人民新報 ・ 第1330号<統合423号(2015年10月15日)
  
                  目次

● 闘争は新たな段階・ さらなる運動の拡大へ  戦争法廃止! 安倍内閣退陣!

● NO NUKES  NO WAR     「さようなら原発」一千万署名市民の会、戦争させない・9条壊すな総がかり行動実行委員会による大集会

● 辺野古新基地建設  翁長知事、埋立承認取り消しへ  新しい段階迎える沖縄の闘い、全国闘争で闘い、勝利しよう

● TPP反対闘争はこれからが本番だ  危険な内実を暴露し、怒りの声をあげよう

● 秘密法、廃止へ!  情報公開法と公文書管理法の活用

● KODAMA  /  千里ニュータウン集会

               民主主義ってなんだ!

● 浅沼稲次郎を追悼し未来を語る集会 ― 日本の民主主義の危機を考える

● 書 評  /  「右傾化する日本政治」(岩波新書)  中野晃一著

● 時 事 狂 歌

● 複眼単眼  /  産経新聞のデモ(デマ?)報道記事がおもしろい






闘争は新たな段階・ さらなる運動の拡大へ

      
 戦争法廃止! 安倍内閣退陣!

60年安保以来の高揚

 戦争法案阻止の闘いは、これまでの潮流の違いを超えて結成がかちとられた「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」を中心に大きく広がり、「戦争する国」づくりへと暴走する安倍内閣と対決し、その退陣を求めて、国会周辺を中心に全国各地、各界階層がたちあがり、60年安保闘争以来の大きな運動として展開された。
 昨年末の「総がかり行動実行委員会」結成以降、集会、街頭宣伝、国会包囲行動、署名行動が行われ、多くの新しい取り組みが行われた。
 女性、学者、宗教者、など各グループの活動が活発に行われ、とりわけ若者、学生の運動への参加と老・中・青の世代を超えた共同の闘いは、これまでの運動の質を大きく変え、行動への参加者は画期的に広がっていった。
 そして12万人による8・30の国会包囲など一万人をこえる集会は12回となった。
 こうした状況に権力は危機感を強め、警察の過剰警備・弾圧が行われたが、共同して合議し対抗した。
 そして最終段階では連日・連夜の闘いが取り組まれた。運動のかつてない高揚の中で、人びとの連帯が勝ち取られ、「闘えば政治は変えられる」「自民党政治を終わらせることができる」という意識と自信が生まれ、これが今後の戦争法廃止・安倍内閣打倒へむけて運動の持続とさらなる拡大の基礎となっている。

違憲・戦争法への大批判

 アメリカの相対的に低下した軍事力を補完・代位して、その世界戦略を支えることにより、日本の軍事・政治大国化を目指そうという安倍ら日本支配層のもくろみは、日本をアメリカの無謀な戦争にあえて結び付け、近隣諸国をはじめ世界の人びととの敵対者の位置に置くものだ。
 これは日米の政府と軍産複合体には利益をもたらすものだが、国の内外の人びとには悲惨な事態をもたらすしかないものだ。
 そのことはアメリカが起こしたアフガニスタン、イラクをはじめとする戦争とその結果を見ればきわめて明瞭である。また戦争法制と特定秘密保護法、マイナンバー制度などが組み合わさった独裁的な国家体制はアジア・太平洋戦争時の日本の再来としておおくの人びとに深刻に認識された。
 近づく戦争、抑圧的な国家体制、平和憲法の破壊、立憲主義の危機などへの不安は広がり、安倍内閣の暴走政治の前には人びとの批判の壁が立ちはだかったのである。
 憲法学者のほとんど、そして元内閣法制局長官や元最高裁判事までもが「違憲」だと発言し、世論の大部分が「議論は尽くされていない」「今通常国会での成立に反対」という状況が作り出された。こうした戦争法案反対の大きな声にもかからず、自公与党などは9月19日未明に参院法会議で「採決」をした。断じて許されない暴挙である。
 戦争法案審議の参院特別委員会などで論議そして「採決」手続きも違法なものである。なにより憲法違反の戦争法は無効である。
 戦争法は、安倍や中谷の混乱したでたらめ答弁が示すように矛盾だらけの法律なのである。

総がかり行動実行委の声明

 総がかり行動実行委員会は、9月19日の「声明」で次のようにアピールし、戦争法廃止に向けた新たな段階での闘いをよびかけたとた。
 「政府・与党は強行採決に次ぐ強行採決を重ね、日本を海外で戦争する国にする憲法違反の戦争法を成立させた。私たちは満身の怒りを込めて抗議する。一内閣の恣意的な憲法解釈の180度の転換よる戦争法は、それ自体、違憲・無効であり、立憲主義の大原則を否定するもので、断じて認めることはできない。私たちは、戦争法のすみやかな廃止を実現するため全力を尽くし、戦争法の発動を許さない世論と運動を発展させる。……この間、全国数千か所での人びとの行動を背景にして国会正門前を連日埋めつくし、国会を何度も包囲した人びとの波は、暴走する政府・与党に立ちふさがる巨大な壁となり、政府・与党を大きく揺さぶり、窮地に追い込んだ。この広範な人びとの声と行動こそが、民主・共産・社民・生活の連携を支え、野党の闘いを強めるという画期的な状況をつくりだした。ここに示された無数の人びとの意思と行動は、決してこれで終わることはない。このエネルギーは、必ず戦争法の発動にストップをかけ、戦争法を廃止する力となろう。私たちは、この人びとの力を信じ、希望として、前進する。全世界の人びとの生命のために、平和のために、憲法を生かすために」。

闘争の新たな出発

 戦争法は成立した。そして、闘いは新しい段階に入った。戦争法廃止の闘い、野党共闘強化による来年の参院での勝利などにむけてさまざまな行動が準備されている。

 10月8日、総がかり行動実行委員会は、文京シビック・大ホールで「戦争法廃止!安倍内閣退陣!総がかり行動集会」を開き、会場を埋め尽くす一七五〇人が参加した。
 高田健さん(解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会)が開会挨拶。いまも安倍を倒せ、戦争法廃止の声は続いている。憲法違反の戦争は採決されたが9条が生きている限り違憲の法律だ。60年、70年に続く、2015安保は、いっそう欺瞞的で、危険なものだ。政権は60年の時と同じく、安保の後は、「経済、経済」といいながら、戦争体制の具体化・確立と明文改憲を進めようとしている。そのための改造内閣は一種のハリボテのような内閣だ。総がかり行動は安倍を倒すために全ての人びとと連帯して引き続き活動する。今日はその決意の集会だ。
 つづいて、熊岡路矢さん(NGO非戦ネット)が、戦争法の最初の適用とみられる「南スーダンでの駆けつけ警護」に触れながら「戦争法と国際協力NGOの活動」について講演した。
 国会からは、全国の行動に院内で呼応して闘った野党から民主党の福山哲郎参議院議員、共産党の田村智子参議院議員、社民党の吉田忠智参議院議員があいさつした。
 安全保障関連法に反対する学者の会の佐藤学さん、日本弁護士連合会憲法問題対策本部の山岸良太さん、立憲デモクラシーの会の石川健治さん、SEALsの本間信和さん、違憲訴訟を準備する弁護士から内田雅敏さんが連帯挨拶をおこなった。
 総がかり実参加団体からは、9条壊すな!街宣チーム、宗教者、脱原発をめざす女たちの会、秘密法廃止へ!実行委員会、沖縄―坪反戦地主会関東ブロック、安倍教育政策NO・平和と人権の教育を!ネットワークからのリレートークが行われた。
 戦争をさせない1000人委員会の福山真劫さんが「総がかり行動実行委員会の取り組み経過と行動提起」(別掲)を行い、総がかり行動実行委員会の組織の強化と運動の継続・拡大、集会などの行動、戦争法廃止、憲法擁護の請願署名、違憲訴訟支援の取り組みなどを提起した。
 最後に参加者全員で「戦争法廃止」などのコールで、闘いの新しい開始を確認し合った。

             ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2015・10・08

総がかり行動実行委員会の取り組み経過と行動提起

 1、総がかり行動実行委員会の構成団体(略)
   
 2、60年安保以来の運動の高揚(略)

 3、なぜ廃案にできなかったのか

      「60%の反対・80%の今回で決めるべきではない」との層を大きく運動に巻き込めなかった
      「38%非正規労働者・権利が侵害されている勤労者」への働きかけの弱さ全国展開がまだまだ弱く、市町村のところまで広げることはできなかった
      職場から地域への展開の弱さ
      労働運動との連携の弱さ
      「国会における自公勢力の数」の多さ 等

4、今後の展開

   1)基本的考え方
      取り組み経過と課題を踏まえ、戦争する国・軍事大国化、新自由主義路線に基づき貧困と格差を拡大する安倍自公政権と対決し、平和、民主主義、立憲主義、憲法、人間の安全保障の確立めざして、すべての勢力、市民と連帯して下記のとおり、闘います。
     @戦争法廃止・発動阻止の取り組み
     A立憲主義・憲法擁護の取り組み
     B沖縄・脱原発・人間の安全保障を視野に入れての取り組み
     C戦争法廃案で奮闘した野党との連携強化
     D諸団体、市民との連携した取り組みの強化、その他

   2)具体的取り組み
     @総がかり行動実行委員会の組織の強化と運動の継続・拡大
     A毎月19日行動の取り組み
        10月19日18時30分 国会正門前集会
        11月19日18時30分 日比谷野音か国会周辺集会
     B戦争法施行・具体化に対応した集会・抗議行動の取り組み
     C違憲訴訟支援の取り組み
     D一大署名運動の取り組み
        5・3集会をめざし、2000万筆以上を目標に統一した請願署名行動に取り組み、戦争法廃止、憲法擁護の国民世論の盛り上げと結集をはかります。
     E沖縄、脱原発課題、人間の安全保障課題を視野に連携した取り組み焦点化する課題について、広範な運動を作り上げるべく連携して取り組みます。
     F統一憲法記念日集会の取り組み
        2016年5月3日、有明防災公園で今年に引き続いて、統一集会として開催します。
     G参議院選挙に向け、野党との連携強化・支援する取り組み、その他

5、その他


暴走安倍政治に対し、いっそうの闘いの拡大を  NO NUKES  NO WAR

      「さようなら原発」一千万署名市民の会、戦争させない・9条壊すな総がかり行動実行委員会による大集会


 九月二三日、代々木公園のB地区・けやき並木で「さようなら原発 さようなら戦争 全国集会」が開かれ、2万5000人が結集した。
 集会は、川内原発再稼働、戦争法制、辺野古新基地建設などに反対する多くの市民の抗議の声を無視してゴリ押しする安倍政権にたいし「NO NUKES NO WAR」の声をあげた。 「さようなら原発」一千万署名市民の会の主催で、戦争させない・9条壊すな総がかり行動実行委員会が協力という構図で、原発と戦争に反対する運動が合流した。

 はじめに落合恵子さんは、安倍政権のいうことは原発でも戦争でも嘘ばかりだ、安倍政権から民主主義を取り戻そう、原発、戦争法案に賛成した議員の顔を心に刻んで、絶対に落選させよう、と開会のあいさつ。
 澤地久枝さんは、安倍政権のやっていることをアメリカは舌なめずりして待っている、安倍の支持率を二〇%以下にさせよう、私たちがやらなくて誰がやるという気持ちでやりぬこうと発言した。

 脱原発運動からは東電株主代表訴訟弁護団長などで闘っている河合弘之弁護士が発言。日本は国土が小さいのに世界一の地震大国だ。原発一つの事故でも国が崩壊する。日本が崩壊するのは原発過酷事故か戦争しかない。その二つを安倍政権はやろうとしているのだ。全力をあげて阻止しなければならない。集会、デモ、メディアへの働きかけ、首長への要請、そして選挙だ。反対派を当選させ、賛成派を落選させなければならない。再稼働をさせない、最小限、遅らせることだ。すでに今年の四月には福井地裁が高浜原発3・4号機の運転の差し止めの申し立てをみとめた。脱原発の動きは増してきているのだ。一喜一憂せず運動を進めて、その間に、自然エネルギーへの転換を実現しよう。ドイツではそうした方向で動いている。
 つづいて、ひだんれん(原発事故被害者団体連絡会)共同代表で福島原発告訴団の武藤類子さんが福島からの報告。福島県はいま復興と帰還の激しい波に巻き込まれている。県と国はまだ放射線量が十分に下がり切っていない地域の避難指示解除を行い、借り上げ住宅制度の廃止や賠償の打ち切りを、当事者の声を十分に聞くこともなく行った。国は子どもたちをまもらず、被害者を切り捨てようとしている。そして原発関連企業の罪は問われないままだ。原発も戦争もない世界を私たち一人一人がつくっていこう。
 原発事故で北海道への避難している宍戸隆子さんの発言。私は原発の地域で育った。悔やまれるのは、あのときに頑張ってもっと大きな声で原発反対の声を上げられなかったことだ。いま、強制避難者、自主避難者の間に分断が持ち込まれようとしているが、本当に憎むべきは原発であり、国だ。
 川内原発増設反対鹿児島県共闘会議の野呂正和さんは、川内原発は欠陥施設だ。1号機は、2008年に蒸気発生器の交換が行なわれているが、2号機に関しては交換工事は止まったままで、古い蒸気発生器が付いたままだ。このままでは必ず事故が起こる。火山大爆発の接近がいわれ、また戦争法の強行で原発への攻撃の可能性が高まっている。絶対に再稼働はダメだ。

 戦争法法制反対運動からは、上野千鶴子さん(戦争をさせない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会)が、反戦争、反原発、反基地が合流した、この夏には若者たちは闘いに立ち上がらないという政治的シニシズムは一掃されたとのべ、SEALsの奥田愛基さんは、闘いは新しい段階、新年を迎えたような気分でここからまた始まっていると発言した。
 沖縄一坪反戦地主会関東ブロックの木村辰彦さんは、辺野古ではゲート前、そして海上でも激しい闘いが繰り広げられている、全国で支援が広がり、翁長知事を先頭にオールオキナワの辺野古反対の大きな流れができた、それが戦争を止める力になるのだと述べた。
 つづいて大江健三郎さん。切迫した状況で「さようなら原発」「さようなら戦争」の集会が持たれている。長く続いた平和をもっとっもと持続させなければならない。この間の運動の中で若い人たちは新しい文化を創り出した。新しい日本人がいるという感じがする。この人たちがこれからの危機の中で生き延びていかなければならないし、それは大きな仕事だ。いま日本の歴史始まって以来の困難だが、その中から希望の兆候は見えている。

 最後に鎌田慧さんがこれからの行動の提起を行い、二つのコースに分かれてデモを行い、市民へアピールした。


辺野古新基地建設

      翁長知事、埋立承認取り消しへ  
新しい段階迎える沖縄の闘い、全国闘争で闘い、勝利しよう

 昨年の名護市長選、知事選、衆院選で示されたのは新基地建設に反対する沖縄の民意であり、金のばらまき、押さえつけと懐柔のこれまでの自民党政治へ断固としてNOを突きつけるものであり、その運動は拡大し続けている。

辺野古基地は世界の問題へ

 翁長県知事は9月21日、スイスで開かれた国連人権理事会で、辺野古の新基地建設反対を訴えた。国連の場で沖縄県知事が基地問題を訴えるのは初めてのことだ。知事は、「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされている」「自国民の自由、平等、人権、民主主義、そういったものを守れない国が、どうして世界の国々とその価値観を共有できるのでしょうか」と安倍政権の厳しく批判し、そして「あらゆる手段を使って新基地建設を止める覚悟」を強調した。まさに沖縄の人々の思いを代弁しての歴史的なスピーチであった。翁長知事の訴えへの共感は国際的に広がっている。


沖縄防衛局聴聞拒否

 沖縄県「普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認手続に関する第三者委員会」は7月16日に「検証結果報告書」を翁長雄志知事に提出した。それは仲井眞前知事がおこなった埋立承認(2013年12月)に「法的に瑕疵がある」ことを認めるもので、この検証結果に基づき、沖縄県は、手続きの一環として10月7日に、沖縄防衛局から言い分を聞く「聴聞」をにおこなうことにしていた。ところが、沖縄防衛局は、「取り消す処分は違法」と主張する陳述書を提出しただけで、出席を拒否した。
 そのうえ、沖縄防衛局は近く協議を打ち切って本体工事に着手する可能性が高くなった。そもそも沖縄防衛局と県の事前協議は、前知事埋立承認の際の「留意事項」にある。まさに問答無用の態度だ。
 また当日の記者会見で菅義偉官房長官は「沖縄県からの聴聞通知書の中に書類でもいいと書いてあった。手続きに基づき(陳述書を)提出した」として、本体工事について「手続きが済み次第、着工する」と述べた。政府、沖縄防衛局のこうした態度は、戦争法の強行成立以降、日米軍事同盟の強化による「戦争できる国」への体制づくりを急ぐ常軌を逸した安倍政権の態度を示すとともに、かれらの沖縄に対する差別意識をむき出しにしたものであり、絶対に許せないものだ。沖縄の怒りは一段と激しいものとなった。7日には.那覇市の県庁前で基地の県内移設に反対する県民会議の主催で緊急集会とデモ闘われた。

 承認が取り消されると、埋め立て承認にもとづく調査・工事がいっさいできなくなる。安倍政権は、警察・海上保安庁の大動員で、暴力的な排除と不当逮捕をいちだんと強化する。 
 翁長知事の辺野古埋め立て承認取り消し、沖縄現地でのゲート前の座り込み、海上での抗議行動などの闘争に連帯して、全国で「工事の即刻中止」を求める闘いを繰り広げよう。
 辺野古基地建設阻止、戦争法や秘密保護法の廃止など、そして清潔と権利を守る闘いを結合させて安倍政権を追い詰めていこう。


TPP反対闘争はこれからが本番だ

       
 危険な内実を暴露し、怒りの声をあげよう

 10月5日、アメリカ・アトランタで開催された閣僚会合において、5年半越しの交渉で環太平洋パートナーシップ(TPP)協定が「大筋合意」に至ったと発表された。
 参加12カ国の閣僚会合が当初の日程を再三延長した上でのことだ。そこでの日本の役割は、アメリカの多国籍企業にたいして大幅な譲歩を重ねながら、交渉の「合意」のために奔走したことである。そして、アメリカのために犬馬の労をとることによって、中国などに対抗する戦略を実現しようとしている。
 『ウソつかない。TPP断固反対。ブレない』(自民党のポスター)の選挙公約を破ったウソつき安倍自民党は、TPP交渉の過程はいっさい国民に知らせない秘密主義の中で、農産物重要5品目(米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖)を守るとした国会決議も踏みにじった。マスコミでも「国益を次々差し出した日本」とする記事が多い。
 しかし、「合意」で終わるわけではない。
 TPPの内容を明らかにし、国会での議論・批准、そして発効となる。TPP交渉の内容は秘密とされ実際には何が「合意」されたかはこれからの国会での論議などの段階でようやく明らかになるのだ。それさえも安倍政権は欺瞞的な手法で人びとから真実を隠そうとする。
 TPPは、モノの関税だけなく、投資の自由化や知的財産、電子商取引、国有企業の活動、環境問題など幅広い分野がある。なにより危険な投資家対国家紛争(ISDS)の条項がある。TPP交渉は、そこで多国籍企業に有利な経済ルールをつくろうというものであり、各国の人びとの生活に重大な影響を与えるものだ。TPPの内容が知られることは安倍にとって大ピンチだ。野党は、「大筋合意」に関しては、秋の臨時国会での審議を求めているが、自民党は閉会中審査のみを提案している―例の姑息な手法によるTPP内容隠し以外のものでもない。
 日本だけではない。各国議会も承認は容易ではない。来年のアメリカ大統領選挙に出馬しているヒラリー・クリントン元国務長官もTPP反対を言い出した。アメリカ議会にはTPP合意は「不十分だ」と表明する議員も多く、このままでは議会承認が難しいといわれる。
 安倍のアキレス腱は戦争法制、秘密法、沖縄だけではない。TPPも含めて、安倍が共通の敵だ。共同して安倍を追い詰め打倒する条件ができつつある。闘いはこれからである。


秘密法、廃止へ!

    
 情報公開法と公文書管理法の活用

 天下の悪法、特定秘密保護法は、昨年の12月10日に施行された。政府は、「この法律は、安全保障上の秘匿性の高い情報の漏えいを防止し、国と国民の安全を確保するためのもの」というが、「安全保障上の秘匿性の高い情報の漏えいを防止」という口実で、危険な政策を人びとの目から全く隠すものであり、日本を「戦争する国」にする戦争法制と一体のものである。
 「秘密保護法」廃止へ!実行委員会は「12・6を忘れない6日行動」を毎月、継続し、秘密法廃止に向けた地道な運動をつづけている。東京を中心に活動する廃止へ!実行委員会など64団体が参加する「秘密法に反対する全国ネットワーク」は連携しながら各地での運動を展開している。

 10月6日、衆院第一会館で同実行委員会の「12・6を忘れない6日行動」院内学習会が開かれた。瀬畑源さん(長野県短期大助教)が「秘密保護法と公文書管理法、情報公開法―公文書管理法改正に向けて―」と題して講演した。公文書管理法は、日本の行政機関における公文書の管理方法を定めた法律で、2011年に施行された。情報公開法は2001年施行だ。秘密保護法が制定されたことによって、これらはどうなるのか。たとえば昨年7月の集団的自衛権行使の閣議決定は、憲法9条の歴代内閣の解釈を大きく変更するものだ。しかし内閣法制局は検討討議の文書を残していないという報道がされたが、これは大変におかしい。公文書管理法は、第四条で「行政機関の職員は、第一条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない」として、次のものを列挙している。@法令の制定又は改廃及びその経緯、A前号に定めるもののほか、閣議、関係行政機関の長で構成される会議又は省議(これらに準ずるものを含む。)の決定又は了解及びその経緯、B複数の行政機関による申合せ又は他の行政機関若しくは地方公共団体に対して示す基準の設定及びその経緯、C個人又は法人の権利義務の得喪及びその経緯、D職員の人事に関する事項。
 日本の官僚機構は、続出する年金問題や沖縄密約などで文書を残していない。これは歴史に責任を持つという意識がないということだ。特定秘密も当然に公文書管理法の適用を受けるが、文書がなければいかようにもできてしまう。これは正されなければならない。

 つづいて同実行委員会事務局の前田能成さんの報告。「特定秘密保護法」を廃止するために、情報公開請求によって特定秘密に迫ることが必要だ。そして情報公開法および公文書管理法の改正を実現させることだ。情報公開法については特定秘密に迫るために第三者の審査が行われるように改正させる。公文書管理法の改正による国会及び裁判所の文書管理を実現させることだ。「特定秘密保護法の廃止」への道は、情報公開法と公文書管理法を活用することで、決して不可能な道のりではない。


 KODAMA

千里ニュータウン集会

  戦争法案反対の運動は全国各地で大きく盛り上がった。
 参院での攻防戦の最終盤の九月一二日、ここ大阪・千里ニュータウンでも初の反戦集会が持たれた。
 ビラとりも至極順調、手ごたえを感じる。だが、言いがかりをつけてくるのもいて、茨城での堤防決壊・洪水の話などして、戦争をやっている場合じゃないよという話になる。
 タスキを付けたままで南千里の会場へ。池の周りにどんどん人が集まってくる。 「戦争させない!9条こわすな!吹田市民集会」が始まり、ヒロシマの九三歳の被爆者の発言からスタートし、弁護士、市会議員などでリレートーク。近隣の高槻市で八〇〇名、茨木市では五〇〇名などの集会が行われたことが報告された。今日の集会は六〇〇名が参加したが、目標の一〇〇〇名までは、まだ遠い。
 集会の間にニュータウンから山田西方面へ三キロのデモ。
 デモ隊がこの道を通るのは朝鮮戦争に反対した一九五二年の吹田事件以来のことではないだろうか。
 マンションの窓から、車から、自転車から手を振る人がいる。
 しっかりとみんなに伝えていこう。憲法九条の大切さを!  (河)
  …… ……  

民主主義ってなんだ!

 これから来年にかけて選挙の年になる。
 投票して議員を決めるのが民主主義の基本だと言われてきた。
 ところが地方選などで投票率がどんどん下がってきている。
 投票率が下がったといっても、みんなの政治への関心が低くなったわけではない。
 フランスの大学教授のP・ロザンバロンは「選挙や議会ばかりが民主主義ではなく、デモやNPO、NGOの活動も民主主義である」と言っている。ボクシング場に見立てて、相手と殴り合い、カウンターを浴びせあうことをデモクラシーの根本であるとするわけだ。
 ようやくこうした状況がみられるようになってきたが、まだまだだ。
 それに投票率が下がる要因として、受験戦争、就職活動、非正規雇用社員の増加、国がほとんど助けない子育てなどなど、みんな忙しいことがあるからだ。 (龍)


浅沼稲次郎を追悼し未来を語る集会 

       ― 日本の民主主義の危機を考える

 10月1日、日比谷公会堂で「浅沼稲次郎さんを追悼し未来を語る集会―日本の民主主義の危機を考える」(主催・浅沼稲次郎さんを追悼し未来を語る集会実行委)がひらかれ、八〇〇人あまりが参加した。

 1960年10月12日に日比谷公会堂で開催された当時の自民・社会・民社3党首立会演説会に参加した社会党の浅沼稲次郎委員長は、右翼少年・山口二矢によるテロで非業の最期を遂げた。1959年、訪中した浅沼は「アメリカ帝国主義は日中両国人民の共同の敵」と発言し、六〇年安保では先頭に立って闘いぬいた。総選挙を目前にしたこの時期、浅沼は自民党政権、右翼の憎しみの的となった。
 浅沼は「選挙の際は、国民に評判の悪い政策は、全部伏せておいて、選挙で多数を占むると……」と言いかけた時に暗殺されたが、そのあとに続く言葉は、自民党政府のいつものやり方を批判し、安保条約改定後の日米軍事同盟の強化、自衛隊増強の政策をするどく批判したものだったという。

 集会では、はじめに当時の事件映像が上映され、講談師の神田香織さんが、詩人で浅沼の友人でもあった草野心平の詩「浅沼委員長の死を悼む」を朗読した。

 実行委員会を代表して内田雅敏弁護士があいさつ。2015年の戦争法案反対の大きな運動は60年安保闘争とおなじく、反戦争、反安保の闘いであり、これからも持続する闘いである。この日比谷公会堂には浅沼委員長の像を刻んだレリーフがあるが、この上に掲示板がかけられ、その存在が忘れられようとしている。今日でも戦争法制反対を闘ったSEALsの奥田愛基さんに暗殺の脅迫が行われているが、テロは絶対に許してはならない。

 崔善愛さんのピアノ演奏につづいて、事件当時社会党本部勤務で元都議会副議長の四谷信子さんが、事件現場での状況を語った。浅沼さんは「人間機関車」と言われた通り、全国を駆け巡って活動していた。今でも思い出すが、会議での議事録は克明にとり、また住まいの深川のアパートにはしょっちゅう人が訪れるなどみんなに愛されていた。当時、沖縄は米軍占領下にあり、本土の米軍基地もますます増強されようとしていた。60年安保条約改定は、アメリカが自衛隊など日本を都合よく働かせるためのものだ。訪中しての「アメリカ帝国主義は日中両国人民の共同の敵」発言は自民党や右翼はもちろん、マスコミ、党内の一部からも批判の声が上がったが、浅沼は絶対に信念を変えなかった。浅沼暗殺の翌日から「ヌマさんをかえせ!」というデモがひろがった。翌日からの社会党大会では、享子夫人が、浅沼のかばねを乗り越えて挙党一致、総選挙での大勝をはたしてください、と力強く述べられていたのが心に残っている。

 村山富市元首相。私の尊敬する政治家は浅沼さんであり、生涯を浅沼さんを師として、その志を受け継いでいきたい。

 辻元清美衆議院議員(民主党)。今の日本は60安保そして浅沼さん暗殺という時期と同じようになってきている。60年安保と15年戦争法制、浅沼さんと奥田さん、そして当時の岸首相とその孫の安倍首相。しかしこの間の運動の中で、さまざまな新しいことがおこり、力付けられている。ひきつづき闘っていきたい。

 「のりこえねっと」共同代表の辛淑玉さん。60年安保という大きな運動の後にどうしていくか。山口二矢は、安保反対運動の盛り上がりとその持続が怖かったのだ。安倍首相もこの間の運動に衝撃を受けているはずだ。浅沼さんなら、きっと言ったはずだ。「ともに生きる民の連合」と。

 平野伸人(平和運動支援センター所長)。本島等元長崎市長のブレーン・影武者と紹介されましたが、今日は、本島さんが銃撃された時の血染めのワイシャツを着てきた。昭和天皇に政治責任があるという発言に、右翼が1990年1月18日、背後から銃撃した。奇跡的に命を取り留めた本島さんは、その後も節を曲げることはなかく、浅沼さんと通じるものがあると思っている。

 吉田忠智民党党首。私と浅沼さんの共通のことがいくつかあるが、最大のものは、日本国憲法をこよなく愛し、これを政治に生かさなければならないと深く決意していることだ。浅沼の志を受け継ぎ、戦争に反対し、憲法の平和主義、立憲主義を守りむいていかなければならない。院外の大衆的な運動としっかりと結びつき、来年の参院選では、野党の結束を強めて、自民党を過半数割れに追い込もう。今日を新たなスタートとしよう。

             ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

草野心平 《浅沼委員長の死を悼む》

     ……

     私は政治を知らない。
     私はどの政党にも属さない。
     私は然し一人の日本人として
     日本民族の一員として
     沼さんの死を心から悼む。
     少年の刃を心から憎む。
     少年の背後を更に深く深く恐れる。
     日本を愛するといって日本をあやまる人たち。
     間接に人殺しを援助する人たち。
     その暗いテロリズムを憎む。

       六〇年十月十二日。
       沼さんは倒れた、でない、倒された。
      一本の刃で突如。
      そして何百何千もの凶器が息をひそめて
      何かを待ちかまえているような不安と恐怖のいまは時代だ。

     ……

        けれども
        けれども然し
        その全生涯を行動してきたあなたの正義の夢は
        沼さん 断じて死なせない。
        その夢を生かせ。
        その夢をたちきったものを
        そのすべてをあばけ。
        日本の現在のために。
        未来のために
        これから生まれる新しい歴史のために。

                    1960・10・20


書 評

    「右傾化する日本政治」(岩波新書)  中野晃一著


 この本は、戦争法案廃案運動の最中に出版された。多くの活動家は運動の最中に読むことは難しかったのではなかったろうか。だが、あらためて日本の政治の右傾化の流れと本質つかみとり、対抗戦略を構想するために様々な示唆を与えてくれる本書は貴重である。

 本書の構成は、序章 自由化の果てに 第一章 五五年体制とは何だったのか 第二章 冷戦の終わり 第三章 「自由」と「民主」の危機 終章 オルタナティブは可能か、である。忙しい方は、序章、第三章、終章からまず読まれることをお勧めしたい。
 中野氏は、日本の政治が大きく右傾化したがその本質は「新右派転換」と呼ぶべきであるとする。そしてそれは、日本だけではなく米国や英国を代表格とする「新右派転換」と連動したものであり、小選挙区制度の導入が果たした役割が大きいと指摘する。
 では、その「新右派」とは何か。中野氏は、新自由主義と国家主義の連合派であるとする。そして、その両者の連合を可能としたのは、「理念的な親和性」と「利害上の適合性と一致」、「政治的な補足性」にあると分析する。この強固な新右派連合形成の政治過程が第一章、第二章、第三章で詳しく展開されている。

 終章 オルタナティブは、今後の展望部分である。その前提として、まず、民主党の成功と挫折を分析し、政権交代の挫折をこう総括する。「歴史的な民主化の瞬間というにしては、その主役、すなわち民主化を担った市民たちの姿はどこにもなかったのである。柔らかい支持が動き、低迷していた投票率が一時的に回復したのは事実だが、新しい政権党を支える民衆的基盤の後退ないしは拡大においては見るべきものがなかった」中野氏は、「無血の民主革命」は、民衆なき「政権党の交代」にすぎなかたために政治権力の抵抗にあうや否や新政権は急速に失速し、もろくも変質し分裂した、と総括する。
 そして、「新右派連合」への対抗戦略が「リベラル左派連合」として構想される。だが、その本格的な展開は紙面の関係であらためて展開すると記されている。

 本書では、とめどもない右傾化の危機に対して、右傾化のカウンター・バランスを築き直すためには、「自由主義(リベラル)勢力と革新(左派)勢力がそれぞれに再生を果たし、何らかのかたちで相互連携を行うほかない。」とし、そのための基礎条件として三つを上げている。
 まず一つは、小選挙区制の廃止。
 第二は、新自由主義との決別。
 第三は、同一性にもとづく団結から他者性を前提とした連帯へ、である。
 三つ目の課題では、「前衛政党や組合幹部からの上意下達的な組織モデルは、教条主義に陥り、独善の袋小路へと至るのみであった。」と左派の運動と組織の弱点が指摘されている。
 最後に「リベラル勢力が新自由主義ドグマと決別し、左派勢力が自由化・多様化をいっそう進めることによって民衆的基盤を広げたとき、はじめてリベラル左派連合による反転攻勢が成果を上げることになるだろう」と締めくくられている。小選挙区制の弊害とどう対峙し、あらたな「政権交代」=民主革命はどう実現できるのか。民主勢力の陣容の拡大をどう展望するのか、そして、その際に乗り越えるべき「左派」自らの課題とは何か、すぐれて実践的な課題が迫る現在の情勢の中で中野氏の提起から学ぶべきところは多い。 (矢吹 徹)


時 事 狂 歌

 波はしる辺野古の磯にかたりつつ

        疎外の身しる軍事資本に


 二〇一五年一〇月

                 ヽ  史


複眼単眼

   
 産経新聞のデモ(デマ?)報道記事がおもしろい

 産経新聞はこの間の戦争法に反対する行動に対してしきりに攻撃してきた。ところがその結果、「石を持ち上げて自分の足を打つ」(あるいは流行のオウンゴール)記事になっているのがなんとも面白い。
 九月一日の記事は八月三〇日の国会包囲十二万人行動にイチャモンをつけた。曰く、「安保法案反対デモ、本当の参加者数を本社が試算」と
 産経は共同通信が空撮した当日の国会正門前(並木通り)の集会の写真を使って、九つの正方形に割り、枠ごとにその人数を試算すると、主催者の発表した参加者十二万人という数字が実は多くても三万二千人に過ぎないと立証したと大騒ぎした。
 曰く「(計算は)上空から撮影した正門前で警備にあたっていた警察車両の前に機動隊員が十五人並んでいたことを基準とした。そこに面した正方形部分の人数を約二二五人と計算。白枠の正方形はその十六倍で約三六〇〇人とした。九つの白枠全てが参加者で埋まっても国会前は約三万二四〇〇人となった」という。
 産経が囲んだ国会正門前の写真の枠は、並木通り全体をカバーしておらず(おそらく三分の二)、また道路の左右の公園(南庭・北庭)の緑の森の中にギッシリといた(空撮では森にしか映らない)万を超える参加者は含まれていない。また当日は「国会包囲行動」で正門前だけでなく、国会を囲む他の辺、裏側の国会議員会館前、北側の国会図書館前でも歩道柵は決壊し、官邸前でも参加者はあふれていた。合計すると国会包囲だけで九万人近くなる。加えて当日は霞ヶ関、日比谷地区に計七つの宣伝カーを配置し、四つのステージを作って、参加者が多数結集した。これで計一二万人は少な過ぎる見積もりだ。実は空撮写真だけではなく、近辺の地下鉄の乗降客数の調査(通常の日曜の下車数を引いたもの、他にJR利用者や貸し切りバス利用者などが多数ある)でも主催者の数字は裏付けられ、国会審議でも警議員が国土交通省を通じて調査した乗降客数にもとづいて警察庁(警察がなぜかこのデモだけ三万三千人とリークした)は議員に喚問され、答えに窮している。
 産経の数字は主催者の発表の正当性を証明する素材でこそあれ、主催者をおとしめる材料には全くならない。
 さらに、九月一五日の産経による世論調査の記事も面白い。
 「九月一二、一三日に実施した調査で 『安保法案に反対する集会やデモに参加したことがあるか』と質問し、三・四%が「ある」と答えたという。これを受けて産経新聞は十五日の朝刊で「参加した経験がある人は三・四%にとどまった」と書 いた。「デモに参加しているのはたった三・四%にすぎない」と言いたいのだ。
 以下は毎日新聞のこの記事についての分析だ。
 この世論調査は全国の男女一〇〇〇人に電話で質問したとされ、そのうちデモや集会に参加したと答えた人が三四人いたと推定される。これは大変な人数だ。全国の有権者1億人にこの数値を当てはめれば、安保法案反対デモの参加経験者が三四〇万人に上る計算になる。
 調査ではさらに、デモ・集会に参加したことがないと答えた人「今後、参加したいか」と尋ね、一八・三%が「参加し たい」と答えたという。回答者全体の一七・七%がデモ・集会に参加したいと考えている計算になる。実際に参加したと答えた三・四% と合わせる と、五人に一人が安保法案反対のデモ・集会に参加した経験があるか、参加したいと考えていることになる。有権者一億人に当てはめれば二〇〇〇万人。 この調査結果にゆがみがないと仮定すれば、「安保法案に対する世論の反発の大きさ を示した」と書かなければならない。
 以上が毎日新聞の分析だが、産経はここでもオウンゴールをやってしまった。
つまり、総がかり行動が呼びかけた八・三〇国会包囲一〇万人、全国一〇〇万人行動の成功は産経新聞によっても裏付けられたことになる。 (T)