人民新報 ・ 第1186号<統合279(2005年11月25日)
  
                  目次

● ブッシュ・小泉首脳会談  アジアの民衆と連帯して反基地・反改憲の闘いを!

● スグモドレ・ジエイタイ行動  11・17

● プルトニウムは危険だ  止めよう再処理! 二〇〇五全国集会

● 管制塔元被告連帯基金  大勝利報告集会

● ブッシュの来日に対してアメリカ大使館へ抗議の行動

● 乙巳(ウルサ)《保護条約》から100年 東北アジアの平和と歴史認識を問う

● 米陸軍第一軍団司令部の座間移転反対  キャンプ座間を人間の鎖で包囲

● レイバーフェスタ 2005 へ  

● KODAMA  /  木津さんの釈放

● 複眼単眼  /  日米首脳会談と小泉語録、そしてマスコミ




ブッシュ・小泉首脳会談  日米戦争同盟の世界規模での強化 
   
   
 アジアの民衆と連帯して反基地・反改憲の闘いを!

ブッシュの戦争を支える

 一一月一六日、小泉純一郎首相とブッシュ米大統領は、京都迎賓館で首脳会談を行った。この会談で二人は、世界の中の日米同盟を再確認し、日本がアメリカの覇権主義的な世界支配戦略のなかで地球規模でいっそうの「対米貢献」をすることで一致した。
 小泉は、会談後の共同記者会見で、次のように述べたが、それは日本がいっそう危険な戦争への道へと進むというものだった。
 <…国際社会の中での日米の役割を共同しながら果たしていくよう緊密な関係を維持していきたい。
 (在日米軍の再編は)平和と安全の中に日本の経済的発展がある。経済的発展という恩恵を受けるためには、しかるべき負担、代価を払っていかないといけない。
 (再編のための中間報告でだされた方向を)政府一体となって最大限の努力を払う。
 日米関係が良ければ良いほど中国、韓国、アジア諸国をはじめ世界各国との良好な関係を築ける。
 (一二月一四日に期限切れとなるイラクへの自衛隊派兵については)国際社会の一員としてしっかり支援していかなければならない。…>
 以上のような発言は、小泉が、アメリカ・ブッシュ政権の危険な戦争政策の忠実な番犬・尖兵となるという意思表明であった。
 また、BSE(牛海綿状脳症)に関するアメリカ産牛肉の輸入禁止問題では、ブッシュの輸入再開要求にたいして、「できるだけ早期に日米間で双方向の牛肉貿易を再開したい」と述べた。
 会談ではその他に、北朝鮮の核開発問題や日本人拉致問題、鳥インフルエンザの感染予防なども議題となった。
 一方、ブッシュは一六日に京都でアジア政策について演説した。日米同盟は「アジア地域の安定と安全保障の柱」「アジアの将来の自信の源だ」。そしてブッシュは、日米同盟の価値観は「自由」であるとし、それをアジアに拡大し、中国の「民主化」では、「台湾をモデルに」とか、「信仰の自由が必要だ」などと述べた。「アジアへの自由の拡大は半世紀前日本で始まった。今日、日本人民は世界で最も自由な人たちの中にある」とも言う。その「自由」のための貢献が、自衛隊のイラク派兵というわけだ!!。
 今回の日米会談は、小泉政権が、日米関係だけを優先し、ブッシュ政権に、日本の進路を全面的に預けるという構図を明らかにした。しかし、米軍と自衛隊を一体化してともに侵略戦争をするというこの政策はアジア・中東の人びとだけでなく、日本自身にも重大かつ悲惨な結果をもたらさずにはおかない。

米軍再編に反対の声

 小泉は、米軍再編では「平和と安全、経済的発展」のためには「負担・代価」を払うのは当たり前だと述べたが、関係するほとんどの自治体は反対を表明している。米軍基地の存在する都道県でつくる「渉外知事会」は、負担強化の米軍再編「中間報告」に賛成しないという意思表示を行った。そして全国各地で、平和団体、市民団体はもとより自治体ぐるみで反対運動が巻き起こりつつある。
 在日米軍基地の七〇%以上が密集する沖縄県、第二の基地県である神奈川での反米軍基地・反政府の闘いは大きく盛り上がっている。
 その他の地域でも次々に反基地の闘いが取り組まれ始めている。
 米海軍厚木基地(神奈川)空母艦載機部隊とNLP(夜間離着陸訓練)移転先の山口県岩国市でも、これまでに何度も反対運動が起こってきたが、「岩国市民の会」が一一月二〇日に結成されたが、その席には、岩国市基地対策担当部長も参加し、国との交渉では「市民の後押しが大事だ」と挨拶した。
 同月二一日、鹿児島県の伊藤祐一郎知事は海上自衛隊鹿屋航空基地に沖縄・普天間飛行場駐留の空中給油機を移転する案について、初めて反対の立場を表明した。

イラク戦争への加担

 ブッシュ政権の支持率は急落し、就任以来最低記録を更新しつづけている。イラク戦争の「泥沼化」と開戦理由について政権がウソをつきとおしていることなどへの米国民の反発だ。
 米上院はイラク情勢にかんする報告を、三カ月ごとに提出するよう大統領に求める決議を可決したが、これは、米軍を来年「段階的に撤退」させるためのものだ。また、圧倒的にイラク開戦を議決した米国議会の中からも、早期の米軍撤退の決議案も出されるようになってきている。
 「有志連合」国軍の引き揚げも相次いでいる。こうした中で、小泉はブッシュの前で、一二月に派兵期限の切れる自衛隊派兵延長を誓約したのである。

アジアからの孤立

 小泉は、緊密な日米関係があってこそ、アジア諸国と良好な関係を維持できるとの見解を示した。そして、中国・韓国などが良好な関係を阻害している最大の原因としてあげている靖国神社参拝を続けている。日米同盟の軍事力と経済力で、アジア諸国を言うことをきかせようという小泉のやり方は時代錯誤でしかない。侵略戦争と植民地支配の過去の反省をしっかりとやりとげることが、アジアに生きる日本のまずなすべきことなのである。小泉はアジア近隣諸国との関係を悪化はさせても改善する気持ちはない。
 一一月中旬に韓国・釜山で開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)には、二一カ国・地域の首脳が参加し活発な首脳外交がおこなわれたが、小泉が会った首脳は、議長国の韓国とチリ、カナダのたった三カ国だけであり、中国には外相会談すら拒絶されてしまい、日本の孤立が浮き彫りになった。

 「日米同盟の世界規模での強化」を謳った日米首脳会談は、ブッシュ政権に追随する小泉政権の危険な、そして日本をアジアから孤立させ外交破綻に向かう政治方向をいっそう明らかなものとした。米軍再編・自衛隊との共同作戦体制などは、基地被害の増大と戦争体制の強化に日本国内の保守層もふくめて批判・反対の声が強まってきている。アジアの国ぐにからは、再び戦争の道を進もうとする日本へのいっそう厳しいまなざしが注がれている。
 アジアの人びと、そして、米軍再編と闘う多くの日本の民衆とともに、「日米軍事同盟」強化、そして九条改憲に反対する闘いを大きく前進・拡大していこう。


スグモドレ・ジエイタイ行動  11・17

 WORLD PEACE NOWは、「イラク派兵延長から憲法九条の改悪まで<戦争のできる国>に向かう小泉政権のやりたい放題にストップをかけたいと思います。イラクから撤兵した国々では、一人ひとりの小さなチカラが集まって大きな権力を動かしました。私たち一人ひとりのチカラで自衛隊の撤兵を実現しましょう。そして戦争・占領を終わらせましょう」とよびかけ、一二月一四日の「イラク特措法」期限延長に反対して首相官邸前で毎週木曜日に連続アクションを行っている。

 一一月一七日、WPNの「スグモドレ」キャンペーンの首相官邸前《タイムオーバーアクション》が行われた。
 午後五時四五分、衆院議員面会所に集合してミニ集会。
 WPNの高田健さん。
 日本の自衛隊はイラク派兵は一二月一四日が期限切れだ。オーストラリアやイギリスでもイラクからの撤退が議論になりはじめている。それなのに、小泉はブッシュとの会談で派兵延長を約束した。WPNは決して諦めることなく自衛隊の撤退を求めて運動を続けていく。一二月一一日には上野水上音楽堂で集会を、来年の三月一八日にも大きな行動を予定している。
 社民党の保坂展人衆議院議員。
 社民党は防衛庁・外務省に米軍再編で申入れをおこなった。その席で額賀防衛庁長官は地元を説得すると言った。説明ではない。これは日米協議の「中間報告」をそのまま押し付けようとしている気持ちのあらわれだ。
 社民党党首の福島瑞穂参議院議員。
 小泉とブッシュの日米会談ではイラク、BSE牛肉、米軍再編が話されたが、みんなアメリカの言い分がそのまま通るかたちになった。米軍再編ではさまざまな負担を押し付けられるすべての関係自治体が反対の態度を表明している。
 日本山妙法寺のお坊さんは、沖縄で不当に逮捕されていた木津博允上人が釈放されたことを報告、憲法を生かす会の筑紫健彦さんはイラク戦争の泥沼化で米ブッシュ政権や英ブレア政権が困難な局面にたちいたっているなどの情勢について報告、またふぇみん民主クラブ、ノーベース・ノーレイプ女たちの会の発言があった。
 つづいて首相官邸前に移動。自衛隊の撤退を求める横断幕やプラカードをかかげ、抗議の声明とシュプレヒコールをあげた。

 【WORLD PEACE NOW 12・11】
 日時:12月11日(日)
 集会・午後一時半開会、 パレード出発午後二時四五分
 場所:上野水上音楽堂


プルトニウムは危険だ

     
止めよう再処理! 二〇〇五全国集会

 日本原燃株式会社(JNFL)は青森県六ヶ所村に用済み核燃料再処理工場を建設しようとしており、使用済み核燃料を使った本格的な稼働実験(アクティブ試験)が行われようとしている。しかし、一一月一七に日本原燃は、再処理工場の操業開始時期について、予定の二〇〇七年五月から二月延期し、同年七月とする方針を決めた。
 これは、反対運動のかちとった成果であり、また危険な再処理工場の準備がいかに大変かを物語るものである。しかし、たった二ヶ月の延期であり、完全に再処理工場の建設と核サイクルそのものの停止をかちとるためにいっそう反対運動を強めていかなければならない。

 一一月一九日には、東京・日比谷野外音楽堂で「止めよう再処理!二〇〇五全国集会」(原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、グリーンピース・ジャパン、止めよう再処理!青森県実行委員会)が開かれ三〇〇〇人が参加した。
 主催者を代表して、原水禁国民会議の福山真劫さんが、再処理施設の稼動阻止の青森の闘いを全国的なものとすべく今日の集会がもたれた、日本の闘いには全世界が注目している、完全に止めるまでがんばろう、とあいさつした。
 現地青森からの報告は、止めよう再処理青森県実行委員会の今村修さん。
 四三〇トンの核のゴミをつかって危険なことが行われようとしている。それなのに経済産業省などとの交渉でわかったことは担当の役人が実にいいかげんな連中だということだ。原子力行政を変えていかなくてはならない。核サイクルはひとつを止めると全部が動かなくなる。青森で絶対に止める。これが青森の決意だ。
 つづいて海外ゲストの発言。
 韓国からは、韓国の代表的な市民運動団体である「参与与連帯」の政策委員会委員長で尚志大学教授の洪性泰(ホン・ソンデ)さん。
 六ヶ所再処理工場は、単に日本の問題ではない。アジアと世界にとっても重要な関連をもつものだ。プルトニウムは一キロで一〇〇〇万人を殺せる。六ヶ所施設が稼動しプルトニウムをつくり続ければ地球上のすべての生物を殺せるようになる。原子力サイクルは大きな誤りだ。私たちは魂をもった人間であり、反対の声は魂の叫びだ。次の世代のためにも六ヶ所計画は中止させなければならない。来年の春には六ヶ所計画を中断させたという勝利の集会が開けるよう期待している。
 イギリスのマーティン・フォーウッドさん(イギリスセラフィールドの再処理工場反対運動やMOX<混合酸化ウラン・プルトニウム>燃料の生産や輸送に反対して闘っている)。
 イギリスは五〇年間、再処理を続けてきた。日本政府などの言う、六ヶ所は「汚染ない」「健康被害ない」「燃料サイクルは経済的だ」というようなことは絶対に信じないでください。イギリスの経験から言えば、すべてうそだ。私たちの国の過ちを日本で繰り返さないで欲しいと思っている。
 政党からのあいさつは、金田誠一衆議院議員(民主党)<メッセージ>、日森文尋衆議院議員(社民党)がおこなった。
 特別報告では、福井県平和人権環境センターの水上賢市さんが、「もんじゅ」について、原子力空母の横須賀母港間題を考える市民の会の呉東正彦弁護士が、原子力空母の横須賀母港化について、発言した。
 集会アピール(別掲)を確認し、デモに出発した。

止めよう再処理! 二〇〇五共同行動集会決議

 私たちは本日、青森県六ヶ所村で進められている六ヶ所再処理工場計画の中止を求め全国から集まりました。この私たちの思いは「六ヶ所再処理工場稼動中止を求める全国署名」として、すでに二〇〇二年に九二万筆、さらに二〇〇五年の今日までに六五万筆、合わせて約一五七筆もの賛同を得ています。これほど多数の人々が、六ヶ所再処理工場という名のプルトニウム生産工場の計画中止を強く求めています。
 政府、原子力委員会はこの間、「原子力政策大綱」をまとめました。国民の間に六ヶ所再処理工場計画や核燃料サイクル推進に対する様々な疑問が渦巻く中で、強引に既定路線を進めようとする姿勢に怒りを覚えます。大綱は全量再処理路線の継続、さらに核撚料サイクルの自主性を主張し国再処理を原則に掲げました。しかし、再処理工場とMOX工場だけでも約一二兆円もの莫大な費用が、さらに核燃料サイクル全体では約一九兆円以上ものコストが見込まれるなど経済性に問題の多いことが明ら力になっています。さらに相次ぐ手抜き工事、設計ミスなど安全面でも大きな問題が多発し、安全性に大きな懸念があります。
 大綱は、再処理で生産されるプルトニウムの使い道であるプルサーマル計画の推進を掲げ、その危険性を無視し経済的にも採算の取れない事業を推進しようとしています。しかしプルサーマルは各地で根強い反対にあい頓挫し、計画通りに進んでいません。国際公約である余剰を持たず透明性のある利用計画は頓挫している現状です。もし六ヶ所再処理工場を稼動させるならば、余剰プルトニウムがたまり続け、国際的にも核拡散の面から大きな問題を抱えることになります。
 また発生する使用済みMOX燃料に対しても、第二再処理工場を二〇一〇年ごろから検討を開始し、六ケ所再処理工場の操業終了に間に合う時期までに結論を得るとしているだけで、安全性・経済性・将来性などの具体的な道筋さえ示していません。問題を先送りにしているだけで、その具体的解決策は何ら示されていません。未来の世代にツケを回しているだけです。
 再処理・プルサーマルをめぐる政策が破綻しているのは明らかです。危険で採算が取れず、核廃棄物の処理・処分も出来ない六ヶ所使用済み核燃料再処理工場は全く必要がありません。いくら原子力政策大綱で描いても、その通り進むことができないことは、多くの国民が感じています。問題を先送りにし、現在の責任を回避することは、ますます問題を複雑にし、破綻のツケを大きくするものです。すみやかにプルトニウム利用政策の転換が必要です。私たちは、あらためて、安心できる未来のため、再処理工場の建設・運転とプルサーマル計圃の即時中止を強く求めます。

二〇〇五年11月19日


管制塔元被告連帯基金  大勝利報告集会

 三里塚闘争で一九七八年三月に空港管制塔占拠闘争が闘われたが、政府と成田国際空港会社(旧・公団)は、管制塔破壊損害賠償として一億三〇〇万円余の請求の強制執行攻撃をかけてきた。こうした攻撃に全国から圧倒的なカンパが集まり、一一月一一日、管制塔被告団は九段合同庁舎に「賠償金」をたたきつけ、勝利を宣言した。
 午後六時からは、全水道会館で、「さあ受け取れ!一億三〇〇万の熱い魂だ われわれは再び不可能を可能にした! 管制塔元被告連帯基金 大勝利報告集会」が開かれた。
 被告団事務局より報告。元本、遅延損害金、執行費用など一億四七九万三七五四円を支払い、執行取り下げの確約書をもらった。本日をもって勝利したことを確認する。
 管制塔元被告団の一〇がひとりひとり思いを語った。
 声明の会の吉川勇一さんは、さきごろ砂川闘争五〇年の会があったが、砂川での経験がそれぞれの人の生活のなかに生きてきた、管制塔闘争も五〇年のつどいをもってほしい、と述べた。
 最後に全員でインターナショナルを歌って集会は終了した。
 いくつかのメディアはこの日の「たたきつけ行動」を報道した。


ブッシュの来日に対してアメリカ大使館へ抗議の行動

 ブッシュ米大統領が来日した一一月一五日、アメリカ大使館への抗議・申入れ行動が行われた。この行動は、辺野古への海上基地建設・ボーリング調査を許さない実行委員会が「ブッシュに抗議を!、日米両政府に抗議を!、だれもが、自分の抗議文をもって、米大使館に抗議にいこう!」と呼びかけたもの。
 午後六時半、JTビル前に約一〇〇人が結集し、次々にアピール。
 警察の警備はものものしく、申し入れは三人くらいづつ、それも大使館前から前の人たちが帰って来てからでないと次のグループを出発させないとうものだった。
 多くの抗議文がアメリカ大使館にとどけられた。
 「辺野古への海上基地建設・ボーリング調査を許さない実行委員会」は、ブッシュ大統領にあてて、次のような抗議文を送った。

 《当実行委員会は貴方の来日を歓迎しない》
 貴方は、事ある毎に、「圧政を倒し、民主主義を広める」と公言している。しかし、この間、貴方がイラクへしかけた戦争及びその後の占領政策、そしてイラクへの米軍出撃地点とさせられている沖縄に対する態度をみると、ひとかけらの真実もないことがわかる。沖縄県民の大多数が米軍基地の県内移設に反対するその声を一切無視して、日本政府と頭越しの「協議」を行い、沖縄への基地押しつけと強化を一層進めようとするそれは、「圧政」とは言わないのか。
 普天間基地の移設先とされた辺野古では地元住民を先頭に、人々の必死の闘いが一〇年近く続き海上新基地建設を阻んでいる。この事こそがそこに住み、暮らしを営む人々による民主主義の実現であり、圧政への抗議だ。
 貴方及び米国政府が現実にやっていることは、世界中で「生活破壊」「地球環境破壊」を進めているということだ。
 一六日の京都における小泉首相との日米首脳会談は、私たち沖縄・日本の民衆が求めたものではない。沖縄を筆頭に、座間、横須賀、岩国等で続けられる米軍基地の再編強化は一切認められない。在日米軍再編の中間報告の合意は一部の権力者のみのもので、沖縄・日本の平和を求める人々との合意ではないことを、ここに明らかにしておく。
 私たちは以下の通り貴方及び米国政府に要求する。
 普天間基地を即時閉鎖・返還せよ。
 代替基地の県内移設は認められない。
 シュワブ沿岸部等北部への米軍基地機能を集中しようとする案は絶対に認められない。

二〇〇五年一一月一五日

 辺野古への海上基地建設・ボーリング調査を許さない実行委員会


朝鮮侵略100年、朝鮮解放・分断60年、日韓条約から40年

第二次日韓協約=乙巳(ウルサ)《保護条約》から100年 東北アジアの平和と歴史認識を問う


 今からちょうど一〇〇年前の一九〇五年一一月一七から一八日にかけて、伊藤博文が朝鮮駐留の日本軍や憲兵部隊を引き連れて朝鮮王宮に乗り込み、朝鮮政府の閣僚を軟禁して、第二次日韓協約(乙巳<ウルサ>「保護条約」)を押しつけた。これによって日本は朝鮮の外交権を奪い、統監府を設置して事実上の植民地支配を開始した(初代統監・伊藤博文)。一九一〇年の韓国併合はこの延長線上にある。

 一一月一八日、豊島区民センターで、「第二次日韓協約=乙巳(ウルサ)《保護条約》から一〇〇年 東北アジアの平和と歴史認識を問う11・18集会」(主催・朝鮮侵略一〇〇年、朝鮮解放・分断六〇年、日韓条約から四〇年を問う二〇〇五年運動)が開かれた。

集会の基調報告

 はじめに渡辺健樹さんが基調報告。
 ちょうど一〇〇年前、韓国を植民地支配する乙巳「保護条約」が強要された。これは無効である。現在、小泉首相の靖国参拝をめぐり日本政府と韓国・中国を始めとするアジア諸国との関係は悪化の一途を辿っている。その一方で、九五年の村山首相談話以降、歴代政府はアジアヘの侵略や植民地支配に対する「痛切なる反省と心からのお詫び」の言葉を繰り返してきた。
 首相が靖国神社に参拝しながらの「反省・お詫び」が欺瞞であることはいうまでもない。とくに朝鮮半島との関係においては、今なお朝鮮植民地支配は「有効・合法」という立場を固持したままで「反省・お詫び」が言われているのだ。政府は国会でも「当時の国際関係など歴史的状況の中で法的に有効に締結され、実施された」と答弁し続けている。「合法論」の主たる論拠は、@国際法上は「時際法」が適用され、現在の法理で遡及することはできない、A当時の慣習国際法は、強国による弱国に対する強制(国家に対する強制)を認めており、条約が無効となるのは国家代表者個人に対する直接的な強制・強要のみだった、B第二次日韓協約において韓国側大臣らが伊藤博文らに協約締結を強制されたが、これを国家への強制と見るか国家代表者個人への脅迫と見るかは当時の国際法上の区別は明確でなく、無効とは言えない、しかし、「合法」論の立場をとっている学者でも、当時の朝鮮閣僚への脅迫・強制はあったされ、最近でも、荒井信一氏などにより事実関係を裏付ける資料が見されている(四面に関連資料)。
 今日の集会のもうひとつのテーマは平和な東北アジアへむけての共同ということだ。奇しくも今日、韓国・釜山ではアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれ、これに対する大規模な抗議行動も取り組まれている。日米外務・防衛閣僚(2プラス2)による日米安保協議委員会で合意された中間報告は、日米の軍事的統合を明確に打ち出している。この狙いは、@「不安定の弧」とされている中東―中央アジア―台湾海峡から朝鮮半島に至る広大な地域で、米国がおこなう戦争への戦力投入拠点化、A朝鮮半島「有事」の際の対北朝鮮攻撃態勢、Bそして、台湾海峡「有事」への戦力投入態勢の強化に向けられている。
 また朝鮮半島の核間題を平和的に解決し、核も米軍墓地もない平和な東北アジアを実現することは、朝鮮半島の南北の人たちにとってばかりではなく、この地域の重要な共通課題である。九月の六カ国協議では北朝鮮ばかりでなく、在韓米軍、韓国も核兵器を有しないことが約束された。われわれはこの共同声明を歓迎する。アジアの平和を可能にするには、アジア民衆の連帯した闘いが不可欠である。日米同盟の再編強化と憲法改悪反対!、米軍は沖縄・日本、韓国から撤退しろ!、日本の戦争国家化反対!、自衛隊はイラクから撤退しろ!、植民地支配と戦争の被害者に謝罪と補償を行え!、日朝国交正常化実現!、核も米軍基地もない平和な東北アジアの実現めざそう!

韓国の李永順議員の発言

 阿部とも子・社民党衆議院議員の国会報告につづいて、韓国ゲストの李永順(イ・ヨンスン)民主労働党議員が登壇し、次のように述べた。
 今日は、乙巳条約が強要された韓国にとって屈辱の日だ。こういう日に日本にきて皆さんと会えるのは嬉しい。朝鮮王宮を取り囲み、いやがる王や大臣を強制して「締結」した。軍隊の力で「調印」させられたのだ。自決を考えた大臣もいたという。多くの民衆はこれに反対して、義兵闘争に立ち上がった。そして、日本は韓国を併合し、アジア諸国に侵略を拡大した。韓国の人は兵士にされ、徴用、強制労働、「従軍慰安婦」とされ、多くの辛酸をなめた。しかし、私たちの民族はさまざまな戦いをおこし、中国の東北地方では遊撃戦をおこなった。そして一九四五年には解放をかちとり日本を屈服させた。だが、日本はアメリカによって政治・経済・軍事のてこ入れを受けて第二のアメリカとして育てられた。日本は敗戦国としての責任を果たすことなく、アメリカの世界覇権確立のために使われるようになった。そして、アメリカは私たちの国を分断させた。私たちは乙巳条約や親日派を清算しようとしたが、アメリカに妨害されてできなかった。しかし、私たちはくじけなかった。過去の清算には学界の人たちもたちあがった。そして、現在の第一七代国会では、親日派と過去の清算のための委員会が設けられ活動するようになっている。
 民族の分断は悲劇だ。私たちは一日も早い統一を願っている。それは、とりもなおさずアメリカの分断固定化政策とその下での反共国是、民衆抑圧を変えていくことだ。私の小中学校の頃の反共教育では、北の人は頭にツノをはやした悪魔のように教えられた。統一を叫ぶことは罪になった。だが、民衆は闘いの中で意識を変化させてきた。そして、二〇〇〇年六月の金大中・金正日会談は大きな衝撃となり、いっそう統一に向かう動きが速度をあげるようになった。ブッシュ・小泉はアジアの緊張を激化させようとしているが、韓国では民衆も政治家もそれを望まない。朝鮮半島が統一すれば、日本の軍国主義化の口実がなくなる。そして、南北の緊張の緩和・統一となれば、軍事費を福祉に回せる。
 韓国と日本の心ある民衆はひとつになって平和のアジアをつくりだそう!

 構成劇「一〇〇年前、その時なにがおこったのか!?」で、いかなる状況で乙巳条約が強要されたかを学習した後、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック、バウネット・ジャパン、在日韓国民主統一連合、許すな!憲法改悪・市民連絡会、脱WTO草の根キャンペーン実行委員会など各運動からのアピールが行われた。

資料乙巳(ウルサ)「保護条約」の新資料発見を伝える韓国中央日報

「軍部大臣震えながら締結」乙巳条約文献発見(韓国中央日報11・16付)

 乙巳(第二次日韓協約)条約締結当時、長谷川好道在朝鮮軍司令官が強圧的に条約締結に追いやった情況を自ら記録した文献が発見された。
 荒井信一駿河台大学名誉教授は、条約締結五日後の一九〇五年一一月二二日長谷川司令官が作成した「保護条約締結始末」を最近、旧陸軍省の「戦域陸軍正史」から発見したと一四日明らかにした。
 報告書によると長谷川司令官は韓国政府を強圧するために条約締結半月前、軍隊動員命令を受けた。
 彼は武力デモを起こして大韓帝国李根沢(イ・グンテック)軍部大臣に会い、条約締結に応じなければ武力行使すると脅迫したという。
 日本の組織的な軍隊動員が日本軍内部記録から確認されたのは今回が初めてだ。
 長谷川司令官は条約締結当日の一七日、騎兵連隊および砲兵連隊まで動員して巡察を強化した状況を描き「(韓国人は)皆震えており一人も大声を出す者はいなかった」と記録している。韓国政府の警察顧問だった丸山重俊氏も「歩兵・騎兵・砲兵の三兵とが旧王宮(景福宮)前広場で一日中訓練した」とし、このような武力デモにより「一種の恐怖感を抱いた多くの韓国兵が制服と武器を捨てて逃げた」と報告した。
 長谷川司令官は締結前日、李根沢軍部大臣に「私が取るほかない最後の手段が何かは敢えて説明しない」と言うと李大臣は「おののきながら直ちに入闕(宮中に入ること)した」という。恐ろしさ感じた李根沢大臣は翌日、伊藤博文に条約に賛成すると明らかにし、乙巳五賊(ウルサオジョック)となったのだった。
 長谷川司令官は別途の「意見書」で「韓国は元々威嚇して服従させなければならないもので、懐柔は通じない」とし「彼ら(高宗と大臣たち)は先例(明成皇后殺害事件)があって毎夜、悪夢にうなされているが、その連想は直ちに軍隊恐怖症を起こす」とも記録している。
 荒井教授は「報告書は乙巳条約が日本政府の組織的強制で成り立った事実を立証することで条約自体が国際法的に無効であることを明らかにする史料だ」と述べている。……


米陸軍第一軍団司令部の座間移転反対

      
 キャンプ座間を人間の鎖で包囲

米軍再編の中の神奈川県

 日米政府が一〇月末に合意した米軍基地再編の中間報告には、キャンプ座間に世界の半分の地域での戦争・軍事行動の作戦指揮を行う米陸軍第一軍団司令部と、自衛隊のテロ 対策部隊である緊急即応集団司令部を移転することが盛り込まれている。沖縄に次ぐ米軍基地県である神奈川県にはキャンプ座間の機能強化だけでなく、横須賀への米原子力空母の配備、米軍相模補給廠への自衛隊移駐などの「再編」の動きがあり、米軍基地反対の運動は、地元の市民団体、労組だけでなく、相模原市、座間市、横須賀市では市、市議会、自治会連合会なども含めておおきくひろがりつつある。また、米軍基地を抱える都道県でつくる渉外知事会の会長を務める松沢成文神奈川県知事も、米軍再編による負担に反対の意思を政府に伝えている。

キャンプ座間を包囲


 一一月一三日、神奈川平和運動センター、キャンプ座間への米第一軍団の移駐を歓迎しない会、基地撤去をめざす県央共闘会議による実行委員会の主催で「米軍再編による基地強化反対!第一軍団は来るな!キャンプ座間包囲行動」が行われ三二〇〇人を超える人が参加した。キャンプ座間の包囲行動は今年二月一九日についで二回目の闘いとなる。
 集会会場は第一が基地正面ゲート側の座間消防訓練場駐車場、第二が基地司令部前下の座間公園。一時からは前段集会で、座間公園では、歌やダンスのパフォーマンス、各参加団体による発言、そして韓国の米軍基地再編と闘う仁川市民会議代表で民主労働党仁川市委員長の金聖珍さんが特別アピールをおこなった。集会では相模原市の小川勇夫市長からのメッセージが読み上げられた。
 午後二時から、花火の音を合図に、集会が始まり、第一会場では、神奈川平和運動センター代表の宇野峰雪さん、民主党前衆議院議員の斉藤つよしさん、社民党党首で参議院議員の福島瑞穂さん、神奈川ネット事務局長の伊知地富美枝さんがあいさつ。第二会場では、県央共闘代表の大場修二さん、歓迎しない会共同代表の若林恵子さん、沖縄平和運動センター事務局長の山城博治さん、神奈川ネットの渡部市代・綾瀬市議会議員、社民党衆議院議員の阿部とも子さんがあいさつした。
 宇野峰雪神奈川平和運動センター代表はあいさつのなかで、「ブッシュ米大統領は基地再編に反対しているのは沖縄の一部だけだなどと発言しているがとんでもない、私たちも沖縄の人とともに第一軍団の座間移転を許さないという声をあげ、粘り強く反対運動を続けよう」と呼びかけた。
 県央共闘代表の大場修二さんは、「神奈川を米国の世界支配のための軍事的な前進基地にしないように、そして日米の戦争戦略の政策を許さない戦いを作っていこう」と訴えた。
 午後二時半から包囲行動へ。参加者は「基地のない神奈川を」「米軍は日本から出ていけ」などのプラカードやのぼりを手にキャンプ座間を取り囲む。参加者はますますふえてくる。午後三時、同一〇分、二〇分と三回にわたって人間の鎖で基地を包囲し、ウェーブ、米軍基地反対のシュプレヒコールをあげた。

相模原・座間で市民集会

 一一月一三日午前一〇時から、相模原市中央の市民会館で「相模原市米軍基地返還等市民協議会」(市、市議会、自治会連合会、労働組合などで構成・会長相模原市長)主催の「基地強化反対・早期返還を!緊急市民」が開かれ一七〇〇人余りが参加した。「米軍ジェット機・ヘリ騒音の解消を」「キャンプ座間への新司令部反対」「補給廠への自衛隊移転反対」「基地の下で七〇年、もう我慢の限界」のスローガンが掲げられた集会に、一七〇〇人を超す市民が参加し、基地の強化反対と早期返還を訴えた。主催者を代表して、今井満市民協副会長(市議会議長が)、「旧陸軍から七〇年も基地の下での暮らしはもう我慢できない、基地を市民の手に取り戻すため、強力な運動を進めたい」とあいさつ。病気療養中の小川市長もメッセージを寄せた。来賓の星野勝司座間市長は、「相模原市と一緒に撤回を求めていく」と述べた。

 一八日には座間市で、基地反対大集会(市、市議会、自治会連絡協議会でつくる「反対連絡協議会」が主催)が開かれ一五〇〇人をこえる市民が参加し、星野勝司市長が「中間報告撤回を堂々と求めていこう」と決意を表明した。

米陸軍第一軍団司令部の移駐に反対する申し入れ

在日米陸軍司令官 エルバート・N・パーキンス少将殿
 
 今日、私たちは二月一九日に続いて、再びキャンプ座間司令部を包囲する。
 キャンプ座間は、旧日本陸軍士官学校が設置されて以来、七〇年近くも地元市民を押しのけて、軍隊が居座りを続けている基地である。第一軍団司令部や陸上自衛隊の中央即応集団司令部がやって来れば、そんな不合理がさらに続くことになる。私たちは次の世代に、軍事基地を押しつけることはできない。
 第一軍団は米軍が世界の半分の地域で行う戦争、軍事行動の作戦指揮を、行う部隊である。第一軍団司令部の移転は、キャンプ座間が戦争の司令拠点になるということだ。だから、私たちは移転を絶対に認めることができない。
 キャンプ座間を抱える相模原、座間の両市も、移転によって基地が強化、恒久化されるとして、再三にわたって絶対反対を表明している。市内各所に、横断幕や懸垂幕をかけ、移転反対を呼びかけている。神模原市民二一万人、座間市民六万人の署名も提出されている。市民も自治体もこぞって第一軍団の移転を歓迎していないのだ。
 折しも三日後、ブッシュ大統領が小泉首相と会談する。これを機に、第一軍団の司令部移転が加速されようとしている。しかし、私達は絶対に第一軍団司令部の座間移転を認めない。名前を変えたり、規模を縮小するとの、まやかしを認めない。相模原市民も座間市民も、神奈川県民も、そして多くの日本国民の目をごまかすことは出来ない。
 今日、私達はキャンプ座間の司令部を三〇〇〇人もの市民が手をつなぎ、人間の鎖、ヒューマンチェーンで、第一軍団司令部は来るな!との訴えを、行動を、行なう。日本中の、世界中の市民に訴える。
 貴職が、このような地元住民の切実な思いを、真摯に受け止め、本国政府や上級司令部に、キャンプ座間への第一軍団司令部の移駐を取りやめるよう、働きかけることを強く要請し、申し入れる。

 11・13第一軍団は来るな!キャンプ座間包囲行動参加者一同


レイバーフェスタ 2005

    「労働」を観よう 聴こう 話そう


今年の「レイバーフェスタ」が近づいている。
 「レイバーフェスタ」は、映像や音楽を通じて、身近な「労働」「生活」を見つめ直す、はたらく人びとのお祭りで、アメリカや韓国などでは毎年のように開かれており、南米その他の国や地域にもひろがっている。日本では、労働者の情報ネットワーク「レイバーネット日本」の呼びかけで二〇〇二年にはじまり、今年で四回目。

 レイバーフェスタ二〇〇五<「労働」を観よう 聴こう 話そう>が、東京と大阪で開催される。実行委員会は以下のように案内している。

 ■■東京■■
●12月11日(日)10時〜
●「東京しごとセンター」地下講堂(JR飯田橋駅「東口」・地下鉄より徒歩七分)
 ●参加費 一般当日 千五百円(前売り・電話予約千二百円)
 電話・メール予約あり。下記連絡先まで。
 ●プログラム
10時20分開演〜ケン・ローチ監督映画「ナビゲーター ある鉄道員の物語」(二〇〇一年イギリス)上映
 日本の鉄道現場からの発言
 13時〜レイバーソング
 13時30分〜「希望の歌 コッタジ」(韓国の労働者集会や反戦・平和集会、ストライキの現場などで歌うグループのひとつ)によるミニコンサート
 14時15分〜「映像メッセージ・世界から日本から」(三分ビデオ二〇本一挙上映)  

●民営化によって「民」(たみ)はどうなるのか〜ケン・ローチ監督『ナビゲーター・ある鉄道員の物語』
 ケン・ローチは、イギリス労働者階級の日常生活に照明をあて、社会の矛盾にきりこんだ映画を作っている監督です。今回はそのかれの『ナビゲーター』を上映します。これは英国鉄道が日本と同じく分割民営化されていく過程を保線労働者の右往左往をとおして描かれたものです。日本では労働組合がJR民営化に反対してたたかい、敗れたのですが、英国はそれをしなかったのです。そうなると労働者はどうなるのか―。かれらは追いつめられてダメになっていくのですが、その状況をかれらは理解できない。その救いのなさを面白おかしく情けなくとらえてみせます。実は、脚本家のロブ・ドーバーは、民営化に賛成した組合活動家で、その苦い体験をもとにしているからです。
 先般、日本でも尼崎事故によって民営化の矛盾が露わになってきました。それでも衆院選では、小泉民営化に「民」はすっかり騙されましたが、そのマジックにしてやられるとどうなるか―。この映画にこれからの日本の「民」が映し出されています。(木下昌明/映画評論家)

【連絡先】レイバーフェスタ二〇〇五実行委員会
  東京都板橋区向原二―二二―一七―四〇三
 TEL03(3530)8590 FAX03(3530)8578
 ホームページ:http://wwww.labornetjp.org/festa/2005

■■大阪■■
 レイバーフェスタ二〇〇五大阪
 ●12月3日(土)12時〜
 ●エル大阪南館
 ●プログラム
 三分ビデオ東西一挙上映
 マイケル・ムーア監督「ロジャー&ミー」上映

 問い合わせ先/ビデオ工房アカメ 06(6370)8568


KODAMA

木津さんの釈放

 一〇月二九日、二〇〇五沖縄平和祈念行脚中に沖縄警察署によって不当逮捕された、日本山妙法寺の木津博充さん(六九歳)は、一一月一七日、不起訴で釈放された。
 沖縄の地元紙の報道によると、那覇地検の浦田啓一次席検事は「次の現場に向かおうとしたパトカーの発進を妨害したという事実認定はできるが、当初から妨害しようとした意図があった様子はなく、現場での行き違いによる偶発的な行為だったとみている。基地問題とはまったく関係がない」と話したという。
 次席検事の言葉は、長期勾留をおこなったにもかかわらず歯切れがわるい。何の理由もなくとにかく反対運動をやる者を逮捕してみる、いわゆる「プチ逮捕」という嫌がらせ・弾圧であることを示すものだ。
 妙法寺からの釈放を知らせる連絡メールには、「木津上人も元気で『平和運動を萎縮させようという権力の野望を許さず、不退転の決意で恩返しをしたい』と決意を新たにしております」とあったが、木津さんは、早速二一日の月曜恒例の防衛庁・防衛施設庁前の行動には元気で参加し平和のアピールを行った。多くの人が木津さんと握手。私もしたが、その力の強いのには驚いた。
 木津さんは、警察が逮捕したにもかかわらず、当初、警察車両の下に足を突っ込んで妨害したといっていたのに、段々と表現をやわらげ、ついには誤解があったなどと低姿勢に転じたこと、釈放されてから平和運動の参加者はもとより、見知らぬ人からも激励などの声をかけられた、正しい行動はどんな弾圧も阻むことはできない、と述べた。
 木津さんは、「いろいろ支援などありがとう」と言っていたが、ありがとうございましたの言葉はこちらから言うべきものだったろう。(MD)


複眼単眼

 
 日米首脳会談と小泉語録、そしてマスコミ

 京都・迎賓館で行われた日米首脳会談と、それを前後する小泉首相の発言を聞いていて、幾度も幾度も驚きあきれ、かつ暗澹たる思いを深くした。これらの愚かきわまりない発言は、先の衆院選での大勝からくるおごりなのか、もはやあと一年もない自らの任期のせいでの気のゆるみなのか。あるいはツキに助けられてきたこの首相の愚かで厚みのない本心の吐露なのか、いずれも該当するように思えるような発言が相次いだ。

 「日米関係が強いからこそ、中国、韓国、東南アジア諸国連合、全ての国との関係が維持される」
 「平和と安全の中に日本の経済的発展がある。経済的発展という恩恵を受けるためには、しかるべき負担、代価を払っていかないといけない」
 「過去も現在も未来も、日米関係の重要性は変わらない」
 「日米関係は日本にとって最も重要だ。戦後の日本の繁栄は日米関係が維持強化されたからこそ実現した。『日米関係を緊密化しすぎると、日本の方向を失う。もうすこし国際協調に比重を移すべきだ』との議論はあるが、賛成できない。日米関係を弱めて他の国との関係で補完しようという議論は、自分の考えとは相容れない」

 「テロとの戦いは長くつらい戦いだ。しっかりした支援をしなくてはいけない」
 「十二月にどうするかは、日本に何ができるのか、国際社会の一員として何をなすべきかについて、米国との同盟関係の重要性を総合的に考えて判断する」

 (ブッシュにもらった充電式二輪車に乗って)「初めて見た」「おお、ベリー・グッド」「準ファミリー扱いにしてくれてうれしい」

 これらの発言に代表される小泉首相の姿勢に対するマスコミの姿勢は極めて曖昧だ。論評に腰が据わっていない。
 筆者は現場の記者たちの努力もある程度知っているだけに、マスコミの権力迎合姿勢を批判してこと足れりとする立場ではないが、たしかにマスコミは雪崩うって批判精神を放棄しつつある。
 十八日の産経紙が「靖国参拝是非巡り、朝日内紛」というからかい記事を掲載した。それによると、社内の総合研究本部世論調査部に属する二人の記者が、小泉靖国参拝を報じるテレビのニュース番組を見ていて口論になり、暴力沙汰になったというのだ。まだこういう喧嘩が社内であるだけよしとするか、こういう体たらくというかは、見方が分かれるかも知れない。

 最近、筆者はあるところで講演した後、記者からこんな質問を受けた。
 「すみません、遅れて、お話を聴けなかったのですが、要旨、どのような御意見だったでしょうか」
 「ムム…」  (T)