人民新報 ・ 第1326号<統合419号>(2015年6月15日)
目次
● 安倍政権の改憲デマ論理の破綻が鮮明に
総がかりで戦争法案阻止へ!
● 憲法学者たちの意見 戦争法案は憲法違反だ
● 辺野古に新軍事基地は絶対に造らせないぞ! 沖縄で、東京で、大きな辺野古反対の声が上がった
● 2015 国会ピースサイクル 戦争法案NO!沖縄新基地NO!原発の再稼働ストップ!など掲げ防衛省、東京電力、内閣府などへ申し入れ
● 狭山差別裁判 証拠調べ・再審を! 無実の証拠の存在ががつぎつぎ明らかに
● 派遣法・労働時間法制の改悪を阻止しよう 労働弁護団、日弁連、連合、全労連、全労協が共同の行動
● 京都・大阪の反戦・市民運動へのデッチ上げ弾圧を許すな
● ゼネストで闘う韓国民主労総 キム・チャンゴン民主労総仁川地域本部本部長の報告
● 都教委の停職6ヵ月処分「とりけせ」 根津公子さん東京高裁で勝利判決
● 狂 歌
● 複眼単眼 / 安倍晋三の危うい歴史観について
● 夏季カンパの訴え
安倍政権の改憲デマ論理の破綻が鮮明に
総がかりで戦争法案阻止へ!
安倍政権は、戦争法案を国会に提出し、長期の会期延長までしながら本国会で成立させると米国に確約した。これは日本を「海外で戦争する国」につくりかえる最悪で危険な法案だ。
だが、ここにきて、安倍内閣の戦争法制強行に対する反対の声はひろがっている。反対運動の盛り上がりに直面して、安倍の言動はますます受け身と言い逃れに終始し、憲法違反だという内実が明らかになるとともに、だましのテクニックで乗り切ろうとする安倍内閣に固有な姑息な手段にたいしても怒りが噴出している。とくに衆院憲法審査会で与党参考人を含めて三人の憲法学者全員が、法案は「違憲」だとした衝撃が大きい。合憲だとする憲法学者はほとんどいないのだから、至極当然だともいえることだが、「大失態」である。政府はあわてて法案の「合憲」性に関する弁明を相次いで表明したが、それがまた破たんに破たんを重ねることになった。安倍は集団的自衛権行使を容認した「武力行使の新三要件」に「憲法の基本的な論理は貫かれている」と強弁し、集団的自衛権の行使については何ら言及していない最高裁・砂川判決(米国政府の圧力による不当判決)をもちだした。憲法学者たちに「違憲」と判断されたのに、今度は最高裁判決を持ち出してきているが、これも成り立たないのは明らかだ。
安倍政権を取り巻く状況は厳しいものとなってきている。特別委員会での政府三人組(安倍首相、岸田外相、中谷防衛相)のしどろもどろの答弁が顰蹙をかっているだけでなく、五月二八日の衆院特別委員会では安倍自身の民主党の辻元清美議員に「早く質問しろよ」などと下劣なヤジまでとびだし、六月一日には「私の発言に関して重ねておわび申し上げるとともに、ご指示を踏まえて真摯に対応して参ります」と述べ謝罪したことはこの人の日本国首相としての資質を疑わせるものとして多くの人は認識した。また、原発事故の未収束、日本年金機構の年金個人情報の大量流出、東京オリンピック・パラリンピックの施設問題、生涯派遣や過労死促進の労働法制の大改悪への反発など、そして中国、韓国との関係は一段と悪化し、なにより日米軍事同盟強化の象徴である辺野古新基地建設に反対するオール沖縄の反発が政権の暴走のまえに立ちはだかっている。
いまこそ、戦争法案阻止のために総力をあげてたたかうときだ。世論調査は法案「反対」が「賛成」を上回り、とくに今国会での成立に「反対」が圧倒的多数だ。国会審議がすすむにつれて、法案の「違憲」性についてマスコミも報道するなど「反対」の声はより大きくなる。戦争法案阻止の状況はできつつある。大衆的な反対運動のいっそうのひろがりと、それと連動した国会内での論戦が強力に展開されれば、院の内外での反対勢力はいますます広がり強化される。 これまでの総がかり行動形成に向けての地道な努力は、大衆運動のいっそうの共同と拡大として実現されている。市民団体、労働組合、野党などから日弁連、憲法学者と運動はひろがり、若者の参加も増えている。国会前での毎週木曜日の行動、駅頭宣伝・地域集会など各地でのさまざまな取り組み、そして大規模な国会包囲行動など、参加者の層が毎回広がる風景が見られる。
違いを乗り越えて、戦争法案を阻止し、安倍内閣打倒にむけた運動の高まりを実現しよう。
憲法学者たちの意見
戦争法案は憲法違反だ
参考人全員「違憲」
六月四日、衆議院憲法審査会で、戦争法案について参考人質疑が行われた。与党自民党・公明党(及び次世代の党)推薦の長谷部恭男早稲田大学法学学術院教授は「集団的自衛権の行使容認は憲法違反だと考えている。従来の政府見解の基本的論理の枠内では説明がつかず、法的安定性を大きく揺るがすものだ」と述べた。
民主党推薦の小林節慶応大学名誉教授は、「憲法九条二項で日本には軍隊と交戦権が与えられていないので海外で軍事活動をする道具と資格は与えられていない。外国軍隊への後方支援というのは、戦場に前から参戦せずに後ろから参戦するだけの話だ。言葉の遊びをしないでほしい」と述べた。
維新の党推薦の笹田栄司早稲田大学政治経済学術院教授は「内閣法制局は、自民党政権と共に安全保障法制を作成し、論理的にぎりぎりのところで合憲性を保ってきた。今回の法案は、これまでの定義を踏み越えており、憲法違反だ」と述べた。なんと、
すべての参考人が法案は憲法違反だと断言したのである。
憲法学者声明
六月三日、多くの憲法学者が「安保関連法案に反対し、そのすみやかな廃案を求める憲法研究者の声明」を発表した。声明は、「(「平和安全法制整備法案」と「国際平和支援法案」という)二つの法案は、これまで政府が憲法9条の下では違憲としてきた集団的自衛権の行使を可能とし、米国などの軍隊による様々な場合での武力行使に、自衛隊が地理的限定なく緊密に協力するなど、憲法9条が定めた戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認の体制を根底からくつがえすものである。巷間でこれが『戦争法案』と呼ばれていることには、十分な根拠がある」とし、「法案策定までの手続が立憲主義、国民主権、議会制民主主義に反すること」と批判し「法案の内容が憲法9条その他に反すること@歯止めのない『存立危機事態』における集団的自衛権行使A地球のどこででも米軍等に対し『後方支援』で一体的に戦争協力B『武器等防護』で平時から米軍等と『同盟軍』的関係を構築」として「以上のような憲法上多くの問題点をはらむ安保関連法案を、国会はすみやかに廃案にするべきである」「政府は、この法案の前提となっている昨年七月一日の閣議決定と、日米ガイドラインをただちに撤回すべきである」「憲法に基づく政治を担う国家機関としての最低限の責務として、国会にはこのような重大な問題をはらむ法案の拙速な審議と採決を断じて行わぬよう求める」と述べている。
この声明は、青井未帆学習院大学大学院法務研究科教授、飯島滋明名古屋学院大学准教授、清水雅彦日本体育大学教授、山内敏弘一橋大学名誉教授などが呼びかけ人で、日々、賛同者が増えている。
辺野古に新軍事基地は絶対に造らせないぞ!
沖縄で、東京で、大きな辺野古反対の声が上がった
翁長知事は「知事の権限」を駆使しての阻止を表明
沖縄県民集会三万五千
五月一七日、那覇市の沖縄セルラースタジアムで開かれた超党派の実行委員会主催による「戦後七〇年 止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会」には三万五千人が参加し、会場を青く染め上げた。ヘリ基地反対協代表の安次富浩さんが辺野古のたたかいを報告。最後に翁長雄志県知事は「普天間基地は閉鎖・撤去こそが『唯一の解決策』だ。あらゆる知事の権限をもってして、辺野古に新基地は作らせない」とのべた。決議文(別掲・次頁)を満場の拍手で確認した(知事は決議文を持って日本政府やアメリカに要請に出向く)。
国会包囲の行動大成功
東京では、五月二四日に、沖縄に連帯して首都圏アクション「国会包囲ヒューマン
チェーン止めよう!辺野古新基地建! 設許すな、日本政府による沖縄の民意の圧殺を!」に一万五千人が参加して、国会を包囲した。国会周辺の四つのエリアでは、それぞれ沖縄選出国会議員や沖縄をはじめ各地からなどさまざまなアピールが行われた。
辺野古基金寄付額
六月八日、辺野古新基地建設阻止のための「辺野古基金」運営委員会は、これまでに基金に寄せられた寄付額が三億二千七百万円余にたっしたと発表した。辺野古基金で支援する団体は、辺野古新基地建設阻止に向け独自に活動費を集め、自立して活動する団体、また米政府や米議会、国連などに働き掛けをする団体や日米両国で意見広告の掲載に取り組む団体なども対象とするとした。支援を受ける市町村組織は、読谷村、うるま市、沖縄市、宜野湾市、北谷町、名護市の六団体。支援団体は「ヘリ基地反対協議会」など九団体。
海保の危険な弾圧行為
陸では、米軍キャンプ・シュワブゲート前での市民による抗議や工事車両の進入阻止の闘いがくり拡げられている。
海では、辺野古基地建設に向けての大浦湾での海底掘削(ボーリング)調査など海上作業に抗議するカヌー隊の活動に、政府・海上保安庁は不当な弾圧を加えている。四日に海上保安庁のボートが泳いで抗議する市民に衝突し顔面打撲などの怪我を負わせた。八日にはカヌーに乗って抗議中の一人が海上保安官に拘束され後頭部を負傷させられた。九日には、カヌー二〇艇と抗議船三隻で抗議活動中、一六人が拘束された。海保による危険行為はますますエスカレートしている。一〇日には、東京の海上保安庁本部に対する抗議行動が取り組まれた。
翁長知事訪米で直接要請
翁長雄志知事が五月二七日から六月五日までの日程で訪米し、直接アメリカ政府などに辺野古新基地建設阻止の申し入れをおこなった。五月一七日の県民大会決議を持ってのことである。これまでも四県知事が訪米してきたが、今回は、昨年の名護市長選、知事選、衆院選で辺野古反対の候補が全勝したことを背にしての要請だ。知事は米国務省ヤング日本部長、国防総省アバクロンビー副次官補代行と会った。その直後、米国務省は「(辺野古は)日米両政府が共有する揺るぎない約束だ。運用面のほか政治的、財政的、戦略的な懸念に対処できる唯一の解決策だ」との声明を発表して辺野古移設を推進する方針を強調した。しかし知事は訪米の過程で「いろんな理由で工事はなかなか進まないというのを理解していただいた」と強調し、今後も粘り強く米国と直接交渉する意向を強調した。
戦後70年 止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会・決議
今年は戦後70年の節目の年である。私たち沖縄県民は悲惨な地上戦により住民の4人に1人が犠牲となった。戦後27年間は米軍占領統治下におかれ、日本国憲法は適用されなかった。本土復帰から43年目を迎える今も、米軍基地あるがゆえの事件や事故に苦しみ続けている。私たち沖縄県民は長年に渡り、自ら望んで持ってきたわけではない米軍基地を挟み、「容認派・反対派」と県民同士が対立し、分断され続けてきた。
こうしたなか、昨年の名護市長選挙、名護市議選挙、沖縄県知事選挙、衆議院選挙の沖縄4選挙区のすべてで、米軍普天間基地移設に伴う名護市辺野古への新基地建設反対の圧倒的民意が示された。ところが、安倍政権は、前知事が公約をひるがえし行った公有水面埋め立て承認を盾に、民意を無視して辺野古新基地建設を「粛々と」強行している。翁長雄志県知事による海上作業の停止指示を無視し、反対する市民に対しては、海上保安庁や沖縄防衛局による過剰警備によって弾圧を加えている。また、去る4月28日沖縄県民にとっての屈辱の日には、日米首脳会談において辺野古新基地建設推進を再確認している。こうした日米両政府の姿勢は、「自治は神話だ」と言い放った米軍占領統治下の圧政と何も変わらない、沖縄県民の意思を侮辱し、日本の民主主義と地方自治の根幹を破壊する暴挙である。もはや「辺野古」は沖縄だけの問題ではない。わたしたちは今、この国の民主主義の在り方を問うている。
私たち沖縄県民は自ら基地を提供したことは一度もない。普天間基地も住民が収容所に入れられている間に建設され、その後も銃剣とブルドーザーによる土地の強制接収によって拡張されてきた。これは占領下においても私有財産の没収を禁じたハーグ陸戦法規に明白に違反するものである。国際法に違反しつくられた米軍普天間基地は閉鎖・撤去こそが「唯一の解決策」である。
辺野古新基地建設を巡るこの19年間において、今まさに正念場である。今新基地建設を止めなければいつ止めるのか。私たち沖縄県民は2013年1月に安倍首相に提出した建白書を総意として「オスプレイの配備撤回、普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設断念」を強く求めている。保革を超えて私たち県民がつくりあげた、この沖縄の新たな海鳴りは、沖縄と日本の未来を拓(ひら)く大きな潮流へと発展しつつある。道理と正義はわたしたちにあり、辺野古に基地をつくることは不可能である。子どもたちや孫たち、これから生まれてくる次の世代のためにも、私たち沖縄県民は決して屈せず、新基地建設を断念させるまでたたかうことをここに宣言する。
よって、日米両政府は県民の民意に従い、米軍普天間基地の閉鎖・撤去、辺野古新基地建設・県内移設を断念するよう強く要求する。以上、決議する。
2015年5月17日
2015 国会ピースサイクル
戦争法案NO!沖縄新基地NO!原発の再稼働ストップ!など掲げ
防衛省、東京電力、内閣府などへ申し入れ
五月二二日、国会ピースサイクルが取り組まれ、2015年ピースサイクルが始まった。
国会ピースサイクルは、八時半、JR市ヶ谷駅前公園での小集合でスタート、防衛省、都庁都教委・環境局、東京電力、内閣府などに抗議・申し入れを行った。
安倍晋三首相にたいしては、@沖縄県民の民意を尊重し、辺野古&高江基地の建設を撤回すること。Aオスプレイの配備、訓練を中止し、日米両軍の一体化と全国の軍事基地強化を止めること。B秘密保護法を廃止すること。集団的自衛権行使容認の法制化(戦争法案)を撤回すること。C原発の再稼動をやめ、原発の輸出は絶対にしないこと。D核燃料サイクル政策を見直し、再生可能な自然エネルギー政策へ転換すること。E原発災害の被災者へ、東電が速やかな補償をする様に政府は責任を持つこと。F「原発事故子ども・被災者支援法」によって、年間1ミリシーベルト以上の福島県外の地域で子どもの健康調査を無料で実施すること。G「慰安婦」問題は性奴隷制問題として、黒人奴隷制、黒人差別、ナチスドイツの民族抹殺政策、アフリカでの女性集団レイプ、民族浄化政策等と並ぶ国際的犯罪であり、今世紀最大の歴史的人権犯罪あることを認めること。謝罪と補償を速やかに実行するため「戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法案」を制定すること―を要請した。
ピースサイクルは、これから、「原発の再稼働・輸出ストップ!」「沖縄新基地NO! 戦争法案NO!」「日の丸・君が代処分NO!」「日本軍『慰安婦』に謝罪と補償を!」をかかげて、六月下旬の沖縄ピースサイクル、七〜八月にかけて広島、長崎、大間などにむけて、各地で自治体への申し入れ、基地抗議、集会などを行いながら、反戦・反核・平和をアピールし安倍政権の暴走にストップの声をかためるために全国各地を疾走する。
狭山差別裁判 証拠調べ・再審を!
無実の証拠の存在ががつぎつぎ明らかに
石川一雄さんが埼玉県狭山市で起きた女子高校生殺人事件で不当に逮捕され、一か月に及ぶ取り調べでウソの自白を強いられ(一審で死刑判決、二審で無期懲役判決)たえん罪事件からもう五二年になる。
この間、袴田事件をはじめ警察・検察のでっち上げ・えん罪事件が次々に明らかになってきている。狭山裁判でも再審申し立ての闘いの中で、証拠開示で無罪の新証拠が出てきている。とくに犯行に使われた手拭いが石川さんの家のものだという検察官の主張は、不正な捜査によって作り出されたものだったことや鞄、腕時計、万年筆の「発見」も、真犯人しか知らない事実を自白したとされたことも警察・検察がねつ造した疑いがでてきている。そして、取調べの録音テープの証拠開示だ。警察官が石川さんに自白をせまっているが、石川さんは死体がどうなっていたか、鞄がどう捨てられていたかなど何も知らずに、自白調書が作られたことがわかる。いまこそ徹底した証拠開示と事実調べ・再審が開始されなければならない。
五月二一日、日比谷野外音楽堂で、「狭山事件の再審を求める市民集会〜『不当逮捕五二年!証拠開示バネに事実調べ・再審開始を!』」が開かれた。組坂繁之・部落解放同盟中央本部委員長は、石川さんの無実と司法の捜査の不正はあきらかだ、再審を開始させる運動を一段と強めていこうと開会あいさつ。
石川一雄さんは闘いの決意を述べるとともに「新証拠で、綻びはじめた司法とて、油断厳禁、再審開始まで」という自作の歌を披露した。
派遣法・労働時間法制の改悪を阻止しよう
労働弁護団、日弁連、連合、全労連、全労協が共同の行動
いま、労働者の雇用と生活に深刻な打撃をあたえる労働者派遣法、労働基準法などの改悪が本国会で強行・成立させられようとしている緊迫した事態を迎えている。
許すな!雇用破壊集会
五月一四日、日比谷野外音楽堂で「取り戻そう★生活時間と安定雇用〜許すな!雇用破壊 5・14 ACTION」が開かれ、二五〇〇人が参加した。主催は、日本労働弁護団、過労死弁護団全国連絡会議、ブラック企業対策プロジェクト、派遣労働ネットワーク、かえせ★生活時間プロジェクト)などによるアクション実行委員会。
はじめに主催者を代表して日本労働弁護団の鵜飼良昭会長が開会あいさつ。派遣労働の全面解禁、過労死助長の労働時間法制の改悪に対して、ひろく労働者に訴え、団結して国会に訴えていこう。
労働弁護団常任幹事で労働法制改悪阻止闘争本部長の棗一郎弁護士が報告。派遣法案、エクゼンプション法案、そして来年にも出されようとしている解雇自由法案など三つの悪法を労働組合はオールジャパンの態勢で何としても廃案にさせよう。国会を何万もの労働者で包囲し安倍内閣を打倒しよう。
つづいて、過労死弁護団、過労死家族会、派遣労働者ネットワーク、ブラック企業対策プロジェクト、かえせ★生活時間プロジェクト、労働組合からは、高橋睦子連合副事務局長、金澤壽全労協議長、小田川義和全労連議長があいさつ発言を行った。
集会アピールを確認し、集会終了後、国会請願デモに出発。議員面会所前で民主党、社民党、日本共産党、生活の党と山本太郎となかまたちが請願を受け、ともにシュプレヒコールを行い、国会内外での闘いを強めて悪法を絶対に阻止することを確認した。
日弁連の院内学習会
六月四日、日本弁護士連合会主催の「労働者派遣法・労働時間法制の規制緩和について考える院内学習会」が開かれた。
日弁連副会長の斎藤拓生弁護士が開会あいさつ。常用労働者の代替のための派遣労働の永続化や非正規雇用の拡大につながる労働者派遣法改正案や高度プロフェッショナル制度の創設や裁量労働制の対象範囲拡大を盛り込み、労働時間規制の緩和を目的とした労働基準法等の一部改正案が上程されているが、非常に問題が多い。この院内学習会では、これらの改正法案や労働法制の在り方について考えていきたい。
基調報告は西谷敏・大阪市立大学名誉教授が「今般の労働法制(労働者派遣法・労働時間)」と題しておこなった。労働分野の規制緩和を考える上では、経済界の要求すなわち生産性向上のための規制緩和という視点が大事だ。規制緩和をめぐる対立構造は、労働生産性の向上とディーセントワークの闘いということであり、どちらの力が強いかで決定される。
日弁連貧困問題対策委員会からは、日弁連の労働規制緩和の動きに対する取り組み、また正社員化の派遣法改正で「労働契約申し込み見做し制度」が骨抜きにされる問題について報告された。
集会では、連合、全労連、全労協や国会議員からのあいさつが行われた。
取り戻そう★生活時間と安定雇用〜許すな!雇用破壊 5・14ACTION〜アピール
(要旨)
……こんな法案を通してしまっては、不安定、低賃金の派遣労働をはびこらせ、労働者を生涯派遣に縛り付け、日本社会に蔓延する長時間労働をさらに助長し、過労死・過労うつを拡大し、若者を食い物にするブラック企業を規制する法律自体が弱まり、ブラック企業に日本社会を食いつぶさせることになり、女性の活躍推進どころか、男女問わず、子育てや介護をしながら働くという道をさらに困難にしてしまう。
私たちは、労働者派遣法の改悪、労働時間法制の改悪を阻止し、労働時間の上限規制と勤務間インターバル規制を実現して目本の職場に蔓延する長時間労働をなくし、過労死のない社会を実現し、家庭や地域での「生活時間」を取り戻して、ライフとワークのバランスのとれた生活を実現するため、本日、この日比谷野音に集まった皆さん、全国で連帯して集まっている皆さんとともに、力を合わせて闘い披くことを宣言する。
2015年5月14日 5・14 ACTION参加者一同
京都・大阪の反戦・市民運動へのデッチ上げ弾圧を許すな
六月四、五日、大阪府警は十数か所に強制捜査、三名の逮捕という不当な弾圧をおこなった。昨年九月二八日に京都府京丹後の米韓Xバンドレーダー基地建設に抗議する行動への参加するため市民団体が大阪から大型バスで参加したことで、参加者が費用を出し合ったことを「道路運送法違反」(いわゆる「白バス営業」)の「金儲けの譜業行為」という口実での弾圧だ。
いま、沖縄の全県挙げての辺野古基地阻止運動の高揚、そして安倍政権の今国会で強行可決しようとしている戦争法案が憲法違反であることが多くの人びとの知るところとなり、米日韓の軍事同盟強化による戦争準備のまえにたちはだかる巨大な壁が作られつつある。こうした運動をつぶそうというのが今回のデマ・でっち上げ弾圧の背景にある。
「6・4不当弾圧に杭議し、早期仲間の釈放を求め、共に闘う会」は、別掲のアピールを出した。権力の弾圧に決して屈することなく続々と立ち上がり続け、安倍政権・警察権力の弾圧をはね返そう!
〔緊急アピール〕大阪府警が市民運動活動家3人を不当逮捕
京丹後市での米軍Xバンドレーダー基地建設反対行動参加のためのバスの手配が「白バス」行為?
昨日(6月4日)朝から夕方にかけて大阪府警本部警備部公安三課は、「道路運送法違反」(いわゆる「白バス」行為)なる容疑で、京都・大阪の反戦・市民運動の活動家の自宅・事務所など十数箇所の家宅捜査を行い、3名をその場で逮捕しました。
京都・大阪の反戦・市民運動は、関西で初の米軍基地としてミサイル防衛のためのXバンドレーダーが京都府京丹後市経ケ岬に建設されるのに対して、地元の人たちと連帯しながら数度にわたって集会、デモに参加してきました。今回の「容疑」は昨年9月の現地闘争の際の大阪からのバスが無許可の営業(利用者から料金を集めた)というものです。このような理由による市民運動団体に対する捜査や逮捕は前代未聞です。
昼のテレビのニュース(ABCニュース)で、「逮捕
《白バス》運行容疑 有料で集会参加者ら送迎か」という見出しで、関西共同行動の活動家が逮捕される様子が放映されました。つまり、警察はマスコミを同行させ、わざわざ逮捕現場を撮影させ、悪意に満ちた報道をさせたのです。
産経新聞は、逮捕された3人をそれぞれ「××」(政治団体)の活動家として書き立て、あたかも政治団体が資金稼ぎのために違法な営業をしていたかのような報道をしました。あたかも私たちの行動が、市民が主体の行動ではないかのようなフレームアップです。
そもそも、「道路運送法違反」というものは、不当な利益を得たり、合法的に営業している者に不利益を及ぼすような常習的な不法行為を対象とするものであり、しかも通常は警告ですむ事象にすぎません。このような微罪ですらない罪状をでっち上げ、長年にわたって地道に広範な市民の連帯を作り出してきた運動に対し楔を打ち込もうとする今回の不当逮捕・家宅捜査を私たちは決して許しません。このような無茶苦茶な弾圧を行っている大阪府警に強く抗議します。
現在、国会で議論されている「戦争法案」の審議をめぐって、安倍政権は消化試合であるかのごとく放漫な答弁を続けています。しかしそれは決して世論の総意を得ているという自信からではなく、米軍の裏庭を守る番犬と化すことで無常の至福に包まれる安倍の妄想によるにほかなりません。
まさに沖縄では戦後70年の総括も言うべき圧倒的な沖縄民衆の力で、辺野古に新基地を建設するという安倍政権の野望に立ちふさがっています。関西でも戦争に反対し、日々平和を求めて闘う民衆が、Xバンドレーダー基地配備に見られるような具体的な形での日米軍事一体化に激しい怒りを表すと同時に、自分たちの運動の中から沖縄の闘いに深い連帯の意を表明しつつあります。
集団的自衛権と戦争法に対する闘い、そして辺野古に連帯する闘いが重要な局面に入っているこのタイミングでの弾圧をすべての人々の力ではね返すことを訴えます。
仲間を今すぐ返せ!
大阪府警は不当弾圧をやめろ!
姑息な市民運動の分断策を許すな!
我々は闘うぞ!
そして勝利するぞ!
2015年6月5日
仮称)6・4不当弾圧に抗議し、早期仲間の釈放を求め、共に闘う会(連絡先:関西共同行動)
ゼネストで闘う韓国民主労総
日韓労働者連帯交流集会で
キム・チャンゴン民主労総仁川地域本部本部長の報告
五月二八日、文京シビックセンターで「ストライキで闘う韓国労働者を激励―5・28日韓労働者連帯交流集会」が開かれた。
集会には、キム・チャンゴンさん(民主労総仁川地域本部本部長)、チエ・ギスさん(民主労総仁川地域本部未組織非正規織闘争部長)、イ・ナミさん(仁川労働文化祭組織委員会委員長)、チョ・ビョンファさん(趙炳夏、労働党/仁川市西区「民衆の家」運営)がゲスト参加した。
民主労総仁川地域本部は、約三万人の組合員を擁する民主労総の地域本部であり、一万人の組合員がいる金属労組GM自動車支部(富川工場)が中心である。仁川空港で働く非正規雇用労働者の千人をこえた組織化をはじめ、非正規職労働者を数千人組織している。
また、民主労総を中心に、いろいろな政党や政治団体、社会団体、市民団体による恒常的な統一戦線があり、医療の民営化など新自由主義的問題に取り組んでいる。
キム・チャンゴンさんが韓国ゼネストの報告を行った。
四月二八日、韓国民主労総は、第一波ゼネストを闘った。そのスローガンは、「財閥の優遇」に立ち向かう「労働者・農民の救済ゼネスト、ストップ!朴槿恵、前進!ゼネスト、である。韓国は経済危機の中で、低賃金―低成長―高失業の悪循環の中にある。民主労総は、容易な解雇・低賃金、非正規量産政策と公務員賃金の改悪の阻止のため、また最低賃金一万ウォン、勤労基準法の全面適用・全労働者の労働基本権の保障の実現を要求して闘いにたちあがった。
内部の組織化では、全教組(教員)、公務員、公的年金強化闘争など主要課題ごとに主体の組織化をおこなった。事業所単位の代表者・役員決議大会、ゼネスト基金の設置、地域と職場にゼネスト実践団を組織した。また非正規労働者の日々を描いたマンガ・ドラマなどと関連した「非正規職労働者に労働組合を」キャンペーンや、市民社会団体などによる民主労総ゼネスト支援記者会見、対政権・対資本闘争宣布大会の開催などを行った。
そして四月二四日のゼネストを闘った。ストの規模は、全国二九二六事業所で約二七万人の組合員が参加した。しかし実質的なゼネスト参加単位は期待ほど多くなかった。
これは年末まで続く総力闘争、ゼネストの幕開けを告げる闘争であり、今の段階で明確な評価を行うのは困難だ。
第二次ゼネストは賃金および団体協約交渉に集中して闘争を組む。六月末から七月中旬が考えられている。六月二七日にはソウルで一万人集会を行うことにしている。
第三次ゼネストは、年末の一一月または一二月の予定だ。この時期は国会で労働法制改悪が強行されようとする時期であり、これを阻止する今年のピークの闘争となるだろう。
都教委の停職6ヵ月処分「とりけせ」
根津公子さん東京高裁で勝利判決
東京都教育委員会は二〇〇七年三月の卒業式での「君が代日の丸不起立」に対して根津公子さんに停職六か月という不当な処分を強行した。
石原慎太郎は都知事になった二〇〇三年に都教委一〇・二三通達「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について」をだした。それは「式典会場において、教職員は、会場の指定された席で国旗に向かって起立し、国歌を斉唱する」などとするもので、これを口実に、石原都政とその後の都政は、不起立の教員に対して処分を乱発してきた。
根津さんの裁判は、一審東京地裁判決は請求を退けられてしまったが、東京高裁(須藤典明裁判長)は、五月二八日、地裁判決を覆して、都教育委員会の処分は裁量権を逸脱し、違法と判断して停職処分を取り消し、慰謝料を払えという逆転判決をだした。また、日の丸・君が代の強制は「教員にとっては、自らの思想や信条を捨てるか、教職員としての身分を捨てるかの二者択一を迫られることになり、憲法が保障する思想や良心の自由の侵害につながる」とも指摘している。この間いくつかの勝利判決がかちとられているが、君が代・日の丸強制に反対する粘り強い闘いの成果だ。
根津さんは「判決文には目障りな文言が散見されますし、完全勝訴ではありません」、しかし「最高裁が都教委の『上告』を受理しにくいような骨組みになっています。政治的判断を悪く働かせない限り、最高裁はこの判決を否定できないと思います」としつつ、「都教委はこの判決を不服として上告するでしょうから、気を抜くことはできませんが、ひとまず、皆さんのこれまでのご支援に感謝を申し上げます。そして、引き続き、ご支援・ご協力をお願いします」と言っている。
狂 歌
学者から違憲明示の国会で政府異言す狂気のはしり
軍政だへのこへのことへのかっぱへのへのアベを尻目に翁長
ヽ 史
複眼単眼
安倍晋三の危うい歴史観について
安倍晋三首相が出すという「戦後七〇年談話」をめぐって、さまざまに歴史認識の問題が議論されている最中に、国会で安倍首相のトンデモ発言が飛び出した。
五月二〇日の衆議院での党首討論で、共産党の志位委員長のポツダム宣言に関する質問に答えて、安倍首相が「(ポツダム宣言を)つまびらかに読んでいないので、承知しておらず、論評を差し控えたい」と述べたのだ。
あまりのひどさに世論が沸騰すると、政府は六月二日の閣議で「当然、読んでいる」とする答弁書を決定し、「具体的な発言通告が事前になかったため、正確な文言を手元に有しておらず、つまびらかでないという主旨を申し上げた」と説明した。
これはおかしい。それなら志位委員長に対する答弁は虚偽ということになる。
安倍首相は第一次政権以来、「戦後レジームからの脱却」を唱えてきたのだが、いうまでもなく「戦後レジーム」とは、日本軍国主義政府がポツダム宣言を受諾し、無条件降伏したことから始まっている。これをつまびらかに理解していない安倍晋三が語る「戦後レジームからの脱却」とは一体なんなのかが問われる。 安倍首相は今年二月の参院本会議で「安倍首相のいう戦後レジームとは何か」という問いに答えて、「七年間の占領時代に作られたわが国の基本的な仕組みのことだ」と答えているが、この七年間の占領はポツダム宣言から出発しているというのが基本中の基本だ。安倍はことあるごとに、この占領中に行われた「東京裁判」を批判するが、ポツダム宣言への「つまびらかな」理解、正しい認識なしに、こうした議論をしていたことの責任が問われるべきであろう。
この程度の歴史認識を持つに過ぎない安倍首相が、まともな「戦後七〇年談話」を出せるわけがない。
安倍晋三のさきの施政方針演説にみる歴史観は以下のようなものだ。明治国家の岩倉具視が富国強兵をめざした言葉を引用した後、「明治の日本人にできて、いまの日本人に出来ないわけはない」「戦後以来の(?)大改革」に踏み出そうと述べた。
安倍晋三がファンを自任する司馬遼太郎は「『明治』は清廉で透きとおった
公 感覚と道徳的緊張=モラルをもっていた」、「歴史の中に、鮮やかな光芒を放った『明治』という国家=v(「『明治』という国家」、一九九一年)と書いたことがある。これは明治以降の戦争の七〇年への反省を欠いた一面的な歴史の美化ではないか。それが「戦後の清算」と結合したとき、前途は「戦争をする日本」になる。
安倍首相の本年四月の米国議会での演説は「真珠湾、バターン・コレヒドール、珊瑚海…、メモリアルに刻まれた戦場の名が心をよぎり、私はアメリカの若者の、失われた夢、未来を思いました」と、米国への外交辞令をふんだんに盛り込みながら、中国に対する対抗心を露わにしたものだ。
安倍のこの演説は中国・アジアに対する視点に欠ける。戦後七〇年の今日、アジアとの和解が最も重要であるにもかかわらず、先の大戦については「戦後の日本は痛切な反省を胸に歩みを刻んだ。アジア諸国民に苦しみを与えた事実から目を背けてはならない」と言及したのみだった。
二〇〇〇万アジア人民を殺戮した一五年戦争をどのように見るか。一五年戦争とは何だったのか。あの戦争の末期、四五年二月、ラングーンは民衆によって解放され、同じ頃、中国では十九省で最後の抗日戦争が行われ、日本軍は旅団別、師団別に降伏文書を出し始めていた。三月にはマニラが解放された。日本軍はアジアと米国との戦いで敗退し続けた。この状況をみて、二月二四日、側近の近衛文麿は天皇に上奏文を出して降伏を勧めた。これを裕仁天皇が受け入れなかった結果、三月一〇日の東京大空襲とそれにつづく全国主要都市の空襲があり、六月沖縄戦があり、八月の広島、長崎への原爆投下があった。あたかも一五年戦争は米国に敗れたかのようにとらえるのは誤りだ。 (T)
夏季カンパの訴え
労働者社会主義同盟中央委員会
「戦争する国」づくりにむけた安倍内閣の集団的自衛権の行使容認、戦争法制成立強行は、ここにきて大きな抵抗に直面しています。戦争法案が違憲であることは明らかになり、その姑息なやり方にも批判が高まってきています。それだけではありません。沖縄差別、原発再稼働、労働法制の改悪、マイナンバー制度導入を前にしての年金情報の大量流出、メッキのはげはじめたアベノミクスなどの中にこの国はいます。新たな戦前への政治を推し進める安倍政治に対決して、団結を広げ、労働者・人民の力を強化し、総がかりで政治変革の流れを加速させましょう。安倍内閣を打倒するために決起するときです。われわれはそのために奮闘する決意です。
みなさんに、夏季カンパを訴えます。