人民新報 ・ 第1399統合492(2021年7月15日)
  
                  目次

● 
コロナ緊急事態宣言下の五輪強行という愚策・暴挙

          菅内閣打倒・自民党政治を終わらせよう

● 核兵器禁止条約採択から4年

          まず核兵器先行不使用の約束を

● 「赤木ファイル」ついに公表  佐川局長の改ざん指示は明らかだ  

          安倍夫妻、麻生、財務省は責任をとれ

● 6月25日・東京総行動

          すべての争議を解決させよう

● 共謀罪法廃止を実現しよう

          共謀罪と治安維持法・破防法・暴対法・組織犯罪処罰法

● 選択的夫婦別姓制度の早期導入を!

          自民党右派は悪あがきをやめろ 国会で真摯な審議を行え

● 脱原発・再稼働阻止

          金曜官邸前行動が再開

● 関生支部への不当弾圧に抗議

          大阪高裁にたいし公正判決を求める署名

● せんりゅう

● 複眼単眼  /  東京都議選が終わって






コロナ緊急事態宣言下の五輪強行という愚策・暴挙

          菅内閣打倒・自民党政治を終わらせよう


深刻化するコロナ禍

 コロナ禍はますます深刻さをくわえている。
 政府は東京都に今月12日から来月22日までの4度目の新型コロナウイルス緊急事態宣言を発令した。西村康稔経済再生担当大臣は、衆参両院の議院運営委員会で、東京都への緊急事態宣言と沖縄県に出されている宣言の期限延長を報告したさいに、「全国の新規陽性者数は、地方部を中心とした地域では抑えられてきている一方で、特に東京都、埼玉県、千葉県、および神奈川県の首都圏など、大都市部で増加傾向が顕著になっていて、感染の再拡大に警戒感を強めている」と述べた。全国の一日当たりの感染者数はこれまでに4つの大きなピークを経験している。2020年4月、8月、2021年1月、5月で、現在は第5の坂を上っている状況だ。
 政府、都は飲食店などに自粛を要請しながら、また一部では「違反店」摘発・過料を課しながら、補償はまったく不十分で、支給も滞ったままだ。
 昨年8月段階では一日の新規全国感染者の最高が全国1500人程度で、ついで一定の減少を見せ始めた。そこで政府のとった政策がGOTOキャンペーンだった。その結果はやがて感染者数の激増となって表れた。その後も、さまざまな経済優先の口実での施策が、感染蔓延をもたらしたことを忘れてはならない。
 政府の唯一の頼みの綱であるワクチン接種は、鳴り物入りの宣伝にもかかわらず、供給不安、遅れが目立ち始めている。そもそも国産ワクチンを製造できない体制はこれまでの保守政権の責任であるが、輸入ワクチンの面でも問題が多い。2020年に当時の安倍政権は米ファイザー社や英アストラゼネカ社とのあいだで全国民分のワクチンが確保できたといってきた。ところが、その実態はまるで違っていた。供給は大幅に遅れている。さらにコロナ変種株とりわけデルタ型の日本流入による感染拡大は憂慮されている。

無謀な五輪開催の強行

 「緊急事態宣言」下というコロナウイルスの蔓延・拡大という深刻な状況にもかかわらず、7月23日、東京オリンピック・パラリンピックが強行開催される。自粛・ステイホーム、祭り・イベントの中止を人々に強要しながらもオリンピックだけは開催するというやり方は、菅内閣の人命軽視、多くの人びとの生活権無視の党利党略私利私欲の体質の自己暴露にほかならない。
 オリンピックを招致したさいに安倍晋三は、福島原発事故が収束していないにもかかわらず「アンダーコントロール」「復興五輪」といった。安倍政治を引き継ぐ菅義偉は「東京オリンピック・パラリンピックは、人類が新型コロナウィルスに打ち勝った証として、また、東日本大震災からの復興を世界に『祭典』」として示すと言っている。コロナ感染蔓延急増が各方面から指摘されていたにもかかわらず、オリンピックの成功で総選挙に勝利という虫のいい目論見できたが、その菅の狙いはすでに破産している。
 にもかかわらず、菅政権はあえて人流増にゴーサインをだした。こうしたことで7月8月には感染者、重症者、死者の増加が言われている。
 なかでも東京都では、近日中にも1000人を越えるのは必至で、重症者、死者もそれに続くことになるだろう。悲惨な事態を到来させないために、いまからでも遅くない。直ちにオリンピック・パラリンピックを中止させなくてはならない。

自民党支持層にも変化


 菅内閣はいまの危機的な事態にまったく対応できていない。菅内閣に対する批判はかつてなく広がっている。NHK6月世論調査では、内閣支持37%、不支持45%となっている。7月4日投票の東京都議選では、事前の自公で過半数の予想が多かったが、蓋を開けてみれば、過半数にはるかに及ばず、それに立憲・共産を軸とする野党共闘の前進があった。自民党の惨敗と言っていい。自民党支持者の多くが自民党に投票しなかったという姿が浮かび上がってくる。野党支持になったわけではないが、あまりにひどいいまの菅自民党には投票したくないという層の存在がこの結果を生む一因となったのだろう。
自民党の支持者の自民党離れがはじまった。これをはっきりした野党支持に変えていくことが課題である。このような条件も生かして、市民と野党は共闘を強めて菅内閣を追い詰めるときだ。
 菅内閣は6月16日、逃げるようにして通常国会を閉じ、ひきつづき説明責任を果たさず誤った政策をごり押ししている。こうした時こそ、国会を再開して、人々の前で公明正大な論議をおこなうべきである。
 安倍時代から自民党には疑惑は目白押しだ。もっとも反動的な安倍・菅政治のもとで、かつてない腐敗・堕落が拡大してきている。森友・加計学園問題、桜を見る会問題、学術会議委員任命拒否問題、東京高検黒川検事長問題、吉川貴盛元農林水産相収賄事件、秋元司衆議院議員カジノ汚職事件、菅原一秀衆院議員公選法違反事件、河井克行元法相夫婦の公職選挙法違反の買収事件などなど限りない。そのうち議員辞職、実刑判決もでている。連続した不祥事を引き起こす政党はただちに責任をとるべきだし、政権党なら総辞職してしかるべきだ。だが、安倍・菅色に染められた自民党は反省することはない。
 いまこそ、総がかり行動の強化・拡大を基礎に、市民と野党の共闘を一段と強めて、総選挙での立憲野党の大躍進を実現しよう。
 菅内閣を打倒し、自民党政治を終わらせよう。


核兵器禁止条約採択から4年

          
まず核兵器先行不使用の約束を

 核兵器禁止条約が2017年7月7日に国際連合総会で採択されてからまる4年が経過した。締約国は、核兵器や核起爆装置の開発・実験・生産・製造・取得・専有・貯蔵の禁止の義務を負う。条約は「50番目の批准後に90日で発効する」が、その要件を満たして、今年2021年1月22日に発効した。だが、米国など核保有五大国のほか、米国の「核の傘」の下にある日本は参加していない。
 来年2021年1月12日から14日まで、オーストリアのウィーンで、核兵器禁止条約の今後の運用を話し合う第1回の締約国会議が開かれることが決まった。締約国会議には条約に参加していない国もオブザーバーとして参加することができる。日本もぜひ参加すべきである。核兵器禁止条約第1回締約国会議で議長を務めるオーストリア外務省のアレクサンダー・クメント軍縮局長は、同会議で策定する核保有国による核全廃期限について「10年」を軸に議論される見通しを語った。実現可能な期限を提示して、保有国の核兵器増産また核兵器の拡散をやめさせる国際世論の形成が期待されている。

 しかし、核兵器の削減はほとんど進んでいない。6月11日、長崎大核兵器廃絶研究センターの今月1日現在の推計値によると、ロシア・6260発、アメリカ・5550発、中国・350発、フランス・290発、イギリス・225発、パキスタン・165発、インド・160発、イスラエル・90発、北朝鮮・40発などとなっている。米ロ両国の保有は突出している。
 現在の状況はきわめて厳しい。今年の1月27日、米国の原子力科学者会報が定期的に発表している「終末時計(2021年)」が公表された。終末時計は、核戦争などによる人類の終末を午前0時とし,その終末までの残り時間を「あと何秒(分)」という形で示すもので、2021年は、人類の終末まで「残り100秒」となっている。その理由として、米ロはじめとする国々では核兵器をより使える兵器にする動きが見られたことや核兵器保有国は核の近代化プログラムに莫大な金額を費やしていることなどが挙げる。

 6月16日にスイスでバイデン・プーチンによる米ロ脳会談が開かれた。それを機会に世界の核廃絶に向けた各国NGOネットワークは、「プーチン大統領とバイデン大統領への公開書簡」を送った―私たちは、核兵器の使用が人道的に壊滅的な結果をもたらすこと、そして核戦争が人類に与える壊滅的な影響、すなわち私たちの知る文明の終焉の可能性を十分に理解していると思われる世界の指導者であるあなた方に手紙を書きました。私たちは、核保有国が核兵器の先行不使用を約束することを求める国際キャンペーンに参加しています。…このキャンペーンを開始するための2日間の会議を含む、数々の国際イベントを成功させたところです。これらのイベントの結果、先行不使用(NFU)に関する二国間のコミットメントを他の核保有国が採用し、すべての核兵器を廃絶するための第一歩として、今回のサミットを利用して、二国間で先行不使用を約束することを要請することとなりました。…国連は、全会一致で採択された最初の決議で核兵器廃絶の目標を設定し、2013年には9月26日を毎年恒例の「核兵器廃絶のための国際デー」と定めて、このことを再確認しました。今こそ、いかなる状況下でも核兵器を先に使用しないという共同コミットメントを宣言し、地球上から核兵器を完全に廃絶するという国連の目標を達成するための重要な一歩としてください。 私たちは、議員、元政治家・軍人、そしてこの目標を支持する複数の市民運動の代表者として、皆さんの努力を市民的・政治的に支援することを約束します。このような措置は、2010年に「核兵器の使用を防止し得る政策」と「核兵器のない世界を達成し維持するために必要な枠組みを確立すること」を支持することに全会一致で合意した、他の189の核不拡散条約締約国のほとんどが支持するであろうし、2017年に「核兵器禁止条約」を承認した122カ国が強く支持するであろうことを知っておくべきです。…」

 核兵器の禁止は焦眉の課題だ。核兵器禁止条約を日本も早急に批准し、核戦争の勃発を押しとどめる役割を積極的に果たさなければならない。
 しかし、核兵器禁止条約の発効を受けての産経新聞主張「核兵器禁止条約 『署名せず』が日本を守る」(今年2月1日)は「唯一の戦争被爆国として日本が核兵器廃絶や核軍縮を追求するのは当然である。だが、核禁条約では核廃絶や軍縮、平和の実現につながらない。日本が加われば、むしろ北朝鮮や中国、ロシアの核の脅威に一層さらされることになる。…核禁条約に加わることは結果的に、日本国民を核の脅威から守る核抑止力の効果を減じさせることになってしまう」と書いたが、これは日本政府の本音の反映だろう。
 唯一の被爆国を自称しながら、米核戦略の一環を担うことは許されない。

 日本も核兵器禁止条約を早期に批准せよ。


「赤木ファイル」ついに公表  佐川局長の改ざん指示は明らかだ  

          
安倍夫妻、麻生、財務省は責任をとれ

 6月23日に大阪地裁で行われた第4回口頭弁論で、ついに「赤木ファイル」が裁判資料として提出された。学校法人森友学園の大阪府豊中市に設立予定だった「瑞穂の國記念小學院」の国有地売却をめぐる公文書改ざんの経緯を記したこの518ページにもおよぶ文書は、近畿財務局職員として改ざん作業を強いられ、自死にまで追い込まれた赤木俊夫さんが記したもので、改ざんの経緯、また抗議の文面も記されており、故人の無念がつたわってくる。
 2017年2月9日、朝日新聞によって報道されたこの事件では、森友学園の理事長の籠池泰典が安倍支持の右派団体である日本会議大阪の役員であり、当時の首相夫人の昭恵が同校の名誉校長となっていることから、当然にも当時の安倍首相の関連が疑われてきた。安倍は、2月17日の衆議院予算委員会において「私も妻も一切、この認可にもあるいは国有地の払い下げにも関係ないわけでありまして…私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい」と答弁したが、苦しい言い訳であるのは明白であった。首相も議員もやめると大見得を切ったため、政府自民党側は、なにがなんでも安倍夫妻の関与をごまかすために悪あがきをつづけた。そのなかで、なんと官僚による公文書の偽造そして赤木さんの自死という事態が起こってしまったのである。
 赤木さんの妻の雅子さんは国を相手取った訴訟で文書「赤木ファイル」の提出を要求してきたが、政府は裁判所に対しては「ファイルは裁判に関係せず、存否について答える必要がない」といい、国会では「訴訟に影響を及ぼす」としてファイルの存否を明らかにしなかった。財務省は2018年に大まかな経過について調査報告書を公表したがまったく不十分なものだった。
 しかし、この政府の対応に対する批判の声は大きく広がった。大阪地裁からも任意で提出するよう提案されて、逃げ切れなくなった国はついに「赤木ファイル」を開示せざるをえなくなった。だが、改ざん指示のメールを送信した職員名など約400カ所が墨塗りとなったままだ。裁判で遺族側の原本開示の求めを国側は拒否している。
 明らかになった「赤木ファイル」には、改ざん当時に財務省理財局長だった佐川宣寿の直接指示を示す記述がある―2017年3月20日におこなわれた財務省本省からの指示について、「売払決議書(売払調書)は佐川局長から国会答弁を踏まえた修正を行うよう指示(調書の開示により新しい情報を与えることがないよう)があったとのこと」で、佐川は直接かつ具体的に改ざん指示をおこなっていたことがわかる。財務省の近畿財務局に対しての2017年2月26日のメールには「今後開示請求があった際のことを踏まえると、現時点で削除した方が良いと思われる箇所があります」「近畿局の決裁文書につづられている調書等を修正・差し替えするとともに、当該修正後の文書を本省にメール送付いただけますでしょうか」などあり、これも直接的な指示があったことを示している。また、安倍昭恵、安倍晋三、麻生太郎(財務相)名前の削除するための指示資料もあった。こうした明白な証拠が示されたのだから財務省は改ざん指示の職員に対して再調査を行うべきことは誰が見ても必要なことだ。にもかかわらず、麻生財務相は、「再調査は考えていない」などという。ところが麻生本人こそ調査する人ではなくて、「調査される人」なのだ。
 もう佐川宣寿局長個人が文書書き換えを命じたという虚偽のストーリーはまったく成り立たない。改ざん文書で名前を削除された者たちこそが真犯人である。
 「赤木ファイル」は明らかになった。再調査の拒否は許されない。第三者による再調査が早急になされなければならない。改ざんの経緯を明らかにし、安倍・麻生らの犯罪を暴露し厳正に処罰しなければならない。加計学園問題、桜を見る会など政府自民党の悪事を明らかにし、自民党の悪政を終わらせる時だ。


6月25日・東京総行動

          すべての争議を解決させよう


 6月25日、全一日の東京総行動が闘われた。
 8時45分から総務省前でのスタート集会からはじめて、厚?労働省(薬害救済―カルテがないC型肝炎訴訟原告団、C型肝炎患者をサポートする会)、上智?学(不当解雇―上智大学のクッキ・チュー先生を支える会)、シグマテック(偽装請負解雇―なかまユニオン)、東京都庁(学園再建―全国一般千代田学園労組、解雇―文京七中分会)、JAL(解雇―JAL不当解雇撤回争議団)、サンケン電気(企業閉鎖全員解雇―韓国サンケン労組を支援する会)、東京福祉大学(スラップ訴訟・和解不履行―交通ユニオン)、ニチアス(アスベスト被害・団交拒否―全造船ニチアス退職者分会・アスベスト産業分会)、日本製鉄(戦後補償―日本製鉄元徴用工裁判を支援する会)、トヨタ東京本社(解雇・団交拒否―全造船関東地協・フィリピントヨタ労組、フィリピントヨタ労組を支援する会)などへ要請・抗議行動を展開した。


共謀罪法廃止を実現しよう

          
共謀罪と治安維持法・破防法・暴対法・組織犯罪処罰法

 6月15日、全労連会館で「共謀罪法の廃止を求める市民の集い」(共催・共謀罪NO!実行委員会、「秘密保護法」廃止へ!実行委員会)がひらかれた。
 共謀罪法は、多くの反対の声を踏みにじって2017年6月15日、当時の安倍政権が強引に参議院本会議での採決を強行して成立させられた。この日、共謀罪制定から4年、稀代の悪法の廃止を求めて集会は開かれた。

 はじめに、三澤麻衣子弁護士共謀罪対策弁護団事務局長からのメッセージが代読された―安倍政権から菅政権に変わっても、共謀罪法を成立させることにより狙った国民の自由な声を萎縮させ、独裁政治を作り上げる策略を諦めていない。共謀罪の適用も虎視眈々と狙っていると伺われる状況もあり、共謀罪成立前から存在していた軽犯罪法の暴行等共謀罪という犯罪類型があり、警察庁統計によれば、同罪の制定以来、20件は適用されている。
 また、共謀罪での立件でこそないものの、共謀罪の先取りとも言える事件が起きている。全日建運輸連帯労働組合関西地区生コン支部に対する刑事事件では、共謀罪適用が困難ななかで、日本で団体行動への抑圧に力を発揮してきた威力業務妨害罪等の共謀共同正犯が適用され、その共謀の立証のために不当な捜査や身柄拘束がなされている。これは適用自体は共謀罪ではないものの、犯罪とされる対象が「共謀」という行為である点で共謀罪の捜査と同じ性質・危険をはらんでいる。
 菅政権は、プライバシー保護をないがしろにする法案の提出を立て続けに行使し、デジタル監視法の成立をさせた。さらには、重要土地調査規制法案も、内容定義の明確性もないまま、法律制定後に、内閣総理大臣を中心とする内閣が決めることになっている。基地や原発の周辺土地の住民やそこで反対運動を行っている人々を監視する目的であることが明らかだ。
 秘密保護法からはじまり、戦争法、刑事訴訟法改悪、共謀罪、デジタル監視法の流れを止めなければならない。そして、共謀罪を含むこれら悪法の廃止を求めていかなければならない。政府による監視社会が浸透することのないよう、私たちの方こそ、政府を監視しなければならない。力を合わせ、日本の監視社会化を阻止していこう。

 つづいて、宮崎敏郎さん(NO!デジタル庁)が「超監視社会をもたらすデジタル監視法」について報告―デジタル化は、すべてをデジタル申請に変えることですべてを記録可能としていくが、その狙いは利便性ではなく、超監視社会の構築だ。
 この9月発足のデジタル庁は、各省庁のシステム予算はほとんど吸い上げ、人も金も集中させる体制となるが、職員500人のうち民間出向者は100人程度となる。狙いは、国による個人情報の同意なき利用体制の確立と同時に民間への利用拡大だ。こうして自治体の国の出先機関化をはかることだ。すでに時間をかけて地方自治の崩壊は進んできたのであるが、デジタル法によって、これまで、それぞれの自治体の実態に合ったシステムが構築されてきたが、そのシステムを放棄して Gov-Cloudの共通システムを利用することになる。
 マイナンバー制度についてもおおきく再構築される。それは、地方公共団体情報システム機構(J―LIS)の国機関化である。ついでマイナンバーの金融機関口座との紐付けされる。利用者に対する義務化は回避されたが、金融機関側には義務化となり、最終的には資産管理へ道を開くことになる。
 だが、現実にはデジタル化は、既存システムの多くがまともに機能していない。たとえば、政治資金収支報告システムの2019年の国会議員利用率は、わずか1・13%にすぎない。コロナウイルス感染接触アプリCOCOAは、業者任せ、多重下請けにより4か月も機能不全が放置され、厚労省の新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システムHER―SYSは、入力項目数が多すぎて医療機関・保健所で報告できずにいる。ワクチン接種記録システムVRSも不具合が多発している。
 法律ができてしまってもその実体化にはかなり長い時間が必要であり、私たちはその実体化を阻止していく長い困難な取り組みが必要だ。その際に、一つ一つのデジタル化に、アナログ方式の選択権を認めさせることが取り組みのポイントとなってくるだろう。たとえマイナンバーカードを保険証として利用できるようになったとしても、これまでの保険証利用を問題なく保障させることが大切だ。そのことによって、デジタル化やマイナンバー制度の強制を許さず、「アナログ選択権」を権利として定着させる闘いが必要だ。

 角田富夫さん(共謀罪NO!実行委員会)は、「戦後の団体規制法と共謀罪―治安維持法、破防法、暴対法、組織犯罪処罰法」と題して報告した。共謀罪は実際に実行行為を行わなくとも法律に違反する行為を話し合い、合意すれば処罰できるという違憲、違法の悪法で、その狙いが団体を言論・表現行為の段階から規制しようとすることにあることはいうまでもない。277の犯罪を対象としたことは、広くどこかで団体の構成メンバーとらえ、団体を規制しようとするものであることを示している。当初、政府は共謀罪の対象犯罪を600余にしようとしていたことを考えればいかに広く市民の動きを広くとらえようとしていたかは明白だ。共謀罪が凶悪な法律であることは疑いないが、同時に同法が団体のメンバーに適用されても、破防法(破壊活動防止法)のようにその団体の活動が制限されるとか、団体が解散されるなどのことはない。組織的犯罪処罰法(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律)は、団体を人と金の面からとらえ、そこを徹底的にたたき、団体に打撃を与え、弱体化させることを目的とした団体規制法の新たなタイプのものだ。この組織的犯罪処罰法に共謀罪が加えられた。このことにより、組織的犯処罰法は、団体を言論、金、人の面から規制しようとする更に凶悪な法律となった。共謀罪が包摂された組織的犯罪処罰法を共謀罪・組織的犯罪処罰法と呼ぶことにした。
 戦前戦中、民衆弾圧に猛威をふるった1925年制定の治安維持法はその目的を「国体を変革し又は私有財産制度を否認することを目的として結社を組織し又は情を知りて之に加入したる者は十年以下の懲役または禁錮に処す」とし、1928年「治安維持法中改正緊急勅令」では、結社を組織したもの、その役員などに死刑が導入されるなど厳罰化され、また悪名高き「目的遂行罪」が設けられた。1941年には、次々に対象の範囲を拡大し、「国体を否定し又は神宮もしくは皇室の尊厳を冒涜することもを流布することを目的として結社を組織したる者」という新たな規定も加えられた。さらに予防拘禁の制度などが設けられた。
 戦後の団体規制法は三つのタイプに分けられる。第一のタイプが、1952年制定の破壊活動防止法、第二のタイプが、1991年制定の暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、第三のタイプが、1999年制定の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律だ。
 まず破防法だが、その第一条には「この法律は、団体の活動として暴力主義的破壊活動をおこなった団体に対する必要な規制措置を定めるとともに、暴力主義的破壊活動に関する刑罰規定を補正し、もって、公共の安全を確保に寄与することを目的とする」とある。破防法は、第一に公共の安全を確保するため団体の規制、第二に「刑罰規定の補正」を目的とした。しかし、破防法は、治安維持法の再来として大々的な反対運動に直面し、改正を余儀なくされ、公安庁、捜査機関にとって適用要件の厳しい、使い勝手の悪い法律となった。破防法の特徴は、この「暴力主義的破壊活動」というこのそら恐ろしい概念にあり、特定のイデオロギーをもつ同質的な団体を前提とし、それらの団体の規制を目的としているといえる。ある団体が破防法の対象団体にあたるかどうか調査するのが公安調査庁だ。しかも破防法の対象団体が主義をもつ団体に制限されていたかというと全くそうではない。公安調査庁の団体解釈はすごく広く、社団法人、合名会社、消費生活協同組合、農業協同組合、株式会社、労働組合、政党、政治結社などもすべてあたるとしている。破防法は「刑罰規定の補正」として個人の処罰の規定 (第38条、39条、40条、41条)を設けていて、この個人条項では、実行行為以前の「予備、陰謀,教唆、せん動」を処罰できるとしていて、破防法の個人条項はいくつかの団体の構成員に適用された。
 第二のタイプである暴力団対策法は、1991年に制定されたが、その後、2012年には「特定抗争暴力団」、「特定危険指定暴力団」等の規定が盛り込まれた。政府・検察・法務・警察庁がめざした暴力団規制法の狙いは、破防法のような適用しにくい法ではなく、手続が容易で、しかも運用の簡単な法律だった。制定過程で「暴力団を解散出来ないか」という議論もあったようだが、それは憲法の保障する結社の自由との関係で出来ないということになった。暴力団の指定暴力団への指定は、国家公安委員会の了解のもと、都道府県公安委員会によっておこなわれる。暴力団対策法の目的は、暴力団の活動の様々な側面をとらえ、それらを違法行為とすることで暴力団をがんじがらめにして、身動きできないようにし、組員を暴力団から離反させ、暴力団を間接的に解散に追い込むというところにある。私は、「暴力団」の行為は認めることができないが、暴力団対策法は違憲の法律であると考えている。
 第三のタイプの組織的犯罪処罰法は、団体を人と金の面からとらえ、そこたたくことで団体を規制しようとする新たなタイプの団体規制法といえる。同法の団体定義は、「共同の目的を有する多人数の継続的結合体であって、その目的または意思を実現する行為の全部又は一部が組織(指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体)により反覆して行われるもの」(第2条1項)とし、「次の各号に掲げる罪に当たる行為が、団体の活動(団体の意思に基づく行為であって、その効果又は利益が当該団体に属するものをいう)」(第3条1項)とし、組織により行われた場合、その罪を犯した者の刑を通常より重く処罰するとしている。その罪名として殺人、逮捕・監禁、強要、威力業務妨害 詐欺、建造物侵害など14の罪が挙げられ、通常より重い刑が科せられている。もう一方で、資金対策として「犯罪収益等」の規定を設け、犯罪収益等蔵匿罪、犯罪収益等収受罪、犯罪収益の没収、追徴などの規定を設けているが、これは組織的犯罪としておこなわれる必要がなく、個人が対象となっている。   そして2017年に共謀罪法が制定され、組織的犯罪対策法第6条「組織的殺人等の予備」の次の第6条2に共謀罪がくわえられたが、このことが、組織的犯罪処罰法にもたらす影響ははかりしれないものがある。
第一に、共謀罪・組織的犯罪処罰法が、既に述べた破防法、暴力団対策法と大きく違う点は、破防法であれば、公安審査委員会が、暴力団対策法であれば、公安委員会が対象の団体を審査して対象団体についてどうするか決める手続きの規定を設けているが、同法にはそれがない。捜査機関の判断である団体が組織的に犯罪を行なう団体であるか認定できるということだ。当然、当該の団体の意見表明の機会もない。
 第二に、組織的犯罪処罰法の組織的既遂罪は14、組織的未遂罪は5、組織的予備罪は2の罪名のところに、277の共謀罪が包摂された。日本の刑法は、犯罪の実現である既遂犯の処罰を原則とし、例外的に犯罪に着手しながら実現できなかった未遂犯を処罰している。だが、共謀罪は、団体の構成メンバーに組織的に適用されたとしても、破防法のようにその団体の活動が制限されるとか解散されるとかはないし、また暴力団対策法のように「指定暴力団」されることで、その組員が「違法行為」の網でがんじがらめにされ、身動きできなくなるということはない。共謀罪を過大評価する必要はない。共謀罪法は威嚇的要素の強い法律だから、適用されたとしても、本格的に反対運動を展開すれば、同法の違憲性が暴露されることは疑いない。萎縮することなく、いままでと同様に自由な議論、発信をし続けていく必要があり、それが共謀罪と対決し、打ち破る前提だ。


選択的夫婦別姓制度の早期導入を!

         
 自民党右派は悪あがきをやめろ 国会で真摯な審議を行え

最高裁は判決は時代遅れ

 6月23日、最高裁大法廷は、別々の姓で婚姻届を役所に出して不受理とされた事実婚の三組のカップルが、「夫婦同姓を求める規定は憲法14条(法の下の平等)と24条(婚姻の自由)に反すると訴えた家事審判」の決定で、夫婦同姓を強制する民法750条及び戸籍法74条1号について憲法24条に違反するものではないと判断した(民法第750条「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」、戸籍法74条「婚姻をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。一 夫婦が称する氏 二 その他法務省令で定める事項」)。

 大法廷は、2015年に夫婦同姓を定めた民法などの規定は憲法24条の「婚姻の自由」に違反しないとして「合憲」としたのを今回も踏襲している。
 裁判官15人のうち11人は合憲としたが、4人は違憲とした。
 また、前回決定と同様に今回も「この種の制度のあり方は国会で判断されるべきだ」とも指摘した。
 憲法14条に反する「信条による差別」については、実質判断はしなかった。

自民党は反対・無視の継続

 自民党は、2010年の参議院選挙の公約で、当時の民主党が導入を検討していた選択的夫婦別姓制度に反対し、その後の衆参両院の選挙でも、旧姓の使用範囲の拡大を訴え続けてきた。
 右派勢力は執拗に反対の動きを繰り返してきた。安倍首相時代には論議はまったく進展させられなかった。

右派勢力の新たな対応

 日本でも世界的な流れに沿うかたちで法相の諮問機関「法制審議会」は選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正案を答申している。
 現在は、これまでのように選択的夫婦別姓制が「家族の一体感が失われる」「夫婦別姓は子がかわいそう」などの旧態依然のカビの生えたような右派言論がそのまま通る時代ではなくなってきている。
 自民党でも選択的夫婦別姓の導入の是非を検討するプロジェクトチーム(PT)を設置することにしている。
 しかし、昨年末に決定した政府の第5次男女共同参画基本計画では、制度導入に前向きととれる記述が「さらなる検討を進める」との表現に後退させられるなど党内右派の反対の力は強い。
 にもかかわらず、自民党のなかにも選択的夫婦別姓制の導入に積極的議員も出るなど新たな動きがある。
 3月25日、自民党の「選択的夫婦別氏(姓)制度を早期に実現する議員連盟」(会長・浜田靖一元防衛相)が結成された。その設立趣意書は「夫婦同氏を強制する現行制度は見直しが不可欠」「婚姻に当たり、氏を引き続き使用できる道を開く法整備」としている。
 一方、右派は、4月1日に、「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(代表を務める中曽根弘文元外相)を結成して対抗しようとしている。「国会議員ご本人88名、代理出席56名、合計144名のご出席」とされているが、なぜか名簿は公表されていない。中心メンバーのひとり高市早苗衆議院議員は、自己のコラムで述べる―「昨今、議論になっている『選択的夫婦別氏制度』の導入に対する賛否には関係なく、現行法制下でも可能である『婚姻前の氏(旧氏)の通称使用』の使い勝手を良くすることを急がなければならないと考えて設立した議員連盟です。仮に今後『民法』が改正されて『選択的夫婦別氏制度』(戸籍上の夫婦別氏・子の氏は父か母の氏)が導入された場合であっても、『戸籍上の夫婦親子同氏(ファミリー・ネーム)は維持したい』と考えて、『戸籍氏』まで変更することなく、職場や社会生活で『旧氏の通称使用』をするという方々は、一定程度おられるはずだと考えるからです」「その為には、私が起草した『婚姻前の氏の通称使用に関する法律案』の成立が必要です」としている。

民法750条の改正を


 6月25日、日弁連は「最高裁判所大法廷決定を受けて、改めて民法750条を改正し、選択的夫婦別姓制度を導入することを求める会長声明」を出し、「法務大臣の諮問機関である法制審議会が1996年に選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正要綱試案を答申してから既に四半世紀が経過し、様々な議論が尽くされたにもかかわらず、国会がこれらを放置してきたものであって、これ以上の議論の先延ばしは許されない」として「当連合会は、国に対し、改めて民法750条を速やかに改正し、選択的夫婦別姓制度を導入することを強く求める」とした。
 すでに世論の7割以上が選択的夫婦別姓制度の導入に賛成している。国連女性差別撤廃委員会からの再三の是正勧告を受けるなど国際的にも日本政府の対応への批判が強まっている。1985年に日本は女子差別撤廃条約を締結した。締約国は、差別撤廃のための措置をとることが求められている。2016年には、差別撤廃委員会による日本の審査がおこわれ、選択的夫婦別姓の法改正などを勧告され、2年以内に勧告実施す措置を提出することになっている。だが、こうした文書が内閣府の有識者会議にも報告されないまま、第5次男?共同参画基本計画が策定されるなどの経緯がある。日本政府のまったくの後ろ向き姿勢は明白だ。 
 選択的夫婦別姓制度を早期に導入せよ。


脱原発・再稼働阻止

          
金曜官邸前行動が再開

 東電福島第一原発事故の被害はいまなお続いている。にもかかわらず新たな再稼働を強行しようとしている。たまりにたまった汚染水を海洋投棄しようとしている。安倍前首相の「アンダーコントロール」発言とは真逆の事態が進行しているのである。再稼働阻止・脱原発の声はいちだんと強められなくてはならない。

 脱原発・再稼働阻止の金曜日首相官邸前集会が再開された。2011年3月の福島第一原発事故以来、毎週金曜日に行われてきた官邸前抗議集会(主催・首都圏反原発連合)は3月末に終了したが、市民有志「原発いらない金曜行動」によって再開された(今後は毎月第3金曜日に開く予定)。
 6月18日の集会には450人が参加し、呼びかけ人を代表してルポライター鎌田慧さんが開会のあいさつで、菅政権はコロナでも原発でも安心安全を言っているがまったくそうではない、運動を強めていくことこそが大事だ、と述べた。たんぽぽ舎共同代表の柳田真さんは「原発いらない金曜行動」結成に経過と趣旨について説明し、つづいて、作家の落合恵子さん、講談師の神田香織さん、落語家の古今亭菊千代さんなどが発言した。

 「原発いらない金曜行動」実行委員会の趣旨――3・11東電福島第一原発事故後11年目に入り、反原発の闘いも新たな局面を迎えて来ています。東電福島第一原発事故は全く終わっていません。「廃炉」の姿が見えず、30年〜40年とされていたロードマップを誰も信じず、「廃炉」まで300年近くかかるかも知れないと予想されています。汚染水対策も破綻していて、菅政権が「海洋放出」を関係閣僚会議で決定しましたが、全漁連のみならず福島県内・国内・海外からの反対の声が燃え上がっています。また、未だに数万人の被害者は帰還できず、賠償も不十分で、被災者はADR仲裁和解案を拒絶している東電に対して30もの賠償請求裁判を起こしています。一方で、事故原因の検証もしないまま、「緩やかに過ぎ合理性を欠く」新規制基準による審査で原発の再稼働が進み、六ヶ所再処理施設まで審査「合格」し、地層処分の候補地が名乗り出るなど、現菅政権はあたかも3・11以前の原発推進社会に戻そうとしているかの様です。大阪地裁・水戸地裁などの裁判所で稼働差止の判決が出されたのも当然です。そればかりか、菅政権は、原発稼動を優先させて再生エネルギーを押さえつけ、40年超えの老朽原発の再稼働を目論み、小型原発の研究開発まで持ち出して、原発を推進しています。現在策定中の第6次「エネルギー基本計画」では、地球温暖化対策を口実に原発を残すばかりか、第5次「エネルギー基本計画」にあった文言「原発への依存度を可能な限り低くする」をカットするべきとのひどい意見が出たり、リプレース・新増設が提案されています。3・11後早々に脱原発を決意したドイツは、本年3月11日に「脱原子力完了のための12項目−ドイツ連邦環境省の基本姿勢」を発表しました(http://sayonara-nukes.org)。広島・長崎・福島を経験した日本でも原発ゼロを実現するべく、月に一度(第3金曜日)の行動の「場」を生かして闘い続けましょう。


関生支部への不当弾圧に抗議

          
大阪高裁にたいし公正判決を求める署名

 関西地区生コン支部によるストやビラまきなど労働組合としての正当な活動を威力業務妨害、強要未遂、恐喝未遂などとしての不当かつ大規模な刑事弾圧事件では、のべ81人の組合員が逮捕のうえ長期勾留、うちのべ66人が起訴されている。関西生コン事件では、大阪、大津、京都、和歌山の地方裁判所で審理が行われている。昨年10月8日、大阪ストライキ第2次事件では、大阪地裁が関生支部の執行委員ほか1名に対し、懲役2・5年、執行猶予5年という有罪判決を出した。12月17日には、加茂生コン第1事件の判決で、京都地裁が、執行委員に対し懲役1年、組合員に対し懲役8月、それぞれ執行猶予3年という有罪判決を下した。今年3月15日、大阪ストライキ第1次事件で、大阪地裁は副委員長、執行委員、争議対策部員が懲役1年6か月から2年、執行猶予3から4年の判決があった。

 関西生コン支部は、大阪1次、大阪2次、加茂第1次の3件を大阪高裁に控訴した。

 控訴審闘争勝利にむけて「関西生コン事件」で新たな署名活動がはじまった。
「関西地区生コン支部への不当弾圧に対する闘いを支援する会」は、大阪高裁にたいし労働基本権保障を踏まえた公正判決を求める団体署名、個人署名を呼びかけている。
 署名は、「大阪スト1次および2次事件の一審判決は、組合員不在の企業は使用者ではないとの形式論理によって、組合活動を正当性判断の俎上にすらのせないという粗暴な論理にもとづくものです。このような産業別労働組合に対する無知・無理解による誤った判断は、産業別労働組合の実質的な否定、さらには産業別労働組合の団体行動権保障に対する否定という点で、憲法28条違反といわざるをえません。また、加茂生コン第1事件の一審判決は、使用者の強固な不当労働行為に対する組合の抗議行動を、労使関係における組合の行為ととらえず、一般の市民社会における市民同士の出来事 のようにとらえて強要未遂と判断したものです。使用者側の反組合的行為を免罪する誤りを犯したものというほかありません。一審判決は、関生支部のみならず、すべての労働者・労働組合の労働基本権に対する重大な 挑戦といわざるをえません。御庁におかれては、労働基本権保障の法理にもとづき、このような一審判決の誤りを糺し、公正な判断を示すよう要請します」としている。


せんりゅう

   スポーツの祭典?国威の祭典

      入管も国策五輪も非人権

   前例のない病み付きのオリンピック

      う〜んと遠くの下町暮らし 

   やっと出た赤木ファイルの墨塗られ

      マスクして髭茫茫でスーパーへ

   ワクチンとかけて答弁ととく 抗原・巧言

               
                 ゝ 史
2021年7月


複眼単眼

         
 東京都議選が終わって

 未曽有のコロナ禍の下で、菅義偉自公政権による党利党略のための「東京オリ・パラ」強行開催の準備が進められる中で、東京都議選(定数127、42選挙区)は7月4日、投開票された。
前回の都議選は、小池百合子都知事とその与党の地域政党「都民ファーストの会」が46議席を得て第1党になり、自民党が22議席と惨敗した。
 雪辱を期した自民党は50議席以上をねらって、公明党と連携し、都議会の過半数の獲得をめざしたが33議席にとどまり、23議席を維持し、全員当選した公明党と組んでも過半数に届かなかった。
 コロナ対策と五輪という2大争点のうち、「五輪」について、知事の与党であるにもかかわらず「最低でも無観客」を主張した都民ファは47議席から、31議席に減らしたが、事前には激減を予想されていたにもかかわらず、第2党の位置に踏みとどまった。「最低でも無観客」は多くの有権者にとって違和感のないものだったに違いない。
五輪の「中止」を訴えた共産党は1増の19議席、「中止か延期」を主張した立民は8増の15議席で、ネットの1議席と小金井市の無所属を合わせると、立憲野党勢力は36議席となり、自民、都民ファと肩を並べる勢力になった。
また立憲野党と都民ファを合わせて、五輪開催消極派は、67議席で過半数に達した。五輪の開催地・首都東京での民意は「五輪開催に消極的」であることが明白に示された。
 菅政権は世論の大多数が開催に疑問を表明し、政府の分科会までもが開催に反対した東京五輪を、IOCの幹部と手を組んで開催に突入する。
 コロナ禍は3回目の緊急事態宣言でもおさまりが付かず、菅政権は首都圏にまん延防止等重点措置を発令したが、もはやその延長は不可避になっている。これと東京五輪の開催期間が重複するのはほぼ間違いなく、事態は深刻だ。
 前回の選挙は公明は都民ファと手を組んだが、今回は自民党が公明党と手を組んだ。このこともあって、都民ファの顧問の小池知事は、疲労入院を理由に都民ファの応援にギリギリの最終日まではいらず、最後に支持を表明するなど、複雑な行動をとった。策士の小池知事が何を考えているか、政界スズメのさえずりは絶え間ない。
 今回の都議選の特徴の一つは立民と共産の選挙協力だった。両党は1〜2〜3人区で両党の候補が争い、共倒れすることがないよう、候補者のすみ分けを進め、これが一定、効を奏した。
その結果、立民は8選挙区で、共産は11選挙区で単独の候補をたてて闘った。
立憲民主党は1人区では武蔵野市、2人区では渋谷、立川、3人区では三鷹、小平、中野の選挙区で当選した。選挙戦の最中には共産の幹部が応援に入ったところもある。
 共産は2人区の文京、3人区の豊島、北で当選した。
このほかに1人区小金井市で無所属の新人が立民・共産・社民・新社・生活者ネットの推薦で当選した。
 その他の国政政党では、国民、れいわは議席を得られず、社民は候補をたてられなかった。
 問題は投票率が42.41%で過去2番目の低投票率だったことだ。五輪をまじかに控えた、コロナ禍のなかでの選挙とはいえ、有権者の関心を呼び起こすことができなかったことは間違いない。この問題をどう解決するか。今後の政治の重要な宿題だ。
菅自公政権の交代は世論の要求だ。総選挙では立憲野党が協力して、どのような共通政策で自公政権と闘うか。
先の4月25日の国政3補選・再選挙や今回の都議選を見ても、1本化の効果ははっきりしたのだから、選挙協力と1人区での候補者の1本化をすすめる体制をどれだけ進めることができるか。(T)