人民新報 ・ 第1284号<統合377号(2011年12月15日)
  
                  目次

● 労働者派遣法の骨抜き修正を阻止し、抜本的改正を勝ち取ろう

● 野田政権の価値観外交への回帰

● 勝ち取ろう勝利判決! もどろうあの空へ!  JAL不当解雇撤回・職場復帰へ

● 李明博・ハンナラ党政権は、韓統連などへの人権弾圧を即時中止せよ!

● 田中聡沖縄局長暴言は日米政府の本音だ! 辺野古新基地建設絶対阻止!

      普天間基地は県外へ  政府は沖縄県民の声を聞け

      辺野古環境アセス年内送付に抗議の院内集会

      沖縄防衛局前で緊急の抗議集会

● 映 評  /  1911

● せ ん り ゅ う

● 複眼単眼  /  原発住民投票運動と朝日新聞社説

● 冬季カンパの訴え  労働者社会主義同盟中央委員会






労働者派遣法の骨抜き修正を阻止し、抜本的改正を勝ち取ろう

 労働者派遣法の骨抜き修正案は臨時国会の終盤の一一月中旬になって突如として浮上してきた。ねじれ国会状況の下で、野田内閣と民主党が自民党、公明党に一段と擦り寄る形での政局運営のためである。連合本部も理解するという態度で派遣法問題は重大な段階に差し掛かる情勢となった。
 政府は、昨年の三月に第四次派遣改正案を国会に提出したが、その後まったく審議は行われてこなかった。それが、民自公三党で「合意」したといって、政府案の内容をさらに後退させ、骨抜きにした「修正」案が提出され、三時間の委員会審議だけで強行に可決され、それを本会議にかけようとしたのである。
 だが、共産党、社民党そして立場は違うがみんなの党が反対し、労組による国会前行動を含めたさまざまな反対行動が展開される中、財界の圧力を受けた民自公三党の修正案は今臨時国会衆院本会議で採決にかけられず、今国会での成立はなくなった。民主党が、本会議に上程した場合、廃案になる可能性があるため、継続審議としたのだった。
 かれらは来年一月召集の通常国会で成立させることをあきらめていない。
 骨抜き派遣法改正案の成立阻止と抜本的な改正をめざす闘いをつよめて行かなければならない。

緊急集会に多数参加

 緊迫した情勢の一二月七日、衆議院議員会館で「派遣法改正案反対緊急集会〜派遣切りをくり返さない法改正を!」が開かれた(主催・労働者派遣法の抜本改正をめざす共同行動)。
 棗一郎弁護士が修正案の問題点を分析し、こんな骨抜き法案は絶対に成立させてはならないと述べた。修正案の問題点はいくつもあるがその主な点は次のようなものだ。民自公修正案は、名前こそ「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」となり、派遣労働者の保護ということが銘記されるが、内容はそうなっていない。抜本改正にまったく逆行する骨抜き法案なのだ。政権交代直前の二〇〇九年六月の民主・社民・国民新党の野党三党案に比べてみればはっきりする。まず野党三党案にはあった「製造業派遣の原則禁止」の規定を削除し、「製造業派遣の在り方」を検討事項としたことだ。改正法施行後一年経過後をめどに労働政策審議会での議論を開始するとなっている。また、野党三党案では「常用する労働者以外の労働者派遣を禁止」したが、修正案は「登録型派遣の原則禁止」を削除して、「登録型派遣の在り方」を検討事項とする。これも改正法施行後一年経過後をめどに労働政策審議会での議論を開始する。日雇い派遣については、野党三党案では、「二ヶ月以内の有期雇用契約を禁止」(違反の場合は二月プラス一日の契約とみなす)とあったが、「日雇い派遣の原則禁止」が緩和されて、「日々または三〇日以内の派遣を禁止する」とし、その「日雇い派遣禁止の例外」に「雇用機会の確保が特に困難な場合等」を政令で追加するとした。この「特に困難な場合」とは、日雇いに係る労働者が高齢者、昼間学生、副業として従事する者、主たる生計者でない者だとしている。

みなし雇用は先送り


 派遣先の法逸脱規制では、野党三党案では「派遣先への罰則新設」「違法派遣先への直接みなし規定」があった。これは一応残ることにはなったが「違法派遣の場合における労働契約申し込みみなし規定」は法の施行から「三年経過後に施行する」と先送りされた。
 この突然出されてきた民主・自民・公明修正案はまったくひどいものだが、われわれ抜本改正を求める運動の側にも、今臨時国会では実質論議にならず成立しないと油断した面があったが、これを反省し、強力な闘いを組んでいかなければならない。

真の改正の実現へ

 社民党の阿部知子衆議院議員と共産党の高橋千鶴子衆議院議員が国会での論議の状況を報告した。社民党の服部良一衆院議員と福島みずほ党首、民主党の工藤仁美衆議院議員も発言し、力をあわせて骨抜き法案を成立させず、抜本的な改正を実現するためにがんばろうと述べた。
 つづいて、当事者発言として、震災ユニオン、いすゞ派遣契約打ち切りとの闘い、DNP(大日本印刷)ファインでの解雇・偽装請負争議、なにわユニオンなどからアピールが行われた。


野田政権の価値観外交への回帰
 
日本の直面する困難

 二〇一一年、日本社会は一段と深刻な状況に陥った。野田政権の下ではいっそう悲惨な事態が予想される。経済的には、二〇〇八年のリーマンショック以来の世界的な金融危機を経験しながら、昨年から一定の回復の兆しが見えてきた。だが、この三月の東日本大震災と津波で、東北地方の製造業の拠点が大きな打撃を受けた。そして東電福島原発の連続事故が起き、日本経済は多大なダメージをこうむった。そして、タイ洪水などの自然災害、加えて悪化する欧米債務危機、記録的な円高などによる外需の衰弱、輸出の伸びの低下によって困難さが増大している。

輸出主導型経済

 国内の消費をさておいての輸出主導、多国籍企業化、それは労働者の貧困化と裏腹の関係にあるが、ずっと指摘されてきた日本資本主義のこの問題点が一挙に暴露された。しかし政府・財界は強引にその道をつき進もうとしている。しかも財務省統計によると、日本の債務残高は九月末現在で九五四兆円と過去最大を更新し、国民一人当りの負債額は約七五六万円となり、年度末までに債務残高は一〇〇〇兆円を突破する。ギリシャに始まったヨーロッパの公的債務危機は他人事ではなく、それ以上の衝撃が襲ってくる可能性が高い。周知のように、非正規労働者、失業者が増え、格差の拡大がすすみ、貧困がより厳しいものとなっている。とくに女性と若者に著しい。野田民主党政権は、震災復興および国内経済の振興、日米関係の修復=日米軍事同盟の強化、とアジア近隣諸国との関係の処理の課題を抱えている。民主党主導の下で被災地の復興は何次かの補正予算を組んで行われているが、それは新自由主義的な手法で行われようとしており、順調に進むどころかいたるところに歪みをもたらしている。原発事故問題はその被害のすさまじさが日をおって明らかになっているが、損害賠償はほとんど進まず、巨額の負担に耐えられない東電の国有化すら言われるようになった。税と社会保障の一体改革という名の増税と保障の切り捨てが行われようとしている。一方で、菅直人前首相につづいて野田首相は震災救援=「トモダチ作戦」、テロ対策、合同軍事演習などを通じて日米同盟を修復・深化させた。さらにTPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉への参加方針を明確にしてアジア太平洋地域における米国のアジア回帰の新政策を積極的に支持している。このことは、民主党の外交政策が大きく転換したことを意味する。二〇〇九年の政権交代のマニフェストなどで、当時の鳩山民主党は、「国民の生活が第一」とともに「アメリカとの対等な関係」「日米中正三角形論」「東アジア共同体」を構築する方向を打ち出しそれが多くの人びとに支持された。

時代錯誤の外交路線

 だが、いま、野田民主党の外交・安全保障政策は、自民党政治への回帰、それもその最悪の形態である安倍晋三や麻生太郎の「価値観外交」路線と同様なものになってきた。安倍、麻生は、「民主主義や人権の尊重などを価値として共有する国家」との関係を強化しようとし、「自由と繁栄の弧」であるASEAN、インド、中東、バルカン半島の諸国と連携するものとされていた。「自由の弧」とは、「価値観」の異なる国に対する包囲の弧であり、実際には中国、朝鮮およびロシアと対立するものだ。これは、アメリカの好戦派ネオコン・軍産複合体の意図する構図に日本をはめ込もうとするものだ。いま野田政権は、日米同盟を深化させるとともにフィリピン、ベトナム、インドとの協力強化しようとしている。そして中国の影響力を弱めて日本の発言権を高めようとしている。この政策は東アジア地域になお残存して冷戦構造をいっそう強めることになる以外にない。一方で、「繁栄の弧」は形成できない。経済的に発展する東アジアとくに中国には巨大市場があり、中国との協力を強化し、中国の経済成長と連携しながら日本の経済的な復活を図らざるを得ない。また、いまアメリカ、中国、日本の経済的、軍事的バランスはすでに変化した。辺野古をはじめ沖縄米軍基地強化は沖縄の人びとにいっそうの負担を背負わせようとするものであり、TPPは一部大企業のために農民をはじめ多くの人びとに災難をもたらすものである。野田政権の日米同盟強化路線は、東アジアに平和と発展をもたらすものではなく、その逆の情勢を作り出すものだ。


勝ち取ろう勝利判決! もどろうあの空へ! 

         
JAL不当解雇撤回・職場復帰へ

 日本航空は、昨年一二月三一日に、経営危機・再建を口実に一六五名のパイロットと客室乗務員の首を切る整理解雇を強行した。
 だが、その後の状況は、この口実が全く成り立たないものであることを明らかにした。史上空前の利益が出ているのである。この解雇は、ものを言う労働者、まともな組合活動家の排除と、そのことによって儲け第一の会社作りを狙ったものである。この整理解雇は、整理解雇四条件(@人員整理の必要性A解雇回避努力義務の履行B被解雇者選定の合理性C手続の妥当性)に反したもので、まったくなりたたないものである。また、こうした営利優先・安全軽視の企業とりわけ航空というなにより安全を優先すべき産業では、きわめて危険なことである。すぐに連想されるのは、国鉄の分割・民営化以降のJRのことである。二〇〇五年四月二五日に起こった西日本旅客鉄道(JR西日本)の福知山線の尼崎駅付近で発生した列車脱線事故では乗客と運転士合わせて一〇七名が死亡した。JALはその道を歩もうとしている。
 JAL解雇の本質は、整理解雇の四要件」の法理を無視し、労働者の権利を踏みにじるものであり、破綻原因である放漫経営、空港乱造など航空行政の責任を労働者に転嫁するものであり、そして、再建計画が利益優先であり、安全と公共性を軽視していることであり、絶対に許してはならない資本と政府の暴挙である。
 現在、被解雇者のパイロット七六名と客室乗務員七二名の計一四八名が解雇無効と職場復帰を求めて東京地裁で闘っている。今年中には両者とも結審を迎え、来年の三月までに判決が出る。全国の労働者・労働組合は、力を結集して、国鉄闘争を上回る陣形を作って、JAL解雇撤回・現職復帰を勝ち取らなければない。

 一二月六日、豊島公会堂で「勝ち取ろう勝利判決! もどろうあの空へ! JAL不当解雇撤回総決起集会」(主催・日本航空の不当解雇撤回をめざす国民支援共闘会議)が開かれた。

 開会の挨拶は全労連の大黒作治議長。昨年一二月三一日に一六五名の不当解雇が強行された。ただちに支援共闘会議が結成され、日航本社前要請行動をはじめ集会、署名などさまざまな行動が取り組まれた。東京労働委員会では八月に勝利命令が出ている。現在裁判闘争に取り組んでいるが、目的は、解雇撤回の全面勝利の実現、「整理解雇四要件」の法理を守り、労働者の闘いの成果である権利を守る、そして放漫・乱脈経営、航空行政の誤り、日米貿易摩擦の問題などJAL破綻の原因を正すことだ。この解雇の不当なことは、稲盛和夫会長でさえ「業績は日を追うごとに良くなっている。一六〇人を残すことが経営上不可能かといえば、そうではない。しかし、金融機関、債権者などに約束した更生計画は反故にできない」と言っていることからも明らかだ。

 今村幸次郎弁護士から、裁判の経過について報告が行われた。二〇一一年一月一九日に提訴し、その後各四回の口頭弁論が行われた。一二月一九日と二一日がそれぞれの結審予定だ。争点は、整理解雇法理に照らして許されるか、本件整理解雇の真の狙いはなにかを明らかにすることだ。四要件とりわけ解雇の必要性では、経営の状況を見れば、雇用維持が不可能でなかったことは誰が考えても分かることだ。更生計画が求めているのはコスト削減と利益計上だが、目標は超過達成されている。また更生計画上の人員削減目標も一三〇〇人も超過削減してしまっているのである。会社は、「現在の利益は実力ではない。一五〇〇億円の利益は一時的なものに過ぎない」といっているが、実際にはANAを上回っている。整理解雇狙いは、「物を言う労働者」を職場から排除する以外のなにものでもない。

 原告その他による寸劇は、JALの儲け第一主義の実態の暴露と闘う労働者たちの決意をアピールするもので大きな拍手が沸いた。              
 国民共闘から、当面する行動として、@乗員裁判と客乗裁判の二種類の「日本航空整理解雇事件の公正な判決を求める要請署名」(一〇〇万筆を目標)、A「JAL闘争を支える会」の会員拡大運動(五万人の会員拡大)、B日航本社前宣伝・要請行動などの諸行動が提起された。

 「支える会」の柚木康子事務局長は、全国各地に会員を拡大し闘いを支えぬき勝利しようと訴えた。

 つづいて客乗原告団の内田妙子団長と乗員原告団の山□宏弥団長が力強く闘う決意の表明を行った。

 閉会挨拶は、全労協の金澤壽議長が行い、団結ガンバローで勝利を勝ち取る決意を確認しあった。


李明博・ハンナラ党政権は、韓統連などへの人権弾圧を即時中止せよ!

 一二月二日、文京区民センターで「李明博政権は韓統連への人権侵害をやめろ! 日韓民衆連帯の集い」が開かれた。主催は、新社会党、全国労働組合連絡協議会、日韓民衆連帯全国ネットワーク、韓国良心囚を支援する会全国会議、在日韓国民主統一連合などで構成する「李明博政権は韓統連への人権侵害をやめろ!日韓民衆連帯の集い」実行委員会。

 始めに日本側から渡辺一夫・全国会議代表と韓国側の宋世一・韓統連副議長があいさつした。

 孫亨根・韓統連議長が「最近の国内人権弾圧状況と韓統連裁判の行方」と題して講演を行った。李明博はその兄弟が言っている通りに骨の髄まで親米親日だ。その李明博・ハンナラ党政権は韓統違を「反国家団体」だとしてメンバーの旅券発給拒否をはじめ組織からの脱退まで要求するなどの行為を行っている。その根拠は国家保安法だが、李承晩政権発足直後の一九四八年に、まだ刑法もできていないような状況で急遽作られたものだ。以来、民主団体・人士に対する弾圧に使われてきた。韓統連はその前身の韓国民主回復統一促進国民会議(韓民統)の時代から、金大中氏らとともに、独裁反対の旗を高く掲げて闘ってきた。国家保安法のあいつぐ拡大解釈で多くの人が犠牲になってきた。南北分断政治維持、支配体制維持のために使われてきたもので、この国家保安法を無くすことが、民主化と統一を近づけるものだ。

 日朝正常化連絡会共同代表、平和フォーラム共同代表の福山真劫さんが、韓国への入国拒否問題について報告した。私は、この五月に韓国光州において大韓民国政府が行う「5・18の記念行事」に韓国民主団体の推薦で招待されたが、五月一六日釜山で入国を拒否された。在韓国日本大使館によると「入国拒否者名簿」に私が登録されているとのことだが、韓国の民主団体は私が昨年、朝鮮民主主義人民共和国を訪問したこと、日朝国交正常化のための活動をしていることなどが韓国に危害をもたらす可能性があり入国拒否者名簿に登録されている可能性があるといっている。事実であるならばきわめて重大な問題であり、今回の入国拒否に対して、強く抗議し、事実を明らかにすること、こうしたことの起こらないよう日本の外務大臣と韓国の李明博大統領に要請した。
 つづいて金大中氏が死刑判決を受ける根拠となったデッチあげ事件の金整司氏らの再審無罪判決の報告が行われた。
 韓国青年同盟の闘争歌や韓国大使館抗議ハガキの訴えなどの行動提起があり、最後に、李明博・ハンナラ党政権に、韓統違に対するあらゆる人権弾圧を即時中止し、「反国家団体」規定を解除するなどを求める駐日韓国大使への「抗議文」が参加者の拍手で確認された。


 田中聡沖縄局長暴言は日米政府の本音だ! 辺野古新基地建設絶対阻止!

普天間基地は県外へ  政府は沖縄県民の声を聞け

 一〇月に来日して辺野古新基地の早期建設を迫ったパネッタ米国防長官に一川保夫防衛相は「必要な措置を取り、推進すると確約した」と約束した。日本政府は工事着工の前提となる環境影響評価(アセスメント)の評価書を、年内に沖縄県に提出する準備を進めるとしている。同時に高江のヘリパッド工事も進めようとしている。こうした日米政府のごり押しに対して沖縄は一体となって、普天間基地の代替施設の県外移設を求めて頑強な闘いを展開している。
 一一月一四日、沖縄県議会は「普天間の辺野古移設への評価書の提出断念を求める意見書」を全会一致で採択した。意見書は「(日本政府の)このような姿勢は、県内移設に反対を求める県内四一市町村長及び、全県議会議員を含む県民の総意を無視するものであり、到底看過できるものではない。なお、環境影響評価の手続後は、知事が許認可権を持つ公有水面埋め立ての申請が行われることになり、移設に向けた手続が一歩進むことになることから、評価書の提出を容認することはできない。よって、本県議会は、県民の生命、財産及び生活環境を守る立場から、普天間飛行場の県内移設に反対し、国外・県外に移設を求めるとともに、環境影響評価書の提出を断念するよう強く要請する」としている。
 名護市議会も、一一 月二九日に「県民、市民の生命、財産及び生活環境を守る立場から、米軍普天間飛行場の県内移設に反対し、国外・県外に移設を求めるとともに、環境影響評価書の提出を断念するよう強く要請する」とする意見書を採択した。日米政府の思惑は沖縄からきっぱりと拒否されているのである。そのうえに田中聡沖縄防衛局長の許しがたい暴言の暴露によって沖縄の怒りと闘いのエネルギーは倍加している。

 一一月二四日、文京区民センターで、辺野古への基地建設を許さない実行委員会の主催で「『普天間基地は県外へ』 政府は沖縄県民の声を聞け11・24集会」が開かれ、牧師で普天間爆音訴訟原告団長の島田善次さんが沖縄からの報告を行った。高江ヘリパッドに配備されようとしている米海兵隊の新型垂直離着陸機MV22オスプレイは極めて危険なものだ。すでに三六人が命を落としている。世界一危険とアメリカも認めている普天間基地を辺野古に代替施設をつくるといっているが、ウソだ。新基地の建設に他ならない。普天間基地は宜野湾市内にあるが、辺野古には軍港がある。またアメリカの法律では民家の三〇〇b以内には弾薬庫を作れないことになっているが辺野古ではそれが可能となる。米軍は嘉手納、辺野古、高江、伊江島と全沖縄を要塞化しようとしているのは明らかだ。そして米軍はそれらをすべて日本の予算を使ってやろうとしているのだ。日本政府はそのために、名護市など反対する地域にはカネをつぎ込んで抱き込みを図ってきたが、そのカネは沖縄には落ちずに、本土のゼネコンに行ってしまっているのである。名護市も稲嶺市長、市議会が基地反対派になった。そこで前原民主党政策調査会長や玄葉外相などが入れ替わり説得に来ているが、まるでアメリカの奴隷のようだ。前原などはもぐりで沖縄に来たがばれてしまってばつの悪い思いをしている。沖縄の負担の軽減を言うが、この六六年間に何が変わったか。復帰すれば基地がなくなるとの思いがあったが、みごとに裏切られた。夢を打ち砕かれた。振り返れば、薩摩藩島津による支配、天皇制政府による琉球処分、そして敗戦時に天皇は自らの延命のために沖縄をアメリカに売り渡した。一九五二年の日本の独立というものは、沖縄を切り捨てて実現したものであり、その後の朝鮮戦争で日本は復興したのである。沖縄はもう犠牲にならない。
 沖縄・生物多様性市民ネットワークの花輪伸一さんが「辺野古アセスの違法性、非科学性について」と題して説明した。つづいてフォーラム平和・人権・環境と沖縄闘争に連帯する東京東部集会実行委から連帯のあいさつ。沖縄・一坪反戦地主関東ブロックからは与那国島での自衛隊配備反対の行動などが報告された。
 沖縄の闘いに連帯して、普天間基地の即時撤去、辺野古や高江の新基地建設を断固として阻止しよう。


辺野古環境アセス年内送付に抗議の院内集会

 野田内閣は、その日米軍事同盟強化・対中国対抗の路線に沿って、南西方面の軍事力増強を強引に推し進めている。とりわけ沖縄・辺野古に最新鋭の基地をつくるため、辺野古アセス(普天間飛行場代替施設建設に係わる環境影響評価)評価書を、年内に沖縄県知事に送付するとしている。その手続きの後、直ちに埋立手続きに着手しようとしている。

 一一月一七日、衆議院議員会館会議室で、「違法な辺野古アセス評価書の提出を許さない! 緊急院内集会・記者会見が開かれた。これは、JUCON(沖縄のための日米市民ネットワーク)、ジュゴン弁護団、沖縄・生物多様性市民ネットワーク、日本環境法律家連盟、辺野古への基地建設を許さない実行委員会、許すな!憲法改悪・市民連絡会、憲法を生かす会、沖縄意見広告運動、グリーンピース・ジャパン、WWFジャパン、日本自然保護協会の共催によるもので、集会では、各団体からの発言、共同声明の発表、記者からの質問などがあった。

 共同声明は、「辺野古アセスは、以下の点で、環境アセスメントに値しない違法なものである」として、@方法書を公開する前に、自衛艦を導入して事前調査(環境現況調査)を強行したことは、環境アセスの手続きを定めた環境影響評価法および沖縄県環境影響評価条例に違反している。A事前調査で、水中ビデオカメラ、パッシブ・ソナー(音響探知機)、サンゴ幼生着床板などを一一二カ所に設置し運用したことにより、自然環境と野生生物に悪影響を与えてから環境アセスの現地調査を行ったため、環境アセス自体が非科学的なものになっている。B方法書における事業内容の記述が不十分なだけでなく、その後で、弾薬装弾場、洗機場、ヘリパッドなど環境影響が大きいと考えられる新たな事業内容を後出し追加しており、法に従って方法書段階に戻るべきである。また、これらの追加に関しては、住民意見を述べる機会が奪われている。C準備書の結論は「事業実施区域周辺におよぼす影響は総じて少ない」となっているが、これは先に結論があり、それに向けて調査結果を羅列し、影響は少ないと強引にこじつけただけで、まったく非科学的で正当性のないものである。D辺野古アセスでは、環境影響の大きい垂直離着陸機MV22オスプレイの配備を隠蔽してきた。米国では、オスプレイ配備については、それだけで環境アセスが義務づけられている。たびたび墜落事故を起こしているこの機種の配備が、環境アセスに含められていないのは問題であり、環境アセスとしては大きな欠陥である、の五点を挙げて、政府・防衛省に辺野古アセス評価書の提出を取りやめ、公有水面埋立免許申請も行わないことを強く要請した。


沖縄防衛局前で緊急の抗議集会

 環境影響評価(アセスメント)の評価書の提出時期を政府が明言していないことについて「犯す前に、犯しますよと言いますか」という沖縄防衛局長の田中聡の暴言は沖縄をはじめ大きな怒りの声を呼び起こした。政府は「不適切な発言だったとして田中をすぐに更迭し事態を沈静化させようとしているが、田中暴言は日米政府の本音をおもわず口にしてしまったものだ。田中と野田内閣、そして圧力をかけ続けるオバマ政権も同じ穴のムジナというべきであり断罪されなければならない。
 沖縄では、一一月三〇日、嘉手納町にある沖縄防衛局前で緊急の抗議集会が開かれ、田中聡沖縄防衛局長の暴言への抗議声明(別掲)を申し入れた。

田中聡沖縄防衛局長の暴言への抗議声明

 全県民を恐怖と悲憤に追い込んだ田中聡沖縄防衛局長が、昨日一一月二九日付で更迭された。当然である。沖縄に無理難題を押し付けようとしてきた政治家や官僚達の傲慢で県民に対する差別を根底に据えた許し難い発言が、これまでも度々繰り返されてきた。しかしながら今回の田中発言がそのレベルをはるかに超え、世の全ての女性の尊厳を傷つけ、全県民を冒涜したかつて無い愚劣で野蛮な暴言であるからには、更迭程度の処分で到底県民は納得するまい。政府は田中聡が再び県民の前に姿を現さないよう即刻罷免し防衛省から追放すべきである。過日、米国務省のケビン・メア前沖縄総領事は、沖縄県民に対する同様な差別発言で国務省を追放されたではないか。政府の毅然たる対応を要求するものである。
 同時に、米軍基地のあり方をめぐって、政府と県民が激しく向かい合っている中で、この恐るべき野蛮な官僚を現地の責任者に据えて、辺野古新基地建設、高江ヘリパッド建設などを強硬に進めようとした政府の任命責任を問うものである。田中局長は、政府防衛省が、およそ形だけとはいえ、辺野古新基地建設に際して「県民理解」を得ることが前提となり、そのために政府が努力していることを描こうとしているさなかで「問答無用」に、環境影響評価書を県に提出し基地建設を進める現地防衛局の決意を示した。この発言はこれまでの一川防衛大臣が言うところの「準備を進めている」という政府説明と違い、現場では、県民世論や県政のいかんに関わらず基地建設を強行する意図が表明されたと理解するほかない。
 これまで政府は、一〇月以降、外務、防衛大臣、官房長官、沖縄担当大臣を相次いで、沖縄に派遣し、政府が新基地建設に向けて県民理解を得るため努力している構図を描こうとしてきた。しかし田中発言は、その事がまやかしで政府の本音は、最終的には建設工事の強行を決意していることを明らかにした。政府は総がかりで沖縄県民をだましにかかったというほかない。それゆえ、田中発言が単に個人の資質の問題から発せられた暴言であるだけでなく、沖縄に向かい合う政府の構造的差別とその本音が示されたものであることが明らかである以上、田中局長の首をすげ替えるトカゲの尻尾切りで済まされないことは言うまでもない。私達は満身の怒りをこめて、一川防衛大臣の辞職を強く要求する。

 以上抗議し要求する。


映 評

    1911


           2011 香港・中国映画 123分

             監督:チャン・リー
          
             主演 孫文 …… ウインストン・チャオ (「宋家の三姉妹」でも孫文役)
                 黄興 …… ジャッキー・チェン


 二〇一一年は辛亥(しんがい)革命が勃発してから一〇〇年目にあたる年であり、ジャッキー・チェンが一九六二年に子役として初出演して以来一〇〇作目にあたるのがこの「1911」なのである。少し因縁めいてしまうが、チェンが長年構想をいだき続けたテーマでもあり、製作費三〇億円をかけジャッキー・チェン自ら総監督も務める。
 一八四〇年のアヘン戦争後、中国は没落の気運が深まっていった。二六〇年以上におよぶ満州族による異民族政権であった清朝は内外に累積する矛盾・危機に対応できなくなっていた。そういった状況の中で、封建支配を打破し、民主国家(民国)を樹立させようと中国各地でさまざまな動きが起こっていた。孫文、黄興たちは「中国同盟会」という革命組織を一九〇五年東京で結成した。
 一九一一年一〇月一〇日、湖南省武昌での武装蜂起・軍隊反乱はその一環であった。しかし、これらの戦いは清朝の精鋭軍に完膚なきまでに打ち負かされた。体制をたてなおすため、黄興たちはマレー半島のペナン島に亡命を余儀なくされた。孫文は国外で清朝を打倒するため世論作りのため欧米諸国を訪問し工作活動に専念し、黄興は亡命先からまい戻り清朝と真に対峙できる組織をつくっていった。

 ジャッキー・チェンは言うまでもなく香港映画界の大スターであるのだが、彼の出演したほとんどはアクション映画、コメディータッチのエンターテインメント映画であった。私はアクション映画などにあまり興味がなかったので「酔拳」「プロジェクトA」「五福星」などと言ったたいへんヒットしたであろう作品ですら観てはいない。チェンはハリウッドにも進出するのだが、ハリウッド映画の制作システムなじめず、主な活躍の舞台はやはり香港であった。功なり名を遂げたチェンは映画「1911」を構想し主演することで近代の中国の歴史の変遷に関心を持っていることを証明してくれた。そのチェンも五七歳、これからはアクション映画で活躍するのはたいへんだろうと思う。大胆な推論をたててみる。チェンはアクション映画の分野を少し封印して、さらに現代中国の歩んだ歴史に真摯に向き合っていくことになるのではないだろうか。この「1911」が彼にとってのターニングポイントになる作品であり、演技・制作の幅をもっと広げていくことになるだろうと。ただ、「1911」の後に、「新少林寺」という作品も制作しているので、急激な変化はないと思うが……。
 「1911」の中でたいへん興味深いシーンがある。亡命中の孫文がヨーロッパ諸国を訪ね歩き、清朝を打倒するための工作活動を続けているとき、ヨーロッパの銀行団の幹部たちが招待されているガーデンパーティーにおもむき、そこで「清に借款を与えることは滅びゆく王朝をただ延命させるだけで、新しい時代が出現することを望む民衆に敵対することになるのだ」と訴えると、彼らは「私たちは商売でお金を融資して、そこから利益を得たいのであって、その国の状況が、そのことによってどのようなことになっていくかについては、さほどの興味も感心もない」と言い放つ。それでも孫文は必死に訴え続けることによって相手の翻意を勝ち取ることになる。これらの一連のシーンは、現代の世界の状況となんと相似していることか、強欲資本主義を推し進める連中が、マネーゲームに没頭し、資源価格の暴騰などで自らは巨万の富を得ながら、幾多の貧しい民衆に思い至ることが出来ない状況とそっくりではないか。
 「1911」の主人公である黄興の名前について、多くの日本人は知らないだろう。学校での世界史の授業では、辛亥革命の項で、孫文、三民主義、袁世凱ぐらいしか登場しない。他国の歴史を理解することの困難さを痛感してしまう。
 映画の中では、清朝末期の混乱した状況、そのような中でも政権の延命を図ろうとする人たちの狼狽ぶりがたいへんうまく表現されている。ある批評で戦闘シーンはさすがに迫力があるのだが、いかんせん人間のドラマは希薄だというものがあったが、それほど人間がえがかれていないわけではない。孫文のはまり役ウインストン・チャオが全体として影が薄いという印象は否めないが、これも黄興の勇壮ぶりをきわだたせたジャッキー・チェン主役の映画なのでしかたがないところだろう。ただ「1911」には孫文の妻である宋慶齢などの名前はまったく登場せず、孫文を支援した梅屋庄吉、宮崎滔天などの日本人の名前もほんの少しふれられるだけだ。これは「1911」が現在の中国政府の認める歴史観にもとづいてつくられた映画であるための制約であると理解しておこう。
 「1911」を観てしみじみと感じてしまうのは、私たちは隣国の歴史すらほとんど知らないということだ。この映画はそのような歴史を教えてくれる。東アジアの歴史に興味のある人、またそうでない人にもぜひ観てもらいたい映画だ。
かつて私はある香港の映画会社の東京事務所のスタッフから次のようなことを聞いたことがある。映画製作の関係者が「私たちはいままで一生懸命映画を作ってきました。これからは一〇本のうち一本ぐらいは芸術的な作品、私たちの作りたい作品を作らせてもらえませんか」と経営者に頼むと、「いやだめだ。一〇本作るなら一〇本全部お金を稼げる映画(アクション映画など娯楽映画)をつくるよ」という答えがすぐに返ってきたそうだ。香港映画界の置かれている微妙な立場を言いあてているエピソードではある。そういった部分でしか生き残れなかったのであろう。
 なお辛亥革命の辛亥とは干支の組み合わせで、明治維新の時の「戊辰(ぼしん)戦争」「甲午(こうご)農民戦争」(一八九四年に朝鮮で起きた農民反乱)や、「甲子(こうし)園球場」とおなじ年をあらわす表現で、辛亥という言葉に深い意味はない。(東幸成)


せ ん り ゅ う
 

 沖縄を犯す手口は言わないよ

 ご理解をしろとゴリ押す日米軍

 ご理解をいただきたいね県外に

 地位協定=植民地協定だね

 維新の会どこか似ているあのナチス

 ヒロシマに折鶴百トンの祈り

 脱原発真顔で署名祈る母

             ヽ 史

 ◎ アラブの春とかミャンマー民主化とか世界で民意の解放と自由の拡大を言っているけれど野田政治の傀儡ぶりには口を噤むマスコミ、アメリカの植民地日本。
 ◎ 禎子ちゃんの祈りに始まる折鶴は毎年重さで十トンという数がささげられている。広島市倉庫に眠る百トン。


複眼単眼

   原発住民投票運動と朝日新聞社説


 ある日、脱原発の集会があって、早めに会場に行って集会の準備をしていたら、「原発住民投票(東京)」の受任者の署名をとりに来たグループの女性から声をかけられた。私は「これはあまり賛成していない」というと、「どうしてですか」と食ってかかるので、「住民投票条例が東京でできると思っているの?」と聞いた。「やってみないとわかりません」という。「私はいまの都議会に請願してもできるわけがないとおもいますよ」などと言っていたら、いっしょに来た男性が「ああだ、こうだ、いわないでできることをやった方がいいんだ」と口を挟むので、「聞かれたから意見を言った。何が悪いのか」と言い合いになった。
 結局、その男性は「申し訳なかった」とあやまったが、この女性は「私は賛成でない方の意見も聞きたいのです。でも住民投票の呼びかけを機会に原発の話ができるのだから、無駄ではないと思います」と涙目だった。
 わたしは「そうだね。だったら、賛成、反対をあいまいにした住民投票運動ではなく、はっきり脱原発の一〇〇〇万人署名でもやったほうが思うよ。間もなく、住民投票は結果が出るのだから、こうして賛成しなかった人がいたことを覚えておいてね」と言って、その場を離れた。
 私は、涙目になるほど熱心にやっている人の運動が間違っているからと言って、いま妨害しようとは思わない。願わくは、失敗したあとで「だから市民はダメだ」などと絶望したりしないでもらいたいものだ。
 一一月二七日の朝日新聞社説は「原発の将来みんなで決めよう」という見解を出した。朝日新聞が九月一九日の大集会の報道をはじめ、あまり熱心ではないのは市民運動の中では有名な話だ。それが社説で国民投票を説くのは異様に見える。
 社説は「原発問題は国民投票にふさわしい」と説いている。一刻を争う問題ではないから、国民投票がいいと主張している。
 しかし、ヨーロッパとは異なり、問われているのは、福島第一原発が未曾有の事故を起こし、いまなお収束しておらず、子どもが、住民が、労働者が被曝の危険にさらされている現実だ。わが国に五四基ある原発のうち、いま稼働しているのは一〇基程度で、この再稼働を許すのか、また原発の輸出を認めるのかどうか。この「一刻を争う」問題のもとで、被曝地住民と、電力大消費地住民が同じ「権利」で、「時間をかけて」一票投票するにふさわしい課題なのか。朝日の社説は極めて論理構成が薄弱だ。
 社説は「国民」の政治不信を指摘する。同感するところ大だ。しかし、それを前提にしては、国会が作る民意を正しく反映する公正公平な「国民投票」の制度設計などできない。どうやってこの閉塞した政治を変えるか、が大事なのだ。相当に大規模な民衆運動の圧力なくして、この国会状況は変わらないだろう。
 九月一九日の「さようなら原発、六万人集会」で作家の大江健三郎さんは「その意思を、想像力を持たない政党の幹部や、経団連の実力者たちに思い知らせる必要があります。そのために、私たちには、この民主主義の集会、市民のデモしかない」と呼びかけた。その通りだと思う。
 朝日などのメディアに望むのは、「上から目線」で無責任に国民投票などを呼びかけるのではなく、こうした大小の集会・デモがいまかつてない規模で、全国各地で無数に起こっている事実をつぶさに報道することだ。(T)


 冬季カンパの訴え

          
労働者社会主義同盟中央委員会

 長期経済不況、非正規労働者の増大、格差拡大・貧困化、少子高齢化、国家財政、アジアなど危機的事態が続いているわが国は、3・11の東日本大震災・福島原発事故という大惨事が加わり、民自公三党構造の中でかつてない閉塞状況に陥っています。
 野田民主党政権は、二〇〇九年総選挙の政権公約のほとんどを反故にし、増税、社会保障の切捨て、TPP参加、改憲、辺野古新基地建設の強行などの政策を進め、政権交代に期待をかけた多くの人びとの期待を裏切りました。こうした政府・官僚・財界のやりかたは、各地各層の民衆の怒りを増幅しているばかりではなく、支配層が誤った内外政策をいっそう極端化させることによって自らを破滅させる道に突き進んでいるのです。現在の政治状況は、さまざまな政治勢力の動きを活発化させています。現状への不満の声が高まっていますが、その政治的表現は右からももたらされています。大阪での維新の会・橋下徹らの選挙での勝利、それに連動する石原慎太郎、みんなの党などの動きがそうです。いずれの階級、政治勢力もいままでどおり、現状維持ではやっていくことはできません。〇九年政権交代にかけた民衆の要求はまったく実現していませんし、いま、いっそう大きなものになっていきています。矛盾の激化の中で、八方塞りの民主党政権は早晩いきづまるだろうことは疑いありません。直面する政治的、経済的、社会的な矛盾は解決するどころかますます厳しいものになってきています。
 沖縄反基地運動をはじめ、反戦・平和・憲法改悪阻止の闘い、労働運動の前進が切実に求められています。そして、労働者・人民の団結した力の形成、その政治勢力化が急務となっています。
 いま重大な歴史的転換の時期を迎えています。われわれはそのために、そしてその中核となるべき社会主義政治勢力の再編・統合にむけて一段と奮闘する決意です。
 闘いの勝利的な前進のために冬季カンパをお願いし、あわせて機関紙「人民新報」の購読を訴えます。

二〇一一年冬