人民新報 ・ 第1383号<統合476号(2020年3月15日)
  
                  目次

●  「緊急事態」宣言から改憲を狙う安倍

        凶悪化する安倍政治を終わらせよう

● 立憲フォーラム院内集会 2・19

        高野孟さん講演 「断末魔の安倍内閣」

 郵政ユニオン労契法20条裁判

        格差の是正を求めて全国154人が集団提訴

● 安倍改憲発議、今こそ止めるべき  許すな!憲法改悪・市民運動連絡会全国交流集会公開集会

        清末愛砂さん「平和は抽象的概念か?」

 3・1朝鮮独立運動101周年東京集会

        日韓民衆の連帯、日本と南北朝鮮の市民たちが作る平和への展望

● 個人情報保護法の抜本的改正を求める!

        三木由希子さん 「個人情報保護法改正の動向とこれからの課題」

 2・14 全一日の東京総行動

       経団連前で春闘勝利のシュプレヒコール

 せん り ゅ う

 複眼単眼  /  改憲、いよいよ草の根での対決





「緊急事態」宣言から改憲を狙う安倍

       凶悪化する安倍政治を終わらせよう


 新型コロナ肺炎の世界的蔓延は、これまで蓄積されてきた各地各種の諸矛盾を一挙に噴出させるものとなっている。日本でもこの社会が抱える構造的欠陥がいかに深刻なものだったかということが明らかになりつつある。長期にわたる保守党政権による支配とその政策は、一部の独占資本と資産家がその富をかつてなく増大させ、アメリカの世界支配を支える軍事大国化路線の強化と一方での医療・教育・年金など民生部門の予算の切りつめというものだった。それは、格差の拡大・貧困化の進展という悲惨な結果を生み、今日の事態に直面することによって、社会崩壊の危機がせまるという局面を迎えた。安倍政権はいまや内政外交ともに行き詰っている。外交では韓国との対立、北方領土をめぐるロシア、拉致問題の北朝鮮、国家主席来日延期の中国、そしてたのみのアメリカからは今秋の大統領選をひかえたトランプの厳しい対日要求が次々とでてきている。国内では、安倍首相みずからがかかわるとされる森友・加計学園、桜を見る会問題などが続出し、公職選挙法違反容疑で取り調べ中の河井議員もまた安倍がらみの事件だ。それら事件をもみ消すため検察を意のままに動かそうとして次期検事総長予定の東京地検検事長の不可解な定年延長のごりおしまでやってしまった。
 経済の安倍・アベノミクスの破綻は著しい。新型肺炎が起こる前に、日本経済の低下傾向は顕著になってきていた。一部保守派さえ批判した大衆消費に大打撃をくわえる消費税を10%へ強引に上げた。当然にも経済成長率は劇的低下となった。
 いま、新型肺炎の世界的蔓延とくにアメリカでの急激な感染者の増大、原油価格の急落などによって世界的に株価の低落、金融市場の動揺、各国経済の収縮は深刻になっている。アメリカの状況は、トランプの外交政策だけでなく秋の大統領選にも大きな影響をあたえるのは必至だ。
 安倍政権への支持率は低下している。安倍内閣は早期に退陣すべきだ。だが、安倍は、この状況で逆転攻勢に出てきている。右派勢力は、悲劇的事態を「好機」ととらえ、緊急事態を強調することによって、政府に強権的な権力を付与するなど改憲にむけての機運と条件を作り出そうとしている。3月10日、安倍は新型インフルエンザ対策特別措置法改定案を閣議決定し、国会にもちこみ、成立・施行しようとしている。その内容は、首相が期間と区域を指定した上で「緊急事態」を宣言できるというもので、道府県知事による外出自粛要請、人が集まる施設の使用制限、土地・建物の強制収用など広範な権限が含まれる。「緊急事態宣言」での安倍の狙いは大幅な人権制限に他ならない。そもそも、絶大な法的効果をもたらすにもかかわらず、要件が明確でない。政府は、新型コロナウィルス感染症の「流行を早期に終息させるために、徹底した対策を講じていく必要がある」としているが、安倍の初期対応の遅れ・誤りは否定できない。新型コロナ対策は、当初のクルーズ船対策にみられるように「日本は安全だ」論から、実際に感染者が全国に拡大してくると、一転し、極端な政策となっている。なんの準備もない小中高校の一斉休校「要請」などが典型だ。だが、それらがさまざまなしわ寄せ・負担をもたらすという批判が出てくると、それにおうじて、場当たり的な対処療法的政策を出し続けている。だが、そこには非正規労働者やフリーランス、外国人労働者、年金生活者、中小企業者をはじめ広範な社会的「弱者」への目配りはない。融資では借金を増やすばかりだ。
 いまも検査体制の遅れに依然として解決のめどが立っていない。韓国では、感染者数が急激に増えたが、それは検査数を飛躍的に増やしたからだ。日本政府のやり方は、真夏のオリンピック・パラリンピックのために、感染者数を少なく見せるために検査をことさら遅らせているのではないかという疑惑をひろげている。
 新コロナ肺炎対策は、医療・社会保障の充実、そして働く人々の賃金・労働条件の保障と一体でなければならない。また、韓国や中国としっかりと連携した対策でなければならない。すなわち、安倍のやってきた軍事費の増大でなく、予算を医療・年金・教育などにつぎ込んで、おおくの人びとの生活をまもるために使うことだ。在日米軍「思いやり予算」なども大幅に見直す必要がある。大企業がため込んできた莫大な「内部留保」を吐き出させ、消費税でなく法人税・富裕税を軸に税制を変えることも必要だ。
 日本社会の影の部分が表面化している。いまこそ、安倍政権をやめさせ、新しい政治が切り開かれなければならない。その課題を実現させる主体的な力量は、市民と立憲野党の共同の闘いの強化・拡大である。これまで安倍改憲に反対し、戦争法制、秘密保護法、共謀罪法の成立に反対するなどの共同行動は粘り強く続けられてきた。国政選挙などでも共闘が進められた。こうした展開は、運動の分裂・対立状況を克服して、さまざまな民衆運動を大合流させる画期的なできごとであった。昨年5月には、参院選に向けて、市民連合と5野党・会派(立憲民主党、国民民主党、共産党、社会民主党、社会保障を立て直す国民会議)は13項目の「共通政策」で合意し、各党会派の代表者が文書に署名した。共通政策には、改憲とりわけ第9条「改定」に反対し、改憲発議そのものをさせない、安保法制、共謀罪法などの廃止、防衛予算を国民生活の安全という観点から他の政策の財源に振り向ける、辺野古新基地建設の中止、日米地位協定を改定、東アジアにおける平和の創出と非核化の推進、原発ゼロ実現、消費税率引き上げ中止と所得、資産、法人の各分野における総合的な税制の公平化を図る、保育、教育、雇用予算の飛躍的拡充、貧困・格差の解消、LGBTsに対する差別解消、女性雇用差別や賃金格差の撤廃、選択的夫婦別姓や議員間男女同数化(パリテ)の実現、森友学園・加計学園などの疑惑の徹底究明、内閣人事局の在り方を再検討、報道の自由の徹底などが提起されている。それを充実・発展させ、改憲阻止などの各界各層の大衆的運動の高揚を実現し、安倍政権を批判し追い詰めよう。立憲野党はいっそう共闘をつよめて、来るべき衆議院選挙にむけて候補者を調整し、すべての党会派は統一候補者の当選に真剣にとりくみをつよめていこう。
 健康に十分に配慮しながら、各地での運動を着実に広げていこう。
 安倍の改憲攻撃を阻止し、多くの人びとの生活と権利をまもる闘いをすすめよう。
 総がかりの運動で、安倍内閣を打倒しよう!


立憲フォーラム院内集会 2・19

       
高野孟さん講演 「断末魔の安倍内閣」

 2月19日、国会議員会館前には1800人が結集して、「嘘とごまかしの政治は許さない!官邸の検察人事介入糾弾!自衛隊は中東沖から撤退せよ!安倍9条改憲発議NO!安倍政権退陣!行動」がおこなわれた。立憲民主党の近藤昭一衆議院議員、共産党の山添拓参議院議員が、ほころびをみせはじめた安倍内閣を激しく批判し、いっそう追い詰めようとあいさつした。改憲問題対策法律家6団体連絡会、安保法制違憲訴訟の会、羽田増便による低空飛行ルートに反対する品川区民の会が発言し、最後に安倍9条改憲NO!改憲発議に反対する全国緊急署名などの行動的提起が行われた。

 国会前集会の前には、戦争をさせない1000人委員会・立憲フォーラムの主催による「安倍政治を終わらせよう!院内集会」が開かれ、評論家の高野孟さんが「いよいよ『嘘』が続かなくなって断末魔の安倍内閣」と題して講演した。 安倍内閣はいまや断末魔の様相を見せてきている。桜を見る会前夜の懇親会は、ANAホテルの回答でアウトになった。アベノミクスで景気上昇などの言い草は、消費増税、世界経済停滞それに加えて新型肺炎でマイナス成長になる。新型肺炎で対応が適切でなかったことがあきらかになった。医師で神戸大学教授の岩田健太郎氏はクルーズ船にのりこみ「船内はメチャクチャ」という告発をYou Tubeにアップした。朝までに50万回ものアクセスがあったという。
 日本とアメリカの疾病対策はちがいすぎる。アメリカの疾病予防管理センター(CDC)の人員1万5500人、年間予算1兆5000億円にたいして、日本の感染症研究所は、306人、41億円にすぎない。
トランプは、米国は、新型肺炎にたいして大丈夫だと大見えをきっている。でたらめも甚だしい。トランプの嘘は1日16・5回で、就任から19年5月で1万回突破したという。昨年5月の「ニューズウイーク」誌は、トランプは、自己愛型人格障害の傾向のため、自分を大きく見せるための誇張がひどく、失敗を隠すための他人への責任押しつけをつづけるなど嘘に溺れる。これはヒトラーも同じだ、と書いていた。
 いまの状況で、「東京五輪」は本当に大丈夫なのかという声が広がっている。「週刊ポスト」2月21日号特集は「期間中に『ウィルス感染爆発』が襲ったら…/有力選手のボイコット、開催地変更要求……新型肺炎の猛威は夏場まで続く?」というものだった。かつてのSARSは終息までに8ヵ月かかった。これとおなじなら、昨年12月に発症したとみられる新型肺炎は8月までかかる。だが、4月中に終息できないとキャンセルが出始めるだろう。
 外交も安倍にとって厳しいことになってきている。中国の習近平国家主席の国賓来日は延期がうわさされ、ロシアのプーチン大統領との「北方領土」返還問題は政権の目玉の一つだが、プーチンはロシア憲法を変えて、そこには領土割譲の禁止が書き込まれるという。拉致問題の「解決」のため金正恩委員長と直接会うなどと言ってはみたが、金正恩は日本に無関心だ。安倍は、これまでに外遊81回、延べ訪問国・地域が175と豪語するが、まったく外国に「遊びに行った」だけではないのか。
 通常国会会期は6月17日までだ。6月18日は都知事選告示で、そのまま五輪ムードに突入せざるを得ない。国会の憲法審査会など開く暇などない。五輪明けに解散・総選挙という目論見だろうが、そんな求心力が残っているのだろうか。
 昨年夏の参院選で参院議席は安倍の勢力は三分の二を割り込んだ。今年の総選挙で衆院でも三分の二議席を失えば、「改憲イノチ」の安倍の存在意義は消滅する。この7年間、96条先行改憲、解釈改憲、安保法制、9条3項加憲とジタバタを繰り返したあげく、ついに16年から3年間の衆参両方で三分の二という絶好の改憲チャンスを活かせなかった。しかし、来年10月までには必ず総選挙が行われる。野党は「連立政権構想」協議を急ぐことが大事だ。


郵政ユニオン労契法20条裁判

       
 格差の是正を求めて全国154人が集団提訴

 郵政ユニオンに所属する非正規社員が有期契約による不合理な格差の是正を求めて、全国一斉に集団提訴を起こしました。2月14日に146人が札幌(6人)、東京(57人)、大阪(57人)、広島(11人)、高知(7人)、福岡(8人)の6地裁に提訴し、18日には8人が神戸(4人)と長崎両地裁(4人)に提訴しました。《※( )内は原告数》 弁護団も全国合わせて42人となり、損害賠償請求の総額は約2億5000円になります。
 郵政労契法20条裁判は、2014年5月に東京地裁、6月に大阪地裁に提訴して以降、それぞれの地裁・高裁判決で住居手当、年末年始勤務手当、扶養手当(大阪地裁は〇、高裁は×)、夏期・冬期休暇、無給の病気休暇など「格差は違法」として勝利判決を勝ちとり、現在、最高裁で係争中です。 郵政ユニオンは昨年8月に東西20条裁判における勝利判決に基づき「労働契約法20条に基づき手当等の支払いを求めた要求書」を日本郵便とゆうちょ銀行2社に提出しました。しかし、会社はすべての要求項目に対し、「要求には応じられない」と全く誠意を見せない回答を行ってきました。また、2014年春に提訴した東西20条裁判の判決は、訴えた11人の原告にしか効力が及ばないことから、その成果を活かし、広げるために今回の集団訴訟に踏みきりました。請求項目は、東西20条裁判の判決で認められた@住居手当、A年末年始勤務手当、B夏期・冬期休暇、C年始の祝日給、D有給の病気休暇、E扶養手当と地裁、そして高裁判決では認められなかったものの正社員との間で著しい格差があるF賞与(夏期・年末一時金)も請求しました。賞与の格差是正の請求は原告のみならず、郵政で働くすべての非正規社員の共通の思いです。札幌地裁と東京地裁では新たにG「寒冷地手当」を追加しました。
 郵政では労契法18条に基づく「無期転換」が法を1年半前倒しして、2016年10月1日にスタートし、翌年の4月には約8万人の「無期転換社員」(郵政内での呼び名は「アソシエイト社員」)が誕生しました。集団訴訟では、労契法20条が「有期契約による不合理な格差」としていることから、無期転換した期間は争わず、有期契約期間のみを請求の対象にしました。不合理な格差による過去の損害賠償を求める裁判ですが、原告が半年ごとに無期転換した時期により、請求の期間が異なります。154人の原告のうち、すでにアソシエイト社員となった原告は102人おり、2017年4月に無期転換した原告は請求期間が2016年7月から2017年3月までの9か月となります。たとえ、請求期間が短くなったとしても、非正規労働者が立ちあがりました。一方で無期転換していない期間雇用(有期契約)の原告も46人おり、請求期間は2019年11月までの41か月となります。
 集団訴訟の目的は、@地裁・高裁で勝訴した手当と休暇に限定して請求することにより、早期決着で組合員の経済的利益を獲得すること、A裁判で勝利することによって、会社の就業規則や給与規定などを「同一労働同一賃金」の方向に改善させていくこと、B郵政における非正規の「働き方」、「働かせ方」が違法であることを明確にさせることです。

 全国一斉提訴当日、郵政ユニオンは朝からの全国ビラの宣伝行動、提訴行動、記者会見、報告集会等、1日行動としてとりくんできました。提訴した地方のテレビ局がニュースの中で集団な提訴をとり上げていました。郵政ユニオンのとりくみは大きく注目され、集団訴訟の意義も広くアピールできました。

 集団訴訟のたたかいは郵政だけでなく、非正規4割の日本の雇用社会を問い、均等待遇の流れをさらに大きくしていくたたかいです。労契法20条裁判は、2013年4月の施行からこれまでの受け身の裁判から一歩踏み出し、法を活用して労働組合が主体的にたたかってきました。当初の判決は裁判所が非正規労働者の声に背を向けた消極的な判決が出されましたが、一つひとつの裁判の粘り強いたたかいによって判決を重ねるごとに着実な成果を積み上げてきました。2018年6月のハマキョウレックスと長澤運輸の最高裁判決は不合理な格差の判断の枠組みを示すとともに、正社員との格差を「合理化」してきた長期雇用インセンティブ論、人材・確保論を採用しませんでした。今、メトロコマース、大阪産業医科大、井関松山製造所、そして郵政3件(もう1件は佐賀事件)が最高裁で係属し、判決を待っています。集団訴訟は先行するこれらの裁判と連動する裁判であり、「20条裁判」としては最後の裁判となります。

 4月から「パートタイム・有期雇用労働法」が新たな法律として施行されます。(パート法8条と労契法20条が統合し、労契法20条は削除)このタイミングでの集団訴訟は「同一労働同一賃金」規定による待遇格差是正にとりくむ企業社会への大きなインバクトになります。
 集団訴訟への大きな支援の輪を作り出していこう。


安倍改憲発議、今こそ止めるべき

       許すな!憲法改悪・市民運動連絡会全国交流集会公開集会

                  清末愛砂さん「平和は抽象的概念か?」

 安倍首相は、「憲法改正を私の手で成し遂げていきたい」と述べている。安倍の自民党総裁の任期切れの2021年9月までに改憲を実現するとして、自民党あげての改憲運動を全国に広げようとしている。まさに、今年は、安倍改憲を許しアメリカの覇権主義的世界支配の一翼をになう戦争する国への道を行くのか、それとも改憲を阻止し反動安倍内閣を打倒して、近隣諸国とともに平和と民主主義の日本社会を実現するのかの鋭い闘いの年となっている。
 各地各層の安倍改憲反対の運動が前進・拡大している。2月22〜23日、「安倍改憲発議、今こそ止めるべき」をかかげて、第22回許すな!憲法改悪・市民運動連絡会全国交流集会が開かれた。

 2月22日には、その公開集会が、全水道会館で開かれた。
 はじめに、高良鉄美参議院議員(沖縄の風)が国会報告。沖縄のあらゆる問題の根本には憲法がある。沖縄には憲法が適用されていない。改憲を絶対に許さないために参院選に出馬し、皆さんの大きな支持で当選した。参院では法務委員会に属している。沖縄では辺野古基地建設工事が強行されているが、沖縄の人々をはじめとして身体を張って阻止の闘いをおこなっている。憲法を後退させている状況を許してはならない。一日も早く、安倍政権を退陣させよう。

 講演@は、清末愛砂さん(室蘭工業大学准教授)が「平和は抽象的概念か? 人の〈生〉と問われる想像力の欠如」をテーマに話した。
 平和とは何だろうか。平和という二文字から平和のイメージとしての鳩を挙げる人は多いが、鳩は空腹を満たすこともできる。わたしにとっての平和は、温かい食事を皆で囲み談笑する姿だ。わたしのパレスチナ・ヨルダン渓谷での経験には、子どもたちと一緒に絵を描き、楽器を奏でる姿がある。単純にみえる足元の出来事のなかにこそ、人々が希求する平和があるのではないだろうか。その平和とは、与えられるものではなく、自ら勝ち取るもの、探求するものであり、人類の血と涙の結晶ではないだろうか。
 安保違憲訴訟控訴審(札幌高裁)原告陳述でわたしは次のように述べた。「パレスチナ等で人々が恐怖や欠乏から解放された生活を送ることができるようにするために積み重ねてきた小さな支援活動は、わたくしなりの全世界の人々の平和的生存権の確立を求める具体的な行動を意味する」「『平和』とは、人が生きるという根本的な行為に対して、具体的な安心感を与えると同時に、人間としての尊厳をもって生きるということを肯定的にとらえる大きな安心材料を与えるものである」「平和の概念を抽象的にとらえるという発想は、いま、この瞬間においても爆撃にさらされている人々、戦火から命からがら避難を強いられている人々、戦火により荒廃した社会で生き延びるための水や食料を手にすることができずにいる人々の人間としての尊厳を愚弄するものであるとわたくしは経験上考える。この圧倒的想像力の欠如が、人々の殺傷につながる防衛力の名の下で進められる軍備または安保関連法にみられるような海外での武力行使を可能とする法制度の整備を容認する土曾を形成してきたと確信している」。
 「生きる」とは、「希望」と「尊厳」がともに備わっていることであり、そして、自由であるということにほかならない。
 憲法の平和的生存権は誰に何を求めているのだろうか。憲法前文には「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」とある。では、「われら」は「日本国民」であり、平和的生存権の主体は「全世界の国民」ということだ。たとえば、恐怖と欠乏にまみれたアフガニスタン、シリア、パレスチナの人々の暮らしはまったく注目されないが、これはわたしたちの意識の問題である。
 平和的生存権の確認には実践・行動が必要だ。その行動規範は、憲法前文の解釈基準である非暴力、9条の精神としての非軍事、非武装、非暴力であろう。法学研究者であるわたしにパレスチナ・ガザが教えてくれたことは、一瞬の楽しさではなく、その奥底にあるいつでも攻撃される可能性をともなう命の脆さだ。人間であることの恥。それは、この脆さを強いるグローバルな棄民化を支えることにある。
 海外で活動するNGOの原則では、なにより地元のコミュニティとの信頼関係を構築することが重要だ。信頼を築くことは難しいが、しかし、失うことはとても簡単だ。軍事的要素が見え隠れすると、すぐに反感を持たれる。自民党の明文改憲は、憲法前文や9条の精神にもとづいて、地道な努力を重ね築き上げてきた日本のNGOの海外での草の根のつながりを暴力的に押しつぶす可能性があるといえる。
 アフガニスタンで中村哲さんがなくなった。追悼は英雄視することを意味しないし、国民統合の物語へすり変させてはいけない。非暴力な社会を求める平和的生存権と9条の存在なくして、ここまで長い活動はできない。中村さんは、空想的平和主義者でも、幻の平和主義者でもなく、現実的平和主義者だった。
 
 つづいて、新聞労連委員長の南彰さんが「メディアの危機と憲法」について講演し、安倍政権の下での取材先と報道の関係の変化、メディアへの抑圧に対する新聞労連の闘いなどについて語った。

 さいごに各地での憲法改悪に反対する活動について、北海道、愛知、広島から報告が行われた。


3・1朝鮮独立運動101周年東京集会

      
 日韓民衆の連帯、日本と南北朝鮮の市民たちが作る平和への展望

 1919年3月1日、日本帝国からの独立を求め朝鮮半島全土で人びとが立ち上がった。3・1独立運動で、今年は101周年を迎える。朝鮮半島では南北分断そして朝鮮戦争がおこり、休戦協定のまま、緊張状態がつづいている。トランプ政権の北との対話の姿勢は言葉だけにとどまり、安倍政権も同じ対応だ。同時に安倍政権のとりまきをはじめとするに日本の排外主義右派勢力は、植民地主義を清算せず加害責任に背を向け、韓国へも攻撃を強めている。東アジアの危機的状況は一向に改善されていない。東アジア地域に平和をもたらすためには暴走する安倍政治を一刻も早く終わらせることが必要であり、日韓両国の民衆連帯こそ平和をもたらす主導的な力とならなければならない。

 2月28日、文京区民センターで、「3・1朝鮮独立運動101周年東京集会」(主催―「3・1朝鮮独立運動」日本ネットワーク、協賛―戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会)が開かれた。
 主催者を代表して、渡辺健樹さんがあいさつ。3・1独立運動に象徴される朝鮮半島の人たちの独立・解放への血のにじむ闘いは受け継がれ、朴槿恵独裁政権を倒したキャンドル革命の源流ともいわれているが、101周年にあたってあらためて日本市民の良心の声を朝鮮半島と世界の人々に発信していきたい。
 映像「植民地支配に抗(あらが)って―3・1朝鮮独立運動」が上映された。

 吉澤文寿さん(新潟国際情報大学教授)が「東アジアの共有財産としての韓国大法院『徴用工裁判判決』」と題して講演した。韓国大法院「徴用工」判決から1年たった。判決は、「日本政府の韓半島に対する不法な植民地支配および侵略戦争の遂行に直結した日本企業の反人道的な不法行為を前提とする強制動員被害者の日本企業に対する慰謝料請求権」を認定し賠償支払を命じた画期的な意義を持つものだった。それは、植民地支配そして侵略戦争の不法性、原告に対する日本企業の反人道的な不法行為を認定し、加害者である日本企業に対する被害者=原告の個人請求権を認定し、た。そして個人請求権は日韓請求権協定によって解決されていないことを確認した。しかし、日本政府は責任回避をつづけ、日本企業と被害者との問題を、「無法な韓国政府」ということを強調して責任転嫁に終始し、企業も政府に追随している。問題になっている朝鮮人戦時強制動員とは何か。日本側は、韓国政府が個人補償を拒否したとか言っているが、なにより日韓会談文書を正しく読むことが必要だ。最近「対韓経済技術協力に関する予算措置について」(1960年7月22日、北東アジア課)という文書が公開請求によってあきらかになった。それは次のように書いている。「財産請求権問題は一種の棚上げにする方が適当である。その一方で日韓会談妥結のために韓国に何らかの経済協力をする必要がある。我が国にとっても、過去の償いということではなしに韓国の将来の経済に寄与するという趣旨ならば、かかる経済的援助を行う意義あり」というものである。外務省はほかにも重要文書を秘密にしているだろうから、公開請求を強めていかなければならない。「徴用工」判決は日韓市民連帯の成果だ。21世紀になっても被害者の訴えが認められてこなかったが、日韓両国の市民が被害者を支えて、戦後補償要求運動を推進してきた。すでに韓国政府は2005年に日韓会談関連文書を公開し、請求権協定で解決されない問題の存在を確認している。これから行われるべき日朝国交正常化交渉でも考慮されるべき判決となった。日韓市民の連帯、そして日本と南北朝鮮の市民たちが作る平和への展望を語っていこう。
 
 韓国ゲストのチュ・ジェジュン安倍糾弾市民行動政策委員長は「朝鮮半島情勢と日韓関係をどう見ているか」と題して発言した。朝鮮半島の情勢について7つのキーワドで話したい。第一は、膠着状態の米朝関係ということで、この間の米朝交渉で明らかになったのは、米国のダブルスタンダートと裏切りだ。昨年末の、朝鮮労働党の会議で方針が明らかになった。北は米国が変わらなければ交渉に応じないだろう。次に、正面突破ということで、自力更生、戦略兵器の開発と外交の強化だ。三つ目には戦略兵器ということで、米国が約束を守らないなら、核兵器、ICBMについて束縛されず、今後も開発する。第四に、上向調整で、米国の出方によって出方をかえるということだ。第五は当事者になるべき文在寅政府ということで、これまでのような仲介者ではなく当事者になるべきで、最近の南北鉄道の連携など昨年よりは少し積極性が見える。これからの情勢の進展のためには文在寅政権が米国が敷いた路線をこえることだ。つぎに、自主的意識のひろがりで、反米無風地帯と言われてきた韓国において女子学生の米戦車による殺害、駐韓米軍費用の五倍化請求などで米国に対する闘いがつづいている。もうひとつはNOアベの広がりだ。そして、安倍の軍国主義武装化とそれにたいする日韓市民の連帯ということだ。いっしょに、東アジアの平和をめざそう。

 最後に、参加者一同は「米韓合同軍事演習に反対する決議」を拍手で確認した。米韓合同軍事演習は新型コロナ肺炎を理由に延期されたが、中止ではない。決議では「米韓両政府は米韓合同軍事演習を中止せよ。板門店宣言、米朝共同声明を履行し、対話で平和と非核化を目指せ。安倍政権は辺野古の新基地建設をやめ、朝鮮半島対話プロセスを妨害するな」と求めた。


個人情報保護法の抜本的改正を求める!

       
 三木由希子さん 「個人情報保護法改正の動向とこれからの課題」

 安倍首相の身内だけの利益を増大させる政治の私物化、人事の私物化は目に余るものだ。同時に、秘密保護法、共謀罪法など市民の自由と権利を奪う管理体制をつくろうとしている。

 3月6日、衆議院議院第2議員会館前で、共謀罪NO!実行委と「秘密保護法」廃止へ!実行委による定例の「12・6 4・6を忘れない6日行動」が行われ、立憲野党の国会議員と市民団体からの発言が続き、「共謀罪は憲法違反」「市民監視の法律いらない」「みんなの力で政治を変えよう」などのシュプレヒコールをあげた。

 ひきつづいて、衆議院第二議員会館で「個人情報保護法の抜本的改正を求める院内集会」が開かれた。
 昨年12月13日、個人情報保護委員会は、2020年の個人情報保護法の改正に向けて、「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直し 制度改正大綱」を公表し、パブリックコメントを募集した。大綱は、企業が新たに対応すべきことして、利用停止等の権利の拡充、開示のデジタル化推進、6か月以内に消去するデータも保有個人データに含むこと、漏えい等報告の義務化、個人データの提供先基準の明確化、ペナルティの重科、「仮名化情報(仮称)」の導入などが盛り込まれている。個人情報保護法改正案は、この通常国会に上程される予定だ。企業優先ではなく、市民のプライバシー、個人情報を守るためには個人情報保護法の抜本的な改正が必要だ。個人情報の保護と政府が隠そうとする情報の公開が求められている。
 院内集会では、情報公開クリアリングハウス理事長の三木由希子さんが「個人情報保護法改正の動向とこれからの課題」と題して講演した。個人情報保護法の改正案がこの国会にだされる。個人情報保護法の3年ごと見直しで、昨年12月の大綱では、見直しの視点として以下の5点がある。@自らの個人情報の取扱いに対する関心、関与への期待の高まりへの対応、A個人情報や個人に関連する情報をめぐる技術革新の成果が、経済成長と個人の権利利益の保護との両面で行き渡るような制度を目指す、Bデジタル化された個人情報のグローバルな利活用の展開に対応、C国境を超える個人情報を扱うビジネスの増大による個人リスクの変化への対応、DAI・ ビッグデータ時代を迎え、本人が自分の個人情報の取扱いをあらかじめ網羅的に把握することが困難になりつつ環境下での事業者の説明責任と、本人予測可能な範囲での適正利用の環境整備。
 この背景にあるのは、昨年6月に閣議決定された「成長戦略実行計画」だ。その大きな方向性は、個人情報の利活用を推進する環境整備として、個人情報の取扱いに関する個人の関与を一定拡充する必要性があるが、基本構造には手を入れない。例えば個人情報・取得・保有段階での本人関与、個人情報の性質(例えば要配慮個人情報)を踏まえた規制、プロファイリング規制などは行わない、ということだ。そして成長戦略の一環としての意味合いが強い。
 EUでは、「データの単一市場」創設に向かって動いている。これは、先行する米中への対抗でもある。毎日新聞(2月20日)は「単一市場は『製造業』『移動』『健康』などの分野に分け、域内27力国の企業や自治体などが保有するデータを集積し、共有する仕組みを作る。企業や自治体のほか、研究者がデータを活用することで、患者個人に応じた医療の提供や、渋滞の緩和、災害対応などに役立てる。既に施行されている厳格な一般データ保護規則(GDPR)に基づき、個人情報の保護も確保する。今後は欧州委で制度の詳細や個人情報の取り扱い、セキュリティー対策などを決め、年内に必要な法案を取りまとめる」と報じた。個人情報の保護が厳格化されていると同時にデータ活用が進められることになっている。
 日本での見直しは、現行法では「本人開示請求で開示された保有個人デーダに対して利用停止請求権。要件は、法の規定に違反した個人情報の取扱いがあること」であり、見直しでは「個人の権利利益の侵害がある場合を念頭に、保有個人データ利用停止・消去、第三者提供の緩和。但し事業者負担軽減等のため、同措置を行うことが困難な場合で、本人の権利利益を保護するために必要な代替措置をとる場合は、請求拒否できる」となる。見直しには、前進しているところもあるが、課題も多いものだ。
 例えば、「開示請求の充実」がある。開示請求の対象に電磁的記録があるが、これまで開示の実施は「書面」となっているのを、電磁的記録での開示実施を可能にする、という。膨大な個人データを書面で開示されても検索できないし、音声、動画など「書面」での再現が不可能だ。本人が電磁的提供を含め指示した開示実施方法で開示することを義務づけることになる。ただしそもそも氏名などと紐づいていないと画像や動画は開示請求できない。個人情報の定義には「顔の骨格及び皮膚の色並びに目、鼻、口その他の顔の部位の位置及び形状によって定まる容貌」が含まれる。
 昨年7月26日の朝日新聞に「東京・渋谷駅周辺の3書店が30日から、万引きをしたとみられる人物の画像を顔認証システムに登録しで共有する。書店の深刻な万引き被害が背景にあるが、個人情報の取り扱いに問題はないのか」という記事が載った。「3書店では、万引きの疑いで現行犯逮捕されたり、万引したことが確実とみられたりする人の防犯カメラ画像を、撮影日時や被害状況などと一緒に共同のシステムに登録する。登録した人物が来店した際にカメラで検知すると、店内のパソコンや専用のスマートフォンに警告出る。店員はこの人物の動向を確認し、警戒する」という。しかし、誤認識はおおい。そうした場合、削除を求めるのは当然だ。
 現行法は、短期間の保有は個人の権利利益侵害の危険性は低く、開示請求等がされても開示等が行われるまでに消去される可能性も高いとして、開示請求等の対象から除外される。情報化社会の進展で短期間でも漏えい、拡散の危険があるので、個人の権利利益の侵害が低いとは言えなくなり、消去されていれば事業者が請求に応じる必要もないので不利益が発生しないので、消去する短期間保存データも保有個人データとするべきだ。
 また、本人同意によらない個人データの第三者提供を行う場合の条件が、オプトアウトである。オプトアウトによる第三者提供を行う事業者は、@第三者への提供を利用目的とすること、A第三者に提供される個人データの項目、B第三者への提供の方法、C本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止すること、D本人の求めを受け付ける方法を個人情報護委員会に届け出、公表が必要。第三者提供を行った記録の作成義務、個人情報の第三者からの受領時の記録作成義務がある。その漏洩の危険があり、オプトアウト規制強化とともに漏えい報告・本人通知を義務化しなければならない。それは、一定数以上の個人データ漏えい、要配慮個人情報の漏えい等、一定の類型に該当する場合に限定して、個人情報保護委員会への報告を義務化し、報告は「速やかに」行うこと、速報の報告とは別に、原因や再発防止策等の報告を含む確報の報告も求める、報告先は、個人情報保護委員会又は権限委任官庁である。
 例えば、マイナンバーにおける個人情報保護委員会への報告がある。マイナンバーでの、「重大事態」とは、不正アクセスにより特定個人情報漏えい、滅失、き損を受けた事態、100人を超える特定個人情報の漏えい・滅失・き損を受けた事態、違法な利用・提供が行われた事態、不特定多数に特定個人情報が利用できるようになっており、かつ閲覧されていた事態、不正に目的を特って特定個人情報を利用・提供した者がいる事態などだ。その「重大事態の報告内容」は、@事態の類型、A事態の概要、B漏えい等した情報の内容、C.漏えい等した特定個人情報の本人の数、D漏えい等が発生した事務の名称、E公表予定、F本人への連絡等の状況、G再発防止策等、Hその他、となっている。なにより、個人情報保護委員会への報告対象とする案件について、本人通知の義務化(ただし本人の連絡先が分かる場合)、また本人通知が困難な場合は表など代替措置をとる、ということだ。
 そして、適正な利用の義務を明確化させることで、違法ではないが、違法又は不当な行為を助長し、誘発するおそれのある方法で個人情報を利用するなど、個人の権利利益の保護上問題がある事例があることへの対応であり、適正とは認めがたい方法による個人情報の利用を行ってはならない旨の明確化だ。
 「公益目的」であっても、その例示が必要だ。安全面や効果面で質の高い医療サービスや医薬品、医療機器等の実現に向け、医療機関や製薬会社が医学研究の発展に資する目的で利用する場合などである。
 また「公益目的での個人情報の取扱いの例外」がある。これは、個人情報の目的外利用、外部提供の原則禁止の例外としての「公益目的」での利用・提供ということで、@法令に基づく場合、A人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき、B公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき、C国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき、がそれにあたる。


2・14 全一日の東京総行動

          
 経団連前で春闘勝利のシュプレヒコール

 2月14日、「働く権利 働く者の権利 人間としての権利」をかかげて、けんり総行動実行委員会による東京総行動が総務省前集会でスタートし全一日の闘いが展開された。
 昼すぎには、日本資本主義の総本山・経団連にむけての抗議行動が行われた。
渡邉洋全労協議長が主催者あいさつで、郵政産業労働者ユニオン労契法20条集団訴訟が全国で提訴されたことをはじめ差別・格差をなくす春闘を闘い抜こうとのべた。日巻直映郵政ユニオン委員長が集団訴訟について報告し、全国一般全国協、神奈川県共闘、大阪ユニオンネット、中小ネット、JAL争議団、ユナイテッド航空争議団、全港湾から闘いの報告と決意表明がつづいた。

 午後の行動のひとつ、トヨタ東京本社前では、フィリピントヨタ労組を支援する会による抗議申し入れ集会が行われた。トヨタ自動車は、フィリピントヨタ労働組合が、全労働者を代表して会社と労働協約を結ぶため団体交渉を拒否し、組合員である労働者に対する大量解雇を強行した。ILOからも是正勧告が出ているが、トヨタはかたくなに拒否の態度だ。フィリピントヨタ労働組合、フィリピントヨタ労組を支援する会、フィリピントヨタ労組を支援する愛知の会は、組合潰しのための大量解雇、ILO勧告、OECD勧告に従わないことに対し、強く抗議し、トヨタ社が誠実に反省し、オリンピック・パラリンピック開催を目前に控えた今こそ丁度好い機会ととらえて解決するという決断に踏み切ること、などを要請した。


せ ん り ゅ う

    マスコミは広告主の顔次第

      どの記事も巨大資本の金の色

    アベが居てこんな嗤いが止まらない

      ウソばかりアベノウィルス桜色

    国政をヤジですすめるアベ首相

      寒いのに乱れ咲いてるアベ桜

    ウィルスも花粉もアベも困りもの

  
                       ゝ 史
2020年3月


複眼単眼

      改憲、いよいよ草の根での対決


 3月8日に開催する予定だった自民党2020年度大会は、コロナウィルス問題で延期になり、代わりに17日に自民党の両院議員総会を開催することになった。本稿が公開される頃には終わっているはずだ。
 その運動方針案をざっと検討しておきたい。
 運動方針原案は「みんなが輝く令和の国づくり」と題し、前文は「令和の御代を迎え、新たな時代が幕を開けた」で始まる。
 みんなが輝く「令和の御代」だという。「御代」、天皇の時代(治世、在位期間)だ。なんと時代錯誤の文章なことか。天皇主義者に固められた政権党の自民党の頭の中をかいま見る思いだ。
これは笑って見逃していい問題ではない。仮にも民主主義の時代だ。主権在民の日本国憲法の下での政権党の運動方針案の記述だ。これでは「耀いている」のは「みんな」ではなく、「天皇」だ。

 運動方針案の最大の特徴は、議案本文の冒頭に「憲法改正」を取り上げ、「新たな時代にふさわしい憲法へ」と題する章立てをして、「改正原案の国会発議に向けた環境を整えるべく力を尽くす」と党の決意を鮮明にしたことにある。
55年体制成立以来、憲法「改正」を党是としてきた自民党ではあるが、運動方針案で憲法問題を独立した章として前面に打ち出したのは、おそらく今回が初めてのことだ。
 そして「未来に向けた国づくりに責任を果たすため憲法改正を目指す」と述べ、昨夏の参院選で「『議論を前に進めよ』との国民の強い支持を得た」とそれを正当化している。
 これは各所で指摘してきたが、安倍首相のフェィクだ。たしかに安倍首相は参院選の演説で、数ある自民党の政治家の中ではただ一人、「憲法論議を進める政党か、それとも憲法論議をしない政党かの選択だ」と叫んできた。世論の多くは「憲法の議論はやったほうがいいでしょ」というものだ。しかし、これは安倍自民党への支持とイコールではない。ここに安倍首相のごまかしがある。
 野党の多くも憲法論議を進めることには賛成だ。これを国会のどの機関でやるか。自民党は改憲原案を作るのが目的の憲法審査会でやるべきという。運動方針案は、衆参両院の憲法審査会で早期に「各党各会派の枠を超えた議論」をするよう求め、「各党各派からの意見・提案があれば真剣に検討するなど幅広い合意形成を図る」という。
 野党は改憲を前提とする憲法論議ではなく、予算委員会など国政全般の議論をする場で積極的にやるべきだという。
 ここが違いであり、対立は憲法論議をするか、しないか、ではない。

 このところ自民党は改憲反対勢力との草の根での対決を主張している。運動方針ではここをかなり具体的に書いている。
 改憲の「国民的議論を前進させるため」、党憲法改正推進本部に「遊説・組織委員会」を置き、各地で「憲法改正研修会」を精力的に開催する。改憲のための女性の視点からのパンフレットや、若い世代向けのマンが入り冊子(元幹事長の石破茂は改憲漫画をみて「これが自民党なのか」と嘆いているが)を作る。中央政治大学院を作り、「学びと夜間塾」を開く。 「憲法改正の主役はあなたです」と題するポスターを作る。インターネット動画を活用する。
 この間、全国の市民運動は改憲発議反対などの署名運動に取り組むなど、草の根での「対話」運動に力を注いできた。
 自民党はこの市民運動が得意とする草の根の運動の分野に参入してきたいわけだ。
 いよいよ改憲問題は「草の根」での対決という正念場にきた。 (T)