人民新報 ・ 第1365号<統合458号(2018年9月15日)
  
                  目次

● 安倍政権の強圧に抗して、翁長知事の遺志を引き継ぎ、沖縄県知事選勝利へ!

● 横田基地へのオスプレイ配備を許すな

         全国各地をつないでオスプレイ配備・訓練・飛行に反対する運動を強めよう

● 日本労働弁護団が「職場のいじめ・嫌がらせに対する立法を求める意見書」

● 3000万人の署名を成功させ安倍政治を終わらせよう

          安倍改憲に反対する人びとの最大限結集へ

● 過去最大の防衛予算概算要求

          東アジアの緊張を激化させる安倍政権の暴走

● 「人種差別の撤廃に関する委員会」が日本政府に厳しい改善勧告

● せ ん り ゅ う

● 複眼単眼  /  安倍首相の、安倍首相による、安倍首相のための改憲






安倍政権の強圧に抗して

      翁長知事の遺志を引き継ぎ、沖縄県知事選勝利へ!


 9月10日、自民党本部ホールで開かれた自民党総裁選挙の所見発表演説会で、安倍は、「私にとって最後の総裁選だ」とし、アベノミクスの成果を強調した。改憲については、「しっかりと自衛隊と書き込み、私たちの使命を果たしていこう」と述べた。総裁選で圧勝し、改憲を強行するのが安倍の願いだ。
 しかし、安倍を取り巻く状況は簡単なものとは言えない。「外交の安倍」を自称しながら、日米同盟強化を基軸にして、地球儀を俯瞰する外交をもくろんでいるが、米トランプ政権は、貿易赤字解消のために対日強硬策に出る可能性が強まり、ロシアとの関係でも平和条約交渉で領土問題は話にもならない。拉致問題解決のために「私自身が金正恩委員長と向き合い、解決しなければならないと固く決意している」と言うが、これまでの対朝鮮敵視策を変えるわけではない。頼みの経済政策では、一部大企業・富裕層の「繁栄」と、一方での二極分化と貧困化をもたらし、不満の声は広がった。

 安倍の前に立ちはだかっている最大の難題は、沖縄である。安倍の沖縄差別政策は沖縄の広範な人びとの反発をもたらした。にもかかわらず、いっそうの基地負担を沖縄に押し付ける政策を進めている。米軍の辺野古新基地建設や高江ヘリパッド建設、オスプレイの配備などの強行は、沖縄の心を踏みにじる。怒り声は広がっている。その沖縄の心の象徴が翁長雄志県知事だった。知事は、前知事の辺野古埋め立て承認取り消しを宣言したが、残念なことに8月8日、膵がんのため、満67歳で死去された。しかし、翁長知事の思いを継承して沖縄県は、31日、防衛省沖縄防衛局に承認撤回の通知書を渡した。謝花喜一郎副知事は、「違法な状態を放置できないという観点から、承認の撤回が相当だと判断した」と述べている。
 9月30日が、沖縄県知事選挙の投票日となる。翁長さんの遺志を継ぐ候補者の勝利を実現していこう。

 沖縄の心を象徴する翁長さんの思いを引き継ぎ、平和な沖縄の実現させようという運動は各地に広がっている。東京では、9月6日、文京区民センターで「辺野古の海を土砂で埋めるな!翁長さんの遺志を継ぐ集会」が開かれた。主催者を代表して尾澤孝司さんがあいさつ。8月11日には沖縄「土砂投入を許さない!ジュゴン・サンゴを守り、辺野古新基地建設断念を求める県民大会」が悪天候の中で7万人が参加した。同日には、東京・東池袋公園で開かれた「埋めるな!辺野古 沖縄県民大会に呼応する首都圏大行動」に2800人が参加した。防衛相は17日に予定された辺野古土砂投入を延期せざるを得なくなった。沖縄県知事選挙では、玉城デニーさんが立候補してくれた。ぜひとも勝利していかなければならない。

 琉球大学教授の島袋純さんが、「翁長県政と沖縄の自己決定権」と題して講演。翁長さんは、2015年9月の国連演説で「私は世界中の皆さんに、辺野古への関心を持っていただきたいと思います。そこでは、沖縄の人々の自己決定権が、ないがしろにされています。…70年間で、アメリカ軍基地に関連する多くの事件・事故、環境問題が沖縄では起こってきました。私たちは自己決定権や人権を、ないがしろにされています」「今、日本政府は、美しい海を埋め立てて、辺野古に新しい基地を建設しようと強行しています。彼らは、昨年沖縄で行われた選挙で示された民意を、無視しているのです。私は、あらゆる手段、合法的な手段を使って、新しい基地の建設を止める覚悟です」と述べた。国の言いなりばかりにはならないと沖縄の自己決定権を強調した。この翁長さんの言説の根源にあるものは、分断され無権利の沖縄で島ぐるみの闘いで培われた連帯、自民党沖縄県連の中心にいながら本土の自民党との攻防、そしてオール沖縄体制による2013年建白書、14年県知事選の勝利があった。翁長さんの遺志とは、人々の権利を守るために権力に対峙し、権力を統制していく政治的共同体の構築であり、それはまた権力を守るために人々を序列化し、権力に同調させ、同調しないものを排除する政治的共同体の拒否ということである。

 つづいて沖縄の闘いの報告、各団体からの発言、三線と唄、琉球舞踊とつづき、翁長知事の遺志を継ぐ県知事選への取り組み、辺野古新基地建設阻止に向けて闘いの強化などの行動提起が行われた。


「普天間・辺野古問題を考える会」と「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が沖縄とともに闘うアピール

 辺野古新基地建設のための土砂投入や沖縄県知事選挙など闘う沖縄への連帯の輪が広がっている。
 9月7日には、衆議院議員会館で、「普天間・辺野古問題を考える会」と「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の記者会見が行われた。
 はじめに、「普天間・辺野古問題を考える会」。同会代表の宮本憲一・大阪市立大学名誉教授は、沖縄県の埋立承認撤回を支持すると述べた。同会の「共同声明 辺野古の海への土砂投入計画並びに新基地建設計画を白紙撤回せよ!」は、「人間居住の適地を基地に占拠され、やむなく為された埋め立てによってほとんどの自然海岸を失った沖縄にとって、辺野古・大浦湾の海は今や数少ない手つかずの自然であり、後世に残すべき沖縄の宝である。その辺野古の海への土砂の投入は、取り返しのつかない貴重な自然の破壊であると同時に、沖縄の声の無視であり、到底容認できるものではない」、「現在、南西諸島では辺野古・高江での米軍基地建設に加え、自衛隊配備により全域での軍事要塞化が進められているが、これは安全保障のジレンマにより周辺国との軍事エスカレートの罠に陥る公算が強く、時代の趨勢に逆行するものである」と安倍政権の政策を強く批判した。
 つづいて、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」による「私たちも辺野古新基地建設に反対します―沖縄県知事選を迎えるにあたっての共同アピール―」(別掲)の記者会見がおこなわれた。

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私たちも辺野古新基地建設に反対します―沖縄県知事選を迎えるにあたっての共同アピール―

 翁長雄志沖縄県知事が8月8日、急逝されました。防衛局が辺野古の海への土砂役人を通告していた17日を目前に、前知事の埋立て承認の撤回を表明した直後のことでした。
 「辺野古に基地は作らせない」を旗印に、基地に頼らず基地に縛られない、沖縄の自立的振興をめざした「オール沖縄」として、圧倒的支持を得て当選した翁長知事でした。また、2013年と16年の参院選、2014年と17年の衆院選で、いずれも野党が圧勝しました。そこには、沖縄戦そして戦後の沖縄の苦難を踏まえ、平和な将来を願う沖縄の人びとの希望か民意として明確に示されていました。

 しかし、安倍政権はそうした民意を徹底的に無視してきました。2012年には、普天間基地へのオスブレイ配備を認め、住民の抗議にもかかわらず日夜市街地の上空を飛ぶことが日常化しています。16年には、そのオスプレイが名護市沿岸の集落近くで墜落しました。同年、うるま市で元海兵隊員が強姦殺人事件をおこし、1995年の少女暴行事件以来なんら変わらなかった沖縄の厳しい現実を再認識させられました。
 ところが政府は、米軍の特権を定めた日米地位協定に手を付けるどころか、こうした事故や事件さえ辺野古基地建設を進める口実にし、「基地負担を軽減するため普天間基地の移転を急ぐ」として16年夏には辺野古新基地建設に向けた本格工事に着手しました。

 高江のヘリパッド建設では、全国から警察機動隊を動員して反対運動を押し潰し、自然豊かなヤンバルの森を切り崩しました。辺野古に新基地が埋設されれば、貴重なジュゴンやサンゴなどが生命を奪われることは明らかで、世界中が危惧しています。特に大浦湾には、豊かな生態系の絶滅の危機とともに、巨大な構造物に不適な超軟弱な海底地盤や活断層の存在も指摘されており、これらが翁長知事の「撤回」埋由になっているのは当然です。

 また、一方で政権の私物化や官僚機構の劣化の責任を厳しく問われる安倍政権は、その陰で与那国・宮古・奄美などに続々と自衛隊基地を建設し、南西諸島の軍事基地化を進めています。その口実としているのは、中国の進出や北朝鮮の「脅威」です。しかしこれは、東アジアの安定を確保するのでなく、逆に緊張を高めるだけです。「武力で平和はつくれない」からです。実際、今年に入って初めての米朝会談が実現し、朝鮮戦争以来半世紀以上にわたる半島での対立関係が解消に向かう可能性が開かれました。これを確実な東アジアの平和へ導くことこそ政府の責任であり、沖縄に強引に斬基地を建設するのは、この流れと責務に逆行することにほかなりません。新基地はその規模と役割から、一度でできたらこの先百年、二百年と、沖縄を「基地の島」にし続けるでしょう。

 このような理不尽な状況下で、翁長知事は道半ばで斃れました。いま、新基地建設で決定的な土砂投入を許すのか、埋立て承認撤回でそれを止めることかできるかの瀬戸際にあります。その中で新しい知事を選ぶ選挙が行われます。
 73年前の沖縄戦の悲惨な記憶をも無視して、もう一度沖縄を軍事体制の犠牲にするのか、長い間構造的差別に耐えて闘ってきた沖縄の人びとと心をひとつにして新基地建設を阻止するのかが、いま私たちに問われています。沖縄に矛盾のすべてを押し付ける日本政府の差別と暴力的政策を許してきた私たちの運動の弱さを痛感しながら、「沖縄にこれ以上、新たな基地を作らせない」と声をあげ、安倍政権に新基地建中止を要求しようではありませんか。

2018年8月31日


横田基地へのオスプレイ配備を許すな

     全国各地をつないでオスプレイ配備・訓練・飛行に反対する運動を強めよう


 安倍内閣は、東アジアに緊張をあおる日米軍事同盟強化政策の中で、欠陥機として有名な垂直離着陸輸送機オスプレイ機の日本全土への配備を推し進めている。 米軍はオスプレイ機で深夜早朝の飛行訓練を日常的に行っていて、基地・空港周辺はもちろん広範な地域に騒音、環境汚染、墜落などの事故の不安が広がっている。そして軍用機を配備する軍事基地は、真っ先に攻撃の対象になるのである。

 防衛省は、今年の2月15日、米海兵隊が運用するMV22オスプレイのもっとも重大な「クラスA」の事故率(米会計2017年度末時点)が3・24だと発表した。最近の大きな事故としては次のようなものがある。2016年12月には、空中給油に失敗して沖縄県名護市の浅瀬に墜落し5人が負傷。17年8には、オーストラリア沖で揚陸艦への着艦に失敗し、3人が死亡。9月にはシリア国内で墜落して2人が負傷。こうした大事故が相次いでいる。オスプレイの危険性は広く知られるようになり、とりわけ配備されている沖縄では大きな反対運動がつづいている。
 日米政府は、そのオスプレイを日本全土で、飛行、訓練、配備しようというのだ。沖縄とともにオスプレイ反対の運動を全国で盛り上げていこう。

 8月22日、政府は在日米軍のオスプレイ(空軍仕様CV22)が10月1日に米空軍横田基地に正式に配備されると発表した。CV22オスプレイは、横田に4月に一時立ち寄りとして5機が初飛来し、6月下旬には基地に駐機し、離着陸を繰り返した。米軍は「一時的なもの」と周辺自治体には説明してきたが、既成事実化して事実上の配備状態を続けた。
 周辺住民の反対を危惧して、これまでひた隠しにしてきたが、ついに正式配備を直前になって発表してきたのである。
 正式に配備としては、まず5機を先行配備し、2024年までに10機(450人態勢)常駐の計画だとされる。CV22は、アメリカ特殊作戦軍の空軍構成部隊の米空軍第353特殊作戦群用のもので、その部隊は、アメリカ太平洋軍指揮下にあり、沖縄嘉手納空軍基地にある。その任務は敵地に侵入して人質を奪還、特殊工作要員の潜入、偵察・観察などのほか心理戦も行なう。CV22は、機首に地形追随レーダーを装備し、山岳地帯での隠密活動も可能なものとなっている。
 横田基地周辺には50万人以上が暮らしている住宅密集地である。こうしたところで夜間旋回飛行・タッチ・アンド・ゴー訓練などが頻繁に行われることになる。
 すでに、無通告の離着陸訓練が所沢通信基地、大和田通信所など埼玉県、東京都の地域で実施された。東富士演習場では訓練が毎週にわたって行われている。また、群馬県や長野県でも飛行している姿がとらえられている。
  これを菅官房長官は、「米国のアジア太平洋地域への関与、日米同盟の抑止力・対処力の向上、日本の防衛及びアジア太平洋地域の安定」につながると公言した。

 2014年7月、政府・防衛省は、佐賀県に対して、自衛隊が導入するオスプレイ17機の佐賀空港への配備を要請した。8月24日、山口祥義佐賀県知事は、国防政策には基本的に協力するとして、政府の要請に応じた。だがそれは、20年にわたって100億円の着陸料を佐賀県に支払うこという餌につられてのオスプレイの配備を認めたものだ。そもそも、佐賀空港は、空港建設にあたって、県は地元漁協と、自衛隊とは共用しないという公害防止協定を交わしていたのである。それを無視して、住民の命と漁民などの生活を売って、汚い金を受け取ろうというのである。しかも佐賀県では、この2月に神埼市で、陸上自衛隊の戦闘ヘリコプターが、民家に墜落した事故が起こっている。人々の怒りは大きい。

 沖縄、横田、佐賀、そして全国でオスプレイ配備撤回と米軍基地の撤去の運動を強めていこう。


日本労働弁護団が「職場のいじめ・嫌がらせに対する立法を求める意見書」

 パワハラ・いじめ問題は、マスコミでスポーツ界、学校でのそれを取り上げているが、職場では資本・経営側の権力を背景に日常的に行われている。厚生労働省も「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」(17年5月設置)が、今年3月に報告書を発表した。
 8月9日、日本労働弁護団は「職場のいじめ・嫌がらせに対する立法を求める意見書〜厚労省パワハラ防止対策検討会の報告を受けて」を発表した。意見書は、「報告書は、具体的対応策として、@行為者の刑事責任、民事責任(刑事罰、不法行為)、A事業主に対する損害賠償請求の根拠の規定(民事効)、B事業主に対する措置義務、C事業主による一定の対応措置をガイドラインで明示、D社会機運の醸成という5つの措置を検討している」が、それを「ガイドラインではなく法的措置義務の立法とすべきである」としている。「法的強制力のない単なるガイドラインでは、全く実効的な対策になり得ないことは明らかである」からだ。そして、「事業主の措置義務に加えて、行為者の行為禁止規定、労働者の権利規定といった明確な規定を合わせて設けるべきである」とし、具体的な措置義務の内容についても「従来のハラスメントの措置義務と同様のものを法定化すればよいというものではなく、セクハラ・マタハラに対する事業主の措置義務やその救済における課題などを踏まえて、海外における救済政策の内容も参考にしつつ、より実効的な措置義務の内容を探るべき」ことを求めるものとなっている。


3000万人の署名を成功させ安倍政治を終わらせよう

        
  安倍改憲に反対する人びとの最大限結集へ

 9月5日、東京・文京区民センターで、400人が参加して「さようなら安倍政権 めざそう3000万人の署名〜3000万署名キックオフから1年」(主催・安倍9条改憲NO!全国市民アクション実行委員会)が開かれた。 
 主催者を代表して高田健さんがあいさつ。昨年、9月3日に「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」の記者会見を行い、8日には中野ZEROホールで、「キックオフ集会」を開き、署名活動が始まった。10月総選挙、11月3日国会前4万人集会などを経て、今年の5月3日憲法集会で、それまでの署名が1350万に達したと報告した。6月7日には院内で各野党の党首クラスの人も来てともに頑張ろうと確認しながら集まった署名を提出した。その後も、安倍改憲を止める運動は広がり署名数は増え続けている。この9月末は第4次集約で署名数を発表する。安倍はこの秋の臨時国会にも自民党改憲案を出すと言っている。麻生は、来年夏の参院選までに国民投票までやってしまおうとまで言い出している。しかし、安倍の改憲は、簡単ではない。われわれは決して許さない。野党と市民運動が協力して安倍改憲を阻止しよう。
 つづいて、中野晃一さん(上智大学教授、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)が「安倍9条改憲と臨時国会の課題」と題して講演した。昨年は、モリ・カケ問題などで、一度、安倍政権を追い詰めたが、むこうも解散・総選挙で反撃してきた。安倍政権は今年も公文書改ざんなどいろいろ問題が出てきているのに、総裁選で3選などととんでもない。
つらい時には、仲間のうちでも喧嘩しがちで、殺伐とした感じもある。これはなんとかしなければならない。
若者は保守化したと言われるが、かれらは安倍の時代しか知らない。小泉政権の構造改革政策で日本社会はズタズタにされ、将来の夢などなくしている。運動をもっと広げて、そういう人も含めてやって行かなければならない。これ以上社会を壊してはならない。つらい時こそ地道な活動を行っていかなければならないと思う。
 安倍政治の仕上げが改憲だ。自民党総裁選が行われるが、野田聖子の態度などで分かるように自民党内では安倍に気に入られる競争さえ起っている酷い状況だ。
われわれも様々な弱点をもっているが、安倍のほうもいろいろ持っている。改憲日程には厳しいものがある。臨時国会で決着がつかないなら、来年は、地方選挙、天皇代替わり、参院選、またG20などの国際会議もある。だから、安倍たちは、無理矢理に突っ込んでくるだろう。ここでは、改憲が必要だと主張しているが安倍による改憲だけは許せないという人びととも大きくてをつないで改憲反対の運動をひろげていこう。
 安倍は2014年7月に、集団的自衛権行使容認の閣議決定を行い、15年には安保法制を強行成立させた。こうしたことで9条の内実をなくしてきた。そして、いよいよ憲法典を変えようとしている。だが、安倍は改憲の意味について説明できない。改憲してもなにも変わらないという。だったら、変えなくてもいいのではないかという問いにさえ答えられない。こうした合理性のない政治はトランプと同じだ。トランプも壁にぶち当たっている。同じように安倍も難しい局面になるだろう。
 安倍の選挙戦略は、立憲野党の分断と低投票率だ。安倍は、2012年、2014年選挙に勝利したというが、実際には、自民党が得た得票は、2009年政権交代選挙の時よりもすくない。ところで、野党は、選挙に勝つことより、国民投票で勝つ方がやりやすいという側面がある。なぜかと言えば、選挙ではいろいろな政党があって、野党候補者の一本が必要だが、これがなかなかむつかしい。しかし、国民投票では、様々な意味で改憲反対のひとが、それぞれの理由で「×」をつければいいのだから、安倍改憲に「ノー」の人を増やせばよい。つまり、改憲反対理由の一本化は不要で、そのために、市民と野党の共闘をいっそう広げていかなければならない。 
 つづいて「各地でこんな取り組みが…」のコーナーでは、「信州のあちこちで目標を超えても続く戸別訪問」、「大学の門前で学生によびかける」、「街宣隊が駅頭で躍動」、「手紙で広がる平和の思い」、「街なかで歌うシスターたち」などのテーマで、全国各地域での地道な署名・宣伝活動が繰り広げられていることが報告された。
 まとめとして、小森陽一さん(九条の会事務局長・東大教授)が「対話と工夫でひろがる3000万署名」と題して発言。今日の集会にはこんなに多くの人が参加した。各地からの報告でも、3000万署名の取り組みの真剣さが伝わり、安倍改憲案を臨時国会に絶対に発議させない、安倍改憲を許さず、安倍を退場させようというものとなった。3000万署名を達成しよう。
 小田川義和さん(市民アクション共同代表)が行動提起。呼びかけ人の写真入りのポスターなどグッズを活用して、安倍改憲に反対するすべての人の署名を集めよう。日比谷野音集会(9月19日)など19日行動を成功させよう。11月3日には国会を大きく包囲しよう。そして、沖縄県知事選では翁長路線をひきつぐ玉城デニー候補の当選を目指そう、と訴えた。

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3000万人署名―9・30第4次集約まであと1か月―「次の国会に改憲案」「参院選前に国民投票」の暴走を止めよう

 (略)

 安倍首相は、9月20日の自民党総裁遵にむけ、「自民党改憲案のまとめを加速させ、次の国会に提出する」「(改憲に)人生を懸ける」と高言しました。また、麻生派の「来年夏の参院遵までに改憲の国民投票を」という提言に、「考え方は全<同じ」と応じています。石破茂氏は「9条改憲は優先順位が高いという考えをとらない」とし、公明党はこれまで9条改憲に消極的です。
 この安倍首相らの強行姿勢と作戦は、先の通常国会で「安倍9条改憲案」が一度も議論の俎上にのらず、公選法改正に連関した国民投票法(改憲手続法)の改正問題も、安倍9条改憲案を持ち出す口実づくりであり、国民投票の重大な欠陥や危険性をただすものではないと野党の反対にあうなど、「2018年中に発議」という目論見が破たんしつつあることへの焦りにほかなりません。

 この間、安倍首相の改憲暴走にストップをかけてきた力は、森友・加計疑惑と官僚の犯罪的な堕落という深刻な民主主義の危機への世論の強い批判であり、その中で全国津々浦々で進められてきた3000万人署名の精力的な展開と、それを背景にした市民と立憲野党の共闘だったといえます。
 安倍首相は、総裁選で圧勝すれば、これら世論を無視できると考えているでしょう。しかし、私たちは断じてそれを許しません。秋に予定されている臨時国会でも、森友・加計疑惑など政治の私物化や官僚の腐敗・堕落、社会保障の切り捨て、「規制緩和」の名による大企業の利益拡大、東アジアの平和構築への取組みと大きく矛盾する沖縄の辺野古新基地建設、危険なオスプレイの配備拡大、攻撃的で高価な軍事力の強化、原発再稼働と被害者切り捨てなど、平和と人権と民主主義の根幹に直結する重要課題が問われます。何よりも、大災害に対する緊急で抜本的な被災者支援が政治の責任として求められます。私たちは、立憲野党がこれらの問題に切り込み、安倍政治に対抗する展望を示すことを応援しつつ、3000万人署名を積み上げ、安倍9条改憲の野望をくいとめます。

 秋の臨時国会でも安倍改憲案の発議を阻止できれば、今年以上にタイトな政治日程が立て込む来年は、発議―国民投票はさらに困難になるでしょう。安倍9条改憲案の国会発議をくいとめ、発議を断念させる展望は十分にあります。当面する9月30日の第4次集約をめざして全国各地での取組みの強化を心から呼びかけます。なお、第5次集約については、秋の臨時国会の推移をみて判断することとします。よろしくお願いします。

2018年9月1日

安倍9粂改憲NO!全国市民アクション実行委員会


過去最大の防衛予算概算要求

       
東アジアの緊張を激化させる安倍政権の暴走

 防衛省は、来年度予算の概算要求で5兆2986億円を計上した。18年度のものよりも1075億円も増額し、過去最大の額となる。そのうえこれに2000億円をはるかにうわまわるとされる米軍再編関係経費などが上乗せされる。
 防衛省の「概算要求の考え方」によると、「厳しい安全保障環境の中、将来に向けて我が国防衛に万全を期すため、現実に真正面から向き合った防衛体制を構築することとし、防衛力を大幅に強化する。特に、あらゆる事態において国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、陸・海・空という従来の領域にとどまらず、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域を横断的に活用(クロス・ドメイン)した防衛力の構築が必要。また、日米同盟やインド、豪州といったパートナー国、ASEAN諸国等との防衛協力が我が国及び地域の平和と安定の維持に非常に有効であることを踏まえ、これらを深化・発展させることが可能な防衛力を構築する必要。さらに、防衛力構築には時間を要することを踏まえ、我が国の人口動態、諸外国の軍事動向、将来の技術動向も見据えた防衛力を構築する必要」だとする。
 日本をめぐる「厳しい安全保障環境」を強調し、とりわけ、「弾道ミサイル防衛」のための陸上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の本体2基のアメリカからの購入や「敵基地攻撃能力」の保有につながる長距離巡航ミサイルの導入するため経費が盛り込まれている。
 また「新領域の能力強化」では、「宇宙・サイバー・電磁波領域における脅威が多様化・深刻化する中、様々な脅威から国民の生命・財産を守るべく、宇宙領域における対処能力の強化やサイバー攻撃対処態勢の強化、電磁波への対応能力向上の取組などが重要」だとする。「情報機能の強化」では、「各種事態等の兆候を早期に察知し迅速に対応するとともに、我が国周辺におけるものを始めとする中長期的な軍事動向等を踏まえた各種対応を行うため、情報の収集・処理体制及び収集した情報の分析・共有体制を強化する」として、防衛駐在官制度の充実、情報本部等の国際軍事情勢等に関する情報収集・分析能力の強化のため、所要の体制を整備、情報本部共通基盤の整備など情報機関の強化が目指される。全面的軍事力増強に向けての強力なアピールがなされている。
 政府・防衛省の考えは、朝鮮半島ではじまった東アジアの緊張緩和の流れに逆行するものだ。
 それだけではない。今年一層明らかになった日本の自然災害に対する脆弱性対する備えや社会保障費や老朽化してボロボロになっているインフラの整備費にたいする財源を横取りするものである。
 安倍政権は平和と人びとの生活を危険なところに追い込むことが軍事予算の急速な拡大にも表れている。安倍政治を終わらせなければならない。


「人種差別の撤廃に関する委員会」が日本政府に厳しい改善勧告

     日本は、人種差別撤廃条約の実効性ある具体化に真摯に取り組まなければならない


対日最終見解の発表

 日本政府の人権に対する取り組みの遅れは、世界的にも批判の対象となっている。安倍政権下では露骨な排外主義的風潮が作り出され状況はいよいよ悪辣なものとなってきている。
 8月16〜17日に、国連の人種差別撤廃条約に基づき設立された独立した人権団体である「人種差別の撤廃に関する委員会」が開かれ、そこで今回で4度目になる日本政府報告書の審査(多岐にわたる日本の人種差別に係る課題について委員会と政府の間でやりとり)が行われ、8月30日に審査の結果である最終見解(総括所見)が採択・発表された。

撤廃条約と日本政府


 「人種差別撤廃条約は、人権及び基本的自由の平等を確保するため、あらゆる形態の人種差別を撤廃する政策等を、すべての適当な方法により遅滞なくとることなどを主な内容とします。1965年の第20回国連総会において採択され、1969年に発効しました。日本は1995年に加入しました」―これは外務省のホームページの「人権外交」にある「人種差別撤廃条約(あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約)」の解説である。日本は、なんと146番目の締約国である。そのうえ、日本はこの条約の締結に当たって第4条(a)及び(b)に留保を付している。それは、「人種的優越又は憎悪に基づくあらゆる思想の流布」、「人種差別の扇動」などについて、処罰立法措置をとることを義務づけるものだ。日本政府がしぶしぶ、いやいやながら締結したことがわかる。
 日本政府に対する厳しい「改善」勧告は、多岐にわたるものとなっている。今回の報告書が慰安婦問題の「恒久的な解決」を勧告したことに対しても、日本政府は即座に、国連人権高等弁務官事務所に「遺憾の意」を申し入れた。

緊急院内報告集会

 9月5日、参議院議員会館で、「緊急報告集会--人種差別撤廃委員会日本審査〜求む!実効性のある人種差別撤廃政策―国連日本審査の勧告をうけて」が開かれた。
はじめに小森恵さん(反差別国際運動)が、審査・総括所見の概要を報告。人種差別撤廃条約に日本政府は1995年に加入したが、具体的な実施を行っていない。人種差別禁止法の制定、差別への処分規定、条約第4条(a)及び(b)に留保の撤廃など、いずれも行っていない。日本のNGOは、人種差別撤廃委員会への勧告案を提出、委員会審査で質問やコメントを行った。その成果もあって委員会の日本政府への勧告がより踏み込んだものとなっているとおもう。
 つづいて、差別禁止法の制定と国内人権機関の設置(日本弁護士連合会)、ヘイトスピーチとヘイトクライム(外国人人権法連絡会)、朝鮮学校の子どもたちの教育の権利(在日本朝鮮人人権協会)、在日コリアンの政治的・市民的・社会的権利(在日本大韓民国民団)、日本軍性奴隷問題(女たちの戦争と平和資料館)、移住者の権利(移住者と連帯する全国ネットワーク)、部落差別(部落解放同盟)、アイヌ先住民族(市民外交センター)、また琉球・沖縄の人びとについては糸数慶子参議院議員(沖縄の風)がメッセージを寄せ、有田芳生参議院議員(立憲民主党)が、日本審査を傍聴しての報告をおこなった。

日本NGO委員会への提案


 人種差別撤廃委員会に日本のNGOが提案した勧告案の主なものは次のようなものだった。
 国内法制度の整備(人種差別撤廃禁止法の制定、国内人権機関の設置)、ヘイトスピーチとヘイトクライム(条約4条(a)(b)項の留保の撤回とそれに沿った法整備、ネットやメディアにおけるヘイトスビーチヘの効果的な対策、公人によるヘイトスピーチヘの適切な対応、法執行官や公務員への反人種差別・人権トレーニングの徹底)、朝鮮学校(「高校等就学支援金」制度からの朝鮮学校除外に関する見解の修正)、永住外国人・在日コリアン(外国籍公務員の任用・昇進制限の廃止、外国籍教員の差別的待遇の撤廃、永住外国人の国民年金、障害者年金へのアクセスの確保、一部の永住外国人に対する再入国許可の必要性を撤廃、永住外国人の地方参政権の承認)、市民でない者・移住者(外国人の入店拒否などの差別行為の調査と制裁、入居差別を禁止する法律の制定、外国人の生活保護受給の権利及び不服申し立ての権利を認める、移住女性の暴力被害と加害者訴追に関する実態把握、ムスリムの民族的プロファイリングによる監視を禁止するガイドラインの作成、法律の効果がない場合、外国人技能実習制度を廃止、外国人労働者受け入れ政策の転換、非正規滞在者と難民申請者の収容の見直し)、難民(司法機関による難民申請者の長期収容のチェックを制度化)、人身取引(「人身取引被害者支援及び防止に関する法律(仮称)」の制定)、部落差別(「部落差別解消推進法」のもと部落の実態調査を実施し、ジェンダー別の調査結果を公表、部落の所在地情報を公表する行為の規制)、アイヌ民族(国連先住民族権利宣言とILO169号条約を考慮してアイヌ民族の土地と資源への権利を実現)、琉球・沖縄の人びと(琉球人を先住民族と認め、先祖伝来の領域に対する琉球・沖縄の人々の権利を承認、米軍機による保育園や学校など教育施設の上空飛行の無条件即時停止)、マイノリティの子どもの教育(外国人の子どもが置かれている教育の実態調査の実施、外国籍の子どもを受け入れるための制度を定め、子どもの教育の権利を保障)、在日コリアン女性と複合差別(在日コリアンおよびマイノリティ女性の実態調査の早急な実施、マイノリティ女性の複合差別に関して公的相談窓口職員に人権研修を実施)。
 こうした地道な努力の結果が、今回の勧告に生かされている。 

勧告の厳しい指摘

 人種差別撤廃委員会は、まず「日本政府がおこなった法的政策措置について「歓迎」している諸点をあげる。@人身取引対策行動計画の採択と人身取引対策推進会議の設置、A「第4次男女共同参画基本計画」の採択、B「本邦外出身者に対する不当な差別的言動解消に向けた取組の推進に関する法律(ヘイトスピーチ解消法)の施行、C「部落差別の解消の推進に関する法律の施行、D「外国人の技能実習の適庄な実施及び技能実習生の保護に関する法律」の施行、である。
 しかし一方で、「懸念と勧告」は厳しい指摘がつづく(以下、締約国とは日本を言う)。まず、「国内人権機関」について、「人権委員会設置法案の採択のプロセスが2012年に中断され、それ以降、国内人権機関の設置において何も進展がなされなかったことを懸念」し、「締約国が2017年普遍的定期的審査において、国内人権機関の設置に向けた取り組みを加速化させるという勧告のフオローアップを受け入れたことに留意し、委員会は、締約国が、権を促進し、かつ保護するという広範な権限をもつ国内人権機関を設置するよう勧告」した。そして、「委員会は、締約国が第4条(a)項および(b)項に対する留保を練持し続けており、そのことが条約の全面的実施に影響を及ぼしかねないことを遺憾に思う」とし、「表現の自由への正当な権利を保護しつつヘイトスピーチと効果的に闘うための多様な措置の概要を述べている人種主義的ヘイトスピーチと闘う一般的勧告35(2013年)を想起し、委員会は、締約国が条約第4条に対する留保を撤回する可能性を検討し、その詳細な効果に関して委員会に情報を提供するよう勧告」した。第4条は、「締約国は、一の人種の優越性若しくは一の皮膚の色若しくは種族的出身の人の集団の優越性の思想若しくは理論に基づくあらゆる宣伝及び団体又は人種的憎悪及び人種差別(形態のいかんを問わない)を正当化し若しくは助長することを企てるあらゆる宣伝及び団体を非難し、また、このような差別のあらゆる扇動又は行為を根絶することを目的とする迅速かつ積極的な措置をとることを約束する」として、以下の3項を実施しなければならないとする。このため、(a)人種的優越又は憎悪に基づく思想のあらゆる流布、人種差別の扇動、いかなる人種若しくは皮膚の色若しくは種族的出身を異にする人の集団に対するものであるかを問わずすべての暴力行為又はその行為の扇動及び人種主義に基づく活動に対する資金援助を含むいかなる援助の提供も、法律で処罰すべき犯罪であることを宣言すること。(b)人種差別を助長し及び扇動する団体及び組織的宣伝活動その他のすべての宣伝活動を違法であるとして禁止するものとし、このような団体又は活動への参加が法律で処罰すべき犯罪であることを認めること。(c)国又は地方の公の当局又は機関が人種差別を助長し又は扇動することを認めないこと。
 この4条が日本で具体化されれば、差別問題は大幅に改善されるであろうことはあきらかだ。だからこそ、差別排外主義勢力を基盤とする安倍自民党政権は「留保」の態度をとり続けているのである。

ヘイトスピーチ・クライム

 勧告の項目は多岐にわたるが、まず「ヘイトスピーチとヘイトクライム」についてあげられている。委員会は、「ヘイトスピーチ解消法」の採択を含む「ヘイトスピーチに対処する措置を歓迎する」としながら、次のように言っている。「法律の適用範囲はあまりにも狭く、《日本に適法に居住する》人びとに向けたヘイトスピーチに限定」されており、「法律通過の後でさえ、締約国において、特にデモ参加者が在日コリアンなどの民族的マイノリティ集団に対する暴力的なヘイトスピーチを使う集会などにおいて、ヘイトスピーチと暴力の扇動は続いていること」「インターネットとメディアを通じたヘイトスピーチ、ならびに公人によるヘイトスピーチと差別的発言の使用が続いていること」「そのようなヘイトクライムは常には捜査・訴追されず、公人および私人は人種主義的ヘイトスピーチとヘイトクライムヘの責任を負わないままであること」とした。
 そして、日本政府にたいして次のような勧告がなされた。「あらゆる人に対するヘイトスピーチを対象に含めるよう保護範囲を適切なものとし、民族的マイノリティに属する人に十分な救済を提供することを確保するよう、ヘイトスピーチ解消法を改正すること」「法的枠組みと被害者の救済へのアクセスを強化するために、本法律で対象とされていないヘイトクライムを含む人種差別の禁止に関する包括的な法律を採択すること」「表現と集会の自由に適切に配慮しつつ、集会中に行われるヘイトスピーチの使用および暴力の扇動を禁止し、加害者に制裁を科すことを確保すること」「自己規制的な機構の設置を含む、インターネットとメディアにおけるヘイトスピーチと闘うための効果的措置をとること」「警察官、検察官および裁判官を含む法執行官に対して、犯罪の人種的動機を特定し、苦情を登録し、ならびに事件を捜査および訴追するための適切な方法を含むヘイトクライムとヘイトスピーチ解消法に関する研修プログラムを実施すること」「政治家およびメディア関係者によるものを含む、私人あるいは公人によるヘイトクライム、人種的ヘイトスピーチおよび憎悪の扇動を調査し、適切な制裁を科すこと」「具体的目標と措置および適切なモニター活動を備えたヘイトクライム、ヘイトスピーチおよび暴力の扇動を撤廃する行動計画を制定すること」「特にジャーナリストおよび公人の役割と責任に焦点を絞りながら、偏見の根本的原因に取り組み、寛容と多様性の尊重を促進する啓発キャンペーンを実施すること」などである。

 そのあとに諸テーマが続いているが、いずれも日本の現状に対する厳しい指摘と改善に向けての勧告となっている。

 安倍政権の戦争への国づくりと差別・貧困化政策の中で、多くの人びとがより苦しい状況に追い込まれている。この状況を変えていくためには政治を大きく変革していかなければならない。そのために、さまざまな人びと、多くのグループが力をあわせていこう。


せ ん り ゅ う 

     自民党猫も杓子も子分面

     もみつぶし握りつぶしはアベの面

     胸ふかくパッション、九条the Cross

             十字架 the Cross の生まれた受難 Passion の歴史と日本で九条の生まれた戦争(受難)の歴史とその心は通ずる。パッションは情熱の意でもある。

                    ゝ 史

     帰りたい帰れぬ被災地花が咲く

     官邸に二重三重ごまかし蛇(じゃ)

     不条理さ切っても切っても金太郎


                    瑠 璃
2018年9月


複眼単眼

   
 安倍首相の、安倍首相による、安倍首相のための改憲

 安倍首相は8月12日、地元・下関で行われた「正論」講演会で演説し、今年秋の臨時国会に自民党改憲案を提出する意向を表明した。
 安倍首相はこの総裁選で圧勝することで、彼の意に反して停滞する党と国会での改憲論議を加速させ、できるだけ早く改憲の「発議」に持ち込みたい考えだ。そのため総裁選で安倍支持を表明した派閥の領袖には構成議員の「血判書」もどきの「誓約書」まで出させるという異常な締め付けまで行っている。
 講演で安倍首相は、今年3月の党大会でまとめた自民党の改憲4項目の「たたき台案」をあげ、「いつまでも議論だけを続けるわけにはいかない」と強調した。そして「全ての自衛官が誇りを持って任務を全うできる環境を整えることは、政治家の責任だ。憲法のなかに自衛隊を明記することで私はその責任を果たしていく決意だ」とのべた。
 これに対して石破氏は、12日、首相の発言に対して「党議決定もしていない。最低限、党議決定のプロセスが必要だ」とその党内手続きの乱暴さを指摘した。16日には、「ありえない。総裁の考えを一度も提示しないままに『議論は尽くされた』とはどういうことか」と強硬に批判した。石破氏は9条改正には「丁寧な手続きが必要」であり、「憲法改正は、急ぐものや多くの党の理解を得られるものからやろうということだ」と反発した。
 自民党麻生派は安倍支持のための政策提言で「(参院選で改憲派が3分の2を割り込めば改憲発議ができなくなるので)改憲の国民投票を来年夏の参議院選挙までに実施する」よう求め、安倍首相はこれに賛意を示した。
 安倍首相は総裁選で圧勝した勢いに乗り、改憲発議、国民投票まで突っ走りたいという考えだ。
 しかし、自民党総裁選で安倍首相が圧勝したとしても、秋の臨時国会から来年の通常国会の期間での改憲発議は簡単ではない。党内には深い亀裂が残ることになる。
 たとえば自民党の「緊急事態条項改憲」論にはもともとは、国会議員の任期延長のみにとどめた案と、権限集中などを盛り込む案の2つがあった。執行部はなし崩し的に首都直下地震などの際に一時的な政府への権限集中や私権制限を含む「国家緊急権」の発動を含めたが、「政府権限強化条項」の導入は、政府に人権や自由を制限する独裁的な権限を与えることにつながる極めて危険なものだ。連立政権を組む公明党はこれに否定的な姿勢を崩していないし、強行すれば世論の大きな反発を招くことになる。
 「丁寧な議論」を欠いた改憲発議強行では国民投票での改憲派の勝利が保障されないのは明らかだ。
 各種の世論調査を見ても、政府に優先的に望む主要な政策のうち、改憲は最下位のレベルだ。世論は改憲を求めていない。
 安倍総裁が3選を果たしても、残りの任期はあと3年だけであることは彼自身が承知している。民意に逆らっても残りの任期中に改憲を果たしたいというのは安倍首相の念願だ。憲法を私利私欲でいじろうとする安倍首相の政治は許されない。安倍首相がいま躍起になって急ごうとする「改憲」は「安倍首相の、安倍首相による、安倍首相のための改憲」にほかならない。(T)