人民新報 ・ 第1369号<統合462号(2019年1月15日)
  
                  目次

● 2019年は激動の年、闘争の年

       総がかりの闘いで、改憲発議阻止・参院選勝利へ

● 辺野古新基地建設反対!  土砂投入を許さない!

       全国へ、そして海外にも広がる沖縄の闘いへの支援・連帯の運動

● またもデータ改ざん

       官僚組織の忖度・弱体化

● 原発事故汚染土の行方

       政府の再利用・埋立処分方針はひどい、断固反対する

● 昨年最後の19日行動

       19年の闘いを確認

● 郵政労契法20条東日本裁判・東京高裁判決

       地裁判決より前進を勝ち取る

● 「AI世界恐慌」の淵に立つ世界経済とアベノミクス

● 原発事故は人災だ!  東電旧経営陣は巨大津波を予知できた

       原発推進責任者に刑事責任を取らせなければならない

● せ ん り ゅ う

● 複眼単眼  /  年頭に安倍晋三が見る改憲の夢





2019年は激動の年、闘争の年

     総がかりの闘いで、改憲発議阻止・参院選勝利へ

 2019年は激動の中でのおおきな闘いの年となる。2月には沖縄県民投票、4月には衆院沖縄3区補選、統一地方選挙、5月天皇代替わり、そして7月参議院選挙などつづく。
 沖縄の闘いの勝利―辺野古新基地建設阻止、安倍改憲阻止の課題を中心に、参院選での改憲勢力三分の二を打ち破るために、総がかり行動の拡大、市民と野党の共闘強化で、強権とデマの安倍政治を終わらせよう。
 安倍は年頭記者会見(1月4日)で、60年前は「日米安保条約の改定交渉が行われた年」だとし、「改定された日米安保条約は、60年後の今なお我が国の外交・安全保障政策の基軸となっています。今を生きる私たちもまた責任を果たさなければなりません」と強調した。60年安保条約改定は安倍の祖父・岸信介が、連日国会を包囲する巨大なデモをはじめ全国に湧き上がる安保反対の声を圧殺して強行したもので、アメリカの世界覇権・軍事戦略のうちにみずから位置付け、周辺諸国・人民と敵対構図をつくることにより従属的な日本帝国主義の利益を拡大しようとするものだった。
 安倍は「冷戦終結とともに始まった平成の30年間に国際情勢は激変した。戦後世界を形づくってきたものが大きく揺れ動きました。こうした変化に真正面から向き合い、私たちの子や孫の時代、次の60年を見据え、日本外交の新しい地平を切り開いてまいります」という。だが、朝鮮半島の対話のながれなど新しい事態がうまれている情勢のただ中で進めようとする外交政策とはどんなものか。いまこそ求められている平和外交に立脚して緊張緩和と近隣職との共存共栄のために努力するのではなく、依然として、日米安保体制強化・集団的自衛権の行使に積極的にうって出ること、軍備の急速な拡大によるものとなっている。そのために沖縄・辺野古米軍新基地建設、米国製武器の大量購入など、そして9条改憲がある。新「防衛計画の大綱」、「中期防衛力整備計画」では、軍事費は5年間で27兆4700億円にものぼる。
 安倍は、ロシアとの「北方領土返還」交渉で、「二島返還」で決着を図り、内閣支持率の上昇を狙っている。だが、安倍の思いは幻想だ。とりわけ日米安保問題がこの問題の解決のまえに立ちはだかる壁であるのは、1956年の日ソ共同宣言の時から旧ソ連(当時のフルシチョフ政権)が問題にしてきたところであり、プーチンとの交渉は安倍の思い通りには進まない。
 そのうえ、安倍が日本外交の基軸と頼むアメリカとの関係でも、自国第一を掲げるトランプ政権による自動車輸出の数量規制から通貨問題までの包括的な貿易交渉で、大幅な譲歩を迫られる。また、シリアからの米軍撤退発言にみられるようにトランプの内向きの政治による「同盟国」軽視は、経済面だけでなく、政治、軍事面を含めて様々な局面で噴出してくるだろう。安倍にとって、アメリカからくる風は、温かいものとは限らない。
 韓国とは、「慰安婦」「戦時強制徴用工」問題などで植民支配の清算をまじめにやろうとせず、居直りの姿勢をつらぬく安倍政権によって最悪の状況になった。
 30年で激変したのは日本の姿・位置も同様である。1989年に世界の15%だった日本のGDPは6%に低下し、中国に抜かれて3位となった。人口は減少に転じ、労働力不足が深刻化し、社会基盤存続の危機は地方から都市部へも広がっている。65歳以上の高齢化率も28%に倍増した。そして先進国最悪レベルで債務が増大し続けている。ここにきて、円安誘導と日銀・年金資金の投入での上げ底株価のアベノミクスの破綻と正体暴露がすすみ、加えて消費税10%増税は、経済の収縮をもたらし、それは貧富の格差拡大と貧困層の急増をもたらすことは必至であり、階級矛盾は厳しいものなる。
 
 こうした状況で2019年の闘いがはじまった。沖縄では、辺野古新吉建設工事のための土砂投入が、すさまじい弾圧体制の中で、強行されている。全国世論調査でも辺野古基地反対は多数を占めており、内閣支持率も下がった。だが安倍官邸とりわけ菅官房長官らは、沖縄の闘いおしつぶすために各種の圧力を一段と強めている。沖縄の闘いへの支援の輪を国の内外から広げていこう。県民投票、衆院補選から参院選沖縄区で勝利し、沖縄の基地反対の意思を示そう。
 原発の再稼働を許さず、脱原発社会の実現に向けて闘おう。
 春闘勝利、格差是正、あらゆる争議の勝利、闘う労組への弾圧を跳ね返えして闘おう。
 通常国会における改憲発議を阻止し、安倍改憲の野望を打ち砕こう。
 参院選では、野党共闘が決定的だ。すでに昨年末に6野党・会派の書記局長・幹事長が、「全国32の1人区での野党候補の一本化」が確認した。その方向をさらに複数区でも最大限実行していこう。
 安倍政治を終わらせるために共に闘い抜こう。


辺野古新基地建設反対!  土砂投入を許さない!

   
 全国へ、そして海外にも広がる沖縄の闘いへの支援・連帯の運動

 12月14日、多くの人びとの反対を無視して、沖縄差別の政策を続ける安倍政権は名護市辺野古沿岸の新基地建設のための土砂投入を強行した。辺野古新基地建設をめぐっては基地被害をはじめ環境悪化、絶滅危惧種など様々な問題が次々に出てきている。そしてあらたに大浦湾の「軟弱地盤」問題が暴露された。大浦湾側の護岸工事が、大幅に見送られて、工事着工の見込みは立たない。そうした状況での土砂投入である。このように基地建設工事の前にはさまざまな障害が立ちふさがっている。なにより、玉城デニー県知事を誕生させた沖縄県民の新基地絶対阻止の闘いだ。
 共同通信社の全国電話世論調査(12月15〜16日実施)によると、土砂投入開始について、移設を進める政府の姿勢を「支持しない」とした回答は56・5%で、支持は35・3%となった。同じ時期の朝日新聞の全国世論調査は、60%が「反対」、「賛成」は26%となった。

 怒りは全国ひろがり、北海道から九州まで各地での「辺野古への土砂投入強行を許さない」様々な緊急行動が組織された。
 東京でも、13日に防衛省や首相官邸に向けての抗議行動が行われた。
「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」と「止めよう!辺野古埋め立て国会包囲実行委員会」の共催で、防衛省前で緊急抗議行動をおこなった。主催者を代表して戦争をさせない1000人委員会の内田雅敏弁護士があいさつ。安倍政権はアメリカから100機をこえるF35戦闘機を購入し、また「いずも」の空母化を進めようとしている。沖縄には辺野古に新基地をつくろうとしている。辺野古新基地を作らせない闘いを強めていこう。
 立憲民主党から近藤昭一衆院議員、共産党の小池晃参院議員、社民党の福島瑞穂参院議員が、工事の強行を中断させるためともに闘おうと述べた。
 辺野古の海を土砂で埋めるな!首都圏連絡会は、12月12日から14日までの三日間首相官邸前座込み・抗議行動を行った。

 辺野古基地建設に反対する声は、日本国内だけでなく世界に広がっている。  辺野古基地建設を中止させるためのホワイトハウスの請願サイト「WE the PEOPLE」にむけた署名運動はすさまじい勢いで広がった。ハワイ在住の作曲家ロバート・カジワラさん(沖縄出身者の血を引く日系四世)などを呼びかけ人にして、昨年12月8日から始まり、署名は増え続けて20万筆を突破した。
 1月7日には、首都ワシントンのホワイトハウス前で、トランプ米大統領に辺野古新基地建設工事を止めるよう求める集会が開かれた。記者会見で、ロバート・カジワラさんは、ホワイトハウスからの回答を求めるとともに、これからも平和的で非暴力、民主的なやり方で沖縄の海を守りたいと述べた。


 辺野古土砂投入反対のひろがりに、安倍官邸は、厳しい立場に追い込まれている。
 安倍政権は、埋め立ての是非を問う県民投票に、沖縄自治体に強力な圧力をかけ、沖縄市、宜野湾市、宮古島市、石垣市、うるま市などに不参加を表明させた(36市町村では投票の予算措置がとられた)。玉城県知事は1月11日、「対話を通して市町村に協力を求めるとともに、地方自治法第252条の17の4規定に基づく是正の要求も検討してまいります」というコメントを発表した。地方自治法第252条の17の4規定に基づく是正とは、都道府県知事は、市町村が処理することとされた事務のうち自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるときなど、違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができるとされている。
 また安倍本人もデマを飛ばしている。「土砂を投入していくに当たってですね、あそこのサンゴについては、移しております。また、絶滅危惧種が砂浜に存在していたんですが、これは砂をさらってですね、これもしっかりと別の浜に移していくという、環境への負担をなるべく抑える努力もしながら行っているということであります」というが、これはまったく事実に反する。

 辺野古の闘いに呼応して、全国各地で、「辺野古の海への土砂投入・埋め立て工事を中止せよ。辺野古新基地建設の白紙撤回!」の行動を展開しよう。


またもデータ改ざん

   
  官僚組織の忖度・弱体化

 安倍政権の下で日本の官僚組織は崩壊的様相を示している。基本的なデータを改ざんしてまで、反動政治を推し進めるのが安倍の特徴だ。厚生労働省の「毎月勤労統計」もインチキだったのだ。この勤労統計は、国の「基幹統計」とされ、月例経済報告などの政府の経済分析や雇用保険の失業給付や労災保険など支給にかかわるきわめて重要なものだ。すでに、GDP統計の「雇用者報酬」(内閣府)のデータを修正せざるを得なくなった。
 そもそも勤労統計は従業員500人以上の事業所は全て調べなければならないが、2004年から東京都内の事業所は対象1400事業所のうち、約3分の2は調査していないという「不適切な調査」が続いてきた。ここに、さまざまなデータに細工を施す余地が生まれる。そして高級官僚の人事権を握った安倍政権への「忖度」があったという疑惑が生まれるのは当然のことだ。
 安倍の強権政治は至る所でほころびを見せ始めている。


原発事故汚染土の行方

     
政府の再利用・埋立処分方針はひどい、断固反対する

 東電福島第一原発の連続爆発事故は広範囲に放射性汚染物をまき散らした。汚染土は最大2200万立法メートルに上るという。環境省「再生資材化した除去土壌の安全な利用に係る基本的考え方について」は、汚染土について「全量をそのまま最終処分することは、必要な規模の最終処分場の確保等の観点から実現性が乏しいと考えざるを得ない」として、「放射能濃度を用途に応じて適切に制限した再生資材を、安全性を確保しつつ地元の理解を得て利用することを目指す。具体的には、管理主体や責任体制が明確となっている公共事業等における盛土材等の構造基盤の部材に限定し、追加被ばく線量評価に基づき、追加被ばく線量を制限するための放射能濃度の設定や覆土等の遮へい措置を講じた上で、特措法に基づく基準に従って適切な管理の下で限定的に利用することとする」とした。汚染土のうち8000ベクレル毎キログラム以下のもの(約1000万立法メートル)について、全国の公共事業や農地造成で利用できる方針を策定し、すでに福島県飯舘村長泥地区で除染土壌を農地造成に再利用するための実証事業を行っている。
 安倍政権は、広範囲にわたる汚染土の深刻な事態に対して十分な救済対応をすることなく、犠牲を被災者に強要しているのであり、絶対に許せない暴挙だ。

 12月23日、東京しごとセンター地下講堂で、飯舘村放射能エコロジー研究会、国際環境国際環境NGO FoE JAPAN、原子力市民委員会の主催で、「除染土はどこへ?〜環境省の除染土の再利用・埋め立て処分方針を問う」集会が開かれた。
 はじめに満田夏花さん(FoE JAPAN)が「除染土の再利用・埋立処分方針について〜放射能汚染防止法の制定を〜」について報告。除染土再利用・処分の「実証事業」は、「除染土再利用」は、福島県南相馬市で常磐道の盛り土材に使われている。除染土壌の再利用は最終処分が必要となる除染土壌の量を減少させることだ。用途先としては、道路・鉄道・海岸防災林・防潮堤の盛土材、廃棄物処分場の最終覆土材、中間覆土材、土地造成・水面埋立の埋め立て材、農地の嵩上げ材など があげられている。除染土の再利用・埋立処分は、環境中への放射性物質の拡散を許容することになる。たとえば、道路の盛り土として使った場合、100ベクレル毎キログラムまで減衰するのに170年かかる。一方、盛り土の耐用年数は70年だ。
 福島県飯舘村長泥地区では農地造成だ。しかし、福島県二本松市では事実上撤回した。このほかに、分級処理システムの実証事業を中間貯蔵施設で実施中だ。「除染土の埋め立て処分」は、茨城県東海村や栃木県那須町で実施されている。
環境省ウェブアンケート「あなたは除去土壌の再生利用について、その内容をどの程度ご存知でしたか?」では、「きいたことはなかった」「きいたことはあるが、内容までは知らなかった」が、福島県内でも半数を超え、その他の地方では圧倒的多数という結果が示されている。
 根本的な問題として、もともと環境中にとびちった放射性物質を律する法律がなかったことにある。だが、そもそも原発爆発事故が政府の「想定外」だったのだ。放射性物質汚染対処特措法はあるが、これは「規制」が目的の法律ではない。しかも、「除染」によるその場しのぎの対策に復興予算を流し続けたことが問題だ。
 必要なことは、放射性物質は「公害原因物質」として規制することであり、「放射能汚染防止法」制定が早急になされなければならいのだ。

 各地からの報告は三つ。佐藤俊一(みんなでつくる二本松・市政の会)は「環境省の『放射性汚染土壌再生利用』実証事業に待った―市民の声の広がりと運動でストップに」について報告。「原発事故で発生した放射性汚染物は、県内の中間貯蔵施設に集約し、30年後には県外最終処分する」―これが、被害を被ったすべての県民に国・政府が約束したことだ。ところが、中間貯蔵施設や最終処分地確保が困難で搬入量を減らすため、放射性汚染物を焼却し減容したり、汚染土を公共事業で再生利用したりする方針を、原発事故から僅か6か月後に決めた。環境省は、2017年12月に二本松市議会議員協議会で、二本松市原セ才木地区での実証事業について説明した。つづいて「『除去土壌の再生利用事業』について」と題する環境省環境再生・資源循環局名の回覧板が配布された。反対する市民たちは学習会を重ねるとともに、交渉などなまざまな行動を展開した。その結果、2018年6月25日に、環境省が二本松市役所に訪れ市長に「複数回の説明会において、風評被害への懸念など多数のご意見をいただいたことを踏まえ、現時点で事業着手ができておらず、農閑期の道路施行等、計画通り工程を進めるのが困難となったため、請負業者との契約解除に向け調整することとしたい」と述べた。そして、「実証事業」請負業者との「契約解除」を表明した。
計画をストップさせたのは、こうした市民の声と運動の広がりであり、今後、国は、国策として進めてきた原発の事故、国と東電は国民に再び犠牲を強いる再利用事業を撤回するとともに、原発ゼロを基軸とした施策、方策に力を注ぐべきである。
 つづいて、糸長浩司さん(飯館村放射能エコロジー研究会)が、「飯舘村・長泥地区での除染土壌の農地造成への再利用問題」について報告。飯舘村では2017年4月からの長泥地区を除く全村の避難解除され、村民の1割弱が帰村したが、それは帰村せざるを得ない状況があるからだ。それは2018年3月で各種の補償が切れ、帰村による生活を選択せざるを得ない高齢者たち、世帯主の人達による飯舘村の住宅・農地維持管理活動と村外の新住宅で生活再建という二地域居住の村民などだ。しかし、避難生活での疲弊感と帰村よる不安帰村は断念し村外での住宅取得による生活再建する村民がいる。
 除染により空間線量率は下がったが、土壌にセシウムは残っている。とくに山に残っている。こうした放射能汚染されたままの土を耕し、農産物をつくらざるをえない現実がある。
 このような放射能汚染状態は、東京電力による産業公害=放射能汚染公害で引き起こされたものであり、永続的な災害対処と大地及び人々への補償の責務がある。国は、国策として原子力発電政策で原発事故を起こさせた政策責任があり、永続的な補償がなされなければならない。
 田代真人さん(被曝と健康研究プロジェクト)は「原発汚染物を拡散しないで 栃木県・那須から政府の『除染土の再利用、埋立て処分』を問う」を報告。2018年2月1日に地元紙の「下野新聞」が「土に埋めていたフレコンバッグ入りの除染土を掘り返してバッグから出して土に直に埋め戻す」と報道した。那須町住民は、これで事態を初めて知った。
 環境省によると、原発事故のあと、福島県以外の東北と関東の7つの県の除染で出た土の量は、栃木県では2万3997か所に11万987立方メートル、千葉県では1631か所に10万1149立方メートル、茨城県では1035か所に5万4154立方b、宮城県では149か所に2万8694立方メートル、岩手県では312か所に2万6460立方メートル、埼玉県では48か所に7284立方メートル、群馬県では783か所に4602立方メートルが保管されている。それらは、処分の基準がないため、公園や校庭などに保管されたままになっている。
 つづいて、発言者に今中哲二さん(京都大学複合原子力科学研究所助教)、政野淳子さん(ジャーナリスト)が加わってパネルディスカッションが行われた。


昨年最後の19日行動

       
19年の闘いを確認

 戦争させない・9条壊すな!総がかり行動は、「(2015年)9月19日の戦争法『参議院強行採決』という暴挙を忘れず、必ず廃止する決意を込め、毎月『19の日』行動に全国でとりくみ」を行ってきた。
 12月19日、国会議員会館前で、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」と「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」の共催で、2800人が参加して2018年最後の19日行動が行われた。
 小田川義和さん(憲法共同センター)が主催者を代表してあいさつ―市民と野党の共闘をさらに強め、来年の参院選で勝利して、安倍内閣を退陣させよう。
 社会民主党の福島瑞穂参議院議員、共産党の山下芳生参議院議員、国民民主党の小宮山泰子衆議院議員、立憲民主党の山川百合子衆議院議員がともに闘いをひろげ、前進させよう、とあいさつした。
 一坪反戦地主関東ブロック、改憲問題対策法律家6団体連絡会、品川総がかり行動実行委員会がたたかいの報告を行った。
 行動提起は、高田健さん(戦争させない・9条壊すな!実行委員会)―来年は重要な闘いの年だ。1月19日に国会議員会館前「安倍9条改憲NO!辺野古新基地建設は断念を!安倍政権退陣!」行動、通常国会開会日の集会に取り組み、2月19日は国会正門前で大集会、そして5月3日には有明防災公園(での「平和といのちと人権を!5・3憲法集会―許すな!安倍改憲発議―」を改憲に反対する大きな集会を実現しよう。来年を安倍政権を打倒する年にしていこう。


郵政労契法20条東日本裁判・東京高裁判決

       地裁判決より前進を勝ち取る

                非正規差別是正闘争をさらに広げよう

 12月13日、東京高等裁判所第2民事部(白石史子裁判長)は、郵政・労契法20条格差是正訴訟(東日本裁判)の控訴審で、住居手当などで1審を上回る判決をだした。
 これは日本郵便で働く郵政ユニオン組合員の期間雇用社員3名が同じ業務の正社員との手当や賞与の格差は労働契約法20条に違反すると訴えていた裁判であり、東京地裁で勝利の判決(2017年9月14日)が出されていた。
 今回の高裁の判決は、地裁で減額されていた年末年始手当と住居手当の損害賠償を全額認めるなど約170万円の支払いを日本郵政に命じるものである(住居手当は地裁6割支給から高裁10割支給へ、年末年始勤務手当は地裁8割支給から10割支給へ)。
 しかし、一方、正社員と4〜5倍近い格差がある賞与について、東京高裁は「業績等を踏まえた労使交渉により支給内容が決定される」として格差是正の訴えを退けた。だが、これは、労使自治の名のもとに、企業に大幅な裁量権を認めるものとなっており、同一労働にもかかわらず格差を容認する不当な判断である。

 判決当日は、早くから傍聴券(抽選)を求めて多くの郵政ユニオン組合員や支援の労働者・市民が駆け付けた。裁判所前での集会では、原告の宇田川朝史さん、浅川喜義さんが「全員勝訴」「前判決より前進」の旗をもって、もりあがる報告集会が開かれ、「勝利したぞ」の歓声が上がった。
 つづいて議員会館での報告集会が開かれ、原告、郵政ユニオン組合員をはじめ、労契法20条裁判をともに闘う労組や市民団体、政党からの発言があり、東日本裁判の最高裁への上告、そして1月24日の大阪高裁での西日本裁判の勝利に向けて団結を固めた。

 郵政産業労働者ユニオンと労契法20条格差是正訴訟原告弁護団は「日本郵便株式会社・労契法20条格差是正訴訟2018年12月13日高裁判決にあたっての声明」(別掲)で、「被告会社は本判決を真摯に受け入れ、非正規社員と正社員との労働条件の格差を是正するために、直ちに労働組合との団体交渉の席に着いて労使交渉を始めること」を強く求めた。

 郵政の闘いでの成果ををふまえて、非正規格差是正にむけての、さらなる戦線の拡大を実現しよう。

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日本郵便株式会社・労契法20条格差是正訴訟2018年12月13日高裁判決にあたっての声明

2018年12月13日

 郵政産業労働者ユニオン
 労契法20条格差是正訴訟原告弁護団


本日、東京高等裁判所第2民事部(白石史子裁判長)は、期間雇用(非正規)社員である原告3名が不合理な労働条件の是正を求めて日本郵便株式会社を提訴した事件の控訴審において、年末年始勤務手当および住居手当を期間雇用社員には支給していないこと、そして有給の病気休暇について、原告一人に付与していないことは不合理な格差であるとして、会社に原告らに対する損害賠償を命じる内容の判決を行った。
 原判決は、原告らが格差是正を求めていた労働条件のうち、@年末年始勤務手当について正社員の支給額の8割、A住居手当について同じく6割を損害と判断し、他に判決の理由の中でB夏期冬期休暇とC有給の病気休暇を取得させないことは不合理な労働条件の相違であるとしたが、年末年始勤務手当と住居手当をそれぞれ8割と6割とし、夏期年末手当(賞与)等その他の手当の格差について不合理と認めなかった点で、問題の残る判決となった。
 控訴審において原告らは、原判決が不合理と判断しなかった夏期年末手当(賞与)について、原告らと比較対象とすべき正社員の夏期年末手当(賞与)の金額を実際に示したうえで、最小でも5・1倍、最大で16・78倍もの開きがあることを主張し、夏期年末手当(賞与)が過去の功績を考慮要素とする手当であるにもかかわらず、あまりにも大きな格差が生じていることを立証した。また、時給制契約社員である原告らには、有給の病気休暇が与えられていないため、病気にかかった場合にも生活を考えて休むことを躊躇し、無理をしてでも出勤するか、年休を使って欠勤を最大限に抑える努力をするなど、原告らが体調回復に専念すべき状況であっても、常に失業への不安を抱え、多大な苦痛を強いられてきたことについて、改めて主張を行った。さらに、原告ら期間雇用社員は、最繁忙期である年末年始や過酷な勤務となる真夏の時期にも正社員と同様にシフトに組み込まれているにもかかわらず、正社員には付与されている夏期冬期休暇も付与されず、家族と過ごす時間等の休息や慰労の機会を著しく制限されてきたことによる損害についても、厚く主張を補充した。
 これに対し、被告日本郵便は、原判決で新人事制度以降の原告らとの比較対象とされた新一般職においても「長期雇用のインセンティブ」を付与する必要があるため、様々な種類の手当や休暇などの労働条件についての相違は、不合理ではなく、原判決で不合理であるとされた住居手当及び年末年始勤務手当についての判断は、取り消されるべきであると主張した。また、有給の病気休暇及び夏期冬期休暇についても、期間雇用(非正規)社員が臨時的労働力であることを強調し、これらの相違も不合理でない旨主張した。
 本日の判決は、原告らが格差是正を求めていた労働条件のうち、年末年始勤務手当及び住居手当の正社員との格差全額の損害賠償及び有給の病気休暇を付与していないことによる損害賠償を認め、原判決を前進させた。
2017年9月14日に原判決があって以降、労働契約法20条に基づく判決が複数出されたが、有給の病気休暇の格差に損害賠償を認めた判決は、本判決が初である。本判決は、非正規労働者の労働条件格差を是正していくための前進といえる判決である。
 被告の日本郵便株式会社は、約20万人の正社員に対してほぼ同数の約19万人の期間雇用社員が働く大企業である。民間の大企業で働く非正規労働者の格差を是正する本判決が出たことは、非正規雇用の増大と格差が広がるわが国の雇用社会に与える影響力が大きいものといえる。
 郵政産業労働者ユニオンは正社員だけではなく、原告らのような非正規労働者も積極的に組織化し、労働条件の格差是正を被告会社に求めてきた。本日の判決は、正社員も非正規社員もともに一致団結して闘ってきた労働組合運動の大きな成果である。
 もっとも、本判決は、夏期年末手当(賞与)について、不合理な格差であることを認めず、未だ非正規社員と正社員との大きな格差を是認するものである等、不十分な点を残している。この点について、原告らは改めて格差是正を求めて、上告する。
 被告会社は本判決を真摯に受け入れ、非正規社員と正社員との労働条件の格差を是正するために、直ちに労働組合との団体交渉の席に着いて労使交渉を始めることを強く求める。 以上


「AI世界恐慌」の淵に立つ世界経済とアベノミクス

「AI恐慌」を警告する「東ロボくん」開発の責任者

 昨年ベストセラーになった本に「AI vs 教科書が読めない子どもたち」(新井紀子著 東洋経済新報社)がある。著者は数学者で東大合格を目指すAI「東ロボくん」の研究開発の総括責任者を務めた。
 「AIが神になる」「AIが人類を滅ぼす」「シンギュラリティ(AIが人類の知性を超える技術的特異点)が到来する」などの流行りの議論に著者はいずれも「到来しない」と明確に否定している。その根拠についてAIは「問題文が読めない」「文脈を理解できない」など問題の意味が分らないままビッグデータを検索・学習して計算力によって統計的に近似の回答を導き出す能力しかないとし、結局AIは、東大に合格できる程度の読解力を身に着けることは不可能と判断され、「東ロボくん」の開発は凍結された。 しかし「東ロボくん」は東大には合格できないが「MARCH(明治・青学・立教・中央・法政)」レベルの有名私大には合格できる偏差値に達していることも判った。そしてAI化により今後「全雇用者の半数が仕事を失う」というオックスフォード大学の研究チームが予測した例を示して「人間の仕事の多くがAIに代替される社会がすぐそこに迫っている」と指摘している。
 AIが人間の仕事を奪う時代は「労働市場は深刻な人手不足に陥っているのに、巷間には失業者や最低賃金の仕事を掛け持ちする人々が溢れている。結果、経済はAI恐慌の嵐に晒される」そして同様なことが20世紀初頭に起きたとし「ベルトコンベアの導入で工場がオートメーション化される一方…工場労働者はホワイトカラーとして働く教育を受けておらず、多くの工場労働者が仕事を失い、それが大恐慌の遠因なった」として「最悪のシナオリ」がありうると警告している。

AIと機械の新たな労働手段としての共通性


 今日のAI化の進展は資本主義勃興期における機械(新たな労働手段)の登場を想起させる。マルクスは「なにがつくられるかではなく、どのようにして、どんな労働手段でつくられるかが、いろいろな経済的時代を区別するのである」(資本論 第3巻第5章)と述べている。機械こそ封建制を変革し資本主義をもたらしたのである。
 そして「この生産様式(資本主義)にとっては、…労働者の絶対数を減らすような、すなわち、国民全体にとってその総生産をよりわずかな時間部分で行なうことを実際に可能にするような、生産力の発展は、革命をひき起こすであろう。なぜならば、それは人口の多数を無用にしてしまうだろうからである。この点にもまた、資本主義的生産の独自の制限が現れており、また、資本主義的生産がけっして生産力の発展や富の生産のための絶対的な形態ではなく、むしろある点までくればこの発展と衝突するようになるということが現れている。
 部分的にはこの衝突は周期的な恐慌に現れるが、このような恐慌が起きるのは、労働者人口のあれこれの部分がこれまでどおりの就業様式では過剰となるということからである」(資本論 第3巻第15章)とするマルクスの指摘は今日におけるAI恐慌の可能性を示している。

乱高下する株式市場と買い支える日銀

 さて昨年末、大幅減税や公共投資・軍事費の増額などによるトランプ相場と囃され上昇を続けていたアメリカNY株式市場は12月としては大恐慌以来最悪の株価下落率近づく大幅な株安となった。
 また10月の史上最高値(2万6828ドル)から下落率約19%は、高値から20%下がることが指標である「弱気相場」に近づいた。日本においてもアベノミクスによる異次元の金融緩和で異常な高値を付けてきた日経平均株価は12・25に2008年のリーマン・ショック直後の一日の下落率4・9%を上回る5%(1048円)の下落を記録した。年末から株価は持ち直したが、日銀による上場投資信託(ETF)を通じた日本株の2018年の買い入れ額が過去最高の6兆5040億円となったことがその背景にある。
 しかし中央銀行による株買い上げは主要国ではどこもやっていない異例な政策であり、日銀のETF保有残高は23兆円を超え日本市場の時価で4%上っている。また日銀保有株式の簿価(保有ETF昨年11月末)は日経平均にすると1万8434円となっておりこれを下回った場合、日銀が債務超過となる官製相場のリスクは増大した。

膨れ上がった株式・金融バブルは縮小は可能か


 アメリカなど主要国はリーマン・ショックの危機から逃れる為に量的金融緩和(QE)を続けてきたが、異常な株高や不動産・仮想通貨の騰貴など副作用が大きくなり昨年、米連邦準備理事会(FRB)は4回の利上げを行うなど量的引き締め(QT)が米欧の主流となってきている。そのため「世界の株式市場では昨年初めの85兆ドル(約9400兆円)と過去最高に膨らんだ世界の株価総額は足元で67兆ドル(約7500兆円)と2割減った。」(日経18・12・29)しかし日米欧の3中銀の合計資産規模は14兆ドル強と10年前の4倍に膨張しており今後縮小局面に入るとはいえ異常な高水準となっている。
 また国際金融協会によれば世界の政府・企業・家計の債務残高は18年6月時点で247兆ドル(2京7400兆円)と10年前の1・4倍、2017年の世界のGDPは約79・9兆ドルありGDP比で約3.2倍と債務は激増している。近年主要国の経済成長率が鈍化する中で、QEを縮小し巨額の累積債務を減少させることは極めて大きなリスクとなっている。

矛盾の先送りが限界に近づく

 今回の株式市場の大幅な下落について「グリッチ(瞬間的な不調)に過ぎない」(トランプ大統領)「コンピューターの自動取引の結果」と楽観視する報道が溢れているが世界経済の巨大な不均衡が激化し表面化したものであって一過性のものとは言えない。その根源的要因の一つは、「生産と消費の矛盾」である。利潤追求のために労働者への消費制限と「生産のための生産」に突き進む資本主義は、過剰生産を引き起こしてきた。この過剰生産を国債発行による政府の債務拡大(ケインズ主義的軍事生産と公共投資等)によって回避することを長年繰り返した結果が、主要国の膨大な累積債務となった。この累積債務削減を目的に新自由主義・財政緊縮策が一時期席巻したが、勤労者を犠牲にする政策は行き詰った。それによりアベノミクスの「異次元緩和」の出現となったが、本来禁じ手である日銀による国債と株の爆買いの限界が、株の乱高下として露わになってきている。

覇権国家アメリカの衰退

 混迷を深める世界経済に陥った大きな要因に戦後最大の覇権国として世界に君臨してきたアメリカ帝国主義の衰退がある。世界のGDPに占めるアメリカの比率は1970年31・6%が2017年には24・3%まで低下した。一方中国など新興国のBRICSは21・9%まで増加している。アフガニスタン・イラク侵略戦争の失敗、トランプ政権による露骨な自国最優先の「一国主義」により覇権の衰えは著しい。INF条約脱退・米中貿易戦争・日米FTA交渉などその傾向は強まり世界経済の混乱を鎮静化する影響力は一段と低下していくことになる。

資本主義の矛盾が収斂する時代の到来


 資本主義の成立以来2世紀あまりが経た現在、@「生産と消費の矛盾」の結果としての膨大な累積債務A世界最大の覇権国としてのアメリカ帝国主義の衰退B新たな労働手段AIの発展等の根源的・構造的矛盾が複合的かつ同時代的に表出はじめている。加えて景気循環の波の拡大期間が9年続いているアメリカとアベノミクスの7年続くとされる低成長の景気回復局面が、今年いずれも下降局面に突入する可能性が高いと予測される。今後米中貿易戦争やイギリスのEU離脱などにより世界的大混乱が起きれば巨大な不均衡に対する市場による暴力的な調整は現実化する。
 私たちは来るべき暴風雨に備え、勤労者・市民の闘いと団結の拡大を目指す道を歩むのみである。(関 孝一)


原発事故は人災だ!  東電旧経営陣は巨大津波を予知できた

         
 原発推進責任者に刑事責任を取らせなければならない

 東電福島第一原発事故の責任は、電力会社と政府にあるのは当然である。福島県民をはじめ全国で多数の人びとが、東電幹部や経産省保安院幹部などを刑事告訴したが、検察庁は2度に渡り全員不起訴の処分を出した。
 この全く不当な判断はいっそうの怒りをひろげ、市民からなる検査審査会が2度にわたって、東京電力の旧経営陣3名(勝俣恒久元会長、武藤栄、武黒一郎両元副社長)を起訴すべきという議決を出した。2017年6月30日に初公判が開かれ、東京地方裁判所で審理が続いている。起訴理由は、津波対策を取らなかったことによって福島原発事故を引き起こし、原発事故によって福島県大熊町の病院の入院患者に避難を余儀なくさせ44人を死亡させたなどとして、業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴されたが、3人ともに無罪を主張している。
 事故を予見することができたかどうか、対策を講じることによって事故を防ぐことができたかどうかが問われている裁判だ。
 2002年に政府の地震調査研究推進本部は三陸沖で発生する可能性のある地震について長期評価をおこなった。そこでは、1896年6月15日の明治三陸地震は、マグニチュード8・2〜8・5の巨大地震であり、海抜38メートルをこえる津波が発生し、甚大な被害を与えた。長期評価は、明治三陸地震等と同規模の地震が発生した場合の影響について、福島第1原発に15・7メートルの津波が到達するとした。
 東電社内でも「土木調査グループ」社員らが、津波が10メートルを超えれば、非常用電源装置が水没し、全電源喪失となることを指摘していた。これは、武藤、武黒両被告にも報告され、津波対策を講じるべきとの意見を述べていた。だが意見は無視され、対策はなされることはなかった。

 12月26日の第35回公判では、指定弁護士が論告を行った。論告は、福島原発事故と同種事件として、川治プリンスホテル事件(45名死亡22名負傷)が禁固2年6月の実刑、ホテル・ニュージャパン事件(32名死亡24名負傷)が禁固3年の実刑だったことを挙げ、東電刑事訴訟では被告人らは全く責任を負うものではないとして何らの反省の態度を示すことがなく「被告人に有利に斟酌する事情は何ひとつない」として、3人に禁固5年の求刑を行った。

 12月27日に第36回公判が行われ、死亡した患者の遺族の弁護士が最終的な意見を述べた―すでに35回の裁判での証言やメール、東電社内の資料などを証拠として、第一原発が想定される津波に対して十分な安全性を有していないことを熟知しながら、工事コストがかかるなどが経営に悪影響を懸念して必要な対策を講じなかったことは、明らかである。津波の高さについても福島県民、県、国に秘密にし続けた。指定弁護士の求刑通りに処罰するよう求める。

 次回の弁論は、3月12日、13日に行われる。

 東電原発事故は人災だ。二度とこうした悲劇を起こさせないためにも、原発推進の責任者たちは厳しい罰を受けるべきだ。


せ ん り ゅ う

    億光年むかし昔に夢をみる

      神さまか象徴さまかいらぬこと

    いかりもて辺野古で初日座り込み

      美ら海まもれ怒りもて理想もて

    氷山一角弱肉強食のゴーン

      たたけばゴーンとうなる金

                   ゝ 史

2019年1月


複眼単眼

    
  年頭に安倍晋三が見る改憲の夢

 年頭の安倍晋三首相の発信に奇妙なことが起きている。
 1月1日に公表された「年頭所感」には、安倍首相が本年最大の政治課題にしているはずの改憲問題が一言も触れられていない。さまざまな外交日程を並べたてて、「日本が世界の真ん中で輝く年」にするなどと言うばかりだ。地球は丸いのだから、世界のどの国でも「真ん中」だと言えばいえる。まさか、メルカトール図法の世界地図で日本を真ん中に置いて、「世界の真ん中」などと幼稚なことを言うのではあるまい。この言葉と一体の度し難いナショナリズムには吐き気がする。
 つづいて1月4日、伊勢神宮で行った「年頭記者会見」では、その主文にあたる「冒頭発言」部分では改憲について全く触れなかった。そして「私からは以上です」と締めくくった後、何人目かの記者との質疑応答でのみ憲法問題を語ったのだ。
 昨年は冒頭発言で改憲についてこう語っている。
 「来年に向かって私たちがどのような国づくりを進めていくのか。この国の形、理想の姿を示すものは憲法であります。戌年の今年こそ、新しい時代への希望を生み出すような憲法のあるべき姿を国民にしっかりと提示し、憲法改正に向けた国民的な議論を一層深めていく。自由民主党総裁として、私はそのような1年にしたいと考えております」と。
 この変化が安倍改憲にとって、何を意味するのか。
 いずれにしても、今年の年頭会見が安倍改憲の迫力を欠いたものとなったことだけは確かだ。
 今年の安倍首相の年頭記者会見での憲法に関する質疑応答の部分は以下のようになっている。
 「憲法についてでありますが、憲法は、国の未来、そして国の理想を語るものでもあります。本年は、皇位継承が行われ、我が国で初のG20サミットが開催され、世界中の首脳が日本に集まります。
 そして、ラグビーのワールドカップ、2020年には東京オリンピック・パラリンピック、新しい時代の幕開けに当たり、私たちはどのような国づくりを進めていくのか。この国の未来像について議論を深めるべきときに来ていると思います。
 憲法改正について、最終的に決めるのは、主権者たる国民の皆様であります。だからこそ、まずは具体的な改正案を示して、国会で活発な議論を通じ、国民的な議論や理解を深める努力を重ねていくことによって、また、重ねていくことが選挙で負託を受けた私たち国会議員の責務であろうと考えています。
 国会において活発な議論がなされ、与党、野党といった政治的な立場を超え、できる限り広範な合意が得られることを期待しています」。
 またも安倍の勘違いの持論である「憲法」論ではじまる。「憲法は、国の未来、そして国の理想を語るものでもあります」などといって、「もので『も』」ということで、憲法は権力制限規範という指摘にも対応したつもりかもしれないが、安倍首相の憲法観のいい加減さが再び立ち現れている。
 そのうえで年頭所感に通じる「世界の中の日本」を論じたうえで、国会に改憲論議の加速を訴えている。
 なんとも迫力のない発言だ。もしかしたら安倍首相は自らが2017年5月3日に発言した「2020年までの新憲法施行」の目標の重さにおののいているのではないか。
 その真相はどうあれ、私たちにとっても、この信念は改憲阻止闘争の正念場だ。
まずは通常国会における改憲発議を阻止すること、そのうえで7月の参議院選挙で安倍改憲に反対する野党の議席を3分の1以上にして、発議を阻止することだ。
私たちに勝機はある。(T)