人民新報 ・ 第1408号統合501号(2022年4月15日)
  
                  目次

● 戦争の長期化とエスカレーション阻止

         ウクライナ問題・早期の平和的解決を

● 警察庁「サイバー警察局」発足

         警察国家・監視社会実現を許してはならない

         【声明】警察庁に「サイバー警察局」などを新設する警察法改正に対する声明(日本出版者協議会)

● 郵政ユニオン・22春闘

         全国9拠点・16職場59人の参加で一斉ストライキを決行!

● 反貧困ネット2022全国集会

● 情報公開法と公文書管理法の改正から特定秘密保護法廃止へ

        監視社会反対!6の日国会前行動・院内集会

● 日比谷集会に1800人

         ロシアは侵略をやめろ!ウクライナから撤退を!

● 安倍らによる惨事便乗「核共有」を糾弾する  核兵器禁止条約の早期締結を!

         長崎被爆者5団体声明「核兵器禁止条約の批准、核兵器廃絶を実現しよう」

● 原発事故放射能汚染水の海洋放出を許すな!

         東電・政府交渉 院内集会

● レーニンの民族自決権理論を否認するプーチン

● せんりゅう

● 複眼単眼  /  憲法審査会の異変





戦争の長期化とエスカレーション阻止

         ウクライナ問題・早期の平和的解決を


 ロシアのウクライナ侵攻から一か月余りがたった。だが、停戦の兆しさえもまだ見えない。逆に、ウクライナ東部南部での戦闘はし烈さをくわえ、両軍兵士はもとより民間人の犠牲が拡大している。
 ロシアだけでなく、NATO側も戦争を拡大している。米欧では、対ロ経済制裁の強化のみならずウクライナへの軍事援助を増大させ、またプーチン政権打倒まで戦争を終結させないなどの強硬意見も影響力を広げている。だが、ロシアにエネルギーを依存する欧州各国も日本の政府もロシア制裁を強めながらも、なおロシアからの天然ガスなどの輸入を停止できないでいる。そうした状況で、バイデンは、この戦争を長期化・激化させるなかで、NATO加盟国を増やし、欧州諸国の軍事費増大、エネルギー輸出の拡大など世界覇権維持・強化という帝国主義的野望を実現しようとしている。
 ロシア軍は反撃の体制を作りつつあり、戦争は拡大傾向にあり、ウクライナ領域外へ、また通常兵器以上のNBC兵器使用、第三次世界大戦へのエスカレートの可能性もなくなってはいない。今後、世界的規模でのかつてない物価高・インフレーションが多くの人々の生活を直撃してくるようになるのは必至であり、日本も例外ではない。いま、早期の停戦がなにより必要である。いまこそ、世界の人びと国ぐには平和のために努力していかなければならない。武力による争いでは何も解決しない。各国の主権と領土保全を尊重・保障など国連憲章原則を堅持し、対話・協議を通して、平和的な方法による紛争の解決を堅持しなければならない。平和解決の様々な交渉・仲裁などの動きを求め、世界で反戦平和の声を一層大きくあげていくことが必要である。

 岸田政権は平和のためになすべきこととは真逆の政治を行っている。岸田は、今年中に、国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画を改定する。岸田は今年1月の通常国会での所信表明演説で、「ミサイルの問題や、一方的な現状変更の試みの深刻化、軍事バランスの急速な変化、宇宙、サイバーといった新しい領域や経済安全保障上の課題。これらの現実から目を背けることなく、政府一丸となって、我が国の領土、領海、領空、そして、国民の生命と財産を守り抜いていきます。このため、概ね一年をかけて、新たな国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画を策定します。これらのプロセスを通じ、いわゆる『敵基地攻撃能力』を含め、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討します。先月成立した補正予算と来年度予算を含め、スピード感を持って防衛力を抜本的に強化します」と述べ、防衛費の増大、陸海空のみならず宇宙、サイバーの領域までもの軍事化、また経済安保などを強力に進めると宣言した。国内治安体制の強化については、特定秘密保護法、共謀罪による警察監視国家体制を強めている。4月1日には、警察庁にサイバー警察局を設け、政府機関や企業を狙った重大なサイバー攻撃などを捜査するという「サイバー特別捜査隊」を発足させた。国の機関である警察庁が直接捜査にあたることは初めてのことであり、国家警察の権限拡大である。
 また岸田は、憲法改正についても本格的な取り組みを始めた。この通常国会では、衆議院の憲法審査会が毎週開催されている。参議院の憲法審査会も開催された。自民党は草の根からの改憲の運動強化をすすめている。これらすべては本格的な戦争する国家体制づくりをめざす動きだ。

 だが岸田政権の前には難問山積だ。依然として終息に向かう兆しも見せいていない新型コロナ禍蔓延の周期的な到来、そしてなにより物価高・インフレーションによる人びとの生活の深刻化が迫っている。ウクライナ戦争と西側の経済制裁も加わって、世界的な物価上昇、インフレの打撃が襲いかかってきた。
 大企業の内部留保はかつてないほど巨大なものとなっているが、これまで以上の社会的格差の拡大・貧困化の可能性は極めて高い。日本の賃金がまったく上がっていないことが大きい。諸外国との賃金格差が顕著となり、韓国にも抜かれた。賃金が上昇している諸国では労働組合の活動が活発だ。日本ではそうなっていない。連合の政府自民党へのすり寄り路線の影響は大きい。賃上げは、結局は労資の力関係で決まる。労働者・労働組合がストライキなどの実力行使を背景に資本家に追い詰めない限り賃金は上がらない。
 今年7月には大事な参院選がある。野党と市民の共闘を一層強め、改憲勢力の3分の2獲得を阻止し、改憲策動を封じ込めよう。
 ウクライナ反戦闘争は、日本政府の軍事緊張激化政策・改憲・戦争する国づくりとの闘いでもある。総がかりの闘いを広範な労働者・市民の連帯で作り出していこう。


警察庁「サイバー警察局」発足

         警察国家・監視社会実現を許してはならない


 「警察法の一部を改正する法律案」が、1月28日の国会提出、超短時間の審議強行で3月31日可決成立し、4月1日から施行され、警察庁「サイバー警察局」、関東管区警察局「サイバー特別捜査隊」が発足した。
 「サイバーセキュリティに対する脅威の深刻化」を口実にしているが、現在、連続して刑法犯認知件数は減少している。2021年は56万8000件のうちサイバー犯罪の検挙件数は1万2275件だ。サイバー犯罪は増加しているが、その検挙率は急激に上がっている。いまサイバー犯罪のみをことさら取り上げ、捜査体制の拡大・強化を図る必要はないとの声が多い。
 すでに、北海道、宮城、警視庁、茨城、埼玉、神奈川、千葉、愛知、京都、大阪、兵庫、広島、香川、福岡にはサイバー攻撃特別捜査隊が設置されている。 今回のサイバー警察局は国の機関である警察庁が直接捜査を行うという警察制度の大きな転換点となり、国家警察復活の道だ。戦前天皇制下での国家警察は横暴を極めた。戦後の犯罪捜査は都道府県警が担ってきていた。
 サイバー特別捜査隊とサイバー攻撃特別捜査隊との任務分担は不明瞭である。サイバー警察局の所掌事務を「サイバー事案に関する警察に関すること」とし、その活動を関東管区警察局に分掌させる。しかも関東管区警察局の管轄区域を全国一元管理させる。そして、犯罪捜査を認めている。
 これは、言論・表現を専門に取り締る警察組織の新設であり、自民党政府が推し進める戦争する国づくりに結び付くといえることだ。
 
 このような危険な動向には秘密保護法や共謀罪の廃止を求める運動だけでなくいろいろなところで反対の声が起こっている。
 3月30日には、刑法や憲法学の学者と弁護士の有志113人は、サイバー警察局・サイバー特別捜査隊の創設に反対する共同声明を発表した。
 また、4月1日には、日本出版者協議は、「警察庁に『サイバー警察局』などを新設する警察法改正に対する声明(別掲)を発表した。
 警察国家・監視社会を絶対に許してはならない。

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【声明】警察庁に「サイバー警察局」などを新設する警察法改正に対する声明

(前略)

 国の機関である警察庁は、これまで自らが犯罪捜査を行うことを認められていなかった。これは、戦後改革によって、幾多の人権侵害を起こす原因になった戦前の中央集権的な国家警察が否定され、自治体警察に警察活動を委ねたためである。
 改正の理由は、重大サイバー犯罪への対処とサイバーセキュリティに対する脅威の深刻化とするが、警察庁に新たに「サイバー警察局」と「サイバー特別捜査隊」をもうけ、戦後の警察組織の原則を否定してまで警察庁に捜査権限を与える必要があるのだろうか。国会の短時間での審議では、その点が十分説明されたとは到底言えない。
 「サイバー警察局」が捜査対象とするサイバー領域は、私たちが日常生活で利用している電子メール、SNSなどによるコミュニケーションの領域そのものである。言論、表現の自由および通信の秘密が保障されたコミュニケーションは民主主義の基盤をなすものである。
 警察はこれまでにわかっているだけでもすでに、被疑者写真約1170万件、指紋1135万件、DNA型141万件など膨大な個人情報を収集している(2021年5月11日参議院内閣委員会)。日本には、そうした警察による個人情報の収集・保管・抹消に関する法律がないため、その実態はほとんど明らかではない。
 改正法案ではサイバー攻撃やサイバー犯罪に関する定義があいまいであることから、「サイバー警察局」は、高度な技術力を駆使して、サイバー領域においても市民の個人情報を収集し、市民の活動そのものを日常的に監視するおそれがある。電気通信事業法でも明記されている「通信の秘密」を無効にするそうした監視は、市民の自由なコミュニケーションを萎縮させ、言論・表現・結社の自由を保障する憲法21条と相容れないものである。
 日本出版者協議会は、言論、出版及び表現の自由の擁護を目的とする団体として、警察法の改正に強い懸念を表明する。
 「サイバー警察局」が法制化され、4月1日には早くも創設された今、サイバー領域での市民の個人情報保護を強化する必要性は、より一層高まった。現在、顔写真、指紋、DNA型データなど捜査上の個人情報の収集・保管・抹消について定めるのは国家公安委員会規則である。そうした規則では、警察による市民の個人情報収集・管理に対する監視や市民からの抹消要求の実効性は担保できない。それに応えるためには、捜査情報の収集・管理・抹消に関する法律と、徹底した個人情報保護の法律を作る必要がある。早急な法律の整備を強く要求する。

2022年4月1日

         一般社団法人 日本出版者協議会 会長 水野 久


郵政ユニオン・22春闘

         
 全国9拠点・16職場59人の参加で一斉ストライキを決行!

 郵政ユニオンは郵政で働くすべて社員の大幅賃上げと非正規社員の均等待遇要求を柱とする22春闘要求書を2月17日に開催した第1回賃金交渉において提出した。以降、日本郵政グループ4社との精力的な交渉を積み重ねてきた。3月10日の第4回賃金交渉で会社側から「現時点での会社の考え方」が説明され、郵政ユニオンが回答指定日とした15日の第5回賃金交渉において会社回答は示されず、今春闘の民間大手の一斉回答日である16日に正式回答を行ってきた。この日は昨年9月に会社が示した「労働契約法20条最高裁判決を踏まえた労働条件の見直しに関する基本的な考え方」に対して組合が提出した要求書に対する回答も出された。会社側は「各社を取り巻く経営環境は依然として厳しい」ことを理由に、正社員の賃金引き上げ及び非正規社員の時給引き上げにほぼゼロ回答を行い、さらに非正規社員の均等待遇要求に対しても誠意ある回答を示さなかった。
 中央本部は17日の第6回賃金交渉で「2016年から続いている7年連続のベアゼロは許されない。組合要求とは大きな乖離があり、到底認めることはできない」と回答に反論し、再検討・再回答を求めるとともに、18日のストライキ実施を通告した。中央闘争本部は交渉終了後に直ちに闘争指令を発出し、全国にストライキ決行を指示した。
 郵政ユニオンは会社の不誠実な回答に対する抗議と怒りを込め、要求の前進をめざし3月18日、全国一斉ストライキに突入した。全国16職場、59人組合員(内非正規組合員は22人)の組合員が全1日から1時間から4時間の時限ストライキをたたかった。東京地本では小石川局と銀座局、近畿地本では大阪東局、兵庫の神戸中央局、灘、垂水の3局、中国地本では広島中央局、九州地本では福岡中央局と北九州中央局、以上9局が拠点局となった。拠点となった職場ではスト突入集会を開催し、整然とストライキをたたかい抜いた。スト当日は全国的に雨模様でしかも真冬並みのあいにくの悪天候にもかかわらず、組合員はもとより、多くの地域の支援の仲間が結集した。このように郵政ユニオンのストライキは地域の仲間の支援の力があってこそたたかわれている。
 また、拠点職場のストライキ・突入集会と合わせて、北海道地本では札幌中央局と苫小牧局、東北地本では盛岡中央局、関東地本では上尾局、東海地本では名古屋のJPタワー前、四国地本では高知中央局と高松中央局で全国のストライキに連帯した宣伝行動がとりくまれた。
 日本郵政本社前では「スト突入本社前集会」が11時から90人を超える参加で行われた。郵政ユニオンの日巻直映委員長はまず@正社員は7年連続のベアゼロ、非正規の賃上げも困難、A一時金も昨年同様で上積みなし、B均等待遇要求にはほぼゼロ回答、という会社回答に対し、「極めて不誠実な回答」と厳しく批判した。その上で、新型コロナウイルス感染が拡大するなかで、郵政労働者はエッセンシャルワーカーとして労働者・市民の社会生活を支えるために郵便・貯金・保険のサービスを展開してきた。毎年、黒字決算を積み上げながら、ため込んだ内部留保を使い、「生活できる賃金の引き上げ」を行うべきだと強くアピールした。さらに「最高裁判決を踏まえた労働条件の見直し」について、当初の案からは?有給の病気休暇を無期転換したアソシエイト社員に15日付与から30日に変更、勤続10年以上のアソシエイト社員には60日の付与、A生理休暇は無給から1日を有給の病気休暇とし、アソシエイト社員も対象とするなどの改善部分はあったものの、均等待遇とはなっていない。郵政ユニオンは労契法20条最高裁裁判の勝利を勝ちとってきた労働組合として、切り開いてきた格差是正に向けた大きな流れを止めるような「労働条件の見直し提案」に真っ向から反対し、真に均等待遇実現につなげるため全力でたたかう決意を表明した。
 支援の参加者を代表して全労協からは渡邊洋議長、全労連からは清岡弘一副議長が連帯のあいさつを行った。早朝にストライキに突入した小石川支部からはスト報告、そして午後からストライキに突入する銀座支部からは決意表明が行われ、集会は終了した。
 郵政ユニオンは会社が2007年10月に民営化し、2012年7月の組織統合以降、20春闘における新型コロナウイルス感染拡大による「スト中止」を除き、スト権1票投票で高率批准を確立し、全国一斉ストライキをたたかい抜いてきた。春闘は要求確立のアンケートからはじまり、約半年間という長丁場のとりくみとなる。それは、非正規約4割の雇用社会で非正規労働者の格差に光を当ててきた旧労契法20条裁判のたたかいと両輪である。郵政ユニオンのストライキは政府・連合による「官製春闘」を『撃ち』、闘わずして「妥結・終結」する春闘に抗し、たたかう春闘を構築する労働組合運動の一翼を担っている。


反貧困ネット2022全国集会

 4月10日、文京区民センターで、「反貧困ネットワーク全国集会2022集会」が開催された。
 反貧困ネットワーク理事長の宇都宮健児弁護士がキックオフ挨拶。コロナ禍は3年目に入った。反貧困ネットワークの呼びかけによる「新型コロナ災害緊急アクション」をたちあげ、困窮者の支援活動をしてきた。
 反貧困ネットワークの取り組み報告では、反貧困ネットワーク事務局長の瀬戸大作さんの報告をはじめに、外国人支援の取り組み、反貧困ささえあいの活動、女性による女性のための相談会、韓国の反貧困社会連帯からの報告などがつづき、分かち合いと連帯の反貧困運動に向けての討議が行われた。


情報公開法と公文書管理法の改正から特定秘密保護法廃止へ

        
監視社会反対!6の日国会前行動・院内集会

 4月6日、「秘密保護法」廃止へ!実行委員会と共謀罪NO!実行委員会の共催で、「秘密保護法廃止!共謀罪廃止!監視社会反対!6の日国会前行動」が行われた。

 集会後には、院内集会「情報公開法、公文書管理法の改正を求める集い―問われる政治の説明責任―」が開かれた。
 実行委員会事務局の前田能成さん(出版労連)が、「情報公開法・公文書管理法の改正を目指して―両実行委員会の『行動方針』と『行動提起』―」と題して報告。両実行委員会は、2020年の「強行採決から7年 秘密保護法の廃止を求める12・6集会」で次のような確認をおこなった―特定秘密も法律上は公文書管理法に則って運用されなければならないので、特定秘密保護法を考える時には、公文書管理法を視野に入れることがとても重要である。したがって、情報公開法と公文書管理法の改正によって、特定秘密保護法廃止への道筋を見出したいと考えている。それは、行政文書だけでなく立法文書や司法文書も公文書管理法で規定できるようにすることも視野に入れている。公文書が作られ、管理されていても、情報公開の壁が厚く、また高くては知る権利は守られない。また、情報公開法が整っていくことによって、公文書の管理を充実させざるを得なくなる。この二法は、まさに車の両輪である。この二法が整備されることで、特定秘密保護法の廃止への道筋が、よりはっきりすることになる。
以上のような確認の下で、情報公開法と公文書管理法の具体的な改正に向けた取り組みへの模索が始まった。そして、情報の開示を求められた側は、文書の存在を隠そうとする。または、行政文書ではない(開示の対象ではない)という主張をする。それは監視カメラ映像も同じだ。第三者の調査などを認めようとしない。高額な開示費用の存在が、情報開示請求への扉を閉ざすことに繋がっている。また行政における人権感覚の欠如と差別意識が、目に余ると感じられるほどである。
こうした論議を経ながら、二法の改正についての当面の具体的な目標を整理した。それは、「情報公開法の改正」については、@第1条(目的)に「国民の知る権利」を明記する、A第2 条(定義)第2項から「当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして」という文言を削除する、B市民による情報公開請求について、行政機関が決定に要する期限の短縮(第10条)、費用の軽減(第16条)などを行う、C第5条(行政文書の開示義務)については、不開示情報を可能な限り制限する。また、ヴォーン・インデックスやインカメラ審理を積極的に導入する。D市民が行政情報を積極的に利用できるように、分かりやすい情報提供を行政に求める。
「公文書管理法の改正」については、@条文に「知る権利」を位置付ける、A第2条(定義)から「組織的に用いるものとして」という文言を削除する、B他の法律の規定にとらわれず、独立した規則として、公文書管理法に定める規定を優先させる、C行政側が独自の解釈で法の運用をするのではなく、誰が携わっても同じ経緯・結果になるような運用を行うように、公文書の作成から保管までを具体的に条文に明記する、D公文書の保存期間の上限について、30年原則を明記する、E保存期間を1年未満とする公文書については、その基準を条文で明確にする、F閣議・閣僚会議等の議事録の作成・公表を義務付ける、G公文書管理法に「罰則規定」を設ける。
重要なのは、情報公開法と公文書管理法の改正をセットで考える。情報の所有者は誰か、それは主権者であるという認識。それと行政の記録=政治の足跡を後世に残すという公文書管理の必要性の意義を明確にする。
 これらを与野党にアプローチして議員に浸透させていくことが必要だ。


日比谷集会に1800人

         
ロシアは侵略をやめろ!ウクライナから撤退を!

 ロシアのウクライナ侵略に反対して即時の停戦を求める市民の声は全世界で広がり、続いている。
 4月8日には、日本でも全国各地で様々な行動が展開されている。戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会の呼びかけで、東京・日比谷野外音楽堂で、「ロシアは侵略をやめろ、ウクライナから撤退を!日比谷集会」が開かれ、市民、労働組合員など1800人が参加した。
 集会では、総がかり行動の小田川義和共同代表が、いかなる国の侵略戦争にも反対しよう、そして核共有や敵基地攻撃能力保有、改憲などこの惨事への便乗を許さない世論を広げていこうと述べた。
 立憲民主党の鈴木庸介衆院議員、共産党の小池晃書記局長、社会民主党の新垣邦男衆院議員が、戦争を絶対させないなどとあいさつ。参院会派「沖縄の風」の伊波洋一参院議員の連帯メッセージが代読された。

 集会を終えて、女性だけの隊列も作られ参加者は銀座デモに出発し、反戦平和を訴えた。


安倍らによる惨事便乗「核共有」を糾弾する

        
 核兵器禁止条約の早期締結を!

 日本の反動勢力は、プーチンのウクライナへの軍事侵攻と核恫喝発言という深刻な事態・惨事を逆に好機到来ととらえて、非核三原則否定、米国の核兵器を受け入れ国が共同運用する「ニュークリア・シェアリング(核兵器の共有)」などとんでもないことを言い出している。
 安倍元首相は、早々と、NATO型「核共有」について、「わが国はアメリカの核の傘のもとにあるが、いざという時の手順は議論されていない。国民や日本の独立をどう守り抜いていくのか現実を直視しながら議論していかなければならない」と述べるなど先陣をきった。
 自民党の世耕弘成参院幹事長は「自民党を含めていろんな場面で議論する必要がある」とし、指摘し、その上で、「核共有をやれと言っているわけではない。しないのであれば、他にどんな手段で厳しい周辺状況に対応していくかを議論すべきだ」と述べた。維新の会はこうした自民党に賛同している。立憲民主党、共産党、れいわ新選組、社民党は、これ以上の核拡散には反対している。与党でも公明党は、非核三原則の堅持を主張し、国民民主党も核共有は現実的ではないとの考えだ。
 安倍に呼応して右派言論・右派政治勢力も同調してはやし立てている。
 とくに日本維新の会の動きが突出している。日本維新の会の藤田文武幹事長は、外務省を訪れ、米国の核兵器を日本に配備して共同運用する「核共有」の議論を求める政府への提言を提出した。
 当然にも、こうした危険な動きに対する批判が広がっている。
 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)は、日本維新の会に「提言」の撤回を求める「声明」(3月2日)を発表した―(前略)「原爆は、人間として死ぬことも、人間らしく生きることも許しません。核兵器はもともと、『絶滅』だけを目的とした狂気の兵器です。人間として認めることのできない絶対悪の兵器なのです」(『原爆被害者の基本要求』)。日本維新の会の提言は、日本国民を核戦争に導き、命を奪い国土を廃墟と化す危険な「提言」です。日本被団協は、日本維新の会に、国民主権、基本的人権、平和主義の日本国憲法を護り活かし、国民の命と暮らしを守る政治の実現に尽力することを強く求める。
 3月25日には、長崎原爆遺族会、長崎県被爆者手帳友の会、長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会、長崎県被爆者手帳友愛会、一般財団法人長崎県爆被災者協議会による長崎被爆者5団体声明(別掲)が出された。

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 核兵器禁止条約の批准、核兵器廃絶を実現しよう。長崎被爆者5団体声明
 
 安倍晋三元首相は、米国の核兵器を我が国に配備し、運搬などを担うことで核抑止力を米国と「共有」する…いわゆる「核シェアリング」の導入を検討すべきと述べ、また、自民党・高市早苗政調会長も、「核を搭載した米国の艦船を、日本に寄港も給油もさせないのか。領海通行もダメでは日本は守れない」とも述べています。
 さらに、日本維新の会・松井一郎代表は、「核シェアリング」を岸田首相が否定したことを受け、議論を求める緊急提言を行いました。世界で唯一の戦争被曝国である我が国が、ロシアの姿勢を非難することなく、ましてや「核シェアリング」に言及するなど言語道断です。このような主張は、核兵器による威嚇が国際平和に有効であるとする、誤った考えを広げ、世界中を核兵器の脅威に晒すことにつながります。
 私たち長崎の被曝者はこれまで自らの被爆体験に基づいて77年、『三度許すまじ原爆を!』を合言葉に、核廃絶を世界に訴えてきました。地球上の全ての核兵器をなくさなければ人類は消滅します。核抑止力の共有で、自国だけが生存できるなど、誤った考えを直ちに改めることを求めます。 今、わが国に求められているのは、核兵器禁止条約への加盟であり、また、締約国会議への参加です。

 「核シェアリング」に反対し、核兵器禁止条約の早期締結を!

 ロシアによる残虐なウクライナ侵攻は目を覆うばかりだ。手を差し伸べようとする異国に対しては核兵器で嚇し、異論を唱える自国民をも暴力で押さえ込む。
 今年1月3日、ロシアをふくむ核保有5カ国の首脳は、核戦争に勝者はないとし、核戦争を防ぎ、軍拡競争を避けることについての共同声明を出した。ロシア政府は「この声明はロシア政府が主導して作成成した」と胸をはったが、その舌の根も乾かない中での蛮行である。
 連日テレビ・新聞で、ロシアによるウクライナ侵略の報道が流れる。逃げ惑う市民、飛び交う砲弾、崩れる建物、担ぎ込まれる血まみれの幼い子供たち…そして、無謀にも原子力発電所まで標的に このようなロシア・プーチン大統領によるウクライナへの武力侵攻は、明らかに国連憲章に反する許しがたい行為である。ロシア・プーチン大統領は、他国によるウクライナ支援を警戒し、「攻撃されたら核兵器で応える」との「核の先制使用」も辞さないと発言し、世界を震撼させている。
 長崎の被曝者5団体は、ロシアのウクライナ侵攻に断固反対するとともに これに便乗する自民・維新の会の核兵器政策を糾弾する。

2022年3月25日


原発事故放射能汚染水の海洋放出を許すな!

         東電・政府交渉 院内集会


 政府は、東京電力福島第一原発事故により大量発生し続けている放射能汚染水の海洋放出を発表した。約32年間かけて、日常的に放出するという。また、汚染水は、多核種除去設備(ALPS)で処理したので安全だと強弁している。 だが、処理水でもトリチウムが約860兆ベクレル、その他セシウムやストロンチウム、ヨウ素129、プルトニウム、カドミウム等が大量に含まれているのであり、やはり放射能汚染水であることにかわりはない。 にもかかわらず東電は昨年12月に海洋放出のための認可申請を原子力規制委員会に提出し、規制委は審査書案をまとめてパブコメ実施・認可を行うつもりだ。そして、東電は来年4月頃に放出を開始しようとしている。
 2015年1月、福島市内で開かれた政府・東電と地元の市町村長らとの会合では、福島県漁業協同組合連合会の野崎哲会長が、福島第1原発のタンクの水に含まれる放射性物質の濃度を下げてから海に流す可能性について聞くと、経済産業省の幹部は「関係者の理解を得ることなくして、いかなる処分も考えておりません」と言明していた。こうした掌返しの裏切りは決して許されるものではない。
 海洋放出の暴挙に、地元福島県漁連をはじめ、国内だけでなく海外からも多くの人々が海洋放出に強く反対している。
 これ以上海を汚すな!市民会議、避難計画を案ずる関西連絡会、国際環境NGO FoE Japan、原子力規制を監視する市民の会の呼びかけで、経済産業大臣と東京電力ホールディングス社長にあてた「要望書:福島第一原発のトリチウム等を含む処理汚染水を海洋放出しないこと」への賛同拡大が取り組まれている。

 3月29日、参議院議員会館で、「福島第一原発・処理汚染水の放出中止を求める要望書提出&東電・政府交渉 院内集会」が開かれた。
 事前に、ALPS処理水放出に関する東電及び経産省への質問書が出されていた。その中には、「3(経産省と東電) 経産省と東電の福島県漁連への約束はどうなったのか」で「経産省は2015年8月24日付福島県漁連への文書回答において「こうしたプロセスや関係者の理解なしには、いかなる処分も行いません」と述べ、東電は同25日付文書回答において「検証等の結果については、漁業者をはじめ、関係者への丁寧な説明等必要な取組を行うこととしており、こうしたプロセスや関係者の理解なしには、いかなる処分も行わず、多核種除去設備で処理した水は発電所敷地内のタンクに貯留いたします」と約束しているが、@今回の変更申請書提出はこの約束に反するのではないか。A福島県漁連や自治体等の関係者の理解が得られない以上、いかなる処分も行わず、敷地内タンクに貯留すると理解するが、それでよいか。」などの項目があった。
 しかし、これらの質問に対して、当日の東電と経産省の回答は、きわめて不誠実な対応が続き、参加者からは鋭い追及の質問が続いた。

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 要 望 書  福島第一原発のトリチウム等を含む処理汚染水を海洋放出しないこと

   経済産業大臣 萩生田光一様
   東京電力ホールディングス(株)社長 小早川智明様

(前略)…私たちは以下の理由から、海洋放出に断固反対する。
 ● 処理汚染水の海洋放出は、2015年に福島県漁連に対して行った経産省と東電の文書回答を反故にするものだ。経産省は「(丁寧な説明等の)プロセスや関係者の理解なしには、いかなる処分も行いません」(8月24日)と回答し、東電はさらに「いかなる処分も行わず、多核種除去設備で処理した水は発電所構内のタンクに貯留いたします」と回答している。
 ● まずは、県漁連との約束を守り、タンクに貯留するためにタンクの増設、石油備蓄に使う大型タンクでの安定的保管、モルタル固化による陸上処分を行うべき。
 ● 東電は自ら、トリチウムの分離技術を公募している。分離技術の実用化を優先すべき。
 ● 長期的・抜本的な遮水対策を行い、地下水の流入等を防ぐ措置をとるべき。
 ● 東電の「評価報告書」では、放射能の年々の蓄積は考慮されておらず、影響を過小評価している。たとえばヨウ素129は、海藻の濃縮率が1万倍で半減期が2570万年なので、毎年の放出分が海藻に濃縮蓄積され、それを食べる魚などにも年々蓄積されていく。そのような食べ物が食卓に上る影響を評価していない。
 ● 海洋放出を進める理由として、「廃炉」を進めるためという大義名分が謳われている。しかし実際には燃料デブリの取出し等は進んでいないばかりか、事故を起こした福島第一原発は「特定原子力施設」であり「廃炉」の法的規定さえない。法律に基づくこともなく、「廃炉」のためと称して海洋放出を正当化することは許されない。

要 望 事 項

 1 福島県漁連への約束を守り、豊かな海を守るため処理汚染水の海洋放出は行わないこと。

2022年3月29日

         呼びかけ4団体:これ以上海を汚すな!市民会議/避難計画を案ずる関西連絡会/国際環NGO FoE Japan/原子力規制を監視する市民の会
         賛同:225団体


レーニンの民族自決権理論を否認するプーチン

 ウクライナへの武力侵攻を強行したプーチンの言い分に世界の多くの人びとは、戸惑いを見せている。メディアでは、プーチンは崩壊したソ連邦の復活を夢見ているとか、スターリンの再来だなどとの評論も多い。
 プーチンは、2月21日(ビデオメッセージ)と24日にかなり長い演説を行っている(NHK NEWS WEB参照)。そこでは、ドンバスなどウクライナ東部での危機やNATOの東方拡大反対など戦争の理由付けを行っている。問題は多岐にわたっていて、ある程度プーチンがなにを目指すかが明らかになるものだ。
 プーチンの旧ソ連邦・レーニンの民族自決権にたいするかれの基本的な態度はどうだったか演説から引用してみる。21日の演説でプーチンは、「ウクライナは我々にとって、ただの隣国ではないことを改めて強調したい。…太古の昔から、歴史的にロシアの地であった場所の南西部に住む人々は、自らをロシア人と呼び、正教会のキリスト教徒と呼んできました。17世紀にこの地の一部がロシア国家に復帰する以前も、その後もそうでした。一般的に言って、このような事実は、我々誰もが知っていると思われます。これらは常識です。それでも、今日何が起こっているかを理解し、ロシアの行動の背後にある動機と我々が達成しようとする目的を説明するためには、この問題の歴史について、少なくともいくつかの言葉は述べておく必要があります」と言った。そして、「現代のウクライナはすべてロシア、より正確にはボルシェビキ、共産主義ロシアによってつくられたものであるという事実から説明します。このプロセスは実質的に、1917年の革命の直後に始まり、レーニンと仲間は、歴史的にロシアの土地であるものを分離し、切断するという、ロシアにとって極めて過酷な方法でそれを行いました。…その後、大祖国戦争(第二次世界大戦)の前と後の両方で、スターリンは、ソ連に編入されたが、以前はポーランド、ルーマニア、ハンガリーに属していたいくつかの土地をウクライナに編入しました。 その過程で、スターリンはポーランドに補償として、伝統的にドイツの土地だった一部を与え、1954年にフルシチョフはクリミアを、何らかの理由でロシアから取り、ウクライナに与えました。 事実上、こうして現代ウクライナの領土が形成されたのです。」と歴史をとらえる。また、「1922年、スターリンはロシア共産党(ボルシェビキ)書記長と、民族問題人民委員会の会長を兼任していました。彼は、自治の原則に基づいて国を建設することを提案しました。つまり、統一国家に参加する際に、将来の行政・領土の実体となる各共和国に、広範な権限を与えるということです。レーニンはこの計画を批判し、当時彼が『無党派・独立派』と呼んでいた民族主義者に譲歩することを提案しました。レーニンの、本質的にひとつの連邦国をどのように配置するかという考えと、最大では分離にすら至る、自分の国のことは自分で決めるという国家の権利についてのスローガンは、ソビエト独立国の基盤に置かれました。それは、1922年のソビエト連邦成立宣言で確認され、のちに、レーニンの死後、1924年の『ソビエト憲法』に刻まれました。」
 民族自決権の承認である。だが、この基本的な原則をプーチンは批判する。「このことは、直ちに多くの質問を投げかけます。…なぜ民族主義者をなだめる必要があったのか。旧帝国の周辺部で絶え間なく高まっていく民族主義者の野心を満たす必要があったのか。新しく、しばしば恣意的に形成された行政単位、ソ連の共和国諸国に、彼らとは何の関係もない広大な領土を移譲することに何の意味があったのでしょうか。繰り返しになりますが、これらの領土は、歴史的にロシアであったところの人々とともに移譲されました。」プーチンは、ソ連の共和国諸国の民族自決権承認されたことを、「最も熱狂的な民族主義者の夢を超えた贈り物」「狂気の沙汰」とさえ言っている。そして、「ロシアとその国民の歴史的運命に関して言えば、レーニンの国の開発の原則は単なる間違いではありませんでした。ことわざにあるように、間違いよりもひどいものだったのです。これは1991年にソビエト連邦が崩壊した後に明らかになりました」として、ソ連邦の崩壊を、新しい搾取層の発生による階級矛盾の激化、指導政党の腐敗・解体現象や西側の「和平演変」などによるもの、また民族政策のあやまりなどと真剣に総括することなく、レーニンの民族自決権承認こそが大ロシア民族優越意識でウクライナなど旧連邦構成民族の離反・分離傾向をいっそう推し進める結果をもたらしたのであるとする。プーチンは、「ソビエト・ウクライナはボルシェビキの政策の結果であり、正しくは『ウラジーミル・レーニンのウクライナ』と呼ぶことができます。 彼はその創作者および建築家でした。」「そして今日『恩を感じる子孫 』はウクライナのレーニンの記念碑を倒しました。彼らはそれを脱共産化と呼んでいます。」とさえ述べている。これらが、プーチンのレーニン認識だ。
 レーニンは、論文「民族自決権について」(2014年)で「民族自決とは、ある民族がほかの民族集合体から国家として分離することを意味し、独立し多民族国家を形成することを意味している」として、自決権の内容を分離権だと明確に位置づけた。しかし、一方で、無原則的な民族的な分離を推奨したわけではなく、基本的には中央集権国家支持の立場に立っていたことは知られている。レーニンは大ロシア民族主義の抑圧を受けているウクライナの民族自決権を認めるたが、しかし実際に独立国家を形成するかどうかは、民族の違いというだけでなくその他の多くの要因による複雑な問題である、と述べている。大切なのは、民族的な平等のもとづく諸民族人民の団結である。
 そうした条件をまったく考慮しないでのプーチンのロシア・ウクライナ一体論は悪しき大ロシア民族主義のあらわれだ。
 なお、平凡社『世界大百科事典』第2版によると、「(ロシア人=)広義にはかつてのロシア帝国の住民,あるいは東スラブ人,すなわち狭義のロシア人(別名大ロシア人),ウクライナ人(別名小ロシア人),ベラルーシ(白ロシア)人の総称として用いられることもあるが,一般には狭義に解してロシア語を母語とする民族を指す。」とある。


せんりゅう

   典型だ代理戦争の典型だ

      国家なる暴力装置のそとに棲む

   「鬼はそと」豆つぶロシアに投げ申す

      それがロシアの心かプーチンよ

   平和ボケとかとぼけてる惚け議員

      国会へデモる心は鬼退治

   九条は世界の宝 福がある

             
                  ゝ 史
2022年4月


複眼単眼

        
 憲法審査会の異変

 4月7日に開かれた衆院憲法審査会では会議の「毎週開催」を評価する意見が改憲派の委員から次々とでた。
 「本審査会もほぼ毎週開催されまして、テーマを絞って集中的に議論ができるようになりました」(自民党・山田賢治委員)
 「本日も無事、憲法審査会が開催されました。筆頭幹事、各幹事のご努力に敬意を表します」(日本維新の会・三木圭恵)
 「今週も定例日に、こうして憲法審査会が開催されたことを改めて歓迎したいと思います」(国民民主党・玉木雄一郎)
 「まず、衆院の憲法審査会が毎週定例日に欠かさず開催されるようになってきたことを歓迎する。……長らく続いた立憲民主党のサボタージュの結果だった」(足立康史・日本維新の会)
 いま、憲法審査会ではその議論の中身、水準ではなく、このように審査会の会議を「毎週開催するかどうか」が改憲派の委員の重要関心事になっている。
 昨年の総選挙で改憲派が圧倒的多数になったことで、衆議院憲法審査会の様相が様変わりしている。
 自民党や公明・維新などの改憲派は、審査会の会議をひんぱんにひらき、改憲論議のピッチをあげて、改憲に向かおうとしている。
 衆議院憲法審査会では2月からすでに8回も会議が開かれている。これはこの20年間の憲法調査会からの歴史をみてもきわめて異常な事態だ。従来は月に1〜2回程度の開催だった。
 改憲派は「国民から歳費をもらっている国会議員が休んでいるなどとは許せない」などといいながら、会議の「毎週開催」をことあるごとに叫んでいる。
 そんなことはない。会議が開かれていない時も、国会議員は遊んでいるわけではなないはずだ。次の議論に備えて、研鑽し、準備をしている期間だ。この期間がないと、議論が薄っぺらなものになりかねない。
 改憲派は憲法審を毎週開いてコロナ問題やウクライナの外交問題に対処しろと言うが、本来の議論の場の厚生労働委員会や外交防衛委員会も毎週開かれているわけでもないのに、憲法審査だけ毎週開くのはおかしいことこのうえない。
 たとえば維新の馬場委員は繰り返し、夏の参院選で憲法改正の国民投票も同時にやれと主張するが、公選法と改憲手続法(国民投票法)による投票の同時実施がどんなに困難であるか、時間を使ってもっと勉強してもらいたいものだ。彼の発言は同じことの繰り返いで、勉強の跡が見られない。
こんな調子であたふたと憲法審査会を開いては、まともな憲法論議ができるわけがない。憲法の論議は時間を十分使って煮詰めてもらいたいものだ。
 先日は災害時に議場に来られなくなった場合、憲法56条の規定する3分の1以上の「出席」が不可能になった場合、「オンライン」参加が認められるかどうかで、2名の学者を参考人として招致して意見を聴取した。一人は原則反対、もう一人は慎重に例外的に賛成、という意見だったが、憲法審査会はこの二人の意見をまともに議論もせず、翌週にはささと異例の採決をして、「オンライン国会」容認の結論を出してしまった。まったく意味のない形式的な参考人質疑だった。
とにかく、憲法審査会は改憲に向かって「急げ、急げ」と言わんばかりの運営なのだ。  (T)