人民新報 ・ 第1312号<統合405号(2014年4月15日)
  
                  目次

● 解釈で憲法9条を壊すな!  4・8大集会&デモ

       『集団的自衛権の行使』は海外で戦争すること

● 姑息な改憲手続法改定案   

● 郵政産業労働者ユニオン 非正規社員の組合員も共にスト突入

● フクシマを忘れない! さようなら原発   日比谷集会に5500人が参加

● 集団的自衛権行使反対戦争をさせない1000人委ガ出発集会

● 秘密保護法の廃止へ!  四月の6の日国会前行動

● Xバンドレーダー基地建設着工反対!京都集会

● おおさかユニオンネットワークの春闘総行動

● 文科省の強権是正要求に抗議する  国会内で竹富町ガンバレ集会

● 「統一戦線論」に関する一考察 @  

● KODAMA  /  憲法の主語を変える人

● せんりゅう

● 複眼単眼  /  二転三転する安倍政権の集団的自衛権容認の企て






解釈で憲法9条を壊すな!

   『集団的自衛権の行使』は海外で戦争すること

      安保法制懇「報告書」提出反対  閣議決定反対


 憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使を容認し、日本国憲法第9条を有名無実化しようとする安倍政権の反動的暴走は、戦争の危険を高めている。
 安倍は、昨年一二月に「国家安全保障会議設置法」と「特定秘密保護法」を強行成立させ、そのあと靖国神社に参拝した。だが、安倍の最大の課題である改憲の中心軸である集団的自衛権行使容認はあきらかに戦争に直結するものであり、国の内外からのおおきな反対、それが与党、そして自民党内にまで広がっている。いま安倍の集団的自衛権行使容認を許すか否かが今後の日本政治を左右する最大の焦点となっている。安保法制懇の「報告書」提出反対、閣議決定をゆるさず集団的自衛権行使容認に反対する運動をおおきく展開していこう。

 東京では、四月八日に日比谷野外音楽堂と周辺で、「解釈で憲法9条を壊すな! 4・8大集会&デモ 〜『集団的自衛権の行使』は海外で戦争すること」が行われ、この行動には約五〇〇〇人が参加した。
 主催者を代表して高田健さん(許すな!憲法改悪・市民連絡会)があいさつ。今日の集会は全国が注目している。安倍内閣は「積極的平和主義」を掲げているが、それは集団的自衛権の行使を容認して、日本を「戦争をする国」にするということだ。集団的自衛権行使容認による9条改憲には反対が多いので、それを解釈改憲の手法でやろうとしている。それでもまだ異論があるので「限定的」などといいだした。また今日、改憲手続き法改定案が国会に出された。いま歴史の岐路に立たされている。今日の大きな力をさらに大きくして、安倍政権の暴走を阻止しよう。
 政党あいさつは、共産党の志位和夫委員長、社民党の吉田忠智党首、沖縄社会大衆党の糸数慶子参議院議員、生活の党の三宅雪子元衆議院議員、民主党の近藤昭一衆議院議員が行った。
 ノーベル賞作家の大江健三郎さんはスピーチで夏目漱石がデモンストレーションを示威行動と翻訳したことを紹介し、六七年間守り抜いてきた精神を、民主主義的ではない方法でぶっ壊そうとしている、いまがもっともあぶない時だ、しっかりやりましょうと述べた。
 連帯挨拶は、秘密保護法を廃止へ!実行委員会の白石孝さん、戦争をさせない一〇〇〇人委員会の清水雅彦さん、日本弁護士連合会憲法委員会の伊藤真さんがおこなった。イラク戦争の検証を求めるネットワーク、出版労連からの発言があり、アピール(二面に掲載)が提案され参加者の拍手で確認された。
 集会を終わって国会請願コースと銀座コースの二つに分かれてデモを行った。

解釈で憲法9条を壊すな! 4・8大集会&デモ―「集団的自衛権の行使」は海外で戦争すること―集会アピール

 安倍首相は、自身の私的諮問機関にすぎない「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が準備している「報告書」をもとにして、憲法9条の解釈を変更し、歴代内閣が固く禁じてきた集団的自衛権の行使容認に踏み切ろうとしています。 
 集団的自衛権を行使するということは、日本がアメリカとともに海外で戦争をする、場合によっては日本独自にでも海外で武力行使をするということであり、憲法9条を根本から破壊するものです。しかも憲法解釈の変更を「閣議決定」でおこなうことは、立憲主義を否定して、国会さえもないがしろにするもので、断じて許すことはできません。
 安倍内閣は、その口実に中国、韓国、北朝鮮とのさまざまな『摩擦』をあげ、「積極的平和主義」と称して、軍事力と日米軍事同盟の強化で押し切ろうとしています。そのため、すでに武器輸出3原則を破壊し、さらに自衛隊法、周辺事態法、PKO協力法などを改悪し、武器輸出や使用を無限定にし、年末の日米防衛協力のガイドライン改定に結び付けようとしています。
 安倍内閣は、秘密保護法の制定強行、沖縄・辺野古への新基地建設、原発再稼働、教育の国家統制の強化、消費税の増税、TPP参加、国家戦略特区設置の推進、非正規労働者を大量に生み出すなど、『強い国家づくり』と社会の軍事化、庶民のくらしの圧迫、格差の拡大などの強行で、人々を戦争政策にかりたてようとしています。安倍政権の暴走をこれ以上許してはなりません。安倍政権の解釈改憲の動きには、自民党内や内閣法制局長官経験者ら、海外からも批判が相次いでいます。世論の多数も反対していることが最近のいくつもの調査などで明らかになっています。
 私たちは本日、「解釈で憲法9条を壊すな! 4・8大集会」に集い、国会と銀座にデモを行ないます。集団的自衛権の行使容認を許すことなく、日本国憲法の平和主義・主権在民・基本的人権の尊重の原則と平和的生存権が生きる社会を実現するために、多くの団体・個人が協力して行動し、いのちとくらし、平和と人権と民主主義が大切にされる社会と未来をみんなの力でつくっていくことを呼びかけます。

2014年4月8日


姑息な改憲手続法改定案

      
明文改憲の条件作りを許すな

四月八日、自民、公明、民主、維新、みんな、結い、生活の与野党七党は、国民投票法という名の改憲手続き法の改定案を衆院に共同提出した。安倍内閣とそれに同調する改憲勢力は、一方で解釈改憲を強引に推し進めながら、また改憲手続きを確定させることで明文改憲の条件づくりを進め、手続法改定の通常国会の会期中での成立をねらっている(会期末は六月二二日)。改憲手続き法では、憲法改定の際に必要な国民投票の投票権年齢について、「一八歳以上」に引き下げ、同時に選挙権年齢・成人年齢も現行の二〇歳以上については、改憲手続き法施行までの三年間に一八歳に引き下げるとなっている。これは自公与党が強引に決定したことだった。
 それを今回の改正案では、法施行から四年間は「二〇歳以上」、その後「一八歳以上」にするという。一八歳問題でなかなか決着がつかないことに焦った安倍政権は、国民投票についてだけ「一八歳以上」とし、選挙権年齢・成人年齢については自らのこれまでの主張にも反する形で、先送りにするというまたも「姑息」な手法を繰り出してきた。
 だが、この間の各種世論調査が示すように、はっきりと改憲に反対、とくに九条改憲に反対する世論は、改憲の声を上回って、着実に大きくなっているのである。
 安倍政権は、外交問題で孤立に陥り、またたのみの経済―アベノミクスなるものも失速するなど破綻の危険が訪れようとしている。 日本を戦争に導く改憲手続き法(国民投票法)はいらない。大きな運動で廃止を実現しよう。


郵政産業労働者ユニオン スト打ち抜く

      非正規社員の組合員も共にスト突入


三月一八日、郵政産業労働者ユニオンは、全国二八職場で春闘ストライキに突入した。盛岡中央郵便局、宇都宮中央郵便局、千葉中央郵便局、王子郵便局、銀座郵便局、玉川郵便局、浜松北郵便局、浜松郵便局、浜松東郵便局、ゆうちょ銀行名古屋支店浜松出張所、ゆうちょ銀行名古屋支店名古屋駅前出張所、名古屋貯金事務センター、右京郵便局、左京郵便局、吹田千里郵便局、豊中郵便局、ゆうちょ銀行大阪支店箕面出張所、神戸中央郵便局、垂水郵便局、岡山中央郵便局、呉郵便局、広島中央郵便局、広島東郵便局、大栃郵便局、伊野郵便局、北九州中央郵便局、福岡七隈郵便局、長崎中央郵便局。

 日本郵政の最終回答は、正社員が、ベア一〇〇〇円、一時金三・五月、時間外割増金を一〇〇分の三五に引き上げ(時間数の条件付き)、期間雇用社員(非正規社員)が月給制社員は一〇〇〇円引き上げ、時給制社員は、六段階あるスキル評価のうち「Aの習熟度な評価者のみ時給一〇円アップとなった。

 日本郵政本社前のストライキ突入集会では、郵政産業ユニオンの日巻直映委員長が春闘要求と回答状況について報告し、つづいて全労連の大黒作治議長、全労協の金澤壽議長をはじめ全労連公務部会、全国一般全国協からの連帯あいさつが行われ、郵政産業ユニオンの須藤和広書記長が、全国のストライキに状況について報告した。
 王子、銀座支部などストライキ決行職場などから決意表明が行われた。今回のストには非正規社員の組合員も参加し、正規・非正規の壁をこえた運動が進んでいる。
 最後に日本郵政にむけてシュプレヒコールをあげた。


福島原発事故から3年  被害は深刻化

    フクシマを忘れない! さようなら原発

       
日比谷集会に5500人が参加し、脱原発をアピール

 二〇一一年三月の東電福島第一原発事故から三年、事故被害はいぜん深刻である。野田政権の事故収束宣言、安倍首相の完全にコントロール下にある発言はまったくのデマだ。それにもかかわらず、政府は原発再稼働、原発輸出を強行しようとしている。安倍政権の原発推進路線は、その「戦争をする国」づくりと一体のものだ。安倍政権に対抗して、脱原発の運動をさらに大きく広げていこう。

 三月一五日、日比谷野外音楽堂に、「さよなら原発」一千万人署名市民の会による「フクシマを忘れない!さようなら原発 脱原発集会」が開かれ、五五〇〇人が参加した。
 武藤類子さん(ハイロアクション福島)が発言。放射性物質が飛び回っていて、毎年楽しみにしていた山菜を食べることができなくなるかもしれない。被害は広がっている。三・一一は、けっして記念日ではない。脱原発は猶予できない課題だ。
 呼びかけ人アピールでは、はじめに大江健三郎さん(作家)が、安倍政権の川内原発(鹿児島県)再稼動を批判し、つづいて澤地久枝さん(作家)が、福島事故を救えないで東京オリンピックなんかありえないと述べた。
 賛同アピールで秋山豊寛さん(元宇宙飛行士)は、原発事故によって全てが汚染され自分の福島でのシイタケ栽培ができなくなったこと、福島はいまも被害が拡大し、その被害は東京にも広がっている、いま川内原発、伊方原発が再稼働されようとしているが、絶対に止めようと述べた。
 被曝労働を考えるネットワークのなすびさん。被曝労働者の仕事のうえで社会が成り立っている。「収束作業を急げ」などの言い方はしないで、労働者の安全を第一として慎重に作業しろと言ってほしい。犠牲のうえで成り立つ社会であってはならない。
 「原発のない福島を!県民大集会」(三月八日)からの「フクシマ連帯キャラバン行動」隊が会場に到着し紹介された。
 原子力発電に反対する福井県民会議からは、原発立地における状況が報告された。
 呼びかけ人の鎌田慧さん(ルポライター)の閉会のあいさつにつづいて、デモに出発した。


憲法を破壊する集団的自衛権行使反対戦争をさせない1000人委出発集会

 三月二〇日、東京・日比谷野外音楽堂で、「憲法を破壊する集団的自衛権行使反対! 戦争をさせない一〇〇〇人委員会出発集会」が開かれ、約四〇〇〇人が参加した。

 鎌田慧さんが開会のあいさつ。暴走する安倍政権と対決し、「戦争をさせない一〇〇〇人委員会」を全国に拡げよう。
 民主党・近藤昭一衆議院議員、社民党・照屋寛徳衆議院議員、生活の党・鈴木克昌衆議院議員、共産党・笠井亮衆議院議員が連帯の挨拶。
 一〇〇〇人委員会の内田雅敏事務局長が経過報告。安倍政権の憲法破壊の動きに対抗して、三月四日、一〇〇〇人委員会の発足集会を行い、今日、出発集会を開催している。「一〇〇〇」という数字にたくさんという意味を込めている。全国各地で集団的自衛権の行使容認を許さないという署名、集会、学習会などの活動を行っていきたい。戦後日本は日米安保体制による憲法空洞化の歴史だったが、政権にとっても超えられない壁が「集団的自衛権の行使」だった。「解釈改憲」によって集団的自衛権行使容認をするということは、日米安保条約第三条の「憲法上の規定に従うことを条件に」という制約すら無視する、許すことのできないことだ。
 つづいて、大江健三郎さん(作家)、山内敏弘さん(一橋大学名誉教授)、池田頼将さん(元イラク派遣航空自衛隊員)、小山内美江子さん(脚本家)、落合恵子さん(作家)、佐高信さん(評論家)が発言し、最後に、福山真劫さん(フォーラム平和・人権・環境共同代表)が今後の運動について以下のような提起を行った。一〇〇〇人委員会を地域や職場に広げていく。戦争をさせない全国署名に取り組む。各地で集会、学習会などをひらく。国会議員や全国の地方自治体の議会に対して、要請行動を強める。閣議での集団的自衛権行使容認の決定の動きには全国から結集して大きな行動を起こそう。
 いまこそ暴走安倍を大きな運動で封じ込めるため各地での運動を強めていかなければならない。


秘密保護法の廃止へ!  四月の6の日国会前行動

 昨年の一二月六日、特定秘密保護法が強行可決・成立させられた。
 この怒りの日を忘れない国会前「6日行動」(主催・「秘密保護法」廃止へ!実行委員会)は、四月はその日が日曜日であったため、翌三月七日の正午から衆議院員第二議員会館前で行われ、約一六〇名が参加した。

 その後、院内集会がおこなわれた。集会では、吉田忠智参議院議員(社民党党首)、仁比聡平参議院議員(共産党参院国対副委員長)があいさつ。また五二〇〇〇筆以上の「秘密法廃止署名」の提出が行われた。

全国交流会についての報告
 
 「秘密保護法」廃止へ!実行委員会事務局の白石孝さんが、前日に名古屋で開催された「秘密法に反対する全国ネットワーク」第一回全国交流集会についての報告をおこなった。各地で秘密保護法廃止に特化した団体が続々と生まれている。交流会には全国で五六団体のうち二六団体から一六〇人が参加した。いままではネットだけのつながりがほとんどだったが、リアル空間で

の交流はやはりすばらしいものだった。各地のユニークな活動が紹介され、草の根の運動が進んでいることが確認された。長野、北海道をはじめとして秘密法の廃止をもとめる自治体議会決議が全国で挙がっている。しかし東京では調布市だけという現状がある。交流会では、国会前行動など首都圏からの発進力の重要性が強調された。先月には秘密保護法対策弁護団が結成されたが、まだ空白の県もあり早い時期での全国化をする必要がある。五月には国際シンポジウムを予定している。秘密保護法廃止のために各地で運動を強めていくことが確認された交流会だった。

米国の秘密保護制度の特徴

 講演は、三木由希子さん(情報公開クリアリングハウス理事長)が「秘密保護制度―アメリカと日本」と題しておこなった。
 秘密指定をするという仕組みは日米では違う。アメリカでは、国家安全保障に関する情報を秘密指定する仕組みは、大統領令に一元化している。そして秘密指定制度そのものの存在はおよそ容認されている状況にある。日本での秘密指定制度は、法制レベルでは自衛隊法、米国との特別防衛相互援助協定(MDA)による秘密保護、そしてこれから施行される特定秘密保護法だ。
これらは、各省庁による訓令・規則レベルでの秘密指定の仕組みで、今後統一基準が作られることになるが、秘密指定という仕組みそのものが、社会においてどのように認識されているのかは、明確ではない。
 機密指定は、アメリカでは大統領令(行政命令)により行われているが、行政命令という性質から、漏えい等に対する罰則は別の法律によっている。安全保障上の利益の保護という観点から、機密を保持することが基本だ。それは適切な機密指定と解除、機密保持の均衡をとることが重要という認識のもとに作られている。機密指定は、「機密」、「極秘」、「秘密」の三レベルだ。「機密」とそれ以外では扱いが異なる。機密指定権限は、行政機関の長に限られず、@大統領、副大統領、A大統領が指定した行政機関の長と上級幹部職員、B権限を委任された連邦政府職員となっている。日本では、秘密指定のレベルは一種類(特定秘密)で、指定権限は「行政機関の長」だけだ。
 アメリカでの機密指定の解除の一般ルールは、秘密の要件を満たさなくなった場合には解除をしなければならないということだ。それができるのは、原機密指定権者とその後継者、原機密指定権者の上級職のもの、またインテリジェンスコミュニティに関するものは国家情報官にも解除権限がある。指定解除が機密指定を維持することによる公益を上回る場合は行政機関の長あるいは上級職の職員に照会しなければならい。違法な機密指定に関しては、国立公文書館の中の情報保全監察局が連邦政府機関に対して解除を要求できる。
 機密指定解除には、まず自動的機密指定解除があり、その対象となるのは、@二五年以上経過し、A歴史的に重要で永久保存すべきと判断されたものだ。原則としてすべての機密指定文書で@、Aの要件に当てはまるものが対象だが、例外がある。それは、システム的機密指定解除審査というものだ。歴史的に重要で永久保存すべきと判断された文書であっても、自動機密指定解除の例外となったものについて、システム的機密指定解除のプログラムの作成、実施を各連邦政府機関に求めることになるが、国立公文書館は、引継ぎあるいは移管を受けた機密指定文書について実施しなければならない。次に、義務的機密指定解除審査だ。これは原則としてすべての大統領令に基づく機密指定文書に対して解除審査を原機密指定機関に対して行うことができる。そして解除審査請求の対象となる文書・資料についてある程度特定する必要があるが、機密指定をする必要がなく、他の非公開に関する規定に抵触しない範囲で公開する。また解除が認められない場合にも不服申立ての仕組みがある。それが省庁間機密指定不服申立委員会だ。情報保全監察局が事務局となり、義務的機密指定解除審査の請求で解除が認められなかった場合、原機密指定機関に対する不服申立てをへて、省庁間機密指定不服申立委員会に不服を申し立てる。それを経て機密指定解除・公開となった文書は、原機密指定機関による公開と、省庁間機密指定不服申立委員会のホームページ上で公開されることになる。
 しかし、アメリカの情報自由法には、大統領令で定められた基準に基づき、国防又は外交政策のために秘密にしておくことが特に認められ、かつ実際に秘密指定が正当に行われているものを、適用除外(不開示)とする規定がある。またFBIが保有している諜報活動、カウンターインテリジェンス活動、国際テロ活動に関する情報で、大統領令で正当に秘密指定されているものは、情報自由法による請求対象外とする規定がある。その場合、情報公開請求しても、請求適用外文書が存在するかどうかは回答されない。
 一方、日本の法制では、情報公開法による開示請求の対象外となる行政文書はない。不開示理由も、秘密指定をされていることを理由とする規定はない。
 情報保全監察局の設置目的は、安全保障のために必要最小限に機密指定を制限すること、適切な機密保護のための政策の推進、秘密指定解除と公開の促進、機密指定機関に対する専門的な助言・方策の提供、機密指定機関の機密指定に関するプログラムについての情報収集、分析、報告である。この組織を構成するのは、原機密指定機関の職員だった者や、アーキビスト(永久保存価値のある情報を査定、収集、整理、保存、管理し、閲覧できるよう整える専門職)などで、現在の局長はCIA出身、副局長は海軍出身だ。このように、各連邦政府機関の元職員が多いという構成だが、出向者はゼロかほとんどいない。元の所属機関を辞めて、このスタッフになっているので、一定期間で元の所属に戻るということではない。アーキビストは全員が、セキュリティクリアランスを得ている。このような形で「独立性」を確保しようとしている。
 アメリカでは立場を超えて、誰もが「過剰機密指定」が行われているという認識を持っている。過剰機密の程度については、元情報保全監察局長は五〇%と議会で証言し、元国防総省高官は九〇%と証言している。
 こうした過剰機密指定問題に対しては、機密指定の見直しについて定期的に報告書を作成して公開したり、各連邦政府機関にいる総括監察官に、機密指定制度の運用の監視についての参考資料を提供して内部監察を強化している。
 このような対策をとるのは、行き過ぎた秘密は政府の意思決定に悪い影響を及ぼし、誤った意思決定の原因となることや、秘密が増えすぎることで、重要な機密の保持に支障をきたしていること、公表すべきではない情報を誤って開示した場合も罰則が適用されるおそれがあるためで、そのことが過剰な機密を強制するような環境をつくっているのである。その一方で、不適切に情報を非公開としたことで責任を問われた人はいないのが現実だ。
 機密指定制度は必ず濫用されるので監視・抑止が重要だ。機密指定の解除は、二〇〜三〇年の前の過ちを正すことに過ぎない。ある元情報保全監察局局長も云っていたことだが、労力を割くべきは、機密扱いすべきではないものが指定されることへの対応なのだ。アメリカでは、過剰な機密指定を招き、解除は原機密指定機関の権限が強いこと、解除の審査に時間がかかりコストのかかるものになっている。解除のシステムはそれほど機能していないという。
 インテリジェンス関係は上院・下院情報委員会、外交関係は上院・下院外交委員会、防衛関係は上院・下院防衛委員会が秘密指定広報と議会の委員会の管轄となっている。機密指定対象となる政府活動の監視が主な仕事で、情報委員会は、機密指定の解除を求める権限も持っている。しかし、議員のスタッフでインテリジェンス担当は、セキュリティクリアランスを得ているが、それでも特定の議員にしか開示されない機密指定文書がある。このように議会の監視活動には困難さがある。秘密指定対象となる政府活動は、問題があっても秘密指定を解除させないと公にできないのだ。インテリジェンスコミュニティが議会に対して誠実に対応しているかは破認が難しい。議会は予算や人事の承認権限などの手段を使って、インテリジェンスコミュニティが誠実に対応させる努力をしているが、現実は簡単ではない。
 「第三者機関」であれば信頼できるのかも疑わしい。問題は「独立性」があるかどうかだ。「独立性」とは、制度面、運用面、財政面で監視対象から独立していることである。
 アメリカでも、機密漏えいに対して報道機関の情報源の逮捕が相次いでいる。セキュリティクリアランスを持つ職員の情報漏えいを防ぐために、個人のデータアクセスの監視システムを導入することを検討しているとの報道もある。


Xバンドレーダー基地建設着工反対! 京都集会

 三月二一日、「京都にも 沖縄にもどこにも米軍基地はいらない! Xバンドレーダー基地建設着工反対!京都集会は一六〇名が参加して開催された。
 主催者のあいさつ。着工予定地は、「国策」によって四月一日から借地の契約更新が進み、着工の動きが強まっている。これは東アジアの緊張を高めることだ。しかし、京都府、京丹後市は受け入れ以降も、府民、市民になんの説明もしていない。Xバンドレーダーが機能すると集団的自衛権の行使そのものとなる。安倍政権の暴走に力強く反撃する集会にしたい。
 沖縄からのメッセージでは、戦前の暗黒社会を再来させないため、自らの生命とくらしを守るために、団結して暴力的権力者に反対しようとあった。
 スライド上映につづいて米軍基地を憂う宇川有志の会より現地報告。戦争後に米軍が占領し、一九五八年に自衛隊がきた。そこが今回狙われている。オスプレイの飛行場建設の予定もある。市政の協力表明の撤回署名を取り組んでいる。知事選でも焦点化する必要がある。
 つづいて、各地の運動団体からユニークな活動の紹介があった。当日、東京の新宿アルタでテレビ放送に出演した安倍首相に「首相辞めてもイイとも」のコールがあったとの報告には、会場は大爆笑となった。 
 集会の後、東山から四条河原町、そして三条へ、京都市役所前までデモ行進で、多くの観光客にアピールした。四月二〇日の京丹後現地大集会に向けた大きなステップとなり、有意義でタイムリーな取り組みとなった。(関西読者)


おおさかユニオンネットワークの春闘総行動

      
橋下徹大阪市長に謙虚な反省を求める

 三月二四日、おおさかユニオンネットワーク主催の春闘総行動は、晴れやかな日差しの下、大阪城横のNTT西日本本社からスタートし、大阪の各争議組合の申し入れ抗議行動を展開した。参加者は約一一〇名。
 大阪(伊丹)空港(豊中市)では、JALの組合員排除の不当解雇を乗客に訴えた。
 櫻宮化学の社長は、全日建連帯労組関西生コン支部の分会に対し一切団交を拒否、賃金もけちる、その一方で、ハトや野良猫にエサをやってまわり、近所から苦情が出ているという困った人物だ。組合要求に「社長はエサをやるな」というのがある。本当に非常識な会社だ。
 大阪市・大阪府のトップもまた、マスコミ・テレビを使ってのウソとデマで市民をだまし、利権と権力をはなそうとしない。昼には、大阪市庁前でビラまき行動と集会が行われた。行動前日に行われた大阪市長選は二三・五九%という低投票率(前回六〇・九二%)だったが、こうしたことに示される橋下市長の信任のなさを訴えた(別掲・ビラ「私たちは訴えます! 橋下市長は選挙結果を謙虚に反省されたい」)。当日は右翼の宣伝カー三台も来ていて、橋下のホメ殺しもやっていた。
 最後は大阪府教育委員会へ。大阪府(府教委)の大阪府内の公立学校に勤務する非常勤講師の継続雇用に関する団交を拒否し続けている行動には「不当労働行為である」という中労委命令が出ている。ところが松井府知事は取り消し訴訟をおこした。松井知事は、不当労働行為問題で、裁判せずに、謝罪文に署名しろ、と要求した。 (R・K)

私たちは訴えます! ― 橋下市長は選挙結果を謙虚に反省されたい

投票率は過去最低の23・59%

 昨日行われた大阪市長選で橋下市長が再選されました。しかし、投票率はご覧のとおりで、歴代大阪市長選の最低記録を更新しました。さらに、白紙投票が一〇%近くありました。六億三千万円もかけた選挙の結果がこれです。それでもまだ、橋下市長や維新の会は「民意を得た」と強弁するのでしょうか…?

対話拒否は首長失格ではないですか?

 今回の市長辞任一出直し選挙のきっかけは、府市統合に向けた法定協議会で橋下―維新案が通らなかったことでした。しかし、自身の案が通らないからといって、プッツン辞任されては大阪市民はたまりません。これまで橋下市長は選挙での圧倒的得票を背景に、ほとんど独断的といっていい市政運営をしてきましたが、それもいよいよ限界です。

組合敵視・組合弾圧を止めませんか

 大阪市に関係する労働組合に対して、橋下市長は敵意むきだしで対応してきました。組合活動調査、入れ墨調査、組合事務所退去、団体交渉の拒否等々…。
 しかし、これらのほとんどについて、大阪府労働委員会は市労連、市労組連ともに組合勝利の判断を下しました。さらに、大阪府教委の大阪教育合同労働組合に対する回交拒否に関しては、ついに東京高裁においても組合勝利の判決が下っています。橋下市長、松井知事ともども、組合敵視政策は、ここで止めにしませんか?

次なる奇策は『首切り特区』構想?

 安倍政権の「労働特区」構想を受けて、松井知事・橋下市長は「御堂筋特区」なる構想をブチあげました。一定以上の高収入の労働者について、企業側に自由な「解雇権」を与えるというものです。それ自体も大問題ですが、それが低賃金の労働者にも波及するだろうことは、容易に想像できます。ただでさえ、非正規労働者の比率が上昇し、格差が拡大している日本社会にいま必要とされるのは、むしろ労働者の権利を守る法規制なのではないでしょうか?

       労働祖合の課題別共闘機関 おおさかユニオンネットワーク


文科省の強権是正要求に抗議する  国会内で竹富町ガンバレ集会

         
国家主義教科書は絶対いやだ!

 三年前、沖縄県八重山諸島の石垣市、与那国町、竹富町で構成する教科書採択地区の協議会は、中学の公民教科書に侵略戦争を反省せず国家主義そのものの教科書である育鵬社版を答申したが、竹富町教育委員会は独自に東京書籍版を選んだ。しかし、文科省は国の教科書無償配布の対象から除外した。しかし地元の募金で生徒への教科書無償配布が実行され、今年の新学期にも東京書籍の教科書が配布された。
 国はそのうえ竹富町教育委員会に対して是正要求を直接発令した。安倍内閣の反動化、戦争をする国にむけた内容の国定教科書強制の一歩である。

 新学期が始まる四月八日、参院議員会会館会議室で、「竹富町ガンバレ! 竹富町教科書採択方針是正要求抗議集会」(主催・竹富町教科書是正要求撤回大作戦実行チーム)がひらかれた。
 集会では、沖縄県選出の野党国会議員の議員連盟「うりずんの会」の照屋寛徳衆議院議員(社民党)、玉城デニー衆議院議員(生活の党)、赤嶺政賢衆議院議員(共産党)、糸数慶子(無所属―沖縄社会大衆党委員長)があいさつした。
 集会では、地元を中心にしてはじまった文科省の是正要求撤回の署名は前日までに八七〇〇筆をこえ、別の団体による同趣旨の署名もあわせると緊急の取り組みにもかかわらず一〇〇〇〇筆を超えたことが報告され、主催団体顧問の高嶋伸欣琉球大学名誉教授によって主催団体声明が読み上げられ参加者一同で確認したが、声明は下村博文文科相に対し是正要求の撤回を求めている。


「統一戦線論」に関する一考察 @

                    
関 孝一

 二月に行われた東京都知事選挙において脱原発を掲げる候補の一本化が大きな問題となり、これまで脱原発運動を担ってきた人々の間に大きな亀裂が走った。その中で「脱原発」「憲法擁護」のためとして細川護煕候補への一本化を求める鎌田慧さんは、その論拠としてデミトロフの「反ファッショ統一戦線」(2014/1/28 東京新聞)と中国における「抗日統一戦線」(2014/2/4 東京新聞)の例をあげて「戦争に向かおうとしている、いまのこの危機的な状況にもかかわらず、広く手を結んで共同行動に立ち上がらず、あれこれ批判を繰り返している人たちに訴えたい。いったい敵はだれなのか、と。」表明した。「一本化」問題については、これまで共に運動を担ってきた経緯からいっても意見の相違を感情的な対立や非和解な対立に発展させてはならず、互いに共通の課題での協働を目指すことがより重要である。しかし何が問題点であったのかについては認識を深めていく必要があると考える。ここでは、主に「統一戦線論」についてふれてみたい。

 一 デミトロフの「反ファシズム統一戦線」について

 「反ファシズム統一戦線」はコミンテルン(第三インタナショナル)第7回大会(1935年)おいてデミトロフによる「ファッシズムの攻勢と、ファシズムに反対する労働者階級の統一をめざす闘争における共産主義インタナショナルの任務」の中で提唱された。コミンテルンの歴史の功罪については、今なお批判的に厳しく検証する必要があることは論をまたない。とりわけスターリンの「社会民主主義とファシズムは対立物ではなく、双生児である」とする誤ったドグマを無批判に受け入れたコミンテルン第6回大会(1928年)において社会ファシズム論=社会民主主義主要打撃論を定式化したことは重大な問題があった。そのため世界恐慌の中でファシズムの攻勢と世界戦争の脅威が差し迫った1930年代において各国の社会運動に測り知れない悪影響と打撃を与えることになった。しかし1934年2月フランス国会前における極右諸団体による騒擾事件をきっかけに、それまでお互いに激しく対立していた社会党とフランス共産党の統一行動を呼びかける「反ファッシスト監視委員会」が結成された。この委員会は、バランスに配慮して議長にトロカデ博物館所属のポール・リヴェ教授(社会党員)、副議長に哲学者アラン(急進社会党のイデオローグ)、物理学者のポール・ランジュヴァン教授(共産党シンパ)を選びファシズムに反対するための「統一(ユニテ)」求め、そのための協力を知識人一般に広く呼びかけた。同委員会は、多くの賛同を集め会員約8千人を擁し、ノーベル賞化学部門受賞者ジャン・ペラン教授やキューリ夫妻等も参加していた。「しかもこの組織は、…共産党系からの遠隔操作より独立しているという著しい特徴をもった。」(フランス人民戦線 海原峻著 中公新書)こうした活動は曲折をへてフランスにおける人民戦線結成に大きく寄与することとなり社共両党による統一行動協定(1934年7月)が調印された。ドイツにおけるナチス政権の成立(1933年)とこうしたフランスの統一戦線発展の動きの中で、デミトロフの「反ファシズム統一戦線」が打ち出されたのである。デミトロフはその中で統一の条件について次のように述べている。「共産主義インタナショナルは、ただ一つの条件をのぞいて、行動の統一にどんな条件もつけない。そのただ一つの条件とは、すべての労働者が受け入れることのできる基本的な条件、すなわち、行動の統一がファシズムにたいし、資本の攻勢にたいし、戦争の脅威にたいし、階級敵にたいして敵対する方向をもつということである。これがわれわれの条件である。」
 また「労働者の行動が統一への道を確実に進むようにするためには、同時に、プロレタリアートの階級敵にたいする社会民主主義諸党、改良主義的労働組合その他の勤労者組織の共同行動にかんする短期および長期の協定をつくることに努力する必要がある。」としている点には留意しておきたい。(つづく)


KODAMA

    憲法の主語を変える人


 昔、安倍首相は、テレビで「祖父(岸元首相)は『安保反対』の群衆に屋敷を取り囲まれた時、女性達がうろたえていても悠々と私を背に『お馬パカパカ』していたそうです」と得意げに云っていた。そりゃそうだろう。戦犯を免れアメリカの傀儡首相となり、強い後ろ立てを得ていたのだから。佐藤元首相(岸氏実弟)も被爆国として当然と云える「非核三原則」を世界にアピール。が裏ではアメリカと「密約」、「核持ち込み」を容認。アメリカに要求される侭「思いやり予算」として国民の血税を捧げ、臆面もなく「ノーベル平和賞」を戴いた。田中・大平元首相が公開準備をしていたといわれた「密約」、大平氏死去後、田中氏のロッキード事件による有罪、「ケネディ事件」の如き陰謀説が囁かれるのも頷ける。
 一二月六日、安倍政権は、各界、国民、海外からも反対の声が挙がる中、政権に執着する公明党と共に「秘密保護法」を強行可決させた。翌朝、安倍氏は「静かで嵐が去った感じ」「すごく騒がしいのが、一日たつと静かだね」と云ったという。まったく祖父と同質、国民の声などを関係なし。祖父以降、政界、財界の栄華、権利を享受、「権力」「財産」と共に「姑息」もしっかり受け継いでいる。何せ、「憲法」の主語「国民」を「国家」に変えようとする人だ。祖父達の権威を守ろうとする「先祖返り法律」の人だ。(瑠璃)


せんりゅう

   憲法が守は国か?国民か?

   不都合は秘密さっさと押し通せ

   生きること喜怒哀楽をしょいカゴに

   権力の使いっ走りメディアなど

   電気料吸いあげ原発利権族

   逃げる豚訳を聞くなよ捜すなよ

   凡庸ですきがあるけどいい人だ

                        瑠璃


複眼単眼

   
 二転三転する安倍政権の集団的自衛権容認の企て

 安倍晋三という人物が企てる政治戦略は、本当にいい加減だと思う。行き当たりばったりで、十分に考え抜かれていないから、その方針は少しつまずくと転換する。
 今回、安倍がやろうとしている憲法解釈を変えて集団的自衛権の行使を容認するという重大な政治問題でも、その傾向は顕著だ。
 もともとこの話が浮上してきたのは、九条明文改憲に失敗し、続いて九六条改憲に失敗する中でのことだ。この九六条改憲論も十分に考えられた節がない。反撃を受け、つまずいたらすぐ引っ込めてしまった。まさか「君子は豹変す」などと居直りはしないだろう。
 次に「九条がすぐに変えられないなら、その解釈を変えてしまうやり方はないだろうか」として考え出されたのが、「国家安全保障基本法」の制定だ。
 この基本法で自衛権行使一般を容認させようとしたのだ。自民党はその法案要綱まで準備し、昨年の参議院選挙ではそれを公約に掲げた。
 公明党の抵抗が固いことから、この法案を当初は自民党議員中心に「議員立法」でやろうとした。ところが安倍首相は、「それではいかにも軽すぎる。閣法でやりたい」と言いだした。そして、「閣法」案を作るに際して障害になるであろう「内閣法制局」を意のままにするために、その長官を集団的自衛権容認派の小松一郎に強引に取り替えた。小松長官のその後の迷走ぶりと、安倍がその失態を懸命に擁護する醜態はここから派生した。
 ところが、それでも「国家安全保障基本法」への公明党の態度が固いと見るや、今度は基本法制定を先送りして「閣議決定」でやっつけてしまうという立憲主義そっちのけの乱暴な手段を思いついた。そうこうしたが、世論の風当たりは強く、ほとんどの調査が「集団的自衛権行使容認」に否定的で、これを見た公明党や自民党の長老は言うに及ばず、党内からまで、批判と疑問が噴出した。
 ここでまた動揺だ。当初は四月上旬にも出させる予定だった「安保法制懇」の「報告書」を、これらの批判の懐柔の時間稼ぎのために、五月連休明けまで延ばす、「閣議決定」も今国会中で無理なら、国会終了後、夏までに、と先延ばしする空気になった。
 しかし、それでも「時に利あらず」だ。そこへ助けに入ったのが高村正彦自民党副総裁の「限定容認」論だ。高村は一九五九年の最高裁砂川判決まで引き合いに出して、自らの集団的自衛権限定容認論を無理矢理正当化した。
 安倍はこれに「渡りに船」とばかり飛びついた。これなら世論を懐柔し、公明党も、党内の批判派も納得させられるかも知れない、と。実際、この限定容認論にはこれまで安倍を厳しく批判してきた古賀元幹事長も理解を示したようだ。しかし、砂川裁判判決を援用する強引さに大方の納得はえられず、まだ世論はおさまらない。石破幹事長は最近の記者会見でわざわざ「『地球の裏側まで』というのは否定しない。問題は地理的概念ではない」などと、高村理論にケチをつけた。
 安倍晋三の動揺は続いている。今後、どう対応して、集団的自衛権の憲法解釈変更に持って行くのか、安倍の胸中の不安は未だおさまらない。  (T)