人民新報 ・ 第1367号<統合460号(2018年11月15日)
  
                  目次

● ウソだらけの安倍政治を変えよう!

         自民党改憲案国会提出反対!  辺野古新基地建設は断念を!  共謀罪法廃止!

● 韓国大法院「徴用工」判決

         安倍政権は「解決済み」を改め、植民地支配を清算せよ

● 東海第2原発

         再稼働阻止・廃炉へ  周辺自治体は反対の意思表示を

● 共謀罪廃止へ

         プライバシー権保障の充実と知る権利の保障の充実のため「情報自由基本法」の制定を

● 辺野古新基地阻止

         辺野古埋立土砂の搬出・搬入阻止の闘い

● 守ろう! 外国人労働者の命と権利

         外国人労働者の人権無視・使い捨て「人材」政策の「入管難民法」改正案は問題だらけだ!

● 陰湿な「自己責任論」キャンペーンを許すな   煽っているのは政府支配層

         安田純平さんの帰国で新聞労連が声明

● 共謀罪の適用を許さない!

         関西生コン支部への弾圧は共謀罪適用のリハーサル弾圧だ

● 労働組合に権力が攻撃

         関生支部への弾圧を跳ね返そう

● せんりゅう

● 複眼単眼  /  国民民主党の「国民投票法改正案」など






ウソだらけの安倍政治を変えよう!

     
自民党改憲案国会提出反対!  辺野古新基地建設は断念を!  共謀罪法廃止!

 10月24日、第197臨時国会が召集された(会期は12月10日まで)。西日本豪雨や北海道地震に対応する補正予算案や入国管理法改正案などが主な課題とされるが、憲法について安倍は臨時国会冒頭の施政方針演説で、「政党が具体的な改憲案を示すことで、国民の理解を深める努力を重ねていく」などと述べた。九条への自衛隊明記を柱とする四項目の自民党改憲条文案を今国会中にも衆参憲法審査会へ提示し、野党を巻き込んで、念願の2020の新憲法施行に向けて議論を加速さるつもりだ。そして「あるべき姿を最終的に決めるのは国民だ。国民と共に議論を深め、私たち国会議員の責任を共に果たしていこう」とアピールしている。自民・公明の衆院憲法審査会幹事は国会内で会談して、早期に憲法審を再開する方針である。当面、国民投票法改正案の議論を先行させることで、野党を審議に引き込もうとしている。また、自民党は全国の衆院小選挙区に憲法改正推進本部を設置し、改憲のための国民運動を展開する準備を進めている。
 改憲阻止の闘いを全国で強力におしすすめ、安倍内閣の早期退陣を実現しよう。

 臨時国会開会の日、衆議院第2議員会館前を中心に「自民党改憲案国会提出反対!辺野古新基地建設は断念を!共謀罪法廃止!10・24臨時国会開会日行動」が、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会、安倍9条改憲NO!全国市民アクション、共謀罪NO!実行委員会の共催で開かれた。戦争をさせない1000人委員会の福山真劫さんが主催者を代表してあいさつ。安倍政権が平和・民主主義を壊している、市民と野党は共闘して安倍政権を倒そうと訴えた。

 11月3日には、「ウソだらけの安倍政治を変えよう! 辺野古新基地建設を止めよう!」をスローガンに「止めよう!改憲発議―この憲法で未来をつくる 国会前大行動」(安倍9条改憲NO!全国市民アクション、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会)が開かれ、国会正門前ステージを中心に国会を取り巻く形で開かれた。国会からは、有田芳生参議院議員(立憲民主党)、小池晃参議院議員(日本共産党)、又市征治参議院議員(社民党)、小宮山泰子衆議院議員(国民民主党)がともに闘おうと挨拶した。安全保障関連法に反対する学者の会、オール沖縄会議、カナダ9条の会、ピースボート、24条を変えさせないキャンペーンから連帯スピーチが行われた。
 最後に、9条壊すな!実行委員会の高田健さんが行動提起。闘いの柱は、憲法改悪発議を絶対許さない、沖縄辺野古新基地建設を許さない、北東アジアの平和を朝鮮、韓国の民衆とともに実現していくことだ。そして様々な課題にも取り組んでいこう。安倍政権の国会改憲発議を全力で阻止しよう。多くの人の力を合わせて、絶対に安倍内閣を倒そう。
 国会前大行動には、18000人余りが参加し、安倍改憲反対の声を上げた。
 
 国会前大行動の前には、首相官邸前で、辺野古の海を土砂で埋めるな!首都圏連絡会の主催による「辺野古新基地NO=沖縄の民意踏みにじる工事再開許さない!官邸前大行動」がで行われた。
 
 臨時国会で、安倍内閣は外国人労働者の受け入れ拡大のため何としても入管法改正をやりぬこうとしている。経済界が、少子高齢人口減少社会のなか進行する労働力不足に危機意識を強めていることが背景にある。しかし外国人労働者の人権を無視し、搾取の対象としてのみ外国人労働者を取り扱おうという政策に、人権団体、野党、労働組合などは反対の声を上げている。それだけではない。これを大量移民の容認政策だとして安倍の支持基盤である右派からも反対の動きがある。
 同様に右派からの安倍批判は、10月下旬の中国訪問に対しても行われている。訪中も財界の要求にこたえる行動であり、また大半のマスメディアもこれを評価する中で、28日の産経新聞主張「日中首脳会談 『覇権』阻む意思が見えぬ 誤ったメッセージを与えた」は、「安倍政権はいま一度、中国の覇権を阻むという原点を思い起こすべきだ。中国に強権政治を根本的に改めるよう厳しく迫る。それが関係改善の大前提である。…米国はもちろん、アジアや欧州でも中国への視線は厳しさを増している。日本の対中外交はこの潮流に逆行しよう」と真っ向から批判を繰り広げた。
 11月6日の米・中間選挙で、これまで上下両院をトランプ与党が優位に運営できていたのに、下院で野党・民主党が多数派となったことで、トランプは深刻な打撃を受けた。この事態を起こした民主党のエネルギーは、女性、青年、少数民族など多くの差別を受けている層の怒りが爆発したものである。民主党の中では社会主義志向潮流が広がってきているとも報道されている。
 そもそもトランプ大統領の登場には、国内では差別分断社会化と国際的には唯一の覇権主義国としての力量の衰退が基礎にあった。
 発足したトランプ政権は、無謀な内外政策の強行でいっそうこの趨勢を促進してきた。
 今後、トランプ政権は、いちだんとこれまでの政策を推し進めて、アメリカ社会は、左右両潮流へと分化し、荒廃していく可能性が高い。下院が野党にとられたことで、大統領と上院の裁量権がのこされた外交政策がより「アメリカ第一主義」の傾向を強めるようになるとみられている。
 対日政策でも、強硬姿勢で迫ってくることは必至である。安倍は、これまで「米国とは100%一致」を繰り返してきたが、来年早々からの貿易交渉はより厳しいものとなろう。また、米国製武器のいっそう購買要求も強まる。
 南北朝鮮の融和、朝鮮戦争の終結の動きが現実化するようになれば、米政権は日本を対中国戦略の最前線国家として、日本にさらなる軍事的役割の発揮を求めるようになるだろうし、軍備の増強を強く要求してくることになる。
 日本を取り巻く環境も激変している。にもかかわらず安倍政権の政策は、この国を危険な道に引きずり込んでいる。できる限り早い時期に安倍政治を終わらせなければならない。


韓国大法院「徴用工」判決

   
安倍政権は「解決済み」を改め、植民地支配を清算せよ

 10月30日、韓国大法院(最高裁判所)は、強制徴用の被害者4人が新日鉄住金株式会社を訴えた損害賠償請求訴訟の再上告審で、植民地支配と侵略戦争のなかで行われた日本企業の不法行為に対する慰謝料請求権であると判断して、新日鉄住金の再上告を棄却し、原審判決(原告に1億ウォン=約1千万円ずつ賠償せよ)が確定した。
 しかし、安倍政権は、菅官房長官が「(1965年の)日韓請求権協定は、司法府も含めて、当事国全体を拘束するものであり、大法院の判決が確定した時点で、韓国による国際法違反状態が生じた」とのべるなど、「解決済だ」との態度である。
 安倍首相は、原告4人について、「政府としては『徴用工』という表現ではなく、『旧朝鮮半島出身の労働者』と言っている。4人はいずれも『募集』に応じたものだ」として、徴用工は合法的なものだとまで言い張り、植民地支配を正当化している。
 しかし、日本政府・外務省みずからが、安倍や菅とは違った証言をしている。参議院予算委員会(1991年8月27日)で、柳井俊二外務省条約局長(当時)、は日韓請求権協定について、「これらの規定は、両国国民間の財産・請求権問題につきましては、日韓両国が国家として有している外交保護権を相互に放棄したことを確認するものでございまして、いわゆる個人の財産・請求権そのものを国内法的な意味で消滅させるものではないということは今までもご答弁申し上げたとおりです」と述べている。これは個人請求権は消滅していないことを日本政府が認めたものだ。
 安倍首相は、「解決済み」などと強弁することをやめるべきであり、新日鉄住金など責任のある企業が解決に取り組むようにすべきである。まして、植民地支配・侵略戦争を正当化するような言動は断じて許されるものではない。そうしてこそ、東アジアの真の善隣友好関係が確立されるのである。だが、日本会議など極右勢力をコアな支持基盤とする安倍政権には、そうした政策をとる決断はできないだろう。この課題でも、安倍政権の早期退陣が問題解決の条件となっている。


東海第2原発

        再稼働阻止・廃炉へ  周辺自治体は反対の意思表示を


 11月7日、原子力規制委員会は、茨城県東海村にある日本原子力発電の稼働から40年を迎える東海第2原子力発電所(出力110万キロワット)の運転期間の延長を認可した。東海原発は首都圏にある唯一の商業炉であり、東海第二原発の30キロ圏には96万人もの人が住んでいる。 原発の運転期間は原則40年に制限されているが、認可によって最長20年間延長できるカラクリにしてある。
 東海第2原発は、日本原電の書類提出の遅れなどで、40年の期限を迎える11月下旬までに終わらない可能性もあったが、このように 大急ぎで認可がだされたのだ。
 運転期間延長の原発は3原発4基目になる。これまで運転期間延長が認められたのは、すでに関西電力の高浜原発1、2号機(福井県)、美浜原発3号機(同)だが、これらは加圧水型と呼ばれる機種である。しかし東海原発は、大事故を起こした福島第1原発と同じ沸騰水型である。
しかも東海第2原発は、東日本大震災では津波に襲われ外部電源が喪失している。震災で被害を受けた原発として初めて再稼働となる。
 日本原電は、すでに東海発電所と敦賀発電所1号機の廃炉を決定しているが、再稼働をもくろんでいるのは、東海第二原発と敦賀発電所2号機だ。
 日本原電は財務基盤が弱体であり、安全対策に不安があるといわれ、危険この上ない会社の原発だ。
 東海第2原発の再稼働には、他の原発の場合は地元自治体と県の同意が必要とされるだけだが、茨城県と周辺6市村の同意(事前了解)が必要になる(いわゆる茨城方式)。地元からは、反対の意向が示されている。すでに那珂市の海野市長が、再稼働に反対の意向を示している。
 原子力規制委員会は、認可をすみやかに取り消せ。
日本原電はただちに東海第2原発を廃炉とせよ。原発依存社会からできる限り早期に脱却しよう。


共謀罪廃止へ

    プライバシー権保障の充実と知る権利の保障の充実のため「情報自由基本法」の制定を

 11月6日、雨の中、共謀罪法廃止!秘密保護法廃止「12・6 4・6を忘れない6日行動」が、衆議院第二議員会館前が行われた。
 午後からは、議員会館会議室で、院内集会「公文書管理と監視社会〜公文書管理委員の経緯を踏まえて〜」が開かれた。三宅弘弁護士(元公文書管理委員会委員)が、「公文書管理と監視社会から、共謀罪の廃止について考える」と題して講演。三宅弁護士は、公文書管理の現在の問題点と今後の改正の方向について述べ、「2017年日弁連大津人権大会決議」について紹介した。「個人が尊重される民主主義社会の実現のため、プライバシー権及び知る権利の保障の充実と情報公開の促進を求める決議」で、「1、現代監視社会におけるプライバシー権保障の充実については、@インターネット上のデータ監視の禁止、AGPS捜査などの強制捜査の法令による規制、B通信傍受拡大の抑制と会話傍受法制化の阻止、C「共謀罪」規定の廃止ないし抜本的見直しと運用監視、D情報機関の監督、Eマイナンバーによる一元管理の規制」を、また「2、知る権利の保障の充実のための情報公開の促進と権力監視の仕組みの強化については、@情報自由基本法(仮称)の制定、A情報公開法改正、B公文書管理法の改正と運用改善、C秘密保護法の廃止を含めた抜本的見直し、Dスノーデン氏のような内部告発着を保護する公益通報者制度の確定、Eグローバル・ジャーナリズムによる権力監視とその活動の促進」を求めた。とくに情報自由基本法の制定の必要性について強調した。


辺野古新基地阻止

      
辺野古埋立土砂の搬出・搬入阻止の闘い

 沖縄県知事選では、翁長雄志知事の辺野古新基地建設は絶対に許さないという遺志を継いだ玉城デニーさんが圧勝した。またも沖縄県民の辺野古NO!の心が示されたのだった。しかし安倍内閣は、新基地建設のための工事を強行している。
 11月5日、「沖縄と今後の闘い(本土の責任)〜辺野古新基地建設埋め立て土砂運搬阻止の取り組み」学習会で、毛利孝雄さん(沖縄大学地域研究所特別研究員、辺野古土砂搬出反対首都圏グルーブ)が「辺野古新基地阻止のこれから―埋立土砂問題を中心にして」の報告をおこなった。沖縄県知事選の結果は復帰後の知事選挙で最多得票となった。東京新聞は「彼の勝利は沖縄人のプライドの勝利であり、人間の尊厳に無知な強権政治の敗北である」と書いていた。沖縄県は、辺野古埋め立て承認の「撤回」をした。辺野古工事は、海上工事は護岸堤のみで完成はまだ一部だ。全体の見通しは立っていない。しかし政府、推進派は工事が進んでいるとの印象づけ、「あきらめ」を広げ民意を切り崩そうとしている。沖縄県の「撤回」理由は、埋め立て承認後に明らかになった新たな事実にもとづいている。ケーソン(水中構造物を構築するための大型の箱)護岸の海底に超軟弱地盤(マヨネーズ・豆腐に形容)が存在していること、キャンプシュワブから大浦湾に走る断層に活断層の疑いがあること、また名護高専校舎・沖縄電力や携帯基地局の鉄塔・辺野古弾薬庫が、米軍基地設置統一基準の高度制限に違反していることなど、辺野古新基地の立地条件そのものが問われる事態となっている。県知事が行政権限を正当に行使する限り、工事は頓挫するのだ。政府・防衛省には、意のままになる県知事実現以外に手立てはないのである。沖縄防衛局は対抗措置として、「行政不服審査法」により国交大臣が「撤回」の執行停止仮処分をおこない、そして、辺野古工事を再開し、県内土砂辺を海上搬送して辺野古側への土砂投入しようとする。そして、今後は、本土側からの埋立土砂搬出問題が焦点となる。問題にすべきは、さきにあげた辺野古新基地の構造と西日本各地からの埋立土砂搬出だが、土砂(石材・岩ズリ・海砂)調達計画は、沖縄県内2・5割、西日本各地から7・5割となる。岩ズリとは採石に伴うクズで小石と砂・泥の混じったものだが、そこには危険な特定外来生物が混じっている。埋立側も土砂搬出側も、ほとんどの地域が生物多様性国家戦略に基づく重要海域などだ。奄美では海洋汚染・サンゴの死滅、天草・御所浦島では有害廃棄物による埋め戻し、佐多岬・五島では低レベル核廃棄物最終処分場計画がある。搬出地側にも辺野古・大浦湾と同等の環境・景観破壊が進行している。西日本搬出地で確認されている特定外来種はハイイロゴケグモ、ヒアリ、アルゼンチンアリやオオキンケイギクなどがある。特定外来種対策すら確立していない中での埋立強行など許されないことだ。そもそも、温帯域から亜熱帯域への大量の環境移動そのものが国際的犯罪行為だ。大量の土砂の搬出元となる全国各地の人びとが、「どの故郷にも戦争に使う土砂は一粒もない」をスローガンに「辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会」(土砂全協)を結成して運動している。土砂全協は、沖縄県と搬出自治体の広域連携による「問題のある土砂を搬出させない」取り組み、天草御所浦では採石跡の埋め戻しを辺野古向け岩ズリで行うことを、市・業者・まちづくり協議会が協定をむすんだ。沖縄県土砂条例を実効性あるものにするために、業者などの許可制・罰則規定・検査態勢などの制度を強める必要があるだろう。本土側が責任を持つ課題は、西日本各地からの土砂搬出を止め、再び本土機動隊の沖縄派遣を許さない、オスブレイの横田配備と訓練の全国化を許さない闘い、沖縄ヘイトを許さない運動を広げることなどだろう。いま強調されるべき2つのキーワードは「非軍事」と「生物多様性」だ。東アジアの平和構築とは、辺野古新基地の機能強化と一体で進む南西諸島への自衛隊配備を許さないことだ。また「生物多様性条約」と「国家戦略」「沖縄県戦略」に違反する辺野古新基地建設と本土からの土砂搬出に反対し、辺野古・大浦湾と土砂搬出地の双方を「海洋保護区」にしていく運動が必要だ。


守ろう! 外国人労働者の命と権利

     外国人労働者の人権無視・使い捨て「人材」政策の「入管難民法」改正案は問題だらけだ!

 10月2日、政府は、外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理・難民認定法(入管難民法)改正案を閣議決定した。
 臨時国会に提出・成立させ、来年4月1日の施行を目指している。

 現在、日本社会は、歴代自民党政権の政策による少子高齢・人口減少という情勢の中で、全国各地域の様々な産業で深刻な人手不足が急速に進行している。安倍はことしの2月、経済財政諮問会議で、つぎのように述べた。「安倍内閣として、いわゆる移民政策をとる考えはありません。この点は堅持します。他方で、5年間のアベノミクスによって、有効求人倍率が43年ぶりの高水準となる中で、中小・小規模事業者の皆さんを始め、深刻な人手不足が生じています。生産性向上や女性・高齢者の就業環境の整備のため、生産性革命・人づくり革命・働き方改革を推進するとともに、あわせて、専門的・技術的な外国人受入れの制度の在り方について、早急に検討を進める必要があると考えます。在留期間の上限を設定し、家族の帯同は基本的に認めないといった前提条件の下、真に必要な分野に着目しつつ、制度改正の具体的な検討を進め、今年の夏に方向性を示したいと考えています。菅官房長官、上川法務大臣におかれては、各分野を所管する関係省の協力を得て、急ぎ、検討を開始していただきたいと思います。」
 この安倍の言葉を受けて、作業が急進展し、6月15日には「経済財政運営と改革の基本方針 2018」(骨太の方針)が閣議決定され、日本政府は本格的な外国人労働者受入れに大きく転換した。
 安倍政権はあせりにあせった形で、改正法を強行成立させようとしている。
 外国人労働者の賃金・労働条件、その家族の処遇など人権に関わる深刻な問題にかんして、危惧と反対の声が大きい現実を無視して推し進めようとしているのである。
 そして排外主義右翼をコア支持層にしている安倍が、それらの反発をも押しつぶしてまで、強引に外国人労働者のうけいれを拡大するのは、経済界からの外国からの安い労働力の早期の流入の要請があるからだ。

 10月31日、参議院議員会館会議室で、「守ろう!外国人労働者の命と権利」シンポジウムが開かれた。
 主催者を代表して、ものづくり産業労働組合JAM顧問の小山正樹さんがあいさつ。技能実習生法が改正されて一年、状況はなんら改善されていない。この状況で、即戦力としての外国人労働者うけいれをより拡大する法案が出されようとしている。このようなことは許されるものではない。今日の集会では、技能実習生問題の現状と新たな法案についての問題点を明らかにしていきたい。

 はじめに技能実習生制度をめぐって。
 鳥井一平さん(移住者と連帯する全国ネットワーク)。技能実習生は低賃金、労働条件の悪さ、そして暴力などあまりのひどい労働に逃げ出さざるを得ない。技能実習制度は、途上国への技能等を移転することを本来の目的としながら、実際には人手不足対策に利用され、さまざまな人権侵害を引き起こしてきたのであり、今回の法改正案での「技能実習」から「特定技能」への移行は、現状追認であり、技能実習制度が「労働力補充システム」であることを認めたことを意味している。技能実習制度は、ただちに廃止されるべきである。
 JAMの小山正樹さんは、JAMが取り組んでいる在日ビルマ市民労働組合(FWUBC)の活動について報告。ミャンマー人技能実習生からの3か月の賃金遅配と最賃法・労基法違反などの労働相談をうけた。それらを解決することなく会社は破産申請の予定とみられる。また、長時間労働にいたたまれなくなって職場離脱した実習生からの相談があり、和解解決金で決着した。それらの中で出てきた技能実習生が直面している問題点は、@最賃法違反と残業代未払の労基法違反、A過労死ラインをはるかに超える長時間労働、B自由の制限、パワハラ、C技能実習とは無縁な仕事の内容などだ。こうした、底辺の違法な実態をなくすために、国連人権理事会の「ビジネスと人権に関する指導原則」では、人権を尊重する企業の責任を求めている、そのなかで、次のように記載されている。「人権を尊重する責任は、企業に次の行為を求め、(a)自らの活動を通じて人権に負の影響を引き起こしたり、助長することを回避し、そのような影響が生じた場合にはこれに対処する、(b)たとえその影響を助長していない場合であっても、取引関係によって企業の事業、製品またはサービスと直接的につながっている人権への負の影響を防止または軽減するように努める。」実習生を受入れている零細企業に対しても、サプライチェーンの底辺の違法な実態をなくすため、発注元に対して、実態の調査と対策を求める要諸活動を実行していく。
 連合の村上陽子総合労働局長は、技能実習生制度への連合の取り組みについて報告した。連合としては、@技能実習計画の認定および技能実習生の受入れ体制の厳正な審査、A監理団体および実習実施者に対する確実な実地検査の実施、B不適切な監理団体・実習実施者を把握した場合の所管官庁へ迅速な報告、C母国語によるワンストップで受けられる相談・支援体制の構築、D実習実施者を変更する必要に迫られた際の、技能実習生の確実な転籍支援、E地域協議会おける労使参画などを要請している。地方連合の取り組みとしては、外国人労働者を対象とした労働組合「連合大阪ハートフルユニオン」において、外国人労働者・技能実習生からの相談に対応し、組合への加入から団体交渉まで行っている。また、連合四国ブロックでは、「外国人労働相談所」を開設し、フリーダイヤルによる相談を連合徳島が一括受信している。相談者には該当する地方連合会へ来訪等を案内すると同時に該当する地方連合会に情報提供を行っている。
 日本労働弁護団の棗一郎幹事長。技能実習生法が改正されても、奴隷労働、人権侵害などはかわっていない。

 つづいて、出入国管理・難民認定法(入管難民法)改正案についての報告に入った。
 連合の村上局長―連合としては、@すべての外国人労働者の権利を保障すべきで、外国人労働者の人権を尊重し、日本人と同等の賃金、労働時間などを確保すべきだ。社会インフラの利用等も保障すべきだ。A受入れ対象は「専門的・技術的分野」の外国人とすべきで、国内雇用や労働条件に好影響を及ぼすような「専門的・技術的分野」の外国人を対象にすべきだ。B外国人労働者の安易な受入れは行うべきでなく、総合的かつ国民的議論が必要で、安易かつなし崩し的な受入れは、国内雇用への悪影響や外国人労働者の権利保障の点から問題があるため、行うべきではない。外国人労働者の受入れは労働力不足の抜本的解消策となり得ず、非正規雇用問題の解消などにこそ最優先に取り組むべきだ。外国人労働者の受入れは、課題があることを認識し、総合的かつ国民的な議論を行うべきだ、ということだ。
 移住連の鳥井さん―安倍内閣の発足以来、「外国人材」という表現が政府内で用いられているが、これは、労働力を「商品」として、その有用性のみを活用しようものだ。労働者は人間であり、「外国人材」という言葉はやめるべきだ。そして、外国人労働者に家族帯同の権利を認めなければならない。外国人労働者を雇用の安全弁として利用すべきではないのである。外国人労働者の「受入れ」とは、「人間」の「受入れ」である。移住連は、多民族・多文化共生社会に向けたより包括的な「移民基本法」と実質的な差別解消を担保する「差別禁止法」の制定を求めている。
 労働弁護団の棗幹事長―外国人労働者の受け入れは、日本のような民間への丸投げの無責任な体制ではなく、韓国のように政府・自治体が責任を持つものにするべきだ。日本労働弁護団は、「新たな外国人労働者受入れ制度創設に対する声明」をだした。そこでは、技能実習制度の即時廃止を求めるとともに、「新制度により受け入れる外国人は、あくまで『労働者』なのであるから、日本におけるすべての労働関係諸法令が受け入れた外国人労働者に対して日本人労働者と同様に適用されることは言うまでもないし、適用が除外されるようなことは絶対にあってはならない、また、労働関係諸法令が形の上では適用されても実際には遵守されないという事態にならないための対策も必要である」とし同時に「新制度が第二の技能実習制度として、構造的に安価な労働力確保の制度となる恐れもある日本において、事実上、低賃金で、権利保障の程度が低い特殊な労働市場が形成され、新制度によって受け入れられた外国人労働者がその担い手になり、結果として日本の労働者の賃金・労働条件を引き下げることになるという恐れもある、そのような事態を防ぐためには、入管法改正により新しい在留資格を創設して、詳細は政省令で規定するという場当たり的な外国人労働者受入れ制度とするのではなく、外国人労働者受入れ制度に関する基本法の制定に向けた抜本的な議論をすべきである。そして、どのような制度の下でも、日本において外国人を労働者として受け入れる以上、その制度の下で働く外国人労働者に対して、日本人労働者と等しく、我が国の労働関係諸法規が適用されることはもちろん、外国人労働者が日本国憲法で保障された労働基本権を行使して、権利擁護のために団結して闘うことが可能となる制度としなければならない」、また「外国人労働者との積極的な団結」をよびかけた。
 最後にJAMの小山さんが、人材ビジネス丸なげでなく、外国人をきちっと受け入れる体制づくりのために、国会でしっかりした論議を求める、と述べた。
 集会には、会場にあふれる参加者があり、多くの国会議員も出席した。

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「守ろう!外国人労働者のいのちと権利」集会アピール

 外国人技能実習法の施行から1年が経過しようとしています。外国人技能実習法は、「外国人技能実習機構」による一元的な管理体制の構築、外国人技能実習生に対する人権侵害行為への刑事罰の創設など、制度改善を柱とするものです。しかし、外国人技能実習生の解雇や賃金未払い、ハラスメントといった不適切事案が後を絶たず、制度の適正化、外国人技能実習生の権利保護は道半ばであると言わざるを得ません。

 また、「勉学」という本旨を逸脱し留学生に資格外活動許可の制限時間を超える不法就労を助長している事業主や、専ら就労あっせんを目的として活動している日本語学校の問題など、課題が山積しています。

 そうした状況にもかかわらず、政府は、労働力不足対応の観点から即戦力の外国人労働者を広く受け入れるための新たな在留資格「特定技能」の創設に関する入管法改正案を国会へ提出しようとしている。外国人労働者が置かれた厳しい労働環境の問題を何ら解決することなく、安易かつなし崩し的な受入れ拡大をめざす政府の姿勢は、国民、そして外国人労働者に対する欺瞞と言わざるを得ません。

 そして何より、外国人労働者は、「労働力」として日本に来られるわけではありません。外国人が「生活者」として暮らす際の、社会保障や行政サービス、子どもの教育、住宅保障といった共生インフラは、一部の外国人集住地区を除き大多教が未整備です。今こそ政府は、共生社会の実現に向けた覚悟を示し、そのコスト負担も含め、国民的な議論を行うべきです。

 外国人技能実習生を含む外国人労働者は、いまや130万人。日本社会は、すでに外国人、外国人労働者と共に歩む時代に突入しました。私たちは、本日の集会を契機に、外国人技能実習法の適正運用はもとより、外国人労働者のいのちと権利を守る運動を強力に推し進めていくことを、ここに改めて宣言します。

2018年10月31日

                    「守ろう!外国人労働者のいのちと権利」集会


陰湿な「自己責任論」キャンペーンを許すな

         
 煽っているのは政府支配層

                 安田純平さんの帰国で新聞労連が声明

 シリアの武装組織に拘束されていた安田淳平さんが解放された。安田さんは、イラク戦争やシリア内戦の現地からの状況を伝えてきたジャーナリストだ。日本の大手メディアは現地に記者を派遣することがない。人々の知る権利は現地取材のジャーナリストによって守られている。
 日本では人質事件が起こるたびに「自己責任論」がおこる。かつて2004年に発生したイラクでの日本人ボラティア3名の人質事件の際もそうだった。そのバッシングの渦を引き起こしたのは当時の小泉純一郎首相だった。当時の自民党幹事長は現首相の安倍晋三で、政府に救出費用の3人への請求を検討させるような対応を見せるまでした。こうした空気を作り出し、新自由主義とナショナリズムの政治を推し進めてきたのである。にもかかわらず、海外のメディアは、日本は異常な状況だと指摘している。メディアだけではない。当時の米国務長官のパウエルでさえ、3人が解放された時に「日本人は、身を挺していいことをしようとした彼らを誇りに思うべきだ。誰かが危険を冒さなければ世の中、前には進まない。我々には彼らの安全を確保する義務がある」と述べたのは有名だ。こうした姿勢は日本の右翼政治家たちにはまったくない。
 かつての中国侵略の結果生まれた「満州」在留日本人たちが国家に見捨てられ「棄民」されたように、日本国家はむかしから自らの責任をとることなく、今回も同様の事態をつづけている。
 しかし、今回の安田さんへの「自己責任論」バッシングにたいしては、早くからそれを牽制する意見がでている。ワイドショウでも、そのような勇気あるある発言が目に付くようになった。新聞労連は、メディア働くジャーナリストの労働組合として声明「安田純平さんの帰国を喜び合える社会を目指して」(別掲)を発表した。

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安田純平さんの帰国を喜び合える社会を目指して

2018年10月25日

   日本新聞労働組合連合(新聞労連)     中央執行委員長 南 彰

 2015年からシリアで拘束されていたフリージャーナリストの安田純平さんが3年4カ月ぶりに解放されました。人命と引き替えに金銭を要求する犯行グループの行為は卑劣で、真実を伝える目的を持ったジャーナリストを標的にすることは言論の自由や表現の自由への挑戦です。新聞労連としても安田さんの「即時解放」を求めてきましたが、同じ報道の現場で働く仲間の無事が確認された喜びを分かち合いたいと思います。

 安田さんはかつて信濃毎日新聞の記者を務め、新聞労連の仲間でした。2003年にフリージャーナリストに転身しましたが、紛争地域の取材に積極的に取り組み、民衆が苦しむイラク戦争の実態などを明らかにしてきました。

 その安田さんや家族に「反日」や「自己責任」という言葉が浴びせられている状況を見過ごすことができません。安田さんは困難な取材を積み重ねることによって、日本社会や国際社会に一つの判断材料を提供してきたジャーナリストです。今回の安田さんの解放には、民主主義社会の基盤となる「知る権利」を大切にするという価値が詰まっているのです。

 安田さんはかつて「自己責任論」について、新聞社の取材にこう語っています。
 「自己責任論は、政府の政策に合致しない行動はするなという方向へ進んでしまった。でも、変わった行動をする人間がいるから、貴重な情報ももたらされ、社会は発展できると思う」
 
 観光や労働の目的で多くの外国籍の人が訪れ、また移り住むという状況が加速している私たちの社会は、より高い感受性と国際感覚が求められています。そのベースとなるのは、組織ジャーナリズムやフリーを問わず、各地のジャーナリストが必死の思いでつかんできた情報です。

 解放された安田さんに対して、「まず謝りなさい」とツイッターに投稿する経営者もいますが、「無事で良かった」「更なる活躍を期待しているよ」と温かく迎える声が大きくなるような社会を目指して、新聞労連は力を尽くしていきます。     以上


共謀罪の適用を許さない!

     関西生コン支部への弾圧は共謀罪適用のリハーサル弾圧だ


 10月24日、「共謀罪の適用を許さない!院内集会」が開かれた。集会の一つのテーマは、全日本建設運輸連帯労働組合(連帯ユニオン)関西地区生コン支部部不当逮捕事件をめぐってだった。昨年テロ対策を口実にして共謀罪が成立した。いまのところ適用事例となる事件は起こっていないが、政府による市民活動の監視と威圧が感じられる。しかし関西生コン支部に対する「強要」「業務妨害」を理由に逮捕事件が起こった。関西生コン支部の武建一委員長をはじめ組合役員などの逮捕・長期拘留という不当な弾圧が続いているが、これは「昨年12月からつづく大阪広域生コン協組による組合攻撃に便乗してしかけられたものであり、その本質は、中小企業と労働組合の協力関係を破壊して、生コン業界民主化をすすめてきたわれわれの産業政策運動をつぶすことにある。また、沖縄の新基地建設反対運動や脱原発など、労働組合の社会的使命にもとづく当たり前の労働組合運動を圧殺しようとする政権の意図を反映したものである」(2018年9月17日・全日本建設運輸連帯労働組合第35回定期大会宣言)

 集会では、永嶋靖久弁護士の「関生支部弾圧の報告」についての映像が流された―この弾圧の性格は、産業別労働運動への弾圧、中小企業の協同組合運動への弾圧、建設現場のコンプライアンス活動への弾圧、大阪サミットの先行弾圧、マスコミやユーチューブを利用した労働組合への反社会的勢カキャンペーン、共謀罪適用のリハーサル弾圧というものだ。共謀罪適用のリハーサル弾圧ということでは、労働組合による建設現場でのコンブライアンス活動などを生コンを協同組合から買わせようと脅したという容疑であり、また争議の行動をセメント運搬車の輸送を妨害したとして威力業務妨害の容疑などをでっちあげようとしている。ストを行う前にセメント輸送会社に「協力をお願いします」と言いに行ったことが強要未遂ともされた。そのための捜査は、関係者の電話履歴、メールのやりとり、チャットの大量収集であり、現在の組合員だけでなく元の組合員に対する大量呼出しがおこなわれている。拘留期限が来ると次の逮捕者という繰り返しとなっており、弾圧収束の兆しはない。関生支部への支援の拡大を訴える。

 つづいて共謀罪対策弁護団事務局長の三澤麻衣子弁護士は、「共謀罪の適用を許さないために」と題して報告。共謀罪を検挙するためになされる調査には、物証と人証がある。物証では、電話録音、メール、ラインの通信記録などであり、人証では、捜査機関が共謀参加者の自白、だが、これは強要の危険があり、それとともに捜査機関が協力者をつくりだす危険がある。捜査機関にフリーハンドを与える危険な捜査となる可能性が高い。こうした制度を監視するためには、盗聴法の拡大を阻止し、警察に対する第三者監視機関の創設などが必要だ。公安警察は政治警察の特徴を持つがその役割と本質の暴露がなされなければならない。


労働組合に権力が攻撃

      
 関生支部への弾圧を跳ね返そう

 労働運動・平和運動にかかわるひとで「カンナマ」(全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部)の名前を知らない人はいないだろう。警察権力は自らの警察のテイタラクを放っておいて、その関生に対する組合つぶしに血道をあげている。関生は中小企業の協同組合と協力し、大手ゼネコンの不当な利益拡大に対等かつ適正な関係をもつ産業政策を確立してきていた。働く者の雇用と権利・労働条件を確保するための正当な組合活動である。ここにクサビを打ち込もうとして、労働組合の支配介入、さらにありもしない犯罪をデッチあげて、レイシスト集団を使って、組織犯罪集団」のキャンペーンを行わせている。警察は早朝の組合役員を自宅逮捕しテレビカメラ・マスコミを動員している。滋賀県のびわこ放送テレビでは、沖縄差別のデマ報道で悪名をあげた「ニュース女子」番組をなんのチェックもなしにタレ流して、視聴者に、関生=悪イメージを植え付けようとしている。
 これに抗して、大阪での抗議・支援集会には多くの労働者・市民が参加し、そして毎週末には、武委員長が不当拘留されている大津警察署へのアピール抗議行動など行動が展開されている。この参加の中には、勝手連も作られて広がりと深さが感じられるし、地域の労働組合・反原発の市民運動グループや沖縄連帯の組織も加わってきている。
 現場警察官が「警察庁からの指示」と発言しているごとく、安倍改憲勢力の悪辣な反動攻撃としてとらえることができる。ここでこの攻撃を許したならば、次々と改憲に向けてのジャマな組織が狙われてくるのは火を見るよりも明らかだろう。
いまこそ、勇気と知恵をふり絞って、関生と連帯していこう。まずは行動だ。 (大阪・河田良治)


せ ん り ゅ う

  呻く声きこえぬふりし埋立る

     呻きあり奪われ騙され里は基地

  繰返すあやまちへ道アベの道

     独裁の毒の顔みせアベ自民

  停電地震雷火事おやじ

     人力が経済力これ真理あり

  貧困と絶望ばかりふえていく

     クツ脱いで投げつけたいね永田町

                   ゝ 史
2018年11月


複眼単眼

     
 国民民主党の「国民投票法改正案」など

  国民民主党が「改憲手続き法(国民投票法)」の改正案をまとめた。臨時国会の重要課題になっているので、報道によって知り得たことのみを前提に、いくつか検討しておきたい。
 公明党の北側一雄憲法調査会会長は、国民民主党が主張する政党のスポットCM禁止案について「中身を真摯に検討したい」と述べた。公明党としては「(前国会で)継続審議になっている投票の利便性を高めるための法案」とこの「政党のCM禁止案」を切り離して考える意向だ。
 国民民主の立場は「法律の不備の改正」が国民投票の前提であるとの主張であり、「不備」には当然、CM問題も含まれるのだから、この公明党の「切り離し論」を認めてはならない。
 公明党の「切り離し論」には、憲法審査会の再開を急ぐという与党の意図がはっきりみえる。
 国民民主が政党のスポットCMなどの禁止を主張することは賛成だ。しかし、同党の案では「活動資金の支出額1000万円を超える団体」を「特定国民投票運動団体」と規定し、届け出と収支報告を義務づけているが、特定国民投票運動団体の規定は、日本にたくさんある市民団体の活動に対して、不当な差別を設けることにならないか。自由国民会議や、神道政治連盟、日本青年会議所、日本会議など資金力のある改憲団体が、いくつも特定団体として出てくることが予想される。これらにCMは支出5億円の範囲なら認めるということになるのか。
 上限5億円は市民運動にとっては高額であり、運動期間が60〜180日とされていることに対応すれば、例えば最短の60日の運動期間で5億円上限というのは巨額だ。
 法律の改正案の設計が極めておおざっぱすぎる。
 CM放送以外にも改憲手続き法は不備が多いが、これらに国民民主はどう対応するのか。
 自由を売り物にしている法律にも関わらず、公務員・教育者などの運動規制が厳しすぎることや、日弁連なども指摘する最低投票率の導入、あるいは買収も一部容認される問題など、法制度の設計に関わる諸問題が解決できていない。
 これらを含め、手続法は抜本的改正が必要であり、前国会で継続審議にされた改憲手続き法の検討で、与党がいうような、これらCM以外の問題点の検討をないがしろにして、利便性の問題の修正でお茶を濁すのは不当だ。
 国民民主党はCM規制に自民党が同意することが憲法審査会を円滑に進めるための大前提だと指摘しているが、もうひとつ、重大な問題がある。安倍首相がこの臨時国会での所信表明演説をはじめ、繰り返し憲法99条、96条などに反して改憲の発言を繰り返していることの謝罪と撤回も、立憲主義の立場から見て大前提だ。この確認なくして憲法審査会は動かせない。
 さきごろ、下村・自民党改憲推進本部長が「安倍政権の下では(改憲の)議論をしたくないと思っている人が多い。自民党全体でしっかりと対応しながら、『安倍色』を払拭していくことが必要だ」などと語った。安倍改憲の評判の悪さを知った下村の苦しい言い訳だが、「安倍色」を脱却するのなら、安倍首相が自らの99条、96条違反を国会で謝罪することが、前提条件だ。  (T)