人民新報 ・ 第1389統合482(2020年9月15日)
  
                  目次

 安倍内閣は行き詰まり破綻した

       安倍路線継承の菅内閣を打倒しよう

● 日韓 和解と平和プラットフォーム

       8・15日韓市民社会の共同声明

● 都教委包囲・首都圏ネット

       公開討論会・コロナ下の学校現場

● 「韓国サンケン労組を支援する会」結成

       サンケン電気は韓国子会社の解散・全員解雇を撤回しろ

● 反原発を掲げて

       経産省前テントひろば10年目集会

● 北海道・寿都町の核のゴミ最終処分場誘致に反対しよう。

● 関東大震災97周年 中国人虐殺を考える集い

       歴史的事件を直視し、忘れず、教訓化していくことが戦争への動きをおしとどめることになる

● 新型コロナ災害緊急アクション 対政府交渉

       日本に生きるすべての人を対象に、平等な公的支援の速やかな実行を!

● 900人の参加で8月の19日行動

● せんりゅう

● 複眼単眼  /  安倍政権を退陣させた力 






安倍内閣は行き詰まり破綻した

       安倍路線継承の菅内閣を打倒しよう


 安倍晋三は、病気を理由に唐突に辞任した。菅義偉が自民党総裁に選出され、新しい政権が成立する。菅は安倍路線を継承するとしている。だが、安倍は、病気以上に、内外政策で行き詰まり、逃亡せざるを得なくなったのであり、菅に頭を変えたといってもそれらの困難な局面が解消されるわけではない。
 安倍内閣を追い詰めた世論と運動の力には大きいものがあった。安倍なき安倍政治である菅政権を打倒するためいっそうの闘いを推し進めていこう。

第一次安倍内閣の末路

 安倍は第一次政権(2006年〜2007年)では、「美しい国づくり」「戦後レジームからの脱却」を掲げ、9条を軸とする憲法改悪を中心的な課題としてきた。そして、2006年には、教育基本法改正(教育基本法の骨抜き)、防衛庁設置法等改正(防衛省昇格法)、2007年には、改憲手続法(国民投票法)、イラク復興支援特別措置法改正、学校教育法・教育職員免許法及び教育公務員法・地方教育行政の組織及び運営に関する法律改正、などを強行し、反動政策を矢継ぎ早に押し出した。
 だが、年金記録問題が暴露され支持率が急低下、加えて不祥事・失言により閣僚4人が交代に追い込まれた。その結果、2007年7月の参院選で自民党が大敗北することになった。
 安倍は9月10日に、臨時国会で所信表明演説をおこない続投とみられたが、その二日後、突然、辞任を表明した。辞任の記者会見で安倍は、「私が辞することによって局面を転換した方がよいだろうと判断した」と述べたが、この言葉は安倍の辞任によらなければ、当時の政治事態が大変なことになっていたということ、そこまで安倍内閣は窮地に陥っていたことをしめすものでもあった。今回と同様に前回の辞任劇でも病気は一つの口実にであったに過ぎない。

より反動化した自民党


 第一次安倍内閣から、福田内閣、麻生内閣と政権はめまぐるしく交代したが、支持率の低下はとどめられず、自民党政治に対する不満は広がり、ついに2009年8月30日の衆議院議員選挙で自民党は歴史的な惨敗を喫し、民主党を軸とする政権交代が実現した。
 しかし、民主党政権は、政権交代を実現した背景世論である消費税、原発再稼働、辺野古基地問題などで、支持者を裏切る政策をつづけ、それに党内の混乱が加わることなどによって支持層に失望感を広げた。くわえて政権末期には、消費税・解散問題などで自民党に騙され踊らされるという不手際・政治的失策によって自滅をむかえざるを得なかった。
 この間、野党となった自民党は、急速に右傾化を強めた。その象徴的な表れが、戦前体制回帰を思わせる自民党「日本国憲法改正草案」であった。

極右政権の第二次内閣


 2012
年12月に発足した第二次安倍内閣は極めて反動的な性格を持つものとなった。戦争法制など政策の反動化はもとより、際立った特徴は世論のコントロール、官僚支配の強化など陰険な強権支配体質がつよまったことだ。その操作の中心人物こそ官房長官の菅義偉その人であった。
 だが、第二次安倍政権も、森友・加計学園問題、桜を見る会、黒川東京高検検事長・検察庁法改正問題、河井案里・克行問題など、とりわけコロナ禍に手が打てず、アベノマスクなどで内閣支持率は低下し、さまざまに山積する課題に直面して実質的退陣に追い込まれた。

安倍亜流・菅内閣との闘い

 9月11日、安倍は置き土産として、敵基地攻撃能力は必要だなどとする安全保障・ミサイル防衛政策を年内に結論をだすようにとする談話を発表した。2020年安倍改憲の野望は阻止されたが、今後、最大限の解釈改憲の政策が強まるだろう。
 いま、安倍の病気辞任をアピールすることによって、同情を巻き起こすキャンペーンが張られている。そして、新内閣は、限られた自民党に有利な時期における解散・総選挙による政権維持をもくろんでいる。

 市民運動、労働運動は総がかりの態勢を強め、野党との共闘を前進させよう。総選挙にあたっては、緊密な共闘体制、候補者の調整を実現し、自民党など与党、右派野党に打撃を与えて、立憲野党候補の大量当選を実現しよう。
 安倍亜流政治=菅内閣を打倒しよう。


日韓 和解と平和プラットフォーム

       
 8・15日韓市民社会の共同声明

 8月15日、「日韓 和解と平和プラットフォーム」は、「8・15 光復/敗戦75周年 日韓市民社会の共同声明」を発表した。「日韓 和解と平和プラットフォーム」は、日韓の和解の実現を目指して、日本と韓国の多くの宗教者と市民によってつくられ、韓国側共同代表にイ・ホンジョンさん(韓国基督教教会協議会総務)、ハン・チュンモクさん(韓国進歩連帯常任代表)、クォン・テソンさん(環境運動連合 市民社会団体連帯会議共同代表)、日本側共同代表に、小野文bさん(群馬諸宗教者の集い)、田健さん(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動)、野平晋作さん(ピースボート)、光延一郎さん(日本カトリック正義と平和協議会)が就任している。
 8・15共同声明は、「日韓の歴史問題に対して」、「朝鮮半島の平和プロセス推進と日本の平和憲法」、「東アジアの非核地帯化と軍縮、 アジア太平洋地域の平和に関わる共同のビジョン」につづけて、「日韓次世代の平和教育・人権教育の推進」で次のように提言している。―@現在、芸能文化面では最も近い国としての日韓交流がありますが、歴史認識には大きな隔たりがあります。日本の学校教育・社会教育において植民地支配に関する歴史教育が不十分なためです。そのギャップを埋めるためにも、学生・青年・市民が現地研修や文化交流を通して出会い、学びあい、未来を共に担っていく連帯意識を育む事業を日韓両政府に求めると共に、私たちはこれまでの日韓交流事業をさらに深め推進していきます。このことを成し遂げるために必要なことは、国際政治という周辺国の政治的、外交的な術策や力ではなく、「和解と平和を願う民衆の声」です。民衆の声を高めることを目標にすればこそ、私たちは日韓双方が直面している課題、特に貧困、差別、そして迫害の問題を共に担い解決するために連帯していかねばなりません。A私たちは、日韓の歴史問題に対する正しい認識を探求し共有するために、研究者と連携して「日韓歴史市民フォーラム」を日韓相互に開催し、日韓市民社会それぞれの歴史認識に対する建設的対話を続けていきます。B私たちは日本政府と韓国政府に対して、従前の「国民教育」を改めて、東アジアの和解と平和をめざし、多民族・多文化社会にふさわしい「平和教育・人権教育・多文化教育」へと転換することを求めます。C今日本政府は、朝鮮民主主義人民共和国との外交問題と結びつけて、「高校無償化制度」(2010年4月)、「幼児教育・保育無償化制度」(2019年10 月)、「学生支援緊急給付金制度」(2020年5月)から、朝鮮学校(幼稚園・高校・大学)を排除しています。これらの差別的政策は、日本の歴史責任、子どもの教育に関する普遍的権利をまったく無視するものです。私たちは日本政府に対して、これらの措置をただちに撤回することと、在日韓国・朝鮮人をはじめ民族的少数者の人権保障のための法的、制度的施策を求めます―、とし、最後に「私たちは、敵愾心と差別、あらゆる暴力と戦争に反対して、暴虐の歴史の中で不条理な苦難を強いられた人びとと共に歩みながら、日韓の真実の和解と平和を目指します。東北アジアの共同体を目指す私たちは、市民社会として、また宗教者として、戦後75年目の8月15日に、以上の認識を共有し、共同の課題に取り組んでいく」と、表明している。


都教委包囲・首都圏ネット

          公開討論会・コロナ下の学校現場


 9月6日、東京しごとセンター・地下講堂で、都教委包囲・首都圏ネットワーク主催の「公開討論会―コロナ下の学校現場」が開かれた。
 主催者を代表して伏見忠さんが「問題提起」―歴代自民党政権の新自由主義が教育などの必要不可欠の社会的インフラを壊してきた。それを一段と進めたのがこのコロナ状況での安倍政権の対応だった。

 つづいて、小学校、特別支援学校、高校の教員、また現役大学生などから、コロナ問題で大混乱する学校現場の状況についての報告が続いた。

 都立特別支援学校教員の田中聡史さん(元東京「君が代」裁判第四次訴訟原告)は、今年度の1学期の様子などについて報告した。
 ―6月29日からは休校が終わり通常授業になった。 年間計画は変更され、7月31日が終業式、8月24日が2学期の始業式となった。都教委から、新型コロナウイルス感染拡大防止のガイドラインも何度か出された。教員は児童生徒と過ごす時には必ずマスクを着けなければならないとされ、4月からすでに50枚入りの使い捨てマスクが3回、各教員に配られた。給食時には児童生徒が向き合わないこと、間隔を開けること、摂食指導する場合は教員が給食を食べながら行わない、ということなどが推奨されている。給食だけでなく、学校生活全般について、事細かにガイドラインが定められている。遠足や宿泊行事等の校外での活動は全て中止となった。机やロッカーや児童が使うおもちゃまで、次亜塩素酸ナトリウム水溶液をスプレーして拭き取る消毒をしている。こうして、ことあるごとに教員の労働強化につながっている。
 私は、過去に10回、不起立処分を受けているが、東京「君が代」裁判四次訴訟は最高裁の決定によって2件の減給処分が取り消されたが、減給処分が取り消された2件の不起立について、改めて戒告処分を出す「再処分」に向けて、都教委が執拗に私に対する「事情聴取」を行おうとしている。「事情聴取」を行なう場合は、代理人弁護士の立ち会いを認めるようにと要請しているが、これまでのところ、「事情聴取」はまだ行われていない。


「韓国サンケン労組を支援する会」結成

            サンケン電気は韓国子会社の解散・全員解雇を撤回しろ


 9月3日、文京区民センターで、「サンケン電気は韓国子会社の解散・全員解雇を撤回しろ 韓国サンケン労組を支援する会結成集会」が開かれた。
 主催者挨拶を、渡邊洋さん(全国労働組合協議会議長)、韓国から開会挨拶をチョン・ジュキョさん(全国金属労働組合副委員長)がおこなった。
 尾沢孝司さん(日韓民衆連帯委員会)が経過報告と方針を提起した。韓国サンケン株式会社は、埼玉県新座市にあるサンケン電気株式会社の子会社である。韓国サンケン労組は、1995年に韓国労総を脱退し、翌年に、民主労総に加入し、1996年12月〜1997年1月の労働法改悪阻止闘争ゼネストを闘い抜いた。2016年、会社は生産職社員全員の整理解雇問題を株主総会で決定した。韓国サンケン労組は、日本遠征闘争、韓国内の整理解雇反対闘争を闘い、2017年6月に整理解雇を撤回させ、「工場を正常に稼働させ、安定的に生産活動を行うために設備投資などの稼働に必要な各種措置を実施する」とした合意文書を締結した。ところが、2019年11月6日、会社は、不採算状態が続いているLED灯具生産事業を2020年3月末を以って終了とすると決めた。生産・販売はもとより、これまで販売した製品の一部で必要とされる保守サービス業務は、外部企業に事業譲渡する予定だとした。韓国サンケン労組は来日し、7月9日、雇用安定を話し合ったが、その翌日に会社解散が発表された。このことは、韓国の社長も知らなかったことであり、コロナ状況を利用した組合つぶしを狙った会社の解散・清算そのものである。組合と会社の合意の3年間、設備投資は全くなく、生産すれば生産するほど赤字になる物量しか発注しない構造的問題があったにもかかわらず、EKEという会社を2018年12月に設立されたが、ここは黒字経営だ。8月6日には、現地会社社長は「組合が闘争をしたから解散することになった」と本音を漏らした。この3年間に、サンケン電気本社は韓国サンケン労組を潰すために、会社を解散・清算にする準備をしていたということだ。結局会社側は、整理解雇―労働組合潰しの意志を放棄することがなく、3年前の労使の合意は、組合の団結の強さと闘いの広がりに恐れをなしての欺隔的妥協でしかなかったのである。サンケン電気本社は3年前に負けたことを、今回コロナウイルス状況を利用してとり戻そうとしているのであり、組合つぶしであり、これを絶対に許してはならない。
 これまで、韓国サンケン労組支援する会結成に向けて準備してきたが、8月20日には、サンケン電気本社に対して、韓国サンケン労組、埼玉市民の会準備有志、支援する会準備会で申し入れを行ってきた。
 「韓国サンケン労働組合を支援する会」の目的は、@韓国サンケン労組の闘いを支援し、争議の解決を勝ち取る、A日本のサンケン電気との話し合いを実現し、雇用責任を取らせていく、B日本と韓国の労働者の連帯を深めて行くことであり、要請行動、情宜活動、カンパ活動など支援活動を行う。共同代表に渡邊洋・全労協議長、中村宗一・中小労組政策ネットワーク共同代表、中原純子・東京全労協副議長、渡辺一夫・韓国良心囚を支援する会全国会議代表、事務局長に鳥井一平さん(中小労組政策ネットワーク)、事務局次長に尾沢孝司さん(日韓民衆連帯委員会)などの役員体制で、事務局は加盟労組、団体、個人参加有志で構成する。具体的活動計画として、@韓国サンケン労祖を支援する、A主要拠点に対する宣伝活動(本社、営業所、銀行、ユーザーなど)、B日常闘争と集中行動の取り組み、C支援する会の会員の拡大、に取り組む。当面の行動として、サンケン本社、同東京事務所に対する週一回の行動(毎週木曜日)を行い、韓国からはネットを通じて毎回アピールしてもらうことにする。
 つづいてビデオで「韓国サンケン労組の闘争」が報告され、坂本倹さん(韓国サンケン労組と連帯する埼玉市民の会)、中村宗一さん(北関東ユニオンネットワーク共同代表)、中原純子さん(東京全労協副議長)、渡辺一夫さん(韓国良心囚を支援する会全国会議代表)、小泉尚之さん(北部労協議長)が日本側からの連帯挨拶をおこなった。
 韓国サンケン労組組合員からはネットを通じての決意表明がつづいた。


反原発を掲げて

          経産省前テントひろば10年目集会


 おおきな犠牲をもたらし、いまも収束していない福島原発事故から10年。 事故からすぐに、政府・電力資本に抗議し、脱原発をもとめて、霞が関・経産省前にテントひろばが作られた。2016年8月28日未明、テントは警察により暴力的に強制撤去されたが、それ以降も、経産省正門前では座り込みの行動が続けられて来ている。

 9月11日、経産省の正門前で「テントひろば10年目大集会〜トリチウム等放射能汚染水を海に流すな〜」が開かれ300人が参加した。
 会場には、座り込みに参加し、この間に亡くなられた人々の遺影がかざられていた。集会では、武藤類子さんら福島からのメッセージが読み上げられ、福島からの避難者、鎌田慧さん、神田香織さん、落合恵子さん、河合弘之弁護士、大口昭彦弁護士、国会からは立憲民主党の菅直人衆議院議員、社民党の福島瑞穂参議院議員、反原発運動団体からの発言があった。


北海道・寿都町の核のゴミ最終処分場誘致に反対しよう。

 8月12日北海道後志管内寿都町(人口約2900人)の片岡春雄町長は、政府が推進する原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の最終処分場選定の第一段階となる文献調査に応募を検討すると表明した。片岡町長は応募の理由として「最大20億円の交付金が出ることによる町の財政改善」を挙げている。しかし多くの町民は報道されるまで「まったく知らされなかった」状態であり地元だけでなく北海道全体に大きな衝撃を与えている。地元小樽地区漁協組合長会(後志管内8漁協含む)は緊急の抗議文を全会一致で採択した。鈴木直道北海道知事は「拙速だ。核のゴミを全国から道内に集める入り口になる可能性がある」とし最終処分場の道内建設を「受け入れ難い」とした道の核抜き条例の順守を同町長に求めた。また近隣の黒松内町・蘭越町・島牧村の3町村長は一つの町の問題ではないとして「応募に反対」することで一致し寿都町に申し入れを行った。

北海道をめぐる核のゴミ問題

 北海道では1980年代に宗谷管内幌延町が放射性廃棄物の関連施設誘致を表明し全道的な反対運動が巻き起こった。その中で幌延町では日本原子力研究開発機構(以下、機構)が地下350mまで掘った深地層研究の施設で核のゴミの処分研究を行っているが、北海道議会では、研究だけで実際の放射性廃棄物は持ち込ませないための「受け入れ難い」と宣言する条例を都道府県で唯一作った。しかし幌延の施設設置にあたり幌延町、北海道庁、当時動燃(現機構)が協定を結び、核物質を持ち込まないこと、20年程度の期間の研究の後には埋め戻すことが盛り込んだ三者協定が結ばれていたが2019年に機構は、この協定を無視して一方的に10年間の延長を打ち出した。これは三度目の裏切りと言われている。当初計画された貯蔵工学センターに対し住民らは最終的に処分場になると疑っていた。この疑いは88年に動燃による立地調査で現実となる。この誘致には、周辺の市町村および道知事も道議会も反対を表明していた。周辺が反対する中、動燃は85年に立地環境調査に着手した。11月23日のことで、連休で監視をゆるめたスキをついてボーリング予定地点の樹木に印をつけるなどの作業を深夜こっそりと行い、マスコミを使って「調査に着手」と宣伝したのだ。以来毎年、この日に反対集会が開催されている。さらに翌年8月に動燃は、夜陰に紛れて調査機材を搬入し、またしても闇討ちのボーリングを開始したのだった。これが第一、第二の裏切りである。
 核のゴミをめぐる北海道での動きは、推進側が強権的本音を隠ぺいしつつ、多額の交付金などで表面的ソフト路線を取り繕ってきた歴史でもある。

高レベル放射性廃棄物(核にゴミ)とは


 原発の使用済燃料には、死の灰と一緒に燃え残りのウランやプルトニウムが含まれている。そこで青森県六ケ所再処理工場で使用済み燃料をぶつ切りにし酸で溶かしてプルトニウムを取り出す。(福井県の高速増殖炉「もんじゅ」で再び核燃料はとして使用するというのが「核燃料サイクル」計画であった。しかし「もんじゅ」は減速材として、空気に触れれば燃え、コンクリートに含む水に接触すれば爆発する性質を持つ金属ナトリウムの漏洩事故を起こした。20年以上で一兆円の費用をかけたが16年には廃炉が決まった)プルトニウムなどを取り出した残りの死の灰は高レベル放射性廃棄液となる。この廃液をガラスと一緒に固め、キャニスターと呼ばれるステンレス製の容器に詰めたものが高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)である。ガラス固化体一本には広島型原爆30発分の死の灰が詰まっておりその表面の放射線の強さは約1500Sv/h(シーベルト/時)にもなる。100%の人が死亡する放射線量は約7Svなのですぐそばに人間がいた場合、わずか20秒弱で致死量を浴び確実に命を落とすとされる。そのためガラス固化体の取り扱いは全て遠隔操作でしか出来ない。また放射能の熱で表面温度は200度以上の高熱を発する。アメリカ環境保護庁は放射能規制上の評価期間を100万年としており10万年は一定の目安に過ぎない。

地層処分場とは

 ガラス固化体はオーバーパックと呼ばれる鉄製容器に封入して300m以下の地下で粘土などの緩衝材に包んで埋めることを地層処分としている。一ヶ所の処分場には費用が最小になるため4万本埋める計画とされる。しかし保管中の使用済燃料は約1万7千トン、固化体換算では2万4千本であり、その差一万6千本分の原発再稼働を目論んでいるのである。地下深部は人間が容易に近づけない。地上に置けばテロや戦争に危険性もあり将来世代に負担をかけるとの理由地層処分が正当化されている。しかしキャニスターやオーバーパックなどの「人工バリア」は地下水でやがて腐食し長期間放射能を閉じ込めることは出来ない。よって放射能が漏れだす前提で「天然バリア」と位置付けた地層が汚染された地下水が地表に到達するのを遅らせることが可能としているだけである。

地層処分の危険性


 日本は年間降雨量が多く地下水の影響は重大である。地下300mの水の動きを正確に地上からは調査することは極めて難しいとされている。例えば東日本大地震では各地で温泉の湯量の変化が生じている。福島県いわき市では炭鉱跡から温泉が湧き出た。
 ドイツでは490m以深の岩塩鉱山跡地で中・低レベル放射性廃棄物の投棄が行われたが、地下水が湧き出したために12万本余りのドラム缶を回収する作業が行われている。日本列島は南北に火山帯があり、かつ4枚のプレートのぶつかり合う世界有数の地殻変動帯・地震地帯であり、地層処分の地質学的根拠は立証されていない。

地層処分の選定方法と段階

 「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」(2000年)では、処分地選定応募した自治体に対し文献調査(2年 交付金20億円)概要調査(4年 同70億円)精密調査(14年 金額未定)その後最終処分建設地選定とされており「頬を札束でたたくやり方」をとっている。『各調査段階において、地元自治体の意見を聴き、これを十分に尊重する(反対の場合には次の段階に進まない)』としている。しかし自治体の意見とは議会や住民投票ではなくあくまで首長の意向次第で進めることが可能となっている。寿都町長はすでに概要調査だけでなく精密調査まで進めたいとしている。概要調査に進む場合、知事の意見も聴くことになっている。鈴木直道北海道知事は「概要調査には反対」を表明しているが、これまでの政府見解は「同意を得なければならない」とはなっていないとし最終的には国が決めるものとしている。とりわけ住民にわかりにくくするために当初は「処分候補地」と呼ばれていたものを「最終処分法」では「概要調査」に、「処分予定地」を「精密調査地区」に言い換えたことは決して見逃せない事実である。

今後の展開と問題


 地元では町民有志による「寿都に核のごみはいらない町民の会」が発足し8/27に応募の撤回を求める署名7836名分を片岡町長に手渡した。このうち695人分が寿都町民で人口の2割超に達しその後も町内外で活発に活動を続けている。9月以降同町長が町内7地区で説明会を開催し10月以降応募を判断するとしているが町民が明確に反対の意思を示すことと全道・全国的な声を伝えることが課題となっている。また道議会では自民党の一部議員は第2段階の概要調査の前段階で知事が反対と表明したことを「問題視」して国に同調する動きを示している。しかし道の核抜き条例もあり応募容認を道民に押し付けることは困難だ。
私たちは今回の処分場問題の背景を見抜く必要がある。それは@安倍政権の地方切り捨てが地方自治体の疲弊と財政を逼迫させていることである。A「トイレなきマンション」とされる原発の再稼働に利用する。Bもんじゅの廃炉で明白となった「核燃料サイクルの破綻」を無視して使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理工場稼働に繋げる。C憲法で禁止されている「敵基地攻撃能力」保有と結び付けて、なし崩し的に「自衛の核保有」まで視野に入れることである。原発に経済的合理性がないことは明白であり、プルトニウム保有こそ「潜在的核保有国」として力を誇示する目的だからだ。北海道・寿都町の核のゴミ最終処分場「文献調査」応募に反対しよう!  (DAM)


関東大震災97周年 中国人虐殺を考える集い

         歴史的事件を直視し、忘れず、教訓化していくことが戦争への動きをおしとどめることになる


 9月6日、江東区東大島文化センターで、「関東大震災97周年 中国人虐殺を考える集い(主催・関東大震災中国人受難者を追悼する会)」が開かれ、第一部の追悼式では、中国からの犠牲者遺族からのメッセージが代読され、参加者の献花が行われた。

 第二部では、木野村間一郎さん(ノーモア南京の会)が、「政府が扇動する排外主義とヘイト―関東大震災と自警団、国家総力戦体制構築」と題して講演した。 ―関東大震災時の朝鮮人、中国人、社会主義者虐殺は次のような意味を持つ。関東大震災時に戒厳令が宣告されたことは、日本政府・軍部にとって都市民衆騒擾を戦争の論理で統合吸収しようとするものであった。つまり、日本の都市騒擾と米騒動のような爆発に対する鎮圧体制の日常的組織化だけでなくそれを通じての軍部への国民の系列化を意図したものだった。それは総力戦体制の重要な一環となった。日本の政府・軍など支配層にとって、時代認識を欧米と今日していたこと、つまりヨーロッパ諸国の危機と動揺、コミンテルン、国際的な共産主義勢力、民族解放闘争への恐怖と帝国土義列強間対立であり、日本の支配層にとって、日本をとりまく諸列強と対立しながら、必ず「生命線の確保」として中国大陸侵略を実現しなければならないと認識されたことで、朝鮮三・一民衆蜂起、中国五・四運動をはじめとする抗日民衆運動とその継続は重大な脅威としで認識され、その軍事的制圧が必須のものとされていたことだ。後にそれは、イタリア、ドイツと手を結ぶことになり、後発帝国主義が帝国主義列強との争闘戦のための国家体制作りへと向かうものであった。歴史的な民族排外主義と政府―軍―警察の歴史的な組織化を前提にして、民衆自らが地域末端からの組織化として「自警団」等に動員され、朝鮮人、中国人への虐殺行動に走った。生活保身=地域利害と排外主義が国家的利害と一致して虐殺に走ることによって、形成され始めていた民衆レベルでの国際的連帯の芽を自ら摘んでしまったといえる。関東大震災時における朝鮮人、中国人の大虐殺、社会主義者の虐殺は、いまだファシズム運動というような続合された大衆運動ではなく、関東という限定された地域での、太規模ではあるが個別的な襲撃であったが、それは「自然発生的」というようなものではなく、国家権力と結合した民衆の大衆的排外主義的動員、襲撃であり、天皇制ファシズム運動の前触れのようなものではないだろうか。
 関東大震災災時の虐殺事件は決して古い、終わったことではない。いまだに、直接の関係者もいるし、賠償問題も解決していない。この国の「戦争の出きる国つくり」をしようとする勢力は、この歴史的事件を隠蔽し、「なかったこと」にしようとやっきにかっている。だが、この歴史的事件をしっかりと直視し、決して忘れず、教訓化していくことこそが、戦争への動き、そしてそれに民衆自らが巻き込まれていくことを止めることになるのではないだろうか。


新型コロナ災害緊急アクション 対政府交渉

       日本に生きるすべての人を対象に、平等な公的支援の速やかな実行を!


 新型コロナの蔓延は、長期にわたる保守政権の下で進行した社会的格差の拡大・貧困化を深刻化させ、多くの人びとが苦しい生活に追い込まれている。

 8月19日、衆院議員会館で、「新型コロナ災害緊急アクション」の主催で、生活保護や住まいについての公的支援改善を求める活動報告会と緊急政府交渉が開かれた。「新型コロナ災害緊急アクション」は、「新型コロナ災害が拡大する中で、仕事を失う、住宅を失う、大学に通えない方が増える状況を踏まえ、反貧困ネットワークなど、貧困問題を解決するために活動する団体により結成」され、労働、生活、外国人、学生などのさまざまな問題に取り組んでいる30を越える団体が参加している。緊急アクションの「反貧困緊急ささえあい基金」は、多くの世帯に直接給付をおこなってきている。
 今回の報告会・政府交渉は、新型コロナウィルスは全ての人が感染しうるという平等性・無差別性と社会的な脆弱度に応じて影響に差が生じるという不平等性・差別性にあり、最低限の生活も保障されないまま放置され続けている生活困窮者や外国人のおかれている状況を認識し、10万円特別定額給付金の申請期限の延長などを日本に生きるすべての人を対象に平等な公的支援の速やかな実行を政府に求めるものであった。

 第一部の緊急アクション報告会には、立憲民主党の菅直人衆議院議員、共産党の山添拓参議院議員、社民党の福島みずほ参院議員などが参加してあいさつした。
 瀬戸大作さん(新型コロナ災害緊急アクション事務局)が反貧困緊急ささえあい基金の報告。
 反貧困緊急ささえあい基金の8月8日までの入金・出金状況は、皆さんからお預かりした支援金は、ささえあい基金が7936万5952円、犬猫基金が400万1464円の計8336万7416円で、直接手渡し給付216万6500円、連携団体給付118万9千円、移住連連携外国人給付1812万5千円で給付の計は2201万4589円となっている。
 緊急アクション活動としては、相談者からのSOSに基づき、相談者が待つ場所に向かい、緊急宿泊費と生活費を給付、福祉制度の案内に留まらず、生活保護申請などの助言、申請日時と支援者同行までのアセスメントまでおこなってきた。その特徴は、所持金が千円を切った状態でのSOSが多い。以前からネットカフェなどで暮らし日雇い及びスポット派遣で収入を得ていたが、コロナで収入が途絶え、路上で生きるしかない、アパートを借りる費用がない事例が多い。給付金が支給されても滞納家賃や税金支払いなどで消えていき、今後の家賃が払えない、生活費に困窮しているとの相談が更に増加している。移住連からの要請に基づく、「支援からこぼれ落ちた外国人」の給付支援は引き続き多いが、直接支援を求めるSOSも増えている。殆どあいかなる公的支援も受けることができない。事例を紹介する生活保護利用の条件は無料低額宿泊所を絶対条件にして、入所させられたところは強制収容所そのものだった。埼玉県中央部にある都市から20代の男性から悲痛なSOSが寄せられた。彼は離島から首都圏に働きにでてきたが、寮付きの住み込み派遣しかなかった。しかしコロナの影響で寮付き派遣を追い出され、生活保護を申請し、5月から利用開始した。生活保護は初めての利用だ。生保受理の条件が施設入所だった。入所させられたのは、鉄道路線も違い、最寄りの駅から徒歩50分、市役所に通うには2時間もかかる。無料低額宿泊所(無低)等の開設・運営を通じて生活困窮者の自立支援を行うという特定非営利活動法人エス・エス・エスが運営する無低に入所させられた。生活保護費は10・5万円だが、エス・エス・エスに施設費用として7・9万円もが徴収されていた。食事も2食のはずだが、大した理由でない制裁で1日1食にさせられている。携帯電話代を引けば所持金は1万円を切る。求職活動の交通費も年捻出できない。門限の21時を三回破ったら強制退去だ。来週に市役所に一緒にいき、実状を報告し、アパート転居と転居費用、家具什器費の支給を要求することにしている。

 つづいて、猪股正弁護士(何でも相談会実行委員会事務局)が「コロナ災害を乗り越えるいのちとくらしを守る何でも相談会 第3弾実施後の報告」をおこなった。第3弾は、8月8日に、41都道府県、72会場、135回線、相談員延べ人数512人でおこない、239件の相談があった。相談内容は、生活費相談が約半数で、次いで労働相談が多かった。労働者では、非正規67、正規27だった。引き続き休業手当不払いの相談が多い。整理解雇、大企業での産休中の退職勧奨など解雇・雇止めの相談が続いている。郵便局など職種によっては、コロナで業務過多となり、体調を崩して退職に追い込まれる事例が見られる。テレワーク等への切り変えに伴う給与削減など労働条件切り下げ、医療機関の労働者の賞与カット、休日を減らすなどの就業規則の不利益変更などがおこっている。コロナ感染拡大に関連する解雇・雇止めが激増しているが、感染がさらに拡大すればこれまでの相談件数をはるかに超える事態となろう。今後も何度も相談会を継続実施していく。

 つづいて、支援現場から見えた外国人への公的支援の必要性、生活保護申請同行の現場から・公的住宅支援の必要性、労働相談から見えてきた企業の責任と労働組合の取り組み、について報告が行われた。

 第二部の緊急政府交渉では、厚生労働省・総務省・文部科学省・法務省・国土交通省からきた職員を前にして、@支援を受けられない外国人の公的支援を求める政府交渉、A困窮者支援に対する住まいの公的支援を求める政府交渉、Bホームレスの方への給付金支給と感染対策を求める政府交渉がおこなわれた。

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2020年8月19日

内閣総理大臣 安倍晋三 殿

新型コロナ災害緊急アクション緊急要請書―「死にたくなくても死んでしまう。」―日本に生きるすべての人を対象に、平等な公的支援の速やかな実行を!

 私たち新型コロナ災害緊急アクションは、今般の新型コロナウィルスの影響から命と生活を守るために、生活問題や外国人問題、労働問題・学費・奨学金問題などに取り組んできた様々な団体によって構成されている団体です。
 現在、再び、新型コロナウィルス感染者が増大しています。既にこの数か月間で多くの人々の尊厳と地域社会を破壊し、働く人たちが失業・廃業に追い込まれて生活の基盤を失い、住まいを失いました。
 新型コロナウィルス感染症の特徴は、全ての人が感染しうるという平等性・無差別性と、社会的な脆弱度に応じて影響に差が生じるという不平等性・差別性にあります。
 日本に住む全ての人々が何らかの影響を受けている中で、在留資格が無い、あるいは短期のため、住民基本台帳に載らないことから公的支援の対象外とされた外国人の方から、連日のように、所持金が尽きた。住まいから追い出される。医療にかかれない、就労資格がなく収入を得られず、所持金が尽きたなど、悲鳴のようなSOSが当団体に届いています。
 そして、ホームレス、家族関係による理由、借金に追われているなどで住民登録が困難な人、その他様々な事情から住民登録ができない人など、最も給付金の受給を必要とする人々が、現状では特別定額給付金を受給できる状況になっていません。コロナ禍で最も困窮しているホームレスの人々に、このお金が渡らないとなると、路上死する危険もあります。また、生活困窮者は医療へのアクセスしにくい状況があり、命の不安があります。脆弱な市民が感染すれば、感染速度は速まり社会全体に影響が広まると同時に、不安や不満は社会的弱者への嫌悪や攻撃となり、彼らを医療や支援、地域社会で生きることから遠ざけ、結果として感染拡大は続きます。
 「新型コロナ災害緊急アクション」では、「反貧困緊急ささえあい基金」を創設し、現在までに約600世帯、1000人以上に、約2000万円の直接給付をおこない、多くの命を繋いでいる状況です。
 一刻も早い支援がなければ餓死の危険性に晒されている人たちが多く存在するのです。
 最低限の生活も保障されないまま放置され続けている生活困窮者や外国人のおかれている状況を認識してください。10万円特別定額給付金の申請期限を延長してください。差別することなく、日本に生きるすべての人を対象に平等な公的支援を速やかに実行してください。

(以下、厚生労働省・総務省・文科省・法務省・国土交通省に対して、住まい・生活保護分野要請項目、外国人分野要請項目、10万円特別定額給付金と新型コロナウィルス感染症対策分野要請項目について、具体的項目を挙げての要請書)


900人の参加で8月の19日行動

          戦争への暴走政治を阻止しよう


 8月19日、国会議員会館前で、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会、安倍9条改憲NO!全国市民アクションの主催による「いのちをまもれ! 臨時国会ただちに開け! 敵基地攻撃は憲法違反! 安倍改憲発議とめよう! 安倍内閣退陣を! 国会議員会館前行動」が行われ、900人が参加した。
 菱山南帆子さんが主催者あいさつ。75年前の戦争の悲惨さを忘れてはならない。しかしそれを忘れてあらたな戦争へと暴走する人びとがいる。そのリーダーが安倍首相にほかならない。歴史を抹殺するとんでもない内閣だ。安倍内閣はこのコロナ禍状況で、アメリカから何の役にも立たないF35など大量の武器を爆買いしている。戦闘機で命が救えるわけはない。それを何故医療や福祉にその税金を回さないのか。怒り心頭だ。悪あがきのように敵基地攻撃能力などと言う安倍首相を許せない。この内閣は戦争と大資本家の金もうけのためにだけ政治をやってきた。こんな愚かで危険な政治指導者に私たちの命と暮らしを任せるわけにはいかない。市民と野党の共闘で政治を変えよう。
 武内則男衆議院議員(立憲民主党)、宮本徹衆議院議員(共産党)、福島瑞穂参議院議員(社民党)が発言。安保法制違憲訴訟の会の児玉勇二弁護士、看護師の宮子あずささん、日韓民衆連帯全国ネットワークの渡辺健樹さん、反貧困ネットワークの瀬戸大作さんがアピールを行い、最後に、戦争をさせない1000人委員会の竹内広人さんが、行動提起をおこなった。


せんりゅう

     ながながと困っていたのさやっとこさのさ

         一難を見送る秋の空深し

     人民の力のありてアベは逃げ

         レガシィなんてありますか辞任劇

     レガシィといえばモリカケ文書改竄

         いらぬ塵芥プラスチックもオリンピックも

     改憲軍拡貧富拡大私腹も引継

                           ゝ 史

2020年9月


複眼単眼

     
安倍政権を退陣させた力

 8月28日、安倍晋三首相が「持病の悪化」を理由に、第2次安倍政権発足以来の7年8カ月にわたった政権を投げ出した。
 多くの識者が指摘するように、これは本質的に言えば、長年の安倍政権の政治の行き詰まりの結果もたらされたものだ。
 「戦後レジームからの脱却」=改憲による「戦争する国」への転換、アベノミクスと銘打った経済政策による大企業優先と格差社会、貧困の増大、「地球儀を俯瞰する外交」の名の下に行われたトランプ米国大統領追従と東アジアの緊張激化、モリ・カケ・サクラ・クロカワに象徴される権力の私物化と腐敗、数え上げればキリがない安倍政権の「負の遺産」。このところの世論調査でも内閣支持率は急落し、3割台に落ち込んでいた。
 なかでも安倍政権の最大の問題は一貫した立憲主義の破壊とそのもとでの安倍改憲策動の失敗だ。
 第1次安倍政権以来、自らの最大の政治目標として執拗にめざしてきた「改憲」は、残りの任期1年というところで完全に破綻した。改憲発議のための国会審議の時間においても、また発議に必要な両院の総議員の3分の2の支持という点においても、条件を満たすことは極めて困難になった。
これこそが今回の安倍政権の政権投げ出しの最大の理由だ。
 安倍辞任表明を受けて、一部の市民運動家や識者の中から「私たちの手で安倍を首相の座から引きずりおろせなかったことが残念」などという声を聞いた。
 率直に言って、これらの人びとは「何をいっているのか」と思う。「引きずりおろせなかった」だって?
 あなたはそのために何をしていたか。
 安倍改憲発議を止めて来たこの間の国会内外の粘り強い闘いの積み重ねが見えないのか。
 世論の多くが9条改憲に賛成せず、安倍首相の下での改憲反対の意思を示してきた。安倍首相自らが、辞任の会見で「世論を変えられなかった」と悔いている。これをつくり出してきたものは何か。
 国会の憲法審査会で、自公改憲勢力の立憲主義に反する改憲論議推進の動きを阻止してきた立憲野党各党の努力と、それを国会外から支援し、支えてきた市民の努力があった。
 そして戦争法に反対する全国署名、安倍改憲に反対する3000万署名、安倍改憲発議に反対する全国署名などを軸にしながら、全国各地の草の根で粘り強く取り組まれてきた市民の運動こそ、安倍改憲を支持しない世論を作り上げてきた重要な要素だ。
 まさに国会内の立憲野党と国会外の市民の運動が結合して、安倍改憲を阻止する世論を作り上げ、安倍改憲を追い詰めてきた。
 この力こそが安倍首相を辞任に追い込んできた力だ。
傍観者のように、あれこれとつまらないことをぼやいていては始まらない。総選挙も1年以内には必ず行われる。もしかしたら間もなくかもしれない。ここで市民と野党の共同を大きく進め、安倍改憲を決定的に葬り去らなくてはならない。
 明文改憲に失敗して退陣する安倍は置き土産として敵基地攻撃能力保有への「安保政策にかんする談話」を出し、実質改憲、戦争する国への道を進める方向性を打ち出し、菅・次期政権に年内にもその具体化を求める構えだ。
 目下、これを暴露し、阻止する闘いが求められている。(T)