せん り ゅ う  /  ゝ史

● 複眼単眼  /  「思考停止」か、限りなき「現状追認」か




共同の全国的拡大と国際連帯の中で5・3憲法集会

            
 五千人の熱気あふれ 改憲阻止へ

 われわれは五七回目の憲法記念日を小泉内閣による平和憲法を踏みにじる自衛隊のイラク派兵と明文改憲攻撃の激化という情勢のなかで迎えた。
 五月三日、日比谷野外音楽堂で「とめよう憲法改悪 立ち上がろう9条の実現のために イラク派兵を許さない 二〇〇四年5・3憲法集会」がひらかれた。時折小雨というあいにくの天気ながら、憲法改悪攻撃に反撃しようと決意した五〇〇〇人の人びとが結集した。
 主催は二〇〇四年5・3憲法集会実行委員会で、憲法改悪阻止各界連絡会議、「憲法」を愛する女性ネット、憲法を生かす会、市民憲法調査会、女性の憲法年連絡会、平和憲法21世紀の会、平和を実現するキリスト者ネット、許すな!憲法改悪・市民連絡会の憲法八団体によって構成される。

 うたごえ合唱団によるプレコンサートで集会ははじまった。
 はじめに、許すな!憲法改悪・市民連絡会の高田健さんが開会あいさつ(別掲・二面)。
 つづいてシンガー・ソングライターの横井久美子さんによる歌と語り。コント「ザ・ニュースぺーパー」松下あきらさんは、自衛隊をイラク戦場に送り憲法改悪を強行しようとしている小泉首相に扮して、その政権の腐敗・反動ぶりを演じて会場からは大きな拍手が起こった。
 プログラムは各界からの発言に移る。

 次代を担う若い世代から 中学生 菱山南帆子さん

 イラク戦争をやっているのはブッシュ大統領や小泉首相だが、それを止められなかった私たちにも責任がある。なにもしないのは戦争加担と同じだ。いまいつでも戦争が出来るように憲法が変えられようとしている。日の丸・君が代で先生たちが処分されている。闘う先生を守れ。みんなでやれば怖くない。イラク・パレススチナの子どもたちと連帯していきたい。

 宗教者として 日本キリスト教協議会 鈴木伶子さん

 イラクでは殺すこと、殺されることが毎日行われている。宗教者はみんな人を殺すことを止めさせようとしている。私たちキリスト者はイスラム教徒、仏教徒とともに力をあわせて戦争に反対している。戦争のできるような国にさせないよう平和憲法を守っていこう。

 女性の立場で 東京都地域掃人団体連盟 水野英子さん

 私は戦争中にB29の爆撃で多くの人が死ぬのを見た。その人たちは時の為政者に殺されたのだ。小泉首相はイラクは安全だといったが今どうなっているのか。まったく違った状況になっているではないか。かつて日本の大使をやった人も「日本が世界に誇れるのは憲法のみ」と言っている。みんなで一緒に平和の声をあげていこう。

 働く者から 航空労組連絡会 内田妙子さん

 私たちは戦争がおこればただちに動員される陸海空港湾で働く多くの労働者とともに、有事法制、イラク派兵に反対して運動してきた。国民の多数は戦争・派兵に反対しているのに国会ではまったく逆の状況にある。イラクでもアフガニスタンでもクラスター爆弾などによって多大な被害がでているがそれは日本にはあまり知られていない。これからも次々に集会などをひらいて反対運動をくりひろげて行きたい。
 
 教育を守ろう 杉並の教育を考えるみんなの会 丸浜江里子さん

 子どもたちを育てる母親の立場からも、日の丸・君が代を強制する都教委の通達は許せない。署名活動を行っているが現在九〇〇〇をこえた。都議会は、自民・公明・民主によって独裁体制のようになっている。しかし決して諦めずに、みんなで運動を強めて行こうと思っている。

 地域とともに 許すな!憲法改悪・北部市民連絡会 中尾こずえさん

 憲法の改悪に反対して、地域の人たちと協力して運動のニュースを発行し、駅頭などでチラシまき、署名集めを行っている。子ども連れの人も毎回参加している。憲法調査会は最終報告を出し、憲法改悪にでてこようとしているが、いま憲法改悪反対の運動をもっともっと強めていかなければならない。

 リレートークでは海外から二人のゲストが発言。

 イタリア「平和のテーブル」のマオリティオ・グッビオッティさん
 <「平和のテーブル」はイタリアの反戦運動の中心的団体で、現在、EU憲法に平和条項をもりこむための署名運動を展開している)。

 日本の憲法集会に参加できてたいへん喜んでいる。この集会の成功は日本のみならずイタリアの平和運動にとっても大きな意義がある。いま世界の金持ちの二〇%が世界全体の資源の八〇%を使っている。また一三億人は一日一ドル以下で生活しなければならず、二四億人が何の薬も手に入らない。世界の子ども二億四六〇〇万人が働かされており、そのうちの七三〇〇万人は一〇歳以下だ。しかし、新しい動きもでてきている。貧困も戦争もいやだ、人間をつぶす経済の動かしかたに、普通の市民・団体・組織・運動が抗議し、人権のため、平和のため、基礎的な必要のため、民主主義のために世界中でひとつに連携した動きがでている。政府が動かないならわれわれが自己責任で世界を変えていこう、手をつないでいやな現実を変革していこうという動きだ。イタリアでも一九九五年から民衆の国連をめざす運動がある。それは毎年イタリアからスイスまでの平和行進を行っている。世界社会フォーラムなどでは、人びとは世界中の経験を交流し、政策を論議している。平和運動では昨年の二月一五日の世界一斉行動は画期的なもので、イラク戦争に反対する平和の輪が地球を一周した。ローマでは三〇〇万人が参加した。イタリアの憲法にも日本の憲法に似た戦争にたいする規定がある。国連を民主主義的なものにし、そのなかに市民の席を組織しなければならない。私たちの欲するものは、武器をもつ国連ではない。市民の国連だ。国境を超えて民衆が力を合わせないのなら未来は暗い。

 韓国「平和を創る女性の会」国際連帯委員会委員長のチョン・ギュンラン(丁京蘭)さん

 <「平和を創る女性の会」は、朝鮮半島の統一とアジアの平和のために活動する女性団体として一九九七年に創設され、社会における寛容と平和の精神の普及、市民の平和創設活動の発展、人命尊重の平和の文化の促進などをめざして活動し、とりわけ、紛争解決や平和創造における女性の参加とリーダーシッブを内外で強化することをめざしている>。

 自衛隊にイラク派遣の報道を見てびっくりした。日本の憲法は平和、国民主権、人権を基礎にしているのに戦地へ出ていったからだ。戦争放棄、武器はもたないという憲法の平和主義は守られなければならないものだ。アジア太平洋戦争の被害を受けた者から見れば、天皇家がみんなの生命と財産を守らないという経験しかない。しかし歴史にたいする反省はなされていない。日本の人も、日の丸・君が代、帝国主義は思い出したくないのかもしれない。しかし、韓国人は決して忘れない。「従軍慰安婦」の人たちは毎週日曜日に日本大使館の前で謝罪を要求している。平和憲法に違反し、軍隊を派遣して、それで平和を実現するなどということは「妄想」にすぎない。アメリカの戦争終結宣言から一年、事態はどうなっているのか。イラクの人びとの抵抗は大きくなり、スペイン、ホンジュラス、ドミニカは撤兵を決定した。アメリカ軍によるイラク人拷問も明らかになった。戦争と軍事力で安全保障を確立することは、より大きな反抗を呼び起こすだけである。相互交流と信頼の醸成でお互いの恐怖と不信をなくすことこそが必要だ。みなさんの平和憲法を守り、日米軍事同盟に反対し、自衛隊のイラクからの撤退の運動が前進することを期待する。ともに自信をもって平和をつくっていこう。

 福島瑞穂・社会民主党党首

 いまイラク派兵と改憲にたいして闘うべき時である。この間のイラク人質事件を振り返ってみれば、事件の原因が自衛隊のイラク派兵にあることは明かであり、また解放されたのは彼らがイラクの人びとの友人であり派兵に反対していたことがわかったからだ。社民党も中東の放送局アルジャジーラにメッセージを送ったり、日本国内の自衛隊派兵反対運動の情報を伝えた。今度の事件の解決では、国境を超えた人と人の平和と連帯のネットワークが大きな役割をはたした。日本国憲法はこれまで戦争によって殺し殺されることを阻止してきた。これは貴重な財産だ。今後も守り発展させていかなければならないものだ。小泉政権は、有事法制、テロ特措法、イラク特措法などを強行成立させ、教員を日の丸・君が代強制で処分し、今後も派兵恒久法、防衛庁の省への昇格、国防基本法、武器三原則の見直しなどを狙っている。教え子を再び戦場に送る時代がつくられようとしている。私たちには、もうひとつの日本、もうひとつの世界をつくることが可能だ。一人でも多くの人とともに憲法改悪反対の運動を進めていこう。

 志位和夫・共産党委員長

 改憲勢力はいろいろな口実を持ち出してきている。たとえば環境権やプライバシーの権利を憲法に入れなければならないと。しかし環境破壊をやっている勢力や盗聴法を強行した勢力がそうしたことを言うのはまったく厚顔無恥もはなはだしいと言うしかない。
 こうした言い方は、国民を改憲論の土俵にのせることで、九条を変える狙いは、アメリカの戦争に自衛隊が公然と参加できるようにすることだ。そして、改憲勢力は、現憲法はアメリカの押しつけだから「自主憲法」が必要だという。しかし憲法が出来てすぐに日本の再軍備のための改憲を要求してきたのはアメリカで、現在論議になっている集団的自衛権の行使の要求もアメリカから来ている。
 憲法が古くなったのではない。古くなったのは自民党の政治だ。憲法改悪に反対し、憲法の平和、人権、民主主義、そのすばらしい値打ちをすべて生かした二十一世紀の国づくりをともにすすめよう。

 実行委員会は憲法改悪阻止の運動を発展させていくためのポスター&ロゴマークを募集し、その審査発表が平和を実現するキリスト者ネットの小河義伸さんから行われた。

 集会には多くのメッセージが寄せられ、リゴベルタ・メンチュウ・トゥムさん、アリアス・オスカーさんという二人のノーベル平和賞受賞者、平和憲法を守ろうとする日本のNGO・政党に送る韓国NGOからの連帯メッセージ(韓国イラク派兵反対非常国民行動三五一団体一同)、民主党の横路孝弘衆議院議員、藤崎良三全労協議長、松浦利明日本青年団協議会会長、紀平悌子日本婦人有権者同盟会長、タレントの永六輔さん、高橋哲哉東大教授などが、戦争の道=改憲を許さずともに力を合わせようと述べている。
 最後に参加者全員で集会アピール(別掲・一面)を確認し、全労連の熊谷金道議長の閉会あいさつのあと、生田卍&SOSOの演奏に送られて銀座パレーに出発した。
 憲法をめぐる闘いはいよいよ正念場を迎えた。9条改憲阻止のもっとも広範な統一した力をつくりだし、反戦平和・改憲阻止の運動の飛躍的な前進をかち取っていこう。

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 高田健さん(許すな!憲法改悪・市民連絡会)の開会あいさつ

 みなさん、こんにちは。
 国際的な世論に反し、国際法の積み上げを無視して、ブッシュ大統領が発動したイラクにたいする攻撃と占領は、大多数のイラクの人びとに苦しみと屈辱をあたえ、人びとの怒りと抵抗は急速に強まっています。この違法・無法・非道の軍事占領に小泉内閣が加担し、協力していることはきわめて重大です。私たちは小泉内閣が国内と国際の世論を無視し、憲法をないがしろにして派兵した自衛隊の即時撤兵をもとめます。
 いま国会では、この際、平和憲法を改悪してしまおうという声が高まっています。21世紀、いよいよ非戦の憲法が生かされなければならないこの時に、第9条を変えて、再び戦争をする国へと進もうとする、この政府与党の危険な動きを私たちは許しません。確かにマスコミの世論調査では、憲法はどこかは変えた方がいいという声は多数になったようです。しかし、改憲派が最も敵視する第9条について言えば、六割以上の人びとが堅持すべきだと答えています。ここにこの五七年の経過で平和憲法が市民の中に定着してきた力強い基盤が示されています。
 私たちの憲法集会は今年で四回目です。思想・信条や立場の違いを超えて、第9条改悪阻止で大きく共同するという5・3集会の精神は各地に広がり、今年は従来にもまして多くの地方で共同の集会が開かれています。
 そして今回の集会のもう一つの特徴は国際連帯です。本日は韓国とイタリアからゲストをおまねきしました。加えて、プログラムに挟み込んでありますように、グァテマラのリゴベルタ・メンチュー・トゥムさん、コスタリカのアリアス・オスカーさんという二人の著名なノーベル平和賞受賞者の方からの熱烈なメッセージが届いています。
 声高になってきた改憲の動きに対して、私たちは改めて全世界の人びとと共に、全国の人びとと共に、最も広範なネットワークを作り上げ、「止めよう憲法改悪、立ち上がろう9条の実現のために」、そして「イラクからの自衛隊の撤退」を掲げて、本日、この集会の場から行動を開始したいと思います。本日は最後まで、ご協力をよろしくお願いします。

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二〇〇四年5・3憲法集会アピール

 日本国憲法は、悲惨な戦争と専制政治への反省から、人びとの平和と民主主義の願いをこめて生み出されました。なかでも「戦争の放棄」を定めた9条は、21世紀の世界のあり方を示すものとして、平和を愛する国内外の人びとの熱い支持を集めています。
 しかし今、憲法9条を変え、自衛隊を政府の意のままに海外に送り出せるようにし、自由や人権を制限し、日本を再び「戦争する国」にしようとする動きが強まっています。私たちは、このような憲法改悪の動きを受け入れることはできません。
 今日、私たちは57回目の憲法記念日をむかえました。本来なら憲法の誕生日を祝う日であるにもかかわらず、イラクヘの自衛隊派兵など、かつてなく深刻な憲法の危機に直面しています。このような危機を乗り越え、平和憲法を生かすことのできる状況を作り出すために、全国で同じ思いの人びとが立ち上がっています。そうした全国の人びとと連帯し、私たちは憲法改悪に反対し、9条を守り、平和のために生かすよう、さらに力強く歩み出します。

二〇〇四年5月3日

 とめよう憲法改悪、立ち上がろう9条の実現のために、イラク派兵を許さない 二〇〇四年5・3憲法集会参加者一同

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5・3憲法集会へ寄せられた内外のメッセージ

2人のノーベル平和賞受賞者から5・3憲法集会へのメッセージ 

 世界中すべての国の憲法が、好戦主義の悲惨な結末を体験した日本で制定されている戦争放棄、平和維持の条文を取り入れるべきです。それは世界の宝なのです。日本政府は第2次世界大戦後、同じような悲劇を繰り返さないために戦争犠牲者を追悼し、平和で調和のある生活を国民に保障する集団的資産として、憲法第9条を定めました。
 しかし、非道徳的で不法・非合理なイラク侵略への日本政府の支援は、日本と世界の宝である憲法第9条の精神を脅かしています。軍事力を盾に、日本政府は憲法に違反しているだけでなく、アジアの愛すべき国、日本を再び暴力の狂気の渦に巻き込む危険な道筋をたどっています。
 憲法記念日にあたり、私は日本社会に住むすべての人びとに対し、憲法第9条を守るよう呼びかけます。日本の将来は、戦争放棄という重大な原則を守るか否かによって大きく左右されるでしょう。
 この第9条を守ることは、テロリストと呼ばれる人びとの思惑に追従するものではなく、人類の基本的価値を守り、平和を求める多くの人々の声を代弁するものです。平和は兵器により達成されるのではなく、尊重、平和的共存、合法性、社会正義を根拠としています。
 イラクや他国での暴力がエスカレートする現在、憲法第9条改悪により日本は、犠牲者のほとんどが市民となる攻撃に身をさらすことになるでしょう。
 勇気ある日本国民は何度も戦争に反対してきました。こうした姿勢が今後も続き、政府がその声に耳を傾け、憲法をすべて尊重するよう、私は願っています。

               リゴベルタ・メンチュー・トゥム 

               § § § §

 戦争の鼓動が、至る所で鳴り響いている現在、平和を主張する人びとは理想主義者や夢想家として、ないがしろにされています。しかし、未来が絶望と暴力にますます陥ろうとも、我われは平和について語り合わなければなりません。今こそ、夢想家や理想主義者とも呼ばれる我われが、平和という文字を国家、国際アジェンダに載せるべく、より一層の努力をすべき時です。
 平和に終着点はありません。平和は、決して終わることのないプロセスであり、あらゆる国の人々による無数の選択の結果なのです。非武装も同様に、一時的な決断ではありません。一般市民が、軍備廃絶を常に求め、警戒していく必要があります。我が国、コスタリカは一九四九年に軍を廃絶しましたが、再軍備を招きそうな危機に直面したこともありました。決然としたリーダーシップと一般市民の強い主張があったからこそ、一九八〇年代の中央アメリカ内戦時の暴力にコスタリカが陥ることはありませんでした。皆さんも日本を軍国主義に引き戻そうとする好戦的動向に対し、今ここで、「ノー」と言うべきです。平和は単なる夢ではないからこそ、皆さんはここにいるのです。平和への道は険しく、華やかなものでも、純真で理想にみちたものでもありません。我われは日常生活の中で、その道を選び、屈せずにやり通さなければなりません。
 第2次世界大戦後、日本は平和国家となり、平和的手段によって、今のような豊かな国となりました。世界中が尊敬している日本の資質は教育重視、強力な労働倫理、技術革新、活気あふれる創造的文化などであり、軍国主義的要素はありません。日本は、軍備によってではなく、国民の才能によって世界のリーダー的存在となったのです。日本と世界のために、日本の人びとが日本国憲法第9条に記されている平和主義と発展の伝統を守り続けるよう、私は祈り、願っています。

              アリアス・オスカー

               § § § §

平和憲法を守ろうとする日本のNGO・政党に送る韓国からの連帯メッセージ

 三五一団体の韓国NGOによって構成された「イラク派兵反対非常国民行動」は、憲法の日を迎え平和憲法を守るために闘う日本のNGO及び政党による平和と正義のための実践に対し、連帯の挨拶を送ります。皆さんの実践が日本の未来のためのみならず、アジアと世界の平和な未来のためであることを、私たちは知っています。

 日本の平和憲法は、不幸な歴史を経てつくられた先進的な憲法です。特に、去る二〇世紀、アジア・太平洋地域で起きた侵略と戦争の歴史から得た教訓が反映されたものです。戦争と侵略に反対する日本憲法は、日本のみならず全世界が実践しなけれぱならない平和の原則を適切に定義しています。
 ところが、最近、日本政府と一部政党は、有事法制の制定、イラク派兵など、平和憲法の精神に反する一連の行状を繰り返しており、甚だしくは平和憲法の根拠である第9条を改正するための具体的議論に着手しました。私たちは日本政府と一部の政冶家によるこれらの試みに対し、断固反対します。日本の平和憲法の改正は、戦争と占領を経験したアジア周辺諸国の国民を緊張させ、各国の軍備増強を促すものとなるでしょう、これは日本のため、そしてアジアの平和のために決して望ましくないことです。

 韓国の憲法も同様に侵略戦争を否認する平和条項を明示しています、しかしながら韓国政府も、正義なきイラク戦争と占領に協力するためにイラクに軍隊を派遣し、追加派兵まで決定した有り様です。私たちは韓国政府の違憲的なイラク派兵に反対し、ここ韓国で闘っています。
 暴力はまた次の暴力を、戦争はまた次の戦争をもたらします。米国と日韓両国を含めた同盟国は、テロとの戦争を名目に掲げイラクを侵略しました。しかし、にも拘わらず昨年二〇〇三年は世界で最もテロ事件の多かった一年として記録に残りました。日本と韓国市民は侵略に同調した政府の過ちにより、抑留されるという悲運も経験しました。民間人の殺害と拉致は、いかなる理由であれ正当化することは出来ません。ですが今、イラクでは罪なきイラク民間人の死が日常と化しています。日韓両政府はテロの脅威には屈しないと強弁する前に、イラク市民と日韓市民全てに災いをもたらす侵略戦争に対する協力政策を変えなければなりません。
 日韓両国の平和な未来のために、そして世界の平和のために、平和憲法を守るための皆さんの正義の闘いが勝利することを願ってやみません。皆さんと共に私たちも平和の行進をおこないます。

二〇〇四年5月3日

           韓国イラク派兵反対非常国民行動三五一団体一同

               § § § §

 横路孝弘(民主党衆議院議員)


 二〇〇四年5・3憲法集会のご盛会を祝します。今の小泉内閣によって、戦後五八年間積み重ねてきた目本の外交や安全保障の基本政策が大きく変えられようとしています。大義なきイラクヘの自衛隊派遺、有事ばかり煽る有事法制の制定。そして憲法の改正の動きと、いまや世界に誇るべき日本の平和憲法は危機に立たされています。日本は平和憲法のもと、外国と対立することなく、国際協調を行い経済発展を遂げてきたのです。今こそ主権者たる国民が声をあげ、日本の平和憲法の意義を強調しなければなりません。どうか、皆さんの運動が全国津々浦々に展開し、日本の平和運動の糧となりますように、ともに頑張りましょう。

 小森龍邦(新社会党委員長)


 心より連帯の挨拶と決意をお伝えします。戦後これほどまでに日本国憲法と平和の危機に瀕した時期はありません。小泉内閣は崇高な憲法前文を根底から歪曲し、イラクヘの自衛隊の強行派兵の結果、日本NGO関係者三名の「人質」事件を誘発させました。さらに、戦争ができる日本をめざし「有事関連七法案」の成立を狙っています。これまでの「解釈改憲」から二〇〇七年には「明文改憲」に踏み込もうとしています。今こそ憲法改悪阻止で一致する全ての政党、グループ、個人が横断的に団結し共同の闘いを組織する時です。私たちもそのためのあらゆる努力を傾注します。

藤崎良三(全国労働組合連絡協議会議長)

 歴史の逆流を許さない! 今、「21世紀日本」の生きる道の岐路にあります。憲法改悪の政治日程が早まっています。小泉首相は、憲法改悪のための「国
民投票法案」を現内閣で行うと発言しています。9条を改憲して「戦争をできる国家」体制をつくるためです。武カや戦争では「破壊」と「悲劇」と「新たな対決」を生み出すだけで何も解決しません。「平和憲法」改悪、「戦争への道」という政治反動、r歴史の逆流」を許さないために幅広い共同闘争で闘いましょう。

松浦利明(日本青年団協議会会長)

 一人ひとりがかけがえのない存在として尊重され、平和に纂らしたいという願いを実現する道筋を目本国憲法が示しています。しかし、私たちはそんな当たり前の願いすら持てない、厳しい杜会を生きているのかもしれません。平和や人権、男女平等をめぐって大きく振り子が振れている今こそ、「憲法を暮らしにいかす」という視点をもって、憲法を丁寧に読み解き、当たり前の願いを実現するカにしていきたいと思います。



5・3大阪憲法集会〜戦争をとめるトップランナーになろう〜

                  
作家の池田香代子さんが講演

 五月三日の憲法記念日に、「護憲」平和の活動に力をつくしている市民の団体・個人が参加して大阪憲法集会が開催された(参加者二三〇名)。
 憲法が発布されて五七年、いま小泉政権によって「人道支援」の名の下に憲法を無視して自衛隊がイラクヘ派兵された。アメリカをはじめとする占領軍に対するイラクの人びとの怒りと抵抗が拡ひろがり、現地の情勢がますます激化する中でNGO・ジャーナリストなどの日本人拘束事件が起きた。集会参加者は、小泉政権の対米追従と数々の反動化の政策によってつくりだされた状況を極めて危険なものと感じ共有することができた。
 はじめに主催者を代表して関西共同行動の原田恵子さんがあいさつを行った。
 小泉政権の戦争政策や年金政策などの強行によって今日本国民は大きな危機に立たされている。しかし日本人はおとなしすぎる。わたしたちはいまこそ大きな声を出して怒らなければならない。
 また集会では大阪ピースサイクルの構成劇や岡本光彰さんの『風に吹かれて』『イマジン』ほかの反戦歌などがあった。
 つづいて作家の池田香代子さんが講演した。
 池田さんは、ドイツ文学翻訳家・口承文芸研究家で、著作に「哲学のしずく」「魔女が語るグリム童話(正統)」、ミリオンセラーとなった「世界がもし一〇〇人の村だったら」や「やさしいことばで日本国憲法」など多数ある。

 池田さんの講演要旨は次の通り。
 本・出版そしてマスメディアにはさまざまな人たちがいる。ポプラ社の全国紙への一面の戦争反対の意見広告ひとつを見ても、この社会は捨てたものじゃないと思った。同じイラク自衛隊派兵の報道でも局によって幅があり、情報と印象はさまざまだ。すべてを一枚岩で見てしまうことは問題がある。中には志のある人びとの仕事もある。本当によかった報道には「もう一度この番組をやってほしい」とか「よかった。ありがとう」など手紙やメールを報道機関に送ろう。メディアだけではなくそれを受け取る側にも問題がある。私たちが平和のためになにができるのかを考えると、ただ批判するだけではなくそのあたりをうまくやって行くことが大切だ。「世界がもし一〇〇人の村だったら」はインターネヅトのチェーンメールでまわっていたもので、いわゆる伝言メールを本にしたものだ。これは人から人へ伝わって行くグリムのメルヘンや日本の民話が、丁度むかしむかしで始まり語りじまいで終わるのと同じで、人びとの口と耳で変化するような現代の民話であった。この本は一三〇万部売れ、その印税をさまざまな難民救済事楽やアフガン支援事業などに当てることができた。その中で私たちは決して『無力』ではなく『微力』なのだということ、皆が集まればすごい力となるということを理解した。また『自分にできることをしたい』ということは逆に『自分にしかできない』ことだ。「やさしいことばで日本国憲法」は、若い人たちに読んで欲しいと思い書いた。日本国憲法の英語版では、「We」で始まっている。憲法は政府に対し国民の権利を守るように厳しく戒めている。そもそも近代憲法はマグナ・カルタにみられるように権力を縛るために作られて来たものだ。政府はそれを緩和しようとしているのだ。アメリカの押し付け憲法ということに対しても、突然にGHQが憲法を作れるわけでもなく、日本で以前から準備されていた憲法草案が存在し、それをGHQが評価し、たたき台にして作られたのだ。しかし、マッカーサーは憲法ができてすぐに当時の吉田茂首相に憲法の見直しを進言したが、吉田は「見直しの必要なし」と言った。というのも憲法は多くの国民の熱い支持を得ていたからだ。朝鮮戦争やベトナム戦争へ日本人が参加しないですんだのは日本国憲法があったお陰である。イラクでの拉致事件で、日本人が解放されたのも憲法があったからである。
 集会は最後に5・3大阪憲法集会アビールを採択し、その後、梅田までピースウォークを行った。参加者は、街行く人たちに戦争反対・憲法守れと訴えて行った。途中から辻元清美さんも参加した。講師の池田さんがビラを一生懸命くばる姿なども参加者をおおいに元気づけた。 (大阪・鳥井)


自衛隊官舎への反戦ビラ入れへの大弾圧に反対し全国集会、東立川駐屯地へ抗議デモ

 自衛隊のイラク派兵に反対する動きに対してさまざまな弾圧が強められている。二月二七日には、自衛隊官舎にイラク派兵に反対するビラをポスティングした(一月二七日)ことを、住居侵入に当たるとして、立川自衛隊監視テント村など六ケ所の事務所や個人宅が家宅捜索を受けパソコンや携帯電話、書類などが押収され、三人が逮捕された。三人は今にいたるも勾留されたままである。なお、今回の事件において、TBSテレビおよびフジテレビは警察発表を鵜呑みにして、逮捕された三名が「テロ組織」と関係があるかのような報道を行って逮捕現場や実名を放送した。今回の逮捕、捜索、押収は法律的にみても強引なものであり、反戦ビラ入れが自衛官にたいして影響を与えるのを恐怖した政府の無法な弾圧であるのは誰の目にも明らかだ。 まさに特定の思想内容を正当な手段で伝達しようとした行為に対する典型的な思想弾圧にほかならない。
 現在、署名やカンパなど支援の輪は全国に広がっている。警視庁、立川警察署、東京地方検察庁、東京地方裁判所、TBSテレビ、フジテレビを相手に裁判闘争が闘われている。

 四月二五日、一橋大学キャンパスで、「反戦ビラいれでの起訴を許さない」全国集会(主催、立川・反戦ビラ入れ弾圧救援会)が行われ、三六〇名が参加した。
 はじめに救援会の大沢ゆたか立川市議が経過報告と裁判闘争、支援カンパの取り組みについて発言した。
 弁護団の古藤弁護士は逮捕・勾留弾圧の不当性について報告した。ビラ入れした自衛隊官舎は誰でも入れるところだ。当然、ピザ屋などのチラシもポストに入っている。正当な理由なく人の住居に侵入した、「住居の平穏」を害したとして被害届が出されているが、出したのは個人ではなくて「基地司令」だ。ビラを郵便受けに入れただけで、「住居の平穏」が乱されるのか。そして、なぜ「基地司令」が被害届を出すのかが問題だ。そんな例はほかにない。今回の弾圧事件は、お上の言うことに文句を言うんじゃない、ということだ。
 三重短期大学の成沢孝人助教授は、弾圧は社共・護憲的なものはつぶす、そして自衛隊員と市民の接触を断つことを狙っているが、今回の事件は基本的な自由を圧殺しようとすることで憲法学者の関心は高く法学者のアピールも出されている、と述べた。
 各団体からのアピール。反安保実行委員会、戦争をしないさせない・練馬アクション、米兵・自衛官人権ホットライン、NO AWACSの会・浜松、すべての基地NO・ファイト神奈川の会、日本ジャーナリスト会議、派兵チェック、戦争抵抗者の会、医療・福祉の戦争協力に反対する連絡会議、アジア平和連合、ワールド・ピース・ナウ、反天皇制運動連絡会、昭和天皇記念館建設阻止団、三多摩労争連、三多摩法律事務所、国立の教育を守る連絡会、アムネスティ、破防法組対法反対共同行動、救援連絡センターなどからの発言があった。
 つづいて三名の獄中アピールが紹介された。

 大西一平さん
 イラク情勢も混迷を深め、米国による戦争の不当性がますます明らかになっています。日本国内でも、有事法制七法案を成立させる動きも出てきており、日本社会全体が、強引に戦争国家へと作りかえられる策動が強まっています。こういった中での今回の弾圧は、戦争に反対する市民の取り組みを牽制するための運動つぶしであることは明白です。囚われの身であるため活動が制限されていますが、裁判闘争で弾圧の不当性を広く訴えていくつもりです。忙しいとは思いますが、皆さんのお力を借りて、精一杯この弾圧をはね返していこうと考えています。

 さっちゃん
 皆さん、応援のありがとうございます。皆さんの声に支えられて、獄中でも元気で頑張っています。新聞を見れば、人質事件を逆手にとったNGOバッシングなどが始まっているようで、白由に動き、発言するものを押さえつける力がますます強まっているように思われます。こんなことに負けないで、戦争反対、自衛隊イラク派兵反対の声をますます大きな声で叫びつつけたいと思います。皆さん、いっしょに頑張りましょう!

 大洞俊之さん
 一月一七日の自衛隊官舎チラシ入れに加えて、二月二二日のチラシ入れについても検察側は三月末に追起訴してきました。怒りをおぼえます。春を迎えて、イラク国内の情勢はますます不安定になっています。米兵の戦死も昨秋以来の数になり、日本・イタリアなど各国の民閥人の拉致事件も起きています。そもそもイラク全土をこうした状況に追い込んだこの戦争の当事者の責任が改めて問われる事態になっています。自衛隊の派兵は、こうした戦争責任を一切問うことなく進められており、結果として占領者・侵略軍である米軍の一翼を担うことにしかならないことが明らかです。本弾圧は、こうした中でイラク派兵反対運動に対する攻撃として行われた不当なのものです。今後、公判において讐察―検察の不当なねらいを暴いていきたいと考えています。なお、保釈金・裁判対策等で膨大な金額がかかります。公判への結集とともに、救援・反弾圧カンパヘの取り組みも改めて訴えたいと思います。

 集会を終わってデモに出発。立川警察はデモの出発前から規制するなどの妨害した。デモの途中で、三人がビラいれをした自衛隊官舎のある東立川駐屯地に対して申し入れ。集会決議文を渡そうとしたが、駐屯地側の代表者は名前も名乗らず不誠実な対応に終始した。デモ参加者全員は抗議のシュプレヒコールを叩きつけた。
 連絡先 立川・反戦ビラ弾圧救援会
http://www4.ocn.ne.jp/~tentmura/index.htm

(五月一一日、三人の仲間は保釈を勝ち取った)

              ・・・・・・・・・・・・

全国集会決議

 自衛隊官舎のポストに一月に反戦ビラを配ったというだけで二月二七日に令状「逮捕」された立川自衛隊監視テント村のメンバー三名が「起訴」された。
 「起訴」された仲間は現在も獄中に監禁され、そこから出てくるにも多額の保釈金がかかり、釈放された後も長い裁判闘争を続けなければならない。多額の裁判費用もかかり、「有罪」判決がくだれば「懲役」などの罰を受けさせられる。しかも、三名のうち二名は三月三一日に二月のポスティングの件で「追起訴」された。
 これから海外に派兵されて、戦場で人を殺したり、殺されたりする可能性のある人々に対して、そうならないように考えようというビラを配っただけで、なぜこのような目にあわなければならないのか。
 反戦・反派兵の意思表示さえ潰すのであれば、それは殺戮に反対する意思表示の自由を奪うということである。
 戦争に反対し、殺戮に抗議することは、今生きている全ての私たちの、今後も生きつづけていく権利を主張することである。
 それが許されないのであれば、私たちの全ての権利、生存していくということでさえも、国家権力のほしいままにされるということだ。
 これに対して、私たちは一歩も引くことはできない。
 私たちは、生きていくことそのものについて何も譲歩しない。
 私たちは、以上のような観点から、三名の全くもって正当な呼びかけと行動に対するこのような国家権力の弾圧に抗議し、以下のことを確認する。

 一、私たちは、「起訴」されたテント村メンバー三名の自衛隊官舎への反戦ビラ入れという行動を全面的に支持し、三名の奪還のためにできるあらゆることを行っていく。

 二、私たちは、今後も反戦・反派兵の声を潰そうとするあらゆる防衛庁・警察・検察・裁判所一体の弾圧に対し、一致団結してこれを全面的に包囲・反撃する。

 三、私たちは、自衛隊イラク派兵を、将来における更なる公然たる軍事活動と殺戮につながるものとして断じて許さず、撤退を要求する。

 四、私たちは、今後も自衛官・自衛隊に対して、反戦・反派兵を一層強く呼びかけ続ける。また、そうしたことを行う全ての人々を断固支持する。

 五、私たちは、派兵に反対する自衛官を全面的に支持する。

二〇〇四年四月二五日

    「反戦ビラ入れでの起訴を許さない!」全国集会参加者一同



第75回日比谷メーデー

   反戦、改憲阻止、反リストラにむけて


 五月晴れの空の下、第75回日比谷メーデーが開かれた。
 オープニングは、争議を闘う音楽学院の労働者たち(東京労組ミューズ分会)による歌。
 実行委員会を代表して阿部力国労東京委員長が挨拶。メーデーは労働者の生活と権利を守る統一行動だ。今年のメーデーは小泉政権のイラクへの派兵という状況で開かれている。また、年金、医療、税制改悪など労働者への犠牲を強いている。春闘では民間大手は企業業績の改善にもかかわらず労組側はベースアップを断念した。いま、賃金、雇用の破壊が進行している。労働者は団結をかためて闘いを前進させていこう。
 連帯挨拶で増淵静雄都労連委員長は、メーデーの闘う伝統を受け継いで、労働運動を強化していこうと述べた。
 有手勉東京都産業労働局長と福島瑞穂参議院議員(社民党党首)が来賓挨拶を行った。
 集会では、韓国民主労総、大阪中之島メーデー、全労連系の中央メーデー実行委員からのメッセージが紹介された。
 韓国の歌手のソ・ギザン、ユン・ミジンさんの歌、つづいて、外国人を犯罪者視し密告を奨励するメールに反対して運動しているストップ・メール通報の川上園子さんの訴え、決意表明では全統一光輪ータース分会、均等待遇アクション21、国労東京闘争団から行われた。
 集会アピール(別掲)を確認して、団結がんばろうを行い、土橋・鍛冶橋コースの二つに分かれてデモに出発した。第二部では反戦、憲法運動などからの訴えの発言が続いた。

  ※ ※ ※ ※

第75回日比谷メーデー・アピール(要旨)

 小泉政権は復興支援を理由に自衡隊をイラクに派兵しましたが、米英によるイラク占領に協力し、憲法が禁じている集団的自衡権の事実上の行使に踏み込み、憲法改悪の意図をあからさまにしてきています。さらに、有事関連七法案の閣議決定と法案提出、憲法改悪を具体化する「国民投票法案」の今国会提出など、憲法改悪、軍国主義の復活と反動政策を強めてきています。
 今ほど、全ての労働者は、基本的人権、国民主権などの理念を掲げ、生活と権利を守る闘い、平和と民主主義を守る闘いを官民の壁を越え、大手・中小を問わず団緒し闘うことが求められています。
 公平と公正、共生と共存、平和と民主主義を掲げ、職場内外の仲間、内外の労働者、そして戦争に反対する全世界の人々と手を繋ぎ、闘いの陣形を整えていくことが早急に求められています。
 私たちは、今日の状況と昨年までの経過を踏まえる中で、統一メーデーの実現を求めてきました。この困難な時代の中でこそ、労働者の一層の幅広い結集と闘いが求められていることを改めて訴え、統一メーデーの実現を希求する立場を再度確認し、第75回日比谷メーデーの成功を宣言します。

二〇〇四年五月一日

            メーデー実行委員会


自衛隊はイラクから即時撤退せよ! 天皇の派兵支持発言を許すな!

     
      「昭和の日」も「みどりの日」もいらない!4・29集会

 四月二九日、西神田公園で、九〇人が参加して「自衛隊はイラクから即時撤退せよ!天皇の派兵支持発言を許すな!」をスローガンに、「『昭和の日』も『みどりの日』もいらない!4・29集会」(主催、「紀元節」・靖国参拝・「みどりの日」に反対する連続行動実行委員会)が開かれた。天皇は四月中旬に来日したアメリカのチェイニー副大統領と会見した際に、「自衛隊は給水や医療活動など、復興支援のために派遣されたものであり、イラクの人々の幸せに貢献することを願っております」と述べている。こうした発言は、アメリカのイラク侵略戦争・占領とそれに加担する小泉内閣の自衛隊派兵を正当化させるものだ。この天皇の政治的発言は憲法の規定を大きく踏みだすものだ。そして現在の「みどりの日」を昭和天皇裕仁の誕生日を記念する「昭和の日」に変えようとする「祝日法改正案」も、今国会に上程されているなど、憲法破壊・戦争の出来る日本への動きが強められている。
 集会では、沖縄平和市民連絡会のまよなかしんやさんが発言。
 沖縄ではアメリカ海兵隊の普天間基地に代わる最新鋭の海上基地建設がもくろまれている。新基地建設は世界でここにしかいない天然記念物ジュゴンを絶滅させるものだ。那覇防衛施設局は建設予定地の名護市辺野古沖でボーリング調査を始めようとしているが、反対運動はこれを阻止し続けている。アメリカは、イラク・ファルージャでかつてのベトナム戦争のときの「ソンミ村虐殺」の様なことが起こしている。そこで、沖縄のアメリカは海兵隊がイラク人虐殺の中心となっている。沖縄では五月一六日に普天間基地包囲の行動が予定されているが、これを成功させ反戦平和の声をもっと大きくあげて行きたい。
 つづいて、立川反戦ビラ救援会と劣化ウラン兵器禁止市民ネットワークからアピールがおこなわれた。
 集会を終わってデモに出発。集会・デモには右翼の宣伝カーが差別的な言辞をがなりたてながらいやがらせの攻撃をかけてくる。参加者は妨害をはねのけて、戦争反対、天皇制反対のシュプレヒコールを行った。

 * * * * * *

■声明■ 女天研は「昭和の日」に反対する

 昭和天皇の誕生日である四月二九日を、現在の「みどりの日」から「昭和の日」に変えるための祝日法改「正」案が国会に上程されている。私たち女性と天皇制研究会は、天皇制が女性に強要してきた法制度を始めとする幾多の差別的制度と、その元凶である天皇制家父長制度に反対する立場から、この改「正」案に強く抗議し、廃案を要求する。
 近代国家成立以降、天皇制家父長制の下で女の性は、家に囲い込まれた「母」になるためだけの性と、男たちの快楽のために「解放」された性という二つの規範を押しつけられた。家制度が法的になくなる敗戦を迎えるまで、女たちはこの二重規範のいずれかに縛られ、そして植民地主義の下、アジアの女性たちは日本の男のための性として位置づけられた。その最たるものが戦時下における日本軍性奴隷制度である。
 この法案の意義に「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」とあるが、この「激動の日々」に、天皇裕仁の名の下でどれだけ多くのアジアの女たちが性を蹂躙され、殺され、取り返しのつかない傷を心身ともに負わされたことか。彼女たちの苦しみはまだ続いている。それらを一切反省しない天皇制が続くかぎり、女も、男も、犠牲となったアジアの人々に向き合うどころか、自らが被害者であると同時に加害者であり、被差別者であると同時 に差別者であることから、目をそらされ続ける。
 しかし私たちはもうごまかされない。
 性奴隷制度については二〇〇〇年一二月に開催された女性国際戦犯法廷において厳しく断罪され、昭和天皇裕仁は最高責任者として有罪判決が言い渡されている。しかし、日本政府はいまだに被害女性たちへの謝罪と補償を放棄したままだ。それどころか、法案の意義で「復興」の日々と謳われた敗戦後においても、日本人男性によるアジア女性の蹂躙は「キーセン観光」という形で継続されていたし、現在にいたっても国際問題となって出てくる状況にある。
 侵略戦争への道をひた走り、戦争体制を支えるために天皇制家父長制が恐ろしく徹底されていった時代こそが「昭和」である。敗戦後、その戦争責任をとらずに達成した経済成長と「キーセン観光」で汚名をあげたのが「昭和」である。前天皇裕仁が在位していた、いわば裕仁の世紀ために命名された時代が「昭和」である。そして何よりも、蹂躙されてきたアジアのそして日本の女性の歴史を知る私たちにとって、「昭和」という名称は血塗られ、女性差別にまみれた、汚辱の歴史の別名でしかない。昭和天皇の歴史を平和のイメージ「みどりの日」でごまかし続けることは許し難い。だが、裕仁誕生日を「昭和の日」として祝うなどという、これ以上の屈辱は絶対に受け入れられない。
 「昭和の日」に反対する理由は数限りなくある。だが、戦時下の性暴力を正当化し続け、現在に至ってもその責任を曖昧にし続ける日本政府が国内において許され続けているのは、無責任の象徴である天皇制と天皇制家父長制の内面化にこそある。この一点においても、「昭和の日」などという祝日は許されようもない。何という破廉恥な法案であることか。日本政府は恥を知り、直ちに廃案にするべきである。

二〇〇四年四月二九日

     女性と天皇制研究会


沖縄反戦デーの伝統引継ぎ、命どぅ宝・平和世コンサート18

 四月二九日、上野水上音楽堂で「命どぅ宝・平和世コンサート18〜4・28沖縄『屈辱の日』に」が開かれた。
 舞台の背景には、「昭和の日制定をやめろ!」「普天間基地を直ちに返せ!」「辺野古のボーリング調査をやめよう!」「イラク侵略戦争反対!」「自衛隊の撤退を!」「憲法改悪を許さない!」などのスローガンが書かれている。
 一九五二年四月二八日、日米同盟の基点となったサンフランシスコ条約と日米安保条約が発効した。 この日こそ日米軍事同盟そして自衛隊増強、PKOの名による海外派兵、有事法制、アメリカのイラク侵略戦争への参戦という道が始まった日だ。同時にこの日は、在日朝鮮、中国人を一方的に外国人登録法の下に置くという差別の基点となった。かつて「4・28」は「沖縄反戦デー」といわれいくつもの大きな闘いが記録されている。
 コンサートでは沖縄出身のシンガー・バンドが平和を希求しての熱唱・熱演がつづいた。沖縄方言で「少し」とか「ちょっとね」といった意味のYO−RAのふたり、韓国の「希望の歌コッタジ」のユン・ミジン(尹美進)さんとソ・ギサン(徐基尚)さん、フォークシンガーのまよなかしんやさん、石垣島出身のノーズウォーター。そして反天皇制運動からのアピール。
 さいごに、主催者の命どぅ宝ネットワークの太田武二さんが、4・28沖縄の屈辱の日を忘れず、アメリカの戦争、自衛隊派兵に反対して平和の世を願って行動して行こうと閉会のあいさつをした。


郵政4・28処分25周年  反処分一日行動

 一九七九年四月二八日、郵政省は六一人の労働者の首を切った。反マル生越年闘争への報復処分であった。今年はその二五周年にあたり、抗議行動が展開された。
 昨年四月一日、総務省・郵政事業庁は日本郵政公社へと衣替えした。郵政公社は、「民営」化と「官営」権益をないまぜにしながら完全民営化の道を進んでいる。全逓本部も労働者の生活と権利を守る労働組合本来の姿からより遠ざかった存在になっている。そのことを最もよく示すものが、闘う4・28被処分者の組合員資格剥奪であった。


 四月二八日は早朝の赤羽局・八王子局その他への各局情宣行動からはじまり、つづいて郵政公社抗議行動、全逓本部への謝罪要求・交渉申入れが行われた。
 その後、文京シビックで「4・28ネット第13回総会<全国交流会>」、「反処分25周年総決起集会」が開かれた。
 総決起集会の講演と報告のテーマは「深夜勤拡大をつぶそう」。
 深夜勤の廃止裁判・弁護団の荒木昭彦弁護士は、深夜勤拡大では労働条件の不利益変更にあたるかどうか、その変更が合理性があるか、代償措置の存在などが鍵だ、これを立証していかなければならない、と述べた。
 つづいて深夜勤の廃止裁判・原告団の椿茂雄さんが、深夜勤拡大による労働条件の低下、裁判闘争のたち上げについて、全逓・全郵政が労働条件改悪を認めていること、苛酷な長時間労働に反対する共闘の必要性などについて発言した。
 連帯あいさつは、電通労組、反リストラ産経労、ATTAC・JAPANなどから行われた。
 最後に被解雇者の池田実さん、名古屋哲一さんが決意表明をおこなった。

 4・28ネットの第13期の方針は、今後の闘いの方向を決定したが、「C反失業、国鉄闘争、全争議団と共に」、「D名実ともに全国ネットワークの確立を」の項では次のように述べている。
 C反失業、国鉄闘争、全争議団と共に
 戦争NO!リストラNO!や労働諸法改悪反対の声が起こるなか、とりわけ国鉄闘争は全争議団と労働運動の未来を左右するものとして闘われています。「国鉄闘争勝利共闘会議」には4・28ネットも参加し、また物販では北見闘争団=北見ユニティーの仲間等に力添え頂いています。
 東京総行動・けんり総行動・「首切自由は許さない」闘い・「春の共同行動」など、民間の争議団に学び連携しながら闘いを地域に社会に広げていきましょう。
 宅配労働者・金融関係労働者との共闘なども視野におく必要があります。また99年春のニュージーランド郵政労働者との交流から培ってきた国際連帯をさらに進めると共に、反改憲やピースサイクル等にも力を傾注しましょう。
 D名実ともに全国ネットワークの確立を
 全国連鎖集会・全国行脚は、毎年定例の中国地方をはじめ、既に、東海・九州・新潟・東北・沖縄・近畿・北海道・四国・石川・関東(神奈川・千葉・埼玉)で行なわれました。全会員が、地区を越え産別を越えて走り回りましょう。
 財政の確立は急務です。夏・秋・冬の物販は定着していますが、不況と人事交流配転の影響等で99年から下降しています。また、カンパ・会費も伸ぴ悩んでいます。長期闘争態勢確立のために、物販の倍額売り上げと団体会員・個人会員の大幅拡大が求められます。是非とも絶大な協力をお願いします。
 日常活動の豊富化も計りたいと思います。現在、毎月一回の「4・28から」の発行と事務局会議を行なっています。更に今後、日常的な討論や問題提起、全国との交流・報告の充実なども考えていければと思います。
 全国の仲間の協力を切にお願い致します。


ドキュメンタリー映画集

 
「テロリストは誰?」(原題:「第三世界に対する戦争ー僕がアメリカの外交政策について学んだこと」

 戦争と平和をテーマにした五作品を上映する第一回東京平和映画祭が、七月一七日に、国立オリンピック記念センター・カルチャー棟大ホールで開かれる。上映作品は、@ヒバクシャー世界の終わりに(鎌中ひとみ監督作品)、A教えられなかった戦争ーフィリピン編(高岩仁監督作品)、Bマルディエムー彼女の人生に起きたこと(海南友子監督作品)、Cヤオラカンの春(川崎けい子・中津義人監督作品)、Dテロリストは誰?(フランク・ドリル編集作品、日本語版:グローバルピースキャンペーン)。

 五月七日、国立オリンピック記念センターで、第一回東京平和映画祭についての記者発表が行われた。記者会見の後には、ドキュメンタリー映画集「テロリストは誰?」(原題:「第三世界に対する戦争ー僕がアメリカの外交政策について学んだこと」(日本語版)が上映された。
 記者会見で、きくちゆみさん(著作・翻訳家、グローバルピースキャンペーン)が、東京平和映画祭について紹介し、当日上映される「テロリストは誰?」について説明した。「テロリストは誰?」の日本語翻訳はグローバルピースキャンペーンが行ったが、この作品を見ればアメリカには勇敢なジャーナリストがいること、アメリカには影の政府が存在し、かれらがテロリストを養成する学校を運営していること、そしてそうした者を使って発展途上の小国の人びとを攻撃している、アメリカの行為こそテロリストと呼ばれるのにふさわしいのではないか、などのことがわかる。
 上村雄彦さん(JJプロジェクト)は、JJプロジェクトは日本自立プロジェクトだ、日本の食糧の自給率は極めて低いが自立していないということが侵略につながる、と述べた。
 海南友子さん(「マルディエム―彼女の人生に起きたこと」監督)は、映画「マルディエム」はインドネシアの日本軍性奴隷の物語だが、こうした決して許されてはならないことが今も各地でおこっている、と述べた。
 鎌中ひとみさん(「ヒバクシャ―世界の終わりに」監督)は、映画は、イラク、アメリカ、日本のヒバクシャについて描いているが、私はイラクのヒバクシャはアメリカや国際社会の責任だと思っていたが、イラクの人びとを死なせているのは私たち自身でもあるのだ、と述べた。
 川崎けい子さん(「ヤオラカンの春」監督)は、この映画は、あるアフガニスタン人の生涯を追ったものだが、男と女では同じ様な体験でもまったく違った面があらわれるということを強調している、と述べた。
 上映された「テロリストは誰?」は、ドキュメンタリー、インタビュー、講演などの一〇作品を二時間にまとめたもので、フランク・ドリル(アメリカの退役軍人でマンガ『戦争中毒』の出版人)が編集した。ダイジェスト版に集められた一〇本は、@マーティン・ルーサー・キングJr牧師、A元CIA高官ジョン・ストックウェル、B影の政府・憲法の危機、C隠ぺい工作〜イラン・コントラ事件の裏で、Dスクール・オブ・ジ・アメリカズ 暗殺者学校、E経済制裁による大量虐殺、F東チモールの大虐殺、G嘘まみれのパナマ戦争、Hラムゼー・クラーク元米国司法長官、Iブライアン・ウィルソンの癒し、である。アメリカの世界各地でのさまざまな反動的な戦争行為の暴露、それと同時にアメリカ国内での多様な反戦運動の取り組みが次々に登場して興味深いものとなっている。この作品は、アメリカの無法な支配は、残虐と悲惨さを世界に振りまいているが、そのことが広範な人びとの怒りと反抗を呼び起こしていること、その各地で抵抗闘争がグローバルなかつてない規模で連帯の輪を広げ帝国主義が自らの墓穴を掘っていることを示すものとなっている。二時間という上映時間もそう長いとおもわせない迫力があるものだ。

 DVD、ビデオ 
 各一本 三〇〇〇円

「テロリストは誰?」の注文は、郵便振替で。
 「振込先:ハーモニクスライフセンター 00110−1−144224」
 『テロリストは誰?』公式サイト http://www.wa3w.com


「人らしく生きようパート2・(2001年冬〜2004年春)」 完成・上映会

 国家的な不当労働行為に抗して不屈に闘う国鉄労働者を描く「人らしく生きよう」のパート2が完成した。いま四党合意は完全に破綻し、昨年末に最高裁判決がでたという状況で、国鉄闘争には新たな飛躍が迫られている。
 このような事態を前にしていかに闘うのか。「再度問われる闘いへの意思。その時、困難を押して、新たな地でこの闘いを伝えようとオルグ活動を開始した闘争団員がいた。一方、幼かった子どもたちは成長し、受験や就職に直面して親の生き方を正面から受け止めようとしていた。闘いは二世代につながりつつある。厳寒の北海道、光あふれる四国、そして東京を舞台に物語は展開する」。
 出演者の中野隼人さん(国労北見闘争団)は、「一人一人が全国に出て、この闘争を理解してもらい、各職場の個々の問題とリンクさせて一緒に闘ってもらうことにより、この問題を解決できると思っています」と語っている。

完成上映会< 上映実行委員会(ビデオプレス 03(3530)8588 http://www.vpress.jp/>
 5月17日(月)18時30分 中野ゼロ視聴覚ホール
 
大阪連続上映会<主催 連続上映実行委員会(ユニオンぜんろうきょう 06(4793)0735>

 5月21日(金)19時 吹田市民会館
 5月22日(土)13時30分 東大阪市民会館
 5月22日(土)18時30分 メセナ枚方
 5月23日(日)14時 堺総合福祉会館


KODAMA

自衛隊はただちに撤兵しろ! 4・18東富士行動の報告

 4月18日、「自衛隊はイラクへ行くな!ただちに撤兵しろ!自衛官も共に戦争に反対しよう!」をスローガンに、自衛隊駐屯地がある静岡県御殿場市において、「自衛隊員に呼びかける4・18東富士行動」が取り組まれた。
 主催は、静岡県共闘(静岡県労働組合共闘会議)が、県内の労働組合や市民運動の人たちに呼びかけて実行委員会形式で実現した。行動内容は、集会・デモ・基地への申入れ行動を行い、静岡・山梨・神奈川から五〇人の仲間が結集をした。
 午後一時からの集会では、北富士忍草母の会から三人が高齢にも関わらず参加してくれ、代表して八〇歳の天野美恵さんが労働者と共に闘っていくことを、力強く訴えた。県内の労働組合・市民運動の仲間に続いて、神奈川県横須賀市で反戦運動を続けている木元茂夫さんも自身の闘いを紹介しながらアピールをしてくれた。最後に集会は、参加者から立川テント村の仲間への不当弾圧に対して、早期に奪還するためのカンパ要請が行われた。
 御殿場市内を約四〇分元気よくデモした後、陸上自衛隊滝ケ原駐屯地に赴いて、駐屯地司令、小泉首相、石破防衛庁長官、川口外相宛てて「イラクから、ただちに全占領軍と自衛隊の撤兵を求める要請書」を読み上げた。
 その後、駐屯地の道路を隔てて反対側にある米軍のキャンプ富士の正門で、英語で申入れに対応するように求めたが、応じなかったので、シュプレヒコールで一日の行動を終えた。(静岡読者)

 現場地質技術者へ贈る30の言葉〜過去と現在のなかに未来を切り柘く鍵がある〜      

 1、地球科学は未来を切り拓く学問である
 これほど面白い学問は他にはない
 2、まずパソコンを捨て、ハンマー持って野外に飛び出そう。医者は聴診器、地質技術者はハンマー。地質技術者は「地球の診断者」である
 3、野外の現象をまず自分の肌で感じよう
 地質の仕事は、人の感性や第五感や第六感をフルに使うことから始まる
 自然を甘く、軽く、安易に見てはいけない!
 4、頭で考えるより先にハンマーを使おう
 まず露頭を何としてでも探せ
 露頭がなかったら、地面を掘って露頭を自ら造れ!
 現場が地質技術者の教科書である
 5、露頭をスケッチする習慣を持とう
 スケッチの過程で新たな発見がある
 6、未来のほとんどは過去と現在にある
 だから地質の仕事は大切なのだ
 現在は過去を解く鍵である(C・ライエル)
 現在と過去のなかに未来を切り拓く鍵がある(小山富士夫)
 7、現場では血みどろになるまで地層と格闘しよう
 転石の岩種や位置・産状にも注意を向けよう
 8、既刊の地質図は参考に、現場は白分の眼で見よう。ハンマー以外にミニオーガーや軟岩ペネトロ計(針貫入試験器)などを携行しよう
 9、人の意見は素直な気持ちで耳を傾けよう
 独断と偏見よ、さようなら!
 10 、骨身を惜しまないこと、これがすべての基本である
 11 、プロの地質技術者としての自覚、誇りと責任を持とう
 12 、人の良いところを学び、自分の血や肉にしよう
 諸指針は参考に、あくまで現場の実状に適合した答えを出そう。それが現場地質技術者の仕事であり、そこにこそ価値がある。
 13、地質の基本はフィールド・ワーキングにある。
 すなわち、Head、Hammer and Passion(またはHeart)
 14、人を頼るな。白分で努力すれば、必ず光が見えてくる。
 下を向くな! 上を見ろ!
 15、道が無かったら自分で道を創ろう
 白分でマニュアルを創ろう
 出来合いのマニュアルばかりを頼るな!
 人は仕事(=労働)のなかでしか、自分が白分であることの存在を確認することができない。
 16、自然の驚異に率直に感動しよう。人間も白然の一部に過ぎないのだから。
 感動がなければ、いい仕事などできるはずがない。
 野外では謙虚に、大胆に、かつ集中せよ
 17、野外では安全第一を肝に命じよう。山中では大きな怪我、事故だけは絶対にしないこと。
 18、露頭を目指して息を弾ませよ
 いわゆる「望遠サーヴェイ」はやめよう
 花崗岩と花崗質砂岩、火山岩と堆積岩などを間違えるから。
 19、野外では熊や猪に注意しよう
 熊も生死をかけて生きている
 彼らと突然の遭遇を避けよう。
 20、努めて岩石サンプルを採集しよう
 風化すると火山岩と堆横岩の識別が出来ないことがある。
 21、記憶はすぐ忘れて不確かなものになる
 ノートに書くクセを持とう
 22、地元の人に出会ったら、笑顔で会釈しよう
 人との会話から貴重な情報が得られることがある
 23、自分のことを最初に考えるより、他人のことをまず心配しよう。
 そして「思いやり」と優しさを忘れずに人と話す時に、言葉遣いと態度に気を付けよう
 24、人間杜会の基本は共同(協働)と相互の連帯にある。この言葉の意味をよく考えろ!
 25、フィールドの山々と野原に血と汗と涙を流そう
 汗と涙、これこそが現場技術者の本懐である
 26、雨の日は休日に非ず。石がよく見えて、フィールドワーキングには絶好と思え!
 27、人前で自分の自慢話を得意顔でするのは、やめよう
 話し上手より聞き上手になろう
 28、常に知的好奇心を持って、主体的に行動しよう。
 好奇心の昂揚が、仕事する人間のすべての原動力となる。
 地質技術者は「町のお医者さん=臨床医」、地質研究者は「研究者=学者」である
 29、学力より、体力・気力と知力を育てよう
 学歴・肩書きに惑わされるな
 肩を怒らせて、威張るな!
 肩書き・資格をかさにしてものを話すな!
 30、輝かしき未来に向かって、壮大な構想力とヴィジョンを構築し、絶えることのない行動力を発揮しよう。こうしたなかから連帯の輪が一層強固になる。(小山富土夫)


改憲への道をひた走る支配層と民衆の側からの対抗

                          
鈴木治郎

ムード先行の改憲論議

 間もなく参院選が始まる。これは六年間の改選任期中に憲法改悪の国会発議が行われる可能性を濃厚に持った参議院議員の選出選挙となる点で、憲法問題が最大の焦点にならねばならない。
 しかし与党は改憲のムード作りには熱心だが、その改憲の具体的な政策とねらいを必ずしも人びとの前に明らかにしていない。自民党の改憲案の策定はこの六月に「党憲法改正プロジェクトチーム」がたたき台を取りまとめるとしているが、改憲案の策定はさらに一年以上先の予定とされている。公明党も「加憲」などとはいうものの、いま語られている内容は曖昧きわまりない。野党第一党の民主党は党内の一致を欠き、党の改憲案の提起は再来年末が目標だ。
 こうして改憲論議は永田町の国会では曖昧模糊としているが、一方、今年の五月三日の憲法記念日の各マスメディアは、しきりに改憲ムードを煽った。

「読売」が引っ張る改憲論議

 なかでも読売新聞は一九九四年、二〇〇〇年に続いて三度目の「二〇〇四年改憲試案」を発表した。今回は従来の読売改憲試案に、とりわけ「国際協力」の問題で「平和協力活動の枠を広げ」て、「国際の平和と安全の維持及び回復並びに人道支援のための国際的な共同活動」を加えた。そして、「人類の災禍をもたらす要因」に「国際テロリズム」をあげ、これに軍事介入する場合、安保理決議によるばかりではなく、「認識を共有する有志国家が共同対処する」などという、全く今回の米国によるイラク先制攻撃の場合にも日本が全面参戦することを可能にするような規定を挿入した。
 改憲派のこうした主張は三日の産経新聞社説にも見られる。
 「イラク派遣自衛隊がテロリストに攻撃されても、武器の使用が正当防衛・緊急避難に限られるのは …憲法九条により海外での武力行使は禁ずるとの解釈があるためでもある。だが、こうした制約がある限り、国際社会の平和と安全の確保のために求められる安全保障上の役割を日本は果たせない」というのだ。
読売は三日の社説で「『新憲法』を政治日程に乗せよ」と題して「今年三月の憲法世論調査では、六五%の人が『憲法を改正した方がよい』と答えた。国民のほぼ三分の二である。……憲法と現実の乖離は、深まる一方だ。……現在の憲法の解釈や運用だけでは、これからの時代に対応できない、という認識は、広く国民に浸透している」と述べている。そして民主党、自民党、公明党の改憲への動きを積極的に評価したうえで、「衆参両院の憲法調査会は来年初めにも最終報告をまとめる。自民党は、国会の憲法調査会が役割を終えた後、憲法改正案の審査などを行う常任委員会を衆参両院に設置するよう提案している。強く支持したい。超党派で早期に、憲法委員会設置のための国会法改正を図る必要がある。……夏の参院選では、各党とも、新たな憲法の姿を提示し、争点とすべきである」と述べた。そして改憲を急ぐ理由として、「歴史的な大転換機にあって、国際社会の動向は不透明で、日本経済も不安定で、社会保障の将来像は見えず、社会不安も増している。だからこそ国家、国民の指針となる新たな憲法の制定を急がなければならない」というのだ。まるで今日の日本社会の困難とその閉塞状況は、歴代与党の政治・経済政策の結果ではなく、新憲法さえ策定すればすべて解決するかのようなたわいもないノーテンキな言説だ。

山崎、鳩山の改憲暴論


五月三日の産経新聞に山崎拓(自民党憲法調査会特別顧問、前副総裁)と鳩山由紀夫(民主党前代表)が発表した改憲論は現在の改憲派の主張を典型的に示すものとして、注目しておきたい。
 山崎は憲法前文に「次の国家目標」を明記すべきだとして、「日本国民は、共生の理念を重んじ、日本の歴史と伝統、固有の文化、美しい国土を大切に守り育て、自立した個人として、社会に奉仕する精神を発揮する」などとした上で、第九条については「憲法九条を率直に読んで、果たして自衛隊が軍隊であるのかないのか、九条二項に『陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない』とあるのに、どうして自衛隊の存在が認められるのか。義務教育を終えた国民なら誰でも理解できるように、もっとわかりやすくかくべきだ」などと延べ、加えて集団的自衛権の行使の問題は「包括的に一般的自衛権の保持を明確にするだけでいい」と発言した。
 この自衛隊の現実は「率直に読んで」みると第九条違反だという論理は、最近の改憲派の議論の特徴だが、これは立憲主義の破壊を積極的に容認する議論であり、支配層自らが社会統治の規範としてきた法治主義の放棄であることを厳しく指弾しなくてはならない。
 鳩山は「国際協調へ『自衛軍』と改称」することを主張した上で、「前文は過去の憲法の歴史をふまえるべきだ。明治憲法の議会制民主主義、政党主義はこれからのばしていく必要がある」などと荒唐無稽な自説を開陳し、前文を「この憲法は明治二十二年憲法によって創始された議会主義と政党政治の伝統を受け継ぎ、昭和二十二年憲法によって確立された国際主義と平和主義の理念をさらに発展的に継承するものである」などという書き出しの前文を提案している。明治帝国憲法による「議会主義と政党政治」を礼賛するような、憲法について何もわかっていない、この愚かな人物が民主党という野党第一党の中で依然として一定の影響力を持っているというのは、民衆の恥辱ですらある。

九条改憲反対は社会的多数派

 読売新聞が二〇〇四年に行った「憲法九条改正に関する衆議院議員の意見」調査では、回答者の七〇・四%が賛成で、二〇・九%が反対だった。これは他紙やJNNなどの調査でも似たり寄ったりで、永田町では九条改憲派が圧倒的多数だ。これだけをみると、憲法が規定する改憲の発議に必要な「両院議員総数の三分の二」はすでに確保されてしまっているかのような印象がある。
読売の三月の世論調査では、現行憲法を改正するほうがよいとする人は昨年より十一ポイント増の六五%となったが、世論調査の内訳を見ると、九条改正に賛成は四四%、反対は四七%と改憲反対が多数を示した。これが最近のJNN調査では九条改憲賛成二七%、改憲反対六五%、朝日新聞調査では九条改憲賛成三一%、反対六〇%となって、改憲反対が三分の二を占めている。これらを見ると、九条問題で大きな乖離があるのは、憲法の規定と世論の間ではなく、永田町と民意の乖離であることがわかる。九条に関しては世論の大多数は改憲を望んでいないのだ。
だから与党や改憲派はこの参議院選挙でも、改憲問題が大事だとはいいながら、なお改憲の本来の眼目である第九条問題を正面に押し出すことを避け、「人格・プライバシー権や環境権など新たな権利概念」の導入論を持ち出し、「憲法の規定が古くなった」などという改憲のムード作りに終始し、本格的な憲法論議を回避するという姑息な選挙戦術に終始しているのだ。 
 これまで本紙は再三指摘してきたが、環境破壊の政治を進め、環境問題の市民運動に敵対してきた人びと、盗聴法などを制定し、プライバシー権を侵害してきたひとびとがいうそれらの権利の憲法への明記の主張などはためにする論議であって、論議にすら値しないのは明白だ。

改憲派がねらう憲法委員会設置と「国民投票法」制定

 衆議院憲法調査会は予定した九ブロックでの地方公聴会を終え、この五月中旬には中央公聴会も行い、形式的にはあとは最終報告書の作成を待つだけになった。中山太郎衆院憲法調査会会長は「(五月に出す予定の最終報告を終えると)今度は『憲法改正特別委員会』になる。調査会ではなく、国会への議案提出権を持つ委員会だ。最終報告が出たらおかれると思う」(東京新聞、四月二〇日)と述べた。また特別委で改正案について議論する期間については、「これだけ議論してきたのだから、特別委での議論も長くはない。……解散がなければ、われわれ衆院議員も発議の権利者にあるだろう」と、間接的な表現ながらあと三年程度で改憲の発議をしたいという意向を表明した。
 両院に「憲法改正特別委員会(改憲特)」を設置するには国会法の改定が必要になる。すでに改憲議連が作成している国会法改定案では、改憲の議案提出要件には衆議院で一〇〇人、参議院で五〇人の賛成を要すると規定し、その修正案の提出要件も同数とするなど、自民党と民主党以外には議案提出権がないなど、改憲派にとって都合がよいようにつくられており、重大な問題がある。憲法改悪を阻止するためには、まずこの国会法改定による改憲特設置に反対する闘いを通じて、改憲派の危険なねらいを暴露する必要がある。
 またこの間、改憲派が何とかして立法化したいと企ててきた、憲法改悪のための手続き法である「憲法改正国民投票法案」の非民主的な本質の暴露をすすめる必要がある(本紙八面「複眼」に関連記事)。この法案の問題点も本紙で再三にわたって指摘してきたが、従来の論点に以下の問題の指摘も付け加えておきたい。それは改憲議連の国民投票法案が「公選法違反者の一部にも憲法改正の国民投票の投票権を認める」としている点と関連して、憲法九六条が定める「特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票」という規定によって「同時投票」を行うことはその一方だけしか投票権のない有権者を生じさせる点で複雑になり、事実上、この同時投票は困難になるという問題が生じる。この「同時投票」規定を回避し、特別の投票の場合だけに限った国民投票法案を策定するとすれば、従来、同法制定の論拠として改憲派が言ってきた「立法不作為」論は破綻することになる。
 とまれ、これらの法案は秋の臨時国会、あるいは二〇〇五年の通常国会には上程されるに違いない。
 この法案の危険性の政治的暴露の課題は、ことの重大性に比して立ち後れている。市民運動の一部にある国民投票やいま作成されている法案への態度での混乱を積極的に打開し、ただちに運動の組織化を図らなくてはならない。

多様で最も広範な戦線の形成へ

 先に九条に関する永田町と民意の乖離を指摘した。
 しかし、私たちはあらかじめ衆参両院は改憲派が憲法改正の発議ができるような三分の二を占めてしまったとあきらめてならない。護憲を掲げる社民党、共産党だけでなく、自民党の中にも慎重派があり、民主党の中にも護憲派、慎重派が少なからず存在する。自民党と公明党の足並みも完全に一致しているわけではない。これらの矛盾は民衆運動の高揚を背景にすれば、政治的闘いの重要な契機となりうるのであり、無視してはならない。
 実際の選挙戦になると、議会唯一主義の諸政党は表の奪い合いの必要から自らの正当性の主張のために、往々にしてこの差異を塗りつぶして党派闘争を繰り広げがちになるるが、これは正しくない。国会内の闘いでもあらゆる政治的な隙間を見つけ出し、運動を組織して、改憲派の企てる両院での三分の二議席の確保を阻止するため奮闘しなくてはならない。
 同時に、支配層による改憲のための国民投票の提起が迫っていることも確認し、これを反撃の政治的好機としてとらえ、積極的に備えなければならない。私たちにはもし国会が改憲を発議したら、九条改憲阻止を掲げて受けて立つ覚悟が必要だ。
 これはかつてない、現行憲法下での最大の政治闘争にほかならない。これは今後の日本社会のあり方をめぐって、社会を二分して闘われる決定的な闘いとなるに違いない。この闘いを通じて、新たな大量の活動家が生まれ、広範な市民や労働者が政治的自覚と結集をつよめ、今後の社会の担い手として発言し、行動するだろう。
 私たちはいまからさまざまな闘いを通じて、思想・信条・立場の違いを超えた九条改憲阻止の最も広範なネットワークの形成のために奮闘しなくてはならない。この過程で私たちは、その運動形態の多様性を積極的に支持し、様々な人びとのイニシアティブを歓迎し、その発展に協力すべきだ。
 私たちは社会のあらゆる階層の人びとに働きかけ、従来からの署名運動やデモンストレーションなどはもとより、大小の学習会、宣伝物の作成と配布、各種の共同声明、インターネットの活用など、有効なあらゆる手段が総動員されなくてはならない。
 そしていまは予測できないさまざまな運動形態がこの中から新たに生まれてくるだろう。
 これらの力で、日本を「戦争のできる国」につくりかえようとする改憲派の野望を阻止しなくてはならない。


せ ん り ゅ う

 人権はアメリカ人の特権で

 ブッシュさんから贈り物旗に包まれ

 名誉ある地位武装にて作る気か

 三菱偽装政府偽装軍事法

 おまえもかおやあの人もあの人も

                   ゝ史

 二〇〇四年五月

 ○ イラク人捕虜への虐待拷問、アフガニスタン人捕虜のグアンタナモ米軍基地長期拘禁虐待……戦争の本質を示している。武力は人権を破壊する。


複眼単眼

  
 「思考停止」か、限りなき「現状追認」か

 「憲法改悪のための国民投票法」案を改憲議連(会長・中山太郎)が二〇〇一年十一月に作成し、この四月から、それに準じて議案を作成するための自民党と公明党の実務者協議が始まっている。
しかし公明党の動揺で、第一五九国会での法案上程は困難なようだが、次の臨時国会ないし通常国会では出してくる可能性が濃厚であるようだ。
この法案の中身の分析もすでに市民運動側では行われ、これは憲法改悪をすすめるためのきわめて非民主的な内容であり、この法案には反対するという共同声明も出されている。
 しかし、一部には「国民投票法の阻止は説得力に欠ける」(山口二郎・北海道大学教授)とか、「護憲派はなぜ国民投票から逃げるのか」(今井一・ジャーナリスト)などという意見がある。この問題は以前も書いたことがあるし、筆者にはこれらは愚にもつかないような意見に思えるが、それなりの影響力のある識者の意見なので再び取り上げる。
 山口二郎は東京新聞五月二日付のインタビューで「憲法の規定にある以上、国民投票法がないのはおかしい。制定させなければ改憲派阻止できるというのが、これまでの護憲派の政治戦術だったが、もはや説得力がない」「護憲派の衰退は『思考停止』が原因だ」と述べている。
 では、@いま、本当にそんなに急いでつくる必要があるのか。あると思っている人は、今改悪したい人びとだ。Aいまつくられている法案はきわめて非民主的な法案だ。山口もこの法案は悪いと思っているようだ。Bそうであるなら、よりよい法案を作り、国会で対案を出したとして、どちらが採択されるのか。結果は明らかではないか。Cだからいまはこの法案がいかに悪いものかを暴露し、改憲派の野望を暴露すべき時なのだ。
 山口はいま改憲連が準備した法案を批判してこういう。
 「憲法制定は国民の最も基本的な権利だ。公選法を準用するような国民投票法ではだめだ。国民が自由に関与できるルールが必要だ。十八歳から投票できるようにしてもいい。投票運動も最大限自由にしたほうがいい」と。
 その通りだ、ほかにも問題はいっぱいある。過半数と言うが何の過半数なのかが問題で、法案は有効投票数の過半数などとしていること、投票の仕方も一括か、個別改正項目ごとか、権利は「国民」だけで、在日などの権利は書かれていない、選挙運動は公務員労働者などは認められていない、などなどきわめて多い。
 ではこの市民の側の意見を自民党などがみとめるか、それはハナから明らかだ。
 山口はかつて政治改革を主張し、結果として今日の小選挙区制の成立に手をかしたことがあり、それを反省したことがある。いままた同じ過ちを繰り返すのか。
 山口は「十年ほど前から、護憲の立場からの改憲案を出すべきだと主張してきた。しかし、いまは小泉首相のもとで論理不在の憲法論議が横行している。具体的な憲法改正をやるべき時期ではないとおもう」とも言っている。
 ここまでわかるなら、山口の十年前の改憲案の提出の主張も現状追認主義であり、時期ではなかったことを反省すべきであり、いまの国民投票法案の提出の主張も「時期ではない」ことを認識すべきだろう。
 こうした筆者らの主張は「思考停止」などではない。山口二郎に望みたいことは、多少の風に吹かれても動揺しない思想的立場の確立だ。(T)