人民新報 ・ 第1242号<統合335号(2008年6月15日)
  
                  目次

● 沖縄県議選での敗北、参院問責決議  改憲・派兵恒久法制定をいそぐ福田内閣を倒せ!

● 郵政民営化監視委員会総会・講演会「お金の流れ」

● 葛西敬之JR東海会長の証人喚問   葛西証言は実質的に不当労働行為を認めるものだ

● なくそう! 長時間労働  「名ばかり店長」に尊厳を

● アイヌ民族の先住民族としての権利の具体化を!

● 08国会ピースサイクル  防衛省、都教委、外務省、東電、内閣府へ申し入れ

● 石川一雄さんは無実だ!  狭山事件の再審を求めて

● 映 評  「光州 5・18」( 07年 韓国 )

● せ ん り ゅ う

● 複眼単眼  /  四川大震災と自衛隊機派遣騒動




沖縄県議選での敗北、参院問責決議

      
改憲・派兵恒久法制定をいそぐ福田内閣を倒せ!
 
沖縄県議選与党敗北

 沖縄県議会議員選挙は、四月の衆院山口二区補選に続く国政レベルでの与野党激突でもあった。野党側は、後期高齢者医療制度廃止を最大の争点として、党首クラスを沖縄に送り込み国政選挙並みの態勢で全力を挙げて選挙戦に臨んだ。そして六月八日に投開票が行われ、その結果は一九九二年以来十六年つづいた自民党・公明党の与党勢力が二十二議席だったのに対して、野党・中立派は二六議席と過半数を獲得し、与野党逆転が実現した。保守支持層が強い激戦区でも、野党に投票するなど高齢者層などをはじめ与党の基盤は切り崩された。
 自公与党は、さまざまな「修正」を口実に逃げ回ったが、後期高齢者医療制度に対する強い反発をかわしきれなかった。そして、またこの反与党票は米軍基地反対の意思表示でもあり、日米政府に大きな打撃を与えたのである。仲井真弘多県政は、普天間飛行場移設協議や経済振興など政策課題で大きな課題を担うことになった。
 沖縄県議選の結果は、山口補選に続く福田内閣への不信任の表明であり、この勢いを加速させて福田内閣を打倒し、自民党政治を終わらせる闘いをいっそう強化していかなければならない。

改憲停滞へのあせり

 全国各地で強まる与党の「福祉」政策への批判は、内閣支持率の低下となって表現されている。
 昨年七月の参院選での与野党逆転と安倍内閣の自己倒壊で、改憲に向けた動きは失速してきている。そして各地域各層の九条の会が七〇〇〇を突破し、5・3憲法集会や九条世界会議の大成功は、改憲右翼に深刻ないたでとなっている。かれらは、自民党憲法審議会(会長・中山太郎前衆院憲法調査特別委員長)や新憲法制定議員同盟(会長・中曽根康弘元首相)を軸にいま巻き返しに必死になって、なりふりかまわぬ行動に出てきている。
 改憲派の当面の狙いは、憲法審査会を始動させることである。なんとしても今国会で憲法審議会の規程案の議決を強行しようとしてきた。
 規程案には委員数や運営方法などを定め、いま停滞している改憲の動きを再活性化させようというのだ。民主党内の改憲派を抱き込むことがその戦術であり、あわよくば民主党の分裂も視野に入れているのであろう。
そのため、六月一五日である通常国会の会期末を延長させ、その中で規程案の議決を強行しようとしてきた。
与党と民主党内改憲派の姑息な策動を封じ込め、改憲を許さない運動をいっそう広げていかなければならない。

派兵恒久法制定策動

 給油新法は来年一月に、イラク特措法も同七月には期限切れとなる。与党は特別法ではなくいつでもどこでも自衛隊を海外に派兵できるための法律(派兵恒久法)づくりにむけて、与党協議会をスタートさせ、同法の要綱作成にとりかかろうとしている。ここでも自民党は民主党を抱き込もうという作戦だ。
 しかし、海外派兵反対運動におおきなはずみをつける成果が勝ち取られた。
 それは四月一七日の「自衛隊イラク派兵差止訴訟」名古屋高裁判決である(その後、確定)。判決は、「現在のイラクでは、国際的な武力紛争が行われている」と明言し、現在行われている航空自衛隊の武装兵員空輸活動は、「他国による武力行使と一体化した行動」と指摘。「武力行使を禁止したイラク特措法二条二項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条三項に違反し、かつ憲法九条一項に違反する活動を含んでいることが認められる」として、自衛隊のイラクでの活動を明白に憲法違反と判断したのである。だが、福田内閣はあれこれの策を弄してこれを無視し、逆に派兵恒久法制定、アフガンISAF(国際治安支援部隊)への陸上自衛隊派遣論までも出してきているのだ。

6・9院内集会

 六月九日には、衆議院第二議員会館で「自衛隊海外派兵恒久法制定と憲法審査会始動に反対する6・9院内集会」(5・3憲法集会実行委員会の主催)が開かれた。
 はじめに主催者の高田健さん(許すな!憲法改悪・市民連絡会)があいさつ。
 世論調査でも九条改憲に反対する人が圧倒的に増えている。与党はなりふりかまわず憲法審査会の始動や派兵恒久法制定を急いでいる。そのために国会会期の延長とか例年よりきわめて早い八月にも臨時国会を召集するという。これは彼らのあせりのあらわれだ。

 国会からは共産党を代表して笠井亮衆議院議員、社会民主党を代表して重野安正 衆議院議員が国会報告を行った。

 つづいて「イラク派兵違憲名古屋高裁判決と派兵恒久法自衛隊」と題して同訴訟原告弁護団事務局長の川口創弁護士が報告を行った。
 この名古屋高裁違憲判決は、他の裁判の判決文と違って読みやすいものだ。その理由は、イラクでの米軍のあまりに残虐な行為とそれを支援する自衛隊に対する怒りの爆発であるのではないだろうかと思える。
 この判決がかちとられた要点は四つある。
 まずはじめに、ファルージャやバグダッドの掃討作戦の実態が子どもを含む住民虐殺であることを明らかにしたことである。開戦時、アメリカにしたがって参戦した国は四一カ国あったが、現在残っているのは二一カ国となり、すでに半数の国は撤退した。しかし自衛隊はなおも現地の米軍の掃討作戦を支え続けているのである。このことを明らかにした。
 二番目には、三〇〇〇人の原告の参加、それらによる多くの陳述書提出である。こうした動きの背景には広範な世論が存在する。
 三番目には、このままで行けば、海外派兵の流れが拡大し、改憲にもつながってしまうのであり、このような危険な流れを止めるのは今しかないと論じたことだ。すなわちここで違憲判決を出すことの意義を強調したのである。最後に、戦争という全体を問題にするだけでなく、具体的にイラクの子どもの例を出してその苦しみ、家族の悲しみを示した。すなわち憲法九条は、それだけで目的なのではなく、こうした罪なき子どもの命を奪わせないための手段である、イラクの子どもたちを殺す側に立ってはならないと訴えた。これらの裁判でわれわれの主張が、裁判官の心を動かしたのだと確信している。
 派兵恒久法は、米軍がイラクで行っている残虐行為を、これまでのような支援ではなく、直接に行うようにさせることだ。いままでの政府の憲法解釈でもイラク派兵が違憲であるなら、派兵恒久法律はもっと違憲なのである。


郵政民営化監視委員会総会・講演会「お金の流れ」

 昨年一〇月の郵政民営化から八ヶ月、その問題点は鮮明になってきている。
 六月六日、郵政民営化を監視する市民ネットワーク第四回総会・「お金の流れを問う市民集会」が開かれた。総会では、国会情勢の報告や郵政事業の現場からの報告、郵政ユニオン春闘4・3ストライキの報告が行われた。

 講演は、集英社新書「『お金』崩壊」の著者・青木秀和さんで、郵政民営化の実態はなんであったのか、「お金」はどう流れるようになったのかなどについて話した。
 郵政民営化のメリットは何もなかった。政府は、@郵政公社の四機能(窓口サービス、郵便、郵便貯金、簡易保険)が有する潜在力が十分に発揮され、市場における経営の自由度の拡大を通じて良質で多様なサービスが安い料金で提供が可能になり、国民の利便性が最大限に向上A郵政公社の「見えない国民負担」が最小化され、利用可能となる資源を国民経済的な観点から活用することが可能B公的部門に流れていた資金を民間部門に流し、国民の貯蓄を経済の活性化につなげる、の三点を挙げていた。郵政民営化の中心はアメリカ政府から日本への年次改革要望書に沿ったものとだ。
 しかも現在、お金の管理は、郵便貯金・簡易生命保険管理機構がやっている。これは独立行政法人で民間のものではない。依然としてお金は「官」が握ってはなさないのだ。
 そして、いまサブプライムローンの破綻が出てきているが、これは証券化が原因になっている。だが、推進した人たちはそれを認めたくない。竹中平蔵をはじめ、もっと自由化・規制緩和してアメリカのようになればよいと言い続けている。これらの人は郵政民営化を主張してきた人でもあるのだ。


葛西敬之JR東海会長の証人喚問

    
 葛西証言は実質的に不当労働行為を認めるものだ

 六月二日、国鉄分割民営化の立役者の一人であり、実質的なJR採用の責任者であったJR東海会社葛西敬之会長は、東京高裁第一七民事部に呼びつけられ、証人尋問が行われた。その葛西は、二〇〇六年には国家公安委員に就任し、また政府の教育再生会議委員にもなっている財界の中心人物の一人であり、安倍晋三のブレーンをつとめた親米派の大物である。その葛西を法廷に引きずり出したことの意義は大きい。

 裁判では、南敏文裁判長が「中曽根氏がテレビなどで『国労がつぶれれば総評がつぶれ、社会党がつぶれることを明確に意識して国鉄分割・民営化を行った』と発言しているのを知っているか?」と聞いたのに、葛西は「発言は知っているが、それが目的とはいささか物事の本質を取り違えている。私は鉄道の再生のため、また、真面目にやる者が報われるようにやってきただけであり、『子の心、親知らず』の典型だと思っている」と答えている。

 鉄建公団訴訟原告団中央協議会は、「控訴審第九期日の概要」で、葛西の態度と基本的スタンスをつぎのようにまとめた。
 ○典型的な官僚答弁で、都合の悪い事ははぐらかしまともに答えない。しかし、言いたい事だけ勝手にしゃべりまくる。裁判所には悪い心証を与える結果となった。
 「破滅的状況にあった国鉄を再建するには、分割・民営化が唯一の方法であり、それが国是だった。反対した国労は、時代に逆らった。」
 「国是に基づいて、自分は正しいことを淡々とやった。その結果として国労はつぶれていた。国労を排除する考えはなかった。現状にそぐわない対応をとる国労が自壊した。」
 「国鉄改革法二三条の作成に関与した「法務課の法律専門家」とは、現・高松高裁長官の江見弘武氏である。」

 午後六時半からは、全水道会館で、「控訴審報告集会」が開かれた。
 主催者を代表して、二瓶久勝国鉄闘争共闘会議議長があいさつ。
 今日の葛西証人尋問で事態はおおきく動くだろう。現在の国会情勢は、自民・民主が対立を深め、こうした中で、一〇四七名問題の政治解決に向けての交渉テーブルづくりの環境はできていない。こうなった責任は第一に国土交通省の官僚にある。かれら官僚は、四者四団体はまとまっていないとか、こちらが裁判闘争を主として居るのではないかというのがその口実だ。こうした妨害をけっして許してはならない。
 われわれの立場は、雇用・年金・解決金の三項目をかならず取ること、裁判闘争をやりながら政治交渉を行う、大衆行動を展開するということだ。時間的な余裕はない。年内・年度内の解決を勝ち取らなければならない。文字通り全力をあげて解決を実現しよう。

 つづいて、鉄建公団訴訟主任弁護士の加藤晋介さんが「控訴審第九期日 葛西尋問を終えて―今後の法廷闘争の見通し―」と題する問題提起。
 葛西は聞いたことについては応えないというまったくの官僚答弁だった。しかしこれが調書となればずいぶんと言わせるべきことをひきだせている。
 今回の尋問の獲得目標は、葛西が分割民営化の絵をかいたということとその人脈とくに中曽根との関係を明らかにすること、そして分割民営化の過程、その段階段階をはっきりさせ、その中で葛西が何をしたのかを見定めることだった。今日の評価はそこがどうだったかということである。
 国鉄「改革」では、民営化は既定方針だったが、分割ということは八五年以降だ。その後、この方針に反対するものは全部すり潰すということにしたのだ。葛西は、公労法がストを禁止している、国是として分割民営化が認められ、国会でも職場規律ゆるみが問題となったのだから、国労差別をしたわけではないと言った。葛西は逃げたつもりだがそうはなっていない。まず反対する労働組合の言い分は聞かないというのでは、誠実に交渉したことにはならない。そして、アンケート、労使安定宣言、そして雇用安定協定とつづけ、その中で、分割民営化に反対といっただけで、人材活用センターにぶち込みクビにしたのである。
 また、あの国鉄改革法二三条を作ったのが出向してきた裁判官であり、現在は高松高裁長官である江見弘武氏であることを明らかにした。
 またJR側の採用基準は、きわめてファジーなもので、「ふさわしいもの」というようなものだった。これは葛西がつくったものだ。
 葛西は、国鉄の大規模な借金を解消するためには分割民営化以外にないと思ってやってきたが、気がついたら国労はつぶれてしまっていた、などと言っている。葛西は、つぶすつもりはなかった、私は法律を守っているなどと強弁している。
 だが、葛西の発言は事実とはまったく違う。このことは葛西を証人喚問した裁判官には十分にわかっているのではないかと思う。

 つづいて、清水建夫弁護士、萩尾健太弁護士、長谷川直彦弁護士、斉藤道俊弁護士(釧路弁護士会会長)が発言し、それぞれ葛西証人喚問で勝ち取った成果を強調した。
 
 特別報告として全統一光輪モータース分会の大原博文分会長が発言した。

 集会は、当日の証人喚問で獲得したものを基礎に裁判闘争に勝利できる確信を深め、今後の闘いの全身を誓い合って終了した。


なくそう! 長時間労働  「名ばかり店長」に尊厳を

 五月十九日、全水道会館で「なくそう!長時間労働 『名ばかり店長』に尊厳を」集会が開かれた。
 はじめに管理職ユニオンの安部誠さんが開会挨拶。
 戦後の労働法制の労働時間規制と中間搾取の排除だった。いまそれが大きく崩されている。名ばかり店長などの「管理職」は、厳しい労働条件の下で働かされてきたがいま声を上げ始めた。この闘いを広げていこう。
 つづいて店長からのアピール。
 日本マクドナルドの高野広志さんは、残業は百時間超えるが管理職ということで残業代は支払われない。管理職ユニオンに入って、裁判闘争を起こした。地裁では勝訴したが、会社側はそれを認めず控訴した。いま名ばかりの店長、名ばかりの管理職が同じような過酷な条件で働かされている。もっと多くの声を挙げて行くべき時だ。
 紳士服のコナカ、すき家、ショップ99、セブンイレブンのフランチャイズ会社・シーブイエストヨクラ(長野)からの報告が行われ、 棗(なつめ)一郎弁護士がマクドナルドの闘争について講演した。


アイヌ民族

   
先住民族としての権利の具体化を!

 五月二十二日、日比谷野外音楽堂で、アイヌウタリ連絡会による、「『国連先住民族権利宣言』を尊重し、有識者懇談会設置とアイヌ民族施策を!」集会と請願デモが、北海道をはじめ全国からアイヌ民族が参加して行われた。

 六月六日には、アイヌ民族を先住民族と認定するよう政府に求める初の国会決議が衆参両院本会議で、全会一致で採択された。その骨子は、@政府は「先住民族の権利宣言」を踏まえアイヌを先住民族として認める、A政府は有識者の意見を聞きながら総合的な施策の確立に取り組む、でる。
 今回の国会決議をうけて、町村信孝官房長官は、「政府としては独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族との認識のもと、国連宣言を参照しつつ、これまでのアイヌ政策をさらに推進し、総合的な施策の確立に取り組む」と述べた。
 これまで政府は、九七年に制定された「アイヌ文化振興法」でも、アイヌ語の普及や伝統的な歌や踊りの継承など「先住性」を認めてきたものの、先住民族とは認めなかった。
 アイヌの人びとの苦闘がついに実りこうした画期的な事態を実現できた。また世界の趨勢も日本政府の態度変更に圧力となり、動きを加速させたのである。
 昨年九月に国連で「先住民族の権利宣言」が採択されている(賛成一四四票、反対四票、棄権一一票。日本は賛成。反対はオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、アメリカ合衆国)。そして、この七月には北海道でサミットがあり、福田内閣としてもいままでのような政策を取り続けることができなくなった。
 だが、政府与党の中にはこれまでのアイヌ政策を続けるべきだとする集団の力は依然として強い。政府「有識者懇談会」の問題では、メンバーにアイヌ民族を入れるよう求める主張に、政府はオブザーバー参加にとどめようとしている。なお国連「先住民族の権利宣言」には先住民族が政策決定に関与できる権利(一八条)とある。
 かれらが恐れているのは、国連宣言の先住民族認定には土地や資源、自治など四六項目に及ぶ権利が明記されていることだ。国会決議を通りいっぺんの文書にとどめ、空洞化を狙っていることは明らかだ。闘いは新たな段階に入った。


08国会ピースサイクル

  
 防衛省、都教委、外務省、東電、内閣府へ申し入れ

 五月三〇日、今年で五回目になる〇八国会ピースサイクルの東京での一日行動が取組まれた。

市ヶ谷駅前から出発

 この日は梅雨入りで朝から雨だったが、午前九時に市ヶ谷駅前の公園に集合して今日一日の行動の確認を行い元気に出発した。

防衛省へ要請
 
 最初は市ヶ谷駅の近くにある防衛省前で「米軍再編に反対し、辺野古における米軍基地建設計画の撤回を求める要請」文を読み上げる要請行動を行った。
 最後にシュプレヒコールを行った。
 このあと、自転車組と電車組に別れ、次の行動である都庁東京都教育委員会で再会をすることになった。

都教委へ要請

 一一時より要請行動をするため自転車組を待ったが、時間になってしまったので「東京都教育委員会の日の丸・君が代強制に抗議し、すべての処分と一〇・二三通達の撤回を求める申入れ」を行った。
 対応した窓口となった教育情報課は、私たちの抗議にたいして、お話は担当部署に伝えるの一点ばりで話し合いにならないばかりか、まったく誠意のひとかけらもない態度であった。

外務省・東電へ要請

 一四時三〇分から外務省組、東京電力組にそれぞれ別れて要請行動を行った。途中から、大分、愛知の仲間も合流してきた。東電組は、「柏崎・刈羽原発の断層問題に対する要望」で原発を速やかに廃炉にし、プルサーマル稼動反対や核廃棄物の処理、再処理工場周辺の環境汚染について実態を明らかにするよう申し入れた。
 外務省への申入れは一五時からとなり時間があったので東京地裁前で座り込み行動をしている国労闘争団の仲間と交流をしてきた。外務省は人数制限の上、申し入れ時間も一五分と昨年の一時間にくらべ大幅に制限してきた。しかし、日本軍性奴隷制問題を追及する内容で四五分を超過することになった。

内閣府へ申し入れ

 一六時からは内閣府への申し入れ(別掲)をし、これまで取組んだピースメッセージ、「政府は名古屋高裁の判決を守り、憲法九条を守れ!イラク等から自衛隊を早期に撤退させ、戦争ができる国家づくりの放棄を求める署名」の提出を行ってきた。
 このあと近くの記者会館で報告会を開いた。どこもわれわれの申入れに対しまともに回答できてない。今年はサミットがあるせいか各省庁に入るのに警備が厳重だったことや、面会人数、時間などに例年にない制限があった。最後に夏のピースサイクルを成功させることを誓って要請行動を終えた。 (A)


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内閣総理大臣  福田康夫さま
 
国会ピースサイクル到着の日  二〇〇八年五月三〇日


 政府は、名古屋高裁の判決を守り、憲法九条を守れ! イラク等から自衛隊を早期に撤退させ、戦争ができる国家づくりの放棄を求める要請


 私たちピースサイクル全国ネットワークはこの二三年間、自転車で全国の人々と連なり、平和、人権、環境保護を訴えてきました平和団体であります。六三年前の日本帝国によるアジア・太平洋地域での植民地支配と侵略戦争の歴史を学び、この日本とアジア、世界の平和を目指そうと毎年夏に自転車を走らせ、全国をリレーしながら、平和のメッセージを集め、広島、長崎、沖縄、六ヶ所に届けています。
 また、韓国、中国の南京・東北、ベトナム、フィリピン、タイ、マレーシア、シンガポールなどアジア各地にも自転車を走らせ、現地の人々と共に旧日本軍の侵略の爪痕を見学し、戦争被害者との交流を深めてきたところです。

 戦後六三年間、憲法九条によって、国民は他国との戦火にまみれず、平和に生活できる道が維持されてきました。ところが、憲法二五条によって生存権の保障が謳われていながら、新自由主義の暴走によって、貧困と格差が際限な<拡大し、生存権が脅かされています。「財政危機」を理由に「生活保護制度の基準見直し」が目論まれ、医療制度の崩壊に通じる「後期高齢者医療制度」が強行されています。また、労働の規制緩和によって、非正規雇用労働者が拡大し、ワーキングプア問題が深刻になっています。
 二〇〇七年五月、自公政府与党は国民多数の反対をおしきって、「日本国憲法の改正手続きに関する法律」(改憲手続き法)を一八もの付帯決議による異常な欠陥法にもかかわらず強行採決しました。このとき同時に憲法審査会が設置され、事実上いつでも改憲案を審議ができることになりました。しかし、詐年の参議院選で大敗を喫した自公政府は、審査会を実際に発足させる為に必要な委員定数などを定める「憲法審査会規定」案すら上程できずにいます。
 また、最近の世論調査では、憲法九条の改悪に反対ばかりか、憲法全体の改憲にも反対が、賛成を上回りだしています。この世論をみても、国民の多<は、改憲をめざす憲法審査会の始動など望んでいません。
 こうした中で、四月一七日、名古屋高裁は「自衛隊イラク派兵差止め訴訟」の控訴審判決で、米兵などを輸送する「航空自衛隊の空輸活動は憲法違反」「平和的生存権は、憲法上の法的権利」と認める画期的な判決を出しました。判決は「現在のイラクでは、国際的な武力紛争が行われている」と明言し、現在行われている航空自衛隊の武装兵員の空輸活動は、「他国による武力行使と一体化した行動」と指摘。「武力行使を禁止したイラク特措法二条二項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条三項に違反し、かつ憲法九条一項に違反する活動を含んでいることが認められる」と指摘しています。五月二日には、この判決は確定しています。
 私たちは、日本政府が、この判決に従い、直ちにイラクから自衛隊を撤退させること。さらに、憲法九条を守り、米国に追従した米軍再編や戦争ができる国家づくりを即座にやめることを強く求めます。

 私たちピースサイクル二〇〇八全国ネットワークでは、今年五回目の国会に向けたピースサイクルを四〜五月に全国いっせいで実施しました。各地で市民との交流を行い、市民からのピースメッセージを受け取ってきました。「新テロ特措法(給油法)に反対!自衛隊は日本にすぐ戻れ!」「米軍再編反対!パトリオットミサイイルの配備反対!」「『君が代』『日の丸』の強制に反対!」「沖縄の新基地建設はやめろ!」「六ヶ所での核燃料再処理施設の稼働は中止しろ!」「軍隊『慰安婦』や強制労働の早期解決を!」「憲法九条を世界に、未来に広げよう!」等々の日本が米国と連動して戦争ができる国家づくりに対する危惧が表明されるピースメッセージを多数預かってきたところです。
 日本政府は、これら多くの市民から寄せられた危惧と抗議の声に耳を傾け、憲法前文と第九条の精神をアジアヘ、世界へ、未来に広めていくことを強く要請いたします。     
 ピースサイクル二〇〇八全国ネットワーク


石川一雄さんは無実だ!  狭山事件の再審を求めて

 一九六三年五月二三日、石川一雄さんは別件逮捕され、警察の代用監獄で長期にわたる取調べを受けて、ウソの自白を強要され、女子高校生殺しの冤罪におとしいれられた。
 それから四五年、石川一雄さんは無実を叫びつづけて闘い抜いている。

 二〇〇六年五月二三日、石川さんと狭山弁護団は、東京高裁に第三次再審請求を申し立て、筆跡鑑定をはじめ石川さんの無実を立証する多数の新証拠を提出して、再審開始を求めてきた。

 今年の五月二三日にも狭山弁護団は新証拠を東京高裁に提出し、鑑定人の尋問など事実調べと検察官の持つ証拠の開示を求めた。
 
 五月二三日、日比谷野外音楽堂で、「狭山事件の再審を求める市民集会 無実の叫び四五年〜いまこそ冤罪なくす司法民主化を!」が行われた。
 集会では、組坂繁之・部落解放同盟中央本部委員長の開会発言につづいて、民主党の松野信夫参議院議員と社民党の福島みずほ参議院議員・社民党党首が来賓あいさつを行い、石川一雄さんと早智子さんが闘う決意を表明した。
 つづいて、新証拠提出報告について、中山武敏弁護士(狭山弁護団主任弁護人)、中北龍太郎弁護士(狭山弁護団事務局長)など狭山弁護団から報告・挨拶があった。
 松岡徹(部落解放同盟中央本部書記長による基調報告があり、無実の死刑囚・袴田巌さんのお姉さん袴田秀子さんが弟の無実を訴え、袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会からは再審闘争に向けての報告が行われた。

集会アピール
 
 狭山事件は事件発生から四五年、再審請求は三〇年以上にもなりますが、鑑定人の証人尋問などの事実調べは一度もおこなわれていません。袴田事件や足利事件など、十分な証拠調べも証拠開示もおこなわれないまま再審請求を棄却する決定が続いています。有罪判決に合理的疑いがあれば再審を開始するという判例も、誤判から無実の人を救済するという再審の理念もふみにじられています。
 昨年は、鹿児島・志布志事件や富山・氷見事件など冤罪事件の無罪判決があいつぎ、警察の人権を無視した取調べの実態やズサンな証拠による誤判が明らかになりました。狭山事件で四五年前に冤罪を引き起こした同じやりかたが今もおこなわれていたのです。冤罪を生まないための司法改革が今、問われています。
 来年五月から裁判員制度が始められようとしています。裁判員制度開始を前にして、冤罪を生まないために、取調べの全過程の録画・録音と弁護側への証拠開示を保障する法律が早急に必要です。誤判から無実の人を救済する再審制度を十分機能させるための改善も必要です。国連の拷問禁止委員会の勧告などもふまえて、民主党は昨年一二月に参議院に取調べ可視化法案を提出しました。私たちは、法案がすみやかに審議され、一日も早く成立することを願っています。
 東京高裁には狭山事件の事実調べと再審開始を求める一〇〇万筆を超える署名が提出されています。北海道をはじめ全国各地で市民集会が開かれ、狭山事件の再審と司法民主化を求める声が広がっています。東京高裁の門野博裁判長が、こうした人権と正義を求める一〇〇万人の市民の声を真剣に受けとめ、狭山事件の事実調べ・再審開始をおこなうよう求めます。
 狭山事件は部落差別が生んだ冤罪です。石川一雄さん、早智子さんは第三次再審で冤罪を晴らしたいと全力で無実を訴えています。私たちは、一雄さん、早智子さん、そして家族・弁護団の第三次再審にかける決意をうけとめて、再審無罪まで全力で闘います。あらゆる冤罪・人権侵害をなくすために、冤罪・再審を闘う仲間との連帯の輪を広げ、司法民主化をめざします。取調べの全過程を録画・録音する可視化法の早期制定を求めます。


映 評

     「光州 5・18」


 07年 韓国 121分

   監督 キム・ジフン
   主演 カン・ミヌ……キム・サンギョン……タクシードライバー 
      カン・ジヌ……イ・ジュンギ……ミヌの弟
      パク・シネ……イ・ヨウォン……看護師
      パク・フンス……アン・ソンギ……元兵士、シネの父


 この映画の内容を語る前に少し時代背景にふれてみよう。一九七九年一〇月に朴正煕大統領が射殺された後、韓国内では社会の民主化の動きが急速に高まっていった。八〇年春にはソウル市内で学生デモが頻発し、その機運に危機感をいだいた全斗煥ら陸軍内の強硬派は戒厳令を全土に拡大して金大中氏ら野党指導者を拘束した。 そして金大中氏の出身地である全羅南道光州市での民主化要求の街頭デモに戒厳軍を投入した。

 映画の冒頭シーン、兵士たちは目的地を告げられないまま軍用機に乗せられた。ある兵士が「われわれは北進(北朝鮮攻撃)するのか」とつぶやく。他の兵士が「太陽の方角から見て機は南に向かっているぞ」と答える。このシーンはまさに暗示的だ。これからおこるであろうことがそれとなく示されている。
 ここでストーリーを詳しく語ってみてもあまり意味がないような気がするのでそれはやめるが、映画の中でたいへん気になっている部分をいくつかあげてみる。
 戒厳軍兵士が無辜(むこ)の市民をあらゆる武器を使って弾圧する姿、圧倒的な数の抗議行動を行なう市民の前に戒厳軍は退却し、道知事を通じて時間を区切って市内から退却すると宣言する。市民は闘いに勝利したと信じ狂喜するが、約束の時間の前に態勢を立て直した軍隊はさらに苛酷な弾圧を市民に加える。これらのシーンはたいへん迫力があり、どうしても市民の側に肩入れしようとする自分に気づくと同時に人民の支持をえない軍隊が力を過信し、一時的に弾圧に成功してもやがては内部から崩壊していくのだという冷厳な事実に感じていってしまう。

 この映画に登場する看護師のシネは鷲尾いさ子によく似たたいへん知的な女性で、街頭の闘いで傷ついた人びとに寸暇を惜しんでつくす。このような危機的な状況を広く市民に訴えようと宣伝カーに乗り、次のように訴える。「市民の皆さん。いま、戒厳軍が突入してきました。愛する兄弟姉妹が戒厳軍の武器に倒れています。みなさん、最後まで戒厳軍と戦いましょう。私たちは光州を死守します。私たちを忘れないでください。私たちは最後まで戦うつもりです…」。このシーンは繰り返し写しだされる。静寂に包まれた夜の街を巡回するあまりにも悲壮感あふれるその姿に深く胸を打たれた。「私たちを忘れないでください」というフレーズが彼女の最も訴えたかった部分ではないかと思う。ヒロイズムでは決してなく心の底からの発露なのだろう。自分たちの決意と多数の市民の危機の認識の落差にもどかしさを感じている様子がよくあらわされている。
 事件当時の光州では実際に率先して街頭宣伝を行って回った女性が存在したそうだ。またシネは戒厳軍兵士に追い詰められ、襲いかかろうとした兵士を自衛のために殺害してしまう。その場に呆然と立ち尽くし、言葉にならない嗚咽をもらす。人びとを生かすために戦いを始めた自分が正当防衛的な行為とはいえ、兵士を殺してしまったことに対する深い後悔の念の発露と言えるだろう。この女性のやさしさがよくあらわされたシーンだろう。
 
 ミヌ、ランスら戦いを始めた市民は軍の弾薬庫から武器を奪取し、道庁に立てこもり戒厳軍の総攻撃に備える。しかしそこは所詮プロの軍隊と市民の差である。戦いが始まって時間がたたずに完全に制圧されてしまう。ここで光州の市民たちは最悪の戒厳軍に対してよく戦ったというメッセージが発せられる。それは決して自らの利益のためではなかった。不正義に対する究極の選択だったような気がする。

 小栗康平の「眠る男」、ベトナム戦争時に南ベトナムに派遣された韓国軍の戦いを描いた「ホワイト・バッジ」などに出演したアン・ソギはこの映画のなかでたいへん重要な役回りを演じている。世の韓流ブームとはあまり関係なく、アンの演技力は作品に安定感を確実に与えているようだ。
 
 この映画の中で少し不満な点をひとつだけあげてみよう。それは光州市民の主要敵の姿が明示されていないことだ。戒厳軍兵士、道庁に陣取る地区戒厳司令官などの住民など殺戮してもかまわないという発言、態度はしめされていて、軍部の実権を握った全斗煥戒厳軍司令官の名前もそれとはなく出てくるのだが、誰が何のために光州市民の弾圧を決意し命令したかという点がかくれてしまっていることだ。でも一説によると、そのあたりは韓国内でもいまだに謎に包まれているとも言われているので、仕方がないことか。
 
 金大中、盧武鉉一〇年のいわゆる左派政権下で、戦後韓国の重大事件の真相究明がなされ、光州事件を語ることがタブーでなくなり、事件に関する映画も創作されだしてきた。光州事件を本作品とは別の視点でとらえたイム・サンス監督の「なつかしの庭」も〇七年に制作された。今後、一九四八年四月に済州島で起こり、犠牲者二万五千〜三万人といわれている「4・3事件」もやがて映画化されることになるのだろうか。しかし、負の歴史を見直そうとする韓国内の動きにはダイナミズムを感じて若干うらやましくもある。
 
 現在、光州市では二年ごとに光州ビエンナーレと称する美術展が開かれている。光州市民の意識はどのように変化したのか。私たちが光州事件から何を学んできたのか。これからもこの問いの答えは見つかるのだろうか。私は、七四年七月、八一年四月に光州を訪問したが、いつの日か、また光州の無等山、錦南路にまた言ってみたいと思う。   (東幸成)


せ ん り ゅ う

    宇宙戦法案可決で悪夢の空
   
    虐殺兵器屋さんダブリンにそっぽ
   
    違憲と知りつつ大臣たちは無法者
   
    ゆとられている長者議員たちの国会
   
    資本主義的奴隷時代なのだ
   
    労災過労自殺引籠りニートパートプアー
   
    国家とは億万長者制作機なり
   
    国民とは国家の部品なり
   
    吉兆さんよく似てまっせ官僚も
   
                   ゝ 史(ちょんし)
   
   二〇〇八年五月
   
 ○ 五月二十一日、自公民の賛成で、宇宙基本法成立―宇宙開発の「非軍事」限定の国会決議(一九六九年)を覆すもので、米軍とのMD共同開発ができるようになった。 
 ○ 五月三十日、ダブリンでクラスター爆弾禁止条約が採択(日本含め一一〇ヶ国)された。しかし、米ロ中は参加拒否。―一二月三日調印式予定。


複眼単眼

     
四川大震災と自衛隊機派遣騒動

 五月二八日に、四川大地震の救援物資輸送について自衛隊機による輸送を中国が受け入れたという報道があって、町村官房長官もそれを確認したことから、空自小牧基地は派遣に備えてC130の準備に入った。しかし、翌二九日に中国側が一転して自衛隊機受け入れに難色を示し、政府はあらためてチャーター機で送ることにした。日本からの輸送はテント計一二〇〇張を民間機で輸送することになった。
 これをめぐって、社民党の福島党首は二八日の記者会見で「確かに命の問題はあるけれども、民間でやれることをやるべきで、民間機で輸送することでいいではないか。地震の際の災害救助は、消防士の訓練部隊などが訓練をしていて、非常に役立っている。自衛隊の海外派遣については、反対である」と述べた。
 共産党の志位委員長は二八日の記者会見で「スマトラ沖地震の際に、きわめて大きな自然災害が起きたときは自衛隊が海外でも救援救出に活動することを否定するものではないと表明したが、今度も変わりはない」と述べた。これは二〇〇五年の共産党二二回大会決議で話題を呼んだ「(自衛隊は憲法違反で、その解消に努めるが)こうして自衛隊解消に取り組む過渡的な時期に、仮に急迫不正の主権侵害があったり、大規模災害にみまわれるなど、必要にせまられた場合には、可能なあらゆる手段でこれを排除する一方策として、そのときに存在している自衛隊を活用するのは、国民に責任を負う政府の当然の責務です」とした急迫不正時の自衛隊利用論の問題に通ずるものだ。
 志位委員長の頭にこの考えがあったために、「なぜ、自衛隊機なのか、中国民衆は自衛隊をどう見ると思うのか」という政府への批判的視点が欠けたのではないか。政府はあきらかにこの自衛隊派遣を派兵恒久法などに対する天佑とみたに違いない。この点で、明確に反対の意思表示をした福島党首のほうが原則的で、正しい。そして実際には結果が示すとおりに民間機で十分に間に合ったことなのだ。
 自衛隊の準機関紙「朝雲」のコラムは「自衛隊機で空輸する話が突然持ち上がり、突然消えてしまった。日中間でどんな行き違いがあったか定かではないが、たいへん惜しいことをしたというのが率直な思いではないだろうか。……またしてもマスコミにやられた格好だ……『次の機会』には、功名を焦らず確実に実現してもらいたい」と書いた。しゃべってしまった「日本の誰か」の責任が大きい、とも言って悔しがっている。
 中国の高官が打診したことを日本側が確定しないうちに大騒ぎし、報道されてしまい、中国内部の矛盾を激化させて失敗したといいたいようだ。
 一説では軍の中間幹部クラスがいった話で中国の最高指導部は関わっていないとも言われる。
 かの国を多少知っているだけに筆者は「そんなことがあるものか」と思う。それにしても、中国指導部の感覚の悪さよ。民心からかくも離れてしまっている。浮いている状態だ。今回の震災は天災であるだけでなく、かれらの推し進めてきた改革開放路線による面が明確にある。学校が手抜き工事で集中して倒壊したことなどは、その責任の典型だ。それに抗議した民衆を逮捕・収監するに至っては、この連中は何ともお粗末だ。   (T)