人民新報 ・ 第1387号<統合480(2020年7月15日)
  
                  目次

● 敵基地攻撃論を粉砕しよう

       米国の中距離ミサイルのアジア・日本への配備反対

● 都知事選がしめした野党共闘強化の重要性

       コロナ禍を最大限に悪用した小池選挙

● 世界恐慌以来の失業者の可能性 ― OECDが予測

       急増する生活保護申請数

● 日本の裁判にジェンダー平等の視点を!

       女性差別撤廃条約「選択議定書」の批准を

● ボルトン本が暴露する米国外交の混迷

       トランプの言いなりの安倍

● 辺野古工事再開を許さない

       イージス・アショアにつづき辺野古新基地建設も中止に

● これでわかった!NHKのいま

● 日本軍国主義の非人道的犯罪

       731部隊の新資料発見

● 右翼排外主義勢力と連動する小池都政の「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」への対応に断固抗議

● 幼児教育・保育無償化

       外国人幼稚園へ適用せよ

● 不祥事続きのフジサンケイグループ

       反リストラ産経労  松沢委員長の解雇撤回求めて株主総会行動

● 安倍政権退陣!

       55回目の国会前19行動

● 複眼単眼  /  はまゆうの花と三宅島






敵基地攻撃論を粉砕しよう

       
米国の中距離ミサイルのアジア・日本への配備反対

陸上イージス配備は中止に

 政府は、ミサイル防衛のためだとして、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を山口県の陸自むつみ演習場と秋田県のあらや演習場を建設予定地とした。しかしおおくの人びとと自治体は反対の運動を繰り広げてきた。
 当初、イージス・アショアは2セットで2000億円ほどをアメリカに支払うことになるとされたが、その額は、徐々に高いものになっていくことになった。このほかにも、システム関連施設建設費用や設置場所の土地改良費用、周辺地域の環境保全費用などの金額も巨大なものとなると批判されてきたものだ。安倍政権は、トランプとの親密な関係をアピールするために、アメリカから高額兵器を購入することでトランプの歓心をつなぎ止めたかった。そもそもイージス・アショアの導入は、陸海空の3自衛隊からの要望もなく、2014〜2018年の中期防衛力整備計画にも入っていなかったのが急遽決まったのだ。
 政府はイージス・アショア導入の理由を「北朝鮮の核・ミサイル開発」による「差し迫った新たな段階の脅威」だとしたが、ハワイとグアムの米軍基地を守るものであるのはあきらかだった。また、対象が、北朝鮮だけではなく、なにより中国であることは疑いない。
 トランプ政権のいうままに安倍は、反対の声を圧殺して建設に向けて強引に進んできた。ところが、6月15日、河野防衛大臣は、イージス・アショアの配備計画を停止すると表明した。唐突な政策変更だった。理由は、迎撃ミサイル発射時に切り離されるブースターが周辺地区に落下するということだ。米側はそのようなことはないと嘘の説明をしていたことが明らかになった。改善のためには、追加費用が数千億円もかかり、期間も10年以上だという。
 イージス・アショアの購入・建設という日米首脳による合意、そのうえすでに予算執行が始まっている計画がいきなり停止されてしまうというのは、いずれにせよ前代未聞の出来事であり、安倍政権と日米同盟がおおきな変容を見せ始めていることを公然化させることになった。
 トランプ政権は、ミサイル配備を強化している中国への対抗策として、地上配備型の中距離ミサイルを日本を含めるアジアに配備する方針を固めている。イージス・アショア配備の中止は、このアメリカの対中軍事戦略に影響を与えることになる。兵器の対日輸出を重視しているトランプが、配備の強要などより圧力を強めることは必至だ。

敵基地攻撃論を封込めよう


 政府は、イージス・アショアの計画を、急遽、停止することとしたが、一方で、防衛に空白が生じることは許されないとして、国家安全保障会議(NSC)などで「敵基地攻撃能力」の保有について議論を進めるとしている。
 去年5月16日に、安倍は、衆議院本会議で、「敵基地攻撃能力を目的とした装備体系を整備することは考えていない。日米の役割分担の中で、アメリカの打撃力に依存しており、今後とも日米間の基本的な役割分担を変更することは考えていない」と答弁していたが、今年6月には、自民党から攻撃兵器保有を検討するよう求める提言が出されたことを踏まえて、「われわれも、自民党の提言を受け止めなければならない」と豹変した。すでに2004年、自民党の政務調査会国防部会・防衛政策検討小委員会が、「提言・新しい日本の防衛政策―安全・安心な日本を目指して―」の「弾道ミサイル防衛システムの着実な整備」の項で「弾道ミサイル防衛システムだけでは十分な抑止が図られないことを考慮すれば、日米安保体制の有効性を高める努力を行いつつも、わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、その手段としてわが国土に対し、誘導弾等により攻撃が行われる場合、誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる場合に限り、敵の誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるとの政府見解もあることから、わが国が相手国の基地を攻撃し得る能力を保有する必要性やその在り方についての検討も行うべきである」としている。
 専守防衛論からの大幅な逸脱だ。
 アメリカの世界戦略その中軸の対中国強硬策では、ミサイルだけでなく、各種兵器・兵種を総合させるものであり、当然にも敵基地攻撃を含む。
 安倍政権の敵基地攻撃論は、日本をいっそう米国との軍事同盟に組み込むものであり、その先兵となるものだ。
 安倍政権の戦争する国づくりを絶対に許してはならない。


都知事選がしめした野党共闘強化の重要性

     コロナ禍を最大限に悪用した小池選挙


 7月5日投票の東京都知事選は、過去最多の22人が立候補したが、小池百合子366万1371票当選、宇都宮健児84万4151票、山本太郎65万7277票、小野泰輔61万2530票という結果となった。自民党は自主投票という実質的小池支持、公明党は小池支持だった。連合東京も、小池支持に回った。
 新型コロナ禍の中、マスコミの報道もコロナが主要なテーマとされた。これは小池にとって非常に有利に働いた。テレビなどのコロナ報道は、小池の顔を連日大写しにした。まさに小池はコロナ禍を知事選にあたって最大限に有効利用したといえよう。
 だが、都知事選挙は、コロナ対策だけではない。何より前回知事選で小池が公約した政策がどう実現されたのかが問題だ。それは、@待機児童ゼロ、A残業ゼロ、B満員電車ゼロ、Cペット殺処分ゼロ、D介護離職ゼロ、E都道電柱ゼロ、F多摩格差ゼロの7つのゼロだった。毎日新聞(6月24日)は、「小池氏の前回公約 『七つのゼロ』 達成した1項目とは」という記事を載せた。それによると、明確にゼロを達成したのは「1項目」だけ。それは「ペット殺処分ゼロ」で、「ボランティア団体を通じて譲渡促進などに取り組み、就任前の15年度に都内で犬10、猫193だった処分頭数が、18年度にともに0となった。病気や攻撃性があり、譲渡困難として安楽死させたケースなどは含まない」というものだ。「待機児童ゼロ」も「認可保育所の整備支援などで、就任8カ月後の17年4月1日現在の待機数から7割強減らし、今年4月時点は約2300人となる見込みだ」。少々は改善はされたが、18000人超が認可保育園などを利用できずにいる。
 それ以外は全然だめだ。
 しんぶん赤旗(6月28日)によると、「A残業ゼロ」では、都庁職員残業時間は、月22・7時間(16年度)が23・8時間(18年度)に増えている、「B満員電車ゼロ」は、主要路線の混雑率165%(16年度)が163%(18年度)、「D介護離職ゼロ」は、国の調査で介護離職者推計7800人超(17年)でその後の推移は不明、「E都道電柱ゼロ」は、18年度末で41%、「F多摩格差ゼロ」は、17年10月以降、知事は議会で沈黙ということだ。そのうえ、「築地は守る」と言いながら、閉鎖・解体とされ、「情報公開」も一向に改善されず、また都立病院などの独立行政法人化を進めている。このような実態が小池都政だったのである。
 投票日翌日の7月6日にNHKが、投票日5日の出口調査を発表した。
 小池支持は男性より女性のほうが多いが、2位宇都宮、3位小野、4位山本の順である。
 男女世代別では、いずれも小池がトップだ。だが、年代が若いほど小池支持は少なくなる。小池に続くのが、10・20代では、A宇都宮、B小野・山本、30代は、A小野、B宇都宮、C山本、40代は、A小野、B山本、C宇都宮、50代は、A宇都宮、B山本、C小野、60代は、A宇都宮、B小野、C山本、70代はA宇都宮、B山本、C小野となっている。若者は宇都宮より山本という結果になっていないのには注目だ。また30代、40代が維新の会系の小野となっているのも特徴だ。
 また出口調査では、延期された東京オリンピック・パラリンピックを開催すべきかという問いには、「開催すべき」27%、「中止すべき」36%、「さらに延期すべき」17%、「わからない」21%という答えだった。 
 当選にあたって小池は「喫緊の課題は何よりも新型コロナウイルス対策で、都民の皆様方の健康と命、暮らしを守っていきたい」と述べたが、東京ではコロナ感染者数は増加している。これにどう対処できるのか。政府もこの事態に対応不能だ。当初の2020年東京オリンピック・パラリンピック開催のため極力コロナ感染者数を少なく見せるという初動ミスがここに結果してきた。必要なのは、宇都宮さんが都知事選にあたってのべた「社会保障の貧困」や「労働政策の貧困」を解決できない「政治の貧困」を解決することだ。
 都知事選は、いっそう野党共闘の重要性を明らかにした。国政選挙では、万全の共闘を実現させよう。


世界恐慌以来の失業者の可能性 ― OECDが予測

      
 急増する生活保護申請数

 7月7日、経済協力開発機構(OECD)は、新型コロナウイルスの流行がさらに広がった場合、1930年代の世界恐慌以来最悪の状況となるという報告書を発表した。5月は8・4%だった加盟国の失業率がこの年末に12・6%に増大することになるという。
 日本では、生活保護申請が急増している。7月1日、厚生労働省は、全国の4月の生活保護の申請件数が前年同月に比べ24・8%増え2万1486件となったと発表した。前年同月からの伸び率は、申請件数の統計開始(2012年4月)以来、過去最大だったが、これは新型コロナウイルスによる雇用情勢の悪化が影響したものだ。
 2008年9月のリーマン・ショックの影響を受け生活保護の支給を開始した世帯数が増加した(10年1月)が、それ以来約10年ぶりに1万9362世帯と前年同月と比べ14・8%と倍増した。
 5月の完全失業率も2・9%と上昇し、生活保護の申請も、さらに増える可能性がある。
 その一方で、大企業、大金持ちは、たいした打撃を受けないばかりか、これを機会にもうけを増大させようとしている。社会的格差と貧困は広がるばかりだ。 1930年代の大不況期は、階級対立、階級闘争が激化する時期であった。誰が犠牲になるのかの闘いである。格差是正の運動の前進はますます必要だ。


日本の裁判にジェンダー平等の視点を!

     
女性差別撤廃条約「選択議定書」の批准を

 昨年12月、世界経済フォーラムは、ジェンダー不平等状況を分析した「世界ジェンダー・ギャップ報告書2020」を発表した。同時に公表された2019年版「ジェンダー・ギャップ指数」は、「ジェンダー間の経済的参加度および機会」「教育達成度」「健康と生存」「政治的エンパワーメント」の4種類の指標を基に格差を算定した。対象は世界153カ国で、ジェンダー格差が少ない順に、アイスランド、ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、ニカラグアとつづく。そしてドイツ10位、フランス15位、カナダ19位、英国21位、米国53位、イタリア76位、中国106位、韓国108位とならぶ。昨年の110位の日本は121位で11順位を下げ過去最低の順位となった。
 これが世界の中における日本の位置である。女性差別の撤廃は急務だ。 
 あらゆる形態の女性差別をなくすことを目的とした「女性差別撤廃条約」(1979年制定)を日本は1985年に批准した。だが、その後現在までの状況は、ジェンダー・ギャップ指数にみたとおりの段階にある。条約を批准しただけではだめだ。条約の実効性を高めるための「選択議定書」があるが、これを日本はまだ批准していない。
 朝倉むつ子さん(早稲田大学名誉教授)は指摘する。…条約を批准した国は、4年ごとに女性差別撤廃委員会(CEDAW)に報告書を提出し、CEDAWは各国政府との「対話」を積み重ねる。審査後にCEDAWは総括所見を公表して勧告を出すが、その勧告に拘束力はない。あくまでも「建設的対話」にすぎないからである。結局、勧告を受けて立法府が法改正をしないなら、差別を受けた被害者は裁判で争う以外ない。ところが日本の裁判所は、女性差別撤廃条約を裁判上の根拠規定と解していない。条約に「自動執行性」が認められないかぎり、それは法律と異なって司法審査の根拠にならない、という考えからだ。性差別をめぐる多くの裁判で、原告側は条約違反を主張してきたが、裁判所はこれらを簡単に退けてきた。これでは、条約が国内で活きているとはいえない。条約を活かすためにできることの一つは、条約に伴う「選択議定書」を批准させることだ。

 女性差別撤廃条約実現アクションは、【オンライン署名】日本の裁判にジェンダー平等の視点を!女性差別撤廃条約「選択議定書」の批准を求めます(http://chng.it/s2PdDzStZQ)をスタートさせた(よびかけ文は別掲)。

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日本の裁判にジェンダー平等の視点を!女性差別撤廃条約「選択議定書」の批准を求めます

 昨春、13歳の娘に性暴力をふるった父親に無罪判決が下されるという衝撃的な出来事がありました。その後、高裁では逆転有罪となりましたが、日本の裁判所ではまだまだジェンダー平等について理解がなく、様々な不平等が野放しになっている状況があります。

 1979年、あらゆる形態の女性差別をなくすことを目的とした「女性差別撤廃条約」が制定され、日本は1985年に批准しました。その後、この条約の実効性を高めるために「選択議定書」が制定されましたが、これを日本はまだ批准していません。日本の裁判所は条約に書かれていることを裁判上の根拠とは認めていないため、「条約違反」をもとに裁判を起こしてきた多くの女性たちの訴えは退けられてきました。これでは条約を締結したのに、内容が活かされているとは言えません。

 「選択議定書」を批准している世界114か国では、条約の中で保障されている女性の権利が侵害され、国内裁判所では救済されない場合に、その個人が直接、国際機関に通報できることになっています。国際社会の目にさらされるため、国内の裁判所においてもジェンダーに基づく差別や暴力を許さないという前提が共有されやすくなり、裁判官がジェンダーについてきちんと学んで判断をくだすようになります。冒頭のような理不尽な判決も減っていくことが期待できます。

 私たちのまわりにはジェンダーに関する不平等がたくさんあります。私たち「女性差別撤廃条約実現アクション」に参加している10代のメンバーは、通っていた高校で、先生が女子生徒の容姿を平気でからかったり、女らしくするように指示したりすることが苦痛で、性差別の問題に関心を持ったといいます。がんばって勉強しても、女子学生は医学部に入るときにも減点されてしまいます。このようなことを若い世代にいつまで押し付けるのでしょうか。

 昨今の新型コロナウイルス感染症によって、非正規雇用の人たちがより不安定な労働環境に追われています。非正規雇用の約7割は女性です。自宅で過ごす時間が増え、DV被害に遭う女性も増えています。とくに、シングルマザー、外国籍の女性、障がいをもつ女性などは、さらに厳しい状況に置かれています。平常時のジェンダー不平等は、こうした危機に強く現れるのです。不平等をなくすための一歩として、40年前に作られた条約がきちんと活かされるよう、一歩を踏み出しませんか。

 今こそ「選択議定書」を批准するときではないでしょうか。ジェンダーギャップ指数121位という不名誉を返上して、性別にかかわらず平等に暮らせる社会を実現しましょう。

 「選択議定書」の批准は内閣と国会が決めれば、すぐに実現できます。私たちは、日本政府に対し、女性差別撤廃条約「選択議定書」の一刻も早い批准を求めます。


ボルトン本が暴露する米国外交の混迷

    
 トランプの言いなりの安倍

 米大統領選挙は11月、あと4か月となった。トランプは再選をかけてなりふり構わぬ行動に出てきている。しかし、やることなすことあまりにもひどい。

 7月4日は、アメリカ独立記念日だが、ホワイトハウスで開いた独立記念日の祝賀イベントで演説もそのひとつだ。米国内で黒人差別に抗議する人びとを「過激な左翼勢力」だと攻撃し、自分が米国の歴史と伝統を守るとして、その勢力に打ち勝とうとしていると述べた。そのうえ、世界一の感染者と死者数を連日更新している新型コロナウイルスについて、なんの根拠を示すことなく99%が「完全に無害」だなどと演説した。
 新型コロナウイルスの蔓延、人種差別問題になんの解決の展望も示さない。
 そして、「暴徒」鎮圧に軍隊を繰り出すということには、米軍幹部からの反対がひろがった。
 こうしたトランプの言動に、トランプの支持率は低下し、その一方での民主党候補のバイデン元副大統領の人気が高まっている。
 あと4か月以内になにがおこるかわからないが、このままで推移すればバイデンが勝利することは、ほぼ確定的である。
 英「エコノミスト」誌の大統領選挙の支持率調査によると、トランプ支持41%、バイデン50%と誤差の範囲をこえる結果が示された。

 最近、米国連大使、国家安全保障問題担当大統領補佐官などを歴任し、トランプに解任されたジョン・ボルトンの『それが起きた部屋 ホワイトハウス回顧録』が出版された。それは、トランプ外交の裏面を暴露し、大統領選に重大な影響を及ぼすものとなっている。
 あわてた大統領官邸は出版差し止めをもくろんだが失敗した。
 内容は驚くべきものだ。トランプは中国に対立することで支持を広げようとしているがその内実は言葉とは裏腹の実情である。
 昨年2019年の大阪G20サミットの際におこなわれた習近平主席との米中首脳会談でのことだ。トランプは、米民主党の中に中国に対する敵意があると述べ、また大統領選挙で勝つことを確実にするために、農家の票獲得のため大豆と小麦など米国産農産物の購入を頼んだ。
 また、新疆ウイグル自治区で建設しているウイグル族などを対象とした収容施設を認めた。
 そして、香港「逃亡犯条例改正案」反対デモについて、「私は関わり合いになりたくない」「我々も人権問題を抱えている」と語ったのである。
 日本についても、注目すべき記述が多い。
 トランプ訪日に際、防衛費の分担金として年間約80億ドル(約8500億円)の負担を求めた。それも、在日米軍を撤収させると脅して交渉を優位に進めるようにというのがトランプの指示だったという。
 日本は現在、在日米軍の駐留経費負担年2000億円ほどを負担しているが、その4倍以上となる数字だ。これについては菅義偉官房長官は「そのような事実はない」と否定したが、それを信じるわけにはいかない。
 しんぶん「赤旗」(6月29日)によると、防衛省による2019年度の武器・燃料など購入先のランキングは、米国政府(6869億円)、三菱重工(3127億円)、三菱電機(1026億円)、川崎重工(971億円)、日本電気(716億円)、富士通(487億円)となっている。
 トランプ政権は、米国のひとびとにとって我慢できないものではなく、世界の大部分のひとびとにとって、不要なものだ。


辺野古工事再開を許さない

     イージス・アショアにつづき辺野古新基地建設も中止に


 6月12日、政府は辺野古新基地建設工事を強行再開した。57日ぶりのことだ。辺野古の工事関係者に新型コロナウイルス感染者が出たため、4月17日から工事は中断されていたが、6月7日の県議選での争点隠しでもあった。

 辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議は、「抗議活動の再開について」で、「私たちは決してあきらめない!辺野古新基地を造らせないために、6月15日の月曜日より抗議活動を再開します。みなさまのご協力をお願いします」「秋田や山口で進められていたイージス・アショアの配備計画が白紙となったことと沖縄の現実を照らし合わせると、なんとも対応に違いに腹立たしさを覚えます。これは『沖縄差別』そのものであります」「新型コロナウイルス対策で国民の命を守るため、病院、医療設備、医療関係労働者の充実などにこそ資金を回すべきです。人を殺すことが目的となる軍隊の施設ではなく、人々の命を守ることに資金を投入し、新基地建設は今すぐストップさせなくてはなりません。無理、無駄、莫大な資金がかかる辺野古新基地建設をストップさせれば、沖縄県民も全国民も大歓迎でしょう。基地建設は必ず止めることができます。確信をもって闘いに参加していきましょう」とアピールした。
 オール沖縄会議の声明にもあるように、イージス・アショア建設は実質中止に追い込まれた。当該地域をはじめ民意の勝利だ。

 6月30日には、オール沖縄会議の高里鈴代共同代表、福元勇司・事務局長と同県選出の国政野党国会議員でつくる「うりずんの会」の国民民主党の屋良朝博衆院議員、参院会派「沖縄の風」の伊波洋一、高良鉄美議員が沖縄防衛局を訪れ、民意を尊重してイージス・アショア同様に辺野古新基地建設を中止するよう要請した。

 沖縄辺野古調査団は、辺野古の新基地建設について独自に検証しているが、7月2日、解析結果を発表。それによると、軟弱地盤が広がっている大浦湾では、震度1以上の地震が発生すれば護岸が崩壊する危険性が高い。辺野古基地建設の危険性がまたひとつ立証された。


これでわかった!NHKのいま

     米国人種差別問題でのNHK番組の酷さ


 このところのマスコミの堕落ぶりには目に余るものがある。安倍政権のもとでのメディア支配強化の結果でもあろうか、とくにNHKの番組には注目しないわけにはいかない。
 アメリカでは、ミネアポリスでジョージ・フロイドという名の黒人男性が白人警察によって殺された事件を契機に、人種差別に反対する多民族の人々による抗議デモが全米で急速に拡大し、さらに世界各地で同様の行動が展開されている。この運動は過去の人種差別・植民地支配の歴史の見直しまでに深化している。これをどう報道するか、マスメディアが試されている。
 そうした中で、やはり起こるべくしておこったというのが、NHKの国際ニュース番組「これでわかった!世界のいま」の公式ツイッター(6月7日)に掲載されたアニメ動画で、国の内外で問題視されている。レイシズムを助長するものだという批判をうけ、またBBCやCNNに報道されるなどするなかで、NHKはあわてて6月9日に動画を削除、11日にはNHKの前田晃伸会長が定例会見で、「不快な思いをされた方におわびをしたい。番組内容を改めて確認し、人権を尊重することを徹底したい」と謝罪した。今後は人権についての局員の研修を行い、再発防止につとめるとした。
 NHKは動画を削除したが、YouTubeでは見ることができた。黒人男性が「俺たちが怒る背景には黒人と白人の貧富の格差があるんだ」と叫ぶところから始まる。それに、新型コロナの流行があり、失業など黒人が影響を大きく受けた、「だから怒りがあちこちで吹き出したんだ」と黒人男性が語って動画はおわる。
 だが、無抵抗のフロイドさんが白人警察官によって殺された事件そのものが出てこない。その後の警察の対応もなにも出てこない。問題は第一に、単に貧富の差ではなく人種差別という根本原因を見ていない。警察に対する批判もない。そもそも、警官による黒人虐殺はこれまでのも数多くあった。こうしたものへの蓄積された怒りが爆発したのだといことが表現されていない。
 しかも、動画は、抗議行動を黒人暴動と描いている。多くの報道でもわかるように、この抗議行動は、多人種による大衆的な運動であることは明らかだ。NHKはそこを意図的に混同させ、運動への反感をあおっているとしか見えない。
 「レーバーネット」に太田昌国さんのコラム・サザンクロス第44回「『これでは分からない 世界のいま』〜NHK番組が孕む問題」(6月10日)が載っていた。太田さんは、「子ども向けの『世界のニュース』的な解説番組を見るのが、過去のある時期の習慣だった」が、その後何回かの改変が加えられ、数年前から現在の形になったが、それは、「若く、〈おバカな〉女性タレントがまず登場し、そこへ男の解説委員が出てきて、その日のテーマについて語り始める。女性は奇声を発しながら驚き、質問し、頷き、納得するというスタイルだ。ジェンダーの視点を欠き、複雑な物事を無理に単純化して解説してしまうことの〈怖さ〉の自覚もないままに、こんな水準で『世界が分かる』とする、視聴者を舐め切った番組制作者たちの弛緩した精神が気に喰わず、見るのをやめた」とあった。そして、今回の動画について「1分強のアニメの作画の粗さ、否応なく滲み出ている黒人差別意識、筋骨隆々の黒人男性が差別を訴える口調の粗野さ、問題の本質からかけ離れたその訴えの言葉―制作当事者たちが人権問題についての『勉強』も経験も積まないままに、すでに10日間以上も続いている抗議デモの具体的な在りようも知ろうとしないままに、この番組を担当していること―その姿勢の安易さには絶句するほかない。制作者たちは、日本の民族問題にも露ほどの関心も持たないだろう」。鋭い指摘である。
 マスメディアと権力との癒着と忖度の問題は、黒川東京高検検事長と産経新聞記者や朝日新聞元記者との賭けマージャン事件で、表面化したが、NHKは安倍官邸から送り込まれた籾井勝人元会長のもとで、良心的な報道を圧殺してきた。こうした流れのなかに、世界から批判とヒンシュクをかうことになった「これでわかった!世界のいま」がある。今回の事態からわかることは、「これでわかった!NHKのいま」ということだ。


日本軍国主義の非人道的犯罪

     731部隊の新資料発見


 731部隊(帝国陸軍関東軍防疫給水部本部)は、細菌戦に使用する生物兵器の研究・開発機関であり、人体実験や生物兵器の実戦的使用を行っていた悪名高いものだ。
 日本の敗戦後、実験データの多くはアメリカ占領軍に没収され、アメリカ軍による戦後の生物兵器開発に生かされた。また、連合国から戦犯として裁かれることがなかった元軍医たちは日本各地の大学や病院に就職し、戦後の医学・薬学界に隠然たる影響をあたえつづけた。いま新型コロナウイルス対策の中軸を担う「国立感染症研究所」は、かつての「予防衛生研究所」だが、それは731部隊の幹部たちが主導したものだ。
 731部隊の実態は厚いベールに包まれたままだ。政府や関係者が、隠そうと必死だからなのだが、それでも真摯な究明の努力で徐々に明らかになりつつある。
 6月19日、西山勝夫・滋賀医科大学名誉教授のグループは、国立公文書館で戦後1950年から51年にかけて厚生省外局(現・厚生労働省)が作成した公文書「関東軍防疫給水部部隊概況」を発見したと発表した。開示された41枚の文書には、林口・牡丹江・孫呉・ハイラルの4支部に関する「細部調査票」「行動群経過要図」などが含まれている。また、作成時点でわかった全隊員数は3262人。
 西山教授らは、組織機構や支部の隊員の所属、敗戦前後の行動の一端が明らかになり、支部で細菌を生産していたことも公文書で初めて裏付けられた歴史を検証する上で意義深いとし、今後も医学や歴史学の研究者らなどと協力し、調査を進めると述べた。


右翼排外主義勢力と連動する小池都政の「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」への対応に断固抗議

 小池百合子都知事の政策の問題性・悪質性はさまざまな面で表れているが、「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」をめぐる東京都の対応はそのきわだったものである。
 毎年、関東大震災のおこった9月1日、都立横網町公園(墨田区)内に建立されている朝鮮人犠牲者追悼碑前で、犠牲者追悼式典が行われている。
 横網町公園は、1930年に関東大震災の犠牲者を追悼することを目的として開園した。朝鮮人犠牲者追悼碑は1973年に建立され、その実行委員会には当時の都議会全会派の幹事長も参加した。毎年の式典には、石原慎太郎もふくめて歴代の都知事から追悼文が送られ、また元首相や宗教者・学者などからもメッセージが寄せられてきた。
 しかし、小池知事は就任翌年の2017年から追悼文送付を中止している。
 そのうえ都は昨年9月以降、今年の追悼式の申請受理を拒否し、12月には、誓約書案を示したが、それが、守られない場合、中止を含む都の指示に従う、また次年度以降、許可されなくても異存なしとするなどのきわめて不当な条件をだしてきたのである。
 都側の理由は、同日、同場所で、右翼排外主義団体「そよ風」が主催する集会と同じように対処するとしているが、ヘイト集団と犠牲者慰霊を同等に扱うことは全くの不当な対応である。そもそも「そよ風」の目論見は、自分たちの集会を口実に朝鮮人犠牲者追悼式典を中止させることだと公言している。
 こうした都の暴挙に対して、5月18日、「9・1関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典実行委員会」は、「東京都は、当実行委に対する前記誓約書要請を撤回し昨年までと同様の占有許可を速やかに行うことを、強く求めるものである」との声明を発表し、「当実行委は、碑が建立された1973年以降、毎年、都との事前打ち合わせを踏まえ使用許可を得て、厳粛且つ平穏に追悼式典を執り行ってきた」「都の要請の背景には、2017年より、朝鮮人犠牲者追悼式典と『同日同時刻』にあえてぶつけるかたちで、同じ横網町公園内で行われている、右翼団体『そよ風』主催の『真実の関東大震災石原町犠牲者慰霊祭』と称する集会がある」「この集会では、『不逞朝鮮人』が『震災に乗じて略奪、暴行、強姦』を行い、『日本人が虐殺されたのが真相』だなどと演説し、さらに拡声器を故意に朝鮮人犠牲者追悼式典の方向に向け、それを大音量で流すといった、まさに『トラブル』を引き起こしている」「なぜ、震災時の虐殺犠牲者を『不逞朝鮮人』と貶めることを目的として現にトラブルを惹起している集会と、震災時の朝鮮人虐殺犠牲者を厳粛に追悼してきた式典を同列に扱い、集会を中止させられたり不許可にされたりしても『異存ありません』などと誓わせるのか」と都側を詰問し、「当実行委は、今後も毎年、関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典を厳粛に執り行っていく。東京都に対しては、2020年9月1日関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典開催に関する当実行委の占有許可申請を直ちに受理すること、および、当実行委に対する前記誓約書要請を撤回し昨年までと同様の占有許可を速やかに行うことを、強く求めるものである」としている。
 また、6月11日には、「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」をめぐる東京都の対応に抗議して学者、弁護士、文化人ら117人が共同声明「慰霊の公園で死者への差別と冒涜を許してはならない〜東京都に朝鮮人犠牲者追悼式典への『誓約書』要請の再考と横網町公園の趣旨に反する集会への対処を求める」を出し、「横網町公園は、東京という都市の『慰霊の公園』である。9月1日は、関東大震災の死者を悼む日である。この日に、この公園内で、震災時の死者を貶め民族差別を煽動する行為は、決して許されるべきではない。東京都人権尊重条例は、『誰もが認め合う共生社会を実現し、多様性を尊重する都市をつくりあげるとともに、様々な人権に関する不当な差別を許さないこと』を掲げている。東京都に求められているのは、差別の犠牲者たる朝鮮人を追悼する営みと、死者を貶め民族差別を扇動する企みを同列視して規制することではない。人権尊重条例にのっとって民族差別をやめさせ、『慰霊の空間』としての横網町公園の精神をゆるぎなく尊重するために、しかるべき判断を下し、行動することである」と要求した。


幼児教育・保育無償化

     
外国人幼稚園へ適用せよ

 幼児教育・保育の無償化政策は昨年10月から始まったが、朝鮮幼稚園など各種学校認可の外国人学校幼児教育・保育施設は対象外とされた。昨年12月1日、全国各地で、各種学校の外国人幼稚園への「幼児教育・保育無償化」適用を求める百万人署名運動がスタートした(署名総数は、5月末現在で46万6876筆)。 
 6月15日には、院内で、幼保無償化を求める朝鮮幼稚園保護者連絡会、日朝学術教育交流協会、朝鮮学校「無償化」排除に反対する連絡会などの代表や立憲野党の議員が、文科省、厚労省、内閣府などに署名を提出するとともに、省庁に要望を述べた。
 要望書は、各種学校を無償化対象と認め、朝鮮学校幼稚部のすべての園児たちの保育料を無償化とすること、当面、各種学校の幼児教育・保育施設を幼児教育類似施設等の新たな支援対象として認めることを求めている。


不祥事続きのフジサンケイグループ

     
反リストラ産経労  松沢委員長の解雇撤回求めて株主総会行動

 6月下旬は大手企業の株主総会のシーズンだ。6月25日、フジテレビ・産経新聞の親会社であるフジHD(フジ・メディア・ホールディングス)の第79回定時株主総会が、グランドニッコウ東京台場で開かれた。フジテレビ・産経新聞グループは、業績不振が深刻化している。今年3月期決算でも、連結売上高は前期比5・6%減少、営業利益は24・1%減、経常利益も17・0%減となっている。それにくわえて東京高検黒川検事長と産経新聞記者らの賭け麻雀、リアリティー番組「テラスハウス」出演の女子プロレスラーの自死などの不祥事がつぎつぎと暴露されている。そして報道機関にはあってはならない世論調査での不正が6月19日に発覚した。フジテレビ系列28局のニュースネットワークのFNNと産経新聞社の合同世論調査において架空の回答をデッチ上げていた。業務の再委託を受けていた企業が調査対象者に電話をかけずにおこなっていたのである。フジグループの世論調査への信頼は大きく損なわれた。黒川検事長と産経新聞記者らの賭け麻雀は、御用新聞の産経の体質をよく表すものだ。
 日枝久フジサンケイグループ代表のフジHD取締役在任は実に37年に及び、その院政・独裁体制は長年の弊害を積み重ねてきた。その日枝代表も、取材と称して、安倍首相とのゴルフや会食を繰り返してきたが、今回の黒川検事長との賭けマージャン記者たちもその社風にしたがったのである。そして、フジHDは、東京・お台場でのカジノ事業への参画をもくろんでいる。政権との癒着と金儲けは、大半のマスメディア企業の特徴だが、このフジサンケイグループは突出したものとなっている。
 周知のとおり、産経新聞などは、安倍政権、改憲、排外主義、警察・検察の側にたち、民主主義、労働運動などに敵対する記事・報道を繰り返している。
 こうした企業体質は、労組の御用化による企業内の良心的な声の圧殺によるところが大きい。
 フジサンケイグループは、長年労資協調の産経労組が第二労務部として、労働者支配を行ってきたが、1994年に、まっとうな労組をめざして反リストラ産経労が結成された。会社はそれを嫌悪して、委員長となった松沢弘・日本工業新聞論説委員を地方支局に不当配転、団交要求を全て拒否、そして同年懲戒解雇するという暴挙をおこなった。反リストラ産経労は、労働委員会、裁判闘争、行政訴訟などで闘い、東京地裁では勝利判決(2003年5月31日「松沢委員長の懲戒解雇は解雇権の濫用にあたるので無効」)をかちとるなど松沢委員長の不当解雇撤回を求めて闘い続けている。

 6月25日、反リストラ産経労・一般株主有志と支援の労働者たちが、新交通ゆりかもめ線台場駅前で、株主総会にむけての情宣活動を行った。松沢委員長、株主有志、萩尾健太弁護士や支援の労組員たちが発言した。
 株主でもある松沢委員長は、6月22日に会社への公開質問状をだした。それは、「株主総会は、適法・公正に運営すること」「役員報酬、議案の賛否比率の公表」「扶桑社=育鵬社の教科書問題」「フジテレビジョン及び当社の業績不振の経営責任」「フジサンケイグループの労働争議に関する日枝会長の責任」「松沢反リストラ産経労委員長に対する不当・卑劣な差押え攻撃」「産経新聞社、日本工業新聞社への資金援助・取引等」「福島原発事故と南直哉・元東京電力社長の取締役選任」「フジサンケイグループの地球環境大賞と東京電力の受賞について」「お台場カジノ計画、日枝会長と安倍首相の会食・ゴルフ遊戯」などについての項目である。
 しかし、株主総会では、新型コロナウイルス感染拡大を口実に、フジHDは、事前質問状に一切回答せず、通常2時間ほどかかる総会をわずか50分あまりで、強引にうちきってしまった。これは過去最短記録である。
 株主総会終了後、ふたたび台場駅前で抗議の情宣活動をおこなった。


安倍政権退陣!

    
 雨の中で55回目の国会前19行動

 6月19日午後6時半から、衆議院第二議員会館前で、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会、安倍9条改憲NO!全国市民アクションの共催による「安倍9条改憲NO!安倍政権退陣!国会議員会館前行動」がおこなわれ、雨天にもかかわらず、1200人が参加した。
 総がかり行動実行委員会の小田川義和共同代表が開会あいさつ。19日行動も55回目を迎えた。2015年に戦争法を強行成立させた安倍内閣の支持率は、新型コロナ対策、高検検事長の定年延長、河井大臣の任命責任、敵基地攻撃論などなどが連続し、おおくの人々の批判が高まる中で、いま急速に低下している。総がかりのちからを一層強めて安倍政治をおわらせよう。
 国会からは、共産党の山添拓参議院議員、沖縄の風の高良鉄美参議院議員、立憲民主党の岸まきこ参議院議員、社民党の福島みずほ参議院議員らが連帯のあいさつをおこなった。
 日体大教授の清水雅彦さん、沖縄一坪反戦地主会・関東ブロック共同代表の木村辰彦さん、日本劇作家協会元会長の坂手洋二さん、ジャーナリストの志葉玲さんが発言し、安倍内閣の政策を批判した。


せんりゅう

   人生の根のいたみありて川柳

     もういらぬ時にマスク2枚が来

   ポスト・コロナ…アベ自民消滅期

     三密はモリカケサクラ秘密です

   モリカケの構図そのままデンツウに

     ケチな政策バタバタ自粛倒産

   責任はコロナのせいとトボケ顔

     東京にきな臭き音オスプレイ

               ゝ 史

2020年7月


複眼単眼

     
はまゆうの花と三宅島

   NLP基地着工反対闘争 今から30年以上も前のこと、東京の島嶼部、三宅島で米軍のNLP基地建設反対闘争があった。このたたかいは文字通り島ぐるみの闘いとなり、勝利した。
以来、しばしば、仲間とともにこの島を訪れ、反対運動に参加していたおばちゃんの経営する民宿に泊まったりした。名物の「くさや」や島に自生する「明日葉」の味を知ったのも、このころだった。
 そのづうっと後のことだが、いつ頃のことだったか、また島を訪ねて、散歩の途中、島の崖沿いの道端で見たことのない種を2個拾って、持ち帰って鉢に植えた。知り合いの農学部の教授に聞いてみたが、その時は何の種かわからなかった。
 いつしか芽が出て、2本の茎で葉っぱが大きく成長した。調べてみたら、「はまゆう」だった。
 その後、何年かたって、花をつけたこともある。そのうち太いほうの茎が枯れて1本だけのこった。
 鉢植えなので、なかなか花は咲かないけれど、毎年毎年、大事にして水やりをしていた。その都度、三宅島を思い出した。
 その後、三宅島は大噴火に見舞われて、全島民が本土に避難するという悲劇もあった。
 私の記憶から、三宅島のたたかいは消えることはなかった。
 なんと、それが、思いもかけず、今年、花をつけた。白い糸のような花びらと、ムラサキのめしべをつけた、ヒガンバナのような花だ。
すごくうれしい。
 私は観念論の立場をとらないが(笑)、今年はこれからいいことがあるかもね、などと思ってしまった。
 三宅島の米軍NLP反対闘争といっても、忘れてしまった人も多いかと思うし、肝心の私自身が詳細は忘れている。

 サイトから、法政大の大原社会問題研究所の日本労働年鑑第58集1988年版などから、概略紹介する。
 三宅島の米軍艦載機の夜間発着訓練(NLP)用空港建設問題は、島民の8割が反対しているという状況のなかで、1986年度予算に盛り込まれた気象観測用鉄柱設置などの調査工事に着工できないまま87年度を迎えたが、防衛施設庁がワインバーガー米国防長官の来日を前に、6月16日、環境庁に鉄柱設置のために自然公園法にもとづく協議書を提出、環境庁がこれに同意する回答を示したことから緊張した局面を迎えた。
 寺沢三宅村村長と浅沼博忠村議会議長は、5月28日、防衛施設庁と環境庁に観測柱の建設を断念するよう申し入れたのをはじめ、6月28日には、島民の4割にあたる1700人が参加して全島集会が開かれ反対運動の体制が固められた。
防衛施設庁は、7月15日未明から観測柱の設置工事にとりかかったが、島民数百人が坐り込んで抵抗、予定された3本のうち一本が設置されずに残った。その後も、主婦らの坐り込みがつづいた。この間、栗原防衛庁長官が「島の人は純情で、特定のイデオロギーを信じやすい」などと発言し、島民の反発をかった。
 夏休み休戦明けの9月1日、防衛施設庁は、職員と280人の機動隊員を島に送り込み、島民500人のピケと衝突、一進一退を繰り返しながら、同日夕方、観測柱の設置を終えた。この間、島民8入が威力業務妨害と公務執行妨害で逮捕された。また、機動隊員が炎天下でつぎつぎと熱射病で倒れ、反対派の島民に介抱されるという一幕もあった。
 「三宅島NLP空港建設に反対する会」は基地建設断念をレーガン米大統領に要請する2330人(島民の8割)の署名をたずさえた代表を訪米させ、ホワイトハウスヘ届けるなどの活動を展開してきたが、国内における支援の輪も急速に広がった。
 社会党、共産党などをはじめ、公明党、自然保護団体や学術・研究団体、自治体などの間でも反対の声が相次いだ。
 国は多額の見返り復興予算を振りかざし、過疎化に悩む人口4300人(1980年代)の島に札束をばらまいた。だが島民は「島の緑と自然を守れ」「金は一時、土地は末代まで」と島ぐるみで反対し自民党が持ってきた700億円の土産(1986年2月)も拒否して、ついに計画を断念させた。(T)