人民新報 ・ 第1366号<統合459号(2018年10月15日)
  
                  目次

● 沖縄県知事選・玉城候補圧勝! 辺野古新基地阻止! 大きく団結して改憲阻止・安倍内閣打倒へ

● 郵政「65歳解雇裁判」  最高裁が上告棄却の不当判決

       65歳雇用打切り就業規則の撤廃  年齢に関係なく働ける社会をめざし闘い続ける

● 東京総行動

       超搾取・無法企業ユニクロに抗議  インドネシアから労働者が来日・要請行動

● 核兵器の全面的廃絶のための国際デー

       吉永小百合さんら核兵器禁止条約批准の訴え

● TPPプラスを許さない!全国共同行動

       グローバリズムは私たちを幸せにするか?   次々と進む通商交渉のワナ

● 原発再稼働阻止 脱原発社会へ

       いのちをつなぎ くらしを守れ  フクシマと共に さようなら原発全国集会

● 日朝ピョンヤン宣言から16年  日朝国交正常化連絡会講演会 「日朝国交正常化を求めて!」

       日朝国交正常化交渉には、安倍拉致三原則否定が不可欠

● 市民連合はままつ

       市民と野党が語り合うつどい

● 沖縄県知事選勝利  戦争法廃止へ 9・19集会に4800人が結集

● 複眼単眼  /  右投げ、右打ち、 守備はライトの「全員野球」






沖縄県知事選・玉城候補圧勝!
 辺野古新基地阻止! 大きく団結して改憲阻止・安倍内閣打倒へ

 9月30日、沖縄県知事選で翁長雄志知事の遺志をつぐ玉城デニーさんが、政府・与党・右翼の総力を挙げた策動を打ち破って圧倒的な勝利をかちとった。
 立憲民主党・国民民主党・共産党・自由党・社会民主党・沖縄社会大衆党、衆院会派「無所属の会」が支援した玉城候補は、396、632票(55・07%)の得票となり、自由民主党・公明党・日本維新の会・希望の党が支援した佐喜眞は、316、458票(43・94%)という玉城圧勝・佐喜眞惨敗の結果となった。 政府・与党は、菅官房長官を筆頭に全力を投入し、民間右翼もデマ宣伝の吹きまくりなどの策動をおこなった。
 佐喜眞候補陣営は、最大の焦点である辺野古新基地建設問題をいわず、争点隠しをおこなった。
 そのうえ若者層を取り組むために県知事には何の権限もない携帯電話料金の値下げの話まで持ち出した。沖縄県民は、金をバラマキ、争点隠しで騙せるという態度だ。 しかし、こうした態度に対する反発も含めて、沖縄県民の政府に対する怒りは爆発した。公明党の佐喜眞支援決定にもかかわらず、沖縄のかなりの数の創価学会員は玉城支持の公然たる運動を展開した。
 玉城陣営も、オール沖縄の統一を断固として実行し、野党も党派的利害のための突出を自粛した。玉城候補への支持は、全国にもひろがり、各種の支援行動が取り組まれた。
 改憲に前のめりになっている安倍の前に立ちはだかっている難題は、沖縄である。そして、沖縄に連帯して闘う総がかりの運動と野党共闘の力である。そのことを力強く立証した沖縄県知事選であった。
 その10日前の9月20日自民党総裁選で、安倍は連続三選を果たした。とはいえ、選挙結果発表を見る安倍の表情は暗かった。
 獲得票数は、議員票(安倍329票、石破73票)、党員票(安倍224票、石破181票)で、合計して安倍553票、石破254票だった。事前に言われていた「安倍圧勝」とは程遠いものである。マスコミは「石破善戦」と報じた。これは、安倍政治に対する多くの自民党員の不満の反映である。党員・党友による地方票の結果は、山形、茨城、群馬、富山、三重、島根、鳥取、徳島、高知、宮崎の10県で石破が安倍の得票を上回った。また地方票の投票率は61・74%(2012年の前回選よりも0・77ポイント下回った)という低さも、安倍ら主流派があおりにあおったにもかかわらず党員の醒めた態度を示すものだ。自民党員にさえ安倍政治の影響は陰り始めの兆候が見える。
 昨年、安倍は、森友学園問題での財務省の文書隠蔽・改ざんの暴露、官僚の国会でのウソの答弁安倍首相と昭恵夫人の関与について、また加計学園問題でも疑惑は深まるばかりだったが、安倍は鉄面皮に開き直り、衆院解散・総選挙で反撃してきた。今年に入っても安倍は公文書改ざんなどいろいろな問題で追い詰められた。
 経済政策では、一部大企業・富裕層の「繁栄」と、一方での貧困化をもたらした。今後も消費税増税、それは法人税と所得税の減額と一体のもので、貧困、中間層への犠牲のしわ寄せは強まっていく。
 こうした情勢にもかかわらず安倍は政権の座に居座っている。それは安倍内閣が日本の右派勢力、大企業・大金持ちたちの利益を代弁し、改憲の最後の切り札だからだ。
 だが安倍の頼みの米トランプ政権も数々の困難に取り囲まれている。
 ロシア疑惑、トランプ自身の不倫スキャンダル、最近では、トランプが最高裁判事に指名したブレット・キャバノーの性的暴行疑惑、ついにはトランプ一家の巨額脱税問題、ヘイリー国連大使の辞任までが出てきた。
 外交関係でも、米ロ関係はいよいよ緊張してきた。米中「貿易戦争」は、経済の域を超えて、政治・軍事的な対立の側面への拡大が報じられ始めた。とりわけ中東情勢の激変である。しかし、それゆえに、今年11月の中間選挙をひかえ、与党・共和党の勝利を目指して、いちだんとなりふりかまわぬ行動となっている。だが、トランプ、共和党への批判の高まりは止められない。
 安倍政治は、内外で多くの困難に取り囲まれている。今こそ安倍政治を終わらせるときだ。
 朝鮮半島の非核化と朝鮮戦争の終結の動きは、東アジア民衆と連帯して反戦平和・反改憲を闘う日本の民衆にとってかつてなく好ましい情勢を生み出した。この状況を生かし、東アジアの非核地帯の形成、地域の平和・共生の時代を切り拓こう。
 広範な人びとの怒りを結集し、総がかり行動を一層大きく広げ、立憲野党と市民の共闘を固めて、安倍内閣打倒へ進もう。


郵政「65歳解雇裁判」  最高裁が上告棄却の不当判決

  65歳雇用打切り就業規則の撤廃  年齢に関係なく働ける社会をめざし闘い続ける


 最高裁は郵政「65歳解雇裁判」上告棄却の判決を下した(9月14日)。東京高裁判決は、65歳雇用上限を定めた就業規則には合理性があるとして解雇を認めた。しかし、高齢者といえども就労能力には違いがあり、期間満了を理由に雇い止めすることが解雇法理に反しているとして、65歳雇用上限規定の就業規則の再検討を求める裁判長付言が付けられた。
 ところが、最高裁判決では、一律に65歳で雇用を打ち切ることに合理性があるとして、会社側の主張を全面的にうけいれ解雇を容認する判決をだしたのである。労働者の働く権利と生きる権利を認めないきわめて不当な判決であり、断じて認められない。

 10月10日には、東京総行動の一環として、日本郵政前に結集し、怒りの声をあげた。午後6時半からは、文京シビック会議室で、「郵政『65歳解雇裁判」最高裁不当判決糾弾!報告集会』が開かれた。
 郵政産業労働者ユニオンの日巻直映中央執行委員長と郵政65歳解雇裁判を支える会代表の平賀健一郎さんが主催者挨拶。65歳解雇裁判支える会の椿茂雄事務局長は、裁判闘争など闘いの経過報告について報告、最高裁への要請署名が団体692筆、個人1万1506筆が集まったことなど、裁判闘争への支援に対して感謝の言葉を述べた。 最高裁判決の分析・報告は、萩尾健太弁護士と長谷川直彦弁護士がおこなった。
 支援の仲間からのあいさつでは、秋山正臣・公務労組連絡会事務局長、中岡基明・全労協事務局長、東京総行動事務局の佐々木史朗さん、ILO条約の批准を進める会の廣岡元穂さんが発言した。
 つづいて、原告が決意を表明した。
 最後に「団結がんばろう」で、日本郵政グループの65歳雇用打切りを定めた就業規則の撤廃と高齢者の働く権利、そして年齢に関係なく働ける社会をめざして引き続き闘って行く決意を固めた。

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最高裁の不当判決に対する声明

 9月14日、日本郵政グループの有期雇用労働者の65歳を超えたことを理由とする雇止め解雇の無効を求めた裁判で、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)は解雇を認める判決を下した、すでに欧米では年齢差別が禁止され、国内でも少子・高齢化社会が深刻化するもとで、国も「70歳まで働ける企業と社会]を基本政策としている中、社会の流れに反した時代遅れの不当判決として、満腔の怒りを込めて糾弾する。
 原告らは、郵便局で公務員時代から10数年以上も働き続けており、「働けるうちはいつまでも働いてもらいたい」と言われてきた。にもかかわらず、会社は一方的に、有期雇用労働者について65歳雇用上限の就業規則(「本件就業規則」)を定め、それを根拠に2011年9月末に65歳を超えていた原告らを解雇した。その数は、全国で約1万3000人にも上り、その後も毎年数千人が切り捨てられている。
 地裁から最高裁まで7年にわたる裁判では、有期雇用労働者の65歳雇用上限を定めた就業規則とそれに基づく解雇の不当性が焦点となった。東京地裁は、通常なら解雇無効としつつ、本件就業規則の存在を理由に原告らの主張を退けた。それに対し東京高裁では、解雇撤回は認めなかったものの、有期雇用労働者の困難な生活状況及び少子・高齢化社会における高齢者雇用の必要性や多くの高齢者が元気で働いていることなどの現実を踏まえ、「高齢者といえども就労能力には違いがある」として本件就業規則の再検討のための関係者の努力を求める異例の裁判長の付言がなされた。65歳を超えても働くことを希望している人が8割を超え、7割の企業では65歳を超えても働けるという現実を真摯に受け止めた結果だ。
 今回の最高裁判決は、こうした流れに真っ向から反し、「高齢の期間雇用社員は適性が加齢により逓減する」として一律に65歳で雇用を打ち切ることに合理性があるとし、公社時代からの不利益変更であることをも否定した。まさに、社会の現実を全く見ようとすらしない机上の空論としか言いようがない。法についてその趣旨を逸脱しない限りで社会の進歩に合わせて解釈し適用していくのも裁判所の社会的責任である。今回の最高裁の判決は、そうした社会的責任を全く放棄し、むしろ年齢差別に加担する国際的にも恥ずべき判決である。さらに、非正規雇用労働者の状況を無視したものであり、絶対に容認できない。
 しかし、東京高裁の付言が取り消されたわけではない。郵便局の職場では、65歳雇用上限を定めた就業規則の下でも65歳以上の高齢者が大勢働いている。本件就業規則の規定を会社自らが事実上反故にしているのが現実である、
 日本郵政は、今年5月に「中期経営計画」で2020年までに1万入の高齢者を雇用することを打ち出した、それを実現するためにも本件就業規則の撤廃は不可欠である。
 私たちは、日本郵政グループの65歳雇用打切りを定めた就業規則の撤廃と高齢者の働く権利、そして年齢に関係なく働ける社会をめざして引き続き闘って行く決意である。

2018年9月18日

      郵政65歳解雇裁判原告団/郵政65歳解雇裁判弁護団/郵政65歳解雇裁判支える会/郵政産業労働者ユニオン


東京総行動

    
 超搾取・無法企業ユニクロに抗議

           
インドネシアから労働者が来日・要請行動

 10月10日、第170回東京総行動が闘われた。朝8時45分、郵政本社前で、「郵政非正規社員の『定年制』無効(65歳解雇)裁判支える会」による抗議行動でスタート。厚生労働省(薬害救済・カルテがないC型肝炎訴訟原告団)につづいて、「ユニクロ」銀座店前での行動。

 ユニクロ(ファーストリテイリング社)のインドネシアでの下請会社であったジャバ・ガーミンド(JG)社は、ユニクロからの生産委託が打ち切られて倒産。労働者たちは一部賃金と退職金が支払われないまま解雇された。労働者たちは、未払い賃金・退職金を求め、ユニクロの社会的責任を追及して3年以上も闘っている。
 インドネシアからユニクロ・サプライチェーン(生産委託工場)労働者が、柳井正会長兼社長への面会、一部賃金と退職金の支払いを求め、ユニクロの社会的責任を追及するために来日して、厚生労働省、ユニクロ東京本部とユニクロ有明等で要請行動、ビックロユニクロ新宿東口店などへの抗議・要請行動、公開講座の開催など連日の行動を展開した。
 今年の1月18日、ユニクロは「インドネシアの元ユニクロ取引先ジャバ・ガーミンド社の倒産について」という声明を発表した。それは「ジャバ・ガーミンド社にユニクロの一部商品の生産を委託していましたが、取引期間中に継続的な品質問題と納期の遅延が発生したため、2014年初頭に同社に対し問題の解決を促しました。その後も、問題が解決されなかったため、相互信頼にもとづく取引関係を継続することは難しいと判断し、2014年10月に取引を終了しています。当時の取引に係わる委託料など必要な支払いは全て完了していることを確認しています。したがって、ジャバ・ガーミンド社の倒産に関して、弊社には法的責任はなく、同社の倒産によって失職した元従業員へ金銭補償を行なう合理的理由はありません」という一方的なものだった。そのうえ「弊社は、今後もすべての取引先工場において、労働者の権利が守られ、適正な労働環境が維持されるよう取り組みを進めてまいります」などというとんでもないものだった。労働者の怒りは一層強まらざるを得ないのは当然である。

 10日の、ユニクロ銀座店前集会では、テディ・プトラ・JG社労組委員長とJG社女性労働者のワーミさんが訴えを行い、多くの総行動参加者とともにシュプレヒコールをあげた。

 ユニクロ行動を終えて、午後からの総行動は、トヨタ東京本社前の集会(解雇・断交拒否 フィリピントヨタ労組)など9か所、全一日計12の行動を行った。


核兵器の全面的廃絶のための国際デー

     吉永小百合さんら核兵器禁止条約批准の訴え


 国連は、9月26日を「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」に定めている。2013年9月26日に国連総会で、「核軍縮ハイレベル会合」が初めて開催されたことにちなんだものだ。

 2017年の7月7日、核兵器禁止条約が採択された。議決時に、122もの国々、じつに国連加盟国の3分の2超が賛意を表した。条約は50か国の批准を得て発効する。そして、条約の採択に大きく貢献したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)が昨年のノーベル平和賞を受賞した。
 なお、2016年10月の国連総会第一委員会(軍縮)において、「多国間の核武装撤廃交渉を来年から開始する決議案」が、賛成123、反対38、棄権16で可決されている(アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、日本は反対し、北朝鮮は賛成、中国は棄権)。

 9月24日、明治大学駿河台キャンパス・リバティホールで「『核兵器の全面的廃絶のための国際デー』記念イベント 核なき世界へ向けて ― 被爆国の役割を考える」が開かれた。主催・核兵器廃絶日本NGO連絡会、共催・国連広報センター、協力・ヒバクシャ国際署名連絡会という構成だ。
 核兵器廃絶日本NGО連絡会共同世話人の森瀧春子さんが、主催者を代表してあいさつした。田中煕巳・日本原水爆被害者団体協議会代表委員は、基調講演で、日本政府はできる限り早期に核兵器禁止条約の批准になければならないと述べた。 トークセッションは、川崎哲・ICAN国際運営委員とゲストの吉永小百合さん。吉永さんは、唯一の被爆国の日本こそ核兵器はやめましょうと言うべきで、核兵器禁止条約の批准を政府に私たちと一緒にやりましょうよと言いたい、など述べた。
 つづいて第2部パネルディスカッション「軍縮教育の可能性―核兵器廃絶と市民社会」が行われた。

 核兵器禁止条約には、現在、69か国が署名し、19か国が批准している。こうした動きは世界の多くの人びとが核兵器のない世界の実現を求め続けていることの表れだ。
 日米軍事同盟強化、米国の核の傘に頼り、多くの人びとの反核・平和の声を無視し、世界の趨勢に逆行する安倍政治は退陣させなければならない。


TPPプラスを許さない!全国共同行動

    グローバリズムは私たちを幸せにするか?   次々と進む通商交渉のワナ


 9月20日、明治大学リバティータワー大教室で、「TPPプラスを許さない!全国共同行動」主催の「グローバリズムは私たちを幸せにするか!? PART2―次々と進む通商交渉のワナ〜通商交渉・グローバリズムを考えるシンポジウム」が開かれた

 はじめに山浦康明さん(TPPプラスを許さない!全国共同行動実行委員)が「TPP11関連国内法の問題点」について報告。先の通常国会において、TPP11の承認案とともに、国内の関連法案も承認・成立した。これら関連法律にはいくつもの問題点がある。第1条関連・「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律=独禁法」関係では、TPP締約国との調整を図るという名目で、独禁法においてはこれまでのように公正取引委員会がただちに事業者を取り締まることはせず、企業の合併、カルテル、不公正な取引方法、などにおいて「確約手続」という手続を認めた。これは、違反した事業者が違反を改める計画を示してそれを公正取引委員会が認定すると、取り締まりをせず、また行政ペナルティである課徴金納付命令も下さない、というもので、消費者が事業者を相手に民事訴訟を起こそうとしても独禁法違反事例ではないため、消費者被害を救済できなくなる。第2条関係・「特許法」では、特許権については、TPP11では凍結されているにもかかわらず、特許出願から特許権設定の登録までの5年間の延長を認め、特許保護期間20年を更に延長することができるようになるなど、新薬メーカーなどには有利となる。第3条関係・「商標法」では、登録商標を侵害された場合、加害者に損害賠償を求めるとともに、その登録に際してかかった費用も損害額に上乗せできる、とされる。第4条関係・「関税暫定措置法」は、セーフガードに関する規定の整備を目的としているが、日本が具体的にセーフガードをどう活用していくのか明確になっていない。第6条関係・「畜産物の価格安定に関する法律」、第7条関係・「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」、第9条関係・「独立行政法人農畜産業振興機構法」は、肉用牛及び肉豚についての交付金の交付と輸入加糖調整品の砂糖との価格調整を行う、とするものだが、農家の持続的な経営を支援するには不十分である。第8条関係・「著作権法」は、TPP11では凍結されたにもかかわらず、著作者の死後50年という現行や保護期間を以前のTPP12が無理矢理盛り込んだ70年に延長するとしている。また非親告罪の考え方を持ち込んでいる。権利者不明の著作物や死蔵著作物が増大してしまうこと、「青空文庫」のような過去の著作物で保護期間が満了したものを無料で提供する活動ができなくなるなど、文化的障害が拡大していくことになる。
 このようなTPP11関連法は絶対に認められない。

 植草一秀さん(オールジャパン平和と共生運営委員会)は、「『TPPプラス』熱烈推進 安倍内閣のなぜ?」で次のように指摘した。祖父の岸信介以来の安倍政治の原点は対米隷属である。安倍首相は、舌は短いが、二枚舌である。自民党は、野党の時代の2012年12月の衆院総選挙で、公約に「TPPへの交渉に絶対反対!」「ウソつかない。ブレない。TPP断固反対」などと宣伝していたが、政権に復帰した直後の2013年3月にTPP交渉参加の表明を行った。そして、今もアベノミクスなどのデマを振りまいている。安倍の「三本の矢」は、インフレ誘導・財政出動・成長戦略であり、「大資本の利益を極大化する政策」である。これは「三本の毒矢」政策である。第一の失のインフレ誘導は失敗し、インフレ率はマイナスに転落しデフレヘ回掃している。賃金コスト削減がインフレ誘導の目的だった。実質賃金減少は意図せざる失敗ではなく政策目標そのものだ。インフレ誘導失敗は国民にとっての「不幸中の幸い」といえる。第二の失の財政出動も失敗だ。来年2019年10月には消費税率10%となり、日本経済は崩落にむかう。第三の矢の成長戦略こそアベノミクスの核心だが、「成長」とはハゲタカ(大資本)の利益の成長であり、「ハゲタカ利益」の成長は「国民不利益」の成長ということだ。安倍政治のおかげで、「国民の生活が第一」から「国民の生活が台無し」へとなってしまった。

 内田聖子さん(アジア太平洋資料センター共同代表)は「メガ自由貿易協定の現在〜日本政府にNO!を突きつける各国市民社会の運動〜」について報告。なぜ世界の人びとはグローバル化にNOというのかと言えば、それはグローバル化の「負の側面」がはっきりしてきたからだ。テロリズムの増加、所得分配の歪み、大企業の市場占有率の上昇、労働分配率の低下、地域間格差、文化的断絶、民主政治の空洞化、ユーロ圏に典型的にみられるような国家主権の制約、極右勢力の進出など、様々な問題が噴出している。
 富の集中と所得の再分配の機能不全は著しい。米国で最も裕福な3名(マイクロソフトのビル・ゲイツ、投資家のウオーレン・バフェット、アマゾンのジェフ・ベゾス)の合計の資産額は、下位50%の米国人(約1億6000万人)の合計資産額を超えている。世界的に見れば、上位1%の最富裕層が、世界全体の富の48%を所有している。その最富裕層のうち上位8人の所有する富は、世界の下位50%。36億人が所有する富に等しい。
 トランプは、メガFTAでなく、二国間交渉を行おうとしているが、そのほかにも、メガFTAが妥結できない要因が多くなっている。@関税中心の「貿易」から、サービスや金融、投資の自由化へという流れにともなって、交渉範囲が非常に広範になってきていること、A参加国の経済発展や規模には大きな差があり、先進国と多国籍大企業が求める「強者のルール」に全参加国が合意できないこと、B先進国でも国内産業が空洞化し雇用は海外流出し、貧困・格差も広がり、自由貿易批判が各国で生じていること、C投資家対国家紛争解決(ISDS)の非民主性・不公平性へ批判が強まっていること、D環境や人権、開発などのグローバル課題に対応できていないこと、E民主主義に反する秘密交渉についても、市民社会も国会議員からも批判が起こっているが、その一方で、ビジネス界は交渉内容にアクセス可能となっていること。
 こうしたことに根源的な問いが起こっている。多様化・多文化化する世界とコミュニティの崩壊、アイデンティティの危機の中で、すべての人が豊かになれるのか、富の再分配と貧困・格差の是正ができるのか、利潤か生命か、ということにどうこたえられるのか。
 トランプ大統領の貿易戦争からわかることは、どの国も、自国の状況の変化に応じて、自由貿易から一時撤退することはあり得るということだ。極端な自由貿易推進は、「選択の幅」を狭め結果的に大きな問題になる。トランプの問題は、それを主張できるのが「米国」だけだということにある。
 いま、自由貿易の推進の結果、先進国は脱工業化し、地域経済は疲弊している。その結果、反グローバリズムの動きが急速に広がっている。  
 そして日本で必要なことは、国際桑約、国際機関、法律・規制、ビジネス慣行、消費著の選択、消費者運動や労働運動の前進、メディアのチェック、調査報道の促進などによって、政府を監視し、企業を適切に規制するメカニズム・手段・場の拡大と強化することだ。

 山田正彦さん(元農林水産大臣)は、「TPP協定でこれから私たちの生活はどう変わるか」の報告。種子法(主要農作物種子法 2018年4月1日をもって廃止)があることで、これまでコメ、麦、大豆の伝統的な日本の在来種を、国が管理し、各都道府県に原種,原原種の維持、優良品種の選定、奨励、審査を制度として義務付けてきた。コメの種子は各地の農業試験場で雑種の混入、不良な種を取り除いて、苗場農家を選抜して増殖させ、厳格に監査した優良な品種を公共品種としてきた。だからコシヒカリなどの品種を安く安定して提供できた。その地域にあった多様な品種(コメだけでも300品種)を提供できたのである。
 ところが農業競争力強化支援法(2017年8月1日施行)では銘柄を集約して、大手企業の為に数種に絞られることになる。しかし、主要穀物の種子が民間に開放されると種子の価格が高騰する。そうすると農家はどうなるのか。次のような事態が予想される。@安定して安く入手していた優良品程の種子を4倍〜8倍の価格で購入しなければならなくなる。A民間の品種は、自家採取できずに毎年新たに種子を購入しなければならない。B農家は展開会社と直接契約して、肥料・農薬などの資材はすべて購入が義務づけられ、収穫したコメも他に出荷することが出来なくなる。Cかつて野菜の種子は国産100%だったが、今では90%が海外生産されるようになった。コメ等の主要穀物の種子は現在すべて国産で自給しているが、それが危うくなって食料安全保障の危機につながる。
 2014年現在の世界商品種子市場は、モンサント、デュポンパイオニア、シンジェンタなどの上位8社でのシェア占有率は78・1%にもなる。
 今後、日本のコメ農家が米国モンサント等の種子会社にロイヤリティを支払うことになる可能性が高い。農業競争力強化支援法では、これまで日本が蓄積してきたコメ等の原種、原原種、優良品種の知見をすべて民間に提供することになっている。住友化学、三井化学等の民間会社の背後には、モンサント、デュポン、シンジェンタ等の世界の種子産業がいることが疑われる。それらが日本の責重な種子を育種権の登録または応用特許を申請し、日本の農家もロイヤリティを支払わなければならなくなるだろう。すでに、メキシコの農家はトウモロコシ、フィリピンの農家はコメのロイヤリティをモンサントなどに払っている。政府は譲渡先をモンサント等外資も除外しないと答弁しているので、いずれコメ農家も日本の原種なのに、外資にロイヤリティを支払うことになるのではないだろうか。
 しかし、実は米国、カナダなどでも主要穀物については農家は公共品種、自家採種が主流なのである。
 日本も種子法は廃止されたが、政府は種苗法の公示を厳格にすることで、品質を守ると説明している。だが、この種苗法は、植物の新品種の創作に対する保護を定めた法律であり、農家を守るのではなく、特許権者のためのもので言い訳に過ぎない。
 日本も欧米並みに公共品種を守る新たな法律が必要なのである。


原発再稼働阻止 脱原発社会へ

   いのちをつなぎ くらしを守れ  フクシマと共に さようなら原発全国集会

 9月17日、「さようなら原発」一千万署名市民の会の主催、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会の協力で、「いのちをつなぎ くらしを守れ フクシマと共に さようなら原発 全国集会」が代々木公園で開かれた。数多くのブースが開店し、ミニステージでは歌・演奏が行われた。
 メインの野外ステージは、さようなら原発ライブで、俳優で音楽家のうじきつよしさん、ゼロノミックスが登場し、13時半から集会がはじまった。
 集会の司会は俳優の木内みどりさん。
 呼びかけ人のルポライターの鎌田慧さん主催あいさつ。原発に反対の人が多いのに安倍内閣は原発の再稼働を次々に行っている。これは許されない。原発をなくす運動を強めよう。
 呼びかけ人で作家の澤地久枝さん―原発を許さない。沖縄の新基地建設を許さない。安倍政治を終わらせるためにもっと大きな声を上げていこう。
 村田弘さん(福島原発訴訟かながわ原告団)は、政府の被災者切り捨てを強く批判した。佐藤和良さん(福島原発刑事裁判支援団)は、東電の地震・津波対策をしてこなかったことの責任は大きい。裁判で決着をつける、と述べた。大石光伸さん(東海第二原発訴訟原告団)は、東海第二原発は再稼働させない、廃炉にしていくと述べた。吉原毅さん(原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟)は、原発ゼロ法案支持の世論を広げていこうと述べた。与儀睦美さん(辺野古の海を土砂で埋めるな!首都圏連絡会)は、沖縄県知事選には絶対に勝つと力強い決意を述べた。福山真劫さん(戦争させない・9条壊すな総がかり行動実行委員会)は、安倍政権は早期に退陣させようと述べた。
 閉会あいさつで落合恵子さん(作家・呼びかけ人)は、防衛より防災が大事だ、いのちと暮らしを危険にさらす安倍政治はごめんだと述べた。
 集会を終わって、2つのコースでデモ行進を行った。


日朝ピョンヤン宣言から16年

     
  日朝国交正常化連絡会講演会 「日朝国交正常化を求めて!」

             日朝国交正常化交渉には、安倍拉致三原則否定が不可欠


 2002年の「日朝ピョンヤン宣言」が結ばれてから16年がたった。朝鮮半島情勢には、南北首脳会談、米朝首脳会談の開催によって歴史的な緊張緩和の情勢が訪れようとしている。だが、こうした趨勢に逆行して、朝鮮敵視政策を政権維持の最大の要とする安倍政権の姿勢によって日朝国交正常化どころか両国の交渉すらまったく行われないという状況にある。さすがに安倍も事態への完全な乗り遅れに危機感を感じ、孤立からの脱却を画策せざるをえなくなっている。

 9月18日、日朝国交正常化連絡会主催の講演会「朝鮮半島をめぐる情勢と今後〜日朝国交正常化を求めて!」が開かれた。
 はじめに、9月6日から13日かけて訪朝した福山真劫・平和フォーラム共同代表が「平和フォーラム・原水禁訪朝団報告」を行った。訪朝の課題は、朝鮮民主主義人民共和国建国70周年記念行事への参加、共和国の現状と課題についての交流、在朝被爆者課題の今後の取り組みについての意見交換だった。訪朝で感じたのは、ピョンヤンの生活風景は大きく変化・成長して、生活の豊かさが伝わった。訪朝から見えてくる朝鮮をめぐる動きとして次のように言えるのではないだろうか。朝鮮は、2017年、核開発と経済建設の並進路線で一定の目標に到達・勝利した。2018年、2月の平昌オリンピック、4月27日の南北首脳会談、6月12日の朝米首脳会談を行い、確実に東アジア、朝鮮半島を中心に南北の自主的統一、非核・平和の時代に向かって大きく動きだしたといえる。三次にわたる南北首脳会談などを経て、建国記念日の各種取り組みでは、平和、繁栄、統一の時代をつくると提起し、経済建設が強調された。
 日朝関係については、宋日昊(ソン・イルホ)日本担当大使と懇談した。宋大使は、次のように言っていた。―日朝関係は、加害と被害の関係にある。関係改善のためには過去の清算が必要。若い世代は歴史認識が弱いのが心配だ。過去の清算が始まってこそ日本に対する見方が変化する。これは日本のためであり、世界が歓迎する。しかし、日本からのメッセージはない。日本は拉致と核とミサイルを言っているが、核とミサイルは、4月の南との首脳会談や6月のアメリカとの首脳会談で解決の方向が明確に示されている。拉致問題は説明できるかぎりのことはした。拉致の対話に参加した人たちは何も話さない。会ったこともない政治家が問題にしている。河野外務大臣は、国際会議で圧迫を加えるよう発言している。周辺国は対話への方向に変えている。日本の戦略は失敗している。「現在ある日本からの働きかけ」なるものは、心からの関係改善ではなく、失敗を免れようとするものだ。2016年5月に金正恩国務委員長は「日本は朝鮮半島に対する再侵略の野望を捨て、朝鮮民族に犯した過去の罪悪について反省し謝罪すべきであり、朝鮮の統一を妨害してはなりません」と述べている。現在、日本政府は、反対の立場をとっている。憲法改悪、軍事予算の拡大は、専守防衛ではない。過去の清算もかんがえていない。統一問題は、北と南の問題だが、日本政府は離反策動の動きをしている。日本とアメリカは違う。日本は共和国敵視政策の姿勢だが、米国は人道支援については継続して行っている。日本は遅れている。―
 わたしたちの、これからの課題は、日朝ピョンヤン宣言を基本にした取り組みの推進、安倍政権の政策変更を図ること、世論を喚起し認識を転換させること、多様な取り組みの展開をしいくこと、などだ。
 在朝被爆者協会との交流では、在朝被爆者の実態を確認した。朝鮮側の認識は、「わが国の被爆者に対する日本当局の謝罪と賠償問題は、目本の過去清算問題の一環として朝日政府間で必ず解決されるべき問題ではありますが、今日、生存被爆者とその子孫に対する医療支援は一刻を争う焦眉の問題であり、日本当局が現在制定施行している「援護法」を在朝被爆者にも十分適用できるよう改正するとともに、日本の行政当局と医療関係者が被爆者を訪ねて来て誠意をもって謝罪し、該当する医療支援措置をとることを強く要求する」というものだ。
 平和フォーラムとしては、対政府への要請文提出など取り組みを報告した。それは、@在朝被爆者について、何ら対策が取られてこなかった現状について、率直にお詫び反省し、朝鮮人被爆者の支援について、基本的な方策を明らかにすること。A在朝被爆者支援のため、現状を早急に把握し、被爆者援護法に保障されている権利を実現するための方策を確立すること、B在朝被爆者が「被爆者健康手帳」を取得することが困難な状況にあることを認識し、放射線等による被害と高齢化のため、健康状態が深刻化している現状に鑑み、人道上の立場から、緊急の対策を講じること。被爆2世、3世への対策も講じること、C以上のような対策を実現するため、共和国と公式、非公式の協議を直ちに開始すること。
 今後、在朝被爆者支援連絡会の活動強化や対政府要請など運動の強化を行っていきたい。

 つづいて、平井久志・共同通信客員論説委員が「朝鮮半島情勢の今とこれから」と題して、この間の情勢の流動化について報告した。

 和田春樹・東京大学名誉教授は「米朝首脳会談が開いた東北アジア新時代と日本」をテーマにつぎのように述べた。
 米朝関係を正常化することは、朝鮮戦争からの敵対関係の終結(朝鮮戦争終結宣言、南北朝鮮不可侵体制、米朝国交正常化など)、朝鮮半島の非核化(米韓合同演習の抑制・終結、朝鮮半島の軍縮、在韓米軍の部分的・全面的撤収、日本海の非核化・平和化、朝鮮の核兵力・核関連施設の申告・部分的廃棄・全面的廃棄・その検証など)だが、これは朝鮮の国家社会体制の改革開放と並行してのみ可能である。これらのことは、難しい交渉、長期にわたる実践となり、混乱・停滞は不可避だが、まさに「不可逆的」なことである。
 その中で、日本の参加と日朝国交正常化は米朝交渉にとっても基本的な要素である。米朝対立の一要素は朝鮮が志向した日朝国交正常化を米国が妨害したことであったからだ。日朝国交正常化とは何か。それは、朝鮮植民地支配の清算ということにほかならない。日本は、朝鮮戦争準参戦国であったが、その立場を終結させなければならないのである。
 日朝国交交渉開始の前提は、拉致問題安倍三原則(@拉致問題は目本の最重要問題、A拉致問題解決なくして国交正常化なし、B拉致被害者は全員生きている、全員奪還してこそ解決だ)の否定と在日朝鮮人・在日朝鮮人団体へのハラスメントの中止だ。安倍三原則は、交渉を打ち切って、敵対し、崩壊させるための戦略であり、戦略的交渉打ち切りの策だ。だから、拉致問題についての新認識と対処方式の転換が必要なのである。また、在日ハラスメントは朝鮮との関係を緊張させる安倍戦略なのだ。
今後の国交正常化にむかっては、平壌連絡事務所開設案、オバマの無条件キューバ国交方式などが考えられるが、早急に平壌と東京に大使館を開設して、核ミサイル、経済協力、拉致問題交渉の開始などについて検討しなければならない。日朝国交正常化のためには、北朝鮮にあともどりできない安全の保証を確実にあたえることだ。
 また米国が朝鮮に安全の保証を与えるためには、@沖縄の米軍基地の全面撤去、A佐世保米海軍基地の撤去、B朝鮮戦争終結会議への準参戦国参加などが必要だ。朝鮮半島の全面非核化を実現するためには、@日本の核兵器製造能力の完全な除去(プルトニウム問題の解決)、A日本に対する核の傘の返上、B核兵器禁止条約への参加などが求められているだろう。そして、めざすのは東北アジアの平和の家・共同の家である。北東アジア非核地帯構想は、日韓朝の非核化プラス米中ロが核兵器不使用の約束をすることだ。日韓朝は非核化・軍縮・米軍基地撤去・平和国家化へ、米中露は三国の安全を保証することを通じて不戦の盟約を、という構想だ。この家の中でこそ日本列島住民は生き続けられるだろう。
 東海・東南海・南海地震がせまっている。本土から避難させてもらえるのは沖縄、朝鮮半島、満州、シベリヤなどだ。すべての隣人と平和な協力関係を持たなければわれわれは生き延びられないだろう。この点を考えても、過去の侵略戦争の時代の負の遺産をただちに清算する必要があるのではないだろうか。


市民連合はままつ

     
市民と野党が語り合うつどい

 10月7日、アクトシティ浜松大ホールで、市民連合はままつ主催の「10・7 市民と野党が語り合うつどい」が開催された。
 「つどい」は、野党の国会議員をパネリストに招き、まともな政治を取り戻すためのトークセッションを行ない、900人の市民が参加した。
 「つどい」は、市民連合はままつの共同代表である小笠原里夏さんがあいさつ。
 続いて、沖縄知事選に勝利した玉城デニーさんの連帯メッセージなどが紹介された。
 その後、「つどい」のメインであるトークセッションに移った。
 トークセッションは、パネリストに近藤昭一さん(衆・立憲民主党)、篠原孝さん(衆・国民民主党)、本村伸子さん(衆・日本共産党)、山本太郎さん(参・自由党)の4人。コーディネーターは、市民連合呼びかけ人の山口二郎さんと市民連合はままつ呼びかけ人の大山浩司さん。ゲストとして、菅直人さん(衆)が参加した。
 パネリストの紹介では、自己紹介ではなく、リスペクトの精神で、他己紹介(山本太郎さんが本村伸子さんを紹介する形で順次紹介)をした。
 トークセッションは、あらかじめ決めてあったテーマについて、各議員が得意とする分野の提言をし、提言にたいする意見について、他の議員や山口二郎さんが話して議論を深めていった。各テーマは、「経済について」は山本太郎さん、「福祉・子育て・教育について」は本村伸子さん、「安全保障について」は近藤昭一さん、「環境・食について」は篠原孝さん、「憲法について」は全員のトークという形で行なった。
 多少の意見の相違はあったが、野党の共闘・協力の推進は十分可能であり、野党統一候補で勝利できるという感触を得た「つどい」であった。


沖縄県知事選勝利  戦争法廃止へ

           9・19集会に4800人が結集

 9月19日、日比谷野外音楽堂で「戦争法からまる3年、安倍9条改憲NO!沖縄・辺野古新基地建設阻止!集会」には、4800人が集まり、会場に入りきれない人が多数出た。集会は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会、基地の県内移設に反対する県民会議、止めよう!「辺野古埋め立て」国会包囲実行委員会の三者共催だ。
 主催者を代表して、総がかり行動実行委の高田健さんがあいさつ。戦争法は2015年9月19日に自民党・公明党などによって強行採決が行われた。絶対に許せない、絶対にあきらめない、絶対に廃止する、と闘いを継続してきた。安倍政権はシナイ半島、南シナ海などにのめり込んでいる。沖縄では辺野古新基地建設を争点に県知事選が闘われている。可能な限りの支援を行っていきたい。
 国会からは、大串博志衆議院議員(無所属の会)、小宮山泰子衆議院議員(国民民主党)、小池晃参議院議員(共産党)、福山哲郎参議院議員(立憲民主党)、吉川元衆議院議員(社民党)発言した。安保法制に反対する学者の会(上野千鶴子さん)、「止めよう!辺野古埋め立て」国会包囲実行委員会(青木初子さん)、そして沖縄から山城博治さんが力強い訴えをおこなった。行動提起で、福山真劫さん(総がかり行動実行委員会共同代表)は、沖縄闘争勝利、9条改憲阻止、東アジアの非核平和の確立にむけて闘おうと述べた。
 集会を終わって、山城さんたちを先頭に、デモに出発し、人びとにアピールした。


複眼単眼

       右投げ、右打ち、守備はライトの「全員野球」


 一〇月二日、安倍第四次内閣が発足した。
 結論を先に言えば、これをもって文字通り安倍内閣の「終わりの始まり」となったということだ。
 四日、安倍首相は政府の会議で「まさに『全員野球』の精神で、内野外野の区別なく、改革に向けた具体的な検討を進めていただきたい」とあいさつした。いまどきの多様なスポーツ事情で、なぜ「野球」なのか、理解に苦しむ。「全員野球」とは政治家がしばしば口にする陳腐な用語だが、内閣の顔ぶれを見ると唖然とさせられる。
 右投げ、右打ち、「内外野の区別なく」(なんのこっちゃ)「ライト(右翼手)」守備ばかりで、試合ができるのかと突っ込みを入れたくなる。
 首相も含め二〇人の閣僚中、極右「日本会議」国会議員懇談会メンバーが十五人、「神道政治連盟」国会議員懇談会は十九人(メンバーでないのは公明党・創価学会の石井啓一国土交通相のみ)というからあきれる。加えて首相補佐官の衛藤晟一、江藤拓、廣瀬健太郎のいずれもが両懇談会所属で、官房副長官の西村康稔も同様だ。過去の第二次安倍内閣以来そうだが、政府はまさに「日本会議」と「国家神道」主義者に占領されている。
 欧州の選挙で極右が伸びたとか、伸びなかったとか、マスコミの話題になるが、日本政府はとうの昔に極右に占領されている。
 日本会議は九七年に組織され、会長は田久保忠衛、会員は約四万人、全都道府県に支部があることになっている。とりわけ安倍政権下において、選挙などでも、自民党の片足はこの「日本会議」で、もう片方が「創価学会」といってもよいほど、自民党に食い込んでおり、関係は密接不可分だ。
 安倍晋三首相にとっては延長して手に入れたた最後の三年の任期が始まった。
 彼はこの三年の任期中に念願の「改憲」にめどをつけたい。そこで今回の改造内閣は「改憲シフトだ」といわれている。
 たしかに、自民党の党内論議のまとめの場である「総務会」会長に腹心の加藤勝信を置き、自民党改憲推進本部の本部長に下村博文をすえ、総裁選で安倍に反旗を翻した従来の自民党憲法族の船田元・前改憲推進本部長代表代行や、中谷元・前改憲推進本部長代行を外した。これで党内では安倍の意向に従順な体制の布陣をはかった。これで確かに安倍の改憲の意向は自民党の機関に降りやすくなっただろう。しかし、加藤や下村が、これまでの国会での憲法論議でどれだけの役割をはたしたのか、その実力はあまりにもおぼつかない。これで党内論議や、野党との折衝が進められるのか、極めて心もとない。安倍が「お友達」を重視する人事に走る悪弊がここにも表れている。
 安倍首相は多くの批判を押し切って麻生副総理兼財務相を留任させた。麻生太郎はこの間のモリカケや汚職の際に、霞が関の官僚を使った文書の「偽造・ねつ造・隠蔽」の直接の責任者であり、引責辞職相当の人物であるにもかかわらず、これを留任させた。腐敗した第三次政権の体質をそのまま受け継いだということだ。おまけに汚職・腐敗の盟友、甘利明が党選対本部長だ。
 日本会議内閣で早速、就任会見で柴山昌彦文科相が「教育勅語は現代風に解釈され、アレンジすれば、道徳などの使える分野が十分ある。普遍性がある部分がある」などと発言したし、桜田義孝五輪担当相は慰安婦問題をはじめ従来から問題発言を繰り返している極右派だ。原田義昭環境相は「南京大虐殺はなかった」との妄言をくりかえしてきたし、片山さつき地方創生相は「天賦人権説」を真っ向から否定する思想の持ち主で、超右派だ。この片山が「女性活躍」を看板にした安倍政権の閣僚の今回はとうとう唯一の女性になってしまったということ笑えない話だ。
 列挙すればきりがないが、こんなトンデモ内閣を一刻も早く退陣させなくてはならない。目前に迫った改憲阻止闘争と、遅くとも來夏の参議院選挙では必ず安倍政権を倒さなくてはならない。(T)