人民新報 ・ 第1380号<統合473号(2019年12月15日)
  
                  目次

● 政治の大きな転換の実現へ

         安倍改憲内閣を打倒しよう

● 秘密保護法はなにをもたらすか

         レーン・宮沢事件から見えてくるもの

● 監視からデータ収集へ

         「図書館の自由宣言」の意義

● 関西生コン弾圧を許さない全国集会

         弾圧に抗する声の広がり

● 東北アジアの非核・平和の動きを阻むイージス・アショア配備計画をやめさせよう

         秋田・山口から現地闘争報告

● 郵政ユニオン労契法20条裁判

         拡張請求した追加訴訟がはじまる

● せ ん り ゅ う

● 複眼単眼  /  安倍首相記者会見の憲法発言コメント

● 冬季カンパのお願い

        労働者社会主義同盟中央委員会






政治の大きな転換の実現へ

         安倍改憲内閣を打倒しよう 


 12月9日、第200回臨時国会が終わった。この国会では安倍がめざした憲法審査会での論議に一部野党を引き込んで改憲論議をすすめようという思惑はおおきく外れた。改憲手続法(国民投票法)改正はできなかった。自民党改憲案提示もできなかった。安倍の任期中(2021年9月まで)の改憲のもくろみは重大な打撃をうけることになった。 
 しかし、安倍は諦めてはいない。国会閉会時の記者会見で、「国会議員として、国民的意識の高まりを無視することはできません。今後ともですね、第一党である自民党が先頭に立って国民的な議論を更に高める中で、憲法改正に向けた歩みを一歩一歩着実に進めていきたい」「来る通常国会の憲法審査会の場においてですね、与野党の枠を超えた活発な議論を通じて、令和の時代にふさわしい憲法改正原案の策定を加速させてまいりたい」「憲法改正というのは、決してたやすい道ではありませんが、必ずや、私自身として、私の手でなし遂げていきたい」と述べている。そのためには、来年の通常国会で改憲に向けた強行策をとることが、必要だ。だが衆院で改憲発議に必要な改憲勢力三分の二議席があるとしても、参院は今年夏の選挙での立憲野党の前進によって改憲発議に必要な議員数を満たせていない。
 衆院解散・総選挙に打って出ても、現在の状況とりわけ消費税アップ、内外の厳しい要因による経済の先行き不安があり、立憲野党の結束が強まっているこの時に、改憲発議に必要な三分の二を確保するのは難しいし、大きく議席を減らすことにもなりかねない。そして、来年には自ら招致したオリンピック・パラリンピックがある。中国の習近平国家主席の国賓訪日問題では支持基盤である右派勢力から批判が強まっている。ロシアとの北方領土問題、北朝鮮との拉致問題、支持基盤強化のための対韓国強硬策、米国とは通商関係だけでなく在日米軍駐留経費大幅増額問題を抱えている。気候変動についても石炭化石燃料消費をやめようとしない日本政府は世界から糾弾されている。大学入学共通テストへの英語民間検定試験の導入や記述式試験の延期は受験生とその家族にいいしれぬ不安を強いることになった。それにくわえて、辞任した二人の閣僚、公選法違反疑惑の自民党国会議員は、雲隠れだ。安倍政権は、かつてない厳しい状況の直面しているのである。それらのことの象徴的出来事が「桜を見る会」問題での文書破棄など政権による醜い隠蔽工作である。それは安倍首相・菅官房長官体制の腐敗ぶりとその末期症状を自己暴露することになった。菅官房長官に至っては、「サクラという言葉は見たくも聴きたくもない」と言いだす始末だ。
 「憲政史上最長」の在任期間に到達した安倍内閣支持率が急落している。当然の成り行きだ。
 来る2020年の課題は、改憲を阻止し、安倍内閣を打倒することだ。安倍政治を終わらせるのは、さまざまな運動が大きく合流した総がかり行動態勢の拡大、それを基盤としての立憲野党の共闘のいっそうの強化である。この間着実に前進してきた民衆的なさまざまな運動を一層力強く推し進めていこう。


団結した力で春闘勝利を勝ち取ろう

         
  20けんり春闘実行委が発足集会

 11月29日、全水道会館で「20けんり春闘発足総会・学習集会」が開かれた。
 代表挨拶は、民間中小労組懇談会の平賀雄次郎さん。われわれ労働者をめぐる状況はきわめて厳しい。いまこそ賃金闘争を再構築しなければならない。20春闘をその第一歩としよう。また、4月から施行された「働き方改革」は実際には労働強化であり、労働時間についても賃金と共に春闘の課題となっている。そして、職場におけるハラスメント問題の深刻化に対する闘いだ。
 つづいて、中岡基明事務局長が議案提起。―安倍政権は長期化し、権力の私物化によって政治腐敗は極まっている。そして安倍首相の念願である9条改憲と戦争ができる国作りが続いている。改憲阻止の闘いは平和を守る運動の中心である。安倍独裁政治をストップさせ、民主主義を守るための闘いが求められている。辺野古新基地建設阻止を闘う沖縄の人びととの連帯する闘いの強化は喫緊の課題である。総がかり行動を中心とした安倍改憲阻止の闘いの一翼をしっかり担っていく必要がある。そして朝鮮半島の人々との連帯強化も求められている。20春闘の闘いの中で全力をあげよう。
 けんり春闘は、メインスローガンを、「労働を!生活を!そして社会を変えていく20春闘を!」「8時間働けば生活できる賃金を!」「8時間働けば醤らせる社会を!」とし、賃金要求では、@どこでも誰でも「月額25万円以上、時給1500円以上の最低賃金保障」をめざす。また、職場への高プロ、裁量労働制の導入に反対し、時間外労働(36協定)の見直し、監視を強め、1日2時間、月20時間、年150時間、インターバル休憩(11時間)を要求する。職場からハラスメント撲滅、非正規労働者の処遇改善、全国一律最低賃金制の実現、公務公共サービスを労働者・市民の手に取り戻す、外国人労働者の処遇改善、社会保障切り捨てに反対しセーフティーネットを確立する、解雇の金銭解決制度や裁量労働制の適用拡大などの労働法制改悪反対、ハラスメント防止関連法の実効性確保、ハラスメント禁止ILO条約の批准と法改正を実現する。
 そして、社会的課題の闘いでは、@安倍9条改憲阻止! 安倍首相の早期退陣実現、A戦争法廃止・共謀罪法廃止! 自衛隊の中東派遣反対、B辺野古新基地建設阻止・沖縄の人びと連帯して闘う、原発再稼働反対で闘う。
 闘い方としては、職場議論、職場集会を柱に団結と連帯を強化して、@公務労働者・公共サービス関連労働者・非正規労働者に労働三権を!、A労契法18・19・20条運動と処遇改善の実現、B全ての職場でスト権を確立し、スト配置を背景に交渉の強化を図る、C東京総行動・反原発キャラバンと経団連行動を一つにして闘う、D外国人労働者けんり総行動(マーチ・イン・マーチ)を闘う、そして、総がかり運動、全国市民アクションとの共同行動を強めていく。
 組織体制については、全労協、都労連、東水労、国労、電検労、全港湾、全造船関東地協、全日建連帯、東京清掃労組、全統一、全国一般全国協、中小ネット、郵政ユニオン、電通労組、N関労、ネットワークユニオン東京、東京全労協を幹事組合とする。けんり春闘の代表には、幹事組合代表者の渡邊洋(全労協)、真島勝重(全港湾)、宇佐見雄三(全造船関東地協)、平賀雄次郎(民間中小労組懇談会)、垣沼陽輔(大阪ユニオンネット)の方々にお願いし、事務局長を中岡基明(全労協事務局長)とする。
 春闘方針案は、参加者一同の拍手で確認された。

 第二部の学習集会は、稲場雅紀さん(一般社団法人 SDGs市民社会ネットワーク政策担当顧問)による講演。SDGs(エスディジーズ)の日本語正式名称は、持続可能な開発目標ということだが、SDGsは決して楽しい、希望に満ちた話ではない。SDGsの原動力は、このままでは世界全体が立ちいかなくなるという危機感だ。70年代に「成長の限界」論がでたが、その悲観的な予想どうりの趨勢できてしまった。現在の世代の需要を満たしながら、未来世代に世界を引き継ぐために、変革が必要だという意識がひろがり、2015年9月に、「つづかない世界」から「つづく世界」への転換をめざして3年間の議論の末、国連サミットで2030年にむけた世界の指針「持続可能な国際目標」(SDGs)が、193力国が合意して採択された。SDGsの精神は「誰ひとり取り残さない」「最も厳しいところから取り組む」ということだ。普遍・包摂・統合・弾力・全員参加で、世界全体で取り組む必要がある。
 生産、労働、消費のあり方の変革ということで、労働組合に期待したいことは多々ある。民間企業が変わることはSDGs達成に不可欠であり、労働組合は、NPO・NGOとは異なった位置からともに取り組むことで、「持続可能な社会」づくりに大きな力を発揮できると思う。それは、保健、労働、社会保障など社会課題への発信、環境=温暖化防止、生物多様性の維持、環境破壊の防止、サプライチェーンでの人権侵害の防止、組織・未組織労働者の労働権の保障、障害者、高齢者、ジェンダー、LGBTI、多様な文化的背景を持つ人々との多元社会の実現など、そして、仕事の未来などについての問題の提示と、誰も取り残さない社会実現への提案をおこなうなどの取り組みがあげられるだろう。


秘密保護法はなにをもたらすか

             レーン・宮沢事件から見えてくるもの

 特定秘密の保護に関する法律の制定から6年たった。秘密保護法は、2013年12月6日に強行採決・成立した。この法律について、日弁連は次のように説明している―「漏えいすると国の安全保障に著しい支障を与えるとされる情報を『特定秘密』に指定し、それを取り扱う人を調査・管理し、それを外部に知らせたり、外部から知ろうとしたりする人などを処罰することによって、『特定秘密を守ろうとするもの」だ。政府が、「特定秘密」なるものを決定する。「国家公務員、地方公務員、警察官などの行政機関の職員、行政機関と契約して特定秘密を取り扱う民間企業の従業員など、特定秘密を扱う人について、行政機関の長がその身上について調査」をし、「特定秘密を漏らした人は、最高で懲役10年の刑に処せられ」「未遂の場合も、過失による場合も処罰され」「共謀すること、教唆すること、扇動することもそれぞれ処罰され」る。「特定秘密を知ろうとした人も、最高で懲役10年の刑に処せられ」「未遂の場合も処罰され」「共謀すること、教唆すること、扇動することもそれぞれ処罰され」る。この罰則は、公務員、民間事業者、マスコミ関係者が対象となるが、国会議員でも例外ではない。―
 秘密保護法はいまだ適用されていないが、メディアでの自主規制的動き、官僚の政権への忖度などがすさまじい勢いで進んでいる。

 12月6日、文京区民センターで、共謀罪廃止のための連絡会、共謀罪NO!実行員会、「秘密保護法」廃止へ!実行委会の共催による「強行採決から6年  いま、改めて秘密保護法を問う12・6集会」が開かれた。
 はじめにビデオ「レーン・宮沢事件」(ビデオプレス制作)が上映された。
 1941年12月8日、日本はアメリカ、イギリスなどとの戦争を開始した。この日、内務省の指揮下に「スパイ網一挙に覆滅」を口実にした暴虐・一斉検挙が荒れ狂った。検挙者は、111人、のちに15人を加え計126人が検挙された。北海道帝国大学生の宮澤弘幸さん、同大学予科英語教師のハロルド・レーン、ポーリン・レーン夫妻(アメリカ国籍)らが容疑・理由さえ示されることなく特高警察に連行され、「スパイ冤罪事件」の被害者となった。内務省の「外事警察概況」によれば「非常事態に備えて外諜容疑者名簿を整備し…全国的に一斉検挙を実施せり」とあり、一斉検挙の実施策は4か月前から練られ、対象者を特定し、開戦の合図だけを待っていた。開戦と一斉検挙は表裏一体をなす国家謀略だったのだ。
 冤罪の根源は、「軍機保護法」(スパイ行為)とされた。この法律は、今日の「秘密保護法」につながるものだ。

 福島清さん (北大生・宮沢弘幸「スパイ冤罪事件」の真相を広める会)が、「国家権力犯罪に 『時効』 はない」と題して報告。
 軍機保護法は、1899年制定の軍内部の規律に重きをおく概括的な法だったが、日本軍による中国大陸侵攻さ中の1937年8月の抜本改正で厳罰化、適用範囲を民間に一段と広げ、国民弾圧に及ぶ実質・新法に改悪された。実際、当時の軍、議会関係者は新法と呼んでいた。しかし、その中でも議会審議(帝国議会)は可能な限り尽くされた。とくに貴族院での、学識経験者ら勅選議員による質疑は特筆されていい。人権侵害を防止する視点からの審議が厳正に起こされ、軍・司法当局から引き出した答弁を基に、法規制の重要事項での歯止め規範が合意され、「軍事秘密」「探知(罪)」「漏泄(罪)」などが定義化された。そのうえ、付帯決議で「本法に於て保護する軍事上の秘密とは不法の手段に依るに非ざれば之を探知収集することを得ざる高度の秘密なるを以て政府は本法の運用に当りては須く軍事上の秘密なることを知りて之を侵害する者のみに適用すべし」とされた。それは、「不法の手段」(窃盗、強盗、器物損壊、不法侵入など)、刑事罰を伴う手段を用いなければ探知・獲得できないように厳重保管された「秘密」だけが法で保護される秘密であり、そういう秘密を刑事罰を伴う手段で探知・獲得した場合にのみ探知罪で罰せられるということであった。
 しかし、そうした制限は国家権力によってまったく無視された。
 宮澤さんのスパイ行為とされたものは、旅行や講習会で見聞きしたことだけであり、まったく公開されたものだけであった。それを、軍事機密だとし、レーン夫妻などとの集まりの中で、話したことなどが、「敵国漏泄」だとされた。
 そして、1942年12月16日、札幌地裁の非公開公判で、宮澤さんは懲役15年の判決。被告側が控訴するも、戦時法によって高裁をとばし、いきなり大審院での審理になり、大審院は上告を棄却し、刑が確定して、網走刑務所に収監された。
 その他の「被告」も同じような酷い取り扱いをうけた。
 12月8日に一斉検挙された126人のうち有罪判決は、罰金14人を含め37人で、率として29・3%ということになった。このことからわかることは、検挙自体が目的であり、容疑の存在、解明、証明は二の次、三の次だったということであった。検挙の狙いは、なにより「スパイ憎し・国家大事」の印象を世に浸透させることであり、戦時を口実に、権力がなにをやってもよいという権力の暴走である。この事件からも、秘密保護法体制が何を市民にもたらすのかということがわかる。
 つづいて、秘密保護法対策弁護団の小川隆太郎弁護士が、悪法の廃止についてアピールし、最後に、秘密保護法」廃止へ!実行委員会の前田能成さんが、秘密保護法廃止と共謀罪法廃止にむけて取り組みを強化していこうと述べた。


監視からデータ収集へ

             
  「図書館の自由宣言」の意義

 世界中でプライバシー、個人情報への侵害の動きが強まっている。日本でも、裁判所の令状もなく、捜査機関の勝手な判断によるGPS捜査が行われてきた。しかし、こうした違法な行為に対する批判の声が広がり、2017年3月15日、最高裁大法廷は「違法」とする判決をだした。
 また、この間、捜査機関が捜査照会によってTカードなどから膨大な個人情報を収集してきたことも明らかになった。

 共謀罪NO!実行委員会、「秘密保護法」廃止へ!実行委員会、許すな!憲法改悪・市民連絡会、ピースボート、平和フォーラム、平和をつくり出す宗教者ネットなど13団体の呼びかけで、10月27日、「プライバシーを守るための市民団体共同声明」(GPS捜査の中止を求める声明、捜査照会の中止を求める声明)が多くの団体の賛同を得て発表され、世論の広がりを背景に国会でも論議を行い、対処するように求める運動を展開している。

 11月25日、参議院議員会館で、GPS捜査、捜査照会の中止を求める声明呼びかけ・賛同団体の主催による「GPS捜査、捜査照会の中止を求める院内集会」が開かれた。

 集会では、指宿信さん(成城大学法学部教授)が「サーベイランス(監視)からデータベイランス(データ収集)へ―監視型捜査・情報収集型捜査の課題と規律―」と題して話した。 「他人が自分についての情報を得る方法は二つしかない―モニタリング・監視か、検索・捜索を通じてだ」と言われる。電子監視には、音声監視、映像監視、追跡監視、データ監視がある。データ監視では、インターネットの利用履歴、携帯端末追跡などだ。「データペイランス」という言葉がよくつかわれるようになってきたが、これは、ユーザーの様々なプラットフオーム上でのコミュニケーションや活動に関わる情報を継続的にモニタリング(監視)する技術のことだ。なおデータベイランスシステムのアーキテクチャはブラックボックスであるため、個人はそれによってコントロールされていたとしても、そのこと自体を明確に認識することができないものとなっている。
 身近な例では、インターネットを利用した履歴がすべて記憶され、「あなたにはこんな商品がおすすめです」などと宣伝される。
 日本の監視型捜査は「任意捜査」に基づいていればよいとされる。1969年の「京都府学連デモ事件」最高裁判決では「犯罪捜査としての写真撮影は適法・合憲と判断」された。それが「伝統的解釈」となり、山谷監視カメラ裁判、あいりん地区監視カメラ裁判、Nシステム国賠訴訟、ムスリム監視活動国賠訴訟でも維持されている。
 今、テクノロジーの発達による長期・網羅的捜査監視の時代となり、GPS発信装置を用いた位置情報探知などが行われるようになった。そして近年捜査機関による大分県警ビデオ撮影問題などで長時間監視問題が発覚している。
 2004年には、愛媛県警の内部文書がインターネットに流出し、GPS発信装置を用いた行動確認を実施していることが明らかになった。2006年には、警察庁がGPS発信装置を用いた位置情報取得捜査に関する内部通知を出している。
 だが、2017年には、最高裁大法廷が「車両に使用者らの承諾なく秘かにGPS端末を取り付けて位置情報を検索し把握する刑事手続上の捜査であるGPS捜査は、個人のプライバシーの侵害を可能とする機器をその所持品に秘かに装着することによって、合理的に推認される個人の意思に反してその私的領域に侵入する捜査手法であり、令状がなければ行うことができない強制の処分である」という判決をだした。裁判所の出す令状がなければGPS捜査は、刑訴法197条1項の「捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる。但し、強制の処分は、この法律に特別の定のある場合でなければ、これをすることができない」および憲法第三十五条の「何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない」違反だとされた。なお憲法第三十三条は「何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となってゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない」ということである。いっていの制限が設けられているのだ。 この最高裁大法廷判決以降、GPS発信装置を用いた位置情報探知についての裁判ではいくつも違法判決が出されている。
 だが、一方で捜査当局もそれに対応してきている。
それが捜査関係事項照会というものである。たとえば、愛知県警例規集には「刑事訴訟法第197条第2項(捜査については、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる)という規定による捜査関係事項照会は、公務所又は公私の団体に報告義務を負わせるものであることから、当該公務所等は報告することが国の重大な利益を害する場合を除いて当該照会に対する回答を拒否できないと解される。また、同項に基づく報告については、国家公務員法等の守秘義務規定には抵触しないと解されている。しかし、照会先である公務所等に対し、強制力をもって回答を求めることができないことから、回答に伴う業務負担等、相手方に配慮した範囲内において行うものとする」とある。
 この手法で、コンビニの防犯カメラ映像、携帯電話の通信記録、銀行口座の明細、戸籍謄本、学校の成績など国民のプライバシーにかかわるあらゆる情報を警察は手に入れている。形式は「任意」だが、事実上は「強制」になっている。警察から問い合わせを受けた企業などが拒否しても罰則はないが、断っても後日令状で事務所を捜索され差し押さえとなるので、ほぼ100%任意に回答が返ってくるという。
 捜査関係事項照会に対抗して頼れるものは、憲法13条「プライバシー権」、19条「思想信条の自由」、21条「表現の自由」「通信の秘密」である。すでに日本図書館協会の実践例がある。「図書館の自由宣言」は、その第3「図書館は利用者の秘密を守る」は次のように言っている。「読者が何を読むかはその人のプライバシーに属することであり、図書館は、利用者の読書事実を外部に漏らさない。ただし、憲法第35条にもとづく令状を確認した場合は例外とする。図書館は、読書記録以外の図書館の利用事実に関しても、利用者のプライバシーを侵さない。利用者の読書事実、利用事実は、図書館が業務上知り得た秘密であって、図書館活動に従事するすべての人びとは、この秘密を守らなければならない」としている。また同協会の「捜査機関から『照会』があったとき」には「『捜査関係事項照会書』さえ提出されれば求められたデータを開示する、という誤解が発生しないように注意深く調整を進めましょう。こうした客観的で原則的な対応だけで、捜査機関からのデータ提出要請が撤回される例もあります」、また「警察からの照会に緊急性が認められるか否か図書館で判断する。緊急性がなければ、照会状による提供は断る。警察はそれでも情報がほしければ、捜索差押令状を裁判所に請求して出してくる」としている。

 つづいて、共謀罪NO!実行委員会の海渡雄一弁護士が、最近の安倍官邸の情報収集の状況について述べた。2018年末に「官邸ポリス」と言う題名の本が講談社から出版された。著者は「東京大学法学部卒業、警察庁入庁、その後、退職」とだけ、紹介され、経歴も年齢もわからない。内容は、安倍政権に奉仕する官邸内の警察官僚をはじめとして、外務省、財務省、警視庁、さらには報道機関などの生々しい実態が描かれている。最近の毎日新聞のインタビューで、前川喜平元文科事務次官は、「この本が本当だとしたら、現代の特高警察だと思いますよ。私は、警察庁出身の杉田和博官房副長官から官邸に呼び出され『新宿の出会い系バーというところに行っているそうじゃないか』と言われた。『週刊誌から聞いた話だ』と。それなら週刊誌が私のところに来るはずですが、来ませんでした」「菅さんが総理になれば、もっとひどい警察国家、恐怖政治になるのではないかと懸念しています」と述べている。まさに、安倍官邸は、公安警察が集めた個人情報によって、政治家や官僚の弱みを握って黙らせるという、独裁的な政治を進めているのだ。
 あいちトリエンナーレ2019「 表現の不自由展・その後」実行委員の小倉利丸さんが、右翼、政府の妨害、それへの反撃などについて報告をおこなった。


関西生コン弾圧を許さない全国集会

              
 弾圧に抗する声の広がり

 全日本建設運輸連帯労働組合(連帯ユニオン)関西地区生コン支部が2017年12月に実施したストライキ闘争などの正当な組合活動に対して、昨年夏以降連続して近畿一円で組合組織破壊を目的とした権力弾圧が仕掛けられている。
逮捕された組合員はすでに延べ80名以上で、そのうち70名以上が起訴され、中には8回逮捕、起訴された組合役員もいる。武建一執行委員長の拘留はすでに450日以上だ。

 この異常で不当な権力弾圧に対して抗議するため、11月16日に大阪市西梅田公園で「声をあげよう!弾圧許すな!11・16全国集会が開催され、全国から1200名の労働組合員や市民が参加した。
 集会では、オープニングの沖縄民謡と舞踊の後、主催者を代表してフォーラム平和・人権・環境の藤本泰成共同代表があいさつ。
 当該である全日建連帯中央本部の菊池進執行委員長と不当逮捕・拘留を受けた関西生コン支組合員が登壇して、「不当弾圧に負けず、必ず跳ね返し、勝利するまで最後まで闘う」と決意を表明した。
 沖縄平和運動センターの山城博治議長が、「関西生コン支部は、辺野古現地闘争を人的にも支えてきた」「全国の平和フォーラムが関西生コン支部への不当弾圧に反対する闘いに取り組んでいる」とあいさつ。
 「表現の不自由展・その後」をつなげる愛知の会の高橋良平さんからは、愛知での取り組みが報告された。
 全体でのシュプレヒコールの後、川口真由美さんによる力強いミニコンサート。
 弁護団を代表して中井雅人弁護士が「刑事事件にするようなものでないことばかり。拘留の長さも異様」とこの弾圧の不当性を訴えた。
 さらに、連帯挨拶として連帯ユニオン議員ネットの地方議員20名余りが登壇して、抗議の声を上げた。
 最後に集会決議を読み上げて、大阪の街を裁判所へ向けてデモ行進。

 解散地点の大阪地裁前では、不当な訴訟指揮、長期拘留を認める裁判所に抗議の声をぶつけた。

 関西生コンへの権力弾圧は、ストライキを威力業務妨害とし、建設現場で法令遵守を求め、非正規労働者の正社員化を要求すると強要、恐喝などとするなど、憲法28条や労働組合法で保証された当たり前の組合活動が否定され、刑事事件としてでっち上げられている。
 さらに、スト現場にいなかった組合役員が逮捕されるなど、本件弾圧が共謀罪のリハーサルとして強行されている。
 これは、大企業の利益を優先し、格差と貧困を拡大している現政権による、企業の枠を超えた産別運動の否定、反戦反基地闘争を闘う労組運動の破壊を目的とする権力弾圧に他ならない。
 私たちは、この弾圧を我がこととして捉えて、闘わなくてはならない。

 いま、関西生コン弾圧に抗議する声が広がっている。11月7日に「連帯ユニオン関生支部への大弾圧に反対する自治体議員の声明」が、12月9日には「関西生コン事件についての労働法学会有志声明―組合活動に対する信じがたい刑事弾圧を見過ごすことはできない」が発表されている。


東北アジアの非核・平和の動きを阻むイージス・アショア配備計画をやめさせよう

                  秋田・山口から現地闘争報告


 11月19日は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会と安倍9条改憲NO!全国市民アクション主催による定例の19日行動の年内最後の取り組みとなった。厳しい寒さにもかかわらず「安倍9条改憲NO!安倍政権退陣!国会議員会館前行動」には衆議院第二議員会館前を中心に2600人が参加した。

 議員会館前集会に先立って、参議院議員会館講堂で、戦争をさせない1000人委員会・立憲フォーラム主催で、秋田県秋田市と山口県萩市に配備が計画されているイージス・アショア(地上配備型ミサイル迎撃システム)についての院内集会「イージス・アショアの配備は何のため?―東北アジアの非核・平和の動きを阻む配備計画をやめさせよう!―」が開かれた。
 はじめに 配備予定地からの報告。
 櫻田憂子さん(「STOPイージス!秋田フォーラム」代表)が、秋田県での取り組みを報告―「STOPイージス!秋田フォーラムは、イージス・アショア配備計画の白紙撤回を求めて運動している。建設予定地の秋田市新屋演習場は、住宅密集地に近い。最も近い新屋勝平地区には13000人が暮らしている。県庁・市役所までも3キロメートルほどだ。そして、津波の影響もあるが、これは防衛省の調査報告書には記載されていない。これまで、平和フォーラムや山□県平和運動フォーラムとともに防衛省交渉おこない、閣議決定に対する抗議行動、配備に反対する県民集会やチラシ配布・署名行動を継続して実施してきた。今後の取り組みでは、配備反対請願県民署名10万筆が目標で来年一月中には達成したい。議会対策を強めて、秋田県知事と秋田市長に配備を認めさせない、また国会での配備白紙撤回をもとめていきたい。
 山口から森上雅昭さん(「イージス・アショア」配備計画の撤回を求める住民の会)。8月28日、防衛省は、「再説明に向けた今後の準備作業等について(イージス・アショアの配備関係)」をホームページに発表した。同時に、森田治男防衛省中国四国防衛局長が、「再調査」に係る説明を、山口県・萩市・阿武町に始めたが、未だ適地調査の報告・データの公表は行われていない。報道によると、防衛省は来年度予算案の概算要求でイージス・アショア敷地の造成や建屋の整備に関わる費用の要求を見送る方針を固めた。陸上自衛隊むつみ演習場においては、外部の専門業者に委託して標高を調査し直し、結果がまとまるまでに2ヵ月かかる見通しとのことだ。8月30日、「むつみ演習場周辺の水・環境に関わる地元住民一同」と「住民の会」の連署で防衛省中国四国防衛局に対し「申し入れ」をおこなった。防衛省は、適地調査のデータを公表しないままで、再調査と再説明をするという。これは、住民と自治体による科学的な検証作業をさせないという「データ隠し」そのものだ。「住民の会」は、今後、地質学・地盤工学・環境科学、電波物理学、電磁波専門家の協力を得ながら、申し入れを通して、事実上の科学的・客観的検証を基に、配備計画の撤回を求めていく。
 軍事評論家の前田哲男さんが「『イージス・アショア問題』の構造を読み解く」と題して報告した。2017年3月に自民党政務調査会は「弾道ミサイル防衛の迅速かつ抜本的な強化に関する提言」をおこなった。それは、「北朝鮮の脅威が新たな段階に突入した今、日米同盟全体の装備体系を駆使した総合力で対処するとともに、日米同盟の抑止力・対処力の一層の向上を図るため、巡航ミサイルをはじめ、わが国としての『敵基地反撃能力』を保有すぺく、政府において直ちに検討を開始すること」として、イージス・アショアやTHAAD(終末段階高高度地域防衛)の導入の可否について成案を得るべく、政府は直ちに検討を開始し、常時即応体制の確立や、ロフテッド軌道の弾道ミサイル及び同時多数発射による飽和攻撃等からわが国全域を防衛するに足る十分な数量を検討し、早急に予算措置を講ずること、あわせて、現大綱、中期防に基づく能力向上型迎撃ミサイルの配備、イージス艦の増勢の着実な進捗、事業の充実、さらなる前倒しを検討するべきだというものだ。
 同年8月には、日米安全保障協議委員会(2+2)を開催し、米国は日本にイージス・アショア導入を要請し、日本政府は8月中に18年度防衛予算・概算要求に計上した。11月に訪日したトランプ大統領は導入を歓迎すると述べた。その直後に、配備先として秋田市と萩市が浮上した。しかし正式伝達はないままに、12月に閣議決定し、18年度予算案に計上された。
 イージス・アショアの「価格」は「うなぎのぼり」している。日米間で導入の合意がなされた17年11月段階で、小野寺防衛相は国会答弁で「発射機の本体価格は1基800億円」とのべていた。それが17年12月の閣議決定時点になると、防衛省は「1基1000億円」と上方修正した。さらに18年7月、小野寺防衛相は1基1340億円と再修正した。2基分では2680億円となる。萩市での説明会では、2基を30年間維持するために「現時点で判明している」経費として4389億円という数字をあげた。産経新聞(18年7月23日)は、「イージス・アショアの導入費用について、2基で総額6千億円以上となると試算していることが、分かった。米国から購入するミサイル発射システムや最新鋭レーダー、デッキハウス(建物)などの主要装置に加え、イージス・アショア自体の防護対策や弾薬庫など関連施設も必要となるため、当初の想定以上に費用が膨れあがった」と報じた。
 そして、政府は防衛省側のさまざまなミスが連続しているにもかかわらず、「適地は新屋・むつみ両演習場」としているが、その本音は、北朝鮮からミサイルが発射されたとして、秋田と山口の上空を越えた先にはハワイとグアムの米軍基地がある。イージスショアは、日本を防衛するものと政府は言うが、どう見ても米軍基地を守ることだとしかいいようがない。
 トランプ政権は、8月に、旧ソ連と1987年に締結した中距離核戦力(INF)廃棄条約を正式に失効させた。エスパー米国防長官は地上配備型の中距離ミサイルを比較的早期にアジアに配備することに前向きな姿勢を示し、配備を検討する中距離ミサイルについて日本政府側と協議を始めた。
このままでは「新屋・むつみ」は、米新型中距離ミサイルの配備地になりかねない。それは「東アジア軍拡競争」、日本への「核配備」に火をつけることになる。こうした情勢で、政府に「イージス・アショア基地を断念させる」こと、それが緊急の課題である。


郵政ユニオン労契法20条裁判

               
 拡張請求した追加訴訟がはじまる

 労働契約法20条裁判をたたかう東日本裁判の3人の原告は、東京高裁2018年12月13日判決まで損害賠償請求していた以降の期間である2016年9月から2019年7月までの各種賃金及び労働条件の差額の損害を求めて9月19日、東京地裁に提訴しました。郵政では法を1年半前倒しにして、2016年10月から労働契約法18条に基づく無期転換制度がスタートしました(ちなみに郵政では無期転換した社員の名称を「アソシエイト社員」と呼ぶ)。3人の原告は、5年を超える雇用期間がありながらも無期転換は行わず、「有期雇用」のまま働き続けています。今回の裁判は東京高裁判決以降を請求期間とした拡張請求の裁判であり、第一次の訴訟(現在、最高裁係争中)の追加訴訟の意味を持つものです。
 12月2日、その20条裁判・追加訴訟の第1回口頭弁論が東京地裁で行われました。裁判では原告訴訟代理人を代表して水口洋介弁護士が訴訟進行についての意見陳述を行いました。
水口弁護士は本件訴訟が前訴で損害賠償請求を求めていた期間以降について、追加提訴した事件であること、前訴とは扶養手当を請求していることが異なっていること、そして本件に先行して東日本訴訟の東京高裁判決、西日本訴訟の大阪高裁判決(2019年1月24日)、さらに福岡高裁判決(2018年5月24日)がそれぞれ手当に関して結論が分かれて出され、現在、三つの高裁判決がいずれも最高裁第一小法廷に係属し、来年4月の新パート・有期労働法を前にした年度内か、遅くとも来年中には最高裁判決がなされることを述べたのち、今後の訴訟進行について、本件は先行する事件の最高裁判決の結論・内容に大きく影響を受けることから、請求している原告の手当等の金額等の個別事実主張に対しては、直ちに認否を行うことを主張しました。
 さらに重要な争点が被告・会社側が2019年4月から実施された正社員の住居手当廃止(10年かけて10%ずつ削減し、対象社員は20条裁判で原告らと比較対象とした新一般職のみ)と年末年始勤務手当のうち年末勤務手当廃止の不利益変更の有効性にあるとし、その合理性があるとすれば事実主張及び法律主張を早急に提出することを求めました。会社は18春闘において東京・大阪地裁判決で勝ちとった住居手当と年末年始勤務手当について正社員の労働条件を切り下げる不利益変更を回答し、その後就業規則の「改正」を行ってきました。それは露骨な20条つぶしと言えるものです。
 請求期間を拡張した今回の裁判は、不利益変更後の期間にも該当するために新たな重要な争点となりました。この点に関して、原告側は訴状で会社側が、「新一般職に支給されていた住居手当を廃止し、司法が命じた期間雇用社員に対する損害賠償権を無効にし、新一般職の労働条件を切り下げる方向で処遇格差解消を図ろうとした」と指摘し、「労働契約法20条は、有期契約労働者の処遇の改善を実現するために立法化されたものであり、正社員の待遇を引き下げることによって格差を是正することなどは法の趣旨に真っ向から反するものである。被告の措置は司法判断を無効とする方向での改定であり、何ら合理性が認められるものではない」とし、「原告は従前の100%の金額に基づく差額相当額の支払いを請求する権利を失わない」と主張しています。

 口頭弁論終了後、場所を移して、日比谷図書館会議室で報告集会が行われました。原告3人のあいさつと決意表明、弁護士からの報告がありました。

 第2回口頭弁論は来年2月20日(木)、15時から、東京地裁709号法廷です。
 郵政ユニオンは最高裁での上告審をたたかいつつ、前述した追加訴訟、さらにこれまでの東西20条裁判の成果を活かし、不合理な格差によって奪われてきた手当と休暇の過去分をとりもどす「郵政ユニオン集団訴訟」の準備を進めています。東西裁判の原告11人にしか判決の効力が及ばないこと、労契法20条に基づく組合要求に対して、すべての要求項目で「要求には応じられない」との会社回答があったことから、組合は全国の非正規組合員からなる原告団を組織し、集団訴訟を起こすことになりました。
 現在、訴訟の準備から進められ、原告は約160人、札幌、東京、大阪(京都)、広島、高知、福岡、長崎での提訴が予定されています。この訴訟は郵政ユニオン結成以来、その規模と全国性から最大の、そして組合の総力を結集したとりくみとなります。当然、財政的な負担も大きく、郵政ユニオンは「20条支える会」の会費継続・会員拡大を呼びかけながら、物心両面からの支援を訴えています。
 来年4月からのパート・有期労働法の施行を前に郵政だけではなく、メトロコマース、大阪医科大、井関農機等の20条裁判の最高裁判決(郵政3裁判は第一小法廷、他は第三小法廷)が大きく注目されています。判決は約4割が非正規という雇用社会に大きく影響し、この間安倍政権が「働き方改革」と称して進めてきた「同一労働同一賃金(ガイドライン)」の真価が問われることにもなります。


せ ん り ゅ う

    モリカケ「桜を見る会」ずるい顔

       アベの腹CTスキャンにかけてみよ

    口裏にあわせシュレッダー高性能

       大臣の頭の中はシュレッダー

    国の金=首相の金=アベの金

       ヤク物とアベ改憲は捨てましょう

    桜みて散りゆくアベの道もみえ

                         ゝ 史

2019年12月


複眼単眼

        
 安倍首相記者会見の憲法発言コメント

 12月9日、臨時国会の最終日に安倍首相は記者会見をした。気舎の質問に答えた安倍首相のコメント部分に、筆者のコメントを( )にとじて記入した。

 先の参議院選挙においては、それまでの1年間の憲法審査会における議論を振り返り、ほとんど議論されなかった(野党の予算委員会開催要求を長期にわたって拒否し続けたのは自民党だ。改憲が前提の憲法審より憲法問題を縦横に議論できるのは予算委が最適なのに)。
 この選挙においては、憲法改正の議論をしっかりと行っていく政党、候補者を選ぶのか、それとも議論すら拒否する政党や候補者を選ぶのか、それを問う選挙だと、こう訴えてまいりました(改憲の中身ではなく、「議論の必要性」にすり替えた。議論なら野党も進めるにやぶさかではないのに)。
 その上で、与党は、改選議席の過半数を大幅に上回る勝利をすることができました(自民党は単独過半数を割って、改憲派は3分の2も失ったのでしょ)。 
 最近の世論調査においても、議論を行うべきという回答が多数を占めています(「安倍首相の下での改憲には反対」も圧倒的多数だ)。 
 しかし、国民投票法の改正が、その中でもなされなかったことは、誠に残念ではあります(相次ぐ閣僚辞任、桜を見る会疑惑などなど、国会がまともに機能していない問題を棚上げにして、野党のせいにするな)
今後ともですね、第一党である自民党が先頭に立って国民的な議論を更に高める中で、憲法改正に向けた歩みを一歩一歩着実に進めていきたいと考えています(自民党改憲派の中にも、憲法問題は自民党が先走ったらうまくいかないという議論がありますね)。
 現在、自民党ではですね、幹部が先頭に立って、全国で憲法改正をテーマにした集会等を開催しています。自民党各議員がしっかりと自分たちの地元において、後援会において、こうした議論を進めていくことによってですね、国民的な議論が更に深まり、高まっていくと、こう確信をしています(自民党内の改憲消極派にしびれを切らして、安倍氏が恫喝したんでしょ。改憲でがんばらないと、冷や飯食わせるぞ、って。そこで、宏池会の流れの岸田政調会長らが、尻に火がついて動いたけれど、その岸田派の学習会で最高顧問の古賀誠氏が「憲法9条は世界遺産だ」とぶって、安倍改憲に反対したんだよね)。
 その上で、来る通常国会の憲法審査会の場においてですね、与野党の枠を超えた活発な議論を通じて、令和の時代にふさわしい憲法改正原案の策定を加速させてまいりたいと思います(安倍首相の憲法違反の言動の繰り返しを改めない限り、憲法審査会の運営は波が高いと思うよ)。
 憲法改正はですね、自民党立党以来の党是でありまして、そして、選挙でお約束したことを実行していくことが私たちの責任であろうと、政治の責任であろうと思います。
 憲法改正というのは、決してたやすい道ではありませんが、必ずや、私自身として、私の手でなし遂げていきたいと、こう考えています(憲法を自分の「レガシー」のように扱うこと自体が間違っているのです。いま、世論の多数は改憲を求めていない。憲法は有権者の大多数が変えたいと思ったときに変えるもの。改憲を求めているのは安倍晋三とその仲間たちだけだ。「私の手で」などという事はおこがましい)。  (T)


冬季カンパのお願い

          労働者社会主義同盟中央委員会


 今年は、安倍政治に反対する市民の総がかり行動、立憲野党との共同で闘いが着実に前進した一年でした。いま、安倍内閣は内外政策で行き詰まり、お友だち閣僚の連続辞任、ついに自らのスキャンダルへの批判の広がりで追い詰められる状況を呈し始めました。早期の改憲の目論見は実現が極めて困難になってきています。しかし苦し紛れの安倍はなにをしですかわかりません。
 安倍内閣こそが諸悪の根源です。来る2020年にはこれまでの闘争の成果を引き継ぎ、政治反動と戦争準備政策、搾取・収奪攻撃に対決するいっそうおおきな運動の高揚で安倍内閣をかならず打倒しましょう。そのために、私たちは一段と奮闘する決意です。運動の勝利的な前進のために冬季カンパをお願いいたします。

二〇一九年冬