人民新報 ・ 第1418号統合511号(2023年2月15日)
  
                  目次

● 安保三文書を撤回せよ  日米軍事同盟強化・軍事大国化阻止

         2023年通常国会開会にあたっての市民連合要請書(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合) 

● 雇用共同アクションが意見書を発表

         労働契約法制及び労働時間法制の改悪反対

● 「建白書」10年

         辺野古の海を埋めるな! 沖縄の民意を日本の民意へ 請願署名を全国へ広めよう

● 福島原発事故の元凶は断罪されなければならない

         東京高裁判決は不当だ!

● 政府自民党は原発事故災害拡散

         汚染水海上放出・汚染土壌のバラ撒き

● 南海化学による富士アミドケミカル解雇攻撃・組合つぶしへの抗議行動を闘う

● 追悼 / 阪神間二人の労働運動、反戦運動に生きた人々(小西純一郎さんを偲ぶ 菊永望さんを偲ぶ)

● 本の紹介

● せんりゅう

● 複眼単眼  / 日本共産党の危機






安保三文書を撤回せよ

       日米軍事同盟強化・軍事大国化阻止


 岸田内閣はなりふりかまわず大軍拡路線の強行実施をはかっている。だが同時に内閣を巡る不祥事の続発で支持率は低迷を続けている。岸田政権のこの状況には長年にわたる自民党政治がもたらしたきわめて困難な事態に日本が陥ってしまっているという背景がある。岸田はやみくもに暴走しているが、そのことは内閣支持率を高め政治支配を安定させるのではなく、逆に国内外に渡る矛盾を一層激化させ解決不能の事態に陥らせた。今後は政府危機をもたらし、そして政治危機に、ついには大変革へ至る種子を自ら育てていることになる。
 昨年12月16日、岸田内安保3文書(「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」)を国会に全く諮ることなく一方的に決定した。この方針の実施は戦後体制を一変させることになる。だがこうした暴走は一方で自民党政治の内実を人びとの前に自己暴露せざるを得なくさせている。これまでの日本を守るためという欺瞞的な「防衛」政策の実態、その結果がどういうものなるかということをリアルに論議せざるを得ない段階が来たということである。民衆の側からの暴露と論戦がいっそう重要になってきたということである。
 日米軍事同盟強化路線は、米中対立が激化するにともなって、米国の世界覇権維持のための反中軍事戦略の最前線に日本を位置づける構図がはっきりしてきた。「アジア人をアジア人と戦わせる」という米国の戦略は、かつての戦争時の「日本帝国にとっての沖縄」の関係を「米帝国主義と日本」の関係にした。すなわち米国防衛の捨て石としての日本ということが鮮明になってきた。
 台湾有事を想定した南西諸島「防衛」構想は、当該地域の住民避難を考慮していないことが論議を呼んでいる。自衛隊は戦闘のためにだけあることは、かつての沖縄戦での日本軍の住民犠牲の経験が鮮やかに示している。沖縄の人びとはそれを決して忘れない。その民意は、軍事基地化に対する粘り強い闘い、各種選挙にしめされている。今年は沖縄を軸にした反戦平和の闘いを一段と強める一年となる。
 大きな転換の一つは「敵基地攻撃能力の保有」ということだが、日本が武力攻撃を受けていないもとでも集団的自衛権の行使として敵基地攻撃を行えば、相手国から報復攻撃を受けることになるが、その場合には、浜田靖一防衛相が国会で答弁したように「日本に大規模な被害が生じる可能性も完全に否定できない」ということになる。
 米国ではこの一月にシンクタンク「戦略国際問題研究所が「中国が2026年に台湾を武力攻撃した際の机上演習の結果」を発表するなど軍・諜報機関や軍需産業は戦争機運を煽っている。安倍・岸田の台湾有事=日本有事論などはそれに呼応するものだ。台湾の人びとは米日が台湾海峡の危機を煽り戦争を接近させる動きには大きな危惧を抱いている。それが昨年の台湾地方選での民進党の大後退となった。台湾総統の蔡英文は統一地方選挙大敗の責任を取って民進党主席を辞任したが、後任の主席に副総統の頼清徳がなったが、彼は独立傾向が強いと言われる。来年の一月には台湾総統選挙がある。台湾危機を口実にした緊張激化・開戦に反対する東アジアの人びとの共通の課題であり、連携した運動が発展させていこう。
 岸田の軍拡路線は、増税や福祉切り捨てと表裏一体である。防衛増税、赤字国債、軍拡財源として年金や医療の積立金が流用されようとしているなど、軍事化路線が経済面でも人びとに犠牲をもたらしている。
 春には全国で自治体選挙が行われる。また国政選挙も行われる可能性もないではない。市民運動、労働運動は総がかりの体制で各地で様々な運動を前進させ、立憲野党は共闘を強めて、岸田内閣打倒の闘いを進めていこう。
 1月23日、通常国会が開会した。この日、国会議員会館前で、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委と安倍9条改憲NO!全国市民アクションの共催で国会開会日行動「軍拡やめろ! 辺野古新基地建設中止! 統一教会癒着徹底追及!いのちと暮らしを守れ!」が行われた。主催者を代表して総がかり行動実行委の高田健さんがあいさつし、岸田首相の安保三文書決定、任期中の改憲や原発再稼働の強行などを批判した。国会からは立憲民主党の吉田忠智参院議員、日本共産党の山下芳生参院議員、「沖縄の風」の高良鉄美参院議員、社民党党首の福島みずほ参院議員があいさつにたち、新潟県市民連合、マスコミ文化情報労組会議、移住連が発言した。
 安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合(市民連合)は、声明「2023年通常国会開会にあたって」で、「戦争をする、いや、させられる国へと変わる準備が進められることに対して、差し迫った危機感とともに、暗然とした無力感に打ちひしがれてしまう私たちもどこかにいます。将来、歴史の審判を受けることになるのは、そういう意味では、私たちでもあります…召集される通常国会での最大の焦点は、使途も効果も財源もはっきりしないまま進められる軍事大国化路線を押し止める大きな連携を、立憲野党と市民が再建できるか、です」とアピールした。市民連合は、2月7、8、9日にわたり、立憲野党各党に「2023年通常国会開会にあたっての市民連合要請書」(別掲)を手交して要請を行った。
 岸田政権は、暴走しているが、次々と弱点を露呈してきた。自民党内の指導権争いもは激しくなりつつある。野党と市民の共闘を強め、安保三文書・軍事大国化・大増税に反対する闘いの前進で、岸田政権を追い詰めよう。

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安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合

        2023年通常国会開会にあたっての市民連合要請書

 ご奮闘に敬意を表します。
 1月23日、通常国会が開会しました。この間、岸田政権は重大な政策転換を国会での議論を何ら行うことなく、一方的に打ち出しています。敵基地攻撃能力の保有や、2023年度から5年間で約43兆円にものぼる防衛力整備計画、また、原発の運転期間の延長や次世代型原発への建て替え方針などのエネルギー政策の変更についても、なんら国会での議論が行われないまま、決定されています。
 さらには、23年度予算案にはすでに「敵基地攻撃能力」の保有に向けた米国製巡航ミサイルの取得費も含まれており、その財源を確保するための防衛増税が打ち出されています。ここまで、国民に説明を行わず、民意を蔑ろにする政権を、私たちは許すことはできません。
 一方では、安倍・自民党の統一教会の癒着の露見、オリンピック疑獄の拡大、貧困と格差の深刻化、物価高とコロナ対策の不十分性による市民の暮らしの深刻化が続いています。結果として、市民の岸田自公政権への批判が全国で高まり、世論調査では、岸田内閣の支持率は急落し、政治の潮目は確実に変わろうとしています。
 今こそ立憲野党は、さらに強く、岸田内閣の政策転換、退陣を掲げて奮闘するときだと考えます。
 市民連合は、2015年の結成以来、暮らしといのちを守る政治の実現を求めて、立憲野党との共闘に取り組んでいます。現在では、全国200を超える各地域の市民連合やさまざまな政策課題に取り組む市民運動との強い連携を築き、取り組みを進めています。また 国政選挙では、「市民と野党の共闘」、「野党共闘」を掲げて、立憲野党を支援して取り組んできました。
 その立場から、市民連合は、今国会で、野党各党が共闘して闘うことを期待し、下記の課題の取り組みを要請します。
  記
 1、憲法・専守防衛を基本とし、敵基地攻撃能力保有を認めず、防衛費の拡大と防衛増税に反対すること。
 2、北東アジアにおいて、軍事的緊張を高めるのではなく、平和確立の努力をすること。
 3、沖縄辺野古新基地建設に反対すること。また、南西諸島へのミサイル配備に反対すること。
 4、ウクライナ侵略戦争に反対し、ロシアによる小型原子爆弾使用を絶対に許さず、唯一の戦争被爆国日本としての役割を果たし、停戦に向けての外交努力を行うこと。
 5、原発再稼働、使用期間延長、新型原発の開発など原発推進路線に反対すること。
 6、気候変動対策を強化すること。
 7、物価高騰対策、コロナ対策を抜本的に充実させ、市民生活を保障する政策を打ち出すこと。実質賃金が低下し続けるなか、実効性のある賃上げ政策を確立すること。低所得層への支援策を充実すること。
 8、貧困と格差を創り出す新自由主義路線、アベノミクスの政策転換を図ること。
 9、9条改憲など一方的な改憲強行に反対すること。特に、衆議院憲法審査会で議論されている、国会議員の任期延長に関わる「緊急事態条項」の導入のための改憲に反対すること。
 10、日本学術会議の会員選考に第三者を関与させる関連法改正については、同会議の独立性を侵害する政府介入であり、反対すること。
 11、再提出された入管難民法改定案については、2021年に廃案となった当初案の骨格が維持されており、引き続き反対すること。
 12、ジェンダー平等の取り組みを強化すること。
 13、統一教会と自民党との癒着の追及と、反社会団体である統一教会の全貌の解明、被害者救済に取り組むこと。
 14、森友、加計、桜を見る会の徹底追及、オリンピック疑獄など自公政権の権力の私物化・犯罪を追及すること。


雇用共同アクションが意見書を発表

       
 労働契約法制及び労働時間法制の改悪反対

 大資本の代弁者である経済界と政府はいっそうの労働強化へ労働法制改悪を追求している。
 労働政策審議会労働条件分科会は昨年12月27日に、「今後の労働契約法制及び労働時間法制の在り方について」を提案して即日に了承された。経団連は、分科会報告をうけて、現行の労働基準法のもとでも「PDSA型(@計画を立て(Plan)、A実行し(Do)、Bその結果の評価に応じて(Check)、C改善する(Action)という4つの流れを繰り返すこと)」「課題解決型開発提案業務」への「みなし労働時間制(裁量労働制)」の適用が可能であるとしている。これはまったくの誤りだ。
 こうした状況に対して、多くの労働組合が反対の行動を起こしている。
 1月30日には、日本マスコミ文化情報労組会議、全国港湾労働組合連合会、航空労組連絡会、純中立労働組合懇談会、全国労働組合総連合、全国労働組合連絡協議会、中小労組政策ネットワーク、コミュニティー・ユニオン首都圏ネットワーク、東京争議団共闘会議、けんり総行動実行委員会などで構成する雇用共同アクションが、厚生労働大臣加藤勝信と労働政策審議会労働条件分科会委員にたいして「裁量労働制の対象業務の追加『了承』の撤回と審議のやり直しを求める〜労働時間法制の在り方に関する労働条件分科会の審議に対する意見」を発表した。

裁量労働制の対象業務の追加「了承」の撤回と審議のやり直しを求める〜労働時間法制の在り方に関する労働条件分科会の審議に対する意見(要旨)
 「12・27報告」は、裁量労働制の在り方、ならびに、新たに適用しようとする業務とその業務に従事する労働者に関する十分な検討を行わないまま、専門業務型裁量労働制の対象業務を安易に追加し、導入手続きの簡素化をおこなうことを「適当」としており、その内容には大きな問題がある。
 加えて、報告をまとめた審議の場で、使用者代表委員が、現行の法規定を恣意的に解釈し、「課題解決型開発提案業務、PDSA型業務について、個別具体的に見た場合、現行の対象業務になりうるものがあることが明確になったと考えている」などと審議会の確認とは異なる見解を述べていたにもかかわらず、厚生労働省事務局も、公益代表委員、労働者代表委員も、使用者代表委員の見解の意図を質すことも、否定することもなく、看過した。
 厚生労働省事務局は、2023年1月13日時点での雇用共同アクションの問い合わせに対し、「使用者の発言の意図は不明だが、立法措置をとらなければ、(上記のような)対象業務の拡大はできないことは審議会で共有されている」等と答弁したが、2023年1月17日に日本経団連が発表した『2023年版・経営労働政策特別委員会報告』には、課題解決型開発提案業務、PDSA業務への適用が可能と明言された記述が公表されてしまう事態となった。
 さらに、報道各社も誤った情報を拡散してしまっている。(中略) 労働政策審議会は、現行「裁量労働制」の濫用を根絶するための制度改正の審議を徹底し、しかるべき立法措置をとることを、以下のとおり要請する。
【要請事項】
 1、「課題開発型提案業務やPDSA型業務について、個別具体的に見た場合、現行の対象業務になりうるものがあることが明確になった」という使用者代表委員の誤った法令解釈を否定し、日本経団連が1月17日に発表した『2023年版・経営労働政策特別委員会報告』や報道各社の記事における該当部分の修正を行わせること。
 2、「銀行、証券会社において、顧客に対し、合併、買収等に関する考案及び助言をする業務」を、あらたに専門型裁量労働制の適用対象とする判断は、審議が不十分であり、撤回すること。厚生労働大臣は「報告」の答申に対して、不適切な内容があるものとして、却下すること。
 3、現行のいわゆる「裁量労働制」は、制度適用対象の定義において、すでに裁量の発揮を前提としており、「みなし労働時間制」を適用するための合理的な立法根拠を備えていない。
 ただちに、法令の在り方についての見直しの審議を開始すること。
 その際、業務遂行にあたっての真の裁量を労働者に付与する「裁量労働制」として運用するのであれば、労働基準法38条の 3、4において、「遂行の手段及び時間配分の決定等」に加え、「業務量や納期、業務遂行に必要な人員を配置する裁量」を追加すること。そうでなければ、制度を廃止すること。
 4、前項の抜本的な制度見直しを実施するには、時間がかかるため、当面の措置として、以下を行うこと。
 @ 業務遂行にあたり裁量が発揮しえないような労働者に裁量労働制が適用されている実態があることをふまえ、裁量労働制の適用対象者に年収要件を設けること。
 A 賃金・人事評価結果(分布)について、労使委員会への情報提供を義務付けること。
 B 専門型裁量労働制に取り入れる「本人同意」について、同意しなかった場合や同意を撤回した場合の不利益取り扱いを禁止し、違反した場合に罰則を課すこと。
 C 健康・福祉確保措置については、勤務間インターバルの設定、労働時間の上限設定など、長時間労働の抑止のために実効性ある措置を必須項目とすること。本人の意思に関わらず、適用を解除する一定の基準を設けること。これらを行わない使用者に対しては、罰則を課すこと。
 D 行政の関与、記録の保存について、少なくとも5年間の記録の保存、および6か月以内に1回以上の定期報告を義務とし、労使協定及び労使委員会決議の本社一括届出は認めないこと。


「建白書」10年

        
辺野古の海を埋めるな! 沖縄の民意を日本の民意へ 請願署名を全国へ広めよう

 岸田政権は強引に日米軍事同盟強化・軍事大国化をおしすすめようとしている。米国の反中国軍事戦略の最前線に日本を位置づけ、南西諸島への自衛隊配備を強行している。沖縄へ負担・犠牲を押しつけ、戦争の惨禍を自ら招こうとする岸田の政策は断じて許されない。
 10年前の2013年1月27日、沖縄県市長会会長だった今は亡き翁長雄志那覇市長(当時)ら県内首長が上京して首相官邸で安倍晋三首相に対し、米軍普天間飛行場へのオスプレイ配備の撤回と、普天間の閉鎖・撤去、県内移設断念を求めた「建白書」(@オスプレイの配備を直ちに撤回すること。および2013年7月までに配備されるとしている12機の配備を中止すること。また嘉手納基地への特殊作戦用垂直離着陸輸送機CV22オスプレイの配備計画を直ちに撤回すること。A米軍普天間基地を閉鎖・撤去し、県内移設を断念すること)を手渡した。建白書は、沖縄県議会各会派を含め、全41市町村長・議長が署名・押印して、オスプレイ配備に反対する建白書を採択されたものである。その後に日比谷野外音楽堂で「NO OSPREY東京集会」が開かれ、翁長さんは「沖縄県民は目覚めた。もう元には戻らない」と力強くアピールした。集会後には銀座デモが行われた。
 建白書は幅広い「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」の誕生につながった。軍事基地強化に対する沖縄の怒りは激しく、その後の各種選挙でも基地反対の民意は政府与党側の敗北の連続によって示されてきた。だがその沖縄の民意を一方的に無視して、岸田は沖縄の最前線基地化を強行かつ陰険に推し進めている。辺野古新基地建設阻止を軸とする反戦平和の闘いがいっそう強化・拡大されていかなければならない。

 1月27日、日比谷野外音楽堂で、「止めよう!辺野古埋め立て」国会包囲実行委員会の主催による「『建白書』10年 日比谷野音集会〜辺野古の海を埋めるな! 沖縄の民意を日本の民意へ 請願署名を全国へ広めよう」がひらかれた。
 集会に寄せたビデオメッセージで、玉城デニー沖縄県知事は、ロシアによるウクライナ侵攻などを口実に、県民の思いを顧みることなく埋め立て工事を進めているが、県民は平和こそ暮らしの原点と固く信じていると述べた。
 沖縄からはオール沖縄会議の福元勇司事務局長がかけつけ、県民は基地の整理縮小を求めているのに県民への十分な説明もなく沖縄を含む南西諸島で進む軍事強化が行われている、沖縄はこれ以上の負担を受け入れることはできないと述べた。
 ジャーナリストの金平茂紀さん、ルポライターの鎌田慧さん、東京外国語大学の西谷修名誉教授、「辺野古」県民投票の会元代表の元山仁士郎さんなどがリレートークで、沖縄の闘いへの連帯、各地の様々な闘いのさらなる展開を訴えた。その後、銀座デモへ出発した。

 辺野古新基地建設断念を求める国会請願署名・オンライン署名〆切りは、5月19日まで延長された。国会請願のための署名用紙は、直筆のもので国会へ提出する。オンライン署名は、国内外からの賛同署名として日米首脳、防衛相、米国防相へ提出する。署名をさらに集めていこう。

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衆議院議長様 参議院議長様

          辺野古新基地建設の断念を求める請願書

一 請願の趣旨
「沖縄県民総意の米軍基地からの『負担軽減』を実行して戴きたい」と、41市町村全ての首長、議会議長が署名・捺印し「オスプレイの配備撤回、普天間飛行場の閉鎖・撤去と県内移設断念」を求めた「建白書」が 2013年1月、首相に手交されました。あれから10年、県民の総意は実行されていません。
辺野古新基地建設(「普天間飛行場代替施設建設事業」)に反対する民意は今も変わることなく、2022年の沖縄県知事選挙で改めて示されました。2019 年 2 月の県民投票でも72%が辺野古埋立てに反対し、今回を含めた3回の知事選挙で県民の意思は一貫しています。
県も普天間飛行場の県内移設について「重い基地負担を固定化するもので、到底認められない」としています。背景には、国民が求めるのであれば米軍の駐留を全国で分担すべきところ、国土面積の0.6%の沖縄県に、米軍専用施設が面積比で 70.3%も集中しているという現状があります。
1972年の本土復帰から2019年末までの間に、米軍人・軍属などによる刑法犯罪は6,029件、米軍関係の航空機関連事故は 811件発生しています。2021年12月には、米軍由来とみられる新型コロナウイルスの市中感染が爆発的に拡がりました。また米軍基地周辺の水源や小学校の土壌から発がん性の恐れがあり体内に残るとされるPFASが検出され県民は大きな衝撃を受けています。
 沖縄県民はこれ以上の過重な基地負担を受け入れることはできません。国会で沖縄県民の民意を踏えた論議が行われ、辺野古新基地建設を断念する事を求めます。

二 請願事項
 国会で、県民投票や知事選挙で明確に示された沖縄県民の民意を尊重した論議を行い辺野古新基地建設を断念すること。


福島原発事故の元凶は断罪されなければならない

        
 東京高裁判決は不当だ!

 東電福島原発事故の被害は続いている。取り返しのつかない大きな犠牲をもたらした元凶は、政府と電力会社などの原発利権集団である。こうした犯罪を続けさせないためには原発推進の犯罪行為を断罪することは前提だ。しかし犯罪者たちは逃げ回り、権力は彼らを保護している。この構造が原発推進路線の重要な構成部分となっている。
 東京電力の勝俣恒久元会長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長の旧経営陣3人は津波対策を怠り、原発事故の避難で双葉病院の入院患者など44人を死亡させたなどとして強制起訴されたが、最大の争点は、地震調査研究推進本部の長期評価(2002年7月発表)の信頼性の評価だった。だが、東京高裁の細田啓介裁判長は1月18日に、長期評価の予測する高い津波に「現実的な可能性」が無いなどと述べ、全員無罪の判決をくだした。判決主文は「本件各控訴を棄却する」として、「本件の一連の経過に関する原判決の事実認定については、論理則、経験則等に照らして不合理なところはなく、相当。 本件発電所の運転停止措置を講じるべき業務上の注意義務が認められないとした原判決の法的な評価も妥当。」を理由とするものだが、全く不当なものだ。
 福島原発告訴団・刑事訴訟支援団弁護団は、「判決は、一審判決をそのまま、無批判に是認した判決であり、この事故によって、命と生活を奪われた被害者・遺族のみなさんの納得を到底得られない誤った判決だ」と批判した。検察官役の指定弁護士のコメントは「本日の判決は、第一審と同様、長期評価の信頼性を全面的に否定し、試算結果をないがしろにするもので、最高裁判決の趣旨にも反します。判決は、繰り返し『現実的な可能性を認識させるような性質を備えた情報』ではなかったとして、発生の確実性の情報の必要性を求めていますが、とりわけ津波のような自然災害に基づく原子力発電所事故というシビアアクシデントにまで、このような見解をとれば、およそ過失責任を問えないことになり、不合理と言うほかありません。本日の判決は、国の原子力政策に呼応し、長期評価の意義を軽視するもので、厳しく批判されなければなりません。」と述べた。まさに、東京高裁判決は「国の原子力政策に呼応し、長期評価の意義を軽視するもの」である。そして1月24日に、東京高裁の判決を不服として、検察官役の指定弁護士が、最高裁判所に上告した。


政府自民党は原発事故災害拡散

        汚染水海上放出・汚染土壌のバラ撒き


 政府は、昨年4月に東京電力福島第一原発事故に伴うアルプス(ALPS 多核種除去装置)処理水の海洋放出を決め、この春から夏にも強行実施を狙っている。
 「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」という東京電力と地元漁業者の約束を完全に反故にする暴挙だ。
 1月27日に自民は、「福島第一原発処理水の海洋放出 ALPS処理水の安全性は確認されています」を公表し、「ALPS処理水の処分の決定については、政府において、6年以上にわたり専門家を交え議論を行いました。その結果、国内外での実績の有無やモニタリングの容易さなどを考慮し、海洋放出が最も確実な手段であると評価されました。その後、公開の場での意見聴取や書面意見の募集などを経て、安全性の確保と徹底した風評対策を前提に、海洋放出を行う方針を決定しました」として、風評抑制へ政府与党で全力で対処するとして「科学的、国際的にも安全性が証明されているALPS処理水の海洋放出ですが、今に至るまでそれが行われてこなかった背景には、地元の漁業関係者に対する風評影響が懸念されていることにあります。こうした風評影響を防ぐため、政府は、風評対策に係るさまざまな取り組みを実施しています。昨年からは漁業者を始め地元住民等との車座対話や全国地上波のテレビCM・ウェブ広告・全国紙の新聞広告等を活用した情報発信等も強化し、安全性への理解醸成の取り組みを進展させています。また、万が一の風評に伴う地元産品の需要減少に対応するため、水産品の一時的買取り・保管等のための基金や漁業者が事業を継続するための基金を措置しました」とした。これは全くのデマ広報に過ぎない
 自民党はアルプス処理すればトリチウム以外は除去可能と断言するが、基準値を超えるトリチウム以外の汚染物質の存在も指摘されている。
 「処理水」ではなくまさに汚染水そのものの海洋放出方針には、漁業者はもとより国の内外から反対や懸念がある。海洋放出が行われることになれば、地域経済に大きな影響を及ぼすだけでなく、多くの被害の拡大も予想され、反対の声が広がっている。汚染水海洋放出を阻止する運動を強めていこう。

 汚染水の海洋放水だけではない。汚染土壌の処理でも大きな問題が起こっている。福島県内の除染作業で中間貯蔵施設に集められた「除染土」は、東京ドーム11個分の約1336万立方メートルに及び汚染水同様に増え続けている。この「除染土」も実は汚染土であるのは言うまでもない。この汚染土は2045年までに福島「県外」で最終処分することが法律で決まっているが、目処は立っていない。 ここでも政府は住民の声を無視した強行策をとろうとしている。環境省が福島県の中間所蔵施設に保管中の除染後回収した汚染土を再利用する目的で「都心のオアシス」ともいわれる新宿御苑に放射能汚染土壌を持ち込み安全性を実験する実証事業を行おうとしている(埼玉県の所沢市でも行われる予定だ)。これには、新宿区の住民を中心に反対運動が起きている。実証試験の次は全国に除染土がバラまかれることになる 絶対に許されてはならない。大きな反対の声を広げていこう。


南海化学による富士アミドケミカル解雇攻撃・組合つぶしへの抗議行動を闘う

 富士アミドケミカルは南海化学の子会社になった後、技術開発部門や営業部門を親会社に奪われ、自前で利益を出せなくなった。そうした上で業績悪化の責任をおしつけられた上に工場閉鎖と解雇攻撃を仕掛けられてきたのである。富士アミドケミカルの労働者は労働組合に結集し50年も存続してきた。現在は東京ユニオンの支部としてこの倒産、解雇攻撃に取り組んできた。大阪市の中央区に南海化学の本社があるため富士アミドケミカル支部や東京ユニオンの労働者が抗議に来阪してきた。
 12月23日、1月13日、20日、27日と4回の抗議行動が寒い中で連続的に取り組まれた。本社前の歩道で全日建関生支部の宣伝カーに抗議の横断幕がつけられ目を引いた。申し入れ行動の後、参集した労働組合が連帯の声を上げた。関生支部、トラック支部をはじめ兵庫県下の各ユニオン、関西コミュ二テイの各ユニオンが結集した。武庫川ユニオン、芦屋ユニオン、明石ユニオン、神戸ワーカーズユニオンなどの兵庫県勢、なかまユニオン、なにわユニオン、ユニオンおおさか、京都ユニオンなどの労働者が参加していた。なによりも南海化学が一部上場を目指して富士アミドケミカル労組を排除しようとしていることは許せないという思いが強かった。関東と関西の労働者の共闘であり、同時にユニオン各労組の共同闘争の観があった。冬の寒い中、最後の日などみぞれと風の吹きすさぶ中で戦われた。
 第5波が用意されていたが「都労委で解決に向けた動きが出て来た」との趣旨でうちきられた。寒い中での意義深い抗議行動であった。東京ユニオン富士アミドケミカル支部のよりよい解決を願ってやまない。  KK(労働者)


追悼

      
 阪神間二人の労働運動、反戦運動に生きた人々

 2022年9月と11月、この時に2人の民衆運動にとって重要な役割を果たし、またその生き様を通して重要な存在であった人々を失うことになった。
 1人は武庫川ユニオン前委員長であり9月19日肺がんで他界された小西純一郎さん(69)であった。もう1人は年を越してからその死の報がもたらされた菊永望さん(93)で、11月15日腎臓癌により他界されていた。

小西純一郎さんを偲ぶ

 小西純一郎さんを偲ぶ会は12月18日尼崎中小企業会館で尼崎地区労働組合人権平和センターと武庫川ユニオンを事務局として開催された。労働運動、政治、地域のいろんな人々が会場を一杯にした。誰しもの思いは若くして突然に他界した小西さんへの喪失感であっただろう。それほど小西さんの存在は大きかったと言える。いつも大きな体でにこにことして率直にものを言う人であった。1953年丹波市で生まれ神戸大学に入学し学生運動に参加、兵教祖でアルバイトして後、総評尼地評に専従オルグとして活動を開始している。 1988年武庫川ユニオンを立ち上げて後は水を得た魚のように精力的に労働運動の広範な課題に取り組んでいった。移住労働者の問題、阪神淡路震災下の労働者、住民の問題、尼崎市の非正規労働者の問題。どの課題も先駆的であり、時代の要求に応えたものであり、人々との深い繋がりを基礎においていた。また偲ぶ会の会場では小西さんに捧げるとして王秀華さんの二胡による《千の風》の演奏が会場に響いた。朗々としたもの悲しい曲は小西さんの死への人々の思いをよく表していたようである。追悼の辞は一部と二部に分かれてユニオン関係、政治関係と多岐にわたっていた。県議会議員選挙では支援を受け、市長になって以後は非正規労働者問題、労働福祉会館労働センター廃止問題と立場を異にした稲村前市長の送ることばは小西さんの人柄をよく表していた。小西さんは対立はしていても他方では激励も忘れなかったと言うことであった。
 私はユニオン関係での交流の他、故砂場徹さんの生前の依頼で何人かの人に『人民新報』を届けていた。尼崎市の北部に位置する同じ団地の大橋さんや小西さんにも届けていたが時々階下で小西さんに会い短く話をした。この団地には二人とももういない。寂しい限りである。丹波のターザンご苦労様でした。ユニオン運動を発展させるためにそれぞれの場で頑張ります。
 ●参考資料 「さようなら丹波のターザン あなたは働く者の希望」
小西純一郎さんを偲ぶ会

菊永望さんを偲ぶ

 菊永望さんは1929年9月22日、鹿児島県の特攻基地で有名となった知覧で生まれている。少年時代は当時の少年にありがちな満蒙開拓団を志向したが祖父の反対もあり、少年航空兵を志願したりしている。薩南工業高校に入ったが授業よりは戦争訓練や知覧基地周辺での行動が多かったようである。空襲や米軍上陸の可能性に巻き込まれたようであった。その後敗戦を迎え、戦後の混乱の中で汽車が混乱と満載で利用できず船で関西へ来阪し、尼崎にある尼崎製鋼所に就職したのであった。戦後の混乱と自由を求める雰囲気の中で労働運動が盛んであった尼崎製鋼のなかで菊永さんは労働組合の青年部長としてかけずり回ったようである。当時の職場にはいろんな人がいた上に青年部長として上京もふくめ他方面に出かけ野田弥三郎氏をはじめ多くの人々に出会った。レッドパージが吹き荒れ出す中で菊永さんは共産党に入党し新たな活動を初めて行くことになる。やがて産別金属から鉄鋼労連へと上部団体が変わり、菊永さんの活動範囲も拡がっていくことになる。朝鮮戦争の勃発の中で米軍基地闘争や広島平和集会を経験していくことになる。鉄鋼再編のなかで大量解雇に直面し、組合幹部としての平坂春雄さんと先年部長としての菊永さんは解雇撤回闘争を広範に展開していく。世に言う『尼鋼争議』である。
 菊永さんは何時の時代も『菊さん』と呼ばれていたようであった。尼鋼闘争の後、帰郷病気治療をした後、60年安保闘争に精力的に関わっていくことになる。共産党から社会主義革新運動に転身しベトナム反戦運動と関わり続けていったのであった。
 1968年の後半、反戦青年委員会のビラまきなどの後、よく阪神尼崎駅の南側の喫茶店でよく議論していた。清田祐一郎さんと菊永さんが議論していたのを思い出す。議論の内容はもう憶えていない。そのころはどういう人かわからなかった。少し年が離れており不思議な存在であった。甲高い声でせわしなくしゃべるので“シャモノヴィッチ”の愛称があったと思う。1969年私の4・28沖縄闘争での逮捕後、三菱電機との不当解雇撤回闘争の中で菊永さんや川島さんとの深い関係が出来てきた。
 それと共に地域にあった阪神共産主義者協議会から阪神社会主義研究会の再編があり、菊永さんは杉本昭典さん達とともに中心的に関わることになる。そこに見えるのは組織者としての側面である。切れ味鋭い弁舌と著述であった。
 菊永さんや杉本さん達は全国的な事業に携わってきた。労活(労働組合活動家会議)運動や季刊『労働運動』誌の発行、『労働情報』への関わり、八鹿部落差別問題の全国左派現地結集、三里塚闘争であった。また地域の反公害運動、医療生協運動と多岐にわたっている。特に高見圭司参議院選挙への協力、戸村一作選挙、これは平行して足尾鉱毒事件をあつかった《襤褸の旗》上映運動が行われた。こうした事業を基礎に三里塚闘争は広範な広がりをもって全国に展開されていくことになった。こうした全国的な事業は西村卓司、樋口篤三、前田裕吾、今野求、松本礼二、杉本昭典さん達のような人々の協議によって下支えされていた。こうした人々の共通点は戦後の社会主義運動を戦い、それぞれの場で民衆を組織してきたことであるだろう。
 私の中で強く残っているのは教師の配転問題で部落解放同盟と意見を異にして対立した時期があった。師岡佑行さんに助言を仰ぎ和解するために緊張関係の中を私と菊永さんとで代表の北川正八さんの所を訪問したことがあった。また地域の労働争議で警察の指名手配された際、菊永さん達と協議の上予期される三里塚闘争のための事前調査もかねて現地に逃亡することになった。そこで12月行動を3・26闘争の前に経験した。その後、菊永さんは地域で合同労組の組織化に取り組みつつ神戸で駐車場管理の仕事に就き、熟年ユニオン運動にも参加している。地域の運動の下支えを長年続けつつ、問題意識は常に世界に向けられていた。シャ−プなまなじりですたすたと歩く菊永さんの姿が思い出される。菊永さん、ご苦労様でした。
●参考資料 「聞き書き 菊永望 我が道を行く」尼崎共生と自治編集委員会
                                                 (蒲生楠樹)


本の紹介

     ● 「ウクライナとアフガン」この戦争の裏に何があるのか(西谷文和著)  ● 新たな改憲の危機と九条の会運動の 意義 (九条の会発行) 

 「約束は破る為に有る」と言わんばかりのロシア・プーチン大統領の政治姿勢にウンザリさせられる毎日の報道がつづいている。
 しかし、ウクライナの人たちは一時は海外に脱出していても帰国して育った大地と仲間と共に生きる選択をしている。ウクライナの民衆は二度の民衆革命によって社会を自分たちのものと自覚していく過程を経ていると素晴らしいと思う。
 振り返って見ると日本の社会も100年前に時代が逆行しているようだ。
 この間に発表された5つの文章@新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言A国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議報告書B国家安全保障戦略C国家防衛戦略D防衛力整備計画を読んでみると、どれも同じ中身でこんな歴史と現実を無視した内容で日本を消滅させる気なのかと怒りが沸いてくる。
 紹介する二冊のパンフは現実を直視しこれまでの日本を取り巻く状況と世界の動向を注視し私たちはどう進むべきか提起している。それを実践するためにもこれら米軍の作文の如き方針を徹底批判して、市民に広く知ってもらう必要がある。街頭に立っていても鋭い批判は聞かれる様になっては来ている。
 私は上記五文章の欠落点を五つ挙げたい@過去の大戦の反省が無いAシビリアンコントロールが欠落B自衛隊内の人権問題・パワハラセクハラ解消C武器製造と政商との癒着D在日米軍の属国化すでに自衛隊は属軍となっている。
 第一列島線にあるとされる日本列島はアメリカ本土防衛の不沈空母とかしている。
 この状況で9条のある国に生まれた私たちは、どのように行動すべきかは明らかだ。
 岸田無法政府を倒して、民主的平和外交の出来る政府を作るこれに全ては集約されると思います。
 たくさんの人と語り合い・考え・行動することが求められている。   (大阪・河田良治)


せんりゅう

     物価ばかばか給与ちびちび
      
          自死、日常的絶望年2万人    

     この最賃でいつも自己責経済

          福島の汚染土のゆくえわが街に 

     カンバンだけ子育賃金キシダ節 

          落とし前どうするバイデンプーチン 
 
     負けないように勝たないように支援

          世はかわる世界あちこちデモンストレーション
  
               ゝ 史


  2023年2月


複眼単眼

         日本共産党の危機

 日本共産党は今年1月に7中総を開催、今年中に130%の党建設実現など「3つの大仕事」を決めた。この1年間で現在26万人の党員36万にするというとてつもない目標だ。
 これが、この間、相次いだ共産党攻撃の嵐の中で達成できるのか、他党のことながら心配になる。
 実際、いますすんでいる共産党攻撃の嵐は並大抵のものではない。
 少し振り返りながら考えてみる。
 2021年の総選挙は、市民連合が間に入り、共産党と立憲民主党(枝野幸男代表)の合意が進み、もしこの選挙で立憲野党が勝利すれば、閣外協力など共産党がなんらかの形でかかわる連合政権の成立に手がかりができるかもしれないところにまで進んだが、野党は敗北した。
 共産党と「市民と野党の共闘」路線への右派からの激しい攻撃が呼び起された。
2014〜15年の安保闘争を経て、市民連合が誕生し、2016年の参院選は「市民と野党の共闘」こそが政治を大きく転換することの可能性を秘めた路線であることが証明された。危機感を抱いた安倍政権は2017年、衆院解散の奇襲攻撃で、野党の中枢である民進党の解体を企て、小池百合子の「希望の党」がこの先兵になり、民進党は分断・解体した。しかし、多くの市民の後押しで、「立憲民主党」が誕生し、かろうじて野党共闘は生き残り、立憲民主党は野党第一党の座を確保した。
 2019年の参院選をへて、共産党はいよいよ政治の転換に本格的に対応すべく、2021年の総選挙では立憲民主党との「限定的な閣外からの協力」という政権構想をうちだした。
 この稚拙な表現に付け込んで一斉に右派からの攻撃がかかった。「立憲共産党」などの揶揄に代表された攻撃が大規模に展開された。統一協会などのカルト集団の右派バネを発揮させ、必死の選挙戦を誘発したのだった。
 自公連立政権側はその戦略として、とりわけ野党共闘の分断をはかった。立憲指導部の右傾化はその重要な保障だった。
 勝利のための必要条件が「市民と野党の共闘」だということは明らかだ。しかし、野党共闘は2023年の現在、厳しい状況に追い込まれている。
 こうした中で共産党の内部から共産党を揺さぶろうとする動きがでてきた。
 松竹伸幸氏という共産党の元安保・外交部長で、現在は京都の出版社の編集主幹がこのほど「シン・日本共産党宣言」という本をだし、現在の共産党の志位執行部を公然と攻撃した。その主な論点は2つで、ひとつは「共産党は党首公選制を導入すべきだ」というもの、もう一つは、「野党共同をすすめるためにも共産党は現在の安保防衛政策を大転換すべきだ」などというものだ。自衛隊違憲という共産党の立場を「核抑止抜きの専守防衛」にすべきだ、とか、「人間の顔をした資本主義」だとか、「左側の自民党を目指せ」とか、共産党ではなく「憲政党への名称変更」を要求するなど、党外の私たちから見ても、使い古された右からの攻撃と同じものだ。これに一部評論家などが反共主義的に一斉に声を上げている。
民主主義や言論・出版の自由を旗印にしているが、松竹氏の共産党攻撃はこの数年の一連の共産党攻撃と軌を一にするもので、共産党の右傾化と、市民と野党の共闘をつぶすことを狙うものだ。
 本来、こういった右派からの攻撃に打ち勝つためには130%の党建設などと言っているヒマはなく、大軍拡反対などの課題で、広範な共同を組織する闘いの先頭に立つことで、松竹氏ら右派の攻撃も粉砕することが必要だ。ここで共産党員が自らの活動に確信をもち、広範な人々から信頼される党になり、市民と野党の共闘を大きく伸ばすことができるかどうか、問題はそこにある。  (T)