人民新報 ・ 第1362号<統合455号>(2018年6月15日)
目次
● 朝鮮半島の非核化へ大きく前進
緊張緩和の流れを加速させよう
戦争する国づくりの安倍内閣打倒へ
● 「安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名」の第一次提出集会
● 共謀罪・秘密保護法廃止へ!
GPS捜査を違法とした最高裁判決について
● 止めよう!辺野古埋立て オスプレイ飛ばすな! 安倍政権打倒へ
● 最高裁 労契法20条裁判の判決
格差是正へ闘いは続く
● 過労死・低賃金労働は財界の強い要求
「働き方改革」法案 参院で絶対に廃案を勝ち取ろう
● 東京高裁の不当な決定 再審開始を認めず
袴田巌さんは冤罪だ
● 第15回国会ピースサイクル
防衛省、都教委、東電本社、外務省、内閣府に対して要請行動
● 映 評 / マルクス・エンゲルス−The
Young Karl Marx
● せ ん り ゅ う
瑠 璃
ゝ 史
● 複眼単眼 / 韓国の市民からの贈り物
● 夏季カンパの訴え 労働者社会主義同盟中央委員会
朝鮮半島の非核化へ大きく前進
緊張緩和の流れを加速させよう
戦争する国づくりの安倍内閣打倒へ
6月に入って、世界の勢力配置が変わりつつある局面に入ったことが鮮明になってきた。大きな国際会議が三つあった。6月8日及び9日にカナダ・ケベック州で開催されたG7シャルルボワ・サミット、6月9、10の両日に山東省青島市で開催された上海協力機構首脳会議、そして6月12日にシンガポールで開催された米朝首脳会談である。
G7では、カナダ・トルドー首相(議長)と米国・トランプ大統領、フランス・マクロン大統領、ドイツ・メルケル首相、英国・メイ首相、イタリア・コンテ首相、日本・安倍首相、それにEU・トゥスク欧州理事会議長とユンカー欧州委員会委員長の9人が参加者だが、イラン核合意破棄のトランプ米大統領とそのほかの首脳が貿易と気候変動に関しても対立した。ようやくまとまったG7首脳宣言をトランプが一転拒否するという結果となった。トランプは、対立が予想されたため当初サミット不参加も言っていたが、しぶしぶ参加したものの米朝首脳会談を口実に早退する始末であった。こうしてG7は「G6+アメリカ」の様相を世界に示すものとなった。
上海協力機構は、2001年に発足し、中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、後にインド、パキスタンも正式加盟(両国は首脳会議に初参加)した多国間協力組織である。オブザーバーは、モンゴル、イラン、ベラルーシ、アフガニスタンであり、ほかに対話パートナー(加盟国・オブザーバーと同じ目標と信念を共有するパートナーであり、対話を通じて協力体制を確立する事を望む国とされる)に、スリランカ、トルコ、アゼルバイジャン、アルメニア、カンボジア、ネパールがあり、またイスラエルなどが参加申請国となっている。今年の首脳会議には核合意を破棄したアメリカと対立を激化させているイランのローハニ大統領が参加した。会議では各国首脳がエネルギー・農業分野での協力拡大のほか、貿易・投資の環境改善を一致して表明した。
そして米朝首脳会談である。トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が署名した共同声明では、「トランプ大統領は北朝鮮に安全の保証を与えることを約束し、金委員長は朝鮮半島の完全非核化への確固で揺るぎのない約束を再確認した。新たな米朝関係の確立が、朝鮮半島と世界の平和と繁栄に寄与すると確信し、相互の信頼醸成によって朝鮮半島の非核化を促進できることを認識し」て、@米国と北朝鮮は、両国民が平和と繁栄を切望していることに応じ、新たな米朝関係を確立すると約束する、A米国と北朝鮮は、朝鮮半島において持続的で安定した平和体制を築くため共に努力する、B「板門店宣言」を再確認し、北朝鮮は朝鮮半島における完全非核化に向けて努力すると約束する、C米国と北朝鮮は(朝鮮戦争の米国人)捕虜や行方不明兵士の遺体の収容を約束する。これには身元特定済みの遺体の即時帰国も含まれる」として、その実行のために「米国と北朝鮮はマイク・ポンペオ米国務長官と北朝鮮の担当高官が主導して、できるだけ早い日程でさらなる交渉を行う」とした。停戦状態のままという朝鮮戦争の継続下で、アメリカの韓国との大規模な軍事演習と北朝鮮の核・ミサイル開発による双方の対決姿勢は、東アジアに深刻な戦争の危機として存在してきたが、このシンガポール会談によって緊張緩和の方向に大きく舵をきった。
しかし、米軍産複合体、各国の右翼勢力など好戦勢力は、巻き返しを狙っている。この逆行をゆるさず、ようやく勝ち取られた流れを守り促進することが、人びとの責務である。
トランプは、「アメリカ・ファースト」をかかげて大統領に当選した。この背景には、もはや覇権主義と強権政治で世界を主導してきたアメリカがもはやその力量を喪失しつつあり、その負担に耐えられなくなり一国主義に戻ろうという米国内世論がある。それがトランプを支える基本的な勢力となっている。トランプの「アメリカ・ファースト」は単なる飾りのスローガンではない。そしてトランプは、同時に「マネー・ファースト」なのである。安全保障問題もこの観点からの発想である。それがG7や米朝首脳会談でのトランプの言動となって示された。
トランプの考えは、マネーの視点から、アメリカは金にならないことはやらない、それは「同盟国」の役割だ、朝鮮の核廃棄の費用は、韓国と日本にやらせるとの発言、また在韓米軍も金がかかるから縮小したいということになる。
とりわけ負担を押しつけられるのは、忠犬ポチよろしく、トランプがどんな政策変更をしようとも、何が起ころうとも、常に「100%の一致」で従うものになるのは当然のことだ。
世界は一極支配から多極化へ、そして諸問題・諸矛盾を武力ではなく平和的手段で解決するという良識が生かされようとする契機が出始めている。平和と共存共栄を求めることこそ日本の目指すべき道であり、安倍政権は、まったくそれに反した政策、「戦争のできる国」づくりに走り回っているのである。安倍政権を早期に退陣させなければならない。
「安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名」の第一次提出集会
6月7日、衆院議員会館で「安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名」の第一次提出集会が開かれた。
総がかり行動実行委員会の高田健さんが主催者を代表して、3000万筆にむけて取り組みを強め、安倍政権を退陣に追い込んでいこうと述べた。改憲問題対策法律家6団体連絡会、宗教者九条の和、全日本視覚障がい者協議会、安全保障関連法に反対する学者の会、オール埼玉総がかり行動実行委員会から、取り組みの報告と決意が表明された。
立憲民主党・枝野幸男代表、共産党・志位和夫委員長、無所属の会・岡田克也代表、自由党・小沢一郎代表、照屋寛徳・社会民主党衆議院議員、沖縄の風・糸数慶子代表が、あいさつを行い、参加した立憲4野党2会派所属の衆参両院の議員に第一次分の署名の総数は約1350万筆が署名を手渡された。
最後に九条の会と市民アクションから目標達成のために奮闘しようと呼びかけられた。
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3000万人署名を達成し、安倍9条改憲に終止符を
あいつぐ悪政に対する怒り、そして3000万人署名の広がりが、いま安倍政権を急速に窮地に追い込んでいます。
森友学園建設に絡む文書改竄、加計学園の獣医学部新設への関与、うそにうそを重ねる答弁さらに自衛隊の「日報隠し」は、安倍首相、安倍政権に対する不信を高め、内閣支持率は支持と不支持が逆転する状況が続いているばかりか、こんな安倍首相に改憲を語る資格はない、という声が増大しています。
「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が提起した3000万人署名への賛同者は、4月末日現在で1350万人を超え、安倍政権に対する怒りと不信の高まりにあわせて急速に人々の数をふやしています。草の根の市民の会や九条の会の中には、自分たちでたてた目標を達成するところが次々に生まれています。
安倍首相がもくろんだ今通常国会への改憲原案の提出と発議は実行できる見通しがたたなくなり、改憲強行のスケジュールは大幅な後退を余儀なくされています。
9条改憲の危険性、時代錯誤も明らかになっています。
いま、米朝さらには南北朝鮮の間で、朝鮮半島の非核化と長く続く「休戦状態」を終結させる努力が続けられています。ジグザグはありながら、力づくではなく話し合いにより平和を実現する道が模索されています。これこそ、9条がめざす道です。
ところが、いま安倍9条改憲がめざすのは、話し合いによる道とは全く逆、米軍の北朝鮮攻撃に日本が武力で加担する体制をつくることであり、武力による「解決」を加速する方向にほかなりません。このような改憲を許すわけにはいきません。
しかし、安倍政権、自民党は9条改憲の強行をなおあきらめていません。今国会で改憲手続法の改正を実現することで改憲の火を継続させ、ほとぼりを冷まして、秋の臨時国会での改憲原案の提出をねらっています。
安倍改憲に終止符をうつには3000万人署名の力で改憲発議を断念させ、安倍政権を退陣に追い込むしかありません。安倍政権を退陣に追い込んでこそ、改憲の策動は止まります。
いま、全国津々浦々で3000万人署名のとりくみが精力的にすすめられています。しかし、安倍首相のもくろむ9条改憲に危惧や不安を持ちながら声をあげる機会をもたない人々、署名のよびかけを待っている人々が、全国に、まだまだたくさんいることも間違いありません。
何としても、3000万人署名を達成しましょう。改憲発議を断念させ、9条改憲に終止符をうちましょう。
2018年6月1日
九条の会
共謀罪・秘密保護法廃止へ!
GPS捜査を違法とした最高裁判決について
6月6日、国会前で「共謀罪法廃止!秘密保護法廃止!
6日行動」(共謀罪NO!実行委員会と「秘密保護法」廃止へ!実行委員会の共催)が行われ、100人を超える参加者たちは共謀罪廃止、秘密保護法廃止のシュプレヒコールを上げた。
つづいて、院内集会「GPS捜査と最高裁判決〜令状のないGPS捜査は市民のプライバシーを侵害し違法〜」が開かれた。
今年の3月、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官―判決は裁判官15人全員一致)は、裁判所の令状を取らず捜査対象者の車両にGPS(衛星利用測位システム)端末を取り付ける捜査について、「プライバシーを侵害し、令状が必要な強制捜査にあたる」と認定し、現行の刑事訴訟法の令状で行うことには疑義があるとして「新たな立法措置が望ましい」と指摘し、捜査手法は違法との初判断を示した。
事件は、関西を中心とする連続窃盗事件で起訴された人の上告審で、捜査員が本人と共犯者らの車やバイクなどに19台のGPS端末を取り付け、位置情報を取得していた(令状はとられていない)。
今回の最高裁判決によって、立法措置が整うまで事実上、GPS捜査を認めないということになった。警察の恣意的な何でもありの操作方法にチェックがはいることになり、検察、警察には大きな打撃となった。
最高裁はこうした判断をする理由として次のような点をあげている。「GPS捜査は、対象車両の時々刻々の位置情報を検索し、把握すべく行われるものであるが、その性質上、公道上のもののみならず、個人のプライバシーが強く保護されるべき場所や空間に関わるものも含めて、対象車両及びその使用者の所在と移動状況を逐一把握することを可能にする。このような捜査手法は、個人の行動を継続的、網羅的に把握することを必然的に伴うから、個人のプライバシーを侵害し得るものであり、また、そのような侵害を可能とする機器を個人の所持品に秘かに装着することによって行う点において、公道上の所在を肉眼で把握したりカメラで撮影したりするような手法とは異なり、公権力による私的領域への侵入を伴うものというべきである」「憲法35条は、『住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利』を規定しているところ、この規定の保障対象には、『住居、書類及び所持品』に限らずこれらに準ずる私的領域に『侵入』されることのない権利が含まれるものと解するのが相当である。そうすると、前記のとおり、個人のプライバシーの侵害を可能とする機器をその所持品に秘かに装着することによって合理的に推認される個人の意思に反してその私的令域に侵入する捜査手法であるGPS捜査は、個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な法的利益を侵害するものとして刑訴法上、特別の根拠規定がなければ許容されない強制の処分に当たるとともに、一般的には現行犯人逮捕等の令状を要しないものとされている処分と同視すべき事情があると認めるのも困難であるから令状がなければ行うことのできない処分と解すべきである。」
院内集会でのお話は、GPS訴訟弁護団主任弁護士の亀石倫子さん――裁判を始めるにあたっていろいろなことを考えた。GPSを取り付けたことを、警察は認めないかもしれないし、裁判に長い時間がかかる、そして被告人の身体拘束が、長くなるかもしれず、被告人の量刑が重くなることだってあるかもしれない。しかし被告人と6人の弁護人は裁判で闘わなければならないと思った。
だが、GPS捜査の実態はなかなか明らかにならなかった。捜査機関が、「秘密の保持」を徹底していたからで、また捜査段階で作られた多くの書類が、廃棄されていた
開示された書類も、肝心な部分が黒塗りされていた。
私たちは、GPSを手に入れ、車に取り付けて、追跡する実験もした。
裁判に取り組んでいる間中、得体の知れないおそろしさを感じた。
このGPS捜査の実態を、長い間、国民の誰もが知らなかった。これは被疑者や被告人だけの問題ではない。国民みんなに関わる問題だ。
一審の大阪地裁(15年6月)は、「プライバシー侵害に当たる」と違法の判断をした。しかし、大阪高裁(16年3月)は、「プライバシー侵害の程度は大きくない」とし適法だと判断した。
そして、最高裁に上告し、それも裁判官15名の大法廷で扱われることになった。問題の重大性を裁判所も認めたということだ。弁護団は、昨年2月、最高裁大法廷での弁論の最後に「権力の暴走ゆるし、権力が国民を監視する社会を選ぶのか、それとも、権力の暴走をとめ、個人が強くあるためのプライバシーを大切にする社会を選ぶのか、この裁判がひとつの分岐点になるでしょう。10年後、20年後に、私達がこの裁判を振り返ったとき、正しかったと思えるような判断をしていただきたいと思っています。私たちの子孫がこの裁判のことを知ったときに、私達を憎むのではなく、感謝してくれるような判断になることを願っています」と述べた。
現行の法律での令状では、GPS操作は不可能となった。新しい法律が作られるが、そこでは憲法35条が生かされなければならない。
いまスマートフォンなどの情報収集についてもどのようになされているのかわからない。私たちはプライバシー、アイデティーの保証をしっかりとさせなければならない。
共謀罪は、実行のはるか以前の計画段階で証拠がなければならないとされるが、そのためには相当以前から監視・情報収集の対象とされる。共謀罪は是非とも廃止されなければならない。 最後に実行委員会から、6の日行動をはじめ、様々な取り組み行い、言論・表現の自由を圧殺する共謀罪の一日も早い廃止のために運動を強めていこうとのアピールが行われた。
止めよう!辺野古埋立て オスプレイ飛ばすな! 安倍政権打倒へ
安倍政権は沖縄の民意を踏みにじって、基地負担の犠牲を拡大させている。辺野古では7月から埋め立てが強行されようとしている。この暴挙に対する反対の闘いを広げていこう。東京でも沖縄の闘いと共に安倍政権に抗する運動が続いている。
5月26日には、国会を取り囲んで、基地の県内移設に反対する県民会議、「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委員会、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会の三団体の共催による「美ら海壊すな!土砂で埋めるな!国会包囲行動」に1万人が参加した。
国会包囲実行委員会の野平晋作さん、総がかり行動実行委員会の福山真劫さんが、新基地建設を阻止しよう、安倍政権を打倒しようとよびかけた。オール沖縄会議の山本隆司事務局長は、辺野古の新基地建設阻止、普天間基地の閉鎖、オスプレイの撤去の3項目は2013年の沖縄県の全市町村の首長と議長がそろっての日本政府への建白書にあるとおり、沖縄の声だ、しかし、オスプレイの墜落など危険な状況はいっそう強まっている、と安倍政権に対する強い抗議をおこなった。
立憲野党からは、近藤昭一衆議院議員(立憲民主党)、小池晃参議院議員(共産党)、福島瑞穂参議院議員(社会民主党)、伊波洋一参議院議員(沖縄の風)が、沖縄とともに、基地建設に反対の闘いをつよめようとあいさつした。
6月5日には、日比谷野外音楽堂で、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」による、「オスプレイ飛ばすな!6・5首都圏行動」が開かれ、を3100人が参加した。
「戦争をさせない1000人委員会」の藤本泰成さんが主催者を代表してあいさつ。軍事評論家の前田哲男さんの講演とルポライターの鎌田慧さんのアピール。つづいて東京平和運動センター、憲法東京共同センター、「オスプレイ来るな いらない住民の会(木更津)、厚木基地爆音防止期成同盟からの闘い報告があり、「朴槿恵政権退陣非常国民運動・記録記念委員会」共同代表のパク・ソグンさんが特別ゲストとして、韓国のキャンドル行動について報告した。韓国から贈られたLEDキャンドルを掲げてコールをあげた。
集会決議を採択し、銀座デモに出発した。
最高裁 労契法20条裁判の判決
賃金項目の性格や職務を個別に検討したうえで不合理か否かの判断枠組みが確立
格差是正へ闘いは続く
6月1日、最高裁で、正社員と非正社員の不合理な差別の是正を規定する労働契約法20条に係る二つの判決が出された。全日建運輸連帯労働組合(連帯ユニオン)のハマキョウレックス事件、長澤運輸事件である。
ハマキョウレックス事件では、大阪高裁が、無事故手当、作業手当、給食手当、通勤手当の差額を不合理と判断したが、最高裁はそれに加えて、皆勤手当も不合理と判断した。理由として、労働契約法
20条は、職務の内容等の違いに応じた均衡のとれた処遇を求める規定であるとし、格差を判断するのは「賃金総額の比較のみではなく、賃金項目の趣旨を個別に考慮」しなければならないとした。格差解消にむけて一歩前進したと評価できるだろう。
しかし、一方、長澤運輸事件では上告を棄却する不当判決だった。判決は定年をどう評価するかということに焦点を当てたものだが、同じ仕事なら当然同じ賃金―これが一審東京地裁の正当な判断だったが、しかし定年後の賃金の低下は社会的に容認されているというのが二審東京高裁の判断である。最高裁は、精勤手当の不支給だけを不合理としたが、職務手当、住宅手当、家族手当、年間一時金の不支給などについて不合理ではないとした。
6月7日、連合会館で、「ハマキョウレックス事件、長澤運輸事件 最高裁判決報告集会」(主催・全日建運輸連帯労働組合)が開かれた。
はじめに全日建の菊池進委員長が、あいさつ。
つづいて宮里邦雄弁護士が「判決内容と意義および批判」の報告をおこなった。判決は同じ最高裁第二小法廷の判決だった。両判決によって、賃金項目(手当)の性格や職務を個別に検討したうえで不合理か否かの判断枠組みが確立されたことになった。なお定年後の賃金体系については個別検討の適用妥当性が問題となる。労契法20条の解釈として、職務の内容と「その他の事情」を総合判断しうるとする立場をとり、「その他の事情」については「職務内容及び変更範囲に関連する事情に限定されない」とする。これでは、「その他の事情」が不合理を否定する論拠として拡大解釈されるおそれがある。
長澤事件判決では、定年後再雇用の有期労働契約にも労契法20条が適用されることが確認された。このことは、その不合理性を検証し、是正する重要な契機となるだろう。だが定年後再雇用であることが「その他の事情」として重視され格差の不合理性を肯定する事情として強調されていることは問題である。同一労働であるにもかかわらず、大幅な賃金切り下げが容認されている。最後に、今後の労働組合としての課題は、最高裁判決の判断枠組みによる労働条件格差の総点検、労働条件格差の合理性についての説明要求と是正の取り組み、格差是正と非正社員の組合員化の一体的取り組み、法規制と労働組合・労働運動の法を生かす取り組みと法を越える取り組み、「働き方改革関連」法案におけるパート労働者および有期契約労働者に対する格差是正の立法などへの取り組みが必要だろう。
全日建近畿地区トラック支部ハマキョウレックス分会、全日建関東支部長澤運輸分会からの支援へのお礼と今後の闘いにむけた発言があり、最後に全日建小谷野毅書記長が、闘いは続く、闘いの輪を広げていこうとまとめをおこなった。
過労死・低賃金労働は財界の強い要求
「働き方改革」法案 参院で絶対に廃案を勝ち取ろう
安倍内閣が本国会の最大の課題とする「働き方改革」一括法案は、財界の強い要求によるもので、最大限の利潤のために労働者をいっそう長時間かつ低賃金で働かせようとするものだ。いま多くの労働者、労働組合の反対の声が広がっている。過労死家族からは悲劇を繰り返すなという強い批判がおこっている。法案にあった裁量労働制拡大はデタラメデータに基づくものであることが暴露されて、政府は今国会では断念せざるを得なくなった。しかも法案に残った高度プロフェッショナル制度(高プロ)は、究極の裁量労働制というべきものであり、ここでもデータの間違い・偽造について、野党は追及を強めている。しかし、自民党のスポンサーである財界はどんなことがあっても絶対に成立させるように圧力を強めてきた。自公与党などは5月25日、衆議院厚生労働委員会において強行採決した。それも質問の打ち切りによるものだ。そして、5月31日、衆議院本会議で可決された。絶対反案の運動を強めて、参院段階での闘いを強めて、「働かせ方改革」法を粉砕していこう。
過労死を考える家族の会は安倍首相に対する面会要請のための首相官邸前における座り込みを行ったが、安倍は面会することなく、衆院での強行採決をおこなった。
5月22日には、労働弁護団の主催による日比谷野外音楽堂集会が開かれた。その「高プロ・裁量労働制拡大はいらない!〜働く人が大切にされる社会を〜」集会アピールは次のように呼びかけた。―政府与党は、労働時間規制を破壊し過労死を促進する「高度プロフェッショナル」法案を強行採決しないでください。「高プロ」は、「専門業務型のホワイトカラー・エグゼンプション」です。労働基準法の労働時間規制が全く適用されないことから、長時間労働に対する何の歯止めもなくなってしまい、労働時間の上限がなくなります。また、どんなに長時間労働しても、どんなに休日・深夜の労働をしても割増賃金はゼロで、「定額(賃金)働かせ放題」となります。使用者は労働時間の把握や記録をしなくてもよいので、過労死しても労災申請も困難となり、労働基準監督官も使用者を取り締まることができなくなります。市民の皆さん、「高プロ」は労働基準法の破壊であり、際限のない長時間労働をしかも残業代ゼロで強制することが合法となる危険極まりない制度です。これが成立すれば、日本で働く全ての人にとって、取り返しのつかない危険を及ぼす虞(おそれ)があり、だからこそ、全ての労働組合と労働者が反対していますし、使用者側も約7割が成立させる必要はないとしています。政府与党は、大多数の市民・働く者の反対を押し切って、「高プロ」法案を強行採決しないでください。私たちは、働き方改革推進一括法案から「高プロ」の削除を強く求めます。
東京高裁の不当な決定 再審開始を認めず
袴田巌さんは冤罪だ
6月11日、東京高裁(大島隆明裁判長)は、1966年に静岡県で一家4人が殺された強盗殺人事件で死刑が確定し、静岡地裁の再審開始決定で釈放された元プロ・ボクサーの袴田巌元被告の即時抗告審で、地裁決定を取り消し、再審開始を認めないという不当な決定をした。
この事件は冤罪事件として、日本プロボクシング協会のメンバーらをはじめ再審で無罪を確定させようという支援の輪が広がっていた。
静岡地裁は、自白は本人の意思に基づいていないとして、ほとんどの自白調書を証拠として認めなかった。工場のみそタンクから見つかったシャツやズボンなどを証拠品―当時の着衣だと認定して死刑判決となったが、しかし第2次再審請求で、「証拠とされた衣類」などは、捜査機関によってねつ造された証拠の疑いがあるとして、袴田さんの釈放と再審開始の決定をくだし、袴田さんは東京拘置所から獄中48年目にして釈放されたのだった。
にもかかわらず、検察は即時抗告した。
そして今回の高裁の決定となった。東京高裁は、地裁判断では捜査機関によるねつ造をうかがわせるともされた衣類に付着する血痕のDNA鑑定と派遣時の色に関する決定的ともいえる新証拠を認めなかった。検察側は、地裁のDNA鑑定(選択的抽出法による袴田さんとは異なるDNAの検出)を否定する根拠のない主張を行ってきたが、高裁はそれを全面的に取り入れ、DNA型鑑定について「手法に疑問があり、結果も信用できない」と判断し、地裁決定を取り消したのである。
この不当な判断に対して、弁護側は最高裁に特別抗告をおこなうこととした。翌12日には、東京高裁前で抗議の行動をおこない、元被告の再審無罪へむけた署名を法相らに提出した。記者会見で、袴田さんの姉の秀子さん、元世界スーパーウエルター級王者の輪島功一さん、日本プロボクシング協会の渡辺均会長などが、無罪を勝ち取るまで闘うと述べた。
第15回国会ピースサイクル
防衛省、都教委、東電本社、外務省、内閣府に対して要請行動
反戦・平和・脱原発・教育・慰安婦問題などの早期解決を求める
5月18日、第15回国会ピースサイクルがピースサイクル2018全国ネットワークの主催により取り組まれました。
昨年同様、防衛省、東京都教育委員会、東京電力本社、外務省、内閣府の5カ所に対して要請行動を行いました。
要請行動前に市ヶ谷駅近くの公園で出発式を行いました。
最初に市ヶ谷防衛省門前において、防衛省職員に対し表題「沖縄・普天間基地の県内移設を撤回し、オスプレイの配備・訓練に反対する要請書」(別掲)を読み上げ、「沖縄県民の民意を尊重し、辺野古新基地を建設撤回すること」など6項目を申し入れました。この後、「辺野古新基地の建設を撤回せよ」などのシュプレヒコールを連呼しました。
東京都教育委員会の要請行動は議会棟会議室で行われました。要請、質問事項は事前に送付してあったので回答も事前にあり、以前からすると、時間が有効に使われるようになりました。要請行動として質問4項目、要請5項目を出し、質問項目において、2003年の都教委通達以後、483名もの教職員処分をしているが、当時の小渕恵三首相は「国旗の掲揚などに関し義務付けを行うことは考えておらず」との答弁に反しているのではないかの問いに都教委は最高裁判決で校長の職務命令は合憲であると認められているので厳正に対処する回答がされた。しかし、一方で「都教委10.23通達」にたいし国連自由権利規約委員会は審査・質問を出しており、これに十分な回答をすることが求められているのではないか。との意見に都教委は所轄部署に意見として伝えるといった意見交換を終えました。 午後2時より東京電力への要請行動は本社近くの別ビルにおいて行なわれました。質問項目は7項目と多岐の問題に亘り、1時間の意見交換では終わらないので関心の強い部分から進められました。@原発被害に対する区域外避難者への住宅補償問題A汚染水取り出し、核燃料デブリ処理問題B廃炉の費用負担の在り方C柏崎刈羽原発の耐震問題D東京電力が賠償費用支払いを抱えながら東通原発建設、東海第二原発の安全対策費の支出、むつ市リサイクル燃料貯蔵施設への出資は矛盾するのではないかなどの質問がだされました。特に東京電力と意見の違った点では「区域外避難者への住宅支援策問題のありかた」で東京電力は「原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針等」を踏まえたい。との見解を示した。
外務省への要請では「慰安婦問題の早期解決を求める質問と要請」として質問1項目と6の要求項目を提出しました。政府はこれまで慰安婦問題で「公文書」はなく、「強制連行を直接示すような記述は見当たらない」と国会答弁を繰り返してきたが、新たに国立公文書館より2017年2月3日、政府に移管された19冊182点の「慰安婦」関連文書の中に強制的に慰安所に女性たちを連行していた記述があるにも関わらず、率直に認めてはいませんない。これに対して、要求項目として「日本政府は、犯罪事実を具体的かつ明確に認定し、これに基づき、履かえることのない明確で公式的な方法で被害者たちに謝罪し法的に賠償せよ」の他5点にわたり政府へ要求を提示しました。
この後、参議院議員会館会議室において今日取り組んだ要請行動の反省会を開き、おおよそ満足できる内容であったことを確認しました。
自転車組は、本日は金曜行動の日なので国会を周回したあと、先発の組と交流会で合流し、懇親を深めて散会としました。(A)
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安倍首相・小野寺防衛相あて
国会ピースサイクルにて 2018年5月18日
沖縄・普天間基地の県内移設を撒回し、オスプレイの配備・訓練に反対する要請書
私たちピースサイクル全国ネットワークは、この間、自転車で全国の人々と地域を結び、平和、人権、環境保護を訴え、今年で33年日を迎えます。
(中略)
「基地のない平和な島」が沖縄県民の声であり、沖縄での米軍基地負担を軽減することが国民総体の声であると思います。特に地域住民や翁長沖縄県知事は基地の建設に明確に反対しており、辺野古の新基地建設は断念すべきです。
また、東村の高江にヘリパッド基地建設を強行し、市民を弾圧している事に抗議します!
オスプレイが沖縄県安倍地区に墜落した事やヘリコプター等が炎上し部品落下を起こしている事に抗議します!
今後は、住民の死傷者が出る危険があります。オスプレイの沖縄や全国での配備・訓練は全く認められません。日米安保条約を破棄し、軍事同盟によらない平和で対等な、日米関係を構築していかなければなりません。
政府は普天間基地の代替基地と称して、辺野古に今後200年間、米軍が使える基地=軍港付新空港をつくる事を強行しています。政府は沖縄の基地被害の軽減を回り、米国追随の外交政策を改め、名護市民をはじめとする県民の総意を踏まえて、辺野古&高江基地の建設やオスプレイの全国への配備を撤回すべきです。
日米軍事再編により横須賀・座間・岩国・宮古島・石垣島などの南西諸島で軍事基地強化が進められています。
日米の共同軍事行動が当然のように行われています。沖縄県内に普天間基地の代替施設の建設に反対し、米軍普天間基地の閉鎖を求めます。
以下、具体的に要請します。
1、沖縄県民の民意を尊重し、辺野古新基地の建設を撤回すること。
2、オスプレイの配備、訓練を中止し、日米両軍の一体化と全国の基地強化を止めること。
3、東村の高江にヘリパッドを最終完成することを中止すること。
4、沖縄の米軍基地の集中は、戦後の米軍占領状態のままです。基地は、沖縄差別と呼ばれるべきもので容認できません。沖縄のすべてめ米軍基地の返還を求めること。
5、日米安保条約及び地位協定を見直し、破棄をすること。
6、沖縄をはじめ南西地域への自衛隊の軍備の増強等を行わないこと。
以上
ピースサイクル2018全国ネットワーク
映 評
マルクス・エンゲルス−The Young
Karl Marx フランス・ドイツ・ベルギー 2017年 監督 ラウル・ペック
19世紀後半、圧制下のプロイセン、イギリスで産声を上げた産業革命は今までのヨーロッパの社会体制を大きく変容させ、社会の中に貧困と差別を蔓延させていった。
映画の冒頭シーンは衝撃的である。今まで森に暮らす民は、森の中に落ちている枝を集めて暖房用の薪として自由に使用していた。しかし、枯れ枝を集めることですら「木材窃盗」の罪に問われてしまう。官憲の襲撃に逃げまどう人びと、殺戮される者もでる始末であった。すでに新聞記者として活躍するようになっていた若きマルクスは、このような事態に激怒し、その新聞で論陣を張るのだが、その新聞もあえなく発禁処分の憂き目にあい、マルクスは別の道をさぐろうとドイツを後にして、フランス・パリをめざした。
エンゲルスはマンチェスター(イギリス)で父親の経営していた紡績工場での恵まれない労働者の姿に疑問を感じ、彼らの居住している住宅街の調査を始めた。エンゲルスは労働者の置かれた過酷な状況を目の当たりにして資本家の子どもとしてではなく労働者階級の理解者になろうと決心していった。マルクスとエンゲルスはやがてパリで出会い、それぞれの家族ともども議論を通して、時には反発もしあい思想的営為を積み上げていった。
当時のヨーロッパでもっとも影響力があったヴァイトリングが率いていた「正義者同盟」にマルクスとエンゲルスは加入することになるのだが、そこで彼らはプルードン、ヴァイトリングに果敢に論争をいどみ、完膚なきまでに論破していくシーンはとても迫力があふれていた。そして「正義者同盟」は「万国のプロレタリアートよ、団結せよ」というスローガンのもとに「共産主義者同盟」へと変貌を遂げるのだった。
私たちはマルクスの顔といえば、少し老いたヒゲ面の肖像しか知らない。映画の中では家族との関係、葛藤などがたいへんよくえがかれている。強靭なところと逆に弱い部分がどちらも人間的に共感できるのだ。マルクスもエンゲルスも自身は労働者階級出身ではない。だからこそ労働者の置かれている状況を客観的に分析できたのではないかと思う。マルクスの、あるいはエンゲルスの人間臭さがとてもよく表現されているのだ。この映画は若きマルクスとエンゲルスの姿をみごとに表現している。私たちはこのような映画を見ることができる社会に存在していることに感謝しなければいけないと思う。映画の中にあらわれている彼ら思想との格闘を今の時代にも継承していく必要があるだろう。
フランスの二月革命(1848年)の直前に発表された『共産党宣言』で「これまでの社会の歴史は階級闘争の歴史である」という概念は、ロシア革命(1917年)などを経ても、マルクスたちが思い描いた階級も搾取もない社会は残念ながら実現していないのだが、彼らの思想は決して歴史の中に埋もれているわけではない。私たちはグローバリズム、新自由主義が蔓延する現代においてこそマルクス・エンゲルスの思想を最初から学びなおし実践に続けていく努力を怠ってはならないということを教えてくれる貴重な映画であった。
ラストシーンで、ボブ・ディランの「ライク・ア・ローリングストーン」がゲバラやアジェンデ(チリ大統領で社会主義を目指し、暗殺された)たちの映像をバックに流されていく。とても象徴的ないいシーンであると思う。
なお監督のラウル・ペック(1953年 ハイチ生まれ)の作品には、黒人公民権運動の活動家で、いずれも暗殺されてしまったメドガー・エバース、マルコムX、マーティン・ルーサー・キングを描いた「私はあなたのニグロではない」(2016)がある。 (東幸成)
せ ん り ゅ う
トランプも安倍も同じ手メディア批判
記憶に無いよくもしゃあしゃあぬけぬけと
あちこちでお上がそこのけそこのけと
官邸へご意向忖度口封じ
瑠 璃
首相からまねびとぼけるアメ‐フト監督
ゴマカされまた誤魔化されバカにされ
改ざんはやっぱりアベのウソにあり
理財局佐川ともども恩の仇
ゝ 史
2018年6月
複眼単眼
韓国の市民からの贈り物
6月5日夕刻、3000人を超す市民が、東京の日比谷野外音楽堂に集まった。「オスプレイ飛ばすな!6・5首都圏行動」と題する総がかり行動実行委員会が主催した集会とデモだ。集会名称に表れているようにこの集会は首都圏でも飛び始めた米空軍の特殊作戦機CV22オスプレイの配備に反対する集会だったが、実はこの集会のテーマには、集会名称からだけではわからないもう一つの特徴があった。
それは韓国の「キャンドル革命連帯」というテーマだった。当日、日比谷野音の集会場に着いたすべての市民には、入口でLEDのキャンドルと電池が配布された。このキャンドルは韓国の「朴槿恵退陣行動記録記念委員会」が当時のキャンドル行動に参加した韓国市民に呼び掛け、回収した8000本のキャンドルの一部だ。韓国の市民団体はこのキャンドルを安倍政権退陣のたたかいを続けている日本の「総がかり行動実行委員会」に届けてくれた。そして、5日当日、韓国の市民の代表2名が日比谷野音の集会に参加し、熱い連帯の挨拶をした。
当日の集会は始まる前から韓国のキャンドル闘争で歌われた歌「光は闇に負けない」の日本語バージョンの大合唱が行われた。この歌は2014年韓国の旅客船セウォル号の転覆沈没事故で、304人の乗客が死亡した大惨事に関する歌で、朴槿恵退陣要求の重要なテーマになった事件をうたった歌だ。
当日、総がかりの有志がギターで参加者に歌唱指導し、参加者と一緒にキャンドルを掲げて歌った。再度、集会のプログラムの中で歌われたときは、韓国の代表も壇上で一緒にキャンドルを掲げながら歌った。
日比谷野外音楽堂の会場には、韓国の市民に続いて私たち日本の市民も安倍政権を倒そうという熱気に満ち満ちた。
当日韓国の代表が急遽、編集・印刷して持参した日本語の小さなパンフレットがある。それはA5判30ページほどの小冊子で、「退陣抗争記録記念委員会」作成の「朴槿恵退陣キャンドル抗争白書」(英文ではThe Candlelight
Civil Revolution The Great Journey of the South Korean Democracy)と題するものだ。
小冊子ながら、今回のキャンドル革命の歴史が、具体的に書きつづられている。
キャンドル革命の前史から始まって、闘争の特徴と課題などの分析や、キャンドル日誌、23回にわたるキャンドル集会への参加者の推計などが記録されている。
この一覧表を見つめていると実に興味深いものがある。2016年10月29日から始まって、極寒の冬の時期を含めて、2017年4月29日まで、毎週土曜日に行われてきたキャンドル闘争はのべ1700万人が参加し、全国150か所と世界の30か国74都市で繰り広げられた。そして、最後には朴槿恵大統領の罷免を勝ち取り、新しい文在寅大統領を生み出した。この巨大な闘いで一人も違法行為で拘束されず、逮捕者もいなかった。この闘いは韓国の憲法第1条で「大韓民国の主権は国民にある」ということを立証したたたかいだった。
一覧表を見ただけでも、この闘いの過程には様々な紆余曲折があったことも想像がつくが、市民たちは新しい「キャンドル大統領」を生み出したことで、朝鮮半島の戦争の危機を打開する道に大きく踏み出すことができた。
もとより、これからの課題も大きい。この小欄では書ききれないが、私たち日本の市民がこの隣国の市民の闘いから学ぶものは大変大きいものがある。 (T)
夏季カンパの訴え
労働者社会主義同盟中央委員会
安倍政権は森友、加計、自衛隊PKO日報問題、財務省の数々のスキャンダルなどにまみれて、追い詰められながら、働き方改革法案、ギャンブル法案、TPPP法案などを強行成立させようとし、また改憲に向けての動きを加速させています。
自民党改憲草案は旧帝国憲法に酷似し、「戦争する国」づくり、国内での独裁体制を樹立しようとするものです。安倍政権を早期に打倒しなければなりません。
北東アジアでの外交手段による緊張緩和・反戦平和の胎動が始まっています。それを何としても押しとどめ、冷戦思考と排外主義に凝り固まっているのが安倍政権です。この国においても、韓国のキャンドル革命のような巨大な民衆の闘いをつくりだして、われわれの力で安倍を打倒していきましょう。
われわれは、労働者・人民の力を強化し、団結を広げ総がかりで政治変革の流れを加速させるためにいっそう奮闘する決意です。
みなさんに、夏季カンパを訴えます。