人民新報 ・ 第1204号<統合297(2006年7月3日)
  
                  目次

● 航空自衛隊もイラクから撤退せよ!  日米軍事一体化反対!

● 大きな転換点に立つ国鉄闘争  国労大会は地位確認訴訟を決定せよ

● 米軍再編と地元自治体  キャンプ座間と相模原市・座間市

● 派兵拒否の米軍中尉へ全米で支援広がる

● 沖縄・日本、韓国民衆の連帯で米軍再編に反対しよう

● 資 料  厚労省「素案」は労働法制の全面改悪であり「反対」です   (全労協)

● 映 画  /  蟻の兵隊   ( 池谷 薫 監督作品 )

    日本軍山西省残留問題とは

● 複眼単眼  /  首相が憲法を軽視する社会に蔓延する病 

● 夏季カンパの訴え   労働者社会主義同盟中央常任委員会




航空自衛隊もイラクから撤退せよ!  日米軍事一体化反対!

 イラクから陸上自衛隊の撤退がはじまった。二年半に及ぶ陸自のイラク派兵は延べ五五〇〇人におよび、米英占領軍の一翼を担いイラク民衆虐殺に重要な「貢献」をおこなった。
 撤退のために一〇〇名の撤退要員を新たに派兵したが、日の丸マークを隠し、民間軍事会社にガードしてもらうなど、コソコソした撤退はイラクでの陸上自衛隊の位置を物語るものだ。日本政府としては、イラクへの軍事的進出と多国籍軍支援の実績を印し、なおかつ感謝されつつ惜しまれつつの撤退を夢見たのだろうが、その目論見は完全に失敗した。そもそも、イラクの現実は、アメリカ・ブッシュ政権が想定したものとまったく違うものになっているのだ。
 陸上自衛隊は、ほとんどなにできず、ただただアメリカを支持する象徴的存在としてサマワに「宿営」してきたが、政府は陸自撤退を大々的にキャンペーンすることを機会に航空自衛隊をバグダッドや北部に派兵し、米軍支援を拡大・強化しようとしている。
 
 二〇〇三年三月の開戦から三年三カ月が経過したイラクは、ブッシュの思惑と大きく違って、まさに「泥沼化」「ベトナム化」の様相を強めている。その戦争と占領でイラクの民衆は数万人もの民衆の命が犠牲にされた。この間、米兵による民衆虐殺の戦争犯罪が次々と明らかになってきている。イラクでは毎日多くの死傷者がでており、このために国外に脱出した人は数知れない。
 アメリカのイラク戦争は、すでに道義的に敗北している。アメリカ国内ではかつての愛国主義のうねりは見られず、イラクでの事態があきらかになるにつれて厭戦気分が広がり、米軍兵士は自暴自棄になっている。その結果、よりいっそう悲惨な状況がうまれるだろう。
 しかし、小泉内閣は、多国籍軍を構成してきた各国軍が撤退するなかで、航空自衛隊の活動の拡大、資金援助、さまざまなイラク「支援」策を行うとしている。自衛隊はイラク人殺しを支援する活動を拡大しようとしている。そして六月下旬の訪米・日米首脳会談で、米軍作戦の一翼として日本と自衛隊を機能させる体制を一段と強化しようとしているのだ。

 陸自撤退・空自活動拡大という派兵の拡大に対して、イラク戦争・占領に反対し、イラクからのすべての自衛隊撤退をもとめての活動をつよめていかなければならない。
 WORLD PEACE NOWは、六月一七日、アメリカ大使館に対する抗議・申し入れ行動をおこない、二六日には、辺野古への基地建設をゆるさない実行委員会とともに、首相官邸前で、「すぐやめろイラク占領 すぐ戻せ自衛隊 日米戦争同盟はゴメンだ」アクションを展開し、イラクからのすべての自衛隊撤退、日米軍事一体化反対、日米首脳会談反対のシュプレヒコールをあげた。

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WORLD PEACE NOW声明

 陸自は撤退する。次は空自の撤退を ―イラク占領に加わり続ける小泉内閣の「偽装撤退」に惑わされない―

 六月二〇日、小泉首相はイラク・サマワに駐屯する陸上自衛隊の撤退を決め、額賀防衛庁長官が撤退命令を出した。陸自部隊は七月中にクウェートに出て、八月中に帰国する予定で、小泉首相は「陸自の人道復興支援活動は一定の役割を果たした」と自画自賛した。
しかし陸自の活動は、給水や道路・学校の補修、医療支援などと、それに伴う雇用ぐらいに限られ、その「恩恵」は一部の層しか潤さなかった。このため陸自への評価は高くはなく、住民の間にはむしろ不満が高まっていた。陸自は何度も迫撃砲の標的とされ、抗議デモも起こったが、それは自衛隊の「人道復興支援」が看板にすぎず、実は米英のイラク占領政策を支え、正当化するために存在していることを、イラクの人びとが正しく見抜いていたからだ。
英・豪軍はサマワからの撤退の理由を、「イラク治安部隊の能力が向上したので治安維持の任務を引き継ぐことができる」としている。しかし、自衛隊の役割が「人道復興支援」なら、「英・豪軍とともに」撤退する必要はないはずだ。実際は、陸自の撤退の時期や条件はすべて米国の了解を得ることで決められた。ここにも自衛隊のプレゼンスがイラク政府の意思や決定権とは無関係であることを示している。
 米・英・韓・豪・日など多国籍占領軍の国内では、そもそもウソの口実で始められた戦争に反対し、占領に加担すべきではないという世論が強く、戦争と占領に反対する市民運動が粘り強く続いてきた。イラクでは占領に対する抵抗が終わらず、米軍の掃討・治安作戦では虐殺・虐待があいつぎ、ブッシュ大統領の支持率は三〇%を下回るほど低下し、ブレア政権も苦境に立ち、イタリアでは派兵政権が敗北した。このため占領参加国は次々に脱落してきたが、今回はその崩壊過程が米国の最も緊密な英・日両政権にまで及んだものだ。私たちはなお一層、ただちに占領と虐殺をやめることを強く求める。
 しかし、問題は陸自の撤退だけでは解消されない。陸自撤退と引き換えに、これまでクウェートを拠点にイラク南部で活動してきた航空自衛隊のC―一三〇輸送部隊の活動範囲を、北のトルコ国境までのイラク全土に拡大することが米軍に約束させられたからだ。これは自衛隊がさらに深く、さらに露骨に米軍のイラク占領と掃討作戦に加担していくことを意味している。空自のC―一三〇は武装米兵や米軍の占領・掃討作戦に使われる軍事物資を運んできたからだ。国連の物資輸送を任務の一部に付け加えたのは、米軍の戦闘物資輸送への批判を緩和するための欺瞞工作に過ぎない。
 このように米国は、陸自撤退を「許可」する代わりに、占領・掃討作戦への実質的な支援の強化を手に入れた。空自には、「南部の治安改善」を理由に撤退することもできなくなり、米軍の占領が続く限り、ほぼ恒久的な支援をし続ける任務が与えられたことになる。だから陸自撤退を宣伝し、その代償に外部からは見えにくい空自の活動を拡大するのは、「偽装撤退」にほかならない。しかしイラクの人びとはもちろん、イスラーム世界をはじめ世界の人びとも、日本が米国の占領をますます直接に支えようとしている姿を見抜いている。日本と自衛隊は今後ますます、米軍とともに占領と虐殺の責任を問われることになろう。
私たち「WORLD PEACE NOW」は、自衛隊がこれ以上、占領と虐殺に手を貸すことがないよう、航空自衛隊の即時撤退を要求し、占領を終わらせるため世界の市民運動とともに派兵国の各政府を追いつめていく。

二〇〇六年六月二五日

WORLD PEACE NOW 実行委員会


大きな転換点に立つ国鉄闘争

  
国労大会は地位確認訴訟を決定せよ

 一九八七年の国鉄分割・民営化から二〇年目に突入し、国鉄闘争は正念場を迎えている。一〇四七名を中心に、闘う団結を強め、年内決着を目指して勝利する体制の構築が求められている。七月末の国鉄労働組合全国大会で、鉄建公団(鉄道運輸機構)に対する訴訟を国労全体として決定し、一〇四七名全員の統一した裁判闘争の戦線をつくり、それを軸に様々な大衆行動、世論喚起を背景に解決の交渉を実現できるようにしなければならない。
 鉄建訴訟は、損害賠償と地位確認を求めて闘われている。この裁判闘争に、いまだ訴訟に立ち上がっていない闘争団員が残らず参加することは、一〇四七名の名実ともなう団結となり、国労の闘う姿勢を内外に示し、支援の輪をいっそう強め広めることになるのである。これの実現こそが、国鉄闘争の勝利的展望を切り開くものだ。そして、鉄建訴訟提訴はこの一二月に時効となる。早期の決断が求められているのだ。

 一〇四七連絡会をはじめ国労組合員、支援の労働者などは、解決交渉テーブル設置を求めて、六月一二日から、鉄道運輸機構、国土交通省、清算事業団本部、東京地裁に対して連日の抗議・要請行動、国会前座り込みなどをおこなった。こうした行動は、国労、全日本建設交通運輸一般労働組合と一〇四七名の不当解雇撤回!国鉄闘争に勝利する共闘会議(二瓶久勝議長)、国鉄闘争支援中央共闘会議(中里忠仁議長)の四団体による一致した取り組みとして行われた。

 六月一六日は、早朝からけんり総行動で、みずほ銀行、昭和シェル石油、フジテレビ、朝日新聞本社、(株)郡司、国土交通省、郵政公社、ケーメックス、住友重機、NTT大手町、東京都庁、トヨタ本社などで社前集会と要請行動をおこなった。総行動につづいて、日比谷野外音楽堂で、三〇〇〇人が参加して「一〇四七名の争議解決を求める6・16集会」が開かれた。
 集会は国労をはじめ四団体によるもので、主催者を代表して佐藤勝雄国労委員長があいさつで、政府との交渉を求めるとともに、訴訟にたいしては七月の全国大会で前向きの対応をしていくと発言した。しかし、国労本部の言う訴訟が損賠だけなのか、地位確認も含むものかは明らかにせず、会場からはヤジもとんだ。
 つづいて三団体からの決意表明。
 建交労本部佐藤陵一委員長は、大同団結し共同した力で闘いの前進を実現しようと述べた。
 国鉄共闘会議の二瓶議長は、昨年の9・15判決は、原告団をはじめ共闘組織の力で勝ち取ったもので、国労も全国大会でしっかりと訴訟に立ち上がることを決めて欲しい、損賠、地位確認セットの訴訟で一〇四七名の統一を実現することを期待したいと述べた。
 国鉄中央共闘の中里議長は、全面勝利に向けた大同団結が必要だと述べた。
 現地からの報告として、北海道平和フォーラムと鹿児島平和運動センターから、国鉄闘争の勝利に向けたキャラバンを初めとした活動の報告と激励のあいさつをうけた。
 集会アピールを提案した鉄建公団訴訟原告団酒井直昭団長は、国鉄闘争が重要な局面にきているいまこそ、未提訴の仲間も地位確認を入れた訴訟に立ち上がり、そして国労の大同団結を勝ち取ろうと訴えた。
 建交労鉄道本部福岡委員長が閉会のあいさつ、国労闘争団全国連絡会議の神宮義秋議長の音頭で「国鉄闘争勝利にむけて団結してガンバロー」を行い、デモ行進に出発した。

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今こそ解決を!共同のカで!一〇四七名の争議解決を求める6・16集会アピール

 「今こそ解決を!共同のカで!一〇四七名の争議解決を求める6・16集会」に全国から参加いただいた皆さん!
 本集念では、一〇四七名と当該の労働組合が、勝刊解決へ向け、共に闘う仲間の強い絆が図られ、さらに闘いを進める決意を改めて内外に明らかにしたことが確認された。
 一九八七年四月一日、国鉄分割民営化を口実に行われた組合差別に伴うJR不採用事件は、二〇年目となり、不採用となった国鉄労働者は、言われなき汚名と生活苦を強いられ、多大な犠牲を払って闘い続けてきた。闘争団、争議団、原告団は高齢化し、すでに四〇名の仲間が解決を見ることなく他界するなど、深刻な事態となっている。
 二〇〇三年一二月二二日の最高裁判決が出され、二〇〇四年六月一八日、ILO(国際労働機関)理事会は日本政府に対して、「政治的・人道的見地の精神に立った話し合いを、全ての関係当事者との間で推進するように勧める」とする六度目の勧告を行った。
 また、二〇〇五年九月一五日には「鉄建公団訴訟原告」に対して東京地裁判決が出されたが、結果において、解雇を法的に有効とした極めて政治的な判決であった。しかし「国鉄の不法行為」を明確に認定し、慰謝料の支払いを命じるものであった。改めて、当時の国鉄当局の責任が明確になったといえるばかりか、解決に向けた運動にとって重要な意義を持つものであった。
 こうし中で、国鉄当働者一〇四七名および関係当事者の大同団結を図り、全国的な運動によって世論を喚起するために、「2・16集会」「4・4全国集会」などを開催し、さらに早期に解決を図るために、引き続き全国各地で各種共同行動が取り組まれている。
 他方、平和・人権・民主主義への攻勢に対して、憲法擁護の運動、教育基本法改悪反対、在日米軍基地再編計画反対運動などが全国各地で取り組まれている。
 私たちは、このような情勢下において、一〇四七名をはじめとする関係当事者の大同団結をさらに発展させ、ILO勧告の早急な履行と、「国鉄の不法行為」責任を通常国会終盤のなかで政府・鉄道運輸機構に迫り、全国の様々な運動と連帯、共同して一〇四七名の争議解決を勝ち取らなければならない。
 長期に渡る闘いに物心両面の支援・協力をいただいている全ての皆さんに、解決促進へ向けた大同団結の体制と運動の強化・発展、共同のカを促進し解決へ向けた支援・連帯の活動を引き統さ訴えるものである。

二〇〇六年六月一六日


米軍再編と地元自治体

   キャンプ座間と相模原市・座間市


 米軍再編最終報告と閣議決定によって、基地に反対する自治体への圧力が強まっている。そうした政府の動きの一環に、反対自治体が態度を変えたというデマ宣伝がある。これには防衛施設庁も大きくかかわっている。防衛施設庁は、各自治体の米軍再編についての対応を色分けしてホームページで公表していたが、これが、恣意的で、賛成自治体が増えているように見せかけるものだったが、各地からの抗議で閉鎖に追い込まれた。

 北原巌男防衛施設庁長官は五月一二日の定例会見で、在日米軍再編に関連する全国五五自治体のうち、これまでに二五自治体から理解を得られたと述べた。その一つが、キャンプ座間をかかえる神奈川県相模原市。しかし、同市は全面否定した。相模原市渉外課は、「容認にはほど遠く、これからも基地強化には反対していく」と不快感をあらわにしている。

 地元の相模原市と座間市はキャンプ座間への米陸軍第一軍団移駐に対して自治体あげて反対運動を展開してきた。
 この問題に関して「キャンプ座間への米陸軍第一軍団の移駐を歓迎しない会歓迎しない会は、次のようなニュース(神奈川新聞より)を載せている。
 <「容認はしません」。在日米軍再編で日米政府が合意した最終報告について、相模原市の小川勇夫市長は十日、非公開で開かれた同市議会全員協議会で明言した。「戦車にひかれても…」。小川市長の口からはこの日、勇猛果敢な言葉が次々に飛び出した。関係者によると、全員協議会で「合意内容を容認するべきではないか」と促された小川市長は「しません」ときっぱり。同市米軍基地返還促進等市民協議会臨時実行委員会でも「新聞報道などで容認したように誤解されているが、基地の強化・恒久化には最後まで反対する。戦車にひかれても反対の決意は変わらない」と強調した。>
 一方、座間市では、五月一一日に、キャンプ座間米陸軍第一軍団司令部等移転に伴う基地強化に反対する座間市連絡協議会(会長・星野勝司座間市長)が「在日米軍再編の日米最終合意について」を出し、「国とされては、本協議会の求めに応えようとする姿勢は見受けられますが、未だ将来のキャンプ座間の基地恒久化解消への具体的方策を示さず、引続き協議を進める最中、日米再編の最終報告がなされたことは誠に残念であり、到底承服しかねるものであって、現下ではあくまでも反対であることを表明するものであります。国は、キャンプ座間米軍基地の将来における恒久化解消策について、本協議会と継続して協議することを約束されており、国として将来に責任を持ち、実現可能な基地の恒久化解消策を示され、地元理解を基本とした姿勢をもって誠心誠意協議を尽くされることを強く求めるものであります」としている。
 いずれの市も「反対」の姿勢は崩してはいないが、政府は地元自民党・保守層を動員し、また在日米軍みずからも反対運動切り崩しのさまざまな手法をろうしてきているので、保守を含んだ官製反対運動の脆弱さを克服するため、市議会野党のがんばりと市民基盤の運動の強化が求められている。


派兵拒否の米軍中尉へ全米で支援広がる

 エーレン・K・ワタダ米軍中尉は、「アメリカがイラクで発動した戦争と、イラクでの占領は違法であり、この戦争に参加することも違法だ」として、ワシントン州のマッコールド空軍基地に赴任してイラクへ駐留するための準備を行うことを拒んだ。
 ワタダ中尉を支援するのホームページによると中尉は、基地に拘禁されているという。ワタダ中尉の発言は、イラクへの侵略戦争をつづけるブッシュ政権にとって致命的な打撃をあたえるからだ。すでに、退役将軍たちからラムズフェルド国防長官に対する批判、イラクからの撤兵の要求が続いているが、イラク戦争に大義(フセイン政権の大量破壊兵器保有とその使用が切迫していたというのがイラク侵攻の口実だった)がないばかりか、侵略戦争としての非道さをますますあらわにしてきている。ハディーサでの大量虐殺事件では米兵が起訴され、アブグレイブ刑務所での拷問虐待では有罪判決がでた。イラクでのそうした戦争犯罪行為は日をおって暴露されている。こうした事件が続出しているのは戦争そのものの本質に問題があるのだ。
 ワタダ中尉を支援する全国的な行動が始まっているが、侵略米軍そのものなかから汚い戦争を拒否する将兵が出て、それに対する支援が広がり、かれにつづく軍人が続出するなら、侵略軍は解体する。
 六月二七日には、アメリカの数十の都市で、「ワタダ中尉を支援する全国行動」が展開される。

ワタダ中尉を支援するのホームページ www.thankyoult.org/


沖縄・日本、韓国民衆の連帯で米軍再編に反対しよう

 六月一七日、<沖縄・日本、韓国民衆の連帯で米軍基地強化にノーを!>をかかげて、米軍再編反対・東北アジアに平和を!6・17行動がおこなわれた。
午後三時に西神田公園に集合し、小集会の後、デモに出発した。

 デモの後は、文京区民センターで「米軍再編反対・東北アジアに平和を!集会」が開かれた。
 東京新聞社会部記者の半田滋さんによる「日米軍事再編・『最終報告(ロードマップ)』を斬る」と題して講演につづいて、各地からの報告になった。
 はじめに基地撤去をめざす(神奈川)県央共闘会議桧鼻達実さん。
 米軍再編計画最終報告の閣議決定のあと政府は反対している地元の切り崩しに必死になっている。キャンプ座間を抱える相模原、座間両市でも、市長は反対の姿勢を崩していないし、それぞれ市、市議会、地域自治体協議会による官製運動も反対でやってきている。そこで米軍は自治会の役員を食事に呼んだりして、反対運動を弱めようとしているが、今後はヘリコプターの離発着が多くなり騒音も問題になってくる。厚木基地からは岩国に訓練機を移すとしているが、実は修理は厚木でしかできない。米軍は岩国と厚木を両方使えるようになるということになる。横須賀では、政府・自民党の圧力で、市長が原子力空母容認の発言をした。このように、米軍再編計画は、まったくの基地強化であり、さまざまな負担が明らかになってきている。反対運動をいっそうつよめていかなければならない。
 沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの吉田正司さん。
 沖縄の負担軽減をひとつの口実に、米軍再編が行われているが、普天間基地の代替も辺野古であるように、県内移設にすぎない。そして、米軍基地移設には膨大な金がかかるが、それを日本が負担する。日本政府はアメリカからさまざまな理不尽な要求があるのに、一言も言えないでいる。
 在日韓国民主統一連合の宋世一事務総長。
 今、朝鮮半島では、南北の融和が進んでいる。米軍再編は、東北アジアの平和に逆行するうごきだ。
 山口県の岩国市議でピースリンク広島・呉・岩国の田村順源さん。
 岩国市民は、厚木からの岩国への訓練機移駐に反対する住民投票、そして市長選で反対の意思を圧倒的多数で示した。いま岩国は市町村合併で一一〇人もの市議がいる。そのなかで、地域振興の餌に釣られた一部市議の動きがある。国は、「防衛」問題は国の専管事項だとし、さまざまの口実で補助金の削減を行って市長を兵糧ぜめにしている。市民の悲願である空港や市庁舎の建設に当然だすべきものもストップしている。市議会での賛成派の巻き返しや山口県知事の岩国市に対するしめつけもあり、非常に緊迫した状況にある。住民投票で、民意は示されたが、これは、全国から多くの支援が寄せられて勝ち取られたものだ。
 韓国からゲストは、平澤(ピョンテク)米軍基地拡張阻止汎国民対策委員会執行委員で「平和と統一を開く人々」米軍問題チーム局長のチョン・ヨンジンさんで、「駐韓米軍基地拡張反対・平澤住民の闘い」を報告した。
 アジアでの米軍再編は、戦略的には対中国封鎖同盟ということだ。そして、韓米司令部機能を統合することだ。平澤米軍基地の拡張はそのためにある。現地の反対運動に対して政府は五月に強制執行の暴挙に出てきた。それには、一万をこえる警察、三〇〇〇弱の軍隊、そして七〇〇人の暴力団が投入された。その結果、多数の逮捕者、負傷者が出た。軍人は何人もでひとりに殴る蹴るの蛮行をおこなった。これはかつての光州事件の再現である。現地では、軍が封鎖、監視をおこなっている。町を武装した警察、軍人が歩き回っている。国は反対派に対し六月末まで退去を要求し、そうしなければ強制撤去すると脅している。そして、住民に、反対する人々は「反米勢力」だと宣伝し社会的に分断し孤立させようとしている。われわれは二〇〇四年から拡張反対の意をあらわすためにローソク集会を継続している。日本に来て感じたことは、韓日連帯の強さであり、国際連帯に心から感謝したい。


資 料

 厚労省「素案」は労働法制の全面改悪であり「反対」です

             全国労働組合連絡協議会(全労協)


 「労働契約法制」と「労働時間制度の見直し」を審議している厚生労働省労働政策審議会の第五八回労働条件分科会は、六月一三日、「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(案)」(いわゆる「素案」)を発表した。
 厚労省は、これを分科会の「中間とりまとめ」の叩き台とすると見られているが、分科会の労使各委員からは異論がだされている。しかし、今年一二月中に「労働契約法案」「労基法改正案』としてまとめ、来年の通常国会に法案として提出しようとしている。
 厚労省はこの文書を直ちに撤回すべきだ。全国労働組合連絡協議会(全労協)は、六月二〇日、同分科会の各委員に対して、<反対の申し入れ・厚労省「素案」は労働法制の全面改悪であり「反対」です>をアピールした。全労協は、連合、全労連とともに、労政審・労働条件分科会へビラ入れ情宣と労働者委員への激励行動を行っている。各労組、職場・地域から「反対・撤回」の運動を強めていこう。(編集部)


<反対の申し入れ>
  厚労省「素案」は労働法制の全面改悪であり「反対」です


 労政各委員の皆様におかれましては、ご多忙のなかご苦労様です。
 さて、厚労省は、六月一三日、労政審・労働条件分科会に対し、「労働契約法制及び労働時間法制のあり方について(案)」という厚労省「素案」を出しました。この厚労省「素案」について、以下の点から労働法制の全面改悪であり「反対」です。また、反対意見があるなかで七月 中に「中間まとめ」を強行することにも反対します。

 労働契約法制関係について

 一、「就業規則の変更」という「労働条件の改悪」について、「過半数組合」との合意があれば「合理的」なものとする、また、「過半数組合」がない場合は「すべての労働者を適正に代表する者」という表現で「労使委員会」の決議があれば「法的効果」を与えるとしている。
 二、これは、組合組織率が一八・五%という状況のなかでは、職場に「労使委員会」を設置することを基本としており、「過半数組合」がある場合は「労使合意」方式に変更することにより、「過半数組合」取り込もうとしている。まさに、少数組合を形骸化し、職場の団結権を侵害するものであり「反対」です。
 ましてや、「就業規則変更で不利益」を受ける個別労働者も「合意」したものとされ、不服がある場合の「立証責任」を労働者側に求める不当なものである。これは、労働条件の「本人同意原則」を無視し、労働者の権利を侵害するものであり「反対」です。
 三、転勤・出向は「就業規則が不合理」でない限り、労働者の個別の承諾は「不必要」、転籍は承諾が「必要」としている。また、個別の「労働契約の変更」(勤務地・賃金等の変更)について、労働者が異議をとどめて承諾した場合、「異議をとどめたことを理由に解雇はできない」としている。これは、当然のことである。しかし、別な言い方をすれば、労働条件の「不利益変更」に反対し、応じなかった場合は「解雇」できるということである。つまり、「研究会」報告にある労働条件の「本人同意原則」を無視する「雇用継続型契約変更制度」が生きているということであり、使用者側の権限を一方的に強化するものであり「反対」です。
 四、解雇について、「紛争の早期解決」、「原職復帰が困難」等を理由に解雇の「金銭解決制度」の導入をするとしている。しかしこれは、裁判で不当解雇の判決が出されても「金銭解決」し、原職復帰させないということである。これでは、「組合役員」や会社に「不都合な者」等が職場から排除されることとなり、経営者側の「解雇権の濫用」を助長させるものであり「反対」です。
 五、有期労働契約のルールの明確化については必要なことであるが、何よりも賃金、休暇制度、福利厚生、社会保険、年金等で正社員との均等待遇化を法制化すべきです。

 労働時間制度関係について

 一、「自律的労働」に従事する者は、法定休日(三五条)と年次有給休暇(三九条)を除く労働時間規則を適用除外するとしている。その自律的労働とは、労働時間や業務指示等について自己調整できる者、年収が一定水準以上の者等としている。また、全労働者の一定割合以内にすることも「慎重」に検討するとしています。
 二、これは、「研究会」報告では、「係長級」「チームリーダー級」が「自律的労働」の対象として出されてきた経緯にあります。また、日本経団連は「年収四〇〇万円以上」を対象と主張してきている。厚労省や日本経団連の狙いは、このレベルの労働者を「自律的労働」の対象として「三六協定」の適用除外を想定しているのです。
 三、それを、今回の厚労省「試案」では対象範囲を狭めてきています。それは、「日本型ホワイトカラーエグゼンプション」として、多くの労働組合や労働弁護団等の反対意見が強いなかで、今回は制度として発足させ「小さく産んで、大きく育てる」という戦略なのです。これまでもパート等非正規労働は「一時的・臨時的」業務として限定してスタートしたものが、いつの間にか全労働者の三三%までも拡大してきました。派遣労働についても「専門的知識・業種」としてスタートしながら、〇五年度から製造業にまで拡大してきたことからも明らかです。
 四、「自律的労働」の対象とされてゆく、「係長級」「チームリーダー級」や「三〇才代」「四〇才代」は、働き盛りで月六〇時間〜一〇〇時間を超えて残業をしているものが多い実態にあり、「過労死・過労自殺」やF脳・心臓疾患」で倒れている労働者も多いのです。つまり、「自律的労働」として「三六協定」から適用除外する制度は、サービス残業・タダ働きを合法化する制度であり、「過労死・過労自殺者」や「脳・心臓疾患者」を増大することとなるものであり「反対」です。
 五、また、長時間労働の抑制と疲労回復の手段として、(一)月四〇時間以上の時間外労働に「一日の休日」、(二)月七五時間以上の時間外労働に「二日の休日」の付与、(三)月三〇時間を超えた時間外労働の割増賃金を二・五割〜五割へ引き上げ、また、割増賃金の引き上げ分について、金銭ではなく「休日付与」を検討するとしています。
 六、この割増賃金の引き上げと休日増について否定するものではないが、月六〇〜一〇〇時間という残業(過労死予備軍)をせざるを得ず、土日休みや有給休暇も取れないという職場の実態の本質を見ていない。それは、リストラで人員削減され、少ない人員で増大する業務量の処理を競争主義・成果主義で酷使されているのです。
 むしろ、経営の安定化のためには、必要人員を配置させ、悪しき競争主義・成果主義をやめさせて、労基法違反の経営者への罰則の強化と違反企業・経営者を公表する体制の強化こそ必要です。

二〇〇六年六月二〇日 

全国労働組合連絡協議会(全労協)


映 画

     
蟻の兵隊

                  池谷 薫 監督作品  1時間41分

 知人に誘われて「蟻の兵隊」の試写会に行った。チラシに「世界ではじめて『日本軍山西省残留問題』に正面から切り込んだ長編ドキュメンタリー」とあった。この問題についてはそういうことがあったとは聞いていたが実際のことはほとんど知らなかった。
 八一歳になる奥村和一さんは、新潟市出身で早稲田在学中に徴兵され、北支派遣軍第一軍に配属となり山西省で敗戦を迎えた。だが、第一軍の一部は武装解除を受けないまま国民党系の軍閥の部隊に組み入れられ、中国人民解放軍と戦い、負傷し、捕虜となった。
 一九五四年に帰国した奥村さんたちは愕然とする。自分自身の意思で中国に残り、国民党軍の一部として戦ったとされ、四六年に「軍籍が抹消」されていた。だから奥村さんたちには軍人恩給が出ない。

自分の意思か軍命令か

 映画では、自分の意思ではなく、軍の命令によって残留したことを証明するために、日本だけでなく中国にも行って証拠を集める奥村さんが描かれている。その結果、第一軍と山西軍閥との密約の数々の証拠や証言が出てきた。
 奥村さんは「軍人恩給が欲しいのではない。命令によって残留し、戦ったことを国に認めさせ、名誉を回復したいのです」と言っているが、国、そして将兵を置き去りにして自分たちだけは日本に逃げ帰ってきた第一軍の上層部の証言は、あくまでも「自分の意思」の残留を主張し続けている。
 「自ら希望して残った」とする国と、「軍の命令で残された」とする元残留兵らの主張がまったく対立したままだ。
 かつて国会でこの問題では参考人招致された、澄田・元司令官は、各部隊を回って全員帰還するように説明したなどと証言し、それをうけて厚生省は、残留兵は軍の説得に応じず自分の意志で残ったと結論付けたのであった。
 二〇〇一年、奥村さんたち元残留兵は国に軍人恩給の支払いを求めて提訴したが、二〇〇四年の一審に続いて、昨二〇〇五年の二審と最高裁でも敗訴している。
 しかし、奥村さんたちのこの間の調査で、軍の残留命令をうかがわせる文書や残留軍の内部文書が見つかっており、奥村さんたちは改めて国に戦後処理の清算を求めて闘いを起こすとしている。

日本軍再建のために

 映像では、奥村さんたちと元残留兵士のあいだで交わされる会話のなかで、上官からいわれた言葉に注目させられた。それは、残留兵士・軍は、「将来再建される日本軍の一部」として位置付けられていることだ。かつて、第一次大戦に敗北したドイツは、戦勝国から軍縮を強制される中、様々な形で軍隊機能を残し、やがて大軍事国家に復活したが、山西残留日本軍問題にはそのことも思い出させるものがある。

棄民・棄兵

 しかし、山西残留問題での第一の問題は、軍司令官たちが自分たちだけが助かろうという態度である。日本関東軍は、一九四五年八月、ソ連の参戦、中国軍の反攻、中国民衆の反日行動に直面すると在留邦人を放り出して逃げ出した。沖縄線での日本軍も民衆を守るものではなかった。軍は棄民したのだったが、兵もまた棄てられた。
 帝国主義の軍隊は、すべてそうしたものだが、山西省では、一部高級将校は部隊の部下だった将兵の生命を差し出し、自らの命を長らえたのである。
 「生きて虜囚の辱めをうけず」などという戦陣訓を日本軍将兵におしつけ、そのために、多くの兵士が「玉砕」を強いられて無残に殺されたのに、自らは、敗戦で「自決」もせず、戦犯容疑でGHQに拘束されそうになるとピストル自殺を図り、胸に目印をつけておきながら「失敗」するような東条英機が日本軍閥の頭目だったのだから、澄田もまたそれに習ったといえようか。
 ちなみに、この澄田第一軍司令官は元日銀総裁澄田智の父親である。

歴史の証拠・教訓

 山西省の公文書館に残留日本軍の内部文書が保管されている。奥村さんは、そこを訪ね。文書を見る。文書の中には閻錫山の澄田たちを無事に日本へ送るようにという命令書もあった。腐敗し民衆の支持を失いつつあった国民党軍は攻勢を強める人民解放軍と闘うために、武器弾薬、なにより血を流して闘う将兵が欲しい。澄田たちは、戦犯として処刑されるのが何より怖い。ここに密約が生まれたのだろう。奥村さんは、中国では、戦った相手の元人民解放軍の兵士、元閻錫山の参謀だった人など多くの人に会う。なかでも、日本軍が新兵の殺人訓練のために殺した人の家族に会う場面では、侵略戦争を否定していた奥村さんが、むきになって「なぜ逃げなかったのか」と問う。「逃げれば、殺さずにすんだのに」ということだが、その人は日本軍の仕事もしていたのでまさか殺されることはないだろうと逃げなかったそうだ。少したって奥村さんは反省する。あれほど普段侵略戦争はいけないと思い、そう言ってきたのに、いざとなると、あの時逃げてくれれば殺されずにすんだのにという、なんとか自分の罪を軽くしたいという気持ちがあらわれてしまうったのなぁ、と。
 終わり頃に、奥村さんが八月一五日に靖国神社に行く場面がある。もちろん参拝ではない。ルバング島の小野田寛郎が、広場で発言している。帰ろうとする小野田に、奥村さんはあの戦争は侵略ではなかったのかと鋭く詰問する。そのときの小野田の怯えたような態度は印象的だった。

 試写会では、監督の池谷薫さんがあいさつ。この問題は日本の歴史と現在を問うものだ。多くの人に見てもらいたい。
 奥村和一さんは、過去の歴史をしっかりととらえなければまた誤りをおかすことになる、証拠も増えている、なんとしても、国に真実を認めさせたいと元気にあいさつした。

 タイトルの「蟻の兵隊」は、「私たちは上官の命令に従い、蟻のようにただ黙々と戦った」というところからつけられたという。

●七月下旬よりロードショー

「蟻の兵隊」ホームページ  www.arinoheitai.com/

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日本軍山西省残留問題とは

 一九四五年八月、日本軍国主義は連合国に無条件降伏し、海外にいた日本軍隊も武装解除し帰国するはずだった。ところが、当時、中国の山西省にいた北支派遣軍の第一軍(司令官・澄田中将)の将兵五九〇〇〇人のうち約二六〇〇人が、ポツダム宣言に違反して武装解除を受けることなく中国国民党系閻錫山軍(国民党第二戦区軍)に合流し、四年間共産党軍(八路軍→人民解放軍)と戦った。約五五〇人が戦死し、七〇〇人以上が捕虜となった。
 解放軍との戦いは、四八年夏に晋中地区で行われ、元独立歩兵第一四旅団長元泉少将が戦死、壊滅的な打撃をうけ、続いてその年の秋の太原城攻防戦でも多くの戦死者を出し、四九年四月、太原陥落で全員が捕虜となった。
 いっぽう、残留命令を出した澄田司令官や山岡参謀長らは日本へ逃げ帰っていた。なぜ、残留命令が出されたのか。戦犯の指定をされていた軍司令官などが責任追及への恐れから国民党軍閥と密約を交わして、みずからの免罪の代わりに、将兵を残留させたものである。
 解放軍の捕虜となり、そして帰国した残留兵士たちは、国に軍人恩給等の支給を請求したが、国は「自らの意志で残り、勝手に戦争を続けた」として、対象から除外したまま今日に至っている。


複眼単眼

  首相が憲法を軽視する社会に蔓延する病
 

 このところなにかと「経済がおもしろい」のだが、それでいて「おもしろい」といってもストレスの解消にはならない。ますます腹がたってくるのだ。
 三〇代のLD・堀江貴文、四〇代の村上ファンド・村上世彰と経済界では青年層の二人がメディアの話題をさらったかと思えば、今度は七〇代の第二九代日銀総裁の福井俊彦だ。テレビ映りが良く、言語明瞭な二人に比べ、福井はなんとも不細工で絵にならない。
 福井は一九五八年日銀入行で、九四年に副総裁に。九八年に起きた「ノーパンしゃぶしゃぶ」事件で監督責任を問われ、退任。九八年に富士通総研理事長、二〇〇一年、経済同友会副代表幹事。〇三年、総裁になった。
 この人物があれこれと弁明するうちにわかってきたのは、「たいした金額でもない」一〇〇〇万円を、村上という青年の意気に感じたので「その志を応援したかったから」ポンと投資してあげた。投資したのは、富士通総研理事長だった九九年だが、日銀総裁就任後も解約せずに保有し続けたことから、総裁の資質を問われている。追及されて、答えたところによると、その投資で儲けた額はたいした金額でないので、「あまり記憶になかった」が、調べてみると、六年間で五六二万円だった。堀江が逮捕されたあと、急きょ、解約したので当時、純利益と評価益であわせて二二三一万円、実に倍以上の利益だった。ときは日銀主導によるゼロ金利時代のことである。
 村上ファンドもそうであるが、こうした投資ファンドはカネがあれば誰でも入れるというわけではない。超一流の経済人たちが、非公然で最低一億円以上の金額を出さないと受け付けられない。福井が一〇〇〇万円で加入できたのには当然、裏がある。「ウチはあの福井さんにもお世話になっています」ぐらいは営業用の常套文句であろう。広告塔になって儲けさせてもらっていた福井と村上は持ちつ持たれつなのだ。
 小泉首相は自分の任命責任に関わるので、「辞任の必要なし」と言っているが、「日本銀行員の心得」にはこう書いてある。

個人的利殖行為
 現担当職務と個人的利殖行為との間に直接的な関係がなくとも、過去の職歴や現在の職務上の立場等に照らし、世間から些かなりとも疑念を抱かれることが予想される場合には、そうした個人的利殖行為は慎まなければならない。
また、疑念を抱かれる利殖行為に該当するか否か判断し得ない場合は、あらかじめ所属長(所属長自身の場合はコンプライアンス会議の審議を経て総裁が役職員の中から定める者)に相談するものとする。

贈与等、株取引等および所得等の報告
 局長級の職員は、別に定めるところにより、株券等の取得または譲渡および所得等に関し、所属長(所属長自身の場合はコンプライアンス会議の審議を経て総裁が役職員の中から定める者)に報告しなければならない。

 まあ、小泉首相が憲法を守らないのだから、福井総裁に「心得」を示して見たところで、ナントカの面にナントカかではあるが。 (T)


夏季カンパの訴え

   労働者社会主義同盟中央常任委員会


 小泉政権の五年間は、さまざまなペテン的な手法を使いながら、格差拡大、自衛隊を米軍の一翼に組み込んで戦争の出来る国づくり、そして改憲に道を開く危険な時代でした。しかし、政府・与党は、共謀罪、教育基本法改悪、国民投票法案を通常国会では成立させることは出来ず、今や小泉政治の負の面が全面的に噴出してきています。村上ファンド、福井日銀総裁の投機とインサイダー取り引きなどが暴露され、国家財政赤字は破綻し、年金崩壊、増税、イラク情勢のいっそうの泥沼化、アジア外交の行き詰まりなど、ポスト小泉の総裁・総理が誰になろうとも、自民党支配は大きく動揺せざるを得なくなってきています。にもかかわらず、小泉は八月一五日に靖国神社参拝を強行しようとしています。
 これからの情勢は、内外ともに非常に緊迫したものとなります。政府・自民党は、臨時国会で三法案をはじめさまざまの悪法を成立させようとし、米軍再編法案で日米軍事一体化と基地負担・被害を拡大させ、またイラクでは航空自衛隊の多国籍軍の一員としての活動が強化されます。しかし、同時に、自民党政治支配はおおきなほころびを見せ始めています。闘いを堅持すれば、展望は大きく開けることになるでしょう。
 大きく団結して闘う戦線を確立しなければならない時です。
 ともに、反戦闘争、労働運動を前進させ、社会主義勢力の再編・再生を具体化するために奮闘していきましょう。
 運動の防衛と前進のために夏季カンパをお願いします。
 ともに闘い、ともに前進しましょう。

二〇〇六年夏