人民新報 ・ 第1412号統合505号(2022年8月15日)
  
                  目次

● 旧統一教会まみれの自民党の実態を明らかにし

        安倍「国葬」反対の大きなうねりをつくろう

● 上海コミュニケを基礎に米中両国は関係改善を

        上海コミュニケ(ニクソン米大統領の訪中に関する米中共同声明)―1972年2月28日

● 2022年度の最低賃金

        加重平均31円引き上げ961円(3・3%)が決まる

● 維新トバクで大阪の成長はない!

●  ピースサイクル 2022  −  守ろう!平和憲法  なくそう!原発・核兵器・米軍基地 

        「想いをつないで」32年目の長野ピースサイクル実走

        ピースサイクルは、浜岡原発原子力館前で抗議行動!  中部電力は話し合いに応じろ! 浜岡原発廃炉の要請を行う

        埼玉ピースサイクルネットによる自治体訪問・要請行動

        大阪&広島ピースサイクル

● せんりゅう

● 複眼単眼  /   「当面する私たちの課題」のためのメモ






旧統一教会まみれの自民党の実態を明らかにし

        安倍「国葬」反対の大きなうねりをつくろう


岸田改造内閣は難題山積

 8月10日、第2次岸田改造内閣が発足した。9月上旬といわれたものが大幅な前倒しとなった。これには安倍・菅の露骨な日米軍事同盟・軍事大国化路線をひきつぐ岸田内閣が直面する多大な困難をなんとか乗り切ろうとする焦りが見える。
 岸田は、改造内閣発足の記者会見で「新型コロナ(ウイルス)、ウクライナ危機、台湾をめぐる米中関係の緊張、そして国際的な物価高、引き続き我が国の内外で歴史を画するような様々な課題が生じています」と自らのまえに横たわる課題を述べた。
 くわえて安倍元首相の暗殺と自民党など保守・右派政党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会=世界基督教統一神霊協会)との切っても切れない関係の社会的暴露、安倍「国葬」反対の声のひろがりがある。参院選に勝利し、改憲に暴走しようとしていた自民党にとっては難問山積となっている。内閣改造直前8月8日のNHK論調査では、内閣支持46%(前回3週間前の調査より13ポイント低下)、不支持28%(同7ポイント上昇)だった。支持の割合は去年10月の岸田内閣発足後の最低を記録した。
 安倍「国葬」については、「評価する」が36%、「評価しない」が50%だった。安倍「国葬」は、安倍路線を国家的に評価・継承を内外に宣言し、それを「国民」に強要するものであり、決して許すことのできない暴挙である。
 安倍政治は、わが国の政治・経済・社会の状況を危険な水域にまで引き込んだ悪政であった。
 コロナ対策は失敗し、森友学園、加計学園、桜を見る会問題、消費税の10%へのアップ、教育基本法の改悪、防衛省の設置、特定秘密保護法の制定、武器輸出禁止3原則の撤廃、集団的自衛権の閣議決定と戦争法制、共謀罪・組織的犯罪処罰法の制定、アメリカ製高額兵器の購入、辺野古米軍基地建設、南西諸島への自衛隊配備とミサイル基地化を強行し、そして辞任に際しては敵基地攻撃論、核「共有」などを置き土産とした。
 安倍政治は、社会的格差の拡大・貧困化をもたらし、日本を戦争する国にしたものであり、何ら評価にあたいするものではない。まったくその逆に全面的に否定されるべきものである。

政治焦点・「国葬」問題

 安倍「国葬」問題は、今までの日本政治をどう評価するかという問題であるとともに、今後の政治の行方を左右する大きな政治課題・焦点になった。
 7月22日、岸田は、国会に諮ることもなく、安倍「国葬」を9月27日に日本武道館で、全額国費で行うことを一方的に閣議決定した。
 閣議決定当日の22日、首相官邸前では早朝から、市民団体が抗議集会を開いた。「許すな!憲法改悪・市民連絡会」など11の市民団体のよびかけによる緊急の行動にもかかわらず400人が参加し、安倍「国葬」決定に反対の声をあげた。
 安倍「国葬」反対の声はますます広がっている。
 8月6日には、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」など45団体などで構成する「安倍元首相の『国葬』に反対する実行委員会」が結成された。実行委員会は10日には参院議院会館で記者会見をおこない、総がかり行動の高田健さんが、今後の取り組みなどについて発表した―8月31日に国会前で5000〜1万人規模の集会を開く。9月19日に改憲発議反対と脱原発を訴える1万人規模の集会(代々木公園予定)で、国葬反対も訴える。国葬当日は全国での抗議行動を呼びかけることと合わせて、国葬と同時刻に国会正門前でのおおきな対抗抗議行動を軸にさまざまな市民行動を展開する。その他、学習・講演活動や、日時を統一しての全国各地の駅頭スタンディングなど、多彩な行動をつくる。

岸田政権を追詰めよう

 旧統一教会がらみの諸問題の社会化によって自民党とりわけ安倍派は窮地に陥っている。だが、改憲派は参院選で改憲が承認されたと強弁し、また安倍の死をも政治利用しながら、改憲方針の貫徹を狙っている。
 改憲派が衆参両院で改憲発議にたる三分の二以上を占めたとはいえ、先にみたように岸田政権の前途にはさまざまな難題が並んでいる。旧統一教会問題などをうまく逃げ切らない限り、改憲提起は簡単ではない。
 市民と野党の共同を再組織し、総がかりの闘争体制を強め広げ、人びとの生活と権利を守り、戦争への道を阻止する運動をすすめていこう。


上海コミュニケを基礎に米中両国は関係改善を

 ナンシー・ペロシ米国下院議長の台湾訪問は、米中間の緊張を一挙に高めた。
 中国は台湾包囲の軍事演習を行った。国交正常化50周年を迎える日中関係も緊迫した。関係諸国・地域は基本的な原則に立ちかえり事態に慎重に対処しなければならない。 
 8月3日、王毅中国外相は、ペロシ訪台について、「この行為は『一つの中国』原則への重大な違反であり、悪意をもって中国の主権を侵害し、公然と政治的挑発を行うものであり、中国国民の強い憤りと国際社会の一致した反対を招いている。…台湾海峡の平和と安定の鍵は『一つの中国』原則であり、中米の平和的共存の真の『ガードレール』は中米間の3つの共同コミュニケである。『米国に頼り独立を謀る』のは破滅への道であり、『台湾を利用して中国を牽制する』のは失敗する運命にある」と述べた。
 3つの共同コミュニケとは、「上海コミュニケ」(1972年2月28日)、「外交関係樹立に関する共同コミュニケ」(1979年1月1日)、「第2次上海コミュニケ」(1982年8月17日)である。1972年の「上海コミュニケ」は、リチャード・ニクソン大統領と周恩来首相によって世界情勢と台湾の政治的地位などについての双方の見解が述べられている。1979年1月1日付の「アメリカ合衆国と中華人民共和国との間の外交関係樹立に関する共同コミュニケ」では、「アメリカ合衆国は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。この範囲内で、合衆国の人民は、台湾の人民と文化、商業その他の非公式な関係を維持する。…アメリカ合衆国及び中華人民共和国は、上海コミュニケで双方が合意した諸原則を再確認するとともに、次のことを再び強調する。一、双方は、国際的軍事衝突の危険を減少させることを願望する。一、いずれの側も、アジア・太平洋地域においても又は世界の他のいずれの地域においても覇権を求めるべきではなく、また、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国又は国の集団による試みにも反対する。一、いずれの側も、いかなる第三者に代わつて交渉し、又は第三国に向けられた合意若しくは了解を他方の側と行う用意もない。一、アメリカ合衆国政府は、中国はただ一つであり、台湾は中国の一部であるとの中国の立場を認める。一、双方は、米中関係の正常化は、中国及びアメリカの人民の利益に合致するのみならず、アジアと世界の平和に貢献するものと信ずる。」
 米中両国は、1979年3月1日に、大使を交換し大使館を設置することとなった。米中の国家間関係の基本を定めたものは両国首脳自身が結んだ3つの共同声明であり、米中両国は両国関係を規定している条約を基礎として緊張緩和・関係改善を図るべきである。

上海コミュニケ(ニクソン米大統領の訪中に関する米中共同声明)―1972年2月28日
 リチャード・ニクソン・アメリカ合衆国大統領は、周恩来中華人民共和国総理の招きで、1972年2月21日から28日まで、中華人民共和国を訪問した。同大統領には、ニクソン夫人、ウイリアム・ロジャーズ米国国務長官、大統領補佐官キッシンジャー博士及びその他の米国政府関係者が随行した。
 ニクソン大統領は、2月21日、毛沢東中国共産党主席と会見した。双方の指導者は、米中関係及び世界情勢について、真剣かつ率直な意見交換を行なつた。
 訪問期間中、ニクソン大統領と周恩来総理の間で、アメリカ合衆国と中華人民共和国との関係正常化並びに双方にとつて関心のある諸問題について、広範囲にわたり、真摯かつ率直な議論が行なわれた。更に、ウイリアム・ロジャーズ国務長官と姫鵬飛外交部長も、同様の精神の下に会談を行なつた。
 ニクソン大統領一行は、北京を訪問し、文化、工業、農業に係る各所を参観し、また、杭州及び上海をも訪れ、同地において、引き続き中国の指導者と討論を行なうとともに、興味ある類似の場所を参観した。
 中華人民共和国とアメリカ合衆国の指導者は、長年にわたつて接触がなかつた後をうけて、今回各種の問題に関する見解を相互に忌憚なく提示しあえる機会を持つたことを有益と認めた。双方は、重要な変化と大きな変動が起こりつつある国際情勢を検討し、また、各々の立場と態度を詳らかにした。
 米国側は次のように述べた。アジアと世界の平和のためには、当面の緊張を緩和し、かつ、抗争の基本的原因を取り除くため努力することが必要である。米国は、公正かつ安定した平和のために努力するものである。なぜ公正というかといえば、これこそ自由と進歩をめざす諸国、諸国民の願いをかなえるものだからであり、また、なぜ安定というかといえば、これこそ外部からの侵略の危険を除去するものだからである。米国は、世界のすべての人々の、外部からの圧力や干渉のない、個人的自由と社会的進歩を支持する。米国は、事故、誤算、あるいは誤解によつておこる対決の危険を減少させるために、イデオロギーを異にする国と国との間の意思疎通を改善することは、緊張緩和への努力に資するものと信ずる。各国は、相互尊重の念をもつて対処し合うべきであり、また、行為をもつて最終的審判たらしめることにより平和裡に競争することにやぶさかであつてはならない。いかなる国も自国の絶対的正しさを主張すべきではなく、各国は、共通の利益のために、自国の態度を再検討する用意がなければならない。米国は、インドシナの諸国民が、外部からの干渉をうけることなく自らの運命を決定することを許されるべきであり、従来から米国の一貫した最も重要な目標は交渉による解決であり、ヴィエトナム共和国と米国が1972年1月27日に提示した8項目の提案は、この目標達成への基礎となるのであり、交渉による解決が得られない場合、米国は、インドシナ各国の自決という目標に合せて、この地域から最終的にすべての軍隊を撤退させることを想定している旨強調した。米国は、大韓民国との密接なきずなと同国に対する支持を維持する。米国は、朝鮮半島の緊張緩和及び意志疎通の強化のための大韓民国の努力を支持するものである。米国は、日本との友好関係に最高の価値を置いている。米国は、現在の緊密な紐帯を引続き発展させるものである。1971年12月21日になされた国際連合安全保障理事会の決議に従つて、米国は、インドとパキスタンとの間の停戦が継続すること、並びにすべての軍隊が各々の領土内及びジヤム・カシミール停戦ラインの各々の側へ撤退することに賛同する。米国は、南アジアの諸国民が、軍事的脅威を受けることなく、平和的に、また、この地域が大国の競争の的とされることなく、自らの将来を形成する権利を支持する。
 中国側は、次のように述べた。圧迫のあるところには反抗がある。国家は独立を求め、民族は解放を求め、人民は革命を求めており、このことは、はばむことのできない歴史の流れとなつている。すべての国は、大小を問わず平等であるべきであり、大国は小国を愚弄すべきではなく、強国は弱国を愚弄すべきではない。中国は決して超大国にはならず、またいかなる覇権主義及び強権政治にも反対する。中国側は、次のように述べた。中国は、すべての被圧迫人民と被圧迫民族が自由と解放をかちとる闘争を断固支持する。各国人民は自己の意志に従つて自国の社会制度を選択する権利を持ち、また、自国の独立、主権、領土保全を維持し、外部からの侵略、干渉、支配、破壊活動に反対する権利を持つ。一切の外国軍隊は自国に撤退すべきである。
 中国側は、ヴィエトナム、ラオス、カンボディア3国人民が自己の目標達成のために払つている努力に対する断固たる支持、南ヴィエトナム共和国臨時革命政府の7項目の提案及び今年2月の同提案の二つの鍵となる問題の説明及びインドシナ人民首脳会議の共同宣言への断固たる支持を表明した。中国側は、朝鮮民主主義人民共和国政府が1971年4月12日に提示した朝鮮平和統一に関する8項目提案、及び「国連朝鮮統一復興委員会」を廃止すべきであるとの立場を断固として支持する。中国側は、日本軍国主義の復活と対外拡張に断固として反対し、独立、民主、平和、中立の日本をうちたてんとする日本人民の願望を断固として支持する。中国側は、インドとパキスタンが、国連の印パ問題に関する諸決議に基づいて、直ちに自己の軍隊を全て各々の領土内及びジャム・カシミール停戦ラインの各々の側へ撤退させるべきであると断固主張し、パキスタン政府と人民の独立、主権を守る闘争及びジャム・カシミール人民の自決権をかちとる闘争を断固支持する。
 中国と米国の社会制度と対外政策には本質的な相違が存在している。しかしながら、双方は、各国が、社会制度のいかんを問わず、すべての国の主権と領土保全の尊重、他国に対する不可侵、他国の国内問題に対する不干渉、平等互恵、及び平和共存の原則に基づき、国と国との関係を処理すべきである旨合意した。国際紛争は、この基礎に基づき、武力の使用または威嚇に訴えることなく解決されるべきである。米国と中国は、相互の関係においてこれらの原則を適用する用意がある。
 国際関係におけるこれらの原則に留意しつつ双方は次のように述べた。
 中国と米国の関係正常化への前進は、全ての国々の利益にかなつている。
 双方共、国際的軍事衝突の危険を減少させることを願望する。 
 いずれの側も、アジア・太平洋地域における覇権を求めるべきでなく、他のいかなる国家あるいは国家集団によるこのような覇権樹立への試みにも反対する。
 いずれの側も、いかなる第三者に代わつて交渉し、あるいは、第三国についての合意や了解を相互に取り決める用意もない。
 双方は、いずれかのある大国が、別の大国と結託してその他の国家に対抗したり、あるいは大国が世界中を利益圏に分割することは、世界各国国民の利益に反するものであるとの見解に立つている。
 双方は、米中両国間に長期にわたつて存在してきた重大な紛争を検討した。中国側は、台湾問題は中国と米国との間の関係正常化を阻害しているかなめの問題であり、中華人民共和国政府は中国の唯一の合法政府であり、台湾は中国の一省であり、夙に祖国に返還されており、台湾解放は、他のいかなる国も干渉の権利を有しない中国の国内問題であり、米国の全ての軍隊及び軍事施設は台湾から撤退ないし撤去されなければならないという立場を再確認した。中国政府は、「一つの中国、一つの台湾」、「一つの中国、二つの政府」、「二つの中国」及び「台湾独立」を作り上げることを目的とし、あるいは「台湾の地位は未確定である」と唱えるいかなる活動にも断固として反対する。
 米国側は次のように表明した。米国は、台湾海峡の両側のすべての中国人が、中国はただ一つであり、台湾は中国の一部分であると主張していることを認識している。米国政府は、この立場に異論をとなえない。米国政府は、中国人自らによる台湾問題の平和的解決についての米国政府の関心を再確認する。かかる展望を念頭におき、米国政府は、台湾から全ての米国軍隊と軍事施設を撤退ないし撤去するという最終目標を確認する。当面、米国政府は、この地域の緊張が緩和するにしたがい、台湾の米国軍隊と軍事施設を漸進的に減少させるであろう。
 双方は、両国国民間の理解を増大することが望ましいということに同意した。この目的のため、双方は、科学、技術、文化、スポーツ、報道のごとく、国民と国民との間の接触と交流が双方にとつて有益な特定の分野について、討議を行なつた。それぞれの側は、このような接触と交流を一層発展させることを容易にすることとする。
 双方は、両国間の貿易は、相互の利益がもたらされる他の一つの分野であると考え、平等互恵に基づく経済関係は、両国国民の利益に合致するものであることに同意した。双方は、両国間の貿易の漸進的発展を促進することに合意する。
 双方は、両国の関係正常化を進めるための具体的協議を行ない、また、双方の共通の関心事項について引き続き意見を交換するために、米国の高官の代表を随時北京に派遣すことを含め、種々の経路を通ずる接触を保つことに合意した。
 双方は、今回の訪問の成果が両国関係に新しい将来を開くであろうとの希望を表明した。双方は、両国の関係正常化は米中両国国民の利益に合致するばかりでなく、アジアと世界の緊張緩和に資するものと信ずる。
 ニクソン大統領、ニクソン夫人及び米国側一行は、中華人民共和国政府及び国民から示された礼儀正しいもてなしに感謝の意を表明した。


2022年度の最低賃金

        
加重平均31円引き上げ961円(3・3%)が決まる

 中央最低賃金審議会は8月2日、2022年度の最低賃金について、A・Bランク31円、C・Dランク30円を引上げる目安を厚生労働大臣に答申した。加重平均31円、3・3%の引上げは昨年の28円、3・1%を上回り過去最高の引上げで、全国加重平均は961円(前年930円)となった。この目安を受けて、各地方最低賃金審議会での審議を経て、都道府県ごとの地域別最低賃金(法定最賃)が決定される。すでにともにAランクの大阪では4日に31円引上げの時間額1、023円、東京では5日に1、072円が答申されている。
 今年の最低賃金の改訂は引き続くコロナ禍と急激な円安、ウクライナ戦争による物価の高騰により労働者、とりわけ非正規で働く労働者の生活がひっ迫する中で、どこまで大幅な引上げが行われるのかが焦点となった。各労働組合は最低賃金引上げを最重要課題と位置づけ、大幅引上げを求めて、精力的なとりくみを展開した。中賃の議論では、労働者側はすべてのランクで一律47円(約5%)の引上げを主張し、経営者側は中小零細企業の6月時点の賃金上昇率1。5%を重視すべきとしていた。労使の主張を踏まえて、公益委員は「3%を一定程度上回る水準」の引上げが必要と判断し、今回の引上げ額を決定した。
 しかし、過去最高の引上げとはいえ、31円の引上げでは生活改善には程遠いことは明らかである。「今年度は、特に労働者の生計費を重視した目安額とした」としているが、そうであるならば春闘の賃上げ率2%超に、少なくとも3%の物価上昇率を加えた5%を超える引上げをしなければならない。世界では物価高騰のもとで最低賃金が大幅に引上げられている。イギリスでは4月から9・5ポンド、約1、560円、フランスでは5月から10・85ユーロ、約1、530円、ドイツでは7月から10・45ユーロ、約1、470円、さらに10月からは12ユーロ、約1、690円、アメリカ・ロサンゼルスでは7月から16・04ドル、約2、140円に引上げられている。欧米だけではなく、南米、アジア、そしてアフリカでも最低賃金が引上げられている。しかも、これらの国々の最低賃金は全国一律である。(ちなみに地域別最賃をとっている国はカナダ、中国、インドネシア、そして日本の4か国だけである。) 
 松野博一官房長官は記者会見で「『新しい資本主義』の時代にふさわしい引上げ額の目安だ」と評価し、自民党も「物価上昇に負けない賃上げが重要であり、結果を高く評価したい」とコメントしている。連合は「公労使が議論を尽くし、労働条件改善に資する目安が示されたことを評価する」との事務局長談話を発表した。しかし、答申された目安は2010年の政労使の「雇用戦略対話合意」の「2020年までには全国平均1、000円をめざす」にも遠く及ばず、40道県が加重平均の961円を下回っている。喫緊の課題である地域間格差も縮まるどころ221円から222円に拡大した。
 最低賃金の「影響率」は2011年の3・4%から21年の16・2%へと上昇している。最低賃金への社会的な関心と注目が一段と高まっている。最低賃金1、500円以上と全国一律性の確立は急務の課題であり、それを実現させるための潮流を超えた幅広い運動の結集が求められている。


維新トバクで大阪の成長はない!

 「カジノの是非は府民が決める」を合い言葉に大阪府下の72行政区で住民投票条例制定を求めて取り組んだ署名は21万筆となりました。
 7月21日大阪城の西側にある大阪府庁舎前に600名が集まり、トラックに積まれた署名の提出を見守った。この動きに肝を冷やした維新吉村知事は、早々に大阪府臨時議会を招集した。府下では各自治体の市や町で住民投票を求める意見書が採択されてきていたのです。
 2020年「住民投票よりもコロナ対策を!」の住民の切迫した声を圧殺して2度目の住民投票を強行し、多額の税金と東京からの大量動員をかけて残ったのはコロナ汚染大爆発でした。この状況で大阪市大阪府全体を見渡して必要なのは、人の生命を守り救うことなのに、「大阪モデル」などのウソ八百を並べて医療介護を破壊しています。さらにペテン詐欺宗教に応援してもらった14人もの国会議員が露わになってきて「不勉強でした」で逃げ切ろうとしているさなかでした。
 そしてやはり7月29日府議会でも委員会審議は省略され本会議で1日で採決された。意見陳述では「吉村知事、あなたは失格だ」と住民側は批判しました。
 府庁前には、コロナ対応でも200名が集結して意思を表明しました。他人には厳しく自分に甘い橋下流の維新体質が如実に出た行政対応でした。死んだはずの都構想なのにネ。
 しかし私たちは今回の取り組みから勇気を出して声をあげれば政治を変えられることを体験しました。
 とくに街頭での話し込みや個別会話が維新支持の人たちとも話してみることの大切さを実感しました。この盛夏でパチンコ店で駐車場で幼児の生命が奪われています。これがカジノ=トバクの開帳となれば大阪浪速の地位は地に落ちてしまいます。
 無責任の極みの安倍、橋下、維新政治を打ち破るために、来年の地方選にむけて地道にガンバりましょう。
 これまでの失敗から学べば、まだまだ前進し連帯を強められると思います。  (河田)


守ろう!平和憲法  なくそう!原発・核兵器・米軍基地

       
 ピースサイクル 2022

 2022年の全国ピースサイクルが、酷暑、コロナ蔓延などの厳しい条件の下、以下のような目標を掲げて取り組まれた。

 ☆福島をはじめとして、原発による被害を受けている人々へ東電と国に補償させよう!
 ☆原発・核燃再処理工場はいらない!再稼働・原発輸出NO!再生エネルギーへの転換で人間と自然環境を守ろう!
 ☆オール沖縄と連帯し、辺野古新基地建設反対!秘密保護法・安保関連法・共謀罪法廃止!集団的自衛権行使NO!で「戦争しない国」へ! 参議院戦勝利で岸田政権を交代させよう!
 ☆コロナで弱者を切り捨てるな、公助優先で暮らしと命を守ろう!
 ☆気候危機への大胆なCO2削減計画と巨大災害への抜本的な防災・減災対策を! 

「想いをつないで」32年目の長野ピースサイクル実走

 コロナ禍で30回、31回は上田から松代までの長野県内ショートコースに甘んじた長野ピースサイクルは32回目、今年も日帰りかと危ぶみつつ、6月末にようやく3年ぶり長野県松代(大本営予定地下壕跡)から新潟県柏崎市(東電柏崎刈羽原発)までのピースサイクルの実施に向けて試走を行った。3年間で自転車走行のための環境には様々な変化もあり、コロナ感染にも配慮して慎重に計画した。
 7月23日(土)午前9時過ぎ、「まもろう9条」「なくそう原発」の旗を付けた自転車実走4名、「戦争反対」「9条壊すな」等の看板をつけた伴走車2名が松代を出発した。東電柏崎刈羽原発まで約150kmを2日間で走行し、ピースサイクル新潟と柏崎で合流する。
 私たちは32年前の第1回目の長野ピースサイクルから、松代を日本が行った77年前までの戦争加害の原点と位置づけ、ヒロシマ、ナガサキ、オキナワなどの戦争被害の地へ思いをつなげようと、意識的にこの場所を出発点として選んできた。とかく日本の戦争を被害の立場からしか見ない視点を克服して、厳然たる加害者の立場に立つことで、憲法の前文と9条の意義を認識し、戦争を考えようとするものだ。
 ロシアによるウクライナ侵攻という戦争が進行し、それを機に「日本が攻められたら」とか「台湾有事」などをことさら強調して、「改憲」や「防衛力の強化」が声高に煽り立てられている昨今、2日間のピースサイクルでどれだけ訴えられるかという思いもよぎる中だが、32年間長野県内の市町村長や議長、市民のピースメッセージを携えて走り、最終的には8月6日広島市長、8月9日には長崎市長、そして沖縄県知事へとそれが届けられるようにする全国の仲間と連帯した取り組みには、今年も周囲から多くの賛同とピースメッセージが寄せられた。数は首長10、議長11、市民14(それぞれ広島、長崎、沖縄あて計105通)となった。
 長野ピースサイクルがずっと「脱原発」を掲げているなかで、毎年立ち寄らせて頂いた須坂市にあった長野ソフトエネルギー資料室は2020年3月に閉じられたため、今回は実走コースら外れたが、近くを走行する中で20数年もの間、走行途中でお世話になった資料室と冷たいスイカや麦茶で歓迎してくれた皆さんと共有した「脱原発」「平和」への想いは今年も参加者の話題に上がった。
 そういう話のなかで、脱原発を訴えた母の記録『聞いてください』の著者故・坂田静子さんが市民運動を始めた拠点でもあり、太陽光発電の最初の自作設備を30年以上動かし続けて、原発や核兵器の廃絶を「ソフトエネルギーへの転換」という視点から取り組まれた運動の重要性は今も強まっていることをあらためて感じている。まさに「想いをつないで…」で私たちの中に生きている。
 途中から1名が新たに参加して、いよいよ長野ピースサイクルで「一緒に自転車で走った感」が体験できる急な上り坂が始まる。行く手の空には怪しい雲行きが見え始め「雷雨」の予兆かと気をもんだが、実際はむしろ直射日光が陰って、比較的走りやすい状況となった。みんな元気だ。
 昼食は坂の途中のレストランですませて、さらにきつい上り坂へと進む。今年は電動アシストのロードバイクで参加した80才越えのメンバーがトップで上りきった。改めて「文明の利器」のすごさとともに、高齢になっても続けられるピースサイクル運動へのヒントをもらったように思う。
 それから後は、一気に坂を下って、妙高高田駅前のホテルまで走る。到着直前に少し雨が降り始めたがほとんど濡れることなくこの日の走行を終えた。コロナ禍に配慮して残念ながら宴会は無し、夕食はホテルの近くの食堂で個別に食事。それでもささやかに乾杯して1日目は無事終了した。部屋もコロナに配慮して個室確保だ。
 7月24日(日)は朝から晴天。午前8時過ぎに朝駆け付けた1名を加えて順調に走り始める。じりじりと暑さが増す中、いつ熱中症になってもおかしくない状況ながら、水分補給と定番の冷えたトマトときゅうりをかじりながら、柏崎刈羽原発めざして田園地帯をひたすら走る。途中休憩のいつもは無人野菜の直売所には、この日は人がいて「長野から柏崎原発まで自転車走行中である」ことを告げると、日陰の休憩場所の提供だけでなく「お茶もどうぞ」と声をかけてくれた。そして、昼前には海の近い国道8号線へと進み海沿いを走る。今年も佐渡ヶ島は見えないが海は穏やかだ。
 昼食は鮮魚センターの食堂でそれぞれ済まして、再び8号線をひた走る。午後2時過ぎには原発直前の急な坂を上りきってテプコ館前に到着した。すでに到着していたピースサイクル新潟のメンバーと3年ぶりの再会。そのまま、柏崎刈羽原発の広報担当を通じての東電への申し入れ行動を行った。コロナと改築中を理由に部屋には入れてもらえず、事務所前での申し入れ行動になったが、担当者には比較的低姿勢の物言いがあり、トラブルを繰り返している柏崎刈羽原発側の対応に若干の変化を感じた。しかし、再稼働やトリチウム汚染水の放出への動きは止まっているわけではないので、「再稼働の停止、東電の責任の履行」などを強く要求して申し入れ行動を終えた。
 この後、ピースサイクル新潟のメンバーに別れを告げ、長野ピースサイクルの夏の実走を終了した。長野ピースサイクルの実走参加者はこれまでで一番少なかったが、今年も楽しく充実したピースサイクルとなった。 これから秋には32冊目の活動報告集作成や秋のホリディピースサイクルを企画していく予定だ。

 ピースサイクルは、浜岡原発原子力館前で抗議行動!  中部電力は話し合いに応じろ! 浜岡原発廃炉の要請を行う
 2022年7月21日、ピースサイクルは浜岡原発に対し、廃炉を求める要請を行った。ただし、今年については、浜岡原発の社員とピースサイクルの話し合いの場(意見交換会)は持つことができなかった。 経過は以下のとおり。
 2日前の7月19日、話し合いの時間をコロナの感染状況もあり、60分を40分に短縮することで浜岡原発の社員と最終確認をした。
 しかし翌20日の夕方、浜岡原発の社員から電話で、「県内のコロナ感染拡大が急激なため、明日(7・21)の意見交換会は中止にして、屋外で申し入れ書を読みあげて終了したい」旨の連絡があった。これに対してピースサイクルは、「急激なコロナ感染拡大の対策として、@室内で行なっている意見交換会を屋外の日陰で30分行う。若しくは、A7月10日に書面で出している質問に対する回答を後ほど書面で回答する。のどちらかで対応願いたい」を提案したが、中電は全く受け入れず、21日は屋外で中部電力の会社の不誠実な対応を、40分追及せざるを得なくなった。ピースサイクルは、コロナ感染対策もあり、主に提案Aの書面の回答に重点を置き、「即答は難しいと思うので例えば、本社に検討していくように上申していく」旨の返答を求めたが…。
 社員「回答はしない。頂いた質問、申し入れ等は上へ伝えておく」
 ピースサイクル「回答しない理由は?」
 社員「会社の方針」(何回聞いても、会社の方針しか言わない)
 ピースサイクル 「上のどこへ伝えるのか?」
 社員「しかるべき部署」(何回聞いても、具体的な部署は言わない)

 結局、屋外で立ったままの状態でピースサイクル10人、広報担当の社員2人
で40分話したが、中電の原発に反対する人間には真摯な対応をしない方針であることが浮き彫りになった。最初から「本社に書面での回答を検討していくように上申していく」と言えば、要請書を読みあげて終了している行動になっていた。 途中、ピースサイクルのメンバーが、「この場で質問の回答をしてほしい。そんなに時間はかからないから」と言ったが、社員は「ここでは意見交換はしない」と原発の社員は不誠実な対応に終始した。ピースサイクルは浜岡原発の廃炉にむけて、諦めずに活動を続けていく。

ピースサイクル浜松・ピースサイクル神奈川の中部電力株式会社林欣吾社長あての「浜岡原発の永久停止・廃炉などを求める申入書」
 申し入れ項目について、書面での回答を求めたいので検討されたい。
 @中部電力は、浜岡原発の再稼働を断念すること。全炉を永久停止し、廃炉の方針を決定すること。
 A中部電力は、浜岡原発敷地内の使用済み核燃料を安全に保管すること。
 B中部電力は、タレントや社員を原発の再稼働のために使っている、テレビCMは放映しないこと。そのCMの宣伝費を電気料金の値下げに回すこと。
 C中部電力は、企業の社会的責任の観点から、市民の意見に真摯に耳を傾ける姿勢を持つこと。
 D中部電力は、東京電力の旧経営陣に対する13兆円の賠償命令(2022年7月、東京地裁判決)を重く受け止め、東電の旧経営陣のような責任回避をしないこと。

埼玉ピースサイクルネットによる自治体訪問・要請行動
 今年は気候変動のせいか梅雨明けしたと思ったら二回目の梅雨戻りとなり、埼玉北部では雨が降りやすい天気となりましたがびしょ濡れは避けられました。
 6月段階に自治体へ事前に要請書を提出しました。前任の担当者が代わりいくつかの行政から訪問に関する問い合わせがありました。7月14日午前9時から要請行動を埼玉県庁から始め、さいたま市役所、北本市役所、上尾市役所の4自治体を回りました。上尾市役所は今回初めての訪問でした。浦和スタンディングのメンバーのつながりで上尾市議を紹介して頂き訪問ができました。上尾市では2021年6月28日の議会決議で「@悲惨な沖縄戦の戦没者の遺骨等が混入した土砂を埋立てに使用しないこと」「A戦没者の遺骨収集の推進に関する法律により、日本政府が主体となって戦没者の遺骨収集を実施すること」を国会などに上申しており、埼玉県内の多くの自治体でこの主旨決議をあげている。各自治体へは要請書を読み上げ、行政からはピースサイクルあてのメッセージを読み上げて頂きました。
 要請書前文では「新型コロナウイルスの世界的流行により、数多くの犠牲者が出ています。政府のコロナ対策の遅れなどにより、各地で医療ひっ迫や、生活困窮の救済が追い付いていない状況が続いています」、「2月24日のロシア政府による軍事侵略はウクライナの主権と領土を侵すものです。国連憲章と国際法の原則に明らかに違反しています。このような時、一部政党から出ている核共有はプーチン政権の立場と同様な『核には核の対抗』であり、被爆者の願いを踏みにじるものです。国連では核兵器禁止条約が多数の国により発効されました。原爆を投下された経験を持つ日本は積極的に核兵器禁止条約を批准する責務があります」、「ウクライナ侵略戦争に関して「防衛装備移転三原則」の運用指針を拡大解釈改定しましたが即、取りやめるべきです」、「進むべき道は武力の行使を禁じた国際憲章・憲法9条に基づく平和的外交努力の先頭に立つことです。」 このほか要請項目として「国連における核兵器禁止条約を批准するよう政府に働きかけをされたい」などの7点の要請項目を提出しました。
 これに対して各行政からメッセージがピースサイクルに出され、「平和を考える集い、戦争展や被爆体験者証言映像などを通して戦争の体験を後世に伝え、核兵器廃絶に貢献していきたい」、「ロシアのウクライナへの軍事侵攻は他国の主権と領土を侵害する国際法違反の行為であり、深刻な人権侵害行為です」などが紹介された。
 最後まで熱中症に罹る人もなく無事要請行動を終了することができました。
 上尾市役所で自転車を回収する頃には雨が本降りとなりましたが17時頃浦和駅に到着し、解散となりました。

大阪&広島ピースサイクル
 今年の四国ピースサイクルは毎年秋に開催の伊方集会に合わせて行う事となりました。
 例年は、8月3日に四国伊方原子力発電所への要請行動を行って、5日に呉で大阪ピースサイクルと合流して広島市の原爆ドームへ向けて走りますが、今夏は呉からの行動となりました。
 出発前には、突然のどしゃぶりの雨が降りましたが、全員でボードを掲げて共に走り抜く決意をアピールしてスタートしました。
 雨が降り、連日の猛暑がうそのように涼しくなり、少し風も出る曇空の中を、大阪4台広島3台の自転車と2台の伴走車は、「ロシアよるウクライナ侵略戦争反対!」「守ろう・平和憲法!」「反核・反原発」を訴えながら、快適な走りで順調に広島市に入りました。
 最後の休息を終えて、目指す原爆ドームを目前にして、又しても猛烈な雨に見舞われ、小降りになるまで足止めとなりました。
 大雨の中、心配して待ち続けてくれた仲間の皆さんの歓迎の拍手に迎えられ無事に原爆ドーム前にゴールしました。
 30数年開催の到着集会で雨は初めての事でした。
 地元広島そして全国共同代表の挨拶を受けました。
 37回目の大阪ピースサイクルからは「1日に出発して、途中、兵庫ピースサイクル、岡山ピースサイクルの仲間との走行で無事到着した。長かったです」と元気な報告がされました。
 今年も、コロナ感染拡大で心配しましたが、無事に終えることが出来ました。
 最後に、原爆ドームをバックに全員で記念撮影をしてピースサイクル広島到着の成功を確認しました。


【声明】 安倍元首相の「国葬」に反対する

2022年7月21日

許すな!憲法改悪・市民連絡会事務局長  菱山南帆子

 2022年7月22日の閣議決定により9月27日に安倍元首相の国葬が行われると言われています。
 安倍政権下で一部の大企業が儲かることによって格差が広がり、「雇用を増やした」と言っていますが実は非正規雇用が増え、経済優先のコロナ対策を進めた結果、非正規労働者の雇止めが増加し、自死や孤独死、路上生活者が後を絶ちません。さらに、教育基本法改悪、秘密保護法、安保法制、働き方改革、カジノ法、TPP法、共謀罪法と様々な悪法を強行してきました。

 森友学園、加計学園、桜を見る会などの政治の私物化、疑惑隠蔽、国会での118回にも及ぶ虚偽答弁。伊藤詩織さんへの性暴力を行った山口氏の逮捕状もみ消しなど実に許されない事件が沢山ありました。

 この間報道されているように「旧統一協会」と安倍元首相らの癒着が明らかになってきています。悪質で違法な商法を隠ぺい擁護し、主張を政策に反映させた見返りに、人やモノや金を得るような政治を行ってきたことが、今回の山上容疑者の行動に繋がってしまったのではないでしょうか。

 このような金と利権の疑惑が次々と出てくる中で「国葬」の強行により「なかったことにする」わけにはいきません。またこのような「国葬キャンペーン」の中で「安倍元首相の悲願であった改憲を実現しよう」というような流れにさせてはなりません。

 岸田首相による安倍元首相の政治利用、改憲のための利用は許されません。莫大な税金を投入し、1人の人間を「国葬」という形で特別扱いし、全市民に「哀悼」を強制する「国葬」に反対します。

 志を同じくする全国のひとりひとりの市民の皆さんがそれぞれの可能なやり方で安倍元首相の「国葬」に反対する行動に立ち上がるよう呼び掛けます。



せんりゅう

     七十七年夏のあつさは今日もまた

          五輪ボロもうけの襤褸が出た

     NHKのり弁ニュース安倍のかげ

          妖怪のような政党宗教界

     値上げに音上げぐうのねもでない

           政治のトンネルも潜る汚染水
   
                       ゝ 史
2022年8月


複眼単眼

       
 「当面する私たちの課題」のためのメモ

 世界も、東アジアも、日本も、激動の時代に入っている。
 この激動のなかで、平和をめざすたたかいと、その展望が求められている。
 世界は多極化しつつあり、その衝突と合従連衡の時代がつづく。
 東アジアでは米日と中国が競う。今回のペロシ米下院議長の訪台は、まさに米国による挑発だ。台湾海峡に波風を立て、中國包囲網を強めようとしている。日本は対米追従しながら東アジア・インド洋地域での政治的軍事的覇権を狙って、対中国・朝鮮への挑発を継続し、緊張を生み出しながら。改憲と軍備拡大を進めようとしている。
 日本の民衆運動が岸田改憲との闘いを失敗させることはこの地域の平和への決定的な貢献になる。
 日中間の外交4文書やピョンヤン宣言は、この地域の平和を構築する基礎的な枠組みだ。
 これらを活かし、反覇権・非核・共生のアジアをつくること。核兵器禁止条約への加盟や非核兵器地帯条約の実現などをめざすこと。将来的には「東アジア地域安全保障条約」をめざす。アジアはこうして変わることができる。
 そのためにもアジア市民は連携し、交流し、これらの実現を下支えすることが必要だ。
 当面、私たちのメインスローガンは、「反改憲、反戦・平和、大軍拡反対、くらしをまもれ!」だ。
 岸田首相は「選挙で示された民意を受けて、与野党全体で一層活発な(改憲)議論が行われることを強く期待する」、(改憲の実現に向けて)「国会での議論をリードしていきたい」「できる限り早く発議に至る取り組みを進めていく」。「安倍元首相の思いを受け継ぎ、情熱を傾けた拉致問題や憲法改正など、自身の手で果たすことができなかった難題に取り組む」と述べた。
 しかし、安倍殺害は自民党安倍派と極右カルト集団旧統一協会との醜い癒着を明るみに出し、自民党をたちまち窮地に陥れた。
 これに対し、岸田は安倍国葬を利用して、どさくさ紛れに内閣の大改造をやり、自らの足場を固めようとしている。しかしこの岸田のあがきが自民党内の仁義なき戦いを食い止めることはむずかしい。
 当面する「安倍国葬反対」「安倍政権8年8カ月の悪政の清算」と、市民運動の再構築だ。これを出発点にして、今後の運動を積み上げ、岸田改憲を倒さなくてはならない。
 参院選の立憲野党の敗北の原因は各地での「市民と野党の共闘」の崩壊にあったことは明らかであり、これを再構築しなくてはならない。立憲民主党の再建には多少の時間がいる。まずは国会内での野党共闘を再構築すること、国会外での市民と立憲野党の共闘の再構築から始めよう。
 市民と野党の共闘の再構築のカギは、各地の市民の自主的な活動と、その強化であり、各地に各野党が注目するような自立的な市民運動をどれだけ生み出せるか、拡大できるか、その自立的な市民運動が幅広い市民運動を構築し、立憲野党の共同の鎹(かすがい)になることができるかにかかっている。
 安倍国葬反対、改憲反対、岸田政権による大軍備拡張反対、軍事費ではなく生活をまもれ、などの課題はいずれも重要だ。特に沖縄・南西諸島の住民と連帯する運動を強化することは、米中争奪、台湾有事などの情勢のもとで極めて重要だ。ここにアジア情勢の諸矛盾が集中している。
 コロナで疲弊した日本の民衆運動を再構築しなくてはならない。積極的に運動を起こし、「総がかりを超える総がかり」運動をつくる。様々な政治的、宗教的いろあいの運動の大結集にとって、自律的な市民運動の組織化・強化とその先駆的役割は重要だ。
 とくに女性と青年が先頭にたち、幅広い年代の人びとも含めた運動を作りだし、2014〜15年を超える運動を作り出すことこそが課題だ。
 その保障は戦後70余年の民衆運動が作り上げてきた平和と民主主義の世論にある。全力で闘い、岸田改憲を阻止することだ。  (T)