人民新報 ・ 第1357号<統合450号(2018年1月15日)
  
                  目次

● 2018年―安倍改憲阻止大闘争の年

        総力あげて改憲案国会発議阻止

● 安倍の「働き方改革」は柔軟なワークスタイルの促進

        労働法制改悪粉砕!

● 憲法改悪・市民運動全国交流集会★公開シンポジウム

        憲法9条改悪の国会発議を止めよう

● 元徴用工・女子勤労挺身隊員問題の解決の道を探るときは今だ

        日韓請求権協定で解決済みではない

● 共謀罪NO!実行委員会主催で共謀罪で萎縮しないための実践セミナー

        私たちのサイバーセキュリティを!

● 攻撃用にもなるイージス・アショア導入決定

        米製兵器の「爆買い」で、いっそう危険性を増す日米軍事同盟

● 本の紹介  /  吉野源三郎・著「君たちはどう生きるか」(岩波文庫)

● せ ん り ゅ う

● 複眼単眼  /  安倍9条改憲のスケジュール観と私たちの闘い





2018年―安倍改憲阻止大闘争の年

       
 総力あげて改憲案国会発議阻止

 2018年は、総がかりをこえる総がかりの大きな民衆運動で、安倍改憲を阻止する闘いの年だ。
 1月7日、北とぴあ・さくらホールで、安倍9条改憲NO!全国市民アクション実行委員会と戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会の共催で、「戦争とめよう!安倍9条改憲NO!2018年新春のつどい」が開かれた。
 長尾詩子さん(安保関連法に反対するママの会・弁護士)が主催者あいさつ。安倍首相は今年の通常国会にも改憲法案を提出するという。最悪の場合は今年中の改憲となる。しかし世論調査では改憲反対の声は少なくない。もっと多くの人びとと手をつないで改憲を許さない活動を繰り広げていこう。
 松尾貴史さん(俳優)はミニ・トーク「いやな空気は読みたくない」で、「空気を読めヨ」という言論圧殺の気味の悪い社会になっていること、権力者におもねってすりよっていく動き、そして安倍首相が「この国の形を変える」というおじいさんの悲願という一族の執念で憲法を変えたいと言っていることなどを軽妙なタッチでバッサリと批判した。
 石川健治東京大学教授が憲法講演。今年は明治維新150年である。開国した明治政府の大きな課題は欧米との不平等条約の撤廃問題だった。一人前の文明国と認められるためには文明国の要件である憲法を作ることが必要だった。立憲主義に立つ近代憲法には権利保障と権力分立がなければならず、これで専制支配を排除するということになる。そうして大日本帝国憲法が作られることになるが、当然にも伝統派からの反発は大きい。だからその憲法は立憲主義だけでなく日本古来の国体論が入り込み、「二つの魂をもつ憲法」となった。立憲君主主義、立憲軍国主義、立憲植民地主義ということだ。そしてどちらからも自分の立場に立って憲法をみる綱引きの対象となった。そして1935年の天皇機関説事件を契機に立憲主義否定が主流となった。
 その結果として戦争・敗戦となり、その反省として新しい憲法ができた。それは、君主主義、軍国主義、植民地主義を否定して、70年間、自由が保たれたが、その仕掛けが憲法9条で、立憲主義を支えてきた。
 だが、これを覆したい人たちがいて、君主主義、軍国主義、植民地主義のことばをつかって、憲法を攻撃している。立憲主義を否定しようということは、憲法の原理をそのものを否定するということであって、真っ当な憲法改正論ではない。憲法についてはまじめに議論すべきなのに、そうでない人たちが改憲を語っている。
 憲法学者はこれまであまり注目されることはなかったが、2015年6月4日に衆院憲法審査会で識者として呼ばれた憲法学者が3人とも、集団的自衛権の行使は違憲としたことから状況は変わった。
 憲法ができたとき、日本は軍隊を保有していなかった。その事実を日本人は原理として絶対平和主義、非武装平和主義に高めた。情勢がどうであろうと、これを守ってきた。
 9条の果たしてきた役割の一つが軍事力の統制ということだ。同じ敗戦国でもドイツは軍隊を保有していることを規定しているが、それを弱い軍隊として縛ってきた。日本では、軍隊は本来ないことになっており、その存在の正当性ははく奪されている。けれども、その一方で軍隊の存在を見てみない状況もうまれた。だから、憲法を変えて内閣が軍隊をコントロールする憲法にすべきだという意見もある。だが、しばしば内閣のほうが軍隊より好戦的な場合がある。
 国家の組織の構成とその統制(コントロール)を規定するのが近代憲法だ。いまなんとしてもコントロールを外そうとするうごきがある。改憲派の主張するのは、構成だけあって、統制がないものだ。これまでは、自衛隊の存在を正当防衛を口実に9条の例外として正当化してきたが、憲法に自衛隊の存在が書き込まれれば、原則と例外が逆転することになる。
 北朝鮮の状況は1930年代の日本によく似ている。哲学者のニーチェは、その『善悪の彼岸』という著書で「怪物と戦う者は、その際自分が怪物にならぬように気をつけるがいい」といったが、北朝鮮の問題などに対処する時に心に留めておくべきだろう。
 つづくリレートークでは、安倍政権にNO!東京地域ネットワーク、総がかり取手行動、オール埼玉共同行動実行委員会、横須賀市民九条の会が、活動報告と闘いの決意を述べた。
 最後に、総がかり行動実行委員会の福山真劫さんが行動提起。9条改憲の国家発議を絶対にさせない。3000万署名を絶対に集めきる。1月19日の19行動、22日の通常国会開会日行動、5月3日の憲法大集会を成功させよう。辺野古新基地建設反対や山城博治さんたちの裁判の取り組みなどの沖縄の闘い、脱原発の闘いを強めていこう。総がかりをこえる総がかり行動の前進に確信を持ち、安倍改憲阻止に向けて運動をもう一段、高めていこう。


安倍の「働き方改革」は柔軟なワークスタイルの促進

          
 労働法制改悪粉砕!

 1月4日、安倍晋三首相は年頭記者会見で「今月召集する通常国会は働き方改革国会だ。子育て、介護などそれぞれの事情に応じた多様な働き方を可能にすることで、一億総活躍社会を実現する」と述べ、関連法案の成立に全力を挙げる考えを表明した。

 昨年12月8日、「新しい経済政策パッケージ」が閣議決定された。それは「生産性革命」と「人づくり革命」を車の両輪として、「経済成長の果実を活かし、社会保障の充実を行い、安心できる社会基盤を築く。その基盤の下に更に経済を成長させていく。こうした成長と分配の好循環を強化し、若者も、お年寄りも、女性も、男性も、障害も難病のある方も、誰もが生きがいを感じ、その能力を思う存分発揮することができる、一億総活躍社会を創り上げなければならない。一億総活躍社会の未来を切り開くことができれば少子高齢化の課題も必ず克服できる、そうした強い決意の下、現実に立ちはだかる様々な壁を一つ一つ取り除いていく」というものだ。「生産性革命」では、2020年に向けて過去最高の企業収益をしっかりと賃上げや設備投資につなげていくとして、企業の収益性向上・投資促進による生産性革命(賃上げ及び設備、人材投資の加速、コーポレート・ガバナンス改革)、Society 5・0 の社会実装と破壊的イノベーションによる生産性革命(規制の「サンドボックス」の制度化、第4次産業革命の社会実装と生産性が伸び悩む分野の制度改革、イノベーション促進基盤の抜本的強化)などをあげている。

 そして、12月25日には、「柔軟な働き方に関する検討会」の報告が出された。検討会は、10月から、雇用型テレワーク、自営型(非雇用型)テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方について、その実態や課題の把握及びガイドラインの策定等に向けた検討を行ってきたが、他の検討会なるものと同様に、政府主導ではじめに結論ありきものである。そのうえ、クラウドソーシング協会など、発注・求人者と働き手との仲介事業を行う人材ビジネス系業界団体の代表を委員に選任するなど検討会に利害関係者を入れたものだ。
 報告はテレワークについて「時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方であり、子育て、介護と仕事の両立手段となるとともに、ワークライフバランスに資することができ、多様な人材の能力発揮が可能となる。」「雇用型テレワークについては長時間労働につながるおそれがあるとの指摘や、自営型テレワークについては注文者や仲介事業者との間で様々なトラブルに直面しているとの指摘等もあるため、これらに留意しつつ、その普及促進や就業環境整備を図ることが重要である」とする。副業・兼業については、原則禁止から解禁に換え、普及を促すとするが、理由として挙げているのは「副業・兼業を希望する労働者が年々増加する一方、多くの企業では、副業・兼業を認めていない現状にある。業種や職種によってさまざまな実情があるが、社会の変化に伴い企業と労働者との関係が変化していく中、労働者が主体的に自らの働き方を考え、選択できるよう、副業・兼業を促進することが重要である。また、労働者の活躍をひとつの企業内に限定しない副業・兼業は、企業にとって優秀な人材を活用する手段ともなりうる」「労働者が副業・兼業を行う理由は、自分がやりたい仕事であること、十分な収入の確保等さまざまであり、業種や職種によって仕事の内容、収入等も様々な実情があるが、自身の能力を一企業にとらわれずに幅広く発揮したい、スキルアップを図りたいなどの希望を持つ労働者がいることから、こうした労働者については、長時間労働、企業への労務提供上の支障や企業秘密の漏洩等を招かないよう留意しつつ、雇用されない働き方も含め、その希望に応じて幅広く副業・兼業を行える環境を整備することが重要である」とする。
 労働者が自主的に副業・兼業を希望し、それにこたえるためだとしているが、生活のために働かざるを得ないという多くの働く人たちの実態を全く無視した絵を描いている。そして、「行政として、@厚生労働省で示しているモデル就業規則の規定を、労務提供上の支障や企業秘密の漏洩が生じる場合等以外は副業・兼業を認める内容に改めること、A 労働者と企業それぞれの留意点とその対応方法を示すこと、B 労働者が副業・兼業を実現している好事例を周知していくこと」が必要であるとする。

 安倍政権による「働き方改革」では、「雇用によらない働き方」の拡大が目指されているのは明白であり、この推進は雇用社会を激変させ極めて危険な結果をもたらすものであり、絶対に許してはならない。それに、この方針は法制度の整備等をすることも十分にされないまま、官邸主導で一気に推し進められようとしているのである。
 安倍の「働き方改革」は、企業によりおおきな利潤を確保させるための「多様で柔軟なワークスタイルの促進」である。広範な労働者・市民の闘いで、安倍「働かせ改革」に反対する闘いを作り出そう。


憲法改悪・市民運動全国交流集会★公開シンポジウム

             憲法9条改悪の国会発議を止めよう

 12月16日、連合会館大会議室で「第20回許すな!憲法改悪・市民運動全国交流集会★公開シンポジウム―憲法9条改悪の国会発議を止めよう」(主催 許すな!憲法改悪・市民運動全国交流集会)が開かれた。
 第九条の会ヒロシマの藤井純子さんが主催者挨拶。国会の憲法調査会が2000年に始まった。それから憲法改悪の危機の高まりにたいして、総がかりの態勢を実現しながら対抗してきた。5月3日には安倍首相は9条などの改憲を明言し、総選挙で勝利してその勢いは強まっている。私たちは絶対に改憲の発議をさせないために運動を一層大きなものにしていかなければならない。そのための今日の有意義な学習会だ。   
 シンポジウムでは、はじめに、「憲法9条改悪の国会発議を止めよう」と題して、琉球大学法科大学院教授の高良鉄美さんが発言。昨日は名護市の集会に参加した。米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが2016年12月13日に名護市安部で墜落した事故から1年となるのに合わせた「欠陥機オスプレイ墜落から1年! 抗議集会」だ。オスプレイだけでなく、CH53大型ヘリも保育園や小学校に部品を落とすなど米軍事故が続いている。2017年は本来、憲法70年、沖縄も復帰45周年ということで、祝賀すべきなのに、そうではなくそれを否定する一年となった。沖縄は平和憲法の下への復帰のはずだったのに、これが現実だ。トランプ大統領が来日にしたときに、安倍首相はアメリカの高価な武器を大量に買う約束をした。こうした状況で、ますます憲法9条は大事なものになっている。
 サンフランシスコ講和条約、そして安保条約で、米占領軍は駐留軍と名前を変えた。同時に本土の米軍基地は、本土から切り離された沖縄に集中させられてきた。沖縄は、この米軍基地の問題を日本政府に、国民にずっと訴えてきた。しかし、状況は今も同じだ。
 いま私が会長をしている沖縄県憲法普及協議会は、復帰直前の1972年4月に結成された。その目的は、平和憲法の原理と精神を普及し、その実現を図ることだ。誰に平和憲法の原理と精神を普及するのか。沖縄ではなく日本本土に普及するということだ。
 安倍首相は改憲の動きを強めているが、じつは彼は焦っているのだ。だからああいったり、こう言いったりしているが、とにかく変えたいということなのだ。憲法を変えられないのが悔しいという。しかし権力を縛るのが憲法なのだ。自民党内には9条2項を変えて国防軍とすべきだなどの意見もあるが、2項はそのままでもとにかく憲法を変えれば「憲法に明記してある自衛隊を、なぜ沖縄は反対するのか」と沖縄への誹謗中傷を強めることができるようになると思っているのだろう。教科書も自衛隊についての書き方が変えられ、国防意識がもり込まれるようになる。
 海外では憲法9条に対する評価が高い。1945年の沖縄戦の最中に国連設立の話し合いが進められていた。その後も国連の目指すものはなかなか実現されていないが、軍隊を持たないことは、200年前のヨーロッパで考えられたことだが、9条はそれを実現できるという見方だ。
 ベテランズ・フォー・ピース(VFP)という団体がある。第二次大戦、朝鮮戦争、ヴェトナム戦争、湾岸戦争などの紛争に関係したアメリカの退役軍人の組織だ(日本の元自衛官と市民の有志によるVFP連携団体「ベテランズ・フォー・ピース・ジャパンがある)。そのベテランズ・フォー・ピースのメンバーがアメリカから沖縄に来た時にまず初めにやったことは、沖縄の人を苦しめたことに対しての謝罪の言葉だった。これには大きな拍手が沸いた。イラクに行った時には、テロとの戦いだと言われ、民衆をテロリストだとしてあつかった。戦争はテロリズムだとも言っていた。彼らは沖縄に連帯したい、そのために、いろいろな壁を壊していかなければならないとも言っていた。憲法70年、これは主権者70年ということだ。

 つづいて日本国際ボランティアセンター代表理事の谷山博史さん。アメリカは、テロとの戦争ということでアフガニスタン、イラクを攻撃した。その戦争とくにイラクで、パンドラの箱を開けるようなことになった。ISイスラム国が生まれ、モスルのような大都市までを占領した。またクルドの対立問題が起こり、残虐な事件が相次ぎ、なにがなんだかわからない混乱状態で、多くの市民が殺された。20万人もの人が犠牲になった。アメリカにテロリストにつくかアメリカにつくかと恫喝され、日本が支援したアメリカの対テロ戦争は悲惨な状況生み出し、失敗した。こんなに大きな犠牲を出して、何のためにそうした戦争を支持するのか。南スーダンへの自衛隊派兵も明らかに憲法違反だ。それだけでなく政府の決めたPKO5原則にも違反している。しかし、政府は事実を隠蔽している。また、ジャーナリストやNGOの活動も妨害している。日本はこうした状況に置かれている。しかしうれしいこともあった。ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)がノーベル平和賞を受賞したことだ。NGOの力が認識されるようになったことの表れだ。武力では紛争は解決できないという市民運動に対する期待であり、憲法9条への期待でもある。

 最後に長尾詩子さん(安保関連法に反対するママの会・弁護士)が発言。戦争への不安を感じるママたちに「大丈夫だよ。憲法9条があるから」と訴えて、共感が広がっていった。憲法は戦争の反省から生まれたものだ。それが2015年の戦争のできる安保法制の強行成立で壊されようとしている。教科書も国旗国歌への敬意とか偉人伝が多くなり強い危機感を持っている。なんとしても、力を合わせ安倍改憲に反対する声を大きくしていきたい。


元徴用工・女子勤労挺身隊員問題の解決の道を探るときは今だ

                
 日韓請求権協定で解決済みではない

 日本は、第二次世界大戦中、国家総動員体制のもと、朝鮮人を強制的に軍需会社に労務動員した。2012年5月に韓国大法院(韓国の最高裁)は戦時中の日本に動員された韓国人の個人請求権は、日韓請求権協定(1965年)では消滅していないと判断した。それは日本による三菱重工・不二越により強制徴用を受けた被用者らが同会社を相手に損害賠償と未払賃金の支払いを請求した事件で、釜山高等法院が日本における判決(同じ請求を棄却―最高裁で原告の敗訴確定)を受け入れ原告らの請求を棄却したのに対して、その原判決を破棄して釜山高等法院に事件を差し戻したという判決である。

 12月17日、韓国大法院判決から5年がたつのを機に、「1965年に解決済み―とただ繰り返すだけでは問題解決には至りません。今こそ、元徴用工・女子勤労挺身隊員らの訴えを受けとめ、解決の道を探るときです」として、東京しごとセンター・地下講堂でシンポジウム「待ったなし!元徴用工・女子勤労挺身隊問題―その解決の道を探る」が開かれた。
 まず戦後補償ネットワーク世話人代表の有光健さんが来賓あいさつ。
 つづいて、朝鮮人強制労働被害者補償立法をめざす日韓共同行動の矢野秀喜さんからの基調報告が行われた。元徴用工・女子勤労挺身隊問題は何故、待ったなしなのか。この5月に、ソウルの韓国国会図書館内の会議室で「日帝強制動員問題の総合的解決を模索する国際会議」が開催され、主催者は、強制動員裁判の原告の皆さんに会議出席を要請したが、それに応えられた被害者は10名にとどまり、元徴用工は一人だけだった。元女子勤労挺身隊員の参加も9名でいずれも80代後半だ。多くの被害者は亡くなり、或いは病床に臥せっている。その会議で、被害者たちは「韓国大法院の最終確定判決と強制動員問題の総合的解決を求める」アピールを発した。だが、被害者たちはもう持てない、一日も早い解決、命あるうちの解決を求めている。日本政府は、「請求権問題は、完全かつ最終的に解決済み」と繰り返しているが、1965年に「解決」したのは、「(領土の分離・分割に伴う)韓日両国間の財政的・民事的債権債務関係」だけあり、強制動員によって被害者が被った肉体的・精神的被害に対する賠償問題は未解決のままなのであり、そのことを韓国大法院判決は認めたのだ。日本政府も、被害者の有する請求権が今も消滅していないことは認めている。参議院予算委員会における柳井答弁(1991年8月27日)、参議院外交防衛委員会における海老原答弁(2001年3月22日)などにみられるように、個人の権利を国家が勝手に消滅させることなどできないことは日本政府も承知している。日韓請求権協定で請求権問題が「完全かつ最終的に解決済み」とはならなかったことは日本政府もよく分かっているのであり、原爆被爆者には、「基金」をつくり、被爆者援護法も適用するに至っている。サハリン残留者に対しては、帰還、里帰り支援などを行っている。日本軍「慰安婦」には、「アジア女性基金」をつくり、それでも解決に至らないことを突きつけられると、2015年「合意」まで演出した。在日の元傷痍軍人に対しては立法救済も講じた。いずれも十分ではなく、最終解決には至っていないが、「1965年で済んだ」とは言えないが故に日本政府は「追加措置」を積み重ねてきたのであり、強制労働被害者だけを「終わった」ことにはできない。
 また企業も、この問題が解決していないことは承知している。新日鐵(1997年)、日本鋼管(1999年)、不二越(2000年)が裁判原告と和解したという事実が、このことを裏づけている。経済界も、2013年11月、「良好な日韓経済関係の維持発展に向けて」という「声明」で、「早急にこの問題を解決し、日韓両国と両国経済界がともに成長し、発展するよう、両国政府及び経済界が協力していくべきである」との立場を表明した。
ドイツは、強制労働問題を、政府・企業が共同して「記憶・責任・未来」財団を設立し、解決したが、この経験は日韓にとってモデルとなり得るものだ。そして、韓国国会には既に、「日帝強制動員被害者人権財団の設立に関する法案」が提案されている。このように解決の方策は既に示されているとも言えるのだ。
 強制労働問題など日本の植民地支配に起因する諸問題が未解決のままにあることが、日韓関係を不安定にし、日朝の正常化を阻んでいるのであり、これを打開していくためには、日中韓朝の間に信頼関係を構築していくことが不可欠だ。強制労働問題解決は東アジアの平和のプラットフオームをつくっていくものになる。また、強制労働問題等の解決は、世界的な植民地主義清算の流れを加速させていくものであり、世界史的意義を有するものである。
 日韓共同行動の求めることは以下のようなことである―企業・経済界に対しては、「@強制労働被害者の苦難に思いを致してください、A大法院の確定判決を待つことなく、韓国の司法判断を受け入れてください、B強制労働問題の解決に向けて、先例に学び、包括的解決の方策を探ってください、C被害者・関係団体との協議の場を設けてください。」、日本政府に対しては「@企業に対し、韓国司法判断の尊重を促してください、AILO条約勧告適用専門家委員会の意見・勧告に沿う解決案を検討してください、B被害者・関係団体との協議の場を設けてください」。

 つづくシンポジウムでは4人のパネリストが発言。
 吉澤文寿・新潟国際情報大学教授、五味洋治・東京新聞論説委員につづいて、韓国の張完翼(チャン・ワニク)弁護士(新日鐵住金、三菱重工元徴用工訴訟原告代理人)が「大法院判決から5年―強制動員問題を囲む韓国の司法・立法・行政の動向」と題して報告。2012年5月15日、大法院の判決宣告の日、私は「日帝強制動員被害財団」設立のため日本の京都にいたが、とても不安だった。1審・2審と同じく敗訴判決が出ると予想していたし、被害者と遺族にとっては、日本での裁判で負けるより、韓国の訴訟で負ける方がより大きな衝撃だ。もうこれ以上、法廷で争う方法がなくなり、何よりも敗訴したらそれ以後、強制動員の被害者と遺族たちは一体何かできるのか、考えが浮かばなかった。大法院で敗訴したら、対日抗争期強制動員被害調査および国外強制動員犠牲者等支援委員会などの活動を補完するために、韓国の国会を動かして何かできるのか、韓国の国民に直接、何を訴えられるのか等、多く悩んだ。しかし、当日午後京都で韓国の新聞社から、「大法院が原審判決を破棄・差し戻しそうだ」という知らせが入り、なぜ破棄なのか分からないが、とにかく破棄だからと少し安心したという経験をした。
 破棄差し戻された二つの事件は釜山高等法院とソウル高等法院で勝訴したが、敗訴した側は2013年に再上告し、まだ大法院で結論が出ていない。大法院の破棄差し戻し判決以後、14件の追加訴訟が進行していて、そのうち11件(1件が併合されて10件)は原告が勝訴し、大法院で1件、控訴審で10件が継続中となっている。大韓弁護士協会は、大法院に意見書(2015年4月17日)を提出して早く判決を出すように促し、「大法院は目帝強制動員被害者上告審事件で迅速に判決を出せ!」という声明書(2017年11月7日)を発表し、被害者が生きている間に法的救済を受けられるよう、迅速な判決を促したりてきた。しかし、大法院がいつ判決を宣告するかは誰にも分からない状況だ。
 韓国の国会では、強制動員調査支援委員会が2015年12月31日に活動が終了し解散した。その後強制動員調査支援委員会を常設機構として作るべきという法案と目帝強制動員被害者のための財団を作るべきという法案が、国会に提出されている。
 韓国内の動きでは、キャンドル・デモで登場した文在寅政権は韓国社会全般に新しい風を呼び起こしている。その国政課題の内の一つが、実質的性平等社会実現(女性家族部)であり、主要内容五つの内の一つに慰安婦被害者記念事業があり、この実現のために@2018年日本軍慰安婦被害者を称える日の指定及び2019年日本軍慰安婦被害者研究所(仮称)設置・運営、A2020年被害者歴史館の建設で調査・研究事業体系化を主要内容に選定した。しかし強制動員問題に限定してみるなら、政府の100大国政課題のどこにも「強制動員」という単語はないし、強制動員問題関連で、どんな政策を樹立していくのかも確実ではない。
 2000年5月1日に、韓国で三菱重工業を相手に釜山訴訟を起してから17年も過ぎたのに、大法院の確定判決がいつ出るのか、誰にも分からない状況で、この問題と関連して何の進展もない有様だし、また政府も、強制動員調査支援委員会の解散以後、ハッキリした筋道を捉えられず、政策の優先順位からはずされるのではないか、という憂慮も出ている。大法院はいつ、判決を出すのか。訴訟当事者だけの問題ではなく、日帝植民地が産んだすべての被害者と遺族の問題であることを肝に銘じるべきだろう。
 
 川上詩朗弁護士(日弁連憲法問題対策本部事務局長、平頂山事件弁護団や中国人「慰安婦」訴訟弁護団など中国人の戦争被害者に関する訴訟を担当)は「強制労働問題―今こそ『解決済み』論を越えていくとき」と題して報告。日本政府は、「徴用工問題は、1965年の日韓請求権協定で解決済みである」とし、また日本国内でメディアが同様の論調の報道を繰り返すことにより、日本の市民の中にも徴用工問題はすでに解決済みであり、韓国は解決済みの問題を蒸し返しているという誤った認識が蔓延し、政府間のみならず日韓両国の市民間にも大きな認識の溝が深まるおそれがある。このような事態は、日韓の将来にとって望ましいことではない。「徴用工問題は日韓請求権協定により解決済みである」との誤りを正していくことが重要である。
2000年代に入り、戦後補償裁判において賠償請求権放棄に対する相手方の申し立て・主張の排斥を求めるための抗弁が新たな争点として浮上する中で、2007年4月27日に最高裁判所は、中国人強制連行被害者による西松建設を相手方とする損害賠償請求訴訟において、「戦後処理の基本原則としての請求権放棄」について、つぎのような判断を示した。「ここでいう請求権の『放棄』とは、請求権を実体的に消滅させることまでを意味するものではなく、当該請求権に基づいて裁判上訴求する権能を失わせるにとどまるものと解するのが相当である。したがって、サンフランシスコ平和条約の枠組みによって、戦争の遂行中に生じたすべての請求権の放棄が行われても個別具体的な請求権について、その内容等にかんがみ、債務者側において任意の自発的な対応をすることは妨げられないものというべき」である、すなわち、被害者個人の賠償請求権については、「裁判上訴求する権能」が失われたのであり、請求権は「実体的に消滅」していないとの判断を示したのである。この判決を受けて、日韓請求権協定に関しても上記西松最高裁委判決の論理を適用して、主張するようになった。
 請求権に関する問題が「完全かつ最終的に解決された」とは、同協定により外交保護権は消滅したが、被害者個人の賠償請求権は消滅していないというのが日本における見解といえる。 韓国政府も、日韓請求権協定の賠償請求権問題に関し、1995年9月20日の国会統一外務委員会において、「政府は個人的な請求権については政府がそれを認めており、それをするなと言うことはない」と答弁し、少なくとも被害者個人の賠償請求権は消滅していないとの見解を明らかにした。


共謀罪NO!実行委員会主催で共謀罪で萎縮しないための実践セミナー

                    
 私たちのサイバーセキュリティを!

 12月20日、共謀罪NO!実行委員会の主催で、「私たちのサイバーセキュリティを! 共謀罪で萎縮しないための実践セミナー」が開かれた。
 お話しは、共謀罪などに反対する運動家でもある批評家の小倉利丸さん(富山大学名誉教授)。4月6日に、共謀罪NO!実行委員会、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会の主催で日比谷野外音楽堂で開かれた「STOP共謀罪! 話し合うことが罪になる 共謀罪法案の廃案を求める大集会」は、「政府・法務省は、共謀罪はテロリスト集団や組織的犯罪集団が対象であり、普通の団体には適用されないといっていますが、これはウソです。法案には組織的犯罪集団とはどういう集団なのかなどの規定はありません。市民団体、組合、会社などの団体のメンバーが一度共謀したと判断されればその団体は組織的犯罪集団とされます。共謀罪は思想・意見・言論を処罰し、結社=団体を規制する、現代の治安維持法です」と呼びかけたが、私は、こうした反対運動が提起した共謀罪反対の危惧を、共謀罪推進側が言うような、単なるブロパガンダだとは考えていない。私たちが市民的な自由や人権のために闘えば闘うほどわたしたちは組織的犯罪集団とみなされることになる。そうした環境のなかにいるのだ、ということを冗談でも誇張でもなく受け止めて、闘い方に創意工夫をこらすことが必要になってきた。
 共謀罪が成立して以降、そのような危惧を抱いて私自身はつぎのようなことをやってきた。ネットやパソコンに関連しては、パソコンのデータのセキュリティの強化。クラウドサービスの見直し。モバイル環境の見直し。暗号化メールサーバのサービスの利用。匿名性を重視したブラウザの導入。一部のメーリングリスト管理のサーバの引越しと利用頻度の低いメーリングリストの廃止。共謀罪を念頭にしたプライバシーの権利を具体的に防衛するツールの紹介サイトの開設。プライバシーとセキュリティについての実践セミナーの開催。しかし、まだ取り組めていないことも多い。例えば、まだ引越しできていないメーリングリストがある。よりプライバシーの権利を重視するブロバイダーヘの変更。何年も使用していない古いパソコンや記憶媒体のデータの保護措置。まだまだ不十分なのだが、できるところから、ネットの情報を調べたり、セキュリティの本を読んだり、パソコンやネットの初歩的な技術を学んだりしながら、右往左往しながら取り組んできた。こうしたことは反対運動に取り組んでこられた皆さんそれぞれがなさっていることと思う。
 共謀罪が成立してしまった結果として、普通の市民団体や組合が組織的犯罪集団とみられるようになってしまった、少なくとも、捜査機関はそうした疑いの目で、私たちに対する捜査を行なうことが正当化されてしまっているのだ、という認識に立たなければならない。憲法に保障された表現の自由、集会・結社の自由、思想信条の自由、これらの権利を行使することが犯罪とされてしまった。しかし、いかに権力者が犯罪とみなそうと、私たちは、自らの権利の犯罪化に抵抗し、権利を防衛しなければならない。共謀罪が廃止されるまで、私たちが萎縮しないためにも是非とも必要なことは、人びととの相談は続けるけれども、その内容への監視は権利侵害として断固として退ける!ということだ。
 名簿のプライバシーは運動の命である。名簿のセキュリティを守る方法はただ一つしかない。それは、名簿のデータを強固な暗号で守ることだ。こうしたデータの暗号化は今すぐにでも取り組める比較的簡単なものだ。 次に、相談の権利を防衛することで、メールとメーリングリストの管理だ。そのために、プライバシーの権利をきちんと保護するプロバイダーを選ぶ。メールサーバが暗号化されており、プロバイダーでも内容を読むことができない暗号化サービスを選択すること。メーリングリストの管理サーバを海外に移すこと。最低でも、管理名簿にはメールアドレス以外の余計な個人情報を残さないこと、投稿アーカイブは使わないこと。
 またにウェッブの匿名化ということだ。ネットで情報収集することはあたりまえになっていて、ちょっとした調べ物をすることを「ググる」というように、Googleは検索の代名詞になっている。しかしGoogleは膨大な個人情報を収集し、それを米国の諜報機関に提供していたことが知られている。
 ネットのアクセス先(政府のサイト、警察庁や自衛隊のサイト、民間企業など)は、わたしたちが何者であるのかをアクセス情報から最大限取得しようとする。こうした個人情報を収集することから私たちの身元をきちんと秘匿することは、わたしたちの重要なプライバシーの権利の防衛になる。それに対しては、たとえば、使用しているブラウザの設定をjavascriptやクッキーの設定を見直すよりプライバシー強化の方向で修正することが可能だ。

●小倉さんは、「共謀罪に対抗して私たちの自由を防衛するためのサイト」(https://antisurveillance.researchlab.jp/)を運営していて、「プライバシーや反監視運動、共謀罪や秘密法に反対してきた市民運動など草の根の運動は、なかなかセキュリティを防衛するための具体的な方策をとれるところまで手がまわっていないところも多いと思う。このような時代に私たちが自由を獲得するためには、少なくとも彼らに情報を渡さないことが一番重要なことになる。たとえば次のようなことを是非実践して欲しい。盗聴法、共謀罪、秘密保護法、これらの悪法に対抗するためには法律の廃止は必須だが、私たちの権利を防衛するための技術的な対抗手段が可能だということを是非知ってもらえればという思いを込めて、このサイトが作られている」と言っている。


攻撃用にもなるイージス・アショア導入決定

         
 米製兵器の「爆買い」で、いっそう危険性を増す日米軍事同盟

 12月19日、政府は、地上配備型の新たな迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の導入を決定した。「イージス・アショア」は、イージス護衛艦に搭載するイージス・システムを船から降ろし、地上配備型に変えたものであり、イージス護衛艦の迎撃システムと変わりない。導入には2基合計で最低2000億円、運用開始は5年以上先になるといわれる。配備場所は、日本海側の2か所で東日本と西日本に1基ずつ、秋田市と山口県萩市にある陸上自衛隊の演習場が候補地とされている。防衛省は北朝鮮の弾道ミサイルへの対処能力を強化するためとして、在韓米軍が韓国に配備した「THAAD」も検討してきたが、性能、価格の両面からイージス・アショアを選択したという。弾道ミサイル迎撃が可能なイージス護衛艦「こんごう」型の4隻のうち1隻はつねに、日本海に派遣されているし、2016年8月から、弾道ミサイル破壊措置命令は出されたままである。
 
 政府が「イージス・アショア」の導入を決定したその日の午後、国会内で集会が開かれ、軍事評論家の前田哲男さんが、「アベ・トランプの『死の買物』許さず」と題して講演した。戦争法強行採決から2年たった。集団的自衛権の行使容認が自衛隊の「任務・行動・権限」における変化をもたらした。改正自衛隊法で、米艦護衛、B52爆撃機との共同訓練、PKOにおける「駆けつけ警護」などだ。防衛費も増大していて、次期中期防(2019〜23年)で30兆円台になるだろう。米政府は日本の軍事費の「GDP2%」を要求してきており、安倍首相も「GDPの1%以内に防衛費を抑えるという考えはない」と国会で答弁している。それで米国製兵器の「爆買い」となるが、その典型が「イージス・アショア導入」だ。小野寺防衛大臣が旗振り役で、2017年3月の自民党政調会「検討チーム座長」として提言し「イージス・アショアの導入の可否について成案を得るべきで政府は直ちに検討を開始し、わが国全域を防衛するに足る十分な数量を算定し、早急に予算措置を行うこと」とした。そして8月の防衛大臣就任後、ただちに日米「2+2」で導入申し入れた。米側はもちろん「喜んで協力」との態度だった。そして、12月にはあれよあれよという間に導入決定となり、それも補正予算で前倒しだ。この動きは、「北朝鮮の脅威」と「尖閣防衛」にかこつけて「専守防衛」を投げ捨てることことに結び付く。小野寺「検討チーム」はかねてより「敵基地攻撃能力」も提言していたが、それは「巡航ミサイルをはじめ、わが国としての敵基地反撃能力を保有すべく、検討を開始する」というものだ。
 11月に来日したトランプ大統領は「非常に重要なのは、日本が膨大な兵器を追加で買うことだ。我われは世界最高の兵器をつくっている。戦闘機もミサイルもある。米国に雇用、日本に安全をもたらす」と高価な米製武器の購入を要求したが、日本政府はトランプに迎合して大量の武器購入を約束した。
 「イージス・アショア」は、レーダー、コンピュータとミサイル発射機で構成されたもので、探知・追跡・発射まですべて自動化され、数十発を同時発射でき、大気圏外で敵ミサイルを撃破できるとされるものだ。2016年にはルーマニアに配備され、18年にはポーランドにも配備される予定だ。
 しかし迎撃・防衛用だとされているが、発射容器に「トマホーク巡航ミサイル」を格納すれば、「敵基地攻撃能力」ができあがることになるものである。
 危険な道をひた走る安倍内閣の暴走は決して許されるものではない。


本の紹介

          吉野 源三郎・著「君たちはどう生きるか」(岩波文庫)


 わたしの職場の先輩が十代のころに読んで社会に目を開かれることになった本だ。私も一読してすっかりファンになった。
まず、タイトルが「君たち」という仲間感がいい! さらにビルの上から人びとを見てのところでは、この社会は集団社会なのだと感じさせてくれるのもいい。
一番の胸ズキュンは、中ほどの「雪の日の出来事」には感動させられた。
 人はどう生きるのか、という人間の本質すなわち人間とは何なのかという、ということを子供だけではなく、各世代に問うている。 不条理なことに接したときに、人はどう行動するのか。声をあげるのか。黙るのか、それとも逃げるのか、と。そして、逃げた人にどう自分は接するのか、など人はいつも決断を迫られる。 フニャフニャとしていては、事態はどんどんと進行してしまう。日ごろからものごとについて学習し寝ければならないし、自分の頭で考えなさいよ、と言っている。
 この本は1937年に完結している。侵略戦争時にも、このような本が出されていたのかと感心する。
 わたしはこの本を読んでから、友人たちにこの本を紹介してる。また人生の節目にも贈っている。
この本がアニメ化されると知り、ぜひ皆さんにも一読をお勧めしたい。(河田良治)


せ ん り ゅ う

    天界や大風呂敷のゆめで明け

      反戦のこころ清めて雑煮くう

    沖縄のきち増殖は癌さいぼう

      治療せよモリトモカケアベの癌

    AIおや合理化の最先端

      低賃へ合理化のさき大富豪

2018年1月 
                       ゝ 史



複眼単眼

     
 安倍9条改憲のスケジュール観と私たちの闘い

 報道によれば首相周辺は「(安倍首相は)18年中に発議しなければ間に合わない」との危機感を持っているという。「発議は18年の通常国会終盤か、秋の臨時国会、国民投票は18年末か、19年春までを想定している」(1月1日、東京新聞)。
 2019年は天皇退位や代替わり(4月末〜5月1日)、3月下旬の統一地方選挙、7月の参議院議員選挙など重要日程が目白押しのため、安倍首相が唱える2020年改定憲法施行にはこの日程以外にないということだ。
 2018年1月22日から召集される第196通常国会は3月下旬までは予算審議が優先される。その最中にも両院の憲法審査会は始動されるだろうが、自民党の改憲原案がまとまっていない状況(昨年末の自民党改憲推進本部では4項目の改憲案が両論併記でしかまとまらなかった)から、昨年、想定されていた通常国会冒頭からの憲法審査会での自民党案の議論にはならない。おそらく、自民党は3月25日に予定されている自民党大会での2018年運動方針で党改憲原案を決定することにならざるを得ない。ここから事実上、本格的な自民党改憲原案を軸にした国会論戦が始まることになる。連休を挟んで、6月20日の国会会期末まで実質2か月余りの憲法審査会の議論を打ち切って、自民党案の国会提出、強行採決による発議というシナリオはあまりにも強引すぎる。ここで強引に強行すれば、世論の批判は強まり、発議しても国民投票での勝算の見通しはつきにくい。 そこで2015年の戦争法制(安保法制)の国会のように通常国会を大幅延長することになる。
 しかし、3期まで続投が認められた自民党総裁選は2018年9月8日までに行われなくてはならない。延長国会が大揺れする中での総裁選は常識で考えてありえない。延長国会で改憲原案の強行採決が難しいとなれば、いったん8月中にも国会を閉じて、臨時国会につなぐ必要がある。
 国会法によると、衆参の憲法審査会では国会会期をまたいで改憲原案審議を継続できるルールがある(国会法102条の9)。

 こうして秋に召集される(9月か、10月)であろう臨時国会で改憲発議に持ち込むことが可能になる。そうすれば、現行改憲手続法で改憲の国民投票運動期間が60日〜180日以内と定められているので、最速で12月、遅くとも19年春までには国民投票に持ち込むことができる。
 しかし、国の最高法規である憲法の改定発議を臨時国会でやる(官邸周辺からは臨時国会での発議という声が聞こえてくる)というのは何とも無様である。国民投票の告知・運動期間を最低限の60日で強行するというのもあまりにも熟議期間が短すぎるという反発が、轟々と起こるに違いない。そこで2019年通常国会での発議と3月までの国民投票設定ということになる可能性もある。
 これが最もありそうなタイムスケジュールだが、2019年3月は予算審議、4月は統一地方選挙、4〜5月1日にかけての天皇退位と代替わりと日程は目白押しだ。安倍自民党とすれば、3月までの国民投票実施は至上命令だろう。
 この年の7月には参院選がある。この国政選挙で立憲野党+市民連合が共同してたたかえば、改憲派は現有の3分の2を失う可能性がある。安倍首相らにとって、発議を参院選後に伸ばす選択肢はあり得ない。
 そして、この障害をさらに大きくする決定的要素は、改憲に反対し、戦争に反対する世論の動向だ。この要素は各政党の動向や、国会審議の動向に決定的な影響を与えるものだ。
 私たちは全力を挙げて、3000万署名を推進し、これを軸にした運動で世論を変え、安倍改憲を阻止するために闘わなくてはならない。(T)