人民新報 ・ 第1421号統合514号(2023年5月15日)
  
                  目次

● 岸田政権の軍事大国化阻止!

● 大合流の力で憲法改悪ゆるさず

        5・3憲法大集会に多くの人びとが結集

        高田健さんの主催者挨拶(要旨)

● あらたな戦前にさせない!守ろう 平和といのちとくらし、2023憲法大集会アピール

● 第94回日比谷メーデー

       働く者の団結で生活・権利・民主主義・平和を守ろう

● 入管法改定案が衆院通過

● 映画の中のカッコ良さって ? 

● 日中国交正常化の国際的な背景
 
        国連第26回総会でのアルバニア案の劇的な採択

● せんりゅう

● 複眼単眼   /  憲法記念日直前の世論調査の動向






岸田政権の軍事大国化阻止!

 「岸田文雄首相は、安全保障政策を大転換しても『日本は平和国家だ』と胸を張れるのか」。これは、昨年12月17日の東京新聞「社説・安保3文書を決定 平和国家と言えるのか」の言葉だ。また米誌タイム5月22・29日号の表紙には岸田が登場し、「首相は長年にわたる平和主義を捨て去り、真の軍事大国となることを望んでいる」とある。これに日本政府は差し替え要求の言論弾圧を行った。内外から危惧の声が上がっている岸田の危険な政治姿勢・方向がますます明らかになってきた。
 5月17日からのヒロシマ・サミットで、岸田は大軍拡・戦争する国づくり、そして米国の世界覇権戦略の先兵としての危険な役割を「胸を張って」果たそうとしている。
 安保戦略改定の主眼は、敵基地攻撃能力の保有にあるが、その柱となるのは、長射程ミサイル(スタンド・オフ・ミサイル)の大量導入・開発であり、それを搭載できる戦闘機や護衛艦、潜水艦の増強、地上基地の拡張である。敵基地は広くとらえており、正確には敵地すべての攻撃論というべきだろう。
 また敵の攻撃を察知した段階での反撃は先制攻撃となる可能性が高い。
 そして大軍拡のための大増税をおしつけてきているのである。
 岸田の軍拡路線は、敵地(先制)攻撃論とともに、軍需産業の強化と武器輸出の解禁に向けての動きの加速だ。
 5月9日、衆院本会議で、国内軍需産業の基盤を強化する財政支援措置を盛り込んだ軍需産業支援法案(防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案)が自民、公明、立民、維新、国民などの賛成多数で可決された。共産、れいわ新選組が反対した。論戦の場は参院に移る。この法案は「我が国を含む国際社会の安全保障環境の複雑化及び装備品等の高度化に伴い、装備品等の適確な調達を行うためには、装備品製造等事業者の装備品等の開発及び生産のための基盤を強化することが一層重要となっていることに鑑み、装備品製造等事業者による装備品等の安定的な製造等の確保及びこれに資する装備移転を安全保障上の観点から適切なものとするための取組を促進するための措置、装備品等に関する契約における秘密の保全措置並びに装備品等の製造等を行う施設等の取得及び管理の委託に関する制度を定めることにより、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つことを目的とする」とある。
 また、「国家安全保障戦略」および「防衛力整備計画」で、「防衛装備移転三原則や運用指針を始めとする制度の見直しについて検討する」としているが、現在の武器移転三原則では、殺傷能力のある装備品は輸出できず、戦闘機やミサイルなどを日本と共同開発する国以外には輸出できないなど厳しい制約がある。それをなんとか突破しようとして、3月の参院予算委員会答弁で岸田は、G7ヒロシマ・サミットを念頭に、国際法に違反する侵略を受けた国への支援などのために重要な政策的な手段になる」とウクライナへの米欧の軍事援助に遅れるなとばかりに、装備移転の見直しに早期に「結論を出す」と言った。
 自衛隊の海外諸国との関係はすでに進んでいる。「国家安全保障戦略」で「能力構築支援の更なる戦略的活用、安全保障関連分野でのシームレスな支援等」が、また「国家防衛戦略」や「防衛力整備計画」では「能力構築支援を推進し、対象国及び支援内容を拡充していく方針」が打ち出されている。「能力構築支援事業」とは、「自国が有する能力を活用し、他国の能力の構築を支援することです。防衛省・自衛隊は、能力構築支援をはじめとした、より実践的かつ多様な手段を組み合わせることにより、防衛協力・交流の一層の強化・深化を図っています」として、対象を他国の軍又は軍関係機関として、人道支援・災害救援、地雷・不発弾処理、防衛医学、海上安全保障、国連平和維持活動等をおこない、自衛官等を一定期間派遣しての教育訓練、自衛官を派遣しての短期間のセミナー、防衛省・自衛隊関連部隊・機関等への研修員の受け入れ等の活動だ。こうして自衛隊の海外連携を強化していく狙いである。
 武器輸出は、一回きりの取引ではない。メンテを含めて長期の契約となる。この能力構築支援などの関係も使って、日本の武器輸出のルートの開拓をしようとしている。
 岸田政権の大軍拡・兵器生産は一国敵規模にとどまらず、拡大している。
 岸田は矢継ぎ早に日本を戦争できる国にしようとし、憲法の改悪を急いでいる。だが、こうした動きは簡単には進まない。岸田の軍拡への不満が広がっている。5月6日の共同通信社による「安全保障に関する全国郵送世論調査」の結果が発表された。中国が台湾に軍事行動を起こし有事となる可能性を「大いに懸念する」「ある程度懸念する」が計89%にのぼった。「反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有」は賛成が61%で、反対は36%となった。この数字は、マスコミによる連日の一方的な危機キャンペーンというイデオロギー状況下では当然の結果であるといえる。
 一方で、大軍拡のための増税について「支持する」19%、「支持しない」80%。増税を支持しない理由は「今以上の税負担に国民が耐えられない」48%、東日本大震災復興財源の一部を防衛費に転用するには反対73%だった。また、防衛力増強についての岸田の説明は「十分ではない」が88%と圧倒的多数となっている。
 岸田政権の反動政治の暴走を止めるために、市民と立憲野党の共闘、再編・強化が求められている。改憲阻止を軸に様々な運動を大合流させ、総がかりの運動で岸田政権を打倒し、自民党政治を終わらせよう。


大合流の力で憲法改悪ゆるさず

        
5・3憲法大集会に多くの人びとが結集

岸田改憲策動の加速

 5月3日、ロシアのウクライナ侵攻などを口実に軍備増強・改憲の動きを強めている岸田文雄首相は、改憲派の集会(「21世紀の日本と憲法」有識者懇談会(通称 民間憲法臨調)や
美しい日本の憲法をつくる国民の会などによる第25回公開憲法フォーラム「国難迫る―急げ、憲法に国防条項、緊急事態条項の明記を!」)にビデオメッセージを送った。岸田は、自民党改憲4項目@自衛隊の明記A緊急事態条項B教育の充実C参院「合区」解消について「いずれも極めて現代的な早期の実現が求められる課題」とし、「力による一方的な現状変更の試みや、北朝鮮によるたび重なる弾道ミサイルの発射など、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中で、自衛隊を憲法にしっかりと位置づけることは極めて重要」などとして、憲法改悪にむけての決意を改めて述べた。
 この改憲派集会には、柴山昌彦(自民党憲法改正実現本部副本部長)、M地雅一(公明党憲法調査会事務局長)、音喜多駿(日本維新の会政務調査会長)、玉木雄一郎(国民民主党代表)らもそれぞれの党を代表して挨拶している。
 採択された「公開憲法フォーラム声明文」では、「我が国には内外共に未曽有の国難が迫っている。ところが現行憲法は、我が国に対する武力攻撃や大規模自然災害等の緊急事態を全く想定しておらず、様々な法制度の不備・欠陥を抱えたまま今日に至っている。幸い国会の憲法審査会では、定例開催が定着化するとともに、緊急事態における『国会議員の任期延長』等、改憲に向けた一定の合意形成が図られつつある。しかしながら、我が国の防衛体制及び危機管理体制を抜本的に是正するためには、さらに踏み込んだ本格的な改憲論議が不可欠である。残された時間は少ない。各党におかれては、大同団結のもと速やかに合意形成を図り、一刻も早く国防条項及び緊急事態条項を明記のための憲法改正を実現するべく、鋭意努力されるよう強く要望する」とあり、この声明文は参加各党代表に手交された。

5・3各地で改憲反対の声

 改憲の動きは急である。この動きへの反対の運動が広がっている。多くの人びとの声を合流させて、岸田改憲を阻止なければならない。
 5月3日の憲法記念日には全国各地でさまざまな改憲に反対する取り組みが行われた。
 東京では・有明防災公園で、「改憲発議を許さず、憲法をいかし、平和といのちとくらしと人権を守ります。軍拡と敵基地攻撃能力保有の閣議決定を撤回し、外交努力での平和を求めます。辺野古新基地建設と南西諸島へのミサイル基地配備の中止を求めます。エネルギー危機と脱炭素社会を口実とした原発推進政策に反対します。ジェンダー平等の社会をめざします。これら実現のため岸田政権の暴走をストップさせ、安心してくらせる社会をめざします」のスローガンを掲げて「あらたな戦前にさせない!守ろう平和といのちとくらし 2023憲法大集会」が開かれ、2万5000人が参加し、改憲を許さない運動をさらに強めていく断固たる意思を示した。主催は、平和といのちと人権を!5・3憲法集会実行委員会。共催は、戦争をさせない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会、9条改憲NO!全国市民アクション、戦争をさせない1000人委員会、憲法9条を壊すな!実行委員会、戦争する国づくりストップ!憲法をまもり・いかす共同センター、9条の会。
 11時から「自由に話そうトークイベント」やこども憲法ひろばなどミニステージが行われた。
 13時からはメインステージが始まり、はじめに、5・3憲法集会実行委員会の高田健さんが主催者あいさつを行った(別掲)。
 清末愛砂さん(室蘭工業大学教授・憲法学)がメインスピーチ。憲法原理、前文、9条を堂々と無視し、解釈改憲により大軍拡への道を拓いた安保3文書に貫かれている大きな特徴は、軍事的優位性を確保することを「防衛」の名の下で正当化する発想だ。言い換えると、軍事力で自らの威力を見せつけ、自分の意に沿わない場合には「防衛」と称して、軍事力で相手を服従させることにつながりかねないもので、このような発想は、DV等のファミリー・バイオレンスや各種のハラスメントの本質である、権力関係を利用した支配欲と極めて似ている。他者への支配により力を誇示する者が闊歩する社会は、人々の切実な願いである小さな幸せを支える尊厳をいとも簡単に踏みにじる社会なのではないだろうか。大軍拡を支えるこのようなメンタリティが社会の多方面に与える影響を強く懸念している。社会は強靭な者だけで成り立っているわけではない。踏みつけられ、痛みを必死に我慢している者。不条理だとわかっていても声を出す余裕がない者などさまざまだ。「あらたな戦前」を止めるために求められているのは、脆弱さを強いる社会の構造を変えるために、人々のつながりの輪を広げることではないだろうか。思いをともにした者が互いに携えた手を放さず、ゆるやかであっても敬意をもって結びつき、冷笑をはねのけて声を出しやすくしていくことなのではないでだろうか。対等な目線とケアの意識の下で、絶望の膨らみを抑えようとする連帯の意識が醸成された社会。わたしはそのような社会を希求するために、ともに動いていきたい。
 つづいて、泉川友樹さん(沖縄大学地域研究所特別研究員)のスピーチ、東村アキコさん(漫画家)のビデオメッセージが続いた。 市民連合あいさつは:市民連合@新潟の佐々木寛さん。
 集会には立憲野党から西村智奈美立憲代表代行、志位和夫共産党委員長、櫛淵万里れいわ共同代表、福島みずほ社民党代表が、参加し連帯挨拶が行われた。
 リレートークでは、@入管法問題・山岸素子さん(移住者と連帯する全国ネットワーク事務局長)、A馬毛島基地建設問題・前園美子さん(馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会副会長)、B性差別問題・宮子あずささん(看護師、随筆家)が発言し、それぞれの場から憲法への思い、改憲反対への怒りを訴えた。集会アピールを確認し、実行委員会の小田川義和さんが、参加者数の発表を来ない、今後の行動の提起をおこなった。
 クロージングの「5・3憲法集会みんなで歌う合唱隊」による「HEIWAの鐘」が流れる中、台場コースと豊洲コースの二つのパレードが行われた。

                   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


2023 5・3憲法大集会 高田健さんの主催者挨拶(要旨)

 本日の集会のタイトルは『あらたな戦前にさせない!守ろう平和といのちとくらし2023憲法大集会』です。
「新たな戦前」という言葉が現実味を持って語られる時代になりました。「新たな戦前」という表現は日本の支配層が海外での米国の戦争に積極的に加担する動きを強めていた80年代の終わりころから、一部の人びとの間でかたられてきました。しかし、何といってもこのフレーズが人々の口に膾炙するようになったのは昨年末、テレビの番組でタレントのタモリさんが、黒柳徹子さんに「来年はどんな年になりますかね」と問われて、「新しい戦前になるんじゃないですかね」と応じたことからです。
 岸田改憲の現在の動きは「新たな戦前」をめぐる分水嶺にあります。
 安部晋三元首相の代から始まったこの改憲の動きには「立憲主義の破壊」という際立った特徴があります。それまでの自民党の改憲のうごきは、それが建前であるにせよ「立憲主義への一定の敬意」がありました。だからこそ、歴代政権は日米軍事同盟下での軍事大国の復活を目指しつつも、そのためにも憲法9条を変えようとしていました。
 安倍政権とそれを引き継いだ岸田政権はこの関係を恥じらいもなく「転倒」させました。先般の安保3文書にみられるように、国会の議論もせずに、突然、軍事費倍増をきめ、専守防衛を放棄して敵基地攻撃能力をもつなど、戦争の準備をすすめています。
 敵基地攻撃能力をもったら、攻撃したくなるのです。戦争の準備をしたら戦争がしたくなる。私たちがしなくてはならないことは平和の準備です。
 ロシアのウクライナ侵略は許されません。即時撤退して平和を実現しなくてはなりません。いま、このロシアの戦争にかこつけて、岸田政権によって台湾有事、朝鮮有事が声高に語られています。
 国会の憲法審査会では緊急事態条項改憲と自衛隊挿入改憲が語られ、本日の「産経新聞」を見ると、岸田首相は1面トップで「自分の任期中に改憲を実行する」と断言しています。任期中とは来年9月です。岸田首相は自らの任期中の改憲・国民投票実施を断言しているのです。この岸田発言は許せない。ぜったいにこれを止めなくてはなりません。
 私たちは腹をくくって「あたらしい戦前」を拒否しなくてはなりません。可能なあらゆる手段を尽くして、戦争に反対し、軍拡に反対して行動するときです。
 かつて、「日米ガイドライン安保」が語られるようになった1978年9月の朝日新聞の歌壇に「徴兵は命かけても阻むべし 母、祖母、おみな牢に満つるとも」という石井百代さんの短歌がのったことは知られています。歌壇の選者の近藤芳美さんは「ひとつの時代をいきてきたもののひそかな怒りの思いだ」と評しました。
 この「戦争の時代」を生きた石井さんの思いを受け継ぎましょう。そして本日の集会を契機に、来年の9月までに岸田の改憲国民投票など絶対にさせない。本日の集会を契機に反戦平和の大きな波が巻き起こることを望みます。

                   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あらたな戦前にさせない!守ろう 平和といのちとくらし、2023憲法大集会アピール

 2015年5月3日、憲法の改悪を許さず、憲法理念の実現を求めて、横浜臨港パークで多くの市民や労働者の参加のもとで開催した「5・3憲法集会」は、全国各地の市民の皆さんの共同行動とともに継続され、コロナ禍を乗り越え、今年で9回目になりました。
 しかし、国際情勢をみると、少なからぬ国々と地域で戦火はやまず、昨今はわたしたちの日本でも「新たな戦前」という言葉が現実味をもって語られる時代になりました。
 昨年2月、ロシアは2度にわたる世界大戦を経て人類が獲得した国連憲章の「国際紛争を平和的に解決する原則」に反し、ウクライナへの軍事侵攻を開始しました。このウクライナでの戦争は多くの人々の犠牲を伴いながら、1年以上をすぎてもいまなお収束の兆しがありません。ロシア軍の即時撤退・停戦が切実にのぞまれています。
 しかし、逆に東アジアでもこれを口実とした軍事的緊張がつよまっています。
 岸田文雄政権は昨年末、「台湾有事」などの危機を煽りながら、閣議決定のみで「安保3文書」採択を強行し、軍事費の対GDP比2%、5年間で43兆円という異常な軍拡を企て、従来からの「専守防衛」原則を投げすて、敵基地攻撃能力の保有と南西諸島のミサイル基地建設強化をめざすなど、日米同盟を支えに、戦争する国への道を突き進んでいます。
 憲法9条にもとづいた外交努力による近隣諸国との友好共存関係の積み上げを怠り、列強との軍事同盟や軍事協力を強化し、軍事力を強化して緊張を煽り立て、いたずらに他国を誹謗し、戦争の危機をあおり立てるこの道は、日本を際限のない軍拡競争にひきづりこみ、やがて壊滅的な戦争の勃発を招きかねないものです。この道は日本がかつて歩んだ道に他なりません。
 いま通常国会では、衆参両院で3分の2の議席を占めるに至った改憲勢力によって憲法審査会がひんぱんに開催され、憲法への自衛隊の明記や緊急事態条項の新設など、憲法改悪への議論が強引に進められています。
 私たちは現在の審査会の論議が、戦争の危機を煽りながら進められている軍事大国化、「戦争する国」づくりの正当化のため、性急な憲法改定のみを求めるものとなり、憲法が示す平和・人権・民主主義の理念の実現を真剣に議論するものになっていないことを深く憂慮します。
 本日、日本国憲法施行76周年にあたる5月3日、東京都防災公園に集まった私たち市民は、集会の総意において、平和を希求する全世界の民衆に連帯し、なかんずく戦禍の下で苦しむウクライナやミャンマーなどの民衆に連帯して、憲法9条を掲げ世界の市民とともに反戦・平和の闘いに全力を挙げてとりくむことを、宣言します。

2023年5月3日

        あらたな戦前にさせない!守ろう 平和といのちとくらし、2023憲法大集会


第94回日比谷メーデー

       
働く者の団結で生活・権利・民主主義・平和を守ろう

 5月1日、晴天の下で第94回日比谷メーデーが開かれた。メイン・スローガンに「働く者の団結で生活と権利、平和と民主主義を守ろう!」、サブ・スローガンに「物価高騰を上回る大幅賃上げ!雇用継続と休業・生活補償・社会保障の充実!ジェンダー平等!均等待遇実現!なくせ貧困・格差・差別、8時間働けば暮らせる社会を!福島原発事故を忘れない!原発ゼロ社会・復興の実現を!核兵器廃絶!反戦平和!9条改憲反対!大軍拡・増税反対!辺野古新基地建設阻止!岸田政権は退陣を!」を掲げた。
 主催者を代表して鎌田博一国労東京地本委員長があいさつ。労働者の生活の不安が高まっている。生活と権利を守り抜き、ストライキで賃上げ、非正規労働者の待遇改善を勝ち取ろう。ロシアによるウクライナ侵攻から一年、戦闘の拡大と核戦争の脅威の高まりが言われる中で、ロシア軍の撤退、停戦、武力による解決ではなく対話での外交解決を実現させよう。ウクライナ問題を口実にした軍備増強、核共有論、改憲のうごきを強める岸田政権を打倒しよう。統一メーデーを実現しよう。
 都労連の和田隆宏委員長と第94回中央メーデーを代表して黒澤幸一全労連事務局長が連帯挨拶、社民党から福島みずほ党首が来賓挨拶をおこなった。
 韓国民主労総、大阪中之島メーデー、京都地域メーデーからのメッセージが紹介された。
 決意表明・訴えは、「正規・非正規連帯」谷川紀子さん(郵政産業労働者ユニオン)、「外国人労働者」長谷川ウェナさん(全統一労組ピードア分会)、「組合弾圧」松尾聖子さん(全日建連帯労組関西生コン支部)、「反戦平和」菱山南帆子さん(5・3憲法大集会実行委員会)から行われた。
 アピールを採択し、土橋コース、鍜治橋コースにわかれてデモ行進を行った。


入管法改定案が衆院通過

       
 参院でかならず廃案へ

 5月9日、衆院本会議で入管難民法改正案(出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案)は、自民、公明、日本維新の会、国民民主の各党の賛成多数で可決され、参院に送られた。立憲民主党・社民、共産党、れいわ新選組は反対した。この日、国会前反対集会やデモなどで抗議の声が上げられた。
 2022年、日本での難民認定は202人、他の先進国と比べて認定数の少なさが際立っている。認定が低いだけでなく、今回の法案でも難民認定率は改善されず、迫害を受ける恐れがある難民申請者を本国に送り返すものなっている。
 5月9日、立憲民主党、日本共産党、れいわ新選組、社会民主党、沖縄の風は「難民等保護法案」(難民等の保護に関する法律案)「入管法改正案」(出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案)を参院に提出した。これは、難民認定の手続きを透明化する独立した第三者機関の新設、入管施設への収容の可否は裁判所が判断、収容期間の上限を設けることなどを盛り込んでいる。
 アムネスティ・インターナショナル日本、移住者と連帯する全国ネットワーク、全国難民弁護団連絡会議、日本カトリック難民移住移動者委員会、入管問題調査会、全件収容主義と闘う弁護士の会ハマースミスの誓い、ヒューマンライツ・ナウの7団体は声明「私たちは、あきらめない あらためて入管法改定案の廃案を求めます」を発表した。「本法案は、政府が2021年の通常国会で廃案になった入管法改定案と、ほぼ同じ内容であり、衆議院で行われた一部修正を経ても、多くの人の命や人権を脅かす、以下の重大な問題を含んでいます。・低い難民認定率に改善策をとらない一方、難民申請者の送還を可能にし、迫害を受ける恐れがあるのに難民を本国に送り返す。・送還忌避罪を創設し、帰国できない事情があるため在留を希望する人に刑罰を加える。・監理措置制度により、在留資格のない外国人の監視を支援者らが引き受けない限り解放せず、無期限の長期収容制度を存続させる。・在留特別許可制度の縮小と、問題のある判断要素の法定で、同制度による救済を狭める。」「与野党間でなされる修正協議のように、政治に譲歩は必要なこともありますが、人権が蹂躙されるのを前にして、譲歩の余地があるのでしょうか。人権が侵害されている人たちにとって、さらに侵害しようとする入管庁への譲歩とは何を意味するのでしょうか。人権条約に違反している政府との間で譲歩することは、日本にとって何を意味するのでしょうか。移民、難民の人たちに対する非人道的な政策はやめさせるべきであり、まして悪化を許すべきではありません。私たちは、引き続き、入管法改定案の成立に反対します。非人道的な収容による犠牲を繰り返させず、苦境にある難民等の人たちの排除をさせないために、さらに多くの市民の皆さんに、私たちと共に法案に反対してくれるよう呼びかけます。」
 声明は「犠牲を繰り返さないために、さらに多くの反対の声を」とアピールしている。


映画の中のカッコ良さって ? 

 「カッコイイって、なんてカッコワルイんだろう」というコピーが流行った時代があった。
 当時のカッコ良さの裏にはウソや醜い金銭的取引きがあったからだ。
簡単に言えば「カッコイイ」とは多少やせ我慢しても自分より人を助けることと言ってもいい。
 クリント・イーストウッドの作品は『荒野の用心棒(A Fistful of Dollars)』(1964)から『夕陽のガンマン(For a Few Dollars More)』(1965)のマカロニウエスタンにはじまった。
 それぞれの映画の原題は『荒野の用心棒と『夕陽のガンマン』は「少しのドルのために「たくさんのドルのために」であり、「カッコイイってなんてカッコ悪いんだろう」の時代のことだ。

 そしてアメリカの暴力の歴史を描いていたともいえる『許されざる者(Unforgiven)』(1992)は、《正義の人物役!》ではひけをたらないジーン・ハックマンを敵役にしてアカデミー作品賞を取る。

 その後、イーストウッドの作風は、『許されざる者』(1992)から変化していく。早撃ちをいいことにして何人も殺してきた自分は正しかっただろう。
 たしかにイーストウッドは、全米ライフル協会との関係が噂され、また政治的には共和党的であるが「許せんことは絶対に許せん」という映画を世に出し続けている。
 それは『グラン・トリノ(Gran Torino)』(2008)にも受け継がれて、ベトナム戦争帰りの頑固な人種差別主義者で、昼からビールを飲んでツバをはくカッコ悪い爺さんコワルスキーになって出てくる。
 彼は、ベトナム少数民族のモン族の少年タオのために仕事の世話をやくなどし、タオのために丸腰でアジア系不良少年ギャンググループ立ち向かい、撃たれて泥に顔を突っ込んで死んでしまう。
 このシーンはイーストウッドをカッコイイと思わせてくれた。
 コワルスキーは武器を持たなかったという証言からギャングたちは長期にわたる刑を受けることになった。 残された遺書には、なんとタオのために、彼の愛車グラン・トリノ(フォードの車種)を遺贈すると書いてあった。 (R・T)


日中国交正常化の国際的な背景
 
        
国連第26回総会でのアルバニア案の劇的な採択

 米中対立が緊迫化するなかで、安倍晋三による「台湾有事は日本有事」という好戦的路線は、その後も菅、岸田と継承されて、大増税による大軍拡という危険な状況が現出してきた。
 日本と中国の関係をいかに処理すべきか、軍事対決なのかそれとも対話外交による緊張緩和なのかが問われている。日中関係には、@ 日中共同声明(1972)、A 日中平和友好条約(1978)、B 平和と発展のための友好協力パートナーシップの構築に関する日中共同宣言(1998)、C 「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明(2008)の4文書が交わされてきたが、これらを基本に良好な関係が築づかれなければならないのは言うまでもない。

 田中内閣の前の佐藤栄作政権は、東西冷戦の最前線としての役割を積極的に担い、米・日・韓・台の反共反中連携を強めていたが、日中国交正常化は戦後の日中関係、東アジア情勢、国際関係に激変をもたらすことになった。
 1972年9月の日中国交正常化は自民党内外の親台湾右派勢力の妨害を乗り越えた当時の田中角栄首相や大平正芳外相らの決断と行動によって実現された。だが、田中・大平らの行動はかれらを支持した広範な人びとの声の反映であるとともに、当時の国際情勢の大きな変化があったことを忘れてはならない。

国連第26回総会

 71年7月の当時のアメリカのリチャード・ニクソン政権のヘンリー・キッシンジャー国家安全保障担当大統領補佐官の秘密訪中、それをうけてのニクソンによる7月15日の翌年2月訪中を声明したが、それに当時の佐藤栄作政権は仰天し、ニクソン・ショックは自民党政治に甚大な打撃をあたえることになった。ニクソン声明の3カ月後、1971年10月25日に採択された第26回国際連合総会2758号決議「国際連合における中華人民共和国の合法的権利の回復」(いわゆるアルバニア決議)が採択された。それは中華人民共和国承認の大きなながれと戦後体制の激変を象徴するものであった。
 日本政府は、冷戦構造の中で戦後一貫して中国の国連での地位の回復に反対してきた。だが1960年代に入ると台湾(中華民国)を中国の代表として国連の常任理事国におき、中華人民共和国を拒否することは難しくなってきていた。国連総会での単純多数決ではこれまでの中国排除政策を維持することが難しくなって、1961年の第16回国連総会以来、アメリカ、イタリア、オーストラリア、コロンビア、日本は共同で中華人民共和国の国際連合加盟を「重要事項」に指定することを提案し、この案を過半数の賛成で可決した(重要事項では、採択には,出席し投票する国の3分の2の多数を必要とする)。 だが、1971年の国連第26回総会では、形成は逆転した。投票の内訳は、賛成・76、反対35、棄権17、無投票・3という結果で、反対票を投じたアメリカや日本は敗北した。 この結果、中華人民共和国が「中国を代表する唯一の合法的な国家」として国連に加盟し、「中華民国」台湾は国連を脱退することになった。
 アルバニア決議の内容は次のようなものだ。―国連総会は、国連憲章の原則を思い起こし、中華人民共和国の合法的権利を回復させることが、国連憲章を守り、かつ国連組織を憲章に従って活動させるためにも不可欠であることを考慮し、中華人民共和国政府の代表が国連における中国の唯一の合法的な代表であり、中華人民共和国が国連安全保障理事会の5つの常任理事国の1つであることを承認する。中華人民共和国のすべての権利を樹立して、その政府の代表が国連における中国の唯一の合法的な代表であることを承認し、蒋介石の代表を、彼らが国連とすべての関連組織において不法に占領する場所からただちに追放することを決定する―

動揺する佐藤政権

 アルバニア案決議の日本政府に与えた衝撃はおおきかった。国連総会直後の10月26日第67回国会の衆議院本会議でのやりとりは紛糾し、佐藤首相は窮地に立たされた。社会党・川崎寛治、公明党・大久保直彦、民社党・河村勝らがこの問題について質問している。佐藤首相は、川崎議員の質問に答弁する―すでにアルバニア案は、川崎君が説明されたごとく、また、すでにテレビ、ラジオ等でも伝えているごとく、国連で決定を見ました今日、われわれは国際社会においても多数の意見を尊重すること、これが私どもの当然の責務だ、かように思っておりますから、国連のこの決議はそのまま私どもも尊重していくつもりであります。したがいまして、中華人民共和国が国連に議席を持ち、同時に安保理の常任理事国になるということについて、これまた私は大いに歓迎するものであります。そこで、台湾の領土の帰属は一体どうなっているか、こういうお尋ねでありますが、この問題は、すでに説明いたしましたとおり、私どもは、さきの日華平和条約締結の際、台湾、澎湖島に対する権利、権原、請求権、一切を放棄したのであります。そうして、その地域を占拠しているのが国民政府であります。そうして国民政府は、これまた、北京における中華人民共和国と同様に、中国は一つだ、かように主張しておりますから、いまさら領土の帰属について疑問の余地があろうとは私は思いません。これを疑問として提供される方の考え方を私は逆にお伺いしたいような気がするのであります。―
 また大久保議員の質問への答弁は―私どもの提案した案(重要事項指定方式による)とアルバニア案とどこが違うのか、かように申しますと、中華人民共和国を国連に迎えることは同様であります。安保理の常任理事国に勧告することも、これまた同様であります。ただ違うのは、国府を追放するかしないか、その一点にあるのであります。…中国政策として、中華民国政府との間の条約を破棄しろ、こういうような御意見であったと思いますが、私は、簡単に破棄される筋のものではない。これまた先ほど川崎君にもお答えしたとおりであります。私どもは、サンフランシスコ条約に引き続いて日華条約を結んで、戦争は終結したと確認をしたのであります。そういう状況のもとにあるのでございますから、今日破棄するとかいうような問題は起こらない。その条約のもとで、もうすでに二十数年経過しておる。いまさら破棄するというような問題はない。―
 このように佐藤政権の対応は、アルバニア案の可決を受けて、アルバに案の一つの柱である中華人民共和国の国連での常任理事国として地位はみとめたものの、それと一体の関係にあるもう一つの柱である「蒋介石の代表を、彼らが国連とすべての関連組織において不法に占領する場所からただちに追放」することには依然として反対するという対応であった。
 佐藤らは従来の立場をなんとか維持しようと必死に画策したのだが、翌年72年2月ののニクソン大統領訪中と上海コミュニケの発表は、佐藤政権をいっそう追い詰めることになった。上海コミュニケでは、台湾問題について次のようにしている。― 双方は、米中両国間に長期にわたつて存在してきた重大な紛争を検討した。中国側は、台湾問題は中国と米国との間の関係正常化を阻害しているかなめの問題であり、中華人民共和国政府は中国の唯一の合法政府であり、台湾は中国の一省であり、夙に祖国に返還されており、台湾解放は、他のいかなる国も干渉の権利を有しない中国の国内問題であり、米国の全ての軍隊及び軍事施設は台湾から撤退ないし撤去されなければならないという立場を再確認した。中国政府は、「一つの中国、一つの台湾」、「一つの中国、二つの政府」、「二つの中国」及び「台湾独立」を作り上げることを目的とし、あるいは「台湾の地位は未確定である」と唱えるいかなる活動にも断固として反対する。米国側は次のように表明した。米国は、台湾海峡の両側のすべての中国人が、中国はただ一つであり、台湾は中国の一部分であると主張していることを認識している。米国政府は、この立場に異論をとなえない。米国政府は、中国人自らによる台湾問題の平和的解決についての米国政府の関心を再確認する。かかる展望を念頭におき、米国政府は、台湾から全ての米国軍隊と軍事施設を撤退ないし撤去するという最終目標を確認する。当面、米国政府は、この地域の緊張が緩和するにしたがい、台湾の米国軍隊と軍事施設を漸進的に減少させるであろう。―

日本外務省の国連総会報告


 日本外務省「昭和47年版わが外交の近況」は国連総会の状況を報告している。「国連第26回総会における政治問題」の「中国代表権問題」の項には次のような記述がある―本問題は1949年に中華人民共和国が成立してから20年余にわたつて争われてきたものであるが、第25回総会(1070年)でアルバニア決議案に対する賛成票が反対票を上回つて以来、中華人民共和国を国連に迎え入れたいという気運が盛り上り、この点に関しては加盟国の間にコンセンサスに近いものが生れるにいたつた。そこで第26回総会では中華人民共和国の国連参加に際し中華民国を国連より追放すべきか否かに争点が絞られたのであつた。まず、7月中旬にアルバニア等は「中華人民共和国政府の代表権回復、中華民国政府追放」を趣旨とするアルバニア決議案(共同提案国23ヵ国)を早々と事務局に提出したが、これに対して米国等は、9月にいたり、中華人民共和国の国連参加を認め、安保理常任理事国の席をこれに与えると同時に、中華民国の議席も認めるといういわゆる二重代表制決議案(共同提案国19ヵ国)および中華民国の追放は憲章18条に従い重要問題であり、3分の2の多数によつて決めるべきであるとする追放反対重要問題決議案(共同提案国22ヵ国)を提出した。わが国はすでに8月に木村外務大臣臨時代理より中華人民共和国の国連参加は阻まないが、中華民国の議席追放は反対であるとの基本方針を発表していたが、9月22日にいたり、佐藤総理より二重代表制決議案および追放反対重要問題決議案を共同提案する旨発表した。総会が始まると、議題採択等をめぐり一般委員会や本会議等で中華民国追放支持派と反対派の間で激しい論議が展開された後、注目のうちに10月18日より本件の本格審議が開始された。ここでは73ヵ国の多数が一般討論に参加したが、わが国の愛知首席代表も、わが方決議案は複雑かつ微妙な問題を漸進的に解決せんとする経過的な性格のものである等、わが国の立場を説明する発言を行なつた。表決は25日に行なわれた。この日の審議は午後3時から深夜の11時30分まで食事抜きでぶつ続けに行なわれた。その中で追放反対重要問題決議案は8票差で先議権を獲得したものの、決議案自体は賛成55、反対59、棄権15、欠席2で否決され、これに続いてアルバニア決議案は賛成76、反対35、棄権17、欠席3で採択された。この結果、二重代表制決議案は表決に付さないこととなつた。また、アルバニア決議案の表決に先立ち、中華民国代表は、これ以上総会の審議に参加しないことを宣言し、総会議場より退場した。こうして20年来続いた国連における中国代表権問題は劇的な幕切れとなったのであつた。―

佐藤退陣と田中政権の登場


 こうしたなか佐藤は、その他の問題も加わって追い詰められ、通常国会が閉幕した翌日の1072年の6月17日に退陣表明記者会見を行った。「偏向的な新聞は嫌いなんだ。大嫌いなんだ。直接国民に話したい」などの暴言で新聞記者が総退場するなど歴史に残る無様な記者会見だった。
 7月5日の 自由民主党総裁選で、佐藤が支持した福田赳夫を破りに田中角栄が自民党総裁に就任した。事前の予想を大きく上回る票が田中によせられたのである。翌6日に、第1次田中内閣が成立し、日中国交正常化に向かって動きが盛り上がっていった。


せんりゅう

   武器輸出?「前文」知らぬ愚議のチエ

       歯止めとなれよ野党立憲

   あそんでるこの子ら守る第九条

       子育て日本の顔トー横グリ下

   なんみんよ!自由もとめて来たのに

       公式主義の獄舎に難民苦なん民

   われめにちいさく草々夏日

       遥かなる思想をむねに皐月咲く
  
                    ゝ 史

  2023年5月


複眼単眼

        憲法記念日直前の世論調査の動向


 今後のたたかいのために、調査方法などの問題点を問わずに、各社の発表を列挙しておきたい。
 これらを一瞥すると、岸田首相が唱える「任期中の改憲発議と国民投票」を阻止できる可能性は十分にあるということだ。

●共同通信社世論調査(3〜4月、郵送方式)結果。岸田文雄首相が自民党総裁任期中に意欲を示す憲法改正の機運が「高まっていない」が「どちらかといえば」を含め計71%。
 国会での改憲議論を「急ぐ必要がある」は49%、「急ぐ必要はない」は48%で賛否が拮抗。
 改憲機運が「高まっている」は「どちらかといえば」も含め計28%。
 改憲の必要性は「どちらかといえば」を含め計72%が肯定し、「必要ない」の計27%と差が開いた。
●毎日新聞 4月半ば実施した調査で、岸田文雄首相の在任中に憲法改正を行うことについて、「賛成」35%、「反対」の47%を下回った。2022年4月の調査では「賛成」が44%で、「反対」の31%を上回ったが、1年で賛否が逆転した。
 ただ「9条を変えて自衛隊の存在を明記する」ことについては、「賛成」が55%で、「反対」の31%を大幅に上回った。
 22年4月の調査では「賛成」58%、「反対」26%で、賛成の割合はやや減少したが、ロシアのウクライナ侵攻が続き、安全保障環境が悪化したことが影響しているとみられる。
 緊急事態の際に国会議員の任期を延長できるようにする憲法改正については、「賛成」が39%で、「反対」の43%を下回った。22年4月の調査では「賛成」(43%)が、「反対」(36%)を上回っていた。
●NHK世論調査
 憲法を「改正する必要があると思う」は35%、「改正する必要はない」は19%。
 憲法9条を改正する必要があると思うかどうかについては「改正する必要がある」が32%、「改正する必要はない」が30%。去年の同じ時期に行った調査と比べて、いずれも同程度。
 東京大学憲法学者の石川健治教授は「ウクライナへの軍事侵攻が始まってから、報道のインパクトによって世論が激変するのではないかと恐れていたが、意外に平静さが保たれている。憲法改正に関する世論はきっ抗した状況にあると言っていいと思う」と話した。
●読売世論調査
 全国世論調査(郵送方式)を実施し、憲法を「改正する方がよい」は60%(前回昨年3〜4月調査56%)。ロシアのウクライナ侵攻などによる安全保障への関心の高まりを反映。「改正しない方がよい」は38%(同40%)だった。
 9条2項を改正する必要が「ある」は50%(前回46%)で、「ない」47%(同47%)をやや上回った。
 戦争放棄を定めた9条1項については、改正の必要は「ない」が80%(同80%)に上った。緊急事態条項は「憲法を改正して、条文で明記する」は55%で、「憲法は改正せず、個別の法律で対応する」の42%を上回った。(T)