人民新報 ・ 第1196号<統合289(2006年3月15日)
  
                  目次

● 岩国市民が米軍訓練機受け入れ拒否の回答  米軍再編に反対しし、岩国・沖縄・座間で闘いが進む

● 沖縄で三万五千人の県民大集会  東京でも沖縄に呼応する行動

● キャンプ座間の強化反対  労組・平和団体、市・市議会・地域自治会が行動

● 岩国基地住民投票勝利にむけて、3・5岩国錦川錦帯橋河川敷で集会

● 子どもは「お国のために」あるんじゃない!  教育基本法の改悪をとめよう!2・11ヒロシマ集会

● 小泉首相の靖国参拝・米軍再編に反対  3・1日韓連帯集会

● 第10回市民憲法講座での講演  渡辺治さん(一橋大学教授)  「憲法と天皇制〜現代天皇制のゆくえ」

● 関西生コン労組など労働組合への弾圧を許すな   

● 日本原燃六ヶ所再処理工場  本格的稼動に向けてアクティブ試験に反対する

● 図 書 紹 介  /  内田雅敏著  「靖国には行かない。 戦争にも行かない」

● KODAMA  /  新しい歴史教科書をつくる会のホームぺ―ジを覗いたら

● 複眼単眼  /  3月12日 岩国市民のこの声 全国に響け

● 発行回数変更のお知らせ  /  人民新報編集部



岩国市民が米軍訓練機受け入れ拒否の回答

   
米軍再編・日米軍事一体化に反対し、岩国・沖縄・座間で闘いが進む

 三月一二日、山口県岩国市の住民投票で、有権者の過半数が米艦載機受け入れを拒否する断固たる意思を示した。
 神奈川県にある米軍厚木基地の艦載機部隊を米海兵隊岩国基地に移転することの賛否を問う住民投票は、投票率五八・六八%と五〇%の成立要件を大きく上回り、開票の結果は、受け入れ反対が四万三千四百三十三票。賛成が五千三百六十九票、無効など八百八十票と、当日の有権者数(八万四千六百五十九人)の過半数を越えた。
 岩国市民の米軍艦載機移転受け入れに対する明確なノーの答である。岩国市は、この住民の意思表明を受けて、国に移転計画撤回の申入れを行った。
 米軍再編に関するはじめての住民投票では、政府・自民党は、移転受け入れによる地域振興などのエサをにおわせ、住民投票ボイコット運動を展開した。山口県からの選出議員である安倍晋三官房長官をはじめ、恫喝と切りくづしにやっきとなったが、住民のパワーの前に完敗した。額賀福志郎防衛庁長官は、住民投票の結果を受けて、「(移転は)是非とも実現しなければならない。今後とも地元に必要性を説明し、理解と協力が得られるように最大限努力する」とコメントした。政府は米軍再編の最終報告を三月中にまとめるとしているが、地元住民の反対の声に重大な大きな打撃を受けたのである。
 今回の勝利は、これから、岩国住民に続いて、基地強化の負担を受ける日本各地でいっそう在日米軍再編・強化に反対する運動を強めることになった。
 米軍再編・日米軍事一体化に反撃する闘いをいっそう前進させていこう。


沖縄で三万五千人の県民大集会

   
 東京でも沖縄に呼応する行動

 在日米軍再編・日米軍事一体化に反対する動きが日本の各地からまき起こっている。その先頭には、在日米軍基地の七五%もが集中し、すさまじい被害を受け続けている沖縄の人びとが立っている。
 三月五日、沖縄・宜野湾市の海浜公園に三万五〇〇〇人が参加して「普天間基地の頭越し・沿岸案に反対する県民総決起大会」が開かれた。
 大会は、普天間基地の頭越し・沿岸案に反対し、県知事の許認可権限を奪う特別措置法制定に反対し、日米地位協定の抜本見直しの実現という沖縄県民の意思をあらためて確認するとともに、日本政府に県民意思を真摯に受け止め、米政府との交渉に臨むよう求める決議を採択した。
 この県民集会の成功は、三月末の在日米軍再編最終報告にたいして、沖縄の米軍基地への強烈な反発をアピールするものとなった。

 三月五日、沖縄の行動に連帯して、東京でも闘いが展開された。
 東池袋公園で、辺野古への海上基地建設・ボーリング調査を許さない実行委員会の主催による「沖縄・辺野古沿岸への基地建設を許さない! 3・5集会&デモ」が開かれた。
 沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの木村辰彦事務局長が、沖縄の闘いは稲嶺恵一県知事も含んだ闘いになっているが、国は切りくずしに全力をあげている、一部修正など妥協案に惑わされずに運動を進めていこうとあいさつした。
 沖縄現地からは、辺野古・命を守る会の金城祐治さん、宮城節子さん、富田晋さんからの電話メッセージが送られ、東京の集会に沖縄集会への取り組みの熱気を伝えた。
 また集会には、日米軍事再編・基地強化と闘う全国連絡会、岩国・住民投票を成功させる会、韓国の平澤(ピョンテク)米軍基地拡張阻止汎国民対策委員会からメッセージが寄せられ、紹介された。
 東京全労協、自治労都庁職からの連帯発言に続いて、集会アピールが参加者一同の拍手で確認された。
 集会を終わってデモに出発し、在日米軍再編・日米軍事一体化反対を訴えた。

沖縄・辺野古沿岸への新しい米軍基地建設を許さない!3・5集会アピール

 本日午後三時から、沖縄・宜野湾市海浜公園では「普天間基地の頭越し・沿岸案反対三・五沖縄県民総決起大会」が行われます。私たちは沖縄県民大会と連帯し、「沖縄・辺野古沿岸への新しい米軍基地建設を許さない」という決意をもって、本日ここに集いました。
 昨年一〇月二九日、日米安全保障協議委員会(2+2)で、日米両政府は関係自治体の意向を聞くことなく、米軍再編案を基本合意しました。最大の争点である普天間基地の移設先については、一九九六年のSACO合意に基づいて強引に進められてきた名護市辺野古沖計画は断念に追い込まれました。これは、辺野古で粘り強く闘ってきた市民の勝利です。しかし、新たな再編案に盛り込まれたのは、大浦湾からキャンプ・シュワブ南沿岸部の地域に滑走路(一八〇〇m)と駐機場を含むL字型の基地を建設する計画(沿岸案)です。この「沿岸案」は、過去に何度となく検討され、騒音や環境問題がクリア出来ないことを理由に立ち消えになっていたのに、再び蒸し返してきたものです。米軍が嘉手納基地以南の米軍基地機能の大部分を沖縄島北部に集約することで「北部要塞化」され、沖縄の米軍基地はますます固定化・恒久化されることになります。さらに在沖米軍基地を自衛隊との共同使用にも大きく踏み込み、自衛隊と米軍の一体化が強化されてしまいます。米軍再編の実態は「日米共同軍事再編」です。
 日米政府は在沖米海兵隊の七千人削減が沖縄にとって大幅な負担軽減であると強調しています。米側はさらに八千人の削減も可能だと打ち出しましたが、移転費用は日本側が負担せよと要求しています。私たちの税金がなぜ米軍の移転に使われなければならないのでしょう。もうそんな小手先の懐柔策はたくさんです。一九九六年四月に橋本・モンデール会談で「普天間返還」が合意されてから一〇年が経とうとしているのに、危険な普天間基地は「代替地」建設を理由に放置され、二〇〇四年八月に米軍は沖縄国際大学へのヘリ墜落事故を引き起こしたではありませんか!
 「沿岸案」には沖縄県民の七二%が反対しており、その八四%が普天間基地の米国移転を求めています。「沿岸案反対」は今や県民の総意とも言えるものなのに、日米両政府は沖縄の声に耳をふさいで強制的に押しつけようとしています。今のところ日本政府は、県知事の権限である「公有水面の埋め立て許認可権」を取り上げる「特別措置法」制定は見送る方針と報道されていますが、今後「沿岸案」を強引に通すためにどういう手段に出てくるか、予断は許しません。
 この三月、米軍再編「最終報告」なるものが発表されると言われていますが、防衛施設庁は自らが招いた談合問題で身動きがとれず、再編で移設先とされた関係自治体との移設協議どころか「説明」さえほとんどできていない状態です。
 関係自治体は今、こぞって米軍再編案に反対しています。本日の沖縄県民大会をはじめ、三月一二日には岩国で市民投票、座間でも一一日に市をあげての反対集会が開かれます。二月末には鹿児島県鹿屋市で米軍空中給油機移転に反対する八二〇〇人の大規模集会も行われました。沖縄や米軍再編関連自治体の市民と手をつなぎ、米軍再編を白紙に追い込むために、共に闘いましょう!

二〇〇六年三月五日

沖縄・辺野古沿岸への新しい米軍基地建設を許さない! 三・五集会 参加者一同


キャンプ座間の強化反対

     
労組・平和団体、市・市議会・地域自治会が行動

 三月一二日、キャンプ座間への米陸軍第一軍団司令部の移駐を歓迎しない会、原子力空母の母港化に反対し基地のない神奈川をめざす県央共闘会議、神奈川平和運動センターによる三月行動実行委員会主催の「米軍再編・基地強化反対!3・12行動in座間・相模原」が闘われ、労働者・市民二六〇〇人が参加した。
 はじめに神奈川平和運動センター宇野峰雪代表が、在日米軍再編に一人ひとりが反対しつづけていくことが大事だと主催者あいさつ。
 沖縄平和運動センター山城博治事務局長、山口県平和運動フォーラムの中嶋光雄議長、民主党の那谷屋正義参議院議員、社民党の阿部とも子衆議院議員、神奈川生活者ネットの牧嶋とよ子座間市議があいさつ。
 県央共闘の大波修二代表は、キャンプ座間前での抗議座り込み行動について、横浜市教職員組合の山田喜代司委員長は、横浜大通り公園に一八〇〇名が参加して二月に行われた集会について、第三次厚木爆音訴訟団の藤田栄治事務局長は控訴審での闘いについて報告した。
 集会は座間基地のパーキンズ司令官に対する申し入れ文を採択。
 「…もうすぐ、貴官が籍を置く米軍がイラク占領を始めて三年が経ちます。その間、イラク人の死者数が数万に達し、貴国軍人の死者数も二二〇〇人を越えています。貴国大統領ジョージ・ブッシュ氏が始めた、この聞違った戦争のために、大勢の人々が殺され、ケガや病に苦しんでいることに、私たちは心を痛めています。移転が計画される新司令部はこうした間違った戦争を指揮する司令部でもある、と私たちは考えています。地元への迷惑に加えて、その司令部の先に戦争があり、そのせいで大勢の人々が死傷するであろうことを考えた時、それを歓迎することはできません。
 親愛なるパーキンズ司令官。今からでも遅くありません。どうか、本国政府、上級司令部に新司令部の移転計画を撤回するよう働きかけてください。…」
 集会を終わりデモに出発、基地正面ゲート前ではそれぞれのグループの梯団が抗議のシュプレヒコールをあげた。

前日の三月一一日には、座間市・市議会・市自治会連絡協議会による「キャンプ座間米陸軍第一軍団司令部等移転に伴う基地強化に反対する座間市連絡協議会」主催の「基地の整理・縮小・返還は市民の願い キャンプ座間の基地強化・恒久化に反対する市民大集会」が市役所そばの県立谷戸山公園で開かれた。「基地の整理・縮小・返還は市是」のスローガンも掲げられている。
 主催者を代表して、協議会会長の星野勝司市長があいさつ。
 座間市はこれまで基地の整理・縮小・返還を求めてきた。ところが昨年の一〇月に米軍再編でキャンプ座間に米国から新司令部が来る、さらに自衛隊の中央即応集団が来る、これは、基地の強化・恒久化ということで絶対に受け入れられない。中間報告は地元の意見をまったく聞いていない一方通告というものだ。民主主義を標榜するなら地元の意見をまず尊重しなければならない。最終報告には座間市民の声をしっかりと受け入れて欲しい。そのための今日の集会であり、行進だ。
つづいて、同じキャンプ座間を抱える相模原市長のメッセージを同市助役が代読した。
 地元選出の衆議院議員甘利明(自民党)からもメッセージ。本心の基地強化も言えず、かといって移転反対とも言えない苦しい立場の支離滅裂なものだった。
 採択された決議文では「国防のため、基地を抱える地元住民は長年様々な負担を強いられてきたことに鑑み、国に対し地元意向を最大限反映し日米協議に臨むことを求めるとともに、地元意向を全く無視したキャンプ座間への米陸軍新司令部(UEx)の移転と白衛隊中央即応集団司令部の設置計画に改めて抗議し撤回を求めるものである」としている。
 集会を終えて、約一八〇〇人の市民は、市協議会の用意したのぼりを立てて、キャンプ座間正門前を通って行進した。


岩国基地住民投票勝利にむけて、3・5岩国錦川錦帯橋河川敷で集会

 三月一二日に岩国市で米軍再編に伴う米空母艦載機移転案の是非を問う住民投票が実施される。

 この住民投票に向け移転に反対する「住民投票を成功させる会」主催の集会が、三月五日岩国市内に流れる錦川錦帯橋の河川敷で開催された。
 この日は、二・三日前の気候と打って変って、早い春を感じさせるような陽気で、気温も一五度前後までに上昇した。
 当日の集会は一四時より開催され、前半は集会、後半は一五時より『人文字』行動が実施された。わたし達は、この日の『人文字』行動に積極的に参加すると共に、その前段の行動として、一〇時より住民投票を訴える宣伝ビラを、地域に配布する独自の行動にも取り組むことが出来た。
 宣伝ビラを配布した地域住民には、好意的に受け止められているとの報告があった。
 しかし、当日の集会参加者の人数(一五〇〇)と、地元市民の参加者からして充分とはとてもいえない状況にあると、わたし達は感じた。
 午後二時からの集会では、「住民投票を成功させる会」の代表大川清氏が次のように挨拶を行った。「岩国市民は戦後六〇年間、騒音や米兵の犯罪に苦しめられてきた。」「しかしその一方で、岩国市は政府の要望を受け入れてきたという反省しなければならない点もある。この度の空母艦載機移転は、住民の声を無視した行為であり絶対に許せない」と怒りを込めて述べ、「圧倒的な反対多数で住民投票を成功させ、移転案を撤回させよう」と訴えた。
 それ以降、一時間にわたって様々なスピーチや歌、踊りなどによって集会は盛り上げられていった。
中でも厚木基地周辺の住民からの激励と現地報告では、一時間に五七回の戦闘機の発着訓練が行われていると聞き、その騒音には想像しただけで身の毛がよだつ思いがした。政党では社民党の福島瑞穂党首、辻本清美衆議院議員が激励に駆けつけ、辻本さんはいつものように大阪弁で「岩国市民の皆さん、いつまでもアメリカの言いなりになっていては、あきまへんよ。」その上で「色々なしがらみもあるかもしらへんけど、もうこの辺できっぱりと手を切ってアメリカの暴力的な先制攻撃支配を止めんとあかんよ」との力強い激励を行った。
 ゲスト・シンガーでは、七〇年代活躍された「ジュンとネネ」のネネさんが自ら作曲した『さようなら戦争』で憲法第九条への想いを披露してくれた。その他、子供たちによる「よさこい・岩国いいとも隊さん」や、ソプラノ・赤川優子さんの歌などが披露される中で、一五時の人文字行動を迎えた。
 人文字は『ピースマークと3・12GO!』が力強く描かれ、アピールすることが出来た。
 地元市会議員の田村順玄氏が現状報告を行い、集会アピールを共同代表の稲生慧氏、閉会挨拶を共同代表の福田雅美氏が行った。 (N)


子どもは「お国のために」あるんじゃない!

       
 教育基本法の改悪をとめよう!2・11ヒロシマ集会

 二月一一日、広島市の原爆資料館東館で<「日の丸・君が代」強制反対!子どもは「お国のために」あるんじゃない! 教育基本法の改悪をとめよう!2・11ヒロシマ集会>が開催された。
 呼びかけ人を代表して、栗原君子さん(元参議院議員)が開会のあいさつを行った。
 今日は、「建国記念の日」であり、敗戦以前では「紀元節の日」である。おりしも、女性の皇位継承論議がマスコミをにぎわせている。でも、忘れてはいけないのは、私たちは皇位継承論議よりも天皇制そのものに反対すべきであると、強調した。
 浦辺法穂さん(名古屋大学法学部教授)から「改憲論はクーデターの企て〜自民党「新憲法草案」斬る!〜」と題しての講演を聞いた。
 「改憲」とか憲法「改正」と、今随所で叫ばれているが、本質は「新憲法制定」である。つまり、憲法の全面改定は「改正」ではない。また、現行憲法の基本原理を変質させるような変更は、一部の変更であっても「改正」ではない。ふつう、新憲法制定は革命や戦争、内乱などで統治体制が根本的に変わったときに行われるが、「古くなったから」というだけで行われた例はない。ということは、「新憲法制定」で根本的な統治体制への変革を企てることにほかならない。教育基本法「見直し」論は「新憲法制定」と表裏一体の関係である。権力は国家と国旗に国民を服従させるために、教育を活用するのは常套手段である。したがって、自民党の「新憲法草案」は、一見、現憲法の部分的変更のように見えるが、その名の通り、現憲法を全面的に否定した「新憲法」案である。そして、現憲法の三原則は踏みにじられ、権力の横暴を抑止させる機能としての憲法が、権力がやりたいようにするための憲法に変えようとしている。さらに、攻められたときのために軍備がいると言っているが、日本は攻められたら終わりである。でも、権力は戦争をやりたいのである。
 つづいて、近藤徹さん(「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会の事務局長)の特別報告を受けた。
 今では石原都知事の教育行政が誰の目にも明らかになり、非組の教員までも、入学式・卒業式に「日の丸・君が代」に反対していることなどを報告した。処分の撤回のため最後まで闘うことを誓い、共に闘おうと訴えた。
 広教組からは教育現場からの実態が報告された。一九九八年の文科省の「是正指導」より、「日の丸・君が代」が強制され、学力テストで学校や児童・生徒の競争を扇動している。あげくの果て、学力テストへの学校挙げての改ざん事件が発覚した。
 各界からのアピールと決意表明を受け、最後に、教職員、保護者、労働者、市民が連帯して教育基本法・憲法改悪を阻止し、岩国基地の強化・拡大を受け入れないという集会アピールを採択した。集会後、デモ行進をした。
 私は、『あたらしい憲法のはなし』(文部省が一九四七年八月に発行し、全国の中学一年の教科書とした)を聖典として、憲法・教育基本法を守るために闘うことを決意する。(通信員 内田)


小泉首相の靖国参拝・米軍再編に反対

            
3・1日韓連帯集会

 三月一日、文京シビックセンターで「3・1独立運動87周年 小泉首相の靖国参拝・米軍再編に反対する3・1日韓連帯集会」が開かれた。
 開会は日韓双方から行われた。
韓国側を代表して在日韓国民主統一連合事務総長の宋世一さん。
日本では、領土問題、歴史教科書、首相の靖国神社参拝、自衛隊の海外派兵、仮想敵の脅威を煽るなどの緊張を激化させる動きがつづいているが、朝鮮半島では二〇〇〇年の金大中・金正日会談以降、南北交流・協力が進み、韓国では米国・米軍への批判が強まっている。東アジアの平和、朝鮮半島の平和と統一をめざしてともに運動をすすめていこう。
日本側は日韓民衆連帯全国ネットワーク共同代表の渡辺健樹さん。
小泉政権のやりかたに対して、アジアの人びとが再びの覇権確立の動きだとして、危惧の念を抱くのは当然だ。現在の日本はどういう道を進むのかが問われている。
 沖縄の闘いの現局面と当面の運動のアピールを沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの木村辰彦事務局長が行い、つづいてVAWW・NETジャパン共同代表の西野瑠美子さんが、「靖国・戦後補償・NHK裁判―今、歴史認識が問うもの」と題して講演を行った。
 小泉は「不戦の誓い」のために靖国神社に参拝を続けていると言うが、本当は、今度やる戦争では負けないという「不敗戦の誓い」ではないのか。小泉にしても麻生太郎外相にしても、犠牲にされた被害者不在の発言だ。これは加害者意識がまったく不在と言うことだ。


第10回市民憲法講座での講演

          渡辺治さん(一橋大学教授)

           
  「憲法と天皇制〜現代天皇制のゆくえ」

 二月二五日、文京区民センターで許すな!憲法改悪・市民連絡会主催による第一〇回市民憲法講座が開かれ、渡辺治さん(一橋大学教授)が「憲法と天皇制〜現代天皇制のゆくえ」と題して講演した。講演要旨を前号に引き続いて掲載する。
(文責・小見出しは編集部)

九〇年代からの天皇制

 一九九〇年代以降の日本はそれまでの小国主義と自民党の利益誘導政治が、グローバリゼーションのなかで行き詰まった。海外権益を守り、国際的な競争に勝ち抜くために軍事大国化、構造改革が政策の中心となり、それに対応して天皇像は再び変化した。
しかし、この方向はアジア諸国の警戒心を高め、また国民の中にも戦前への復帰はいやだという反発をまねく。
 ここに保守政治の最大のジレンマがある。内外から戦前型の復活ととらえられず、しれとの違いを示すことが必要だった。
 戦前の帝国主義との断絶、帝国主義の侵略戦争、植民地支配に対する反省について、小沢一郎と橋本龍太郎はどう言っているか見ておこう。
 二人とも、戦前の日本は間違っていたということを前提にしながらも、全部が間違っていたわけではないという態度だ。しかし、二人の間には違いもある。小沢は、日清・日露戦争は国民の健全なナショナリズムの発露で正しかったが、日露以降に道を間違えた。一九三〇年代以降とくに米英などと敵対したのが誤りだった、という。橋本は、三〇年代以降の中国をはじめアジアへの侵略は間違いだが、日本が英米と戦ったのは両方が悪いのだ、という意見だ。

右から天皇批判と反批判

 アジアとの関係の改善が橋本たちの狙いであり、それに天皇を使おうとした。昭和天皇が一九八九年に死んだ。明仁天皇は、憲法に親和的であり、みずから沖縄、中国に行きたいと希望した。伝統的ナショナリストからすると明仁天皇は最悪ということになる。右からの公然たる天皇批判の言葉が出てきた。天皇のそうした意向の表明に対して、例えば評論家の西部邁は次のように述べた。「今度の朝見の儀の時の『お言葉』というのは、民主、平和、繁栄、福祉、憲法擁護という、私に言わせればほとんど嫌いな五点セットの言葉が並んでいる」「これまで天皇を守るということを中心に置きながら戦後進歩派と戦ってきた人が、ひょっとしたら天皇を批判することを覚悟することによってしか、戦後進歩主義、民主主義に対しての批判を縫続できなくなるかも知れない」「陛下は世俗のことなんかに簡単に口を出してはいけない」。
 また元外務官僚の加瀬俊一は、「日本の天皇は政治にかかわってはならないと思いますね。新天皇が天皇になられた時とこの間の記者会見の時と二回、憲法を守るということをおっしゃっている。これは当然のことで、いってみれば人間は空気を吸って生きてますというようなものです。ただ、今の憲法をそのまま続けるべきか、あるいはもっと日本にふさわしいものに変えるべきかということが政治的な論争になっているわけです。陛下がああいうことをおっしゃるのは誤解を招くと思うんです。もう一つ、中国に行かれたいということをおっしゃっている。いま、自由世界では、六月四日の天安門事件以後、中国に対して制裁を加えようということになっている。…政治的発言だととられることを不用意にされるのは非常に危険だと恩います。」
 こうした天皇批判に対して、評論家の河原敏明は、「しかし明仁陛下にすれば、昭和三年の済南事変以来、日本は百万単位以上の中国の民衆を結果としては殺しているわけです。…日本が中国に進出してそれをやったわけですね。それを今の陛下は非常に遺憾に思われて、ある機会をみて、一言遺憾の意を表したいというお気持ちがある、これは私は立派なことだと思うんですがね」と明仁を擁護している。
 もっとあとのことになるが、二〇〇三年の韓国の盧泰愚大統領来日時の天皇発言について、猪木正道は「日本が加害者であったことを認め、今回は前国の『お言葉』に『』「日本の責任により』という一句を付け加え、『謝罪』の意志をはっきり打ち出すべきだ。…この一句を加えるだけで、韓国は日本を許す気になり、ひいては君徳も高まる」という謝罪論を主張した。
 天皇をどう政治的に利用するかで、天皇の役割をめぐる支配層内の対抗がつづいている。

天皇訪中と右派の激怒

 一九九二年、橋本内閣の時に天皇の訪中が実現し、天皇は、韓国にも行きたいという希望をもっている。これに右派は激怒した。
 外務省はアジアとの関係改善を行ってきたが、これに反発して、一九九五年に自由主義史観、「新しい歴史教科書をつくる会」が活動を始めた。
 右翼による明仁、美智子、そして、皇太子、雅子にたいする批判はその政策・態度に不満で、皇室のいまを変更させることを狙ったものだが、マスコミがいい気になって皇室批判をするのは、もっと面白くないので、出版社にたいする発砲事件などがおこっている。非常に複雑でねじれた構造がある。

社会的統合の破綻と天皇

 これまでは企業による統合で日本社会の安定が保たれてきた。しかし、いまの日本は、リストラ、非正規労働者の激増、中小企業・農業の切り捨て、そして高い失業率、ホームレス、自殺、ドメスティック・バイオレンス、家族の崩壊、貧富の格差の拡大という社会的統合破綻の状況にある。これに対処するための方策を支配層は、共同体・家族の再建に求め、天皇制をそれらの後ろ盾にしようとしている。天皇を中心とする日本のまとまりの復活ということだ。
 憲法「改正」問題でも、九〇年代末からは、九条に加えて、天皇、家族、教育なども言われているが、これは共同体の再建をめざすものだ。
 しかし、新自由主義の時代には、伝統的な共同体だけでは十分でなく、新しいものを社会の統合力にしたいというのが支配層の狙いである。


関西生コン労組など労働組合への弾圧を許すな

  
 連帯ユニオンなどが国会で記者会見  武建一関生委員長ようやく保釈

 反戦闘争など政権に反対の意思を示す運動・個人に対してするさまざまな弾圧事件が続いているが、労働組合に対してもまったく不当で理不尽な逮捕・長期勾留・起訴という事態が起こっている。昨〇五年、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部は、「強要未遂」「威力業務妨害」「背任」「政治資金規正法違反」などの<罪名>で、同支部の役員や職員が、一月に四人、三月に四人、一二月に三人とつぎつぎに逮捕され、そしてそのたびに組合事務所など多くの家宅捜索が行われた。武建一委員長は三件の事件すべてで逮捕・起訴され、長期勾留された。

 大阪府警、大阪地検の労組活動に対する不当な弾圧を止めさせ、一年以上も勾留されている武委員長の即時保釈を実現を求める署名活動が、佐高信(評論家)、鎌田慧(ルポライター)などの人びとによって呼びかけられ、三月八日には、衆議院議員会館でシンポジウム「関西地区生コン支部事件とは何か 『国策捜査』による労働運動弾圧の深層を明らかにする」が開かれた。
 開会の挨拶にたった垣沼陽輔書記長は、集会の直前に武委員長が一年二カ月ぶりに保釈された、とのニュースを紹介した。関生支部の武洋一副委員長と、昨年末に保釈された四人が闘う決意を述べた。
 社民党の菅野哲雄労働委員長(衆議院議員)のあいさつ、ジャーナリストの安田浩一さん、雑誌「世界」の岡本厚編集長、元共同通信記者でジャーナリストの魚住昭さん、昭和女子大学教授の木下武男さんが発言した。
 呼びかけ人と連帯労組は、今後の署名活動をはじめとした運動のとりくみ方については、武委員長が保釈されたことをうけ、新しい方針を打ち出す。


日本原燃六ヶ所再処理工場

     
 本格的稼動に向けてアクティブ試験に反対する

 日本原燃は青森県六ヶ所再処理工場で、本格的稼動に向けて使用済み燃料を使ってのアクティブ試験実施を三月中に、そして再処理工場の竣工を来年八月に行おうとしている。再処理工場は、使用済み燃料を使ってプルトニウムを抽出する。いま、原発関連施設は設備の欠陥がつぎつぎ明らかになっていているが、新しい施設もいつ大事故になるかわからない。また周辺の放射能汚染の問題がある。すでに青森県が発表したデータでも、再処理工場が出来れば「米一キログラムに放射能九〇ベクレルが入る」とされ、これは通常の二倍の量となる。

 三月八日には、国会議員会館で「六ヶ所再処理工場のアクティブ試験を考える議員と市民の集い」が開かれ、原子力資料情報室の澤井正子さんが「放射能の放出が始まる」をテーマに六ヶ所アクティブ試験について説明した。
 沖縄の次に有効求人倍率の低い青森県は原発、中間貯蔵施設、再処理など核施設の集中するところになっている。県や市などは財政的に困っており手厚い補助金を狙っているのだ。大間に予定されている原発は東京電力のものだが、遥かに遠い東京まで送電すると途中で七〜八%は失われる。しかし過疎地だから青森にそうした施設を作るというのだ。そして、六ヶ所村から二〇キロほどしか離れていない三沢市には米空軍がおり、タッチ・アンド・ゴー訓練を繰り返している。茨城県で核のリサイクル施設をつくった時には百里基地の存在が問題になったが、基地をなくすことで解決した。
 そして、工場の建設コストが事業許可時(一九八九年)に七六〇〇億円(建設費のみ)とされていたのが、二〇〇年の建設費は三兆三七〇〇億円、運転、そして解体費まで入れると、一一兆円にもなった。これからもどこまで膨らむかわからない。
 工場の工程では、大気中にクリプトン、キセノン、炭素14、セシウムなどが、海洋中には、トリチウム、テクネチウム、ヨウ素、プルトニウムなどが放出される。これらは大変危険なものだが、凄い勢いで放出されるため、地元には被害が少ないと説明されている。しかし、なくなるのではなく、遠くへ飛ばされるだけなのだ。
 もうひとつの問題は、日本の核武装にかかわる。プルトニウムは最終工程でもう一度ウランと混合されることになっているが、これはプルトニウムだけだと核兵器になるからだ。しかし、最後に混合しないでプルトニウムを貯めていけば核兵器を作るのは簡単なことだ。


図 書 紹 介

  内田雅敏著 
 「靖国には行かない。 戦争にも行かない」

              梨の木舎 A5版 170頁  1700円

 二月はじめに「梨の木舎」の「教科書に書かれなかった戦争シリーズ」のPART48として本書が発行された。内容の前半は最近の靖国問題を巡る論考と、福岡地裁と大阪高裁の「靖国」違憲判決について書かれた文章が五編収められている。後半は立川反戦ビラ入れ事件などで顕著な、言論・表現の自由を特徴とする戦争をする国への社会形成について考察した五編の文章が続く。最後に追章として二編の文が加えられている。どの文章も敗戦の年に生まれた著者が、弁護士の立場にある「実務家」と「運動家」として六〇年の社会生活のなかで出会い感じ考えてきた生々しさと事象へのしっかりとしたかかわりを経たものとして人柄がしのばれる作品になっている。戦後話題となった映画や事件を題材にした民主主義についての考察は、文化領域から発信する力強さを改めて思い起こされる。成熟したといわれる社会での「運動家」の方向を考えさせるものでもある。
 はじめの「知覧と国立競技場」で著者は、国立競技場で行われたラグビー試合の際にイラクで死んだ奥・井上の両外交官の黙祷が行われたことについて、外交官の死が「英雄伝説」として国家に剽窃され政治的に利用され始めたことに暗澹とした気持ちになったという。敗戦でわが国は、国のために死ぬ、国のために殺すという靖国イデオロギーから決別することから再出発したはずなのに。また、小泉首相は自衛隊のイラク派兵決定を発表する記者会見で憲法の前文を引用した。このことについても「平和主義、国連中心主義という憲法の精神を謳った前文の『剽窃』が始まった。」という指摘はまったく同感で、歴史に汚点として記しておかなければならないことだろう。
 「靖国」違憲判決については「違憲判決を『自らの責務』と考えた裁判長――福岡地裁「靖国」違憲判決」と「違憲を見逃さなかった裁判官たち――大阪高裁靖国」違憲判決」の二つで触れている。ともに単なる判決文の解釈ではなく、戦後を生きたひとびとや裁判官の憲法への関わりの中で「靖国」が語られる。前半にはさらに「靖国問題の本質――靖国イデオロギーから決別できない日本社会」と「靖国教と天皇制――リベラル保守の元高裁判事への手紙」の二編が収められている。これらにはずいぶん長い注が付いている。しかしこの「注」がけっこうおもしろいし、忘れていたことや曖昧だったことをはっきりさせてくれて、戦後の靖国や憲法をめぐる訴訟や違憲判決など時代の流れを再確認するのに役立つのだ。
 後半は「反戦ビラで逮捕―立川自衛隊宿舎イラク反戦ビラ入れ事件」「お元気ですか――『一二人の怒れる男』と『アラバマ物語』」「一歩前進二歩後退――イラク反戦ビラ入れ事件、高裁で逆転有罪」「友好こそ最大の安全保障――学ぶべきドイツの戦後政策」「雄鶏は声を挙げるだけで卵を産めないが――佐高真著『タレント文化人一五〇人斬り』を読む」が収められている。
 「お元気ですか……」は立川の事件に関連して数人に出した手紙のやりとりを紹介している。その中の憲法学者の奥平康弘さんに宛てた便りで内田さんは、――先生がおっしゃる、「表現の自由の核心は『(既成秩序に)挑戦する自由』『トゲのある言説を唱える自由』、『異論を述べる自由』であって……『当たり障りのない日常生活に関わる情報』『誰にでも有用で役に立つ情報』『トゲのない心地良い情報』などなどは、あえてわざわざ憲法によって保護されるまでもなく、……」というくだり、とりわけ後段は目から鱗が落ちる思いで読ませていただいた。――。さらに内田さんが講師をしている東京女子大で映画『一二人の怒れる男』を上映し書かせた学生の感想なども大変興味深い。
 本のボリュームの三分の一をも占める追章は、「『いつつぼし』蒲南小二年文集・一九五三年」と「モンゴルの星と地平線」の二編である。「いつつぼし」は偶然手に入った内田さんの小学校二年当時の文集だ。当時の庶民の暮らし方や自然、子どもや家族の人間関係を、当然ではあるが今日の関心から語っている。「モンゴル…」は、時間を飛び越えて二〇〇五年の夏、内田さんがモンゴルを旅したおりおりに考えたことを記した一文だ。追章の前にある文章が、飛び越えた時間をうめる“ピース”に当たるのだろう。
 内田さんは「あとがき」でも書いている。「――油断(?)すると『同期の桜』や『予科練の歌』が口をついて出ることがある。もしかしたら戦後民主主義はその出自からして、これらの歌と共生していたのかもしれないーー」と。私たちの多くが感じているように、歴史が大きく変えられようとしている今、戦後民主主義を再生させるための一つの角度として、一人一人が等身大で民主主義を自ら手にしていくためにヒントになるような一冊だと思う。(波)


KODAMA

    新しい歴史教科書をつくる会のホームぺ―ジを覗いたら


 新しい歴史教科書をつくる会のホームぺ―ジが<面白い>。
 この数日の更新は新しいものから、「三月一三日 評議会及び全国支部長会議を開催」「八日 会長就任のご挨拶」「同日 会長退任に当たって(声明)」「 同日 FAX通信通しナンバーの混乱について」「二月二八日 『FAX通信一六五号』の全文取り消しについて」……だ。

 扶桑社版の中学歴史・公民教科書を主導した「新しい歴史教科書をつくる会」の二月二七日の「つくる会」理事会で、会長だった八木秀次高崎経済大助教授と副会長だった藤岡信勝拓殖大教授が辞任し、後任会長に種子島経・元BMW東京社長が就任した。八木、藤岡は理事にとどまっているが、八木は「藤岡に追放された」と言っている。
 つくる会の言い分では、八木が昨年一二月に中国を訪問し、中国の学者・知識人と歴史認識について論議した。このことを「軽率」だとして八木批判が高まり、藤岡も執行部の一員としての責任を問われたと言っている。ちなみに、同様の内容であった以前の八木の韓国訪問は問題とされていない。八木は論壇で反動的な右翼的論調の尖兵の一人として名をあげ、二〇〇四年に電気通信大名誉教授の西尾幹二に続いて、会長に就任した。
 つくる会は、三月の一一〜一二日に、第四回評議会及び全国支部長会議(合同会議)を開催したが、これは「本部の人事問題に関する一連の騒ぎにより、支部及び会員の皆様、更に関係各位に多大なるご心労をおかけしたため、早急に問題の経緯を明らかにし、意見を述べていただく機会をつくろうと、種子島会長の呼びかけにより急遽開催され」たものだそうだ。
 さまざまな批判的意見が出ているが福島県支部・支部長代理のものが<笑える>。「中韓に対する訪問などは慎重にしてほしい。つくる会として見られるのだから理事会などで決定して出かけることにしてほしい。地方は事務局との関係が最も大切であり、密な関係を作る工夫をしてほしい。産経の記事は片方の情報だけを元に書いているのでは。朝日が喜ぶような内容でショックだ。マスコミ対策をしてほしい。現場の教員等との関係作りが必要だったと反省している。今後も支部長会議を開いて、支部同士の横の関係づくりや情報交換の場にしてほしい」。産経新聞にまで当り散らしている。
 こんなのもあった。道東支部・支部長代理のもの。「昨日に出された、事務局員に対する人格否定とも受け取れる発言はいかがなものか。」道北支部・支部長代理「事務局はつくる会の頭脳である。『たかが使用人』扱いでしかないのに大変な能力が要求されるというのは矛盾している。『使用人』扱いで、驚くほどの能力が必要であり、それで薄給では誰もそんな仕事はできない。事務局の位置づけなど会則の再検討も必要。これだけの規模の会ならばもっときちんとした会則が必要。学者を外せというのは乱暴な表現。教科書づくりは学問的なものであり、職掌を考えればよいことだ。理事会を支える意味で、評議員の地位をもう少しあげるべきでは。産経の北海道ブロックに関する記事については見出しを含めわれわれの意図するところとは違うので、抗議している」。……
 延々とこうした意見が続いている。
 八木の訪中問題を利用しての人事争いは、つくる会の「パンドラの箱」を開けたようだ。カネの問題を含めてその暗部が明らかにされる。扶桑社教科書採択阻止の運動を強めていこう。 (M)


複眼単眼

    3月12日 岩国市民のこの声 全国に響け


 三月十二日、岩国市周辺の気候は朝から肌寒く、曇天。これで投票に行く人びとが少しは多くなりそうな気がしてうれしい。
 市内のあちこちには市民団体が投票を呼びかけるのぼりやポスターが立ち並ぶ。スーパーや駅前ではポスターをかかげ、ハンドマイクで参加を呼びかける人たち。お母さんと一緒に大きなポスターを抱えて通る人びとに投票を呼びかける小さな子どももいた。
 この子らがこの街で大きくなる、基地の街にしてなるものかというお母さんの思いが伝わってくる。
 投票を呼びかける宣伝カーも街をくまなく、まわる。
 私たちは岩国基地の拡張工事現場を訪ねた。現在の基地を倍にするような大規模な埋め立て工事はほぼ基礎が終わっているようだった。周囲を封鎖され、狭められた堀のような海(沼)で魚が跳ねていた。ここもいずれは干されるところだ。誰かが「魚も怒っている!」と言った。
 午後四時を回ってしばらくした頃、街を車で走っていると、携帯に電話が入った。
 「今、午後四時の集計で、投票率は五〇%を超えました。五〇・五三%です」と。思っていたより早く、この時が来たのだ。車内から拍手が起きた。
 市民団体の人びとはそれでも街に立って呼びかけを続けている。
 「皆さん、いま投票率が五〇%を超えました。しかし、この市民の意志をより確かに表明するためにも、まだ投票に行っていない方はどうぞ投票してください」。
 投票は午後八時までつづくのだ。岩国駅前では先ほどの子どもがまだ頑張っている。風邪を引かないようにと願うばかりだ。信号待ちをしているおばあちゃんの手に投票用紙が握られているのをみてうれしくなった。声をかけたい気持ちがこみ上げたが、我慢した。街をいつもと同じように歩いている市民たちの、この半分以上の人びとが、今日、わざわざ投票所に足を運んで米軍機の移駐反対の投票をしたのだ。
 錦帯橋のちかくにある「岩国住民投票を成功させる会」事務所は人びとでごった返していた。さらに車やビラでの宣伝に飛び出す人。投票に行くのに交通手段がなく困っている人を迎えに行く人、マスコミのインタビューを受ける人、みな勝利を喜びながらも、最後まで奮闘していた。
 翌日の新聞は各紙ともトップで岩国住民投票で米軍機移転に九割が反対したことを伝えた。投票率五八・六八%だ。市内の全有権者の過半数が米軍機の移転に反対して投票した。私たちはこの歴史的な岩国住民投票の日にこの街にいた。なんだかそれだけでもうれしい気持ちがした。
 この岩国市民の声は沖縄の辺野古に、神奈川の座間や横須賀に、全国に基地反対を願う市民に届くだろう。
 この日、米軍再編に反対し、日米同盟強化に反対し、憲法九条の改悪に反対する闘いのあらたなページが開かれたのだと、真に思う。 (T)


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                               人民新報編集部