人民新報 ・ 第1231号<統合324号(2007年8月20日)
  
                  目次


● テロ特措法延長阻止! 安倍内閣打倒!

● 「テロ特措法延長反対! 廃止を!」共同声明への賛同を

● 2007ピースサイクル 疾走

      平和への願い込めて走る  長野ピースサイクル

      プルサーマル計画の撤回を求める  四国ピースサイクル

      要請行動を展開する   静岡ピースサイクル

● ヒロシマから平和の宣言   反核・反戦・改憲阻止の声をひろげよう

● 米住宅ローン問題  危機はどこまで拡がるか

● 清水私案(民族解放社会主義革命論)を再読する H

● せ ん り ゅ う

● 複眼単眼  /  参院選が終わって、つれづれ思うこと




テロ特措法延長阻止! 安倍内閣打倒!

窮地に立つ安倍内閣

 参院選で圧倒的なノーを突きつけられ大敗したのにもかかわらず居座りを策している安倍内閣は、支持率をいっそう低落させ、ついに危機ラインといわれる三〇%を割り込み、国民、野党からの批判のみならず、与党も一枚岩とはいえなくなり、自民党内からも公然と退陣を要求されるまでにいたっている。
 八月八日には、自民党の、小坂憲次(津島派)、三原朝彦(同)、後藤田正純(同)、渡海紀三朗(山崎派)、園田博之(谷垣派)山本公一(谷垣派)らが会合し、政策転換を求める派閥横断の勉強会を近く設立することで一致した。野田毅元自治相(山崎派)らも参加の意向といわれる。
 その他、山崎拓前副総裁、加藤紘一、古賀誠両元幹事長も安倍は責任をとって退陣すべきだと繰り返している。 こんな人気のない安倍の下で総選挙を闘わなければならない衆議院議員はとくにあせり始めている。
 安倍自民党とともに参院選で大打撃を受けた公明党もなんとか安倍との違いを出そうと躍起である。
 こうした状況で、安倍は、八月二十七日の内閣・党人事の変更によって、「人心一新」をはかり、反転攻勢に出ようと機会を狙っている。だが、安倍が、無責任にも早々と「続投」=本人だけの生き残りを策すという醜態を演じてしまったのだから、「清新な」内閣として歓迎されることは難しい。

野党優位の参議院構造

 八月七日、臨時国会がはじまり、参議院では、民主党の江田五月が議長となり、議事運営の要を握る議院運営委員長に西岡武夫、懲罰委員長に簗瀬進が就任するなど参院には民主党を中心にする野党主導体制がつくられた。そして民主党だけでは過半数に届かず、社民党や国民新党との共闘がぜひとも必要とされ、これに共産党が加わることになれば、自民・公明与党を抑えることが出来る。民主党単独過半数であれば、民主党の独断専行で好ましくない事態も起こる可能性は高かったが、絶妙な議員数での共闘は、好ましい効果を生み出している。
 今回の臨時国会はわずか四日間だったが、安倍内閣にとって参院選の結果がどのようなものとしてあったかが如実にわかるような様変わりを見せた。
 参院での重要役職の野党への移行のみならず、テロ特措法延長を始め、労働契約法案などの労働法制、共謀罪新設法案など安倍が成立させようとしている「重要法案」が多いにもかかわらず短期間でしか開けなかったこと、そして当初、八月中にも開催するとしていた次の臨時国会も九月以降になったこと、改憲のための両院に「憲法審査会」が設置できなかったことなどだ。民主、社民、国民新の野党三党は、郵政民営化を凍結する法案を参院へ共同提出した。民主党単独では、年金保険料の使途を年金給付に限定する年金流用禁止法案を提出した。国会会期終了で二法案とも継続審議となり次の臨時国会に送られた。なお、二法案には、民主、社民、国民新党とともに共産党も賛成の態度を表明している。

米への戦争協力拒否

 今秋からの闘いの最大の課題は、ブッシュ政権に追随してアフガニスタン、イラクへの侵略戦争に参戦する安倍内閣を打倒することである。
 その中心は十一月一日に期限が来るテロ特措法(アフガニスタン侵略支援法)延長を阻止することである。アフガニスタン戦争では、海上自衛隊がインド洋で米など侵略軍に石油の補給を行っており、これがなければ戦争遂行に重大な支障を来たす。日本の参戦・支援はブッシュの戦争にとって不可欠のものである。しかし、この行為は、憲法の規定を踏みにじり、不正義の侵略戦争を支えるものであり、日本を侵略者の側に置くものとなっている。すでに、アメリカなどのアフガニスタン戦争・占領政策は、占領軍兵士の死傷の増大、旧政権タリバンの復活などで、失敗が明らかとなっている。
 八月八日、小沢民主代表は、党本部で、シーファー駐日米大使と初めて会談した。「日本の貢献は非常に重要だ。日本が参加することで、(石油の安定供給など)日本自体の安全保障にも役立つ」と特措法延長を求める米大使に対して、小沢は「アフガニスタンの戦争はブッシュ米大統領が『米国の戦争だ』と言って、国際社会の合意なしに米国独自で始めた。日本の直接の平和、安全と関係ない区域に米国や他の国と部隊を派遣して、共同の作戦をすることはできない」と延長に反対する考えを表明した。小沢は、国連安保理の決議があれば自衛隊の海外派兵も可能だとする政策を持っている。われわれは、そうした海外派兵にも反対ではあるが、今回の小沢の対応は、アメリカのための戦争に日本は協力する必要はないとするもので、安倍政権の戦争政策をはっきりと拒否するという積極的なものとなった。
 テロ特措法延長を阻止し、アフガニスタンから海上自衛隊を直ちに撤退させなければならない。
 日本はアフガニスタン戦争から抜け出すだけでなく、それ以上にアメリカ軍の無法・反人道的行為が知られ、有志連合占領軍からの脱落も相次ぎ、ブッシュ共和党の命取りになっているイラク戦争に反対し、航空自衛隊撤退を実現させることが重要である。反戦運動をいっそう盛り上げるとともに参院でのイラク特措法廃止法案の可決など攻勢的に安倍の戦争政策に対決していくことが必要である。
 安倍与党は追い詰められている。安倍の「続投」宣言は完全に裏目に出た。いま安倍は必死に回生のチャンスを狙っている。だが、内閣改造もうまくいかない公算大だ。六カ国協議と米朝対話の進展で頼みの「北朝鮮・拉致カード」も切れない。環境問題でアピールしようにも日本は京都議定書の基準もクリアーできそうもない状況だ。

与党の巻返しを許すな


 内に外に安倍は行き詰っている。「戦後レジームからの脱却」を旗印にした改憲策動は、参院選で拒否された。選挙の結果、参院では改憲派は改憲発議に必要な三分の二を大きく下回った。
 衆院解散・総選挙が早まる気配がいっそう濃厚になってきているが、なによりもまず、イラク・アフガニスタン反戦運動、労働法制改悪阻止、そして改憲を絶対に許さない闘いを断固としておしすすめよう。院内では、野党共闘を堅持し、与党に打撃を与える態勢を持続させ、けっして崩されないようにしなければならない。

 支持されたと強弁する安倍の「基本路線」を完全に粉砕しよう。

 安倍内閣打倒!


「テロ特措法延長反対! 廃止を!」共同声明への賛同を

 臨時国会では、十一月一日に期限の切れるテロ特措法延長を許すのか否かが最大の焦点になってきている。
 全国で共同して運動を展開し、テロ特措法延長阻止・廃案を勝ち取るために、多くの団体による共同声明への賛同と闘いの輪の拡大が求められている。(編集部)

共同声明

  テロ特措法延長反対! 廃止を! 武力で平和はつくれない! アフガンに平和を! イラクに平和を! 自衛隊はすぐもどれ!

 九月半ばに招集されるといわれている第一六八臨時国会の重要な焦点に、十一月一日で期限切れになる「テロ対策特別措置法」の延長問題があります。
 二〇〇一年一〇月、米国ブッシュ政権が始めたアフガン戦争はいまなおつづき、戦火はいっこうに収まらないばかりか、激化の様相を示しています。ブッシュ大統領が口実とした対テロ報復戦争の根拠はすでに破綻しているのはあきらかです。海上自衛隊はテロ特措法により、二〇〇一年十一月以来、インド洋で米軍などの艦艇の作戦に協力し、無償で給油しています。七年目に入った海上自衛隊の補給活動はすでに七百数十回を数えている(補給量四十七万キロリットル以上、金額に換算して二百億円以上)と言われていますが、その活動実態は私たち市民にはほとんど知らされていません。
一方、イラクでは陸上自衛隊はサマワから撤退しましたが、航空自衛隊はいまなおイラクで主に米軍の輸送にあたり、作戦に加担しています。イラクの内戦も今日、いっそう激化していますし、アフガンの状況と合わせ、米軍などの武力による「対テロ戦争」という主張が破綻していることを示しています。この間の事態は「武力で平和がつくれない」ことをはっきりと示しました。
 私たちはこの期に及んで安倍内閣が米軍に追従し、日米同盟のためなどと称して、テロ特措法の延長を企てていることに怒りと不安を覚えます。
 今こそ、日本政府はテロ対策特措法を廃案にし、自衛隊を戦場から撤退させ、武力によらない平和貢献の道をさぐらなければなりません。
 私たちは連名をもって訴えます。

 テロ特措法延長反対!廃止を! 武力で平和はつくれない! アフガンに平和を! イラクに平和を! 自衛隊はすぐもどれ!

二〇〇七年八月十一日

 (よびかけ団体)市民運動ネットワーク長崎、「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW―NETジャパン)、第九条の会ヒロシマ、日本基督教団西中国教区、平和を実現するキリスト者ネット、平和をつくり出す宗教者ネット、許すな!憲法改悪・市民連絡会

 ●賛同される団体は、団体名、連絡先などを明記の上、FAX03―3221―2558、メールkenpou@annie.ne.jpへ連絡を。

 第一次締切は八月末日。


2007ピースサイクル 疾走

平和への願い込めて走る  長野ピースサイクル

 二〇〇七長野ピースサイクルは七月二八日、佐久市と松本市の二ヶ所から約一〇名ずつが出発した。私たち長野ピースサイクルの計画の方が当然先に決まっていたが、参議院選挙と重なり、宣伝活動などは若干やりにくい気分。
 それでも出発時は天候に恵まれ、松本では市民運動グループ代表のあいさつも受け、元気に出発した。長野ピースサイクルの今回の参加者は小学生二名、中学生二名、六〇才以上数名を含む幅広い年齢層の人々が、「平和のため」という共通の願いを込めてペダルを漕いだ。参加者のほとんどはリピータではあるが、昨年参加した小、中学生がそれぞれ新しい顔ぶれを誘ってくれたのが嬉しい。
 期日前投票で混雑する佐久市役所駐車場から出発したグループは、約六七kmを順調に走り抜け、一五時には千曲市の民宿へ。松本市出発組も約八二kmを走って一七時には千曲市へ(この時点でみんなが走った総距離は約一三〇〇km)。
 民宿での夜は「オレの心は負けていない」(日本軍「慰安婦」被害者の闘いを記録した映画の予告編)、「戦争あかん」(イラク―放射能を浴びるこどもたち)の二本のDVDを視聴し、戦争の傷あと「日本軍慰安婦」問題や「劣化ウラン弾」についてみんなで語り合った。日頃見たことのない映像に「あらためて『戦争』のことを深く胸に刻んだ。ピースサイクルに参加しなければ触れることのない映像でした。これからも真剣に受け止めていきたい」という発言をする参加者もいた。
 この夜は時間の許す限り、走行中のエピソード、これからの走行の話、平和や活動のこと、残念ながら参加できなかった人々の消息に関する話など遅くまで交流を深めあった。
 七月二九日は朝から新しくメンバーが加わり二一名が出発、伴走車五台、自転車一六台の長い列が千曲市を出発。若干雨の心配をしながらも走行しやすい状況で、みんな快適に出発した。「広島を忘れるな」など伴走車の流す曲とともに松代を経て、千曲川沿いを快適に下る。
 一〇時半頃には毎年お伺いしている「長野ソフトエネルギー資料室」(脱原発市民運動グループ)を訪ねて、冷え冷えスイカで大歓迎を受ける。地震による柏崎原発の事故を受けて、「東京電力の『事故隠し』の体質はまだなおっていない」ことや、脱原発の重要性も増々深まっていることを皆んなで確認しあった。太陽光発電にあらためて興味を示す参加者も。毎年の歓迎とカンパ、ピースメッセージにお礼を言って再び出発。この頃には真夏の暑さがやってきた。
 ここから参加する人、また帰る人もいたので、走行の編成は少し変ったが、みんな元気。このあとは、更に新しい参加者が加わって、国道一八号線を新潟県境へ向けての走行となる。
 参加者たちのいちばん嬉しい(ほんとうはめっぽうきついところ)坂。走った気がする「心臓破りの連続」である。昼までの一時間くらいはなだらかに長い坂、この日は向かい風でけっこうきつかった。それでもみんながんばって走破。
 中越沖地震では、柏崎なみにゆれた飯綱町の会館で昼食。ここは毎年国労出身の先輩が世話をしてくれる。地域の「九条の会」の会員から地域の活動状況や憲法九条を守る決意を含めた激励の挨拶を受ける。
 昼を食べ、若干のビールで英気を養った人もいて、さあ出発というところで雨が降り出し風も強い。一七年間の長野ピースサイクルのなかで初めてだ。これからの一番きつい坂をカッパを着て、雨と風をついての走行開始となった。それでも参加者は歯を食いしばって登った。少し遅れぎみではあったが、ほぼ予定通りに宿泊地のキャンプ場に到着。ぬれている以外はみんな比較的さわやかで元気な顔をしている。
 キャンプ場の配慮を受けて雨のかからないところでキャンプの準備(今年はキャンプ場の事情で野天のキャンプ予定だったのだ)。風呂組、炊事組と別れて、手なれたベテランが夕食を作る。いつもの通り楽しいキャンプ。しかし外は雨。
 それでも夜おそくまで、長野ピースサイクルならではの一夜をそれぞれが楽しく過ごした。早朝の一番の報は、安倍政権の参院選惨敗のニュース。ほとんどの参加者が口々にそれを喜ぶことばを発する。
 しかし、天候はまったく回復のきざしなく、悪くなる一方だ。大雨雷注意報、朝食の準備をしながら実行委員で話し合い、涙をのんでその日の走行を中止することを決断。残念がる参加者しきり。これから向かうところは新潟県の上越だが、地震の影響で、走行予定を中断して、救援活動に切り替えたピースサイクル新潟の仲間と合流できないということもあり、急な下り坂で大雨が予想され、小・中生がいることなど安全を考えての走行断念である。
 自治体からの分も含めて約一四〇通のピースメッセージは、すでにまとめて伝達の準備もできているので、今後の走行は他のピースサイクルにまかせることに。
 秋以降のホリデーピースサイクルで足りない思いを貫徹することにする。
 解散式の席上、前日亡くなられた小田実さんのご冥福を祈って参加者全員で黙祷をささげた。参加者のなかには小田実さんのことを知らない人もいたので、事務局から業績や人物等について簡単に説明し、平和のための運動を継承していくことを誓いながら冥福を祈った。
 総参加者三十数名での今年の長野ピースサイクルの実走は、地震や天候の影響で完全燃焼はできなかったが、参加者全員が無事にトータル約三〇〇〇kmを走行できたことを大切にしたい。平和を目指す市民運動としてのピースサイクルに多くの賛同者、協力者がいること、参加者がいること、継続していることの意義は今年も確信出来た。八月以降は報告集作成を始め、報告集会やホリデーピースサイクル、街頭行動、全国ネットの大会等々盛りだくさん。二〇〇七長野ピースサイクル実行委員会の活動はまだまだこれからだ。(投稿・長野ピースサイクル実行委員会)

プルサーマル計画の撤回を求める  四国ピースサイクル

 伊方原発プルサーマル計画に反対する『原発さよならえひめネットワーク』の運動に連帯し、ピースサイクルの参加者七名(広島ピースサイクル一名と呉ピースサイクル六名)で車二台でピースサイクルをスタートさせた。
八月一日(水)
 酷暑の中、高知市から高知水道労組青年部七名が車一台と自転車四台で、国道五五号線の七子峠の手前で呉ピースサイクルと合流した。厳しい峠を共に越えて、窪川町へ走った。島岡幹夫さんが、台風の接近や今回の参議院選挙について熱心に話された。
八月二日(木)
 朝からパラパラ雨がふりだした。天気予報では、非常に強い台風五号が九州と四国の南海上にあり、豊後水道を通り広島県に至るコースで、台風情報を集めることにした。
 窪川町役場では、町長は台風対策で不在で副町長に「伊方沖に活断層があり、四国電力のプルサーマル計画を中止するよう求めてください」と申し入れた。役場前で副町長や島岡さんと高知水道労組に見送られ自転車でスタートした。しかし、役場前で大雨となり自転車を軽トラにのせ、全員車二台で国道三八一号線を宇和島市へ向かった。
 四万十川は、大雨と暴風の中でも清流のままで増水していなかった。
 一二時、宇和島市の宿に入る。台風五号は、中心気圧九六〇ヘクトパスカルで、大雨洪水警報も出て、宇和島市を暴風域に巻き込みながら北上中。全員で警戒した。
八月三日(金)
 早朝、台風五号は暴風域がなくなり、日本海にあった。雨も降り、風も強い。
 宿を出て、車二台で浄満寺で全員で焼香した。国道五六号線を車二台で走り、八幡浜市に入るとくもりで港に到着した。自転車組と要請書組に分かれた。八幡浜市長と伊方町長に要請書を提出した。伊方原発で、自転車組と要請書組が合流した。南海日日新聞の近藤さんと国労の二人も合流した。
 一五時、伊方原発のゲート前で待つと、窪田総務グループリーダーが出てきた。   「二〇〇六年一〇月一三日、伊方原発三号機のプルサーマル計画について加戸知事は、県庁に四国電力の社長を呼び、安全協定に基づき計画実施を了解する文書を手渡し、伊方町長も同日同意した。私達四国ピースサイクルは、プルサーマル計画の撤回を求めます」という抗議文で申し入れた。新潟県中越沖地震のによる柏崎刈羽原発被災を挙げ、伊方原発も活断層を調べ直す必要があると抗議すると、総務グループリーダーは、活断層は過去に調査しているので新しい知見が示されれば再調査すると逃げるばかり。
 車で移動し、斉間満さんの遺影に全員挨拶をして、『原発から子どもを守る会』の奥さん達との温かい交流会となった。近藤さんから、活断層を伊方原発の約六キロ沖合いに発見した高知大学岡村教授の海底図の説明があり、実際に活断層があることが解った。
八月四日(土)
 晴れの八幡浜市から長浜町へ全員車で移動した。
 美しい瀬戸内海を見ながら、自転車走行を二〇キロメートルのところで、車に自転車を積み松山観光港に到着した。(広島通信員)

要請行動を展開する   静岡ピースサイクル

 七月二五日、ピースサイクル静岡ネットワークは、浜松市役所で平和行政の確立を求める要請行動を、ピースサイクル静岡の一二人の参加で行なった。
 要請行動は、事前に市側へ提出しておいた要請書に基づいて約一時間行なわれ、@非核平和都市宣言、A航空自衛隊浜松基地の撤去、BAWACSの廃棄、C浜松基地への新型パトリオットミサイル配備反対、D浜岡原子力発電所のプルサーマル計画に反対の意思表示、の五点について、浜松市として取り組んでほしいというものであった。市側との話し合いは、中越沖地震発生直後で柏崎刈羽原発の放射能漏れ事故が起きたことから、浜松市として、浜岡原発の安全対策について、どのように取り組んでいく考えがあるのかに質問が集中したが、明確な回答は受けられなかった。
 次に、航空自衛隊浜松基地の正門前で申し入れ行動を展開して、二五日の要請行動を終了した。
 浜松基地司令官へは、@NO!AWACSの会の行動についての記載の経緯を文書で示すこと、A情報保全隊調査の全資料を公開すること、B請願権侵害行為を謝罪すること、C市民運動への監視を中止すること、D分類による名誉侵害について謝罪すること、E自衛隊内での人権啓発教育をおこなうこと、F自衛隊はイラクから撤兵すること、GAWACSの朝鮮監視飛行を中止すること、HPAC3浜松配備計画を中止すること、I日米一体化をすすめる米軍再編を中止すること、J軍縮と対話による東アジアの平和にむけての独自外交をすすめること、を申し入れた。自衛隊情報保全隊による市民運動の監視・情報収集に抗議する項目も入っている。
 翌二六日は、豊橋でピースサイクル愛知の仲間と合流し、豊橋市役所・陸上自衛隊豊川駐屯地・豊川市役所への申し入れ行動を展開した。


ヒロシマから平和の宣言   反核・反戦・改憲阻止の声をひろげよう

 六十二年目の8・6ヒロシマは、直前の「原爆投下はしょうがない」という久間章生防衛相発言があったにもかかわらず、淡々とした行動となった。
八月五日
 例年通り、八月五日は午前十一時のピースサイクル到着集会からスタートとなった。その後、広島市長へのピースメッセージを手交して、その後、オプションでのフィールドワークに参加した。
 夕刻からは、「ヒロシマ平和へのつどい」。ピースサイクルは途中から全国到着交流集会。
八月六日
 明けて八月六日は、早朝から行動が連続した。現在の流動化し始めた情勢を髣髴とさせる稲光とスコールのような雨でたたき起こされた。
 原爆ドーム前に午前五時に集合。グランドゼロの場所確保と市民による平和宣言の配布に分けて、行動開始。
 例年よりも人通りが少ない感じがするのは、月曜日ということでなのか? それとも、原水禁の動員力が落ちたからなのか。
 八時よりグランドゼロのつどい。八時十五分にはダイイン。同時刻から広島市主催の平和記念式が慰霊碑前で開かれたが、子供たちの「平和への誓い」や広島市長の「平和宣言」に比して、安倍首相の「憲法の規定を遵守し」などの白々しい発言は「ウソを言うな」との野次の前に消し飛んだ。マスコミがこれほど黙殺したことも珍しい。
 九時からはピースウォークが出発し、中国電力前では反原発座り込み集会に合流。新潟地震で壊滅的打撃を受けながら、ひたすら隠蔽・データ改竄を旨とした東京電力の対応に怒る全国からの参加者からは、電力資本はウソで塗り固められ自己保身しか考えていないという発言が続き、鋭い追及の場となった。
 午後からは、各ルートでのフィールドワーク。その他にも様々な想いでの企画が各所で開かれた。
八月七日
 この日はスタディークルージング。ほぼ一日を割かれる「海から見る遺跡と基地群」めぐりの企画。

 これで、今年の取組みは終わったが、暴走安倍の命脈を断ち本当の平和を実現するための闘いは続く。
 臨時国会は「ヒロシマの心」が試される事態となるだろう。残念ながらそれを代弁する議員を生み出せなかったが、それでもいくばくかの希望は灯ったのだから……。
(広島通信員)

市民による平和宣言2007

 イラク戦争後四年余り、米軍の再三にわたる増派と「掃討作戦」強化でプッシュ政権はますます事態を泥沼化させ、その結果、多くの一般住民に死傷者を出し続けています。同様にアフガごニスタンでも戦闘状態が恒常化し、いまだに多くの難民が困窮生活を余儀なくさせられています。「国際テロとの闘い」は、テロ撲滅どころか、イギリスではさらなるテロ事件を誘発させ、米英両国の市民もまたテロを恐れながらの不安な日常生活を強いられています。こうした事態を反映して、米英両国の市民からはイラク撤兵を要求する声が高まっています。

 一方、日本政府は米国に全面的に追従し、国際法違反であるイラク占領の支持を繰り返し表明しています。陸上自衛隊の撤退後も航空自衛隊を残留させ続け、米兵ならびにその武器などの輸送に携わり、イラク占領軍を支えています。「対テロ闘争」支援を口実に行っている海上自衛隊のインド洋・アラビア海派遣も六年日になり、私たちの膨大な税金が浪費されています。しかも補給艦船活動などの情報開示を拒むどころか、イラク戦争反対活動を行う平和組織や個人に関して秘密裏に情報を収集するという違法行為まで犯しているのが現状です。防衛庁の防衛省昇格、海外派遣本務化、ミサイル防衛、空爆演習、集団的自衛権行使への模索というように、憲法を侵す政策を次々と打ち出し、軍事化への道を突き進んでいます。

 巨大資本と「先進」諸国の力で押し進められている経済グローバル化が、地球規模でも各国内でも貧富の格差を拡大させています。その結果、国外にあっては様々な地域で紛争の種を蒔き、国内においてはテロや犯罪増加の要因の一つとなっています。そうした地域紛争をアメリカ支配に基づく「治安秩序」に対する「脅威」と捉え、軍事的圧力で封じ込め、機動的・効率的に対処する態勢作りが米軍再編成・再構築の目的とするところなのです。このアメリカの戦略のバックボーンになっているのが、核兵器と核戦争遂行能力に他なりません。大量破壊兵器保有とそれによる威嚇を利用するこのような暴力的支配体制では、世界平和は構築できないどころか、ますます人類を破滅へと向かわせます。日本はこのような道に入り込もうとしています。その日本政府は、沖縄、岩国、神奈川の市民による米軍再編反対連動に対しては、自治体への税金を使っての飴と鞭による政策をとっています。こうした日本の進路を根本的に変更する転機をどのように作っていったらよいのか、これが私たちの課題です。

 被爆・敗戦から六十二年、日本政府の閣僚たちは日本が犯したアジア侵略戦争に対する自分たちの重い責任のみならず、アメリカが日本の市民に対して犯した原爆投下という重大な戦争犯罪の責任をもうやむやにしてしまうことで、戦争の正当化に努めています。自他両者の戦争責任の隠蔽・不明確化は、日本が現在進めている軍事化と密接に関連しています。したがって、戦後補償を求めるアジア民衆の法廷闘争や被爆者の集団訴訟は、軍事化に対する闘いでもあることを私たちは明確に自覚し、支援運動を強化していく必要があります。「原爆投下を裁く国際民衆法廷・広島」は、そうした運動の一例です。同時に、無差別殺戮兵器であるDU(ウラン)兵器やクラスター爆弾禁止の取り組みも国、際的に強めていく必要があります。青森・六ケ所村に建設されている核再処理工場と原発大国の姿は、日本がヒロシマ・ナガサキを忘れたかのようであり、新潟中越沖地震は原発の危険性をあらためて警告しました。

 日本国憲法は、二〇世紀までの人類の政治的英知が結実したものであり、特に9条は「世界平和宣言」に値するものです。私たちは、今こそ、この憲法を守り活かすことを軸に平和を希求する様々な活動を広げ、大きな力にしていきましょう。

2007年8月6日

 8・6ヒロシマ平和へのつどい2007(代表湯浅一郎)参加者一同
(広島市西区天満町13-1-709 knaruaki6d6. dion. ne。jp)


米住宅ローン問題  危機はどこまで拡がるか

 アメリカ経済が変調を来たしている。連日、マスコミのこうした報道が続いている。株式市場では、ダウ工業株、ナスダック総合ともに続落している。アメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)が連日の大量の資金供給を行って支えている。原因は、サブプライム(信用度の低い借り手向け)住宅ローン問題に対する懸念を和らげるためだ。
この問題での不安が信用市場で広がり、ここ数日で欧州中央銀行(ECB)が約十五兆四〇〇〇億円、米FRBが約二兆八〇〇〇億円、日本銀行が一兆円など各国の金融当局が短期金融市場に資金供給を行う事態となっている。
 アメリカ経済は、所得の低い個人層に、住宅価格の値上がりを見込んで住宅ローンを貸し付け、それをさまざまな消費にまわして経済を支えてきた。ブッシュ政権が誇る「アメリカ経済絶好調」は市民が自宅を担保に借金した金で消費することを下支え要因とするというきわめて脆弱な基盤の上に建てられていたのだった。
 そして、債権を証券化し、それを証券市場で売る。サブプライム住宅ローン一・一兆ドル(約一三〇兆円)のうち、八〇〇〇億ドル(約九四兆四〇〇〇億円)が、MBSとして証券化され、さらに、少なくとも一兆ドル(約一一八兆円)のCDOが組成され、アメリカのみならずヨーロッパなどを中心としてばら撒かれた。それを機関投資家やヘッジファンドが買い込んだのである。
 この姿は、アメリカだけでなく世界中にサブプライム住宅ローンを起点とする連鎖が出来ていることを物語っている。これまでは、とにかく循環は保たれてきた。
 ところが昨年夏から状況は明らかにおかしくなり、今年に入り、相次いでサブプライム住宅ローン専業業者が破綻した。その結果MBSやMBSを組み込んだCDOで運用するファンドの損失が相次ぎ、六月からは信用市場の収縮も始まっている。
 金融当局は、大量の資金をつぎ込みながらも、この問題の影響は「限定的」だと火消しに躍起となっているが、破綻の連鎖など危機的な状況は止まっていない。
 アメリカは八〇年代後半にS&L(貯蓄金融機関)の破綻を経験したがその再来でもある。日本でも経験しその脱却には大量の税金を投入してもなかなか解決できなかった不良債権問題にアメリカ経済が陥ち入りつつあるという状況なのである。
 不良債権問題は、その他のさまざまな病状を発生させる糖尿病のようなものだが、今回もすでに、不安な証券からは手を引き安全なものだけに投資する、貸し渋る、金利が上昇するなどによって信用市場全般を収縮させていくことになるかもしれず、一般市民の借り手だけでなく、すでに住宅ローン専業金融機関の資金調達にも影響を与えている。
 不安が不安を呼び、この傾向がいっそう広がれば、アメリカをはじめ世界の景気動向に深刻な打撃となるだろう。現在は、世界的な金余りと各国中央銀行の介入、各国政府の隠蔽工作によって、大事には至らないような雰囲気が作られている。しかし、事態はきわめて深刻なのである。アメリカで大銀行の一つでも破綻するようなことが起これば、世界的な景気後退につながって行くかもしれない。
 世界資本主義は強固な地盤の上に築かれているのではない。常に不安定な局面にたちいたる条件が存在している。今回のアメリカの住宅ローン問題に発した状況は注視しつづけなければならない事態なのである。


清水私案(民族解放社会主義革命論)を再読する H

広範な護憲戦線の構築

 清水は、「国民的抵抗戦線と社会主義政党―左社綱領の実践的課題をめぐって―」で、「平和憲法擁護のカンパニアはできるだけ幅広くつくらなければならないが、過半数以上の国民に浸透するためには、国民諸階層の日常の生活要求をとらえて平和と独立に結合させてゆく部分的地方的カンパニアの網をめぐらしてゆかなければならない。更に又MSA下の反革命への発展を防止するため、労働陣営を孤立させないだけの国民的抵抗戦線の筋金を組織的に通しておかなければならない」とし、「このように重厚な陣形のカンパニアを組織する仕事は、ほんらい、大衆に組織的な基盤をおく社会主義政党の任務に違いないが、わが国の社会主義政党はいずれも党員数が非常に少なく、その上セクトが強く共闘の訓練も皆無にひとしいので、このような国民の過半数以上を対象とする大衆的カンパニアを単独では無論のこと共同でも背負いきれるものではない。このことは誠に不幸なことだが、さし迫った急場には勿論間に合わない」ので、「護憲運動を中核とするカンパニアの構成は、政党、労働組合、農民組合、その他参加諸団体、個人グループの併列主義とならざるをえないであろう。このような幅の広いカンパニアにあたっては、団体エゴイズムや思想セクトは一切排除され、大衆の要求が統一されて、共同綱領の下に共闘条件が厳守されてゆかなければならない。わが国はじまって以来のみごとな共闘が組織されるならば、われわれは必ず成功をかちうるであろう。MSA下の再軍備と反革命の危機をしりぞけ、逆に平和と独立のための民族政権の確立に近づくことができるであろう」と書いた。セクト主義を克服したかなりの幅広い戦線作りが考えられている。

右社、共産と左社綱領

 当時の政党状況では、この戦線に対する左翼各政党のかかわりは次のようにとらえられている。
 @「右派社会党も勿論、共闘線上の一翼に参加することが期待されるが、その首脳部の中には明確に平和と独立よりは対米隷属を選ぶ人たちが加わっているし、労働組合内部の右派党員の中にはMSA賛成の人たちが多数存在していて、党全体としてすっきりした態度での共闘参加は困難と見られるふしが多い」。
 A「共産党は度々戦術転換を試みてはいるものの、火炎ビン方式に対して植えつけられた国民的不信は根強いものがあるし、二つの世界を持ちこむことに対する国民的不安は依然ぬぐい去られないままである。幅の広いカンパニアの指導的任務や中核的役割をこの党にもたらしたのではカンパニア自体の破局となる」。
 B左派社会党は「分裂以来、平和と独立の旗を高く掲げて運勤し、平和と独立に心をよせる国民諸階層の支持をえて、その勢力を拡大した党である。その党員数は社会主義政党の名に値いしないくらい少数であるが、労働運動の最大の統一舞台である総評内部に浸透し、中央、地方の中堅幹部の相当数を党員として組織している点において特異な地位を占める政党である。従って、この党の進路は三百万余を数える総評の向背に大きな影響力をもつことを注目しなければならない」と評価する。

広範な戦線と論争

 だが、その左社は綱領をめぐる党大会を前に、「内外反動勢力による憲法改正、再軍備強行という重大時期に、再軍備反対の平和論者の中に亀裂を生じることは好ましくない」ということで論争を押さえようとする。清水は「だが、私は正にそのような平和運動の新なる段階だから、論戦が起るべくして起るのだと思う。そして論議をつくすことは、平和論者の新らしい任務に対する積極論と消極論に色分けされることを意味するのだから、論戦を封じて内攻させるよりも、積極論者側からの行動展望を明るみに出させた方が運動全体にとってプラスだと確信せざるをえない」と広範な戦線つくりと論戦の両立は可能だとしている。
 左社については「党員の数は甚だ少ない。然もその影響力とかけられた期待は大きく、この段階を迎えて果すべき任務は多い。このような党は労農派理論の教書のような綱領を作って思想的宗派性を発揮したり、少ない党員の理論的自己満足に陥ったり、行動的セクト性を裏付けたりすべきではなく、行動を通じて組織を大衆の中に確立することをモットーとして、行動のプログラムに重点をおき、統一ある党活動のための行動基準を明らかにする綱領を先ず採択するべきであると思う。政党の理論は行動の統一と発展を常に考慮し客観条件に具体的に適応したものでなければならない。政党員はゼミナールの学生ではないのである」。これが清水のイメージする社会主義政党の綱領の姿である。

平和と独立の闘争と社会主義運動

 清水はつづけて「戦後日本の社会主義運動を考える場合、資本主義一般から出発して、階級闘争→社会革命と論理を発展させてゆく、いわゆる公式論からは、主体的に権力を奪取するための政治綱領は生れてこないと思われる。同時に、資本主義一般を一次元過去へもどして日本の現状を規定し同じような論理を追うてゆく考えからも具体的な政治綱領は引き出せないと思っている」。清水の労農・講座両派の戦略・綱領論争への違和感の吐露である。そして、@第二次戦後世界の資本主義は大いにその領域をせばめられたこと、A隣国中国が資本主義世界から姿を消したこと、B日本は最強の資本主義国アメリカに強度に隷属していること、C日本資本主義自身の底は浅く、経済循環自体対米隷属を離れてはその規模とバランスの見通しがつかなくなっていること、D政治主権は実質的に占領以来引きつづいてアメリカ側に握られていること、を「前提」として、「レーニンが革命の条件として定式化した上層の危機と下層の危機がどのようにあらわれるかを見通し、下部の条件を培養しながら、主体的に革命の窓口をコジあけることが革命のプログラムだと考えている」として、「民族の完全独立こそが隷属性のしみこんだ日本資本主義を根本的に動揺させる条件」であり「国民諸階層の生活要求に結びついた平和戦線の結成が、もっとも広汎に下部の条件をつくり出すもの」だとした。
 そして「MSA下の労働者階級の運動は、下部大衆の強さにおいて戦後最高のレベルを示している。闘争経験を身につけた組合では、いかにして農民や市民と提携できるか、統一要求を打出すことができるかと真剣に考え、総評本部に向かって地区組織の強化を盛んに訴えている。弱いと思われる組合でも下部大衆は驚くほどのエネルギーをもっている。サンフランシスコ両条約二カ年の大衆的経験は誠にめざましいものがある。だが、まだムラが多い。MSAと対決し、平和憲法を守りぬき反革命の危機を切りぬけるための国民的抵抗組織を自然発生的につくりあげるには前途なお遠いものがある」、だから「問題は強くなった下部をいかに組織し配置するかという雁首たちの行動と能力にかかっている」。こうした物言いからは、当時の左翼指導部に対する清水の不満とやるせなさが感じられるものであろう。
 最後に「二年前に勇気を奮ってサンフランシスコ体制に食ってかかった先達たちは、今や一切のセクトをやめ、学派エゴイズムを棄て素朴な大衆の高まりに笞えるべき秋である。平和憲法擁護という目標に集中して国民的抵抗組織を早急につくりあげるべき義務がある筈だ」と平和と独立闘争の合流点となった憲法闘争への大衆的決起を訴えた。(つづく) (MD)


せ ん り ゅ う

「事務的ミス」腹では発覚ミス

東電原発農水相たちの真似してる

朝青龍松岡赤城安倍晋三

派遣業栄え奴隷化している

テロ審議未了へ小沢君の生命

        ゝ 史 (ちょんし)

 ○ 憲法違反の軍事活動しているテロ特措法延長法案だが、参院で否決なら衆院三分の二で成立してしまう。小沢民主党の威信は消滅し国民はソッポを向くだろう。柏崎原子力発電所の地震被災は全国民のみならず全世界の注目するところだ。被災状況の説明と開示を完璧に果たしてもらいたいのだが……。マスコミを使って労働者派遣事業界たたきがはじまった。労働者派遣事業の健全育成――これが安倍政権の格差是正政策らしい。悪法を作っておいて違法がなければそれが「美しい」のだ。農水相をかばっていた首相の心がよく現れている。


複眼単眼

  
参院選が終わって、つれづれ思うこと

 参院選の結果は安倍自民党の大敗と与野党議席の逆転となった。
 こうなってみると、なにかこの結果は当たり前のような気になるのが、われわれ凡人の愚かなところだ。しかし、今年の初め、こうした状況の到来をどれだけの人が予測し得ただろうか。これを考えただけでも、今回の変化の大きさがわかる。
 運動圏の議論を聞いていると、「与野党逆転とはいうものの、民主党だって本質は一緒なのだから」などという議論もある。これは米国の中間選挙の結果がでたときもあった議論だ。「民主党が下院で多数を占めたといってもね」などという議論だった。しかし、あの結果、あきらかにブッシュの反テロ戦争路線は窮地に立たされた。なんともはや、こうした意見はよく言えば「客観的」にすぎ、悪く言えば「傍観者的」に過ぎるのだ。
 筆者は日ごろ、「変化を的確にとらえられない者に変化はつくりだせない」と考えている。社会運動をする者にとっては、社会的事象の変化を見つけ出し、とらえ、その丈(たけ)を測り、その要因を把握することが大事だ。そのことに熟達することこそが、社会の変化をつくり出すことにつながるのだと思う。
 最近、ある文書をみていたら「今度の選挙で勝った民主党も、もうひとつの改憲勢力であることを肝に銘じて、私たちは走り続けなければなるまい」というところがあった。一般的に言えば、この指摘に反対はしない。しかし、「肝に銘じて」どう「走る」のだろうか。
 「もうひとつの改憲勢力」が、この参院選で改憲を掲げなかったことの意味が重要なのだ。安倍は一五五の重点政策のトップに改憲を掲げ、結局は改憲を訴えきれなかった。「羊頭狗肉」とはこういうさまを言う。この安倍にかわって、改憲を掲げなかった民主党が参院の第一党になったことの意義は決して小さくはない。
 この臨時国会で、憲法審査会が事実上、設置できなかったことなどはその変化の具体的な作用なのだ。筆者などが主張してきた一八項目もの付帯決議をつけた「改憲手続き法の抜本的再検討」の課題も、政治の世界では現実性を帯びてきた。テロ特措法が急きょ、第一級の政治問題になったことだってそうだ。有識者懇談会の「集団的自衛権の行使」の検討も、冷や水を浴びせられ、公明党までが「反対だ」と大騒ぎし始めた。
 たしかに変わらないこともいっぱいあるが、変わりはじめたこともある。事実を事実としてとらえたうえで、戦略戦術をつくることが大事ではないかとおもう。
 ついでに言えば、共産党の志位執行部の今後も注目に値する。
 選挙が終わると、野党共闘についてのトーンが変わり、かなり積極的になっているように見える。民主党は自民党とは違いがないとばかり言っていたこの党が、「民主党の姿勢が試される」「一致点での野党共闘を積極的に進め、共産党からも積極的に問題提起を行う」などと言っている。これは変化の兆しではないのか。
 ついでにいえば国会議員団総会で志位委員長が「わが党に期待してくださった国民の皆さんの期待にそう結果が出せなかったことを、中央委員会としてお詫びします」と言ったことも大きな変化ではないだろうか。この党は爾来、あまり率直に謝らないことで知られているのだから。この傾向が進むとしたらこれもよい変化だ。 (T)