人民新報 ・ 第1388号<統合481>(2020年8月15日)
目次
● 安倍政権の悪政によって深刻化する危機
直ちに臨時国会を開催せよ
● 臨時国会ただちに開け! 敵基地攻撃は憲法違反! 安倍改憲発議とめよう! 安倍内閣退陣を!
7月19日 56回目の19国会前行動
● 核兵器禁止条約批准国が急増
日本政府は、核抑止論から脱却して、核禁条約の署名・批准を実行せよ
● 最賃アップは急務
中央最賃審は目安額示さず
● 全国ユニオン定期大会
合同労組の大同団結をよびかけ
● 新自由主義的自由貿易反対!
日米貿易協定・デジタル貿易協定 新たな具体化交渉を許すな!
● 特定秘密保護法の抜本的見直しを
日弁連会長が声明を発表
● 2020年夏 反戦反核平和を訴え各地で行動
ひろしま コロナ禍の広島原爆慰霊の日
ながの 「平和への想いつないで」信濃路を走る
しずおか 浜岡原発での申入れと話し合い行動
● せんりゅう
● 複眼単眼 / 安倍政権の5つの「ない」
安倍政権の悪政によって深刻化する危機
直ちに臨時国会を開催せよ
安倍内閣の支持率が急激に低下している。
安倍支持の読売新聞社が7〜9日に実施した全国世論調査でも、安倍内閣の支持率は37%、不支持率は54%だった。不支持率は第2次安倍内閣発足以降で最高となった。新型コロナウイルスを巡る政府の対応については、「評価する」が27%、「評価しない」は66%となった。また、安倍首相が指導力を発揮していないとみるひとは78%と高率だ。
いま新型コロナウイルス感染は、重大な局面に入ったが、安倍政権は、なんら有効な対策を打ち出せないでいる。
感染症対策には、感染者の確認が第一の課題である。PCR検査の大規模な実施、なにより感染の震源地とされている地域での大量の検査がなされなければならない。医療機関・医療体制への大幅な支援である。業者への休業要請としっかりした補償の確実かつすみやかな実行である。
にもかかわらず、安倍内閣は、地方自治体に丸投げして、自らの努力はほとんどなされないままである。
内閣支持率の低下はあたりまえのことだ。
安倍内閣の支持率は今年に入ってから下落し続けているが、支持しない理由の最も多いのが、安倍晋三その人が信頼できないということで、つぎに政策に期待ができないなどがあげられている。
アベノマスク、GoToトラベルキャンペーンなど、打ち出す政策がことごとく、批判を巻き起こすことになった。森友、加計学園、桜を見る会問題などへは依然として批判がやまない。
新型コロナウイルスにたいする安倍政権の初期対応の失策の結果は、感染者の激増と医療崩壊の切迫という状況を深刻化させた。経済界の要求による経済活性化のための施策は感染を全国的に拡散するという事態までうみだしてしまった。
それだけではない。この夏、豪雨洪水、猛暑・熱中症が日本を襲っている。政治が解決すべき課題は山積しているのである。
強まる臨時国会召集要求
この局面では、臨時国会を直ちに開いて、真摯な政策論議を行い、適切な法改正、政策が決定されなければならない。
野党は、臨時国会の召集を求めた。7月31日には、立憲民主党、国民民主党、日本共産党、社民党、社会保障を立て直す国民会議の野党5党派の131人の衆院議員名が連名で記されている「臨時国会召集要求書」という書面を大島衆議院議長に提出した。
8月3日には、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合も、「臨時国会の早期召集を強く求める」声明を発表した(2面に掲載)。
憲法53条は、「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」と規定しており、内閣はそれに応じて、臨時国会を召集しなければならない。
だが、この事態においても安倍は、国会を開けば、自らの失政・悪政が暴露され、より広範な批判が起こることを恐れて、逃げ回っている。記者会見にもまじめに応じていない。これは、安倍だけでなく、閣僚、自民党役員もおなじだ。
敵基地攻撃能力保有を狙う
安倍は、新型コロナ、大雨洪水災害などさしまった課題から逃亡しながら、その一方で、敵基地攻撃能力の保有など憲法9条の空洞化をねらう不要不急の危険な課題の実現にはきわめて熱心だ。
8月4日、自民党政調審議会は、党ミサイル防衛検討チームがまとめた敵基地攻撃能力の保有を含む抑止力向上を求める提言を了承し、安倍に提出した。安倍は、「具体的な提言」を得たとして、新たなミサイル防衛についての協議を本格化させ、9月中にも方向性を示すという。
安倍は、今年6月、「安全保障戦略のありようについて、この夏、「国家安全保障会議で徹底的に議論し、新しい方向性をしっかりと打ち出し、速やかに実行に移していきたい」と述べたが、これが自民党国防部会などによる敵基地攻撃能力の保有論議を勢づかせた。
敵基地攻撃能力は、長距離ミサイル、長距離戦闘機、空母などの保有を意味するが、安倍内閣は、すでに敵基地攻撃を可能にする巡航ミサイル、F35ステルス戦闘機、「いずも」型護衛艦の空母化などが進められている。これを一層拡大するということであり、際限のない軍拡となり、東アジアの軍事的緊張を飛躍的に激化させる。
人びとの不安、不幸をなくすたなくすために安倍政権を早期に終わらせよう。
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臨時国会の早期召集を強く求める
立憲民主党、国民民主党、共産党、社民党などの野党は、7月31日、大島衆議院議長と面会し、憲法53条の規定に基づき、臨時国会の召集を求める要求書を提出した。市民連合としてもこの要求に賛同し、早急に臨時国会を召集するよう、強く求めるものである。
7月に入り、東京都を中心に新規感染者が増えつづけている。現在では愛知、大阪、福岡といった大都市部だけでなく、全国各地で、最多の感染者数の更新があいついでいる。しかし安倍政権は、官邸官僚主導の不公正かつ非効率な経済政策にまい進し続けるのみであり、感染症対策について、国民に対する説明責任を何ら果たしていない。
本来であればPCR検査の拡充によって、感染者を把握し、隔離することによって感染拡大を防止することが必要である。このことによって、はじめて、感染拡大防止と、社会経済活動とを両立することができるようになる。しかしPCR検査の件数はいまだに諸外国と比べても著しく低いままだ。
政治の最大の使命は、いのちと暮らしの選別を許さないことである。しかし、いま、人々の暮らしは破壊されつつある。雇用や教育、医療や福祉など、最も社会生活にとって必要な部分が危機に瀕している。医療崩壊を防ぎ、収入が減少している人々の生活を一刻も早く救済すべきだが、安倍政権は、場当たり的な政策を連発するのみであり、その責任を全く果たしていない。
安倍首相は「4月の緊急事態宣言時とは大きく状況が異なっている」と述べているが、国民は、感染者の増加が続く事態がこのままで収束するのか、疑問を抱いている。感染が生じた際の具体的な防止策や、感染増が抑制されない場合の病院やホテルなどの施設の確保状況などについても、情報開示があまりにも不足している。政府の対応に業を煮やした東京都医師会が、異例の対応として、臨時国会の開会を強く要求したことを、重く受け止めるべきだ。
そのうえ、豪雨災害への対応もある。まさに、非常事態ともいえる今、政治の停滞は許されない。Twitterデモ「#臨時国会の開催を求めます」も拡大しつつある。政府与党は、これら世論に耳を傾け、新型コロナウイルス対策や豪雨災害への対応について、早急に臨時国会を開会し、安倍首相出席のうえ、すみやかに国会審議を開始すべきである。
2020年8月3日
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合
臨時国会ただちに開け! 敵基地攻撃は憲法違反! 安倍改憲発議とめよう! 安倍内閣退陣を!
7月19日 56回目の19国会前行動
7月19日の日曜日、恒例の19国会議員会館前行動(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会、安倍9条改憲NO!全国市民アクションの共催)は、「臨時国会ただちに開け! 敵基地攻撃は憲法違反! 安倍改憲発議とめよう! 安倍内閣退陣を!」のテーマで、午後3時から一時間ほど衆議院第2議員会館前を中心にスタンディングが行われ、厳しい日差しにもかかわらず900人が参加した。
2015年9月19日に強行成立させられた戦争法制廃止にむけて毎月19日に行われているこの行動は、56回目となった。
はじめに、主催者を代表して戦争をさせない1000人委員会の藤本泰成さんがあいさつ。熊本など九州を襲った豪雨災害は多くの被害をもたらした。大規模な自然災害が相次いでいる。気候変動が進む中で安倍政権は、石炭火力依存という政策で世界の流れに逆行している。新型コロナ・ウイルス対策では感染の拡大を止められないでいる。政府も自治体も何をしていいかわからないというのが現状だ。新規感染者が増える中でGoToトラベルなどというわけのわからない政策が出てくる。安倍政権の今だけ・金だけ・自分だけ・仲間だけという金にまみれた嘘だらけの政治はもうやめさせよう。一人一人の命をないがしろにする政治をやめさせよう。米軍との関係を強める自衛隊は敵基地攻撃まで言い出し、米軍の指揮下の日米統合軍というとんでもないものにしようとしている。安倍政権はいらない、の声を大きくしていこう。
国会からは社民党党首の福島瑞穂参議院議員、共産党政策委員長の田村智子参議院議員、立憲民主党の白眞勲参議院議員が発言した。
市民団体から発言は、改憲問題対策法律家6団体連絡会の大江京子弁護士、憲法骨抜きNO(ダメ)!ねりまの横山哲也さん、止めよう!辺野古埋立て国会包囲実行委員会の毛利孝雄さんがおこなった。
核兵器禁止条約批准国が急増
日本政府は、核抑止論から脱却して、核禁条約の署名・批准を実行せよ
核禁条約発効迄あと六か国
核兵器禁止条約(核兵器の開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用及び威嚇としての使用の禁止ならびにその廃絶に関する条約)は、多くの人びとの長年にわたる努力の結果、2017年7月7日に122か国・地域の賛成・署名で採択された。 条約の成立に努力した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)はその年のノーベル平和賞を受賞した。
条約は、締約国はいかなる状況においても次のことを実施しないとして、@核兵器あるいはその他の核爆発装置の開発、実験、製造、生産、あるいは獲得、保有、貯蔵。A直接、間接を問わず核兵器およびその他の核爆発装置の移譲、あるいはそうした兵器の管理権限の移譲。B直接、間接を問わず、核兵器あるいはその他の核爆発装置、もしくはそれらの管理権限の移譲受け入れ。C核兵器もしくはその他の核爆発装置の使用、あるいは使用をちらつかせての威嚇などの義務を負う。 そして、「本条約は50カ国が批准、受諾、承認、加盟の文書を寄託してから90日後に発効する」とされる。
今年の8月6日「広島原爆の日」にアイルランドなど3か国が、8月9日「長崎原爆の日」にはカリブ海の島国、セントクリストファー・ネービスが新たに条約を批准し、44か国となり、発効まであと6か国となった。 8月9日までに批准した国はつぎのとおり。ガイアナ、タイ、バチカン、メキシコ、キューバ、パレスチナ、ベネズエラ、パラオ、オーストリア、ベトナム、コスタリカ、ニカラグア、ウルグアイ、ニュージーランド、クック諸島、ガンビア、サモア、サンマリノ、ヴァヌアツ、セントルシア、エルサルバドル、南アフリカ、パナマ、セントビンセント及びグレナディーン諸島、ボリビア、カザフスタン、エクアドル、バングラデシュ、キリバス、ラオス、モルディブ、トリニダード・トバゴ、ドミニカ、アンティグア・バーブーダ、パラグアイ、ナミビア、ベリーズ、レソト、フィジー、ボツワナ、アイルランド、ナイジェリア、ニウエ、セントクリストファー・ネービス。
振り返れば、1946年 1月24日に採択された国連総会の第1号決議は、「国家軍備から原子兵器を撤廃するための提案を行う」委員会の設置を求めたものだった。しかし、米ソを中心にした核軍拡競争は拡大し続け、核保有国・潜在的核保有国は増加している。
核大国は簡単には核を放棄することはないだろうが、核兵器禁止条約への参加国の拡大は、数と規範的影響力で核武装国を包囲することになる。
米国の核の傘と日本
核戦争に反対し核兵器を禁止することは世界世論の主流である。そのことは、核禁条約批准国の増大に示されている。
アメリカ、ロシアなどの核保有国は条約不参加だが、「唯一の被爆国」を称する日本政府も、条約に反対の立場だ。
核兵器禁止条約にたいする日本政府の考えは、次のようなものである(外務省HPより)。「日本は唯一の戦争被爆国であり、政府は、核兵器禁止条約が目指す核兵器廃絶という目標を共有しています。一方、北朝鮮の核・ミサイル開発は、日本及び国際社会の平和と安定に対するこれまでにない、重大かつ差し迫った脅威です。北朝鮮のように核兵器の使用をほのめかす相手に対しては通常兵器だけでは抑止を効かせることは困難であるため、日米同盟の下で核兵器を有する米国の抑止力を維持することが必要です。核軍縮に取り組む上では、この人道と安全保障の二つの観点を考慮することが重要ですが、核兵器禁止条約では、安全保障の観点が踏まえられていません。核兵器を直ちに違法化する条約に参加すれば、米国による核抑止力の正当性を損ない、国民の生命・財産を危険に晒すことを容認することになりかねず、日本の安全保障にとっての問題を惹起します。また、核兵器禁止条約は、現実に核兵器を保有する核兵器国のみならず、日本と同様に核の脅威に晒されている非核兵器国からも支持を得られておらず、核軍縮に取り組む国際社会に分断をもたらしている点も懸念されます」。すなわち、日米同盟、米国の「核の傘」(核抑止力)がなにより大事だということである。
今年の広島、長崎の平和祈念式典で、広島市、長崎市はともに核兵器禁止条約の一日も早い批准をもとめた。だが安倍首相は、非核三原則についてはふれたが、今年も核禁条約には触れなかった。一方で、米ロ英仏中など5大国以外には核保有国を増やさないという核拡散防止条約(NPT)再検討会議で「結束した取り組みの継続を各国に働きかけ」「核兵器国と非核兵器国を橋渡し」をするなどというバカげた空論を述べただけだった。
核禁条約の署名・批准を
長崎市の今年の平和宣言は述べる。
―世界各国の指導者に訴えます。「相互不信」の流れを壊し、対話による「信頼」の構築をめざしてください。今こそ、「分断」ではなく「連帯」に向けた行動を選択してください。来年開かれる予定のNPT再検討会議で、核超大国である米ロの核兵器削減など、実効性のある核軍縮の道筋を示すことを求めます。日本政府と国会議員に訴えます。核兵器の怖さを体験した国として、一日も早く核兵器禁止条約の署名・批准を実現するとともに、北東アジア非核兵器地帯の構築を検討してください。「戦争をしない」という決意を込めた日本国憲法の平和の理念を永久に堅持してください。そして、今なお原爆の後障害に苦しむ被爆者のさらなる援護の充実とともに、未だ被爆者と認められていない被爆体験者に対する救済を求めます。
日本も核兵器禁止条約の批准を急がなければならない。
安倍内閣がつづいていてはそれは不可能だ。
安倍内閣を打倒しよう。
最賃アップは急務
中央最賃審は目安額示さず
コロナ禍は労働者の雇用・賃金・労働条件を直撃している。このような情勢の中で、いまこそ最低賃金の引き上げを!という声がひろがっている。
だが、事態は深刻だ。7月22日、厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会は加藤勝信厚労相に答申を提出した。それは、地域別最低賃金の今年度の引き上げについて、「新型コロナウイルス感染症拡大による現下の経済・雇用への影響等を踏まえ、引上げ額の目安を示すことは困難であり、現行水準を維持することが適当」だとし、また、地方最低賃金審議会において、上記見解を十分に参酌しつつ、地域の経済・雇用の実態を見極め、地域間格差の縮小を求める意見も勘案しつつ、適切な審議が行われることを希望するというものだ。新型コロナウイルスの経済への影響を口実に、「現行水準維持が適当」とし、物価上昇分の引き上げさえないものである。具体的な引き上げの目安額を示さなかったのは、リーマン・ショック直後の09年度以来なかった事態だ。
あまりの最賃の低さによる非正規労働者など最賃適用労働者の生活の困窮と格差の拡大が明らかになり、全国加重平均額と引上げ率の推移をみれば、昨年までの4年では毎年3%をこえ、昨年は、対前年度引上げ額27円、前年比3・09%増となった。それがストップした。
審議会では経営側と労働側の委員の主張が激しく対立し、異例の長時間審議となった。労働側は格差是正そして内需喚起のためにも引き上げを主張したが、経営側は、コロナ感染拡大理由に凍結をゆずらなかった。最後は公益委員が、「世界的に感染状況が拡大している中、日本においても緊急事態宣言解除後に再び新規感染者数の増加が見られるとともに、感染症による経済・雇用等への影響は地域・産業ごとに違いが見られるが、相当に広範囲に及んでおり、今後の感染症の動向や経済・雇用への影響が予断を許さない状況であること等、様々な要素を総合的に勘案し、検討を行ったところである」とする経営側の主張に沿った見解をだし、それで決まった。今後、各地方最低賃金審議会で答申を行い、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することになるが、中央最低賃金審議会の答申が沈めの石として作用することとなり、数円の上積みができるかどうかが焦点となる。
今回の中央最賃審の答申は、労働者の生活よりも企業に目を向けた資本家階級の要求に沿ったものであり、階級対立の激化の様相が最賃問題をめぐっても顕著になってきた。
全国ユニオン定期大会
合同労組の大同団結をよびかけ
コロナ・ウイルスが蔓延するなかで、解雇、賃下げ、労働条件の悪化が深刻化している。いまこそ、労働者は、大きく団結して資本の攻撃に反撃していかなければならない。
7月17日、全国ユニオン(全国コミュニティ・ユニオン連合、連合加盟、組合員約3000人)は、第19回定期大会を開いた。運動方針で、合同労組の大同団結で1万人のユニオンを実現することを決定し、地域別個人加盟制労働組合の全国組織であるコミュニティユニオン全国ネットワークや全日本建設運輸連帯労働組合、全日本港湾労働組合、全国一般、合同労組などとの連携を模索し、最低賃金1500円の実現、安倍内閣打倒を目指すとしている。
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全国ユニオン第19回定期大会宣言
私たちは、本日、人類史的事件であるコロナ禍において、第19回定期大会を実施した。新型コロナウイルス感染拡大という事態の中、世界で失業者が爆発的に増加し、労働者の生活と命は危機的な状態に直面している。
この情況に直面し、私たちコミュニティユニオン運動・合同労組運動は、切実な事情を抱えて駆けこむ労働者たちの労働相談を真摯に受け、感染予防のための創意工夫をしながら、団体交渉と団体行動を進め、働く者の雇用と命を守るために闘ってきた。この取り組みは、より一層前進させる必要がある。
困難な諸事情を鑑みても、私たちは、困難を乗り越え、「大同団結」することが必要である。コロナ禍で雇用と命の危機に晒されている労働者を眼の前にして、非道な企業を眼の前にして、腐敗を重ねてきた政権を眼の前にして、世界に広がる権力者と追随者による悪質な差別と収奪と暴力を眼の前にして、怒りをもって闘わなければならないからである。
そして、困難な中から培われてきた国内外の仲間達との豊かなネットワークと具体的な闘いが、新たな世代との出会いを生み出しながら、明るく楽しく激しく積み重ねられてきたからである。
さらに、本大会で確認してきたように、コロナを契機とした大きな社会構造の変化=資本主義の新自由主義的段階における限界と新しい連帯社会への構想が求められているからだ。とくに国内における労働組合組織率低下と企業別組合の限界、益々進行する非正規化・非雇用化・流動化、これを推進する政府財界の労働政策、ナショナルセンター連合の方針と組織改編を前に、労働現場の最前線で日々相談を受け、団体交渉と争議を展開し、職場の組合づくりを進めつつ、政策要求と社会的発信を行ってきた私たちは、大同団結して立ち向かおう。
2020年7月17日
新自由主義的自由貿易反対!
日米貿易協定・デジタル貿易協定 新たな具体化交渉を許すな!
安倍政権は、2018年12月に環太平洋経済連携協定(TPP11)を、つづいて19年2月に欧州連合との経済連携協定(日EU・EPA)を、そして今年の1月には日米貿易協定・デジタル貿易協定を次々に発効させ、グローバル化を一段と加速させている。 今秋の大統領選を目前に控え、頼みの経済状況が急速に悪化して焦るトランプ大統領は、いっそう過酷な対日要求をおこない、安倍政権は、それに従うことになる。
日米貿易協定・デジタル貿易協定には問題がおおい。巨大IT企業に莫大な利益をもたらすデジタル貿易協定はわずか半年たらずの日米両政府の秘密交渉で成立させられた。
日米貿易協定は、関税などの制約・障壁などについての課題で具体的交渉がはじまるが、アメリカが出してきた項目は、日本に農業をはじめさまざまな分野での全面的な市場開放をもとめるもので、アメリカ巨大資本に門戸を開放し、勝手気ままな活動を許すものである。
アメリカが公表した対日交渉目的の分野は、@物品貿易A衛生植物検疫措置
B税関・貿易円滑化・原産地規則C貿易の技術的障害D規制に関する優れた慣行E透明性・(貿易に関する法・諸規則・制度の)公表・行政措置F通信・金融を含むサービス貿易G電子商取引・国境間データ流通H投資I知的財産権J医薬品・医療機器の公正な手続きK国有・国営企業L競争政策M労働N環境O腐敗防止P貿易救済措置Q政府調達R中小企業S紛争解決、そして、一般規定、為替の計22項目となっている。
これらはコメをはじめとする農産物の一層の輸入拡大、添加物や遺伝子組み換え、薬価、公共サービスなど、いずれも多くの人びとの生活、生命を直撃することになる重要なテーマである。
農民団体、生協、労組、市民団体や多くの個人が参加する「TPPプラスを許さない!
全国共同行動」実行委員会は、昨年末、日米貿易協定・デジタル貿易協定の強引な成立に際して本協定発効後に「新たな交渉が始まることで、アメリカ側はすでに22項目にわたる『対日交渉目的』を明らかにしています。これは事実上の日米自由貿易協定(FTA)交渉であり、このまま進めば、農業だけでなく、食の安全や医療・保険、公共調達など国民生活の広い分野が、アメリカのいいなりにつくりかえられてしまいます。私たちは、本協定の批准をただちに撤回するよう求めます。また、新たに始まろうとしているFTA交渉にも断固として反対します。本協定に反対する私たちの運動は、短期間の取り組みにもかかわらず、国会周辺の行動への子ども連れのお母さんたちの参加やSNS上での情報の拡散・共有など、これまでにない広がりを見せました。私たちは、こうして生まれた繋がりや経験を新たな力に変えて、これからも新自由主義的『自由』貿易に反対する運動をねばり強く続ける決意です」との声明し、多くの人びと・団体とともに粘り強い闘いを続けている。
特定秘密保護法の抜本的見直しを
日弁連会長が声明を発表
6月16日、政府は「特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準」の見直しを公表した。
8月5日、日本弁護士連合会の荒中会長は、「特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準の見直し」等に関する声明を発表した。それは、「運用基準の見直しでは、@具体的情報について、特定秘密指定がなされる前に特定秘密の枠をあらかじめ指定する手続の厳格化、A特定秘密の指定理由の点検を年1回以上定期的に行うほか、必要に応じて随時行うことで、指定解除を速やかに行うべきこと、B特定秘密を加工することで公益に役立てることができるときには、そのようにすべきこと、C衆議院及び参議院の両議院に設置された情報監視審査会から必要な報告や資料の提供を求められたときは、その充実に資するよう、秘密保護法、国会法及びその他の法令の規定に基づいて適切に対応すべきこと、D5年を目途とする見直しの明記などを、新たに明記した。これらは、秘密保護法の運用における濫用をいくらかでも抑制すべき実際的な対応として、一定の意味があるものといえる。」としながら、さらに「当連合会は、特定秘密保護法そのものの廃止又は抜本的見直しを求める立場であり、その立場を堅持するものであるが、特定秘密の過剰な指定や、適性評価制度による過剰な調査、広範かつ過重な処罰規定の適用等を抑制すべく、現在においても秘密保護法の運用状況について監視を続けてきている。今回の運用基準の見直しについても、後述のとおり問題点が改善されることを求める」「そもそも今回、秘密保護法本体の見直しは行われなかったが、当連合会が上記意見書などで指摘してきたとおり、同法における、特定秘密の定義の曖昧さ、適性評価制度の調査項目ないし調査方法、広範かつ過重な処罰規定などの改正、内部告発者保護規定の不備といった法律自体にある重要な問題点が放置されたままである。したがって、当連合会は、秘密保護法の廃止又は抜本的見直しを求めるものであるが、政府に対して、少なくとも法律自体にあるこれらの重要な問題点を是正すべく秘密保護法の改正についても検討すべきことを強く求める。」としている。
秘密保護法の問題点は明らかだ。抜本的見直し、廃止に向けての世論を巻き起こそう。
2020年夏 反戦反核平和を訴え各地で行動
ひろしま コロナ禍の広島原爆慰霊の日
被爆75年の節目となった8月6日の広島原爆慰霊の日は、コロナ禍という困難と共に迎えた。例年、5日の原爆ドーム前で開催されるピースサイクル到着集会は初の中止となった。各種集会、交流会、平和行動が軒並み中止や規模の縮小となった。広島市主催の慰霊祭も1割程に縮小され、原水禁、原水協はオンラインでの集会となった。5日に広島市まちづくり市民交流プラザで開催された「8.6平和へのつどい2020」も、3密に配慮した90名限定の事前予約制であった。
「被爆・敗戦75年 今、問われる民主主義」と題した第1部は、ピースリンク広島・呉・岩国の西岡由紀夫さん(呉世話人)が「被爆・敗戦75年ヒロシマから」をテーマに問題提起をおこなった。自身被爆2世の西岡さんは、自己紹介で父が広島から侵略戦争に従事した加害者であること、母は広島で被爆し、いつも健康不安を抱えていた被害者であったことで、複雑な葛藤の中で育ったことを明かした。それが、大学時代の核問題概論の受講をつうじて反原発の認識を確立し、又、反基地市民運動に関わる基礎となったと話された。
そして「黒い雨訴訟(広島地裁勝訴判決)」「外国人被爆者の問題」「被爆二世訴訟の問題」「巨大な旧陸軍被服支廠(被爆建物)の存続危機問題」「原発の問題」「核兵器禁止条約の早期締約と批准」「高校生署名活動と平和大使への支援」など、多岐に亘る問題が提起された。
続いて、在日韓国民主統一連合広島本部の尹康彦さんからは、「2020年、朝鮮半島をとりまく情勢」をテーマに「南北連絡事務所爆破」「韓米合同軍事演習」「駐韓米軍防衛費分担金増額要求」「米朝交渉」「国連制裁と南北協調の妨害」「元徴用工裁判」「従軍慰安婦」「植民地支配に対する謝罪と補償」などで拗れる朝・韓・米・日の関係について問題が提起された。
又、2013年8月1日に学校法人広島学園と生徒、卒業生110名が原告となり提訴した広島朝鮮高校無償化裁判は、翌年7月17日に広島地裁不当判決を受けて控訴中で、今年の10月に控訴審判決が言いわたされる予定であること。更に、幼保無償化制度から朝鮮学校付属幼稚園が、新型コロナウイルス感染拡大に伴う「学生支援緊急給付金」から朝鮮大学校が除外されている実態もあり、朝・日関係を改善させるためにも、これらの問題の早期解決が重要であり、在日朝鮮人差別問題は在日するすべての人の問題だと訴えかけられた。
第2部はオンラインで小倉利丸さんの「危機の時代とナショナリズムに躓く民主主義」と題した記念講演。COVID―19パンデミックがもたらした「危機の時代」が、民主主義の危機やナショナリズムの強化をもたらす。為政者にとっての危機は「権力の危機」、資本であれば「利潤の危機」になるが、私達の危機は『生存の危機』「自由な権利の危機」であり、利潤追求と効率性を第一とした経済を優先させるのではなく、命と尊厳を守る社会へ、今こそ転換しなければならないと提起された。
つどいのまとめはピースデポ共同代表の湯浅一郎さんが行い、コロナ事態という言葉を用い、新型コロナウイルスの前で、軍事力は「人間の安全保障」に全く役に立たず、核兵器を初めとした「軍事力で平和を担保する」という思想も説得力を失っている。それどころか、保険医療に財源を投入すべき時に、それをはるかに上回る資源が軍事力に投入されているという不条理があると指摘された。昨年発表された「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラネットホーム」は「世界中に役800万種と推定される動植物について、今後、十数年のうちに、約100万種が絶滅する危機にある」と警鐘を鳴らした。そして、コロナ事態の起因は開墾や生息地の分断、または多くの細菌性病原体に急速な抗生物質耐性の発現を引き起こす抗生物質の過剰投与といった人間活動によるもので、野生動物、家畜、植物や人の新たな感染症が増える可能性があるとしている。コロナ事態は、生物多様性を急激に低減させ続ける人類への深刻な警告であると結んだ。
翌8月6日当日は7時45分から原爆ドーム前でのグランドゼロのつどいからスタートした。3密のため全国からの参加者は少なかった。
8時15分からのダイイン。8時30分には原爆ドームから中電前までのデモ行進。相変わらず被爆者の想いに見向きもしない安倍政権に怒りのシュプレヒコール!そして、中電前での座り込み行動で、8・6の日行動を無事に終えた。
今年もメディアは戦争と被爆体験の継承問題を危機的に取り上げていた。今年3月末で被爆者健康手帳を所持する者は13万6682人。平均年齢は83歳を超えた。全国で1年間に9162人の被爆者が亡くなった。アンケート調査では継承されていないと感じる被爆者が過半数を超えている。次世代への継承問題は深刻である。
そんな中、NHK広島放送局が画期的な取り組みを試みた。戦争被曝体験者三人の日記を高校生や若者が疑似体験をしてツイッターでつぶやく、「#1945ひろしまタイムライン」フォロワーは11万人に達したという。コロナ禍自粛に芽生えた継承方法に期待をしたい。
ながの 「平和への想いつないで」信濃路を走る
長野ピースサイクルは今年で30周年となった。大きな節目ではあったが、折からのコロナウイルス禍のために、例年通りの取り組みはできなかった。当初は全て中止という意見も出たが、たとえ規模を縮小しても、「平和への想いをつないで」自転車を走らせ、ヒロシマ、ナガサキ、オキナワにピースメッセージを届けると言う行動だけは、今年も実行しようと言うことになった。
当初予定していた7月25日から26日にかけて、松代大本営跡のある松代から柏崎原発をめざすという宿泊をともなう2日間の行程、ピースサイクル新潟との合流という例年のパターンを避けて、25日だけのピースサイクルにした。
行程は上田から松代大本営跡のある松代をめざす35kmほど。小学校5年生から70代後半までと巾広い年代10名が参加した。30年間欠かさず参加しているメンバーも半分いた。
この日はなかなかあけない梅雨の最中、前日には中止もあり得るほどの強雨が予想されたが、天気予報と空模様のにらめっこの結果、朝7時に決行を決断し、参加予定者に連絡を取った。若干の小雨の中予定の集合時刻8時30分には皆が集合し出発準備をして、まだ雨が時折降っている中を雨具を付けての上田からの出発となった。
ところどころに水たまりがあるサイクリングロードを4、5km走って、最初の休憩地点に到着する頃には雨が上がり始めた。このコースはほとんどサイクリングロードを使って松代まで行くことが出来る。今年の様なコロナ対策で車間を開けて安全に走るためには条件が良い。そのうえ、直前までの長雨が嘘の様に晴天へと変わり、熱中症の心配が必要なほどに暑くなった。参加者の気分は上々、予定より早め早めに休憩地点に到着する状況で、念のために配置していた伴走車が一般道路を走りながら、予定の休憩場所に着くのが遅れる位であった。予定時間より1時間も早く目的地の松代に到着した。
参加者の知り合いのそばやさんで「手打ちそば」を食べて解散としたが、午後はまたしても雷をともなう強雨となり、乗車人数の関係で帰路も自転車走行になったメンバーはずぶ濡れの結果となった。
今年の実走規模は小さく、臨機応変での対応もあったが、長年の中で培われた「平和への想い」を同じくして走るというピースサイクル運動の趣旨を理解し、連帯するという目的は達成できた様に思う。
7月はじめには長野県内の自治体の首長や議長に例年のようにヒロシマ、ナガサキ、オキナワへのピースメッセージも依頼し、周辺の市民からのピースメッセージも取り組んだ。各自治体も個人もコロナ感染対策の影響下で数が減ってしまったし、全国のピースサイクルのリレーもなかなか繋がっていない状況だが、ピースメッセージは今年も届けることができた。
長野ピースサイクルはこれから秋に向けて、報告集を作成していく予定だ。コロナウイルスの蔓延という思わぬ事態に直面した30周年、この間に何らかの形で長野ピースサイクルに関わった方々は500名位になるが様々な理由で、なかなか実走には参加されなくても、ピースサイクル運動を理解し、協力し、「平和への想い」を共有してくれる方々とのつながりは切れていない。そのつながりを「戦争する国」へ向う安倍政権を倒すエネルギーにして行きたいと思う。
しずおか 浜岡原発での申入れと話し合い行動
2020年7月22日、ピースサイクル浜松は、「浜岡原子力発電所の永久停止・廃炉と新燃料搬入計画の撤回を求める申入書」の手交と、浜岡原子力館内の会議室でピースサイクルのメンバー8人と浜岡原発の総務課2人で、コロナ禍の関係で時間を短縮したうえで45分間の話し合いを行った。話し合いのテーマは、5月末に報道された新核燃料の搬入にたいする問題を、@中部電力が新燃料の搬入を受け入れた理由について、A新核燃料の輸送問題について、B新燃料の保管場所及び今後の運用について、に絞って話しをした。
▼新燃料の搬入は、神奈川県横須賀市に会社がある、グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン(GNF―J)から浜岡原発へ新燃料の搬入を受け入れた理由として、再稼働が前提にあるのではとの懸念に対して、中電の回答は、製造メーカー側の理由によるもので、工場の安全上の工事の必要から核燃料の早期、中電への移行要請があった。契約があり、予定通りで預かってもらっていた。
▼新燃料の搬入は、第2四半期の7月〜9月に、5号機の142体。第3四半期の10月〜12月に、4号機の144体が搬入予定だが、再稼働が前提ではないことを繰り返した。
▼新核燃料の輸送問題については、沿線住民にとっては危険極まりなくコースを
明らかにし、当該自治体と協議し警備体制を強化したうえで、沿線市民に告知すべきだ。中電の回答は、輸送に関しては国からの通達と安全協定に基づき2週間前には燃料輸送があることは行政には伝えるとの話しだけであった。
最後に参加者から全体を通しての疑問や意見を出した。
▼新燃料は、4号機、5号機とそれぞれの燃料で、合体使用はないとの回答であったことを受けて、合体使用がないなら4号機は安全申審査中であるが、5号機は海水が入って稼働すらできないなら、新燃料は返した方がいいのでは?の質問には答えなかった。
▼新燃料の4号機・5号機の合体や使い回しはできないとのことで、各号機の使用燃料本数を質問すると3号機704本、4号機764本、5号機875本とのこと。しかし現実はその3倍以上の使用済み核燃料を冷却中であり、新燃料は全く無用なものである。そのつけは私達が電気料金として支払うことになると、指摘したが答えなかった。
▼浜岡原発は、10年間原発停止でやっている。だからもうやめた方がいい。浜岡原発が3号・4号・5号すべてを廃炉にむけて専念するのなら、私たちも応援する。
▼総務課社員の回答は、新燃料の搬入は再稼働のためではないとの答えと矛盾するベストミックスを強調し、再稼働が念頭にある発言が目立った。
▼新核燃料の使い道、使用済み核燃料との関係、稼働に必要な燃料体の数の矛盾など、ますます疑念は深まるばかりであった。
◎浜岡原発は、絶対に再稼働させない!
◎浜岡原発の3号・4号・5号も廃炉にさせよう!
せんりゅう
無症状のアベノウイルス要注意
第二波というにいえない医療崩壊
つらいつらい庶民の背に真実が
コロナ禍も戦禍も知りて十五日
軍隊の悲惨かたりし父の声
九条に父さんたちの声きこえ
いらねえよ五輪マークとアベの顔
ゝ 史
2020年8月
複眼単眼
安倍政権の5つの「ない」
8月5日の北海道新聞に「首相の三つの『ない』を巡る説明と本音」という記事が載った。「臨時国会を開かない、閉会中審査に出ない、記者会見しない」の3つのことだ。FBで見たので、遊びで、これに「いらない」と「とんでもない」をくっつけ、5つの「ない」にした。
この記事は安倍政権に対する私らの怒りが代弁されている。
某週刊誌への隔月連載記事で、「#臨時国会ただちに開け」というコラムを書いて送った。活字になるのは8月末に近いので、編集部が「もし、その間に臨時国会が召集されたら、原稿の補足訂正が必要になるかもしれない」と心配して、盆休み中の連絡先を尋ねてきた。私は「心配ご無用、安倍派臨時国会は8月中は開かない、9月もそうかもしれない」と伝えたうえで、盆休みはとるつもりはないがと言いつつ、念のため緊急連絡として携帯電話を伝えた。
道新のいう「3ない」のうち、「臨時国会開会」と「閉会中審査出席」は当面、まずない。もしかしたら、記者会見もぶら下がりは別にして、ありそうもない。いずれにしても、某誌の原稿は臨時国会がテーマだから、問題はない。「とんでもない」ことだ。市民に向き合わず、説明もしないというこんな政権は「いらない」。
6月17日の通常国会が閉じられてから、安倍首相はその翌日に記者会見をした後は、主なメディアから全く隠れてしまった。新型コロナの感染の問題がかくも深刻になっている中、行政府の長の顔が見えないのだ。水害などの深刻な被災もある。自民党筋からは「敵基地攻撃論」などというトンでもない話が、勝手に流される。安倍首相は18日の会見で、改めて任期中の改憲を主張し、別のところではこの改憲とは改憲国民投票まで含んでいることを語った。ならば、臨時国会は直ちに開かれなくてはなるまい。
新型コロナ対策特措法の改定には国会の開会が必要だ。通常国会末に強引に10兆円の補正予算を組んで、当面の予算措置に間に合わせるという憲法違反すれすれのことをやったのは、今のように臨時国会を召集しないことを計算に入れた悪だくみだったのか。
首相は8月4日夕刻、「私もこうした形で節目節目に話をしているが、菅官房長官も西村経済再生担当相も毎日会見を行い、説明している」と強弁する。
7月31日、野党4党は憲法53条の規定に従って、臨時国会開会要求を突き付けた。
憲法53条にはこうある。
「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」
これだけ明確に規定されている国会開催要求に対して、安倍政権は過去2015年(いわゆる安保法制強行採決のあと)と17年(森友・加計疑惑など)にも野党の臨時国会召集要求を踏みにじった。
内閣には国会を召集する義務がある。安倍政権が拒否する口実は「政府は召集義務を負うが、憲法上期日の規定はない」(菅官房長官)というものだ。
憲法の規定には期限が定められていないものもある。しかし、期限がないからといって、無視したり、あえて遅らせてよいわけではない。
2017年の安倍内閣の対応は違憲か否かが争われた那覇地裁の裁判で、2020年6月、判決は憲法53条に基づく臨時国会の召集要求があれば、内閣には「召集するべき憲法上の義務がある」。「(これは)単なる政治的義務にとどまるものではなく、法的義務であると解され、(召集しなければ)違憲と評価される余地はあるといえる」と述べた。
この判決は重い。
自民党自身がその「憲法改正草案」(2012年作成)の53条のなかで、「いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があったときは、要求があった日から20日以内に臨時国会が召集されなければならない」と書いている。
臨時国会の開かない安倍政権は「とんでもない」のであり、「いらない」のだ。 (T)