人民新報 ・ 第1243号<統合336号(2008年7月15日)
  
                  目次

● G8サミットはいらない  世界の労働者・民衆の力で新しい世界をつくろう

● 全労協「G8サミットにもの申す!」集会

● 貧困と環境破壊のG8サミット反対! 対抗アクション・東京行動

● 国鉄闘争共闘会議主催で「安全問題シンポジウム」

● 08オキナワ・ピースサイクル報告

● 6・20 けんり総行動実行委の東京総行動

● 図書紹介  戦争が遺したもの  『半世紀前からの贈物』補論  ( 内田雅敏 鈴木茂臣 編著 )

● せ ん り ゅ う

● 複眼単眼  /  中村医師によるPMSの活動停止の警告

● 夏季カンパの訴え ( 労働者社会主義同盟中央常任委員会 )




G8サミットはいらない

     世界の労働者・民衆の力で新しい世界をつくろう


実質先送りの「目標」

 七月九日、洞爺湖町での主要国首脳会議(G8サミット)が終わった。世界が直面している温暖化をはじめ環境悪化、原油高騰、暴動まで引き起こしている食料問題、貧困と格差問題などを解決するという触れ込みでひらかれたこの会議で最大の課題とされた温室効果ガスの排出削減について主要排出国首脳宣言は、二〇五〇年までに世界全体の排出量半減では、新興国へ削減要求を押しつけたうえ、「国連の気候変動枠組み条約の下での交渉において、世界全体の長期目標を採択することが望ましいと信じる」などと漠然とした方向だけを決めて数値目標もなく具体的にはG8諸国自身の責任をまったく背負わないものとなった。

記者会見での福田

 ところが、福田康夫首相はサミット後の記者会見で、次のように述べている。
 「今回のサミットは、最近のものに比べても、極めて重要なものであったと思う。なぜならば、地球温暖化の進行、原油や食料価格の高騰の問題、金融市場の緊張といった、世界規模の課題が、非常に切実な形で人々の生活に影響を与えている中で開かれたサミットだからである。」「多くの成果を生み出すことができたと思っている」として、次の点をあげた。
気候変動問題について、「二〇五〇年までに世界全体の温室効果ガスの排出量を少なくとも五〇%削減するという長期目標を、世界全体の目標として採択することを求める、との認識で一致した。これは米国を含むG8諸国がこの目標に合意していることを当然の前提としている。この問題については、G8の中でも様々な立場があり、今回はそうした違いを乗り越えながら共通の認識を示し、国連での交渉に弾みをつけるという貢献ができたと思っている」「野心的な中期の国別総量目標を実施すること、革新的な技術開発のための国際イニシアティブを立ち上げること、そして途上国支援のための『気候投資基金』を設置するといったようなことにも合意した」と自画自賛した。だがこれは強弁でしかない。

内実はバラバラ

 だから記者から「気候変動に関し、ヨーロッパ側は基準年が一九九〇年であると言っている一方、日本側は二〇〇五年、あるいは二〇〇八年だという言い方をしている様であり、最終的な削減レベルで大幅に違いが出てくると思う。(日本とヨーロッパで)違ったことを言っているということは、紙に署名をしたとしても意味合いが違うのではないか」と質問されるしまつだったのである。

すべては利潤のため

 経済のためには環境保護は障害になるとするアメリカ資本を代弁したブッシュは会議の中でも、方針骨抜きに動き回り、環境を口実に原子力発電増強の方向を推進したのであった。投機マネーの暗躍とバイオ燃料化という流れを押しとどめることなく、食料問題の解決も先送りされたのである。食料価格高騰について「深刻な懸念を共有しあらゆる対策をとる」とされたが、G8農業相会合を開くことが決まったくらいだ。
 結局、地球温暖化、原油高騰、食料価格の上昇という「三つの危機」への一致した対処ということは、一般的な宣言と首脳の決意表明だけで有効な政策を出すことなく終わったのである。

資本主義システム

 しかしこのことは、反グローバリズムの運動をはじめ多くの人びとが事前に指摘したことであった。利潤第一の資本主義システム、そしてその最悪の類型としての新自由主義は、目先の利益のためにはすべてを犠牲にするのである。現在、世界で起こっているさまざまの問題とりわけ この「三つの危機」は大資本の横暴をそのままにしていたのではまったく解決の方向がでてこないことは明らかである。
 G8諸国だけが世界の重要事を決定しようとするG8サミット、それにいくつかの国家首脳を加えた洞爺湖サミットで、明らかになったことがある。世界的に深刻な生態的経済的社会的政治的な危機がひろがり、それに先進国政府が対応できないことであり、ブッシュの動きに見られるように逆にそれを拡大・悪化させているということである。

 G8サミットは終わらせなければならない。

 全世界の労働者・民衆の連帯した力で新しい世界をつくり出そう。


全労協「G8サミットにもの申す!」集会  五十嵐仁大原社研所長が講演

       
「いま潮目が変わった。こちらが追撃に転じなければならない。」

 G8サミットを前に、全労協主催の「地球・資源・食糧危機、貧困・格差拡大反対!『G8サミットにもの申す!』7・3労働者集会」が全水道会館で開かれ一六〇人が参加した。
 全労協藤崎良三議長は主催者あいさつで、全労協のG8サミットへの取り組みについて報告した。
 
 集会では、五十嵐仁法政大学教授・大原社研究所長が「新自由主義がもたらした貧困・格差社会〜労働運動はそれとどう闘うか」と題して講演。
 いま市場の失敗が明らかになってきている。市場を支配するのは「神の手」といわれてきたが、実際には「悪魔の手」「泥棒の手」であり、戦争ビジネス、儲けだけのビジネスで環境は大きく破壊されている。小泉構造改革では宮内義彦などが規制緩和の尖兵になった。たとえばタクシーの自由化だ。宮内はオリックスというリース会社を経営しており、タクシーを貸し出してそこで儲けた。規制緩和の政策をだして自分の利益になるというのがその構造だ。
 ノーベル経済学賞をうけたスティグリッツは、「世界を不幸にしたグローバリズムの正体」などの本を書いて、リスクの不公平な分散、格差の拡大と貧困化、雇用の破壊はグローバリゼーション、その実はワシントン・コンセンサスがもたらしたものだとしている。日本でも伊藤忠の会長で政府の経済財政諮問会議議員でもある丹羽宇一郎のような人も同じような批判をするようになった。
 こうしたなかで自民党雇用・生活調査会も結成され、生活の破壊、雇用の劣化、医療の崩壊、介護の空洞化、年金の不安、教育の混乱などに対処せざるをえなくなっている。その事務局長である後藤田正純衆議院議員は新自由主義改革の行き過ぎを批判している。与謝野馨前官房長官や加藤紘一元自民党幹事長も同様な主張をし始めている。
 振り返ってみてみると、二〇〇六年に内外情勢の大きな転換があったようだ。格差の拡大と貧困の増大がかなりのところまで行き着いて、そうした中でホリエモンとか村上ファンドの村上世彰の逮捕、企業不祥事などが続発し、小泉につづいて安倍が登場したが〇七年夏の参院選で与党は大敗した。国際的にはイラク戦争の失敗と経済の混乱によるアメリカの没落があり、「アメリカ・モデル」に対する疑念が増大した。労働運動でも非正規ユニオンの結成やパート労働者の組織化がすすみ、ナショナルセンター段階でも非正規労働センターなどができ、またさまざまな共同も進展した。マスコミもこうした動きをよく報じるようになっている。国際労働運動も、国際自由労連などが合流したITUC(国際労働組合総連合)が、あらたな取り組みを強めている。
洞爺湖サミットに先立って五月一一日から一三日までG8労働大臣会合が新潟市で開催されたが、ITUCや連合など労組は行動を行った。
 いまは資本主義対社会主義という対立ではなく、資本主義対資本主義という構造になっている。資本主義にもいろいろあり、新自由主義的資本主義が最悪だ。
 そしてその新自由主義の失敗が明らかになってきている。中南米はIMFなどによって新自由主義政策の最先端を走らされていたが、経済はズタズタになるという悲惨な状況になった。その一方で、アメリカはイラクで泥沼に入り込み、その間に、中南米はコロンビアを除いてすべて反米・非米の国となり、新自由主義反対のオルタナティブの最前線になっている。
 アジアでも同様だ。新自由主義政策で貧困にさらされたインドネシアや韓国の変化だ。ノ・ムヒョン政権が新自由主義政策を推し進めてきて、保守派のイ・ミョンバク政権に変わったが、その政権も期待はずれであり、政治的な危機に陥っている。
 日本でも小泉改革の負の側面が噴出して、先に触れたように自民党の「党内反乱」もおこっている。
マクドナルド、フルキャスト、すき屋、KDDIエボルバ、ガテン系連帯などでの闘いが注目されて、非正規労働者の問題がキャノンや日経新聞の提供の番組でも取り上げられたりしている。
 この間の闘いでは、ホワイトカラー・エグゼンプションの問題が大きかった。何か変なことがやられようとしていると多くの人が思い、「残業代ゼロ法案」などという名が一般化し、規制緩和派が守勢となり、法案は先送りされた。その後も、「名ばかり管理職」とか「なんちゃって店長」とかの問題での取り組みがもりあがり、広がっていっている。労働者派遣法改正問題では、全労連と全労協が共催集会をもつなど画期的なことがおこっている。
 いま潮目が変わった。こちらが追撃に転じなければならないときである。この夏からの臨時国会へ労働者派遣法の改正案がだされる状況になっているが、焦点の日雇い派遣だけでなく登録型そのものも廃止していかなければならない。そして、規制改革会議を孤立させ息の根を止めていかなければならない。
 世界的にも新自由主義は主流ではなくなってきている。反グローバル運動が登場し、世界社会フォーラムが「もう一つの世界は可能だ」とアピールしているし、EU・ヨーロッパ労連の役割が増大している。その組織率の高さ、協約適用率の広さ、政治的・社会的地位の高さ、影響力の大きさは「もう一つの道」を示す役割を果たしている。
 G8先進国首脳の会合は世界を豊かにできない。いまの課題は「モラル・エコノミーによるディーセント・ワーク(人間らしい適正な労働)の実現」ということだ。
 労働組合の果たすべきは、労働政策の規制緩和を押し返すことだが、これは〇六年から転換しはじめ、追い風が吹き始めた状況にある。小林多喜二の小説『蟹工船』がブームになっているが、これは労働組合の存在意義が高まっているということでもある。秋葉原無差別殺傷事件背後には働き方の問題があり、成果・業績主義による分断と孤立、メンタルヘルス不全という不安・不安定な状況からの脱出を求めていることがある。すでに「ポスト新自由主義」の時代が始まっているといえるが、これから「小状況(労働現場)」の変革と「大状況(政治)」の変革を結びつけることがいっそう重要になってきている。

 つづいて、全労協の北海道派遣団が紹介され、団長の遠藤一郎・全労協・常任幹事(全国一般全国協書記長)と中小労組政策ネットワークの派遣団の平賀健一郎同事務局長が決意表明を行い、「G8サミットにもの申す!7・3労働者アピール」を採択し、参加者全員での団結ガンバローで集会を終えた。

「G8サミットにもの申す!」労働者アピール


 いま、世界的規模で貧困と格差が広がっている。さらに、原油や食糧の高騰が生活物価を引き上げ、労働者・民衆の生活を圧迫している。食糧危機が暴動にまで発展し、アフリカでは大量の飢餓難民が発生している。地球環境の破壊・温暖化も深刻な問題となっている。これらの問題による最大の被害者は途上国・貧困層であり、問題の元凶は新自由主義路線を推し進める先進大国である。
 その先進大国が勝手に世界を代表し、新自由主義路線に基づく国家の権益と結びついた大企業優先社会のありようを決めていくG8サミットが、七月七日から九日まで北海道・洞爺湖で開催される。今回のG8サミットの重要課題は、地球温暖化、原油・資源・食糧危機の問題だ。
 しかし、地球温暖化防止では先進国間の利害対立と主導権争いで、CO2削減の明確な数値が出せないことが露呈し、「環境ビジネス」としてのルールづくりとして議論されようとしている。原油・資源・食糧危機の問題も、資本投機の規制や食糧のバイオ燃料化を見直そうとする動きはない。そして、貧困や格差の問題などはG8サミットの課題として
はあがらない。
 G8の新自由主義・グローバリゼーション路線で進む経済活動は、世界を統一した市場として先進大国と途上国が同じ土俵で競争されるため、ますます先進大国とその多国籍企業の世界支配が拡大している。特に米国は、自国に有利なルールを強制し、不利な分野でも「新たなルール」をつくりながら、自国の権益と企業利益を全世界に押し付けようとしている。あくなき利潤追求と企業間競争は、自然環境や「食の安全」「製品の安全」を脅かし、世界規模で労働者の低賃金と不安定雇用化が深刻な問題となっている。こうして、世界中で貧困と格差が進み、労働者・民衆の生活と権利が破壊されようとしている。
 こうした企業利益優先のために、労働者が搾取され使い捨てにされ、ほんの一握りの国や多国籍企業の野蛮な活動のツケを労働者・民衆に回す経済活動をストップさせなければならない。
 G8の新自由主義路線に反対し、労働者の尊厳を取り戻そう!

一、多国籍企業の世界支配に反対しよう!
 企業利益優先の「企業活動の自由」を制限せよ!
 企業の社会的責任を追及しよう!
二、国際公正労働基準を確立させよう!
 長時間労働を見直し、一日八時間・週四〇時間労働制を遵守させよう!
 同一価値労働・同一賃金制を確立させよう!
 ILO各条約・勧告を遵守させよう!
三、公共サービスの民営化に反対し、公共サービスの再建と拡充を実現させよう!
四、労働者の権利を守らせよう!
 児童労働・人身売買に対する厳格な罰則を!
 非正規労働者・外国人労働者の均等待遇と権利の確立を!
 労働者の安定雇用を実行せよ!
五、温室効果ガスの削減・規制に向けた具体的数値目標を明確にせよ!
六、新自由主義・グローバル競争に規制を!
 資本投機・マネーゲームを規制せよ! 株主至上主義をやめさせよう!
七、G8は途上国の債権を放棄し、無償の技術・資金援助を行え!
 国際連帯税(トービン税)を創設し、途上国支援にあてよう!
八、農畜産物の輸入自由化反対!遺伝子組み換え作物・クローン動物反対!
 食糧のバイオ燃料化政策の見直しを!
九、イラク戦争反対、米軍・多国籍軍の撤退を!
 武器輸出・核兵器の廃絶を!

 私たちは、公平・公正な社会を求め、あらゆる差別を許さず、生活と権利、平和と民主主義を掲げ、すべての労働者・民衆、そして戦争に反対する全世界の人々と手をつなぎ、ともに闘っていくことを宣言する。

二〇〇八年七月三日

「地球環境・資源・食糧危機」「貧困・格差拡大」反対!「G8サミットにもの申す!」七・三労働者集会


 貧困と環境破壊のG8サミット反対! 対抗アクション・東京行動

 G8洞爺湖サミットを前に、対抗アクション「東京行動〜SHUT DOWN!貧困と環境破壊のG8サミット」が闘われた。
 六月二八日の午後には、分科会(@貧困と不安定雇用と社会的排除に抗議する反G8東京行動〔主催 G8サミットを問う連絡会貧困労働WG〕、A自由貿易が食料危機を招く!〔主催 脱WTO/FTA草の根キャンペーン〕、B非正規の仕事に正当な評価を!〔主催 均等待遇アクション21+CAWネット・ジャパン〕、C生活の営みを破壊する「軍事化」を許すのか?〔主催 ピープルズ・プラン研究所+アジア女性資料センター+新しい反安保行動をつくる実行委員会〕、D私たちの税金が貧困を作る―アジア・アフリカそして日本〔共催 Jubilee South、聖コロンバン会、アジア太平洋資料センター(PARC)、ATTAC Japan(首都圏)、債務と貧困を考えるジュビリー九州〕、E生命特許〔主催 聖コロンバン会〕、F対テロ治安弾圧と戦争協力体制を問う〔主催 戦争協力を許さない東京ネットワーク〕、公共サービスと労働運動の再生〔主催 ATTAC Japan(首都圏)公共サービス研究会〕)が開かれた。

 午後六時からは、文京区民センターに結集して、全体会が開催された。
 集会では、各地でのG8対抗アクションの報告、各分科会の報告、北海道からのメッセージの紹介があった。

 つづいてスーザン・ジョージさんが「G8サミットの何が問題なのか?」と題して講演。スーザン・ジョージさんは、ATTAC(トービン税の導入をめざす社会運動団体)の発起人の一人であり、ATTACフランスの学術委員会のメンバーで、WTOに関する多くの著作を出している。
 G8というのは不当不法な存在である。自ら世界の代表を名乗っている人たちだが、彼らは地球上の人口のわずか一四%を代表しているに過ぎない。そして自分たちの国での選挙では世界を支配する役割を担うために選ばれたのではないし、その上、自国でもいずれも支持率は下がっています。福田首相も国民にそれほど信頼されていないようだ。
 第一次石油危機に際してG6としてスタートしたが、これは南の貧しい諸国の抵抗を抑えるためのものだった。三〇年時がたって、当時の主張そのままにはおし通せなくなったが、目的は変わっていない。現在G8だけで軍事支出の四分の三、経済産出の三分の二を占めている。気候変動については、九〇年代から言われていたが、彼らは予測できなかった。昨年のハイリゲンダムサミットで初めてそれが問題であることを認識した。金融危機などでも同様だ。
 フランスの諺に「政治とは予見すること」というのがあるが、G8の指導者たちは物事を一度も予測できたことがない。それなのに彼らは、支配しようというのだ。また食糧危機について予見できなかった。そして食糧からバイオ燃料を作るというのだ。私たちはこれの人たちを信じられるのだろうか。今年のG8サミットで一つだけ良いことは、ブッシュにとって最後のサミットになることだ。私たちの目標は、このG8を最後のG8にすることだ。G8は出て行けということだ。今日の問題を解決するために何をしなければならないのか。一九九九年のシアトルでのWTO反対運動からの約一〇年に各国で起こった様々な社会運動は、G8のような非民主的機構ではなくて、完全な民主的方法によって作られる解決策を提案している。実際に世界で解決しなければならない問題は、地球全体で解決されねばならない問題であり、そのためには、国際規模での民主主義が必要とされている。
 世界各地で起こっている飢餓は食糧に対する投機によってひき起こされたものだ。国際的な課税のシステムを通じた富の再分配、最貧国の債務の帳消し、金持ちや大企業が税金を払わなくても済むタックスヘイブンの廃止が必要である。
 多くの人々が私たちを支持しており、私たちの運動は数において優位にあり、考え方、理論においても優位にある。また私たちはエネルギーに満ち溢れている。私たちは笑い、歌、連合を通じて、世界に、G8を終わりにする、日本にG8の墓を建ててやろうと訴えていこう。


国鉄闘争共闘会議主催で「安全問題シンポジウム」

 六月二六日、一〇四七名の不当解雇撤回・国鉄闘争に勝利する共闘会議(国鉄闘争共闘会議)の主催による「安全問題シンポジウム」が開かれた。
 二〇〇五年四月二十五日に起こったJR西日本福知山線・尼崎事故以来、国鉄闘争共闘会議は、毎年、事故の起きた日の前後に集会をひらくなど安全問題を社会にアピールする活動を行ってきた。
 集会では、遺族が結成した4・25ネットワークのビデオレターが上映され、同ネット呼びかけ人で、長女を亡くした藤崎光子さんがJRの安全無視の体質を改めて再びこのような事故を起こしてはならないとアピールした。
 シンポジウムでは司会役の安田浩一さん(ジャーナリスト)が、JR西では最近も工事でケーブルが燃えるという事件が起こった。この工事はその日に外注化されたもので、事業者はJRで仕事をしたことも初めてで、現場の事情もまったくわからなかった。こうした大きな事故にならないインシデントも数多く起きている。背景には規制緩和がある。鉄道だけではない。食品、建造物など社会のおおくの場所で安全が脅かされていると述べた。
 鎌田慧さん(ルポライター)は、先ごろ起きた秋葉原事件の加藤智大は派遣労働者で仕事場を転々とさせられ不安定な立場にいた。かれの絶望をどう受け止めてこれからの運動を進めていくのかが問われている。不安定雇用、労働者の部品扱いなどの状況を作り出したものは労働者派遣法であり、それが諸悪の根源となっていると強調した。
 富山洋子さん(日本消費者連盟)は、本当に命が大事にされ社会にしたいが、規制緩和で、儲けのためには安全も無視されている。ベネフィット(利益)は資本や権力者にあつまる一方で、リスクは弱いものにしわ寄せされていると訴えた。
 トンネル工事の技術者の山口満さんは、上信越自動車道の熊坂トンネル(長野県中野市)工事で、トンネルの厚みの不足を発見し是正を求めたが逆に解雇されたが、下請け業者とは和解(職場復帰、円満退社)し、現在元請会社と闘いを続けていることを報告した。


沖縄の人びとの反基地闘争に連帯して

             08オキナワ・ピースサイクル報告


 来年二〇周年を迎えるオキナワ・ピースサイクルが、この六月二〇日から二四日までの日程で取り組まれ、八名という少人数だったが無事終了した。

六月二〇日

 六月二〇日、三々五々、各地から参加者が那覇空港に到着。豊見城まで延びた高速を一路名護の宿へ。午後六時から結団式をかねてジュゴンの里にて東恩納琢磨さんたちとの交流。
 八日の県議選に二名が立候補したため、名護市議に繰り上げ当選になった際の証書授与や挨拶などの様子をビデオで説明。またジュゴン訴訟の現状と活用について学習した。米国法のNHPA(歴史遺産保護法)による本年一月の「米国政府の行為はNHPAに反する。ジュゴン保護のための情報を九〇日以内に提出せよ」との地裁判決によって、国防総省は四月に文書を提出した。これに対する反論が準備されている。双方からの意見聴取の後、公聴会の開催へと進んでいく。シュワーブ沖では政府・防衛局・海保一体となった機器類の設置と陸上での造成工事が強行されているが、阻止のための新たな闘いに入るとのことだ。 

六月二一日

 六月二一日、米軍北部訓練場の一部返還と引き換えのヘリパッドの建設に反対してゲート前監視を続けている高江の闘いと交流。ヤンバルクイナやノグチゲラなど数多くの固有種が生息する山原の地に、しかもすでに隣の東村に一五箇所もあるヘリパッドをさらに六箇所も新設する計画は、米軍再編のためにはなりふりかまわず自然と生活を破壊してよしとする本性を如実に示している。辺野古と高江は同じだと痛感する。
 その後、近くの「山甌」にてしばしの休憩。周囲を山に囲まれ静寂の中にたたずむ小さな喫茶店は、まさに別世界だ。夜なら星空がきれいだろうなと後ろ髪を引かれながら本島最北端の辺土岬に。目の前には与論島が見える。復帰前、この岬で松明を燃やし沖に浮かぶ船とエールを交換した地。一度、この岬から南端の喜屋武岬まで自転車で走ってみたいと思う。
 昼食後は辺野古へ。辺野古浜で名古屋市職労青年部とともに説明を受ける。人殺しの基地は作らせない。環境と住民の生活を破壊する基地は作らせない。沖合い案からV字案、さらに修正案と闘いによって相手側は追い込まれている。一四年完成を至上命令に海でも陸でも調査・工事を強行しているが、それは焦りの表れだ。新しい法廷闘争も始まっていく。基地を仕切る鉄条網には無数のリボンがくくりつけられているが、以前これが燃やされた。誰がやったか米軍は知っているが言わない。と安次富さんの説明は続く。フェンスに監視カメラが設置されている。参加者がリボンをつけようとするとパトカーが徘徊していた。浜から一段高い基地内では重機が忙しく動いている。基地のゲート前ではキャンドル行動が続いている。
 この日最後は読谷の宿舎での知花昌一さんとの交流。多忙な中をいつもピースサイクルに時間を割いてくれる知花さんと、飛び込みの歌あり議論ありで夜が更けていくのが早い。最後に電気を消して夜空を見上げ、ヤマトとの違いをここでも実感。

六月二二日

 六月二二日、この日から自転車走行が始まる。最近のオキナワピースはよく言えば余裕。ただ走り屋には物足りない。汗かく暇もなく目的地に到着する。今回も嘉手納基地を一周し、五八号との合流地点でとんだトラブルでしばしのストップ。メンバーの携帯電話紛失で探すこと数時間。結局は伴走車内のポケットから見つかり一安堵。昼食後、宜野湾の宿舎まで走り荷物を預けて嘉数高台へ。沖縄戦最初で最大の激戦地とされる嘉数高地。ここから普天間基地を一望。滑走路が老朽化でグニャグニャにゆがんでいる。基地としての機能が制約されていることはすぐ分かる。だからアメリカが、新基地建設とバーターで返還しても腹は痛まず旨味が大きい。それにしても、アメリカ本土なら学校はじめ民家に隣接するこんな基地は許されない。嘉数には京都の碑があるが、トーチカの見学中に父親がここで戦死したという人から質問された。皆さんどこからおいでですかに答えて、全員ヤマトからですと答えたら、大和郡山ですかには参った。それでも懇切丁寧な説明をしたことは言うまでもない。
 その後、沖縄国際大学のヘリ墜落現場を見学。校舎は建替えられ惨状を残す壁は無くなっていたものと思っていたら、焼け焦げた立ち木と一部の壁が現場に保存されていた。今でもゾッとする光景ではある。

六月二三日

 六月二三日、本日がメイン行動。五八号をひめゆりの塔まで自転車行進。沖縄だけの休日。車も少ない。スイスイと快調に走る。しかも新しい海沿いのバイパスが糸満ロータリーの手前まで開通している。予定時刻に到着。ここからデモで魂魄の塔に向かい、すぐそばの広島の塔前で開かれる沖縄国際反戦集会に参加。官製追悼のマブニではない。
 ところが、昼食を買出しに行った伴走車がいつまでも戻ってこない。聞けば福田が参列するとのことで信号規制。大渋滞に巻き込まれ身動きがつかないとの連絡。地元からすれば「求めもしない首相の参列」が引き起こした被害であったが、ここでも連中は追い込まれている。県議選、中城市長選で敗北し、反基地の闘いでいよいよ進退窮まっている。衆院議長河野が昨年より踏み込んだ追悼の辞を述べざるを得なかっただけでなく、昨年と違って来沖抗議行動への規制が緩かったとの報告だった。
 集会はいつもロングラン。一時前から三時まで、開会の新崎盛暉さんから閉会の高里鈴代さんの挨拶を挟み、それでも絞ったという発言、歌、報告が延々と続く。この集会には国会議員もはせ参じた。地元選出の山内・照屋議員と福島社民党党首。伊波宜野湾市長は前日の岩国での反基地集会を終えての参加であった。

 集会終了後、自転車にて那覇まで引き返してレンタル自転車を返却。この行程がオキナワピースの自省の時間となる。所期の目標は達成されたか、自分が掲げた目標はどうだったのか、行動は支持を広げられたか、交流・見学の内容を我が物にできたか、何が成果としてうることができたのか、逆に何が反省点だったのか、来年に向けてどういう展望を獲得できたのか、走りながら考える危険な時間ではある。
 そうしてまとめた考えを、いつもの「山海」にてヤギを肴に打ち上げと到着集会で。無事に終わった安堵感と少しの疲労、そして多くの感動と発見がついつい杯を傾ける。来年への決意を酔いに任せて披瀝する。ピースでは素面の決意は信用されない。酔った決意こそ真実。

六月二四日

 六月二四日、この日の取組みは急遽決まった名護市議会の傍聴。東恩名琢磨さんの初質問があり、その激励をかねて五名が傍聴に。
 バスストップの人たちがジュゴン訴訟の当事者として議会傍聴に持ち込んだジュゴン人形を入れるかどうかで、冒頭から紛糾。でも初回にしてはまずまずの出来でしたとは誰かの評。
 こうして一九回目のオキナワピースは充実して無事終わった。だが、課題も多く残された。
 来年は二〇周年。数と質が問われるし、今日からのヤマトでの闘いが問われている。  (I)

名護市議会で東恩納議員の一般質問を傍聴

 沖縄ピースサイクル最後の日の六月二四日に名護市議会での東恩納琢磨議員一般質問を傍聴しました。
 名護市議会でジュゴンを引き連れての一般質問は、基地の無い沖縄、自然を大切にする沖縄を造ろうと一時間にもわたる質問と提起で、市長もたじたじとなっていました。傍聴の応援団は約三〇名でした。大きな第一歩となったと実感しました。

 辺野古の綺麗な砂浜に似合わない、アメリカ軍のフェンスに抗議をこめてピースサイクルのTシャツをくくり付けました。
 以前燃やされたとの事で今度は沢山くくりつけるぞ!、基地がなくなるまで! (N)


6・20 けんり総行動実行委の東京総行動

 六月二十日、二〇〇八けんり総行動実行委員会による東京総行動が闘われた。
 正午から国土交通省前で、一〇四七名解雇問題の解決を求めての行動が展開された。
 鉄建公団訴訟は、六月二日には東京高裁で、国鉄分割民営化の中心的役割をはたした葛西敬之JR東海会長の証人尋問を行い、不当労働行為をおこなったという手ごたえのある発言を引き出し、高裁勝利判決に向けての流れを作り出した。
 省前の集会では、早期の勝利をかちとるためにいっそう大衆運動を強め支援の輪をひろげていこうという発言がつづいた。

 今回の総行動には、来日中の韓国シチズン精密労組が参加した。韓国シチズン精密は日本の「シチズン時計」の子会社だが、この四月、労働者にはなんの通告もなくある靴メーカーに売却された。シチズン精密労組に対して、使用者側は交渉に応じない。そのため同労組は、親会社であるシチズン時計株式会社とシチズン・ホールディングス株式会社に交渉を求め、遠征闘争団を組織し、日本での闘争を行っている。


図書紹介

     戦争が遺したもの  『半世紀前からの贈物』補論

          内田雅敏 鈴木茂臣 編著
   れんが書房新社  定価700円+税

 弁護士の内田雅敏さんの新しい本を手にしたら、本の題は少し違うがカバーの図柄は昨年出版した前著書と変わらない。著者の小学校二年生当時の文集「いつつぼし」と、学芸会の劇をしたときの集合写真で構成されている。しかし、扉には同じく二年生の踊りの写真がある。これは始めてのもので実にかわいらしく、当時の雰囲気をよく伝えている。昨年の出版の後に、当時の担任が健在であることがわかり、その後ご子息や同級生、友人はじめ各方面からの感想が寄せられ、今回の補論となったようだ。

 「T部 戦争が遺したもの」では、ご子息で編者でもある鈴木茂臣さんとの往復書簡と、担任であった鈴木久子先生の戦後五〇年(七十九歳)の録音テープを起こしたもの、同級生や教師の書簡が集められている。ここでは、すべての書簡に憲法の戦争放棄条項が生まれた背景となる戦争の悲惨な事実と、九条改憲を許さない決意が語られている。それも戦後六〇年間、この国でどこにもいる普通のくらしを営み続けている、さまざまな個人の思いとしてつづられている。そこには小泉、安倍両政権で吹き荒れた、改憲と海外派兵に対する庶民の平和への意思がはっきり示されている。まるで憲法についての読売新聞の世論調査で改憲反対が賛成を上回った中身として、その一人ひとりの声が載せられたようだ。
 内田さんが指摘しているように、日本の戦後の出発は、戦争によって誰かが犠牲者になっている家族が多数だったことだ。鈴木久子先生の録音テープには、一歳半と生後二ヶ月の二児を連れての疎開、夫の死、戦後の小学校教師としての話などが語られている。最後に「この戦争の傷跡は永遠に消えません。二度と戦争の悲惨さを味わってはならない。平和な世界を皆さんで築いていただきたい」と語っている。先生はとてもやさしく静かな人柄で政治にも無関心だったとご子息は言っているが、平和への思いは強く持ちつづけていたようだ。
 満州で父を亡くした同級生からは「昨夏、戦争体験の朗読会を聞きに行きましたが、戦場だけが戦争ではなく、人それぞれがすべて戦争の犠牲者だと思いました。」という言葉が寄せられている。敗戦を前後して三度目の夫をもつことになった母親を持つ人、和裁で生計を立てていた母親に育てられた人、映画『母べえ』を観てきた人、等々たくさんの同級生から平和への思いと改憲を危惧する言葉が集められている。

 「U部 半世紀前〜友人へのメッセージ」では鈴木茂臣さんが、鉄道趣味を通して世界に友人ができ、みな平和を願っていることが語られている。なかでもデンマークの友人は一四〇年も戦争をしていない自国を誇りに思い、ドイツの友人は戦争への罪悪感と平和への願いが日本より強いと感じている。愛国心についても、デンマークやドイツの友人が自国や住んでいる街に誇りを持っていて、愛国心は自然に生まれるものだと触れている。
 内田さんは「民衆史観の系譜をたどる―杉浦明平さん宅訪問記」「靖国イデオロギーから決別できないままの日本社会」で歴史認識について検討している。戦後、渥美に住んでいた杉浦さんの「小説渡辺崋山」や、堀田善衛、井出孫六などの作品を紹介しているくだりは実におもしろい。そして、明治以降の「薩長史観」と、これにつながる日本人のアジア観こそ問題だ、という指摘は同感だ。内田さんは、「靖国イデオロギー」からの決別なくして、隣国との友好、共存、そして国内における民主主義の成熟はなしえない、と論断している。この歴史認識も「薩長史観」を背景にしているといえるだろう。
 内田さんは、立川自衛隊宿舎イラク反戦ビラ入れ事件についても一文を載せている。内田さんは「民主主義の根幹をなすのは立憲主義で、立法・行政が暴走を始めたとき、憲法八十一条によって司法が暴走を制御しなければならない」として、一九五九年の最高裁砂川判決を司法消極主義と批判し、「法の支配が破壊されてしまった」と論断する。そして一九九七年の「愛媛玉ぐし料訴訟」最高裁判決の尾崎行信裁判官の補足意見と、二〇〇四年の福岡地裁の靖国神社公式参拝違憲判決を引用して、これらの判断こそ違憲立法審査権の意味を正しく理解し発動したものだと評価した。
 内田さんは「横浜事件最新判決」についてもとりあげ、裁判官の歴史認識と司法の戦争責任についても厳しく批判している。U部で内田さんは、三権分立を支える司法の責任と立憲主義について問題提起しており、憲法を生かす運動にとって今後の重要な課題となるだろう。

 V部では姜尚中さんや土井たか子さんからのことばが寄せられている。
 この本は、平和憲法が人びとの願いの集約されたものであり崩せないこと、憲法三原則は日常的に生活とともにあり、それは国民の不断の努力によって保持しなければ手にすることができないことを示している。内田さんはこの本のなかで「最近つくづく思います。人生とは人との出会いだということを。人と人との間に一人か二人を置くことによって昔の友人、知人と繋がってしまう。……なかなか楽しいことです。皆、意外と近いところで、しかも地道に生活し、活動しているのを知ってうれしくなります。」と書いている。内田さんのこうした人柄が、形になりにくい人びとの願いを目に見えるものにしたものといえる。   (Y・Y)


せ ん り ゅ う

   問責だ違憲をいえぬ小沢君

   倫理なき派遣軍も労働も

   原爆症いまだ政府はそっぽ向き

   発酵しきってる官僚の臭さ

   後期とか行って自殺を増やす策

   この鬱は重税公害と医者のいう

   小泉を狙っている老刺客

   反人間的政府の惨劇アキバ

   国会でアイヌは涙百三十年分

   江戸城だって明渡すかもネパールで

                     ゝ 史

 ○ 六月十一日参院で「首相問責決議案」可決。
 ○ 自殺三万三千人の内三分の一は高齢者。
 ○ 六月六日「アイヌ民族を先住民族とすることを求める国会決議」採択、「旧土人」と決められてから百三十年。昨年の「先住民族の権利に関する国連宣言」をうけたものだが、洞爺湖サミットを前に政府のパフォーマンスとか耳に入る。
 ○ ネパールで王制廃止、王宮が明け渡しされた。江戸城ダッテ…ナッ…。


複眼単眼

     
中村医師によるPMSの活動停止の警告
 
 アフガンで苦闘する中村哲医師の文章はいつもながら火を吐くような不正義への怒りと厳しさがある。中村医師の属する「ペシャワール会事務局」が発行する「会報No.96」を読んだ。巻頭は中村医師の文章で、今号は「自立定着村の創設に向けて」と題する二〇〇七年度活動の総括と二〇〇八年度活動計画に関する長文だ。その中で注目すべき言葉があったので紹介したい。

【対日感情の動き】
 日本国内で議論が沸騰した「インド洋での後方支援=給油活動」は、幸いほとんど現地で知られておらず、「最大の民生支援国」であることが政府・反政府を問わず、好感を持って迎えられていた。在日アフガン大使も、日本が(アフガンの国土に)兵力を送らぬことを望むと述べている。このことが私たちにとって大きな安全になっていたのは疑いない。しかし六月になって「日本軍(Japanese Troop)派遣検討」の報が伝えられるや、身辺に危険を感ずるようになった。余りに現状を知らぬ軽率な政治的判断だったと言わざるを得ない。日本が兵力を派遣すれば、わがPMS(ペシャワール会医療サービス)は邦人ワーカーの生命を守るために、活動を一時停止する。これまで、少なくともアフガン東部で親日感情をつないできた糸が切れると、自衛隊はもちろん、邦人が攻撃にさらされよう。私たちはアフガン人が「故郷を荒らす日本兵」を攻撃するのを止めることができない。悲しむべきことだが、これが冷厳な現実である。この末期(註・派手なふれこみで行われた「対テロ戦争」は莫大な浪費の挙句、その破綻は誰の目にも明らかになったといえよう。飢えた膨大な人々の群れは、もはや沈黙しなくなってきている。破局は目前に迫っている……中村哲)の段階で軍事行動に協力する愚かさの帰結を、身にしみて知ることになろう」。
 
 中村医師にここまで言わせてしまった小泉→安倍→福田とつづく日本の政治家たちの責任を問わねばならない。
 中村医師のこの文章の締めくくりは次の言葉である。
 
 これほど大規模な形で虚偽が根を張る時代もなかった。その結果か、ひとつの閉塞感が世界を支配している。世界を立て続けに襲う天変地異、世界規模の金融破綻、食糧不足が人為の錯覚を揺さぶり、ひとびとに不安の運動を起こす。紛れもなく私たちは時代の大きな転換点を生きている。だがアフガニスタンで得た体験は、逆に私たちを楽天的にする。人間にとって絶対に必要なものは多くない。さまざまな評論と情報を組み合わせて、戦争の正当化が横行するが、ひとつの事実だけは明白である。「国際協力」と称する外国軍が何を守るのか不明だが、我々には守るべき人間としての営みがあることである。〇八年度もこの視座を失わず、心ある人々と力を合わせ、活動を積み重ねてゆきたい。

 国内にいるわれわれは、断じて陸上自衛隊と航空自衛隊のアフガン派兵を許してはならない。この秋のたたかいにおいてこそ、派兵給油新法の廃止を勝ち取り、海上自衛隊の撤収を実現しなくてはならない。   (T)


夏季カンパの訴え

     
労働者社会主義同盟中央常任委員会 

 福田自公政権の政治方針・政策にたいする国民的な批判が強まっています。改憲阻止、反戦平和、労働運動の力を強め、自民党政治を終焉させましょう。わたしたちもさらに奮闘する決意です。 運動のさらなる前進のために夏季カンパをお願いします。