人民新報 ・ 第1374号<統合467号(2019年6月15日)
  
                  目次

● 共通政策を確認、一人区での候補統一をはじめ野党共闘強化

              参院選勝利へ!  安倍内閣を打倒しよう

● 秘密保護法廃止! 共謀罪法廃止!

              EU一般データ保護規則(GDPR)と日本の個人情報保護法

● 朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!

              韓国ゲストを迎えて、集会・デモ・シンポジウム
● 
あらゆるハラスメントの包括的な防止・規制を

              雇用共同アクションが国会行動

● 女性差別撤廃条約選択議定書をただちに批准せよ

              女性差別撤廃条約実現アクション 批准を求める請願署名提出・院内集会

● 「100年安心年金」はウソ

              株価支えの年金積立金

● せ ん り ゅ う

● 複眼単眼  /  消えた「2020年改憲施行」

● 夏季カンパの訴え  労働者社会主義同盟中央委員会





共通政策を確認、一人区での候補統一をはじめ野党共闘強化

              参院選勝利へ!  安倍内閣を打倒しよう


 トランプは来年大統領選挙にむけて「アメリカ第一主義政策」を強め、そのために世界の矛盾がより強まっている。米政権は、イラン、北朝鮮、ロシア、中国だけでなく、中南米、ヨーロッパなどとも対立を強めている。アメリカのやり方は世界の不安定さを増幅させ、多くの国々、多くの人びとの反感は増大している。こうした事態のなかで、米帝国主義の世界覇権体制の動揺と世界の多極化の趨勢が見て取れるようになった。
 にもかかわらず、安倍政権は、トランプの忠犬よろしく、アメリカの政治・経済・軍事の世界戦略のなかで積極的役割を果たすべく行動している。それは、同時に、日米経済交渉においても、米側の要求に従い、トランプへの忖度のため、大量の米国製兵器を買い込むまでしていることと裏腹の関係にある。欠陥機であるF35やハワイ、グアム防衛のためのイージス・アショアなどの「爆買い」はその典型だ。
 ここにきて、安倍政治の行き詰まりは顕在化しつつある。外交面では、安倍自身の手でやり遂げると豪語していた対ロ「北方領土返還」交渉の進展はまったく望めなくなった。日韓関係の悪化は深化している。米朝関係の急変に動転した安倍はその内閣の「最重要課題」とした「拉致問題」解決のために、これまでの対北朝鮮敵視政策をしまい込んでの金正恩委員長との直接会見を求めたが、拒否されてしまった。また中国の提唱する「一帯一路」構想への参加問題でもはっきりした態度がとれていない。にもかかわらず、トランプの特使然としてイランを訪問して、イランと米国の関係を取り繕くろおうなどとしている。
 国内的には、たのみのアベノミクスの結果は、格差拡大・貧困化がとまらず、日本経済そのものの失調が表れている。少子高齢社会の到来の中で、様々な深刻な課題が浮かび上がってきた。最近の金融庁「高齢社会における資産形成・管理」の発表は、「100年安心年金」の言い分の崩壊、高齢世帯の「2000万円不足」への世間の注目、野党の攻勢となり、安倍政権を窮地に追い詰めている。安倍政権の沖縄差別の理不尽な政策に、沖縄ではオール・オキナワの行動が強められ、それに連帯する全国各地の運動が広がっている。
 なにより、安倍の「2020新憲法施行」の展望が、たたなくなってきている。自民党などは、今国会で、憲法審査会の開催、国民投票法改正、自民党案の提示などをもくろんできたが、改憲反対運動の全国的展開と立憲野党の奮闘で、かれらの予定どおりには進んでいない。
 安倍は、国会会期延長、消費税増税延期を争点に衆院解散で衆参ダブル選挙などという例の姑息なたくらみを画策してきたが、それらも難しいものになりつつある。だが、油断もできない。

 いま、長年の自民党政治によって日本社会の状況は課題山積の様相を示している。いままさに安倍政治を終わらせるべき時である。
 そのため、この夏の参院選での目標は、これまでの市民と野党の共闘の成果をうちかため、一人区での立憲野党候補者の一本化をはじめ、各選挙区での効果的な協力を進め、少なくとも改憲勢力議席の三分の二を覆さなければならない。さらに多くの立憲野党候補の勝利を実現していかなければならない。
 自民党の参院選公約は、外交・防衛政策では「日米同盟をより強固にし、揺るぎない防衛力を整備する。地球儀を俯瞰する外交をさらに進める」「中国の急激な軍拡や海洋進出など、北朝鮮の核・ミサイル開発などに対し、領土・領海・領空を断固守る。日米同盟や友好国との協力を不断に強化し、抑止力の向上を図る」などとし、憲法では、2020年安倍憲法施行は消えたが、「憲法改正原案の国会提案・発議をし、国民投票を実施し、早期の憲法改正を目指す」としている。

 5月29日、国会で、安倍政権打倒をめざしての協力・協定が確認された。立憲民主党・国民民主党・共産党・社会民主党・社会保障を立て直す国民会議の立憲野党4党1会派は、参院選1人区で野党統一候補を擁立することで合意しました。また、共通政策についても、13項目にわたる「立憲野党4党1会派の政策に対する市民連合(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)の要望書」(別掲)に立憲野党4党1会派の党首が署名した。
 この共通政策、市民と野党に協力で、参院選に勝利し、安倍改憲・暴走政治を終わらせよう。

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立憲野党4党1会派の政策に対する市民連合の要望書

 来る参議院選挙において、以下の政策を掲げ、その実現に努めるよう要望します。

だれもが自分らしく暮らせる明日へ

  1 安倍政権が進めようとしている憲法「改定」とりわけ第9条「改定」に反対し、改憲発議そのものをさせないために全力を尽くすこと。
  2 安保法制、共謀罪法など安倍政権が成立させた立憲主義に反する諸法律を廃止すること。
  3 膨張する防衛予算、防衛装備について憲法9条の理念に照らして精査し、国民生活の安全という観点から他の政策の財源に振り向けること。
  4 沖縄県名護市辺野古における新基地建設を直ちに中止し、環境の回復を行うこと。さらに、普天間基地の早期返還を実現し、撤去を進めること。日米地位協定を改定し、沖縄県民の人権を守ること。また、国の補助金を使った沖縄県下の自治体に対する操作、分断を止めること。
  5 東アジアにおける平和の創出と非核化の推進のために努力し、日朝平壌宣言に基づき北朝鮮との国交正常化、拉致問題解決、核・ミサイル開発阻止に向けた対話を再開すること。
  6 福島第一原発事故の検証や、実効性のある避難計画の策定、地元合意などのないままの原発再稼働を認めず、再生可能エネルギーを中心とした新しいエネルギー政策の確立と地域社会再生により、原発ゼロ実現を目指すこと。
  7 毎月勤労統計調査の虚偽など、行政における情報の操作、捏造の全体像を究明するとともに、高度プロフェッショナル制度など虚偽のデータに基づいて作られた法律を廃止すること。
  8 2019年10月に予定されている消費税率引き上げを中止し、所得、資産、法人の各分野における総合的な税制の公平化を図ること。
  9 この国のすべての子ども、若者が、健やかに育ち、学び、働くことを可能とするための保育、教育、雇用に関する予算を飛躍的に拡充すること。
  10 地域間の大きな格差を是正しつつ最低賃金「1500円」を目指し、8時間働けば暮らせる働くルールを実現し、生活を底上げする経済、社会保障政策を確立し、貧困・格差を解消すること。また、これから家族を形成しようとする若い人々が安心して生活できるように公営住宅を拡充すること。
  11 LGBTsに対する差別解消施策、女性に対する雇用差別や賃金格差を撤廃し、選択的夫婦別姓や議員間男女同数化(パリテ)を実現すること。
  12 森友学園・加計学園及び南スーダン日報隠蔽の疑惑を徹底究明し、透明性が高く公平な行政を確立すること。幹部公務員の人事に対する内閣の関与の仕方を点検し、内閣人事局の在り方を再検討すること。
  13 国民の知る権利を確保するという観点から、報道の自由を徹底するため、放送事業者の監督を総務省から切り離し、独立行政委員会で行う新たな放送法制を構築すること。

 2019年5月29日

 私たちは、以上の政策実現のために、参議院選挙での野党勝利に向けて、各党とともに全力で闘います。

 安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合

 上記要望を受け止め、参議院選挙勝利に向けて、ともに全力で闘います。

 立憲民主党代表   枝野幸男
 国民民主党代表   玉木雄一郎
 日本共産党委員長   志位和夫
 社会民主党党首  又市征治
 社会保障を立て直す国民会議代表  
野田佳彦


秘密保護法廃止! 共謀罪法廃止!

        
EU一般データ保護規則(GDPR)と日本の個人情報保護法

 6月6日正午から、衆議院第二議員会館前で、「秘密保護法廃止!共謀罪法廃止!12・6-4・6を忘れない6日行動」が行われた(2013年12月6日―秘密保護法成立、2017年4月6日―衆院で共謀罪が審議入り)。
 主催者を代表して海渡雄一弁護士があいさつ。秘密保護法、共謀罪法が成立させられていらい、ずっと闘いが続いてきている。これからも粘り強く廃止に向けた運動を広げていこう。
 国会からは、立憲民主党の逢坂誠二衆議院議員、共産党の藤野やすふみ衆議院議員がともに闘おうとあいさつした。
 総がかり行動実行委員会、全国空襲被害者連絡協議会、秘密保護法廃止をめざす藤沢の会、共通番号いらないネット、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)、国民救援会、盗聴法に反対する市民連絡会からの発言がつづいた。
 参加者は、国会向けて秘密保護法廃止!共謀罪法廃止!のコールをあげた。

 午後2時半からは、衆議院議員会館会議室で、三木由希子さん(情報公開クリアリングハウス理事長)が「GDPRと個人情報保護法」と題して講演した―GDPRは、EUが2018年5月に制定した一般データ保護規則のことであり、日本の個人情報保護についての関係も深い。個人情報の保護に関する法律は2005年4月1日に全面施行され「この法律は、…個人情報の適正な取扱いに関し、基本理念及び政府による基本方針の作成その他の個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めることにより、個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする」―。
 社会生活を送る上では個人情報を第三者が利用することは不可欠であり、より個別・特化したサービス提供を受けるときは、多くの個人情報の提供が必要になる。例えば、社会福祉サービス・支援・援助・医療やオーダーメイドのサービス・商品提供を受けたりする時だ。しかし、利便性が増す一方を追求すれば、個人情報の提供という他方を犠牲にせざるを得ないという状態であるトレードオフが強化される。しかし、個人情報がどう扱われるかよりも、サービス利用が優先されている。行政サービスの場合であれば、代替性が基本的にないので強制・義務になる。
 GDPRと個人情報保護法には違いがある。GDPRの対象は官民全体だが、個人情報保護法では民間事業者だ。GDPRは、本人に通知義務(本人が通知を受ける権利)がある。本人から取得していない場合は、データの出所も通知義務の対象だ。個人情報保護法では、本人への通知ないし公表を利用目的・利用目的変更・共同利用について義務づけており、保有個人データについて事業者名、利用目的、本人開示等に応じる手続、苦情の申し出先の公表義務がある。しかし、開示義務はない。
 罰則の面では、GDPRは制裁金がある。個人情報保護法には刑事罰はあるが、罰金はない。これでは、違反してもたいした損失にはならない。
 ヨーロッパ的考えは、人権的観点からのデータ主体の権利保障としてGDPRがあり、個人情報の取り扱いに対する本人の関与の度合いが強い。日本では、私事には立ち入らないが、理由があって個人情報を取扱う場合は、個人の権利利益は尊重するが、利用重視とされる。しかも日本では、個人情報保護が経済重視の成長戦略として語られる。
 ヨーロッパでは、「データによる自己」から個人の尊厳の確保が語られており、GDPRによる個人情報取扱いへの本人関与強化、履歴データから人物像を描くプロファイリングの規制、「忘れられる権利」などが強調される。日本では、国内事業者保護・育成と個人データ利用の促進という成長戦略を基本にしており、そのためのプライバシー保護議論だ。
 このように、いまわが国で議論されていることには多くの問題点がある。根本には、個人データの活用による経済活動強化が議論のベースになっている。徐々に個人の権利の強化も考慮されつつあることはあるが、しかし、本人の個人情報取扱いに関する関与が不十分である。それは、個人情報の収集・取得の段階での本人同意が原則になっていないことからくる。書面で収集する場合のみ、利用目的を明示すればよいとされる。そのうえ、「同意」されたことを確認する要件がない。すなわち本人が理解している状態がかならずしも確保されていないのである。しかも名簿業者は、直接本人からでないどこからか手に入れたかを明らかにしない。
 個人情報保護法は、3年ごと見直しされることになっていて、今年3月には、「検討の中間整理」が出された。ポイントは次のようなものだった―利用停止等(違法な個人情報の取扱いに対するもの)について、個人の権利の範囲を広げる方法を検討。消去についての実務上の問題点の検討。名簿業者対策の検討。漏えい等に関する報告・通知義務の検討(事業者、報告を受ける監督機関のコスト過剰の可能性を課題)。「仮名化」の検討。個人情報にひもづいていないクッキーの扱いの検討。個人情報保護法制の一本化などだ。
 しかし、欠落し不十分な論点として、要配慮個人情報の取扱い、プロファイリング規制、異議を述べる権利、何を個人情報とするかという定義、匿名加工情報としての利用についての本人意思の反映、監視機関の機能強化(公的機関、特に高度に秘密保護されている公的活動)などであるが、すでにGDPRにはそうした観点の多くが含まれている。


朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!

           
韓国ゲストを迎えて、集会・デモ・シンポジウム

 朝鮮半島を軸に東アジアで、大きく平和のうねりが生じている。日韓をはじめ東アジアの民衆連帯を大きく広げて、平和の流れを促進しよう。

 6月7〜8日、「朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を! みんなの願いを一つに集まろう! 市民連帯行動」が行われた。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会、3・1独立運動100周年キャンペーンなどによる実行委員会で、スローガンには、東北アジアに非核・平和の確立を!安倍政権は平和の流れを邪魔するな!日本政府は核兵器禁止条約を支持し、批准を!加害の歴史を直視し、過去の清算を!日本軍「慰安婦」課題、徴用工課題の解決!日朝国交正常化を!在日韓国・朝鮮人の人権の確立!、が掲げられた。
 主催者を代表して、総がかり行動実行委員会の高田健さんがあいさつ。安倍内閣は、アメリカの戦争勢力と呼応して、逆流を起こしている。立憲野党5党派の政策に対する市民連合の要望書による共通政策には「東アジアにおける平和の創出と非核化の推進のために努力し、日朝平壌宣言に基づき北朝鮮との国交正常化、拉致問題解決、核・ミサイル開発阻止に向けた対話を再開すること」が入った。市民と野党の共闘で参院選に勝利し、安倍内閣は早期に退陣させよう。
 韓国ゲストの、キム・ヨンホさん(東アジア平和センター理事長)、オム・ミギョンさん(民主労総副委員長)があいさつ。東京朝鮮中高級学校生徒の皆さんの楽器演奏とアピールがあり、日本側からは湯浅一郎さん(ピースデポ代表)、北原みのりさん(作家)、中村元気さん(日朝国交正常化連絡会)が発言した。
 集会を終えて、サウンド銀座デモが出発した。 

 翌8日には、星陵会館でのシンポジウムが行われた。小田川義和さん(憲法共同センター代表)が、開会あいさつし、キム・ギョンミンさん(韓国YMCA全国連盟事務総長)など三人の韓国側のゲストがあいさつし、つづくシンポジウムでのパネリストの発言がつづいた。
 イ・ブヨンさん(市民平和フォーラム共同代表)―北朝鮮の非核化は、米国と日本による朝鮮との関係正常化が前提とされねばならない。米朝、日朝国交正常化による東北アジアの国際関係の正常化なしには、朝鮮半島の非核化と東アジアの平和体制の完成は困難だ。日韓の市民運動は、「東北アジア非核兵器地帯化」を共通のビジョンとして提示する心要がある。それは北朝鮮の非核化を進め、朝鮮半島の非核化を保障する道であり、「非核三原則」に立つ日本が非核平和の国としてこれからも発展し続け、ひいては東北アジアで非核地帯を創設する道につながる。東北アジア非核兵器地帯は決して夢ではない。
 ハン・チュンモクさん(韓国進歩連帯常任代表)―米国は、ハノイでの2度目の米朝首脳会談とその後にも、まず北朝鮮が最終的で完全に検証された非核化を行わねばならないとして、自分たちの「ビッグディール」の主張を繰り返している。北朝鮮の一方的な非核化を要求しながら、それを受け入れない北に対し、交渉の準備が出来ていないといって無理強いをしている。北は、中国、ベトナムなど、社会主義圈の国々との関係を強化し、朝口首脳会談を進めるなど、友好国との協力関係も拡大している。北の立場からすれば、反米国際平和連帯を強化しているということであり、交渉の道は開かれているが、「新たな道」も模索している。米国がどのように応じるにせよ、北は自分の行く道を明らかにして、ボールは再び米国側に投げ返された。米国の責任ある決断により、3度目の米首脳会談が行えるかどうかに、交渉の成功がかかっている。朝鮮半島の平和実現は、日本と東アジアの平和を実現するうえで根本的な問題だ。日本の民主主義を進める上でも必須の関係にある。韓国と日本の極右勢力は、北を口実に韓米日軍事同盟を強化しながら歴史を後ろに押し戻している。私たちは日韓の平和連帯を強め、一緒に東アジアの未来を作って行こう。
 リ・ビョンフィさん(朝鮮大学校)―2月に行われたハノイでの第2次朝米首脳会談で、米国は一括妥結を求め、同時行動による段階的アプローチを主張する朝鮮の立場との違いが際立つ結果となった。米側の要求は、朝鮮側に一方的な核放棄を迫る「リビア方式」そのものであった。米国は、朝鮮戦争で核兵器使用をもくろみ、その後も、朝鮮に対する核威嚇を行ってきた。だが、朝鮮が核兵器を持つことによって一方的な核威嚇の状況は終わった。朝鮮による核の兵器化が現実段階に入るに至り朝米会談が実現したが、米側は「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」を求めてきた。トランプ大統領は、昨年以来、朝鮮戦争の終結に幾度も言及しており、シンガポールにおいて朝米関係を新たな関係へと転換し、両国の信頼醸成の過程で平和と非核化を目指すという金正恩委員長との共通認識を世界に示した。しかし、ハノイにおいてそこから逸脱した。2017年危機へと時計の針を戻すことは、避けなければならない。中国・ロシアは、朝鮮の核保有については明確に反対しているが、米国の核脅威を取り除く過程で、段階的な非核化を進めようとする朝鮮の立場に支持を表明している。しかし、周辺国の中で唯一、日本だけが非核化に関する朝鮮の立場に理解を示していない。安倍総理は全正恩委員長と向き合う、と言及するようになったが、韓国、中国、ロシアとは異なり、日本は「最大限の圧力」を唱える米国の保守強硬派と共同歩調を取ってきた。しかも、安倍政権は、対朝鮮圧力の一環として在日朝鮮人の祖国往来や民族教育の保証などの請権利に不当な制限を加えてきた。まずは、その不条理で倒錯したこの状況を正すことになれば、日本政府の思いは北に届くようになるかもしれない。
 シン・ミジさん(参与連帯・平和軍縮センター専任幹事)―2016年10月から2017年4月まで、朴槿恵大統領の国政への不正を糾弾し、弾劾を求めるキャンドル集会が開かれ、朴槿恵は弾劾され、文在寅政権が生まれ、南北関係の解決にとりかかった。そして、南北首脳は歴史的な板門店宣言で「新たな平和の時代」を宣言した。軍事合意により、朝鮮半島全域において軍事、敵対行動を禁止し、警戒監視所撒去など軍事的緊張緩和のための実質的な措置がとられ始め、北朝鮮は核・ミサイル実験を中止し、韓米は合同軍事演習を中断、縮小した。だが、朝鮮半島にはまだ春が訪れていない。この3月、韓国の55の市民社会団体は、国連、韓国、北側鮮、日本の国連代表部、海外メディアと国際市民社会団体などに、「朝鮮半島の平和プロセスは揺るがずに続けられるべきだ」という公開書簡を発送した。それは、米朝間のこう着状態が長引くことを憂慮し、朝鮮半島の平和プロセスが継続するように、国連安保理をはじめ国際社会が立ち上がることを訴えた。日本と日本の市民社会の役割は重大だ。私たちは、安倍政権の右傾化と憲法9条を改悪しようとする動きを憂慮し、「慰安婦」や強制徴用問題など、歴史的責任を放棄したまま、日韓の対立を日本の国内政治に利用することを心配している。でも、日本の平和運動の底力は失われでいないと信じている。日本が平和憲法を壊さずに対話と交渉による朝鮮半島の平和プロセスを支持し、軍縮と非核化の先頭に立つよう、日本の市民社会が大きな役割を果たしてくれると信じている。
 日本側からは、湯浅一郎さん(ピースデポ共同代表)「東北アジアの平和と非核化へ歴史的変化を作り出そう―求められる市民社会の監視と行動―」、和田春樹さん(日朝国交正常化連絡会)「日朝国交正常化こそ日本が韓国を見ならって米朝平和プロセスに参加する道だ」、庵浴由香さん(立命館大学)「植民地支配と過去清算」の発言があった。
 コーディネーターの福山真劫さん(戦争させない1000人委員会代表)がまとめをおこなった。
 最後に、菱山南帆子さん(憲法9条を壊すな!実行委員会)が閉会挨拶で、逆流を許さず、東アジアの民衆の連帯した力で、朝鮮半島と日本に非核・平和を実現していこうと述べた。


あらゆるハラスメントの包括的な防止・規制を

          雇用共同アクションが国会行動


 安倍内閣は「女性の活躍」を声高に言い続けているが、世界的に見て日本の現実は、女性が活躍できる状況とはかけはなれたものである。

 5月29日、参議院で「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」が可決、成立した。
 マスコミの多くは「職場のハラスメント対策の強化を柱とした女性活躍・ハラスメント規制法」などと報じているが、実態はそうしたものにはなっていない。
 改正法には、とりわけ、もっとも注目されて来たハラスメント規定が十分に盛り込まれていない。
 ハラスメント規制では、禁止規定にはなっていない。 ハラメントの定義が極めて限定的であり、対処が「事業主への防止措置義務等」ではまったく実効性がないのだ。

 このように今回の法改正もきわめて問題の多いものとなっている。このことは、なにより、衆議院厚生労働委員会での17項目、参議院厚生労働委員会では21項目におよぶ付帯決議が付いたことでも明らかだ。

 改正法案採決を目前にした5月23日、雇用共同アクション(安倍政権の雇用破壊に反対する共同アクション)が国会前で集会を開いた。雇用共同アクションは、マスコミ文化情報労組会議(MIC)、全労連や全労協などで構成されている。 集会では、ハラスメントが人権侵害であることを規定し、法案修正でハラスメント禁止を明記させなければならないとの訴えが続いた。

 4月開かれた「ILOハラスメント禁止条約を批准しよう!集会」では、「6月のILO総会では、極めて広範なハラスメントを対象とした仕事の世界における暴力とハラスメントの禁止条約が採択される予定である。日本もこの条約を批准するとともに、国内法を整備すべきである。…私たちは、この法案を着地点とすることなく、より実効性のある法整備を目指していくとともに、職場におけるあらゆるハラスメントの根絶に取り組んでいくこと」を宣言されている。
 
 あらゆるハラスメントを包括的に防止・規制する独立の法律を成立させよう。


女性差別撤廃条約選択議定書をただちに批准せよ

                
 女性差別撤廃条約実現アクション   批准を求める請願署名提出・院内集会

 今年は女性差別撤廃条約制定40周年、選択議定書制定20周年にあたる。女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約は、公平な女性の権利を目的に女子差別の撤廃を定めた多国間条約である。第34回国連総会(1979年12月18日)において採択され、日本は1980年7月17日、国連婦人の10年中間年世界会議(デンマーク)の際に署名した(批准効力発生は1985年)。条約は、第1条で、「『女子に対する差別』とは、性に基づく区別、排除又は制限であつて、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のいかなる分野においても、女子(婚姻をしているかいないかを問わない)が男女の平等を基礎として人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする効果又は目的を有するものをいう」とし、第3条で「締約国は、あらゆる分野、特に、政治的、社会的、経済的及び文化的分野において、女子に対して男子との平等を基礎として人権及び基本的自由を行使し及び享有することを保障することを目的として、女子の完全な能力開発及び向上を確保するためのすべての適当な措置(立法を含む)をとる」としている。
 しかし、日本は、女性差別撤廃条約の実効性を強化するための付属の条約である女性差別撤廃条約選択議定書を批准していない。
 現在の日本の状況は、日本のジェンダー平等度は世界で100位以下を続けているように、日本の女性差別は根深い。
 
 6月4日、参議院議員会館で、「批准≠オないとはじまらない! 女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める請願署名提出集会〜女性の権利を国際基準に!」(主催・女性差別撤廃条約実現アクション)が開かれた。
 この日、46団体が参加する女性差別撤廃条約実現アクションは、衆参両院議長あての選択議定書の批准を求める署名5万2184人筆を国会に提出した。
 集会では、浅倉むつ子さん(女性差別撤廃条約実現アクション共同代表、元早稲田大学大学院教授)が「なぜ選択議定書の批准が必要なのか?」と題して講演した。
 今年は女性差別撤廃条約制定40周年で、現在の締約国数は189か国となっている。
 女性差別撤廃条約の実効性を強化するための付属の条約である選択議定書制定からも20年がたつ。現在の締約国数は、112か国だが、日本は未批准だ。
 条約の履行を確保するには2つの手段がある。一つが、国家報告制度で、各国が女性差別撤廃委員会(CEDAW)に条約の実施状況を報告し、審議されるもので、日本も1985年の条約批准後、第1次〜第8次報告書を作成・提出している。締結国には、CEDAWとの持続的・建設的対話があるが、勧告内容をどのように国内で実施するかは各国が決める。すなわち各国政府の政策しだいということになっている。
 もう一つは、個人通報制度で、これは選択議定書の批准によって可能になる。選択議定書には二つの手続きがある。まず、「個人通報制度」で、権利侵害があったとき、個人がCEDAWに通報して救済を申し立てるが、国内救済措置が尽くされていることが必要だ。CEDAWは通報された事例について、締約国に対して「見解・勧告」を出す。そこには、金銭的な損害賠償の勧告、政府による公的謝罪、法曹に対する研修の実施などが含まれる。次に「調査制度」があり、重大または組織的な権利侵害があるという情報を得た場合、CEDAWが調査し、各国に意見・勧告を送付する。
 個人通報制度の実情は、36か国から131件の個人通報を受理し、うち条約違反と認めたのは28件となっている。具体的事例をあげれば、スペインの面会交流中の子どもの殺害事件はつぎのようなものだ。「個人通報」―通報者は、娘を前夫(娘の父親)に殺害された。通報者は、2年間に30回も、警察や裁判所に前夫からの脅迫とDVについて訴えていたが、裁判所は対応せず、監視のない面会交流を許可し、交流中に前夫は、娘を殺害し自殺してしまった。通報者は、裁判所の過失への補償を請求する裁判を起したが認められなかった。「CEDAWの見解」―「国は、父親との面会交流が子どもの生命及び身体的精神的福祉に対する急迫の危険を伴うことを予見すべきであったが、DVに対する固定的で差別的な基準を適用して面会交流制度を運用し、必要な監視を怠った」とし、国に対して、@通報者に権利侵害の深刻さに見合う適切な補償をすること、A自国の制度・慣行上の問題点を徹底的に調査し、効果的な措置・法的枠組みを強化すること等を勧告した。そして通報者は、さらに、CEDAWの「見解」の実行を国内裁判所に訴えた。2018年7月、「スペイン最高裁」は、CEDAWの「見解」の法的拘束力を認め、通報者に60万ユーロ(約7、420万円)の補償をするよう判決した。
 この例のように、締約国はCEDAWの勧告に「十分な考慮」を払い、見解・勧告に照らしてとった措置について書面で回答しなければならない。CEDAWは締約国に追加的情報を要請し、フォローアップとして6か月ごとの協議が進行する。これまで「見解・勧告」が出された事案では、締約国が誠実にCEDAWとの協議に応じ(誠実協議義務)、国内法の改正などの措置をとってきている。スペインの子ども殺害事件のように、その国の最高裁がCEDAWの「見解」の法的拘束力を認め、国に対して通報者(子を殺害された母)に補償金を支払うよう命ずる判決を出している。
 選択議定書に対して日本政府は、「注目すべき制度」「早期締結について真剣に検討を進める」と言い続けながら20年も過ぎて、いまもなお「検討課題」のままである。
 今年1月の第1回女子差別撤廃委員会最終見解への対応に関するワーキンググループにおいて外務省は、@個人通報制度については、条約の実施の効果的な担保を図るとの趣旨から注目すべき制度と認識A個人通報制度の受け入れに当たっては、わが国の司法制度や立法政策との関連での問題の有無及び個人通報制度を受け入れる場合の実施体制等の検討課題があると認識B個人通報制度の受け入れの是非については、各方面から寄せられる意見も踏まえつつ、引き続き、政府として真剣に検討を進めているところだ、と答えている。
 選択議定書批准にむけて、国際婦人年連絡会、日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)などで、国会請願の行動を行ってきた。2001年〜2016年にかけて、参議院本会議で選択議定書批准要請の請願が可決されたが、2017年、2018年は審査未了(採択保留)となった。今年の3月、「女性差別撤廃条約実現アクション」が発足し、批准請願の運動を強めていくことになった。
 選択議定書を批准すれば、日本が人権を尊重する国であることを世界に向けて発信できる。条約の実効性が確保され、男女共同参画社会の実現につながる。日本から推薦したCEDAW委員の活動のバックアップになる。司法判断に条約の精神が活かされることになるなどのメリットがある。
 そして、批准するための立法措置は不要であり、またすでに批准している国で司法の独立が侵害された例はなく、むしろ選択議定書の批准は、司法を強化し、女性差別への司法の理解を助けることになる。

 国会からは、立憲民主党、国民民主党、共産党、社民党、沖縄の風から14人の名の議員があいさつし、各党は、ともに選択議定書の批准を院の内外で力を合わせて早期に実現しようと述べた。

 最後に、柚木康子共同代表が、今後の取り組みについて提案―これまで野党、女性議員を対象にロビーイングを行ってきたが、これからは自民党、男性議員にも対象を広げる。夏の参院選立候補者に選択議定書についてアンケートを行う。地方議会からも批准にむけての意見書提出に取り組む。リーフレットな配布、学習会を開催する。2021年にはCEDAWへの日本政府の報告書にたいする見解が出されるが、こうした情勢で議定書批准の運動を一段とひろげていく。


「100年安心年金」はウソ

             
 株価支えの年金積立金

 6月3日、金融庁(金融審議会「市場ワーキング・グループ」)の発表した報告書「高齢社会における資産形成・管理」が注目されている。それは、「長寿化に伴い、資産寿命を延ばすことが必要」であるが、「公的年金制度が多くの人にとって老後の収入の柱であり続けることは間違いないが、少子高齢化により働く世代が中長期的に縮小していくことを踏まえて、年金制度の持続可能性を担保するためにマクロ経済スライドによる給付水準の調整が進められることとなっている」という。マクロ経済スライドとは、「そのときの社会情勢(現役人口の減少や平均余命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組み」(厚生労働省)で、要するに、年金の給付水準が自動的に低下させるということである。そして、「こうした状況を踏まえ、今後は年金受給額を含めて自分自身の状況を『見える化』して、自らの望む生活水準に照らして必要となる資産や収入が足りないと思われるのであれば、各々の状況に応じて、就労継続の模索、自らの支出の再点検・削減、そして保有する資産を活用した資産形成・運用といった『自助』の充実を行っていく必要があるといえる」とする。年金に期待しないで、「自助努力」せよという新自由主義の自己責任論だ。そして、「つみたて NISA」などの勧めとなる。それが、「長寿化」と「自助の充実」への対応だというのだ。
 少子高齢化社会の現実化で.年金の給付水準維持は困難だということを認めたものだが、これらは長年にわたる自民党政治の悪政・悪弊の結果なのである。「100年安心年金」を自公政権は強調してきた。その破綻が迫っている。
 年金の現状は、17年度末で年金積立金の残高は164兆1609億円。このうちGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用しているのは156兆3832億円にもなる。GPIFは、2014年10月にポートフォリオの見直しで、国内株と外国株の比率をそれぞれ12%から25%に引き上げ、計50%にした。その結果、海外の経済動向に直撃され、2018年末には米株、日本株が連動して下落し、四半期だけで、15兆円の損失だ。
 4月24日、会計検査院は、GPIFの運用に関する検査院報告(会計検査院法第30条の2に基づく国会及び内閣への随時報告)を国会に提出した。そこでは、ポートフォリオの見直し以降、株式運用の割合が増加してリスクが上昇しているとして、厚生労働省やGPIFに対し、国民に対してより丁寧な説明を求めている。また一部の投資手法について、収益などの透明性を確保するように求めた。報告は「年金積立金の管理運用については、年金積立金が国民から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の年金給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、専ら被保険者である国民の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたって、公的年金制度の運営の安定に資することが、従来にも増して強く求められている」と、年金積立金で株価買い支えるというアベノミクスの危険性を指摘するものとなっている。
 一方で、大企業優先政策で企業の内部留保はかつてないほどに膨れ上がり、貧富の差の拡大・貧困化が急進行している。にもかかわらず、この金融庁報告書は、老後資金を金融商品に流し込もうとしているのである。 これが安倍政治・アベノミクスだ。


せ ん り ゅ う

プラごみとアベ悪政をどう始末

  驀進する資本の前で佇む

マスコミは真実の外で稼いでる

  なかよしはトランプ原発へいたい

核のごみプラごみよりも難しい

  氷河期といわれいまだに氷です

トランプ資本の権化が来日

  オレオレがウムと喜ぶ2000万

                 ゝ 史

2019年6月


複眼単眼

       消えた「2020年改憲施行」


 自民党は6月7日、次期参院選の公約を発表した。
 公約は「日本の明日を切り拓(ひら)く」をキャッチフレーズに、〈1〉外交・防衛〈2〉強い経済〈3〉安心社会〈4〉地方創生〈5〉復興・防災〈6〉憲法改正、の6本だ。
 「憲法改正」は安倍首相らが「改憲、改憲」と大騒ぎする割には、今回も従来の自民党公約同様、最後、第6番目の位置づけだ。
 安倍首相がしばしば口走ってきた「2020年改憲施行」はいよいよ時期が近付いてきたからどのように書き込まれるかと注目したが、「2020年」はどこにもなく、「早期の憲法改正を目指す」とあるのみ。
 ひとつひとつみても、(1)もはや「外交のアベ」でもないだろう。日露、日韓は冷風が噴き、「北方領土」も「拉致」も少しも動かない。米国には武器輸出や農産物でめちゃくちゃのつけが来る。(2)アベノミクスの破綻はだれの目にも明らかだし、(3)年金改革「100年安心」はどこに消えたのか。(4)地方は疲弊し、東京一極集中の社会で、(5)復興五輪などの空騒ぎのなかで、原発・震災を「なかったこと」にされる。
 そして憲法。
 曰く「国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3つの基本原理はしっかり堅持し、初めての憲法改正への取り組みをさらに強化する」。
 曰く。「改正の条文イメージとして(1)自衛隊の明記(2)緊急事態対応(3)合区解消・地方公共団体(4)教育充実――の4項目を提示」。
 そして、「憲法改正に関する国民の幅広い理解を得るため、党内外での議論をさらに活発にする。衆参の憲法審査会で国民のための憲法論議を丁寧に深める。憲法改正原案の国会提案・発議をし、国民投票を実施し、早期の憲法改正を目指す」と。 

 「2020年改憲施行」が明記されなかったことは安倍晋三首相にとっては慚愧に耐えないのではないか。そして彼を支え続けてきた日本の極右勢力の失望はいかばかりか。
 なにしろ極右は「自分たちの野望を達成するには安倍以外にない」とばかりに、臥薪嘗胆で支え続けてきたのだから。右翼の一丁目一番地の「拉致」も「北方領土」も、「外交の安倍」どころか、失望続きだ。我慢に我慢を重ねてきたのは「改憲こそ安倍で」という気持ちだっただろう。安倍が自民党改憲草案を棚上げにしてまで「4項目」改憲条文イメージに「格下げ」したことも、容認してきた。
 これで極右日本会議の連中が参院選に熱中できるのだろうか。見ていて心配になる。
 しかし、期限を書かなかったことは客観的に見て、「正解」だろう。この198国会で改憲発議ができなかったことは、改憲派にとって取り返しのつかない失敗だった。
 どだい「2020年改憲施行」など、もはやどう考えても無理になった。
 ましてこの参院選で、改憲派の議席が3分の2に達しなかったら、改憲発議そのものが不可能になるわけだ。
 衆院憲法審査会が「改憲手続法」の改定でもめるのは当然のことだ。本欄でも繰り返し主張してきたが、同法は欠陥法だからだ。公選法並びの微修正どころではない、抜本的な見直しが必要だ。
 ともあれ、目前の参院選で改憲派に3分の2を取らせない課題が、緊急の課題だ。  (T)


夏季カンパの訴え

    
労働者社会主義同盟中央委員会

 安倍政権の内政外交にわたる悪政は、もう許せません。安倍政権に大打撃を与える時です。もうすぐ参議院選挙です。立憲民主党・国民民主党・共産党・社会民主党・社会保障を立て直す国民会議の立憲野党4党1会派は、一人区での候補者統一に合意し、また共通政策も確認しました。これまでの市民と立憲野党の共闘は、一段と強まり、政治のあたらしい段階を展望できる土台が出来ました。「戦争する国」づくり、独裁体制を樹立しようとする安倍政権を早期に打倒しなければなりません。
 北東アジアでの外交手段による緊張緩和・反戦平和の胎動が始まっています。それを何としても押しとどめ、冷戦思考と排外主義に凝り固まっているのが安倍政権です。
 われわれは、労働者・人民の力を強化し、団結を広げ総がかりで政治変革の流れを加速させるためにいっそう奮闘する決意です。
 みなさんに、夏季カンパを訴えます