人民新報 ・ 第1416号統合509号(2022年12月15日)
  
                  目次

● 敵基地攻撃能力は先制攻撃論だ  大軍拡・大増税の岸田内閣と闘おう

        戦争への道をひた走る「安保関連3文書」の閣議決定に反対する(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会 2022年12月6日)

● 23けんり春闘発足・学習集会

        金子勝さんの講演 「大破局からの脱却の展望」

● 岸田内閣の原発推進政策に反対

        緊急全国署名が短期間に14万筆を超す

● 監視社会化に反対だ

        「6の日」行動 議員会館前行動と院内集会

● 尼崎市長選の勝利と推移を振り返って〜地方自治を発展させ、維新政治の伸張を阻止するために〜

● 午前十時の映画

● 本の紹介  /   『9条とウクライナ問題〜 試練に立つ護憲派の混迷を乗り超えるために』

● せんりゅう

● 複眼単眼  /  櫻井よしこと岸田文雄

● 冬季カンパのお願い  労働者社会主義同盟中央委員会







敵基地攻撃能力は先制攻撃論だ

        大軍拡・大増税の岸田内閣と闘おう


戦争体制構築への大飛躍


 12月16日、岸田内閣は安保3文書―「国家安全保障戦略(国家安保戦略)」「防衛計画の大綱(防衛大綱)」「中期防衛力整備計画(中期防)」を改定する。日本は誤りの道に大きく踏み出すことになる。支持率を低下させつづけている岸田内閣は、多くの人びとの声を「聞く」どころか、真逆に戦争と増税を押し付けようとしている。それも何らの説明・協議もない一方的なやり方で、ほとんどの人は何が起こっているかも知らないうちでの歴史的な大転換が強行されている。安倍「国葬」決定同様な岸田な強権的なやり方に怒りが高まっている。
 この間の動きは急だ。12月5日、自民、公明の両党が、相手国領域内のミサイル拠点などを攻撃する敵基地攻撃能力の保有で合意した。翌日の産経新聞「主張」は「戦後の誤った防衛政策を是正する歴史的な決定といえる。日本と国民を守り抜くのは政党の最大の責務だ。与党の決断を高く評価したい」と書いた。まさに右翼が喜ぶような時代を画する「戦争する国」づくりへの大きな転換だ。
 安倍軍事大国化路線を継承した岸田による、もう一歩踏み出すあらわれが、この16日に閣議決定する新安保3文書である。
 自民党は今年4月に「新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言 〜より深刻化する国際情勢下におけるわが国及び国際社会の平和と安全を確保するための防衛力の抜本的強化の実現に向けて〜」をまとめている。この路線を公明党や維新の会、国民民主党や立憲民主党の一部などを引き込んで全面的に実現させようとしているのである。
 新安保3文書改定の内容はマスコミ報道によると、「国家安全保障戦略」では、中国について「わが国と国際社会の深刻な懸念事項であり、これまでにない最大の戦略的な挑戦」とされ、露骨な中国敵視政策が表現される。
 また、「防衛計画の大綱」は「国家防衛戦略」と変更され、敵のミサイル発射基地などをたたく「反撃能力」を保有することが明記し、その反撃能力について「日本に対する武力攻撃が発生し、弾道ミサイルなどによる攻撃が行われた場合、武力行使の3要件に基づき、攻撃を防ぐのにやむをえない必要最小限度の自衛の措置として相手の領域でわが国が有効な反撃を加えることを可能とする『スタンド・オフ防衛能力』などを活用した自衛隊の能力」とした。安倍内閣が閣議決定した武力行使の3要件とは、「@我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること、Aこれを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと、B必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと」だとしている。
 「中期防衛力整備計画」は「防衛力整備計画」となり、来年度から5年間の防衛費およそ43兆円(!)が明記された。内訳は、「スタンド・オフ防衛能力」5兆円、航空機や艦船などの維持や整備9兆円、新たな装備品の確保におよそ6兆円、弾薬や誘導弾の購入など2兆円、無人機の早期取得1兆円、宇宙分野1兆円、サイバーの分野1兆円などであるという。ばらまき大盤振る舞いの予算構想である。

反撃能力は先制攻撃となる

 相手国のミサイル発射拠点などをたたく反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有は、軍事戦略の段階を画する注目すべき大きな転換である。
 これまでとは違った精度の良い兵器で敵の基地を攻撃する。それも敵がミサイルなどを発射するとみられる場合にはこちらからの攻撃が許されるということだ。だが、こうした対応は先制攻撃となる可能性が極めて大きい。敵の攻撃を事前に察知することのむつかしさ、まして敵の意図を見破るなどというのは不可能なことだ。
 新しい戦略の下では、常に攻撃されるという被害者意識が一層強まり、すべての兆候が攻撃開始と思われるようになるのは当然だ。そしてこのことはただちに敵中枢の破壊=断頭戦略にエスカレートする全面戦争引き金を引くことになるのである。かつての米ソ核冷戦の状況がそうであった。
 岸田とその一党は、日本にそのおろかな道を後追いさせようというのだ。

闘いはこれからここから

 岸田内閣の戦争・増税の政策に断固反対しなければならない。戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会など多くの市民運動団体、労働団体、立憲野党がつぎつぎに反対の声明を出している。
 「安保関連3文書」閣議決定に反対して、閣議前日の15日午後6時半から国会議員会館前緊急行動(総がかり行動実行委員会・全国市民アクション)、閣議当日の16日午前8時半から首相官邸前緊急行動で(憲法9条を壊すな!実行委員会・総がかり行動実行委員会)が取り組まれる。
 岸田内閣の大軍拡・大増税方針は矛盾だらけだ。岸田の思惑通りに事態が進むとは考えられない。
 軍備増強の財源はどうするのかがこれから深刻な問題として提起されざるを得ない。借金まみれの国家財政状況の中で結局は大幅増税とならざるを得ない。これに世論の反発は必至だ。物価、少子高齢化、医療福祉など生活に直結するその他の予算金額の削減は避けられない。今後、自民党内の亀裂さえも拡大するなど政岸田内閣への批判がひろがるだろう。戦争は外交政策失敗の結果としておこる。岸田内閣の外交的努力なしの戦争準備は許されない。
 新安保3文書の閣議決定から、闘いは新たな段階に入る。岸田政策に対する批判を最大限結集し、また政府与党内部の矛盾をも利用しながら闘いおう。まさに闘いはこれからだ。
 新安保3文書反対! 敵基地攻撃能力保有反対! 全ての戦争準備反対! 憲法を守れ!の運動を全国に広げていこう。

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戦争への道をひた走る「安保関連3文書」の閣議決定に反対する

岸田自公連立政権は12月16日にも、「安保関連3文書」の閣議決定に踏み切る構えでいる。

この「安保関連3文書」は日本が大量の長距離ミサイルなど攻撃的兵器を保有して、中国や朝鮮などを一方的に仮想敵国と決めつけたうえで、自衛の名のもとに相手国を攻撃出来る軍事力を保有し、行使することを正当化し、自衛隊のみならず市民も巻き込んで戦うために、5年で総額43兆円にも上る莫大な国費を軍事費につぎ込むものだ。

この閣議決定が強行されれば、戦後70年余、日本国憲法のもとで、曲がりなりにも「他国を攻めない国」として「専守防衛」を「国是」としてきたこの国の安保防衛政策は重大な転換をさせられ、「戦争をする国」に変質することになる。集団的自衛権行使を可能とする「戦争法」があるもとでの敵基地攻撃能力を持つ国への転換は、日本国憲法が願ってきた隣国との平和と共存の道をふさぐものであり、日本の存在する東アジアに戦雲を掻き立てるものだ。NHKの調査でもわずか30数%の支持率しかない政権が、「防衛」の名のもと、抑止力の強化を口実に民衆を戦争の危険にさらすことなど、許されるものではない。

これほどの重大な政策転換が、国会でまともに議論すらされず、社会的論議も行わないままに、与党と一部野党のなれ合いの下で、一内閣の閣議決定で性急に決めることは、立憲主義と民主主義を破壊し、禍根を千載に残す暴挙だ。

岸田内閣によって閣議決定されようとしている「安保関連3文書」はいたずらにアジアの軍事的緊張を高め、戦争の危機を招き寄せるものだ。

ミサイルの撃ち合いがどのような惨禍を招くものであるか、容易に想像ができるだろう。この道は単に「敵国」を破壊しようとするものだけでなく、この国の民衆を戦禍にさらし、筆舌に尽くせない惨禍を招き寄せようとしている。

また、国債発行残高が1000兆円を超えようとしている財政状況や、エネルギー、食糧自給率の極端な低さや、対中国との貿易が全体の4分の1を超える経済状態などを考えれば、軍事的緊張を高め、軍事費に巨額な税金を投入することの無謀さも明らかである。

いま平和憲法をもつ日本がなすべきことは、歴史と情勢の中で発生する様々な国際的困難を武力で解決しようとする道ではない。これは「いつか来た道」だ。

私たちは岸田内閣がこうした危険極まりない閣議決定を狙っていることに断固抗議する。立憲野党と市民は協力して、岸田内閣が進める「安保関連3文書」の閣議決定を阻止し、彼らが進もうとする戦争への道のまえに両手を広げて立ち塞がらなくてはならない。これはいまを生きる私たちの、未来に対する責任だ。

   安保3文書閣議決定反対!
   敵基地攻撃能力保有反対!
   全ての戦争準備反対!
   憲法を守れ!
   12・15国会議員会館前行動に結集を!

2022年12月6日

戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会


23けんり春闘発足・学習集会

        金子勝さんの講演 「大破局からの脱却の展望」

 12月6日、文京区民センターで、「23けんり春闘発足・学習集会」が開かれた。

23来春闘方針の確認

 第一部の発足集会の開会あいさつで郵政ユニオンの中村知明さんは、物価高・低賃金と軍備増強という情勢のなか来春闘をだんこ闘い抜こうと述べた。
 渡邊洋全労協議長がけんり春闘共同代表としてあいさつ。連合は5%賃上げ要求を掲げたが、問題は労働者の生活水準の低下を絶対に許さないという組合の本気度だ。職場での闘いを積み重ねストライキを打つのを怖れない闘いを進めなければならない。本日をスタートに来春闘の勝利に向けて頑張っていこう。
 全労協事務局長の野中保夫さんが議案の提起。長引くコロナ感染症による経済混乱、アベノミクスによる円安の急進と原油高、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻と戦争状態などによる深刻なエネルギー問題、諸物価の急騰と実質賃金の急落は労働者・市民を窮地に陥れている。そしてコロナ感染の第8波が押し寄せている。いまこそ労働者・市民の生活を守るために大幅賃上げ獲得を7実現しなければならない。日本の労働運動の停滞を克服する闘いが求められているのだ。
 23春闘では、貧困と格差の拡大を許さず、生活防衛と権利の向上、大幅実現を実現しよう。8時間労働制の破壊に反対し、裁量労働制の拡大、解雇の金銭解決方式導入を許さない闘いをすすめる。改憲・軍拡、原発の再稼働に反対する。23けんり春闘はこうした諸課題を目標にして、中小零細・非正規労働者の処遇改善、すべての労働者の賃金引上げ実現のために職場議論を活性化させ、雇用形態をこえて連携した闘いをつくりだしていく。正規・非正規、フリーランス、自営業など幅広い戦線を拡大し、最低賃金引き上げなど全国で統一した闘いをつくりだしていく。地域の労働組合、市民運動、立憲野党との共闘を強化していく。
 春闘の基本スローガンは、次のようなものである。
 ◎誰もが安心して働ける職場・暮らせる社会の実現を!―雇用・賃金・労働時間・労働環境・社会保障の要求をストライキで闘とろう! 軍備増強・改憲阻止!労働者・市民の力で戦争を止めよう!
 〇どこでも誰でも最低賃金15000円以上を!(最賃闘争スローガン)
 ◎ウクライナ戦争の即時停止!ロシア軍は直ちに撤退を!
 闘い方としては、コロナ感染症の拡大に留意しながら、正規―非正規、官―民連帯してすべての組合員が参加する大衆的な闘いで、生活できる大幅賃上げを実現する。
 組織・体制・財政については基本的に22けんり春闘の体制を継承し、全労協、全港湾、全造船関東地協労組、民間中小労組懇談会、大阪ユニオンネットを代表幹事組合とし、共同代表を代表幹事組合都市代表者とする。年内には、全水道東水労の反合理化スト、来年には国会闘争、東京けんり総行動、賃上げ闘争、脱原発闘争、沖縄闘争、外国人労働者のための総行動(マーチ・イン・マーチ)、福島キャラバン・経団連前行動などを闘う。

 提案された議案は参加者全員の拍手で確認された。

講演・「プランB」が必要

 第二部の学習集会では、慶応大学名誉教授の金子勝さんが「カタストルフが来る 生存のためのプランBが必要だ」と題して講演した。カタストルフとは大破局ということだ。今に日本の状況はかつての戦争の末期のような状況を呈している。財政金融政策は本当に末期的状態だ。エネルギー、電気自動車、医薬品、ICTなど産業の衰退はあきらかで、貿易赤字の膨張があり、なにより人口の減少が進んでいる。そして議会政治への幻滅、財源なき軍備増強、またテロと言論統制が目立つ。物価はあがりつづけ、実質賃金はさがり続けている。これは一過性のものではない。シュンペーターのいう50年周期の大転換が訪れているのである。
 2020年からは新型コロナ、ウクライナ侵略、中国不動産バブルの崩壊などがつづき、世界経済はデカップリングとスタグフレーションに見舞われている。
 そうしたなかでアベノミクスに出口はあるのか。長期の金融緩和政策で日銀は、大量の国債を購入してきた。この状況では物価があがっても、それを抑えるために金利を上げたら借金漬けの国家財政は破綻する。金利引き上げすると大変なことになるのだ。金利1%増で国債費は10兆円も増加し、日銀保有国債は29兆円の含み損となる。そもそもアベノミクスとはなんだったのか。安倍はプーチンとトランプのお友達だった。安倍のつくった大幅金融緩和を財源にして作った体制は、天下り復活のプーチン型オリガルヒ経済と利権構造だった。オリガルヒ経済とは、公益経済や巨大国家プロジェクト中心の構造で、それを巨大企業の経営者や天下り官僚が仕切る。公文書や統計改ざんの忖度官僚がトップに座る。政治家と天下り官僚と公益企業のトライアングルで、政権党を軸にした利益の結びつきとメディアの抑圧体制だ。それをジャブジャブの日銀金融緩和が支えている構造だ。
 ロシアは石油ガス資源収入で財源がもっているが、だが、日本もロシアもどちらも破綻する道だ。すでに岸田の下で日本は急速に戦時財政化している。
 いま必要なのは、カタストロフを脱する「プランB」が必要だということだ。それは、金融政策の柔軟性を漸進的回復し、国際常識の物価対策を行うということであり、貿易赤字の縮小、エネルギーと食料の自給を目指すことだ。オリガルヒを解体して、対外ショックに強い地域分散ネットワーク型の社会を実現させることだ。そして縁故主義の克服と公正なルールを再建し、大学研究所や科学技術政策を再建させることだ。いま一からやり直す政策転換が求められているのである。


岸田内閣の原発推進政策に反対

       
 緊急全国署名が短期間に14万筆を超す

 岸田内閣は、5つの優先課題として、人への投資、イノベーションへの投資、グリーン・トランスフォーメーション(GX)への投資、資産所得倍増プラン、世界と共に成長する国づくり、を上げている。そのなかのグリーン・トランスフォーメーション(GX)への投資とは、原子力に関して積極的に取り組むということになる。内閣のGX実行会議によると「産業革命以来の化石燃料中心の経済・社会、産業構造をクリーンエネルギー中心に移行させ、経済社会システム全体の変革」だとしている。
 8月24日の第2回GX実行会議の議題は「日本のエネルギーの安定供給の再構築」だった。そこでは、原子力について、再稼働への関係者の総力の結集、安全第一での運転期間延長、次世代革新炉の開発・建設の検討、再処理・廃炉・最終処分のプロセス加速化などが強調された。締めくくりの会議で岸田は、原子力政策について次のような発言を行っている。@原子力規制委員会による設置許可審査を経たものの、稼働していない7基の原子力発電プラントの再稼働へ向け、国が前面に立つ、A既設原子力発電プラントを最大限活用するため、稼働期間の延長を検討する、B新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設を検討する。稼働していない原子力発電プラントの再稼働へ向けて国が前面に立つという。また既設原子力発電プラントの稼働期間を延長する。そして、次世代革新炉の開発・建設だ。 これは、大きな政策転換である。岸田内閣が原発再稼働、期間延長、新世代原発を建設に力を入れるというのは、福島原発事故の処理、被害者の補償・救済が進まないままで、環境問題を口実にしながら原子力推進を強行するということだ。

緊急署名の呼びかけ取組み

 こうした危険な動きを絶対に許してはならない。
さようなら原発1000万人アクション実行委員会、原子力資料情報室、原水爆禁止日本国民会議、原発をなくす全国連絡会、ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン、全国労働組合連絡協議会などによる「岸田政権の新・原発推進政策に反対する緊急全国署名」がとりくまれ、一カ月余りの短期間にもかかわらず、14万筆をこえる署名があつまった。

緊急全国署名提出行動

 岸田政権の新・原発推進政策に反対する緊急全国署名提出行動が、12月2日、衆議院第二議員会館多目的室でおこなわれた。
 はじめに呼びかけ団体を代表して、鎌田慧さんがあいさつ。福島の体験、国民の声を無視して岸田内閣は原発再稼働、新増設を強行しようとしている。戦争と同じで二度と誤りを繰り返してはダメだ。こうした政府の政策に多くの人が不安と怒りを新たにしている。しかも原発新立地はない、核廃棄物の最終処分もできないという状況がある。この署名は10月の下旬からはじめてきわめてわずかの期間にもかかわらず多くの署名が集まり、まだ増えている。政府は軍事費のGDP比2%への引き上げ、まして米国からトマホーク・ミサイルまで導入しようとしている。平和憲法を踏みにじり、原発、軍備増強にすすむ政府を許さない闘いを進めていこう。
 国会議員代表して山崎誠立憲民主党衆議院議員があいさつ。すべての原発の速やかな停止、廃止などを求める「原発ゼロ基本法案(原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革基本法案)」は野党の審議要求に与党が審議に応じず廃案となったが、決してあきらめない。野党や市民ともに成立を目指していく。
 国会からは、立憲民主党、共産党、社民党、沖縄の風などの議員が参加した。
 つづいて、集まった山積みの署名を経済産業省の役人に手交した。経済産業省との交渉は1時間を超えるものとなったが、参加者の鋭い質問にまったく具体的な返答はなかった。

日本の原子力政策


 原子力資料情報室の松久保肇さんが「日本の原子力政策は本当にこれでいいのか」と題して報告。国民世論は原子力について「徐々に廃止」と「即時廃止」の合計が60%前後となっている。「増加」と「維持」はあわせて10%前後となっている。
 経済産業省の原子力小委員会は18名の委員と専門委員3名で構成されてるが、委員のうち私ともう一人だけが反対・批判派であり、あとは原子力関係の業界の人ばかりだ。革新炉ワーキングループもほとんどが推進派だ。このように委員会の多くが利害関係者で構成され、異口同音の発言がつづき政策論議の多様性は欠如している。そうしたなかで言葉遊びの政策がつくられていくのである。
 いま、使用済み核燃料貯蔵というボトルネックがあきらかになってきた。各原発とも使用済み核燃料貯蔵能力がひっ迫してきており、川内、高浜、大飯は2027年前後で、美浜、柏崎刈羽は2031年前後で貯蔵量の限界を迎える。だから再稼働しても数年で停止になる可能性がある。
 また原発は設備投資費をひっ迫させる。この構造は、動かない原発への過剰投資が、他電源への投資不足をうみ、電源をひっ迫させ、原発再稼働への圧力増となるというものだ。
 そしてこの巨額の未稼働原発維持費は消費者が負担させられる。再エネ発電コストが下落するのに原発発電コストは上昇することになる。また原発は運転開始に時間がかかりすぎるということがある。日本政府の2011年見積もりによると、計画から稼働までの期間は、燃料電池約2週間、メガソーラー1年程度、陸上風力4〜5年程度、地熱9〜13年程度、小推力2〜3年程度、一般水力約5年、LNG火力約10年、石炭火力約10年、原子力約20年となっている。
 「革新軽水炉」という表現で、あたかも安全なように言われている。だがコスト超過・工期遅延が頻発している。アメリカなどでは建設中断まで起こっている。また次世代というが、建設されるのは今の原発である。政府が強調する気候変動対策にも原発は間に合わないのである。

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岸田政権の新・原発推進政策に反対する緊急全国署名

 内閣総理大臣 岸田文雄様
 経済産業大臣・GX実行推進担当大臣 西村康稔様

趣旨

 これまで政府は、東京電力福島第一原発事故を受け「原発への依存度低減」や「新増設の凍結」を表明していました。ところが岸田政権は、脱炭素社会の要求の高まりやロシアのウクライナ侵攻に端を発したエネルギー危機を口実に、原発の積極的利用推進に舵を切りました。現在、グリーントランスフォーメーション(GX)実行会議で、原発再稼働の推進、原発の新増設、老朽化した原発の運転期間制限(現行原則40年、特別に60年まで)の撤廃とさらなる延長、新型原子炉の開発促進など、原子力の利用・拡大をしようとしています。

 しかし、これらの原発推進・開発政策は、いたずらに危険性を増大させ、誤ったエネルギー選択の道に迷い込むだけです。原子力に期待しつづけることは、原発からの脱却と再生可能エネルギーなどへの転換を遅らせることにほかなりません。さらに国民的議論もないままに、一部の推進側の意向だけで議論を進めることは、2011年の福島原発事故の教訓を捨て去るものと言わざるを得ません。

 私たちは、GX実行会議の議論に危機感を感じ、以下に要請をいたします。

要請事項 

1、稼働した10基の原発の即時停止と新たに稼働しようとする原発7基の再稼働を中止すること。

2、原発運転期間の現行ルールを変更しないこと。

3、原発の新増設及びリプレースを中止すること。

4、新型原子炉の開発ではなく福島第一原発も含む原発の廃炉研究をすすめること。


監視社会化に反対だ

       
 「6の日」行動 議員会館前行動と院内集会

 12月6日、衆議院第二議員会館前で、「共謀罪廃止!秘密保護法廃止!監視社会反対! 12・6 4・6を忘れない 6日行動」(共謀罪NO!実行委 秘密保護法廃止へ!実行委の共催)が行われ、立憲野党の国会議員や市民運動団体からの発言がつづいた。

 院内集会では、特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス理事?の三木由希子さんが「情報公開法、公文書管理法からみた特定秘密保護法」と題して報告。 特定秘密保護法にはおおきな懸念があり、過剰な特定秘密の指定が行われる可能性がある。法施行当初には、自衛隊法にもとづく防衛秘密の実態が不明だったこともあった。いま極秘・秘の指定が乱発されていると見ざるを得ない事案が出てきている。
 また安全保障、外交、公安等分野の情報公開が進んでいないし、秘密指定された行政文書の管理の実態が不明だ。安全保障、外交、公安等分野の活動や政策判断を独立して監察・監視する機能が欠如しているし、秘密の多い政府活動分野の政策検証サイクルが見えない。セキュリティ強化、漏えい等への罰則などにより、行政内部への取材等への制約による社会的チェック機能の低下を懸念がある。特定秘密の指定は情報類型、特定秘密が実体化する文書や装備等に情報類型が含まれているかを当てはめる構造だ。それは指定対象範囲だけでなく、実際に何を特定秘密としているのかという文書等の範囲が過剰ではないかは、評価判断が難しい。例えば、情報公開法では不開示情報が類型的に規定され、個々の文書に該当情報が含まれるかを当てはめる際の解釈運用が常に問題になる。不開示が過剰か否かは文書が作成された業務の性質、記載されている情報内容などから判断される。特定秘密の指定期間の延長も、妥当な延長であるのかの評価判断は難しい。 そして法施行による影響が可視化されにくいことも問題だ。外交・防衛情報、犯罪捜査・公共安全情報の過剰適用の壁を合理的に乗り越える必要がある。
 これまでの情報公開クリアリングハウスの取り組みとして、イラク戦争検証報告書情報公開訴訟、日米合同委員会議事録情報公開訴訟、警察庁秘密個人情報ファイル簿情報公開訴訟がある。


尼崎市長選の勝利と推移を振り返って

        
 〜地方自治を発展させ、維新政治の伸張を阻止するために〜

 兵庫県知事選に勝利したにも関わらず宝塚市、西宮市と市長選に落選した維新の会は尼崎市市長選に大原隼人氏を擁立し、並々ならぬ陣形で選挙戦に臨んできた。かたや市民派をはじめ、白井文市長、稲村和美市長と支えてきた潮流は松本真元教育長を擁立して二人の女性市長の進めた流れを継承すると共に維新政治のこれ以上の関西―兵庫での伸張を許さないために奮闘してきた。
 大阪カジノ―万博を推し進める維新の会にとっても尼崎市長選は重要な選挙であり、吉村洋文大阪府知事、松井一郎大阪市長、馬場伸幸日本維新の会代表が駆けつけ応援していた。

 11月1日、アルカイックホールで松本市長候補を激励、共闘を進める事実上の出発集会が開催された。その後は政策チラシの全戸配布を行っていった。自民党から公明党まで含む選挙態勢であるため各勢力がそれぞれ分担する格好での選挙活動であった。
 市民派はリベラルかって連形式での共闘であった。
 11月13日、選挙運動開始、ポスターはり出発式まで曇り空であったもののその後は小雨の中での作業となった。駅頭での松本氏の街宣が各駅それぞれの地区の支持者と共に精力的に行われた。商店街での支持者を連ねてのアピールも行われていった。何と言っても稲村現市長が「後継候補」であることを強調し、精力的に各所で応援演説を行っていた。
 また市民や文化人に加えて石井登志郎西宮市長や山崎晴恵宝塚市長も再三、応援に駆けつけ連携して自治を発展させようと訴えていた。
 双方の精力的な選挙運動は11月20日投票日の前日まで精力的に行われた。

二人の候補者の主張の特徴
 維新の候補者の大原氏は尼崎で生まれ、尼崎で育った候補者という点と維新という政党によって兵庫県―国との連携で政策を実現出来る点を力説していた。そして維新の候補者はどこでも「身を切る改革」をかかげるがその実態は「政務活動費の不正取得」や「サウナ市長」であり、「選挙に通れば何をしても許される」という政治姿勢である。
 松本氏は自治体にはまだまだ出来ることがある。市民と共に実現していこうと言うことを自分の教育長としての経験をふまえて教育の在り方。可能性をアピールしていた。
 松本氏は尼崎教育長を3年努めたとは言え中央官庁出身であり一抹の不安があった。しかし、選挙運動で接して行く中でこれらの不安は払拭されていった。教育長時代から接してきた酒井一元市議会議員はこれらの点について実際での議会での答弁やりとりの中で真に足る人物という感を強めていったようである(《尼崎共生と自治21》のニュースウエイブの酒井氏論考に垣間見ることが出来る)。
 また支援する側も維新の大阪府、市での動きを警戒していた。「尼崎のことは尼崎で、大阪維新の介入をゆるさない」というポスターは市民の共通の雰囲気を表していた。尼崎には古くからの在住者に加え、各地からの移住者が集まってきた。特に工業の発展と共に就職を求めて多くの人が移入してきた。在住の人々はこれらの人々を受け入れてきたという伝統がある。この点を訴えると共に改めて共有していたように思われる。
 最終日の松本候補の訴えでは「多くの人々の支援の輪が少しずついろんなところで拡がってきた。維新の方は政党の支援を受け、強力な動員がなされていた。私の方はボランチアの人々により応援の主軸が構成されており、このことが何より、ありがたく百倍もの支援を感じる」と言うことがのべられた。そして関西スーパー前に集まった人々と一人一人握手代わりの拳突き合わせをされていた。

カラ出張問題からの新しい市民運動、市議候補者の登場

 1992年尼崎市を突如、「空出張」と言う言葉が席捲し始めた。左右を問わず市議会議員が既得権益として取得していた「出張無き」出張(その実態は議員同士の懇親や観光であった)とその旅費の詐取であった。 市民、住民の抗議により議会は解散となった。多くの市議会議員が辞める。
 同時に市民にとって市議会は日常的な監視対象となった。そればかりではなく誰でもが市議会議員になれるものとなり、新しい心ある人々が立候補し、新しい議員の誕生となった。

選困難と思われた白井さんの当選(2002〜2010)
 市長選にはこうして誕生した議員の中から白井さんが市長候補として立候補し、女性市長が登場することになった。当初、5党相乗り(自民・民主・公明・自由・保守)を向こうに回してとても無理だろうと思われていた白井さんが当選した。白井市長は「車座」集会に象徴される新しい流れと政策を遂行することになった。白井―稲村市政を通して町はきれいになり、60年代の大気汚染と汚れた川のイメージから徐々にかわっていった。「やくざ」で有名であった尼崎市から住民運動もあり、組事務所が減っていった。何よりも市及び市議会は市民に開かれた場となった。

稲村市政の誕生(2010〜2022)
 白井市政(二期)に代わってこれを継承する形で稲村市政が登場することになった。稲村氏は阪神淡路大震災の活動の中で社会活動に参加するようになり、白井選挙のスタッフとして精力的に活動していた。市長選に当選した後は白井市長の市民との交流、接触の姿勢を踏襲しつつ赤字財政の立て直しに着手していった。これはいずれの市政も直面していたが市民の要求と財政をどう調整していくか難しい課題であった。行政施設の統廃合と民営化が進行していった。保健所支所や市役所支所の統廃合、市バスの民営化といった長期的な視野での評価が分かれる課題でもあった。その象徴とも言える案件が労働福祉会館と労働センターの統廃合であった。市役所自体も業務の一部外郭化が進められていった。
 世を騒がせたUSB紛失問題も委託に委託を重ねた業務の実態を象徴していたと言える。

 松本市長の誕生とこれを支えた市民にとってこの潮流をより強め、広げ継続していけるかが今後の課題となる。変化していく尼崎市が政治、経済、文化とどのように発展いくのかという課題が横たわっている。
 懸念される問題としては投票率の低さであり、(今回32・77パーセント、から主張問題解散時56・4パーセント)、自民党を含む幅広い支援勢力の配置である。
 松本真候補 75、253票
 大原隼人候補 48、144票
 平行して行われた市議補選 当選 高谷浩司候補 42、635票 維新

 前記のような困難な事情を超えて松本真新市長は白井―稲村市政を受け継ぎ発展させていくだろう。そのような予感がしてならないが、その担保となるのは広範な市民、住民の積極的な自治への参加と協力であるだろう。  (蒲生楠樹)


午前十時の映画

 コロナ禍で閉鎖される以前に私が地元のシネマコンプレックスビルで観た映画はドキュメンタリー『三島由紀夫VS当代全共闘』だった。
 コロナ禍で「フォーラム盛岡」で上映されるドキュメンタリー『i-新聞記者ドキュメント-』、同じくドキュメンタリーの『さよならテレビ』も上映されることはなかった。
 やっと開館になってはじめに観たのが東京新聞の望月衣塑子記者が原作をものした映画『新聞記者』(2019年公開 監督・藤井道人、主演・松坂桃李とシム・ウンギョン)。この映画は翌年の日本アカデミー最優秀作品賞、最優秀主演男優賞、最優秀主演女優賞、優秀監督賞を取っている。私が唖然としたのは、内閣(当時は安倍晋三政権)が内閣情報調査室をつかって関東軍防疫給水部隊(731部隊)を復活させようとしているストーリーに、私は背筋が凍るような思いをした。時も時、安倍晋三が加計学園の獣医学部新設を認めたということがあった。

 私は少なくとも一カ月に二本の映画を観に行くが、来年2023年の初めには4Kデジタルリマスター版の古くて渋い作品を「午前十時の映画館」に行くことにしている。歳を重ねるごとに渋さに拍車がかかってきた。
 一本目は本多猪太郎監督の『空の大怪獣ラドン』(1956)だ。この作品を観ようと思ったきっかけは、『大怪獣バラン』(1958)の存在であった。「ラドン」は「バラン」を彷彿とさせたからだ。「バラン」は、高度経済成長により東京から企業や科学者が東北に押し寄せて人やモノを東京へもっていってしまうのに怒って岩手の鉱山から現れた羽の生えた怪獣だ。それが東京まで飛んで行って羽田空港の管制塔を壊し(東京タワーはまだ建っていない)、「東北をバカにすんでねェ!」と見栄をきる。
 二本目の映画は、一世を風靡した歌姫ライザ・ミネリの『キャバレー』(1972)だ。1930年代初めのナチスが台頭してきたヴァイマル共和政時代のベルリンで、男女の愛憎が交差する中、殺人が起こるというストーリーをミュージカルに仕立てたものだ。面白い映画の作り方が学べる。
 三本目のそれは『無法松の一生』だ。1943年に坂東妻三郎主演、1958年に三船敏郎で、いずれの監督も稲垣浩。前作は戦時中であったためカットされているシーンが多く、三船版でウサを晴らしたといわれている。
 さてどんな無法・抗権力がみられるか今から楽しみである。
 1965年には、三隅研次監督で勝新太郎主演の『無法松の一生』が作られている。 (R・T)



本の紹介

        『9条とウクライナ問題〜 試練に立つ護憲派の混迷を乗り超えるために』


 しばらく前、ロシアが大量のミサイルをウクライナにむけ発射し、ウクライナ側の迎撃ミサイルが隣国ポーランドに落下し市民が犠牲となった。当初、ウクライナのゼレンスキー大統領は自国の迎撃ミサイルが落下したわけではないと言明した。
 そんな折、東京では鈴木宗男議員のパーティーの席で、森喜朗元首相は「ゼレンスキーがウクライナの人たちを苦しめている」と発言。鈴木宗男議員も「ロシアは悪くない」などとロシア・プーチン大統領を擁護する言葉を述べた。
 こうした言動は政界のみならず、私の周囲でもそれに近い発言をする人が少なくない。そこで是非この一冊をお読みいただきたい。基本はなぜ護憲派のなかにこうした傾向が発生しているのか詳しく書かれていることである。私はこういう考えの仲間には、「ロシアの攻撃はまるでかつての日本軍国主義者の『聖戦』とまったく一緒だネ」と話しかることにしている。
 「戦争とはそんなもの」「戦争はウソから始まる」と反論されるが、これでは「人を殺しあうのはどっちもどっち」論に陥ってしまう。
 また、よく言われるのは、「アメリカが戦争を終わらせないのは、武器輸出で金儲けしたい軍需産業のためだ」という言説である。これには、ロシアに抵抗・反撃しているウクライナの戦いへの敬意がみられない。
 さて、日本の私たちは何をすればよいのだろうか。憲法9条を守る私たちは、どう考えどう行動していくべきなのだろうか。『9条とウクライナ問題 試練に立つ護憲派の混迷を乗り超えるために』(あけび書房)―この本はよい参考になると思う。筆者の深草徹さんは、弁護士としては、公害事件、労働事件、基本的人権に関わる事件を多数担当してきた。現在は地域の九条の会などでも活躍している。
 戦争の現実から目をそらせてはいけない。
 ウソつきは泥棒の始まりだ。ウソを見抜く力をつけなければならないと思う。
 日本国憲法前文と国連憲章もこの際じっくりと読みし直してみたい。 (河田)


せんりゅう

     報告は総動員軍事体制国化

        何処見ても九条違犯の報告書

     憲法を知らぬ有識者防衛報告

        防衛といひ殺人器かう予算    

     軍器爆買予算、五輪の次はここだ

        防衛とは米軍基地防衛のこと

     ここが問題軍事同志国アメリカ

                         ゝ 史

  2022年12月


複眼単眼

        
櫻井よしこと岸田文雄

 「WiLL」とか「月刊HANADA」などという右翼ジャンク雑誌を時々読むことにしている。金を出して読むのはもったいない気がするが、右翼の連中がいま何を考えているかを知る上では、結構便利だ。これらの雑誌の論調の特徴はいまだに亡くなった安倍晋三元首相を礼賛することだ。
 「HANADA」12月号は菅義偉の「7年8カ月、私は本当に幸せでした」という安倍国葬儀弔辞の全文を再録し、「安倍晋三総理は21世紀のビスマルク」(八幡和郎)などという文章を載せている。岸田文雄首相への不信も相当なもので、同誌は「高市早苗大臣が口説け!菅義偉前総理再登板」などという文章まで載せている。「HANADA」の「岸田おろし」論調は相当なもので、同誌新年1月号はあのトンでもない人物の山口敬之に岸田の腹心である林外相批判「林芳正の研究 媚中の系譜」などというものも書かせている。要するにこれら右翼は岸田政権が中国に傾くことをおそれているわけだ。
 「WiLL」の新年号では、国家基本問題研究所理事長の櫻井よしこが乗り出して、巻頭で岸田首相と対談をしている。タイトルは「櫻井よしこ氏が岸田総理を叱咤・激励!」というものだ。サブタイトルは「リーダーには『聞く力』よりも『決断力』『実行力』が求められている」となっている。
 「聞く力」を売り物にして登場した岸田にとって、なんとなめられた、小ばかにされた「対談」であることか。
 櫻井は対談の冒頭で、内閣支持率が下落していることを指摘し、原因は「岸田が何を考えているかわからない。『国のかたち』が見えないからだ」という。それに引き換え、安倍元総理は経済でも、外交でも明確なビジョンを示していたと皮肉を言っている。
 そのうえで櫻井は統一協会に対する岸田自民党の対応に文句をつける。茂木幹事長らがいう「統一協会との関係が断てない議員は離党してもらう」などというのは、「憲法に保障されえた『信教の自由』に抵触しかねない」と怒りをブチまける。「政治家と宗教団体の付き合いが違法でないなら、それ以上踏み込むと信教の自由、内心の自由に抵触するおそれが生じるのではありませんか」と櫻井らが大嫌いな日本国憲法まで引き合いに出すからお笑い種だ。
 「安倍総理が被害者であるにも関わらず、(メディアは)あたかも自民党および安倍元総理が旧統一協会と『ズブズブの関係』であったかのように報じています」「決して『ズブズブ』などではないと反論することがなぜできなかったのか」
 櫻井は全く統一協会の立場から物を言っている。さすがに岸田も「我々の対応が正しかったかどうかは国民が判断してくれるでしょう」と突き放した。
 もう一つ、この対談の特徴は、安保関連3文書と軍拡について、櫻井が「防衛費の財源問題は、財政規律は重要だが、それは平時の議論だ。非常時にはもっと優先すべきことがある。財源は安倍が言っていたように『防衛国債』で賄うべきだ」と言って、岸田の周辺に財務省の官僚がおおく、それが防衛費増を妨害していると強調していることだ。
 櫻井の考える構図は岸田をはさんで財務官僚と櫻井らで綱引きしている図だ。
 とにかく、こういうつまらない雑誌まで利用して、櫻井らは必死で政権を引き寄せ、軍拡を進めようとしている。(T)


冬季カンパのお願い

        労働者社会主義同盟中央委員会

 岸田内閣は急速に支持率を下げています。そうした中で岸田は超反動的な政策を強行しようとしています。
 人びとの生活をないがしろにし、改憲と戦争の道をすすむ日本政治を決して許してはなりません。
 自民党政治を終わらせるために、労働運動、市民運動、立憲野党などはいっそう共闘、連帯をつよめ、総がかりの行動を全国で展開していきましょう。
 私たちも一段と奮闘する決意です。運動の勝利的な前進のために冬季カンパをお願します。

 二〇二二年冬