人民新報 ・ 第1355号<統合448号(2017年11月15日)
  
                  目次

● 戦争熱をあおり改憲策動を進める安倍内閣

       改憲発議を阻止するさらに大きな運動を!

● 安倍9条改憲NO! 全国市民アクション11・3国会包囲大行動

       3000万署名をやり抜き、9条改憲反対の圧倒的世論を作り出そう

● 日本労働弁護団の働き方改革推進法案要綱に対する意見書

● 韓国の最低賃金の大幅引き上げ実現の運動的背景

        最低賃金大幅引き上げキャンペーン2017東京集会での安周永さんの講演

● 共謀罪廃止への闘い

        立憲野党と市民が共同して、共謀罪廃止法案の国会提出を実現しよう

● 外国人技能実習制度は廃止されなければならない

        「守ろう!外国人技能実習生のいのちと権利」集会

● せんりゅう

● 複眼単眼  /  死の商人トランプのマッチポンプ






戦争熱をあおり改憲策動を進める安倍内閣

       改憲発議を阻止するさらに大きな運動を!


 第四八回衆院選(一〇月二二日投票)は、自民党・公明党の与党が3分の2の議席を確保する結果となった。しかし、選挙後においても、安倍内閣の支持率は低いままだ。
 1月20日に始まった通常国会が6月18日に閉じられた後、安倍は、野党の再三の要求にもかかわらず臨時国会開会をおこなわず、やっと9月28日に招集したかとおもえば冒頭解散した。
 安倍は、5月3日に早期の改憲実施を宣言し、朝鮮半島危機に便乗し、危機を煽り立て、戦争する国づくりに向けての策動を強めてきたが、一方で、加計、森友学園問題をはじめとして、共謀罪法の強引な成立、自衛隊南スーダン日報問題で法相や防衛相が窮地に追い込まれ、そして自民党所属の各級議員たちのスキャンダルなどが続き、その影響もあって都議選での自民党の大敗に追い込まれた。とりわけ安倍個人の資質に対する不信から内閣支持率は急速に低下してきた。国会が開かれれば、連日安倍への追及が行われ、内閣の存続も危ういと言われる事態が起きようとしていた。何としても、国会を開きたくない、絶対に嫌だ、これが安倍の本音だった。そして「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」に見られるような改憲阻止、安倍内閣打倒にむけた「総がかりをこえる総がかり運動」の広がりが勝ち取られ、総選挙での野党と市民の共闘で、与党過半数割れの条件が形成されようとしていた。
 しかし、安倍は臨時国会の冒頭解散をおこなうという前代未聞の暴挙をおこなった。世論調査で内閣支持率の若干の持ち直し、野党の選挙体制が出来上がっていないことを見越し、また加計、森友学園問題など自身の進退に直結する疑惑からの逃亡、そして朝鮮危機に便乗しそれをあおること、また民進党のゴタゴタや小池新党の選挙準備が間に合わないことなどを見越して、私利私欲の安倍のための解散・総選挙に打って出てきたのである。野党側では、こうした有利な条件を、民進党の前原誠司代表が希望の党への合流論で民進党を分裂させ、野党協力の態勢を壊し、低投票率と与党勝利をもたらした。同時に小池も前原も政治的影響力を著しく低下させることになった。
 この経験から、安倍一強暴走政治に反対する立憲主義の堅持、野党と市民の共闘の強化こそが安倍独善政治を阻止するための前提条件であることが一層深く認識されるようになった。野党共闘を背景にした立憲民主党の躍進がそれを物語っている。
 戦後二番目の低投票率の中での総選挙の結果は、小選挙区制度による与党優位の影響が大きい。小選挙区制では虚構の多数派が生まれることが多いが、たとえば自民党の比例得票率は33%なのに議席では61%いうことになっている。
 11月1日に特別国会が開かれ、全閣僚を再任して第4次安倍内閣が発足した。同日昼には、「安倍9条改憲を許さない国会開会日行動」が議員会館前で行われた。共産党・志位和夫委員長、立憲民主党・近藤昭一副代表、社民党・吉田忠智党首、沖縄の風・糸数慶子議員が決意を述べ、野党の国会内での断固たる闘い、市民の国会外での大きな運動の展開で、野党と市民の新たな段階での共闘が確認された。
 当初、安倍は、国会会期をたった8日間の実質審議なしにすることをもくろんでいたが、世論の動向に抗しきれずに、会期を12月9日までとせざるを得なくなった。しかし、野党の質問時間を短くするなど、依然として横暴な態度をとりつづけている。
 11月5日には、トランプ米大統領が米軍横田基地に降り立ち来日した。トランプは日本、韓国、中国、ベトナム、フィリピンを訪問したが、その目的は、朝鮮半島半島問題と貿易面でアメリカ・ファーストを強行する目的だ。安倍は首脳会談で、世界中で最もトランプの戦争政策を支持することを宣言した。しかし、トランプ政権は内外ともに行き詰まりの様相を強くし、トランプ自身の政策も安倍が期待するものとは乖離する可能性が強くなっている。
 だが、安倍は逆に、戦争する国づくりに向けた憲法9条改悪に突出しようとしている。
 安倍は党憲法改正推進本部の新本部長に細田博之前総務会長をすえ、憲法改正論議を再開させ、来年の通常国会にも自民党改憲案を提出したいとしている。なんとしても、任期中に改憲をやり抜くという安倍の姿勢を具体化するものだ。
 しかし、与党公明党は「野党第一党の理解を得て合意できるのが望ましい」と述べるなど拙速な議論には組しない姿勢をアピールし、自民党内での意見調整も簡単にはいかないだろう。
 いまこそ、大きな戦線の形成で改憲阻止の態勢を早急に作り上げなければならない。
 安倍政治を終わらせるのは、市民運動、労働運動が大きく合流した総がかり行動態勢の拡大、それを背景にした立憲野党の共闘のいっそうの強化である。
 「安倍9条改憲NO!全国市民アクション実行委員会」を軸に、各地の各界・各層・各種の運動をしっかりとむすびつけて、「安倍9条改憲NO! 憲法を生かす全国統一署名」の3000万署名を達成し、「総がかりをこえる総がかり」運動を実現することが闘いの前進と勝利の鍵である。


安倍9条改憲NO! 全国市民アクション11・3国会包囲大行動

       3000万署名をやり抜き、9条改憲反対の圧倒的世論を作り出そう


 第四次内閣発足させた安倍は戦争する国造りの仕上げとして憲法改悪のうごきに拍車をかけている。11月3日は日本国憲法の公布記念日である。この日、全国各地で様々な憲法改悪阻止の行動が取り組まれた。

 東京では、安倍9条改憲NO!全国市民アクション実行委員会と戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会の主催による「安倍9条改憲NO! 全国市民アクション 11・3国会包囲大行動」が行われた。新たな改憲阻止への大きな運動のうねりをつくりだすスタートである。国会議事堂を包囲するかたちで、国会正面前、議員会館前、国会図書館前、町村会館前などにステージが設けられ、4万人が国会議事堂を包囲した。

 国会正面の演壇では、はじめに高田健さんが主催者挨拶。今日、北海道から沖縄までほぼ同時刻で市民が集会や街角にたったりして様々なかたちで安倍改憲を許さない行動をやっている。安倍は5月3日に9条に新しく3項を付け加える改憲案を出したが、その狙いは9条2項を骨抜きにしてこの国を戦争できる国にすることだ。この間、私たちは安倍改憲に反対して全力で闘ってきた。さきの衆議院選挙にむけて野党4党と市民の共闘を強めて自民党を過半数割れに追い込むために闘ってきたが、安倍のほうも何とかこの共闘を壊したいとさまざまな策動を行ってきた。そのため残念ながら野党の足並みの乱れが起きてしまった。しかし私たちのこの2年余りの闘いは無駄ではなかった。混乱を克服する新しい流れが生まれ、あらためて野党と市民の共闘を生み出し、新たな可能性を生み出す衆議院選挙となった。確かに安倍は改憲に必要な三分の二を確保したが、しかし衆議院選挙で生み出された新しい確信ある野党と市民の結束は、大きな流れとなって安倍9条改憲を打ち砕いていくに違いない。本日のある報道機関の調査では安倍9条改憲に反対が52・8%だが、賛成は30数%となっている。戦後70年にわたって営々として民主主義、平和主義、基本的人権のために闘ってきた運動が日本の市民の中に明確に息づいていることをこの数字は示している。しかし油断するわけにはいかない。安倍は次の国会での改憲発議、そして国民投票をやろうとしているが、いま私たちが勝てる保証があるわけではない。これからの私たちの闘いにすべてはかかっている。憲法改正国民投票法という改憲手続法は、改憲派が勝つように二重にも三重にも罠が仕掛けられている。このことを無視して安易に国民投票に期待するわけにはいかない。今、改憲発議をさせない運動を通じて国民投票法の罠をも打ち砕いていく闘いが必要だ。2015年の夏の戦争法案反対の時も、国会内では圧倒的少数派だったが、国会議員の皆さんが国会審議を延ばしにのばしてとうとう9月15日まで追い込んだ。あの闘いをもう一度思い起こそう。国会の中で少数派だからと言って決してあきらめる必要はない。国会議員の皆さんと国会の外の私たちがしっかり団結して闘えば、審議を延ばし、さらに廃止にもっていくことは可能だ。昨年、韓国の民衆は民主勢力の連携によって朴槿恵政権を打倒した。私たちは韓国の民衆の闘いにしっかりと学んで、9条改憲阻止の闘いを進めていこう。今日の集会には韓国キャンドル革命の後継組織のリーダーが来てくれている。韓国の人びとは日本の私たちと連携してアジアの平和のために闘うと言ってくれている。明後日、トランプが来日し安倍首相と会談するがとんでもない危険なにおいがする。私たちと韓国の人びととの連帯は安倍・トランプ会談への明確な対案だ。私たちは朝鮮半島の平和を実現する、朝鮮半島で戦争を起こさせないという気持ちをもって今日の集会をいっしょにおこなおう。みなさん、安倍改憲を阻止しよう。3000万署名を全力を挙げてやり抜こう。今日の集会を成功させよう。頑張れば必ず勝利する。

 つづいて立憲民主党の枝野幸男代表の発言。多くの国民に背中を押されて立憲民主党をたちあげた。その力の一つが安保法制以来の国会周辺でのみなさんの立憲主義を守らなければいけない、いまの流れを食い止めなければならないという大きな声であり、心から感謝する。安倍首相が選挙に勝ったというのは事の半分で、憲法によるルールによって内閣総理大臣の権限を預かっているに過ぎない。したがって自分たちの権限の根拠である憲法に従って権限の行使をしなければならない。立憲主義は右も左もない。近代社会なら当たり前の前提だ。しかし21世紀にも立憲主義を掲げなければならないのは、恥ずかしいことだ。しかし今掲げざるを得ない。我われは少数派かもしれないが、首相に白紙委任しているわけではないし、9条を改憲してよいと言ったわけではない。このことを安倍首相にも多くの国民にも言いたい。私もふくめて、これまでは永田町の内側を向いた政治だった。私たちは国会の中の闘いと国民の皆さんとともに歩む闘いを車の両輪として、立憲主義を取り戻すために頑張っていきたい。

 ルポライターの鎌田慧さん、作家の落合恵子さん、ICAN(核兵器廃絶日本NGO連絡会)国際運営委員・ピースボート共同代表の川崎哲さんが発言した。

 韓国の朴槿恵政権を退陣に追い込んだキャンドル革命・市民運動の中心人物の一人である金泳鎬(キム・ヨンホ)東北アジア平和センター理事長がソウルから駆け付けて発言。ここで外国人がなぜ発言しているのかと思う方がいるかもしれないが、日本の憲法9条の問題は日本国内の問題にとどまらず世界の歴史の問題だ。戦後、日本の戦前の締めくくりとして9条ができた。国際関係を安心させるためだった。9条はアジアの平和の宝だ。戦後の世界平和体制の柱だ。世界平和を愛する者がここに参加するのは当たり前ではないだろうか。憲法改正を進めるプロセスが私は怖い。政権は、敵を外に作らなければならないので、韓国、中国、北朝鮮を敵にして、あらゆる悪口を言い続けている。それに正しい情報ではなく、勝手な情報が流される。それで日本国民をそういう方向に促し、いろいろなヘイトスピーチをするようになる。領土ナショナリズムで押し進めることは本当に怖い。9条がなくなったら「普通の国家」になるのではなく、「戦前のファシズム国家」、「新しい軍国主義の出発点」になる恐れがある。9条を変えれば、相手も軍拡に走らざるをえなくなり、アジアは軍拡の悪循環に入ってしまう。アジアは9条を守って平和で行くか、軍拡で大規模な軍備増強で不安のアジアで行くか、分かれ道にいる。9条を守ることは、アジアにとって世界にとって非常に重要な問題となっている。9条を、消極的に守るというのではなく、積極的に攻める立場で闘うことが必要だと思う。東京で、ぜひとも世界平和フォーラムを開き、世界の人びとの平和センターになってほしい。
 
 共産党・志位和夫委員長、民進党・江崎孝参議院議員、社民党・福島瑞穂副党首が発言し、自由党・小沢一郎共同代表からのメッセージが紹介された。

 元最高裁判事の濱田邦夫弁護士、埼玉大学名誉教授の暉峻淑子さん、日本体育大学教授の 清水雅彦さん、元NHKプロデューサーで武蔵大学教授の永田浩三さん、安保法制違憲訴訟・女の会の柚木康子さんからの発言がつづいた。

 総がかり行動実行委員会の山口菊子さんが行動提起で、@3000万署名、A11月12月の19日行動、B来年1月7日の新春の集い(王子・北とぴあ)の成功を呼びかけた。

 最後に参加者全員でコールを挙げた。


日本労働弁護団の働き方改革推進法案要綱に対する意見書

 安倍内閣の目玉施策のひとつが「働き方改革」である。9月15日に厚生労働大臣から諮問のあった「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」について、「概ね妥当と認める」答申をした。この働き方改革推進法案要綱は、時間外労働の上限規制とならんで裁量労働制の拡大、高度プロフェッショナル制度、同一労働同一賃金などをすべて一つの法律案に一本化したものだ。そして、労働基準法、じん肺法、雇用対策法、労働安全衛生法、労働者派遣法、労働時間等設定改善法、パート法、労働契約法を一括した改正法律案としている。労働者の自由な働き方革命を口実にしているが、その実、日本を企業にとって一番自由に活動できる、すなわち労働者を資本にとってもっとも有効に働かせることの出来る労働法制をつくりだすものであって、絶対に成立させてはならない法案だ。

 11月9日、日本労働弁護団は、「『働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱』 (働き方改革推進法案要綱)に対する意見書」を発表し、「断固として反対」であるとアピールした。―「正規労働者と非正規労働者の労働条件の格差を是正することを目的とする同一労働同一賃金関連法案と労働基準法の労働時間法制を大きく変更するという全く異なる立法目的と趣旨の法律案を一本化して国会で審議することに問題があるのはもちろんのこと、特に労働基準法の改正に関しては、長時間労働を抑制するための新たな「規制」である時間外労働の上限規制と、労働時間法制の「規制緩和」である裁量労働制の拡大・高度プロフェッショナル制度(専門職対象のホワイトカラー・エグゼンプション)という正反対の法律案を一括法案とすることには大きな矛盾がある。本来、立法目的と制度趣旨の異なる法案は、別々にして提出し、国会において丁寧な審議を行うべきであり、一括法案とすることに強く反対である。一括法案とした政府のねらいは、『働き方改革の推進』という聞こえのいい名称を付して、その内容を複雑化させることで、裁量労働制の拡大や高度プロフェッショナル制度等の問題点が含まれる法案であることを分かりにくくするとともに、労基法改悪法案と時間外労働の上限規制や同一労働同一賃金とを一括法案にすることで、法案全体に対して反対しづらくすることにあるのは明らかである。このような言わば『不良品の抱き合わせ商法』とも言うべき一括法案を許してはならない。少なくとも、裁量労働制の拡大や高度プロフェッショナル制度の導入という、労働時間規制の大原則である法定労働時間制などの労働基準法の定める労働時間制度に大きな風穴を開け、これを根本から覆しかねない『働かせ放題の法案』が含まれている以上、法案には断固として反対である」。


韓国の最低賃金の大幅引き上げ実現の運動的背景

       
 最低賃金大幅引き上げキャンペーン2017東京集会での安周永さんの講演

 最低賃金大幅引き上げの運動が界各国で行われている。韓国では来年2018年1月から、全国一律で時給7530ウォン(約750円)、16・4%の引き上げ率という成果を実現した。これは、日本の47都道府県中17県の最賃の時給を上回るものとなっている。

 10月28日、三田いきいきプラザで「最低賃金大幅引き上げキャンペーン2017東京集会――格差をなくせ!最賃をドカンと引き上げよう!――最賃を一気に引き上げた韓国から学ぼう」がひらかれた。主催は、下町ユニオン、全国一般全国協議会、郵政産業労働者ユニオンなどで構成する最低賃金大幅引き上げキャンペーン委員会。
 主催者を代表して、渡辺啓二さん(全国一般全国協書記長)があいさつ。韓国の最賃の闘いは大きな成果を上げている。この大幅な引き上げを実現した運動的背景はなにか、今日は日本の運動にとって重要な教訓を学びたい。

 安周永(アン・ジュヨン)常葉大学准教授が、「韓国の最低賃金の大幅引き上げ実現の運動的背景」と題して講演した。
 本日の話のテーマは、@韓国の最低賃金の現況、A労働組合の戦略、B韓国から得られる示唆の三点だ。
まず韓国の最低賃金の推移を見てみる。1987年の民主化闘争の大きな盛り上がりによって韓国の最賃の闘いはおおきな前進を勝ち取るようになった。全斗煥政権の時代に1988年の時給487・5ウォンだった。次の盧泰愚政権期(1988〜1993)、金泳三政権(1993〜1998)、金大中政権(1998〜2003)、盧武鉉政権(2003〜2008)、李明博政権(2008〜2013)、朴槿恵政権(2013〜2017)で最賃は引き上げられてきた。当然のことだが金大中、盧武鉉、文在寅たちの革新政権の時期の上昇が大きかった。朴槿恵政権での引き上げ率・時給を見れば、2014年に7・2%(5210ウォン)、2015年に7・1%(5580ウォン)、2016年に8・1%(6030ウォン)、2017年に7・3%(6470ウォン)となっている。いまの文在寅政権は、2018年に16・4%(7530ウォン)だが、2020年には時給を10000ウォンにするとしている。
 日本では韓国の最賃の上昇について評価が高いが、最賃の国際比較をドルの購買力で評価すると、2006年から2016年までに日本では6・3ドルから7・4ドルになったが、同時期の韓国は3・7ドルから5・8ドルになったに過ぎない。保守政権の下での引き上げには限界があり、最賃の闘いはこれから本格化するものだといえる。
 次に、最低賃金の決定過程での労働組合の戦略についてふれたい。韓国でも、最賃の額は、最低賃金に関する審議及び議決をする機関である最低賃金委員会で決定される。それは三者構成で、労働代表、使用者代表、公益代表がそれぞれ9人で、使用者代表、労働者代表それぞれ3分1以上が出席したうえで、過半数の賛成できまる。公益代表は、雇用労働部長官が推薦して大統領が任命するので、時の政権の意向が反映されやすい。労働代表は、ナショナルセンターからの推薦だ。また最低賃金委員会の議事録は、非公開である。会議録のようなものは出るが詳細は分からない。
 韓国は日本と同じく先進国で構成するOECD(経済協力開発機構)加盟国には例外的な企業別労働組合である。企業別労働組合が最賃闘争に取り組む際には、産業別労働組合に比べて特に戦略が重視されなければならない。戦略についてはインサイダー戦略とアウトサイダー戦略に分けることができる。インサイダー戦略は労働組合が組合員だけの運動で最賃審議の内部での政策決定に影響を与える戦略ということだ。日本の連合などはこのやり方をとっている。一方、アウトサイダー戦略とは、内に閉じこもるインサイダー戦略から脱して外から圧力を加えることである。それには労働組合が組合員以外の非組合員や社会運動勢力などを最賃闘争に巻き込む提携戦略を展開しなければならない。そのことで広範な大衆的な集会やゼネストの力を交渉の背景にできる。韓国では、アウトサイダー戦略と提携戦略によって最賃闘争の前進を実現してきた。
 三者構成の最低賃金委員会の全体会議と専門委員会は、労働代表にとって不利な状況がしばしば生まれる。インサイダー戦略ではそこでの審議だけでの勝負となるが、アウトサイダー戦略では、会議からの欠席や脱退、記者会見の開催などで労働者側の主張をアピールする。同時に大規模な集会を開くなどする。今年は、さらに、最低賃金1万ウォン、非正規雇用撤廃、労組活動の権利を要求して社会的全面ストライキを、今年の6月30日にうちぬいた。
 次に提携戦略についてだが、2001年1月に31団体で、「最低賃金連帯」を結成した。そこに参加している団体は、「労働」では、全国民主労働組合総連盟、韓国労働組合総連盟、全国失業団体連帯、全国女性労働組合、韓国女性労働者会、青年ユニオン、アルバイト労働組合、「社会運動」からは、民主社会のための弁護士の会、民主化のための全国教授協議会、民衆の夢、ソウル市社会福祉協会、ソウルYMCA、外国人移住運動協議会、全国女性連帯、参与連帯、韓国女性団体連合、韓国女性民友会、韓国進歩連帯、韓国青年連帯、21世紀韓国大学生連合、経済正義実践市民連合、労働健康連帯、労働人権会館、カトリック労働司牧全国協議会、「シンクタンク」では、韓国非正規労働センター、韓国貧困問題研究所、韓国労働社会研究所、「政党」は、共に民主党、正義党、民衆連合党、労働党だ。
 提携戦略でつくられた最低賃金連帯は、最低賃金委員会の9人の労働者代表委員の推薦をおこなう。従来は、ナショナルセンターの幹部や参加団体からだけだったが、2015年からは、韓国非正規労働センター(韓国労総からの推薦)と青年ユニオン(民主労総からの推薦)が入ることになった。いまは2人だけだが、民主労総などは9人のうちナショナルセンターは3人で、6人は最賃適用の当事者から選出すべきだなどと提案している。ここに組合員とはほとんど関係ないとみられる最低賃金に関するナショナルセンターの積極的な姿勢があり、これが韓国の最賃闘争前進の重要な特徴となっている。
 また最低賃金連帯は、大統領選においても最賃問題を社会的な争点とすることに努力している。今年の大統領選において、候補者の最低賃金政策の比較および最低賃金連帯としての2018年度適用の最低賃金要求案を発表し、記者会見を行った。候補者の最賃政策比較では、右派の自由韓国党が、最低賃金の現実化、任期内最低賃金1万ウォン目標、2018年には生計の安定と格差解消、経済状況、支払いの能力を総合的に考慮し決定するとし、適正な賃金水準と推進方法については、公共部門の最低賃金の遵守のための賃金単価の義務化、零細企業、自営業に対する税制支援、支最低賃金法の違反の罰則強化などを政策としている。一方、左派は、2020年までの1万ウォン達成、その達成のために2018年には7481ウォンヘ引き上げが必要だとし、労働者1人世帯生計費、疑似勤労者賃金、労働生産性および所得分配率などを考慮するように最低賃金法を改正し、5人以上常用職の平均給与の60%以上にする、という政策だ。右派と左派の間にさまざまな主張が存在している。
 2017年の最低賃金委員会での審議はつぎのようなものになった。労働側の原案は、時給1万ウォン・月給209万ウォン(54・6%)だが、使用者のものは時給6625ウォン(2・4%)でその差は大きいものだった。しかし三次にわたる修正案の後の最終審議では労働側が時給7530ウォン(16・4%)、使用者側が7300ウォン(12・8%)の提案となった。決定は労使がそれぞれ提出する最終審議案を投票することになる。結果は、労働側案に賛成が15、使用者側案に賛成が12となり労働側の案が決定した。投票では、公益委員9人のうち6人が労働側の案に投票したが、文在寅政権に任命された公益委員は1名だけだった
 以上から、韓国の最低賃金の引き上げ闘争から得られる示唆は次のようなものだろう。第一にあげられるのは、労働組合の戦略の重要性ということであり、インサイダー戦略とアウトサイダー戦略のちがいとその適切な行使、そして提携戦略を有効につかうことだ。第二には、最低賃金連帯の役割を挙げることができる。それは最低賃金問題を社会の課題として争点化させることに力があった。第三には、政党へのアクセスだけではなく、より広範な提携で社会ムードを形成することの重要性ということである。そして中小企業家などの最賃への反発も考慮しなければならない。第四には、共闘や提携の在り方について柔軟に考えることだ。韓国労総と民主労総はかならずしもすべての争点で一致しているわけではない。たとえば最賃1万ウォン要求は民主労総が主導したものだ。

 講演についての質疑に続いて、全国一般三多摩労働組合白百合分会、郵政産業労働者ユニオン、東京東部労組メトロコマース支部、下町ユニオン、また新潟から闘いの報告が行われた。
 
 最後にキャンペーン委員会の河添誠さんが、閉会の言葉で、日本の最賃闘争でもいろいろな社会団体と連携をひろげ、最賃で国会包囲のような運動を進めていこうと述べた。


共謀罪廃止への闘い

      
  立憲野党と市民が共同して、共謀罪廃止法案の国会提出を実現しよう

 11月1日、特別国会開会日には、参議院議員会館において、共謀罪NO!実行委員会の主催で「共謀罪法の廃止を求める院内集会」が開かれた。主催者・共謀罪NO!実行委員会から海渡雄一弁護士(日弁連共謀罪法案対策本部副本部長)が「共謀罪法廃止から監視社会の市民によるコントロールを目指して〜」と題して基調報告。諦めてしまわない反対運動の継続ということが大事だ。現在、共謀罪NO!実行委員会と戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会が共同で進めている「共謀罪法」の廃止を求める緊急統一署名に取り組み、また「共謀罪」対策弁護団も作られ活動している。共謀罪廃止のための連絡会も作られた。その主催で9月には3000人の集会・デモをおこなった。
戦争は兵器と軍隊だけでできるわけではない。そのためには戦争に反対する声をまず圧殺しなければならない。それが前の戦争の時の治安維持法が果たした役割だ。共謀罪も治安維持法と同じなのは、団体規制の治安立法であること、規定があいまいで拡大、前倒しが可能なことだ。
 国会からは、共産党、社民党、沖縄の風、立憲民主党の議員が、市民団体からは、総がかり行動実行委員会、共謀罪対策弁護団、国際環境NGO FoE Japan、自由人権協会、日本ペンクラブ言論表現委員会、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)の発言があった。

 11月6日には、「秘密保護法」廃止へ!実行委員会と共謀罪NO!実行委員会の主催で、「共謀罪法廃止!秘密保護法廃止!森友・加計疑惑徹底追及!臨時国会開け!国会前行動」が行われた。秘密保護法は2013年12月6日に強行成立させられたが、このことを決して忘れず、秘密法は絶対廃止するという「12・6を忘れない6日行動」が国会開会中の毎月6日の行動がおこなわれてきた。
 11月6日の行動は、秘密保護法廃止!にくわえて、共謀罪廃止!をかかげて取り組まれた。二つの実行委員会を代表して海渡雄一弁護士が主催者挨拶を行い、今国会では、立憲野党と市民が共同して、共謀罪廃止法案を提出していきたい、そのために共謀罪廃止を求める緊急統一署名、安倍9条改憲NO!憲法を生か全国統一署名に取り組んでいこうと述べた。
 集会には、立憲野党の議員や市民団体からともに運動を大きく広げようとの発言が続いた。


外国人技能実習制度は廃止されなければならない

        「守ろう!外国人技能実習生のいのちと権利」集会


 外国人技能実習制度の法的目的は途上国への技術移転を通じて国際貢献を図るというものだが、実際には、安価な外国人労働力確保・搾取のために用いられているなど技能実習生に対する人権侵害を引き起こしている。
 外国人技能実習制度にたいしては、労組はもとより、NGOや日本弁護士連合会など社会的な批判がひろがっている。
 日弁連は、「外国人技能実習制度の早急な廃止を求める意見書」(2013年6月20日)で、法務省入国管理局の調査によっても賃金等の不払など労働関係法規違反多いこと、また研修生・技能実習生が死亡のうち死因が脳・心臓疾患の「異常な高さ」などを指摘し、2012年の入管法改正後でも、賃金未払い・残業代未払い・最低賃金以下の賃金・残業代の事例が多いこと、労働災害、パワハラ・セクハラ、強制帰国などの問題について改善が見られないとして、「結論」で「以上述べたとおり,入管法改正後の新制度下においても,多くの問題事例が発生しているのであって,制度の抜本的な見直しが喫緊の課題であることは,改正法施行後3年経過した今日に至っても何ら変わることはない。したがって,外国人技能実習制度は,これを速やかに廃止するべきである。また,外国人技能実習制度を廃止した上で,非熟練労働者の受入れを前提とした在留資格を創設し,外国人を受け入れることについて,その是非,その範囲,制度が変更されるまでの間の現在の技能実習生の処遇などを,外国人の人権にも配慮した上で,早急に国会などの場で十分に検討するべきである」とした。
 政府は、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(技能実習法)を昨201年11月18日成立させ、今年の11月1日から施行した。この法律では、外国人技能実習機構を新設し、それが受け入れ先などを監督し、技能実習計画を審査、認定するとした。また人権侵害行為等について、禁止規定や罰則を設ける、技能実習生による申告を可能にすること、そして、対象職種に「介護」を追加し、実習期間については最長3年から5年に延長した。だが、実習実施機関に問題がある場合にも、実習先を移動する自由がほとんどない。技能実習生の意思に反しての帰国の強制に対しても罰則規定が設けられていない。技能実習法は、制度の適正化のための規定も盛り込まれ、また附帯決議においても、制度の適正化のために様々な条件が付されてはいる。しかし、その実態である安価な労働力の受入れ制度という問題を直視せずにいるので、この法の施行成立によって、技能実習生に対する人権侵害が止むとは絶対に言えない。

 法施行の前日の10月31日、参院議員会館で「守ろう!外国人技能実習生のいのちと権利」集会が開かれた。集会には180人が参加し、外国人技能実習生問題への関心の広がりをしめした。主催の集会実行委員会は、日本労働組合総連合会連合(連合)、移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)、在日ビルマ市民労働組合(FWUBC)、ものづくり産業労働組合JAM、外国人技能実習生問題弁護士連絡会、日本労働弁護団、外国人技能実習生権利ネットワークなどで構成される。
 はじめにJAMの小山正樹さんがあいさつ。私たちが外国人労働者の問題に取り組み始めたきっかけは、軟禁状態にあったミャンマー人実習生がJAMに駆け込んだことからだった。彼らは「日本はよい国だ」と言われて日本にきたが、あまりの現実のひどさに今はすぐに帰りたいと言っていた。わたしは、とても恥ずかしいという気持ちになり、そして日本の労働組合運動はこの人たちを助けることができるのか、考えざるを得なくなった。明日、技能実習法が施行されるが、これで、実習生が救われるとはとても考えられない。外国人技能実習制度は、外国人が働きながら技術を学ぶ技能実習とは名ばかりの外国人労働者の長時間労働、賃金未払い、さまざまなハラスメントや技能実習生に転職の自由がないことやさらには違法な拘束などが相次いでおり、さまざまな争議が起こるなど問題が山積の制度である。もっと労働運動として、またおおくの市民運動や弁護士などと共同して声をあげていかなければならない。今日を、ナマの声を受け止め、大きく運動に取り組んでいくスタートとしたい。
 つづいて技能実習生問題を訴えるビデオが上映され、技能実習生の訴えと支援団体からの説明・報告にうつった。
 はじめに、ベトナム人技能実習生(全統一労働組合)。事例としては、労災事故隠し、仕事に不満を言ったら仕事を取り上げられた。椎間板ヘルニアになったら、経営者に帰国を強要された。強制帰国させられたが、また日本に来て会社と闘っている。働き始めて3か月目だが、「協調性がない。明日にでもベトナムに帰れ」と嫌がらせを受け、親せきの家に逃げた。
 つづいて、ミャンマー人技能実習生(在日ビルマ市民労働組合・FWUBC)。一部の経営者は技能実習生制度を悪用している。携帯電話もわたさず、まったく自由を拘束するなど人権を無視している。「日本は大丈夫」だと思ってきてみたが、実態はまったく違うものだった。
 中国人技能実習生(岐阜一般労働組合)。職場は、建築解体や縫製プレスなどで労働条件が悪く労災が多い。あまりにも酷い状態なのでシェルターにげた。そして労働組合で闘っている。
 連合徳島の職員・傅麗さんは、技術実習生など外国人労働者の組織化について報告した。連合は2007年の大会で「研修・実習生」問題に対応するために地方連合と連携して相談所を開設し、中国人を中心とする相談所として連合徳島・連合四国ブロック内の労働相談が出来る体制をつくり、翌2008年には外国人労働相談所を開設した。
 東京労働安全衛生センターの天野理さんは、カンボジア人技能実習生のうつ病労災認定について報告した。カンボジア人男性(34歳)は、作業中に指を切断しただけでなく、日本人社員の極度の暴言・暴行によって鬱病になった。労基署は労災認定をし、組合と和解となった。
 自治労社会福祉局長の佐保昌一さんは介護労働現場の労働組合としての報告をおこなった。技能実習法の施行によって、介護職種が追加された。しかし、これは本来は、介護人材の確保を目的とするものではなく、技能移転という制度趣旨にそって対応するものでなければならないものだ。
 連帯決意表明でははじめに、石橋通宏参議院議員(民進党)。この法律は制度の問題を解決していない。今後とも適正なものにしていくことが重要だ。
 連合の村上陽子連合総合労働局長は、連合としては一部の修正が法的枠組みを新たに整備する点は評価するが、実際には制度の適正化が果たされていず、外国人労働者技能実習制度が職場や地域で外国人労働者の権利保護が適切に行われるように対応していきたい。
 外国人技能実習生問題弁護士連絡会の指宿昭一弁護士は、深刻な外国人労働者問題について述べた。法律が施行されて、マスコミの人から明日から技能実習生はどうなりますか、改善されますかと聞かれるが、わたしの答はよくなりません、実習生への人権侵害は改善されませんということだ。残念ながらそれが現実だ。そのなかで、いろいろなかたちで苦しんでいる実習生を支援していかなければならないが、そのためには多くの労組や市民団体が全国各地で取り組んでいく必要がある。

 最後に、参加者の拍手で、「集会アピール」(別掲)が確認された。

「守ろう!外国人技能実習生のいのちと権利」集会アピール

 いま日本は超高齢化が進み、人口減少社会に突入しています。そうした中、外国人労働者は昨年、IOO万人を超え、在留外国人は240万人近くに違しています。日本社会は、すでに外国人、外国人労働者と共に歩む時代に入っています。
 日本政府は、2013年9月の東京オリンピック・バラリンピックの開催決定以降、矢継ぎ早に外国人労働者の導入政策を展開してきています。2015年4月からスタートした外国人建設・造船就労者、在留資格「高度専門職」に始まり、外国人家事労働者、製造業での外国従業員の受入、在留資格「介護」の創設、特区における農業支援外国人などが進められています。そして、「移民政策と誤解されないように」という安倍首相の言葉に従った故か、包括的な外国人労働者政策が描かれないまま、人手不足の厳しい分野からなし崩し的に受け入れるものとなっています。
 こうした中、明日11月1日、いよいよ技能実習法が施行されます。これにより、制度の適正化が確認されないまま、従来の3年間から5年間に受入れ期間が延長されるとともに、受入れ枠が大幅に拡大されます。併せて、技能実習の介護分野への展開も始まります。 しかし、本日の技能実習生を害む報告からも明らかなように、技能実習制度の実態は、深刻な人権侵害や労働法違反が頻発しており、問題は山積しています。 今回、技能実習法により、技能実習機構の新設、人権侵害に対する刑事罰、二国間取決
めによる送出し機関への規制等の制度改善が図られています。他方、技能実習法には、送出し機関に対する刑事罰規定がないこと、技能実習生の意思に反する強制帰国にも刑事罰が定められていないこと、実習実施者への現地調査が3年に1回にとどまっていること、低賃金労働に対する効果的な規制が図られていないこと、などの問題もあります。
 さらに、技能実習・介護の始まりは、技能実習制度が生産現場のみならず、人々の生活の場に進出することを意味すると同時に、介護を受ける人たちのいのちと健康に直結していることを忘れてはなりません。しかし、技能実習生の日本語能力が十分担保されるものとなっておらす、サービスの質や緊急時の対応などにも懸念が賎っており、技能実習の介護への拡大には大きな問題があります。
 これまで労働基準法違反や人権侵害にさらされてきた技能実習生の実態が、技能実習法の施行により飛躍的に改善されるとは考えられません。労働運動が外国人技能実習生の働く現場に目を向け、必要な対策を講じていくことが求められます。
 私たちは、本日の集会を契機に、外国人技能実習生の声を聞き、寄り添いながら、技能実習法の厳格な運用を求めるとともに、外国人技能実習生のいのちと権利を守る運動を強力に推し進めていくことを、改めて誓い合おうではありませんか。

2017年10月31日

         「守ろう!外国人技能実習生のいのちと権利」集会


せんりゅう

   難民を創出してる欲と金

      難民と呼び労働力と言わぬ
 
   政治家はうそが平気でえらいやつ

     内閣は謙虚合意とうそばかり

   声だせば違憲へ意見もり上がり

     叙勲とは階級政治違憲なり

   トランプは軍需ともだちおだてあい

     トランプお友達カケイモリトモも

2017年11月

             ゝ史


複眼単眼

         死の商人トランプのマッチポンプ


米国大統領トランプは11月5日の初めての訪日に際して、日本の表玄関からではなく、米軍横田基地から入国した。1945年9月、連合軍司令官マッカーサーが厚木飛行場に降り立ったことを想起させるかのように。ちなみにオバマ前大統領の初来日は羽田飛行場からだ。
 横田基地でトランプは米軍兵士と自衛隊員を前に、「われわれは陸海空、宇宙を最高の装備と人材で支配している」「米国の武器を使ってもらいたい」と演説し、軍事力を誇示し、武器を売り込んだ。
 北朝鮮情勢が「圧倒的な重要性を占めたという」6日の日米首脳会談では「(北朝鮮に対しては)日米同盟による強い抑止力が必要だ」と述べ、日本が米国製の武器輸入を拡大することで合意した。
 安倍首相は「日本の防衛力を質的、量的に強化していくため、米国の最新鋭の防衛装備品取得が引き続き重要だ」と述べた。トランプも極めて露骨に「最近、サウジが米国製のミサイルでイエメンの弾道ミサイルを撃ち落とした」ことを誇示したり、「ステルス戦闘機F35は世界最高の戦闘機だ」などとのべ、日本に購入を迫った。
 朝鮮半島の軍事的危機をあおりにあおって、そのうえで巨額の米国製兵器を日本の買わせようとするのはまるで、トップセールスで、死の商人が演じるマッチポンプ式劇場だ。安倍首相は「強固な日米同盟」の演出の下で、トランプの要求をすべて受け入れた。安倍は購入する武器の例として、イージス艦搭載の改良型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」と「F35」をあげたが、迎撃ミサイルは657億円、F35は6機で881億円にのぼるという。これを米国のFMS(有償軍事援助)という制度で購入する。
 安倍政権の下で「後年度負担」という方式でツケを後に回して武器を購入するやり方が急増している。オスプレイの購入などもこのやり方だった。後年度負担額は年間5兆円の軍事予算とは別に、すでに5兆円を超えている。第2次安倍政権下で5年連続で軍事費が急速に拡大している要因だ。いま、次期中期防(今後5年間の防衛力整備計画)の立案中で、この時期をねらって、トランプは武器を売りに出たとしか思えない。
 膨大な国家財政の赤字を抱える日本政府が、トランプの「米国は日本との間に年約8兆円の貿易赤字を抱えている。対日貿易は公正ではない」という脅しに屈して、大統領の長女・イバンカが進める基金に57億円を拠出したり、この巨額の武器購入の約束をさせられたり、「日米蜜月の同盟」演出のツケは大きかった。
トランプは日本をたつ機中で「うまくいった。これで武器の注文は増えるだろう」と哄笑するばかりの喜びの言葉をツイッターに書いた。
 朝鮮半島の緊張をさらに強め、対話どころか、米国の先制軍事攻撃をも容認した今回の日米首脳会談がもたらした代償は大きい。それは日本の財政・経済の危機をもたらすのみならず、いったん戦端が開かれれば、朝鮮半島や日本で数百万人の人々の犠牲が発生させかねない危険な道を促進したことになる。
 危機を煽り立てる死の商人トランプと、それに追従する安倍首相の責任は重大だ。  (T)