人民新報 ・ 第1410号統合503号(2022年6月15日)
  
                  目次

● 参議院選挙勝利へ

      大軍拡・改憲・人びとの生活無視の岸田政治を終わらせよう

● 2022国会ピースサイクル

      反戦・反基地・脱原発を訴え

● マイナンバーカードは国家による管理・監視の強化だ

      マイナンバーカードの利用拡大はただちにやめ、マイナンバー制度は見直せ

● 関生支部への弾圧 跳ね返せ

      大阪高裁は「法の下に不平等を造り出す」工場ダ!

● 泊原発 札幌地裁運転差し止めを命令

● 侮辱罪厳罰化の危険性

      6の日行動・国会前行動と院内集会

● IR誘致には、まず賛否を問う住民投票を実施すべきだ

      そこには愛はあるんか?大阪市長吉村!

● せんりゅう

● 複眼単眼  /  政界「下駄の雪」考

● 夏季カンパの訴え  労働者社会主義同盟中央委員会





参議院選挙勝利へ

      
大軍拡・改憲・人びとの生活無視の岸田政治を終わらせよう

前のめりの岸田軍拡

 岸田首相は6月10日、英国に拠点を置く「国際戦略研究所(IISS)」が主催するシンガポール・シャングリラ会合(アジア安全保障会議)で、基調講演をおこなった。この岸田演説は、日本をいっそう米国の世界軍事戦略の最前線へ押し出すとともに、アジアの緊張激化を促進するものとなった。岸田は述べている。「日本を取り巻く安全保障環境が一段と厳しさを増す中、本年末までに新たな国家安全保障戦略を策定します。日本の防衛力を5年以内に抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意です。その際、いわゆる『反撃能力』を含め、あらゆる選択肢を排除せず、国民の命と暮らしを守るために何が必要か、現実的に検討してまいります。」「私は、日米同盟を基軸としつつ、普遍的価値を共有する有志国との多層的な安全保障協力を進めてまいります。先般日本を訪問されたバイデン米国大統領との会談において、防衛力に関する私の決意に対する強い支持を得ました。日米の安全保障・防衛協力を拡大・深化させていく、この点でも一致しました。インド太平洋を超え世界の平和と安定の礎となった日米同盟の抑止力と対処力を一層強化していきます。同時に、豪州や有志国との安全保障協力も積極的に進めていきます。」
 そして、今年の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)では、あらたな国家安全保障戦略をつくり直すのに合わせ防衛力について「5年以内に抜本的に強化する」と年限を記載した。防衛費2倍ならさらに5兆円必要となる。また、中国包囲の外交面でも大幅な歳出増となる。だが、負担増を伴う具体的な財源の議論は後回しだ。高齢社会での医療費・社会保障費、また教育費などの公費負担の必要が一段と増す中で、歳出の拡大に歯止めがかからなくなるおそれがある。日本政府の借金は、1000兆円と未曽有の規模だ。それに、地方政府の借金である地方債の発行残高が約200兆円もある。にもかかわらず、安倍晋三は「政府は日本銀行とともに、お札を刷ることができる」「日銀は政府の子会社」などという妄言を繰り返し、それに同調するながれが与野党、マスコミなどにもある。かつて野放図な国債発行による軍事予算の拡張を許し、悲惨な戦禍を招いたことを忘れてはならない。歯止めなき国債発行を続けて、ふたたび際限のない軍拡競争を招くようなことは、あってはならない。自民党政府は、日本を自滅の道に引き込んでいる。日本国憲法の原則を生かした平和的外交努力による緊張緩和の実現こそが国是とならなければならない。

急激な物価高が直撃する

 世界的な物価上昇が加速している。アメリカの消費者物価は8・6%上昇した。40年5カ月ぶりの大きさだ。わが国にも物価急騰の影響がより大きく出始めた。日銀発表の5月の企業物価指数前年同月比で9・1%上昇したが、前年の水準を上回るのは15カ月連続である。総務省発表の4月の消費者物価指数は、去年同月比で2・1%上回って8か月連続での上昇となった。さらに、これから様々なものの値上げが続くことになっている。一方で、厚生労働省発表の毎月勤労統計調査では、実質賃金は前年同月比で1・2%マイナスとなった。そもそも長いあいだ日本の賃金は上がっていない。1990年に比べての2020年の実質賃金はアメリカ48%、イギリス44%、フランス31%の上昇だが、日本の賃金は4%とほとんど変わっていない。労組の強い韓国の賃金は92%上昇して日本を追い越している。女性や青年の賃金は平均よりもかなり低い。年金生活者、ひとり親世帯などより苦しい生活を強いられている。
 こうした現実的諸問題の解決はまったなしの政策課題だ。それに対する岸田政権の「回答」が、「新しい資本主義論」なるしろものだ。かつて安倍内閣時にアベノミクスなるものが掲げられたが、その結果がいまの惨状をうみだした。賃金引上げの推進、スキルアップを通じた労働移動の円滑化、子供・現役世代・高齢者まで幅広い世代の活躍を応援という岸田の政策はことごとくうまくいかない。結局、「貯蓄から投資のための『資産所得倍増プラン』の策定」などいう自分でうまく投資運用でかせげなどいうものしかのこらなくなっている。だが、大多数の人には「投資のための資産」なるものは存在していない。

強引な改憲への道

 岸田政権は、ロシアのウクライナ侵略と西側の経済制裁、世界的な食料不足・インフレ高進などの惨事に便乗して改憲・戦争できる国づくりを加速させている。
 改憲派はなりふりかまわずに改憲実現に進んでいる。この間、国会の憲法審査会における強引な審議状況には目に余るものがある。改憲派は、コロナ化やロシアによるウクライナ侵攻、日本を取り巻く安全保障環境の変化等を理由に緊急事態条項創設をいっている。しかし、大規模自然災害によって国会機能が維持できなかったり、長期に亘って国政選挙ができなかった事態はこれまでになく、過去の戦争中でさえも国会は開催されていたのであり、かれらの理由付けはまったくのデマだ。
 憲法9条改憲についても、軍備増強・戦争準備に偏ることでいっそいう近隣諸国と緊張・対立を激化させ、日本と周辺国の安全を危うくするのである。そもそも、現在の情勢において、人びとの求める緊急課題なのは、改憲でないことはどの調査の結果も示している。人びとの生活を差し置いて改憲最優先の政治をこれ以上続けさせてはならない。

参院選勝利を
 
 岸田政権の暴走に対して全国各地で粘り強い闘いが繰り広げられている。
 総がかり行動実行委員会は毎月19日行動をはじめ、各地での集会、街頭宣伝・署名行動を展開している。また、東京では、大軍拡とめろ!官邸前月曜連続行動がおこなわれている。6月9日には、衆議院第2議員会館前路上で、改憲問題対策法律家6団体連絡会と戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会による「国会憲法審査会総括市民集会」が開かれた。
 6月22日公示・7月10日投開票予定の参院選が迫っている。今後の日本の政治、人びとの生活と権利に重要な影響を及ぼすものだ。安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合は「2022年参議院選挙における野党に対する市民連合の政策要望書」(別掲)を発表した。市民と野党のさらなる共闘が求められている。参院選で改憲派議席の三分の二を許さず、改憲阻止・戦争する国への道を拒否し、人びとの生活と権利を守り向上させる闘いを強めていこう。

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2022年参議院選挙における野党に対する市民連合の政策要望書

 ロシアによるウクライナ侵略がもたらす世界秩序の激動の中で参議院選挙を戦うという未曾有の政治状況の中、戦後日本の針路が問われています。市民連合は、立憲主義の回復と安保法制の廃止を求め、立憲主義の理念を共有する野党各党と4回の国政選挙をたたかっています。今回も野党には、今こそ憲法が指し示す平和主義、立憲主義、民主主義を守り、育むために、以下の政策を共有し、1人区において最大限の協力を行うよう要望します。
 1 平和国家路線の堅持と発展
 日本国憲法が掲げる立憲主義、平和的生存権の理念に立脚し、戦争をさせないために専守防衛に基づく安全保障政策を着実に進め、非核三原則を堅持し、憲法9条の改悪、集団的自衛権の行使を許さない。辺野古新基地建設は中止する。さらに、ロシアによるウクライナ侵略に抗議する国際社会と連帯し、人間の安全保障の理念に基づき人道支援を進める。
2 暮らしと命を守るための政策の拡充
 みんなの暮らしを守るために、スタグフレーションへの対策としてあらゆる財政支出を展開し、新型コロナウイルスの教訓を踏まえて医療政策の再建を行う。また、金融所得課税を始めとする税、社会保険料負担の適正化によって社会保障、社会福祉の拡充を進め、すべ
ての生活者や労働者が性別、雇用形態、家庭環境にかかわらず、尊厳ある暮らしを送れるようにする。
3 気候変動対策の強化とエネルギー転換の推進
 人びとの暮らしを脅かす異常気象の頻発にかんがみ、また将来世代や未来の人々、生きものに対する責任を果たすために、気候変動と環境保全の対策を加速し、国際社会による温暖化対策の強化に向けて働きかけを強める。また、経済や安全保障上のリスクを軽減する観点
からも、原発にも化石燃料にも頼らないエネルギーへの転換を進め、脱炭素社会を早期に実現する。
4 平等と人権保障の徹底
 政治の場、働く場、学ぶ場、生活の場において男女平等を実現し、伸びやかで活力のある社会や経済へと転換するために、選択的夫婦別姓制度などの法制度整備を急ぐ。また、女性に加えて、LGBTQ、外国人、障がい者などに対するあらゆる差別を廃絶し、すべての人の尊厳が守られ、すべての人が自らの意志によって学び、働き、生活を営めるように人権保障を徹底する。

2022年5月9日

安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合


2022国会ピースサイクル

      反戦・反基地・脱原発を訴え


 5月20日(金)、3年ぶりに国会ピースサイクルが行われました。

防衛省へ要請・抗議行

 朝8時半よりJR市ヶ谷駅近くの公園でスタート集会が開かれ、今日1日のスケジュールの確認、吉野信次共同代表のあいさつや広島、大分の仲間の紹介がありました。9時過ぎには市ヶ谷駅近くにある防衛省に到着、各地域の仲間から広島岩国米軍基地、大分日出生台基地、横田基地、入間基地、厚木基地、横須賀米軍基地などの騒音や飛行事故、米兵事件の危険などの実態を訴える集会を行いました。この後、要請行動に移り、全国ピースからは「沖縄・普天間基地の県内移設を撤回し、オスプレイの配備訓練に反対する要請」、大分ピースからは「大分県日出生台で行われた通算15回目の米軍訓練に関しての抗議と要請」の要請文を正門前で防衛省の担当者に向かいそれぞれ読み上げ抗議の意を表しました。コロナ下でもありシュプレヒコールは取りやめ最後に大分の仲間からは「日出生台の守り唄」が紹介された後、防衛省の行動を終え自転車と徒歩組は都庁に向かいました。
 
都庁へ要請・抗議行動

 都庁では10時半から議会棟会議室において都教育委員会に「質問事項と要請事項」を事前提出、事前回答を基に交渉を行った。主に日の丸掲揚、国歌斉唱を拒否した教師に対しての懲罰の撤回要求を行ったが、例年のように撤回するつもりはないとの回答の繰り返しでした。交渉はコロナ下でもあったので短時間で終了しました。また、会議のセッティングは東京・生活者ネットワークの岩永やす代都議にお世話になりました。昼食は例年、議会棟下の食堂でしたが厨房が閉鎖され、代わりに出来合い弁当で食事を済ませて次の東電へ向かいました。

東電本店へ要請・抗議行動


 14時には東電本店前に集合し、2階会議室で要請を行いました。ここでピースサイクル以外からの参加者もありました。事前に「質問事項と要請事項」を提出してあったので、東電から質問・要請と回答をセットした文書が配布されたもので交渉がされました。全国ピースからは表題「フクイチ原発過酷事故から11年、刑事責任を認め、被害者への十分な補償と地震大国での原発撤退・再生可能エネルギーへの転換をもとめます」に質問項目6点、要請項目11点を提出しましたが、時間が少ないことから絞って論議を進めることになりました。@「子どもの健康被害や甲状腺がん裁判」で損害賠償請求をしていますが東電は福島県の「県民健康調査」の「甲状腺がんと放射線被ばくの関連は認められない」という結果を盾に消極的な対応をしている。A「汚染水海洋投棄については漁連をはじめ自治体、市民、海外からも反対の声が上がっている」に対し、「国が6年に渡り話合いを続け、海洋投棄を決めた。国が決めた基本方針を重く受け止めたい」と東電は「タンクが満杯」「廃炉作業で敷地が確保出来ない」などといって企業説明努力を果たしてないのではないか。B原発依存症から脱却し、「再生可能エネルギー政策に大転換」「温室ガスゼロに向けての対策は」については「原子力発電は、運転時に温室効果ガスの排出がないことに加え優れた安定供給性がある。今後とも必要な電源であると考える」「安全を確認して再稼働をやる」との回答だが11年経過した今も信頼は回復しておらず過酷原発事故を起こした反省もみられない。

内閣府へ要請・抗議行動

 この後、内閣府への署名提出組と外務省交渉の組へと別れて要請行動を行った。内閣府は短時間で終わり、署名提出は640筆でした。
 16時過ぎ外務省での要請は「性奴隷制「慰安婦」被害者に今すぐ事実認定と謝罪を!」をテーマに6項目の要請を行いました。国はこれまで従軍慰安婦関係の歴史的事実を一切認めない態度に終始し、教科書では「従軍慰安婦」の記述を政府は「従軍」の部分を削除させ、国の関与を取り払うことに苦心している。強制連行を示す文書入手していながら公開せず不誠実な態度を取り続けている。「今後新たな文書が見つかった場合どこの部署が保管するのか」という質問には文書の内容をみて各所管が所蔵する。閲覧は手続きをすればみることができる。最後に文書は永久保存して頂き、後世の歴史検証に役立てるための体制を整えて歴史の検証と平和の構築が必要です。中国、ロシア、韓国、朝鮮、アジアの隣国との友好が大切です―と訴えました。

 17時からは国会ピースサイクル参加者全員で総括会議を行い感想と夏の取り組み状況も交え終了としました。
 この後18時半から首相官邸前で行われる原発金曜行動に移動し、飛び入りで大分から発言と歌で参加しました。


マイナンバーカードは国家による管理・監視の強化だ

      
マイナンバーカードの利用拡大はただちにやめ、マイナンバー制度は見直せ

共通番号法の狙い

 本人確認と電子申請など利便性向上のためとして「共通番号法」(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)は2013年5月に成立させられた。
 いま岸田政権は2023年3月までに、ほぼ全ての住民にマイナンバーカード(個人ナンバーカード)を所持させようとして、あの手この手を駆使している。
 マイナンバーカードは様々な個人情報を付加している。ナンバーカードと暗証番号があればマイナポータルでき、税金・医療健康・福祉・雇用などさまざまな個人情報を、分野を超えて照合し生涯追跡が可能である。
 共通番号法は、「@行政事務の処理において、個人又は法人その他の団体に関する情報の管理を一層効率化するとともに、当該事務の対象となる者を特定する簡易な手続を設けることによって、国民の利便性の向上及び行政運営の効率化に資すること。A情報提供ネットワークシステムその他これに準ずる情報システムを利用して迅速かつ安全に情報の授受を行い、情報を共有することによって、社会保障制度、税制その他の行政分野における給付と負担の適切な関係の維持に資すること。B個人又は法人その他の団体から提出された情報については、これと同一の内容の情報の提出を求めることを避け、国民の負担の軽減を図ること。C個人番号を用いて収集され、又は整理された個人情報が法令に定められた範囲を超えて利用され、又は漏えいすることがないよう、その管理の適正を確保すること。」としている。
 政府の狙いは、マイナンバーカードを内国人登録証・国内パスポートとして人びとを識別し追跡監視するICカードとし、国家による管理・監視の強化である。また基本的人権の侵害、個人情報の大量漏えいや成りすまし被害の発生、医療・社会保障の選別的な利用抑制と負担の強化、地方自治と自己コントロール権の侵害などの頻発が危惧されている。
 くわえて、いま政府は、マイナンバーカードを民間事業者が利活用可能にできるようにしようとしている。番号法に規定のない利用拡大であり、漏えいや不正利用の危険性がいっそう増大する可能性が高くなる。
 政府は、マイナポンイト取得による利益誘導、金融業など業界団体や健康保険組合等を使ったカード取得の強力な働きかけ、自治体の全住民への交付計画策定の強要、有名タレントなどをつかった連日のコマーシャルCMなど、カード保持を押しつけようとしている。だが、マイナンバーカードの申請は任意であり、不保持は自由だ。

 6月4日、文京区民センターで、「これでも必要?マイナンバーカード 持たなくても大丈夫!返すことも可能!」(主催・共通番号いらないネット)集会が開かれた。
 原田富弘さん(共通番号いらないネット)、吉田章さん(東京保険医協会)、外山喜久男さん(個人情報保護条例を活かす会)、瀬川宏貴さん(マイナンバー違憲訴訟・東京、弁護士)が報告をおこなった。

医療分野での問題点

 吉田章さんは「医療におけるマイナンバーカード利用 保険証がマイナンバーカードに吸収される?」と題して報告。各界の反対を押し切り、医療情報の集約、利用に医療IDとしてマイナンバーを使わせるために、出てきたのが「保険証資格のオンライン確認システム」だ。これは、2021年10月より本格運用開始され、各保険者が保険証番号を個人単位化しマイナンバーをセットで保険証資格をデータセンターに登録する、医療機関とデータセンターをオンラインで結び、医療機関の窓口で提示されたマイナンバーカード、または保険証で資格をデータセンターに問い合わせ確認するもので、患者さんのメリットとして、服薬情報や特定健診情報を自分で用意する必要がなくなる、高額療養費の限度額認定証発行の手間が省けるなどが強調されている。だが、患者さんには次のようなデメリットがある。マイナンバーカードを取得したくない方もたくさんいる。マイナンバーには現在、税情報ほか複数の個人情報が結びついている。さらに運転免許証としての利用(警察情報との連結)のほか、戸籍情報ほか様々な資格との連結も構想されている。そのうえ、保険証資格だけではない医療情報との連結までもつける。それらすべての個人情報を引き出す鍵がマイナンバーカードである。また、紛失、悪用他の危険性はないのか、などである。
 また、医療機関のメリットとして、@期限切れ等の資格喪失保険証使用の防止、A特定健診、薬剤情報が閲覧できる、B災害時にAができる、C(保険証資格の自動入力)、D(高額療養費の限度額の自動入力)とされるが、おおきなデメリットがある。それは、顔認証カメラ付きカードリーダー、資格確認用専用PC、ンターネット回線、事務員教育、新たな事務員の必要発生、窓口での混乱の可能性、院内カルテシステムの改修、院内情報流出の危険性、院内カルテシステムが危険にさらされる。
 そして、保険証資格のオンライン確認システムの目的は資格確認にとどまらない。厚生労働省保険局の「オンライン資格確認の導入で事務コストの削減とより良い医療の提供を〜データヘルスの基盤として〜(医療機関・薬局の方々へ)」という文書には、「全国医療情報プラットフォーム」構想があり、これの問題点としては、個人の生涯にわたる連続的な病歴が全国の医療機関で利用可能となりるが、医療を行う側からは便利、有用に思えるが患者さんにとってはどうだろうか。医療において患者のプライバシーが無い状態になるということだ。個人の病歴は「弱み」としての側面をもち、重要なプライバシーのひとつであり、 漏洩した場合、様々な被害を受ける可能性がある。だからこそ医師・医療機関には厳重な守秘義務が課せられているのである。このように、目的外利用の危険性がある。
 医療界には反対の声も大きく、東京保険医協会が昨年9月に行った開業医意識調査では@マイナンバー制度のレセプト・カルテへの利用拡大とA保険証の廃止について、反対とどちらかと言うと反対を合わせるとそれぞれ、@55・4%とA56・1%と半数以上に及んでいる。そこで出てきたのが、23年度中にオンライン資格確認システムの導入を医療機関や薬局に義務づけ、24年度中には保険者による保険証発行に選択制を導入し、将来的には原則廃止する構想だ。さらに、同方針には、このシステムを利用し、処方箋や予防接種の履歴、特定健診情報の参照に加え、電子カルテ情報の標準化を実現した上で、各電子カルテの内容を共有・交換できる「全国医療情報プラットフォーム」を創設するなどの政策だ。
 そもそもこのシステムでメリットを得るのは誰なのかについて十分な論議が必要であり、拙速な導入は日本の医療そのものに危機をもたらす暴挙であると言わざるを得ない。

マイナンバー違憲訴訟

 マイナンバー違憲訴訟東京弁護団の瀬川宏貴弁護士は「マイナンバー違憲訴訟の現状とマイナンバーカードの問題点について」と題して報告。
 マイナンバー違憲訴訟は、2015年12月末から、仙台、新潟、東京、横浜、名古屋、金沢、大阪、福岡の全国8地裁で提訴したが、一審地裁判決は、すべて原告の請求を棄却する判決だった。仙台高裁判決(2021・5・27)、名古屋高裁判決(2021・10・27)、福岡高裁判決(2021・9・29)の3つの高裁で控訴棄却判決だったが、いずれも上告して、最高裁係属中だ。
 また、新潟、東京、金沢、神奈川、大阪の5高裁での審理中だ。
 控訴審では、デジタル庁の問題、デジタル改革関連法に基づくJ―LIS(地方公共団体情報システム機構)の準国家機関化の問題点、刑事訴訟学者などの新たな学者意見書の提出、個人情報保護委員会の体制等の問題点などでを主張して闘っている。
 個人番号カードの問題点では、個人番号カードの利用履歴が蓄積され、データベース化されて保管、利用されることになれば、最高裁が否定した、「住基カード内に記録された住民票コード等の本人確認情報が行政サービスを提供した行政機関のコンピュータに残る仕組み」と同等かそれ以上の「仕組み」が作られていることなり、最高裁判決に照らしても違憲というべきである。

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政府はマイナンバーカードの強引な普及と利用拡大をやめよ!

 政府は1兆8千億円も使いマイナポイント第2弾として、6月30日より健康保険証登録や公金振込口座登録でのポイント付与をはじめようとしている。またマイナンバーカードの健康保険証利用普及のために、健康保険証の原則廃止やオンライン資格確認の医療機関への導入義務づけなどを「骨太の方針」等で決めようとしている。しかしマイナンバーカードの申請は任意であり、取得・利用を押しつけることはできない。
 2016年1月に交付開始したマイナンバーカードは、政府のさまざまな普及策にも関わらず普及しなかった。マイナポイントなどの利益誘導や公務員への取得強要などによって一時的に申請が増加したものの、その後申請は低迷し6年経過しても未だ44%の普及率にとどまっている。2023年3月までにほぼすべての住民に保有させるという政府の計画は破綻している。
 そもそもマイナンバーカード(個人番号カード)は、マイナンバー提供時の本人確認や電子申請による利便性向上のためとして導入された。しかし当初の説明とはまったく異なり、マイナンバー制度で管理する個人情報をマイナポータルによって民間事業者に提供したり、内蔵する電子証明書の発行番号を民間事業者の顧客IDとひも付けて管理するなど、本来の目的とは違う利用に拡大している。デジタル庁はこれらの利用をさらに推進しようとしているが、利用に法的根拠はなく個人情報保護は保証されない。マイナンバーで管理する個人情報の漏えい・悪用や、データマッチングによるプロファイリングなど不正利用の危険性はますます高まっている。
 マイナンバーカードが普及しないのは、個人情報を危うくすることを多くの市民が見抜いているからだ。国会決議された個人情報保護措置も整備しないまま医療情報の共有と利活用を推進したり、教育情報を生涯管理し官民で利活用したり、運転免許と一体化し警察の利用を可能にするなど、政府の進めるマイナンバーカードの利活用は国家による監視・管理と企業による個人情報利用を容易にするものだ。マイナポイントは「官民共同利用型キャッシュレス決済基盤」の利用状況で個人を格付けする社会をもたらし、預貯金口座の国家による把握に誘導するため利用されようとしている。
マイナンバーカードを「デジタル社会の不可欠のインフラ」にしてはならない。
 警官に「マイナンバーカードを見せろ」と言われる社会はゴメンだ。
 キャッシュレス決済の利用者だけに1兆8千億円をバラまく不公平なむだづかいはやめろ。
 「自己情報コントロール権」を保障しない個人情報の共有と利活用は認めない。
 私たちが利便性を感じないものをアメとムチで押しつけるな。
 マイナンバーカードの利用拡大はただちにやめ、マイナンバー制度は見直せ。
 マイナンバーカードは申請せず、返却しよう。

2022年6月4日

「これでも必要?マイナンバーカード」集会参加者一同


関生支部への弾圧 跳ね返せ

     
 大阪高裁は「法の下に不平等を造り出す」工場ダ!

なめたらアカンで労働運動

 全日本建設運輸連帯労働組合(連帯ユニオン)関西地区生コン支部にたいして80名以上の組合員が逮捕されるなど刑事裁判、また民事裁判がかけられている。こうした激しい弾圧を連帯を広げて跳ね返す粘り強い闘いが続いている。
 5月28日土曜日の夕方からエルおおさかで、「なめたらアカンで!労働運動 関生総決起集会」が開催された。多くの参加者で、開始以前から第二会場まで満杯になった。
 湯川裕司委員長が主催者挨拶。われわれの運動つぶしと権利侵害、働くところをなくすなど社会的抹殺が強行されようとしている。われわれは思いのたけを語る。われわれから仕掛けたわけではないが、売られた喧嘩は買わなければならない。私も664日拘留で保釈された。こんなに早く出られたのは、連帯して闘うみなさんのおかげだ。今日は直に、場で闘う組合員の声を聴いていただきたい。
 つづいて永嶋靖久弁護士が「関生全事件報告」。裁判は闘争の一部であり、これ以外にも、脱退した組合員や家族への捜索や嚇しさらに会社・役員への捜索は把握できていない。生コン産業の成り立ちから弾圧と組合つぶしの特徴が組織的・系統的・全体的であり、彼らの狙いである企業への圧力=犯罪という考えを逆転さなければならない。今も弾圧はつづいており、大阪地裁は「労働委員会命令を守れ」の街宣を刑事告訴し仮処分を決定している。絶対に戦争に反対する運動への弾圧を許さない。
 次に争議組合から組合員が登壇し各分会の状況と思いが力強く報告され、会場からは熱い拍手が沸き上がった。
 団結ガンバロウをあげて、大阪府警前まで、デモ隊は元気いっぱいにシュプレヒコールをあげて宣伝した。

大阪高裁の不当判決糾弾!

 5月23日、ギラギラと真夏を思わせるような朝の太陽が大阪高裁前の歩道公園を照らしている。
 9時半からの座り込み集会をまえに赤旗や連帯カーが結集してきた。もう暑い、日陰に入らないと肌が焼ける。今日は大津地裁でも公判があり京都や滋賀のメンバーはそちらに結集し、また午後からの市民応援団主催の集会が予定されていたためこちらは180名の結集だ。向こう側の大阪広域生コンクリート協同組合の傍聴者は見かけない。100名の大法廷にコロナで30名が抽選となった。
 11時の判決まで各団体のアピールが続く。この裁判は2017年12月に連帯ユニオン関生支部や全港湾などがストライキを実施し、約束を果たさない大阪広域に働く者の労働条件改善にむけた闘いへの協力をミキサー運転手に求めた行動が「威力業務妨害」として昨年3月に大阪地裁で懲役1年6カ月執行猶予3年など不当な有罪判決に抗しての控訴審の判決が出る日だ。
 11時すぎ「不当判決」の幕を持った組合員が会場前に駆けつけてきた。怒りに震えてマイクを握る湯川裕司委員長は「なんでこれが犯罪にされるんや!闘う団体を潰してゆく。戦争に動員して中国包囲網をつくるためだ。戦争の犠牲は市民、労働者だ。反撃するのは労働者、市民だ」とアピールした。
 原告2人からは「裁判官もっと労働組合について勉強しろ!時代によって判決が変わるなど世迷いごとであり、関生だから弾圧するという結論ありきの判決だ」と糾弾した。
 ストライキが悪のごとく報道され資本経営側のやりたい放題では、日本社会に未来はない。闘いつづける仲間と強く連帯してこの不正不法の支配する社会を変えてゆこう。


泊原発 札幌地裁運転差し止めを命令

 岸田政権は、東電福島第一原発事故の悲惨さ、被害の大きさ、そして多くの人びとの反対の声にもかかわらず、原発推進・再稼働をあきらめていない。原発事業者、一部の原発利得自治体の連中も同じだ。
 北海道電力も住民から泊原発(後志管内泊村)の廃炉、運転の禁止、使用済み核燃料の撤去を求めた訴訟に追い込まれている。裁判での主な争点は、原発の敷地内や周辺海域に活断層が存在するか、防潮堤で津波に対する安全性が確保されているかなどがであった。 札幌地裁は、5月31日に北電に対し、廃炉については請求を棄却したが、3基の運転差し止めを命じる判決を下した。判決は、運転差止請求について、「泊発電所は、現在設置されている防潮堤(既存の防潮堤)について、地盤の液状化等のおそれがないことについて被告が相当な資料による説明をしておらず、口頭弁論終結時において、津波に対する安全性を欠いているから、他の争点について判断するまでもなく、その運転によって周辺住民の人格権(生命・身体)を侵害するおそれを有する。その危険性が及ぶと認められる範囲については、現在の証拠関係を前提にすると、泊発電所から半径30qの範囲内である。したがって、泊発電所から半径30qに居住する原告らとの関係で、運転の差止請求を認める」としている。
 2011年の東京電力福島第1原発事故後、運転差し止めの判決は大飯、東海第二に続く3例目となる。粘り強い反対運動の成果だ。北電、政府は、今回の判決を機に、泊原発は直ちに廃炉とすべきである。


侮辱罪厳罰化の危険性

     
6の日行動・国会前行動と院内集会

 参議院法務委員会で侮辱罪厳罰化をふくむ刑法「改正」案の審議がおこなわれている。この法改正によりもう一段の言論弾圧が容易に行われるようになる。

 6月6日昼に、国会前で、共謀罪NO!実行委員会と「秘密保護法」廃止へ!実行委員会の主催の「言論弾圧を許すな!侮辱罪の厳罰化反対!」をスローガンに、秘密保護法廃止!共謀罪廃止!監視社会反対!「12・6 4・6を忘れない6日行動」が行われた。

 ひきつづいて衆議院第一議員会館で院内集会「警察の個人情報収集と市民監視」が開かれた。

白龍町マンション建設事件

 集会では、原告からのアピールのはじめに、白龍町マンション建設暴行デッチ上げ事件訴訟の奥田恭正さん。名古屋白龍町マンション建設暴行デッチ上げ事件とは、2016年名古屋市瑞穂区白龍町で高層マンション建設に反対していた奥田さんが、工事の現場監督の胸を両手で突いたとして暴行罪で逮捕・起訴され、18年2月に名古屋地裁で無罪判決、その後、検察は控訴することなく確定したものだ。奥田さんは警察と業者による事件の計画、不当な逮捕や取り調べ、起訴に対して名古屋地裁に国家賠償を提訴し、また逮捕時に採取されたデータの抹消を求めていた裁判を起こした。この1月18日、名古屋地裁は「指掌紋、顔写真、DNA」の3データの抹消を国に命じた。

大垣警察市民監視事件

 つづいて、大垣警察市民監視事件原告の近藤ゆり子さん。大垣警察市民監視事件は、2014年7月、岐阜県西濃地区での風力発電所の建設計画をめぐり勉強会を開いた地元住民2人と平和活動をしていた市民2人の個人情報を大垣警察署の警備部(公安警察)が集め中電の子会社シーテックに提供したとされる事件で、原告は監視等は違憲であり国賠と個人情報の抹消を要求し岐阜地裁に提訴した。その判決が2月21日にあり、「情報提供が正当な理由に基づくものとはいえず違法」として、岐阜県に対し原告4人それぞれに55万円の賠償を命じた。しかし、原告らの個人情報を抹消するよう国と県に求めた請求は却下され、いま個人情報抹消請求の闘われている。

 この二つの裁判の経過と意義について、中谷雄二弁護士(白龍町暴行デッチ上げ事件代理人)が「問われる警察の個人情報収集、市民監視」と題して報告をおこなった。


IR誘致には、まず賛否を問う住民投票を実施すべきだ

      
そこには愛はあるんか?大阪市長吉村!

 和歌山県が横浜市に続いてIR(統合型リゾート)の導入を否決した。大阪と長崎が国への整備計画の認定申請を行っている。
 大阪市は、「夢洲のポテンシャルを最大限活かし、統合型リゾート(IR)を核とした国際観光拠点の形成により、国内外から人・モノ・投資を呼び込み、大阪・関西の持続的な経済成長に繋げるため、大阪・夢洲へのIRの立地実現に向けて取り組んでいきます」というが、反対の声は広がっている。
 大阪市では、この2月に市政野党の自民党市議団などが市民の賛否を問う住民投票条例案を提出したが、大阪維新の会と公明党によって否決された。
 この間、1月から開催された大阪府市のIR推進局による説明会は5回目でコロナにより中断し、あとの6回はネットによる質問となり、大半の意見は反対であった。
 大阪湾の地盤は世界でも稀な弱さで、関西空港の2期空港島は沈下しつづけているが、3月大阪市議会では、大阪湾の埋め立て地の軟弱地盤改良のため億円790を大阪市が負担することになった。カジノに限ってこんな公金がどんどんと投入されていく。府知事の松井一郎は「IRカジノには公費は一切使いません!」と豪語しておきながら、計画が進行するにつれて態度を豹変させている。この状況に大阪府全体で住民投票実施に向けての住民投票条例制定の「直接請求署名」の取り組みが各自治体で進められている。
 私の住む吹田市でも340名の受任者が連日駅前や街頭、戸別訪問を活動を行っている。ある人は連日駅前に立ち、また2名の個別訪問でたった一日で80筆集めた人もいる。この取り組み中に特徴的なことがふたつあった。ひとつは、山口県阿武町でのスマホによるカジノでの大金投入。もうひとつは5月20日コロナ死者が大阪で累計5000人を超えた。なんと東京を600人近くオーバーしているのだ。それは大阪市には保健所が一か所しかないことに如実に出ている。弱者を踏みつけにし物言わさぬ笑うファシストのこの10年に及ぶ悪政によって「人情の街」「浪速のド根性」とうたわれてきた大阪の大変貌を表している。
 この間、吹田では大学教授を呼んで8名で学習会をした。その中で驚いたのが、10年後のカジノ開業に向けて2年間800億円の販売促進費が投入され射幸心が掻き立てられることだ。そのターゲットは、いまの小中学生である。カジノでは3Dゴーグルを装着してのシューティングゲームなどの様々なスタイルがあり、さらにレベルアップした驚きの世界に放り込まれるだろうと説明されたことだ。
 大阪府は府民広報誌で、ギャンブル依存症や治安・風俗対策をとって懸念の最小化を図るとしている。だが、いま行政がやるべきことは府民市民の生命をコロナから守ることだ。維新政治の先には暗黒の犯罪都市しかイメージできない。「愛もないのにIR」―あるのはばくち開帳の公営賭博場です。こんなもの大阪には絶対にいらない。 
(追伸)大阪府内では署名数が府内有権者の50分の1をこえた。吹田市内では1万人を突破した。これから参議院選挙をはさんで住民投票実現にむけてさらに取り組みが強められている。


せんりゅう

    人間も生態系のひとかけら

         ばいぞうの声格差倍増にきこえ

    倍増するは武器業と虚業

         骨太であってほしいよ立憲さん

    米乱射プーチン乱射似てますね

         小さな政府で軍事大国へキシダ

    アベノミックスで新しい資本家主義キシダ
    
                    ゝ 史
2022年6月


複眼単眼

      
政界「下駄の雪」考

 都都逸の「踏まれても蹴られてもついていきます下駄の雪」からきたというこの言葉は、政界では公明党にたとえられるが、最近の同党の北側一雄副代表の動きをみているとこの言葉が腹立たしいほどによく似合う。
 お恥ずかしい話だが、私は高校生の頃、学校の「伝統」で粋がって、雪道でも白い鼻緒の「朴歯の高下駄」を履いて通学していた。この下駄と「踏まれても」の下駄は構造が異なると思うが、あの冷たい感覚はいまでも残っていて、下駄の雪の話には妙に実感がある。話が横道にそれた。
 公明党の北側氏と言えば、2014〜15年の安保法制の議論の当時、自民党案に賛成してこう言っていた。
「率直に申し上げると、今回の安保法制が国会で認められたら、憲法9条の改正の必要性は相当遠のくだろうと私は思っている。限定的な集団的自衛権行使を容認し、それが法制の中に盛り込まれているので、9条改正の必要性は当面はないのではないかと個人的に思う」(2015年6月5日都内にてインタビュー)
「現時点であえて(9条を)改正する必要があるとは思えない」(2015年5月6日、毎日新聞)と述べ、9条改憲に慎重な姿勢を示していた。
 ところが、先日、5月19日の憲法審査会で、北側氏は、自民党がいうように9条に自衛隊の根拠規定を書きこむのではなく、「9条1項、2項は堅持した上で、首相や内閣の職務を規定した72条や73条に自衛隊への民主的統制を書き加える案も検討できる」との考えを示した。
 北側氏は「これから党内で議論したい」との考えを示す一方、9条に関しては「1、2項堅持は大前提だ。そこを改正しようと言うなら賛成できない」とも述べた。
 驚くべき妙案だ。
 これなら「公明党は9条はいじらない」と強弁して、憲法に自衛隊を書き込むことができる。
 憲法審査会を傍聴ながらそのあまりの「下駄の雪」ぶりにのけぞった。
 もっと驚いたのは、公明党の山口那津男代表が5月24日に、北側副代表の「私案」について、「憲法との関わりで文民統制を明確にしようという試みの議論はあって然るべきだ。大いに幅広く議論をしていいのではないか」と述べたのだ。
 要するに自民党が掲げる9条への自衛隊明記に公明党内で異論が根強いことから、公明党が歩み寄れる妥協点を提示したのだ。
 ところが、自民党の安倍晋三元首相はおどろかなかった。
 6月3日のインターネット番組で、北側見解は「一歩は前進だ」と一定の評価を示したのだ。「いきなり(首相の職務に関する)72条に(自衛隊が)出てくるのはどうなのだろうという議論も当然あるだろう」と付け足しながらではあるが、北側氏はどこかで安倍氏と語らっているのではあるまいか。
 公明党の山口氏や北川氏が自民党の「下駄の雪」であることに文句はいうまい。 しかし、公明党員や創価学会の会員諸氏よ、あなたがたも山口氏や北側氏らの「下駄の雪」でいいのか。そろそろ宗旨を変えてはいかがか。 (T)


夏季カンパの訴え

      労働者社会主義同盟中央委員会

 岸田政権は強引に軍備増強・改憲への道を進もうとしています。急速に進む高齢化・人口減少、長期にわたる経済停滞ななかで社会的格差・貧困化がすすみ、いま日本社会の内実はかつてない危機的な状況になりつつあります。そして激しい物価上昇・インフレが直撃しようとしています。こうした現実的諸難問の解決努力するのではなく、アメリカの覇権主義体制を守る、その中で自らの権益増大を図ろうとしているのが岸田内閣です。
 いよいよ参院選が始まります。この選挙は自民党政権の戦争と反動、社会の衰退をもたらすのか否かが問われる今後の日本の政治を決定する極めて重大な意味を持ちます。市民と野党の共闘を強化拡大して勝利し、一日も早くこの政権を打倒しなければなりません。労働者・人民の力を強化し、団結を広げ、総がかりで政治変革の流れを加速させましょう。
 われわれは、いっそう奮闘する決意です。みなさんに、夏季カンパを訴えます。