人民新報 ・ 第1361号<統合454号>(2018年5月15日)
目次
● 安倍内閣を追い詰め、打倒しよう
平和の声ひろげ改憲・戦争の黒雲を吹き飛ばそう!
● 5・3 全国各地で憲法集会
東京・有明集会には6万人が参加
● 市民連合のシンポ
貧困・格差からの脱却
● 8時間働けば生活できる社会の実現を!
「働き方改革法案」を廃案に!全国キャラバンが全国でアピール
● 第89回日比谷メーデー
労働者の団結で、改憲阻止、平和と民主主義の実現、労働条件の改善を勝ち取ろう
● 非正規労働者差別をなくせ!
労契法20条裁判(長澤運輸事件、ハマキョウレックス事件)の最高裁判決に勝利しよう
● せ ん り ゅ う
● 複眼単眼 / 改憲手続法の抜本的再検討を!
安倍内閣を追い詰め、打倒しよう
平和の声ひろげ改憲・戦争の黒雲を吹き飛ばそう!
いま安倍内閣は支持率が急降下して、その発足以来最大の窮地に落ちいっている。加計学園獣医学部の新設問題、森友学園問題での国有地の巨額な値引き、自衛隊のPKO活動日報隠し、「働き方改革」一括法案でのデータでっち上げ、財務次官のセクハラ辞任、麻生副総理・財務相の暴言の連発、そして安倍が得意分野であると吹聴してきた外交問題とりわけ朝鮮半島情勢の平和解決進展への日本政府の逆行などなどさまざまな問題が日々報じられ、批判の声は大きく広がり、いよいよ安倍内閣に対する包囲の輪は狭まってきている。
5月10日の国会参考人質疑で柳瀬唯夫元首相秘書官は、加計孝太郎理事長とは以前から知り合いだった、首相官邸で加計学園関係者と2015年に3回も会っていたとしながら、愛媛県職員と会ったことはない、首相には報告していないなどとウソをつき通し、安倍首相の加計学園獣医学部新設に対する破格の優遇の事実を隠そうとした。政府与党はこれで一件落着の幕引きをはかろうとしたのだが、逆に世論は疑惑をいっそう深めることになった。そして、そのウソはたちまち打ち崩され始めた。さっそく翌日には、愛媛県の中村時広知事が柳瀬元首相秘書官の名刺とともに首相官邸で県職員が柳瀬氏に説明した内容のメモを公表した。加計学園疑惑は、昭恵夫人が関与したという真相の暴露が続く森友学園とともに「首相案件」の犯罪事件となりつつある。柳瀬元秘書官の証人喚問は当然だ。また加計理事長などの関係者の参考人招致、証人喚問による疑惑の全容解明が早急になされなければならない。
東アジアに熱核戦争の脅威を増大させてきた朝鮮半島情勢問題では、ピョンチャン冬季オリンピックをひとつのステップに急進展が見られる。それには、南北朝鮮、米国などが大きく政策を転換させたことによるが、なかでも「キャンドル革命」などに象徴される民衆運動の高揚のなかから生まれた韓国の文在寅政権の平和外交路線の影響が大きい。北朝鮮も4月20日に開いた朝鮮労働党中央委員会第7期第3回総会で、これまでの核開発と経済発展を同時に進めるという「並進路線の勝利を宣言し、経済建設に総力を集中することに関する路線」を確認した。米トランプ政権は、ポンペイオ国務長官(前CIA長官)を二度にわたって訪朝させ、初の歴史的米朝首脳会談の準備をおこなった。朝鮮戦争の当事者のひとつでもある中国は、対話解決を強力に推進した。ロシアも平和解決を支持している。第二次朝鮮戦争を絶対に起こさせない、という願いは東アジアに広がっている。だが、流れを逆転させようとしているのが安倍内閣だ。
安倍は、必死になって圧力・制裁強化を叫んできたが、ここに来て、米国の意向に逆らえず、「歓迎する」とはいいつつも、「日本側も考えをしっかり米国に伝えながら、米国とともに準備を進めていきたい。日本としても全力を尽くしていく決意だ。トランプ大統領とも電話等を通じて綿密に連携を取っていきたい」と無念さは隠しきれない。
トランプ政権がこうした動きに出てきたのは、決して平和指向に変わったわけではない。なにより今秋の米国中間選挙に向けてのものであるが、米国が最大の利害関係を持つ中東地域の情勢の緊迫化からきている。米大使館のテルアビブからエルサレムへの移転、とくにイラン核合意の一方的破棄は、イランとその影響下にあるシリア、イラク、レバノンのヒズボラ勢力の反発を招き、それらとイスラエルとの対立が激化し、泥沼化する戦争勃発の可能性すらある。
そして、ロシアとはシリア問題、ウクライナ・クリミア併合問題、一昨年の米大統領選への「介入」、イギリスでの元ロシアスパイの「暗殺未遂」事件などを理由にして、米ソ冷戦時代をうわまわる対決状態がもたらされている。
安倍内閣の好戦的姿勢を批判し、朝鮮半島に訪れた好ましい状況を生かすことは、日本の民衆にとっての責務である。市民運動と立憲野党の総がかりの態勢をいっそう拡大して安倍内閣の退陣を勝ち取ろう。
安倍内閣を追い詰め、打倒しよう平和の声ひろげ改憲・戦争の黒雲を吹き飛ばそう! いま安倍内閣は支持率が急降下して、その発足以来最大の窮地に落ちいっている。加計学園獣医学部の新設問題、森友学園問題での国有地の巨額な値引き、自衛隊のPKO活動日報隠し、「働き方改革」一括法案でのデータでっち上げ、財務次官のセクハラ辞任、麻生副総理・財務相の暴言の連発、そして安倍が得意分野であると吹聴してきた外交問題とりわけ朝鮮半島情勢の平和解決進展への日本政府の逆行などなどさまざまな問題が日々報じられ、批判の声は大きく広がり、いよいよ安倍内閣に対する包囲の輪は狭まってきている。
5月10日の国会参考人質疑で柳瀬唯夫元首相秘書官は、加計孝太郎理事長とは以前から知り合いだった、首相官邸で加計学園関係者と2015年に3回も会っていたとしながら、愛媛県職員と会ったことはない、首相には報告していないなどとウソをつき通し、安倍首相の加計学園獣医学部新設に対する破格の優遇の事実を隠そうとした。政府与党はこれで一件落着の幕引きをはかろうとしたのだが、逆に世論は疑惑をいっそう深めることになった。そして、そのウソはたちまち打ち崩され始めた。さっそく翌日には、愛媛県の中村時広知事が柳瀬元首相秘書官の名刺とともに首相官邸で県職員が柳瀬氏に説明した内容のメモを公表した。加計学園疑惑は、昭恵夫人が関与したという真相の暴露が続く森友学園とともに「首相案件」の犯罪事件となりつつある。柳瀬元秘書官の証人喚問は当然だ。また加計理事長などの関係者の参考人招致、証人喚問による疑惑の全容解明が早急になされなければならない。
東アジアに熱核戦争の脅威を増大させてきた朝鮮半島情勢問題では、ピョンチャン冬季オリンピックをひとつのステップに急進展が見られる。それには、南北朝鮮、米国などが大きく政策を転換させたことによるが、なかでも「キャンドル革命」などに象徴される民衆運動の高揚のなかから生まれた韓国の文在寅政権の平和外交路線の影響が大きい。北朝鮮も4月20日に開いた朝鮮労働党中央委員会第7期第3回総会で、これまでの核開発と経済発展を同時に進めるという「並進路線の勝利を宣言し、経済建設に総力を集中することに関する路線」を確認した。米トランプ政権は、ポンペイオ国務長官(前CIA長官)を二度にわたって訪朝させ、初の歴史的米朝首脳会談の準備をおこなった。朝鮮戦争の当事者のひとつでもある中国は、対話解決を強力に推進した。ロシアも平和解決を支持している。第二次朝鮮戦争を絶対に起こさせない、という願いは東アジアに広がっている。だが、流れを逆転させようとしているのが安倍内閣だ。
安倍は、必死になって圧力・制裁強化を叫んできたが、ここに来て、米国の意向に逆らえず、「歓迎する」とはいいつつも、「日本側も考えをしっかり米国に伝えながら、米国とともに準備を進めていきたい。日本としても全力を尽くしていく決意だ。トランプ大統領とも電話等を通じて綿密に連携を取っていきたい」と無念さは隠しきれない。
トランプ政権がこうした動きに出てきたのは、決して平和指向に変わったわけではない。なにより今秋の米国中間選挙に向けてのものであるが、米国が最大の利害関係を持つ中東地域の情勢の緊迫化からきている。米大使館のテルアビブからエルサレムへの移転、とくにイラン核合意の一方的破棄は、イランとその影響下にあるシリア、イラク、レバノンのヒズボラ勢力の反発を招き、それらとイスラエルとの対立が激化し、泥沼化する戦争勃発の可能性すらある。
そして、ロシアとはシリア問題、ウクライナ・クリミア併合問題、一昨年の米大統領選への「介入」、イギリスでの元ロシアスパイの「暗殺未遂」事件などを理由にして、米ソ冷戦時代をうわまわる対決状態がもたらされている。
安倍内閣の好戦的姿勢を批判し、朝鮮半島に訪れた好ましい状況を生かすことは、日本の民衆にとっての責務である。市民運動と立憲野党の総がかりの態勢をいっそう拡大して安倍内閣の退陣を勝ち取ろう。
5・3 全国各地で憲法集会
東京・有明集会には6万人が参加
安倍9条改憲NO!署名1350万達成さらに3000万実現に向けてがんばろう
安倍は昨年5月3日の右翼改憲派集会へのビデオメッセージで、「自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置づけ、『自衛隊が違憲かもしれない』などの議論が生まれる余地をなくすべきである」「2020年を、新しい憲法が施行される年にしたい」などと述べていたが、今年のそれは「いよいよ、私たちが憲法改正に取り組むときが来ました。主役は国民の皆さまです。憲法改正は国民の代表者たる国会議員が議論し、草案を作り発議する。そして、最終的に国民投票によって国民の皆さまが憲法改正を決定する。憲法改正を成し遂げるためには、国民の皆さまのご理解、幅広い合意形成が必要です。…憲法改正に向けて、共に頑張ってまいりましょう」というものだったが、内閣支持率低下の中では、さすがに「2020年新憲法施行」の文言は消えた。しかし、諦めたわけではない。
内外政策での行き詰まりで満身創痍の安倍首相のおいつめられた姿が連日報道されている。だが、そうであればこその改憲に向けての暴走をやめようとしない。改憲派は党憲法改正推進本部特別顧問を務める高村正彦副総裁が、5月4日の記者会見で「ことし中の発議を諦めてはいないが、できないのであれば、来年のできるだけ早い時期にと考えている」と述べているように、来年の早い時期までに改正の発議を行う姿勢を改めていない。もし安倍政権が崩壊したりしてこの機会に改憲ができないならば、改憲の可能性が限りなく小さくなるという危機感があるからだ。この数か月が安倍改憲の野望を粉砕する決定的に重要な闘いの時だ。
5月3日、全国250か所で集会その他の取り組みで、安倍改憲阻止の闘いが展開された。東京では、有明防災公園で「9条改憲NO!平和といのちと人権を!
5・3憲法集会 2018」が開かれ、前日の強い風雨もようやく収まり、足元の悪い中、6万人が結集した。5・3憲法集会実行委員会の主催で、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委貴会と安倍9条改憲NO!全国市民アクションが共催した。本集会の前には、出展ブース、トークイベント、憲法カフェなどにたくさんの人びとがあつまり、正午からはコンサートがはじまった。
午後一時に集会開始。司会の古今亭菊千代さんは、「平和がなくては笑ってもらえない落語家です」と自己紹介し、心配された豪雨も改憲に対する怒りが吹き飛ばしたと述べた。
はじめに、主催者を代表して高田健さんがあいさつ。本日は71回目の憲法公布記念日にあたる。「日本会議」など一部の極右勢力を基盤として国家の私物化をすすめてきた安倍政権のもとで、国家・行政権力の前代未聞の崩壊現象が露わになっている。政府と国会、市民との関係は極めて異常な事態を迎えている。安倍政権は、まじめな議論を避け、責任を明確にしないばかりか、真実を隠蔽し、居直り、逃げ回っている憲政史上、最悪・最低の内閣だ。安倍内閣は内閣支持率が急速に下落し内閣不支持率が急増し政権崩壊の危機に直面している。安倍晋三政権は憲法9条を変えて「戦争する国」を目指すという極めて特異な内閣だ。右派・改憲勢力と、私たち憲法9条を守って、平和といのちと人権を守ろうとする人々との闘いは、苛烈なものとならざるをえない。いま朝鮮半島は歴史的な平和への流れへと大きく変化しつつあり、熱核戦争の危険を心配した危機は去ろうとしている。これは韓国のキャンドル革命を勝利した韓国の市民をはじめ、平和と共生を願う東アジアの人々が切り開いた道だ。こうした事態に安倍政権は歴史的な平和の流れの阻害物でしかない。北東アジアの平和のためにも私たちは安倍政権を退陣させるほかない。私たちは本日の憲法集会を成功させ、安倍9条改憲NOの3000万統一署名をいっそう大きく前進させて、世論を変え安倍政権を包囲すし、市民と立憲野党の共同した連続した行動で、安倍政権を追い詰めよう。大衆行動を基盤にした、立憲野党と市民の共同にこそ、力の源泉がある。
集会のトーク@では四人のスピーカーが発言。
作家の落合恵子さん―嘘つき内閣が嘘に嘘を重ねている。現内閣は、忖度しなきゃ維持もできない内閣だ。彼らは福島を忘れ、沖縄を苦しめ、巨額なイージスアショアなどを米国から買って国内では貧困率や格差を拡大している。戦争大好き内閣と呼ぶしかない。公文書の改ざん・隠蔽など何でもやり、やらないのは福祉と平和と命のための対策だ。平和と命と人権が今日のタイトルだ。安倍内閣に対して私たちは落とし前をつけていきたい。あらがうことは私たちがこの国に生きる証であり、次の世代に手渡していく生きる姿勢であり、思想であると心に刻んでいこう。
和光大学教授の竹信三恵子さん―こんなにひどい政権に3割もの支持がいまだにある。9条は、本当はものすごく幅広い裾野を持っている。かつて日本は10年ごとに戦争をしていて、ものすごい軍事費使いまくっていた。どうやって国のお金を私たちの暮らしや社会保障や生活の安定、貧困解決に使えるか、戦争が終わって日本国憲法はこうしたことを大転換させるという意味があった。70年以上も変えなかったのは、みんな転換に賛同していたからだ。安倍政権は9条の枠を外そうとしている。それを外したら軍事費が増えていく。今の争点は国威発揚のための改憲か、改憲で国民が貧困と格差が広がるかだ。
清末愛砂・室蘭工業大准教授―軍事力に依拠した安全保障政策や人々の尊厳を奪う一方で、非暴力平和主義が本当の平和をもたらす現実的な手段であるということを確認したい。4月27日、南北朝鮮の首脳会談が行われ板門店宣言が出された。そこでは今年中に朝鮮半島の終戦が宣言され、休戦協定を平和協定に転換するということがいわれ、朝鮮半島と東アジアに現実的な平和構築に向けて歴史が大きく動くことになった。この歴史的な日に、沖縄の辺野古では、新基地建設反対のゲート前の民衆が次々と暴力的に排除された。法定手続きによらずに人びとの自由を物理的に奪うという行為だ。軍事組織、軍隊は私たちの命を奪うことこそすれ、決して民衆を守るものではない。自衛隊明記の改憲を阻止し、そして非暴力という手段による日本国憲法の平和主義が適用されるそんな社会を作る努力をすることが強く求められている。
山内敏弘一橋大名誉教授―日本国憲法が施行されてから今日でちょうど71年だが、改憲されることがなかったからこそ、戦争をすることもなく、平和のうちに過ごすことができた。にもかかわらず、安倍首相は9条改憲を声高に主張している。安倍首相は改憲問題についても嘘をついている。自衛隊が憲法に明記されても自衛隊の任務、権限にはいささかの変更もないと繰り返し述べているが、この3月に自民党がまとめた改憲案では、自衛隊は必要な自衛の措置をとりうる実力組織とされていて、限定的な集団的自衛権の行使を容認するのみならず、全面的な集団的自衛権の行使を容認することを狙ったものであることは明白だ。自衛隊が憲法に明記された場合には、日本社会の軍事化が格段と進み、人権や生活にも多大の悪影響を及ぼすことになり、徴兵制が合憲とされる危険性が高い。そして国民の知る権利や表現の自由が軍事に関して著しく制限され、文民統制が機能不全になるだろう。安倍首相などが憲法に明記したいと主張している自衛隊は、文民統制を逸脱した自衛隊であり、私たちは戦前の二の舞を犯すわけにはいかない。朝鮮半島の完全な非核化を本当に実現するためには、日本も完全に非核化するということ、アメリカの核の傘から離脱し、核兵器禁止条約へ日本も加盟するということを積極的に打ち出していくということが必要かつ有益だ。平和を望むならば、平和の準備をしたほうがいい。
立憲野党からのあいさつのはじめは立憲民主党・枝野幸男代表―安倍晋三という人が総理大臣であるというのは、選挙に勝ったからではない。選挙に勝った人に主権者である国民の主権を一時的に預けると決めているルールがあるからで、そのルールが憲法だ。憲法をないがしろにする権力は自分のよって立つ基盤がどこにあるのかを理解しない権力だ。この憲法をないがしろにするゆがんだ権力をまっとうなものに変えていくため、多くの市民の皆さんや思いを同じくする他の政党の皆さんと立憲民主党は力を合わせてまっとうな政治を取り戻すため先頭に立って頑張っていく。
民進党・大塚耕平代表―日本の民主主義は危機に直面している。多くの皆さんとともに日本の民主主義と憲法を守るために、ともに頑張ろう。
共産党・志位和夫委員長―安倍首相は末期状態なのに9条改憲だけは絶対に諦めようとしない。なぜなら、この旗を捨てたらそのとたんに内閣が瓦解することになるので、必死にしがみついている。安倍政権による9条改憲は許さないというこの1点で力を合わせ、市民と野党の共闘を発展させて、安倍政権もろとも、9条改憲のたくらみを葬り去っていこう。
社民党・又市征治党首―安倍政権が立憲主義、民主主義、平和主義を蹂躙し暴走している。安倍内閣の総辞職をもって、日本の民主主義と、まさに行政の信頼を取り戻す。このことが求められるのではないか。皆さんと一緒に安倍政権を打ち倒す。どんなことがあっても平和憲法を守り抜く。そのために私たちも皆さんと連帯して闘う。
自由党の小沢一郎代表からは、メッセージ(「自由党はこの国の未来のため、国民の生活を守るため、全力で戦後最悪の安倍政権と対決してまいります。そのための結集を目指してまいります」)が寄せられ読み上げられた。
トークAでは、8つの課題別・運動から発言。@沖縄問題―山城博治・沖縄平和運動センター議長、Aフクシマ原発問題―武藤類子・福島原発告訴団長、B高校生平和大使の活動―布川ひとみさん、重松舞衣子さん、石田ひなたさん、C教育と教科書問題―上山由香里さん、D朝鮮高校無償化―東京朝鮮高校生徒・合唱部、E武器輸出入問題―杉原浩司・武器輸出反対ネットワーク代表、F貧困・格差問題―六郷伸司・ホームレス支援NGO(TENOHASHI)代表、G働き方改革―岡田俊宏弁護士(日本労働弁護団事務局長)からのアピールが行われた。
つづいて『安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名』が1350万筆を超えたことが報告され、さらに運動をひろげて3000万筆を実現しようと提起があり、参加者の拍手で確認された。
市民連合(安全保障法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)の諏訪原健さんの連帯挨拶の後、行動提起に立った福山真劫・平和フォーラム共同代表が、行動提起・閉会あいさつで次のように述べた。安倍内閣の崩壊がはじまっている。これから9条改憲反対、森友・加計問題などの国家私物化徹底追及、沖縄・辺野古新基地建設阻止、東アジアの核のない平和の確立などの課題に積極的に取りくんでいこう。安倍を絶対に倒そう。憲法を絶対に変えさせない。
集会を終わって豊洲コース、台場コースに分かれてパレードが行われ、9条改憲反対、安倍内閣退陣、などを訴えた。
●5月10日、安倍9条改憲NO!全国市民アクションは「安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名 1350万人を超えた!さらに3000万人をめざそう」(別掲)との呼びかけをおこなった。
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5・3集会スローガン−私たちがめざすこと
私たちは、安倍政権のもとでの9条改憲は許しません。
日本国憲法を守り生かし、不戦と民主主義の心豊かな社会をめざします。、
二度と戦争の惨禍を繰り返さないという誓いを胸に、「戦争法」の廃止を求めます。
沖縄県民と思いを共にし、辺野古新基地建設の撤回を求めます。
被災者の思いに寄りそい、原発のない社会をめざします。
人間の平等を基本に、貧困のない社会をめざします。
人間の尊厳をかかげ、差別のない社会をめざします。
思想信条の自由を侵し、監視社会を強化する「共謀罪」の廃止を求めます。
これらを実現するために行動し、安倍政権の暴走にストップをかけます。
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安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名 1350万人を超えた!さらに3000万人をめざそう
「安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名」(3000万人署名)は、全国各地での一人ひとりのたゆみない努力の積み上げにより、4月30日現在で署名数が1350万人を超え、5・3憲法集会で報告することができました。この間のみなさんのご努力に心からの敬意を表します。
この5月31日には、3000万人署名は第3次集約となり、今国会での提出期限ぎりぎりの6月12日(火)に、全国市民アクションとして衆参両院に最初の提出をする予定です。また、この提出日までにさらに署名を積み増すため、5月24日から30日までを「全国一斉街宣・署名週間」として、みなさんに一層の取組みを呼びかけています。
一方、安倍政権はこの間、森友・加計学園問題にみられる権力と国有財産の私物化や公文書の改ざん、度重なる虚偽答弁、自衛隊の「日報」隠しや統幕幹部の野党国会議員への暴言、自民党議員と文科省による教育への介入、裁量労働をめぐる虚偽データ、財務省事務次官のセクハラ事件など、政治と行政の責任や矜持・道義とはまったく無縁の「ウミ」だらけの姿が明かになりましたが、数を頼りの逃げと居直りに終始してきました。このため、安倍内閣の支持率は軒並み急落し、退陣を求める声が大きく広がっています。
この状況もあいまって、「安倍首相のもとでの9条改憲」は世論の過半数が反対し、「安倍4項目」の改憲案は自民党でも最終案にならず、衆参の憲法審査会でも議論とならず、安倍首相が最短距離としてめざしていた「今国会での改憲発議」は事実上、不可能となりました。実質的に約半年で達成された1350万人超の署名は、大きな成果をあげたと言えるでしょう。
しかし安倍首相と自民党改憲本部の幹部たちは、なおも「今国会でできなくても、年内の早い時期に発議をめざす」と強弁し、安倍政権下での改憲発議の方針にしがみついています。「安倍9条改憲NO!」の運動は、大きく広がってきましたが、まだ勝負はついていないのです。彼らに憲法改悪をあきらめさせ、退陣に追い込むためには、私たちは手を緩めず、もうひと押しふた押しの努力が必要です。
全国のみなさんがこのことを理解され、それぞれの地域の目標と全体での3000万人の目標を達成するため、ともに一層の努力をしていただくよう、お願いいたします。
2018年5月10日
安倍9条改憲NO!全国市民アクション
市民連合のシンポ
貧困・格差からの脱却
4月20日、東京・王子の北とぴあで、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合主催の「あたりまえの社会を考えるシンポジウム―貧困・格差の現場から―」が開かれた。市民連合は、@安全保障関連法の廃止、A立憲主義の回復、B個人の尊厳を擁護する政治の実現を目指す「市民のプラットフォーム」で、貧困格差問題についても取り組んできた。
主催者を代表しての山口二郎法政大教授があいさつにつづいて、本田由紀東京大教授のコーディネートでシンポジウムがはじまった。本田さんは、仕事・家族・教育が双方向的な関係でのセーフティーネット構築で最低限度の生活を保障することが憲法の精神だと述べた。前川喜平元文科事務次官は憲法を生かすのは教育の機会均等であり、そのために税制改革で財源確保が必要だと述べた。赤石千衣子さん(NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ)は、同一価値労働同一賃金などで不平等が解消されなければならないと述べた。作家の雨宮処凛さんは、貧困が全世代化していると述べた。山崎一洋さん(下野新聞真岡総局長)は、子どもの貧困は社会全体の支援によることが大事だと述べた。
8時間働けば生活できる社会の実現を!
労働法制改悪を阻止するための全国運動
「働き方改革法案」を廃案に!全国キャラバンが全国でアピール
いま、日本社会では深刻な差別・格差・貧困が広がっている。その中で、「8時間働ければ生活できる賃金」は切実かつ当然の声だ。
その流れに逆行する安倍内閣が今国会で強引に成立させようとしている「働き方改革」一括法案を絶対に粉砕しなければならない。 4月6日、政府は法案を閣議決定し、国会に提出した。しかし、これまでの野党の追及で法案のでたらめさが追及・暴露され、政府は追い込まれている。しかし、安倍内閣は財界の強い要請に従って何としても成立させるつもりだ。5月2日には野党欠席のままで審議を強行した。
国会外においても労組の枠を超えて大きな反対運動を作り出していかなければならない。
全労協、連合、中立系の労組が潮流をこえて構成団体となり「『8時間働けば生活できる社会を』労働法制改悪を阻止するための全国運動実行委員会」が結成された。実行委員会は、全国各地から廃案の世論を盛り上るために、「全国キャラバン」を結成して、4月20日に沖縄と北海道からスタートして、40以上の主要都市で労組、市民団体、労働弁護団などと連携を強めながら、宣伝や集会、要請などを行う。最後に5月22日、東京で開かれる「『定額¥働かせ放題』で過労死促進の高度プロフェッショナル制度・裁量労働制拡大はいらない!
働く人が大切にされる社会を! 日比谷野音集会2018」に合流する。
4月17日、連合会館で全国運動実行委員会主催の、「8時間働けば暮らせる社会を!」をスローガンに
「『働き方改革法案』を廃案に!全国キャラバン出発集会」が開かれた。
主催者を代表して全国一般全国協委員長の平賀雄次郎さんがあいさつ。法案の狙うものは労働時間規制の緩和であり否定だ。絶対に許してはならない。全国キャラバンでは各地の労働者の運動を潮流をこえてつなげて、阻止の力をつよめていこう。
法政大学教授の上西充子さんは、国会に提出されている働き方改革関連法案を労働時間規制の緩和策だと批判した。「みなし労働時間制」による裁量労働制の拡大は法案から削除されたが高度プロフェッショナル制度の創設はまだ法案に残っている。しかも高プロは、裁量労働制よりもさらに徹底的に、労働者を労働法の保護から外そうとするもので、最低限の労働条件を定めた労働基準法のうち、労働時間規制に関わる部分を、ほぼ丸ごと適用除外としてしまうのであり、高プロの労働者については、労働法を守った働かせ方をしなくてもよい、というとんでもないものだ。
連帯あいさつは岡田俊宏日本労働弁護団事務局長、藤本泰成平和フォーラム共同代表が行った。
国会からは、立憲民主党の長妻昭衆議院議員と初鹿明博衆議院議員、日本共産党中央委員会、社会民主党党首の衆議院議員衆議院議員からのメッセージが紹介された
岡本哲文コミュニティ・ユニオン全国ネット事務局長が行動提起・キャラバン行程について報告。
キャラバン隊の決意表明は全統一の坂本啓太さんが行った。
最後に、鈴木剛全国ユニオンの会長の音頭で団結ガンバローを行った。
第89回日比谷メーデー
労働者の団結で、改憲阻止、平和と民主主義の実現、労働条件の改善を勝ち取ろう
5月1日、第89回日比谷メーデーが行われた。鎌田博一・国労東京地本委員長が主催者あいさつにつづいて、代々木中央メーデー実行委員会があいさつ。
決意表明では、非正規雇用―郵政産業労働者ユニオン、外国人労働者―全統一労働組合、争議組合―JAL不当解雇撤回争議団、反戦平和―5・3憲法集会実行委員会からの力強い訴えが続いた。韓国民主労総などからのメッセージが紹介された。
メーデー宣言では、貧困と格差社会反対、憲法改悪反対、震災復興、脱原発、平和と民主主義の実現、そして、「すべての労働者市民、そして戦争に反対する全世界の人々と手をつなぎ、ともに闘っていきましょう。私たちは、メーデーを『闘いの広場』と位置付け、統一メーデーの実現を求めてきました。労働者の幅広い結集と一層の団結を深め、闘いを進めていくこと」を確認した。
集会を終わって、土橋、鍛冶橋コースにわかれてデモをおこなった。
共謀罪の廃止へ
海渡雄一弁護士―「共謀罪の廃止から警察捜査の監視ヘ―廃止運動が濫用の歯止めとなる―」
5月7日、共謀罪NO!実行委員会による恒例の月一回国会前での「共謀罪法廃止!秘密保護法廃止!行動」が行われた。
正午からの衆議院第二議員会館前の抗議行動では、共謀罪法廃止!秘密保護法廃止!のコールがつづいた。
次いで、院内集会が開かれた。はじめに海渡雄一弁護士(共謀罪NO!実行委員会共謀罪対策弁護団)が「共謀罪の廃止から警察捜査の監視ヘ―廃止運動が濫用の歯止めとなる―」と題して報告。共謀罪の最大の問題は、政府に異をとなえる市民団体・労働組合などの活動を未然に封じ込むために検挙するためだけでなく、そのための広範な情報収集の根拠とされ、市民のプライバシーの権利(憲法13条)、内心の自由(憲法19条)、表現の自由(憲法21条)を侵害する危険が極めて高いことである。共謀罪法案が審議中であった2017年5月18日、国連プライバシー権に関する特別報告者のジョセフ・カナタチ氏は、共謀罪法案が「プライバシーに関する権利と表現の自由への過度の制限につながる可能性がある」との懸念を表明する書簡を安倍首相に送付した。この書簡では、「何が計画や準備行為を構成するのかという点について曖昧な定義になっていてテロリズムや組織犯罪とは無関係な過度に広範な犯罪を含んでいるために法が恣意的に適用される危険」「プライバシーに関する権利は、この法律の幅広い適用の可能性によって特に影響を受ける」などの点を指摘した。そして、特別報告者は、人権高等弁務官事務所のウェブサイトで、「現在国際人権法の基準に関する議論に従事するため日本政府からの招待を待っている」としているが、まだ日本政府の招待はない。また2019年には前記の質問を受けて、自由権規約委員会の日本政府に対する審査が予定されている。
今後、共謀罪の捜査はどのように遂行されるだろうか。捜査機関は、共謀罪の捜査を本格的にやろうとすれば、客観的な痕跡の残りにくい「共謀」の事実や、日常的な行為と区別がつきにくい「準備行為_を立証する目的で、被疑者の通話やメール等を捜査対象とせざるを得ないだろう。衆議院法務委員会での審議においても、計画=共謀よりも前の段階から尾行や監視が可能となるとの見解が示されている。その捜査手法として、通信傍受範囲を共謀罪にまで拡大することや会話傍受の新たな導入、官民の監視カメラ映像と顔認識機能の連動、さらにGPS位置情報の収集などの捜査手段が広く利用されるようになる可能性は高い。既に、政府は、2016年春に通信傍受の対象犯罪を拡大し、通信事業者の立ち会いを不要とする通信傍受法の大拡大を内容とする刑事訴訟法の改正を行っている。法務大臣は、審議の際に、通信傍受法を改正し、共謀罪を通信傍受・盗聴の対象とすることについては今後の検討課題であると答弁している。さらに自首減免規定が存在するため、密告捜査や市民団体内部への捜査機関の投入捜査(覆面捜査官)などの捜査も駆使される可能性がある。このように、共謀罪の導入により、警察捜査がプライバシーを侵害する危険性は著しく高まったといえるのである。いままでの段階で、幸いなことに共謀罪の適用例は報告されていない。しかし、沖縄では、辺野占基地と高江のヘリパッドの建設に反対する沖縄平和運動センター議長の山城博治さんらが逮捕・起訴され、約5ヶ月にもわたって勾留された。労働組合の団体交渉に刑事法規を適用しようとする徴候も現れている。市民活動家のコンピューターが押収されたという情報もある。法務大臣は、法案審議の際に、当初普通の人は適用対象にならない等と答弁していたが、参議院に至って、「対外的には環境保護や人権保護を標榜していたとしても、それが言わば隠れみの」である団体は組織的犯罪集団となり得るとの重大な答弁変更を行い、また、組織的犯罪集団の「周辺者」も捜査対象となることを認めた。大垣警察署事件、陸上自衛隊情報保全隊事件、ムスリム監視事件、大分選挙事務所監視事件、さらには前川文科次官に対するスキャンダル報道などをみると、すでに公安警察による市民監視の兆候が現れているとみて情報を集めて対策を考えなくてはならない。
悪法は、早いうちに芽を摘まなければ、戦前の治安維持法のように真の悪法に育って行きかねない。昨年12月には立憲民主党、共産党、社民党、自由党、無所属の会の共同提案で、共謀罪法の廃止法案が衆議院に提案され、継続審議となっている。このような廃止運動の存在とその活動そのものが、法の濫用の歯止めとなり、政権が交代したときには法の廃止を実現できる担保・根拠となる。私たちは政府に対して、共謀罪を廃止すること、通信傍受法を改正し共謀罪を通信傍受・盗聴の対象としないこと、プライバシーを侵害する捜査方法をやめさせること、公安警察などに対する独立した監視機関を設けることなどを求めていきたい。公安警察や自衛隊の情報保全隊のような秘密性の高い機関を効果的に監視し、実効性のある監督を実現するためには、人権擁護委員会のような人権問題全般を取り扱う独立性の高い機関の設立も有効かもしれないが、ドイツのデータコミッショナーのように、特定された分野で活動する組織を作り、ここに弁護士会や個人情報保護・情報公開の分野で活動してきた研究者や市民団体から委員を選任して活動することができれば、さらに実効性の高い制度を作ることができるだろう。また、市民のプライバシー情報を集めているIT企業が警察の捜査にどのような基準でどれだけの情報を提供しているのかを自ら公表する「透明性レポート」を出させることも大きな課題である。
続いて、日本国民救援会東京都本部の山崎友代さんが「東京都迷惑防止条例はどう変えられたか」についての報告。小池都政は、この3月に改正迷惑防止条例を強行成立させた。これは大変に危険なものだ。条例は、みだりにうろつくこと、名誉を害する事項をつげること、電子メールを送信することなどを新たに付け加えた。このことによって、国会前で首相を批判すること、首相夫人をネット上で批判すること、労働組合がブラック企業の前で宣伝したり、過労死への抗議をビラでくばること、ジャーナリストが取材対象の付近を調べること、また9条改憲反対署名を集めるために戸別訪問をすることなどに対して逮捕など自由を奪われることが予想される。
なぜなら、なにが正当かを現場の警察官が判断し、乱用の危険が高いからだ。このような危険な条項がある都条例の改正は是非とも必要なことだ。
非正規労働者差別をなくせ!
労契法20条裁判(長澤運輸事件、ハマキョウレックス事件)の最高裁判決に勝利しよう
非正規労働者差別に対する闘いが繰り広げられている。「労働契約法20条(有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない)」を法的根拠として、裁判闘争が次々に起こされ、郵政産業労働者ユニオンの闘いなどでの判決(東京地裁、大阪地裁)で画期的な突破口が開かれている。
4月23日、連合会館で、連帯ユニオン(全日本建設運輸連帯労働組合)の主催の「非正社員の格差撤廃、同じ仕事なら同じ賃金を!〜すべての労契法20条裁判の勝利をめざす4・23集会」がひらかれた。連帯ユニオンの長澤運輸事件、ハマキョウレックス事件は最高裁でたたかわれている。4月20日に長澤運輸事件、23日にはハマキョウレックス事件について口頭弁論が開かれ、6月はじめにも最高裁による労契法20条についての初の判断がだされる。
集会では、長澤運輸事件(全日建関東支部)、ハマキョウレックス事件(全日建近畿地区トラック支部)、メトロコマース事件(全国一般全国協東京東部労組)、日本郵便事件(郵政労働者ユニオン)、名古屋自動車学校事件(全自交労連)、内陸バス事件(なのはなユニオン)などから報告が行われた。
宮里邦雄弁護士は、近く出される最高裁判決に次のように述べた。労契法20条はあいまいな規定だ。業務の内容、責任の程度、職務の内容や配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理な労働条件であってはならないとしているが、条文は非常にファジーなものとなっている。したがって判断が分かれたり解釈が異なったりしている。これまでいくつか出ている下級審の判断に対して、最高裁は、これから解釈適用はこれでいくべしという基準を出すことになるだろうと思う。これまで20条をめぐっていくつかの論点がでてきている。
ひとつは、20条の立法趣旨をより厳格に適用するか、少し緩やかにするかということだ。
ふたつには、条文の職務内容を重視するのか、職務内容が同じでも定年を重視するのか、または長期雇用なのだから差別はあってもしょうがないとするなどの「その他の事情」を重視するのかというのかということだ。
三番目には、不合理をどのような場合に言うのかということだ。常識的に見れば、有期雇用だから差別は当たり前だといのはおかしいということだが、最近出た大阪医科大学判決では、単なる不合理ではなくて、法的に容認できないほどの不合理だとする、不合理を限定する動きがある。
次に、どういう人と比較するのか、比較する対象が違えば全然違った結論になってしまうが、これもまだ判決では確定されていない。
そして五つ目には、違反した場合の効力は何なのか、損害賠償にとどまるのか、それとも正規労働者と同じ労働条件にするのか、という論点の違いがある。多分これらの論点について最高裁は判断を示すのだろう。
今日の集会で報告された事件は労契法20条が正しく解釈されればすべて勝利判決が得られるだろう。
労働契約法ができで10年余り、20条など改正法からも5年が経過したが、あまりしられていない。労契法20条違反がこれだけあるのに、裁判は全国でもわずか10件ほどではないかという実に嘆かわしい状況にある。まだ20条は生きていない。もっともっと裁判を提起して現状を変えていく必要がある。
裁判は本山の一角に過ぎない。20条は職場の運動において活用されるべき法律だ。労働組合が正規と非正規の労働条件の格差を点検し、そして不合理な格差を団体交渉、闘争を通じて20条を実現すべきである。本来、20条に期待されたのはそういうことだ。20条は裁判規範であるが、運動規範にならなければならいと期待している。
非正規の格差の是正のためにという口実で、正規の労働条件をきりさげようという動きが郵政でやられようとしている。20条の闘いの広がりに対する経営の側からの対応だが、これは20条に真っ向から反対するものであることはいうまでもない。しかしこの動きを放置していたら20条は死んでしまう。非正規の労働条件を改善し、非正規、正規ともに労働条件ンを高めていかなければならない。これがあるべき姿だ。
最高裁判決では、20条のより良い解釈、実効的解釈を引き出して、今後の運動に生かせるように、長澤、ハマキョウレックス弁護団は頑張っていきたい。
せ ん り ゅ う
くねくねといい逃れするアベ政府
トランプでポーカーもゴルフもしたぜ
さつき晴れ私の憲法ここにあり
旅に出て大きな虹を見て帰る
フクシマの被曝を歩むまたひとり
米軍の基地違憲だぞ我おもう
2018年5月
ゝ 史
複眼単眼
改憲手続法の抜本的再検討を!
第1次安倍政権下の2007年5月に成立した憲法改正手続法(改憲手続法、いわゆる国民投票法)は、テレビCMなど有料広告が事実上野放しにされ、また国民投票の成立に関する最低投票率の定めがなく、公務員や教育者に対する不当な運動規制が行われ、国民投票期間も運動にとっては短すぎる60日から180日とされるなど、重大な問題が含まれている。国会の採決時には参議院で3つの附則と18項目にも及ぶ附帯決議が行われるなど、制定推進側から見ても「欠陥立法」だった。この欠陥は2014年4月に「改正」されたときにも、何ら問題は解決しないままに、今日に至っている。
この悪法・改憲手続法の抜本的見直しの要求は、この間、法曹関係者や市民運動など、さまざまに根強く行われてきた。特にテレビの有料CMは資金量のある者にとって極めて有利であり、カネで改憲結果が買われる恐れがあることが、広告関係者などから厳しく指摘されてきた。本欄でも同法の問題点を厳しく指摘し、その抜本的改定を要求してきたところだ。
安倍首相が自らの改憲期限を2020年と時間を区切って提起したことから、改憲問題はスケジュール的にも具体的になってきた。その改憲の前提である国民投票を実施するための手続法の問題は現実的な問題になった。現在、野党立憲民主党などはこの改憲手続法の再検討に着手し、そうした見解をしばしば表明するようになったし、国民民主党(希望+民進党)なども、見直しを主張している。
5月3日の読売新聞で行われた4党(自民、公明、立民、希望)座談会で立憲民主党はテレビの有料CMの問題を中心に再検討を主張し、国民民主党系は有効投票率の規定がない問題などを指摘している。自民党は抽象的だが、「いくつか不十分なところがあり、当然審議すべき」といい、公明党はここ数年間で公選法が改定された(2016年)ことから「例えば洋上投票の対象者が拡大し、期日前投票が柔軟になったことや、(デパートなど)共通投票所も設置できるようになったことに合わせるべき」などと主張した。
共産党はこの読売座談会からは締め出されたが、5日、6日の「しんぶん赤旗」に「欠陥改憲手続法」というタイトルで井口秀作・愛媛大学教授を登場させ、「権力側に有利な仕組み」「最低投票率の規定なし」との見出しを付けた。井口教授はこの記事で、同法には「自由の過剰と過小」の問題があると指摘、有料広告運動が無制限であること、大手広告代理店が改憲派と癒着しやすいことなどを指摘する。また機会を公平に与えるとしている「国民投票広報協議会」も実効性に疑問があること、公務員や教職員の「地位利用規定」は公務員の政治活動を禁じた公務員法との関連でも問題が残ること、最低投票率規定がないこと、などなど、たくさんの問題があることを指摘している。
各党の主張を見ると、与党は投票の利便性など微修正にとどめたいという意向だが、野党はテレビCMの規制の強化など同法の抜本的な改正を要求している。与党は、この微修正を反映させた改憲手続き補案をこの大型連休明けにも野党に示したい構えだ。
連休前に、森友・加計学園疑惑などの問題で国会が空転した。すでに改憲スケジュールだけを見ても、当初の与党の予定は大幅に遅滞をきたしている。憲法審査会は今通常国会では参議院で1回開かれただけで、衆議院では開かれてもいない。これに焦った自民党は野党の審議拒否戦術を攻撃しながら、なんとか憲法審査会に野党を引っ張り出そうとして、まず憲法審査会で改憲手続法の議論を導入し、改憲論議のきっかけにしたいと考えている。公明党は自民党の改憲スケジュールに引きずられないというポーズをとるためにも、憲法審査会で改憲手続法の議論に入ることに利を見出している。立憲民主党などは、安倍改憲を阻止するためにも、改憲手続法の抜本的再検討をいうことで、安倍改憲の土俵に上がらないよう計算している。共産党は、そもそもこの議論に載るべきでないという主張で、改憲手続法の批判、抜本的再検討の要求には消極的だ。
いずれにしても、この悪法・改憲手続法の抜本的再検討の要求、世論を作ることは、一部の改憲反対派のなかにある「国民投票への幻想・期待」を克服するうえでも有効だ。
なぜなら、時間は安倍の改憲スケジュールの敵であり、改憲反対派にとって有利だからだ。 (T)