人民新報 ・ 第1347号<統合440号(2017年3月15日)
  
                  目次

● 森友学園疑惑などの政権スキャンダルの続出

             改憲をねらう安倍の弱点を突き追い詰め、退陣させよう

● 共謀罪 NO!  頑張れば阻止できる

● 共謀罪を考える超党派の議員と市民の勉強会

             刑事法、治安維持法、横浜事件と共謀罪

● 総がかり行動実行委の2・19行動

             貧困・格差にNO! みんなが尊重される社会を!

● 国家的不当労働行為許さず争議の早期解決実現を!

             JAL不当解雇撤回国民共闘会議第7回総会

● 郵政ユニオンと郵政倉敷労組が

             春闘勝利! 非正規社員の正社員登用と均等待遇を求めて本社前・院内集会

● 3・1朝鮮独立運動98周年 日米軍事同盟に反対し、韓国民衆の闘いに連帯する集会

             GSOMIA・安保法制・THAAD配備 戦争策動に抗し日韓民衆は連帯して闘おう

● 2・17  東京総行動と国鉄の分割・民営化から30年」集会

● 川  柳

● 複眼単眼  /  自民党大会と改憲動向






森友学園疑惑などの政権スキャンダルの続出


             改憲をねらう安倍の弱点を突き追い詰め、退陣させよう


 共謀罪阻止の強力な闘いの広がりを! 自民党大会(3月5日)で、総裁の任期を最長で「連続3期9年まで」に延長する党則改正を決めた。安倍晋三は「未来を見据え、次なる70年を見据えて、新たな国づくりにとりかからなければならない」「自民党が、憲法改正の発議に向けて具体的な議論をリードしていくことこそが、戦後一貫して日本の背骨を担ってきた自民党の歴史的使命だ」と述べた。安倍は、改憲の内実を隠しながら、憲法前文と9条の改定による平和主義の破壊などを国家緊急権の導入による国内支配の強化を通じて実現しようとしている。
 自民党は明文改憲にむけての歩みを公然化し、安倍の反動政治の暴走に拍車がかかってきている。そして、日本周辺での情勢も緊迫してきている。いま、日本と周辺東アジア地域には戦争の瀬戸際に近づく兆候がある。大規模な米韓合同軍事演習とそれに対抗する北朝鮮の軍事的反応、そしてトランプ政権は対朝鮮政策で軍事的な選択も辞さずとしており、安倍政権はそれと連携を強める危険な道を進もうとしている。これらは、きわめて重大かつ悲惨な結果をもたらす可能性がある。 いまこそ、安倍政権の戦争と政治反動の政策に反対する運動の強化が求められている。そうした声を圧殺するために安倍政権は「共謀罪」の成立を急いでいる。
 しかし、ここにきて、安倍内閣をとりまく状況は厳しいものとなってきた。総がかりの反安倍の闘い、野党共闘強化の着実な前進が情勢を動かしている。共謀罪法案問題での金田勝利法務相、自衛隊の南スーダン派兵・新任務付与問題での稲田朋美防衛相の議会答弁での支離滅裂さとたびたびの立ち往生は無理押しの安倍政策のほころびを意味している。台風被災地で醜態をさらしたうえに一向に反省が見えずにふざけた態度をとり続けてきた内閣府・政務官の「長靴」務台俊介はついに辞職に追い込まれた。
 とりわけ「学校法人・森友学園」の「瑞穂の國記念小學院」(大阪府豊中市)問題の疑惑暴露は、安倍ら右派勢力に痛烈な打撃を与えている。学園の籠池泰典理事長は日本会議大阪の運営委員という幹部である。安倍は、「安倍晋三記念小学校」の名前で寄付金集めをしていた籠池泰典理事長を「私の考え方に非常に共鳴している方」と言い、「瑞穂の國記念小學院」HPに名誉校長として昭恵夫人は「瑞穂の國記念小學院は、優れた道徳教育を基として、日本人としての誇りを持つ、芯の通った子どもを育てます。 そこで備わった『やる気』や『達成感』、『プライド』や『勇気』が、子ども達の未来で大きく花開き、其々が日本のリーダーとして国際社会で活躍してくれることを期待しております」と書いている。森友学園の教育は、安倍政治が行き着くおぞましい社会そのものだ。教育内容とともに、国有地の払い下げにみられるように利権まみれの「愛国商売」のネットワークの問題である。このスキャンダルは、近隣アジア諸国にとどまらず欧米でのニュースにまでなっている。国会では野党の鋭い質問が続き、ようやく日本のマスコミも報じ始めた。籠池のあまりにも露骨な腐敗ぶりに、いま右派勢力は、つぎつぎと、この同志を裏切って脱走し始めた。自民党、維新の会、日本会議、そして産経などの右派マスコミまでも、手のひら返しで籠池との関係の否認に躍起となっている。この事態に追い詰められた籠池は「はめられた」「トカゲの尻尾切りだ」と反発しているが、森友学園問題を早期につぶすことが安倍のいまの狙いだ。
 だが「アベ友学園」は大阪だけではない。安倍首相の親友が経営する加計学園の愛媛県今治市の土地をめぐる疑惑も明らかにされようとしている。
 このような事態に多くの人びとの怒りが広がっている。内閣支持率の急落は劇的なものとなった。森友学園をめぐって公明党はもとより大阪維新も、そして自民党の内部からでさえ批判が出ている。敵内部の矛盾が吹き出しそうだ。
 この好機を生かし、「瑞穂の國記念小學院」問題で暴露された政権の弱点への攻撃を、共謀罪上程阻止、沖縄の闘いと結びつけて総がかりで闘い、安倍政権を追い詰めなければならない。
 韓国では、ついに朴槿恵大統領の罷免が決定し、5月にも大統領選が行われるという状況が生まれた。韓国の民衆の闘いは、格差・貧困、戦争と独裁の政治への反発・批判の広範な層の支持を広げながら続けられてきた。そうした闘いの蓄積を背景に大統領選挙では、これまでの保守政権に代わる民主・平和にむけた候補の勝利の可能性が高いといわれている。変革への有利な条件が形成されている。
 日本での闘いは東アジアの民衆との連帯を強めながら、安倍暴走政権に断固として抗し、その打倒のために闘いぬこう。


共謀罪 NO! 頑張れば阻止できる

 3月6日12時より、衆議院第二議員会館前で、「話しあうことが罪になる 共謀罪国会提出を許さない国会前行動」が行われた。 主催の「共謀罪 NO! 実行委員会」は、「秘密保護法廃止」へ!実行委員会、解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)、共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会(社会文化法律センター 自由法曹団 青年法律家協会弁護士学者合同部会 日本国際法律協会 日本民主法律家協会 日本労働弁護団)、盗聴法廃止ネットワークの5団体のよびかけによるものだ。
 集会では主催者を代表して、解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会の高田健さんがあいさつ。安倍は、トランプの言葉に従って、防衛費GNP1%突破を言っている。自民党大会で任期延長させ、その期間に改憲をやろうとしている。改憲、戦争法、共謀罪は一体だ。いま本当に市民が頑張れば本当にこの悪法を阻止できる。
 立憲野党の国会議員も参加して、ともに共謀罪の国会提出を許さない闘いをともに進めようと挨拶。民進党の有田芳生参議院議員は、民進党も共謀罪反対を決めたと報告した。また共産党の仁比聡平参議院議員、社民党の福島みずほ参議院議員があいさつした。
 海渡雄一弁護士は、共謀罪をめぐる情勢、阻止に向けての方向について報告した。


共謀罪を考える超党派の議員と市民の勉強会

       
 刑事法、治安維持法、横浜事件と共謀罪

 3月1日、参議院議員会館講堂で、共謀罪を考える超党派の議員と市民の勉強会(第三回)「共謀罪の問題点」が開かれ、多くの市民と国会議員が参加した。

刑法からみた共謀罪

 浅田和茂さん(立命館大学大学院法務研究科教授)は、「刑事法から見た共謀罪の問題点」と題して講演。政府は、「共謀罪」を今回は「テロ等準備罪」などと名を変えて成立させようとしているが、この法案は非常に問題だ。刑事法は、刑法、刑事訴訟法、刑事政策から成り立っている。そもそも、政府の言う「国連越境組織犯罪防止条約」の締結に必要なのかが問われなければならないし、団体規制の強化、捜査権限の拡大になるだけの結果となることは明らかだ。イギリスの場合は、共謀罪は13世紀末に登場した。それは、地方の有力者の共謀による虚偽告訴を対象にしたもので、国王の平和と社会秩序の維持の道具だった。これには、国王暗殺の共謀、アイルランド独立運動関連の共謀、労働組合による非組合員の解雇要求、売春婦の名簿の作成販売などが含まれ、合意そのものが犯罪とされ、集団の危険視、思想・信条の処罰、不道徳それ自体の処罰が目的だった。アメリカの場合は、19世紀初頭に英法を継受したもので、労働組合運動の弾圧(最低賃金の申し合せ、クローズドショップの要求)、共産党の弾圧などが目指されたものだ。多くの場合、合意の他に顕示行為が条件だが、共謀の目的遂行ないし促進のために行われる行為とされ、対象はきわめて広範なものだった。
 そもそも刑法は罪刑法定主義であり、犯罪と刑罰はあらかじめ法律に規定しなければならない。すなわち明確に規定しなければならず、過度に広汎であってはならないということだ。ところが共謀罪の対象はそうなってはいない。
 「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」(組織的犯罪処罰法)には次のようにある。「@次の各号に掲げる罪に当たる行為で、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者は、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する」として「一 死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁姻の刑が定められている罪 5年以下の懲役又は禁錮」、「二 長期4年以上10年以下の懲役又は禁錮の刑が定められている罪 2年以下の懲役又は禁錮」、「A前項各号の掲げる罪に当たる行為で、第3条第2項に規定する目的〔不正な権益を得る目的〕で行われるものの遂行を共謀した者も、前項と同様とする」とある。
 そして、「団体」とは「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるもの」とされ、「組織」については「指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体」としている。これで、あらゆる団体が含まれることになり、そして、「共謀」は2人以上の話し合いはすべて含まれる。
 今回の法案は、これをもっとあいまいかつ無限定にしようとしているのである。
 刑法では、既遂・未遂・予備・陰謀・共謀・準備がはっきりしていなくてはならない。犯罪は既遂が基本類型で、未遂を罰する場合は明文規定を要する。予備罪として殺人・放火・強盗・内乱など犯罪は未遂も罰するが、軽い犯罪には未遂規定がない。しかも、それぞれの法律で規定している。未遂は不処罰なのに今回の共謀罪は、共謀を処罰することは不合理であり、刑法的介入の早期化をもたらすものだ。
 つぎに刑事訴訟法から見た共謀罪の問題点についてだが、犯罪捜査では強制処分法定主義、令状主義が大事だ。通信傍受法は憲法違反の疑いがあるが、1999年には対象犯罪を薬物犯罪、銃器犯罪、集団密航犯罪、組織的殺人罪の4種類に限定していたが、2016年改正では、殺人、傷害、窃盗・強盗・詐欺・恐喝など一般犯罪に拡張された。対象を広げた「共謀罪」が成立すれば、有力な捜査手段となる。共謀罪では、犯罪捜査の前倒しが可能となり、共謀罪の嫌疑人が集まって話をしているだけで捜査対象になり得る。室内に盗聴器を仕掛けて会話を傍受することも、一旦認められればじきに拡大され、室内監視もありうる。監視社会の加速化だ。そして、隠密捜査官(身分秘匿捜査官)の投入―スパイの送り込み、密告奨励、捜査協力型の司法取引ができるようになり、無関係な人を巻き込む冤罪多発発生の原因になる。
 今回の「テロ等準備罪」は、名称を変えても「共謀罪」であることに変わりはないし、テロ犯罪と国際組織犯罪防止条約とは無関係だ。窃盗・詐欺・恐喝などが含まれていて広範にすぎること、また団体の「目的」が対象犯罪の実行にあるとしても、対象犯罪を共謀すれば対象犯罪を実行することを目的とする団体ということになる。「何でもあり」となる
 共謀罪は治安立法だ。

共謀罪と治安維持法

  
 つづいて「テロ等準備罪と名を変えても危険な本質は変わらない! 治安維持法と共謀罪―どこが似ているのか?」と題して、海渡雄一弁護士が報告。人間が自由に考えて、自らを表現するためには内心と不可分な通信のプライバシーが保障されている環境が必要不可欠である。ジョージ・オーウェルの「1984年」が描き出したように、監視されている状況では自由な思索そのものができなくなるからである。共謀罪法案は、国の刑事司法の仕組みを変えてしまう法律だ。戦争はいやだ、原発の稼働には反対だ、沖縄に基地の負担を押しつけるのは間違っているなどと考え、社会のあり方を変えたいと活動する人がいなくなったら、この社会の進歩は止まってしまう。安倍首相や金田勝年法務大臣が「普通の人には関係がないのでご安心を」と言うときに、このような社会のあり方に疑問を持つ人々は、「普通ではない」人々と考えているのではないだろうか。安倍政権は、本当にこの法律を使うつもりなのだ。すでに、沖縄では、辺野古基地と高江のヘリパッドの建設に反対する沖縄平和運勧センター議長の山城博治さんらが逮捕・起訴され、長期勾留されている。すでに弾圧強化の兆候が見えてきているのである。    秘密保護法と共謀罪、そして盗聴の拡大は、セットとなって、監視社会をもたらし、市民の知る権利を侵害して、ひいては、民主主義的な政治プロセスの崩壊を招きかねない。政府は、10年前に成立させられなかった修正案よりも、さらに後退した法案を出してこようとしている。共謀罪法案と盗聴拡大を阻止するため、国会への共謀罪法案の提案に強く反対しなければならない。

横浜事件の教訓

 永田浩三さん(ジャーナリスト・武蔵大学教授)は、「横浜事件が問いかけるもの」と題して発言。横浜事件とは、1943年、治安維持法違反という名目でのでっちあげに次ぐでっちあげで60人逮捕、33人起訴、4人が拷問で死亡させられた戦中最大の言論弾圧事件だ。判決は敗戦後の1945年9月15日に公判・判決となった。これにたいして1986年から再審請求闘争が闘われ、2009年に横浜地裁で免訴が確定した。つまりは裁判の打ち切りであり、裁判所側がなかったことにするというとんでもないものだ。そしていまも、東京高裁における国家賠償請求が闘われている。共謀罪・秘密保護法などが浮上するたびに、横浜事件の被害者たちは声を上げてきた。これは同じ時代が二度と繰り返されてはならないという血の叫びだ。


『「共謀罪」の創設に反対する緊急統一署名』を成功させよう

 「共謀罪 NO!実行委員会」と「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」は共同で緊急統一署名を呼びかけている。
 内閣総理大臣、衆議院議長、参議院議長あての署名の「請願項目」は「『共謀罪』(テロ等準備罪)は創設しないでください」の一点だ。この署名運動は3月〜5月の間に取り組まれる。


総がかり行動実行委の2・19行動

       貧困・格差にNO! みんなが尊重される社会を!


 2月19日、東京・日比谷野外音楽堂で「戦争をさせない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の「貧困・格差にNO!みんなが尊重される社会を!2・19総がかり行動」が開かれ、約4000人が参加した。
 総がかり行動実行委は、これまで安倍政権の戦争法強行、南スーダン自衛隊への新任務付与などを闘い抜いてきたが、それだけでなく「(安倍政権の暴走は)辺野古新基地建設の強行、原発再稼働と輸出の促進、福祉の切り捨てや労働法制の改悪などによる貧困と格差の拡大、歴史認識の改ざんと教育への国家統制の強化、TPPや企業減税の推進など大企業と富裕層への優遇策など、あらゆる分野で進められています。このため私たちは、これらの分野で行動している人びとともしっかりと手をつなぎ、総がかり行動を名実ともに拡大・発展させていきたい」(「『総がかり行動実行委員会』の結成にあたって」)としている。
 2・19行動については、「戦争から『いのち』をとらえてきた総がかり行動実行委員会は、生活の場から『いのち』をとらえていくことも重要と考えます。格差の拡大と貧困の広がりは、世界各地で紛争の火種となり多くの人々の命を削っています。戦争に反対することは貧困に反対すること。平和をめざすことは平等をめざすこと。すべての人々が、豊かで明るく暮らせる社会をめざして、貧困と格差、差別と闘うすべての人々が日比谷野外音楽室に集まり、大きな声を上げて」行こうと訴えている。
 プレイベントでは、オオタスセリさん(芸人9条の会)が歌とトーク。
 開会あいさつは藤本泰成さん(戦争をさせない1000人委員会)。トランプ政権はウソの政治だが、安倍も同じだ。安倍にだまされてはならない。本当の積極的平和主義を推し進め、フクシマ、オキナワそして格差貧困反対など多くの課題を結び付けてともに闘おう。
 メインのスピーチは本田由紀さん(東京大教授)。今の日本社会では、賃金は下がり続け、消費増税で物価は上昇している。貯金ゼロの世帯が増えている。生活保護や奨学金の受給者も増えた。出生率は下がり、少子高齢化が急速に進んでいる。日本は、長時間労働、高等教育の学費や医療費の負担、自殺率、社会保障・教育への財政支出、生活の満足度、政府への信頼度などの国際指標をみるといずれも低い。自民党政府は暮らしをさらに悪化させた。この国の現状はひどいものだ。しかし諦めては、支配層の思うつぼにはまってしまう。希望をもって、この国を立て直そう。安倍政権に対して声を上げよう。
 各野党を代表し、民進党の山尾志桜里衆議院議員、共産党の小池晃参議院議員、社民党の福島みずほ参議院議員、自由党の渡辺浩一郎元衆議院議員があいさつ。
 労働と貧困について日本労働弁護団の島崎量事務局長、奨学金と貧困について安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合の諏訪原健さん、シングルマザーと貧困について「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」理事長の赤石千衣子さん、災害と貧困について熊本大地震で被災した弁護士の阿部広美さんが発言した。

 集会を終わって銀座方面へパレードに出発し、貧困NO!格差NO!、みんなが大切にされる社会の実現などをアピールした。


国家的不当労働行為許さず争議の早期解決実現を!

           
 JAL不当解雇撤回国民共闘会議第7回総会

 2月16日、文京区民センターで、JAL不当解雇撤回国民共闘会議第7回総会・集会が開かれた。
 共同代表の小田川義和全労連議長のあいさつ。重要で画期的な二つの変化があった。昨年9月、最高裁は、JAL・管財人の乗員組合とCCU(キャビンクルーユニオン)に対する不当労働行為を認定した(東京高裁判決を支持し、会社の上告を棄却)。そして機長組合、乗員組合、CCUの三労組が足並みをそろえて会社側に「合同交渉」を申し入れた。ILO勧告に沿って交渉による争議解決を会社に迫る新たな闘いの局面だ。しかし、JALは「ゼロ回答」の不当な対応に終始している。支援の闘いをひろげ、改めて全国的な闘いで、労働組合敵視、不当労働行為を繰り返すJALを包囲する状況を作り出そう。
 整理解雇後、会社の人員・人材不足は深刻化している。人材確保のためにも、職場を去らざるを得なかった労働者の再雇用、解雇されたパイロットと客室乗務員の職場復帰をということが職場要求になっている。争議の自主的解決、国家的不当労働行為は許さない、解雇争議の早期解決のために支援を一層強めていこう。
 津恵正三事務局長が総会議案「運動の到達点と今後の方針」を提起。今後の展望を切り開くためには、日航に争議の早期解決を決断させ、話し合いのテーブルにつかせる闘いを中心に据えた運動の展開が不可欠である。人員・人材不足は事業拡張戦略を進めるうえで大きな支障となっている。この人員・人材不足は、労働組合の弱体化を狙い、人員削減目標の超過達成を隠蔽し、当時の最高経営責任者である稲盛和夫会長が必要とないと明言した整理解雇を強行したことが招いたものである。また経営陣も決して一枚岩とは言えず、会社が追い込まれているのも事実だ。闘いの展望を切り開くために、3労組統一要求を前面に押し出し、日航内の闘いと、支援共闘を中心とした闘いの連携を深め、以下の点を重視し運動に取り組む。@日航内においては、組織の拡大強化を図るとともに、ILO勧告や不当労働行為裁判の判決も活用し、人員の確保と育成・ベテラン層の補強、そして勤務改悪阻止を求める現役組合員と、統一要求の実現を目指す争議団とが一体となって、争議解決に向けた会社対応を迫る運動を一層強化する。A支援共闘においては、大きな世論と支援の輪を一層広げる努力を払うとともに、統一要求の実現をめざす当該労組の闘いと連携して、日航を包囲し解決に踏み出す決断を迫る運動を強化する。B政府の責任を明確にするとともに、ILO勧告や不当労働行為裁判の判決を活用し、争議解決に向けて政府が日航への指導に踏み出すよう国交省や厚労省への要請行動を展開する。また、国会議員へ協力要請の働きかけを強化する。CILOに対しては、年末闘争までの状況を報告し、解決に向けたアシスト(調査団の派遣やアシストのためのILO高官の訪日)やより踏み込んだ第4次勧告などを要請し、政府や日航に対応を迫る運動につなげる。
 安原幸彦弁護士の弁護団報告、日航乗組、CCUの当該労組の報告が行われた。そして総会議案は討論のち採決された。争議団からは、乗員原告、客乗原告代表の決意表明があり、最後に閉会のあいさつと団結がんばろうで今期の闘いの前進を確認しあった。


郵政ユニオンと郵政倉敷労組が

         春闘勝利! 非正規社員の正社員登用と均等待遇を求めて本社前・院内集会


 3月6日、日本郵政本社前で、郵政リストラに反対し労働運動の発展をめざす全国共同会議(郵政産業労働者ユニオン・郵政倉敷労働組合)主催の「2017春闘勝利!非正規社員の正社員登用と均等待遇を求める本社前集会」が開かれ、北海道から九州まで全国から結集した郵政労働者と共闘の労働者約200名が参加した(当日の午前には、練馬局と銀座局にたいする春闘キャラバンが取り組まれた)。
 集会の前に、四人の非正規労働者代表が「郵政に働く非正規労働者の正社員登用と均等待遇を求める要請署名」(要請事項・@希望する非正規社員の正社員登用を行なうことA時給制契約社員からの正社員登用を再開することB正社員登用にあたっては、採用人数等を明らかにし、公正・公平な正社員登用をおこなうことC非正規社員の時給を最低でも1200円以上に引き上げることD勤務時間や出勤日数削減をやめ、生活できる賃金を保障することE年次有給休暇、育児・介護休暇、産前・産後休暇、夏期及び冬期休暇等、正規社員同様の待遇を保障すること)の36、525筆を本社に提出した(累計240、780筆)。
 集会では、主催者を代表して郵政ユニオンの日巻直映委員長が、非正規労働者がいなければ郵政をはじめどこでも職場は回らない、政府持ち株の多い郵政に率先して非正規労働者の格差をなくさせるために闘おうとあいさつ。
 全労協の金澤壽議長、全労連の橋口紀塩事務局次長が激励のあいさつ。本部の兼子隆中央執行委員が経過報告をおこなった。20条裁判原告の浅川喜義さん、宇田川朝史さんが闘う決意表明、つづいて東京、近畿、東海、中国地方の非正規労働者の格差への怒りの訴えがつづいた。集会アピール(別掲)が確認され、団結ガンバロウで本社前集会を終了した。

 午後からは、衆議院第二議員会館で院内集会が開かれ、「郵政産業ユニオン東日本労契法20条訴訟の現状と課題」(水口洋介弁護士)、「郵政非正規65歳解雇裁判 高裁判決と上告の報告」(萩尾健太弁護士)の特別報告、全国から参加した非正規労働者の訴えが行われ、最後に郵政ユニオン中村知明書記長が、怒りを基礎に春闘に勝利しよう、20条裁判、65裁判に勝利しようとまとめの言葉を述べた。

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3・6本社前集会アピール

 「正社員には地域に貢献する会社としての責任がある。しかし、時給制契約社員にはない。正社員は担当であっても職責がある。しかし、時給制にはない」。これは2月6日、正社員との格差是正を求めた労働契約法20条東日本裁判の初の証人尋問で会社側証人に立った都内の集配部長の証言である。
 証人は1994年に郵便局に採用となり、ほぼ集配関係で働いてきた経歴の持ち主であり、間近で非正規社員の働き方に接し、その目で見てきた人物である。彼の証言で3名の原告と傍聴席の非正規の仲間たちは怒りに体が震えた。こんなあからさまな暴言を聞いたことはない。法廷という公の場での証言は証人個人の考えであると同時に、日本郵便という会社の見解に他ならない。このような卑劣な証言で実態を捻じ曲げてまで、正社員と非正規社員との不合理な格差を「合理的なもの」と正当化しようとする会社の姿勢を断じて許すことはできない。だからこそ労契法20条裁判は絶対に負けられないたたかいであり、勝利によってこの侮辱的な証言を郵政の職場から葬り去っていこう。
 いま、安倍政権は最大のチャレンジとして「働き方改革」なるものを推し進め、「同一労働同一賃金」、「非正規の処遇改善」を掲げて「この国から非正規という言葉をなくす」と豪語している。 しかし、示された「同一労働同一賃金」のガイドライン案は正社員との均等待遇には程遠く、「長時間労働の是正」といいながら「残業100時間」を打ち出し、現行の「過労死ライン」を大きく超える残業時間を合法化しようとしている。電通事件の悲劇的な死を顧みるどころか嘲笑い、踏みつけにするこのような態度をどうして許せるだろうか。
 これから17春闘はいよいよ本番を迎える。安倍政権の「働き方改革」と真正面から対決し、労契法20条裁判の勝利と非正規差別NO!を掲げ、総がかりで春闘をたたかおう。非正規労働者の均等待遇と正社員化の実現はまさに労働組合の課題の柱であり、17春闘はそれを実現するための春闘だ。
 郵政職場に人間らしく働ける労働環境を実現し、大幅賃上げ、大幅増員をかちとるために、17春闘を力一杯たたかいぬこう。

2017年3月6日

         17春闘勝利!非正規雇用労働者の正社員化と均等待遇を求める本社前要請行動 参加者一同


3・1朝鮮独立運動98周年 日米軍事同盟に反対し、韓国民衆の闘いに連帯する集会

        
 GSOMIA・安保法制・THAAD配備 戦争策動に抗し日韓民衆は連帯して闘おう

 2月25日、文京区民センターで「3・1朝鮮独立運動98周年 日米軍事同盟に反対し韓国民衆の闘いに連帯する集会」が開かれた。
 3月1日は、日本の植民地支配からの独立を求め朝鮮半島全土で人びとが立ち上がった3・1独立運動(1919年)から98周年になる。
 いま、日韓両政府は、「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」を締結し、韓国は米軍の高高度ミサイル迎撃システム(THAAD)を導入しようとしている。
 そして韓国の民衆の朴槿恵退陣・新政権樹立をめざす闘いは、ますます強まっている。
 戦争する国づくりを強行する安倍政権に対する日本の市民・野党の反撃もはじまった。
 日韓の民衆は連帯して、東アジアの平和の実現をめざそう。

戦争への道を進む日米韓

はじめの講演は「GSOMIAと安保法制が引き込む戦争への道」と題して、半田滋さん(東京新聞・論説兼編集委員)がおこなった。
 GSOMIAとは、二国間あるいは複数国間で軍事情報を提供し合う際、第三国への情報漏洩を防止するために締結する協定で、保全対象は作戦計画、武器技術などあらゆる軍事分野におよび、口頭、文書、写真、録音、手紙、メモ・スケッチなどすべての伝達手法が含まれる。
 これまでの日米間の軍事秘密保護対象は「日米相互防衛援助協定(MDA)」に基づく武器技術に限定されていたが、GSOMIAは日本全体に軍事秘密の保護を義務づけ、漏えいを禁じる包括的な枠組みである。GSOMIA締結は特定秘密保護法の制定につながった。
 この日韓GSOMIAと韓国政府のTHAAD配備、そして日米間のガイドライン改定と日本の安保法制制定は、戦争への道である。トランプ政権の登場は、軍事力行使・戦争の危険性を一段と増した。
 日米GSOMIAは、2007年8月に署名した。かつて日本政府はGSOMIAには消極的だったが、ミサイル防衛(MD)などの各分野で自衛隊と米軍が一体化するなかで、軍事連携が進んでいる。日韓GSOMIAは2012年6月に締結されることとなっていたが反対運動が激しく、ようやく2016年11月にソウルの韓国国防省で署名式が非公開で行われて、即日発効したものだ。GSOMIAは、日本は米国、オーストラリア、インドなど6カ国、韓国は米国など33カ国と締結している。これまでの日米韓の訓練は日米、米韓というそれぞれ二国間の情報交換だったが、これに日韓が加わり、三国間の密接な情報交換ができるようになった。
 PAC3の2倍の射程の高性能の迎撃ミサイルシステムTHAADの韓国配備は、北朝鮮ばかりか、中国への牽制にもなる。注意しておかなければならないのは、GSOMIA、THAADが与える「国民への安心」ということで、これが戦争容認の選択をやりやすくすることにもなる。
 そして、トランプ政権は、「イスラム国(IS)」への空爆支援または空爆参加、地上軍派遣の際、陸上自衛隊への派遣要請があるかもしれない。安保法制、日米ガイドラインにより全面的な対米支援が可能だとされているからだ。また、北朝鮮の金正恩委員の危険な挑戦を口実に、安倍政権は軍備増強、そして敵基地攻撃能力の保有まで言い出している。日本の「存立危機事態」では自衛隊による第二次朝鮮戦争への参戦も危惧されるところだ。
 日米、日韓のGSOMIA締結、THAAD配備、日米ガイドライン改定、安保法制の制定など、バラバラにみえる数々の要素は戦争ができる体制づくりそのものである。日米韓の人びとは戦争への道に「待った」をかけなければならない。

韓国―朴槿恵大統領退陣へ

 韓国からのゲスト、キム・ジャンホさん(民主労働者全国会議前議長・インターネットニュース「民プラス」編集局長・戦争反対平和実現国民行動政策委員)が、「韓国のキャンドル革命と平和運動」と題して講演した。
 朴槿恵政権は、2012年の大統領選挙から不正にまみれたスタートをしている。韓国版ウォーターゲート事件と呼ばれる国家情報院による書き込み事件といわれる大統領選挙への世論操作事件の真相が明らかになったものの、処罰は軽微なものだった。国家情報院による選挙介入事件の捜査を大統領府と当時法務長官のファン・ギョアンが露骨に妨害したが、ファン・ギョアンは現首相だ。国情院の介入で政権を盗まれたと考えた国民は政権の初期からキャンドルを持った。2014年4月には珍島沖合で旅客船セウォル号が沈没し、安山市の檀園高校の生徒を含む304人が死亡した。緊急を要する7時間もの間、朴槿恵大統領が何をしていたのか疑惑に包まれており、セウォル号の引き揚げはいつになるのか分からない。セウォル号事件により国民は政府に対する怒りから、「果たして国とは何なのか」という根本的な問いを投げかけ始めたのだ。
 2015年11月14日、13万人の労働者、農民、都市貧民、青年学生、そして市民がソウル市庁前広場に集まり、大統領官邸に向けてデモ行進を行なおうとした。このとき、行進を阻止した警察放水車の高圧放水によりペク・ナムギさんが倒れ(翌年の9月に死亡)、また多くの労働者が逮捕れた。労働法の改悪、コメの輸入、増える家計の負債、若者の失業問題など、民衆の膏血を搾り取る朴槿恵政権のせいで、労働者民衆はもはや引き下がることは出来なかった。
 2016年4月の国会議員選挙で野党が勝利し、与野党逆転が実現した。政権内部から朴槿恵政権では政権を持ちこたえられないという危機感が高まり、支配層内部の内紛が激しさを加えた。
 7月に、韓国政府はTHAAD配備をソンジュ(星州)に決定したと公表した。ソンジュは朴槿恵の強い支持基盤の地域だったが、サード配備発表後には最も強い「反朴槿恵地域」に変わってしまった。朴槿恵政権は支持基盤を失い始めた。国防部は、住民の反対が強まるとサード配備の候補地をソンジュの小高い丘から、町から外れたロッテの「スカイヒル・ソンジュ(星州)・カントリークラブ」ゴルフ場に変更させ、サード配備を強行しようとしている。その背後には米国がいる。
 そして、チエ・スンシルの国政への不正介入が暴露され、キャンドル革命の導火線に火を付けた。2017年10月29日の3万のキャンドルで始まったキャンドル革命は、3週間で100万を突破し、年末には延べ人員1千万を超えるキャンドル革命となった。
 朴槿恵政府は選挙公約で「生涯福祉」を打ち立てたが、実際は国民に「生涯絶望」を与えた。結婚や出産を諦め、恋愛や就職も諦めざるを得ない若者たちの絶望、家賃が払えずに一家心中した事件が見せている社会の格差と貧困、高齢者の貧困率が45%に達している暗鬱な高齢化などだ。労働法の改悪、農家の破たん、自営業者や中小企業の倒産、大企業での大量リストラなど、各界各層で生きる道が見いだせない。こうして、キャンドルの怒りは朴槿恵政権に対する怒りを越え、分断半世紀にわたる支配勢力、新自由主義を引き込んだ国政統治勢力に対する怒りに発展している。保守の支持層でも反省し始め、闘いに立ち上がっている。国民は自問し始めた。「これまで私たちは何をしてきたのだろうか」「1987年6月民主化抗争の血で勝ち取った民主主義がこんなものだったのか」「もはや国民が直接立ち上がろう」。
 キャンドル市民は石ころ一つ投げるでもなく、キャンドルだけで勝利し続けてきた。圧倒的な勝利だ。朴槿恵弾劾訴追を引出し、動揺する政治家に国民の意思を強制した。国民は今や、新たな韓国の建設は可能だという希望のキャンドルを高く掲げている。スマホとインターネットで武装したキャンドル市民は、今や下からの未来の民主主義、集団的知性と直接民主主義が結合された新たな直接民主主義を自ら創っている。これまで労働者、農民、貧民など組織大衆と未組織のキャンドル市民は、文化的かい離があった。でも、今回のキャンドルでは一つに結ばれた。しかし、まだ組織隊伍とキャンドル市民の結合が祖織的に発展しているとは言い難い。これが韓国キャンドル革命に課された宿題だ。この問題は新たなキャンドル革命のエネルギーを組織できる新たな進歩政党の建設によってのみ解決されるだろう。
 憲法裁判所の審判は3月初め、大統領選挙日は5月初めと予想される。憲法裁判所が弾劾を引用すれば大統領選挙となり、政権交替の道に入る。進歩陣営は円卓会議を開催し、大衆的な進歩政党の建設論議を始めた。
 大統領選挙で進歩陣営が闘いを集中させるのは、THAAD阻止、非正規雇用の撤廃、財閥改革の闘いだ。政権交替は、進歩政党の建設、自主・平和・統一へ向かう韓国民衆の闘いに広い道を開けてくれるだろう。このような韓国民衆の努力は、東北アジアの平和にも寄与することとなる。
 この過程で韓日民衆の平和勢力の連帯と協力のために一層努力していく。


2・17  東京総行動と国鉄の分割・民営化から30年」集会

 2月17日、けんり総行動実行委員会主催の東京総行動が闘われた。
 8時45分の日本郵政本社前集会からスタートし、JAL争議団の国土交通省前宣伝、昼にはけんり春闘の経団連要請行動、会社が組合を訴えるSLAPP訴訟と闘う富士美術印刷、そしてフィリピントヨタでの不当解雇撤回を迫るトヨタ本社などの諸行動に取り組んだ。

 夜には、「国鉄の分割・民営化から30年」2・17集会が、四谷区民ホールで開かれた。
 主催は、全労協の金澤壽議長、元国鉄闘争共闘会議の二瓶久勝議長、国鉄労働組合の坂口智彦委員長の呼びかけによる実行委員会。
 集会では佐々木隆博衆議院議員(民進党)、弘友和夫元参議院議員(公明党)、角田義一元参議院議員があいさつ。鉄建公団訴訟主任弁護人だった加藤晋介弁護士が講演を行った。
 最後に元国労闘争団員・全動労争議団員が壇上にあがり、北海道の路線の大半が切り捨てられるという分割民営化の結果への怒りなどそれぞれが思いを語った。


川  柳

   安倍の友森友の顔毒をみせ

   アベ極右森友の子らさてかなし

   私人だが公人五人へばりつき

   アベ・ファミもクネ・ファミリーもやっぱりね

   きょうぼうざい大逆罪そっくりさん

   ゴルフして戦争ごっこ共謀か

   逃げまくるアベ・イシハラの口角


2017年3月

                   ゝ   史


複眼単眼

     
 自民党大会と改憲動向

 安倍晋三首相(自民党総裁)は三月五日の自民党大会で憲法改正について「自民党は憲法改正の発議に向けて具体的な議論をリードしていく。それこそが戦後一貫して日本の背骨を担ってきた自民党の歴史的使命ではないか」と呼びかけ、憲法施行七〇年の現在、「次の七〇年を見据え、新たな国づくりに取りかからなければならない」「憲法は国の形、日本の理想、未来を語るものだ」と発言した。
 改憲については「二〇一七年運動方針」で「改憲原案の発議に向けて具体的な歩みを進める」「新しい憲法の姿を形作り、国会の憲法論議を加速させ、憲法改正に向けた道筋を国民に鮮明に示す」と「発議」にまで踏み込んだ方針を採択した。
 安倍晋三首相は従来から「自分の任期中に改憲を実現する」と主張してきたが、従来の自民党の規則では総裁任期は二期六年であり、これによると来年の九月が総裁の任期切れになる。
 これでは安倍首相の念願である改憲の作業のために、あまりにも時間がなく、間に合わない。
 そこでこの大会を前に、二階幹事長らが口火を切る形で総裁任期の延長論をとなえ、今回三期九年にまで延長した。これによると、安倍首相は来年の総裁選に勝利すれば、二〇二一年九月まで任期延長が可能になる。
 安倍首相周辺は「いま総選挙を実施すると、せっかく確保した改憲発議可能な議席である両院の三分の二を失いかねない(この間、筆者が機会あるごとに指摘してきた野党四党の候補が一本化すれば、前回総選挙の得票数だけでみても与党は六一議席を失う可能性がある)ことから、今回の党大会を前後して、自民党内部では総選挙を来年の秋まで延長するという話が持ち上がってきた。
 そうすればオリンピックも近くなり、また現天皇の退位と新天皇の誕生などの祝賀ムードのなかで、与党に有利な環境での総選挙が実施できるという計算のようだ。安倍晋三首相はこうして改憲を狙い、突き進もうとしている。
 この方針にそって、衆院憲法審査会は三月中旬から再開される。四ヶ月ぶりの再開で「参政権の保障を巡る諸問題」をテーマに与野党が見解を示し、議論するということで、具体的には「大規模災害など緊急事態下の国会議員の任期延長」論や「首相の衆院解散権のあり方」、参院選で問題になった「隣接する選挙区を統合する合区の解消」などを議論の手始めにすることが決められている。このテーマ設定は自公や民進などの与野党が主張してきたテーマであり、これらをとりあげることで、民進党などを改憲の議論に引きずり込もうとするものだ。
 自民党憲法改正推進本部の保岡興治本部長は、当面する改憲の「(国民投票で賛否を問う憲法改正項目について)一回で三条項前後が常識的だ」「(数項目の改正を何度か重ねていく必要がある)その意味で初回は混乱なく着実に成功させなくてはならない」と述べ、民進党などとの合意形成を最優先する考えを示している。
 これらの考えによると、最終的に安倍首相らがねらう九条改憲は後回しにして、自民党のいう「緊急事態条項」導入や野党が主張する課題での改憲の成功をねらうということだろう。
いずれにしても、明文改憲が政治の課題のまな板にあがる時期がきたということだ。私たちも腹をくくってかからなくてはなるまい。   (T)