人民新報 ・ 第1193号<統合286(2006年2月15日)
  
                  目次

● 自衛隊(東部方面隊)はイラクヘ行くな!すぐ戻れ!

● 軍需産業と軍部の利益のためのブッシュ国防計画見直しと予算案

● 「皇室典範改正」ではなく天皇制廃止を!

● 岩国基地撤去に向け、住民投票に勝利を!

● 海と港から反戦・反改憲の動き  海員組合と全国港湾が共同アピール

● 春闘を断固、闘いぬこう   けんり春闘全国実行委が発足

● 映画評 /  「白バラの祈り  ゾフィー・ショル最期の日々」

● KODAMA / 横浜地裁の恥ずべき判決〜特高警察・検察の命じるままに動いた裁判所の過去をまったく反省せず

● 複眼単眼 / 崩壊し始めた悪法案群と9条改憲のための国民投票法案



自衛隊(東部方面隊)はイラクヘ行くな!すぐ戻れ!

 首都圏の自衛隊からイラクへの派兵が続いている。
 二月一二日、都立城北中央公園競技場で「自衛隊をイラクヘ送るな!戻せ!2・12練馬集会」が開かれ七五〇人が参加した。
 主催は、練馬区職労をはじめ多くの労働組合や反戦平和団体でつくる実行委員会で、WORLD PEACE NOWが協賛した。
 はじめに主催者を代表して、戦争に協力しない!させない!練馬アクションの池田五律さんが、あいさつ。
 この一月初旬から東部方面隊からのイラク派兵が続けられている。今日も第三波が出発し、右翼が「激励」と称して、基地周辺に集まってきている。私たちは、二〇〇四年一月下旬に陸上自衛隊朝霞駐屯地で行われた大規模な日米共同指揮所演習「ヤマサクラ」に反対し、それ以降、ともに闘い、この集会を持っている。イラクで米軍と一体となって活動する自衛隊員はさまざま危険にさらされている。劣化ウラン弾による被曝、イラクの民衆を殺すこと、そして隊員に死傷者が出ることが予想される。家族、知人の不安は高まっている。今度の派兵は、さらに海外派兵を強めるステップとなるものでもある。米軍の「対テロ」戦争に連動する自衛隊中央即応集団は、神奈川のキャンプ座間に移転してくるとされる米陸軍第一軍団司令部と併設されるといわれるが、その前に朝霞基地に置かれるうごきがある。この基地のもうひとつの機能は治安部隊としてのそれだ。数年前、石原慎太郎東京都知事は、第一師団の創立記念日に「第三国人」発言をおこなった。震災のときに「第三国人」の暴動が起こるから、それを鎮圧する役目があると述べたのだ。そして、東京都の「防災」演習・ビッグレスキューでは、銀座に戦車を出したのがこの部隊なのだ。第一師団は、外に「対テロ」、内に「治安出動」の拠点なのだ。派兵前後には、迷彩服、鉄かぶとの隊員が市街を徘徊する状況もでてきている。私たちは、自衛隊をイラクヘ送るな!戻せ!の声を大きくあげていこう。
 つづいて、立川テント村、人権回復を求める石川島播磨原告団、すべての基地にノーを!ファイト神奈川などからの発言が行われ、集会宣言が確認された。
 三〇分ほどの集会を終えてデモに出発、基地南門では抗議・申し入れ行動をおこなった。

2・12練馬集会宣言

 一月七日、東部方面隊(総監部・東京都練馬区)に所属する約一〇〇人の自衛隊員がサマワ地元や多国籍軍との連絡調整などに当たる復興業務支援隊第五次要員としてイラクに送られた。さらに、東部方面隊に所属する約五〇〇人が、第九次復興支援群として、イラクに送られつつある。
 同支援群は、第一師団(司令部・練馬北町)を中心に、群馬を除く関東一都五県と静岡、山梨両県所在の約二〇駐屯地から選抜されたもので、既に一月二九日、第一陣約一五〇人が送られた。
 イラクでは二〇〇五年一二月一五日に新憲法に基づく国会議員選挙が行なわれたが、諸勢力の対立がいっそう激化するおそれも指摘されている。アメリカ軍など多国籍軍や新政府軍などへの攻撃も止まらず、自衛隊に対しても、何度も迫撃弾が打ち込まれるなど反発が高まっている。アメリカは、イラクに対して一方的な予防先制攻撃を行って占領し、一六万人もの軍隊を駐留されせる状況の下で、新政府作りを進めてきた。イラク攻撃を支持した小泉政権が、「復興支援」の名で占領に参加し、駐留米軍に対する「後方支援活動」を担うために送り出した自衛隊は、米軍と一体のものとして反感を買っているのだ。こうした状況の中で、自衛隊員から死傷者が出るおそれも強まっているといわざるを得ない。また、そうした状況に置かれた隊員が、不安にかられてイラク民衆に銃を向ける事態も起こりうる。しかも、宿営地が置かれているサマワ周辺でも、湾岸戦争やイラク戦争でアメリカ軍が使用した劣化ウラン弾による深刻な被害が報告されている。自衛隊も、劣化ウフン弾による放射線被曝によって健康を脅かされる危険性は高い。隊員やその家族、知人の不安も高まっている。さらに、駐屯地での「不審者」を摘発するように住民に求める警察からの「お知らせ」が配布された。アメリカで「対テロ」を理由に令状なしに盗聴が行われていることが明らかになったが、そうした自由や権利を脅かすことは、あってはならないことである。
 しかも、ブッシュ米大統領でさえ攻撃の根拠とした大量破壊兵器開発が虚偽であったことを認めており、小泉政権のアメリカ支持自体が誤りだったことは明白になった。「大規模派兵で米陸軍の展開能力が限界に近づき、イラクの駐留規模維持は困難で、武装勢力を弱体化させることはできないとする報告を、米国防総省の委嘱で米研究機関がまとめていた」との報道もある。サマワの治安を担当する英豪軍も撤退の動きを見せている。
 小泉首相も三月には五月撤退の決断をするともいわれる。アメリカのイラク政策が誤っており、多国籍軍の駐留が困難で、自衛隊を送り続けることが危険であることを、小泉首相自身が認めているからであろう。現に、危険ゆえに自衛隊は宿営地に籠もりきりで、実質的には「復興支援活動」も行っていない状況だといわれる。
 こうした現状を踏まえ、私たち「自衛隊をイラクへ送るな!もどせ2・12集会」参加者は、以下を日本政府および防衛庁並びに東部方面総監、第一師団司令に要求する。
 第一師団など第九次復興支援群をイラクに送ることを止め、既に送った部隊、米軍に対する後方支援を行なっている航空自衛隊部隊も含め、そのすべてを直ちにもどすこと。

二〇〇六年二月一二日

 自衛隊をイラクへ送るな!もどせ!2・12練馬集会参加者一同


軍需産業と軍部の利益のためのブッシュ国防計画見直しと予算案

国防計画見直しと中国

 二月三日、米国防総省は四年ごとの国防計画見直し(QDR)を発表した。そこでは、先制攻撃戦略の考えの下に「反テロ戦争」推進を軸に、米軍の再編・統合、同盟国の動員による軍事覇権の維持を目指している。
 前回のQDR(二〇〇一年一〇月)は9・11事件直後だった。そのため今回が事実上「テロ」後初のQDRとなる。ブッシュ政権は、米軍再編(トランスフォーメーション)による米軍の再編・統合によって戦力を強化し、イラクへの戦力投入、そしてまたイランへの挑発をつよめながらアジアでも軍事的緊張をつくろうとしている。アジアに関して注目されるのはアメリカの中国に対する対応である。
 ブッシュは一般教書演説(一月三一日)で中国、インドを経済面での「競争相手」と述べていたが、QDRではインドを主要な戦略的パートナーとし、中国が軍事的競争相手になる可能性が高いとしている。
 アメリカが恐れるのは、米国の軍事的優位が失われることである。
 アメリカ政府内部には、国務省を中心とする対中協調派と軍事産業を背景に持つ好戦的な国防総省との対立があるといわれる。協調派は、日本の右翼が期待するような中国敵視政策ではなく、中国が「アジア太平洋で建設的、平和的役割を果たす」、すなわちアメリカ覇権の枠内での行動を求めるものである。だが軍部は、軍事予算を獲得するためにも中国脅威論を煽り、緊張をいっそう強めようとしている。国防総省がそうするのは、日米の軍事同盟強化、在日米軍再編の「根拠」とするためであり、ことさらに台湾海峡問題に介入しようとしているのである。

米軍の一翼になる自衛隊

 日本はアメリカの覇権を維持するために、いっそう「協力」を求められるようになっている。東アジアでの対中軍事均衡のために、また世界的な米軍支援のために、日本の自衛隊をより積極的に、ブッシュの本音で言えば「思うがままに」使いたいのだ。財界と自民党の主流は、アメリカの軍事覇権に加担することによって、自らの権益を維持・拡大しようとしているが、憲法九条がその最大の障害になっている。
 アメリカは、軍事的な力を中心に、世界支配を続けようとしているが、経常赤字・財政赤字に表現されるように、内実は空洞化し始めているのである。
 
軍事優先の予算案


 二月六日、ブッシュは二〇〇七会計年度(〇六年十月〜〇七年九月)の予算教書を議会に提出した。総額二兆七千九十億ドル(約三百十四兆二千四百四十億円)で、対前年度当初予算比は五・五%増となった。
 今回の予算の特徴は、ブッシュ政権の軍事傾斜の本質を表すものとなっている。
 軍事費の突出に比べて民生費は大幅に削減される。
 国防関係以外の省庁の支出は軒並み抑制され、そして削減の三分の一が職業訓練事業などの教育分野である。教育省予算は約二四%もカット、高齢者医療制度も五年間で三六〇億ドルが削られる。にもかかわらず金持ち減税は継続している。
 一方で軍事関係費は大幅な伸びだ。ブッシュの掲げる「対テロ戦争」のためと称して国防総省や国土安全保障省関連の費用が大幅に増額されている。とくに国防総省予算は四三九三億ドル(六・九%増)となっている。国防予算の増額は、イラク戦争開始以来増額傾向にあるが、今回も昨年のものと同様に、イラク、アフガニスタンへの追加戦費は〇七年度予算には含まれていない。追加予算として近く議会に提出される。

 予算教書では、イラクなどでの戦場での勝利、米本土の防衛。米軍の優位の維持などが優先課題とされ、今後も、ブッシュ政権が軍事力強化の方向を突き進もうとすることを宣言するものとなっている。こうした動きは、日米の軍需産業と米軍・自衛隊幹部にとって望ましいものであることは言うまでもない。


「皇室典範改正」ではなく天皇制廃止を!

 二月一一日、豊島区民センターで、<「皇室典範改正」ではなく天皇制廃止を!2・11反「紀元節」集会>が開かれた。
 集会の前には池袋駅周辺をデモで、天皇制廃止をアピールした。デモは圧倒的多数の制服・私服の警官がとりまくという状況。右翼もこのデモと集会に執拗な嫌がらせを行ったが、それらを跳ね除けてデモが闘われた。
 デモには一〇〇人、集会には一五〇人が参加した。

 集会では、はじめに、実行委員会からの基調提起が行われた。
 「建国記念の日」を巡っては、あまりにも「神道主義」「復古主義」的な色合いで祝うことに対する政府側の危慎があることはたしかだ。それに対して逆に危機意識をつのらせる右派勢力の分化は、自民党内部も含めて、ある種の右翼「原理主義」的な姿勢を、ますます強化しているのかもしれない。この間噴出した「女帝容認」に対する右派勢力の根強い反発とも、それは一体のものであるだろう。こうした右派内部の対立も、しかしこのグローバル化の時代にあって、天皇制をいかにしてよりよく使いうるかということをめぐるものであることは明らかである。
 「自民党新憲法草案」が出た。草案の前文には、「天皇制維持」が一条とは無関係に明言されている。草案では、戦争と天皇制が前面に出てきている。日本政府が、戦争のできる国づくりにひた走っているのは誰の目にも明らかなことである。政府が並行して力を注いでいるのは、戦争をする日本という国を構成し、それを支える「国民」づくりである。それは法制度の整備だけでは不十分だ。そこで国家主義的価値観の中心軸となる天皇制、靖国神社、「日の丸・君が代」が登場する。政府は、国内的には徹底的な弱者切り捨てを強行し、そのひずみはナショナリズムで乗り切り、世界規模のグローバルな弱肉強食・競争社会において、国家として強者の立場に立とうとしている。絶対的な力を認め、どのような命令にも従う「国民」が過半数を占める国家づくり、天皇制と靖国神社がそのために大きな力を発揮することを、支配者たちは知っている。私たちはそのような政府の意図を見抜き、情報を共有していく必要がある。政府の意図がより現実化し始めているいま、その緊急性は増している。私たちは、反天皇制を軸にした反戦・反基地・反改憲の言論をつくりだし、行動につなげ、いま政府によって企てられている戦争をする国・「国民」づくりに、ブレーキをかけていく運動のうねりをつくりだしていきたい。現在進行している派兵の現実、米軍再配置の現実、国会の現実と結びつけることで、支配者たちがなぜ天皇制や靖国神社を必要であると考えているのかが、よりリアルに見えてくるはずだ。

 集会では、はじめに児童文学者のきどのりこさんが講演。
 昨年暮れに自民党の新憲法草案が出されたが、天皇は国民の象徴から、国民統合の象徴となっている。それは、多様な思想・信条というものをひとつの枠の中に統合する=国家主義体制づくりをめざすものだ。毎日新聞が戦後のGHQによる天皇の人間宣言に関する問題でスクープをおこなった。GHQの文書によると、戦後の象徴天皇制について非常に細かく具体的行動まで指示している。例えば、皇室と音楽との関係でいえば、音楽会に出席すべきだとか、楽器をやれとか、それこそ一挙手一投足までに注文をつけているが、皇族はそのとおりにやっている。
 戦前の児童文学書を見れば、天皇制との関係が深い。講談社は、当時の皇太子(現天皇)が読むようにと児童絵本を出した。それが、全国で爆発的に売れた。やがて昔話だけではなく戦争モノの絵本も出し、こうして戦時協力体制を支えた。別の出版社の小学生全集というものには、天皇が見たという天覧とか皇族が読んだという台覧とかの文字が入っていた。いままた「愛子本」が、なにを子どもに読ませたらよいかわからない若い親たちに人気だ。こうして、再び戦争への状況が作られつつある。
 侵略戦争を行った天皇制は廃止すべきだ。しかし、たとえ侵略戦争をしなくても天皇制は廃止すべきものだ。

 つづいて、一橋大学教員の鵜飼哲さんの講演。
 いま右派が分岐している状況にあるが、これは国会内も含めて左派が大きく後退していることのあらわれだ。だから右派の内部で内ゲバができるのだ。
とは言え、かれらがなにを意図しているのかを知ることが重要だ。代表的なものとして松本健一と福田和也をあげる。松本は北一輝の研究から論壇に入ってきたが、北と同じ天皇機関説で、男であれ女であれ、天皇は神輿(みこし)として担げればいいとして、皇室典範改正に賛成だ。福田のほうは、昭和天皇ヒロヒトならどういっただろうか、として、女帝・女系に反対している。だがいずれも、なにを継承・永続させようとしているのかきわめて曖昧だ。
 ヒロヒトが死んで以来、紀子、雅子を「娶る」ことによって皇室スペクタクルをつくって支持の確保を狙ったが、上手くいっているようには見えない。


岩国基地撤去に向け、住民投票に勝利を!

 今回の山口県の岩国基地問題のもともとの経緯は、現在進められている「沖合移設工事」が当初、地元負担の軽減と騒音被害の解消を目的として行われていたのにもかかわらず、昨年七月頃から米軍厚木基地の岩国への移転や、岩国基地でのNLP(夜間離着陸訓練)の実施が検討さえているとのマスコミ報道が発端となっている。
 しかもこの報道に敏感に反応したのは、他でもない自治体だった。その猛反発ぶりが注目をあびている。「沖合移設工事と拡張計画はセットであったことに、住民はだまされた」との思いが強く、怒りをあらわにしているのだ。反発を示している首長とは、三市(岩国市、大竹市、廿日市市)二町(それ以降二町は合併によって消滅)であった。この首長らの音頭取りによって反対規制同盟が結成され、それ以降、反対署名が取り組まれた。岩国市では六万人が署名し、これに連動して廿日市市では町内会を通じて反対署名が取り組まれている。
 住民運動の面では廿日市市を中心に昨年一二月三日、「岩国基地の拡張・強化に反対する広島西部住民の会」が結成され(現在二〇〇名の会員によって構成)、世話人会を中心に活動を行っている。他方、労働組合の動きとしては、連合を中心とした運動によって、昨年一〇月二三日に三〇〇〇人規模の抗議行動を行っている。
 昨年一〇月末、米軍再編による日米協議で、作戦共同本部を設置することを目的とした「中間報告」が公表された。これによると自衛隊の位置付けを根本的に変更するものであり、厚木基地の移転はまさに岩国基地の拡張・強化以外のの何ものでもない。
 これらから派生する問題としては、騒音、中国地方山間部での低空飛行による環境破壊、墜落事故、米兵による暴行事件が充分に予想される。

 こうした最中に、岩国市市長自らが「住民投票」を実施することを公表した。この唐突ともいえる市長発言は、「賛成派」「反対派」の双方に激震を走らせた。反対派からすれば五〇%の投票率はもちろん事、高支持率での反対票を獲得しなければ政府を動揺させることは出来ないし、「中間報告」の白紙撤回は困難と言える。
 反対派の住民運動の側は、緊急な中でもピースリンクを中心に以下の行動に取り組むこととしている。
 一、三月五日(日曜日)に五〇〇〇人規模の市民集会を開く
 開催場所 錦帯橋河川敷
 二、井原市長後援会を中心に事務所を立ち上げる
 三、全戸ビラ配布一〇万枚
 四、全国からの反基地運動の総結集をよびかける
 沖縄からは、安次富浩さんや知花昌一さんらの応援を求める
 五、ミニ集会を企画
等となっている。

 地元はもちろんのこと周辺の住民運動団体は、どのような関わり方が可能なのかを早急に方針として立てなければならない。
 岩国基地の問題は、たんに岩国、山口県だけのだけの問題ではないことを肝に銘じ、米軍基地撤去に向けた決戦として奮闘しなければならないことを訴えたい。(N)


海と港から反戦・反改憲の動き

    
海員組合と全国港湾が共同アピール

 二月三日、全日本海員組合と全国港湾労働組合協議会は、「『被害者にも、加害者にもならない』平和の海と港こそ私たちの職場です。憲法改悪に反対する海員・全国港湾の共同アピール」発表した。
 戦争で多大な戦死者を出した海員の組合と戦争となればそれを支える労働を強いられる港湾で働く労働者の組合が、戦争協力強制と憲法九条改悪に反対する共同のアピールをだしたことの意義は大きい。二労組も参加する陸海空港湾労組二〇団体の行動は、日本を戦争の出来る国にする小泉政策に断固とした抵抗の姿勢を示している。また連合傘下の組合の中にも戦争・改憲に反対する流れが強くなっている。
 労働組合は賃金・労働条件の向上、生活と民主主義のために闘うが、戦争は労働者の生活・生命までも奪うものであり、労働組合は反戦闘争の先頭に立たなければならない。海員組合と全国港湾のアピールをしっかりと受け止め、職場・地域から戦争に対決する運動を作り出していこう。
(編集部)

 「『被害者にも、加害者にもならない』平和の海と港こそ私たちの職場です。憲法改悪に反対する海員・全国港湾の共同アピール」

平和憲法生かすとき

 一、二〇〇六年は、日本国憲法が誕生して六十年を迎えます。この六十年の間、日本社会に生きてきた人びとは、この平和憲法のもと戦争によって殺すことも殺されることもなく、また、子どもたちが兵士に取られる心配もなく生きてきました。平和憲法の精神は、わが国に生きるすべての人びとに深く浸透しています。

 しかし、平和憲法のもとにあっても、海員は世界で頻発する戦火をくぐり、尊い命を失う悲劇を経験してきました。港湾労働者もまた、朝鮮戦争に駆りだされ、ベトナム戦争に協力させられるという実体験をもっています。だからこそ、二度と戦争体制に組み込まれたくないという思い、平和への希望は切実です。

 二、海員・全国港湾は、戦争放棄を明記し基本的人権や国民主権など人類にとって普遍的な価値が込められた憲法の改悪に断固として反対します。

 昨年、自民党は自衛隊を自衛軍とするなど九条を軸にした憲法「改正案」を発表しました。さらに小泉首相は、先の通常国会冒頭の施政方針演説のなかで、国民投票法案を「整備されるべきもの」と明言しました。このことは、憲法改悪への歩みを具体的に進めるものです。

 三、海員・全国港湾は、先の一連の有事法制審議・成立の過程では、自らの悲惨な戦争体験をもとに命と職場の安全を守る観点から、共同して反対しその廃案を強く訴えてきました。

 そして今、米軍基地を抱える自治体が一斉に反発を強めている在日米軍再編計画は自衛隊と米軍との連携強化を目指すものであり、国民的な不安と危惧(きぐ)を生じさせるものです。これらの動きをみるとき、まさしく憲法改悪は、有事法制の発動に道を開くものです。

 四、私たちは、平和憲法の改悪に反対します。むしろ、今こそ平和憲法を高く掲げ、アジアや世界中に広げ、生かすときと考えます。「戦火の海に船員は二度と行かない」と誓って結成した海員組合と、「軍事荷役はやらない」と決意する全国港湾は、陸・海・空・港湾労組二十団体をはじめ、ナショナルセンターの違いを超えてすべての労働組合、宗教者や市民団体、学生、弁護士団体、婦人団体など国民各層のあらゆる団体と憲法改悪反対の一点で共同し、平和憲法を守りぬくことを呼びかけます。

 全日本海員組合

 全国港湾労働組合協議会


春闘を断固、闘いぬこう

    
けんり春闘全国実行委が発足

二月六日、06けんり春闘全国実行委員会発足総会・学習集会がSKプラザで開かれた。
 はじめに、共同代表の一人である全港湾の安田憲司委員長が代表あいさつ。この春闘で、全労協の組合やわれわれ全港湾や全日建のように全労協に入っていない組合がいっしょになって闘うことには大きな意義がある。

けんり春闘の方針

 経過報告と行動提起は、全労協の中岡基明事務局長。
 昨年の春闘において、われわれは、それまでの春闘再生「行政改革・規制緩和・労働法制改悪」に反対する全国実行委員会(略称・春闘再生全国実行委員会)とけんり春闘全都連絡協議会(略称けんり春闘)を継承しながら、それらを統一・合併して「06けんり春闘・全国実行委員会」として闘いを作り出してきた。二月に発足集会とシンポジウムを開催し、2・16けんり総行動を闘い、三月には外国人労働者の生活と権利のための春の総行動に取組み、集中的な闘いとしてストライキ含む大きな山場を三月一七日に設定して、日比谷野音の中央総決起集会と霞ヶ関デモをおこなってきた。四月には春の共同行動とともに、中小未解決組合激励や郵政民営化反対など省庁交渉を行ってきた。そして、昨春闘の闘いを引き継ぎ、さらに飛躍させるために、相談会を開催し、06けんり春闘全国実行委員会を立ち上げることを確認し、今日の結成集会を迎えた。

 まず06春闘を巡る状況についてだが、失業率は四・四%、完全失業者が二六五万人と高止まり状態にある。賃金について経営側の言っているのは、あくまで総人件費抑制という中での賃金対応であり、その上いっそう成果主義・能力主義が強められ、労働者はサービス残業や過労死という状況に追い込まれている。小泉の行政改革の中で、公務員バッシングが組織され、民営化・民間委託よる小さな政府の実現という攻撃が激しくなってきている。こうしたことの結果として、一部の高額所得者と圧倒的多数の低所得層へと日本社会が二極分解し格差の拡大が進行している。非正規雇用労働者は増大し、中小零細企業労働者の多くが社会保険からの脱退やサービス残業・低賃金を強いられている。そして、こうしたものを法律で認めるようにさせるという労働法制改悪の動きに注目しなければならない。
 政府与党は、大増税に向かって走り出し、憲法改悪、イラク派兵、米軍再編・基地強化など反動的な政策が推し進められている。

 こうした情勢の中で、けんり春闘は、労働基本権の確立(文化的で健康な生活の保障、労働する権利)、労働組合の権利と社会的存在(団結権、交渉権、争議権・「資本・権力に対する社会的規制」)、生活できる賃金の獲得、中小・非正規労働者の春闘の実現(非正規労働者の雇用安定・生活できる賃金を)、均等待遇の実現(女性、派遣、外国人……)、官民共闘で闘う(公務員バッシングとの闘いと公契約条例化運動の共同した追求)、国鉄闘争勝利(9・15判決を機に闘争団の納得いく解決を)、平和闘争(憲法九条を守る闘いと自衛隊イラク撤退、沖縄基地闘争、米軍基地再編強化に反対する闘いを結びつけて闘う)などの課題を掲げて闘う。
  春闘を闘うための単産・単組の連絡会としての06けんり春闘全国実行委員会の体制は、共同代表に、安田憲司(全港湾)、二瓶久勝(オリジン電気労組)、押田五郎(東京全労協)。藤崎良三(全労協)、事務局長に中岡基明(全労協)とし、事務局を全労協に置く。

 当面の行動計画としては、@2・16東京総行動と「JR採用差別事件の勝利解決をめざす総決起集会」、A三月五日に「外国人労働者に雇用保障を!大行進(マーチ・イン・マーチ)」を東京、大阪、福岡、札幌で取り組む、B同六日に「外国人労働者の生活とけんりのための春の総行動」、C同一三日に統一情宣、D同一七日に「06春闘勝利!中央決起集会」(日比谷野音)と郵政公社、首都高速公団、国土交通省、裁判所、鉄建公団などへデモをかける、E四月一九日には、「春の共同行動集約中央行動」を闘う。その間、実行委員会としては、各地で、未解決組合支援・激励、制度政策要求のための交渉、労働相談、自治体交渉、行政交渉に取り組んでいくことにしたい。
 
 以上の中岡事務局長の報告と提案が拍手で確認され、06けんり春闘がスタートした。

学習討論会での発言

 発足集会につづいて、学習討論集会がはじまった。
 主催者挨拶・基調の発言は、二瓶久勝けんり春闘共同代表。
 いま、労働組合の存在意義が問われている。労組の賃金決定力がなくなってきている、能力主義賃金で労組が介入できないようにされてきている。これに反撃するためには、横の陣形を拡げていくことだが、なんといっても大事なのは自分のところで闘う、資本と対決し、ストライキを打てる力を持つようになることだ。本工主義では闘えない。非正規労働者に目を向け、組織していくことだ。
 現在、争議を闘っている組合がたくさんあるが、どう勝たせていくかだ。国鉄闘争は山場を前にしている。昨年の9・15地裁判決は不十分なものだが、闘いを放棄していたらなにもでなかった。
 理屈を言ってばかりいる組合が多いが、まず自分が闘うこと、それを見せていくことが大事なのだ。

 闘いの現場からの報告のはじめは、「地方の闘い〜大阪」(大阪ユニオンネットワーク事務局長の山原克二さん) 
 ゼネラルユニオン、ユニオンネットワ―ク、労組のとりくむべき三つの課題について報告したい。
 ゼネラルユニオンは、九一年に結成され、年休などの労基法・雇用保険・派遣などの統一要求の実現のために活動している。主に東海北陸以西で多言語での労働相談を行い、そして多国籍労組となっている。現在、民問語学産業・大学高校・インドレストラン・中国人紡績研修生などを組織している。今年の春闘では、立命館大では外国人労働者の「更新上限」は三〜五年でそれが終われば一斉クビ切リとなっているがその撤廃争議に勝利し、NOVAやECCなど英会話学校の外国人労働者の社会保険への加入を日本人非正規労働者と連携しながら実現することだ。
 ユニオンネットワ―クは、単産・単組・ユニオンの課題別共闘で、争議・行政交渉・反戦・国際運帯などの活動をおこなっている。現在、全港湾、全日建、全石油、国労、全国一般、ハイタク共闘、郵政ユニオン、電通合同、教育合同、各地域ユニオン、管理職ユニオン、港合同などが加盟している。かつての総評運動の良い面を継承してさまざまな活動を展開している。
 やがて、JR福知山線尼崎事故の一周年を迎えるが、四月二五日に、海外鉄道労組を迎え、現地で追悼集会とシンポジウムを開く。公務員攻撃のひとつとして大阪市における攻撃があるが、これに反撃していく。そして、アスベスト問題で患者さんたちや、安全センター、各地の共闘とともに行動を起こしていきたい。そして、大阪総行動(3・3)、イラク反戦集会(3・20)を闘い抜く。

 東京清掃労組の星野良明委員長は「清掃職場の民営化・委託化」について報告。
 この〇六年四月から清掃職員の身分が都の派遣職員から都二三区の職員に移管する。これを機にさまざまな攻撃がかけられている。
 九〇年代初めから都清掃局をばらばらにして二三区に移管させるという流れが強まった。二三区には自治権を拡充し市並みの普通の地方公共団体になりたいという希望があった。当時の自治省は、そうしたいなら清掃だけでなく、水道、交通、消防、病院などもすべてやれ、そうでなければ普通の公共団体にはなれない、といっていた。
 それが、清掃の移管だけが進んでいる。
 清掃は、ゴミの収集・運搬、焼却処理、埋め立てという段階があるが、最終的な処分までやらなければ自己完結するものとはいえない。ところが、いま焼却工場が出来ないのに、区には清掃車の車庫だけは出来ているという状況にある。
 二〇〇〇年四月に区移管の決定が強行された。しかし、その時に条件をつけることができた。区職員に身分は切り替えられるが、身分などの低下はさせない、そして全員そろって移行するということだった。一昨年二〇〇四年に、移管決定時の約束で、三万七九〇〇円の「調整額」というものをつけた。これは基本給と同じ扱いで、一時金、退職金につながる。ところが、区長会は、公務員賃金「高額」攻撃の中で、そのうち四〇%は五年間の経過措置のなかで逓減させ、残りは本給・手当に繰り込むと言い出した。
 昨年にはまた別の攻撃がはじまった。再任用・再雇用はそれぞれの区でやるにしても、最終的にはぎりぎりで統一交渉でまとめてきた。ところが統一交渉を一方的に打ち切ってきた。昨年末には、東京清掃とは統一交渉しない、各区でやると通告してきた。東京清掃労組をばらばらにして力を削ごうという組合対策そのものだ。これに対して、組合としては、不誠実不当労働行為ということで地労委に訴えることにしている。
 もうひとつは、工場部門だ。ゴミをもやす炉の運転係は一年中、二四時間の体制だが、まず夜間を民間委託しようという。こうした攻撃には、工場の煙突の下半径一キロ以内の住民の署名・組織化、下請けの組織化、そして、ゴミ問題の解決、公共性の剥奪に反対する運動を住民との話し合いの中でつくっていきたい。

 全国一般東京労組の中原純子さんが「中小企業・非正規の現場から」報告。
 非正規雇用の労働者が増えている。総務省の「労働力調査」によると二〇〇四年には役員を除く雇用者は四九七五万人、非正規労働者は一〇年間で五九三万人増えて一五六四万人になった。正規労働者は三九五万人減って、三四一〇万人となった。グローバリゼーションと小泉構造改革のなかで雇用構造と所得収入の二極化が進んでいる。
 私は正社員の職場を解雇され、以来パートとして働き、その過程で、親会社のパート雇い止めと闘い一年契約を一三回更新して現在に至っている。最近は仲間のパート雇い止め闘争に勝利することが出来た。
 小泉は日本に格差はないと言っているがウソだ。非正規と正規をとわず多くの労働者の力で闘争を進めていこう。

 特別報告をおこなった鉄建公団訴訟団の酒井直昭団長は、一日も早い解決のために大きな流れをつくっていこうと訴えた。

 最後に、中岡事務局長がまとめをおこない、藤崎共同代表の団結頑張ろうで、春闘勝利に向けた闘う意思を確認した。



「3・1独立運動」 87周年  3・1日韓連帯集会の案内


 来る三月一日は、一九一九年に日本からの独立を求め朝鮮半島全土で人々が一斉に立ちあがった3・1独立運動から八七周年を迎えます。 
 日本はこれに血の弾圧をもって臨みました。
 戦後、平和国家として再出発したはずの日本は今、小泉首相の靖国参拝などにより、再び朝鮮半島や中国・アジアの人々の怒りをかき立てています。日米軍事同盟の再編強化と、これに対応して再び「戦争のできる国」の道をひた走る日本政府・小泉政権。この動きにストップをかけ、アジアの人々との真の和解と平和の課題の実現を共にめざすこと−これこそ八七年前に朝鮮半島の人々が訴えた「3・1精神」に応える道だと思います。
 3・1朝鮮独立運動八七周年の当日である三月一日夜、表記の集会を開催します。多くの心ある皆様の参加を呼びかけます。

 日時 三月一日(水)

場所 文京シビックセンター(4F シルバーホール)<地下鉄南北線・丸の内線「後楽園」または三田線・大江戸線「春日」下車すぐ> 

 ビデオ 韓国・駐韓米軍基地拡張反対・住民の闘い(予定)
 
 報告 沖縄・辺野古沿岸への新たな基地建設案との闘い(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)

 講演 靖国・戦後補償・NHK〜今、歴史問題が問うもの<仮題>(西野瑠美子・VAWW―NET ジャパン共同代表)

 韓国民衆歌(ノレの会 ほか)           
 主催 3・1集会実行委員会(03・5684・0194 日韓ネット気付)


映画評

 
 「白バラの祈り  ゾフィー・ショル最期の日々」

      2005年 ドイツ  監督 マルク・ローテムント

 時には自ら自分の背中を押すようにしてチケット売り場に足を向ける映画がある。例えば「アルジェの戦い」が私にとってはそうだった。人間に向けられた剥き出しの暴力……拷問、虐殺の場面を正視するのがつらい。しかし、紛れもなく歴史の事実としてあったものである以上、わが目でしっかりと見ておくべきだと、半ば義務感に駆られて映画館の座席に身を置く。
 「白バラの祈り」もそうした映画の一つだ。ナチス第三帝国に真っ向から抗い、捕らわれ、即決裁判で死刑に処せられた若者たち。これは事実に基づく作品である。

<あらすじ>

 一九四三年、スターリングラードの激戦で敗北を喫し、敗色濃いナチス支配下のミュンヘン。レジスタンス運動を続けているグループのメンバー、ショル兄妹が大学構内で置きビラをするが、管理人に見つかり、秘密警察に逮捕される。三人目の子どもが生まれたばかりの友人も逮捕された。尋問され、一旦は釈放の手続きがされながら、寸前新たな証拠を突きつけられ(一旦釈放は秘密警察のいたぶりだったのだろう)、厳しい追及の前に事実を認め、毅然としてナチス、ヒットラーを弾劾して揺るがない。仲間に犠牲を広げぬために、すべてを自身で負おおうとしつつ。
 逮捕四日後にはフライスラー長官率いる民族裁判所の公開法廷(ナチスの軍人達が傍聴に動員される)で、弁論らしい弁論もなく死刑を言い渡され、通常は執行まで九九日間の猶予が与えられるのに、見せしめ的に即日執行される。看守たちが危険を冒して処刑の間際に三人を引き合わせ、一本のタバコを吸わせる。三人は抱擁を交わし、断頭台の待つ処刑場に向かう。

「白バラは散らず」

 ショル兄妹の姉インゲ・ショルが弟妹の思い出と共に事件を語った書物「白バラは散らず」がある。未来社刊。私が持っているのは一九六九年刊行の第五刷のもの。現在でも手に入るかどうかは分らないが、映画公開を機に書店に並ぶかもしれない。もう三〇年以上も前に読んだものだが、ショル兄妹を初めとするレジスタンスの若者たち(そして彼らの敬愛を一身に受け、四九歳で処刑されたクルト・フーバー教授)の勇気ある行動と共に、彼らが発したビラ(そのタイトルが「白バラ通信」だった)の大胆かつラディカル(根元的)な内容に感銘を受けたことを覚えている。
 映画は逮捕―処刑の五日間に絞って描いているため、ショル兄弟がどのような経過をたどってレジスタンスに赴いたのか、については説明不足の感を否めない。一九八二年に「白バラは死なず」という映画が西独(当時)で作られていて(今回インターネットで検索したら、この事件を研究している方のホームページがあり、教えられた)、そちらの方はこの部分についても触れているようである。
 あこがれてヒトラーユーゲントに入団し、その中でユダヤ人虐殺の噂に心を揺るがされ、好きな歌や書物を禁止され、次第にナチスへの疑問を深めていく。そして「ヒトラーは天刑だ」と言って密告され牢屋にぶち込まれた父親の「わしは、おまえたちがまっすぐに自由に生きぬいてくれることだけを願っている、たとえ困難であっても」と兄妹に語った言葉。その言葉通りに短い人生を生きた兄妹。やはりこの映画を十全に体験するには「白バラは散らず」を併せ読んだほうが良いだろう。
 映画は九〇年代に新たに発見された資料を踏まえて製作されたという。冒頭ラジオから流れるビリー・ホリディの歌を友達と楽しそうに口ずさむシーンもその一つかもしれない。

「白バラ通信」

 最後に彼らが作ったビラの一節を紹介しよう。「かくして蜂起の波が国を洗うとき、『ものの気配にこもる』とき、多数が力を合わせるとき、最後の強力な一奮起によって、かの組織はくつがえされるであろう。恐怖を伴う終末は、なお終末なき恐怖にまさるのである」……「白バラ通信」は前掲「白バラは散らず」に収録されている。 (佐山 新)


KODAMA

横浜地裁の恥ずべき判決〜特高警察・検察の命じるままに動いた裁判所の過去をまったく反省せず


 二月九日に横浜地方裁判所第二刑事部は、横浜事件第三次再審請求事件にかかる治安維持法違反被告事件について、「免訴」の判決を出した。
 戦時下最大の言論弾圧であった「横浜事件」では治安維持法により多くの人が検挙・拷問され、虐殺された人もいるのだ。
 今回の裁判は、終戦直後の混乱の中で「有罪が確定」した元被告五人(いずれも故人)の再審だが、横浜地裁は、有罪、無罪の判断をしないで裁判自体を打ち切る「免訴」の判決をだした。まったく不当な判決であった。
 再審請求人・弁護団は、この判決に抗議するとともに、闘いを継続するという声明を出した。
 「…横浜事件の元被告人らは、過酷な拷問によって虚偽の自白を強制され、これらの自白を唯一の証拠として有罪の判決をされたものであって、無罪であることが明らかであり、このことは、すでに昨年三月一〇日の東京高裁決定によっても明確に認定されているところである。
 以上のような実体を有する本件の再審公判においては、再審公判裁判所に対し誤判の完全除去及び誤判による被害者の権利及び名誉回復の義務を課するものであるという再審の理念及び目的に徴すると、免訴を言い渡すことは違法であるといわざるを得ず、無罪を言い渡すべきものである。
 本件判決は、実質的に見て、検察と一体となって横浜事件の隠蔽を図ったものといえ、特高警察と検察の言うがままに違法な確定判決を言い渡した横浜地裁の行為への反省の姿勢は微塵も見られない不当な判決であるといわざるを得ない。
 我々は、かかる不当判決には到底承服できず、ただちに控訴の手続きをとる」。
 まさに、横浜地裁は、特高警察と検察の言うがままに違法な確定判決を言い渡したおのれの過去の罪悪について一切の反省もなく、横浜事件を葬り去ろうという態度である。
 地裁は判決理由で「終戦の際の特殊な状況下で訴訟記録が廃棄され、そのため確定判決が残されていないという異常な事態もあって、再審開始までにかなりの時間が経過し、その間、生存していた元被告らが死亡し、再審裁判を受けることができない状況に至ったことは誠に残念というほかない」と言っている。しかし、「訴訟記録」を廃棄したのは誰なのか。横浜事件についての拷問や裁判の証拠を残しておいてはまずいと考えて、廃棄されたことは間違いない。
 また理由は、「再審請求に対する抗告審決定で元被告五人が神奈川県警特高から拷問を受けた事実が明らかにされ、原再審開始決定の結論が維持されたことによって再審が開始された」ことを認めている。
 ここまで地裁は追い詰められているのに、「無罪」でなく、実質的には、特高警察、検察、そして裁判所によってでっち上げられた横浜事件をこそ「免罪」にする「被告」「免訴」の判決をだした。このことは、裁判所がまったく自らの過去を反省することなく、いままた、暴走する公安警察、検察と一体になって、戦争体制つくりに反対する人びとを不当不法に扱っている姿を示すものだ。
 立川自衛官官舎への反省ビラ入れなど、戦争に反対し、小泉政治を批判する人びと、団体に対して、ほんのささないな、犯罪にもならないようなことを口実に、またはでっち上げての逮捕、長期勾留、起訴が相次いでいる。横浜事件と同じようなことがまた起こり始めたのだ。
 横浜地裁不当判決を糾弾し、横浜事件の控訴審に勝利しよう。 (M)


複眼単眼

  崩壊し始めた悪法案群と9条改憲のための国民投票法案


 この国会で小泉内閣が予定した悪法案群の一角がすでにくずれた。
 防衛施設庁の発注談合事件で、防衛庁の防衛省昇格案は腰砕け。紀子妊娠発表で皇室典範改定問題も見送りになった。米軍再編関連では各地の地方自治体の抵抗など、先行きが不透明だ。
 防衛施設庁の汚職もさることながら、紀子妊娠と皇室典範問題は日本の天皇制の醜悪さを世界にさらけだしたのではないか。
 「おめでたい、おめでたい」と騒いでいる一部の日本人にとっては気づかないことではあるが、男系男子の皇統だの、秋篠の第三子の誕生を待って皇室典範問題も考えるだの、「男子が生まれることを期待する」だの、日本社会の外部から見たら、何とも奇妙きてれつなものに違いない。もとより、こうした騒ぎが世のどれだけの人びとを差別し、悲しませているかなどということには考えも及ばない。まったく、天皇制というものは、日本社会における差別の根源的な存在だとあらためて思う。
 九月がきて、紀子に男子が産まれたときの雅子の心情や、紀子に女子が産まれたときの紀子の心情まで、私たちが思いやる必要はないのだろうが、今、騒いでいる連中には思い起こさせてやりたいものだ。
 さて一六四国会の悪法群のもうひとつ、憲法九条改悪のための国民投票法案は、自民党が狙う自公民三党協議がぎくしゃくしている。民主が言う四点セット問題で国会が緊張し、世論の前で民主もそう簡単に与党と話し合いをすすめにくくなった。耐震構造疑惑、防衛施設庁談合、牛肉輸入、ライブドアなどで国会の表舞台でケンカをしておきながら、改憲国民投票では裏で仲良く話し合うという構図はなんとも格好が付かないからだ。
 当初、中山太郎衆院憲法特別委員会委員長らは二月末にでも、三党で法案の合意をはかり、審議に入り、通常国会では何としても成立させたいとアドバルーンをあげていたが、この日程がここにきて相当に難しくなった。三党の実務担当者の間では法案の作成合意のための落としどころはすでにあうんの呼吸で合意が出来ているようなものなのだが、それぞれの党内ではなかなかまとまらない。これに世論の動向がプラスされて、なかなかはかどらないのが実情だ。
 自民と民主は今年いっぱい、それぞれ各ブロックで集会を開こうとしているなど、世論への働きかけに懸命だ。
 教育基本法の改悪、共謀罪、自衛隊の海外派兵本務化のための法改定等々、問題は山積している。明らかに終わりが見えた小泉内閣がこれにどのように対処してくるのか。
 いよいよ、これらをめぐって本格的な闘いが始まる。民衆の運動にしっかり足場をおいた私たちの闘いの真価が問われている。 (T)