人民新報 ・ 第1272号<統合365号(2010年12月15日)
  
                  目次

● 沖縄県知事選 伊波さん大健闘   沖縄の総意は県内移設反対だ!

● すべての争議の勝利へ  東京総行動

● 新防衛大綱策定の危険な動き

● 朝鮮半島の危機と米日韓の軍事協力の強化

● 「いらない!APEC」横浜民衆フォーラム

● 有期労働法制の改正を実現しよう

● 小笠原諸島に残る戦争の傷跡

● 映画に描かれた朝鮮戦争と在日の人びと

● KODAMA  /  花岡事件の発信

● せ ん り ゅ う

● 複眼単眼  /  菅内閣の無策とGPPAC東北アジアの提起

● 冬季カンパのお願い   労働者社会主義同盟中央委員会






沖縄県知事選 伊波さん大健闘

    沖縄の総意は県内移設反対だ!


前進する沖縄の闘争

 昨年の政権交代後の最大の政治焦点は、沖縄の米軍基地問題となっている。鳩山由紀夫は首相となって、普天間基地の移設先について、「県外、できれば国外」と言った。これは、基地負担に苦しむ沖縄の人びとの心を代弁したものであったが、アメリカと国内の親米保守勢力、財界などからの恫喝にあうと動揺し、たちまちに自民党政権時代と同じ政策に戻った。日米安全保障協議委員会(岡田外務大臣、北澤防衛大臣、クリントン国務長官、ゲイツ国防長官)による5・28日米共同発表で、両政府は「護岸を除いて一八〇〇mの長さの滑走路を持つ代替の施設をキャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に設置する」ことを確認したのである。
 しかし、こうした対応に、沖縄の普天間基地の即時撤去と辺野古最新鋭基地反対の意思はいっそうもえあがった。今年に入ってからは、名護市長選、名護市議選で、反対派が勝利してきた。二〇一〇年は沖縄を先頭にして、日米安保体制に対する闘いが大きく前進を勝ち取った一年であった。そして、沖縄県知事選に勝利することで、反対運動を県行政の段階にまで高めての運動構造を作り出すことがめざされ、全国各地の運動も沖縄現地と連帯を強めて取り組んできた。

自・公・菅政権の動き

 一一月二八日に投開票された沖縄知事選で、共産党、社民党、国民新党、沖縄社大党、そして無党派の市民らの草の根の運動などに支援された前宜野湾市長の伊波洋一さんは大健闘した。伊波候補は、普天間米軍基地の辺野古移設という基地の県内たらい回しを拒否して闘った。仲井真候補は、最大の課題である基地問題を選挙の争点から隠すために、日米合意見直し・普天間基地の県外移設まで言いだした。その仲井真を、自民党は沖縄県連という形で支持し、また公明党、みんなの党などが支援した。辺野古移設に反対する県民要求との衝突を回避したを菅政権は、アメリカとの辺野古基地建設という日米合意を実行するために、仲井真再選に希望をかけ、裏と表で全力を挙げた。
 争点隠し、また尖閣諸島をめぐる日中間の対立、朝鮮半島情勢の緊迫化を口実にしたキャンペーンなどが執拗に繰り広げられた。そして投票率は、六〇・八八%と低調となり、得票では仲井真弘多(三十三万五千七百八票)に伊波洋一(二十九万七千八十二票)という結果となった。伊波さんは大健闘したが惜敗し、現職の仲井真弘多知事が再選された。
 今後、日米両政府などは、強力に、辺野古新基地建設の策動を強めてくる。

民意は県内移設反対

 しかし、「普天間基地閉鎖・撤去」「県内移設反対」を掲げた伊波候補が善戦し、一方の仲井真候補も「県外移設」を公約にかかげたのであるから、今回の県知事選では、県内移設・辺野古新基地建設が支持されたのではない。逆に沖縄の民意は、普天間基地閉鎖・撤去と県内移設反対であることがまたも示されたといえる。このことを菅政権、オバマ政権は厳粛に受け止めるべきである。

県内移設阻止全力で

 沖縄の闘いは、県知事選の結果を受けて、新しい段階に入る。新基地建設を強行しようという日米政府は、かれら自身に大きな問題を抱えている。来年はそうしたものが数々噴出することになるだろう。そもそもアメリカの国家財政の巨大な赤字は、海外に展開している米軍の維持をきわめて困難な状況に追い込んでいる。世界的な米軍再編の理由の一つはこうしたことであり、在日米軍再編、グアム移転は戦線の縮小でもある。だが、日本は「思いやり予算」などによって米軍にとって居心地のよい地域になっているのだ。
 いま、菅政権の日米軍事同盟の深化の掛け声の下で、沖縄だけでなく各地の基地負担、日本財政への圧迫など安保の負の側面が露呈してきている。
 これから、沖縄の基地反対運動を軸に、日米安保体制の抜本的見直し、日米安保条約の廃棄に向かって、いっそう闘いを強化していかなければならない。


すべての争議の勝利へ  東京総行動

 一二月八日、東京総行動が取り組まれ、当該争議の各会社・官庁に向けて抗議・要請行動が展開された。朝、みずほ銀行本店(全統一光輪モータース分会)をはじめに、昭和シェル石油(全石油昭和シェル労組)、フジテレビ(反リストラ産経労)、三井不動産(東京労組日本エタニットパイプ分会)、松下PDP(なかまユニオン)、ニチアス本社(全造船ニチアス関連企業退職者分会、全造船アスベスト関連産業分会)、住友重機本社(全造船・追浜浦賀分会)、総務省(東京労組文京七中分会、反リストラ産経労)、ヤンマー(アルバイト派遺パート関西労働組合)、東京都庁(東京都学校ユニオン、全国一般千代田学園労組、東京労組文京七中分会)、キヤノン本社(キヤノン非正規労働者組合)、日本基礎技術(なかまユニオン)、そして最後に、トヨタ本社(フィリピントヨタ労組を支援する会、全造船機械労働組合関東地方協議会)までのコースで、争議の勝利解決にむけての行動を展開した。

 総務省前では、多くの総行動参加者が集会でアピールし、東京労組文京七中分会と反リストラ産経労が申し入れを行った。
 文京七中分会の争議は、一九七三年に、教員であった早川由紀子さんが頚肩腕障害を発症し、一九九二年に公務災害認定請求書を校長、東京都教育委員会を経由して地方公務員災害補償基金に提出しようとした。ところが何度も突き返され、最終的には校長が請求書を保管したまま、裁判の中で明らかになるまで金庫の中に放置し、その間、早川さんは分限免職にあった。東京地方裁判所民事第一一部は今年の八月に早川さん勝利の判決を出した。これは、都教委及び公災補償基金は「所属部局長が押印を拒む場合には、民間の労災申請手続きと同様、証明印がなくても申請を受け付けられると解釈すべき」と判示したもので、多くの公務員の公務災害認定に大きな影響を与え、民間、公務員を問わず、全ての労働者の労災請求権を保証するものとなっている。しかし、被告の都教委らは一方的に控訴し、現在、高裁での闘いが続いている。


新防衛大綱策定の危険な動き

 一二月七日、衆議院第一議員会館多目的ホールで、WORLD PEACE NOW、NO BASE 全国アクション、ピースボート、核とミサイル防衛にNO!キャンペーン、キリスト者平和ネット、フォーラム平和・人権・環境の呼びかけで、「日本製の武器が世界の子どもたちを殺すの?新防衛大綱ってなに? 12・7院内集会」が開かれた。年末の「防衛計画の大綱(防衛大綱)」の策定に反対する行動の一環である。

 菅政権は、日米軍事同盟深化と朝鮮・中国敵視の政策を強引に推し進めようとしている。この路線は民主党の今年の参院選マニフェストでの「『東アジア共同体』の実現をめざし、中国・韓国をはじめ、アジア諸国との信頼関係の構築に全力を挙げ」るという政策をも完全に否定するものだ。また二〇〇四年の防衛大綱から大幅に逸脱している。そこでは、「諸外国との良好な協調関係を確立するなどの外交努力」「日米安全保障体制を基調とする米国との緊密な協力関係を一層充実させ、内政の安定により安全保障基盤の確立を図り、効率的な防衛力を整備する」とともに「我が国自身の努力、同盟国との協力及び我が国は、日本国憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念に従い、文民統制を確保するとともに、非核三原則を守りつつ、節度ある防衛力を自主的に整備するとの基本方針を引き続き堅持する」とされていた。
 しかし、民主党外交安全保障調査会が一一月二九日に出した「『防衛計画の大綱』見直しに関する提言」では、「なお、最近の東アジア情勢、朝鮮半島情勢の不安定性は、我が国の安全保障上極めて深刻な懸念となっており、我が国としては、日米同盟の機能性や実効性を更に高めて行くとともに、日米韓の確固たる協力体制を構築しなければならない。同時に、日米同盟は、我が国自らが自らを守るという意思と覚悟と能力を備えてはじめて機能することに十分配意し、過度な対米依存に陥らぬよう我が国独自の取組みが一層求められることを改めて確認しておきたい」としている。そして、「動的抑止力向上」をかかげて、武器輸出禁止三原則の見直し、南西諸島への自衛隊の配備、ミサイル防衛などを防衛大綱に入れようとしている。しかし、これは、民主党外交安全保障調査会のなかでも長島昭久などごく少数の軍事タカ派勢力が強引に主導したものだった。
 こうした動きに対して、民衆側はさまざまの反対運動を繰り広げてきた。そして、民主党内においても批判的な動きがはじまり、「リベラルの会」有志国会議員は反対の声明を出した。その中で「参議院選挙におけるマニフェストにおいても、『防衛生産技術基盤の維持・活性化を図るため、平和国家としての基本理念を前提としつつ、防衛装備品の民間転用を推進します』とのみ言及されている。武器輸出三原則が国際共同開発・生産への参加を促進することを目的として見直しが図られるとすれば、それは許容しがたい著しい飛躍であると私たちは考える。私たちは武器輸出三原則をめぐる現行の制度が基本的に引き続き維持されることを強く求める」と主張している。社民党・共産党も反対の声を強めている。
 新防衛大綱は一二月中旬にも出されようとしている。だが防衛大綱の改悪とりわけ武器輸出禁止三原則の見直し・解禁の動きへの批判は広がった。
 反対・批判運動をいっそう広範にひろげ、強化していかなければならい。


朝鮮半島の危機と米日韓の軍事協力の強化

北方限界線の問題

 一一月二三日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)軍が、延坪島に砲撃を加え、韓国軍兵士二人と海兵隊官舎建設現場の作業中の労働者二人の計四人が死亡し、海兵隊員一六名と民間人三人が負傷した。韓国側はこれに反撃する砲撃をおこない、北側にも相当の被害が出たと思われる。この事件を契機にして、朝鮮半島と東アジアは緊張状況に入った。
 日本のマスコミは、北朝鮮の「韓国領」への突然の砲撃だとしている。しかし、この問題を見る上で、また緊張の緩和を図っていくためには、こうした意図的なあるいは無知な報道に惑わされてはならない。
 第一に、延坪島の位置である。朝鮮戦争が休戦した後、南北朝鮮は陸上では三八度線を軍事境界線とすることで合意したが、海上での境界については決定されていなかったが、連合国軍最高司令官総司令部は一九五三年八月三〇日に軍事境界線を一方的に宣言した。北方限界線(NLL)という。これを北朝鮮は認めず、北方限界線より南寄りを「海上軍事境界線」だとしている。こうして、南北は北方限界線周辺で軍事衝突がおこり、一九九九年と二〇〇二年には両軍は戦闘状況となり、死者も出ている。
 今回の軍事演習についても、北朝鮮は、韓国が延坪島で実弾射撃を行う前から、もし砲弾が朝鮮の領海内に落ちた場合、朝鮮は反撃を行うと何度も警告していた。だが、韓国はそれを聞かずに、数十発の砲弾を発射した。そのため北朝鮮は「直ちに自衛措置を講じた」と主張している。まさに、北方限界線はつねに一触即発の状況におかれてきたのである。
 第二に、北方限界線をめぐる係争があるなかでの、そして米日韓が軍事的連係を拡大しようとしている状況下で、今回の北朝鮮の陸上基地砲撃という行為は、朝鮮半島と東アジア情勢の緊張をより高めてしまったということであり、まさに軍事的冒険主義による暴挙であるといわざるをえない。

米日韓政府の思惑

 第三にはアメリカ、韓国、日本の軍部・軍産複合体とそれぞれに弱体化する政権の支持基盤の拡大をナショナリズムにもとめる政治勢力の動きである。かれらは、この事件を大いに利用して、一気にその活動をエスカレートさせた。米韓合同軍事演習とそれにひきつづく日米合同演習は、その象徴的な行動である。
 韓国の李明博政権の、排外主義を煽ることによって政治的求心力を強めるとともに、アメリカへの依存を一段と深化させよという意図は明白だ。
 アメリカはこの間、アジア回帰の政策を採っているが、今回の事件は日韓両国が政治上で一段と米国よりとなり、反米の気運の高まりで危機に瀕していた在日・韓米軍の問題を解決しやすくさせ、こうして東アジアにおけるアメリカの存在を大きくしようとしているのだ。とくに、韓国の西海である黄海に米空母「ジョージ・ワシントン」を進入させたことは、中国の心臓部の鼻先に巨大な核攻撃力が入り込んだことを意味し、今後の米中関係に大きな影響を及ぼす。また、朝鮮半島・東アジアで緊張を激化させて、投資資金などがこれら地域からアメリカに戻ってくることももくろまれているのだろう。
 日本政府にとって、この事件は普天間基地・辺野古移設問題の「解決」とともに、新たな「防衛計画の大綱」のための世論をづくりに利用できるものとなった。民主党の「外交・安全保障調査会」の新たな「防衛計画の大綱」への提言では、を「最近の朝鮮半島情勢の不安定性は、わが国の安全保障上極めて深刻な脅威で、日米同盟を強化・深化させ、日米韓の確固たる協力態勢を構築すべき」だとされている。朝鮮半島の緊張を激化させることが日本支配階級の利益だとなっている。もちろん現在のところは戦争状態に持っていくことまでが想定されているわけではないにしてもである。
 同時にこうした米日韓の軍事緊張政策は、北朝鮮と中国における軍事対抗措置のエスカレーションを生み出す可能性があり、東アジアに軍拡競争をもたらしすだろう。すでにアメリカの原子力空母の黄海への進入は、中国の一部に航空母艦保有にむけての有力な根拠を持たせたようである。

危険な日米演習

 一二月三日、自衛隊と米軍による過去最大規模の日米共同統合演習「キーンソード」(KEEN SWORD)がスタートした。日本は今年から米韓合同軍事演習にオブザーバー参加するようになったが、「キーンソード」演習でも、韓国軍が初めてオブザーバー参加して日米韓三国の軍事協力進められた。演習は、ミサイル攻撃を想定した弾道ミサイル対処訓練と島しょ防衛が柱となっていて、朝鮮そして中国を「仮想敵」としたものであることは明白だ。緊張緩和とはまったく逆行する暴挙といわざるを得ない。

日本自滅政策・戦略

 前原らに主導される現在の民主党・菅政権の外交政策は、平和的な外交的話し合い、憲法九条の精神を生かした日本の平和外交というみずからの優位さをまったく放棄し、アメリカと一部財界、親米派の勢力にひきづられながら、いっそうの泥沼状況に落ち込ませるものとなった。例えば、「尖閣諸島」問題では、これまで営々として築き上げられてきた日中関係は破壊された。日本側が「国内法に沿って粛々と」「実効支配論」を強行した結果は、中国にも同様の強硬反応を引き出しただけであった。尖閣諸島周辺海域には、中国農業省魚政局の漁業監視船が航行するようになった。とくに「漁政310」は一一月に就役し、最新鋭ヘリコプター二機を搭載し最新の通信システムも装備したものである。「実効支配」には「実効支配」で対抗するという反応であり、問題の解決を取り返しのつかないほど難しくしてしまったのだ。同様なことは、ロシアとの北方領土問題でもおこっている。

対話による平和解決

 力には力による解決論では、結局は戦争しかもたらさない。東アジアでの軍事緊張の激化は、アメリカや各国の軍部・軍産複合体、それに利益を見出すものたち以外には利益はもたらさないのである。このことを常に銘記すべきであろう。   (MD)


「いらない!APEC」横浜民衆フォーラム

 一一月一三〜一四日、横浜で、アジア太平洋経済協力会議(APEC)が開かれた。世界的な経済危機の進行に対処するとして開かれた今回の会合で、菅内閣はアメリカ主導型のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加など、すでに破綻した新自由主義政策を深化させようとした。
 こうしたAPECへの反対行動がいくつかの団体によって取り組まれた。「いらない!APEC」横浜民衆フォーラムは、デモと集会で反新自由主義をアピールした。


有期労働法制の改正を実現しよう

 菅首相は「雇用、雇用、雇用」を叫んで、民主党党首選に勝利したが、その後の事態はまったく改善されないどころか、悪化する一方である。資本の側は、莫大な利潤を生む方法として、派遣など雇用責任をあいまいにし、そして有期で労働者を雇い簡単に解雇(労働契約の終了)できるようにすることを狙っている。

 厚生労働省はは、「派遣切り・非正規切り」などの非正規労働者の雇用の不安定さを解決するためと称して、昨年の二月に有期労働契約研究会をたちあげた。研究会の検討課題は以下の通りだった。
 「各論1」締結事由の規制、更新回数や利用可能期間に係るルール、雇止め法理(解雇権濫用法理の類推適用の法理)の明確化、@)締結事由の規制、有期労働契約の締結の時点で利用可能な事由を限定すること、A更新回数や利用可能期間に係るルール、一定年限等の「区切り」を超える場合の無期労働契約との公平、紛争防止、雇用の安定や職業能力形成の促進等の観点から、更新回数や利用可能期間の上限の設定(有期労働契約の利用を基本的に認めた上で、濫用を排除。稀少となる労働力の有効活用)、B雇止め法理(解雇権濫用法理の類推適用の法理)の明確化 定着した判例法理の法律によるルール化。
 「各論2」均衡待遇及び正社員への転換等では、@正社員との間の均衡のとれた公正な待遇 正社員と同視し得る者は均等待遇、その他の者にも均衡待遇(努力義務や説明責任)との措置、A雇用の安定及び職業能力形成の促進のための正社員への転換等 雇用の安定、職業能力向上の観点から、正社員転換措置の義務付けやインセンティブ付与等。
 「各論3」その他の課題として、@現行の大臣告示による明示事項(更新の判断基準等)および雇止め予告等の法定事項への格上げの検討、A予告手当あるいは契約終了時の手当の検討、B1回の契約期間の上限(現行原則3年)については、上限維持が一つの方向であった。
 そして九月一〇日には有期労働契約研究会・最終報告書が発表されたが、一定の前進はあるものの、全体的にはきわめて不十分なものであり、とくに整理解雇要件を緩和する動きについては大きな問題であり、これからの労政審段階の闘いが極めて重要になっている。

 日本労働弁護団の第五四回総会はいくつかの決議を採択したが、その中に「有期労働契約の法規制を求める決議―雇用の安定と均等待遇実現のために―」(別掲)がある。

有期労働契約の法規制を求める決議 ・・・・・・  雇用の安定と均等待遇実現のために

1 一昨年のリーマンショックを契機に、我が国でも非正規雇用の労働者が次々に職場を失い、その地位の不安定さが顕わになった。本来は、労働契約の原則は、直接雇用・無期雇用であるべきだが、規制緩和の大合唱の下、有期契約労働者や派遣労働者が増大し、貧困・格差が広がったことは動かし難い事実である。この原因の一つとなった派遣法については改正の動きが起き、派遣法改正案が現在も国会において審議中である。しかし、派遣労働もパート労働も有期雇用が多いことからすれば、非正規雇用の問題を抜本的・根本的に解決するには、有期労働契約の規制なくしてはなし得ない。有期契約労働者は、無期契約労働者に比べて著しく雇用が不安定であり、労働条件も無期契約労働者と比べると著しく低い。ところが、労働実態は無期契約労働者と異ならない場合も多く、無期契約労働者との間で、不合理な格差が生じている。

 これは企業が労務費の削減を目的とし、有期雇用によって解雇規制を免れ、雇用調整を容易にするという目的によって生じている。にもかかわらず、我が国では、有期労働契約のかかる不合理・不適正な濫用的な活用を防止する実定法が存在せず、雇止めの判例法理が存在するだけで、事実上、野放し状態である。

2 日本労働弁護団は、二〇〇九年一〇月二八日、「有期労働契約法制立法提言」(以下「立法提言」)を発表し、有期労働契約に対するあるべき立法的規制を打ち出した。また、昨年の総会で「非正規・不安定雇用労働者の権利確立をめざす」アピールを採択し、有期労働契約の問題を含め、不安定雇用労働者の権利確立に向けて尽力することを表明した。

 二〇一〇年三月一七日、厚生労働省労働基準局長の委嘱を受けた有期労働契約研究会が発表した「中間取りまとめ」に対する意見を、同年四月三〇日に発表し、労働契約法の大幅な改正を具体的に示す、より抜本的な提言をなすよう求めたところである。

 そして、同年九月一〇日、上記有期労働契約研究会が最終報告書を発表した。同報告書は、「中間取りまとめ」に比べれば、有期労働契約の問題点について、有期労働契約の不合理・不適正な利用があるという現状を認めた上で規制の必要性を検討している点で評価できるものの、具体的な法制度の方向性を明確に打ち出すには至らず、検討されている規制内容も未だ不十分なものである。今後、一年をかけて労働政策審議会で審議が行われるが、労政審で有期契約労働者の雇用の安定、均等待遇を実現する抜本的な立法が検討され提案されるべきである。なお、多様な正社員形態を容認しつつ、整理解雇要件を緩和する動きがあるが、このような動きには強く反対するものである。

3 日本労働弁護団は、無期雇用・直接雇用が原則を確立すべく、有期労働契約の不合理・不適正な利用を防止する有期労働契約法制の一日も早い確立を求めるために取り組みを強める。

 そこで、次の事項の法制化を早急に求める。

 @有期労働契約締結事由の規制(入り口規制)
 A無期労働者・有期労働者間における均等待遇の実現
 B有期労働契約の利用可能期間制限の導入と違反の場合の無期雇用へのみなし規定
 C判例上確立している雇止法理の法文化

4 冒頭でも述べたとおり、有期労働契約の規制なくして、非正規雇用問題の解決はない。日本労働弁護団は、一日も早く有期雇用労働者の雇用の不安定さの解消と均等待遇を実現するため、有期労働契約法制の立法を求め、ここに決議するものである。

二〇一〇年一一月一三日

    日本労働弁護団第54回全国総会


小笠原諸島に残る戦争の傷跡

 数年前に仕事の関係で小笠原諸島の父島と母島を訪れ、仕事のかたわら太平洋戦争の戦跡を見る機会を得た。小笠原諸島は東京から南に一〇〇〇kmの太平洋上に位置し、父島は東京竹芝桟橋から二五時間半(船)を要し、母島へは更に南に二時間の船旅となる。
 父島、母島を含む小笠原諸島およびその周辺海域は、世界でも珍しい貴重な動植物や地形・地質など地学的自然の宝庫である。現在、日本政府は国連ユネスコの世界自然遺産に登録申請中である。

戦争の傷跡
 父島、母島は自然の宝庫であるが、それとともに先の太平洋戦争の戦跡が数多く残されている事でも知られている。写真@は父島境浦沖に残された日本の輸送船の残骸(写真右)で、米軍の攻撃で撃沈されたものである。この他にも父島には各地に戦跡が戦後六五年経過した後も、ほとんど当時のまま残されている。島の山腹には日本軍の攻撃で撃墜された米軍戦闘機の残骸、海岸沿いには米軍の上陸に備えて構築されたトーチカや銃座、防空壕などが無数に存在している。また、母島にも数多くの戦争遺物がある。写真Aは母島北部にある対空高射砲の残骸で、周辺には同様な高射砲が四基残されている。写真Bは東京方面を爆撃したB―29爆撃機を撃墜するため、機影を捕捉する探照燈(サーチライト)の格納庫である。格納庫の奥には探照燈の残骸が当時のままの形で残されている。
 米軍の爆撃機B―29は南太平洋のテニアン島を飛び立って、ほぼ南北に連なる小笠原諸島、伊豆諸島沿いに東京方面に向かって北上し、富士山を確認した後に右に旋回して東京を目指したという。東京および周辺地域を空爆したあと、帰路の途中、B―29の編隊は小笠原諸島の上空を飛行する際に日本軍の対空砲火を受けた。しかし、砲弾は爆撃機の飛行高度までほとんど達しなかったそうである。母島にはこの他にも島を爆撃した痕跡が数多く残されている。
  
負の遺産を後世まで
戦後六五年経過し、日本各地には戦争の傷跡が残されている。広島の原爆ドームはその象徴的存在である。また、現在でも米軍が投下した爆弾の不発弾が各地で発見され、その処理作業が各地で報道されている。戦争体験者の方々は年々高齢化し、戦争の悲惨さ、非人道的行為などを後世に伝える語り部としての人達は少なくなりつつあり、非惨極まる戦争の記憶は時間の経過とともに薄らぎ、風化しつつあるのではないかと危惧されている。
 しかし、日本には憲法九条を柱とする平和憲法がある。現在、「九条の会」をはじめとして、憲法改悪に反対する草の根の運動が全国各地で粘り強く展開されている。
 小笠原諸島父島、母島に残る戦争の傷跡(戦跡)は、後世に残さなくてはならないし、この仕事は現代に生きる私たちの責任でやり遂げなくてはならない事でもある。

 現在、先に述べたように、小笠原諸島および周辺海域はユネスコの世界自然遺産に登録申請中である。それとともに戦争の記憶、戦跡などの「負の遺産」をも含めた登録が必須のことと思われる。現在、戦争などによる「負の遺産」はポーランドのアウシュビッツ強制収容所跡などが登録されているが、「自然遺産(正)+戦争の遺産(負)」を登録した遺産はいまだ世界にはない。したがって、正負の遺産を含めた登録を勝ち取る運動が私たちに求められている。   (横山一夫)


映画に描かれた朝鮮戦争と在日の人びと

 今、全国のいくつかの都市で「午前9時からの映画館」が話題となっている。どこでも古い映画は自宅で観られるにもかかわらず、映画館を借り切って千円も料金を取られるのに中年以上の観客で満員になるという。
「風と共に去りぬ」(一九三九年 アメリカ)や「アラビアのロレンス」(一九六二年 イギリス)が多く上映されているが、なんといっても一番人気は「ローマの休日」(一九五三年 アメリカ)だという。
 最近3Dで話題をさらった「アバター」やスティーブン・スピルバーグに代表されるハリウッドの大作主義が地球環境を壊すマクドナルドのハンバーガーだとしたら、アジア映画やマイノリティーをテーマとした作品が制作されるようになったこと、「午前9時からの映画館」という動きなどは文化的なスローフード化と言えるだろう。

 私は韓国が初めて朝鮮戦争(一九五〇〜五三)を正面から描いた「ブラザーフッド」(一九九四年公開)を観にいって、監督のカン・ジェギュが同じ民族どうしの殺し合いをあれまで残酷に表現したのには驚かされた。彼によれば史実に忠実につくり、過去に背を向けようとする韓国の若い人へのメッセージとして伝えたかったという。映画は世界的にヒットし、私もこの戦争で五〇〇万人の兵士や民間人が死亡や負傷したことを知った。

 二〇〇四年、井筒和幸監督による「パッチギ」に出会う。在日朝鮮人の姿を正面から取り上げ、「文部省は今すぐ選定映画に加えるべきだ」(山田五郎・評論家)と言わしめた傑作になった。
日本の朝鮮への侵略から一九六八年頃の朝鮮学校と日本人高校生の葛藤を描く中で「在日」とはどういうことか一定の予備知識がなくとも知ることができる。日本映画史に残すべき名作だと思う。
 この映画で特徴的なのは、当時京都の朝鮮高級学校に入っていた李鳳宇エグゼクティプロデューサー以外、スタッフ、キャストが日本人で占められ、井筒監督の「日本人の責任は日本人がキッチリ取る」という気概が感じられた。
 南北で砲弾が飛び交い、空母ジョージ・ワシントンが朝鮮沖へ向かったという報道に注目する一方で、埃をかぶった「パッチギ」のDVDをやっと探し出して六年ぶりにもう一度観た。
 フォーククルセーダーズがうたった民族分断をなげく「イムジン河」という歌が映画で中心的役割を果たしていて、音楽は加藤和彦が担当している。当時この歌が政治的理由で放送禁止になっていたことを知っている人は多いだろう。
 当時、私はフォーク小僧で広島からデビューした吉田拓郎と同じステージに立って喜んでいたが、アルフィーの坂崎幸之助がDJをしていたラジオ番組でこの歌が流されていたのをしっかりチェックしていた。これが映画では、ハウンドドッグの大友康平がディレクターとして出演し、上司を殴り倒して放送したというエピソードが出てくることを知ればそれだけで観たくなる人もいるだろう。
 とにかくはじめから、朝鮮高校と日本人のガクラン着たウヨク高校生のすさまじい殴り合い、鼻血ドバッの暴力シーンがつるべ打ちに続く。ケンカを通してしか理解しあえない当時の青春群像であったろうか。
 キャストも贅沢である。あのお騒がせタレント沢尻エリカの事実上のデビュー作、今「龍馬伝」でお龍を演じる真木よう子、坂崎幸之助がモデルとなったオダギリジョーはスエーデンに行ったりアメリカでヒッピーになって帰ってくる。
 しぶい笹野高史が在日一世を演じ「国会議事堂の大理石、どこから持ってきて、誰が積み上げたのか、知ってるか!日本人帰れ」と泣いて怒る。
 
 ちょっと前に、県の朝鮮総連本部に顔を出したら、「金剛山歌劇団」公演のチケットを二〇〇枚ほど託された。町内の知り合いのスーパーマーケットにポスターとチケット一〇〇枚ほど置いて貰ったら、全部なくなった。
 「とってもいい舞台で美しくて行って良かったというお客さんが何人もいましたよ」といってくれたりした。  (H・T)


KODAMA

     花岡事件の発信


 会員四〜五人と車二台に分乗して秋田県大館市花岡へ初めて行ったのは一九九五年のことである。一九四五年六月三〇日、強制連行されて非人道的な虐待に耐えかねた中国人労働者が蜂起した。連行された九八六人のうち四一八人も殺された。その「花岡事件慰霊五〇周年式典」に出席するためだ。
 会場までの道のりがよく分からなかったので、途中の商店などで聞くと実に丁寧におしえてくれた。それもそのはず、戦後日本の民間人がはじめて手がけた日中交流は、「花岡事件」の遺骨の発掘と中国への送還で大館市の人びとが中心となった。当時、事件を目撃した人が多く存在し、知らない人はほとんどいない。岩手とは異なり戦争の加害の歴史をしっかり心に刻んでいるのが大館の人びとで、私は尊敬の念を覚えた。
 会場には一〇〇〇人以上の人びとが集まり、当時の衆議院議長土井たか子氏の凛とした姿も見られた。市長も「悲惨な歴史的事実を風化させてはならない」と挨拶した。
 全市に向けてサイレンが鳴らされ、これを合図に市民は黙祷する。平和への願いをもめたハトが六月の青空に放たれた。蜂起を指揮した耿諄氏も元気な姿を見せて参加者を元気付けた。
 私の知る限り、市と住民が毎年中国人の慰霊式を行っているのは日本広しといえどもここだけで、最近は岩手を含め全国から少人数のグループや観光バスをチャーターして来る団体など、多くの人たちが現地ツアーに来るようになった。
 新しく「花岡事件陳列室」もつくられた。私の古くからの知人であり、元八路軍兵士の山邊悠喜子さんは今日まで「私の戦後処理を問う会」代表と同時に日本軍の細菌戦、毒ガス戦を究明する「ABC企画委員会」の役員を務め、高齢にもかかわらず中国を何度も訪れたりして活動している。彼女が日本語に訳した中国人文学者の旻子(ミンズ)さんが「花岡事件」を追った『尊厳』が二〇〇五年八月に出版された(「日本僑胞社」刊)。
 山邊さんが親切に送ってくれたので読んだがやはり実際に現地を歩いて歴史を羽田で感じるのが一番だ。
 私たちがある時行った日は、一泊で事件の史跡をめぐったり、作家の野添憲治さんの話を聞き、全国から参加した人たちと温泉つきの民宿で朝まで討論した(自然と知識と実践を積んだ者がリードするが、活動分野が異なり、新しい発見があったりでちょっとした『武者修行』になり力がつくことは確実である)。
 
 わたしはこの「花岡事件」を含め、悲惨な戦争というものが引き起こした加害の歴史を語り継ぎ広めていくことが大事であると思っている。
 ノーベル平和賞を受けたオバマ大統領がヒロシマを訪問することには議論があるが、しかし平和のために行動できる力を持った人物がかつての戦争の爪あとをたどりその実態を知ってアクションを起すことは必要だとも考えている。
 今年二〇一〇も全国から、そして岩手から「心に刻む会」が呼びかけたグループ、新聞やいろいろなメディアを通じて事件を知った多くの人たちが大館市を訪れたことが地元紙「秋田魁新聞」によって報道された。
 これからも「刻む会」としては大館の人びとの行動と「花岡事件」について秋田からそして岩手から全国へ発信し続けていきたいと思っている。

 私の戦後処理を問う会   http:/www.jca.apc.org/~hanaoka/

                 (「アジア・太平洋地域の戦争犠牲者に思いを馳せ、心に刻む岩手の会」事務局長 高橋龍児


せ ん り ゅ う

 憲審を冷凍できる冷蔵庫

 「規程」などなくて我が家は平和です

 九条を知らぬふりして防衛大綱

 軽口や雲の上なる政府なり

 協議とは袖の下では困りもの

      ○

 九条がいきて沖縄結束し

             ヽ 史

 ○ 最新の冷蔵庫は高性能だ。憲審=憲法審査会に対して凍結の政権合意をしていた社民党などに期待。参院で憲法審査会規程を策定の動きあり。規程なければ凍ったままだ。
 ○ 仲井真知事、「移設」で政府と協議の方針。
 ○ 二〇一〇年この一年。鳩山から菅へ一貫した沖縄反基地運動の全国的な展開が政局をゆさぶった。憲法九条の国是が民衆の中に生きた反戦平和願望高揚の年であった。


複眼単眼

 
 菅内閣の無策とGPPAC東北アジアの提起

 東北アジアの軍事的緊張がここしばらくなかったような厳しさを増している。朝鮮半島の東側海域での米韓の軍事演習につづいて、北朝鮮による延坪島砲撃、その後、黄海における米韓軍事演習、つづいて南西諸島・九州周辺での日米統合共同軍事演習と、南北朝鮮と米国、日本による軍事行動が繰り返されている。日米統合演習には韓国軍将校がオブザーバーで参加している。
 各国が冷戦時代さながら、軍事力をもてあそびつつ、チキンレースを続けている。これらの国々によるこうした行為が北東アジアの平和を乱すものであることはいうまでもない。
 朝鮮半島の非核化をめざす六カ国協議の議長国である中国政府は、この枠と切り離して、緊急に六者会議を呼びかけたが、ロシアがただちに賛同しただけで、米日韓三国は消極的姿勢で、拒否した。
 中国のこの提案は北東アジアの平和を求めるなら極当然の提案であった。この間、米日韓三国政府は、軍事演習を繰り返して北朝鮮に圧力をかけるのみで、平和のためのイニシアティブを何一つとってこなかった。この人びとには東北アジアの平和を構築する意志も能力もない。
 同時に、私たちの日本も含めて、この問題に対する市民社会の反応の鈍さはゆゆしいことである。私たちの責任が問われている。
 そうしたなかで、「GPPAC東北アジア」がとった行動は重要な意義をもっている。GPPACは、かつて国連のアナン前事務局長が呼びかけた「武力紛争予防のためのグローバル・パートナーシップ」というプロジェクトで、世界各地域で作られた運動であり、一昨年の「九条世界会議」もその中から生まれたものだ。
「GPPAC東北アジア」は十二月はじめ、朝鮮半島情勢に関して声明を発表した。先の延坪島砲撃事件以後、ソウル、東京、北京、上海、台北、ウラジオストックのNGOが緊密に協議を行い、電話(スカイプ)会議をもち、声明をまとめた。その主要な点は以下のようなものである。
1.今すぐあらゆる軍事行動を止めること。
2.対話のための作業を開始すること。
3.事件で何が起きたのかを調査すること。
4.軍備競争に走らないこと。
5.非武装地帯を設置し拡大すること。(二〇〇七年一〇月四日の南北サミットは、今回の紛争地域〈海上〉に平和協力地域という名の非武装地帯を設置することを求めている。)それを実施すること。
6.市民社会が重要な役割を果たすべきこと。
これは大変重要な提起である。
 この間の日本政府の外交的無策はゆゆしいものだ。この緊張を緩和する上で、本来、「政権交代」した日本政府が果たすべき役割は大きかったはずだ。にもかかわらず、北朝鮮とのパイプをつくれず、中国とのパイブも壊してしまって、ひたすら従米路線に舵をもどしただけの菅内閣は、何一つ有効な手だてを打てなかったのだ。
 このような無能な政府には退陣してもらうしかない。    (T)


冬季カンパのお願い

     
労働者社会主義同盟中央委員会

 〇九年に起こった政権交代は、長年の自民党政治へのNO!の声によって起こったものですが、民主党政権は、迷走を重ね、誤った内外政策をとりつづけ、自民党政治に回帰する様相を強めています。そして、わが国が直面する政治的、経済的、社会的な矛盾は解決するどころかますます厳しいものになってきています。とりわけ日米軍事同盟の深化という政治方向は、沖縄の基地負担を増やし、また東アジアに緊張状態をつよめるものになっています。
 沖縄での反基地運動に引き続き、反戦・平和・憲法改悪阻止の闘い、労働運動の前進が切実に求められています。
 来るべき二〇一一年は、世界的には経済的低迷のいっそうの進行、アフガニスタンなどの対テロ戦争の破綻によるオバマ政権の弱体化などによる多極化の状況が進み、国内でも資本による搾取・収奪が露骨になり階級矛盾は激しさを増す一方で、内外政策で行き詰る菅内閣も大きな危機に直面し、政局の流動化が予想されます。
 いま、労働者・人民の団結した力の形成は急務となっており、そのために、私たちは社会主義政治勢力の再編・統合にむけて一段と奮闘する決意です。
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二〇一〇年冬