人民新報 ・ 第1353号<統合446号(2017年9月15日)
  
                  目次

● 安倍9条改憲NO!全国市民アクションがスタート

     さらなる総がかりの広がりで改憲阻止 安倍内閣打倒へ 

     朝鮮での戦争危機を煽るたてる安倍内閣糾弾   朝鮮半島の非核化実現と平和は対話・協議を通じて解決せよ

● 朝鮮半島を再び戦場にするな  市民・宗教者が緊急行動

● 労働法制大改悪を粉砕するぞ!  労働弁護団主催の国会前集会

● 30年目を迎えた長崎ピースサイクル

           ヒロシマ〜ナガサキを平和をアピールしてつなぐ

● オスプレイ飛行訓練反対道東集会  

● 警視庁機動隊沖縄への派遣は違法 住民訴訟大集会

           警察権力の不当不法な弾圧を暴露し、裁判にも勝利しよう

● 9・6 共謀罪対策弁護団結成記念シンポジウム  

           適用させないまま廃止に

● 関東大震災・朝鮮人虐殺から94年 9・1集会

           在日朝鮮人が見る日本国憲法

● 平和の灯を!ヤスクニの闇へ  キャンドル行動

           東アジアの視点から「明治維新150年」 とヤスク二を問い直す

● せんりゅう

● 複眼単眼  /  核戦争の挑発者は類最悪の犯罪者になる






安倍9条改憲NO!全国市民アクションがスタート

     
さらなる総がかりの広がりで改憲阻止 安倍内閣打倒へ 

         
朝鮮での戦争危機を煽るたてる安倍内閣糾弾   朝鮮半島の非核化実現と平和は対話・協議を通じて解決せよ


 安倍首相は、内閣支持率の低下を朝鮮危機を煽りたてること、脅威キャンペーンを強めることによって自民党支配体制の破綻を食い止めようとしている。ようやく対話と交渉による平和解決に向けての動きが世界的も出始めているこの時期に、その流れを強めるのではなく逆行して戦争の危険を増大させる許し難い暴走である。安倍は、5月3日に、2020年の新憲法施行をかかげ、9条の1項、2項を残しつつ、自衛隊を書き込むという改憲方式を提起してきた。安倍はこれまで全面的改憲、96条改憲、緊急事態条項、集団的自衛権行使の閣議決定による解釈改憲、そして今回の9条加憲改憲とその改憲主張を変化させてきた。安倍にとってはなにより改憲実行ありきなのである。しかし、東京都議選での自民党の歴史的惨敗などで明らかになった支持の低落傾向は、その改憲スケジュールをあやうくしている。8月の内閣改造で、人気の回復を図ったが、不支持が多いという事態を変えることは出来ない。内閣不支持の理由の最大のものが安倍個人にあるのだからそれは当然のことだ。それだからこそ、戦争危機便乗の危ない橋を渡ろうというのである。
 来年末が衆議院議員の任期切れとなり、いずれにしろ来年には総選挙が予定される。いまの内閣支持率では衆議院を解散した場合、与党で三分の二を超える議席を獲得できるとは考えにくい。内閣支持率がいちだんと低下する前に総選挙をということも一部では言われ始めているが、このままでは衆参両院で改憲発議に必要な議席の確保は難しいかもしれないというおそれが安倍にはある。だが、野党側の態勢が整わないと判断すれば、年内、来年早々の総選挙の可能性も語られている。
 そうした前途不透明があるにもかかわらず、自民党改憲派は、2020年の新憲法施行を目指し、今年の臨時国会で衆参の憲法審査会に自民党の考えを出し、議論を始めようとしている。そして、来年の通常国会で発議するという強行突破改憲の日程を考えている。
 自民党憲法改正推進本部の全体会合を開き、9条改憲、緊急事態条項の新設、高等教育無償化、参議院議員選挙会合区解消などを議論して意見集約し、11月までに条文形式の素案を作成するとしている。
 次期通常国会が始まる2018年は明治150周年にあたり、東アジア情勢の緊迫化と併せて、ナショナリズムが鼓吹され、こうしてつくられた雰囲気の中で国民投票に持ち込もうという計画なのだろう。
 これから改憲をめぐって、国論を二分させる闘いが展開されていくことになる。いよいよ重大な歴史的時期を迎える。いまこそ、安倍政権を打倒するために、この間着実に前進してきた民衆的なさまざまな運動を一層力強く推し進め「総がかりをこえる総がかり」の陣形を形成し、改憲阻止・安倍内閣打倒を目指して闘い抜かなければならない。

 9月8日、中野ZEROホールで、「安倍9条改憲NO!全国市民アクション キックオフ集会」が開かれ、会場に入りきれずロビーで集会のモニターを見つめる人など1500人が参加した。
 はじめに高田健さんが開会あいさつ。安倍首相は立憲主義を壊す改憲のテンポをさらに速めている。来年一月からの通常国会にも改憲発議を行うつもりだ。9条に自衛隊を明記するという加憲方式だといわれるが、その自衛隊は集団的自衛権を行使し、海外で戦争を行う自衛隊だ。いま安倍のやろうとしている9条改憲に反対する可能な限りもっとも広範な運動が求められている。安倍とその亜流の改憲を止めるためには、全国人口の四分の一、投票する人の半分を結集しなければならない。全国市民アクションは3000万署名を実現したい。これには大きなエネルギーが必要だが、今日を出発点に、改憲を阻止して安倍内閣を倒すのか、安倍を倒して改憲を阻止するのか、みんなで頑張っていこう。
 つづいて福山真劫さんが、全国市民アクションの取り組みについて経過報告。8月15日付で、19人の方々が発起人となり、安倍政権の9条改憲への動きに危機感を持って、「安倍の進める改憲にノンと言い、それをストップさせましょう」と発信し、広く運動への参加が呼びかけられた。発起人には、有馬頼底(臨済宗相国寺派管長)、内田樹(神戸女学院大学名誉教授)、梅原猛(哲学者)、落合恵子(作家)、鎌田慧(ルポライター)、鎌田實(諏訪中央病院名誉院長)、佐高信(ジャーナリスト)、香山リカ(精神科医)、澤地久枝(作家)、杉原泰雄(一橋大学名誉教授)、瀬戸内寂聴(小説家)、田中優子(法政大学教授)、田原総一朗(ジャーナリスト)、暉峻淑子(埼玉大学名誉教授)、なかにし礼(作家・作詞家)、浜矩子(同志社大学教授)、樋口陽一(東北大学・東京大学名誉教授)、益川敏英(京都大学名誉教授)、森村誠一(作家)の皆さんが名前を連ねている。「安倍9条改憲NO!」の声を全国に満ち溢れさせ、安倍首相を中心とする改憲勢力に、「9条改憲」をあきらめさせ、そうした動きを葬ろうと多くの市民が立ち上がっている。この目的を実現・加速させるための取り組みを「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」を名づけ、事務局的機能を果たすため、「実行委員会」を立ち上げ、憲法9条のためそれぞれできることを考え、行動しましょうと呼びかけたい。実行委員会が現在構想している取り組みの中心は一大署名運動で、全国で3000万筆を集める計画だ。
 つづいて発起人・呼びかけ人からの発言が行われ、浜矩子さん、鎌田慧さん、暉峻淑子さん、佐高信さん、高野孟さん、落合恵子さん、香山リカさんが大きな運動を作っていこうと力強くアピールした。
 松元ヒロさんのミニライブ、清水雅彦さん(日本体育大学教授)の安倍改憲の狙いについての学習会が行われた。
 小田川義和さんが「行動提起」。全国市民アクションは、来年の通常国会発議を予測し、それに焦点を合わせ、改憲勢力に発議をさせないよう運動に取り組む。中心的な課題は、一大署名運動の取組みで、首相、衆参両院議長あての請願署名として実施し、3000万をめざす。今日を出発点として、第1次集約(12月20日)、第2次集約(4月25日)、第3次集約(5月末)とする。そして、全国で学習運動や多様な取り組みの追求である。それぞれの構成団体での取り組みなど多様に取り組む。またマスコミ・新聞広告運動、カンパ活動、集会の開催などを行う。月1回の定例的集会を総がかり行動実行委員会の取り組みと連動させて、「19日行動」として取り組む。それぞれのポイントで大集会を開催し、11月3日には国会正門前大集会を開く。また、全国で、スタンディング等多様な取り組みを企画する。

 全国市民アクションは「安倍首相の9条改憲を許さず、9条を守り、平和を守り続けることを、次の世代に引き継ぐことが今を生きる私たちの歴史的責務です」と呼びかけている。
 安倍9条改憲阻止の壮大な戦線の形成と闘いの前進を実現しよう。


朝鮮半島を再び戦場にするな

        
 市民・宗教者が緊急行動

 北朝鮮と米国の双方の挑発合戦が続いている。安倍政権はこうした事態を好機として緊張を煽り立て、軍事力強化と国内世論のいっそうの右傾化を画策するという危険な行動を続けている。 8月21日には、米韓両政府は合同軍事演習を強行開始した。アメリカと北朝鮮の軍事的な緊張が高まる中、いまこそ反戦・平和の声を上げるべき時である。

 8月22日、許すな憲法改悪!市民連絡会、憲法を生かす会、平和をつくり出す宗教者ネットの共催で、衆議院議員会館前で「殺すな!朝鮮半島を再び戦場にしないで!朝鮮半島に平和を! 核もミサイルもいらない!市民・宗教者緊急集会」が開かれ、100人余が駆け付け、市民、宗教者が「武力で平和をつくれない!」「対話による解決を!」「朝鮮半島に平和を!」と国会前で声を上げた。


労働法制大改悪を粉砕するぞ!

        
 労働弁護団主催の国会前集会

  労働者・市民が抗議の声 8月23日、厚生労働省は、高度プロフェッショナル制度の創設(一部専門職を労働時間規制から外す残業代ゼロ制度)を軸とする労働基準法改正案、裁量労働制の適用拡大、残業上限規制、「同一労働同一賃金ガイドライン案」関連の労働契約法改正案など7本の法案を一括法案として秋の臨時国会に提出する方針を固めた。
 この秋の臨時国会は安倍内閣による重大な労働法制改悪攻撃に対する闘いの時となる。

 8月19日、衆議院第二議員会館前で、「労働法制改悪阻止 国会議員会館前行動」(主催・日本労働弁護団)が開かれた。これは日本労働弁護団60年の歴史において初の国会前行動となった。集会には全労連、全労協、中立系労組の組合、連合の構成組織、市民が参加した。
 主催者を代表して労働弁護団の棗一郎幹事長が情勢報告。法案は、規制緩和と規制強化の方向を一括にし、そのうえ同一労働同一賃金をも含めている。まず一つ一つ分けて議論するべきだ。こんなおかしい法案は、絶対に許せない。安倍内閣に断固として反対していかなければならない。労働法制改悪や憲法改悪を推し進める安倍内閣打倒のために市民と労働運動はいっそう連携を強化していこう。
 ブラック企業被害対策弁護団の市橋耕太弁護士、返せ★生活時間プロジェクトの圷由美子弁護士があいさつし、全日本建設運輸連帯労働組合、ユニオンみえ(三重一般労働組合)、全国労働金庫労働組合連合会(全労金)、安倍政権の雇用破壊に反対する共同アクション、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会、憲法9条を壊すな!実行委員会がともに闘おうと述べた。
 国会から、民進党の小川敏夫参議院議員、初鹿明博衆議院議員、共産党の山添拓参議院議員が参加し、自由党の小沢一郎代表、社会民主党の吉田忠智党首からはメッセージが寄せられた。


30年目を迎えた長崎ピースサイクル

         
 ヒロシマ〜ナガサキを平和をアピールしてつなぐ

 30年目を迎えた長崎ピースサイクル(PC)は、心配された台風5号の影響もなく8月7日から9日までの3日日程で取り組まれた。
 大阪ピースサイクルのバトンを受け継いだ広島PCは広島平和公園を出発して徳山〜下関を走り、関門橋の九州側・門司で長崎PCと合流し、長い自転車の車列を作った。
 8月7日、30年目の節目となった長崎ピースサイクルは玄海原発への要請行動からスタートを切った。行動は首都圏PC5名・大阪PC1名で行われた。
 九州電力は今秋再稼働を目指しているが、10日に、原子力規制委員会は審査に時間を要するので再稼働は今冬以降になると発表があった。玄海原発再稼働に佐賀県知事は同意したが、30キロ圏内の4市町村と3市議会が依然として反対している。
 要請行動を終えて、基地の町・佐世保を目指した。
 夕刻には、広島・大分・大阪・福岡からの参加者が集い総勢24名となった。
 佐世保において、反基地の取り組みをされている市民の方を交えての交流・結団の会は大いに盛り上がった。
 2日目は、自転車13台。伴走車3台で長崎までの90キロ走行となる。自転車には、「なくそう原発」「まもろう9条」の幟がはためき、大分PCの幟にはアンパンマンが取り付けられて子供たちに、しっかりとアピール。福岡PCはサイクルトレーラーにスローガンを載せるなど、大いにアピールした。ありがたいことに道中では、カンパ・差し入れもあった。
 予定時間を1時間遅れたが、無事に長崎・五島町公園に到着した。18時からは、教育文化会館で第21回「8・8平和を考える長崎集会」に参加した。今回の集会の演題は「高校生1万人署名活動の取り組み」として、現在、長崎で活動を行っている高校生9名による発表だった。
 高校生平和大使は今年で20年目を迎えている。高校生1万人署名活動は、2001年に活動開始し、当時長崎には高校生が1万人くらいいるだろうということで名付けられた。署名は、高校生平和大使によって国連本部にこれまで100万筆を超えて届けられ、国連に永久保存されることとなっている。「微力だけど無力ではない」のスローガンで活動していて、ピースサイクルも大いに勇気と元気をもらった集会だった。 
 3日目の9日は、長崎原爆の日にあたる。早朝7時半からの「長崎原爆朝鮮人犠牲者追悼集会」に参加した。始まるころには空が暗くなり、雨が降り出す中ではあったが、300名くらいの参加があった。79年に建立された追悼碑前での集会は当初参加者は数名であったということだ。最後に全員が献花した。9時からは、平和資料館において、長崎市長あてのピースメッセージを、全国ピース事務局と広島ピースから手渡した。10時からは、原爆爆心地公園で行われた、「みんなで広げよう反核の輪」市民集会に参加して、紹介とアピールを行った。11時2分の黙とう時にはピースサイクルメンバーがNHK長崎から撮影され、その後、インタビューを受けたりした。集会は最後に、市民宣言2017を採択した。
 こうして30年目の長崎ピースサイクは、あらためて「反戦・反核・反侵略」平和を確認した。


オスプレイ飛行訓練反対道東集会

        北海道釧路市(8・11)


 陸上自衛隊と在日米海兵隊日米共同訓練が8月10日から北海道で開始された。沖縄に続きオーストラリア東部沖でも墜落事故を起こしたばかりの米軍新型輸送機オスプレイが初めて参加する。
 今回の日米共同訓練は陸自第11旅団(札幌)から約1300人、米海兵師団(沖縄)などから約2000人が参加し北海道大演習場(恵庭市)、上富良野演習場、矢臼別演習場(別海町)で行われるが、原因究明や安全性の確認もないまま米軍は「訓練への参加は外せない」として10日には普天間飛行場から4機が訓練の拠点となる米軍三沢基地に向かったという。 当初3ヶ所での飛行訓練から道東の矢臼別訓練場は除かれたが、8月11日釧路市で「オスプレイ飛行訓練反対釧路・根室道東集会」が開催された。危険なオスプレイ訓練に対する道民の反発が広がる中、集会は、約200人が参加し北海道平和運動フォーラムの長田秀樹共同代表の挨拶、矢臼別平和委員会中村忠士共同代表の現地報告が行われた。その後、網走・十勝地域からも参加して市内をデモ行進し市民にオスプレイの危険性と日米共同訓練に強く抗議するアピールを行った。
 今回の集会・デモは北海道平和運動フォーラムと釧労連・命とくらしを守る釧路市民会議・矢臼別平和委員会の4団体が釧路では初めて共同で開催した。
 これは北海道各地で取り組まれている市民と野党の共闘にとっても大きな一歩となった。


警視庁機動隊沖縄への派遣は違法 住民訴訟大集会

          警察権力の不当不法な弾圧を暴露し、裁判にも勝利しよう


 沖縄の人びとの基地建設反対の闘いに対して、安倍政権はさまざまな不当不法な弾圧を行っている。先頭に立って戦う沖縄平和運動センター議長の山城博治さんは、1年近く前にあった辺野古新基地建設を止める座り込み抗議行動を容疑として不当逮捕され長期勾留された。山城さん以外にも抗議行動参加者が長期勾留を強いられた。
 そして、沖縄県警だけでは押さえつけられなくなったと判断した安倍政権は、なんと全国の警察を動員して体制を強化している。
 昨年7月11日、警察庁は各都府県警(警視庁と千葉、神奈川、愛知、大阪、福岡)へ「特別派遣」の指示文書を出した。以後、500名以上の機動隊員が道路封鎖や検問、車両や市民の強制的な排除などを行い、こうしたなかで高江ヘリパッド新設工事が強行された。しかも、沖縄県公安委員会が派遣要請を決定するのはその翌日だったのである。
 戦後の警察組織は、戦前・戦中の横暴な国家警察支配の反省から自治体警察が原則となっている。警察は、それぞれの都府県税から給与を受け取っている。警視庁などの他都府県の沖縄派遣は、それぞれの自治体から給与などが支払われるべきではないのである。その額は、情報開示請求に対して警視庁は派遣詳細を黒塗りで回答しているが、合計で約2億8千万円と推定されている。

 8月25日、文京区民センターで、「都民が働いて納めた税金が、沖縄で弾圧を行う警察官への給与に 警視庁機動隊沖縄への派遣は違法 住民訴訟大集会」(主催・警視庁機動隊の沖縄への派遣中止を求める住民監査請求実行委員会)が開かれ、190名あまりが参加した。

 はじめに、高木一彦弁護士が高江住民訴訟裁判の経過を報告。高江の住民を警視庁の機動隊が弾圧しているが、東京都民である私たちは、そんなことを東京都の職員である機動隊に許した覚えはない。昨年10月17日、314名の申立人が67名の弁護士代理人によって、東京都監査委員に対し、本件派遣された機動隊員への給与支払いは、違法・不当な公金の支出に当たるとして、住民監査請求を申し立てた。しかし、監査委員は11月19日付けで、申立人に意見陳述の機会も与えず、門前払い却下をした。その後の調査で、平成21年以来の8年間で合計125件の住民監査請求の申し立てがあったにもかかわらず、東京都監査委員が監査を実施しだのはわずかに11件に過ぎないことが分かった。他府県は従来それほどひどくはなかった。だが、今回、機動隊を派遣した神奈川・千葉・愛知・大阪・福岡の全てで、住民監査請求が行われたにもかかわらず、ことごとく却下された。中でも福岡では東京より少し後に申し立て、意見陳述の期日も入っていたにもかかわらず、東京で却下されると、その期日指定を取り消して却下としたという。だが、このまま屈服するわけにはいかない。12月20日には184名の原告、62名の弁護士代理人によって、住民訴訟を東京地裁行政部に提訴した。
 この裁判で、最初に立ちはだかる壁は、平成4年の最高裁判決、いわゆる一日校長事件判決だ。この判決は、支出に先立つ原因行為に違法があっても、その支出そのものに財務会計法規違反がなければ、損害賠償責任を問うことはできないとしている。これを本件に当てはめれば、派遣決定が違法だとしても、給与の支給に財務会計法規違反がなければ、警視総監に損害賠償責任はないということになる。
 今年3月8日に第1回裁判、6月21日に第2回裁判を行った。どちらの回も東京地裁で一番大きな大法廷である103号法廷を傍聴者でいっぱいにして行われたが、この第2回裁判で裁判長が重要な発言をした。それは、被告東京都に対し、「警察法60条を見ても、誰が警察官の派遣決定をするのかがよく分からない。法的な権限だけでなく、その運用においても警視総監が機動隊の派遣について事前・事後にどのように関与するのかを明らかにせよ」というものだった。あくまで私の意見だが、これにより、一日校長判決を形式的に適用して、警視総監に損害賠償責任なしとする門前払い判決はしないと裁判所が表明したことになるのではないかと思っている。だが、仮に私の意見が当たっていたとしても、これは、最初に立ちはだかる壁を越えられるかもしれないということに過ぎない。次に挑戦しなければならないのは、原因行為としての機動隊派遣が、違法なのか、どれほど重大な違法なのかについての実態審理である。今、弁護団では、原告団事務局と力を合わせて、高江へのヘリパッド設置ということがどれほど不当で、今回の建設強行がどんなにひどいものであったのかという総論と、この6ヵ所のヘリパッドに取り巻かれて暮らすことになる苦痛とヤンバルの森の自然破壊を高江の住民や科学者の証言で明らかにしていきたい。また、警視庁機動隊が実際にどんなひどいことをしたのかについて撮影された動画や居合わせた人たちからの証言による各論の立証準備を始めている。次回は9月20日、次々回11月22日と、一瞬も気を抜けない真剣勝負が続く。この裁判は、闘う沖縄県民への連帯であると同時に、私たちの足元である東京の住民自治の権利を取り戻すためのものであり、さらには、これまでほとんど取り組まれたことのない警察の暴走との闘い、本来自治体警察であるはずの警視庁を、都議会や都民のコントロールの下に置く闘いであると考えている。

 つづいて、全国港湾組合連合会中央執行委員・辺野古新基地建設反対対策委員会の諸見力事務局長が、辺野古の新基地建設工事に使用される土砂の搬出入業務を拒否するよう会社側に求める組合の要求書を業界団体の日本港運協会に提出したことなどについて報告した。

 山城博冶さんは、高江現地の当時の状況と現在と題して力強い報告を行った。全国港湾労組や辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会などの運動、東京でも警視庁の沖縄派遣についての訴訟が起こるなど沖縄の闘いに具体的に連携する闘いが起こりこうした全国の力を合流させて、アメリカの尻馬に乗って戦争の道を暴走するファシスト安倍を打倒していこう。

 「共謀罪制定を始めとする日本の危険な全体状況と本住民訴訟の意義」について、宮里邦雄弁護士が発言した。

 トークセッションでは、山城博冶さんと宮里邦雄弁護士が闘いの展望などについて語った。


9・6 共謀罪対策弁護団結成記念シンポジウム

              
 適用させないまま廃止に

9月6日、共謀罪対策弁護団が結成された。その目的は、共謀罪法の問題点を忘れることなく廃止への弾みにする、共謀罪による検挙の予防、市民運動の萎縮防止などだ。弁護団の共同代表は、徳住堅治(日本労働弁護団会長)、海渡雄一(日弁連共謀罪法案対策本部副部長)、加藤健次(自由法曹団幹事長)、南典男(日本民主法律家協会常任理事)、平岡秀夫(元法相)、武井由起子(明日の自由を守る若手弁護士の会)のという強力な弁護士のみなさん。弁護団の活動方針は、@勉強会(研究者、国際人権NGO、関連する市民運動などに関わる方々にも呼びかけ、連携して進める)、A勉強―研究成果の公表(弁護団の目的である共謀罪による検挙の予防、市民運動の萎縮防止の達成のための課題について研究・検討し成果を公表する)、B市民団体への講師派遣である。

 衆議院第2議員会館・多目的会議室で「共謀罪に負けないぞ! 9・6 共謀罪対策弁護団結成記念シンポジウム」が開かれ、会場いっぱいの147名が参加した。
 共同代表の徳住堅治弁護士が開会の挨拶。共謀罪は人権を犯す悪法だ。私は長年労働問題を扱ってきたが労働運動は労働者の共謀だ。国民生活を壊す法律を皆さんとともに廃止していきたい。
 白取祐司神奈川大学教授が「共謀罪はなぜ廃止しなければならないか?」と題して講演。今年の1月の衆議院各党代表質問に対する安部首相の答弁は「テロ等の実行の準備行為があって初めて処罰の対象となるもので、共謀罪と呼ぶのは全くの誤りだ」と言ったが、6月の参議院本会議で採決を強行した。まったの無理と嘘の法案成立だった。共謀罪の施行で、司法警察とは別の行政警察の肥大化、監視捜査の拡大で個人情報が国家権力の手に集中されるようになる。こうした社会を拒否する市民のつながりを広げて法廃止を実現しよう。
 つづいて弁護団からの発言。平岡秀夫弁護士は「共謀罪を成立させた環境と共謀罪成立後の環境」について報告。安倍政権が目指してきた「戦争のできる国」つくりとして、新教育基本法、防衛省設置、特定秘密保護法、戦争法、共謀罪の創設があり、そして「憲法改悪」へ動きがある。安倍首相の手口は、国民を欺く説明であり、あり得ぬ例え話、大袈裟な表現、嘘と誤魔化しがある。そして国会法に違反する強行採決、規則無視の委員会運営という強引な国会運営だ。共謀罪は近代日本の刑事法体系にそぐわない刑事罰の誕生であり、「疑わしい」だけで処罰し、恣意的・政治的捜査、通信傍受(盗聴)、会話傍受の拡大、自白偏重の取調べ、「密告」の奨励・司法取引との連動などが想定される。このような法律は絶対になくなさなければならない。
 小池振一郎弁護士は、「警察を監視する第三者機関設置の必要性」について報告した。
 つづいて弁護団事務局長の三澤麻衣子弁護士が「共謀罪対策弁護団の活動計画」について報告。共謀罪が出来てもあきらめないという事が大事で、廃止まで闘い続けなければならない。弁護団の結成は、不当な弾圧・逮捕に対して事前に準備するものでもある。そのための理論武装もしておかなければならない。
 国会からは、共産党の藤野保史衆議院議員、民進党の逢坂誠二衆議院議員、社民党の福島瑞穂参議院議員が挨拶を行った。
 連帯の挨拶では、総がかり行動実行委員会の高田健さんが、新たに結成された「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」について報告し、また日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)の岩崎貞明事務局長は9・15共謀罪は廃止できる!日比谷大集会&銀座デモへ結集を呼びかけた。
 最後に共同代表の海渡雄一弁護士が閉会の挨拶。若々しい弁護士が中心を担う弁護団が結成された。これから専門家としてのスキルを発揮して政府当局と対等に渡り合える闘いをやっていきたい。共謀罪を適用させることなく廃止にしていくために運動を強めていこう。


関東大震災・朝鮮人虐殺から94年 9・1集会

         在日朝鮮人が見る日本国憲法


 東京都は、例年、関東大震災時に虐殺された朝鮮人犠牲者を慰霊する9月1日の式典への追悼文を送ってきた。あの石原慎太郎さえもそうしてきた。だが、今年、昨年は追悼文を送った小池百合子都知事は、送付を取りやめた。墨田区の山本亨区長も知事に追従して送付を取りやめた。小池や都民ファーストの会の右翼としての政治的な本質が暴露されたものであり、断じて許されるものではない。

 9月1日、在日本韓国YMCA会館で、「関東大震災時の朝鮮人虐殺から94年 第43回 9・1集会」が開かれた。この集会は、1975年に第1回目が開かれた。会の代表であった故崔昌華(チェ・チャンファ)牧師は、早くから外国人参政権問題について言及し、1975年にはNHKに対して韓国人名を日本語読みにて放送するのは人権侵害であると訴訟を起こした。また外国人指紋押捺においても拒否を貫き運動を展開した。崔牧師は「朝鮮人」という理由だけで虐殺が行われた関東大震災「9月1日」を在日韓国人・朝鮮人差別の原点として、毎年9月1日に集会を開き人権獲得を訴えてきた。同牧師が亡<なってからは、その遺志を受け継いで毎年集会が開催されている。

 集会では初めに、生前の崔牧師の講演ビデオが上映された。

 つづいて、「『国民主権』が隠す植民地主義――在日朝鮮人が見る日本国憲法」と題して、宋連玉(ソン・ヨノク)青山学院大学名誉教授が話した。18歳選挙権導入を機に文科省は全国の高校で選挙制度や投票方法について教える「主権者教育」を推進するとしているが、マイノリティの学生へはどう対処するのだろうか。護憲派の法曹人ですら日本の公教育で学ぶマイノリティが視野に入っていない現実があるのではないだろうか。多くの憲法論議が「国民」を前提にして行われているのではないか。「国民主権」と祝祭日、元号など日本国憲法がはらむ問題は、憲法学者の専権事項にまかせて、歴史問題を棚上げにしていては、見えないことが多い。「国民主権」を謳う日本国憲法から疎外されてきた在日朝鮮人の個人的経験を踏まえて、日本国憲法が東アジアの冷戦や「戦後」も続く植民地主義を克服するために、何が必要なのかについて話をしてみたい。日本国憲法への評価は高い。だが、憲法制定の1946年の時点から今日まで、安保体制を含めた戦後日本のあり方を問うべきだという意見がある。日本国憲法を的確に知るために、在日朝鮮人の歴史はネガフィルムとしてある。国民主権=国民でなければ基本的人権や生活権などが享受できないのだろうか。1946年2月のGHQによる憲法草案では、人権規定の主語である「all natural person」は「すべての国民」と翻訳されていた。それをGHQは「自然人」や「人民」と訳すべきではないかとした。しかし、憲法作成に携わった佐藤達夫(内閣法制局次長、旧内務官僚)は、人民はkingに対抗するものだが、日本では、国民はkingと一体である、また、「自然人」と訳すのなら、16条には「外国人は法の平等な保護を受ける」としてあり、13条の内容が重なるので、16条の削除を要求した。GHQは削除した16条の内容を13条に盛り込むために「凡ての自然人はその日本国民たると否とを問わず法の下に平等」としたが、佐藤は「その日本国民たると否とを問わず」の部分を削除し、「自然人」を「人」に、そして最終的は、草案の文体を文語から口語に変えるということで「人」は「国民」になった。こうしたことを見ると、日本国憲法は押し付けられたといえるのだろうか。
 敗戦で、総人口の1割に当たる660万人の引揚げ、復員がある状況で、旧植民地人は排除すべき対象となった。自国民であれ、外国人であれ、国内領土に居住する人たちの基本権を保障するのは、近代国民国家の責任であり、義務である。しかし日本国憲法においては旧植民地出身者を除外したところに人権規定の日本化があり、ここには平和憲法の矛盾がある。国籍条項と生存権条項に関して言えば、日本国憲法は明治憲法の内容を踏襲したものであり、外国人登録令は本質的には外国人排除令と言い換えられるものだ。「戦後」の1945年12月、婦人参政権が実施されることになったが、旧植民地に戸籍を置く者(朝鮮人、台湾人)の参政権は停止され、1947年5月には、日本国籍を有したまま外国人とされた。こうして「日本人」として治安取締りの対象とされる一方で、「外国人」として強制退去の可能性も確保された。外国人登録令を制定した翌日に施行された日本国憲法で、国民に保障された「居住・移転の自由」も旧植民地出身育には許されなかった。外国人登録令なのに朝鮮人、台湾人は、便宜上、「朝鮮」、「台湾」と出身地記載となり、1950年2月からは「朝鮮」に加え、「韓国」「大韓民国」と記入することも可能になり、「朝鮮」「韓国」は相互に書き換えが認められた。しかし、1951年1月、朝鮮戦争で国連側が形勢不利になると、「韓国」から「朝鮮」への記載変更は禁止された。そして、52年6月には「韓国」は出身地から国籍とみなすことが内部通達として処理された。この政治的背景として、日本政府は、国連の韓国政府承認、サンフランシスコ講和条約第5条の定める国連への協力義務とそれに基づく朝鮮国連軍への援助の約束を根拠に、韓国国内法を在日朝鮮人の国籍選択の準拠法としたからである。 
 現在、外国人学校で朝鮮総連系の民族学校だけが高等学校等就学支援金制度の対象から外されている。また1994年までは、通学ではなく通勤定期だった。また、日本人なら18歳から選挙権が与えられる今日でも、外国人には地方選挙権すら与えられない。このような国籍条項はOECD加盟国で日本だけである。
 生活保護の面でも、1946年9月制定の旧生活保護法には国民規定は無かったが、1950年5月改正の新生活保護法で対象を「国民」に限定した。また、追放政策としての「帰国」事業があった。事業を主導したのは日本政府であり、日本赤十字がそれを担った。1955年の年末から往日朝鮮人の「大量帰国」が積極的に推進された。これで、旧内務省官僚により在日朝鮮人の日本国籍が一方的に剥奪され、それを受けて旧外務官僚が書き上げた「北朝鮮」への追放シナリオが実現した。
 まさにこの時期に、日本の戦後民主主義は多くの「国民」に高らかに礼賛されていたことを認識しなければならない。
 最後に、日本国憲法が真の平和憲法になるためには何が必要だろうか。ヘイトスピーチに代表される植民地主義を可視化する暴力集団の動きが活発化する中で、日本国憲法とくに9条がアジアや世界に対する日本の国際公約であることを認識して、東北アジアの冷戦、日米安保体制と関連して再生産される植民地主義、そこに生きる在日朝鮮人の人権を無視しない平和憲法であるべきだと思う。


平和の灯を!ヤスクニの闇へ  キャンドル行動

         東アジアの視点から「明治維新150年」 とヤスク二を問い直す


 8月12日、在日本韓国YMCAで、「平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動 ― 東アジアの視点から『明治維新150年』とヤスク二を問い直す」が開かれた。

 主催者を代表して今村嗣夫さん(キャンドル行動実行委員会共同代表)が開会あいさつ。トランプ政権発足と暴走を好機として安倍内閣は自主国防の強化を図り、ヤスクニとの結びつきを強めようとしている。この市民の私生活、家族、住居、若しくは通信に対する干渉を強める国家に、とことん抵抗するキャンドル行動を、今年も力強く進めよう。
 シンポジウムでは哲学者の高橋哲哉さん(東京大学教授)、歴史学者の原武史さん(放送大学教授)、南相九(ナムサング)さん(韓国・東北亜歴史財団韓日関係研究所室長)をパネリストとして、明治維新150年とヤスクニ問題について東アジアの視点から語られた。
 遺族等証言は日本と韓国から行われた。はじめに安倍靖国参拝違憲訴訟・原告の関千枝子さん―1945年8月6日、広島での原爆で私のクラスは全滅したが、当日病気のため欠席した私は奇跡的に助かった。人は私を「運のよい子」と言ったが、私は「私は運が良かったとして、クラスメートや他校の少年少女は運が悪かったのか!」と問い続けてきた。再開した学校は校舎もない惨憺たる状況だったが、空襲の心配もなく文化やスポーツがよみがえり、実に楽しかった。そんな時、新憲法の草案要綱か発表され、私は「戦争放棄」の言葉に胸を熱くした。そして「友が生きていれば…」と思った。講和条約が発効し、軍人恩給が復活して、私のクラスメートらヒロシマの少年少女たちは軍の命令で出勤したのだからと準軍属に認定され、靖国神社に合祀され、当時の新聞は「最年少の英霊」と称えたが、私は愕然とした。原爆地獄のなかで、焼けただれ、水を求め、死んでいった彼女らに贈るべきものは、靖国への合祀ではなくて、恒久の平和であり、核兵器の廃絶であると思い、少年少女たちを、「国民を戦争に駆りたてた」神社の「いくさ神」にしたくない。あの日の欠席がなければ私も今、「靖国の神」になっていた。他人事ではない。私は「いくさ神」になりたくない。私はこの思いで、原告となり闘っている。安倍靖国参拝違憲訴訟は、4月28日判決で棄却された。それは原告の様々な思い、願いを顧みることなく安倍の意見を長々と書く最低の内容で、私たち原告はあきれ果てながら、あきらめず高裁に控訴して闘い続けている。
 韓国からは董定男(トン・ジョンナム)さん―私は、靖国に合祀されている董善洪(トン・ソノン)の息子の董定男(トン・ジョンナム)で、1944年、名古屋で生まれた。当時、父はすでに強制動員されており、家にはいず、そのため、私は父の顔も知らず、父に関する記憶も何もない。父は名古屋にあった三菱工場で働いており、家族も名古屋で暮らしていた。1943年3月、会社に動員命令が下され、朝鮮人が強制動員されると、父は案内のために一緒に連れていかれた。その後、父は帰ってこず、連絡も途絶えた。空襲が激しくなり、母と私たち家族は韓国の実家に戻った。私は、意地でも父の痕跡を必ず探し出そうと、1990年初頭、名古屋市に行き、調べたが空襲によって記録はすべて燃えてしまったという回答しか得ることができなかった。覚悟を新たにし、暇さえあればいつもあちこち尋ね回り、約10年、ついに海軍死亡者名簿から父の名前を見つけ出した。しかし私が最も衝撃を受け、怒りがこみ上げたのは別のことだった。それは、その記録よれば、1959年7月31日、父が靖国神社に合祀されたという内容だった。私の父は、天皇のために死んでいった人ではない。日本が引き起こした戦争のせいで若くして死んでいったことも悔しいのに、靖国に合祀されているとは、私にはとうてい許すことができない。私は父の名前を一日でもはやく靖国神社から取り出したい一念で、靖国合祀取り消し訴訟の原告となった。私が裁判のため日本を訪れて何より感動を受けたのは、私たち遺族のために、長い間支援活動を行ってきた弁護±の皆さんや多くの市民の皆さんの存在だった。私は日本政府と靖国の卑怯さを感じているが、最後には私たちが必ず勝つだろうと確信している。
 特別アピールは、戦争をさせない1000人委員会、沖縄への偏見をあおる放送をゆるさない市民、日本軍「慰安婦」問題解決全国行動、強制動員真相究明ネットワークが行った。
 コンサートでは、寿[Kotobuki]とソン・ピョンフイさん、イ・ジョンヨルさんが出演。
 最後の閉会あいさつは李熙子さん(反靖国共同行動・韓国委員会共同代表)がおこなった。

 午後7時からはキャンドル・デモに出発し、途中の右翼の執拗な妨害行為をはねのけ、「靖国反対、戦争反対、安倍はやめろ」とアピールした。


せんりゅう

      特権のおごり豊洲は儲け滓

      祟り目の燃料デブリ安倍デブリ

      金金の五輪けいきで過労

      兆円留保うむ最賃びんぼう


  2017年9月

              ゝ 史


複眼単眼

       核戦争の挑発者は類最悪の犯罪者になる


 北朝鮮と米国の関係が極度に緊張している。
 九月三日、北朝鮮は水爆実験を強行した。同日、米国のマティス国防長官は「北朝鮮を抹殺しようとしているわけではないが、そうするための選択肢は数多くある」と発言した。
 米国と北朝鮮は核兵器をふくむ武力による威嚇の応酬を続けている。先頃、北朝鮮は米領グアムに向けて四発のミサイルを発射する準備が整ったと宣言し、米国はグアムを攻撃すれば「世界が見たこともない炎と激怒で対抗する」と言い返し、八月下旬から韓国軍と共に約七万人規模の大合同軍事演習を一〇日あまりにわたって実施した。今回の水爆実験はこの軍事演習に対する反撃であるとも言われている。
 こうした相互の軍事挑発の応酬の結果、偶発的な軍事衝突を引き金に、もし万が一、戦争が起こったら、朝鮮半島が『火の海』になり、在日米軍基地を持つ日本にも戦火が及ぶのは必至であり、先に強行採決された戦争法のもとで自衛隊の参戦は不可避であり、短時間に一〇〇万単位の死者が発生するに違いない。このようなことは断じて許されない。
 両国は自己の立場の正当性を主張しているが、この核戦争の危機の前に、正義も不正義もない。あるのは人類が見たこともないような大虐殺であり、米朝のいずれもが人類史上最悪の戦争犯罪者になるということだ。
 いま、緊迫した情勢の中で、米国はあらゆる選択肢がテーブルのうえに乗っているといい、「対話」の可能性も放棄していない。北朝鮮もグアムへの弾道弾の発射は「様子をみる」と言っていた。にもかかわらず、先般開催された日米安全保障協議委員会(2プラス2)で両政府の閣僚は、北朝鮮への「圧力」を強化することで合意した。あろうことか河野外相は「対話のための対話では意味がない」などと断言し、小野寺防衛相は自衛隊の役割拡大を表明し、地上配備型迎撃ミサイル「イージス・アショア」の導入を表明した。防衛省は二〇一八年度予算に五兆二五五一億円の概算要求を盛り込む方針を決定した。第二次安倍政権発足後、五年連続の防衛予算増だ。
そして無意味なJアラート(空襲警報)を鳴り響かせることで市民を脅し、自らの立場を正当化する。
 安倍政権がとっている政策は、あたかも、米国トランプ政権よりも強硬であるかのようだ。四日の国連安保理では別所国連大使は「最大限の圧力をかけるべきだ」と主張した。この日本政府の立場は朝鮮半島の軍事的緊張をいっそう激化させ、平和に逆行する道に他ならず、絶対に許されるものではない。
 朝鮮半島の危機を緩和し、平和を実現するためには、米朝双方の真摯な努力が必要であり、米国は大規模軍事演習などによる挑発をやめ、北朝鮮も核・ミサイル開発を中止し、即刻、無条件で対話のテーブルに着くべきだ。
 より長期的には米朝間の対話を通じて、かつての朝鮮戦争以来、停戦状態に止まっているにすぎない朝鮮半島の軍事的緊張を解決し、平和協定に発展させる必要がある。この危機を回避するためには六カ国協議など可能で有効な話し合いの場が設定されるべきだ。
 憲法九条を持つ日本政府は、この対話による平和の実現と日朝国交正常化のためにこそ行動しなければならない。 (T)