人民新報 ・ 第1332号<統合425号>(2015年12月15日)
目次
● 辺野古最新鋭基地絶対阻止! 現地での闘い、全国での支援・連帯行動を強めよう
● 辺野古代執行訴訟第一回口頭弁論
翁長知事 理不尽な国へ堂々の反論
● 大阪・憲法のつどい2015
水島朝穂さんの講演とリレートーク
● 国連・人権勧告の実現を!
日本での人権無視・蹂躙の横行
● 南京大虐殺78カ年 ―もうくりかえすまい 戦争と虐殺―
2015年東京集会で、陳徳寿さんが証言
● 特定秘密保護法制定から2年 秘密法廃止へ!集会 保阪正康さんが講演
● 時事連句
● 複眼単眼 / 戦争法廃止の2000万人統一署名に参加を
● 冬季カンパの訴え
辺野古最新鋭基地絶対阻止!
現地での闘い、全国での支援・連帯行動を強めよう
安倍政権の沖縄辺野古新基地建設強行に大きな怒りの声が広がり、現地での熾烈な闘いが行われ、全国各地でも沖縄に連帯する行動が広がっている。
米軍キャンプ・シュワブ第一ゲート前では新基地建設のための資材搬入を阻止するため市民が座り込んだ。11月18日は座り込み開始から500日目。その前日には辺野古埋め立ての代執行を求め国が知事を提訴した緊迫した状況だった。そして、1200名が工事用車両を阻止した。裁判闘争でも翁長知事を先頭にして理不尽な国のやり方への断固たる反撃が行われている。
東京では、11月29日、「日本政府=国土交通省による『翁長知事の埋め立て承認取り消し』の効力停止決定糾弾!」「埋立て工事を阻止しよう!」のスローガンを掲げて、「辺野古に基地は造らせない大集会」が日比谷野外音楽堂で開かれ、4500人が結集した。主催は、これまで何度も国会包囲行動を実現してきた「止めよう!辺野古埋立て 国会包囲実行委員会」で、この一年ともに安倍政治の暴走と戦争する国づくりに抗する運動の高揚を実現してきた「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が協力した。
海上ヘリ基地建設反対・平和と名護市政民主化を求める協議会(ヘリ基地反対協議会)の共同代表安次富浩さんが、沖縄からの報告。安倍政権は沖縄の民意を完全に無視している。現場では沖縄県警、海上保安庁だけでなく、警視庁機動隊が導入され、それだけでなく大阪などの警察も導入されるという体制の下で酷い弾圧が行われていて、あばら骨を折られるなどの被害が出ている。しかしゲートまえの毎日の座り込みでは作業車を基地に入れない行動を展開中だ。沖縄の闘いへの支援もひろがっている。辺野古基金には四億六〇〇〇万円のカンパが寄せられた。沖縄の闘いをその他のさまざまな闘いと結合し、そして来年の参院選では統一して闘い安倍に大きな打撃を加えよう。
つづいて島ぐるみ会議共同代表の高里鈴代さん、おなじく島ぐるみ会議共同代表で連合沖縄会長の大城紀夫さんが沖縄の闘いの報告と支援・連帯行動のさらなる拡大を訴えた。学者文化人からは田中宏一橋大名誉教授、料理研究家の枝元なほみさんがともに闘っていこうとアピールした。リレートークでは、総がかり行動実行委員会構成三団体の戦争をさせない1000人委員会、解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会、戦争する国づくりストップ!憲法を守り・いかす共同センターが、それぞれ2000万人統一署名を成功させ、統一候補で参院選で勝利しようと訴えた。また、フォーラム平和・人権・環境、安保破棄中央実行委員会、全国労働組合連絡協議会、全国土砂搬出反対連絡会議、マスコミ文化情報労組連絡会議、SEALs、沖縄県人会などからの発言がつづいた。
安倍政権は、南西諸島の武装化によって中国との対決・戦争準備を進めるとともに、排外主義をあおり、国内世論を操作し、戦争する国づくりを具体化・本格化させようとしている。辺野古新基地は日米共同軍事体制強化のための最新鋭基地である。沖縄の総意を無視して強引に辺野古に基地つくろうとする安倍政権に反対して、沖縄と連帯する運動を各地で強め、絶対に辺野古に基地は造らせない、安倍内閣打倒の力をしっかりと強めていこう。
辺野古代執行訴訟第一回口頭弁論
翁長知事 理不尽な国へ堂々の反論
辺野古新基地建設反対―この声は、昨年11月の沖縄県知事選、12月の総選挙の結果でも明らかだ。新基地反対を掲げて勝利した翁長雄志知事は、仲井真弘多前知事の辺野古沿岸部の埋め立て承認について第三者委員会の検証結果を受け、今年10月に「取り消すべき瑕疵(かし)」があると結論付けた。これにたいし、日米軍事同盟の強化を最優先する安倍政権は、「代執行」(知事に代わって取り消し処分を撤回する)に向けた訴訟を福岡高裁那覇支部に起こした。沖縄県は全面対決の姿勢を強め、翁長知事による埋め立て承認取り消し処分の効力を一時停止している国土交通相の決定について、取り消しを求める訴訟を起こした。
12月2日、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)で辺野古新基地建設に向けた沖縄県前知事仲井眞の埋め立て承認を取り消した処分をめぐり、国が翁長雄志知事を訴えた代執行訴訟の第1回口頭弁論が行われた。
翁長知事は「歴史的にも現在においても沖縄県民は自由、平等、人権、自己決定権をないがしろにされて参りました。私はこのことを『魂の飢餓感』と表現をしております。政府との間には多くの課題がありますが、『魂の飢餓感』への理解がなければ、それぞれの課題の解決は大変困難であります」と述べ、琉球王国の時代、日本政府による琉球処分、凄惨な地上戦、戦後の「銃剣とブルドーザー」での土地を強制的接収、米軍の施政権下の時代、ベトナム戦争、プライス勧告拒否の闘いを振りかえり、「あろうことか、今度は日本政府によって、海上での『銃剣とブルドーザー』をほうふつさせる行為で美しい海を埋め立て、私たちの自己決定権の及ばない国有地となり、そして、普天間基地にはない軍港機能や弾薬庫が加わり、機能強化をされ、耐用年数200年ともいわれる基地が造られようとしております。今沖縄には日本国憲法が適用され、昨年のすべての選挙で辺野古新基地反対の民意が出たにもかかわらず、政府は建設を強行しようとしております。米軍基地に関してだけは、米軍施政権下と何ら変わりはありません」と強調した。また「経済の面では、米軍基地の存在は今や沖縄経済発展の最大の阻害要因」だと指摘している。「戦後70年を経たにもかかわらず、国土面積のわずか0・6%しかない沖縄県に、73・8%もの米軍専用施設を集中させ続け、今また22世紀まで利用可能な基地建設が強行されようとしております。日本には、本当に地方自治や民主主義は存在するのでしょうか。沖縄県にのみ負担を強いる今の日米安保体制は正常といえるのでしょうか。国民のみなさますべてに問いかけたいと思います。沖縄、そして日本の未来を切りひらく判断をお願い致します」と結んだ。
沖縄の近現代史を踏まえ、日本政府の沖縄への差別、そして結果としての沖縄への基地負担の加重、新基地建設に対する反対を訴える理路整然とした実に感動的な弁論であった。
福岡高裁那覇支部は、沖縄の人びととそれを支持する全国の人びとの心を代弁する翁長知事の訴えを真摯に受け止めなければならない。
大阪・憲法のつどい2015
水島朝穂さんの講演とリレートーク
11月28日、大阪市立中央会館で「戦争法廃止への展望を考える」講演のつどいが、とめよう改憲!おおさかネットワークが主催し開催された。毎年、11月3日の憲法記念日に集会を開催してきたが、今年は、戦争法廃案運動などの理由で集会の開催が28日となった。
集会には、180名を超える市民・労働者が参加し、熱心に講演に耳を傾けた。
水島さんは、運動を振り返り、「我々は勝っていないが、負けてもいない」と語り、引き続いて安倍独裁・違憲内閣とのたたかいを呼び掛けた。戦争法に関しては、「集団的自衛権の行使を個別的自衛権の枠内にとどめた、という理解は、アメリカには通用しない」と述べ、PKO法の改正と国際平和支援法について「非戦闘地域での活動をとりはらい、捜索救助活動に自衛隊を参加させたいアメリカの要求に沿ったもの」と批判した。また、最近の今井一氏らが提唱する「新9条論」についてもふれ「それで集団的自衛権を阻止できるなんて甘い考えだ。また、解釈を変えてくる。こちらから陣地を明け渡す必要はない。今ある憲法を徹底的に厳守することが必要で、緩めた瞬間決壊する」と厳しく批判した。講演は、最後に、来年の参議院選にも触れ護憲派の前進を目指そうと締めくくった。つづいて、リレートークにうつり、大阪教育合同の大椿さん、憲法違反の安保法の廃止をもとめる大阪大学人の会の今岡さん、ピースアクションの山下さん、集団的自衛権違憲訴訟の会の冠木さん、シールズ関西の大野さんからそれぞれ活動報告と問題提起を行った。最後に集会のまとめを中北龍太郎共同代表が行い、「戦争法廃止の取り組みを緩めず、市民が声をあげ続けることが大切。来年の夏の参議院選が重要な意味を持つ。ともに戦おう」と締めくくった。(大阪・Y)
国連・人権勧告の実現を!
日本での人権無視・蹂躙の横行
国際連合人権理事会は、国連加盟国の人権の状況を定期的・系統的に見直すことによって国際社会の人権状況を改善しようとする機関である。
現在、日本政府に対する主な国連人権勧告として、個人通報制度の批准、独立した国内人権機関の設置、取り調べの完全可視化、代用監獄の廃止、刑事司法手続きの改善、日本軍「慰安婦」に対する公式謝罪と人権救済、婚外子に対する差別的法制度の撤廃、マイノリティの子どもの教育、女性労働者の権利、難民や移住労働者の権利、アイヌ・沖縄の先住民族の権利、部落差別問題、障害者の権利、精神障害者の非自発的入院、「特定秘密保護法」、人種差別禁止法の制定、ヘイト・スピーチの法規制・死刑制度廃止に向けた取り組み、朝鮮学校への適切な財政措置、セクシュアル・マイノリティに対する差別、人身取引や外国人技能実習生制度、思想・表現の自由(「君が代、日の丸」不起立者への処分問題)、福島原発事故後の健康に関する権利など多数に上る。
にもかかわらず、国連の表現の自由を担当するデービッド・ケイ特別報告者(アメリカの国際法学者)が予定していた日本での現地調査(12月1日〜8日)が、日本政府の突然の要請で延期された。外務省は「予算編成などのため受け入れ態勢が取れず日程を再調整」と説明しているが、10月時点では了承していたのであり、実のところは特定秘密保護法や政府によるメディア介入などが問題となるのを逃げたというのが本当のところだろう。いかにも安倍政権のやりそうな姑息な手法だ。日本政府のこのような恥ずべき行為は断固として批判されなければならない。
また「国境なき記者団」の報道の自由度調査では、日本のランキングは民主党政権が誕生した2009年に17位、2010年に11位となったが、12年には22位、13年に53位、14年に59位、そして15年には61位まで下げることとなった。安倍政権の下の日本の民主主義・報道の自由が危機が進行していることを物語っている。
12月5日、人権が守られる社会を実現するため、代々木公園で、「国連・人権勧告の実現を!実行委員会」主催の「国連・人権勧告の実現を!集会・デモ」が行われた。
藤田早苗さん(英国エセックス大学人権センターフェロー)が「国連・表現の自由特別報告者の来日問題について」特別報告を行い、また、「国内人権機関と個人通報制度について」、「人種差別撤廃基本法制定に向けて」、「安倍政権の国連人権勧告は守る義務なし」問題についての発言があった。沖縄・辺野古新基地、原発再稼働、「高校無償化」制度からの朝鮮学校除外問題などについてテーマ別アピールが行われ、集会アピール(別掲)が提案・採択され、デモに出発、日本政府は国連・人権勧告を守れ、すべての人に尊厳と人権を、沖縄に基地を押し付けるな、多民族共生社会をつくろうなどのシュプレヒコールをあげた。
国連・人権勧告の実現を! 12・5集会アピール(要旨)
昨年7月、国連・自由権規約委員会は総括所見を発表し、日本に関して、ヘイト・スピーチ、死刑廃止、「慰安婦」、福島原子力災害など19項目の個別人権課題に関しで評価・勧告を行いました。また8月には、人種差別撤廃委員会が総括所見を公表し、朝鮮学校の高校「無償化」排除、沖縄問題など31項目について懸念を表明、または勧告しました。それから1年以上が経過しました。日本政府はこれらの勧告を受けとめ、改善に向けて努力する義務を負っていますが、何ら責任を果たしていませんそれどころか人権侵害を強めてさえいます。
いま琉球・沖縄の人々に対し日本政府は凄まじい人権蹂躙の攻撃を行っています。これは琉球・沖縄の「自己決定権」(国連人権規約第1条)を踏みにじるものであり、国連人種差別撤廃委員会が認めた先住民としての権利を侵害する行為です。 福島の原発事故被害者に対しては、避難指示解除と「帰還」政策が押しつけられています。これは自由権規約委員会の勧告を無視し、踏みにじる行為です。
朝鮮学校の子どもたちは依然としで高校「無償化」から排除されたままに置かれています。在日コリアンに対するレイシスト・排外主義者たちのヘイト・スピーチは京都朝鮮学校襲撃事件裁判最高裁判決後も続いています。
私たちは、この国の人権状況を国際基準に沿って変えていくよう日本政府に求めます。そのために政府から独立した国内人権機関の設置、個人通報制度の確立を求めて運動を強めていきます。
ナショナリズム、排外主義―「一億総活躍」のもとに人権、自由を抑圧し、平和を壊す動きに対して、私たちは立ち向かいます。
世界人権宣言―国際人権法のもとに連帯を広げていきます。尊厳と人権をとりもどし、平和を実現するためにともに力を尽くしましょう!
南京大虐殺78カ年 ―もうくりかえすまい 戦争と虐殺―
2015年東京集会で、陳徳寿さんが証言
侵略戦争美化許さず
12月9日、全水道会館で「南京大虐殺78カ年 2015年東京証言集会―もうくりかえすまい 戦争と虐殺―」(主催・ノーモア南京の会)が開かれた。
田中宏さんが主催者を代表してあいさつ。1937年12月におこった南京大虐殺から78年がたったが、侵略の歴史を否認し新たな戦争の体制をつくろうとしている安倍内閣の動きを見れば決して過去の問題ではない、1997年から集会を続けているが、「もうくりかすまい戦争と虐殺」という思いをいっそうつよめている。
つづいて、「侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館」の張建軍館長からのメッセージが紹介された。張館長は「南京大虐殺は山のような確実な証拠によって証明されている歴史の真実です。それゆえ今年の10月に『南京大虐殺資料』が国連の世界記憶遺産に登録されました。しかし、日本の右翼勢力は一貫して南京大虐殺を否定し、侵略戦争を美化しようとしており、それは平和を愛する中国人民と日本人民の容認できないものです」「私たちの共同の努力で、歴史の真相を守り、中日両国人民の後の世代までの友好を促進するようこころから希望します。歴史を鑑とし、未来に向かう。共に人類平和のために貢献しましょう」と述べている。
陳徳寿さんの証言
1937年日本兵が南京を占領した時、私はやっと6歳になったばかりで、当時私の家には、祖父、祖母、父親、母親と私、そして叔母とその娘と息子の8人で住んでいた。家は城南天青街古林営4号にあり、服装店を営んでいた。父親は服づくりを請け負っており、お金は材料費に使っていて、また母は身ごもっており、臨月を迎えていたので、どうしようもなくて南京を離れて逃げることはできなかった。
12月13日の朝、日本兵が城内に入ってきた。すぐに街角に放火したので、隣近所の人は消火にでかけた。私の父も出かけたが、日本兵に捕まって連れて行かれ、返ってこなかった。父の名は陳懐仁といい当時28歳だった。その日の午前9時頃一人の日本兵が銃剣をもって家に入ってきました。家族はなにも準備をしていなかったので、接待をすればいいのだと思い、祖父母は煙草や飴菓子を差し出しましたが、彼は要らない、娘を出せといった。当時私の叔母は一方の手で2歳の女の子を抱え、もう一方の手で4歳の男の子の手を引いていた。日本兵は彼女を見つけると彼女に近寄り引っ張っていこうとした。この時叔母はかかえていた娘を祖母に渡した。叔母は死んでも従わないという態度だったので、もみ合いなった。日本兵は怒り出し、銃剣で彼女を続けて6回も刺して帰って行った。私は、叔母が地面に倒れて血を流しているのを見た。彼女は祖母に、「お母さん、砂糖水が飲みたくてたまらない」といっていたが、祖母が砂糖水を待って来たときには、すでに意識がなくなっていた。叔母は母親がもってきた砂糖水を飲む間もなく死んでしまった。叔母の名前は陳宝珠といい当時26歳だった。叔母の死体は戸板の上に載せられ家の前に置かれていた。お金が無いので埋葬することができなかった。この時、私の母親は妹を生んだ。日本兵が城内に入って6日日、家では食べるものは何一つなくなった。
この時一人の日本人の将校が入ってきた。腰にはピストルをぶら下げていて、祖父が手まねで家の状況を説明すると、彼は祖父を連れて出ていった。まず、叔母のために一つの棺桶を捜し出し、そして私たちのために僅かばかりの食糧を探してくれた。私はこのような同情心のある日本人を忘れることができない。
家族の安全のために、私の伯父はある夜、私たちを難民区の近くの親戚の家に避難させた。この日は大雪で、道々私たちは常に死体に足をすくわれながら進んだ。ここに私たちは40日ほどいて、家に戻りました。父といっしょに連れて行かれた近所の人が家に来て、私の祖父に父親は日本人に殺されたと伝えた。父親は消火に出かけた時に日本兵に捕まり連れて行かれそうになった。父親は、家には老人から子どもまでいて、妻は出産を控えている、行くわけにはいかないと懇願したが、日本兵はこめかみと首を刀で刺した。そのほか一緒に捕まった2人も行きたがらなかったので、一人は刺し殺され、一人は首を刎ねられた。後に父の死体は三山街の承恩寺で知り合いが発見し、彼は木綿の掛け布団を戸板の上に掛けて防空壕のなかに入れてきた。40数日過ぎて祖父と伯父がそこに行って死体をきちんと埋葬した。父が死んでから、家のなかの主要な労働力はなくなってしまい、生活はますます苦しくなった。私が9歳になった時、南京では俗に流行病『進口痢』とよばれた「急性の細菌性の下痢」がはやり、妹と祖母はこの病に罹り、相次いでこの世を去った。医者に掛かるお金が無かったからだ。彼女たちを埋葬する費用のために、私の母は改めて嫁がざるをえなかった。そして、我が家は70余歳の祖父と私たち3人の子どもが残された。だが、祖父に3人もの子どもを養えるわけはなく、近所の人の助けで、従弟を孤児院に入れ、小さな従妹を別の人に預けた。後になって、祖父は彼らを捜しにいったが、ついに捜し出せなかった。皆病死したそうだ。
1945年、私は14歳になり、生活のために丁稚奉公に行った。1948年には継父がかつて日本兵に傷つけられたところが再発し、母親と8ヶ月の弟を残して、血を吐いて死ん困難になった。私には祖父を扶養する力がなかったのでやむをえず養老院に入れた。
1949年に私は18歳になり、工場で働くようになり、母親のもとに戻ってきた。生活は徐々によくなり、家族は8人となった。
いまの安定した生活があるのは、長い間戦争をせず、平和に経済建設に力を集中できたからだ。
昨年、ナガサキを訪問して日本人民も戦争の被害者だったことを知った。私たちは昔のことをけっして忘れてはいけない。
これからも中国と日本の人民は協力し、一生懸命努力して、平和と人民生活の改善を実現していかなければならないと思っている。
公然たる南京虐殺否定論
つづいて笠原十九司さん(都留文科大学名誉教授)が、「南京大虐殺を否定しようとする安倍自民党政権」と題して講演を行った。
安倍政権は戦争する国づくりを強行しているが、そのためには「侵略戦争はなかった」という世論作りは不可欠のものだ。そのためにいろいろなことを行っている。とりわけ「南京大虐殺はなかった」ということを必死にキャンペーンしている。この10月に国連教育科学文化機関(ユネスコ)は、世界記憶遺産に、中国の申請した「南京大虐殺の記録」を登録した。これにたいし、日本政府は即座に「中国の一方な主張に基づき申請されたものであり、文書は完全性や真正性に問題がある」という川村泰久外務報道官の談話を発表して、南京事件に関する文書の世界記憶遺産への登録を強く非難した。国会閉会中審査の衆議院予算委員会では自民党の稲田朋美政調会長は、ユネスコの記憶遺産に中国が申請した「南京大虐殺文書」が登録されたことに関し、「非常に遺憾。何か登録されるかいまだに明らかにされていない。事実がどうかも明らかにされず、ユネスコの在り方にも問題がある]と批判した。 また自由民主党の外交部会、文部科学部会、外交・経済連携本部、国際情報検討委員会、日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会の名による「中国が申請した『南京事件』資料のユネスコ記憶遺産登録に関する決議」は、「政府は中国に対し、ユネスコを始めとする国際機関を、これ以上政治的に利用しないよう強く要請すべきである。また、ユネスコに対しては、本『南京事件』登録を撤回するという新提案を直ちに行うこと、さらにユネスコの設立の本来の目的と趣旨に立ち戻り、関係国間の友好と相互理解を促進する役割を強く求め、記憶遺産制度の改善を働きかけ、ユネスコヘの分担金・拠出金の停止、支払保留等、ユネスコとの関係を早急に見直すべきである」という態度だ。
こうした南京虐殺否定論を許してはならない。日本国民として認識しなければならないのは、歴史の過誤を「負の歴史遺産」としてユネスコの「世界記憶遺産」に登録し、歴史の誤りを繰り返さないように人類の教訓とするという考えも大切なことであるということである。
マイナンバー制度の実施を前に、その危険性がいよいよはっきりしてきた。共通番号いらないネット、マイナンバー制度反対連絡会、マイナンバー違憲訴訟東京弁護団などの各団体が反対運動を中心的に担ってきた。マイナンバー制度の廃止を求めて、当面する対応の仕方として、次のように呼びかけている。
■番号の通知が届いたら
■危険な個人番号カードの申請はやめましょう!
個人番号通知には、通知カード、個人番号カードの申請書と返信用封筒が入っています。
ICチップの入っている個人番号カードは、さまざまな手続きで本人確認に使われます。
紛失しパスワードを知られると、他人があなたに成りすまして手続きをしたり、あなたの個人情報を入手する危険があります。
また、あなたがどこで何の手続きをしたか、追跡することも可能になります。
さらに9月に成立した番号利用拡大法では、個人番号カードに生体認証(指紋、虹彩、静脈、顔データなど)を記録する付帯決議もされています。
政府はマイナンバー制度を普及させるために、個人番号カードを来年3月までに1000万枚も配布しようとしています。
個人番号カードが普及すると常時必携の登録証になり、カードを持っていないと「不審者」と見られるような監視国家になります。
個人番号カードがなくても「通知カード」があれば、必要な手続きはできます(通知カードがなくても手続きは可能です)。
あえて個人番号カードを申請する必要はありません。
危険なマイナンバー制度が普及しないように、個人番号カードの申請はやめましょう。
個人番号カードの申請は任意です。申請する必要はありません。
個人番号の通知が届いたら、申請書を切り離して、両面に×を付けて、
「個人番号カードは申請しません」「マイナンバー制度には反対です」などの意見を添えて、返信用封筒で送れば、誰でも簡単にマイナンバーに反対する意思表示をすることができます。
直接、自治体窓口へ行くのもよいでしょう。
※返信封筒の宛先は、地方公共団体情報システム機構です。
特定秘密保護法制定から2年
秘密法廃止へ!集会 保阪正康さんが講演
12月6日で、特定秘密保護法制定からちょうど2年が経過した。
安倍政権は、秘密法制定に続いて、9月19日には戦争法(新法案である国際平和支援法と10の改正法案をひとつに束ねた平和安全法制整備法)を強行採決した。いずれも世論の圧倒的な反対の声を押し切っての暴挙であった。安倍政権の戦争する国づくりの重要な構成基盤の一つとして秘密法はある。その危険性はますます多くの人びとに知られるようになり、秘密法廃止に向けた運動も粘り強く続けられている。
12月6日、千駄ヶ谷区民会館で、廃止運動の中心を担っている「秘密保護法」廃止へ!実行委員会の主催で、「秘密保護法制定からの2年を問う 秘密法と戦争法がつくる『準戦時体制』とは何か」が開かれた。
秘密法廃止にむけて
はじめに、実行委員会から海渡雄一弁護士が「『秘密保護法』廃止へ!実行委員会―この2年間のとりくみと今後の活動」と題して報告を行った。
特定秘密保護法案の成立に反対して取り組んできた市民団体が、法律が成立した2014年に、「秘密保護法」廃止へ!実行委員会という名称で、「法律の廃止」を目指して活動を開始し、国会への野党統一廃止法案提出を目指し、野党各党に働きかけを行い、全国に呼びかけて廃止署名を集めた。
野党統一廃止案の提出にはいたらなかったが、民主党・維新の党による施行延期法案と、共産党・社民党・無所属議員による廃止法案の提出が行われた。
2014年春にはモートン・ハルペリン氏を招いたシンポジウムを開いて、ツワネ原則について学んだ。その後夏には、秘密保護法施行のための政令や運用基準の案についてのパブリックコメント募集に対し、ワークショップを開き、特に運用基準案の問題点を明らかにしながら、積極的に取り組んだ。
通常国会会期中は、「総がかり行動実行委員会」に積極的に参加し、その活動の一翼を担った。実行委員会は、特定秘密保護法の廃止が戦争法の廃止へと繋がること、またその逆の関係も成り立つことに確信を持っている。
その確信のもとに、今後も活動を進めていきたい。
いま、安倍政権がすすめる「安心・安全」という国づくりでは、安全という呪縛が政府を秘密のベールによって覆い、人々の自由を真綿で首をしめるように窒息させようとしている。
この息詰まるような監視社会のなかで、自由を守り抜くためには、萎縮することなく、知恵とバランス感覚をもって自ら発信を続けていく覚悟が求められている。
秘密保護法のメインの目的は、戦争準備のための国内体制を固めることだ。秘密保護法と日本版NSCの設置、安全保障法制=戦争法といった三本の柱で、戦争準備の態勢を整えることこそが安倍政権のねらいである。NSCは戦争の司令部をつくる法律であり、安全保障法制は戦争をする時の手続を定めた法律である。これに対して秘密保護法は、社会そのものを戦争モードに変え、戦争に反対することそのものをスパイ視するような社会にすることで、市民が戦争に反対することを困難にしていくことを目的としている。戦前の場合も、治安維持法と並んで軍機保護法の運用責任は特高警察にあった。反体制勢力の取り締まりを目的とする治安維持法と軍事秘密の保護を目的とする軍機保護法が同じ機関によって運用されていたという歴史を忘れてはならない。
じっさいにこの法律をつくり、運用している官邸の中枢に公安警察出身の警察官僚がいる。政府が戦争政策を推しすすめるときに最も大きな障害となるのは、市民からの反戦の声である。このような声にスパイとかテロリズムなどのレッテルを貼り、普通の市民とは違う存在だと思わせるには、秘密保護法とこの法律にもとづく公安警察の活動はきわめて有効である。秘密保護法は、必ずや戦争目的に奉仕する公安警察の強大化、公安警察の特高警察化への道を開くであろう。
今年3月13日には、警察の捜査手段を飛躍的に強化するものとして、政府は、盗聴法の拡大と司法取引を含む「刑事訴訟法等一部『改正』案」を閣議決定し、5月19日から国会での審議が始まった。
ウェブサイト「ウィキ・リークス」は、日本の政府高官や日銀、商社などのターゲットがアメリカのNSAによる行政盗聴の対象とされていた事実を暴露・公表した。だが日本政府は、このような情報について、アメリカ政府に公式の事実解明の要求すらしないで、ひたすら刑事盗聴の大幅拡大をもくろんでいるのである。
それだけでなく、政府は市民の強い反対運動によって三度廃案となった共謀罪法案の国会再提出を検討している。秘密保護法にはすでに共謀罪・煽動罪が規定されている。共謀罪法案は、さらに600以上の犯罪について、未遂、予備よりもさらに前段階の共謀すなわち犯罪の合意だけで処罰できるようにするというものである。会話やメールのやりとりだけで成立する共謀罪の捜査のためには、盗聴範囲のさらなる拡大が計画されるだろう。
安全保障法制=戦争法案においては、「存立危機事態」や「重要影響事態」を認定し、国会で事前ないし事後に承認を受けることとなっているが、その認定の過程において、市民がその根拠となる事実の存否を判断するために必要な情報が、秘密保護法の悪用により特定秘密に指定される恐れがある。安倍首相は、国会答弁において、武力行使の根拠となる情報が特定秘密となる可能性を認めている。これらの情報が市民にも国会にも公開されないまま、政府が恣意的につくりだした情報にもとづき、武力行使=戦争参加が決定される危険性が高い。
2015年11月14・15日の産経新聞と読売新聞に、すぎやまこういち(代表)、渡部昇一、ケント・ギルバート、小川柴太郎(事務局長)らが呼びかけ人となり「放送法遵守を求める視聴者の会」による全面広告が掲載された。この広告ではTBSニュース23のメインキャスター岸井成格氏が放送法違反である疑いが濃厚な発言であるといっている。そして、テレビ事業者は放送法の規制下にあり、放送法第4条の「政治的に公平であること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」の規定を遵守することを求め、政府の施策に反対する報道を牽制している。
しかし、放送法第4条には法的な拘束力がなく、倫理的な規範であると解するのが、通説的な見解である。この広告の依拠する放送法の解釈には根本的疑問がある。政府が報道の内容に基づいて、介入することは検閲や妨害に当たることは明白である。いま、政府・総務省が行っていること、「放送法遵守を求める視聴者の会」が広告において求めていることは、多様なジャーナリズムを抹殺しようとする危険な動きである。このような日本の表現の自由に関する状況は国際的な懸念の対象となっている。
日本の戦争国家化・ファシズム化を防ぐための最重要課題は、言うまでもなく、戦争法を廃止し、秘密保護法を廃止することである。 本来ならばいま、国連の人権理事会に対する表現の自由に閲する特別報告者のデビッド・ケイ氏が来日しているはずであった。
しかし日本政府が突然、ケイ氏の公式訪問をキャンセルしたため、ケイ氏は日本に来られなかった。国連はたびたび秘密保護法が市民の知る権利を侵害していると指摘してきた。今回の公式訪問は秘密保護法とメディアに対する規制など、日本の表現の自由に関する危機的な状況を調査するためであった。
秘密保護法と戦争法に反対する活動の中で、これまでの政治的な潮流の違いを大きく乗り越えた協同を現実化できた。これこそが、政治的な反安倍政権―反ファシズム統一戦線の萌芽である。ファシズムは人種差別と強い親和性を持っており、あらゆる形態の人種差別に強く反対し、隣国との紛争を平和的に解決するために努力することは、ファシズム化の流れを食い止め、新たな戦争を防止するために決定的に重要な課題である。戦争は、ウソと秘密から生み出される。満州事変もベトナム戦争も、そしてイラク戦争もそうだった。だとすれば、これに対抗する私たちが徹底して依拠しなければならないのは、事実・真実である。そして、ファシストがごまかしのための言葉を使うのであれば、これに対抗する私たちは、真実に忠実な言論を心がけなければならない。
準戦時体制化する日本
つづいて戦争への危険について積極的に発言をつづけている近現代史研究家でノンフィクション作家の保阪正康さんが「秘密法と戦争法がつくる『準戦時体制』とは何か」と題して講演。
安倍政権の国会審議のやり方、とくに自衛隊出身の議員が他の議員を指揮して法案を成立させるようなやり方を見ていると、かつての戦争への道を思い出してゾッとする。いま日常の中から足元が崩れていくことについて話したい。私は二つの質問は受けないことにしている。そのひとつは天皇の戦争責任についてだ。それはどう見てもあるに決まっているし、天皇自身もそう思っているからだ。天皇に責任がないというなら、天皇は単なるロボットに過ぎないということであり失礼な物言いになるだろう。
もう一つは、突然敵が攻めて来たらどうするかという愚問だ。戦争は突然には起こらない。その前に外交途絶などいくつもの段階がある。政治・外交の失敗がまずあるということだ。そういう質問は社会が劣化している証拠だ。
今年は太平洋戦争終結70年だが、末代まで伝えていかなければならない二つのことがある。まず、軍事が政治をコントロールしたということだ。よその国では多かれ少なかれ政治が軍事をコントロールした。これは第一次世界大戦の悲惨な実情から、軍事優先ではどこまでやるかわからいという危惧があったからだ。それが軍事学だ。日本では明治期にドイツ軍事学を丸暗記し、その上に、「武士道とは死ぬことと見つけたり」とする葉隠の精神が重なり、それが昭和16年の戦陣訓となった。捕虜にならずに死ねという強制だ。
次に、特攻、玉砕を日本は国家の戦略・戦術としたことだ。特攻では3800人以上が死んだが、7〜8割は学徒兵・少年兵だった。なぜ、軍人は行かなかったのか。多くの元軍人にもインタビューを行ったが、彼らの言うには「一人の軍人をつくるのにいくらかかるのか」ということがある。すなわち、カネのかかった軍人とカネのかからない消耗品として、人間の命の序列があったのだ。ヒロシマの爆心地に「救援」のために送られたのは中学生・女学生でかれらは被ばく者となった。近くに江田島の海軍基地があったのに軍人は送られていないのだ。軍事がすべてに優先するということとはこういうことなのだ。
戦争への道では、教育、情報、暴力、弾圧立法という正方形に国民を押し込むことがなされる。昭和八年、国定教科書に「ススメ ススメ ヘイタイススメ」が載った。これは陸軍省が教科書作りに参加したからだ。情報は一元化し、そのほかの報道をするな、ということになった。そして、暴力による威嚇、虐殺の横行、拡大されていくさまざまな弾圧立法だ。そうしたものに囲まれた人びとの世界はますます狭められていく。
特高警察について言えば、かれらは拷問をすればするほど評価が上がる。その目は、ガラス玉のようだったというが、弾圧機構には必ず病的な現象がみられる。
あの戦争では日本では310万人が死んだ。戦病死をふくめれば500万人にはなるだろう。そしてアジアなどの人びとへは2000万人の加害があった。そしてこれからは、われわれが次世代の人に聞かれる・話すということになり、この責任を果たさなければならない。
つづいて藤田早苗さん(英エセックス大学人権センターフェロー)が「国際社会からみた日本の表現の自由」と題して特別アピールを行い、日本新聞労働組合連合、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会、共通番号・カードの廃止をめざす市民連絡会、盗聴法廃止ネットワークから発言があった。
時 事 連 句
沖縄にぐんじ帝国でかい鼻
知事のぐんばい市民が声さ
民意などケチなことじゃと米軍意
軍需けいきはサタンのわらひ
わらひをる自公せいぢへ火消壺
来年こそはわれら消壺
二〇一五年一二月
ヽ 史
複眼単眼
戦争法廃止の2000万人統一署名に参加を
「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」など、二九の団体が共同で呼びかけた二〇〇〇万人署名運動が始まった。二〇一六年四月二五日まで約半年を期限にして、目標の二〇〇〇万筆を達成しようという壮大な署名運動だ。五月三日の憲法記念日の集会で結果を発表する予定だ。
呼びかけ団体に名を連ねているのはこの間、戦争法案廃案のたたかいで共同してきた、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会、戦争をさせない一〇〇〇人委員会 解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会、戦争する国づくりストップ!憲法を守り・いかす共同センター、安倍の教育政策NOネット、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック、改憲問題法律家六団体連絡会、国連人権勧告の実現を!実行委員会、さようなら原発一〇〇〇万人アクション、首都圏反原発連合、原発をなくす全国連絡会、脱原発をめざす女たちの会、日韓つながり直しキャンペーン二〇一五、日本軍「慰安婦」問題解決全国行動、反貧困ネットワーク、「秘密保護法」廃止へ!実行委員会、mネット・民法改正情報ネットワーク、全国労働組合協議会、全国労働金庫労働組合連合会、安倍政権にNO!東京地域ネットワーク、安全保障関連法制に反対する学者の会、安保法制に反対するママの会、NGO非戦ネット、女たちの平和実行委員会、自由と民主主義のために学生緊急行動(シールズ)、宗教者・門徒・信者国会前大集会、止めよう!辺野古埋め立て・国会包囲行動実行委員会、立憲デモクラシーの会、などだ。
従来はともするとこの種の署名運動はそれぞれにやられてきた。
今回はこれだけ多くの団体が統一・共同してすすめているという点でも、画期的なとり組みになっている。
十一月八日の朝日、毎日、東京の各紙の全国版に全面広告で掲載されたのをはじめ、各種のSNSや、労組・民主団体、市民団体などのルートで急速に広がっている。
これは二〇〇〇万筆を目標にした署名運動だが、
この数字は戦後の日本の署名運動の中でも、まれな目標だ。おそらく一九五〇年代初めの原水爆禁止を求める署名運動や、一九八〇年代の国鉄分割民営化に反対し、国民の足を守る運動といわれたものに匹敵する規模ではないだろうか。
前回参議院選挙の与党の得票総数が二五〇〇万票ほどで、右翼の桜井よしこらが、いま改憲をめざして集めている署名が一〇〇〇万署名だから、その規模の巨大さがわかる。
現在、安倍政権は憲法五三条を無視して臨時国会の開会を拒否している。このままでは安倍政権は通常国会以降は戦争法を政治の後景に押しやって、選挙の争点化するのを回避するに違いない。
この署名は来年夏の参議院議員選挙で、戦争法廃止を選挙の重要な争点に据えさせることをめざし、あわせて同法の廃止を求める野党各党の選挙共闘を後押しすることがその狙いでもある。
署名という運動形態は比較的誰でもとり組み安い形態の運動だ。普段、デモなどには参加しにくい高齢の人でも取り組むことができる運動で、活動の時間、場所、参加人数なども柔軟に工夫できる特徴がある。本紙の読者の皆さんにも、是非とも取り組んで頂きたいと思う。
総がかり行動実行委員会は、いま毎月一九日の街頭行動や、弁護士などが準備している戦争法の差し止め訴訟、国倍訴訟への協力、毎月第三火曜日の二〇〇〇万署名の統一街宣行動などに取り組んでいる
力を合わせて、この二〇〇〇万人署名を必ず達成しよう。 (T)
冬季カンパの訴え
労働者社会主義同盟中央委員会
今年は安倍政権の暴走に反対して、おおくの人びと・運動がまさに「総がかり」で闘い抜きました。この2015安保闘争の成果を引き継ぎ、政治反動と戦争準備政策、搾取・収奪攻撃に対決するおおきな運動で安倍内閣に打撃を与えましょう。
闘いの着実な前進のためにカンパをお願いし、あわせて機関紙「人民新報」の購読を訴えます。