人民新報 ・ 第1336号<統合429号(2016年4月15日)
  
                  目次

● 2015安保闘争の総がかり・野党共闘の成果を基礎に

    戦争法廃止!参院選勝利!安倍内閣打倒!

● 総がかり3・19行動

● 原発のない未来をめざして

    福島原発事故から5年、チェルノブイリ事故から30年―つながろう福島! 守ろういのち!全国集会

● 郵政労働者ユニオンの春闘スト  3・23〜24

    文字通りの非正規春闘を実現

● 72団体が「米韓合同軍事演習中止を求める緊急共同声明」・米大使館に申し入れ

● 4・6  16けんり春闘が一日行動

● 「秘密保護法」廃止へ!6日行動

    情報監視審査会はチェック機関になっていない

● 伊達判決57周年記念集会 最高裁砂川裁判は無効 アベ暴走政治にNO!

    集団的自衛権正当化の口実―砂川最高裁判決はそもそも不当なものだった

● 複眼単眼 / 施行された戦争法は世論の支持を得ていない






2015安保闘争の総がかり・野党共闘の成果を基礎に

             戦争法廃止!参院選勝利!安倍内閣打倒! 


 3月29日、「平和安全保障関連法」などいう欺瞞的な戦争法が施行された。戦争をしようというものは、「平和のため」と称するのを常とした。安倍政権に於いてはそのデマ的な手法は際立っている。
 昨年9月19日に強行採決・成立したこの法律は憲法違反そのものだ。憲法9条は「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」としている。戦争法は国際紛争解決のための武力行使を可能とするものだ。日米安保体制の下、アメリカの軍事戦略に基づいて、自衛隊が海外で戦う―アメリカの利益のために戦う。そのアメリカの戦争のデタラメさはイラク戦争で立証されている。
 しかも安倍内閣は戦争法施行をして置きながら、それにともなう自衛隊の新たな任務については、その内実がひろくわかるようになることを恐れている。自衛隊のPKO派遣での「駆けつけ警護」、また日米物品役務相互提供協定(ACSA)の改定などについて国会提出をおくらせている。7月参院選での影響に危惧して、今国会での成立を見送り、秋の臨時国会に先送りする方針だ。環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案と関連法案についても同様に対応するとみられている。
 このように重大な影響をもたらす諸課題を隠し、口当たりの良い言葉で民衆をだまし、そうした争点隠しの選挙での結果を、「国民に信任された」として、選挙後に思うまま気ままに悪法を成立させる、しかも強行採決によってである。こうした安倍政治は民主主義に逆行させるものであり、直ちにやめさせなければならない。

 安倍首相は、自分の任期中に明文改憲を実現したいと公言している。
 憲法違反の戦争法があるが、憲法9条を変えることはできていない。このままでは安倍の目指す戦争への体制を作り上げることはきわめて難しい。
 自民党憲法改正草案では、「第二章 安全保障 第9条(平和主義)は「自衛権の発動を妨げるものではない」とし、「第9条の2(国防軍)」を付け加え、そのなかで「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。」とする。
 戦争法は違憲であり、それを合憲とするためには、憲法を変えなければならないということであり、安倍たちの論理は全く逆立ちしている。
 安倍が任期中に改憲を強行するためにはまず7月参院選で改憲派が3分の2を取らなければならない。参院選では、安倍や与党は改憲を前面にださない争点隠しながら実質的に改憲にむけた重大なステップと位置付けている。 
 改憲への口実が「緊急事態条項(国家緊急権)」の創設ということだ。この条項は、かつてのドイツ・ワイマール民主主義体制において、ヒトラーはこの条項を使って独裁権力を樹立し、戦争へ向かったのだった。安倍の手法はまさにナチスの手口をまねたものなのである。
 このように改憲問題でも安倍のやり方は卑怯・姑息だ。2007年の参院選のように選挙公約で改憲を前面に押し出した場合には安倍は大敗を喫しているからだ。

 安倍政権の暴走政治は当然にも民衆の広範な怒りと立ち上がりをもたらした。戦争法案廃止を求めかつてない盛り上がりを見せた2015年安保闘争は総がかり行動で実現した。歴史的な事件ともいうべき実に画期的なものであった。その核となった総がかり行動実行委員会の行動は、さまざまな層の行動、ネットワークを作り出し、国会周辺を中心に全国各地で繰り広げられた大衆的な行動は、野党の共闘を実現する巨大な衝撃となった。
 そして今、参院選勝利と安倍政権打倒に向かっての流れが加速し、拡大している。
 戦争法廃止、参院選勝利、安倍内閣打倒!


総がかり3・19行動

 3月19日、「戦争法廃止!安倍政権の暴走許さない 総がかり日比谷大集会」が開かれ、五六〇〇人が参加した。戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会の全国統一行動日の取り組みだ。
 福山真劫さん(「戦争をさせない一〇〇〇人委員会」)が開会あいさつ。二〇〇〇万人統一署名が五〇〇万筆があつまり、今後の集約とあわせればかなりの数になるだろう。これからの課題は5・3憲法集会の成功、野党共闘を強めて参院選に勝利し安倍政権を退陣に追い込もう。
 野党からは枝野幸男・民主党幹事長、小池晃・共産党副委員長が安倍暴走政治とともに闘おうとあいさつ。社民党、生活の党からはメッセージが寄せられた。
 日本弁護士連合会憲法問題対策本部の福山洋子さん、イラク戦争検証委員会事務局長の志葉玲さん、全日本視覚障害者協議会代表理事の田中章治さん、日本医師会前会長の原中勝征さん、ヘリ基地反対協抗議船・船長の北上田毅さんが次々に発言、各地各界の総がかりでの行動が報告された。
 集会終了後は銀座デモで、戦争法廃止・安倍内閣退陣をアピールした。


総がかり行動実行委員会アピール

 戦争法廃止・安倍政権退陣・参院選勝利をめざして、ともに全力を尽くしましょう
 2000万人統一署名を推し進めましょう、5・3憲法集会、6・5国会包囲大行動に呼応して、全国津々浦々で行動を起こしましょう

 全国各地の市民のみなさん
 多数の世論の反対をよそに、3月29日、安倍政権によって憲法違反の戦争法が施行されました。総がかり行動実行委員会はこの歴史的暴挙に心からの憤りを表明すると共に、戦争法を絶対に発動させない、断じて、この国を海外で戦争する国にさせない決意を改めて表明し、心ある全国のすべてのみなさんに、いまこそ総がかりで行動に立ち上がるよう呼びかけます。
 昨年、戦争法案に反対する全国の市民の運動は大きく高揚し、野党各党の共同の動きと結合して、安倍政権の企てを追いつめましたが、戦争法案の採決強行を阻止するには至りませんでした。しかし、9月19日の戦争法案採決以降も全国で運動は継続され、2000万人統一署名運動をはじめ、各所で市民の行動は発展し、さらにこれが「市民連合」をはじめとする各地での参院選挙での共同候補擁立の運動と結びついて展開されています。
 米国に追従し、立憲主義を乱暴に破壊して、海外で戦争をする企てを強め、沖縄辺野古での基地建設を強行し、原発再稼働をすすめ、民衆の生活と権利を破壊する安倍政権の政治には、社会の隅々から怒りの声がわき起こっています。
 総がかり行動実行委員会は、今こそ、これを大きく結合し、安倍政権を追いつめ、打倒するために、お互いが大胆に連携して、可能な限りの行動を展開することを呼びかけます。
 戦争法廃止の2000万人統一署名を推し進め、当面する5月3日の憲法記念日の行動を、首都圏では有明防災公園に結集し、また全国各地では共同のデモンストレーションとして、同時多発の一大行動を繰り広げることを呼びかけます。そして、この力をさらに今国会終了時の6月5日午後、永田町・霞ヶ関一帯で、「戦争法廃止!安倍政権退陣!参議院選挙勝利!6・5国会包囲大行動」として、市民の総結集を行いたいと思います。是非とも全国の皆さまが国会包囲行動に駆けつけてくださいますよう訴えると同時に、昨年の「8・30国会包囲12万人行動、全国1000箇所以上の行動」を上回る行動をもって呼応してくださるよう呼びかけます。この力をもって、戦争法廃止・安倍政権退陣・参院選勝利を実現しましょう。
 4月下旬の2つの衆院補欠選挙を勝利させ、つづく参院選で安倍晋三政権が企てる改憲のための3分の2議席の確保を阻止し、安倍政権を退陣させましょう。

2016年4月7日

        戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会


原発のない未来をめざして

     
 福島原発事故から5年、チェルノブイリ事故から30年―つながろう福島! 守ろういのち!全国集会

 3月26日、「福島原発事故から5年、チェルノブイリ事故から30年―つながろう福島! 守ろういのち!全国集会」が東京・代々木公園(サッカー場をメインに、そのほか野外音楽堂、ケヤキ並木の計3つのステージで集会が行われ、また並木通りには多くのブースも設置された)で開かれ、3万5000人が参加した。主催は、さようなら原発1000万人アクション、原発をなくす全国連絡会、首都圏反原発連合、反原発運動全国連絡会で、脱原発福島県民会議、福島県平和フォーラム、福島原発告訴団、ふくしま復興共同センター、フクシマ原発労働者相談センター、双葉地方原発反対同盟が協賛し、戦争をさせない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会が協力するものだった。
 この日は、原発のない未来のための共同でアクションを決行する日「ノーニュークスデイ」の第6回目だった。
 首都圏反原発連合のミサオ・レッドウルフさんが主催者代表してあいさつし、「さようなら原発1000万署名」の呼びかけ人であるルポライターの鎌田慧さんと作家の澤地久枝さんが、原発も戦争もない社会をつくっていこうとのべた。
 「福島原発告訴団」佐藤和義副団長が福島の現状と被災者を切り捨てようとする政府への抗議と要求を強めていく運動をともに広げていこうと述べ、ベラルーシのジャンナ・フィロメンコさんは、チェルノブイリ原発事故では政府が危険を知らなかったことで被害はいっそう深刻化した、原発は安全だなどという事はないことは明らかになった、ともに原発をなくすために力を合わせていこうとアピールした。
 再稼働阻止闘争の現地からは、伊方原発反対して闘う中村嘉孝・原水禁愛媛県協議会事務局長、東海原発反対運動の村上達也元東海村村長、もんじゅ反対の宮下正一・原子力発電に反対する福井県民会議事務局長からの訴えが行われた。
 戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会の福山真劫さんは、2000万署名、参院選での野党共闘、そして5・3憲法集会などさまざまな行動への参加を呼び掛けた。 
 基地・軍隊を許さない女たちの会」共同代表で「オール沖縄会議」共同代表の高里鈴代さん、沖縄平和運動センター議長山城博治さんは沖縄の基地反対と原発反対の運動をともに強力に推し進めていこうと発言した。
 ステージには参加者の大きな拍手に迎えられて郡山市(3月12日福島県民集会)から出発して各地で脱原発を訴えてきたフクシマ連帯キャラバン(全港湾、全日建連帯、全国一般全国協など)が登場し活動報告を行った。
 集会を終わって、渋谷・明治公園・新宿中央公園をゴールに三コースでデモに出発した。


郵政労働者ユニオンの春闘スト  3・23〜24

          
 文字通りの非正規春闘を実現

 郵政産業労働者ユニオンは、3月23日、24日に全国12拠点23職場85人がストライキを決行した。
 郵政ユニオンの2016春闘要求は、内需を拡大し景気回復のためにも全社員の賃金を上げること、劣悪な労働条件で働く非正規社員の均等待遇実現と正社員化、利用者サービスを拡充するためにも正社員を増やすことなどを柱とするものだ。
 しかし会社は3月17日に、組合の春闘要求を無視した「ベアゼロ」回答など不満足なものであり、これにたいして郵政ユニオン中央闘争本部はスト決行を指令した。
 郵政ユニオンの16春闘は、非正規社員の均等待遇実現と正社員化を掲げ、そして非正規社員の組合員がストライキで闘うという文字通りの非正規春闘となった。
 23日東京地方本部では銀座郵便局、晴海郵便局でストに突入した。
 午前7時半からはじまった銀座郵便局前のスト突入集会は、銀座支部・晴海支部合同でおこなわれ、ユニオン組合員と東京地評、東京全労協などスト支援の労働者など100名こえる結集となった。 中央本部、地本からのあいさつ、本部交渉経過の報告などがあり、スト突入組合員の決意表明がつづいた。
 11時過ぎからは、200名が参加して郵政本社前集会が開かれ、全労連の井上久事務局長と金澤壽全労協議長、JAL争議団、なのはなユニオンが連帯のあいさつ。
 中央本部の中村知明書記長がスト突入報告。今回のストは参加者がこれまでで最大であること、そして三分の一が非正規社員であり正真正銘の非正規春闘として闘われたことである。女性の参加者も多く、女性も男性も、全労連、全労協、連合もふくめた総がかりの行動となった。そして支部が主体となって闘われたこと、これらが特徴としてあげられる。また明日もストに入る仲間がおり報告集会ではなく突入集会でもある。
 つづいてスト拠点を代表して、銀座支部の谷崎支部長と千葉支部の椿執行委員が報告を行い、最後に「ストライキ宣言」を全員で確認した。


 米韓連合軍は大規模軍事演習を中止せよ!
 米国政府は朝鮮政府と対話し休戦状態を終結させ平和協定を締結せよ!
 米日韓軍事同盟反対!


 
72団体が「米韓合同軍事演習中止を求める緊急共同声明」・米大使館に申し入れ

 4月いっぱいまで続くアメリカと韓国による史上最大規模の軍事演習「キーリゾルブ」「フォールイーグル」は先制攻撃、朝鮮指導者の暗殺をふくむもので朝鮮半島情勢をいっそう緊張させ軍事挑発といえるものである。安倍政権の下で戦争法制を具体化し始めた日本も米日韓の軍事一体化を押しすすめており、戦争への緊張激化の当事者となっている。こうしたきわめて危険な情勢に於いて、日韓民衆連帯全国ネットワーク、ピース・ボート、「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンター(VAWW RAC)、反安保実行委員会、許すな!憲法改悪・市民連絡会、在日韓国民主統一連合、フォーラム平和・人権・環境など72団体による「米韓合同軍事演習中止を求める緊急共同声明」がだされた。

 4月5日午前、代表団は、米国大使館に共同声明を手交した。大使館前では声明文を読み上げシュプレヒコールが行われた。

バラク・オバマ大統領、キャロライン・ケネディ駐日大使あての声明は、次のよう述べている。
 米韓合同軍事演習中止を求める日本からの緊急共同声明
(1)昨年、米韓連合軍司令部は「作戦計画5015」を策定し、3月7日から米韓軍30数万人を動員して開始された史上最大の米韓合同軍事演習「キーリゾルブ」「フォールイーグル」に本格的に適用しています。この新たな作戦計画は、ピョンヤン制圧まで想定したこれまでの「作戦計画5027」に加え、朝鮮半島における全面的な戦争に至る前の段階から、局地戦への軍事的対応計画を盛り込み、また朝鮮民主主義人民共和国の核・ミサイルの発射の「兆候」が見られた段階でこれに対する先制攻撃計画や、侵攻部隊による朝鮮指導者への「斬首作戦」まで織り込まれているとされて
います。この演習こそ最大の軍事挑発でなくて何でしょうか。
 この米韓連合軍による新たな先制攻撃戦略に、日本政府による集団的自衛権行使容認、改定された日米防衛協力指針(ガイドライン)、安保法制(戦争法)制定後の自衛隊が関わってくることは明らかです。私たちは、日米韓軍事同盟に強く反対します。
 こうした状況を朝鮮政府が重大な脅威と感じていることは明らかです。この中で、1月6日、朝鮮政府は自ら「自衛処置」とする「水爆実験」を実施しました。また2月7日に朝鮮が実施した人工衛星打ち上げを「事実上の弾道ミサイル発射」と称して、米日韓や国連安保理による対朝鮮「制裁」が繰り返されています。
 米国は、ここぞとばかりにB2ステルス戦略爆撃機やステルス戦闘機、空母機動部隊や原潜を朝鮮半島に派遣するなど軍事的圧力を強めています。佐世保の強襲揚陸艦に普天間や岩国の海兵隊部隊をはじめ在日米軍も投入されています。また、中国政府も強く反対している高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)の韓国配備も推し進めようとしています。
     (略)
 朝鮮半島における軍事的緊張の根源は何でしょうか。それは朝鮮半島が63年にも及び「撃ち方やめ」に過ぎない休戦状態のまま放置され続けていることです。
     (略)
 今求められているのは、朝鮮半島の休戦状態に終止符を打ち、当事国である米朝両国を中心とした平和協定締結に向かうことです。それこそが朝鮮半島における核問題解決の近道でもあります。
 米国政府が、朝鮮政府と対話により、平和協定締結の道を進むよう強く求めるものです。
 私たちは、かつての朝鮮侵略・植民地支配とその結果生み出された朝鮮半島の南北分断に対する日本の戦後責任を踏まえ、日本政府が広範な日本民衆の反対の声を 無視して強行採決した戦争法を廃止し、東アジアの一員として、東アジアの平和のために日米韓軍事同盟に反対し、朝鮮半島の平和協定締結を後押しするよう日本政府にも強く求めて行くものです。
 1、米韓連合軍は大規模軍事演習を中止せよ!
 2、米国政府は朝鮮政府と対話し休戦状態を終結させ平和協定を締結せよ!
 3、米日韓軍事同盟反対!


4・6

    16けんり春闘が経団連抗議・要請など一日行動


 昨年12月に発足した「16けんり春闘全国実行委員会」は、全労協、全港湾、全造船関東地協、民間中小労組懇談会、大阪ユニオンネットを代表幹事組合として、官民連帯、正規・非正規共同の闘い、外国人労働者・移民労働者などとの共闘・連帯を通じて、貧困と格差社会を許さず、沖縄の闘いと一体化して安倍政権の暴走政治と鋭く対決しながら、春闘を闘い抜いている。

 4月6日には、経団連、厚生労働省、日本郵政本社、首都高速本社にむけた抗議・要請行動を展開した。

 午後6時からは、「時代の転換に立ち向かい生活と平和を守る16春闘勝利!」「中小、零細企業労働者、非正規労働者の大巾賃上げ実現!」「戦争法廃止! 辺野古新基地建設阻止! 原発再稼働反対!」をスローガンにして「けんり春闘総決起集会」がひらかれた。約170名が参加した。
 はじめに主催者を代表して、けんり春闘共同代表の金澤壽全労協議長があいさつ。大企業の内部留保資金はかつてない大きさになっているが、連合などは要求を引き下げている。賃金は闘ってとるものだという基本を確認しなければならない。
 一日行動の報告は中岡基明事務局長。早朝からの東部地域の行動では辺野古工事を請け負っている五洋建設へも抗議行動が行われ、昼の経団連会館前集会では200名を超える労働者が抗議の声をあげ、霞が関の行動に移った。
 つづいて、全労協女性委員会、中小労組政策ネット、全水道東水労、全国一般全国協、全統一、全造船関東地協、国鉄労働組合、郵政ユニオン、全港湾、宮城全労協、大阪ユニオンネットから発言があり、争議組合としては、JAL裁判原告団、東京労組フジビ分会、ネットワークユニオン日本ナショナルインスツルメンツ班が決意表明をおこなった。
 最後に松本耕三共同代表(全港湾中央執行委員長)の団結ガンバロウで集会を終わり、デモに出発した。


「秘密保護法」廃止へ!6日行動

     情報監視審査会はチェック機関になっていない
         民放労連・高市総務相の辞任を求める
             表現の自由と国際人権法

 4月6日、「秘密保護法」廃止へ!実行委員会の「12・6を忘れない6日行動」がおこなわれた。
 衆院第二議員会館前で抗議行動を行い、つづいて、参院議員会館で院内集会「戦争法の施行を許さない!秘密保護法と表現の自由」が開かれた。
 集会では、参院・情報監視審査会委員の仁比聡平参院議員(共産党)が報告。衆参両院に、秘密指定について調査、審査を行う情報監視審査会が設置され、3月30日に初の審査会報告書が出た。そこには政府が2014年に指定した特定秘密382件の運用に関する調査の経過や結果などが記載されているが、しかし審査会が秘密の提出や説明を政府に求めても、提出するか、どう説明するかはいずれも政府の判断次第ということだ。たとえば国家安全保障会議(NSC)4大臣会合の結論は秘密指定され、公開されないことについて、政府は「詳細については公表しない」としている。また、自衛隊の部隊行動基準(ROE)について、「特定秘密ではない」と認めながら、開示しようとしない。このように国会の情報監視審査会はまったく「チェック機関」にはなっていない。こうした状態では、国会がみずから猿轡(さるぐつわ)をもっと締めるようなことになってしまう。秘密保護法と秘密保全体制は断固として廃止されなければならない。

 つづいて岩崎貞明・日本民間放送労働組合連合会書記次長が、「放送への圧力は許さない! 高市総務大臣発言を断罪する。―高市総務大臣への公開質問から辞任要求声明まで―」と題して報告。高市大臣は2月8日の衆院予算委員会で、政治的公平が疑われる放送が行われたと判断した場合、その放送局に対して「放送法の規定を順守しない場合は行政指導を行う場合もある」としたうえで「行政指導しても全く改善されず、公共の電波を使って繰り返される場合、それに対して何の対応もしないと約束するわけにいかない」と述べ、放送法4条違反を理由に電波法76条に基づいて電波停止を命じる可能性に言及し、9日の同委員会でも「法律に規定された罰則規定を一切適用しないとは担保できない」と、繰り返し電波停止の可能性を強調した。だが、放送法の解釈については「番組内容に関する規律は放送事業者の自律に基づくべき」との見解が一般的であり、一連の国会答弁には各方面から強い疑問が呈されている。 
 民放労連は、2月16日に「放送法・放送行政に関する公開質問状」を出した。高市大臣からは、2月29日付で回答の送付をうけた。しかし、その内容は不誠実極まりないものであり、3月1日には「高市総務大臣の不誠実な回答に抗議し、再回答を求める」をだした。これに対して、総務省は2日に、放送政策課名で「国会答弁の内容に尽きる」とする文書を送付してきた。これは、実質的に質問を無視する対応であり、放送の自由と自律を脅かす総務相発言を開き直るもので、けっして許せないものだ。そこで3月9日には「『停波』発言を撤回しない高市総務相の辞任を求める」民放労連声明をだした。そこでは「番組内容を理由とした政府による「停波命令に憲法上の問題はない」という総務相の答弁は、「『一切の表現の自由』を国民に保障した憲法21条に違反しており、憲法とは国民が権力濫用を規制するものだという立憲主義の否定に他ならない」とし、民主主義の根幹をなす「表現の自由」や立憲主義を否定する発言を繰り返して恬として恥じない高市総務相は、大臣の任に能わないことを自ら証明したものであり、私たち民放労連は、「停波」発言に固執する総務相の連やかな辞任を求めた。
 
 寺中誠東京経済大学教授は「表現の自由と国際人権法」と題して講演。国際人権法では、「表現の自由」という概念を広範に認めている。国際人権規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約)の第19条はつぎのように規定する。「1、すべての者は、干渉されることなく意見を持つ権利を有する。2、すべての者は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。3、2の権利の行使には、特別の義務及び責任を伴う。したがって、この権利の行使については、一定の制限を課すことができる。ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のために必要とされるものに限る。(a)他の者の権利又は信用の尊重(b)国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護」とある。これは、締約国に対し、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを探求し、受け取り及び伝える権利を合む表現の自由の権利の保障を要求するものであり、他者に伝達可能なあらゆる形態の考え及び意見の伝達を表明し受け取る権利及び表現する権利が含まれる。この権利には、政治的談話、自らへの取り扱いや政治に関する論評、選挙運動、人権に関する議論、報道、文化的及び芸術的表現、教育、ならびに宗教言説が含まれる。また、商業上の宣伝も含まれる。この範囲には、極めて攻撃的であるとみなされる表現も含まれるが、このような表現は第19条第3項及び第20条の「1、戦争のためのいかなる宣伝も、法律で禁止する。2、差別、敵意又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪の唱道は、法律で禁止する」の規定に基づき制限され得る。しかし、19条3項、および20条で制限されるべき表現とは何か?が最大の問題である。第3項は、表現の自由についての権利の行使が特別の義務及び責任を伴うことを明示する。このため、この権利には、限定された領域の制限が許容されている。それらは、他の者の権利又は信用を尊重すること、あるいは、国の安全、公の秩序又は公衆の健康もしくは道徳の保護のいずれかに関係するものであればよい。ただし締約国が表現の自由の行使に制限を課す場合、その制限が、権利自体を危うくするものであってはならない、ということだ。権利と制限との間の関係、及び、規範と例外との間の関係が逆転されてはならない。
 そして、刑事法的規制が正当化されるものについては特別の権利制限手続の規定を設けている。@法定性、A目的の必要性、正当性、B手段の合理性、C手段の相当性である。
 表現の自由に一定の法禁や規制があるが、それは民主主義社会を否定さないためだ。


情報隠しに抗議し秘密保護法廃止を求める

 
      日本新聞労働組合連合  中央執行委員長 新崎盛吾

 特定秘密保護法に基づき政府の秘密指定状況を審査する衆参両院の情報監視審査会が初の報告書を両院議長に提出した。秘密指定が適正かどうかにつき、担当者が詳細な説明を拒むなど、政府から審査会に十分な情報提供がなされなかったことが判明、審査会は結局、指定適否の判断を見送らざるを得なかった。新聞労連は、このような情報隠しにより、国民の知る権利をないがしろにする政府の対応に強く抗議するとともに、秘密保護法の廃止をあらためて求める。
 秘密保護法は衆参両議院で強行採決が行われた結果、13年12月に成立した。国の情報は主権者である国民に知らされるべきであり、一部の政治家や官僚が独占してはならない。にもかかわらずこの法律は政府が恣意的に情報を秘密指定でき、永久に非公開にすることも可能にしている。新聞労連は新聞業界唯一の産業別労働組合として、法案段階から一貫して反対を表明してきた。
 衆参審査会では、2014年12月10日から同31日に、防衛省など10の行政機関が指定した特定秘密382件の指定状況を審査した。報告書によると、指定管理簿の項目に文書の総数や、文書のタイトル等の一覧さえも示されていないものがあったというが、審査会の開示要請に対して、政府側は「今後の情報収集活動に支障を及ぼすというおそれがあり、公表を前提とした国会報告に記載することは不適当と考えている」などと回答している。守秘義務を負い懲罰の対象となる審査会の委員に対してもこのような対応であれば、国民の知る権利を軽視していると言わざるを得ない。
 安倍晋三政権は今年夏の参院選に向け、安全保障関連法などの既成事実を積み上げた上で、憲法改正の目標を明確に掲げた。日本の平和憲法が最大の危機を迎える中、自民党による報道への介入傾向が強まり、表現や言論の自由を阻害する空気が広がりつつある。政権に都合の悪い報道に圧力を加え、番組への政治介入を狙う意図をあらわにしているともいえる。
 先の戦争で国は国民に戦況さえも知らせず、戦争への道をまい進した。秘密保護法や安保法によって、そのような悲劇が繰り返されることがあっては絶対にならない。今回の情報監視審査会の報告で、この法律の危険性があらためて明らかになった。新聞労連は国民の知る権利に奉仕する立場から、秘密保護法の一日も早い廃止を求め続ける。

2016年4月1日


伊達判決57周年記念集会 最高裁砂川裁判は無効 アベ暴走政治にNO!

   集団的自衛権正当化の口実―砂川最高裁判決はそもそも不当なものだった


 東京地裁は3月8日砂川裁判再審請求に対する不当な決定を行った。

 4月3日、東京しごとセンター・講堂で、「伊達判決57周年記念集会―最高裁砂川裁判は無効 アベ暴走政治にNO!」が開かれた。
 集会では、再審請求人(武藤軍一郎さん、椎野徳蔵さん、坂田和子さん、土屋源太郎さん)の決意表明、常任弁護団(吉永満夫弁護士)からの「砂川事件再審請求について・裁決定と今後 @だましのテクニック一挙公開 A東京高裁の手続きについて」の報告、そして天木直人(元レバノン大使)による「今こそ対米自立を」と題した講演が行われた。

 東京の砂川町(現・立川市)にあった米軍基地の拡張に反対する闘い(砂川闘争)で、1957年7月に、基地反対派が基地内に立ち入ったとして、学生・労働者7名が「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第3条に基づく行政協定に伴う刑事特別法」違反で裁判にかけられた。
 被告人は基地の存在の根拠である安保条約などは憲法違反だとして無罪を主張して争った。
 1959年3月30日、東京地方裁判所刑事第十三部(伊達秋雄裁判長)は、全員無罪の判決を出した。いわゆる「伊達判決」だ。そこでは、「アメリカ軍がわが国内に駐留するのは、日米両政府の意思の合致があったからであって、アメリカ軍の駐留は、わが国政府の行為によるものであり、わが国の要請とそれに対する施設、費用の分担その他の協力があって始めて可能となるものである。わが国が外部からの武力攻撃に対する自衛に使用する目的でアメリカ軍の駐留を許容していることは、指揮権や軍出動義務の有無に拘わらず、憲法第九条第二項前段によって禁止されている戦力の保持に該当するものであり、結局わが国内に駐留するアメリカ軍は憲法上その存在を許すべからざるものと言わざるを得ない」として、「アメリカ軍が憲法第九条第二項前段に違反し許すべからざるものである以上、アメリカ軍の施設又は区域の平穏に関する法益が一般国民の同種法益以上の厚い保護を受ける合理的な理由は何ら存在しないところであるから、国民に対して軽犯罪法の規定(拘留又は科料)より特に重い刑罰をもって臨む刑事特別法第二条の規定(一年以下の懲役又は二千円以下の罰金もしくは科料)は、なに人も適正な手続きによらなければ刑罰を科せられないとする憲法第三十一条に違反し無効なものといわねばならない。よって、被告人等に対する公訴事実は起訴状に明示せられた素因としては罪とならないものであるから、刑事訴訟法第三百三十六条により被告人等に対しいずれも無罪を言渡す」という画期的なものだった。

 これにあわてた日米政府はこの判決を覆すために、高裁を飛び越して最高裁へ「跳躍上告」を行うなどさまざまな策を弄し、59年最高裁大法廷は原判決破棄差戻判決をだすなどして、63年12月に有罪罰金刑(罰金2000円)が確定した。

 ところが、この裁判とりわけ最高裁判決には重大な問題があることが暴露されることになった。
 2008年に、国際問題研究者の新原昭治氏がアメリカの国立公文書館(NARA)で日米安保条約関連ンお解禁文書の調査を行っていた折に、砂川闘争に関連する文書を発見し、その後もジャーナリストや学者による資料の発見が続いた。その中にはアメリカ大使館、在日米軍司令部などと当時の藤山愛一郎外相など密議を続けていたこと、とくに当時の最高裁長官の田中耕太郎裁判長までもが、米大使、公使と密会し、判決の時期や内容まで打ち合わせしていることが分かった。
 そのうちの一つが在日米大使館東京発(発信日1959・8・3 国務省受領日1959・8・5)であり、そこには日本の最高裁がアメリカの意向に沿った動きをしていること、その動向を逐一アメリカ側に報告している対米従属の事実が記されていた。
 「共通の友人宅での会話の中で、田中耕太郎裁判長は、在日米大使館主席公使に対し砂川事件の判決は、おそらく12月であろうと今考えていると語った。弁護団は、裁判所の結審を遅らせるべくあらゆる可能な法的手段を試みているが、裁判長は、争点を事実問題ではなく法的問題に閉じ込める決心を固めていると語った。……裁判長は、結審後の評議は、実質的な全員一致を生み出し、世論を『揺さぶる』素になる少数意見を回避するようなやり方で運ばれることを願っていると付言した。」
 そして、大使館のコメントには「もし、最高裁が、地裁判決を覆し、政府側に立った判決を出すならば、新条約支持の世論の空気は、決定的に支持され、社会主義者たちは、政治的柔道の型で言えば、自分たちの攻め技が祟って投げ飛ばされることになろう。」とあった。
 その他の資料にも日本政府、裁判所などがアメリカのために走り回っていることが明らかにされている。

 2014年6月、当時の被告人四人は、砂川裁判が「公平な裁判所違反」であり、その有罪判決は誤りであり、破棄して免訴にするように再審請求書および新証拠の提出を行い、次のように主張した。憲法第37条1項は「すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する」としている。また最高裁大法廷昭和23年5月5日判決は「(憲法37条1項の)「公平なる裁判所の裁判」というのは構成其他において偏頗(へんぱ)のおそれなき裁判所の裁判をいう意味である」としている。とくにこの「おそれ」というところに注目すべきだ。
 今回発掘された資料からだけでも最高裁大法廷の裁判長裁判官田中が、裁判情報を被害者的立場にある米側に伝えたことによって、大法廷は公平な裁判所ではなかったことは明白である。
 
 にもかかわらず、日本政府だけでなく、日本の裁判所の立場は変わることがなく去る3月8日、砂川事件再審請求について東京地裁刑事10部の田邊三保子裁判長は「本件再審請求を棄却する」との不当な決定を出したのだ。

 不当な決定の問題点について、集会当日に確認された「東京地裁決定に対する声明」は5点を指摘している。
 「今回の決定は、まず『棄却』という結論を先に出し理由を後付けしたため、矛盾とこじつけが随所で述べられている。以下、問題点を指摘する。
 @決定は、請求人の提出した新証拠に基づき、『内密』・『内々』に、田中裁判長とマッカーサー大使・レンハート公使と会い、裁判について話し合ったことは認めている。そうであれば、このことだけでも「棄却」の理由は成立しない。
 A決定は、請求人が、再審請求補充書(5)において「裁判官田中が米側に伝えた裁付置報」に基づき最高裁判決は公平な裁判所の裁判ではないと主張したことについて、全く判断していない。補充書(5)を読んでいないことはあり得ず、棄却決定が書きにくいためにことさらこの主張を無視した。
 B決定は、米国が被害者であることを認めた上で、司法の最高責任者である田中最高裁長官が米国大使館関係者と国際礼譲で公式に面会することはありうるので、会ったこと自体で、不公平な裁判をするおそれが生ずるとは言えないなどと述べている。しかし、裁判官田中が裁判上の被害者である米側と会ったのは『内密』・『内々』と記載されており、記載事実を捻じ曲げている。
 C決定は、田中裁判長が我が国の刑事手続に関する一般事項を語っただけとか、米大使・公使の所感、印象が電文等に記載されているだけであると述べているが、電文等を正しく読めば田中が伝えたかった砂川事件裁判情報がそのまま米側に伝わっており、決定がいかにおかしいかは一目瞭然である。
 D決定は、田中が『一審は間違っている』と言ったのなら当然その結論として『1審判決は破棄』と言うに違いないのに、マ大使の電文にはその記載がない。だから、田中は判決の方向は言っていない、と無茶苦茶な理屈をつけている。」に、集会は、請求人・弁護団が3月11日に東京高裁に即時抗告申立言を提出したのをうけて、再審請求の開始決定が出るまで闘い続けることを確認した。


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 施行された戦争法は世論の支持を得ていない

 
 2月19日の野党5党首の会談での合意により、今国会に安保法(戦争法)廃止法案が提出された。ところが、3月30日、自公与党の幹事長・国対委員長会談では、両党はこの審議に応じない方針を確認したという。理由は昨年の通常国会で「計216時間審議して決着がついているので、議論を蒸し返す必要はない」とのことだ。
 最近でも安倍首相は「国民に丁寧に説明する」という決まり文句をくり返していた。話が違うではないか。「決着がついている」というが、採決強行がなされてから6ヶ月も過ぎているのに世論の半数以上が反対している状況だ。これは他の法制にたいする世論の一般的反応から見ても、異常な事態だ。このことは政府からみて「説明不足」であることは一目瞭然ではないか。
 「廃止法案」の国会上程と審議入りは、安倍政権と与党にとって、世論に自らの正当性を「丁寧に」説明するうえで絶好の機会だろう。にもかかわらず審議拒否をして、3月29日に自動的に法制を施行したということは道理に合わない。
 まして、立憲主義との関連で同法の合憲性が問われているという異常な状況にあるのであるから、納得しがたい。
 苦し紛れに、自民党の小野寺五典・前防衛相は3月末のテレビ番組で「同法の成立時は賛成3割、反対5割だったが、現在は賛成6割、反対3割になった」と強弁し、戦争法の施行を正当化した。よほど後ろめたいのだろう。
 世論調査は実のところどうなっているか。
 安保法(戦争法)を後押ししてきた読売新聞の調査では3月7日で「評価する」が38%、「評価しない」が47%、4月1日の調査では「評価する」が38%、「評価しない」が49%だった。
 共同通信では3月27日の調査で「評価する」が37%、「評価しない」が49%だ。毎日新聞では3月6日調査で「評価する」37%、「評価しない」49%になっている。
 こうして見ると、読売、共同、毎日、3者の数字はほぼ一致している。
 では小野寺氏がなぜ支持されていると強弁したか。おそらく産経新聞・FNNの調査が根拠ではないか。3月20日に行ったとされる同調査は安保法が「必要だと思う」が57%、「思わない」が35%だったのだ。
 産経新聞・FNNの世論調査は常々噴飯ものであることには定評がある。これだけを根拠に小野寺氏が世論に支持されているというのは何とも我田引水にすぎないか。
 要は主要野党の5政党が共同で出している「廃止法案」を店ざらしにしたまま、戦争法を施行するという安倍政権の政治姿勢の問題だ。安倍政権は憲法の規定に沿って衆議院の4分の1以上の議員が要求した昨年秋の臨時国会も開かなかった。
 このような立憲主義に反する安倍政権が、今度の参院選が終わったら「国家緊急権」を憲法に附加するような憲法の改定を発議すると騒いでいることの危険性は重大だ。
 次期、参院選で、なんとしても安倍政権の与党に改憲発議が可能になる3分の2議席をとらせるわけにはいかない。 (T)